説明

自由流動性ゼラチン組成物

特に、30℃未満の温度でさえ、ゼラチン組成物が、その流動性を保つ新規な自由流動性ゼラチン組成物を提供するため、特に、食品前駆体として使用するために、自由流動性ゼラチン組成物は、水性液体、水溶液中に分散されたゼラチンゲル粒子および/または溶解されたゼラチン加水分解物並びに1種または2種以上の糖成分を含み、ゼラチン、ゼラチン加水分解物および糖成分の全含有量は、組成物の水分活性(aw値)が、0.97以下であるように選択されることが推奨される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な自由流動性ゼラチン組成物に関し、特に、食品前駆体としての使用に関する。新規な自由流動性ゼラチン組成物は、特に、30℃未満の温度、例えば、25℃でさえその流動性を保つ。
【背景技術】
【0002】
ゼラチンの生産加工では、特に、食品業界において、ゼラチン食品の製造において、溶解したゼラチンのゲル生成特性を特に利用する。伝統的にこの目的のために、乾燥状態にある、特に、粉末形態におけるゼラチンが、水を加え、そして加熱している間に溶解する、初期生成物として使用される。利用できる水の獲得競争により、ゼラチン部分はほとんど溶解できないので、ゼラチンと任意のさらなる成分との間の結合を分解することは、概してほとんど困難である。この理由により、最初に、ゼラチン部分の溶液が生成され、そして次に溶液が冷却するにつれて、溶液をゲル化させる前に、溶液が食品の残りの成分と混合される。
【0003】
ゼラチンが、特に粉末形態では、特に非常に目立った湿潤性を有さず、そして冷水中で溶解しないという事実を鑑みると、ゼラチンと水とを混合させて、液体形態に転化させることは、製造プロセスの困難な部分である。これは、特に、液体へと攪拌された場合に、ゼラチン粒子が、容易に共にくっつき、そして塊を生成し、それによってゼラチン粒子のゼラチンゲル粒子への均一な膨潤、およびゼラチン粒子の液体中での溶解、を遅くさせるという事実にまた関係する。
【0004】
過剰な攪拌は、塊の形成を妨げるが、他方では、生産プロセスに等しく極度に破壊的な効果を有する激しい泡立ちとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このいわゆるインスタントゼラチンは、確かに冷可溶性であり、そしてこの特別なゼラチンを別々に溶解する必要なく、全ての成分と直接加工できる。しかし、そうしたゼラチン製品では、純粋なゲルを生成させることは不可能であり、所与の同一量では、類似の粉末ゼラチンから通常製造されるゲルより、はるかに低いゲル強度を有するゲル状構造が可能となるだけある。
【0006】
インスタントゼラチンの使いやすさをさらに制限するのは、粉末ゼラチンに比較して、塊形成の数倍高いリスクであり、この理由により、粉末ゼラチンの代替物としてのインスタントゼラチンの、多くの用途での使用は、不可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある改善法が、糖を含有する担体材料またはゼラチン加水分解物と、インスタントゼラチンとを混合することによって見いだされ、糖を含有する担体材料および/またはゼラチン加水分解物が、ゼラチン粉末のゼラチン粒子を凝集させるために使用される。凝集粒子が、液体へと攪拌される場合、担体材料および/またはゼラチン加水分解物は、ゼラチン粒子それ自身より早く溶解し、そして次に、液体中に緻密に分散されたゼラチン粒子を残す。この担体材料および/またはゼラチン加水分解物は、初期の湿潤をさらに容易にする。しかし、加熱によって純粋な溶液を生成させるために、混合物が全体としてゼラチンの融点を超えて加熱されない場合、低下したゲル強度の問題は、このように解決できない。そうしたインスタントゼラチン製品の困難な製造プロセスは、粉末ゼラチンより高価であり、そしてこれは、特にコストに敏感な食品の場合、コストの状況に対して逆効果である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の目的は、簡素化されたさらなる生産加工を可能にする経済的なゼラチン生成物を提案することである。
【0009】
この目的は、水性液体、水性液体中に分散したゼラチン粒子および/または水性液体中に溶解したゼラチン加水分解物、ならびに糖成分を含む、新規な自由流動性ゼラチン組成物によって達成され、ゼラチン、ゼラチン加水分解物および糖成分の全含有量は、この組成物の水分活性(aw値)が、0.97以下であるように選択される。
