説明

自然な外観を有する、熱可塑性混合物よりなる煙−および水蒸気透過性食品用ケーシング

【解決手段】 本発明は、少なくとも1種類の脂肪族ポリアミドおよび/またはコポリアミドおよび少なくとも1種類の水溶性合成ポリマーを含有する熱可塑性混合物よりなる一層または多層の食品用ケーシングにおいて、上記熱可塑性混合物が少なくとも1種類の有機系および/または無機系充填剤を含有しそして上記ケーシングが無延伸の、一軸延伸されたまたは二軸延伸された状態で50〜1,500g/m・dの水蒸気透過性を有することを特徴とする、上記食品用ケーシングに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は少なくとも1種類の脂肪族ポリアミドおよび/またはコポリアミドおよび少なくとも1種類の水溶性合成ポリマーおよび少なくとも1種類の有機系および/または無機系充填剤を含有する熱可塑性混合物よりなる一層または多層のチューブ状の無延伸処理、一軸または二軸配向した(および熱固定した)食品用ケーシングに関する。このものは、その高い水蒸気透過性のために未調理ソーセージのための人造ソーセージケーシングとして適している。
【背景技術】
【0002】
食品用ケーシング、特にソーセージ用ケーシングは天然の腸壁スキン(gut skin)、織物製スキン、ファイバー製スキンまたはセルローススキン、コラーゲンまたは合成樹脂で製造されている。コラーゲンあるいは皮膚繊維スキンは確かに自然な表面および心地よい感触品質に分類されるが、非常に煩雑でかつ環境を汚染する方法によって牛類の皮膚から製造される。皮膚組織は酸(例えば乳酸)を使用してフィブリルにまで消化し、高粘度の物質を押出成形しそしてガス状のアンモニアまたは水酸化アンモニアでゆっくり且つ密な状態にまで沈殿させそして固化する。次いで乾燥する際に、製品に十分な安定性を付与するために架橋(硬化)を行う。その結果このものは顕著な強度損失なしに湯掻く工程に耐える。しかしながら天然の腸スキンも皮膚繊維スキンも、種々の事情、例えば牛類のBSE病および抗生物質の乱用のために末端ユーザーにますます受け入れられなくなってきた。更に法規制が厳しくなっている。それ故に上記スキンの代用品が求められている。セルローススキン、即ち繊維補強剤を有するものはこの課題を限定的にしか克服することができない。またその製造工程は決して簡単ではなく且つコラーゲン法よりも環境を汚染する。
【0003】
これに対して、合成ポリマーをベースとする食用ケーシングこそが本当の代替品であり得る。このものは押出成形およびブロー成型法によって非常に簡単に且つ衛生上問題なく製造することができる。しかしながら純粋の合成樹脂ケーシングは、それが非天然物で、滑らかでそして光沢のある表面であるために、コラーゲンまたは天然の腸スキンの市場において定着することができなかった。更にこれらは非常に僅かの水しか保持できず、僅かな乾燥度を達成しなければならない未調理ソーセージの用途にとって十分でない僅かな水蒸気透過性しかない。サラミ熟成の場合には、10日の熟成後に例えば約23〜26%の重量損失が通例であり、このことは高透過性ケーシングを意味する。更に伝統的な合成樹脂ケーシングは冷間燻煙(約20〜35℃)処理されず、僅かな量の高温燻煙(約70〜80℃)だけで処理される。しかしながら冷間燻製は未処理ソーセージに場合には標準的方法である。
【0004】
水溶性ポリマー、例えばポリビニルアルコールおよび天然物質、例えば澱粉よりなるフィルムは沢山開示されている。米国特許第5,322,866号明細書には生分解性ポリビニルアルコール−澱粉−フィルムが開示されているが、ただしこのフィルムは耐水性を示さない。改善された耐水性は架橋剤を添加することによってまたは撥水性物質をフィルムに塗布することによって達成される(米国特許第5,106,890号明細書)。
【0005】
湿気に対する感度が遥かに小さいのは、場合によっては天然物質も混入されている、水安定性合成ポリマー、例えばポリアミドと水溶性ポリマーとよりなるブレンドである。この場合には架橋剤が一般にもはや必要ない。何故ならばこの水不溶性マトリックスはそれの周囲から十分に遮蔽されているからである。
【0006】
例えば国際特許出願公開第94/16020号明細書には、いずれも既に生分解性である二種類のポリマーよりなる生分解性ブレンドが開示されている。第一のポリマーとしてなかでもポリアミド(PA)が、第二の成分としてなかでもポリビニルアルコール、ポリラクチドおよび他の脂肪族ポリエステルが挙げられている。任意的に且つ追加的に多糖類を混入するのが最適であり得る。上記のブレンドから製造される製品からは、水で抽出する際にポリビニルアルコール成分が溶解され、その結果電子顕微鏡下でみることができる高多孔質の海綿様表面が得られる。それ故にかゝる物質は湿った食品を包装するためのフィルムで使用するのには適していない。
【0007】
米国特許第4,611,019号明細書には、熱可塑性ポリビニルアルコールと僅かな割合のポリアミドまたはポリエステルとよりなるブレンドが開示されている。このブレンドは純粋のポリビニルアルコールに比較して、低い湿度および特に高い湿度で高い対ガス遮蔽性があるという長所を有しているそうである。
【0008】
上述の従来技術において(煙)ガスおよび水蒸気の透過は重要ではなく、むしろ望まれていない。殆ど生分解性に重きをなしている。この場合、自然な外観および快い感触は二次的なことである。
【0009】
