説明

自発光素子を用いた表示装置、及びその駆動方法

【課題】出力段の数を削減しチップ面積を削減することでコストダウンを図ることが可能な流出力型半導体回路、及び表示装置を提供することを目的とすること
【解決手段】3つの表示色に対応した基準電流を生成して出力する3つの基準電流生成部61と、変化する表示色切り替え信号475に応じて、表示データ473の表示色に合わせて、3つの基準電流生成部61の出力のうち、最適な基準電流を出力するセレクタ471と、基準電流により決められた1階調あたりの電流に対し、表示データ473の値に応じた電流を出力する電流出力部255と、電流出力部255の出力を、表示色に対応する各ソース信号線に分配するためのセレクタ472とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子など、電流量により階調表示を行う表示装置に用いる電流出力を行う駆動用の電流出力型半導体回路、及びそれを用いた表示装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子は、自発光素子であるため、液晶表示装置で必要とされるバックライトが不要であり、視野角が広いなどの利点から、次世代表示装置として期待されている。
【0003】
一般的な有機発光素子の素子構造の断面図を図1に示す。有機層12が陰極11及び陽極13により挟まれた構成となっている。これに直流電源14を接続すると、陽極13から正孔が、陰極11から電子が有機層12に注入される。注入された正孔及び電子は有機層12内を電源14により形成された電界により対極に移動する。移動途中において、電子と正孔が有機層12内で再結合し、励起子を生成する。励起子のエネルギーが失活する過程において発光が観測される。発光色は励起子の持つエネルギーにより異なり、およそ有機層12の持つエネルギーバンドギャップの値に対応したエネルギーの波長を持つ光となる。
【0004】
有機層内で発生した光を外部に取り出すため、電極のうち少なくとも一方は可視光領域で透明な材料が用いられる。陰極には、有機層への電子注入を容易にするため仕事関数の低い材料が用いられる。例えば、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムなどである。耐久性、さらなる低仕事関数化のためにこれらの合金や、アルミリチウム合金といった材料が用いられることがある。
【0005】
一方陽極は正孔注入の容易性からイオン化ポテンシャルの大きいものを用いる。また陰極が透明性を持たないため、こちらの電極に透明性材料を用いることが多い。そのため一般的には、ITO(Indium Tin Oxide)、金、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などが用いられる。
【0006】
近年では低分子材料を用いた有機発光素子において、発光効率を高めるため、有機層12を複数の層で構成することがある。これにより、各層で、キャリア注入、発光領域へのキャリア移動、所望の波長を持つ光の発光の機能を分担することが可能となり、それぞれに効率のよい材料を用いることで、より効率の高い有機発光素子を作成することが可能となる。
【0007】
このようにして形成された有機発光素子は、図2(a)に示すように輝度は電流に対して比例し、図2(b)に示すように電圧に対しては非線形な関係となる。それゆえ階調制御を行うには、電流値により制御を行う方がよい。
【0008】
アクティブマトリクス型の場合、電圧駆動方式と電流駆動方式の2通りがある。
【0009】
電圧駆動方式は電圧出力型のソースドライバを用い、画素内部において電圧を電流に変換し、変換した電流を有機発光素子に供給する方法である。
【0010】
この方法では画素毎に設けられたトランジスタにより電圧電流変換を行うことから、このトランジスタの特性ばらつきに応じて、出力電流にばらつきが発生し、輝度むらが生じる問題がある。
【0011】
電流駆動方式は電流出力型のソースドライバを用い、画素内部では1水平走査期間出力された電流値を保持する機能のみを持たせ、ソースドライバと同じ電流値を有機発光素子に供給する方法である。
【0012】
電流駆動方式の例を図3に示す。図3の方式は画素回路にカレントコピア方式を用いたものである。
【0013】
図4に図3の画素37の動作時の回路を示す。
【0014】
画素が選択されたときには図4(a)に示すようにその行のゲート信号線31aはスイッチを導通状態とするように、31bは非導通状態となるようにゲートドライバ35から信号が入力される。このときの画素回路の様子を図4(a)に示す。このときソースドライバ36に引き込まれる電流であるソース信号線30に流れる電流は点線41で示した経路を流れる。よってトランジスタ32にはソース信号線30に流れる電流と同一電流が流れる。すると節点42の電位はトランジスタ32の電流電圧特性に応じた電位となる。
【0015】
次に非選択状態となるとゲート信号線31により図4(b)に示すような回路となる。EL電源線34から有機発光素子33に43で示す点線の経路で電流が流れる。この電流は節点42の電位とトランジスタ32の電流電圧特性により決まる。
【0016】
図4(a)と(b)において節点42の電位は変化しない。従って同一トランジスタ32に流れるドレイン電流は図4(a)と(b)において同一となる。これによりソース信号線30に流れる電流値と同じ値の電流が有機発光素子33に流れる。トランジスタ32の電流電圧特性にばらつきがあっても原理上点線41の電流と点線43の電流の値には影響がなく、トランジスタの特性ばらつきの影響のない均一な表示を実現できる。
【0017】
従って、均一な表示を得るためには電流駆動方式を用いる必要があり、そのためにはソースドライバ36は電流出力型のドライバICでなければならない。
【0018】
階調に応じた電流値を出力する電流ドライバICの出力段の例を図6に示す。表示階調データ54に対し、デジタルアナログ変換部66によりアナログの電流出力を64より行う。デジタルアナログ変換部66は、複数個(少なくとも階調データ54のビット数)の階調表示用電流源63とスイッチ68及び、1つあたりの階調表示用電流源63が流す電流値を規定する共通ゲート線67から構成される。
【0019】
図6では4ビットの入力である階調データ54に対しアナログ電流を出力する。ビットの重みに応じた数の階調表示用電流源63を電流出力64に接続するかをスイッチ68により選択することで、例えばデータ1の場合は、階調表示用電流源63が1つ分の電流、データ7の場合は7つ分の電流といったように階調に応じた電流が出力できる。この構成をドライバの出力数に応じた数だけ66を並べることで電流出力型ドライバが実現可能である。階調表示用電流源63に用いたトランジスタの温度特性を補償するため共通ゲート線67の電圧は分配用ミラートランジスタ62により決められる。分配用ミラートランジスタ62と階調表示用電流源63はカレントミラー構成となり、基準電流99の値に応じて1階調あたりの電流が決められる。この構成により、階調により出力電流が変化し、かつ1階調あたりの電流は基準電流により決まる。
【0020】
また階調表示用電流源63の個数違いによる階調表示のほか、図6においてドレイン電極が同一スイッチ68に接続された複数の階調表示用電流源63を1つにまとめる。スイッチ68を介して流れる電流は変化しないように、階調表示用電流源63のチャネルサイズ比を変化させて形成する方法でも実現可能である。(この場合最低4つの階調表示用電流源63トランジスタで構成される)
さらに、階調表示用電流源63トランジスタの個数による電流変化と、チャネルサイズ比の変化による電流変化を組み合わせて実施してもよい。
【0021】
基準電流99の値は、抵抗素子60の抵抗値及び電源69の電源電圧により決められる。抵抗素子60及び分配用ミラートランジスタ62、電源69からなる回路で1階調あたりの電流を決める基準電流が生成されるため、これらの回路を基準電流生成部61とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
