説明

自発光指示計器

【目的】ブラックフィスメータにおいて、イグニッションスイッチを閉路してから僅かな時間つまり計器の駆動機構に電源を投入してから指針振れが解消されるまでの間は、自発光式計器の発光表示がなされないようにする。換言すれば、指針振れが解消して計器駆動機構が安定した状態となった時点で計器を発光表示せしめることにより、運転者は不自然な指針振れに気づかず指示の信頼性と高級感を高めることができる自発光式計器を提供する。
【構成】イグニッションスイッチ4と自発光式計器の照明灯5との間に遅延回路7を介在せしめて、その計器の駆動回路6が駆動された後、例えば0.5〜1秒間経過後、つまり、駆動回路6の始動時における指針の変動が鎮まった後に、自発光式計器の照明灯5を点灯表示させるようにしたものであるから、これによれば計器駆動回路の電圧変動等による指針振れ発生時の指針表示がなされない。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車に設備されるブラックフェイスメータに使用される自発光式計器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車用の計器であって、該計器の非表示時にあっては、ブラックフェイスとなりその計器の点灯(発光)表示時には透過光で表示されるブラックフィルタを具備せしめてなるブラックフェイスメータは公知であるが、かかるブラックフェイスメータに使用される計器本体は、自発光式の計器でなければならないことから、従来例における自発光式計器としては、例えば図1に示す如き構造の計器が知られている。
【0003】つまり1は透過照明式の文字板であって、この透過照明式文字板1の表面に沿って、極細の蛍光管2を具備せしめる自発光式の指針3が回動可能に設けられているものである。
【0004】そしてこのような自発光式計器の従来の発光表示回路は、図2に示すようにイグニッションスイッチ4を閉路させることにより、上記自発光式計器の文字板1及び指針3の照明灯5を点灯せしめると同時にその自発光式計器のムーブメントつまり交差コイル式駆動回路6に電源が投入される回路となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記計器の交差コイル式駆動機構にあっては、その駆動機構の特性によりイグニッションスイッチ4を閉路させた瞬間、指針の跳ね上り現象が生じたり、また跳ね上った指針が零位置まで戻りにくい、あるいは戻らない等といったことから、イグニッションスイッチ4を閉路した当初は、無意味(不自然)な指針振れが生じて運転者に対して異和感を生じさせるといった不具合があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる従来の不具合に着目してなされたもので、ブラックフェイスメータにおいて、イグニッションスイッチ4を閉路してから僅かな時間つまり計器の駆動機構に電源を投入してから指針振れが解消されるまでの間は、自発光式計器の発光表示がなされないようにする。換言すれば、指針振れが解消して計器駆動機構が安定した状態となった時点で計器を発光表示せしめることにより、運転者は不自然な指針振れに気づかず指示の信頼性と高級感を高めることができる自発光式計器を提供することにある。
【0007】
【実施例】以下に本発明を図3及び図4に示す実施例に基いて詳細に説明するが、本実施例の構造と従来例で説明した構造との同一部分は、従来例で使用した符号を付して、その同一構造部分の説明は省略する。
【0008】すなわち、本実施例にあっては、図3に示すように、イグニッションスイッチ4と自発光式計器の照明灯5との間に遅延回路7を介在せしめて、その計器の駆動回路6が駆動された後、例えば0.5〜1秒間経過後、つまり、駆動回路6の始動時における指針の変動が鎮まった後に、自発光式計器の照明灯5を点灯表示させるようにしたものであるから、これによれば計器駆動回路の電圧変動等による指針振れ発生時の指針表示がなされず、その指針振れが解消してから指針が点灯表示されることから、指示値の視認性と信頼性が高められる。
【0009】なお上記実施例では、計器の駆動回路への給電よりも、その計器照明灯の点灯を遅らせる手段として、遅延回路7を用いたが、これに限るものではなく、例えば図4に示す如く、エンジンが始動されることにより発生するエンジン点火系8の点火信号aを基にして閾値回路9、波型整形回路10、ワンショットマルチ回路11,積分回路12、及びコンパレータ13により順次信号処理することで、該コンパレータ13からは遅延信号bが出力されこの遅延信号bによってトランジスタ14を閉路することで計器の駆動タイミングよりも遅れて計器の発光表示がなされるものである。従って前記実施例と同等の作用効果が得られる。
【0010】
【発明の効果】以上のように本発明は、給電によって自発光表示される指針を備えた自動車用アナログ式計器において、イグニッションスイッチの閉路により計器駆動回路への給電がなされてから後、上記自発光指針を点灯表示させる遅延手段を設けた自発光式計器であるから、これによれば、計器駆動回路の電圧変動等による指針振れ発生時の指針表示がなされず、その指針振れが解消してから指針が点灯表示されることから、指示値の視認性と信頼性が高められるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自発光式計器の正面説明図。
【図2】従来例の回路説明図。
【図3】本発明実施例の回路説明図。
【図4】本発明の他の実施例を示した回路説明図。
【符号の説明】
4…イグニッションスイッチ 5…指針照明灯
6…計器駆動回路 7…遅延回路
8…エンジン点灯系 9…点灯信号
10…波形整形回路 11…ワンショットマルチ回路
12…積分回路 13…コンパレータ
14…トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 給電によって自発光表示される指針を備えた自動車用アナログ式計器において、イグニッションスイッチの閉路により計器駆動回路への給電がなされてから後、上記自発光指針を点灯表示させる遅延手段を設けたことを特徴とする自発光式計器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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