説明

自己調整式光子治療介入の方法およびデバイス

本発明は、広い身体ゾーン内の1つ以上の身体部位の生理学的状態の決定と、生理学的状態を決定するために使用される1つ以上のセンサ測定、好ましくは光子に基づいて治療、好ましくは光子治療の適用を可能にするデバイスおよびこれらのデバイスによって使用される方法である。このような適用される光子治療は、各身体部位に対して個々に調整しながら、効果的に同時に達成され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広い身体ゾーン内の1つ以上の身体部位を識別するためのデバイス、および少なくとも1つの身体部位から得た1つ以上の光子センサ測定に基づいた治療、好ましくは光子治療の適用に関する。このような適用される光子治療は、各身体部位に対して個別に調整されながら、効果的に同時に達成され得る。加えて、1つ以上の身体部位への光子治療(複数可)の連続適用は、一致する身体領域の1つ以上の連続的なセンサ測定に基づいてさらに調整され得る。
【背景技術】
【0002】
光子ベースの治療活動は、望ましくない生理学的状態を改善するために、典型的には紫外線領域、可視光線領域、または近赤外線領域のいずれかにおける1つ以上の波長の光の直接適用を利用する。光子治療は、治療の一部として1つ以上の感光剤の使用も利用することができる。今日まで、これらの活動は、一般に、適用される光子治療の位置および効果を評価するために、典型的には1つ以上の診断イメージングツールと併せて、臨床医の観察技能を必要とする。
【0003】
例えば、低レベルレーザー治療装置(米国特許第6,312,451号)は、有益な臨床効果のために規定波長の光子エネルギを送達するハンドヘルド装置の使用を教示している。しかし、前記発明は、動作および使用の好ましい方法を開示しているが、この装置の使用から恩恵を受け得る身体状態の自動識別および/または定量を可能にする方法および手段は開示していない。
【0004】
光子治療を必要としない組織または身体部位が、このような治療を受けることを回避することができ、恩恵を受け得る部位が、前記部位に合わせられた1つ以上の光子治療を受けることができるようにするため、身体部位の状態および/または治療の状態の定量が、非常に望ましいであろう。狭い楕円形の範囲の切り傷の上に配置される、米国特許第7,304,201号に開示されているような矩形の光子治療包帯を考慮されたい。健常組織の区域も、包帯で覆う必要があるだろう。これらの覆われた健常組織の区域は、恩恵を受けないばかりか、これらの部位に対する光子治療の誤適用によって障害を受け得る可能性もある。逆に、このような治療の適用から恩恵を受け得る組織傷害部位またはその一部は、このような治療が、覆われた組織の全体に基づいて行われると、不十分な治療を受け得る。
【0005】
AltshulerおよびTuchin(米国特許第7,329,273号)は、光子照射処置を受ける口腔組織についての診断情報を提供し、かつ処置セッションの完了などについての情報を使用者に提供するためのセンサの使用を教示している。しかし、彼らは、センサの測定に基づいた同時に処置される口腔構造に対する光子処置の差動調整、および前記差動処置を達成するために複数の光子送達と組み合わせた複数のセンサについては教示していない。
【0006】
Magerら(米国特許第5,944,748号)は、周囲組織から病変組織を区別し、次いで病変領域への光力学治療を選択的に適用するために組み合わせたセンサを使用することについて教示している。しかしながら、迷光から生じる望ましくない信号を最小限にするために検出回路内で信号変調および周波数選択フィルタを使用することについては教示しているが、彼らは、個々の励起フォトダイオードと、このような変調処理中に感知するための各光電池または個々にアドレス指定可能なセンサ要素との間で生じる信号照明クロストークを防止する方法については教示していない。この発明は、識別された病変領域内での差動変調光子治療の使用についても教示していない。したがって、この発明は、様々なセンサおよび/または適用例に適用可能な光子治療システムの要求を満たしていない。
【0007】
関連技術では、適切な波長および強度の光によって照射されると、光子治療応答または活動、例えば、癌細胞の破壊をもたらす化合物を生成する1つ以上の感光剤の使用についての多数の記載が存在する。このような感光剤の効果を高めるために、光子物質(photoagents)の選択的な標的化のための方法が記載され、例えば、米国特許第6,894,161号は、光子物質の標的分子または組織への架橋を記載している。やや異なる代替の手法として、米国特許第5,435,307号は、望ましい位置での感光剤の定量を可能にする蛍光信号の使用を記載している。しかし、これらの手法は、感光剤の適用は可能にするが、処置する身体部位(複数可)を決定して、健常な身体部位への不必要かつ潜在的に有害な処置を回避する目的の自動処理は提供していない。これらの技術はまた、後の処置または投薬の調整を可能にする処置の効果の量的評価も提供していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、光子治療の送達と合わせた、光子治療の使用から恩恵を受ける身体部位の識別および量的評価を提供して、光子治療処置を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に記載される発明は、後の治療の適用のために1つ以上の身体部位の測定および識別を可能にし、1つ以上の識別された身体部位への標的治療送達を可能にする方法およびデバイスを提示する。本発明の文脈において、身体部位は、皮膚および/または身体の腔、例えば、耳、口、膣、子宮、または肛門を含む体表上であっても、または身体部位は、組織、骨、筋群、消化管などを含む身体内部に位置していても良い。
【0010】
本発明の好ましい形態では、後の治療処置のために1つ以上の身体部位の識別を可能にする構造は、身体ゾーンと呼ばれて1つ以上の身体部位を包含する身体のより広い部分の自動検査を可能にする複数の検出技術(センサ)からなる。好ましい実施形態では、本発明は、実質的に可撓性かつ平坦な構造、例えば、パッチ様構造であって、その構造内に組み入れられ、検査される身体ゾーンに向けてまたは反対に配置されるように意図された複数のセンサを備えた第1の表面を有する、パッチ構造とすることができる。このようなセンサは、第1の表面積の実質的な部分に渡ることができ、特定の場合には、事実上、第1の表面積全体に渡ることができる。
【0011】
他の実施形態では、識別のための構造は、治療処置から恩恵を受け得る1つ以上の身体部位を識別するために身体ゾーンを移動する、身体ゾーンに焦点を合わせる、身体ゾーンを通る、または身体ゾーンの周囲を回ることによって利用される1つ以上のセンサからなる。本発明のなお他の形態では、本発明のシステムは、本発明の方法が、デバイスの少なくとも一部に近接した身体ゾーンで達成され得るように、他の医療デバイスまたは構造、例えば、衣類、カテーテル、ステント、包帯、椅子、ベッドなどの中に組み入れられる。
【0012】
本発明の範囲内で、1つ以上の前記センサからのデータは、少なくとも1つのコンパレーターによって自動的に処理され得、身体の部位が、後の治療活動のために識別され得る。このような処理は、治療から恩恵を受け得る部位と比較して治療から恩恵を受け得ない部位を区別するための、スキャンしたゾーンの比較処理を含み得る。識別されたら、治療から恩恵を受け得るそのような部位の位置が、デバイスの使用者に表示および/または他の方法で示され得る。加えて、本発明の特定の実施形態では、これらの位置が、1つ以上の治療送達構造に自動的に転送され得る。本発明の特定の実施形態では、次いで、治療活動が、自動的にまたは、好ましい実施形態では、臨床医のコマンドで、1つ以上のこのように識別された身体部位に対して開始され得る。
【0013】
本発明の文脈では、好ましい治療活動は、少なくとも1つの治療エネルギの識別された身体部位への伝送を伴う。このようなエネルギには、限定されるものではないが、光子エネルギ、音波エネルギ、機械的エネルギ、電磁電気エネルギ、または1つ以上のエネルギの組み合わせが含まれ得る。本発明の好ましい形態では、このようなエネルギは、本質的にフォトニックであり、紫外線スペクトル、可視光線スペクトル、または赤外線スペクトルの範囲内の1つ以上の波長を含み得る。治療には、本発明の方法およびシステムの一部としての、1つ以上の治療薬、薬物、血漿、および/または他の治療形態、例えば、デブリドマンの1つ以上の識別された身体部位への送達も含まれ得る。
【0014】
本発明の関連する実施形態では、識別プロセスは、後の治療または処置の調整を可能にする治療の送達の後に繰り返される。治療の推奨される調整は、最初の身体部位の識別および治療送達構造への位置の転送の一部としても起こり得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の全体の表現を示す図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態を例示する図である。
【図3】光子放射の較正のための本発明の一実施形態の表現を示す断面図である。
【図4】本発明の方法による平坦な光子センサ・レイを例示する図である。
【図5】センサ・レイの要素間の望ましくない光子の通路を例示(パネルA)し、かつこのような通路の除去または最小化のための本発明の様々な形態を例示(パネルBおよびC)する断面図である。
【図6】多数の光子センサの同時作動から生じる信号の複雑さを例示(パネルA)し、このような複雑さを解決するための本発明の一形態を例示(パネルB)する断面図である。
【図7】離隔した光子源(パネルA)またはセンサ(パネルB)の使用による組織の深さの差動検査のための本発明の様々な実施形態を例示する断面図である。
【図8】センサ要素および光子治療送達源の両方を有する本発明の第1の表面の一実施形態を示す図である。
【図9】本発明の方法によるコンパレータの活動の一実施形態の略図である。
【図10】歯科治療での使用に適した本発明の一実施形態を例示する図である。
【図11】対象の身体ゾーン上を移動されることを意図した本発明の一実施形態を例示する図である。
【図12】脈管構造および/またはデバイスの周りに配置されることを意図した本発明の一実施形態を例示する図である。
【図13】創傷包帯としての第2の機能も可能にする本発明の実施形態を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、広い身体ゾーン内の1つ以上の治療処置から恩恵を受け得る少なくとも1つの身体部位の決定を可能にする1つ以上の検出技術の使用、本発明のデバイスの測定によって得られるデータまたはデバイスによる前記身体部位の位置の自動識別、および識別された身体部位への1つ以上の治療の送達での前記決定された位置の後の利用に関する。本発明の範囲内で、検出および/または治療の送達は、周期的もしくは連続的なやり方、または臨時の命令もしくは指令で達成され得る。
【0017】
本発明の全体図が図1に示されている。図示されているように、デバイス150は、身体100の身体ゾーン110を測定するための1つのセンサ125によって例示された多数のセンサ要素を有する少なくとも1つの測定構造120を有する。前記測定は、少なとも1つの治療から恩恵を受け得る少なくとも1つの身体部位115の決定を可能にする。また、測定構造120から受け取った(矢印Aで示されている)測定データの分析を行うための少なくとも1つのコンパレータ130、および目的の身体部位(複数可)への1つ以上の治療の活性化された部位145によって示されている標的治療送達のための少なくとも1つの治療送達構造140も示されている。前記的標的治療は、矢印Bによって示されているように、コンパレータ130によって治療送達構造140に送られる情報によって行われる。
【0018】
好ましい実施形態では、測定構造120は、目的の検出を達成するために身体ゾーンに測定構造を再配置する必要なく、身体ゾーン110の検査を可能にする複数のセンサを有する。このような実施形態では、測定構造は、実質的に平坦な形態、例えば、パッチまたは可撓性シートとして形成することができ、センサ・エネルギを送信および/または受信することができ、これによりセンサの測定を可能にする第1の表面を有する。他の実施形態では、測定構造は、カテーテルおよび植え込まれた構造などの医療デバイス内に組み入れることができる。さらになお他の実施形態では、身体ゾーンの検査を可能にするための構造は、少なくとも1つのセンサを有するが、このセンサは、適用される治療から恩恵を受け得る1つ以上の部位の決定を可能にするために身体ゾーン内に位置する、身体ゾーンに対して移動される、または身体ゾーンに配置される。
【0019】
1つ以上のセンサから受け取った情報を利用するために、本発明のデバイスは、治療から恩恵を受け得る1つ以上の身体部位の決定を可能にする少なくとも1つのコンパレータ130を有する。好ましい実施形態では、コンパレータは、治療送達から恩恵を受け得る身体部位の存在を示唆する少なくとも1つの提示手段、例えば、視覚型(例えば、画像表示またはフラッシュライト)、音響型(例えば、自動人工音声または音による命令)、または機械型(振動など)を有する。代替の実施形態では、コンパレータは、センサから受け取ったデータを保存し、次いで1つ以上の治療の適用から恩恵を受け得るそれらの部位を示す身体部位の表現表示、例えば、地図にデータを集める。
【0020】
最後に、本発明のデバイスは、少なくとも1つの治療送達構成要素または構造140を有する。このような治療は、光子エネルギ、超音波エネルギ、または電気エネルギなどの、1つ以上の識別された身体部位に送達されるエネルギのすべてまたは一部のエネルギであり得る。このような実施形態は、治療活動の一部として、1つ以上の光応答物質、例えば、光増感剤を利用する光子治療も含み得る。代替の実施形態では、このような治療は、標的身体部位への1つ以上の作用物質または薬物の選択的な送達からなり得る。なお他の実施形態では、エネルギ、薬物、または他の治療の組み合わせを、1つ以上の識別された身体部位に投与することができる。