電流出力型ソースドライバにおいて、図6に示すように電流出力をトランジスタの並びで構成すると、並べるトランジスタの個数分だけ面積を必要とする。基準電流のばらつきを考慮に入れ、チップ内、チップ間の隣接端子間のばらつきを2.5%以内にする必要があることから図58における出力電流のばらつき(出力段での電流ばらつき)は2.5%以下にすることが望ましく、63のトランジスタサイズは160平方ミクロン以上あることがよい。
【0023】
このようにトランジスタを各出力段に構成すると、1端子あたり少なくとも1280平方ミクロン、最大で40800平方ミクロンの面積が必要である。これは全チップ面積に対して5分の1〜2分の1を占める。
【0024】
このため、低コスト化のためには、トランジスタの数を減らすことが必要であり、そのためには出力端子数を削減することが必要である。
【0025】
故に、本発明は、表示装置の水平走査線数を減らすことなく、回路規模が小さく、かつ低コストな自発光素子を用いた表示装置、及び駆動方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上述した課題を解決するために、第1の本発明は、
自発光素子をマトリクス状に配列した画素で構成された、少なくとも2色以上の表示を電流値制御に基づいて行う表示装置の前記自発光素子の各発光色に応じて調整された第1の電流を生成し、前記各発光色ごとに出力する基準電流出力部と、
前記基準電流出力部から出力された第1の電流を、信号線から送られてくる表示階調データの情報を反映させた第2の電流に変換し、表示領域側に出力する複数の電流出力部と、
前記電流出力部から出力された、前記第2の電流の出力先を前記各発光色に対応した各画素列に切り替える第1のセレクタ部とを備え、
前記基準電流出力部は、前記第1のセレクタ部の切り替えに応じて、前記第1の電流を出力する、自発光素子を用いた表示装置である。
【0027】
また、第2の本発明は、
前記基準電流出力部は、
前記各発光色ごとに調整された前記第1の電流に対応する基準電流を、個別に生成し出力する複数の基準電流生成部と、
前記複数の基準電流生成部と前記複数の電流出力部との間に接続され、前記第1のセレクタ部の前記切り替えと同じタイミングで、前記第1のセレクタ部の切り替えに応じた前記基準電流を、第1の電流として出力する第2のセレクタ部とを備える、第1の本発明の自発光素子を用いた表示装置である。
【0028】
また、第3の本発明は、
前記第2のセレクタ部は、前記複数の基準電流生成部が出力する基準電流を、1水平走査期間における時分割クロックに同期して、所定の順番に従って前記第1の電流として出力する、第2の本発明の自発光素子を用いた表示装置である。
【0029】
また、第4の本発明は、
前記第2のセレクタ部は、前記複数の基準電流生成部が出力する基準電流を、電気的な切り替え手段に連動して、所定の順番に従って、前記第1の電流として出力する、第2の本発明の自発光素子を用いた表示装置である。
【0030】
また、第5の本発明は、
前記第1のセレクタ部の前段に接続され、前記第1のセレクタ部と前記第2のセレクタ部とを連動動作させる表示色切り替え信号を、前記第1のセレクタ部に入力するための表示色切り替え信号線を備える、第2の本発明の自発光素子を用いた表示装置である。
【0031】
また、第6の本発明は、
前記第1のセレクタ部を介して前記電流出力部に接続される前記各画素列の数は、2乃至3である、第2の本発明の自発光素子を用いた表示装置である。
【0032】
また、第7の本発明は、
前記発光色は、赤、青、緑、黄、シアン、マゼンタのうちから選ばれる2以上の発光色である、第2の本発明の自発光素子を用いた表示装置である。
【0033】
また、第8の本発明は、
ソース信号線の電圧を高速に変化させるプリチャージ電圧を決定し、生成して出力するプリチャージ電圧発生部とを備える、第1の本発明の自発光素子を用いた表示装置である。
【0034】
また、第9の本発明は、
前記プリチャージ電圧発生部と前記第1のセレクタ部との間に接続され、前記電圧プリチャージを実施するか否かを判定する電圧印加選択部を備え、
前記プリチャージ電圧発生部は、前記電圧印加選択部の判定に応じて、前記プリチャージ電圧を出力する、第8の本発明の自発行素子を用いた表示装置である。
【0035】
また、第10の本発明は、
前記基準電流出力部は、
前記各発光色ごとに調整された前記第1の電流に対応する基準電流を、個別に生成し出力する複数の基準電流生成部と、
前記複数の基準電流生成部と前記複数の電流出力部との間に接続され、前記第1のセレクタ部の前記切り替えと同じタイミングで、前記第1のセレクタ部の切り替えに応じた前記基準電流を、第1の電流として出力する第2のセレクタ部とを備える、第8の本発明の自発光素子を用いた表示装置である。
【0036】
また、第11の本発明は、
前記第2のセレクタ部は、前記複数の基準電流生成部が出力する基準電流を、1水平走査期間における時分割クロックに同期して、所定の順番に従って前記第1の電流として出力する、第10の本発明の自発光素子を用いた表示装置である。
【0037】
また、第12の本発明は、
前記第2のセレクタ部は、前記複数の基準電流生成部が出力する基準電流を、電気的な切り替え手段に連動して、所定の順番に従って、前記第1の電流として出力する、第10の本発明の自発光素子を用いた表示装置である。
【0038】
また、第13の本発明は、
前記第1のセレクタ部の前段に接続され、前記第1のセレクタ部と前記第2のセレクタ部とを連動動作させる表示色切り替え信号を、前記第1のセレクタ部に入力するための表示色切り替え信号線を備える、第10の本発明の自発光素子を用いた表示装置である。
【0039】
また、第14の本発明は、
前記第1のセレクタ部を介して前記電流出力部に接続される前記各画素列の数は、2乃至3である、第10の本発明の自発光素子を用いた表示装置である。
【0040】
また、第15の本発明は、
前記発光色は、赤、青、緑、黄、シアン、マゼンタのうちから選ばれる2以上の発光色である、第10の本発明の自発光素子を用いた表示装置である。
【0041】
また、第16の本発明は、
自発光素子をマトリクス状に配列した画素で構成された、少なくとも2色以上の表示を電流値制御に基づいて行う表示装置の前記自発光素子の各発光色に応じて調整された第1の電流を生成し、前記各発光色ごとに出力する基準電流出力ステップと、
前記第1の電流を、信号線から送られてくる表示階調データの情報を反映させた第2の電流に変換し、表示領域側に出力する複数の電流出力ステップと、
前記第2の電流の出力先を前記各発光色に対応した各画素列に切り替える第1の選択ステップとを備え、
前記基準電流出力ステップは、前記第1の選択ステップの切り替えに応じて、前記第1の電流を出力する、自発光素子を用いた表示装置の駆動方法である。
【0042】
また、第17の本発明は、
ソース信号線の電圧を高速に変化させるプリチャージ電圧を決定し、生成して出力するプリチャージ電圧発生ステップとを備える、第16の本発明の自発光素子を用いた表示装置の駆動方法である。
【0043】
また、第18の本発明は、
前記電圧プリチャージを実施するか否かを判定する電圧印加選択ステップを備え、
前記プリチャージ電圧発生ステップは、前記電圧印加選択ステップの判定に応じて、前記プリチャージ電圧を出力する、第17の本発明の自発行素子を用いた表示装置の駆動方法である。
【0044】
また、第19の本発明は、
前記基準電流出力ステップは、
前記各発光色ごとに調整された前記第1の電流に対応する基準電流を、個別に生成し出力する基準電流生成ステップと、
前記第1の選択ステップの前記切り替えと同じタイミングで、前記第1の選択ステップの切り替えに応じた前記基準電流を、第1の電流として出力する第2の選択ステップとを備える、第16の本発明の自発光素子を用いた表示装置の駆動方法である。
【0045】
また、第20の本発明は、
前記第2の選択ステップは、前記基準電流生成ステップが出力する基準電流を、1水平走査期間における時分割クロックに同期して、所定の順番に従って前記第1の電流として出力する、第19の本発明の自発光素子を用いた表示装置の駆動方法である。
【0046】
また、第21の本発明は、