国際特許出願公開第02/078455号明細書には、ポリアミドおよび水溶性ポリマーよりなる熱可塑性系が良好な燻煙処理可能食品用ケーシングとの関係で開示されている。
(充填剤としてまたは熱可塑化状態での)天然成分または無機系充填剤の添加は必ずしも必要でない。その天然でなく滑らかでそして光沢のある表面のために、この種の合成樹脂ケーシングはコラーゲンスキンまたは天然−または繊維腸壁スキンの市場において普及させることができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それ故に本発明の課題は、従来技術の欠点を回避するコラーゲンスキン、天然−または繊維腸壁スキンの代替物を提供することである。なかでも特に天然の外観および心地よい感触に特徴があるべきであり、そしてこの場合にコラーゲンスキン、天然または繊維腸壁スキンに間違える程によく似ている。かゝる食品用ケーシングは後架橋せずとも耐水性があるべきであり、即ち(熱い)水の作用のもとでも水溶性ポリマーが周囲に移動するべきでない。このものは分解物なしに押出成形できそしてチューブ状フィルムに加工でき並びに、処方によって広範囲で意図的に使用することができる高い煙−および水蒸気透過性を有するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、少なくとも1種類の脂肪族ポリアミドおよび/またはコポリアミドおよび少なくとも1種類の水溶性合成ポリマーを含有する熱可塑性混合物よりなる一層または多層の食品用ケーシングにおいて、上記熱可塑性混合物が少なくとも1種類の有機系および/または無機系充填剤を含有し、そして上記ケーシングが無延伸の、一軸延伸されたまたは二軸延伸された状態で50〜1,500g/m・dの水蒸気透過性(DIN53122に従って測定)を有することを特徴とする、上記食品用ケーシングによって解決された。無延伸のまたは一軸延伸されたケーシングの水蒸気透過性が好ましくは100〜1,200g/m・d、更に好ましくは125〜1,100g/m・d、特に好ましくは150〜1,000g/m・d、なかでも175〜900g/m・d、特になかでも200〜800、更に特になかでも225〜700g/m・dまたはそれどころか250〜600g/m・dである。二軸延伸されたケーシングの水蒸気透過性は100〜1,200g/m・d、好ましくは125〜1,100g/m・d、更に好ましくは150〜1,000g/m・d、特に好ましくは175〜900g/m・d、なかでも200〜800、更になかでも225〜700g/m・dまたはそれどころか250〜600g/m・dである。
【0012】
本発明のケーシングは特に天然の外観および心地よい感触に特徴がありそしてその際にコラーゲンスキン、天然−または繊維腸壁スキンに間違える程によく似ている。かゝる食品用ケーシングは後架橋がなくとも耐水性があり、即ち(熱い)水の作用のもとでも水溶性ポリマーが周囲に移動することがない。このものは分解することなしに押出成形できそしてチューブ状フィルムに加工できそして処方によって広範囲で意図的に使用することができる高い煙−および水蒸気透過性を有する。
【0013】
この種類の有利な(コ)ポリアミドはポリアミド−6のポリ(ε−カプロラクタム)(=ε−カプロラクタムまたは6−アミノヘキサン酸のホモポリマー)、ポリアミド6.6のポリヘキサメチレンアジパミド(=ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とのポリアミド)、ポリアミド6/6.6(ε−カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミンおよびアジピン酸よりなるコポリアミド)、ポリアミド6/66.9(ε−カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸およびアゼライン酸よりなるコポリアミド),ポリアミド6/66.12(ε−カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸およびラウリンラクタムよりなるコポリアミド),ポリアミド6.9(ヘキサメチレンジアミンおよびアセライン酸のコポリアミド)、ポリアミド6.10のポリヘキサメチレンセバシンアミド(ヘキサメチレンジアミンおよびセバシン酸のポリアミド)、ポリアミド6.12(ε−カプイロラクタムおよびω−アミノラウリン酸ラクタムのポリアミド)、ポリアミド4.6のポリテトラメチレンアジピンアミド(テトラメチレンジアミンおよびアジピン酸のポリアミド)またはポリアミド12のポリ(ε−ラウリンラクタム)(=ラウリンラクタムのホモポリマー)がある。これらのコポリアミドにはヘテロ官能性ポリアミド、特にポリエーテルアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミドおよびポリアミドウレタンも考えられる。これらのポリマーには種々の官能性のブロック状に分布するものがあり、いわゆるブロックコポリマーが特に有利である。なかでもポリ(エーテル−ブロック−アミド)が有利である。(コ)ポリアミドはなかでも高いフィルム剛性を発現しそしてヘテロ官能性ポリアミドの場合には改善された煙透過性を発現する。
【0014】
脂肪族(コ)ポリアミドの割合は、混合物の全重量を基準として一般に2〜99重量%、好ましくは5〜95重量%、更に好ましくは10〜90重量%、特に好ましくは15〜85重量%、なかでも20〜80重量%、特になかでも25〜75重量%または28〜70重量%である。