【0010】
水溶液からの乾燥工程で得られるゼラチンの工業スケールでの加工は、一般的に、第1の加工ステップとして、これらの乾燥製品を新たに溶解することを伴う。したがって、この新たに溶解させることを避け、そしてゼラチンまたはゼラチン加水分解物を乾燥させることなく、使用者に直接提供することは好都合であろう。しかし、非常に短い暫定的な貯蔵期間のみは別として、純粋なゼラチンおよびゼラチン加水分解物は、乾燥状態においてのみ貯蔵において安定である。この理由で、現在の最新技術により、少なくとも生産後のこれらの製品は、それらが液体形態である場合、貯蔵における安定性を提供し、そして輸送可能とするために、直ちに乾燥されることが好ましい。
【0011】
液体形態での貯蔵および/または30℃未満の温度での輸送が不可能である理由は、一方では、そうした溶液の低い微生物学的安定性であり、そして他方では、ゼラチンの場合、これらの温度において、ゼラチンが固体ゲルの形態を取るという事実である。駄目にするリスクを最小化し、そしてゼラチンのゲル化を防ぐ、より高い貯蔵温度は、溶液を提供しない、なぜなら、これらの条件下では、大きな熱損傷が生じ、さらなる使用に好適でない生成物を与え、この代替物がまた、せいぜい短期間の暫定的な貯蔵でしか使用できない結果となるからである。
【0012】
30℃未満の温度においてさえまだ液体である少なくともゼラチン加水分解物のさらなる代替品は、当然に防腐剤を使用するであろう。そうした物質の使用は、食品規制の観点から地球的に問題がないわけではなく、そして多くのユーザーによって受け入れがたいと考えられる。
【0013】
本発明による自由流動性ゼラチン組成物は、難なく、多くの場合、加熱される必要のある物が無く、タンクローリーによって輸送でき、そして驚くほど輸送および貯蔵に必要な微生物学的安定性をまた示し、これは特に、組成物の水分活性が、0.97以下であるように、ゼラチン、ゼラチン加水分解物および糖成分の全含有量を選択することによって、達成される。
【0014】
0.97以下の水分活性は、自由流動性ゼラチン組成物の表面での水の蒸気分圧が純粋な水の表面上に直接生じる水蒸気分圧の0.97倍以下であることを意味する。
【0015】
それによって達成される自由流動性ゼラチン組成物の微生物学的安定性は、工業的ユーザーによる製造、貯蔵、輸送および備蓄に充分である。
【0016】
ゼラチンのある程度水を吸収する能力により、水溶液中にゼラチン粒子を単独で投与することによって、0.97以下の水分活性を達成することは、実際には不可能である。この場合は、糖成分それ自身が、多くの場合、食品配合に含まれ、そして自由流動性ゼラチン組成物中に既に供給された含有量が、さらなる処理の過程で、調合の間に工業的ユーザーによって、容易に考慮できるので、1種または2種以上の糖成分の添加は、理想的な解決である。
【0017】
自由流動性組成物は、組成物中に分散したゼラチン粒子を完全に溶かすために単に加熱される必要があるだけであり、そしてそれ故にゼラチンは溶液となるので、本発明による新規な自由流動性ゼラチン組成物は、工業的プロセスにおいて、さらに容易に加工できる。冷却する間に、従来の粉末ゼラチンを加工することで伝統的に得られる等の固体ゲル構造が得られる。
【0018】
本発明による組成物の他の成分とともに、分子的に分散した、均質な混合物をただでさえ生成するので、ゼラチン加水分解物の独占的な使用の場合、加熱は必要ではない。
【0019】
ゼラチン加水分解物の内容物は、可溶性の部分に限定されない。むしろ、本発明の範囲内では、溶解したゼラチン加水分解物および溶解していないゼラチン加水分解物が隣り合わせて存在する組成物に言及できる。ゼラチン加水分解物の溶解していない部分は、次に本発明による組成物中に存在し、好ましくは、分散している。
【0020】
本発明による、サッカロイド、特に、モノサッカロイド、ジサッカロイドおよびオリゴサッカロイド、特に、スクロース、グルコース、フルクトース、グルコースシロップ、オリゴフルクトースシロップ、デキストリンならびにその同類のものが、糖成分として好適である。
【0021】
さらに好適な糖成分は、糖代用物、特に、例えば、グリセリン、トレイトール、マンニトール、イソマルト、ラクチトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、アラビトールおよびマルチトール等のアルジトール、ならびにポリデキストロースである。
【0022】