前記第2の選択ステップは、前記基準電流生成ステップが出力する基準電流を、電気的な切り替え手段に連動して、所定の順番に従って、前記第1の電流として出力する、第19の本発明の自発光素子を用いた表示装置の駆動方法である。
【0047】
また、第22の本発明は、
前記第1の選択ステップと前記第2の選択ステップとを連動動作させる表示色切り替え信号を入力する表示色切り替えステップを備える、第19の本発明の自発光素子を用いた表示装置の駆動方法である。
【0048】
また、第23の本発明は、
前記電流出力ステップの出力先は、2乃至3の画素列である、第19の本発明の自発光素子を用いた表示装置の駆動方法である。
【0049】
また、第24の本発明は、
前記発光色は、赤、青、緑、黄、シアン、マゼンタのうちから選ばれる2以上の発光色である、第19の本発明の自発光素子を用いた表示装置の駆動方法である。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、従来の表示装置と比べて、回路規模が小さく、かつ低コストな、自発光素子を用いた表示装置、及び駆動方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、本発明の実施の形態である、発光色が3色の自発光素子を用いた表示装置の構成及び動作を説明するとともに、本発明の自発光素子を用いた表示装置の駆動方法についても同時に説明する。なお、以下の実施形態では、有機発光素子を、自発光素子の一例として説明する。
【0052】
カラー有機発光素子を用いた表示装置において、3原色それぞれに異なる材料を用いて画素を形成した場合、図7に示すように、表示色ごとに発光効率が異なるので、さらに各発光色の色度によっては、白表示時の各表示色の電流が異なる値となるので、1階調あたりの電流を個別に設定する必要がある。
【0053】
そこで図8に示すように基準電流生成部61を含む電流出力回路65を表示色ごとに個別に用意して、表示装置に使用する発光材料が変わったとしても、抵抗素子60の値を変更して使うことで、パネル輝度及び色度を目的の値に設定できるような構成としている。
【0054】
さらに発光材料の色ごとの発光効率ばらつきが白色度に影響をおよぼし、パネルごとに白色が異なって見える問題に対応するために、図9に示すように基準電流生成部61において、抵抗素子60の変わりに電子ボリュームと定電流源からなる回路構成として、発光効率によって制御データ98の値を変化させ、基準電流を変化させ出力電流値を調整することで、輝度を一定の範囲内に調整することができる。また色度についても同様に一定の範囲内に調整することが可能となる。制御データ98を基準電流電子ボリュームとよぶこととする。
【0055】
調整方法を図10に示す。
【0056】
想定される発光効率から計算された基準電流電子ボリュームの初期値により全画面白表示を行う。このときに輝度及び色度測定を実施する。測定データがパネルの設計スペックの範囲内に入っていれば、電子ボリュームはこの初期値に決定されるが、範囲外である場合には、設定値と比較し、各色の基準電流電子ボリューム98の値の増減を行い、再度白表示して輝度及び色度を測定する。この動作を、輝度及び色度が設計範囲内に入るまで繰り返し実施し、最終的にパネルごとに最適な基準電流電子ボリューム98の値を決定する。
【0057】
電子ボリュームの電圧調整部95の刻み幅は、細かいほど、基準電流値の微調整が効き、目標値に近い設定が可能である。また最大−最小値の幅が大きいほど発光効率のばらつきが大きくてもきちんと設計どおりの値に調整することが可能である。しかしながら、この条件を満足するように設計すると電圧調整部95の回路規模が大きくなり、ドライバIC36の面積を大きくしてコストアップの要因となってしまう。このため調整範囲は最大2倍程度(発光効率のばらつきが2倍以内)、刻み幅は1%の電流変化として、6ビットの電子ボリュームにより構成することが実用的に好ましい。これによりパネルごとの色度のばらつきはx、yとも±0.005以下に設定できる。
【0058】
ところで、本願の優先権主張の基礎出願となる特願2005−56494において、領域の境界がぼやける現象、及び全面が低階調表示にもかかわらず、1行目の輝度が高くなる現象を解決するための、電圧プリチャージ、及び電流プリチャージを実施する自発光素子を用いた表示装置について説明している。
【0059】
そこで、以下に、上記基礎出願に記載した電圧プリチャージ、及び電流プリチャージについて説明する。
【0060】
電流駆動時の問題点として図11に示すような表示パターンにて、領域111が中間調以下で1/4階調以上の場合で、領域112において低階調表示を実施する場合に、領域の境目がぼやけてしまう現象が発生する。
【0061】
また図12に示すような全面が低階調表示の場合において表示1行目(領域121)の輝度が他の行よりも高くなる現象が発生する。
【0062】
これは各画素への書き込み電流が小さく(10nA程度)、書き込み電流でのソース信号線の浮遊容量の充放電が困難となり、1水平走査期間内に所定の電流値まで変化できないことが原因である。
【0063】
これについては、文献Proc.EuroDisplay2002 pp855〜858などで知られている。
【0064】
例えば図3に示す画素構成のアクティブマトリクス型表示装置において、ソース信号線からある画素に所定電流値を書き込む場合について考える。ソースドライバIC36の出力段から画素までの電流経路に関係する回路を抜き出した回路は図15(a)のようになる。
【0065】
階調に応じた電流IがドライバIC36内から、電流源152という形で引き込み電流として流れる。この電流はソース信号線30を通じて、画素37内部に取り込まれる。取り込まれた電流は駆動トランジスタ32を流れる。つまり、選択された画素37においてEL電源線34から駆動トランジスタ32、ソース信号線30を介して、ソースドライバIC36に電流Iが流れる。
【0066】
映像信号が変化して電流源152の電流値が変化すると、駆動トランジスタ32及びソース信号線30に流れる電流も変化する。そのときソース信号線の電圧は駆動トランジスタ32の電流電圧特性に応じて変化する。駆動トランジスタ32の電流電圧特性が図15(b)である場合、例えば電流源152が流す電流値がI2からI1に変化したとすると、ソース信号線の電圧はV2からV1に変化することになる。この電圧の変化は電流源152の電流によっておこる。
【0067】
ソース信号線30には浮遊容量151が存在する。V2からV1までソース信号線電圧を変化させるにはこの浮遊容量の電荷を引き抜く必要がある。この引き抜きにかかる時間ΔTは、ΔQ(浮遊容量の電荷)=I(ソース信号線に流れる電流)×ΔT=C(浮遊容量値)×ΔVとなる。
【0068】
白(255階調レベル)にて1μAの電流が必要とされるパネルにおいて領域111の階調が32、領域112の階調が0であるとするとΔV(黒表示時から階調32表示時間の信号線振幅)は3[V]、C=10pF、32階調表示時の電流I=125nAとなるので、ΔT=240μ秒必要となる。これはQCIF+サイズ(画素数176×220)を60Hzのフレーム周波数で駆動させるときの、1水平走査期間(75μ秒)よりもながくなるため、仮に、黒表示画素の次に走査する画素に32階調表示を行おうとすると、ソース信号線電流が変化途中に画素に電流を書き込むためのスイッチトランジスタ39a、39bが閉じてしまうため、中間調が画素にメモリーされることにより32階調と黒の中間の輝度で画素が光ってしまうことを意味する。
【0069】
ΔTの時間だけ変化に時間がかかることから、複数行にわたって輝度が所定値と前の画素の中間の値となることから、表示としてはなだらかに変化しているように見え、その結果境界線がぼやけて見えるようになる。
【0070】
階調が低くなるほどIの値が小さくなるため、浮遊容量151の電荷を引き抜きにくくなるため、所定輝度に変化する前の信号が画素内部に書き込まれてしまうという問題は、低階調表示ほど顕著に現れる。極端にいうと黒表示時は電流源152の電流は0であり、電流を流さずに浮遊容量151の電荷を引き抜くことは困難である(正確には駆動トランジスタ32が初期状態では階調32相当の電流を流しており、ドレイン電流を減らすように、この電流を用いてソース信号線電位を変化させている)(領域111の下の領域112に相当する)。