【0015】
水溶性合成ポリマーは好ましくは以下の群から選択される1種類のグループに由来する:
・ポリビニルアセテートを部分鹸化または完全鹸化することによって得られるポリビニル アルコール(PVAL)並びにビニルアルコールとプロペノール−1とのコポリマー;
・ポリアルキレングリコール、特にポリ(1,2−エタンジオール)、ポリ(1,2−プ ロパンジオール)または相応するコポリマー;
・ポリビニルピロリドン、あるいはビニルピロリドンと少なくとも1種類のα,β−オレ フィン性不飽和モノマー成分との水溶性コポリマー;
・N−ビニルアルキルアミドの重合体、例えばポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ (N−ビニルアセトアミド);または
・アクリル酸および/またはアクリルアミドの(コ)ポリマー。
【0016】
これらの群の内、a)が特に有利である。なかでも10,000〜50,000の範囲内の重量平均分子量Mwおよび75〜98%の範囲内のアセテート基ケン化度を有するポリビニルアルコールが特に有利である。
【0017】
水溶性合成ポリマーの割合は、熱可塑性混合物の全重量を基準として一般に1〜50重量%、好ましくは3〜45重量%、更に好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは7〜35重量%、なかでも9〜30重量%、更になかでも11〜25重量%または13〜20重量%である。
【0018】
水溶性合成ポリマー、特にポリビニルアルコール(PVAL)は特定の半透膜を製造するために久しく使用されている。膜製造は原則として溶液から行なう。即ち、沈殿法によって生じるフィルムを次いで、水溶性を止めるために十分に架橋しなければならない。水溶性ポリマーの熱可塑的加工については従来あまり知られていない。その高い極性およびそれに関連しての分子内相互作用のために、それの融点は大抵、明らかに分解温度より上にある。更に水溶性ポリマーよりなる物体は、後で使用する際に耐湿性にするために、後架橋処理に付さなければならない。
【0019】
本発明によれば熱可塑性樹脂混合物は更に、有機あるいは無機の起源である少なくとも1種類の充填剤を含有している。特に有機系充填剤の混入は充填剤不含の系に比べて透過値を何倍も改善する。コラーゲン腸スキンの良好な水保持性は適当に充填剤を選択することによって後から認識することができる。白カビの成長がケーシングにおいて可能性であり、この成長は天然物によっておよび水と接触した際に膨張する物質によって促進される。このケーシングは十分に高い内径安定性(σ15−値:8N/mmより大きい)を示しそして食品(一般にソーセージ用挽き肉)から問題なく剥がされる。それ故にこのものは一般にソーセージ用合成ケーシング、好ましくは空気乾燥された、燻煙処理されたおよび燻煙処理されていない並びにカビ熟成された未調理ソーセージの様な未調理ソーセージのための合成ケーシングとして適している。
【0020】
有機系充填剤としては特に炭水化物が適している。これらは天然の多糖類および/またはそれの誘導体よりなっていてもよく。分岐したおよび架橋した多糖類およびそれの誘導体も同様に適している。タンパク質は高い加工温度で大部分が分解してしまうので、タンパク質も条件付きで使用できる。
【0021】
特に適する多糖類は植物粉末、繊維、フィブリド、またはセルロースよりなるパルプがある。これらは5〜3,000μm、好ましくは10〜1,000μm、更に好ましくは15〜500μm、特に好ましくは20〜300μm、なかでも25〜250μmまたは30〜200μmの平均粒度あるいは平均繊維長を有しているべきである。これらには植物毛または種子繊維、例えば綿、カポックまたはアコン(Akon)、靱皮繊維、例えば亜麻またはリネン、麻、ジュート、サンヘンプ、ケナフ、ボンテンカ、ローゼラまたはカラムシ、硬質繊維( サイザル繊維、ヘネケ麻、マニラ麻、ヒクエ(Fique) 、マオラン(Phormium)、アフリカハネガヤ(esparto grass) 、ビート、藁、ユッカ) 、果物繊維( ココナッツ、パイナップル、リンゴ、オレンジ) 、針葉樹および広葉樹繊維( トウヒ、松、コルク粉) 、他の植物繊維、例えばパイナップル科ティランジア属(Tillandsia)の繊維、および小麦、馬鈴薯類、トマト類またはにんじん類からの繊維が含まれる。
【0022】
天然澱粉、例えば馬鈴薯類、タピオカ、クズウコン、サツマイモ、小麦、コーン、ライ麦、米、大麦、粟、エンバク、モロコシ、クリ、オーク、豆類、エンドウ豆類、バナナ類、ヤシの木(サゴヤシ)も使用することができる。コーン澱粉が特に有利である。この場合、種々の澱粉中のアミロースとアミロペクチンとの比は変更できる。分子量Mw は約50,000〜10,000,000であるのが有利である。
【0023】
澱粉誘導体は例えばグラフトした天然澱粉である。グラフト剤は特に無水マレイン酸、無水コハク酸またはε−カプロラクトンである。その他に澱粉エステル、特に澱粉キサントゲナート、澱粉アセテート、澱粉ホスファート、澱粉スルファート、澱粉ニトレート、澱粉マレエート、澱粉プロピオナート、澱粉ブチラート、澱粉ラウレートおよび澱粉オレエートも適している。更に澱粉エーテル類、例えば澱粉メチルエーテル、−エチルエーテル、−プロピルエーテル、−ブチルエーテル、−アルケニルエーテル、−ヒドロキシエチルエーテル、−ヒドロキシプロピルエーテルがある。酸化された澱粉、例えばジアルデヒド澱粉、カルボキシ澱粉または過硫酸塩で分解された澱粉も同様に適している。
