説明

自律タグ

【課題】タグ読取装置に対するタグ情報の伝達効率を向上すること。
【解決手段】自律タグは、機械的エネルギーから電気的エネルギーを生成する圧電部と、圧電部によって生成された電気的エネルギーを用いて、タグ情報を発信する無線発信部と、無線発信部がタグ情報を発信するタイミングを制御する発信タイミング制御部とを備える。圧電部は、積層された複数の圧電素子と、複数の圧電素子の間に設けられた第1反発部材とを有する。無線発信部は、複数の圧電素子によって順次生成された電気的エネルギーを順次用いて、タグ情報を連続的に発信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タグ情報を発信する自律タグに関する。本発明は、特に、能動的にタグ情報を発信する自律タグに関する。
【背景技術】
【0002】
機械的エネルギーが印加された場合、機械的エネルギーから生成した電気的エネルギーを用いて、記憶部に記憶されているタグ情報を無線送信する無線タグが考案されている(たとえば、特許文献1および特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2006−31193号公報
【特許文献2】特開2006−90960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記技術では、たとえば、無線タグに対して機械的エネルギーを印加した物体によって、無線タグから発信されたタグ情報が遮られてしまう場合がある。また、同じタイミングで隣接する同種の無線タグが起動してしまうと、無線リソースの輻輳が発生したり、隣接していた予期しない他の機械的エネルギーで発生した無線タグからの発信情報を受信してしまう場合がある。このような場合、無線タグは、物体側に設けられたタグ読取装置に対して、確実にタグ情報を送信できない場合がある。このように、上記技術では、適切なタイミングでタグ情報を発信することができないので、タグ読取装置に対するタグ情報の伝達効率を向上することができない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、自律タグであって、機械的エネルギーから電気的エネルギーを生成する圧電部と、圧電部によって生成された電気的エネルギーを用いて、タグ情報を発信する無線発信部と、無線発信部がタグ情報を発信するタイミングを制御する発信タイミング制御部とを備える。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0007】
図1は、実施形態に係る自律タグ100の構成の一例を示す。自律タグ100は、圧電部110、制御ユニット120、および保護部材130を備える。自律タグ100は、圧電部110、制御ユニット120、および保護部材130を、収容および保護する容器をさらに有してもよい。
【0008】
圧電部110は、積層された複数の圧電素子を有してもよい。圧電部110は、機械的エネルギーから電気的エネルギーを生成する。具体的には、圧電部110は、物体による上部からの圧力を受けることにより発電する。また、圧電部110は、圧電素子の代わりに、他の素材または機構を用いて、機械的エネルギーから電気的エネルギーを生成してもよい。たとえば、圧電部110は、ゴム発電素材「イーパム」、マイクあるいは振り子などの振動体による交流電圧発生機構、またはポンプによる体積変化を使った発電機構を用いて、機械的エネルギーから電気的エネルギーを生成してもよい。
【0009】
制御ユニット120は、複数の圧電素子とともに積層される。制御ユニット120は、圧電素子が生成した電気的エネルギーを用いて、タグ情報を発信する。具体的には、制御ユニット120は、タグ情報を格納するメモリを有する。制御ユニット120は、メモリからタグ情報を読み取る。そして、制御ユニット120は、メモリから読み取ったタグ情報を発信する。タグ情報は、自律タグ100を一意に識別するための識別情報を含む。識別情報とは名前、ID、製造番号(シリアル番号)以外に画像、音声情報、緯度経度座標のようにそのものを概ね特定できるような情報、動物、人が認証として特定できる生体情報、自動ドア、照明、エレベータのスイッチ類の操作のように行動を特定するような情報でもよい。
【0010】
保護部材130は、圧電部110および制御ユニット120を保護する。具体的には、保護部材130は、物体による上部からの圧力を自律タグ100が受けた場合に、圧電部110および制御ユニット120が押し潰されないように、圧電部110および制御ユニット120を保護する。保護部材130には、図2で説明する無線発信部202が発する電波を遮蔽しない材質を用いることが好ましい。また、保護部材130には、防水性および撥水性の高い材質を用いることが好ましい。また、保護部材130は、水が溜まり難い形状を有することが好ましい。たとえば、保護部材130は、水が溜まり難い半球形状を有することが好ましい。
【0011】
たとえば、自律タグ100は、自動車、歩行者などの物体に踏まれることにより、タグ情報を発信する。自律タグ100は、物体に踏まれた場合、すぐにタグ情報を発信するのではなく、制御ユニット120の制御によって、遅延したタイミングでタグ情報を発信する。
【0012】
このため、本実施形態の自律タグ100によれば、発信したタグ情報が物体に遮蔽されることを回避できる。このため、物体側のタグ読取装置に対する、タグ情報の伝達効率を向上できる。
【0013】
なお、自律タグ100は、複数の通信プロトコルに対応してもよい。たとえば、自律タグ100は、通信プロトコルごとに、タグ情報を複数発信してもよい。これにより、通信プロトコルが異なる複数の種類のタグ読取装置に対して、タグ情報を認識させることができるので、自律タグ100を汎用的に利用できる。
【0014】
図2は、圧電部110および制御ユニット120の構成の一例を示す。制御ユニット120は、回路基板を有する。回路基板上には、回路ユニット200、無線発信部202、および無線受信部204が設けられている。回路ユニット200は、整流回路206、蓄電回路208、および発信制御回路209を有する。
【0015】
発信制御回路209は、接続線211によって、無線発信部202と電気的に接続されている。また、発信制御回路209は、接続線212によって、無線受信部204と電気的に接続されている。また、発信制御回路209は、接続線213によって、蓄電回路208と電気的に接続されている。
【0016】
なお、無線受信部204および無線発信部202は、無線アンテナ、発光ダイオード、赤外線受光素子、音波発信機で複数の通信プロトコル分用意してもよい。これにより、通信プロトコルが下位レイヤで異なる場合でも、タグ情報を認識させることができる。また、無線受信部204の受信情報に、無線発信部202の発信プロトコルを渡すことで、タグ読取装置の読み取り認識向上が期待できる。
【0017】
蓄電回路208は、接続線214によって、整流回路206と電気的に接続されている。整流回路206は、接続線215によって、圧電部110と電気的に接続されている。
【0018】
整流回路206は、圧電部110が生成した電気的エネルギーを整流化する。圧電部110は、機械的エネルギーが印加された場合と、機械的エネルギーが開放された場合とで、電流方向が異なる電気的エネルギーを生成する。そこで、整流回路206は、圧電部110が生成した電気的エネルギーの電流方向を一定の方向に整流化する。
【0019】
蓄電回路208は、整流回路206からの電気的エネルギーを蓄電する。たとえば、蓄電回路208は、整流回路206からの電気的エネルギーをコンデンサに蓄電する。そして、蓄電回路208は、コンデンサに蓄電された電気的エネルギーを放電することにより発信制御回路209に供給する。
【0020】
発信制御回路209は、圧電部110が生成した電気的エネルギーを用いて、タグ情報の発信を制御する。具体的には、発信制御回路209は、タグ情報を格納するメモリを有する。発信制御回路209は、電気的エネルギーを蓄電回路208から受け取る。発信制御回路209は、メモリからタグ情報を読み取る。そして、発信制御回路209は、無線発信部202を介して、タグ情報を示す電波を発信する。
【0021】
発信制御回路209は、タグ情報の受信を制御してもよい。たとえば、発信制御回路209は、無線受信部204を介して、タグ情報を示す電波を受信してもよい。そして、発信制御回路209は、受信したタグ情報をメモリに格納してもよい。
【0022】
無線発信部202は、圧電部110によって生成された電気的エネルギーを用いて、タグ情報を発信する。無線発信部202は、発信アンテナを有する。無線発信部202は、発信アンテナからタグ情報を示す電波を発する。
【0023】
発信アンテナは、回路基板上に設けられていてもよく、その他の場所に設けられていてもよい。たとえば、発信アンテナは、回路基板から突出して設けられていてもよい。無線発信部202は、電波以外の伝送媒体を用いてタグ情報を発信してもよい。たとえば、無線発信部202は、音波または光を用いてタグ情報を発信してもよい。
【0024】
無線受信部204は、圧電部110によって生成された電気的エネルギーを用いて、タグ情報を受信する。無線受信部204は、受信アンテナを有する。無線受信部204は、受信アンテナでタグ情報を示す電波を受信する。
【0025】
受信アンテナは、回路基板上に設けられていてもよく、その他の場所に設けられていてもよい。たとえば、受信アンテナは、回路基板から突出して設けられていてもよい。無線受信部204は、電波以外の伝送媒体を用いてタグ情報を受信してもよい。たとえば、無線受信部204は、音波または光を用いてタグ情報を受信してもよい。
【0026】
図3は、回路ユニット200の構成の一例を示す。整流回路206は、ダイオード411、ダイオード412、ダイオード413、およびダイオード414を有する。蓄電回路208は、コンデンサ421およびコンデンサ422を有する。また、蓄電回路208は、スイッチ423およびスイッチ424を有する。発信制御回路209は、マイクロコンピュータ300および変調回路310を有する。
【0027】
ダイオード411のアノード端子は、圧電部110の+極に接続される。ダイオード411のカソード端子は、コンデンサ421の+極に接続される。ダイオード412のアノード端子は、コンデンサ421の−極に接続される。ダイオード412のカソード端子は、圧電部110の−極に接続される。
【0028】
ダイオード413のカソード端子は、圧電部110の+極に接続される。ダイオード413のアノード端子は、コンデンサ422の−極に接続される。ダイオード414のカソード端子は、コンデンサ422の+極に接続される。ダイオード414のアノード端子は、圧電部110の−極に接続される。
【0029】
スイッチ423の入力端子は、コンデンサ421の+極に接続される。スイッチ423の出力端子は、マイクロコンピュータ300に接続される。スイッチ424の入力端子は、コンデンサ422の+極に接続される。スイッチ424の出力端子は、マイクロコンピュータ300に接続される。
【0030】
上記した構成により、圧電部110に機械的エネルギーが印加された場合に圧電部110が生成した電気的エネルギーは、コンデンサ421に蓄電される。一方、圧電部110が機械的エネルギーから開放された場合に圧電部110が生成した電気的エネルギーは、コンデンサ422に蓄電される。
【0031】
コンデンサ421の電圧が、予め定められた電圧を超えた場合、スイッチ423がONの状態となる。これにより、コンデンサ421に蓄電された電気的エネルギーは、マイクロコンピュータ300に供給される。同様に、コンデンサ422の電圧が、予め定められた電圧を超えた場合、スイッチ424がONの状態となる。これにより、コンデンサ422に蓄電された電気的エネルギーは、マイクロコンピュータ300に供給される。
【0032】
マイクロコンピュータ300は、コンデンサ421およびコンデンサ422から放電された電気的エネルギーを受け取る。マイクロコンピュータ300は、受け取った電気的エネルギーを用いて、タグ情報の発信および受信を制御する。
【0033】