【0071】
このようなことから、図11に示す表示で領域111が階調32、領域112が階調0の場合のソース信号線の時間変化は図13に示すようになだらかに変化する。変化途中の行で表示異常が確認される。
【0072】
図15に示した、走査1行目の輝度が他に比べて高くなる現象は、例えば階調5を全画面表示した場合の例で説明する。
【0073】
垂直ブランキング期間では、どの画素回路にもソース信号線が接続されず、ソースドライバIC36は電流を引き込もうという動作のみがおこなわれる。
【0074】
その結果、図14に示すようにソース信号線30の電位は電流源63により時間がたつとともに低下し、垂直ブランキング期間の終了時には白階調相当まで電位が低下する。この状態で階調5表示を行おうとすると、1行目で大きく信号線電位を変化させる必要があり、図11の例と同様に、変化に時間がかかり、白と目標階調の中間電位がメモリーされる(図14の点1413)。その結果、輝度が高く表示され、1行目が明るく見えるようになる。
【0075】
これらの問題を解決するためにプリチャージ手法を用いて駆動させる。
【0076】
階調0が表示できないことに関しては、階調0表示時に電圧により階調0表示相当の電圧を画素37に印加し、階調0状態への変化を高速化する。このときの電圧をプリチャージ電圧と呼び、電流駆動時に黒表示状態に高速にソース信号線の状態を電圧印加により変化させる方法を電圧プリチャージと呼ぶこととする。
【0077】
ソースドライバ36の出力段の構成を図16に示す。従来のドライバに対し、階調0表示時に印加する電圧を供給するプリチャージ電源24と、プリチャージ電源24を画素に印加するかどうかを判定するための印加判定部169とを追加し、印加判定部169に判定データを映像信号に同期して送信するために、ラッチ部22のビット数が増加したことが異なっている。電圧プリチャージを実施する期間はプリチャージパルス168により決められる。電圧プリチャージ有無時でのソースドライバ動作を図17に示す。
【0078】
電圧期間の長さはソース信号線30の浮遊容量151及び水平走査期間の長さ、プリチャージ電源24のバッファ能力によって定まるが、おおよそ2μ秒程度の長さで設定される。プリチャージ電源24の能力は2μ秒で浮遊容量151(およそ10pF)を5V程度電位変化させられるように設計する。
【0079】
これにより従来図13で131に示す変化が、図18の181に示すように変化するようになり、領域112の表示1行目から階調0の表示が可能となった。
【0080】
この手法では132に示す変化に対しては効果がないため、変化速度を加速するための手段として、図19に示すように、一時的に電流量を多くする期間を設け、その期間で変化速度を加速し、所定電流値にすばやく変化させる方法をとった。図19では10倍の電流を流す例である。10倍でなくても、最大階調電流を流すなど、所定階調電流よりも大きな電流を流せば効果がある。このように電流をたくさん流す期間を設ける方式を電流プリチャージといい、たくさん流す電流をプリチャージ電流と呼ぶ。
【0081】
この手法を用いて、32階調レベルの電流に変化させた場合の電流変化の様子を図20に示す。従来の202の曲線では125nAまで変化するのに240μ秒かかっていたが、本発明を実施することで75μ秒以内に変化させることが可能となった。この例では、プリチャージ電流はドライバの最大階調電流(8ビットの例では255階調)相当を流している。そのため図20に示す電流プリチャージ期間1073は、30μ秒程度あれば、ほぼ所定電流値付近にまで変化できる。残りの45μ秒を利用して所定階調表示電流を流し、カレントコピアの画素構成で特徴となる駆動トランジスタ32のムラを補正する。これにより電流変化がすばやくなり、低階調であっても所定の輝度が表示できるようになる。
【0082】
電流プリチャージによる所定電流への変化時間は1行前のソース信号線の状態に応じて変化する。例えば、1行前が黒レベルで32階調まで変化させる場合と、1行前が3階調で32階調まで変化させる場合で、電圧変化量が異なるため、32階調電流で書き込みをしても書き込み状態が異なり、1行前が3階調のほうが書き込みしやすいため、電流プリチャージの期間は短くしなければならない(プリチャージ電流値が同一の場合での比較。電流値を少なくして、長さを短くしても同様である)。
【0083】
このように考えると、プリチャージ期間の種類は単純には256×256通り必要となり、判定し出力することが複雑となる。
【0084】
そこで、プリチャージの種類を削減するため、電流プリチャージを実施する前に、ソース信号線の状態をある値に固定し、その状態から所定階調まで変化するようにすれば、当該行の階調により電流プリチャージ期間を定めるのみで所定表示が可能となる。図21に1水平走査期間内での電流プリチャージ実施の際のシーケンスを示す。はじめに電圧プリチャージを実施する(211)。これにより黒表示状態に電圧が設定され、次に電流プリチャージを実施する(212)。これで所定電流近傍まで電流値が変化する。最後に階調電流出力期間(213)により、駆動トランジスタ32の電位補正をして階調表示を実施する。
【0085】
これにより図11の表示パターンにおいて図22に示すように、領域111aから112への変化及び領域112から111bへの変化速度が速くなり図22に示すように変化後の1行目でもきちんと所定階調を表示できた。
【0086】
これを表示1行目に必ず実施するようにすれば図23に示すように階調5表示を1行目から実施できるようになる。
【0087】
垂直ブランキング期間の電位低下を防止するために、垂直ブランキング期間ではソースドライバ出力を強制的に階調0出力(つまり電流引き込みなし)としたり、垂直ブランキング期間中は電圧プリチャージを実施して黒電位に固定する方法がある。電圧プリチャージは、図24(a)に示すように通常の電圧プリチャージと同様に2μ秒程度のみ行う方法と、図24(b)に示すように常時電圧プリチャージをする方法のいずれでもよい。図24(a)の場合は、階調出力期間があるため、階調0に固定し、階調0出力期間241とすることが好ましい。
【0088】
電流プリチャージ及び電圧プリチャージを行うための電流出力部構成を図25に示す。ここで選択部259は、階調データ54もしくは、電流プリチャージ制御線254がハイレベルの際に階調表示用電流源63を電流出力64に接続する。選択部259は、接続するかどうかを決定するための手段である。図21に示した電圧プリチャージ実施期間211は、電圧プリチャージパルス258のパルス幅により決められ、電流プリチャージ実施期間212は電流プリチャージパルス群256により決められる。電流プリチャージパルスが複数個あるのは、表示階調により最適な電流プリチャージ期間が異なるためで、階調に応じて最適なパルス幅を持つ電流プリチャージパルスを選択する。電流プリチャージパルス256及び電圧プリチャージパルス258のいずれもが入力されない期間が図213に示す階調電流出力期間213となる。
【0089】
階調に応じて最適な電流プリチャージパルス256の選択及び、電圧プリチャージパルスの有無を設定するのがプリチャージ判定線251であり、階調データ54と同期して信号が入力される。パルス選択部252は例えば図26に示すようにプリチャージ判定線251の値に対して、プリチャージパルスを出力する。プリチャージ判定線251の値が0のときはプリチャージパルスがでないため、通常の階調出力を行う。プリチャージ判定線251の値が7のときは電圧プリチャージのみ行う。そのほかの場合には、電圧プリチャージ実施後、電流プリチャージを実施する動作となる。
【0090】
各プリチャージパルスの設定例を図27に示す。ここで電圧プリチャージパルス258及び電流プリチャージパルス256が同時に入力された場合には、電圧印加選択部253により、電圧プリチャージパルス258が優先して作用することになっているため、水平走査期間の開始時に同時にパルスが立ち上がっている。ここでは電流プリチャージパルスは6種類用意され、aから順に長くなっている。
【0091】