【0024】
更に、架橋した炭化水素も使用することができる。これらは例えば尿素誘導体、ウロトロピン、トリオキサン、ジ−またはポリエポキシド類、ジ−またはポリクロロヒドリン、ジ−またはポリイソシアネート類、カルボン酸誘導体、ジエステル類または無機系ポリ酸、例えばリン酸または硼酸で架橋され得る。
【0025】
更に以下のものが天然物質成分として適する:オリーブ種粉末、キサンタン、アラビアゴム、ゲランゴム(gum gellan) 、ゲッティーゴム(gum ghatti)、クラヤゴム(gumkraya) 、トラガントゴム、エムルサン(emulsan) 、ラムサン(rhamsan) 、ウェラン(wellan)、シゾフィラン(schizophyllan) 、ポリガラクトルナート類(polygalactorunates)、ラミナリン、アミロース、アミロペクチン類およびペクチン類。使用可能なものには更にアルギン酸、アルギナート類、カラゲーニン、フルセララン(furcellaran) 、グアゴム、寒天、タマリンドゴム、アラリアゴム(aralia gum)、アラビノガラクタン(arabinogalactan) 、プルラン(pullulan)、イナゴ豆ゴム、キトサン、デキストリン類、1,4-α- ポリグルカンがある。上記炭水化物の分子量Mw は一般に500〜100,000である。
【0026】
合成繊維または粉末(例えばポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリエステル繊維)も使用可能である。弗素系ポリマー、ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類、ポリエーテルケトン類、ポリフェニレンスルフィッド類、ポリアラミド類、ポリイミド類、芳香族ポリエステル類、ポリキノキサリン類、ポリキノリン類、ポリベンズイミダゾール類、液晶ポリマーおよび導体ポリマーをベースとする高温安定性の合成繊維または粉末が有利に適している。それらの繊維平均長さおよび平均粒度は一般に5〜3,000μm、好ましくは10から1,000μm、更に好ましくは15〜500μm、殊に好ましくは20〜300μm、特に好ましくは25〜250μm、なかでも30〜200μmである。
【0027】
同様にガラスよりなる無機繊維(例えばガラス繊維、ガラスフィラメント、ガラス製ステープルファイバー)、;ロックウール短繊維(例えば玄武岩繊維、シュラックウール、鉱物ウール繊維);炭酸塩(例えばチョーク、石灰石粉末、カルサイト、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトおよび炭酸バリウム);硫酸塩(例えば硫酸バリウムおよび硫酸カルシウム);珪酸塩(例えばタルク、葉ろう石、緑泥石、角せん石、マイカ、カオリン、珪灰石、板岩粉末、沈降Ca−、Al−、Ca−/Al−、Na/Al−珪酸塩、長石、ムルライトおよびゼオライト);珪酸(例えば石英、半透明溶融シリカ、クリストバライト、シリカーゲル、ニューブルガー(Neuburger)珪藻土、沈降珪酸、パイロゼン珪酸、ガラス粉、軽石粉、パーライト、(マイクロ)ガラス球(完全ガラス球)、珪酸アルミニウム中空球およびCa−メタ珪酸塩〜;酸化物(例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタンおよび二酸化珪素);およびその他、例えば炭素繊維よりなる無機繊維も適している。無機系充填剤は、周囲の合成樹脂マトリックスとの相容性を向上させるために粘着性付与剤で変性されていてもよい。このものは、例えばそれの色をなくすためにまたは既に存在する色を変えるために被覆されていてもよい。充填剤粒子の平均球径(mittere Aequivalentkugeldurchmesser)は一般に0.1μmより大きく、好ましくは>1μm、更に好ましくは>5μm、殊に好ましくは>10μm、特に好ましくは>12μm、>15μm、>18μm、なかでも>21μm、>25μm、>28μm、>31μm、>34μm、>37μmまたはそれどころか>40μm、>43μm、>46μmまたは>50μmである。最も大きい粒子の球径は好ましくは3,000μmを超えるべきでない。1,500より小さい平均粒径が有利であり、1,000μmより小さい平均粒径が更に有利であり、500μmより小さいのが殊に有利でありそして250μmより小さいのがなかでも有利である。1〜250μm、特に2〜150μmの平均粒度のガラス製微小ビーズがなかでも有利である。
【0028】
充填剤はケーシングに一般に非常に自然なシルク様艶消しの視覚的および感覚的外観を与える。この表面は充填剤の種類によって調整することができる僅かな凹凸を得る。更にケーシングのリング状物形成性は充填剤含有量によって影響され得る。また、充填剤は補強剤としても役立ち、それによって充填剤含有物質の内径安定性が充填剤不含のものと比較して向上している。最後に充填剤、特に有機系充填剤は、同様に種類および量によって調整できる燻煙透過性を向上させる。このケーシングは熱間燻煙処理(>50℃)、温間燻煙処理(25〜50℃)および冷間燻煙処理(25℃まで)に適している。ソーセージに与える燻煙香りおよび燻煙処理色の強さは燻煙ガスの温度を高めることで増加する。更に燻煙はそれのアルデヒド、フェノールおよび酸成分のために保存作用、酸化防止作用および強化作用を示す。