変調回路310は、マイクロコンピュータ300から出力された、タグ情報を示す搬送波を変調することにより、予め定められた周波数を有する、タグ情報を示す電波を生成する。変調回路310は、生成された電波を、無線発信部202に対して出力する。
【0034】
また、変調回路310は、無線受信部204から出力された、タグ情報を示す電波を復調することにより、タグ情報を示す搬送波を生成する。変調回路310は、生成した搬送波を、マイクロコンピュータ300に対して出力する。
【0035】
図4は、圧電部110の発電特性の一例を示す。図4に示すグラフにおいて、縦軸は、電圧を示す。また、横軸は、時間を示す。
【0036】
また、発電特性401は、圧電部110に機械的エネルギーが印加された場合に圧電部110が生成した電気的エネルギーの発電特性を示す。また、発電特性402は、圧電部110が機械的エネルギーから開放された場合に圧電部110が生成した電気的エネルギーの発電特性を示す。また、タイミングt1は、圧電部110に機械的エネルギーが印加された場合に圧電部110が生成した電気的エネルギーの発電タイミングを示す。また、タイミングt2は、圧電部110が機械的エネルギーから開放された場合に圧電部110が生成した電気的エネルギーの発電タイミングを示す。Δtは、タイミングt1とタイミングt2との時間差を示す。
【0037】
図5は、マイクロコンピュータ300の機能構成の一例を示す。マイクロコンピュータ300は、処理制御部500、発信タイミング制御部510、および情報格納部530を備える。
【0038】
処理制御部500は、発信タイミング制御部510および情報格納部530を制御する。また、処理制御部500は、当該処理制御部500に対する各種入出力を制御する。具体的には、処理制御部500は、コンデンサ421およびコンデンサ422から放電された電気的エネルギーの入力を制御する。
【0039】
また、処理制御部500は、無線発信部202に対するタグ情報の出力を制御する。また、処理制御部500は、無線受信部204からのタグ情報の入力を制御する。処理制御部500は、タグ情報を示すアナログ信号を、無線発信部202に対して出力してもよい。また、処理制御部500は、タグ情報を示すアナログ信号を、無線受信部204から入力してもよい。
【0040】
また、処理制御部500は、マイクロコンピュータ300の待機時には、マイクロコンピュータ300を省電力モードに切り換えるスリープ機能を有する。たとえば、省電力モードにおいては、マイクロコンピュータ300は、何らかのトリガが入力されるまで、処理を待機する。また、処理制御部500は、コンデンサ421およびコンデンサ422から放電された電気的エネルギーの入力電圧が予め定められた値よりも低くなった場合に、マイクロコンピュータ300をリセットするリセット機能を有する。
【0041】
発信タイミング制御部510は、無線発信部202がタグ情報を発信するタイミングを制御する。具体的には、発信タイミング制御部510は、遅延時間決定部522が決定した遅延時間分遅延させたタイミングで、タグ情報格納部534に格納されているタグ情報を無線発信部202に発信させる。発信タイミング制御部510は、物体特定部512、印加タイミング検出部514、開放タイミング検出部516、移動速度算出部518、設置場所特定部520、および遅延時間決定部522を備える。
【0042】
設置場所特定部520は、自律タグ100の設置場所を特定する。たとえば、設置場所特定部520は、自律タグ100が設置されている道路の種類を特定する。たとえば設置場所特定部520は、自律タグ100が設置されている道路の種類を、当該道路の種類が予め格納されているメモリから取得する。たとえば、設置場所特定部520は、自律タグ100が設置されている道路の種類として、自動車道路または歩道を特定する。たとえば、設置場所特定部520は、自律タグ100が設置されている自動車道路の種類として、高速道路または一般道路を特定する。
【0043】
物体特定部512は、圧電部110に機械的エネルギーを印加した物体に関する所定の条件を特定する。たとえば、物体特定部512は、圧電部110に機械的エネルギーを印加した物体の種類を特定する。たとえば、物体特定部512は、圧電部110に機械的エネルギーを印加した物体の種類として、自動車または歩行者を特定する。物体特定部512は、圧電部110が生成した電気的エネルギーの電力量に基づいて、圧電部110に機械的エネルギーを印加した物体の種類を特定してもよい。物体特定部512は、圧電部110に機械的エネルギーを印加した物体の設置場所を特定してもよい。また、物体特定部512は、圧電部110に機械的エネルギーを印加した物体の設置目的を特定してもよい。
【0044】
印加タイミング検出部514は、圧電部110に機械的エネルギーが印加された印加タイミングを検出する。たとえば、印加タイミング検出部514は、圧電部110に機械的エネルギーが印加された場合に、圧電部110が生成した電気的エネルギーが上限閾値を超えたタイミングまたはピーク電圧を発生したタイミング(時間軸に対して発生電圧の傾きがほぼゼロとなったタイミング)を、印加タイミングとして検出する。
【0045】
印加タイミング検出部514は、圧電部110に機械的エネルギーが印加された場合に、圧電部110が電気的エネルギーの生成を開始したタイミングを、印加タイミングとして検出してもよい。また、印加タイミング検出部514は、圧電部110に機械的エネルギーが印加された場合に、圧電部110が電気的エネルギーの生成を終了したタイミング(時間軸に対して発生電圧の傾きがほぼゼロとなったタイミング)または圧電部110が生成した電気的エネルギーが下限閾値を割ったタイミングを、印加タイミングとして検出してもよい。
【0046】
印加タイミング検出部514は、コンデンサ421が電気的エネルギーを放電したタイミングを印加タイミングとして検出してもよい。たとえば、印加タイミング検出部514は、コンデンサ421が放電した電気的エネルギーのピーク電圧の発生タイミングを、印加タイミングとして検出してもよい。また、印加タイミング検出部514は、コンデンサ421が電気的エネルギーの放電を開始したタイミングを印加タイミングとして検出してもよい。また、印加タイミング検出部514は、コンデンサ421が電気的エネルギーの放電を終了したタイミングを印加タイミングとして検出してもよい。
【0047】
開放タイミング検出部516は、圧電部110が機械的エネルギーから開放された開放タイミングを検出する。たとえば、開放タイミング検出部516は、圧電部110が機械的エネルギーから開放された場合に、圧電部110が生成した電気的エネルギーが上限閾値を超えたタイミングまたはピーク電圧を発生したタイミング(時間軸に対して発生電圧の傾きがほぼゼロとなったタイミング)を、開放タイミングとして検出する。
【0048】
開放タイミング検出部516は、圧電部110が機械的エネルギーから開放された場合に、圧電部110が電気的エネルギーの生成を開始したタイミングを、開放タイミングとして検出してもよい。また、開放タイミング検出部516は、圧電部110が機械的エネルギーから開放された場合に、圧電部110が電気的エネルギーの生成を終了したタイミング(時間軸に対して発生電圧の傾きがほぼゼロとなったタイミング)または圧電部110が生成した電気的エネルギーが下限閾値を割ったタイミングを、開放タイミングとして検出してもよい。
【0049】
開放タイミング検出部516は、コンデンサ422が電気的エネルギーを放電したタイミングを開放タイミングとして検出してもよい。たとえば、開放タイミング検出部516は、コンデンサ422が放電した電気的エネルギーのピーク電圧の発生タイミングを、開放タイミングとして検出してもよい。開放タイミング検出部516は、コンデンサ422が電気的エネルギーの放電を開始したタイミングを開放タイミングとして検出してもよい。開放タイミング検出部516は、コンデンサ422が電気的エネルギーの放電を終了したタイミングを開放タイミングとして検出してもよい。
【0050】
ここで、自律タグ100が道路などの地中に設置された場合、圧電部110は、移動体の通行などの低周波振動からも、電気的エネルギーを発生してしまう場合がある。この場合、印加タイミング検出部514は、印加タイミングを誤って検出してしまう恐れがある。同様に、開放タイミング検出部516は、開放タイミングを誤って検出してしまう恐れがある。そこで、印加タイミング検出部514および開放タイミング検出部516が、低周波振動から発生した電気的エネルギーから、印加タイミングまたは開放タイミングを誤って検出しないように、上記した上限閾値および下限閾値には、十分な値が予め設定しておくことが好ましい。
【0051】
移動速度算出部518は、圧電部110に機械的エネルギーを印加した物体の移動速度を算出する。たとえば、移動速度算出部518は、印加タイミング検出部514が検出した印加タイミングと、開放タイミング検出部516が検出した開放タイミングとの時間差に基づいて、圧電部110に機械的エネルギーを印加した物体の移動速度を算出する。
【0052】
遅延時間決定部522は、遅延時間を決定する。たとえば、遅延時間決定部522は、物体特定部512によって特定された物体の種類に応じた遅延時間を決定する。この場合、遅延時間決定部522は、物体特定部512によって特定された物体の種類に対応付けられている遅延時間を、遅延時間格納部532から取得してもよい。
【0053】
遅延時間決定部522は、移動速度算出部518によって算出された物体の移動速度に応じた遅延時間を決定してもよい。この場合、遅延時間決定部522は、移動速度算出部518によって算出された物体の移動速度に対応付けられている遅延時間を、遅延時間格納部532から取得してもよい。
【0054】
遅延時間決定部522は、設置場所特定部520が特定した自律タグ100の設置場所に応じた遅延時間を決定してもよい。この場合、遅延時間決定部522は、自律タグ100の設置場所に対応付けられている遅延時間を、遅延時間格納部532から取得してもよい。
【0055】
遅延時間決定部522は、設置場所特定部520が特定した自律タグ100の設置目的に応じた遅延時間を決定してもよい。この場合、遅延時間決定部522は、自律タグ100の設置目的に対応付けられている遅延時間を、遅延時間格納部532から取得してもよい。
【0056】
遅延時間決定部522は、印加タイミング検出部514が検出した印加タイミングと、開放タイミング検出部516が検出した開放タイミングとの時間差に基づいて、遅延時間を算出してもよい。たとえば、遅延時間決定部522は、印加タイミング検出部514が検出した印加タイミングと、開放タイミング検出部516が検出した開放タイミングとの時間差Δtに基づいて、以下の数式(1)を用いて、遅延時間ΔTを算出してもよい。
ΔT=a×Δt+b・・・(1)
【0057】
上記数式(1)において、aは、目的に応じた係数を示す。たとえば、aは、物体の種類または自律タグ100の設置場所に応じた係数であってもよい。bは、実験により得られた適度な固定値を示す。また、上記数式(1)において、Δtは、圧電部110に機械的エネルギーが印加された場合における圧電部110の発電開始タイミングまたは発電終了タイミングと、圧電部110が機械的エネルギーから開放された場合における圧電部110の発電開始タイミングまたは発電終了タイミングと、の時間差であってもよい。
【0058】
また、上記数式(1)において、Δtは、圧電部110に機械的エネルギーが印加された場合に圧電部110が生成した電気的エネルギーのピーク電圧の発生タイミングと、圧電部110が機械的エネルギーから開放された場合に圧電部110が生成した電気的エネルギーのピーク電圧の発生タイミングと、の時間差であってもよい。また、上記数式(1)において、Δtは、コンデンサ421の放電開始タイミングまたは放電終了タイミングと、コンデンサ422の放電開始タイミングまたは放電終了タイミングと、の時間差であってもよい。また、上記数式(1)において、Δtは、コンデンサ421が放電した電気的エネルギーのピーク電圧の発生タイミングと、コンデンサ422が放電した電気的エネルギーのピーク電圧の発生タイミングと、の時間差であってもよい。
【0059】