プリチャージ判定線251の値が4であれば図26で示したように、まず電圧プリチャージパルス258により電圧プリチャージ実施期間211、次に電流プリチャージ実施期間212(電流プリチャージパルス256dで設定された期間のみ)、残りの時間が階調電流出力期間213となる。
【0092】
プリチャージ判定線251の値が0であれば、水平走査期間272に示すように、すべて階調電流出力期間213となる。
【0093】
各階調に対しどのようにプリチャージを実施するかを表したものが図28である。階調0の場合は、先に述べたように電圧プリチャージを実施する。階調1〜階調102では電流プリチャージを実施する。(電流プリチャージ前に必ず電圧プリチャージ期間が存在する)電流プリチャージ期間は、階調が増加するごとに長くなるように設定する。階調103以上では、QCIF+の画素の例で255階調時が、1μAの電流である場合には、1行前が階調0であっても75μ秒以内に変化が可能であるため、プリチャージは不要である。したがって階調電流のみでの出力を行う。
【0094】
次に各プリチャージパルス幅の例を図29に示す。階調0表示相当のプリチャージ電圧値からの電圧変化量に応じて設定されている。このときの各プリチャージパルスに対する階調の組み合わせは図28に示すとおりである。
【0095】
図28において複数の階調で同一プリチャージパルスが共有できるのは、電流プリチャージにより目標値近くまで電位を変動させれば、所定値までは階調電流で補正できるためである。
【0096】
図30に電流プリチャージパルス256dを階調5及び階調8で適用した場合の電流変化の様子を示したものである。階調5表示の場合は、ソース信号線の電位変化は黒表示状態から2.4V、階調8表示の場合は2.65V必要である。
【0097】
電流プリチャージ期間212において、図29に示す電流プリチャージの長さを設定すると、電位変化は2.5Vとなる。この後階調電流にて所定電位まで変化させる。階調5表示では304に示すように0.1V程度電流を減少させる方向で変化させる必要がある。電流値が20nA、階調電流出力期間213が55μ秒であるため、階調5電流で0.11V変化させることが可能である。電流プリチャージ256dを用いれば所定階調を表示できることがわかる。一方階調8においては、電流値が31nAであることから55μ秒で0.16V変化させることができ、変化に必要な電圧値0.15Vに対して十分変化が可能である。このように同一電流プリチャージパルス256dを用いて階調5〜8の表示を行うことが可能である。
【0098】
このように階調ごとに最適な電流プリチャージパルス256を選択することで、全階調に対して書き込み不足のない表示が可能となった。
【0099】
プリチャージパルスは図31に示されるようにパルス発生部から供給される。水平走査期間の開始後からプリチャージが実施されるため、ソースドライバのアナログ出力タイミングを決定するタイミングパルス311により、パルスが発生するようにしている。その後各プリチャージパルスの長さを決定するために、クロック314及びカウンタ317と、プリチャージ期間設定線(315、316)の値を比較して一致する値までパルスを発生させ続けるようにする。
【0100】
電流プリチャージパルス群が色ごとに別設定となっているのは各色で階調電流の値が異なり、最大階調電流で電流プリチャージを実施したとしても所定電流値まで変化する時間が異なる可能性があるためである。
【0101】
電圧プリチャージについては、電圧にて強制的にある電位まで変化させるものであり、電圧値により必要なプリチャージ期間が変わるものではないため全色共通で設定している。
【0102】
また各プリチャージパルスは、ソースドライバクロック314により発生させるため、クロックの周波数によっては、パルス幅が短くしか設定できなかったり(高解像度のパネルに適用の場合)、長くしか設定できない(解像度が低いパネル)問題が発生する。パルス発生部において期間を設定する設定線315のビット数を増加させて、可変範囲を広げる方法があるが、この場合、パルス生成手段318の回路規模が大きくなる。そこで、ソースドライバのクロック314を分周してクロック周波数を制御する分周回路313を設け、パルス発生のためのカウンタ317の回路に分周後のクロックを入力することで、画面の解像度にある程度左右されずに、パルス幅が設定できる構成とした。
【0103】
図25に対して電圧プリチャージを行うための回路構成を図32に示す。プリチャージ電圧発生部323は電子ボリューム324にて、出力電圧値をコマンドで変更できる構成となっている。また出力は電圧プリチャージ制御線257を介して出力64に接続される。全出力とも共通電圧が出力される。これは黒表示時の電圧設定を色ごとに個別に設定することができないため、個別設定する回路が必要ではなく、回路規模削減のための1つのみ存在している。
【0104】
電子ボリューム324は、パネルごとに異なる黒輝度を調整してばらつきを抑えるために使用される。図33に黒輝度を調整するための回路構成を示す。本来黒輝度の調整は輝度計などによって輝度を測定し、輝度を一定にするように調整する必要があるが、自発光である有機発光素子では、黒輝度が0.05カンデラ以下となり、測定のためには、輝度計を選ぶ上、暗室での調整が求められてしまう。そこで、本発明では、輝度測定のかわりとして有機発光素子の輝度−電流特性がほぼ比例関係であることを利用して、全画素に流れる電流値の総和を測定し、その電流が一定の範囲内に入るように調整する方法をとることとした。そこで図33では、有機発光素子に流れる電流の総和がわかるELカソード電源線330に電流計333を挿入し、電流計333の値を読み出し、パソコンなどの制御装置332が、コントローラを介してソースドライバ内部の電子ボリューム324を制御する。最終的に最適な電子ボリューム値を記憶手段337に記憶させる。(記憶手段は、最終モジュール上に搭載され、書き込み後は、調整されたパネルと対でモジュール化される)調整後、電圧プリチャージの電圧値は記憶手段337に記憶された値で動作する。
【0105】
図34に黒調整時の調整方法を示す。電圧プリチャージを実施して黒表示を行う(341)。次にELカソード電源330の電流値を測定する。電流値が所定範囲内に入っているかを判定し、範囲外であれば、範囲内に入るように再度電圧プリチャージ用電子ボリューム324の値を変更し、ELカソード電流を測定する。これを範囲内に入るまで繰り返し実施する。
【0106】
所定の範囲内に入れば、このときの電子ボリューム値を記憶手段337に書き込む。これにより調整終了となる。最後に記憶手段に記載された値が正しいか確認し、検査を終え、以降は記憶手段337の値に基づいたプリチャージ電圧を発生するようになる。これによりパネル間での黒輝度ばらつきの少ない表示装置が実現された。
【0107】
電流プリチャージ及び電圧プリチャージの実施により書き込み不足がない表示が実現したが、複数の行にわたって一定輝度が表示される場合、毎回プリチャージが実施されることで、プリチャージ実施前よりも信号線電位の変化が激しくなる場合がある。例えば図11に示す111領域で階調32が表示されている場合である。図35に信号線電流の変化の様子を示す。各水平走査期間開始の際に一度電流が0に大きく変化している。一方従来のプリチャージのない方式では、領域の変化後数行間では所定電流にならない問題があるものの複数の行で同一階調表示の場合常に一定電流が流され、電流変化の少ない表示となっており、より書き込みやすい動作となっている。
【0108】
そこで、1行前の状態によってプリチャージを行うかどうかを判別する方法をとることを考えた。領域111から112及び112から111への変化点ではプリチャージを行うが、階調変化のない111内及び112内ではプリチャージを実施しない方法である。プリチャージが必要なく書き込める場合にはプリチャージを実施しないという判定処理をするものである。プリチャージの長さについては、これまで同様に当該階調によって決められる。これにより図36に示すように、電流変化の大きな部分でもきちんと表示でき、さらに電流変化が少ないところではプリチャージを止めることで電流変化の少なくすることができ、表示品位が向上した表示パネルを実現した。
【0109】