【0029】
上述の良好な水保持性は、本発明のケーシングの場合には、高い膨潤性を有するかあるいは超吸収剤の様に作用する充填剤によって後から模倣する。これは、例えば未調理ソーセージの熟成挙動に有益な効果を示しそして第二の包装において調理ソーセージから汁が出るのを低減する。適する物質は特にスルファート基含有、カルボキシレート基含有またはリン酸塩基含有物質あるいは第四アンモニウム基含有物質である。同様に高膨潤性天然物質が適する。これらの物質は架橋していても、未架橋であっても、分岐していてもまたは直鎖状でもよい。例えば天然の有機系増粘剤、例えば寒天、アルギン酸塩類、ペクチン類、カラゲニン類、トラガカント、アラビアゴム、グア種粉末、イナゴ豆粉末およびゼラチンが使用できる。その他には変性された有機天然物質、例えば(ナトリウム)−カルボキシメチルセルロース、ナトリウム−カルボキシメチルエチルセルロース、メチルヒドロキシ−エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシメチル澱粉がある。更に無機系増粘剤(例えばシリカまたはポリシリカ)、粘土鉱物、例えばモンモリロナイト類またはゼオライト類も使用することができる。使用できる完全合成増粘剤としてはビニルポリマー、ポリカルボン酸、ポリエーテル類、ポリイミン類およびポリアミド類がある。更にポリアクリレートまたはポリメタクリレートをベースとする超吸収剤も使用できる。
【0030】
充填剤の全割合は熱可塑性混合物の全重量を基準として一般に1〜50重量%、好ましくは2〜45重量%、更に好ましくは3〜40重量%、殊に好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは6〜25重量%、更に特に好ましくは8〜21重量%、なかでも9〜19重量%、更になかでも11〜15重量%である。充填剤の割合が多い場合にはケーシングが紙の様に裂け、そして特に有利にも例えばソーセージミートエマルジョンが萎縮し得る。
【0031】
軟化剤あるいは可塑性化剤の添加は推奨できる。これによって、材料を脆弱でなくするのでフィルムブロー成形装置での加工を容易にする。更に充填剤成分のより良好な吸収が、ある種の用途にとって望まれるより均一なフィルム構造を与える。
【0032】
有利な可塑性化剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ブタン−1,3−ジオール、グリセロール、水、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジグリセリド、ジグリコールエーテル、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチル尿素、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、ポリアルキレンオキサイド、グリセロールモノ−、−ジ−または−トリアセテート、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、グルコン酸、ガラクツロン酸、グルカル酸、グルクロン酸、ポリヒドロキシカルボン酸、グルコース、フルクトース、蔗糖、クエン酸またはクエン酸誘導体またはポリビニルアルコールである。可塑性化剤の種類および割合はそれぞれに選択された充填剤に左右されそして簡単な予備実験によって最適なものを選択できる。
【0033】
軟化剤あるいは可塑性化剤の割合は熱可塑性混合物の全重量を基準として40重量%まで、好ましくは1〜35重量%、更に好ましくは2〜30重量%、特に好ましくは5〜25重量%、なかでも10〜20重量%である。
【0034】
所望の場合には、本発明のケーシングは染料および/または顔料で着色することができる。延伸の際に空洞(小胞)を顔料粒子の周りに形成できる。この空洞はフィルムの煙透過性を更に向上させる。染料または顔料は押出成形の前に熱可塑性混合物に便宜上添加される。更に場合によっては、ソーセージミートエマルジョンの接着性に影響を及ぼす添加物を添加してもよい。原則として適するものには窒素含有化合物およびカルボキシル基含有化合物がある。より良好なソーセージミートエマルジョン接着性もコロナ処理の様な物理的方法によっても達成できる。
【0035】
一層の実施態様において、ケーシングは実質的に上述の熱可塑性混合物よりなる。しかしながら本発明のケーシングは多層でもよい。その場合にはケーシングは一般に2〜5層を有する。他の層の材料は、所望の水蒸気透過性がマイナスの影響を受けないように選択される。多層ケーシングは例えば多層用リング状ノズルによって同時押出成形によって製造される。その際、充填剤含有熱可塑性混合物よりなる層は外側層であるのが有利である。しかしながら充填剤は1つ以上の他の層にも含まれていてもよい。多層ケーシングの全厚は一般に一層ケーシングの全厚がある範囲内にある。
【0036】
本発明のケーシングは衛生上問題なく均一な品質で製造できる。製造方法はコラーゲン法よりも本質的に簡単である。最後にこのケーシングは公知の方法(プリント、リング状物形成、シャーリング加工)に従って最終用途用に加工することができる。
【0037】
本発明の食品用ケーシングは一般にチューブ状物ブロー成形法または二軸延伸配向加工によって製造できる。
【0038】