【0021】
本発明のデバイスの好ましい実施形態は、実質的に平坦で可撓性であるため、デバイスの身体ゾーンとの直接等角接触を容易にしている。好ましい実施形態は、センサ構造、コンパレータ、および治療送達機能を単一の全体構造内に組み入れている。本発明の好ましい実施形態の例示が、図2に示されており、デバイス200の3つの主要層またはセグメントは、例示目的で分離されているが、実施する際は単一の実質的に平坦な等角接触デバイス(下方を向いた太い矢印によって示されている)に形成されることが意図される。殆どの適用例では、全体の平坦な寸法、すなわち第1の表面の身体ゾーンへの接触の長さを表す寸法は、身体ゾーンの有効に覆うために、一般に、どの縁も5cm〜30cmであるが、他の寸法または形状、例えば、円形も、本発明の範囲内で容易に考えられる。
【0022】
デバイス200の構造内に、単一体に組み合わせられた複数の検出光源および光検出器、例えば、203によって示されている、1つの光源と1つの光検出器を有する対アセンブリが、第1の表面207を有する下層210に配置されて示されている。光子治療の送達に有用な光源205の第2のセットも、第1の表面に整列されて示されている。前記検出光源、光検出器、および光源は、望ましい検出および治療送達活動を達成するために第1の表面の実質的な部分に渡ることができる。加えて、光源および検出器の前記反復的な配置が、表面207によって画定された領域を容易に分割できるようにし、これにより身体ゾーンの測定および治療処置が容易になっている。
【0023】
中間層220は、スイッチ225、増幅器223、プロセッサ224、メモリ227、無線トランシーバ226、アンテナ228、およびプリントバッテリ222によって供給されるような電源を含む制御回路を例示している。電気相互接続配線およびビアは示されていないが、必要な回路の接続を提供するために、必要に応じて存在すると仮定する。前記制御回路は、センサ機能、コンパレータ機能、通信機能、表示機能、および光子治療送達機能を可能にし、このような回路を設計して製造する技術は、電子回路製造分野の技術者には公知である。
【0024】
上層230は、第2の表面232上に配列された多数の表示要素235を含む。前記表示要素を利用して、測定されたゾーンについての情報を伝達する、例えば、第1の表面207上に存在する光子要素203によって測定される部位に関連するデータの表現を提供することができる。この表現では、前記表示要素は、実質的にマトリックスアレイの形態であるが、表示の他の形態、例えば、単一光源、数値表示、または状態の無線通信さえも本発明の範囲内で利用することができる。また、第1の表面の測定される身体ゾーンへの取り付けを助けるために第1の表面207の少なくとも一部に配置された接着剤260も示されている。デバイスを身体ゾーンに取り付ける、または配置する代替の方法、例えば、ストラップの使用も考えられ、本発明は、接着剤の利用に限定されるものではない。
【0025】
デバイスを使用可能にする、デバイス200の様々な層に配置された機能部間の電気接続を提供するために、電気接続材料またはエポキシを含むビアを利用できるが、他の形態の電気接続、例えば、電線を、この目的のために本発明の範囲内で利用することができる。本発明のさらに他の形態では、光子要素を利用して、本デバイスの様々な部分または要素間に通信および/または電力を提供する、例えば、光源および光検出器を使用して直接物理的に接触していないセンサおよびコンパレータなどの分離した構造間で、または電気接続が体液などによって中断され得る場合に、電気信号を伝達し、かつ/または情報を通信する。
【0026】
デバイス200の回路要素、例えば、スイッチ225、アンテナ228、およびプリントバッテリ222などの1つ以上の回路要素、これらの要素を接続する電気配線、または光源および検出器203を製造するために、プリント回路またはプリント電子機器を利用する電子機器製造の1つ以上の方法を有利に使用することができる。前記プリント電子技術は、前記構成要素が、回路基板の望ましい位置に配置された分離可能な個々のユニットであり、後に機能を有効にするために1つ以上の電気配線に電気的に接続される従来の形態の電子回路の製造と比較して、適切な材料を基板上にプリントすることによって電子的に機能的な要素を基板上に直接製造する。プリント回路は、他の回路製造方法と比較して、デバイス200の全体構造の高い可撓性を可能にし、製造コストを下げることができる。
【0027】
他の回路要素は、望ましい位置に配置され、導電エポキシまたは他の形態の電気接続の使用によって電気的に接続された別個の回路構成要素とすることができる。このような構成要素は、プロセッサ224、または利用可能なプリント電子構成要素を用いても必ずしも達成可能ではない機能、例えば、動作速度を必要とする他の要素を含み得る。
【0028】
この実施形態の一形態では、密閉されたパッケージからのデバイス200の取り出し、および空気、光、組織、または体液への曝露によって、1つ以上の回路要素の機能を作動させてデバイスの活動を開始させる、すなわちデバイスをオンにすることができる。他の形態では、アンテナに伝送されるエネルギの供給は、デバイスの活動を開始する役割を果たし得る。デバイスを作動させる多数の方法が考えられ、本発明の範囲は、本明細書に提示される方法に限定されるものではない。
【0029】
一度作動されると、デバイス200は、プログラムされた命令および保存された測定置を利用してセンサ測定データを周期的にとることができる。これらの測定されたデータおよび/または検査されるゾーン内の測定された身体部位を特徴付ける分析は、1つ以上の部位からの測定値が設定パラメータを越えていることを決定した時に、またはコマンドで、例えば、表示活動を開始するために受信アンテナに送信される信号により、周期的に表示され得る。加えて、特定の実施形態における前記データおよび分析を、局所デバイスに無線送信することができ、局所デバイスは、表示、さらなる分析、他の保存されたデータまたは入力されたデータと組み合わせて分析、または後の使用および再検討のために保存することができる。前記表示または送信されたデータおよび分析に応答して、1つ以上の治療動作が1つ以上の部位を標的にすることが、実施可能とされ得る。このような実施可能化は、事実上自動、すなわち統合された治療アルゴリズムおよび命令を利用する外部トリガーまたはコマンドを用いずにデバイス200によって行うことができる。別法では、治療の開始は、無線命令および/またはタッチ式表示コマンドを場合によっては含むデバイス200へのフィードバックの形態を利用する外部コマンド、例えば、臨床医の活動復帰によって行うことができる。
【0030】
追加の要素を、目的の適用例におけるデバイスの機能を助ける、または拡張するためにデバイス200の全体構造内で利用することができる。例えば、創傷治癒モニタリングなどの適用例では、ガーゼまたは他の吸収材などの要素をデバイス200の構造内に含めることが望ましいであろう。このような実施形態では、液体または創傷滲出物を創傷部から、下層210と中間層220との間または中間層220と上層230との間に配置された吸収材の層に輸送できる様々なウィッキングチャネルを第1の表面207内に組み入れることができる。デバイス200のそれぞれの層間の電気接続は、配線または他の形態の接続を用いて行うことができ、電気回路製造分野の技術者には容易に考えられる。このような形態では、デバイス200は、2つの機能、すなわち創傷流体の吸収および創傷表面のさらなる汚染の保護のための包帯としての機能と、創傷治癒のモニターとしての第2の機能とを提供することができる。他の形態では、材料、例えば、ガーゼまたは他の吸収材は、第1の表面207上の2つ以上の光源または検出器の間に配置することができる。このような間置は、検出または治療機能および創傷滲出物除去機能を可能にするために選択することができる。これらの間置材料は、他の吸収材が存在しない場合は、創傷滲出物を直接吸収することができる。別法では、これらの材料は、デバイス200内部に含められた、または他の方法でデバイス200に直接接触した1つ以上の追加の吸収層に創傷滲出物を輸送することができる。このようなデバイスは、創傷部から流体を除去するために真空または他の機械手段の使用を含み得る。
【0031】
本発明の関連する実施形態では、1つ以上の検出剤または治療薬、例えば、蛍光可視化染料、光増感剤、抗生物質などは、本発明のデバイスの構造内の1つ以上の要素に実質的に組み入れられる、または配置される。このような実施形態では、検出剤または治療薬は、必要に応じて、またはコマンドで、1つ以上の貯留部から、例えば、ポンプ、電気浸透力、ポンプとして機能する電気活性ポリマー、または弁の使用によって1つ以上の身体部位に選択的に放出され得る。さらに他の実施形態では、1つ以上の検出剤または治療薬は、1つ以上の構造、ポリマー、または他の材料の中に組み入れられるため、信号、例えば、光分解をもたらすエネルギ(加えられる光)、電気感光性放出または酵素遊離をもたらす適用電気信号で、前記構造またはポリマーの1つ以上のセクションが、検出剤または治療薬が放出されるように不安定になる。なお他の実施形態では、検出剤および/または治療薬は、1つ以上の身体部位に設定速度で放出され得、次いで、放出された検出剤および/または治療薬が、センサの入力および/またはコンパレータの分析に基づいて滴定される。
【0032】
図2では、本発明の3つの要素が、単一構造内に含められている。他の実施形態では、治療送達構成要素は、センサ要素および/またはコンパレータ要素から物理的に分離可能な要素である。さらに他の実施形態では、センサ要素も、2つ以上の分離可能な要素に分割することができ、例えば、光子源は、光検出器を含む構造から物理的に分離された構造内に配置することができる。このような実施形態は、照明時、身体ゾーン内の身体部位の測定を行い、次いで前記分析に対する局所治療応答を可能にする1つ以上の植え込まれた構造を利用する適用例に有用であり得る。このような適用の例は、癌の再増殖が起こっている可能性がある身体部位に対する局所治療、例えば、薬物放出を提供することを目的としたインプラント内でのデバイスの使用とすることができる。診断マーカーにおける測定変化、例えば、局所血管分布の増加により、癌の再発を検出して、デバイスの植え込まれた部分からその身体部位への化学療法剤の選択的な放出によって応答することができる。前記測定を可能にし、かつ場合によってはデバイス活動のエネルギ源として機能し得る光子照明を、体表の外部に位置する1つ以上の照明源から当てることができる。
【0033】
関連する実施形態では、光子照明は、センサ、コンパレータ、および治療送達機能を作動させるために役立ち得る。このような実施形態では、光子照明は、直接照明、または周囲光源もしくは他の光源からの照明とすることができる。光応答要素、例えば、光電池、および受け取ったエネルギを保存する手段、例えば、再充電可能なバッテリおよび/またはコンデンサーを含む有効な回路構成要素は、このようなデバイスに組み入れることができる。本発明のさらに他の形態は、他のエネルギ源、例えば、無線周波数波および/または電磁放射線を利用し、これによりデバイスの機能に必要なエネルギの補充を可能にすることができる。
【0034】
本発明の様々な実施形態では、コンパレータから得られる位置情報を、治療送達要素に自動的に提供し、これにより改善された標的治療を可能にすることができる。
【0035】
本発明の変更形態では、1つ以上の構造を、複数の身体ゾーンおよび/または個体に対する本発明のデバイスの反復使用を可能にするために組み入れることができる。このような一構造は、シートまたはフィルムなどの使い捨ての生体適合性インターフェイスとすることができる。このような実施形態では、生体適合性インターフェイスは、組み入れられた本発明の1つ以上の要素、例えば、光源または光検出器を有することができる。他の実施形態では、生体適合性インターフェイス材料は、検出および/または治療送達の機能、例えば、光フィルタを可能にするように形成することができ、これを可能にする材料とすることができる。他の実施形態では、本発明のデバイスは、使い捨てとすることができる。一般論として、使い捨てデバイスおよび/または使い捨てデバイスの構造の使用は、1つの身体位置から別の身体位置または個体から別の個体への感染因子または材料の伝達の防止に役立ち得る。
【0036】
他の実施形態では、本発明の治療デバイスは、1つ以上の治療薬を保存し、これを識別された身体部位に選択的に送達する1つ以上の手段を含み得る。このような治療薬は、容器のようなものに保存されるか、またはデバイス内に組み入れられ、1つ以上のディスペンス手段、例えば、電気活性ポリマーからなる電気浸透ポンプの作動時に特定の部位に選択的に投与される1つ以上の活性物質または材料を含み得る。
【0037】
なお他の実施形態では、検出構造および/または治療送達構造は、他の機能を有する構造、例えば、プロテーゼまたは植え込まれた医療デバイスなどに組み入れられた創傷包帯として使用するための吸収材も含み得る。デバイスの別の形態も考えられ、本発明の方法およびデバイスは、本明細書に提示する形態または実施形態に制限されるものではない。
【0038】
なお他の実施形態では、検出構造および/または治療送達構造は、医療デバイスまたは構造の改善された機能を可能にする医療デバイスまたは構造内の要素、例えば、カテーテルラインとして実質的に組み入れることができる。例えば、本発明は、身体の外部に配置された単独照明源を利用して光の少なくとも一部を前記カテーテルラインに伝達するカテーテルラインのシースまたはカバーとして含めることができる。カテーテルラインの周りに分散された多数の光検出要素により、カテーテルライン内の破壊的事象、例えば、閉塞、またはカテーテルラインの外側の破壊的事象、例えば、感染および/または生物膜形成の検出/位置決定が可能である。このような事象の検出時に、適切な治療介入を開始することができ、これにより全体的な医療デバイスの機能が改善される。