次にプリチャージを行うかどうかの判定基準を決定する方法について説明を行う。判定は、プリチャージがなくても所定状態に変化できるかどうかで決まり、変化できない場合にプリチャージを行うようにする。
【0110】
書き込みが可能であるかどうかは、表示階調(書き込み電流)と1行前からの変化量(電位差)によって決まる。
【0111】
図38に1行前の書き込み電流と、表示行の書き込み電流の組み合わせに対するプリチャージなしは書き込みできない領域(381及び382)の関係を示す。381及び382の境界線は、ΔV×C=Iw×Tであらわされる線(ここでCは浮遊容量、10pF、Iwは書き込み電流、Tは水平走査期間75μ秒)であり、381及び382はΔV×C/Iw>75μ秒となる領域で、水平走査期間内に変化できない(書き込みできない)領域を示している。
【0112】
よってプリチャージするかどうかの判定は、381及び382の領域に入る1行前と当該行の組み合わせ時に実施するとすればよいが、この場合、判定に掛け算が含まれるため、回路規模が大きな判定ロジックとなる。
【0113】
そこで本発明では、掛け算をなくすために、381及び382の領域から狭くならないように、当該行の階調が一定値より上か下か、また1行前の階調が一定値より上か下かで判定するようにする。
【0114】
図38は255階調が1μAの電流で、QCIF+の画素数でソース線容量が10pFの場合における例で、書き込み電流が103階調未満(Iw103とする)かつ1行前電流が12階調未満(Ib12)のときと、書き込み電流が50階調未満(Iw50)のときにプリチャージをするとすればよい。ただし1行前と当該行の階調が同一であれば電流値によらず書き込み可能であるため、同一の場合はプリチャージをしないという判定を追加する。
【0115】
この判定を実施するための判定部方式を図37に示す。
【0116】
まず表示する階調が0かどうかを判定し(371)、階調0であれば電圧プリチャージをするようにする。複数行にわたって階調0が続いたとしてもプリチャージ電圧値が階調0時の電位であるため、図35に示すようなプリチャージを毎回行うことによる、電位変動が多くなる問題が起こらないため、毎回プリチャージをするようにする。
【0117】
階調0でない場合には次に、1行前の階調データと比較する(372)。比較を実施するため、RAMもしくはラッチ回路などで、1行分のデータを記憶させる回路が必要となる。
【0118】
1行前の階調データと比較し、一致する場合には、表示階調(書き込み電流)によらず書き込みが可能である。(ソース信号線の電位が変化しないため)そのため、この場合には電流プリチャージを実施しないようにする。
【0119】
次に1行前の階調のほうが大きい場合には、図38の領域381を考慮し、これから書き込む電流が階調50相当の200nA以下のとき電流プリチャージを実施する。領域381よりも大きな領域でプリチャージ実施することとなるが、書き込み不足による画質劣化が起きないことが優先であり、処理の簡便さを考慮して、このように判定する。200nAより大きい場合には、書き込み電流により、所定電流値までプリチャージなしでソース信号線電位を変化させることが可能であるため電流プリチャージなしとする。
【0120】
1行前階調のほうが低い場合には、階調電流にて書き込みが不可能な領域382を考慮し、まず書き込み電流が階調103相当の400nA以上の場合、1行前書き込み電流によらずプリチャージなしで書き込みが可能であることから、判定374にてプリチャージしない判定をする。
【0121】
階調102以下においては1行前の書き込み電流によって、書き込み可能不可能が分かれるため、さらに判定部375にて、1行前の電流が階調12相当45nA以下の場合、プリチャージを実施する。
【0122】
これによりプリチャージなしでは書き込みできない領域382を内包した形で、プリチャージ実施する組み合わせが決まり、必要に応じたプリチャージのオンオフ選択が可能となった。
【0123】
図39に、図37の判定処理を含めた場合における、ソース信号線電流変化の様子を示す。(図11の領域111が階調32で、領域112が階調3の場合を示す)プリチャージがない回路構成に比べて、電流の変化時の速度が向上し、領域の境界行でもきちんと階調表示を実現できている。
【0124】
階調に応じて最適なプリチャージパルスを選択もしくはプリチャージしないことを判定する回路は、表示パネル外部から送信されてくる映像信号407に対して、データイネーブル信号401により、垂直ブランキング期間では入力によらず黒データを出力する黒データ挿入部402を通り、ガンマ補正を行うガンマ補正回路403の出力で、ソースドライバへ送信されるデータを元にプリチャージ判定を実施する必要がある。そのため図40に示すような構成となり、ガンマ補正後映像信号404を用いてプリチャージ判定を行い、このデータと同期して、プリチャージフラグ406として、ソースドライバに送信される。プリチャージフラグ406は使用されるソースドライバ側のパルス選択部252と矛盾しないように図26に対応して、図41に示すような関係でプリチャージフラグ406を送信する。
【0125】
なお、1行前データとの比較部に対して、比較する映像信号がない1行目の処理であるが、今回垂直ブランキング期間で黒データ挿入するための黒データ挿入部402を追加したことで、1行目の前は必ず電圧プリチャージを実施した黒階調となる。1行前のタイミングに送信されたデータは必ず記憶手段に記憶され、比較データとなることから、このデータもまた保持され、1行目のプリチャージを判定する際には階調0表示が1行前にあったときのプリチャージをするように自動的に判定されるため、1行目の処理についても2行目以降と同様に実施することが可能である。
【0126】
プリチャージパルス256のパルス幅については、映像信号ごとに判定する必要がなく、同一パネルにおいては固定値であることから、別途、コマンド設定などによってソースドライバに送信するようにする。映像信号に同期してプリチャージフラグが必要で、さらにプリチャージパルスの設定やプリチャージ電圧値の設定などコマンドが多いため、コントローラとドライバが別チップで構成されるモジュール場合(図42)、2つのIC間での制御信号線数が多くなり、外部配線が複雑になることが想定される。そこで、例えば図43に示すように1画素分に必要なデータをクロック周波数N倍することによりシリアル転送する方法、水平ブランキング期間を利用して映像信号入力線と同一信号線で各種コマンドを設定する方法(432)により外部信号線を削減する方法がある。ここでROM422はパネルごとに異なるコマンド設定を保管するために存在し、プリチャージ電圧の電子ボリューム値や、各色の基準電流電子ボリューム値を保管している。
【0127】
電流及び電圧プリチャージが実施可能なソースドライバの回路構成を図44に示す。この例では、図43のように映像信号434とコマンド435が同一線(映像信号線429)で送信されてくる。映像信号線データはコマンド(315、316、98、502)と階調データ386、プリチャージ判定信号380、さらにゲートドライバ用制御信号428に、映像信号・コマンド分離部により分離されている。
【0128】
6種類の電流プリチャージパルス256はパルス発生部319で生成され、各色6本のパルスを生成し、パルス選択部252に入力されている。電流出力部255では階調データ54及び基準電流生成部61により生成される1階調あたりの電流設定に基づき電流出力を行う。このときパルス選択部252の動作によっては、電流プリチャージパルスのパルス幅に応じて最大階調を出す期間が発生する(電流プリチャージ)。最終段にて、電圧プリチャージを実施するかどうかの判定を電圧印加選択部で決定する。判定はパルス選択部の出力で決定され、出力される電圧はプリチャージ電圧発生部で決められた電圧となる。これにより、電流及び電圧プリチャージが可能なソースドライバが実現する。
【0129】