チューブ状物ブロー成形法の場合に得られるフィルムは、本発明の範囲においては“無延伸のチューブ状フィルム”と称する。この表現は、溶融状態においてだけで膨張させることができるが、結晶化温度あるいは非晶質材料の場合の軟化温度より下の温度ではそれができないフィルムを意味する。この場合、押出形成されたチューブ状物はインフレーションによって周辺方向(横方向)にそして引張りローラーにより縦方向に引張ることによって延伸される。成形は溶融物から直接的に行われるので、ポリマー鎖の配向度は小さく、無視できる程である。これは無配向フィルムと呼ばれる。
【0039】
二軸延伸配向の場合には、比較的に厚い肉厚のチューブ状物を押出成形によって最初に製造する。このチューブ状物は僅かだけしか膨張されていないかまたは全く膨張されていない。次いでいわゆるこの一次チューブ状物を冷却する。後続の段階でこの一次チューブ状物を二軸延伸配向するのに必要な温度に加熱し、次いで気体圧の内部作用によっておよび引張りローラーによって二軸配向させる。これによってポリマー鎖の高い配向度が達成される。縦延伸割合および横延伸割合は実地において一般的である範囲にある。これは使用する原料の種類および割合に左右される。
【0040】
シームレスのチューブ状ケーシングは、ブロー成形チューブ状物成形法によって製造された時には好ましくは40〜200μmの肉厚を有しそして二軸延伸配向(ダブル・バブル法)によって得た時には25〜75μmの肉厚を有している。人造ソーセージケーシングとして使用すべきシームレスのチューブ状ケーシングは、好ましくは二軸延伸配向によって製造される。二軸延伸配向した後に有利には部分的または全体的な熱定着を行う。熱定着によってケーシングの収縮は所望の値に調整することができる。人造ソーセージケーシングは収縮が一般に、水中で90℃で1分間放置した場合には縦方向および横方向の両方において25%より少ない。
【0041】
チューブ状ケーシングは片側を結えた切片に調製してもまたは差し込み蛇腹状加工してもよい。更に曲げていわゆるリング状スキンとしてもよい。この目的のためにはケーシングの片側に加熱線または熱気を当てる。直腸壁スキンの様な特別な天然腸壁スキン状物も可能である。ポリマーケーシングをリング状化する方法および装置は当業者の熟知することである。
【0042】
本発明のケーシングはなかでもソーセージ用人造ケーシング、特に未調理ソーセージに使用される。
【0043】
以下の実施例において個々の性質の測定は記載した基準あるいは方法に従って行う。
【0044】
測定方法:
水蒸気透過性(WDD):
WDDはDIN53122に従って測定した。
【0045】
σ15−値:
σ15−値はDIN53455に従って測定した。これは15%程度膨張させるために試料に作用する力である。
【0046】
引裂強度、破断点伸び率:
引裂強度および破断点伸び率はDIN53455に従って測定した。
【0047】
粗面度;
粗面度値はDIN4768に従って測定した。
【0048】
光沢:
光沢はDIN67530に従って測定した。
【0049】
実施例:
実施例は以下に記載の方法に従って実施した。他に指摘がないかまたは前後関係から判らない限り、百分率は重量%である。実施例に挙げた各成分は二軸スクリュー式押出機で混合しそして可塑化した。
【0050】
1.使用した顆粒の製造:
方法A:
水溶性ポリマーと可塑剤とのコンパウンド:
液体使用のジャケット式加熱手段および壁面近辺走行式攪拌機を備えた攪拌式容器において、室温で75重量%のポリビニルアルコールを最初に装入する。次いで攪拌下に約1000回転/分で最初に15重量%のポリエチレングリコールを、その後に7.5重量%のグリセリン並びに2.5重量%の水を添加する(それぞれの重量%は混合物の総重量を基準とする)。容器内容物を100〜110℃に加熱し、この温度で15分攪拌しそして更に攪拌しながら30〜40℃に冷やす。得られる粉末は供給装置を通して、一孔出口ノズルを備えた加熱された二軸式ニーダー(シリンダー直径25mm、L/D−比:36)中に供給する。8kg/時の物質流が得られる。スクリュー回転数は250回転/分であり、加熱は120℃(供給位置)から下流で180℃(ノズル)にまで高める様に調整する。取り出される水の様に透明な紐状押出成形物を空冷区間で冷却し、次いで紐状押出成形物用カッターで顆粒に細粒化する。得られる顆粒を以下においてポリビニルアルコール−コンパウンド(A)と称する。
【0051】
方法B:
最初に有機系充填剤を押出成形機に装入しそして可塑剤と混合する。その際に押出機中の温度を複数の領域にわたって約90から約180℃にまで高める。(コ)ポリアミドおよびポリビニルアルコール−コンパウンド(A)あるいは他の水溶性ポリマーよりなる混合物を押出機に供給しそして残りの成分と一緒に170〜260℃(ポリアミドの融点次第)の温度で混合しそしてそれから得られる熱可塑性溶融物を押出成形する。その押出成形物を最後に粉砕して顆粒を生成する。
【0052】
方法C:
この場合には、最初に(コ)ポリアミドおよびポリビニルアルコール−コンパウンド(A)あるいは他の水溶性ポリマーよりなる混合物を押出機に供給しそして170〜260℃(ポリアミドの融点次第)の温度で混合する。その後に有機系または無機系充填剤を添加する。追加的な可塑剤はこの場合には全く必要ない。この熱可塑性混合物を最後に粉砕して顆粒を生成する。
【0053】
