説明

自己通気型・人間工学的な履物及び靴底

【目的】 本発明は、履物と靴底、靴底は履物の一部であるが他のタイプの履物にも適用できる内容に関する。一方で、その履物は、弾力性に富んだ靴底又はその類似物、それらは一般的には注入鋳型法で得られた後に敷き革で覆われ、最終工程で甲皮と接合される、の利用により、足長と足幅の相関の相違に拘わらず、使用者の足に完璧に適応し、人間工学的観点から最適のパフォーマンスを提供するものである。そして他方では、歩行に伴って自動的に内部換気を可能とし、この点で又、快適性を改善するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物と靴底、靴底は履物の一部であるが他のタイプの履物にも適用できる内容に関する。一方で、その履物は、弾力性に富んだ靴底又はその類似物、それらは一般的には注入鋳型法で得られた後に敷き革で覆われ、最終工程で甲皮と接合される、の利用により、足長と足幅の相関の相違に拘わらず、使用者の足に完璧に適応し、人間工学的観点から最適のパフォーマンスを提供するものである。そして他方では、歩行に伴って自動的に内部換気を可能とし、この点で又、快適性を改善するものである。
【0002】
かくて、本発明の目的は、(1)足の履き心地の良さ、そして(2)そのための通気性確保の両面から、使用者により一層の快適性を提供できる履物と、そして足底相当部分では、足幅の大小に関係なく、使用者の足に解剖学的に適応することで履物の快適性を高めるため、横断方向に高度の伸縮自在な変形能を有する靴底とを得ることである。
【背景技術】
【0003】
履物、そしてより特殊な履物の分野において、通常の解決法の一つは、弾性材料から注入鋳型法により靴底を作製することである。
【0004】
靴の表底は、どんな人でも足長に合ったサイズの靴を市場で求めることができるように、足長の規格表に基づいて予め決められたサイズで生産される。
【0005】
同様なやり方は、足幅の拡張に関しては適用されない。何故なら、足幅は、あるタイプ又はあるデザインの履物に対しては通常固定されているからである。このことは、周知の如く、「幅広の足」を持つ人々が足を「窮屈に締め付ける」靴の不快さに耐えたり、足長に拠るべきよりも大きなサイズの靴の使用を負わされるといった深刻な問題を意味している。何故なら、履物のサイズと幅は明らかに平行して増加するからである。
【0006】
この問題に対する解決は、異なった幅の靴型を用いることであるが、このことは、経済的観点、特に生産と供給コストの点から見て、明らかに非常にネガティブな効果を持つことになる。
【0007】
少し厄介な解決として、軟質材を用いた甲皮を使用することがある。その使用は、特に、使用者の足が標準よりもひどく幅広ではないが、短期間の使用後に元の姿を完全に損ない、履物の変形を来たしてしまうような場合の問題を部分的に解決するものである。
【0008】
それに対して、これらの弾性に富んだ靴底は、使用者の体汗を保持してしまうため、実質的には全く水分を発散しない。かくて、履物には、発汗時の汗を蒸発させるための内部通気性を持つことが求められている。
【0009】
内部通気の方法を持った履物は市場に存在しているが、今日までに採用されてきた数々の解決法は、構造的に複雑であり、機能的にはむしろ無益である。そのため、それらの実際上の使用は、その期待に真に効果的に応えていると言うよりはむしろ、宣伝広告することで決定されている。
【発明の開示】
【0010】
本発明で提案された履物と靴底は、前項で議論された二つの側面からの問題を100%満足のいく方法で解決している。即ち、本発明は、履物を使用者の足の解剖骨格に完全に適合させ、人間工学的観点から最適なパフォーマンスを与えることに加えて、歩行の際に自動的に通気を確保する。
【0011】
最後に至るまで、そしてより特別なことに、本発明の履物は、例えば注入鋳型法によって得られた弾力性に富んだ靴底の使用を基に、その補完的な甲皮に影響し、併せて切望された効果も与えるといった他の特徴を、靴底の持つ特別な特徴と合体させる。
【0012】
特別なことに、その靴底は、足底相当部分に縦方向の溝を有している。即ち、その溝は、足指とウェスト開始点の間にまたがり、靴底の上部又は内部、及び底部又は外部の両側に製造過程の中で配置される。溝は、この部分の靴底の厚みのほぼ半分に達している。多数の縦方向の溝は、好ましくはアーチ型軌道であり、靴底上部の溝は、下部の溝に対して横断的に交互に配列されるといった特別な特質を備え、溝が存在する側の靴底のへりと平行になっている。何故なら、靴底のこの領域は、明らかに「幅広の足」に由来した問題が発生する場所であり、足幅に依存して足が作り出す圧力により、靴底の横断方向に伸縮自在の変形を与えるある種のふいごをを形成するからである。