遅延時間決定部522は、マイクロコンピュータ300の起動時間を考慮して、遅延時間を決定してもよい。たとえば、Δtの算出に用いられる印加タイミングは、マイクロコンピュータ300が起動したタイミングであってもよい。また、算出した遅延時間ΔTからマイクロコンピュータ300の起動時間を減算した時間を、遅延時間として決定してもよい。これにより、マイクロコンピュータ300の起動所要時間が大きすぎて、印加タイミングを検出できない場合でも、遅延時間を決定できる。
【0060】
情報格納部530は、遅延時間格納部532およびタグ情報格納部534を有する。遅延時間格納部532は、遅延時間を格納する。たとえば、遅延時間格納部532は、物体の種類ごとに、遅延時間を対応付けて格納する。遅延時間格納部532は、物体の移動速度ごとに、遅延時間を対応付けて格納してもよい。また、遅延時間格納部532は、自律タグ100の設置場所ごとに、遅延時間を対応付けて格納してもよい。タグ情報格納部534は、無線発信部202が発信するタグ情報を格納する。
【0061】
図6は、自律タグ100が発する電波の伝播特性の一例を示す。図6において、路面610には、自律タグ100が埋め込まれている。方向Aは、路面610に対する平行方向を示す。方向Bは、路面610に対する垂直方向を示す。伝播特性600は、自律タグ100が発する電波の伝播特性を示す。自律タグ100は、路面610に対する垂直方向に強い指向性を有する電波を発することが好ましい。
【0062】
自律タグ100が発する電波としては、自律タグ100の利用目的に応じた、周波数帯のものを用いることが好ましい。たとえば、障害物、雨、雪に対する回り込み特性を考慮した周波数帯のものを用いることが好ましい。また、タグ情報の転送量、転送速度、到達距離を考慮した周波数帯のものを用いることが好ましい。また、人体への影響度を考慮した周波数帯のものを用いることが好ましい。
【0063】
電波の発信に用いるアンテナとしては、自律タグ100の利用目的に応じた、形状のものを用いることが好ましい。たとえば、指向性を考慮した形状のものを用いることが好ましい。たとえば、ループアンテナ、コイル型アンテナを用いてもよい。また、複数の方向にタグ情報を発信する必要がある場合は、自律タグ100に対して、それぞれタグ情報の発信方向が異なる、複数のアンテナを設けてもよい。
【0064】
図7は、自律タグ100の使用例を示す。図7において、高速道路の路面700には、自律タグ100が埋め込まれている。自動車710が自律タグ100を踏むことにより、自律タグ100は、タグ情報を発信する。自動車710には、タグ読取装置720が設けられている。タグ読取装置720は、自律タグ100から発信されたタグ情報を受信する。
【0065】
たとえば、タグ情報には、識別情報および自律タグ100の設置位置情報が含まれている。これにより、自動車710は、現在位置を特定できる。設置位置情報は、遠隔地に設置されたサーバ内に、識別情報と対応付けて格納されていてもよい。この場合、自動車710は、上記サーバとの通信をおこなうことにより、現在位置を特定できる。設置位置情報には、設置位置に依存する、地名、道路名、標識、制限速度、交差点名、道路情報などが含まれていてもよい。
【0066】
自律タグ100は、自動車710に踏まれた場合、すぐにタグ情報を発信するのではなく、遅延したタイミングでタグ情報を発信する。たとえば、自律タグ100は、当該自律タグ100の設置場所として「高速道路」を格納する。これにより、自律タグ100は、当該自律タグ100の設置場所「高速道路」に応じた遅延時間を決定する。そして、自律タグ100は、決定された遅延時間分遅延したタイミングでタグ情報を発信する。
【0067】
これにより、自律タグ100は、当該自律タグ100が発信したタグ情報が、自動車710のタイヤに遮蔽されることを回避できる。このため、自律タグ100は、タグ読取装置720に対する、タグ情報の伝達効率を向上できる。
【0068】
たとえば、自律タグ100は、10ms遅延したタイミングでタグ情報を発信する。自動車710が時速80kmで走行している場合、自律タグ100は、自動車710がおよそ22cm走行したタイミングで、タグ情報を発信できる。
【0069】
タグ読取装置720は、タグ読取装置のIDを発信する機能を有してもよい。自律タグ100は、タグ読取装置720から発信されたIDを受信した場合、タグ情報および受信したIDを、タグ読取装置720に対して発信してもよい。タグ読取装置720は、自身のIDと、自律タグ100から送信されたIDとを比較することにより、受信したタグ情報が、正しい自律タグ100から発信されたと判断できる。タグ読取装置720は、自身のIDと、自律タグ100から送信されたIDとが一致しない場合は、受信したタグ情報を破棄すればよい。
【0070】
自律タグ100は、一の物体(自動車、トラック、オートバイ、自転車、人など)から複数回踏まれる場合がある。たとえば、図7に示す例では、自動車710の前輪と後輪とによって2回踏まれる場合がある。このような場合、自律タグ100は、1台の自動車に踏まれたのか、2台の自動車に踏まれたのかを識別することができない。
【0071】
そこで、自律タグ100は、自動車710が当該自律タグ100を踏むごとに、タグ読取装置720のIDを、タグ読取装置720から受信してもよい。この場合、タグ読取装置720は、自律タグ100を踏むごとに、自身のIDを自律タグ100に送信する。たとえば、自動車710の最前輪近傍と最後輪近傍のそれぞれに対して、同一のIDを送信するタグ読取装置720を設置してもよい。
【0072】
自律タグ100は、タグ読取装置720から送信されたIDに基づいて、1台の自動車に踏まれたのか、2台の自動車に踏まれたのかを識別してもよい。自律タグ100は、このような識別方法を用いて、当該自律タグ100を踏んだ自動車の数、または一の自動車が当該自律タグ100を踏んだ回数をカウントする機能をさらに有してもよい。また、自律タグ100は、1台の自動車に踏まれたと識別した場合、最前輪に踏まれたタイミングと、最後輪に踏まれたタイミングとに基づいて、車のホイルベースの長さを計測する機能をさらに有してもよい。この場合、自律タグ100は、当該自律タグ100を踏んだ自動車の数を、ホイルベースの長さごとに分けてカウントする機能をさらに有してもよい。
【0073】
タグ読取装置720は、モニタまたはカーナビゲーションシステムと連動してもよい。たとえば、タグ読取装置720は、受信したタグ情報をモニタに表示させてもよい。また、タグ読取装置720は、受信した設置位置情報をカーナビゲーションシステムに供給してもよい。カーナビゲーションシステムは、供給された設置位置情報を用いて、現在位置を補正してもよい。
【0074】
自律タグ100は、タグ読取装置720のIDとタイムスタンプとを対応付けて、当該自律タグ100が有するメモリ、または遠隔地に設けられたサーバに格納してもよい。上記メモリまたは上記サーバに格納された情報は、自動車710の行動調査などに利用できる。
【0075】
また、自律タグ100は、当該自律タグ100が踏まれた回数を、当該自律タグ100が有するメモリ、または遠隔地に設けられたサーバに格納してもよい。また、自律タグ100は、当該自律タグ100が踏まれたごとの発電量または当該自律タグ100の総発電量を、上記メモリまたは上記サーバにさらに格納してもよい。上記メモリまたは上記サーバに格納された情報は、通行量調査、道路の劣化調査などに利用できる。
【0076】
図8は、圧電部110の構成の一例を示す。圧電部110は、積層された複数の圧電素子を有する。具体的には、圧電部110は、圧電素子802および圧電素子804を有する。また、圧電部110は、圧電素子802と圧電素子804との間に設けられた第1反発部材810を有する。
【0077】
第1反発部材810には、硬質の材質を用いることが好ましい。また、第1反発部材810には、反発係数≒1を満たす材質を用いることが好ましい。たとえば、第1反発部材810には、硬質のゴム、バネ、コルク、カーボンなどを用いることが好ましい。第1反発部材810には、物体の種類または自律タグ100の設置場所に応じた反発係数を有する材質を用いてもよい。
【0078】
図9は、圧電部110の発電特性の他の一例を示す。図9では、図8に示した圧電部110の発電特性を示す。図9に示すグラフにおいて、縦軸は、電圧を示す。また、横軸は、時間を示す。
【0079】
発電特性901は、圧電部110に機械的エネルギーが印加された場合に圧電素子802が生成した電気的エネルギーの発電特性を示す。また、発電特性902は、圧電部110が機械的エネルギーから開放された場合に圧電素子802が生成した電気的エネルギーの発電特性を示す。また、発電特性903は、圧電部110に機械的エネルギーが印加された場合に圧電素子804が生成した電気的エネルギーの発電特性を示す。また、発電特性904は、圧電部110が機械的エネルギーから開放された場合に圧電素子804が生成した電気的エネルギーの発電特性を示す。
【0080】
圧電素子802が受けた機械的エネルギーは、第1反発部材810を介して、圧電素子804に伝播する。このため、圧電素子804は、圧電素子802が発電を開始したタイミングから、第1反発部材810が介在する分、遅延したタイミングで発電を開始する。無線発信部202は、圧電素子802および圧電素子804によって順次生成された電気的エネルギーを順次用いて、タグ情報を連続的に発信してもよい。
【0081】
このように、複数の圧電素子の間に反発部材を設けることにより、圧電部110による発電時間を長時間化できる。これにより、無線発信部202によるタグ情報の発信時間を長時間化できる。なお、圧電素子の枚数、第1反発部材810の材質、形状、または枚数を調整することによって、圧電部110による発電時間を調整できる。
【0082】
図10は、回路ユニット200の構成の他の一例を示す。整流回路206は、第1整流回路910および第2整流回路920を有する。蓄電回路208は、第1蓄電回路930および第2蓄電回路940を有する。
【0083】
第1整流回路910は、ダイオード911、ダイオード912、ダイオード913、およびダイオード914を有する。第1蓄電回路930は、コンデンサ931、コンデンサ932、およびコンデンサ937を有する。また、第1蓄電回路930は、スイッチ933およびスイッチ934を有する。また、第1蓄電回路930は、ダイオード935およびダイオード936を有する。第1整流回路910は、スイッチ933およびスイッチ934の代わりに、シャントレギュレータなどによる定電圧回路を有してもよい。第1整流回路910が有する各ダイオードには、ショットキー・バリア・ダイオードを用いることが好ましい。
【0084】
ダイオード911のアノード端子は、圧電部110が有する圧電素子802の+極に接続される。ダイオード911のカソード端子は、コンデンサ931の+極に接続される。ダイオード912のアノード端子は、コンデンサ931の−極に接続される。ダイオード912のカソード端子は、圧電部110が有する圧電素子802の−極に接続される。
【0085】
ダイオード913のカソード端子は、圧電部110が有する圧電素子802の+極に接続される。ダイオード913のアノード端子は、コンデンサ932の−極に接続される。ダイオード914のカソード端子は、コンデンサ932の+極に接続される。ダイオード914のアノード端子は、圧電部110が有する圧電素子802の−極に接続される。
【0086】
スイッチ933の入力端子は、コンデンサ931の+極に接続される。スイッチ933の出力端子は、ダイオード935のアノード端子に接続される。ダイオード935のカソード端子は、コンデンサ937の+極に接続される。
【0087】
スイッチ934の入力端子は、コンデンサ932の+極に接続される。スイッチ934の出力端子は、ダイオード936のアノード端子に接続される。ダイオード936のカソード端子は、コンデンサ937の+極に接続される。
【0088】
また、第1整流回路910は、定電圧ダイオード915および定電圧ダイオード916を有する。定電圧ダイオード915および定電圧ダイオード916は、第1整流回路910内を流れる電気的エネルギーの電圧を安定化する。
【0089】