非常に高い溶融温度(230〜260℃)が必要な場合には、ポリビニルアルコール−コンパウンド(A)あるいは他の水溶性ポリマーのできるだけ短い滞留時間とすることに注意するべきである。何故ならばさもないと明らかな分解反応が生じるからである。この場合には、できるだけ高温安定性の天然物質、例えばセルロースを使用するかまたは無機系充填剤の使用を考えるのが有利である。
【0054】
II.チューブ状ケーシングの製造:
方法BあるいはCに従って製造された顆粒はブロー成形法によってあるいは二軸延伸配向によってチューブ状フィルムに加工した。
【0055】
顆粒(B)および(C)を、方法(A)に従って得られる生成物なしであるいは水溶性ポリマーなしで製造することも可能であり、この場合最後に挙げたこれら成分は熱的な二重負荷を避けるためにチューブ状フィルムに加工する直前に初めて押出機に添加する。
【0056】
実施例においては以下のものを使用する:
−ポリアミド6/6.6−(BASF Aktiengesellschaftの(R)Ultramid)
−ポリアミド6(Ems Chemie AG の(R)Grilon F 40)。
−26,000の重量平均分子量および88%の鹸化度を有するポリビニルアルコール (PVAL)(Hoechst AGの (R)Mowiol 26-88)。
−300の平均重合度を有するポリエチレングリコール(PEG:Hoechst AGの(R) Genapol PEG 300)。
−96%濃度のグリセリン[DAB(Deutsches Arzneimittelbuch)に従う純度]。
−充填剤バッチ[炭酸カルシウムおよびポリアミド6よりなるマスターバッチ(Ems Chemie AG の(R) Grilon XE 3690)。
−ポリアミド6−ポリエチレングリコール−ブロックコポリマー(Elf Atochem S.A.の (R)Pebax MH 1657 SA) 。
【0057】
実施例1〜17に従うチューブ状ケーシングの組成および性質を表1および4に総括掲載する。
【0058】
【表1】

【0059】

【0060】
【表2】

【0061】
【表3】

【0062】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の脂肪族ポリアミドおよび/またはコポリアミドおよび少なくとも1種類の水溶性合成ポリマーを含有する熱可塑性混合物よりなる一層または多層の食品用ケーシングにおいて、上記熱可塑性混合物が少なくとも1種類の有機系および/または無機系充填剤を含有しそして上記ケーシングが無延伸の、一軸延伸されたまたは二軸延伸された状態で50〜1,500g/m・dの水蒸気透過性を有することを特徴とする、上記食品用ケーシング。
【請求項2】
無延伸のまたは一軸延伸されたケーシングの水蒸気透過性が100〜1,200g/m2 ・d、好ましくは125〜1,100g/m・d、特に好ましくは150〜1,000g/m・dでありそして二軸延伸されたケーシングの水蒸気透過性が100〜1,200g/m2 ・d、好ましくは125〜1,100g/m・d、特に好ましくは150〜1,000g/m・dである、請求項1に記載の食品用ケーシング。
【請求項3】
脂肪族ポリアミドおよび/または(コ)ポリアミドがPA−4.6、PA−6、PA−6.6、PA−6/66、PA6.9、PA−6.10、PA−6.12、PA6/66.9、PA−6/66.12、PA−12および/またはヘテロ官能性ポリアミド、好ましくはポリエーテルアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミドおよび/またはポリアミドウレタン、特にポリ(エーテル−ブロック−アミド)であり、脂肪族ポリアミドおよび/または(コ)ポリアミドの割合が混合物の総重量を基準として一般に2〜99重量%、好ましくは5〜95重量%、特に好ましくは15〜85重量%である、請求項1または2に記載の食品用ケーシング。
【請求項4】
水溶性合成ポリマーがビニルピロリドン、N−ビニルアルキルアミド、アルキルオキサゾリン、アルキルグリコール、ビニルアルコール、ビニルアルコールエーテル、ビニルアルコールエステル、アクリルアミド、アルキレンオキシド、(メタ-)アクリル酸、マレイン酸および/またはセルロースエーテルよりなる群から選ばれる単位を持つホモポリマーおよび/またはコポリマーであり、その際にそれの割合が混合物の総重量を基準として一般に1〜50重量%、好ましくは3〜45重量%、特に好ましくは5〜40重量%である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の食品用ケーシング。
【請求項5】
水溶性合成ポリマーが10,000〜50,000の範囲内の平均分子量Mwおよび75〜98%の範囲内のアセテート基ケン化度を有するポリビニルアルコールである、請求項4に記載の食品用ケーシング。
【請求項6】
有機系充填剤が炭水化物、好ましくは天然の多糖類および/またはそれの誘導体、分岐したまたは架橋した多糖類および/またはその誘導体、有機合成繊維または有機合成粉末、好ましくは弗素化ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレン−スルフィッド、ポリアラミド、ポリイミド、芳香族ポリエステル、ポリキノキサリン、ポリキノリン、ポリベンズイミダゾール、液晶ポリマーまたは導電性ポリマーをベースとする繊維または粉末であり、その際にそれらの平均繊維長あるいは平均粒度が一般に5〜3,000μm、好ましくは10〜1,000μm、特に好ましくは15〜500μmである、請求項1〜5のいずれか一つに記載の食品用ケーシング。
