説明

自律移動ロボット及びその収納庫の操作者の撮像方法

【課題】 収納庫の施錠・解錠を行った操作者の容姿を確実に撮像して記録することができる自律移動ロボットを提供する。
【解決手段】 自律移動ロボット1の周囲に存在する障害物の有無を検出可能なセンシング手段2と、自律移動ロボット1の移動する範囲内の地図を記憶する記憶手段3と、自律移動ロボット1が移動するための移動機構4と、移動機構4を制御する制御部5と、施錠・解錠が可能な収納庫6と、収納庫6の施錠・解錠の操作を行った操作者の容姿を撮像するための撮像手段8と、撮像手段8で撮像された画像を記録する画像記録手段9とを自律移動ロボット1に備える。収納庫6の施錠・解錠の操作を行う際に、その操作者の容姿を撮像手段8で撮像した画像と、同地点において操作者が存在しない状態で撮像された画像とを比較することによって、収納庫6の施錠・解錠の操作を行った操作者の容姿を撮像手段8で確実に撮像したか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動的に移動して物品の搬送を行うための自律移動ロボット及び自律移動ロボットに設けた収納庫に施錠あるいは解錠する操作者を撮像する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、無人状態で自動走行可能な自律移動ロボットを物品の搬送に用いることが行われているが(例えば、特許文献1参照)、病院やオフィスあるいは公共施設などの一般の人々が利用する施設のなかで、上記のような自律移動ロボットで物品を搬送する場合、物品の紛失等を防止する目的で、自律移動ロボットに物品を収納するための収納庫を設けると共にこの収納庫を施錠可能なものとすることが一般的に行われている。そして、このような場合の収納庫の施錠・解錠の方式としては、登録された操作者の氏名もしくはそれに代わる名称や番号と暗証番号やパスワードとの組合せが一致することで、施錠・解錠を行うものが採用されていた。
【0003】
しかしながら、自律移動ロボットは移動するために、人が多数存在する開かれた空間で施錠・解錠の操作をすることが多く、暗証番号やパスワードが盗み見される可能性が高かった。そこで、自律移動ロボットにカメラを装備し、操作者が自律移動ロボットを操作するのと同時に、操作者の容姿を撮像することで、心理的に盗み見された暗証番号やパスワードを使用しにくくするような対策が考えられるが、撮像された操作者の画像が常に操作者の容姿を確実に捕えたものとならない場合があった。
【特許文献1】特開平11−353023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、収納庫の施錠・解錠を行った操作者の容姿を確実に撮像して記録することができる自律移動ロボット及び自律移動ロボットの収納庫の操作者の撮像方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の自律移動ロボット1は、周囲に存在する障害物の有無を検出可能なセンシング手段2と、移動する範囲内の地図を記憶する記憶手段3と、移動するための移動機構4と、移動機構4を制御する制御部5と、施錠・解錠が可能な収納庫6と、収納庫6の施錠・解錠の操作を行った操作者の容姿を撮像するための撮像手段8と、撮像手段8で撮像された画像を記録する画像記録手段9とを備え、収納庫6の施錠・解錠の操作を行う際に、その操作者の容姿を撮像手段8で撮像した画像と、同地点において操作者が存在しない状態で撮像された画像とを比較することによって、収納庫6の施錠・解錠の操作を行った操作者の容姿を撮像手段8で確実に撮像したか否かを判断するための撮像手段制御部9bを具備して成ることを特徴とするものである。
【0006】
本発明にあっては、複数個の撮像手段8、8…を備え、収納庫6の施錠・解錠の操作を行った操作者を各撮像手段8で異なる方向から撮像することによって、いずれかの撮像手段8で操作者の正面の容姿を撮像可能に形成するのが好ましい。
【0007】
また、本発明にあっては、センシング手段2により操作者が撮像手段8で撮像可能な位置に存在するか否かを検出するのが好ましい。
【0008】