あらかじめ参照された糖成分は、本発明による組成物中で個々にまたは組み合わせて使用できる。
【0023】
本発明による組成物の使用のさらなる利点は、特に、非常に濃縮されたゼラチン溶液を製造する場合、比較的高い出費をなくすので、簡素化された取り扱いである。
【0024】
ゼラチンゲル粒子およびゼラチン加水分解物の形態のゼラチンは、自由流動性ゼラチン組成物において、任意の組み合わせで相互に一緒に使用でき、ゼラチン、ならびにゼラチン加水分解物は、この組成物中において独占的に存在できる。
【0025】
ゼラチン粉末またはゼラチン加水分解物粉末を製造する場合に必要である10wt%の含水量への乾燥作業を省略できるので、本発明による自由流動性ゼラチン組成物は、特に経済的である。特に、ゼラチン成分の場合は、ゼラチン製造の中間製品、約30wt%乾燥ゼラチン物質と約70wt%水とを含む、いわゆるゼラチンヌードルから開始できる。これらのゼラチンヌードルは、冷却条件(20℃未満の温度)下で、切断機構(カッター)によって容易に切断でき、充分に微細なゼラチンゲル粒子を生成できる。
【0026】
これらのゼラチン粒子は、糖成分および任意選択的に所望のゼラチン加水分解物部分と混合でき、それによってポンプで圧送でき、液体マトリックス中のゼラチンゲル粒子の自由流動性分散体を生じ、そしてそれ故に工業的工程において容易に投与できる様式で使用できる。
【0027】
同時に、ゼラチンゲル粒子はまた、固体形態の糖成分と直接混合でき、浸透圧効果によりゼラチンゲル粒子に結合した水のいくらかが逃げ、そして糖成分を溶かすのに使用できるので、ポンプ圧送できる分散体が、混合作業中に既に生じる。
【0028】
ゼラチン製造の従来の衛生的な条件が観察されるという条件で、約20℃の温度において、本発明により規定される0.97以下の水分活性が与えられると、微生物学的安定性が少なくとも2〜3週間保証されたままとなる。
【0029】
すべての顧客または製造加工業者がすることが好ましいことは、自由流動性ゼラチン組成物に、投与されるさらなる配合成分を加え、そしてこの成分と自由流動性組成物と混合させることであり、次にこの混合物は、いかなる場合でも、食品、例えば、特に、ガムドロップまたはゼリーベ−ビー(jelly babies)、のためのゲル化注入溶液を得るために、必要な調理システムを通ることができる。したがって、製造については、本発明による自由流動性ゼラチン組成物は、乾燥ステップだけでなく、さらなる実験室テストのための乾燥ステップおよび粉砕および混合、ならびにゼラチン粉末の包装の前の製品の暫定的な貯蔵をもなしにする。したがって、これと比較して、ゼラチンヌードルを切断し、例えば、糖およびグルコースシロップと混合させるさらなるコストおよび輸送の余分なコストは、容易に正当と認めることができる。
【0030】
製造加工業者にとって、ゼラチンを膨潤させ、そして溶解させるステップが完全になくなり、そして投与すること、および本発明による自由流動性ゼラチン組成物と残りの配合成分とを混合すること、が簡素化される。これは、製造加工業者に、装置に関するだけでなく、人員コストに関しても、経済性を提供する、なぜなら、粉末形態のゼラチンと異なり、本発明による自由流動性ゼラチン組成物の加工は、何ら問題なく完全に自動的に生じることができるからである。
【0031】
さらに、複雑な供給および計量システムを必要とするバッチ工程で、粉末ゼラチンを加工する製造加工業者は、多くの場合、適当な修理により既存設備を容易に立ち上げることができる連続的な運転システムを使用できる。
【0032】
より広範囲な微生物の安定化は、例えば、5未満、特に、約3〜4.5の値にpH値を下げることによって達成でき、この目的のために、好ましくは食用酸を使用できる。aw値は、これにより実質的に影響を受けない。
【0033】
本発明によるゼラチン組成物のより長い微生物学的安定性が必要な場合でさえ、組成物の水分活性を0.93以下に下げることが推奨される。調合物、すなわち、一方で、ゼラチンゲル粒子および/または溶解したゼラチン加水分解物の部分と、他方で、糖成分とを適宜適合させることが好ましい。
【0034】
ゼラチンゲル粒子が、自由流動性ゼラチン組成物中の単独のゼラチン成分として使用される場合、(約10wt%の含水量を有する乾燥重量として表された)ゼラチンゲル粒子の含有量は、組成物の全重量に対して、20〜40wt%の範囲内で変化できる。
【0035】