以上の説明において電流プリチャージパルスは6種類で説明を行った。しかしながら有機発光素子の効率によっては、1階調あたりの電流値がさらに減少し、図28に示す階調とプリチャージパルスの関係において、複数階調を同一プリチャージパルスで共用できなくなるため、必要なパルス数が増加する。例えば電流値が半分になった場合、これまでの階調16及び102の電流値は階調8と51相当に減少する。階調8と51では異なる電流プリチャージパルスを選択しており、この場合3種類のプリチャージパルスとなっている。つまり必要なプリチャージパルス数が増加する。したがって、電流プリチャージパルスの数が6より多い場合も考えられる。
【0130】
この場合、電流プリチャージパルス群256の数を増加させる。これによりパルス選択部252の動作も選択数が増加する。このためプリチャージ判定線251のビット数を増加させて対応する必要がある。
【0131】
図28の関係についても、増加したプリチャージパルス数の範囲で、階調を割り振ることで、電流が半分になっても、対応することが可能である。
【0132】
例えば16通りのプリチャージパルスが必要な場合には、プリチャージ判定線251は5ビットとなり、階調の割り振りについても低階調側では階調ごとに個別のプリチャージパルスを準備し、高階調ほど複数の階調を共用して用いる方式を用いる。
【0133】
書き込み不足を解消するために必要なプリチャージパルスの種類を準備するようにすれば、これまでの説明と同様な効果を得られることができ、プリチャージパルスの種類は任意の値だけ(極端に言えば階調数−1個)用意することも可能である。
【0134】
また本発明での説明に用いたソースドライバは、図3のカレントコピア回路構成ばかりでなく、図5に示すカレントミラーの回路構成であっても実施可能である。駆動トランジスタ52のゲート電位(=ソース信号線電位)を微小電流により変化させて書き込む動作は同じであるためである。
【0135】
以上が、基礎出願(特願2005−56494)に記載した、電圧プリチャージ及び電流プリチャージを実施する、自発光素子を用いた表示装置の説明である。
【0136】
しかし、本願発明は、表示装置の水平走査線数を減らすことなく、回路規模が小さく、かつ低コストな自発光素子を用いた表示装置、及び駆動方法を実現することを目的としている。
【0137】
そこで、2ないしは3色分のソース信号線に対する出力を1本の出力から時分割にて出力することで、出力段の数を削減しチップ面積を削減することでコストダウンを図る。以下に詳細を述べる。
【0138】
有機発光素子を用いた表示装置では先にも述べたとおり、各発光色の発光効率及び色度の組み合わせによっては、1階調あたりの電流値が異なってくる。そのため、図44において基準電流生成部61、電流プリチャージパルス256を発生するパルス発生部319は色ごとに個別に必要となる。
【0139】
基準電流発生部に関する本発明の3色分のソース信号線に対する出力を1本の出力から時分割にて出力する回路構成を図47に示す。
【0140】
図47は、1つの電流出力部255に対し基準電流線474及びセレクタ471を介して3つの基準電流生成部61が接続された場合における、電流出力部の回路構成を示したものである。3つの基準電流生成部61は3つの表示色に対応している。表示データ473の表示色に合わせ、表示色切り替え信号475が変化し、セレクタ471の動作によって表示色に応じた基準電流生成部61が基準電流線474に出力される。表示データ473の表示色に合わせて最適な基準電流が電流出力部255に入力することで、表示色に対応した階調電流を出力することが可能となる。
【0141】
電流出力部255の出力を表示色に対応したソース信号線に分配するためにセレクタ472が存在し、表示色に対応して分配する。セレクタ472は表示色切り替え信号475により電流出力部255の出力を最適な色の出力へ接続する。
【0142】
例えば基準電流生成部61aが赤色、基準電流生成部61bが緑色、基準電流生成部61cが青色用であったとすると、セレクタ471が基準電流生成部61aを選択した際には、セレクタ472は赤出力477aを選択するように設計される。これにより赤出力には赤色用基準電流により階調に応じた電流が出力されるようになる。
【0143】
同様にセレクタ471で基準電流生成部61bが選択された場合には、セレクタ472は緑出力(477b)を選択する。セレクタ471で基準電流生成部61cが選択された場合にはセレクタ472は青出力(477c)を選択する。
【0144】
セレクタ471及び472はそれぞれ同期を取って切り替える必要がある。またどの色を選択するかを外部から制御できるようにする必要がある。そのため表示色切り替え信号475が必要であり、セレクタ471及び472に入力されている。
【0145】
セレクタ472はドライバICの出力数削減の目的から考えるとソースドライバと画素回路の間のアレー基板上に形成されることが多い。
【0146】
電流出力部255の数は表示装置のソース信号線数からセレクタ472によって絞り込まれた数だけ少なくとも存在する。
【0147】
例えば960本のソース信号線があり、セレクタ472の選択数が3の場合、電流出力部255は320個必要となる(ただし、表示装置が複数のドライバIC36を使用する場合には、全ドライバIC36に存在する電流出力部255の合計の個数が、320個必要となる)。
【0148】
これにより電流出力部は640個分削減できた。
【0149】
基準電流生成部61は表示色数分設けている。これは、表示色ごとの電流値違いに対するためのほか、図10に示す白調整時において、パネル間のEL効率ばらつきに対し、電子ボリューム値の調整で一定の範囲内に輝度色度を調整するためにも必要である。主に抵抗91の抵抗値で、表示色ごとの電流値違いを補正し(この場合抵抗91はソースドライバ外部に外付けされることが多い)、パネル間の効率ばらつきに対しては、制御データ98の値をパネルごと個別設定することで対応する。このような使用方法の場合、図9に示す基準電流生成部61は色ごとに1つ必要となる。そのためセレクタ471は、基準電流生成部61と基準電流線474の間に挿入される。
【0150】
同一水平走査期間内において複数の画素に対応した電流出力を1つの端子で行うためには、水平走査期間を、対応する画素数分の期間に分割する。図47の例では3つの画素で実施しているため、3つの期間に水平走査期間は分割される。3つに分割された期間1つ1つに対応してセレクタ471により表示データ473に対応する色に相当する基準電流を電流出力部255に供給する。ここで表示データはあらかじめ時分割でシリアル転送できるようなタイミングで送信されている。
【0151】
例えば基準電流生成部61aが赤色、基準電流生成部61bが緑色、基準電流61cが青色の1階調あたりの電流を決めるものであるとすると、表示色切り替え信号475は表示データ473の信号の表示色に合わせてセレクタ471を制御し、表示色に応じた基準電流が基準電流線474を通じて電流出力部255に入力される。
【0152】
電流出力部255は基準電流により決められた1階調あたりの電流に対し、表示データの値に応じて電流を出力するようにする。
【0153】
例えば図48に示すように、基準電流生成部61により赤緑青の基準電流値がきまり、それにより481から483の点線で示すような255階調表示時の電流が流れるとし、表示データがすべて255階調であったすると、ある電流出力部255の出力476は484の線で示したように一水平走査期間に3回変化して出力することとなる。電流出力476をドライバICの出力を介して表示装置の回路形成部に出力した後、再びセレクタ472により個々のソース信号線に分配される。分配時にも、基準電流の切り替えに用いた表示色切り替え信号475を用いれば分配可能である。
【0154】
図47においてドライバIC36に関連する回路の構成例を図49に示す。
【0155】
基準電流生成部61において各色の1階調あたりの電流値が決定され、セレクタ471において、1つのみを選択し、出力部255に供給する。この場合はトランジスタ491のオンオフにより決定される。この構成によれば、表示色切り替え信号475の値により、分配用ミラートランジスタ62に流れる電流が変化し、その結果階調表示用電流源63に流れる電流値も変化することから同一階調であっても1階調あたりの電流が異なる出力にも対応が可能である。
【0156】