本発明の自律移動ロボットの収納庫の操作者の撮像方法は、上記いずれかに記載の自律移動ロボット1の撮像手段8で収納庫6の操作者を撮像するにあたって、収納庫6の施錠・解錠の操作を行う地点において、操作者の背方に識別パターンを設けることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、収納庫6の施錠・解錠の操作を行った操作者の容姿を撮像手段8で確実に撮像したか否かを撮像手段制御部9bで判断することができ、操作者の容姿が確実に捕えられていない状態の画像が画像記録手段9に記録されないようにすることができて、収納庫6の施錠・解錠を行った操作者の容姿を確実に撮像して記録することができるものであり、この結果、暗証番号やパスワードを盗み見した者が、収納庫6に物品を収納した者(操作者)になりすまして収納庫6の施錠・解錠を行わないように心理的に抑制することができ、搬送している物品の紛失や盗難を間接的に防止することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0011】
本発明の自律移動ロボット1は作業環境や状況に適応して自らの判断で自律的に目的地まで移動しながら行動する移動装置(ロボットシステム)であり、図2(a)に示すような外観を有するものを例示することができる。この自律移動ロボット1はボディ20、車輪21、車載カメラ22、センサ23などを備えて形成されている。
【0012】
ボディ20は金属などで形成されるものであって、その内部には後述する制御部5、記憶手段3、画像記録手段9などを構成する電子機器が内蔵されている。また、ボディ20にはバッテリーなどの電源も内蔵されている。尚、上記電子機器は筐体に納めてまとめた状態にしてボディ20に格納するのが好ましい。
【0013】
車輪21はボディ20の下部に複数個設けられている。これらすべての車輪21をモータ24で回転駆動させる駆動輪とすることができるが、例えば、2個の車輪21を駆動輪として形成し、その他の車輪21を駆動しない補助輪として形成することも可能である。この場合、2個の駆動輪を同方向に回転駆動することで自律移動ロボット1を前進後退させることができ、2個の駆動輪を逆方向に回転駆動することで自律移動ロボット1をその場で回転させて方向転換することができる。また、補助輪はボディ20を安定して支持するために、ボディ20の前後に2個以上設けるようにするのが好ましい。
【0014】
車載カメラ22は撮像手段8としてボディ20の上部に設けられるものであって、CCDあるいはCMOSセンサなどの撮像素子を備えたカメラを用いることができる。車載カメラ22は1個でもよいが、複数個設けるのが好ましく、この場合、各車載カメラ22、22…で異なる方向から操作者を撮像することが可能となるように、各車載カメラ22を自律移動ロボット1の後側で自律移動ロボット1の後方に向けて配置されている。
【0015】
センサ23はセンシング手段2としてボディ20の外面に複数個設けられている。これらセンサ23は主に自律移動ロボット1の周囲に存在する人や障害物などを検知して自律移動ロボット1との距離を測定する測距センサとして構成されている。このようなセンサ23としては、例えば、レーザレーダ23aや超音波センサ23bなどを用いることができるが、この場合、レーザレーダ23aはボディ20の前側で下部外面に装備し、超音波センサ23bは車載カメラ22の死角になり易いボディ20の外面全体に複数個装備することができる。
【0016】
ボディ20の内部スペースは収納庫6として形成されており、この収納庫6はボディ20の外面(後面)に設けた扉6aにより開閉自在に形成されている。
【0017】
図2において、40はタッチパネルであって、ボディ20の上部に設けられている。このタッチパネル40は回転台41の上に設置されており、自律移動ロボット1の前方、後方、側方のいずれの方向にも向けることが可能なように回転自在に形成されている。また、タッチパネル40はユーザーインターフェースであって、これを操作することにより操作者が目的地の設定や扉6aの施錠・解錠の操作を行うように形成されている。尚、回転台41に上記車載カメラ22を取り付けて、タッチパネル40の向きと車載カメラ22の撮像方向を同じになるように連動させてもよいが、車載カメラ22は回転台41に取り付けず、ボディ20に固定して自律移動ロボット1の後方のみを撮像するようにしてもよい。また、図2(a)ではタッチパネル40は操作面が後向きになっているが、自律移動ロボット1が前側に向って移動するときには、タッチパネル40の操作面は前向きになっている。