【0039】
ハンドヘルドデバイスとして構成されたデバイスの他の実施形態は、臨床医による身体ゾーンの臨時または周期的なモニタリングのための使用に有用であり得る。このような実施形態では、さらなる特徴、例えば、測定活動を行うための告知または喚起、および各測定活動での患者の識別および/または検査された身体ゾーンを含む1つ以上の方法が存在し得る。このようなデータは、キーボード、患者が身に付けているリストバンドを読み取るスキャナ機能などによって入力することができる。本発明の範囲は、患者/身体ゾーンの識別およびこれらの識別の1つ以上の測定との同期を含む方法に限定されるものではない。
【0040】
なお他の実施形態では、デバイスは、携帯電話、ベッド、椅子、またはベッドパッドなどの構造に組み入れることができ、このような構造は、デバイスの使用に無関係な主な機能を有する。簡単に述べると、本発明のデバイスは、様々に構成することができ、本発明の範囲は、本明細書に提示される構成に限定されるものではない。
【0041】
本発明の3つの主な要素、すなわちセンサ、コンパレータ、および治療送達のそれぞれのより詳細な説明を以下に提示する。
【0042】
センサ
本発明の方法を達成するために、1つ以上の適用される治療によって恩恵を受け得る身体部位からの1つの以上の信号を検出できる少なくとも1つのセンサが利用される。このような部位は、創傷の感染もしくは癌の存在などの疾患状態、導入された材料もしくはデバイスに対する反応の結果などの治癒の変化の存在、または、望まれない脂肪組織もしくは皺の存在の結果などの望ましくない身体状態であり得る。したがって、センサの性質は、望ましい生理学的状態の評価を可能にするために様々である。
【0043】
1つ以上のセンサの使用を可能にするために、前記センサは、センサ構造内に配置することができる。センサ構造は、1つ以上の身体部位を含む1つ以上の身体ゾーンから1つ以上の測定値を得ること、すなわち身体ゾーン内の測定された身体部位に対するセンサ信号の送受信を可能にする必要な電気要素、機械要素、およびソフトウエア要素を含み得る。
【0044】
センサ構造は、分析のために1つ以上のコンパレータに前記センサ・データを伝達するための1つ以上の手段、すなわち無線または直接の電気接触によって受け取ったセンサ・データをコンパレータに送信するための1つ以上の手段も含み得る。
【0045】
本発明の特定の実施形態では、個々のセンサおよび/または検出および/または治療構造は全体として、1つ以上の識別子を有することができる。識別子は、故障の場合、リコールの場合、またはセンサのタイプの適切な適用を確実にする場合に、ロットの識別を可能にして個々の患者の要求を満たすために、個々のセンサおよび/または検出および/または治療構造のトラッキングを有利に可能にすることができる。さらに関連する実施形態では、1つ以上のセンサ信号を利用して、識別子の一部またはすべて、および/または識別子および/または信号と共に利用されるデータ暗号化法を作成することができる。識別子のこのような使用を利用して、センサ/治療を患者の診断、デモグラフィック、および/または身体計測の属性にさらにマッチさせることができる。
【0046】
センサには、限定されるものではないが、生理的データ、環境データ、または治療データを得るための光学手段、音響手段、機械的手段、電磁手段、化学手段、または電気手段が含まれ得る。本発明の一般的な形態では、センサは、後に治療を受ける1つ以上の領域の決定を可能にするために1つ以上の特性と相互作用する、または1つ以上の特性を検出することができる。これらの特性には、体の組織、液、または構造に関連した特性、導入された作用物質またはデバイスの特性、このような導入された材料に対する体の応答に関連した特性、望ましくない材料または生物、例えば、細菌、真菌、生物膜に関連した特性、および/または望ましくない材料または生物、および/または環境要素(環境温度、湿度)、および/または人体測定データに対する体の応答に関連した特性が含まれ得る。
【0047】
本発明の好ましい実施形態では、光学センサは、身体ゾーンまたはその一部への光子光の送達を可能にする少なくとも1つの光子エネルギ源、および光子エネルギと身体ゾーンとの相互作用の結果として生じた信号に応答するように構成された対応する光検出器からなり得る。
【0048】
一般的な形態では、光センサと共に使用する光子源は、レンズ、透明構造、または他の手段によって検査された身体部位に伝送される発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、レーザー、プラズマ光源、白熱光源、蛍光源、燐光源、偏光源、フィルタ光源、または周囲光源を含むが、これらの限定されない放射デバイスまたは材料からなり得る。同様に、前記光子源に関連した1つ以上のパラメータの分析用の光検出器は、感光性ダイオード、アバランシェフォトダイオード、またはパラメータの検出および/または定量に関連した1つ以上の光エネルギに応答するのに適した他の感光性構造、例えば、写真フィルムまたはゲルからなり得る。他の実施形態では、光検出器は、必要な周波数に対して固定された、例えば、静止または動的にフィルタリングされたフィルタを利用することができる。加えて、波長フィルタ、導波管、回折格子、増幅器などの構造を検出構造内に組み入れて全体的な光子検出能力を改善することができる。
【0049】
このようなセンサの一形態の例として、OLEDと感染の存在に対する身体反応に関連した血液灌流または組織酸素化の増加などの身体状態の決定を可能にする波長を利用するプリント光検出器とから作られた光学センサが挙げられる。このような実施形態では、センサは、望ましい生物学的パラメータを得るために、多数の光周波数を利用するための複数の光源および光検出器を必要とし得る。このようなセンサは、光散乱または光吸収を感知できるセンサの形態もとり得る。なお他の実施形態では、光学センサは、本発明のデバイスの構造内に直接含められていない1つ以上の周囲光源から生じる照明を用いて、1つ以上の身体部および/または前記身体部位に由来する物質の検査を可能にするようにセンサ構造に配置された1つ以上の電荷結合素子(CCD)または要素からなり得る。
【0050】
一般論として、光子センサは、身体ゾーンの発色団による光の選択された波長の吸収を利用して、1つ以上の身体部の状態の決定を可能にすることができる。このような発色団には、紫外線、可視光線、または赤外線領域のスペクトルで吸収する種が含まれ得る。哺乳動物組織内で自然に発生する公知の発色団には、核酸、ヘモグロビン、ミオグロビン、チトクロム、フラビン、およびニコチンアミド/アデニン含有酵素が含まれる。これらの多くが、ヘモグロビンまたはミオグロビンなどの酸素含有量、またはチトクロムなどのエネルギ状態に関連するため、これらの種の測定は、測定される部位内の組織の状態の有用な洞察を提供し得る。同様に、選択される代謝物、例えば、グルコースは、それらの決定に有用な特定のスペクトル範囲に対するシグネチャ(signatures)を有し、これらの種の相対存在量が、組織部位の状態の決定に役立ち得る。
【0051】
さらに他の形態では、光信号は、身体部位の状態を評価するために、1つ以上の光の波長および光検出器を利用して、1つ以上の生体化合物、導入された材料、化合物、または構造、および/または感染因子の1つ以上の固有の光子的特徴、例えば、蛍光の検出を可能にすることができる。なおさらに他の形態では、センサは、例えば、1つ以上の生理的プロセスによって活性化または刺激される緑色蛍光タンパク質などの遺伝子マーカー系の使用によって、1つ以上の導入された構造、材料、または遺伝子産物の活性化に関連した光子放出を検出することができる。
【0052】
なお他の実施形態では、組織の状態についての有用な情報を、部位内での光吸収または光散乱の間接的な評価によって集めることができる。一例として、導入された光源は、組織成分、例えば、細胞、細胞外タンパク質などによって散乱され得る。これにより、組織部位を通る光の散乱から生じる拡散が起こる。したがって、この散乱の程度が、散乱を生じさせる下層組織の組成をある程度反映する。1つ以上の導入された光源からの、1つ以上の光検出器における光の強度および散乱の範囲の測定により、組織構造についての有用な情報を得ることができる。一般論として、光子源および対応する光子検出器は、1つ以上の生理的パラメータ、例えば、組織酸素化または組織構造の評価を可能にする大量の身体組織を通る光子信号の通過を可能にするために、一般に数mm〜数cmの距離、空間的に分離され得る。しかし、他の間隔および分離、例えば、身体部位を実質的に通る透過も考えられるため、本発明の範囲は、光子源または検出器の任意の1つの距離、サイズ、または間隔に限定されるものではない。
【0053】
1つ以上の光源の身体部位への導入を容易にするために、光源と受け取る組織の境界、例えば、皮膚との間の屈折率の差を減少させる材料からなるゲルまたは他の補助物を用いることができる。このような補助物の使用により、組織内への高効率の光浸透性が得られ、これにより全体的なデバイスの性能が改善される。
【0054】
なお他の実施形態では、1つ以上の構造を、加えられた光子エネルギおよび/または光検出器の感度の較正を可能にするために備えることができる。このような較正機能を達成するための一例、図3は、1つ以上の光源310と光検出器340との間に光導管、例えば、ライトパイプまたは導波管320を提供する。このような実施形態では、放射光312の一部は、構造315内に存在するビームスプリッタ325を用いて部分屈折によって選択的に分離され、ライトバイプ320によって伝送され、身体部位を通過しないで、ミラー構造335によって較正光検出器340に反射され得る。次いで、身体部位305の通過の結果として生じる光信号314が、構造345に結合された光検出器350によって受け取られて分析されるため、身体部位を通過する前の入射光の強度を知ることができる。構造および方法の関連する形態も、光子治療送達の形態で利用されて、1つ以上の身体部位そして測定光検出器350に送達される光の較正を可能にすることができる。
【0055】
本発明の好ましい形態では、多数の光源および光検出器を備えた全体的に可撓性の平坦な構造を有するセンサ構造を利用して、身体ゾーンに渡って光子測定を行うことができる。場合によっては、光学フィルタおよび/または選択波長を利用してこのような測定を容易にすることができる。関連する実施形態では、周囲光または広域スペクトル光源を利用し、これらが、例えば、1つ以上の帯域フィルタまたは高/低カットオフフィルタの使用によって選択的にフィルタリングされ、望ましい波長の送達および/または測定を助けることができる。なお他の場合には、有用な信号を、1つ以上の蛍光剤または燐光剤から得ることができる。
【0056】
本発明の好ましい実施形態では、複数のOLEDが、測定構造の第1の表面上に平坦に設けられる。第1の表面内のセンサの1つの可能な配置の例が、図4に示されている。単一OLED310からの放射光は、前記構造400の第1の表面415から、検査される身体ゾーン420に向かって放射される。複数の光検出器405は、1つ以上の身体部位から反射された光子エネルギが1つ以上の光検出器によって受け取られるように測定構造上に配置されている。これらの好ましい実施形態では、光検出器および光源は、測定構造の第1の表面に実質的に反復配置とすることができる。光源および光検出器が第1の表面に反復パターンで配置されている測定構造の形態を利用することにより、測定構造が重ねられた身体ゾーンに包含される多数の身体部位を容易に測定することができ、各身体部位からの応答が、後にコンパレータによって分析される。
【0057】
センサおよび光源の実質的に平坦な配置を利用する信号の1つの潜在的な喪失の原因が、図5Aに例示されている。図示されているように、1つ以上の光源515は、身体ゾーン500に配置された構造510内の1つ以上の光検出器525に対して既知の近傍にある。光源515から発生する光は、対象の身体部位に実質的に進入または通過518することなく、1つ以上の光検出器に直接伝送520され得る。このような望ましくない光子経路によって生じる信号の喪失および/または信号分析エラーを回避するために、1つ以上の介入構造、例えば、図5Bの不透明な構造530を、光子源と検出器との間に配置することができる。このような構造は、組織に測定構造が当てられたときに、有効な耐光性障壁が、望ましくない光路、例えば、測定される皮膚または組織部位の表面に沿って確立されるように、表面のリッジまたは隆起部からなり得る。このような障壁は、センサ構造の縁に侵入する周囲光または他の光などの測定時の迷光の影響を軽減する利点も有し得る。これらの障壁は、不透明な材料、または望ましくない光路を出た望ましくない光の吸収、案内、もしくは反射を可能にする寸法および組成を有する材料からなり得る。
【0058】
逆に、代替の実施形態では、光源および/または光検出器要素は、第1の表面510が、図5Cの光源(複数可)515と光検出器(複数可)525との間で光が事実上、直接的に移動するのを遮断する役割を果たすように、第1の表面510に僅かな凹部540を設けることができる。このような実施形態では、凹部は、光エネルギの別の有用な案内を提供する、例えば、適切な角度方向の光の波長のみが送られる、または受け取られるように構成することもできる。このような実施形態は、受け取った光子エネルギが望ましい身体部位を通過したことを保障するのに有用であり得る。
【0059】