第2整流回路920は、ダイオード921、ダイオード922、ダイオード923、およびダイオード924を有する。第2蓄電回路940は、コンデンサ941およびコンデンサ942を有する。また、第2蓄電回路940は、スイッチ943およびスイッチ944を有する。また、第2蓄電回路940は、ダイオード945およびダイオード946を有する。第2整流回路920は、スイッチ943およびスイッチ944の代わりに、シャントレギュレータなどによる定電圧回路を有してもよい。第2整流回路920が有する各ダイオードには、ショットキー・バリア・ダイオードを用いることが好ましい。
【0090】
ダイオード921のアノード端子は、圧電部110が有する圧電素子804の+極に接続される。ダイオード921のカソード端子は、コンデンサ941の+極に接続される。ダイオード922のアノード端子は、コンデンサ941の−極に接続される。ダイオード922のカソード端子は、圧電部110が有する圧電素子804の−極に接続される。
【0091】
ダイオード923のカソード端子は、圧電部110が有する圧電素子804の+極に接続される。ダイオード923のアノード端子は、コンデンサ942の−極に接続される。ダイオード924のカソード端子は、コンデンサ942の+極に接続される。ダイオード924のアノード端子は、圧電部110が有する圧電素子804の−極に接続される。
【0092】
スイッチ943の入力端子は、コンデンサ941の+極に接続される。スイッチ943の出力端子は、ダイオード945のアノード端子に接続される。ダイオード945のカソード端子は、コンデンサ937の+極に接続される。
【0093】
スイッチ944の入力端子は、コンデンサ942の+極に接続される。スイッチ944の出力端子は、ダイオード946のアノード端子に接続される。ダイオード946のカソード端子は、コンデンサ937の+極に接続される。
【0094】
また、第2整流回路920は、定電圧ダイオード925および定電圧ダイオード926を有する。定電圧ダイオード925および定電圧ダイオード926は、第2整流回路920内を流れる電気的エネルギーの電圧を安定化する。
【0095】
上記した構成により、圧電部110に機械的エネルギーが印加された場合に圧電部110が有する圧電素子802が生成した電気的エネルギーは、コンデンサ931に蓄電される。一方、圧電部110が機械的エネルギーから開放された場合に圧電素子802が生成した電気的エネルギーは、コンデンサ932に蓄電される。
【0096】
また、圧電部110に機械的エネルギーが印加された場合に圧電部110が有する圧電素子804が生成した電気的エネルギーは、コンデンサ941に蓄電される。一方、圧電部110が機械的エネルギーから開放された場合に圧電素子804が生成した電気的エネルギーは、コンデンサ942に蓄電される。
【0097】
コンデンサ931の電圧が、予め定められた電圧を超えた場合、スイッチ933がONの状態となる。これにより、コンデンサ931に蓄電された電気的エネルギーは、コンデンサ937に蓄電される。同様に、コンデンサ932の電圧が、予め定められた電圧を超えた場合、スイッチ934がONの状態となる。これにより、コンデンサ932に蓄電された電気的エネルギーは、コンデンサ937に蓄電される。
【0098】
また、コンデンサ941の電圧が、予め定められた電圧を超えた場合、スイッチ943がONの状態となる。これにより、コンデンサ941に蓄電された電気的エネルギーは、コンデンサ937に蓄電される。同様に、コンデンサ942の電圧が、予め定められた電圧を超えた場合、スイッチ944がONの状態となる。これにより、コンデンサ932に蓄電された電気的エネルギーは、コンデンサ937に蓄電される。
【0099】
発信制御回路209は、マイクロコンピュータ950、定電圧回路960、基準電圧用定電圧回路970、および変調回路980を有する。マイクロコンピュータ950には、PIC12F67x、PIC12F68x、PIC12F673などのPIC(登録商標)を用いることができる。
【0100】
定電圧回路960は、コンデンサ937に蓄電された電気的エネルギーを安定化する。たとえば、定電圧回路960は、コンデンサ937から供給された電気的エネルギーを3Vに安定化する。定電圧回路960は、安定化された電気的エネルギーをマイクロコンピュータ950が有するVDDポートへ供給する。
【0101】
基準電圧用定電圧回路970は、定電圧回路960によって安定化された電気的エネルギーをさらに安定化する。具体的には、基準電圧用定電圧回路970は、定電圧回路960から供給された電気的エネルギーを、電圧測定用の基準電圧に安定化する。基準電圧は、電圧測定レンジおよび電圧低下検出回路の設定電圧よりも高く設定する必要がある。たとえば、電圧測定レンジが2V付近の場合、または電圧低下検出回路の設定電圧が2.3Vの場合、基準電圧を1.5V付近に設定するのであれば、一旦測定電圧を抵抗で分圧して基準電圧を超えないレンジで測定する必要がある。基準電圧用定電圧回路970は、安定化された電気的エネルギーをマイクロコンピュータ950が有する基準電圧GP1ポートへ供給する。
【0102】
マイクロコンピュータ950は、VDDポートおよび基準電圧GP1ポートを有する。たとえば、VDDポートは、2.0V−5.5Vの電気的エネルギーの入力を受け付ける。また、基準電圧GP1ポートは、1.5Vの電気的エネルギーの入力を受け付ける。基準電圧は、VDDから昇圧するよりも降圧する方が回路的に安定化しやすく、好ましいが、VSS=GND=アース=0V以上で無ければならない。
【0103】
VDDポートは、定電圧回路960によって安定化された電気的エネルギーの入力を受け付ける。基準電圧GP1ポートは、基準電圧用定電圧回路970によって安定化された電気的エネルギーの入力を受け付ける。マイクロコンピュータ950は、定電圧回路960および基準電圧用定電圧回路970から受け取った電気的エネルギーを用いて、タグ情報の発信および受信を制御する。
【0104】
マイクロコンピュータ950は、AN0ポート、AN4ポート、およびAN2ポートをさらに有する。また、マイクロコンピュータ950は、AN0ポート、AN1ポート、およびAN2ポートのそれぞれから入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換機能をさらに有する。
【0105】
AN2ポートは、定電圧回路960から供給された電気的エネルギーの入力を受け付ける。AN0ポートは、圧電部110に機械的エネルギーが印加された場合に圧電部110が有する圧電素子804が生成した電気的エネルギーの入力を受け付ける。AN0ポートは、コンデンサ941が放電した電気的エネルギーの入力を受け付けてもよい。
【0106】
AN4ポートは、圧電部110が機械的エネルギーから開放された場合に圧電部110が有する圧電素子804が生成した電気的エネルギーの入力を受け付ける。AN4ポートは、コンデンサ942が放電した電気的エネルギーの入力を受け付けてもよい。発信制御回路209は、AN0ポート、AN4ポート、およびAN2ポートのそれぞれに入力される電気的エネルギーが、基準電圧を超えたり、グランド以下となったりしないための、ダイオードをさらに有してもよい。
【0107】
変調回路980は、マイクロコンピュータ950が有するGP5ポートから出力された、タグ情報を示す搬送波を変調することにより、予め定められた周波数を有する、タグ情報を示す電波を生成する。変調回路980は、生成された電波を、無線発信部202に対して出力する。
【0108】
また、変調回路980は、無線受信部204から出力された、タグ情報を示す電波を復調することにより、タグ情報を示す搬送波を生成する。変調回路980は、生成した搬送波を、マイクロコンピュータ950に対して出力する。
【0109】
図11は、マイクロコンピュータ950の機能構成の他の一例を示す。マイクロコンピュータ950は、処理制御部1100、発信タイミング制御部1110、情報格納部1130、および電圧監視部1140を備える。
【0110】
処理制御部1100は、発信タイミング制御部1110、情報格納部1130、および電圧監視部1140を制御する。また、処理制御部1100は、当該処理制御部1100に対する各種入出力を制御する。具体的には、処理制御部1100は、定電圧回路960および基準電圧用定電圧回路970から供給された電気的エネルギーの入力を制御する。
【0111】
また、処理制御部1100は、無線発信部202に対するタグ情報の出力を制御する。具体的には、処理制御部1100は、変調回路980に対するタグ情報を示す搬送波の出力を制御する。また、処理制御部1100は、無線受信部204からのタグ情報の入力を制御する。具体的には、処理制御部1100は、変調回路980からのタグ情報を示す搬送波の入力を制御する。
【0112】
処理制御部1100は、タグ情報を示すアナログ信号を、無線発信部202に対して出力してもよい。また、処理制御部1100は、タグ情報を示すアナログ信号を、無線受信部204から入力してもよい。
【0113】
処理制御部1100は、定電圧回路960から供給された電気的エネルギーの入力電圧が予め定められた値よりも低くなった場合に、マイクロコンピュータ950をリセットするリセット機能を有する。処理制御部1100は、マイクロコンピュータ950の待機時には、マイクロコンピュータ950を省電力モードに切り換えるスリープ機能を有してもよい。たとえば、省電力モードにおいては、マイクロコンピュータ950は、何らかのトリガが入力されるまで、処理を待機してもよい。
【0114】
電圧監視部1140は、第1電圧監視部1141、第2電圧監視部1142、および第3電圧監視部1143を有する。第1電圧監視部1141は、AN2ポートの入力電圧、すなわち、定電圧回路960から供給された電気的エネルギーの入力電圧を監視する。
【0115】
第2電圧監視部1142は、AN0ポートの入力電圧、すなわち、圧電部110に機械的エネルギーが印加された場合に圧電部110が有する圧電素子804が生成した電気的エネルギーの入力電圧を監視する。第2電圧監視部1142は、コンデンサ941が放電した電気的エネルギーの入力電圧を監視してもよい。
【0116】
第3電圧監視部1143は、AN4ポートの入力電圧、すなわち、圧電部110が機械的エネルギーから開放された場合に圧電素子804が生成した電気的エネルギーの入力電圧を監視する。第3電圧監視部1143は、コンデンサ942が放電した電気的エネルギーの入力電圧を監視してもよい。
【0117】
発信タイミング制御部1110は、無線発信部202がタグ情報を発信するタイミングを制御する。具体的には、発信タイミング制御部1110は、遅延時間決定部1122が決定した遅延時間分遅延させたタイミングで、タグ情報格納部1134に格納されているタグ情報を無線発信部202に発信させる。
【0118】
発信タイミング制御部1110は、定電圧回路960から供給された電気的エネルギーの入力電圧が、予め定められた電圧以上の場合、タグ情報格納部1134に格納されているタグ情報を無線発信部202に発信させる。たとえば、発信タイミング制御部1110は、定電圧回路960から供給された電気的エネルギーの入力電圧が、2.5V以上の場合、タグ情報格納部1134に格納されているタグ情報を無線発信部202に発信させてもよい。
【0119】
発信タイミング制御部1110は、定電圧回路960から供給された電気的エネルギーの入力電圧が、予め定められた電圧以上を維持している間、タグ情報格納部1134に格納されているタグ情報を連続的に無線発信部202に発信させてもよい。また、発信タイミング制御部1110は、定電圧回路960から供給された電気的エネルギーの入力電圧が、予め定められた電圧以上となる度に、タグ情報格納部1134に格納されているタグ情報を無線発信部202に発信させてもよい。
【0120】
圧電部110が発電量には限りがある。このため、発信タイミング制御部1110は、遅延時間決定部1122が決定した遅延時間に達する前であっても、定電圧回路960から供給された電気的エネルギーの電圧が、予め定められている電圧以下に降下した場合は、強制的にタグ情報を無線発信部202に発信させてもよい。
【0121】