【請求項7】
充填剤が高膨潤性であり、スルファート基含有、カルボキシレート基含有またはリン酸塩基含有物質、第四アンモニウム基含有物質、有機系増粘剤、変性有機天然物質、無機系増粘剤、完全合成増粘剤またはポリアクリレートまたはポリメタクリレートをベースとする超吸収材が有利である、請求項1〜6のいずれか一つに記載の食品用ケーシング。
【請求項8】
無機系充填剤がガラスよりなる繊維および/または球状物および/または粉末、好ましくはガラス繊維、ガラスフィラメント、ガラスステープル繊維;ロックウール短繊維、玄武岩繊維、シュラックウール、鉱物ウール繊維;炭酸塩、好ましくはチョーク、石灰石粉末、カルサイト、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトおよび炭酸バリウム;硫酸塩、好ましくは硫酸バリウムおよび硫酸カルシウム;珪酸塩、好ましくはタルク、葉ろう石、緑泥石、角せん石、マイカ、カオリン、珪灰石、板岩粉末、沈降Ca−、Al−、Ca−/Al−、Na/Al−珪酸塩、長石、ムルライトおよびゼオライト;珪酸、好ましくは石英、半透明溶融シリカ、クリストバライト、シリカーゲル、ニューブルガー(Neuburger)珪藻土、沈降珪酸、パイロゼン珪酸、ガラス粉、軽石粉、パーライト、(マイクロ)ガラス球(完全ガラス球)、珪酸アルミニウム中空球およびCa−メタ珪酸塩;酸化物、好ましくは水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタンおよび二酸化珪素;または炭素繊維よりなり、その際に粒度あるいは繊維長が一般に0.1〜3,000μm、好ましくは1〜1,500μm、特に好ましくは5〜1,000μmである、請求項1〜7のいずれか一つに記載の食品用ケーシング。
【請求項9】
無機系充填剤が1〜250μm、好ましくは2〜150μmの平均粒度を有する微小ガラス球よりなる、請求項8に記載の食品用ケーシング。
【請求項10】
微小ガラス球状物の表面が、被覆用ポリマーへの接合を改善する接着性付与剤で変性されている、請求項9に記載の食品用ケーシング。
【請求項11】
充填剤の割合が熱可塑性混合物の全重量を基準として1〜50重量%、好ましくは2〜45重量%、特に好ましくは3〜40重量%である、請求項1〜10のいずれか一つに記載の食品用ケーシング。
【請求項12】
追加的に可塑性化剤、好ましくはジメチルスルホキシド、ブタン−1,3−ジオール、グリセロール、水、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジグリセリド、ジグリコールエーテル、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル尿素、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、ポリアルキレンオキサイド、グリセロールモノ−、−ジ−または−トリアセテート、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、グルコン酸、ガラクツロン酸、グルカル酸、グルクロン酸、ポリヒドロキシカルボン酸、グルコース、フルクトース、蔗糖、クエン酸、クエン酸誘導体またはポリビニルアルコールを含有し、可塑性化剤の割合が熱可塑性混合物の全重量を基準として40重量%まで、好ましくは1〜35重量%まで、特に好ましくは2〜30重量%である、請求項1〜11のいずれか一つに記載の食品用ケーシング。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一つに記載の食品用ケーシングの製造方法において、少なくとも1種類の脂肪族ポリアミドおよび/またはコポリアミドおよび少なくとも1種類の水溶性合成ポリマーおよび少なくとも1種類の無機系および/または有機系充填剤を含有する熱可塑性混合物を押出成形または共押出成形し、その際に生じるチューブ状物がブロー成形加工されている(無配向)かまたは一軸または二軸延伸配向加工されていることを特徴とする、上記方法。
【請求項14】
チューブ状物を次いで片側を結えた切片または蛇腹状に調製する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
チューブ状物を天然の腸壁スキン様の状態、特にリング状腸壁スキンおよび直腸壁スキンに再加工する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれか一つに記載の食品用ケーシングをソーセージ用人造ケーシングとして好ましくは未調理ソーセージに使用する方法。

【公表番号】特表2006−526546(P2006−526546A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505354(P2006−505354)
【出願日】平成16年5月3日(2004.5.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004646
【国際公開番号】WO2004/098298
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(505277510)カレ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (3)
【Fターム(参考)】