1つ以上の光源および1つ以上の光検出器の選択的な作動を利用して、様々な光源と検出器との間の望ましくない光子の移動をさらに低減し、そして個々の身体部位のより明確な分析を可能にすることもできる。図6Aに示されているような光検出器間に挟まれた光源のマトリックスを考える。図示されているように、多数の光源615により同時に照明されると、光検出器625で受け取られる光は、1つの身体部位だけではなく身体ゾーン600内の通過したすべての組織の合計を表す。
【0060】
多数の光源の同時照明から生じる1つの分析の上記の複雑さの対策では、光源、例えば、図6Bの615を連続的に作動させて、身体ゾーン600内の選択された身体部位を差動的に照明して、個々の身体部位に関連するより明確な1つの分析を可能にすることができる。また、身体ゾーン600を象徴する明確な光学特性を有する基板に対するこの連続的な差動は、身体に当てられるとき、製造中、または身体に当てられる前にデバイスの光強度、検出器の感度、および間隔のばらつきを較正する方法も提供する。光源の波長/強度および光検出器の感度におけるばらつきは、すべての製造プロセスに付きものである。オフセット/較正因子は、動的に、または製造中に生成して保存し、後の分析に使用するために光の出力、光検出器の感度、およびこれらの要素の相対的な間隔を正規化することができる。
【0061】
すなわち、1つ以上の光検出器625によって同時に受け取られる信号は、特別に作動された光源(複数可)に直接起因するため、光源および検出器の較正に有用であり得、かつ/または複数の光源から同時に生成される信号と比較してパラメータ分析を改善し得る。光源(複数可)の選択的な作動を個々の光検出器によって検出することができ、これにより異なる組織の深さおよび身体部位を光源の選択的作動および/または検出によって検査できるいくらか関連する実施形態も考えられる。測定構造内の広く離隔した光源と検出器の同時作動を含む、様々な構成および作動配置が容易に考えられ、本発明の範囲は、上記の例に限定されるものではない。
【0062】
本発明のデバイスに組み入れられた光子センサの使用例として、赤色光を放射する複数の光源および近赤外線領域の光スペクトルを放射する複数の光源を利用して、組織部位における酸素化ヘモグロビンまたはミオグロビンの量および/または相対的割合を推定することができる。このような測定は、このような部位における炎症の発生の有用な指標であり得る。図7Aは、このような測定を達成するための一実施形態を例示している。図7Aに示されているように、赤色および赤外線発光源の両方を含む光源715と光検出器725は、望ましい深さの組織700の照射を確実にするため、例えば、皮膚下の筋肉などの内層面構造の測定を可能にするために、測定構造710に選択された距離離隔して配置することができる。このような測定の変更形態では、図7Bに示されているように、1つ以上の光源715から選択された距離離隔した複数の光検出器725を利用して、異なる組織相または深さの組織700内の酸素含有量などの有用な生物パラメータ情報を提供することができる。
【0063】
本発明の特定の実施形態では、検出測定の一部またはすべてとして、光子を用いて測定された1つ以上の信号を利用して、身体ゾーン内に含まれる1つ以上の身体部位における1つ以上の生物パラメータの状態を確かめることができる。このような生物パラメータには、限定されるものではないが、組織構造、組織の組成、または組織の健康状態、ならびに細菌、真菌、および/またはこれらの望ましくない微生物の存在に関連した生物膜などの構造を含む1つ以上の病因の存在または非存在に関連した測定値が含まれ得る。
【0064】
他の実施形態では、光子センサの測定は、作用物質、化合物、染料、遺伝子組み換え生体分子およびウイルス、ナノ構造、生体分子(例えば、タンパク質、ポルフィリン、抗生物質、またはホルモン)、あるいは治療から恩恵を受け得る身体部位の分析および識別に役立つ他の物質を利用することができる。一般的な形態では、作用物質は、結合部分および可視化構造からなり得る。結合部分は、特定の生物学的構造、例えば、選択された細菌種の標的化を可能にする抗体などの構造からなり得る。結合部分に取り付けられるものは、量子ドットなどの可視化構造、反射または散乱要素、酵素結合信号の増幅などの可視化を可能にする蛍光染料または構造/分子とすることができる。他の実施形態では、特異的結合部分は、作用物質内に存在せず、測定部位における異なる信号の蓄積は、他の手段、例えば、直接適用、特定の細胞型による選択的な取り込みなどによって達成される。
【0065】
関連する実施形態では、光子識別剤は、後の光子治療で利用される作用物質と同じとすることができる。このような作用物質を利用する測定は、治療薬の濃度を確認して、各部位で観察される作用物質の測定濃度に対する光子治療の差動調整を可能にするために利用することができる。測定プロセスの一部としてのこのような作用物質の完全な活性化を回避するために、低減した強度、短縮、または測定照明の代替の波長などの1つ以上の技術を利用することができる。やや関連する実施形態では、1つ以上のトラッキング染料または材料は、光子治療剤の活性化では低活性であるがトラッキング剤の検出に適した1つ以上の波長の使用によってトラッキング剤が測定されるように、溶液または懸濁液中の望ましい光子治療剤と所定の割合で混合することができる。トラッキング剤の測定から、測定部位における光子治療剤の局所濃度を計算することができる。
【0066】
本発明の方法の一実施形態によると、多段階測定プロセスを、1つ以上の望ましいパラメータに関連した有用なデータを得るために、1つ以上の作用物質の識別の利用に用いることができる。第1の段階として、結合機能を有する作用物質(複数可)を対象の身体ゾーンに全身または局所的(直接的)に供給して、識別結合部分/識別結合剤が標的とする組織、構造、材料、生体材料、および/または微生物との相互作用を可能にする。インキュベーション期間、例えば、数秒、数分、または数時間の後、身体ゾーンに対して、結合しなかった識別剤の選択的な除去の段階を行うことができる、例えば、身体ゾーンを洗浄することができる。この段階を利用して、身体部位内での識別剤の全体のSN比を向上させることができる。次いで、身体ゾーンを照明して、結合部分/結合剤を保持したままの身体部位の可視化および識別を可能にすることができる。
【0067】
単独または上述の光子センサとの組み合わせたセンサの別の形態も、本発明の文脈の範囲内で利用することができる。これらのセンサは、身体部位を通る1つ以上の音波または機械的な波の伝導に基づいた音響センサを含むことができ、様々な測定目的、例えば、望ましくない身体状態に関連した流体および/または組成の変化の検出のために利用することができる。圧力センサなどの機械的センサも同様に利用することができる。例えば、このようなセンサのアレイまたはマトリックスを利用して、疾患の進行および/または環境、例えば、浮腫、腫張、高血圧、または他の望ましくない身体状態によって変化する回復力などの部位の組織特性を検出することができる。電磁センサおよび電気センサは、治療、例えば、腫張や浮腫を軽減する治療の適用から恩恵を受け得る身体部位(複数可)を決定するために、電気インピーダンスまたは周波数、例えば、超広帯域の信号などの1つ以上の加えられる信号の活用を利用することができる。別法では、これらのセンサは、検査される部位の1つの以上の身体信号、例えば、治療から恩恵を受け得る身体状況または身体状態を示す温度または筋電図検査(EMG)信号を受け取ることができる。
【0068】
なお他のセンサは、例えば、分析物、代謝物、または他の生体分子の存在について、体液成分を分析することができ、第1の表面に配列された微小構造が、微量レベルの体液を吸引し、次いでラブ・オン・チップ(lab−on−a−chip)技術を利用してこれらの体液を分析し、これにより任意の1つの部位における分析物のレベルを決定することができる。
【0069】
さらに他の実施形態では、測定構造は、測定される身体ゾーン内の身体部位(複数可)の状態の決定のための多数の種類のセンサを組み入れることができる。このようなセンサの組み合わせの形態、例えば、組織の流体の状態/浮腫の評価を目的とする多数のセンサを利用して、センサ・パラメータ決定のリダンダンシーを可能にすることができる。別法では、1つ以上のセンサの形態を利用して、多数のパラメータ、例えば、部位の血流、温度、および望ましくない細菌の存在を測定することができる。多数のセンサの形態およびセンサの形態の組み合わせも考えられ、本発明の範囲は、本明細書に提示される例に拘束されるものではない。
【0070】
既に述べたように、本発明の好ましい実施形態は、身体ゾーンを各身体部位にマッピングすることができるように格子などの反復した全体的に幾何学的配置の複数のセンサ、例えば、光源および光検出器を含む。一形態では、これは、対象の身体ゾーンに直接的に身体組織に面した複数のセンサを有する測定構造の第1の表面によって達成することができる。このような配向により、測定構造上のセンサの位置と特定のセンサの正反対にある関連する身体部位との間の一致を達成することができる。このような配置は、差動的に治療される様々な身体部位への身体ゾーンのマッピングを容易にする。本発明の他の実施形態では、センサは、格子または他の規則的なパターンに配置しないで、有用な生理学的データを生成するように組織化しても良い。このような実施形態は、身体ゾーン内の1つ以上の身体部位の区別を可能にする、身体ゾーンを通るエネルギの有用な進路を提供するように配置されたセンサ、例えば、身体ゾーンを横断または通過するように信号を送信する末梢センサを有することができる。他の形態では、センサ受信要素またはセンサ送信要素は、他の反復センサ・パターンでは達成されない最適なエネルギおよび決定を可能にするフラクタルまたは他の形状に全体的または部分的にパターン化することができる。
【0071】
例えば、このような一構造の第1の表面の表現が図8に示されている。構造800の本体は、構造800によって覆われたときに身体ゾーンの検査を可能にするように組織化されたセンサ(波長の異なる発光源805および810、温度センサ815、および光検出器812)の配列を含む。また、同じ構造800内の光子治療エネルギ源820も示されている。センサ要素および治療エネルギ源の前記配置は、構造800によって覆われた1つ以上の部位への光子エネルギの標的送達を可能にする。
【0072】
この実施形態の一形態では、センサは、検査されるゾーンにおける血液の存在または血液成分に応答する光学センサ、および検査されるゾーンの表面および表面下の温度に応答する温度センサで構成され得る。例えば、連続的な作動によって前記センサによって測定された測定置およびデータの記録により、下層組織の状態、例えば、治癒、感染、生物膜の存在などの地図を得て、治療の適用から恩恵を受け得る状態に関連した1つ以上のシグネチャを有する部位について検査することができる。一例として、これらのセンサは、炎症に関連した血流の変化が創傷床部位内の感染部位の位置で起こり得るような局所感染を示す状態に応答することができる。同様に、組織の温度は、感染の位置で変更され得る。なお他の実施形態では、1つ以上のセンサ、例えば、生体電気インピーダンスまたは超広帯域レーダーセンサは、局所的な水和の変化または浮腫に関連した1つ以上の変化に応答することができる。したがって、一般的な潜在疾患または身体状態の状況を標的とする多数のセンサの使用によって、身体部位の偽陽性および/または偽陰性の識別の可能性が最小限にされ得る。特定の実施形態では、1つ以上のセンサを、治療送達、例えば、光子エネルギ、電気または電波刺激などにも利用することもできる。
【0073】
センサの活動の一部として、本発明の方法およびデバイスが、身体部位のマッピングの直接の一致に拘束されるものではないことに留意されたい。代替の形態、例えば、生体電気インピーダンス測定を可能にする混合電極を利用して、適用される治療から恩恵を受け得る全身または1つ以上の身体部位の決定のために身体部位の再構築またはマッピングを可能にすることができる。
【0074】
センサ構造のパッチ様形態の1つの有利な使用より、前記身体部位の位置を、基準点としてセンサ配置の構造および位置を用いて正確に定義することができる。すなわち、構造を身体ゾーンに取り付けることにより、識別された身体部位は、後の治療送達のためにデバイス自体の構造の使用によってより正確に位置を決定することができる。本発明の文脈では、取り付けは、ストラップまたは接着剤の使用、またはセンサ測定、分析、および標的治療送達に十分な期間に渡って所定の位置に保持されるハンドヘルドデバイスの使用を含み得る。
【0075】
なお他の実施形態では、1つ以上の基準マーカーを体表または内部に配置して、診断検出データと前の測定置の後の整合および/または治療送達活動と識別された身体部位の後の整合を可能にすることができる。このようなマーカーは、反射インク、RFチップ、または1つ以上のセンサ信号を吸収し、かつ/または反射する受動構造の形態をとり得る。選択された実施形態では、このようなマーカーまたは材料を利用して、1つ以上のセンサ信号を較正することもできる。
【0076】
さらに他の実施形態では、身体の測定値、測定基準、およびランドマークを利用して、識別された部位と適用される治療の適合および識別された部位の正確な標的化を可能にすることができる。
【0077】
基準マーカーおよび/またはランドマークのこのような使用は、1つ以上のセンサが、治療から恩恵を受け得る1つ以上の身体部位の識別を可能にするために身体ゾーンの上を移動される実施形態で有利に利用することができる。図9は、デバイスの形態がハンドヘルドワンドである1つのこのような概念的デバイスを示している。図示されているように、センサ910および光子エネルギ源915を有するセンサ・チップ905がデバイス本体900に配置されている。また、構造の使用を可能にする作動および/またはオン/オフスイッチ925、および治療から恩恵を受け得る身体部位の存在を示す警報灯920も示している。使用の一形態では、構造は、対象の身体ゾーンを横切ることができる。身体部位の検出に応答して、センサ・チップの位置を1つ以上の基準点に対して記録することができ、かつ/または警報灯920を作動させることができる。