発信タイミング制御部1110は、物体特定部1112、および印加タイミング検出部1114を有する。また、発信タイミング制御部1110は、開放タイミング検出部1116、移動速度算出部1118、設置場所特定部1120、および遅延時間決定部1122を有する。
【0122】
設置場所特定部1120は、自律タグ100の設置場所を特定する。たとえば、設置場所特定部1120は、自律タグ100が設置されている道路の種類を特定する。たとえば設置場所特定部1120は、自律タグ100が設置されている道路の種類を、当該道路の種類が予め格納されているメモリから取得する。たとえば、設置場所特定部1120は、自律タグ100が設置されている自動車道路の種類として、高速道路または一般道路を特定する。
【0123】
物体特定部1112は、圧電部110に機械的エネルギーを印加した物体の種類を特定する。たとえば、物体特定部1112は、圧電部110に機械的エネルギーを印加した物体の種類として、自動車または歩行者を特定する。物体特定部1112は、圧電部110が生成した電気的エネルギーの電力量に基づいて、圧電部110に機械的エネルギーを印加した物体の種類を特定してもよい。
【0124】
印加タイミング検出部1114は、圧電部110に機械的エネルギーが印加された印加タイミングを検出する。たとえば、印加タイミング検出部1114は、予め定められた電圧よりも高い電圧を第2電圧監視部1142が検出したタイミングを、印加タイミングとして検出する。
【0125】
印加タイミング検出部1114は、圧電部110に機械的エネルギーが印加された場合に圧電素子804が生成した電気的エネルギーのピーク電圧の発生タイミングを、印加タイミングとして検出してもよい。また、印加タイミング検出部1114は、圧電部110に機械的エネルギーが印加された場合に圧電素子804が電気的エネルギーの生成を開始したタイミングを、印加タイミングとして検出してもよい。また、印加タイミング検出部1114は、圧電部110に機械的エネルギーが印加された場合に圧電素子804が電気的エネルギーの生成を終了したタイミングを、印加タイミングとして検出してもよい。
【0126】
印加タイミング検出部1114は、コンデンサ941が電気的エネルギーを放電したタイミングを印加タイミングとして検出してもよい。たとえば、印加タイミング検出部1114は、コンデンサ941が放電した電気的エネルギーのピーク電圧の発生タイミングを、印加タイミングとして検出してもよい。また、印加タイミング検出部1114は、コンデンサ941が電気的エネルギーの放電を開始したタイミングを印加タイミングとして検出してもよい。
【0127】
また、印加タイミング検出部1114は、コンデンサ941が電気的エネルギーの放電を終了したタイミングを、印加タイミングとして検出してもよい。たとえば、印加タイミング検出部1114は、コンデンサ941が放電した電気的エネルギーの電圧が略0Vとなったことを検出したタイミングを、印加タイミングとして検出してもよい。
【0128】
開放タイミング検出部1116は、圧電部110が機械的エネルギーから開放された開放タイミングを検出する。たとえば、開放タイミング検出部1116は、予め定められた電圧よりも高い電圧を第3電圧監視部1143が検出したタイミングを、開放タイミングとして検出する。
【0129】
開放タイミング検出部1116は、圧電部110が機械的エネルギーから開放された場合に圧電素子804が生成した電気的エネルギーのピーク電圧の発生タイミングを、開放タイミングとして検出してもよい。また、開放タイミング検出部1116は、圧電部110が機械的エネルギーから開放された場合に圧電素子804が電気的エネルギーの生成を開始したタイミングを、開放タイミングとして検出してもよい。
【0130】
また、開放タイミング検出部1116は、圧電部110が機械的エネルギーから開放された場合に圧電素子804が電気的エネルギーの生成を終了したタイミングを、開放タイミングとして検出してもよい。
【0131】
開放タイミング検出部1116は、コンデンサ942が電気的エネルギーを放電したタイミングを開放タイミングとして検出してもよい。たとえば、開放タイミング検出部1116は、コンデンサ942が放電した電気的エネルギーのピーク電圧の発生タイミングを、開放タイミングとして検出してもよい。また、開放タイミング検出部1116は、コンデンサ942が電気的エネルギーの放電を開始したタイミングを、開放タイミングとして検出してもよい。
【0132】
また、開放タイミング検出部1116は、コンデンサ942が電気的エネルギーの放電を終了したタイミングを、開放タイミングとして検出してもよい。たとえば、開放タイミング検出部1116は、コンデンサ942が放電した電気的エネルギーの電圧が略0Vとなったことを検出したタイミングを、開放タイミングとして検出してもよい。
【0133】
移動速度算出部1118は、圧電部110に機械的エネルギーを印加した物体の移動速度を算出する。たとえば、移動速度算出部1118は、印加タイミング検出部1114が検出した印加タイミングと、開放タイミング検出部1116が検出した開放タイミングとの時間差に基づいて、圧電部110に機械的エネルギーを印加した物体の移動速度を算出する。
【0134】
遅延時間決定部1122は、遅延時間を決定する。たとえば、遅延時間決定部1122は、物体特定部1112によって特定された物体の種類に応じた遅延時間を決定する。この場合、遅延時間決定部1122は、物体特定部1112によって特定された物体の種類に対応付けられている遅延時間を、遅延時間格納部1132から取得してもよい。
【0135】
遅延時間決定部1122は、移動速度算出部1118によって算出された物体の移動速度に応じた遅延時間を決定してもよい。この場合、遅延時間決定部1122は、移動速度算出部1118によって算出された物体の移動速度に対応付けられている遅延時間を、遅延時間格納部1132から取得してもよい。
【0136】
遅延時間決定部1122は、設置場所特定部1120が特定した自律タグ100の設置場所に応じた遅延時間を決定してもよい。この場合、遅延時間決定部1122は、自律タグ100の設置場所に対応付けられている遅延時間を、遅延時間格納部1132から取得してもよい。
【0137】
遅延時間決定部1122は、印加タイミング検出部1114が検出した印加タイミングと、開放タイミング検出部1116が検出した開放タイミングとの時間差に基づいて、遅延時間を算出してもよい。たとえば、遅延時間決定部1122は、印加タイミング検出部1114が検出した印加タイミングと、開放タイミング検出部1116が検出した開放タイミングとの時間差Δtに基づいて、以下の数式(2)を用いて、遅延時間ΔTを算出してもよい。
ΔT=a×Δt+b・・・(2)
【0138】
上記数式(2)において、aは、目的に応じた係数を示す。たとえば、aは、物体の種類または自律タグ100の設置場所に応じた係数であってもよい。bは、実験により得られた適度な固定値を示す。
【0139】
上記数式(2)において、Δtは、圧電部110に機械的エネルギーが印加された場合における圧電素子804の発電開始タイミングまたは発電終了タイミングと、圧電部110が機械的エネルギーから開放された場合における圧電素子804の発電開始タイミングまたは発電終了タイミングと、の時間差であってもよい。
【0140】
また、上記数式(2)において、Δtは、圧電部110に機械的エネルギーが印加された場合に圧電素子804が生成した電気的エネルギーのピーク電圧の発生タイミングと、圧電部110が機械的エネルギーから開放された場合に圧電素子804が生成した電気的エネルギーのピーク電圧の発生タイミングと、の時間差であってもよい。
【0141】
また、上記数式(2)において、Δtは、コンデンサ941の放電開始タイミングまたは放電終了タイミングと、コンデンサ942の放電開始タイミングまたは放電終了タイミングと、の時間差であってもよい。
【0142】
また、上記数式(2)において、Δtは、コンデンサ941が放電した電気的エネルギーのピーク電圧の発生タイミングと、コンデンサ942が放電した電気的エネルギーのピーク電圧の発生タイミングと、の時間差であってもよい。
【0143】
遅延時間決定部1122は、マイクロコンピュータ950の起動時間を考慮して、遅延時間を決定してもよい。たとえば、Δtの算出に用いられる印加タイミングは、マイクロコンピュータ300が起動したタイミングであってもよい。また、算出した遅延時間ΔTからマイクロコンピュータ300の起動時間を減算した時間を、遅延時間として決定してもよい。これにより、マイクロコンピュータ950の起動所要時間が大きすぎて、印加タイミングを検出できない場合でも、遅延時間を決定できる。
【0144】
圧電部110が発電量には限りがある。このため、上記数式(2)により算出された遅延時間ΔTが、予め定められている最大遅延可能時間より大きい場合は、遅延時間決定部1122は、最大遅延可能時間を遅延時間ΔTとして決定してもよい。なお、最大遅延可能時間は、メモリに予め格納されていてもよい。また、最大遅延可能時間は、圧電部110の発電量に応じて動的に算出されてもよい。
【0145】
情報格納部1130は、遅延時間格納部1132およびタグ情報格納部1134を有する。遅延時間格納部1132は、遅延時間を格納する。たとえば、遅延時間格納部1132は、物体の種類ごとに、遅延時間を対応付けて格納する。遅延時間格納部1132は、物体の移動速度ごとに、遅延時間を対応付けて格納してもよい。また、遅延時間格納部1132は、自律タグ100の設置場所ごとに、遅延時間を対応付けて格納してもよい。タグ情報格納部1134は、無線発信部202が発信するタグ情報を格納する。
【0146】
図12は、スイッチ回路の構成の一例を示す。具体的には、図12は、図10に示したスイッチ933、スイッチ934、スイッチ943、およびスイッチ944のそれぞれの構成の一例を示す。すなわち、図12に示すスイッチ回路は、図10に示したスイッチ933、スイッチ934、スイッチ943、およびスイッチ944のそれぞれと同一の構成を有してもよい。
【0147】
スイッチ回路は、抵抗1202、定電圧ダイオード1204、およびトランジスタ1206を有する。スイッチ回路は、定電圧ダイオード1204のツェナー電圧+トランジスタ1206のベース・エミッタ間飽和電圧を超えないように、出力電圧を制御する。たとえば、トランジスタ1206のベース・エミッタ間飽和電圧が1Vの場合、入力電圧が1V以上であれば、出力電圧が得られる。
【0148】
トランジスタ1206から、期待する電圧が得られない場合は、定電圧ダイオード1204とトランジスタ1206との間にダイオードを設けることにより、ダイオードの順方向飽和電圧効果を用いて、トランジスタ1206から得られる電圧を降下させてもよい。抵抗1202には、定電圧ダイオード1204から得られる電圧が安定化するように、適切な抵抗値を有するものを用いることが好ましい。
【0149】
図13は、圧電部110の構成の他の一例を示す。圧電部110は、積層された複数の圧電素子を有する。具体的には、圧電部110は、圧電素子1302、圧電素子1304、および圧電素子1306を有する。また、圧電部110は、圧電素子1302と圧電素子1304との間に設けられた第1反発部材1312を有する。また、圧電部110は、圧電素子1304と圧電素子1306との間であって、第1反発部材1312とは異なる層に設けられた第2反発部材1314を有する。
【0150】
第1反発部材1312および第2反発部材1314のそれぞれには、硬質の材質を用いることが好ましい。また、第1反発部材1312および第2反発部材1314のそれぞれには、反発係数≒1を満たす材質を用いることが好ましい。たとえば、第1反発部材1312および第2反発部材1314のそれぞれには、硬質のゴム、バネ、コルク、カーボンなどを用いることが好ましい。第1反発部材1312および第2反発部材1314のそれぞれには、物体の種類または自律タグ100の設置場所に応じた反発係数を有する材質を用いてもよい。
【0151】
第2反発部材1314は、第1反発部材1312と異なる物体の種類に応じた反発係数を有する材質を用いてもよい。すなわち、第2反発部材1314には、第1反発部材1312と反発係数が異なる材質を用いてもよい。たとえば、一方の反発部材には、歩行者に応じた反発係数を有する材質を用い、他方の反発部材には、自動車に応じた反発係数を有する材質を用いてもよい。この場合、自律タグ100は、複数の種類の物体のそれぞれに対して、適切に遅延されたタイミングで、タグ情報を発信できる。