【0018】
図1に自律移動ロボット1のブロック図を示す。制御部5は移動機構4の動作を制御するためのものであって、例えば、CPU、ROM、RAM及びこれらに格納されるプログラムなどを備えたマイクロコンピュータを用いることができる。この制御部5は、モータ24を制御するためのモータ制御部5aと、センシング手段2で得られるデータを演算等するためのセンサ計測部5bと、地図を記憶する地図記憶部5cとを備えて構成されている。地図記憶部5cは自律移動ロボット1の移動する範囲内の地図を予め記憶する記憶手段3として用いられるものである。
【0019】
移動機構4は上記車輪21と複数個のモータ24及び各モータ24に接続されるエンコーダ25とを備えて形成されるものである。モータ24は上記モータ制御部5aにより駆動開始停止や変位量(回転量)などが制御されるものであり、これにより、各モータ24に接続される車輪21の回転量などを制御することができる。エンコーダ25はモータ24の変位量を電子的デジタル量として検出するものであり、エンコーダ25で得られるデータは上記制御部5に入力されるようになっている。そして、制御部5はエンコーダ25から入力されたデータを演算等することによって、自律移動ロボット1の移動量や移動方向や現在位置等を判断するようになっている。
【0020】
画像記録手段9は、撮像手段8である車載カメラ22で撮像された画像を記録するためのものであって、例えば、CPU、ROM、RAM及びこれらに格納されるプログラムなどを備えたマイクロコンピュータを用いることができる。この画像記録手段9は、車載カメラ22で撮像された画像を記録する記録部9aと、記録部9aに対する画像の入出力や撮像手段8の動作などを制御するための撮像手段制御部9bとを備えて構成されている。尚、記録部9aに記録された画像はタッチパネル40をディスプレイとして用いるなど、各種インターフェースを通じて取り出し可能及び視認可能に形成されている。
【0021】
収納庫6には収納庫6の扉6aに対して施錠・解錠を行うために収納庫施錠解錠部31と、扉6aの開閉を検出するための開閉検出センサ32が設けられている。収納庫施錠解錠部31としては、例えば、電磁ソレノイドを用いることができる。これは、電気コイルに電気が流れることで棒状のピンがスライド移動する機構になっており、扉6aが閉じた状態で、このピンがスライド移動して突出することで、門の閂(かんぬき)のような働きをし、収納庫6の扉6aが開かないようになり、施錠の状態を実現するものである。逆に、上記ピンがスライド移動して引っ込むことで、扉6aが解錠状態になるものである。尚、収納庫6の扉6aは両開きの扉あるいは片開きの扉のいずれであってもよい。また、開閉検出センサ32としては、例えば、収納庫6の扉6aが閉じられた状態で、扉6aの一部分が接触し、押されるようなスイッチを用いることができる。このスイッチが押されることで電気が導通し、制御部5のマイクロコンピュータの入力に、この電気信号が入力されるように構成することで、扉6aの開閉を検出する構成とすることができる。
【0022】
そして、上記のように形成される自律移動ロボット1は、以下のようにして目的地まで移動する。まず、自律移動ロボット1の制御部5に自律移動ロボット1の現在位置や目的地などの移動に必要なデータを入力する。この入力は、操作者が自律移動ロボット1に設けた上記タッチパネル40などのユーザーインターフェースを操作することにより行われ、これにより、地図記憶部5cに予め記憶された地図上に自律移動ロボット1が移動する目的地が設定される。次に、自律移動ロボット1は、地図上で指示された上記目的地までの経路を制御部5により導き出し、この結果に基づいて、モータ制御部5aにより移動機構4のモータ24が駆動を開始すると共にモータ24の駆動により車輪21が回転駆動して自律移動ロボット1が移動を開始する。