【0078】
本発明のさらに他の形態では、さらなる構造または特徴を第1の表面に組み入れて、本発明のデバイスのさらなる機能を可能にすることができる。このような一実施形態は、本質的に平坦なデバイス1000の断面図を表す図10に示されている。図示されているように、第1の表面1010は、この第1の表面の身体ゾーンへの接着を可能にするために周辺に配置された接着剤1020を有する。光子要素(発光源および光検出器)は、構造1030によって示されている。また、電子制御、通信、およびコンパレータ活動を提供する電子回路層1040も示されている。本発明によるモニター/治療送達システムとして使用するのに加えて、包帯としての機能を可能にするために、吸収材1060が、全デバイス1000内に含められ、カバー1070によって覆われている。創傷滲出物の吸収を可能にするために、ウィッキング構造1050が、光子要素間に配置され、第1の表面の部位から第1の表面1010および電子回路層1040を経た吸収材1060への創傷滲出物の移送を可能にしている。このようなウィッキング構造は、流体の毛細管輸送を可能にすることができる材料からなり得る。代替の実施形態では、これらのウィッキング構造は、能動ポンプ、例えば、指向性の流体の蠕動運動を可能にする電気活性ポリマーと整列したビアとすることができる。
【0079】
さらに他の実施形態では、第1の表面およびセンサは、さらなる医療用途、例えば、プロテーゼの取り付けを可能にする構造内に組み入れることができる。なお他の実施形態では、身体ゾーン上で空間的に分離された2つ以上のセンサを利用して、これらのセンサ間の生理的パラメータの一時的な測定を可能にすることができる。このような一時的な測定は、血圧波の伝達または神経信号の伝達を含むことができるため、神経伝達信号における手根管症候群などの測定に直接関連した、または心収縮動作などの測定に間接的に関連した1つ以上の生理学的状態の測定を可能にする。
【0080】
本発明のセンサのさらなる形態および構造も本発明の範囲内で考えられ、本発明は、本明細書に提示される例に限定されるものではない。
【0081】
コンパレータ
コンパレータは、検査される身体ゾーン内の治療から恩恵を受け得る1つ以上の身体部位に関連した1つ以上の信号を識別するために1つ以上のセンサから受け取ったデータおよび/または保存された前の測定データ、および/または較正データ、および/または入力デモグラフィック、身体測定および/または他の臨床データを分析し、次いで、このデータ/分析を主治医に提供し、かつ/または1つ以上の治療送達構造に直接提供する。これらの機能を可能にするために、コンパレータは、1つ以上の信号処理ユニット、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のデータ記憶素子、1つ以上の電源、および1つ以上の表示および/または通信手段からなり得る。また、コンパレータおよび/またはコンパレータの個々の要素は、1つ以上の検出構造および/または治療送達構造を用いたコンパレータの活動およびこのような活動の座標のトラッキングを可能にする識別子も有し得る。好ましい実施形態では、コンパレータは、単一の全体構造の一部としてセンサ構造と実質的に同じ場所に位置し、センサ構造の1つ以上の要素、例えば、電源、制御プロセッサ、またはメモリを利用してコンパレータの活動を可能にすることができる。
【0082】
本発明の方法によるコンパレータの形態および活動は、多数の形態または実施形態をとり得る。例えば、一実施形態では、コンパレータは、測定された身体部位のセンサ測定置を直接表示することができる。好ましい実施形態では、図11に例示されているように、コンパレータの活動は、多数の機能および活動で構成され得る。図示されているように、第1の機能は、身体部位に対応する1つ以上のセンサからのデータを、予め決定された値、傾向、または変化率と比較して、潜在期に治療介入から恩恵を受ける検査される身体部位の分類を可能にするように、このデータの信号分析を行うこととであり得る。コンパレータの第2の機能は、部位が識別されているため前記識別された部位の位置を記録することであり得、コンパレータの第3の機能は、1つ以上の部位が検出され位置が特定されたことをデバイスの使用者に知らせるために1つ以上の通知方法を提供することであり得る。コンパレータの第4の機能は、部位内で識別された状態の範囲を定量して、送達された治療の可能な滴定または調整を可能にすることであり得る。コンパレータの第5の機能は、1つ以上の治療の1つ以上の識別された部位への標的送達を可能にするデバイスの治療送達構成要素に命令を提供することであり得る。これらの各機能は、以下に詳細に記載されるが、本発明の文脈の範囲内で、他のコンパレータの機能、活動、および機能のオーダーも考えられ、本発明は、本明細書に提示される機能または機能のオーダーに限定されるものではない。
【0083】
信号識別機能
コンパレータの1つの機能は、測定されたセンサ・データを用いた、治療から恩恵を受け得る身体部位の識別である。コンパレータの信号の識別は、生のセンサ信号データまたは受け取った信号データの数学的変換を利用することができる。このような変換は、光子治療剤の濃度を示す蛍光信号用の光学センサと組み合わせた、1つ以上のパラメータを測定する1つ以上のセンサ、例えば、炎症に関連した身体部位の温度の測定用の温度センサから得られるデータの使用を含め、1つ以上のセンサからの1つ以上のデータセットの組み合わせの使用を含み得る。加えて、身体部位の識別は、追加の入力、または治療から恩恵を受け得る身体部位を示す他の方法で提供される情報を利用することができる。このような追加の入力は、例えば、臨床医による直接入力から、または同じ状態および/または治療の必要性を有する他の個体からの傾向、前の測定置、および/またはデータ分析を提供する1つ以上の外部データベースからとすることができる。このような追加のデータには、限定されるものではないが、デモグラフィックデータ、身体測定データ、環境データ、イメージ、併存疾患、または他の処置データが含まれ得る。
【0084】
特定の実施形態では、本発明のデバイス上に位置していない1つ以上のセンサから生じる追加の信号を、識別を達成するためにコンパレータの活動に含めることができる。このような追加の信号には、心拍数、中隔体温、活動レベルなどが含まれ得る。さらに他の実施形態では、追加の因子またはデータをコンパレータに入力して決定を可能にすることができる。このような追加の因子には、年齢、体重、身長、性別などの身体測定データ、疾患の種類、併存疾患、疾患のステージ、または関連する集団からのフィードバックを提供する集団/群に基づいたデータなどの臨床データが含まれ得る。
【0085】
なお他の実施形態では、コンパレータは、身体部をさらに定義するために身体ゾーンの応答および/またはセンサ・データの経時的傾向を学習または比較することができる。関連する実施形態では、信号データの1つ以上の側面を利用して信号データを修正または補正する。このような補正には、センサの性能の経時変化についての補正、反復使用でのデバイスの誤配置の誤差についての補正、および運動または歩行ノイズについての補正が含まれ得る。これらの補正の形態には、限定されるものではないが、信号の平均化、信号値の正規化、範囲外のセンサ・データのフィルタリングまたは廃棄、および/または測定されるセンサおよび/またはパラメータの既知の正確さに対する信号値の大きさに基づいた信号データの重み付けが含まれ得る。
【0086】
さらに他の実施形態では、身体ゾーン内の1つ以上の部位および/または識別されたセクションを、1つ以上の身体部位から得られる測定置の補正における内部基準として利用することができる。例えば、創傷部位に対する検出/コンパレータ構造の取り付けの前に、臨床医は、創傷の外部が、外見は正常であるが、創傷内部が重度の炎症として分類され得ることに留意するべきであろう。このような主観評価は、スケール、例えば、スコア1=正常;10=重度の炎症である数値スケールに変換することができる。このようなスケールは、既存の分類法に基づいても良いし、個々の患者の状態により良く適合するように新規に作成しても良い。次いで、臨床医は、本発明のシステムがこの較正に基づいて他の身体部位を自動的にスコア計算できるように、これらの確認された組織基準に一致する部位を識別して、これらの部位に関連したスコアをコンパレータに提供する。関連する実施形態では、1つ以上の較正基準、材料、またはデバイスを、センサ測定置の較正に利用できるように、測定されるゾーン内に配置することができる。
【0087】
信号が、治療から恩恵を受ける部位を表すか否かの決定では、設定範囲、カットオフ点、および/または1つ以上の治療に対する関係を有する表または他の形態の組織化データを使用することができる。このような範囲および関係は、自動的に利用可能/設定としても良いし、または主治医などが入力しても良い。これらの表は、恩恵を受け得ない身体部位と比較して恩恵を受け得る身体部を示す信号の判別を可能にして、前記身体部位の位置を決定しやすくすることができる。これらの表および/または式は、生理学的結果に対するこれらのセンサ機能を用いた経験的観察によって予め確立することができる。加えて、このような決定は、このような治療の相対的要求または範囲、および適用される治療の形態(複数可)も示し得る。次いで、例えば、血流または温度の測定置などのセンサ測定値によって明らかにされた高度の炎症の決定は、それ自体自動的に評価することができ、その結果が、より軽い治療と比較してこの特定の部位の後の治療処置の一部として推奨または開始される光子治療に加えて抗炎症剤投与などの治療の識別に使用される。加えて、他の因子、例えば、患者の年齢、性別、併存疾患、アレルギー、一般的な健康状態、利用可能な治療薬、身体ゾーンの位置などを、識別された部位に適用される治療の推奨に含めることができる。
【0088】
位置決定およびマッピング機能
コンパレータの次の機能は、より広くスキャンされた、またはイメージングされた身体ゾーン内の1つ以上の身体部位の位置の決定を可能にし、これにより治療が、これらの部位を具体的に標的にする。この機能は、広い身体ゾーン内の治療から恩恵を受け得る身体部位の座標またはマッピングによるこのような部位の上述の識別に関連している。好ましい実施形態では、身体ゾーンは、マトリックス内に反復された最も小さいセンサ・ユニットを利用するセンサ・アレイ・マトリックス・デザインに基づいてセクション、例えば、個々に測定される身体部に自動的に分割される。次いで、身体ゾーン内の各セクションが、測定された状態についての個々のコンパレータの評価を受け取ることができ、治療の必要性および/または推奨される治療が割り当てられる。他の実施形態では、測定される部位は、固定された格子または位置としてではなく、適用される治療の程度、範囲、および種類を表す通常領域として表される。
【0089】
他の実施形態では、身体ゾーン内の部位は、コンパレータによる自動調整によって自動的に作成することができる。例えば、部位は、重複センサ測定値の分析によって定義して、治療から恩恵を受け得る測定されるゾーン内の部位の複合的な決定を作成することができる。このような部位は、センサのいずれか一形態の構造またはパターンを反映しないで、代わりに多数のセンサ値および/または入力の加算決定(sum determination)を反映することができる。
【0090】
なお他の実施形態では、身体ゾーン内の1つ以上の部位を、正常として識別することができ、次いでこれをコンパレータが使用して、身体ゾーン内の他の部位と比較して1つ以上のこれらの他の部位を正常、または治療から恩恵を受け得る部位と定義することができる。このような正常部位は、入力された値、入力されたコマンドによって、または設定値もしくは集団アルゴリズムおよび/または身体位置に基づいた決定を利用するコンパレータ活動によって正常として識別することができる。
【0091】
さらに他の実施形態では、治療から恩恵を受け得る身体部位の位置の決定は、センサ構造から得られるトラッキングデータまたは動作データを利用することができる。このようなデータの使用は、センサ構造がワンドまたは他の可動構造である本発明の形態で特に有利であろう。なお他の実施形態では、位置の一致は、本質的に一時的であり、信号伝達機構に直接リンクして、治療から恩恵を受け得る身体部位に対する1つ以上のセンサの位置を示すことができる。
【0092】
したがって、位置決定機能は、センサ構造の構造に関連した格子または他の座標マッピング表を含むことができる。別法では、このマッピングは、測定される身体ゾーンまたは身体ゾーンを構成する部位に関連する寸法、構造、または他の側面を基準にすることができる。関連する実施形態では、この機能は、導入された、または天然に存在するロケーターまたは基準マークを利用して、治療から恩恵を受け得る身体部位を示す1つ以上の信号に方向を与えることができる。次いで、これらの識別された部位および対応するセンサ・データの相対位置ならびに可能な推奨される治療/治療の程度を、後の警報、表示、および/または治療活動のためにコンパレータに保存することができる。
【0093】
警報および通知機能
コンパレータの次の機能として、警報、ノイズ、もしくは他の形態の通知を発し、または表示して、コンパレータが、測定されたセンサ・データを評価して、可能な治療処置のために関連した身体部位を利用できること、例えば、センサの測定が正常(または異常)に終了し、かつ/または治療から恩恵を受け得る1つ以上の部位を識別されたことを示すことができる。このような警報または通知は、本発明のデバイスの自動使用に関連した形態を含む多数の形態をとり得る。他の実施形態では、警報は、ワンドなどの可動構造からなるセンサ構造の使用中に提供される、身体部位に関連した代表的な信号とすることができる。本発明の代替の形態では、警報は、身体ゾーンの周期的または連続的なモニタリングの際に測定される状態の変化から起こる、臨床医に対する事象型の通知からなり得る。