【0152】
図14は、圧電部110の構成の他の一例を示す。圧電部110は、圧電素子1402を有する。また、圧電部110は、積層された複数の反発部材を有する。具体的には、圧電部110は、第1反発部材1412および第2反発部材1414を有する。
【0153】
第1反発部材1412および第2反発部材1414のそれぞれには、硬質の材質を用いることが好ましい。また、第1反発部材1412および第2反発部材1414のそれぞれには、反発係数≒1を満たす材質を用いることが好ましい。たとえば、第1反発部材1412および第2反発部材1414のそれぞれには、硬質のゴム、バネ、コルク、カーボンなどを用いることが好ましい。第1反発部材1412および第2反発部材1414のそれぞれには、物体の種類または自律タグ100の設置場所に応じた反発係数を有する材質を用いてもよい。
【0154】
第2反発部材1414は、第1反発部材1412と異なる物体の種類に応じた反発係数を有する材質を用いてもよい。すなわち、第2反発部材1414には、第1反発部材1412と反発係数が異なる材質を用いてもよい。この場合、自律タグ100は、複数の種類の物体のそれぞれに対して、適切に遅延されたタイミングで、タグ情報を発信できる。なお、第2反発部材1414には、第1反発部材1412と固有振動周波数が異なる材質を用いることが好ましい。
【0155】
また、一方の反発部材には、他方の反発部材の固有振動周波数の整数倍の固有振動周波数を有する材質を用いることが、発電時間を長期化する上で好ましい。特に、一方の反発部材には、他方の反発部材の固有振動周波数の2倍の固有振動周波数を有する材質を用いることが、発電時間を長期化する上で好ましい。
【0156】
このように、圧電部110は、一つの圧電素子を有してもよい。これにより、圧電部110の製造コストを削減できる。また、圧電部110は、積層された複数の反発部材を有してもよい。これにより、圧電部110による、電気的エネルギーの発電時間を長時間化できる。
【0157】
図15は、自律タグ100の構成の他の一例を示す。図15に示す自律タグ100は、圧電部110、制御ユニット120、保護部材130、無線発信部202、および無線受信部204を、収容および保護する円柱形状の容器1500を有する。また、無線発信部202および無線受信部204が、制御ユニット120から独立して設けられている。特に、無線発信部202および無線受信部204は、上下方向にタグ情報を受発信できるように設けられている。
【0158】
自律タグ100は、上方向から機械的エネルギーが印加された場合に、タグ情報を発信する。また、機械的エネルギーを印加した物体の方向である上方向に向かって、タグ情報を発信する。自律タグ100は、路面に埋め込まれる自律タグへの利用に適している。特に、当該自律タグ100が上部から物体に踏まれることにより、物体に向けてタグ情報を発信する自律タグへの利用に適している。なお、容器1500は、円柱形状に限らず、たとえば、タイル状、柱状、シール状、テープ状であってもよい。
【0159】
図16は、自律タグ100の構成の他の一例を示す。図16に示す自律タグ100は、圧電部110、制御ユニット120、保護部材130、および無線発信部202を、収容および保護する容器1600を有する。また、無線発信部202が、制御ユニット120から独立して設けられている。
【0160】
無線発信部202は、上下方向にタグ情報を発信できる環状のアンテナと、左右方向にタグ情報を発信できる環状のアンテナと、前後方向にタグ情報を発信できる環状のアンテナとの、3つのアンテナを有する。これにより、無線発信部202は、上下方向、左右方向、および前後方向のいずれの方向に対しても、タグ情報を発信できる。
【0161】
自律タグ100に対して上下方向から機械的エネルギーが印加された場合、容器1600は前後方向および左右方向に撓む。これにより、圧電部110は上下方向に圧縮されることにより発電する。また、左右方向から機械的エネルギーが印加された場合、容器1600が上下方向および前後方向に撓む。これにより、圧電部110は上下方向に伸張されることにより発電する。
【0162】
また、前後方向から機械的エネルギーが印加された場合、容器1600が上下方向および左右方向に撓む。これにより、圧電部110は上下方向に伸張されることにより発電する。このように、自律タグ100は、上下方向、左右方向、および前後方向のいずれの方向から機械的エネルギーが印加された場合であっても、タグ情報を発信できる。
【0163】
自律タグ100は、機械的エネルギーを印加した物体の方向に向けてタグ情報を発信してもよい。また、自律タグ100は、上下方向、左右方向、および前後方向の全ての方向に向けてタグ情報を発信してもよい。無線発信部202は、上下方向にタグ情報を発信できる環状のアンテナと、左右方向および前後方向にタグ情報を発信できる直線状のアンテナとの、二つのアンテナを有してもよい。容器1600は、球形状に限らず、たとえば、回転楕円体形状であってもよい。また、容器1600は、ボール、コークス、石などの形状を有するモックアップであってもよい。
【0164】
図17は、自律タグ100の構成の他の一例を示す。図17に示す自律タグ100は、球形状の保護部材130を有する。保護部材130は、圧電部110、制御ユニット120、および無線発信部202を保護する。また、保護部材130は、圧電部110、制御ユニット120、および無線発信部202が、飛散および浸水しないように、これらを包囲する。無線発信部202は、制御ユニット120から独立して設けられている。
【0165】
無線発信部202は、上下方向にタグ情報を発信できる環状のアンテナと、左右方向にタグ情報を発信できる環状のアンテナと、前後方向にタグ情報を発信できる環状のアンテナとの、3つのアンテナを有する。これにより、無線発信部202は、上下方向、左右方向、および前後方向のいずれの方向に対しても、タグ情報を発信できる。
【0166】
圧電部110は、円柱形状を有する。圧電部110の上面および下面のそれぞれには、押圧部材1700が設けられている。また、圧電部110の外周面上の、前方向、後方向、左方向、および右方向のそれぞれに対しても、押圧部材1700が設けられている。
【0167】
図17に示す自律タグ100に対して上下方向から機械的エネルギーが印加された場合、圧電部110の上面および下面に設けられた押圧部材1700は、圧電部110を上下方向から押圧する。これにより、圧電部110は上下方向に圧縮されることにより発電する。また、左右方向からの機械的エネルギーが印加された場合、圧電部110の外周面の左右方向に設けられた押圧部材1700は、圧電部110を左右方向から押圧する。これにより、圧電部110は左右方向に圧縮されることにより発電する。
【0168】
また、前後方向からの機械的エネルギーが印加された場合、圧電部110の外周面の前後方向に設けられた押圧部材1700は、圧電部110を前後方向から押圧する。これにより、圧電部110は前後方向に圧縮されることにより発電する。このように、自律タグ100は、上下方向、左右方向、および前後方向のいずれの方向から機械的エネルギーが印加された場合であっても、タグ情報を発信できる。
【0169】
自律タグ100は、機械的エネルギーを印加した物体の方向に向けてタグ情報を発信してもよい。また、自律タグ100は、上下方向、左右方向、および前後方向の全ての方向に向けてタグ情報を発信してもよい。無線発信部202は、上下方向にタグ情報を発信できる環状のアンテナと、左右方向および前後方向にタグ情報を発信できる直線状のアンテナとの、二つのアンテナを有してもよい。保護部材130は、球形状に限らず、たとえば、回転楕円体形状であってもよい。また、保護部材130は、ボール、コークス、石などの形状を有するモックアップであってもよい。
【0170】
図18は、自律タグ100の他の使用例を示す。図18において、歩道の路面1800には、複数の自律タグ100が埋め込まれている。歩行者1810が自律タグ100を踏むことにより、自律タグ100は、タグ情報を発信する。歩行者1810は、タグ読取装置1820を所持している。タグ読取装置1820は、自律タグ100から発信されたタグ情報を受信する。
【0171】
たとえば、タグ情報には、識別情報および自律タグ100の設置位置情報が含まれている。これにより、歩行者1810は、現在位置を特定できる。設置位置情報は、遠隔地に設置されたサーバ内に、識別情報と対応付けて格納されていてもよい。この場合、歩行者1810は、上記サーバとの通信をおこなうことにより、現在位置を特定できる。たとえば、路面1800に設置された自律タグ100を、視覚障害者誘導用ブロックとして利用できる。
【0172】
自律タグ100は、歩行者1810に踏まれた場合、すぐにタグ情報を発信するのではなく、遅延したタイミングでタグ情報を発信する。たとえば、自律タグ100には、当該自律タグ100の設置場所として「歩道」が格納されている。自律タグ100は、当該自律タグ100の設置場所「歩道」に応じた遅延時間を決定する。そして、自律タグ100は、決定された遅延時間分遅延したタイミングでタグ情報を発信する。
【0173】
これにより、自律タグ100が発信したタグ情報が、歩行者1810の靴に遮蔽されることを回避できる。このため、タグ読取装置1820に対する、タグ情報の伝達効率を向上できる。
【0174】
たとえば、自律タグ100は、200ms遅延したタイミングでタグ情報を発信する。歩行者1810が時速4kmで歩行している場合、自律タグ100は、歩行者1810がおよそ22cm歩行したタイミングで、タグ情報を発信できる。
【0175】
タグ読取装置1820は、タグ読取装置のIDを発信する機能を有してもよい。自律タグ100は、タグ読取装置1820から発信されたIDを受信した場合、タグ情報および受信したIDを、タグ読取装置1820に対して発信してもよい。タグ読取装置1820は、自身のIDと、自律タグ100から送信されたIDとを比較することにより、受信したタグ情報が、正しい自律タグ100から発信されたと判断できる。タグ読取装置1820は、自身のIDと、自律タグ100から送信されたIDとが一致しない場合は、受信したタグ情報を破棄すればよい。
【0176】
自律タグ100は、タグ読取装置1820のIDとタイムスタンプとを対応付けて、当該自律タグ100が有するメモリ、または遠隔地に設けられたサーバに格納してもよい。上記メモリまたは上記サーバに格納された情報は、歩行者1810の行動調査などに利用できる。
【0177】
また、自律タグ100は、当該自律タグ100が踏まれた回数を、当該自律タグ100が有するメモリ、または遠隔地に設けられたサーバに格納してもよい。また、自律タグ100は、当該自律タグ100が踏まれたごとの発電量または当該自律タグ100の総発電量を、上記メモリまたは上記サーバにさらに格納してもよい。上記メモリまたは上記サーバに格納された情報は、通行量調査、道路の劣化調査などに利用できる。
【0178】
路面1800には、複数の自律タグ100をランダムに設置してもよい。たとえば、複数の自律タグ100が混入された舗装材を用いて、路面1800を舗装する。この場合、図16および図17に示した自律タグ100のように、全方向にタグ情報を発信できる自律タグ100を用いることが好ましい。このような自律タグ100を用いることにより、複数の自律タグ100のそれぞれを適当な向きに設置した場合であっても、設置後の向き調整をおこなう必要がない。
【0179】
路面1800に設置された複数の自律タグ100のそれぞれに対しては、必要に応じて、自律タグ100の識別情報と位置情報との対応付けをおこなう。たとえば、読取位置を特定可能な状態で、自律タグ100を読み取る。そして、読み取ったタグ情報と、特定した読取位置を示す位置情報とを対応付けて、自律タグ100が有するメモリまたは遠隔地に設けられたデータベースに格納する。この場合、複数のタグ読取装置が設けられ、複数の自律タグ100に対して、上記対応付け処理を同時におこなうことが可能な装置を用いることが好ましい。