【0013】
従って、足底に相当する領域での靴底幅の原寸は、使用者が標準的足幅の場合は維持されるが、幅広の足の場合には、足底のこの部分で靴底の横への容易な拡張が発生する。即ち、靴底が伸展し、足の拡張ニーズに靴底を適応し、高い履き心地の良さを持った履物を与えてくれる。
【0014】
この優れた快適性は、同等な伸縮自在の変形能が正常状態で確保されるため、どのようなタイプの使用者へも適用拡大できる。履物は、材料を変更すること無く「より柔かい」靴底を持っていれば更に一層快適なものとなる。
【0015】
補足的に、靴底の下部に包み込まれ、通常の如く敷き革を用いる上部は、足底の領域で弾性体と接合している。弾性体は、それ自身の本性により、足底の繰り返し言及された領域において、履物の横断方向での伸縮自在な変形能を促進し、そして更に、空気の流入と流出のために適切に分配された通路を組み込んでいる。かくして、その弾性体と靴底の間に空間が形成され、空間を構成する要素が歩行に伴って拡張し収縮することによりその容量が変化する。この容積変化は「肺」機能に結びつき、空気が空間を出入りする。このことは、履物内部の足底が被覆された部分で最も深刻な問題であり、改善を切望されていた通気を実現するものである。何故なら、通気は通常、足の開放部への接近を通して、かかと部分で為されるからである。
【0016】
図の説明
これまでに為されてきた記述に添えて、発明を実際に具象化することで本発明の特徴をより良く理解する目的から、説明の必須項目として例示的かつ非制限的特性を持つ一連の 図を添付しており、それらを以下に示す。
図1は、本発明の目的に沿って描写した、履物用靴底の遠近法による実例表示であり、靴底の上部を表している。
図2は、図1と同様な例示であるが、靴底の底部を示している。
図3は、本発明の目的に沿って描写した、自己通気型・人間工学的履物の全体設計図を示している。そこには、履物の上部とその靴底が適正に合体された両面を表している。
図4は、これまでの図に表した部分を適切に組み立てた製品の詳細断面図を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1及び図2で、本発明で提案した靴底(1)が、どんな標準的な靴底とも同様に、足底、ウェスト、かかとに相当する伝統的な各部分を備えた一体から成っていること、靴底に採用可能なこれらの各部分、特に図2に示した外側部に関して靴底用に提供されたデザインとどんなタイプの表面仕上げ又は形状とも一致していること、等を見ることができる。
【0018】
発明は、次のような事実を集中している。靴底(1)はその内側で結合し、足底相当部分に多数の均一に分配された縦方向の溝(5)があり、図に示した実際の具象化においては5本となっているが、この数は発明の本質に影響する部分を除いて変動可能であり、溝は好ましくは曲線を描き、外側のへりと平行且つ靴底に隣接したものである。
【0019】
靴底上部の溝(5)は、それら(5)とは別の方法で必ず配置されねばならない底部の溝(5’)と相補関係にあり、図4に完全な配置状態を観察できる。底部の溝数は上部の溝数と比較してより多く、又はより少なくなければならず、実際の具象化の中ではその数を特に6として多い方で示している。
【0020】
足底部分の靴底の厚みに関連した溝(5)及び(5’)の深さは、図4に示したふいご型構造を確保するため、厚みのほぼ半分まで達するものである。この構造は、それにふさわしい、整然とした安定性を持つ靴底を供給する。そうであるにも拘らず、「幅広」使用者の特殊な場合においては、その靴底は、前述した如く、足の寸法要求に完全に応えるように横断方向へ拡張して弾力的に変形できる。
【0021】
足底相当部分における靴底(1)のこの伸縮自在な変形能は、内部を被覆する伝統的な敷き革、又は履物の上部によって明らかに妨げられるものではない。何故ならば、両者は容易に変形可能だからである。
【0022】
これらの溝(5)及び(5’)は、ウェストばかりか、かかとにも確かに影響しない。履物のこれらの部位は、足の極端な幅広がまさしく問題を起こす足底相当部分であるが、「幅広」の人々に対して、通常、どんな問題も引き起こさない。
【0023】
図3及び図4で、本発明で提案した履物が、どんな標準的な履物とも同様に、一枚の靴底(1)と一つの甲皮(2)、甲皮は何らかの適切な手段で靴底への適合と固定を図るために底部内側の周囲にへり(3)を持つ、及び使用者の足を靴底(1)から適切に分離する伝統的な敷き革(4)、それは甲皮(2)の内側上に配置され、装飾的目的のために別の敷き革で任意に覆うこともできる、等の結合によりどのように形作られるかを見ることができる。
【0024】