【0094】
警報の形態には、フラッシュライト、聴覚信号、またはデバイスのトーンもしくは振動が含まれ得る。本発明の代替の形態では、警報/通知は、治療から恩恵を受けるとして識別された1つ以上の身体部位を示す身体ゾーンの表示または視覚地図上に表される警報の形態をとる。可動センサを利用する本発明の特定の実施形態では、センサ構造は、身体ゾーン上を繰り返し通過するため、治療処置から潜在的に恩恵を受けるとして識別された1つ以上の身体部位に遭遇すると、点滅光または他の形態の通知などの警報を出すことができる。
【0095】
本発明のなお他の形態では、警報を、例えば、無線接続によって1つ以上の遠隔データレシーバーに送信して、治療処置から恩恵を受け得る身体部位の存在を臨床医または他の第3者への通知を可能にすることができる。このような通知には、1つ以上の識別された身体部位に適用される治療の比較形態も含まれ得る。
【0096】
治療評価機能
コンパレータの次の機能として、身体ゾーン内の個々の身体部位に送達される治療(複数可)の評価を、それぞれの身体部位に対する後の治療の適用に使用するためにコンパイルすることができる。加えて、適用される治療は、場合によってはこれらの部位に対して最適化することができる。このような最適化には、2つ以上の近接する身体部位に対して治療のスムーズな移行が行われるように前記治療を受ける身体部位の空間配置に基づいた治療送達の補間、例えば、光子の強度または期間が含まれ得る。例えば、2つの近接する身体部位が評価されて、1つが強い光子治療が必要であり、もう1つが治療を必要ないと決定される状況を考えてみる。このような場合は、強い治療を必要とする部位が、推奨される治療を十分に受けるようにするために、近接部位が、1つの部位から別の部位への以降から生じる周辺効果(光子強度の低下)による治療送達の効果のあらゆる低下を補償するために治療の一部を受け得る。別法では、このような最適化は、設定規則または外部ガイダンスを利用して治療を調整し、すべての治療目的に適応することができる。このような外部ガイダンスは、外部機関、集団ベースの応答に基づいた自動最適治療などによるこのような部位に対する現行の臨床診療の決定に関与する可能性のある入力のために、1つ以上の遠隔データ管理システムを用いた無線通信を含み得る。
【0097】
本発明の特定の実施形態では、このようなコンパイルは、1つ以上のセンサから受け取る1つ以上のデータセットの線形表現とすることができる。他の実施形態では、このようなコンパイルは、恩恵を受けない対応する身体部位に対する比較、例えば、比較データセットの百分率またはレシオメトリック表現として表すことができる。関連する実施形態では、コンパイルは、多数の時点で測定される複数の測定置に関与する時間経過による傾向分析を含み得る。なお他の実施形態では、このような定量は、身体部位領域の決定および時間経過による身体部位の変化を含み得る。定量された信号のこのような表現は、治療の開始前に発生するか、または治療を受ける1つ以上の身体部位または身体ゾーンのプロジェクト応答を反映すると予想される予測値または推定値を含み得る。
【0098】
表示および通信機能
コンパレータの次の機能は、測定される身体部位の状況についての情報および後に得られる情報を患者、臨床医、および/または1つ以上の治療構造に提供することであり得る。特定の実施形態では、前記情報には、投与される可能性のある治療についての情報および/または1つ以上の身体部位に対する治療計画、例えば、適用期間、頻度、および/または強度も含まれ得る。
【0099】
測定される身体ゾーン内の1つ以上の部位(複数可)の測定データおよび/または定量の表示の一形態として、第1の表面上に平坦な測定構造を有する本発明の実施形態は、第2の表面に取り付けられた平坦な表示を有することができる。このような形態では、第2の表面上の表示は、複数のセンサ要素、例えば、OLEDなどのプリント可能な光子エネルギ源と対応する光検出器のマトリックスを有する第1の表面を利用して測定される身体部位に対する直接的な一致を有し得る。このような平坦な制御可能な表示は、コンパレータの表示制御回路によって制御される視覚表示要素、例えば、OLED表示イメージの利用によって達成することができる。このような表示のこのような一形態は、下側の身体部位の測定された状態/イメージおよび/または各部位に関連した数値または提案される治療を表示する別個の要素のマトリックスの形態とすることができる。プリントOLED光子源および光検出器ならびにセンサおよび表示回路用の最適なプリント回路要素、例えば、トランジスターの有利な使用により、第1の表面と第2の表面との間の最少の厚みの表示を備えた全体的に平坦で可撓性の測定/コンパレータを使用可能にすることができる。
【0100】
選択された実施形態では、前記第2の表面の表示は、例えば、2、3分の期間の表示機能をターンオンする作動システムからの信号の受信、例えば、エネルギの有線または無線送信まで作動することができない。このような機能は、バッテリ電源の節約に有利であり、有用なプラットフォームの寿命を延長することができる。本発明の他の形態では、表示を作動させる代替手段、例えば、圧力スイッチおよび/または表示のスイッチをオンにする第2の表面上に存在する光の特定の周波数に応答する光作動センサを利用することができる。
【0101】
このような実施形態のさらなる形態では、表示機能および検出機能は、下側の身体ゾーンの「スマートウィンドウ」を含み得、このスマートウィンドウは、センサ/コンパレータ構造によって覆われる組織のイメージ表現を提供する。広い身体ゾーンイメージ内の部位の状態に関するさらなる詳細を、このような表現イメージに含めることができる。このような詳細は、光子治療から恩恵を受け得る組織部位の強調、様々な身体部位の状態を示すデータの数値のオーバーレイ、または前の状態、従って経時的な組織の状態を表すイメージの表示を含み得る。なお他の実施形態では、このような「スマートウィンドウ」は、1つ以上の遠隔データ管理システムからコンパレータへの1つ以上の通信から、個々の身体部位および/または生理学的状態全般に対する診断アドバイス、治療の推奨などを受け取り、表示することもできる。好ましい実施形態では、このような通信は、遠隔通信を可能にするために、コンパレータ構造が電線または他のこのような構造によって邪魔されないままであるように、無線手段によって行うことができる。
【0102】
さらなる実施形態として、第2の表面の表示は、さらなるデバイス機能または測定された部位の情報、例えば、イメージが表示の1つ以上の部位で視認できるように、1つ以上のタッチセンサ部位、例えば、プリント容量性素子を含み得る。次いで、このような場合、多数の部位が示された表示は、目的の表示された部位(複数可)のタッチ動作に基づいて1つ以上の部位のより詳細な表示、例えば、ズームイメージ機能を可能にすることができる。関連する実施形態では、このようなタッチセンサ素子は、1つ以上の識別された身体部位における治療処置を開始するために利用することもできる。
【0103】
コンパレータ分析の治療送達構造に対する通信は、コンパレータと治療送達構造との間の直接リンクによって行うことができる。このような通信は、センサ、コンパレータ、および治療構造が1つの全体構造内に物理的に含められているデバイスの実施形態で容易に構想される。他の代替の実施形態では、通信は、1つ以上の有線または無線送信、例えば、電磁送信、音波送信、または光学信号送信による無線によって行うことができる。このような実施形態では、多数の形態のセンサを、1つ以上の部位に有益な治療の送達を提供するために、1つ以上のコンパレータによる多数の形態の治療送達構造と共に利用することができる。
【0104】
様々な形態のコンパレータ、表示、およびデータ通信が可能であり、本発明は、本明細書に提示されるコンパレータの例および機能および/または一連の機能に拘束されるものではない。
【0105】
治療
治療から恩恵を受け得る1つ以上の身体部位の識別および位置に関するコンパレータからの情報または指示を受け取ると、治療構造は、1つ以上の治療を1つ以上の識別された身体部位に送達することができる。本発明の一般的な形態では、1つ以上の治療は、コンパレータの分析に基づいて1つ以上の身体部位に合わせて調整することができる。このような調整には、アドレス指定される部位、送達される治療の種類、量、およびパターン、ならびに治療期間が含まれ得る。本発明のさらなる実施形態では、測定される身体部位は、各部位に対する個々の治療がより容易に割り当てられて効果をトラッキングできるように、各部位に関連した個々の識別子を有することができる。このような識別子は、前記部位の測定されたセンサ・データに部分的に基づくことができる。
【0106】
治療送達は、コンパレータからの命令の受け取り時、または臨床医もしくは他の操作者によるコマンド/動作時に自動的に開始することができる。本発明の好ましい実施形態では、治療送達構造は、単一の全体構造の一部としてセンサ構造およびコンパレータと実質的に同じ位置にあり、治療送達活動を可能にするために、センサ構造/コンパレータの1つ以上の要素、例えば、センサ・エネルギ送達源、回路電源、制御プロセッサ、またはメモリを利用することができる。
【0107】
本発明の様々な実施形態では、治療送達身体部位および/または治療活動は、臨床医による入力、および/または他の診断および/または治療システムからの入力によって調整することができる。このような調整には、処置のためにコンパレータによって識別された身体部位領域の拡大または縮小、および患者の特定の要求に良好に対処するため、例えば、併存疾患または他の身体障害に対処するための治療パラダイムの変更が含まれ得る。別の場合には、治療構造によって送達される治療は、本発明のシステムの一部ではない治療の他の形態によって補完することができる。このような補完的な治療は、送達される作用物質、薬物、栄養変化(nutrition change)、または他の治療エネルギ、例えば、放射線処置の形態をとることができ、これらのさらなる治療の範囲は、本明細書で述べられた例に限定されるものではない。
【0108】
なお他の実施形態では、多数の光子エネルギは、「2光子」プロセスまたは作動を可能にするために同時に送達することができる。本発明のさらに好ましい実施形態として、前記光子エネルギは、1つ以上の導入された光反応種と相互作用し、こうすることで治療活動を開始する。このような好ましい実施形態では、この光反応治療種は、1つ以上の特定の波長(複数可)の治療用光エネルギで照射されるまで実質的に不活性であり得る。このような実施形態では、検出活動および後のコンパレータの活動は、1つ以上の身体部位における送達された光反応種の量子化、および測定構造によって識別される光反応種の量に対して送達される後の治療用光子エネルギの調整に少なくとも部分的に関与し得る。
【0109】
光子治療の目的に利用される光反応種は、紫外線エネルギ、可視光線エネルギ、または赤外線エネルギを含む光子エネルギに応答する1つ以上の作用物質から選択することができる。このような作用物質には、限定されるものではないが、有機染料、ポルフィリン、ナノ構造、または有機金属化合物からなる光増感剤などの分子が含まれる。本発明のさらなる延長として、光増感剤は、例えば、特定の細胞型の標的化を可能にする抗体などの結合部分の使用によって、または光反応種に結合して1つ以上の外部濃縮方法を可能にする磁気ナノビーズなどの構造の使用によって、身体部位および/または治療対象の細胞型もしくは構造における増強または濃縮を可能にする1つ以上の方法を含み得る。ポリカチオンなどの荷電種を利用して、反対の電荷の細胞構造との相互作用をしやすくすることもできる。標的光増感剤のこのような一形態は、追加の化学部分が光反応性ポルフィリン種に付着して光増感剤の濃縮または望ましい細胞構造への局在化を促進する陽イオン性プロトポルフィリンである。全体として、濃縮方法は、領域を光増感剤の標的にして必要な光反応種の全体の量を実質的に削減することによって有利であることを証明することができる。
【0110】
特定の実施形態のさらなる改善として、1つ以上の光反応種、例えば、光増感剤を、注射もしくは経口摂取などの全身方法、またはクリーム、スプレー、もしくはゲルなどの識別された身体部位への選択的な付着などの局所方法によって送達することができる。このような方法は、身体ゾーン全般に光反応種の送達を可能にすることもでき、本発明の方法およびシステムによって、1つ以上の部位への適用を厳密に制御する必要なく、光子ベースの治療のためにこのゾーン内の身体部位を選択的に標的にする。本発明のさらに他の形態では、光増感剤を、カテーテルまたはインプラントなどの医療デバイスに関連した治療構造の表面に組み入れることができる。光でも他の手段でも選択的に作動されると、光増感剤は、1つ以上の標的身体部位に放出され、本発明のデバイスに関連した1つ以上の光学手段によって作動され得る。このような放出は、活性化されると促進され、例えば、治療薬の大量放出をもたらす溶出材料または構造からの受動的な基礎的な放出を効果的に利用する治療送達も含み得る。
【0111】
本発明の最適な形態では、光反応種の送達を、治療用光子エネルギの送達と直接一緒にすることができる。このような一緒の送達は、比較的短い時間、例えば、数分または数秒以内で終了できるため、光反応種が望ましい身体部位に比較的局在化されたままである。別法では、光反応種の送達を、光子エネルギの送達よりも一定時間、先にして、広い組織領域に渡る光反応種の拡散を可能にし、そして1つ以上の身体部位および/または細胞型、組織、または生物膜などの生物学的構造内で濃縮することも可能である。なお他の実施形態では、光活性化は、本質的に事実上拍動性であり得、これにより処置部位の栄養素および/または酸素などの要素の維持に必要な補充が容易に可能となる。説明として、遊離酸素は、照射時に光増感剤によって一重項酸素などの活性種に変換され得るため、標的部位における酸素濃度が時間と共に枯渇し得る。光エネルギの拍動性送達によって周囲部位または領域から標的部位に酸素が拡散する時間を可能にすることが、活性酸素種形成の最大効率の維持に役立つ。光増感剤などの光反応種を利用する本発明のなお他の変更形態では、抗生物質または局所麻酔剤などの1つ以上の作用物質を光子治療と共に、識別された標的部位に投与または送達することができるため、併用処置計画の相乗作用による治療の改善がもたらされる、または反応種、例えば、一重項酸素の形成から起きる不快感が最小化される可能性がある。