【0180】
他の利用例として、自律タグ100を、ユーザの靴底に設けてもよい。この場合、自律タグ100は、ユーザが歩行している間、タグ情報を発信し続けることができる。自律タグ100から発信されたタグ情報をサーバに蓄積してもよい。サーバに蓄積されたタグ情報は、歩行者の行動調査などに利用できる。
【0181】
また、自律タグ100を、ユーザの靴底に設け、認証カードとして用いてもよい。この場合、自律タグ100を、ユーザに対して認証カードをタグ読取装置にかざすなどの手間をかけさせることなく、タグ情報を発信できる。
【0182】
また、自律タグ100を、機器用のリモートコントローラとして利用してもよい。たとえば、エレベータの上昇ボタンおよび下降ボタンの代わりに、上昇用の自律タグ100および下降用の自律タグ100を、エレベータの乗降口に設置してもよい。たとえば、上昇用の自律タグ100が踏まれると、エレベータは、自律タグ100から発信された電波に基づいて、上昇ボタンが押下された場合と同様の動作をする。また、下降用の自律タグ100が踏まれると、エレベータは、自律タグ100から発信された電波に基づいて、下降ボタンが押下された場合と同様の動作をする。
【0183】
また、照明スイッチの代わりに、点灯用の自律タグ100および消灯用の自律タグ100を、部屋の入り口に設置してもよい。たとえば、点灯用の自律タグ100が踏まれると、照明が点灯する。また、消灯用の自律タグ100が踏まれると、照明が消灯する。
【0184】
また、自律タグ100を、巡回ロボットに対する、道程、指示装置として利用してもよい。たとえば、自律タグ100は、巡回ロボットに対して、タグ情報を発信することにより、現在位置、次に移動すべき移動先を特定させてもよい。また、自律タグ100は、巡回ロボットに対して、タグ情報を発信することにより、機器の操作を指示してもよい。また、自律タグ100は、巡回ロボットに代わって、機器に対して、タグ情報を発信することにより、機器をリモート操作してもよい。
【0185】
また、自律タグ100を用いて、物体の立体形状をスキャンしてもよい。たとえば、自律タグ100は、機械的エネルギーが印加された場合に、圧電部110によって生成された電気的エネルギーを用いて、可視光を発光する構成を有する。
【0186】
たとえば、自律タグ100を物体に向けて投げる。自律タグ100は、物体にぶつかると、可視光を発光する。そして、自律タグ100が発した可視光を3次元撮影する。これらを繰り返しおこなうことにより、物体の立体形状をスキャンできる。
【0187】
また、自律タグ100を、金融機関における認証装置として利用してもよい。たとえば、自律タグ100をATMの前に設置する。顧客は、多機能キャッシュカードなどの受発信機能付IDカードを予め保持する。自律タグ100は、顧客のIDカードから受信した個人認証情報をATMに送信する機能を備える。ATMは、自律タグ100から送信された個人認証情報を受信する手段を備える。
【0188】
たとえば、顧客がATM前の自律タグ100を踏むと、自律タグ100は、顧客のIDカードから送信された個人認証情報を受信する。そして、自律タグ100は、受信した個人認証情報を、個人認証情報をATMに送信する。このとき、自律タグ100は、必要であればATMが認識できるように個人認証情報を編集する。ATMでは、自律タグ100から受信した個人認証情報が正規の顧客の個人認証情報であれば、顧客によるATMの操作を可能とする。
【0189】
前記の受発信機能付IDカードは、ところ構わず発信してしまうと、個人情報の漏えいにより悪用されるリスクが高くなる。金融機関の店舗などに来店したときに、何らかの店舗内を示す信号受信して発信した場合も同様にリスクが高い。求める機能は、ATMに直面した瞬間だけ、セキュアな通信で発信し、ATMに顧客のID情報を送信する技術である。こうする事で、顧客がATMに直面したときには自らの専用画面(ログイン後の画面)を表示する事が可能となる。また、受発信機能付IDカードとは、携帯電話に組み込んだ電子的なキャッシュカード情報であってもよい。
【0190】
たとえば、顧客がATM前の自律タグ100を踏むと、自律タグ100は、顧客の受発信機能付IDカードに対し、顧客の個人情報を要求する信号を発信する。顧客の個人情報の要求を受信した受発信機能付IDカードは、自身の保有する顧客の個人情報(認証情報)を自律タグ100に送信する。この時の通信は、一般的な暗号化を施しても良い。たとえばSSLの相互認証(クライアント・サーバ認証)を使っても良い、この場合、サーバ側が自律タグ100で、クライアント側が顧客別の受発信機能付IDカードとなる。一連の処理で暗号化された顧客の個人情報を受信した自律タグ100は、その個人情報を検証しても良いし、そのまま、ATMに対し受発信機能付IDカードから取得した情報を転送しても良い。自律タグ100とATM間の通信も暗号化されていたほうが好ましい。ATMは、自律タグ100からの情報を受信して、真の本人検証(認証)を行い、本人であれば、ログイン後のメニュー画面を表示してもよい。NGであれば、再度アクションを指示するなどのアドバイスを行ってもよい。
【0191】
前記の認証方法は、ATMの認証に限定したものではない。たとえば、入退室時の認証で扉手前の床に自律タグ100を敷いてもよい。たとえば、たばこ自動販売機やお酒の販売機の手前に敷くことで、未成年者の個人情報をもつ受発信機能付IDカードを保有していれば、自動販売機の操作ができないように制御してもよい。更には、その個人情報を自動販売機での購入と同時に支払い決済に流用してもよい。また、ショップのレジ端末の前に立つと認証を行うようにしてもよいし、支払い決済の情報として流用してもよい。
【0192】
従来の方式でこれらの認証を行った場合では、顧客が自ら携帯するカード、端末を対象の認証システムに対して、かざしたり、投入したり、見せたりするわずらわしいアクションが発生したが、本案ではこれらを踏むアクションで実現できるので、そのわずらわしさを軽減できる。これにより、小額のスピードが求められる高回転決済では効果が期待できる。
【0193】
上記に加え、自律タグ100をATM周辺にさらに設置してもよい。たとえば、ATM周辺の自律タグ100は、踏まれることにより、何らかの情報をATMに送信する。ATMは、ATM周辺の自律タグ100から送信された情報を受信することにより、ATM周辺にATM利用者以外の人がいると認識する。ATMは、ATM周辺にATM利用者以外の人がいると認識した場合、当該ATMの利用安全性を高めるための制御をおこなう。たとえば、ATMは、当該ATMの利用を一時中止してもよい。
【0194】
また、自律タグ100を、金融機関における情報提供装置として利用してもよい。たとえば、複数の自律タグ100を、来客ゾーンの床に格子状に敷設する。そして、店舗入り口において、発信機能付きのカード、例えば番号札のようなものを来客者に保持させる。
【0195】
来客者が店舗内を移動するに従って、敷設された自律タグ100を踏まれた場合、踏まれた自律タグ100は、来客者が保持するカードに対して情報を発信する。自律タグ100が発信する情報は、店舗内の窓口を案内するガイド情報であってもよい。また、自律タグ100が発信する情報は、来店目的毎に必要な金融商品情報などであってもよい。この場合、自律タグ100は、来客者が保持するカードから来店目的を示す情報を受信することにより、来店目的を判断する。
【0196】
金融機関は、来店目的を示す情報があらかじめ記録されているカードを来店目的ごとに用意しておいてもよい。また、来客者にカードを保持させる場合に、カードライターなどを用いて来客者の来店目的を示す情報をカードに書き込むようにしてもよい。
【0197】
自律タグ100は、自律タグ100に格納されているプログラムおよびデータを、外部からの制御によって更新できるデータ更新機能を有してもよい。これにより、自律タグ100が設置された後に、不具合、仕様変更、機能追加などが生じた場合であっても、自律タグ100に格納されているプログラムおよびデータを容易に更新できる。
【0198】
たとえば、自律タグ100に対して、自律タグ100に対するプログラムおよびデータの更新を制御する更新制御部を設ける。更新制御部は、自律タグ100に対する機械的エネルギーの印加パターンを監視する。たとえば、更新制御部は、予め定められた印加パターンの機械的エネルギーが印加されたことを検出した場合、検出した印加パターンに応じて、自律タグ100に対するプログラムおよびデータの更新を制御する。
【0199】
印加パターンは、制御用印加パターンおよびデータ用印加パターンを有する。制御用印加パターンは、第1制御用印加パターン、第2制御用印加パターン、第3制御用印加パターン、および第4制御用印加パターンを含む。
【0200】
第1制御用印加パターンは、自律タグ100に対する充電を指示する。たとえば、第1制御用印加パターンが印加された場合、自律タグ100は、発電および蓄電をおこなう。第1制御用印加パターンが印加された場合、自律タグ100は、タグ情報を発信しない。
【0201】
第2制御用印加パターンは、自律タグ100が有する複数の機能モードの切り換えを指示する。たとえば、自律タグ100は、第2制御用印加パターンが印加された場合、タグ実行モード、保守モード、および認証モードを切り換える。
【0202】
自律タグ100は、タグ実行モードにある場合、通常の自律タグ100として機能する。すなわち、機械的エネルギーが印加された場合、タグ情報を発信する。自律タグ100は、認証モードにある場合、自律タグ100に対するユーザのログインを認証する。
【0203】
たとえば、自律タグ100は、ユーザ名およびパスワードのログイン情報の入力を受け付ける。そして、自律タグ100は、入力されたログイン情報と、当該自律タグ100に格納されているログイン情報とに基づいて、ユーザのログインを認証する。ユーザは、ログインが許可されることで、自律タグ100を、保守モードに切り換えることができる。
【0204】
自律タグ100は、保守モードにある場合、プログラムおよびデータの更新を受け付ける。すなわち、保守モードにある場合、第3制御用印加パターン、第4制御用印加パターン、およびデータ用印加パターンの入力が有効化される。
【0205】
第3制御用印加パターンは、データ更新対象とするアドレスを指示する。第4制御用印加パターンは、データ更新種類を指示する。たとえば、第4制御用印加パターンは、第3制御用印加パターンによって支持されたアドレスに対する、登録、更新、参照、または削除を指示する。
【0206】
データ用印加パターンは、第3制御用印加パターンによって指示されたアドレスに対する、更新データの入力を指示する。データ用印加パターンは、文字ごとに設けられる。たとえば、データ用印加パターンは、16進数の表現に用いられる文字である、0−9およびA−Fのそれぞれの文字ごとに設けられる。データ用印加パターンは、モールス符号を用いて文字を表現してもよい。このため、制御用印加パターンには、モールス符号に用いられていないパターンを用いることが好ましい。
【0207】
自律タグ100は、保守モードから実行モードに切り換えられた場合、マイクロコンピュータをリセットしてもよい。また、強制的にユーザをログアウトさせてもよい。また、自律タグ100は、当該自律タグ100に格納されているログイン情報のパスワードを変更する機能を有してもよい。
【0208】
この場合、自律タグ100は、過去のパスワードによる、ユーザのログインを許可してもよい。たとえば、自律タグ100は、直近の二世代までのパスワードであれば、ユーザのログインを許可してもよい。これにより、ユーザは、パスワードの変更をミスした場合、パスワードの直近のパスワードを忘れてしまった場合であっても、ログインできる。
【0209】
また、自律タグ100は、タグ情報の発信回数を制御する機能をさらに有してもよい。たとえば、発信タイミング制御部510に対して、発信回数制御部をさらに設ける。発信回数制御部は、外部から入力された送信要求に応じてタグ情報の発信回数を制御する。
【0210】
たとえば、発信回数制御部は、自律タグ100に印加された機械的エネルギーの印加パターンに応じて、タグ情報の発信回数を制御する。発信回数制御部は、外部から送信された送信要求信号を無線受信部204が受信した場合、受信した送信要求信号に応じて、タグ情報の発信回数を制御してもよい。