この後、自律移動ロボット1は移動機構4により目的地まで走行しながら移動するが、この移動中に自律移動ロボット1はセンシング手段2により自らの周囲、特にその移動方向に人や障害物が存在するか否かを常時検出しながら移動し、この検出結果をセンサ計測部5bに入力する。そして、センシング手段2の検出結果から移動方向に障害物が無いことを確認しつつ自律移動ロボット1は移動するが、センサ計測部5bで人や障害物が存在すると判断された場合は、モータ制御部5aによりモータ24の駆動を制御し、自律移動ロボット1の移動を停止したり移動方向を変えたりして人や障害物に衝突しないようにする。このようにして本発明の自律移動ロボット1は自律的に目的地まで走行して移動するものである。
【0023】
本発明の自律移動ロボット1はその移動を開始する前に収納庫6に物品を収納し、上記のように目的地まで移動することにより物品を搬送し、この後、収納庫6から物品を取り出すようにするが、収納庫6に物品を収納したり取り出したりするにあたって、収納庫6の施錠及び解錠を行う。
【0024】
収納庫6に物品を収納するにあたっては、まず、図2(b)に示すように、操作者Hが自律移動ロボット1の後側に立った状態で扉6aを開けて収納庫6に物品を収納した後、扉6aを閉める。扉6aを閉めたことが開閉検出センサ32に検出されると、その情報が制御部5に入力されるが、この情報により制御部5が画像記録手段9に命令を出して車載カメラ22による撮像可能状態となる。次に、操作者Hが収納庫6の扉6aの施錠操作を行う。この施錠操作は、登録された操作者の氏名もしくはそれに代わる名称や番号と暗証番号やパスワードとを、タッチパネル40の操作を通じて制御部5に対して入力することによって行い、制御部5により入力された暗証番号やパスワードが正しいと判断されると、制御部5から収納庫施錠解錠部31に命令が出されて収納庫6の扉6aが施錠される。また、この収納庫6の扉6aの施錠と同時に、自律移動ロボット1の後側に立った操作者Hの顔などの正面の容姿が撮像手段8により撮像され、この画像が記録部9aに記録されるが、この施錠操作を行う際に、収納庫6の施錠の操作を行った操作者の容姿を撮像手段8で確実に撮像したか否かを撮像手段制御部9bで判断する。この判断は、撮像手段8で撮像した上記操作者の容姿の画像と、同地点(施錠操作をした地点)において操作者が存在しない状態で予め撮像された画像とを撮像手段制御部9bで比較することによって行う。操作者が存在しない状態で予め撮像手段8で撮像された画像は、記録部9aに記録しておいたものを用いることができる。そして、本発明では、操作者の顔と上半身が撮像手段8で撮像されていれば、確実に撮像されたとするので、操作者がいない状態で予め撮像した画像と、操作者が操作した際に撮像した画像とを比較し、両画像の中央の下部に相違があれば、操作者の顔と上半身が撮像されている状態とし、「操作者の容姿を撮像手段8で確実に撮像した」と撮像手段制御部9bが判断し、扉6aの施錠及び操作者の容姿の画像の記録とを行う。一方、操作者がいない状態で予め撮像した画像と、操作者が操作した際に撮像した画像とを比較し、両画像の中央の下部に相違がない場合は、操作者の顔と上半身が撮像されていない状態であるとし、「操作者の容姿を撮像手段8で確実に撮像していない」と撮像手段制御部9bが判断し、扉6aの施錠と操作者の容姿の画像の記録とを行わず、例えば、撮像可能な位置への操作者の移動を促すようなメッセージをタッチパネル40などに表示して操作者に提供する。このようにして収納庫6の施錠の操作を行う際における操作者の容姿を撮像手段8で確実に撮像して画像として記録することができる。
【0025】