【0112】
本発明のなお他の形態では、光反応種を、実質的に光送達の前に送達することができる。本発明のなお他の形態では、光反応種は、1つ以上の身体部位に導入される構造またはアセンブリ、例えば、照射時に薬物または作用物質を放出できるステントまたはインプラント上の光反応性ポリマーまたは被覆の一部とすることができる。
【0113】
本発明の他の形態では、光子エネルギそれ自体が、1つ以上の適用された光反応種、例えば、光増感剤を必要とすることなく、望ましい光治療を支援する。本発明のこのような形態は、特定の光の波長、例えば、紫外線とデオキシリボ核酸などの様々な身体構造との選択的な相互作用を利用することができるため、望ましくない細胞機能または細胞活動が喪失することになる。代替の形態では、光子相互作用、例えば、赤色または近赤外線照射は、細胞活動および代謝を亢進させ得るため、全体的な組織の治癒が改善され得る。なお他の形態では、光エネルギ、例えば、赤外線は、他の形態のエネルギ、例えば、熱エネルギに変換され得るため、このような加温から生じる局所血管拡張の増大によって対象の身体部位に治療が提供される。後者のエネルギの形態の変更形態では、このような熱エネルギを利用して、例えば、限定された加熱での反復的な加熱/冷却サイクルによって標的細胞のアポトーシスの誘導によって対象ではない細胞型または部位に大きな熱損傷を与えることなく細胞成分を選択的に破壊することができる。このような選択的な標的化は、身体部位の選択的なリモデリング、例えば、皺の除去、粘膜組織の再生、脂肪組織の除去、および術後瘢痕の修正、例えば、瘢痕組織形成の緩和に有用であり得る。
【0114】
本発明のなお他の実施形態では、光子治療は、1つ以上の光解離性構造、分子、またはポリマーの中に取り込まれる、結合される、または他の方法で取り付けられる1つ以上の治療用非光反応種、化合物、または作用物質の放出を開始する。このような材料は、照射が光解離性結合を破壊し、結果として1つ以上の治療薬が放出される光反応連結の形態をとり得る。本発明の代替の形態では、光照射は、光電池または他の光応答性要素の活性化によって1つ以上の治療薬の放出を開始することができ、これにより治療薬が直接的または間接的に放出され得る。
【0115】
やや関連する実施形態では、1つ以上の標的治療エネルギ、例えば、光子エネルギまたは電磁エネルギを利用して、1つ以上の身体部位内の自然に存在する物質または導入された物質のリモデリングまたは物理的寸法の変更を行うことができる。このようなリモデリングは、皺の除去のための赤外線領域の1つ以上の光子エネルギによる皮膚のリモデリング、またはインプラントの一部を構成する光解離性ポリマーもしくは他の光解離性材料と相互作用する光子エネルギの適用によって寸法または形状の変化を可能にすることによる植え込まれたプロテーゼのリモデリングなどの様々な条件に望ましいであろう。
【0116】
本発明のなお他の形態では、1つ以上の治療薬が、治療構造上に配置された貯蔵手段から放出され得、1つ以上の選択された身体部位への選択的な送達によって標的化することができる。このような治療薬には、医療価値または酵素剤/遺伝子治療物質を有することが示されている抗生物質、治療化合物、ナノ構造、蜂蜜またはティーツリー油などの天然に存在する物質が含まれ得る。貯蔵手段には、ポンピング構造および/または弁構造を有する1つ以上の容器構造、またはコマンド時に望ましい作用物質を選択的に放出することを可能にする構造、ポリマー、もしくは他のデバイス内への封入が含まれ得る。
【0117】
なお他の実施形態では、治療は、測定された身体ゾーン内の組織または器官を非直接的に標的にすることができる。このような場合、このような標的化は、1つ以上の身体部位で望ましい治療作用をもたらす1つ以上の身体反応、例えば、ホルモン放出、神経刺激などを引き起こし得る。
【0118】
一般に、センサ構造、コンパレータ、および/または治療送達構造に関連した識別子を利用することができる。数ある利点の中で特に、このような識別子は、デバイスの構成要素の活動のトラッキングを可能にし、治療された個体に対する構成要素の活動のロギングを可能にするであろう。加えて、本発明の多数の可能な実施形態も考えられ、本発明の範囲は、本明細書に提示される実施形態に限定されるものではない。
【0119】
使用例
本発明は、様々な使用および適用例に利用することができる。これらの適用例には、皮膚および/または他の外面、例えば、口腔粘膜に配置されるデバイスまたはデバイスの一部としての使用が含まれ得る。別法では、これらのデバイスは、標的化された組織部位、医療デバイス、または身体器官の表面またはその近傍に植え込むことができる。
【0120】
以下の例は、本発明の方法およびデバイスを有利に利用できる適用例の範囲の一般的な指標として役立たせることを目的とする。
【0121】
歯周病:歯周病の発症は、正常な組織構造の炎症および他の破壊に関連する場合が多い。一形態では、本発明のデバイスは、光増感剤で口をすすいだ後に取り付けられ得るマウスガードに類似させることができ、図12に示されている。ある使用では、センサ1210および1220を備えたデバイス1205は、口腔、歯茎、または歯の少なくとも一部を検査することができる。1つ以上の病変、組織傷害、感染、または炎症を検出すると、光子エネルギの標的送達を、光源1215によって病変、傷害、感染などの部位に行って、これにより近接部位が光増感剤活性の考えられる悪影響が及ばないようにする。さらなる実施形態では、デバイスは、周期的、例えば、1日に2回使用して、病変、傷害、感染などを自動的にトラッキングし、治療し、臨床医による患者の状態の遠隔評価を可能にすることができる。なお他の実施形態では、本発明のデバイスは、歯軋りガード内に組み入れて、夜に使用することができる。
【0122】
創傷:多くの形態の創傷は、促進治癒、ならびに併存疾患、組織の機能不全、および/または感染によって引き起こされる中断された治癒の自動検出および治療処置の両方から恩恵を受け得る。創傷のなお他の形態は、先制的戦略、例えば、圧迫潰瘍または褥瘡の完全な出現の前の処置から恩恵を受け得る。本発明の一実施形態では、治療治癒は、例えば、細胞のエネルギ生産の促進を支援する1つ以上の治療光源の送達によって達成することができる。加えて、デバイスは、細菌または他の感染体の低減に適した光子エネルギを送達することもできる。このような光子治療は、1つ以上の光源の使用によって直接達成しても良いし、または望ましくない感染および/または身体反応、例えば、瘢痕組織形成の破壊を促進するために1つ以上の光源と共に1つ以上の光増感剤を使用して達成しても良い。
【0123】
生物膜:生物膜はすべての感染症の90%に関係していると、NIHは考えている。生物膜は、耳の感染、歯周病、膣炎などの疾患の状態に関係し得る。本発明の一形態では、1つ以上の光エネルギを1つ以上の光増感剤の使用と共に利用して、生物膜基質の崩壊および加担する細菌および/または真菌感染の破壊を可能にすることができる。このような実施形態では、光子治療の蠕動送達を利用して、遊離酸素を活性酸素に変換して光子治療の効果を高める光増感剤による酸素の枯渇後のより有利な酸素の補充を可能にすることができる。さらに他の実施形態では、光子治療は、他の治療、例えば、治療反応の一部として、超音波処置による生物膜の洗浄または機械的破壊と連携させることができる。
【0124】
水虫:光増感剤を用いる、または用いない光子治療の使用は、水虫菌および関連する状態の処置に利用することができる。このような場合、センサは、疾患の存在に関連した化学種、液体、または気層の存在、例えば、臭い、pHの変化などを検出して、これを治療送達と合わせる能力を有し得る。一実施形態では、本発明のデバイスは、先端部がセンサおよび光子治療送達手段の両方を含むワンドの形態である。このような実施形態では、感染部位を検出すると、コンパレータが、警報として光をフラッシュさせることができ、このフラッシュの時に光子治療が自動的に送達され得る。変更形態では、デバイスが、感染の存在を示す光をフラッシュさせることができ、使用者が作動ボタンを押して応答して光子治療を開始させることができる。
【0125】
爪真菌症/疾患:真菌感染症などの爪疾患は、典型的には、変色および爪の異常な成長を引き起こす。したがって、本発明の一形態では、センサは、反射される光源を利用して、感染に関連した爪構造自体における形態上または構造の変化および/または下側の変色を決定することができる。治療構造は、ある場合には、罹患した指の端部に装着され、治療構造の再適用によって周期的に利用できる長期処置、例えば、数分の処置を可能にするヒンジ構造の形態をとり得る。本発明の好ましい形態では、光子検出センサは、治療構造およびコンパレータと組み合わせられており、感染した爪の識別および治療期間の開始/終了を示すために1つ以上の表面に簡易インジケーターが設けられている。
【0126】
アクネ:アクネの存在は、機能不全性の正常な皮下の血管新生パターンの形成を引き起こすため、一実施形態では、比較表面の反射を利用して、処置から恩恵を受け得る身体部位を識別することができる。代替の実施形態では、センサは、細菌の濃縮の存在に感受性であり得、細菌によって直接、または細菌の存在に応答した身体によって放出される分泌化学種に応答することができる。一形態では、本発明の全体構造は、センサ、コンパレータ、および治療送達を統合したパッチの構造をとり得る。このような形態では、光増感剤を、パッチを取り付ける前に皮膚に塗布して、健常な皮膚への望ましくない治療を回避しながら、罹患した部位の自動標的化を可能にすることができる。
【0127】
眼疾患:様々な眼疾患は、黄斑変性症を含め、光増感剤治療の使用から恩恵を受けることが知られている。本デバイスのこのような実施では、センサシステムは、治療送達構造から物理的に分離され得るが、コンパレータによって連結することができる。このような一実施形態では、コンパレータは、比較マッピングアルゴリズムの使用によって光子治療から恩恵を受け得る眼の身体部位(例えば、過剰血管新生(hypervascularization))を自動的に識別し、次いで、識別された部位と治療送達が整合したとき、例えば、レーザーなどの治療光源が、適切な眼の位置を標的にする別の光源によって識別されたときに標的光子治療の自動適用を可能にする。
【0128】
耳:「外耳炎」などの疾患は、光子治療から恩恵を受け得る一般的な問題である。一実施形態では、本発明のデバイスは、センサ、コンパレータ、および光子治療送達手段を有する耳栓に近似している。このような実施形態では、センサは、変更された血管構造(炎症)および/または感染に関連した分泌物の存在に応答することができる。状態を処置する治療の一実施形態として、本発明のデバイスは、目的の恩恵を達成するために、光子治療と共に追加の処置、例えば、1つ以上の抗生物質の放出も含む。耳栓デバイスのシリーズは、処置期間に渡る自動トラッキングおよび治療送達を可能にするように規定することができる。処置を必要としない耳、すなわち治癒している場合は、検出機能は、臨床医によりコマンドが設定されていない限り、治療送達を除外することができる。
【0129】
鼻の状態:鼻の状態は、単純な感染症から癌性増殖に及び得る。したがって、利用されるセンサは、炎症の存在を検出できる光学センサから、異常な細胞成長/増殖に関連する細胞の変化に応答する生体電気センサまで様々とすることができる。送達される光子治療は、処置される基礎症状によって異なり得る。ある場合には、処置は、望ましい鼻の部位への身体自体の免疫応答を亢進させる光子エネルギの送達とすることができる。別の場合には、処置は、光子エネルギの標的送達と組み合わせると、意図する異常な成長の停止をもたらす1つ以上の光増感剤を利用することができる。一形態では、鼻系用の本発明のデバイスは、先端部または構造に配置されたセンサおよび治療送達の両方を有するワンドの形態をとることができ、この先端部または構造は、1つ以上の鼻の部位に挿入され、次いで制御ボタンによって作動され、デバイスの作動および動作を示す表示灯(複数可)を有する。
【0130】
上気道感染症:鼻の感染症に頻繁に関連するのは、鼻道を含み得るが、副鼻腔、喉頭、または咽頭も伴い得る上気道感染症である。このような場合、センサを備えたプローブを鼻孔または口に挿入し、場合によっては1つ以上の局所麻酔を使用して、気になる不快感および炎症部位を低減することができる。1つ以上の炎症部位の検出に応答して、1つ以上の治療薬、例えば、抗生物質スプレーを、治療送達ポートまたはノズルから、その場所でその部位に対して迅速に放出させる、またはコマンドで放出させることができる。上気道感染症の検出および処置用に他の形態の処置および/またはセンサも考えられる。
【0131】
尿路感染症:尿路感染症は、酷い不快感をもたらし、腎臓または膀胱の感染症に関連し得る。本発明の一形態では、センサを、身体の外面の膀胱または腎臓に配置されるパッチ様構造内に組み入れることができる。それぞれの深い組織ゾーンを、1つ以上の深い組織部位における感染症/炎症の存在の決定のために測定することができる。このような決定は、コントロールとしての周囲の深い組織との比較も含み得る。識別されたら、抗生物質を含む1つ以上の治療は、適切な器官および/または組織部位を標的にすることができる。
【0132】