より高濃度のゼラチン、また言い換えれば、50wt%以下の含水量(35wt%以下のゼラチン加水分解物系組成物の場合)は、一方では、技術的にやっとのことで実現でき、そしてさらにポンプ圧送性を極度に制限する粘度となる。
【0036】
液体ゼラチン組成物中での、ゼラチン成分としてのゼラチン加水分解物の主な使用または排他的な使用の場合、20〜60wt%の範囲内でその含有量を容易に変更できる。
【0037】
ゼラチン加水分解物の平均分子量は、好ましくは、約1、000〜約20、000Daの範囲内で選択される。
【0038】
膨潤状態の(すなわち、最大の含水量を有する)ゼラチンゲル粒子は、好ましくは、約0.01〜約3mm、特に、0.1〜1mmの平均粒径を有する。
【0039】
本発明による組成物中での、ゼラチン成分としてのゼラチン加水分解物の使用の場合、より高い全タンパク質含有量が可能であるので、そうした組成物中の糖成分含有量は、主なゼラチン成分としてのゼラチンゲル粒子を有する組成物の場合に設定されるほど高い必要はない。ここで、約10wt%以上の糖成分含有量は、既に充分な微生物学的安定化をもたらすことができる。
【0040】
本発明による組成物では、ゼラチン加水分解物は、スプレー乾燥工程による加水分解物の粉末の製造において現在のところ既に使用されている等の溶液の形態で使用できる。
【0041】
糖成分、任意選択的に食用酸および、顧客の要求によって、任意のさらなる配合成分を、これらの溶液に加えることができる。必要な混合および溶解ステップは、広い温度範囲内で行うことができる。
【0042】
典型的には、本発明により使用されるゼラチン組成物の糖成分の典型は、既に記載したように、好ましくは、ゼラチン成分としてのゼラチンゲル粒子に主に適合する配合で、全組成物に対して、30wt%以上の量で使用されるサッカロイドである。
【0043】
食品前駆体を目的とする組成物中で、サッカロイドは、好ましくは、モサッカロイドノ、ジサッカロイドおよび/またはオリゴサッカロイドから選択され、特に、モノサッカロイドおよびジサッカロイドが使用される。
【0044】
本発明によるゼラチン組成物が、サッカロイドを全く含まない配合において使用される場合、可能な代替物は、例えば、グリセリンまたは他の糖アルコール、オリゴフルクトースシロップ、ポリデキストロースおよびデキストリン、特に、小麦デキストリン等の上記の糖代用物、特に、アルジトールである。
【0045】
そうした組成物は、栄養低糖製品の製造に、特に、低糖ガムドロップの製造に、特に好適である。
【0046】
本発明による自由流動性ゼラチン組成物のポンプ圧送性については、組成物が高くても約20、000cP、さらに好ましくは、高くても10、000cPの粘度を有する場合、好ましい。しかし、約100、000cPの粘度を有する組成物でさえ、従来の食品技術装置を使用して、自由に流れ、そして加工でき、ポンプで圧送でき、そして調合できる。
【0047】
本発明のこれら、およびさらなる利点は、例によって下記でさらに詳細に記載される。
【0048】
以下の例では、膨潤したゼラチンゲル粒子が使用され、これらは、ゼラチン生産の中間ステップに由来し、約70wt%の含水量を有するいわゆるゼラチンヌードルが生じる。これらのヌードルは、さらに上記に記載したように、個々の例において示される粒子サイズまでいわゆるカッターで切断された。
【実施例】
【0049】
例1:ゼラチン分散体
例A
61.4wt%の膨潤したゼラチンゲル粒子(乾燥物質 約30wt%)平均粒径 0.4mm;Bloom=260;ゼラチンタイプA
28.0wt%のスクロース
10.60wt/%のグルコースシロップ(78wt%)
【0050】
配合成分を、水を加えることなく相互に混合でき、そして約43.4wt%の含水量を有する本発明による自由流動性組成物を生成できる。aw値は、0.97である。
【0051】
20℃で、この本発明によるゼラチン組成物は、約2500cPの粘度を有する。
【0052】
例B
60.00wt%の膨潤したゼラチンゲル粒子(乾燥物質 約30wt%)、平均粒径0.4mm;Bloom=280;ゼラチンタイプA
40.00wt%のスクロース
【0053】
配合成分は、水を加えることなく相互に混合でき、そして約42wt%の含水量を有する本発明による自由流動性組成物を生成できる。aw値は、0.963である。
20℃で、この本発明によるゼラチン組成物は、約14000cPの粘度を有する。
【0054】
これは、ゼリーベービーまたはガムドロップの製造のための食品前駆体として、特に好適である。
【0055】