【0211】
たとえば、発信回数制御部は、N回の機械的エネルギーが印加された場合、タグ情報をN回発信するように、タグ情報の発信回数を制御してもよい。また、所定のN回の機械的エネルギーが印加された場合、N回分のタグ情報をまとめて所定のM回にして発信するように、タグ情報の発信を制御してもよい。たとえば、所定のN回の機械的エネルギーが印加された場合、N回分のタグ情報をまとめて1回発信するように、タグ情報の発信を制御してもよい。
【0212】
自律タグ100が、過密な人通りの横断歩道、通路に複数設置されている場合がある。このような場合、自律タグ100は、数秒程度の間に複数の人によって、何回も踏まれる可能性が高い。このような場合、自律タグ100が踏まれるごとにタグ情報を発信してしまうと、発信した電波が輻輳してしまい、タグ読取装置がタグ情報をうまく受信できない場合がある。そこで、上記したように、所定のN回の機械的エネルギーが印加された場合、N回分のタグ情報をまとめて1回またはM回発信するように、発信回数を制御することにより、複数の受信者に対する、タグ情報の伝達効率を向上できる。
【0213】
自律タグ100は、N回分のタグ情報を全てまとめて発信してもよく、N回分のタグ情報のそれぞれに共通する情報をまとめて発信してもよい。たとえば、後者の場合、自律タグ100は、N回分のタグ情報に、会社の秘密情報、暴力的な情報、公開情報が混在する場合であっても、それぞれの情報から共通する情報を抽出して、抽出した情報をまとめて発信する。
【0214】
また、自律タグ100は、発信するタグ情報の内容を制御する機能をさらに有してもよい。たとえば、発信タイミング制御部510に対して、発信内容制御部をさらに設ける。発信内容制御部は、外部から入力された送信要求に応じて発信するタグ情報の内容を制御する。
【0215】
たとえば、発信内容制御部は、自律タグ100に印加された機械的エネルギーの印加パターンに応じて、発信するタグ情報の内容を制御する。発信内容制御部は、機械的エネルギーが印加された回数に応じて、発信するタグ情報の内容を制御してもよい。発信内容制御部は、外部から送信された送信要求信号を無線受信部204が受信した場合、受信した送信要求信号に応じて、発信するタグ情報の内容を制御してもよい。発信内容制御部は、送信要求信号を受信した回数に応じて、発信するタグ情報の内容を制御してもよい。
【0216】
自律タグ100は、人物に踏まれた回数に応じた量の情報を、人物に対して提供する機能を有してもよい。この場合、自律タグ100を、遊具施設、博物館などでの体を使った学習装置、検索装置などとして用いることができる。
【0217】
自律タグ100は、蓄積された電気的エネルギーを用いて、任意のタイミングでタグ情報を自発的に発信してもよい。これにより、たとえば、自律タグ100が物体に踏まれなくとも、物体に設けられたタグ読取装置に対して、タグ情報を自発的に送信できる。たとえば、自律タグ100は、蓄積された電気的エネルギーを用いて、所定の時刻にタグ情報を自発的に発信してもよい。たとえば、ショッピングモールにおいて、セール会場に誘導する情報を含むタグ情報を、所定の時刻に発信するなど、一時的に人物を所定の場所に誘導する目的に利用できる。この場合、自律タグ100は、踏まれたことにより発信したのか、自発的に発信したのかを区別するための識別情報を、タグ情報に含めてもよい。
【0218】
そこで、自律タグ100は、タグ情報の発信先のユーザを認証するユーザ認証機能、および認証したユーザに応じて発信するタグ情報の内容をフィルタリングするフィルタリング機能を有してもよい。たとえば、自律タグ100は、タグ読取装置から受信したユーザID、パスワードなどのユーザ情報を用いて、ユーザを認証してもよい。また、自律タグ100は、PKI相互認証技術を用いて、ユーザを認証してもよい。たとえば、自律タグ100は、ルート証明書を保持し、タグ読み取り装置に、個人証明書を保持させることにより、PKI相互認証技術を用いて、ユーザを認証してもよい。
【0219】
これにより、自律タグ100は、適切な対象にのみ必要な情報を発信することができる。たとえば、特定の人にしか教えたくないスタッフルームの位置情報、バッファオーバー攻撃などを用いたタグ情報のウィルス、子供が公序良俗に反した欲しない情報など、不特定多数のユーザに容易に開示したくない情報、受信する第三者が欲していない情報を含む場合であっても、自律タグ100は、特定多数のユーザに対して、タグ情報を発信できる。
【0220】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0221】
【図1】実施形態に係る自律タグ100の構成の一例を示す。
【図2】圧電部110および制御ユニット120の構成の一例を示す。
【図3】回路ユニット200の構成の一例を示す。
【図4】圧電部110の発電特性の一例を示す。
【図5】マイクロコンピュータ300の機能構成の一例を示す。
【図6】自律タグ100が発する電波の伝播特性の一例を示す。
【図7】自律タグ100の使用例を示す。
【図8】圧電部110の構成の一例を示す。
【図9】圧電部110の発電特性の一例を示す。
【図10】回路ユニット200の構成の他の一例を示す。
【図11】マイクロコンピュータ950の機能構成の他の一例を示す。
【図12】スイッチ回路の構成の一例を示す。
【図13】圧電部110の構成の他の一例を示す。
【図14】圧電部110の構成の他の一例を示す。
【図15】自律タグ100の構成の他の一例を示す。
【図16】自律タグ100の構成の他の一例を示す。
【図17】自律タグ100の構成の他の一例を示す。
【図18】自律タグ100の他の使用例を示す。
【符号の説明】
【0222】
100 自律タグ
110 圧電部
120 制御ユニット
130 保護部材
200 回路ユニット
202 無線発信部
204 無線受信部
206 整流回路
208 蓄電回路
209 発信制御回路
211 接続線
212 接続線
213 接続線
214 接続線
215 接続線
300 マイクロコンピュータ
310 変調回路
401 発電特性
402 発電特性
411 ダイオード
412 ダイオード
413 ダイオード
414 ダイオード
421 コンデンサ
422 コンデンサ
423 スイッチ
424 スイッチ
500 処理制御部
510 発信タイミング制御部
512 物体特定部
514 印加タイミング検出部
516 開放タイミング検出部
518 移動速度算出部
520 設置場所特定部
522 遅延時間決定部
530 情報格納部
532 遅延時間格納部
534 タグ情報格納部
600 伝播特性
610 路面
700 路面
710 自動車
720 タグ読取装置
802 圧電素子
804 圧電素子
810 第1反発部材
901 発電特性
902 発電特性
903 発電特性
904 発電特性
910 第1整流回路
911 ダイオード
912 ダイオード
913 ダイオード
914 ダイオード
915 定電圧ダイオード
916 定電圧ダイオード
920 第2整流回路
921 ダイオード
922 ダイオード
923 ダイオード
924 ダイオード
925 定電圧ダイオード
926 定電圧ダイオード
930 第1蓄電回路
931 コンデンサ
932 コンデンサ
933 スイッチ
934 スイッチ
935 ダイオード
936 ダイオード
937 コンデンサ
940 第2蓄電回路
941 コンデンサ
942 コンデンサ
943 スイッチ
944 スイッチ
945 ダイオード
946 ダイオード
950 マイクロコンピュータ
960 定電圧回路
970 基準電圧用定電圧回路
980 変調回路
1100 処理制御部
1110 発信タイミング制御部
1112 物体特定部
1114 印加タイミング検出部
1116 開放タイミング検出部
1118 移動速度算出部
1120 設置場所特定部
1122 遅延時間決定部
1130 情報格納部
1132 遅延時間格納部
1134 タグ情報格納部
1140 電圧監視部
1141 第1電圧監視部
1142 第2電圧監視部
1143 第3電圧監視部
1202 抵抗
1204 定電圧ダイオード
1206 トランジスタ
1302 圧電素子
1304 圧電素子
1306 圧電素子
1312 第1反発部材
1314 第2反発部材
1402 圧電素子
1412 第1反発部材
1414 第2反発部材
1500 容器
1600 容器
1700 押圧部材
1800 路面
1810 歩行者
1820 タグ読取装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的エネルギーから電気的エネルギーを生成する圧電部と、
前記圧電部によって生成された電気的エネルギーを用いて、タグ情報を発信する無線発信部と、
前記無線発信部が前記タグ情報を発信するタイミングを制御する発信タイミング制御部と
を備える自律タグ。
【請求項2】
前記発信タイミング制御部は、前記無線発信部が前記タグ情報を発信する回数をさらに制御する請求項1に記載の自律タグ。
【請求項3】
前記発信タイミング制御部は、前記無線発信部が発信する前記タグ情報の内容をさらに制御する請求項1に記載の自律タグ。
【請求項4】
前記圧電部に機械的エネルギーを印加した物体に関する所定の条件を特定する物体特定部と、
前記物体特定部によって特定された前記物体に応じた遅延時間を決定する遅延時間決定部と
をさらに備え、
前記発信タイミング制御部は、前記遅延時間決定部が決定した遅延時間分遅延させたタイミングで、前記タグ情報を前記無線発信部に発信させる請求項1に記載の自律タグ。
【請求項5】
前記物体特定部は、前記所定の条件として、前記圧電部に機械的エネルギーを印加した物体の種類を特定する請求項4に記載の自律タグ。
【請求項6】
前記物体特定部は、前記所定の条件として、前記圧電部に機械的エネルギーを印加した物体の設置場所を特定する請求項4に記載の自律タグ。
【請求項7】
前記物体特定部は、前記所定の条件として、前記圧電部に機械的エネルギーを印加した物体の設置目的を特定する請求項4に記載の自律タグ。
【請求項8】
前記物体の移動速度を算出する移動速度算出部
をさらに備え、
前記遅延時間決定部は、前記移動速度算出部によって算出された前記物体の移動速度にさらに応じた遅延時間を決定する請求項5に記載の自律タグ。
【請求項9】
前記圧電部に機械的エネルギーが印加された印加タイミングを検出する印加タイミング検出部と、
前記圧電部が機械的エネルギーから開放された開放タイミングを検出する開放タイミング検出部と
をさらに備え、
前記移動速度算出部は、前記印加タイミングと前記開放タイミングとの時間差に基づいて、前記物体の移動速度を算出する請求項8に記載の自律タグ。
【請求項10】
前記圧電部は、
積層された複数の圧電素子
を有し、
前記無線発信部は、前記複数の圧電素子によって順次生成された電気的エネルギーを順次用いて、前記タグ情報を連続的に発信する請求項9に記載の自律タグ。
【請求項11】
前記圧電部は、前記複数の圧電素子の間に設けられた第1反発部材をさらに有する請求項10に記載の自律タグ。
【請求項12】
前記圧電部は、前記複数の圧電素子の間の前記第1反発部材とは異なる層に設けられ、前記第1反発部材と材質が異なる第2反発部材をさらに有する請求項11に記載の自律タグ。
【請求項13】
前記複数の圧電素子とともに積層された回路基板をさらに備え
前記無線発信部は、前記回路基板上に設けられる請求項12に記載の自律タグ。
【請求項14】
機械的エネルギーから電気的エネルギーを生成する圧電部と、
前記圧電部によって生成された電気的エネルギーを用いて、タグ情報を発信する無線発信部と、
を備え、
前記圧電部は、積層された複数の圧電素子と、前記複数の圧電素子の間に設けられた第1反発部材とを有し、
前記無線発信部は、前記複数の圧電素子によって順次生成された電気的エネルギーを順次用いて、前記タグ情報を連続的に発信する自律タグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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