膣感染症:例えば、酵母または細菌による膣の様々な感染症は、1つ以上の形態の本発明を使用する処置に適し得る。例えば、デバイスは、延長された機能活動を可能にするために開口部内に配置される軟質支持体中に封入されたピルまたは構造の形態をとり得る。このような一実施形態は、望ましくない生理的寄生菌の存在に関連した流体組成の変化(例えば、pH、粘度、清澄度、臭い関連化合物)、および/または色の変化に応答するセンサを備えることができる。検出すると、デバイスは、望ましくない生理的寄生菌の排除および/または光活性化時に望ましくない生理的寄生菌に対して有毒になる1つ以上の増感剤の放出を目的とした、光子エネルギを含む1つ以上の治療応答を開始することができる。このような実施形態では、検査される身体ゾーンは、処置される身体部位と区別できないこともあり得る。
【0133】
脱毛:男性型脱毛症に見られるような脱毛は、大部分が個体の遺伝現象に起因する状態である。しかし、局所の血管の拡張を増大させるか、または脱毛に関与する生化学的経路を阻害する局所薬剤が知られている。本発明では、センサは、毛髪の存在または非存在に応答するだけではなく、皮下の血液灌流の程度および範囲にも応答することができる。このような場合、本発明の一実施形態は、コンパレータによって、毛髪の成長に寄与する皮膚の毛包活性が最適レベルよりも低いと見なされる1つ以上の部位を刺激することができる。このような光刺激は、毛包の活性を直接増大させる興奮刺激の形態をとっても良いし、または血流を促進することを目的とした刺激の形態をとっても良い。特定の環境では、この後者の刺激は、局所加熱に変換される光子エネルギの形態をとり得る。デバイスの全体の形態は、ストラップ、フック、または接着剤を用いずに頭部に長期間配置できるキャップの形態とすることができる。
【0134】
皮膚の状態:様々な皮膚の状態、例えば、乾癬、湿疹、または癌は、本発明の使用から恩恵を受け得る。本発明は、身体形状に合わせることができる単一ユニット内に組み入れられたセンサおよび光子治療構造を有するパッチの形態にすることができる。代替の実施形態では、デバイスの形態は、1つ以上の身体ゾーンに対して移動されるワンドまたは他の構造とることができる。他の例と同様に、治療として送達される光子エネルギは、直接有益な血管の成長および/または治癒過程の刺激、望ましくない身体反応を含む望ましくない活動時の直接作用、および/またはウイルスまたは他の病原体の直接攻撃とすることができる。さらに他の実施形態では、光子エネルギは、1つ以上の光増感剤に向けて配向して、1つ以上の治療目的を果たすことができる。関連する適用例では、本発明の方法およびデバイスは、1つ以上の作用物質の標的放出による皺の管理、瘢痕の管理、および/または皮膚癌の制御に使用することができる。このようなデバイスは、検出および治療を睡眠時間中に行うことができるように一晩着用されるフェイスマスクの形態をとり得る。
【0135】
植え込み可能または挿入される医療デバイス:広義で、植え込まれる、または挿入される医療デバイスは、生物膜または他の感染症を引き起こす汚染を受ける可能性があり、かつ/またはすべての機能を獲得して本発明から恩恵を受け得るために、デバイスの周囲組織内への組み込みの管理、例えば、機械的安定性を増大させるための周囲線維の成長の増進または身体の異物応答の低減を必要とし得る。このような医療デバイスには、限定されるものではないが、カテーテル、カテーテルシース、プロテーゼインプラント、気管内チューブ、挿管チューブ、結腸造瘻術用チューブ、コンタクトレンズ、または能動デバイス(例えば、ペースメーカ、植え込み型薬物送達システム、植え込み型グルコースセンサなど)が含まれ得る。デバイスの形態には、植え込み型医療デバイスから事実上分離された形態、または医療デバイスに組み込まれた形態が含まれ得る。
【0136】
植え込まれる人工血管、フィステル(fisutulas)、またはステント:植え込み型医療デバイスに関連して、グラフトもしくはステントなどの構造、または動静脈瘻などの外科的に結合された構造は、狭窄病変形成を示唆する変化についてグラフトまたはフィステルの部位を連続的または定期的にモニタリングする本発明の形態から恩恵を受け得る。検出すると、1つ以上の作用物質および/または治療エネルギ、例えば、電気刺激が、対象の部位(複数可)を標的にすることができる。図13に、脈管構造の個々の身体部位を測定して選択的に標的にすることができるように、身体部位1325、例えば、矢印1330によって示されている脈管構造を効果的に横断するセンサ1315および治療送達1320を備えたこの実施形態の一例が示されている。一般に、本発明のこの形態は、これらの構造および/または医療インプラント上の生物膜の制御のために本発明の他の形態と組み合わせることができる。
【0137】
矯正器具およびプロテーゼ:矯正器具およびプロテーゼ(O/P)デバイスは、一例では、擦傷、感染症、またはデバイスの要素が皮膚表面に対して擦られる皮膚の擦過を引き起こし得る。他の場合には、O/Pデバイスは、下層組織の活動障害、例えば、好ましくない生物学的事象、例えば、潰瘍を引き起こし得る血流の低下をもたらし得る。さらに他の場合には、O/Pデバイスは、下層組織の治癒時間の改善および/または痛みの軽減から恩恵を受けることができ、これによりデバイスの使用が促進される。本発明を利用して、O/Pデバイスの使用に関連したこれらの状態に対して治療有効性を提供することができる。一実施形態では、これらの治療システムは、O/P内に組み込まれ、特定の場合には、O/Pの動作から電力を引き出すことができる。様々な実施形態では、センサは、炎症、深い組織反応などを有する身体部位の位置決定およびトラッキングのために、光学センサ、電気センサ、電磁センサの形態をとり得る。同様に、治療送達は、主に表面(皮膚または皮膚のすぐ下側)の効果を目的とした光子エネルギまたは下層組織内に深く浸透するようにデザインされた光子エネルギからなり得る。これらのエネルギは、下層バイオプロセスに作用するように配向しても良いし、または1つ以上の感光剤の使用によって間接的に作用するように配向しても良い。
【0138】
脂肪組織のリモデリング:特定の環境では、脂肪組織は、これらの組織の血管新生の程度の制御によって調節することができる。本発明の一実施形態では、血管新生の光活性化可能な阻害剤が身体ゾーンに供給される。1つ以上のセンサ、例えば、電気インピーダンスまたは超広域レーダーなどの組織組成センサによって、脂肪組織の著しい部位が識別されたことを決定すると、治療光源が、前記部位を照明して局所血液供給の減少をもたらすため、この部位の脂肪組織の量が減少し得る。本発明のこのような一形態は、下層脂肪組織を改造するために身体部位への標的適用を可能にする、身体ゾーン上を移動されるワンドとすることができる。
【0139】
筋肉/組織の治癒:過度の運動または激しい労働をすると、1つ以上の筋群および/または関節、腱などの関連する構造が、本発明のデバイスによって提供される治癒の促進から恩恵を受け得る。このような適用例では、デバイスの形態は、筋肉/組織の過度の運動に関連した下層の変化、例えば、腫張に対するセンサの感受性によって1つ以上の光子治療の標的適用を可能にする、身体ゾーンへの配置を可能にするパッチとすることができる。一実施形態では、光子治療は、身体組織の深い浸透および治癒活動を促進する組織の活性化に適した光エネルギである。本発明の他の形態では、本発明のデバイスは、望ましい治療活動を達成するために使用者が配置または載置するパッドまたはマットとすることができる。
【0140】
本発明のデバイスのさらなる形態および適用例が考えられ、本発明の範囲は、上に提示された例に拘束されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の治療を少なくとも1つの身体部位に適用する方法であって、
(a)身体ゾーン内の複数の身体部位が、1つ以上のセンサ要素によって測定され、
(b)前記身体部位センサ・データが、1つ以上のコンパレータによって分析され、 (c)少なくとも1つの治療が、身体部位センサ・データのコンパレータ分析に基づいて身体部位に適用され得る、方法。
【請求項2】
前記センサ要素が、本質的にフォトニックである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記治療が、本質的にフォトニックである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記身体ゾーン内の個々の身体部への治療用光子エネルギの適用が、効果的に同時に生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
1つ以上の身体部位に適用される光子エネルギが、1つ以上の他の身体部位に適用される光子エネルギと同じでも、異なっていても良い、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
適用される光子エネルギが、1つ以上の発光波長、発光強度、および/または送達パターンとすることができる、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
1つ以上の身体部位に対する追加の非光子治療が、身体部位センサ・データの分析に応答した1つ以上の光子治療の適用と併用される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
身体ゾーンの検出が、一定期間に渡って繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
身体部位への前記治療が、1つ以上の反復センサ測定に基づいて調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
1つ以上のセンサ測定からのセンサ・データが、数値評価され、これにより1つ以上の身体部位の治療効果の傾向を導くことができる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
1つ以上のセンサ測定からのセンサ・データが、数値評価され、これにより個々の身体部位に対する光子治療の将来の反復および/または変更の回数を導くことができる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
センサ・データの表示用の構造が、センサ測定および/または治療送達に利用される構造から物理的に分離された構造を利用する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記表示構造と前記測定構造および/または光子治療構造との間の通信が、無線によって達成される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
1つ以上の治療を身体ゾーンの個々の身体部位へ適用するデバイスであって、
(a)前記身体部位の状態に関連した1つ以上のパラメータについての、前記身体ゾーン内の2つ以上の身体部位の測定を可能にする1つ以上の測定センサを有する構造と、
(b)前記測定データを受け取って分析することができるコンパレータと、
(c)治療送達構造と、からなり、
前記コンパレータが、前記治療に前記決定が必要なときに、少なくとも1つの測定センサからの身体部位のパラメータデータを評価して、前記治療送達構造を用いて少なくとも1つの治療の少なくとも1つの身体部位への送達を可能にする、デバイス。
【請求項15】
前記センサが、身体部位の測定のために少なくとも1つの波長の光子エネルギを利用する、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つの波長の光子エネルギが、適用される治療の一部であり、前記治療送達構造が、少なくとも1つの光子エネルギ送達源を含む、請求項14に記載のデバイス。
【請求項17】
前記センサ、前記コンパレータ、および前記治療送達構造が、単一構造内に含められている、請求項14に記載のデバイス。
【請求項18】
本質的に事実上平坦かつ可撓性であって、測定要素および身体部位に向けられた光子源を備えた第1の表面を有する、請求項17に記載の多機能構造。
【請求項19】
1つ以上の追加のコンパレータと無線通信もする請求項17に記載の多機能構造。
【請求項20】
測定要素および光子エネルギ送達源が、測定要素および光子エネルギ送達源の少なくとも1つの反復パターンを有する幾何学的配置を形成する、請求項17に記載の多機能構造。
【請求項21】
測定要素および身体部位に向けられた光子源を備えた第1の表面を有する、請求項17に記載の多機能構造。
【請求項22】
コンパレータおよび表示機能も有する、請求項17に記載の多機能構造。
【請求項23】
光子治療に加えて、非光子治療が、1つ以上の身体部位に提供される、請求項14に記載のデバイス。
【請求項24】
1つ以上の治療を身体ゾーンへ適用する方法であって、
(a)身体ゾーン内の複数の身体部位が、1つ以上のセンサ要素によって測定され、
(b)身体部位センサ・データが、1つ以上のコンパレータによって分析され、および
(c)1つ以上の治療が、身体部位センサ・データの分析に基づいて個々の身体部位に適用される、方法。
【請求項25】
身体ゾーン内の個々の身体部位への治療の適用が、薬物または作用物質の使用を含む、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−505706(P2012−505706A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532086(P2011−532086)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/005648
【国際公開番号】WO2010/044879
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(506400395)
【出願人】(511092125)
【出願人】(506400410)
【Fターム(参考)】