製造加工業者は、本発明によるゼラチン組成物に、グルコースシロップ、スクロースおよび香味料のみ、ならびに任意選択的に着色剤を加え、そして従来の鋳型に注ぎ込むことができる完成した鋳込み溶液を容易に得るために、この混合物を調理システムに通す必要がある。
【0056】
例2:糖のないゼラチン分散体
50wt%の膨潤したゼラチンゲル粒子(乾燥物質約30wt%)、平均粒径0.3mm、Bloom=240;ゼラチンタイプA
25wt%の小麦デキストリン(Roquette Freres、FranceからNutriose(商標)として入手可能)
25wt%のポリデキストロース
【0057】
この配合物の含水量は、約36.5wt%である。aw値は、0.95である。
【0058】
20℃で、この本発明によるゼラチン組成物は、約6000cPの粘度を有する。
【0059】
これは、低糖および/または糖のない菓子類の製造のための前駆体として、特に好適である。
【0060】
例3:液体加水分解物
40wt%のゼラチン加水分解物(乾燥物質)、平均分子量=3000Da
16wt%のスクロース
残りは、水
aw値は、0.942である。
【0061】
20℃で、この本発明によるゼラチン組成物は、約1120cPの粘度を有する。
【0062】
この本発明によるゼラチン組成物は、例えば、タンパク質を富化したガムドロップの製造または食用バーの製造のために、食品前駆体として同様に使用できる。
【0063】
ゼラチンの内容物が、ゼラチン加水分解物によって(例1および2)および/またはゼラチンゲル粒子によって(例3)部分的に生成される様式で、例1〜3の配合が改変できることは自明である。
【0064】
例1において、ゼラチン加水分解物がさらに使用される場合、結果は、既に、タンパク質富化した食品、例えば、ガムドロップまたはマシュマロの製造のための前駆体である。
【0065】
以下の表1および2は、本発明による組成物の成分の含有量を異ならせることによって、必要なaw値を調整することがいかに容易かを示す。
【0066】
表1
【表1】

【0067】
表2
【表2】

【0068】
本発明によるゼラチン組成物(混合物)が、有利に非常に多い部分の乾燥物質(DS)を含み、微生物学的安定性の利点が達成されるだけでなく、比較的少量の含水量のみを製品の乾燥作業において追い出すことが好ましいので、最終製品にさらに加工することも、エネルギーに関して有利な様式で行われることが、表から同様に明らかである。
【0069】
例4:
さらなる処理の間に、ゼラチンゲル粒子の溶解度をまださらに改善するために、ゼラチンゲル粒子の製造の間でさえ、初期のステージにおいて生じるゼラチン溶液に、溶液中に溶解し、そして分子的に分散した様式で分配される糖成分、例えば、糖を加えることができる。これにより製造されるゲル粒子は、安定な分散体から製造するために、ゼラチンおよび水のみを含むゲル粒子のように、糖、グルコースシロップ等と混合される。
【0070】
配合例:
ゼラチン生成物中の中間生成物として生じる約30wt%のゼラチン溶液において、糖は、溶液が以下の組成を有するように溶解される:
【0071】
水 54wt%
ゼラチン(DS) 23wt%
糖 23wt%
【0072】
次に、溶液は冷却され、そして(ゼラチンの通常の加工におけるように)ゲル化され、そしてそこで生成されたゲル粒子は、糖およびグルコースシロップと混合されて、例えば、以下の組成を有する本発明による分散体を生成する:
ゼラチン(DS) 11.7wt%
糖 26.6wt%
グルコースシロップ 24.0wt%(78% DS)
残りは、水
【0073】
26.6wt%の糖の内容は、ゼラチンゲル粒子中に含まれる13.3wt%の糖および純粋な形態で乾燥物質として加えられた13.3wt%の糖からなる。
【0074】
本発明によるこの組成物の粘度は、3、000cPである。達成されたaw値は、0.961である。
【0075】
例5:ゼラチン加水分解物組成物A
37.5wt%のゼラチン加水分解物(乾燥物質)、平均分子量=3000Da
25.0wt%のNutriose (95wt%乾燥物質)
残りは、水
【0076】
そうした組成物において、ゼラチン加水分解物の部分は、溶解した形態で、およびさらに固体中の一部で、分散した形態で存在する。
【0077】
生じたaw値は、0.935である。20℃で、粘度は、約24、570cPである。
【0078】
例6:ゼラチン加水分解物組成物B
例5の組成物に、ゼラチン加水分解物のさらなる部分を、粉末形態で加え、以下の組成物を生じた:
43.3wt%のゼラチン加水分解物(乾燥物質)、平均分子量=3000Da
22.2wt%のNutriose(95wt%の乾燥物質)
残りは、水
【0079】
生じたaw値は、0.920である。20℃で、粘度は、約68、800cPである。
【0080】
この例に記載された本発明による組成物は、あらかじめ好ましいものとして推奨したものより遙かに高い粘度を有し、そうした組成物は、自由に流れ、そして従来の食品技術装置を使用して、ポンプで圧送でき、そして投与できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性液体、水性液体中に分散したゼラチンゲル粒子および/または水性液体中に溶解したゼラチン加水分解物、並びに1種または2種以上の糖成分を含んで成る、自由流動性ゼラチン組成物、
ゼラチン、ゼラチン加水分解物および糖成分の全含有量は、該組成物の該水分活性(aw値)が、0.97以下であるように選択されている。
【請求項2】
該水分活性(aw値)が、0.93以下であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該ゼラチンゲル粒子の(乾燥質量)含有量が、20〜40wt%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
糖成分として、1種または2種以上のサッカロイドが含まれ、該サッカロイドの含有量が、30wt%以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
該膨潤した状態の該ゼラチンゲル粒子が、約0.01〜約3mm、特に0.1〜1mmの平均粒径を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
該ゼラチン加水分解物の含有量が、20〜60wt%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
該ゼラチン加水分解物の平均分子量(MW)が、約1、000〜約20、000Daであることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
糖成分として、1種または2種以上のサッカロイドが含まれ、該サッカロイドの含有量が、10wt%以上であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の組成物。
【請求項9】
該サッカロイドが、モノサッカロイド、ジサッカロイドおよび/またはオリゴサッカロイドから選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
糖成分として、1種または2種以上のアルジトールが含まれることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
該組成物が、少量の1種または2種以上の食用酸を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
該組成物のpH値が、5未満である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
該組成物のpH値が、約3〜約4.5である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
該組成物が、高くても30、000cPの粘度を有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
食品前駆体としての請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項16】
製薬業界のためのカプセルの製造における、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2010−517546(P2010−517546A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548620(P2009−548620)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000907
【国際公開番号】WO2008/095688
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(502084056)ゲリタ アクチェンゲゼルシャフト (25)
【Fターム(参考)】