また、自律移動ロボット1が所定の場所に移動した後、収納庫6から物品を取り出すにあたっては、まず、操作者が収納庫6の扉6aの解錠操作を行う。この解錠操作は、登録された操作者の氏名もしくはそれに代わる名称や番号と暗証番号やパスワードとを制御部5に対して入力することによって行い、制御部5により入力された暗証番号やパスワードが正しいと判断されると、制御部5から収納庫施錠解錠部31に命令が出されて収納庫6の扉6aが解錠される。また、この収納庫6の扉6aの解錠と同時に、撮像手段8により操作者の顔などの容姿が撮像され、この画像が記録部9aに記録されるが、この解錠操作を行う際に、収納庫6の解錠の操作を行った操作者の容姿を撮像手段8で確実に撮像したか否かを撮像手段制御部9bで判断する。この判断は、撮像手段8で撮像した上記操作者の容姿の画像と、同地点(解錠操作をした地点)において操作者が存在しない状態で予め撮像手段8で撮像された画像とを撮像手段制御部9bで比較することによって行う。操作者が存在しない状態で予め撮像手段8で撮像された画像は、記録部9aに記憶しておいたものを用いることができる。そして、上記施錠の場合と同様に「操作者の容姿を撮像手段8で確実に撮像した」と撮像手段制御部9bが判断した場合には、扉6aの解錠及び操作者の容姿の画像の記録とを行う。一方、上記施錠の場合と同様に「操作者の容姿を撮像手段8で確実に撮像していない」と撮像手段制御部9bが判断した場合には、扉6aの解錠と操作者の容姿の画像の記録とを行わず、例えば、撮像可能な位置への操作者の移動を促すようなメッセージをタッチパネル40などに表示して操作者に提供する。このようにして収納庫6の解除の操作を行う際における操作者の容姿を撮像手段8で確実に撮像して画像として記録することができる。この後、操作者が扉6aを開けて収納庫6から物品を取り出すことができる。
【0026】
そして、本発明では上記のように操作者の容姿が確実に捕えられていない状態の画像が画像記録手段9に記録されるのを防止することができ、収納庫6の施錠・解錠を行った操作者の容姿を確実に撮像して記録することができるものであり、この結果、暗証番号やパスワードを盗み見した者が、収納庫6に物品を収納した者(操作者)になりすまして収納庫6の施錠・解錠をするのを心理的に抑制することができ、搬送している物品の紛失や盗難を間接的に防止することができる。
【0027】
本発明において、収納庫6の施錠・解錠は予め設定された所定の場所で行うのが好ましく、これにより、撮像手段8で撮像される操作者の背景の画像が撮像毎に異ならず一定となって、収納庫6の施錠・解錠の操作を行った操作者の容姿を撮像手段8で確実に撮像したか否かを容易に判断することが可能となる。しかしながら、自律移動ロボット1は移動しているために、収納庫6の施錠・解錠は所定の場所のみで行うのは難しく、従って、撮像手段8で撮像される操作者の背景の画像が撮像毎に異なって一定とならず、収納庫6の施錠・解錠の操作を行った操作者の容姿を撮像手段8で確実に撮像したか否かが判断しにくくなることがある。
【0028】
そこで、本発明では、撮像手段8で撮像される操作者の背方(撮像手段8と反対側)にに一定形状の識別パターンを設けるようにするのが好ましい。この識別パターンは樹脂製シートなどのシート材に表面に描くなどし、このシート材を撮像の際に操作者の背方にある壁面に貼ったり操作者の背方に吊下げたりすることによって、操作者の背方に配設するものである。識別パターンとしては、撮像された画像において操作者と背景との境界部分が撮像手段制御部9bで容易に認識することができるものであればよく、撮像手段制御部9bで画像処理を実施しやすいパターンであって、例えば、撮像される操作者の背方の壁面の色とコントラストのはっきりした単純な形状の正円、正三角形や正方形などを挙げることができる。そして、収納庫6の施錠・解錠の操作を行う際に、このような識別パターンを操作者の背方に設けて操作者の容姿を撮像手段8で撮像することによって、操作者の容姿を撮像手段8で撮像した画像と同地点において操作者が存在しない状態で撮像された画像とを比較するにあたって、操作者の容姿を撮像手段8で確実に撮像したか否かを容易に判断することができる。従って、収納庫6の施錠・解錠の操作を行う場所が撮像に適当でない場所、例えば、操作者の背方の壁面が一面壁などの場合でも、操作者の容姿を確実に捕えた画像を容易に撮像することができる。尚、通常、壁には窓や部屋への出入り口である扉が存在するが、場所によっては撮像手段8の撮像領域に窓や扉が全く入らない場合があり、こうした状態を上記のように「壁面が一面壁」という。
【0029】