補足的に、甲皮(2)及び履物の靴底相当部分、特に敷き革(4)の下にも層状の弾性体(6)が配置され、甲皮(2)の輪郭に沿って適切に固定されている。例えば、前述した底部周囲のへり(3)に対しては、その弾性体(6)が履物の横断方向での変形を支え、実際の具象化の通りに、1本の縦帯(7)と1対の横がけされた最終帯(8−8’)を用いて堅固にされている。図1で完全に可視化された通りに、両者を層状弾性体(6)とそこにふさわしい方法で甲皮のへり(3)に固定する。これらの帯(7−8)は、その弾性体(6)を適切に安定化する目的を有し、そこに2つの独立した側面変形領域を定めている。
【0025】
他方で、これらの帯(7−8)の厚みは、弾性体(6)と靴底(1)の間の可変性の容量空間(9)の調整を促進する。地表に立っている時、その容量は、帯(7及び8)内に配列された多数の通路(10)を介した履物内部への空気通過により、その空間から空気を流出させるため減少する。一方、地表から足を持ち上げた際の弾性体(6)の回復により、空間(9)の容量増加と吸引効果が発生する。
【0026】
それ故に、そして記載された構造に従い、靴底(1)の溝(5−5’)及びそれの弾性に富んだ本性が、前述した如く、履物を使用者の足幅に関係なく足に快適に順応させるため、靴底の横断方向における伸縮自在な変形を可能ならしめる。同時に、層状弾性体(6)と靴底それ自身との間に創設された空間は、履物内部との連絡用通路(10)と併せて、全体として履物の履き心地を最大化する空気の「肺」型移動により、靴底内での通気を産生する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の目的に沿って描写した、履物用靴底の遠近法による実例表示であり、靴底の上部を表している。
【図2】図2は、図1と同様な例示であるが、靴底の底部を示している。
【図3】図3は、本発明の目的に沿って描写した、自己通気型・人間工学的履物の全体設計図を示している。そこには、履物の上部とその靴底が適正に合体された両面を表している。
【図4】図4は、これまでの図に表した部分を適切に組み立てた製品の詳細断面図を示している。
【符号の説明】
【0028】
1 靴底
2 甲皮
3 へり
4 敷き革
5,5’ 溝
6 弾性体
7 縦帯
8,8’ 最終帯
9 空間
10 通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの敷き革を伴い、弾性に富んだ靴底とタイプを選ばぬ甲皮との接合により構造付けられた自己通気型・人間工学的履物及び靴底であって、該靴底は、足底相当領域の靴底内部及び外部に多数の縦方向の溝を含み、それらは相互に別の方法で配置され、「ふいご」型構造を形成していることを特徴とする前記自己通気型・人間工学的履物及び靴底。
【請求項2】
前記靴底の溝は、そこに最も近接した靴底のへりに対して本質的に平行な縦配列を採用し、靴底のほぼ半分の厚みに影響する深さを有することを特徴とする請求項1記載の自己通気型・人間工学的履物及び靴底。
【請求項3】
前記甲皮は、足裏相当領域及び敷き革直下においても、穴開き層状弾性体を含み、該弾性体は、靴底と連携して歩行の際に変化する容量空間を形成し、該層状弾性体は、履物内部とその空間を連結する通路を持ち、両方向への通気を支えることを特徴とする請求項1又は2記載の自己通気型・人間工学的履物及び靴底。
【請求項4】
敷き革直下に位置する層状弾性体は、1本の縦帯と2本の横方向の最終帯を用いて、敷き革と履物の甲皮に適切且つ堅固に固定され、履物内部との連絡用通路が、相当の厚さを有するこれらの帯に設置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の自己通気型・人間工学的履物及び靴底。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−530113(P2007−530113A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504426(P2007−504426)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【国際出願番号】PCT/ES2005/000018
【国際公開番号】WO2005/092137
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(506117699)カルザドス ヘルガアー, エス.エー. (1)
【氏名又は名称原語表記】CALZADOS HERGAR, S.A.
【住所又は居所原語表記】Avda,de la Industria,4 26580 Arnedo LA RIOJA  SPAIN
【Fターム(参考)】