また、本発明の自律移動ロボット1は複数の撮像手段8、8…を備えているので、各撮像手段8で収納庫6の施錠・解錠を行う操作者Hの容姿を同時に異なる方向から撮像可能に形成するのが好ましい。これにより、ある一つの撮像手段8に対して操作者が正対せずにその正面の容姿が撮像できない場合であっても、他の撮像手段8により操作者の正面の容姿を撮像することが可能となる。従って、操作者の正面の容姿を撮像した撮像手段8の画像を用いることにより、操作者の容姿を撮像手段8で確実に撮像して記録することができるものである。
【0030】
また、本発明の自律移動ロボット1は後面にセンシング手段2を備えているので、センシング手段2で操作者Hが撮像手段8で撮像可能な位置に存在するか否かを検出することができ、収納庫6の施錠・解錠の操作者Hが施錠・解錠の操作を行うための通常の位置に存在しているか否かを確認することができる。ここで、通常の位置とは、自律移動ロボット1の後側であって、進行方向と反対側(レーザレーダ23aを設けた側と反対側)である。また、タッチパネル40を操作する状態では自律移動ロボット1は移動を停止しているために、自律移動ロボット1の後方に操作者Hが立つと、その動きをボディ20の後面にあるセンシング手段2で検知が可能であり、これにより、操作者Hが施錠・解錠の操作を行うために自律移動ロボット1の後方に存在するか否かを確認することができる。そして、自律移動ロボット1の後面に設けたセンシング手段2で操作者Hの存在が確認できない場合は、例えば、撮像可能な位置への操作者Hの移動を促すようなメッセージをタッチパネル40に表示するなどして操作者Hに提供する。このようにして収納庫6の施錠・解錠の操作を行う際における操作者の容姿を撮像手段8で確実に撮像して画像として記録することができ、より確実に収納庫6の施錠・解錠の操作者が撮像手段8の撮像範囲に存在することになり、収納庫6の施錠・解錠の操作者の容姿を捕えた画像を撮像手段8で確実に撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すブロック図である。
【図2】同上の自律移動ロボットの概略図を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 自律移動ロボット
2 センシング手段
3 記憶手段
4 移動機構
5 制御部
6 収納庫
8 撮像手段
9 画像記録手段
9b 撮像手段制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲に存在する障害物の有無を検出可能なセンシング手段と、移動する範囲内の地図を記憶する記憶手段と、移動するための移動機構と、移動機構を制御する制御部と、施錠・解錠が可能な収納庫と、収納庫の施錠・解錠の操作を行った操作者の容姿を撮像するための撮像手段と、撮像手段で撮像された画像を記録する画像記録手段とを備え、収納庫の施錠・解錠の操作を行う際に、その操作者の容姿を撮像手段で撮像した画像と、同地点において操作者が存在しない状態で撮像された画像とを比較することによって、収納庫の施錠・解錠の操作を行った操作者の容姿を撮像手段で確実に撮像したか否かを判断するための撮像手段制御部を具備して成ることを特徴とする自律移動ロボット。
【請求項2】
複数個の撮像手段を備え、収納庫の施錠・解錠の操作を行った操作者を各撮像手段で異なる方向から撮像することによって、いずれかの撮像手段で操作者の正面の容姿を撮像可能に形成して成ることを特徴とする請求項1に記載の自律移動ロボット。
【請求項3】
センシング手段により操作者が撮像手段で撮像可能な位置に存在するか否かを検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の自律移動ロボット。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の自律移動ロボットの撮像手段で収納庫の操作者を撮像するにあたって、収納庫の施錠・解錠の操作を行う地点において、操作者の背方に識別パターンを設けることを特徴とする自律移動ロボットの収納庫の操作者の撮像方法。

【図1】
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【図2】
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