ドライバICの構成を図50に示す。図44に比べてパルス選択部252、電流出力部255及び電圧印加選択部253の数が3分の1となった。これに対して、各色に対応したデータを順に選択し送信するためのセレクタ501、503、471がそれぞれラッチ部384、パルス発生部319及び基準電流生成部61の出力に設けられている。セレクタ部の追加に対して、削減された回路のほうが多いため、チップ全体の面積が小さくなりコスト削減、チップの短辺方向が削減されれば、額縁サイズの削減が実現できる。
【0157】
この方式は、各色の電流値の差が大きい場合、およそ1.5倍以上において用いられる。これは電圧調整部95の1段階で変動する刻み幅は図10に示す白調整にて使用する関係上、1.4%以下の刻み幅で電流を変化させる機能が必要であることから、可変範囲を大きくすると、必然的に調整段数が増加し、スイッチ及びスイッチを制御する回路が大きくなる。このため可変範囲は最大でも2倍程度しか設計することができない。
【0158】
電子ボリュームは10%程度の効率ばらつきを補正する目的である。色ごとによる差をボリューム値で吸収するには1.5倍程度が限界である。そのため電子ボリュームの他、抵抗91の抵抗値を色ごとに変更して設定する。
【0159】
この方式であれば抵抗値を外付けするものの、基準電流生成部61の回路規模は小さくできる。
【0160】
一方で各色の電流値の差が小さい場合にはパネル間の効率ばらつきの調整を含めてすべて電子ボリューム値の調整にて実現することが可能となる。この場合、図53に示すように基準電流生成部532は1つでよく、電流値を設定する制御データ98を表示色ごとに変更するようにする。セレクタ531によって、表示色切り替え信号475のタイミングに従って各色に対応する制御データ98を基準電流生成部61に入力する。これにより、基準電流線474は、表示色ごとに異なる設定となるため、図48で示した出力と同一の電流出力を実現した。この場合のドライバ構成を図54に示す。基準電流及びプリチャージパルスを色ごとに時分割で出すためのセレクタの挿入位置が図50と異なる。この回路の利点としては、基準電流生成部61の数が3分の1になること、さらにパルス発生部541についても、電流プリチャージパルス生成部が3分の1で済むため、さらに回路を小さくすることが可能となる。
【0161】
このほか、各色の電流差が大きく、基準電流生成部は3つ必要であるがプリチャージパルス発生部のみ回路規模を小さくするために共通化する方法もある。この場合の回路構成例を図57に示す。
【0162】
セレクタ471及び551ではアナログスイッチなどを用いて基準電流生成部61と基準電流線474を接続し、切り替え信号にて導通させるアナログスイッチを変更することで切り替えを行うが、その際に数μAから数百μAの基準電流をすばやく供給させるために、基準電流生成部61から電流出力部255までの配線経路において浮遊容量がなるべく小さくなることが好ましい。
【0163】
そのため図49に示すスイッチにおいてはオン抵抗が多少高くても低容量のスイッチで構成されることが好ましい。
【0164】
基準電流は99から、セレクタ471内部のトランジスタ491を介して分配用ミラートランジスタ62に流れる。分配用ミラートランジスタ62と階調表示用電流源63とのカレントミラー比に応じて1階調あたりの電流がきまり、階調データの入力に応じて階調表示用電流源63が出力される個数が変化することで階調に応じた電流が流れる。99から62に流れる電流は最大でも数百μAであるため、途中でトランジスタ491により10kΩ程度のオン抵抗があっても電圧降下は多くても1V程度であり、基準電流生成部61の電源が3V以上あれば電流出力部255の電流出力段ならびに基準電流生成部61は問題なく動作する。そのため、電圧出力ドライバとは異なり、オン抵抗については高くてもよく、むしろチャネル幅を小さくして、容量を小さくすることのほうを優先して設計することが好ましい。
【0165】
次に表示装置側の回路構成について説明を行う。図51は3つの色に対して1つのドライバ出力で表示を行う場合の画素回路及びソース、ゲート信号線の構成を示したものである。
【0166】
ソースドライバの出力64に対し、セレクタ472を介して3色分のソース信号線が接続される。(この場合64aに対して30a、30b、30c)さらに従来と異なる点は、ソース信号線30から画素内部に電流を書き込むためのゲート信号線が表示色ごとに個別に用意される点である。
【0167】
例えば1行目を書き込む際は、ゲート信号線31aにより39a及び39bをオンさせて電流を画素内部に流していたが、水平走査期間のうち、該当しない2色を書き込む時間においては、ソース信号線30と接続しないように変更する必要がある。これは電流を画素内に書き込むための特有のものであり、3色の画素がすべて書き込み可能状態となっていると、電流出力64に対して、各画素に電流値が分流してしまいおよそ3分の1の電流しか書き込まれなくなるためである。
【0168】
書き込みを実施しない色の画素を書き込みしないようにするための回路がセレクタ472及びゲート信号イネーブル回路511である。いずれもソースドライバ内部にある表示色切り替え信号475の値を元に動作する。475は必ずしも色数分のビットで制御していることではないため、3色の切り替えでは2ビットの動作であることがある。これをセレクタ472の各スイッチをオンオフするために必要な信号にデコードする必要がある。表示装置内で実施してもよいが、一般的にはドライバICはクリスタルシリコン、表示装置はポリシリコンもしくはアモルファスシリコンで回路形成されることから、回路の大きさからするとデコード部514は一般的にはドライバIC内部に形成される。これによりデコード部出力513は出力64の色に対応した色の線のみが例えば”L”レベルで、他の線が”H”レベルとなる。
【0169】
これにより513aが”L”レベルであれば30cのソース信号線が、513bが”L”レベルであれば30bのソース信号線、513cが”L”レベルであれば30aのソース信号線に書き込むことを意味する(515のトランジスタがp型TFTで構成されている場合で説明)。
【0170】
このときそれぞれのソース信号線に接続されている画素のみを書き込み可能状態にする必要がある。これは例えばソース信号線30aに電流が流れていない状態でトランジスタ39a、39bがオンとなると、駆動トランジスタ32のゲート電位が変化して0の電流が書き込まれる動作となり、蓄積容量に保持されてしまう。これによりこの画素は黒が書き込まれる結果となる。水平走査期間の初めの3分の1にて、所定電流を書き込んだとしても、その後黒を書き込んでしまうこととなり所定輝度表示ができなくなる。これを防止するには、少なくともトランジスタ39aはオフとする必要がある。この場合には39a用のゲート信号線が色ごとに3本、39b用のゲート信号線が1本必要となり4本必要となる。ゲート信号線数が多くなると画素内部で配線部の面積が増大し、開口率が低下することとなるため、図51では39a及び39bのゲート信号線を共通化して色ごとに別信号線としている。
【0171】
このときの信号線波形は図52に示すように1水平走査期間のうちの3分の1ずつの期間でお互いが重ならないようにオン期間を設けている。この信号を生成する回路がゲート信号イネーブル回路511である。1水平走査期間のうち、当該行が選択され、かつ各色に対応する期間のみオンするように設計される。
【0172】
ゲート信号線31cについても同様である。1行目の次の水平走査期間にて同様の動作となるようになっている。
【0173】
これにより、1階調あたりの電流値が異なり、さらにプリチャージ実施量についても異なる3色について1つのドライバIC出力から時分割で出力し、さらに対応する色の画素に書き込める表示装置が実現できる。
【0174】
図52では赤12階調で電流プリチャージ5を実施、緑12階調で電流プリチャージ5を実施、青12階調でプリチャージなしを時分割で電流出力し多結果(64a電流出力)及びそのときの各ゲート信号線動作を示している。(30aの信号線が赤色、30bの信号線が緑色、30cの信号線が青色の画素に対応する)なお64a電流出力のうち期間525に示すハッチング部は電圧プリチャージ実施期間に相当しこのときの電流値はソース信号線容量の充電量によるため不定としている。
【0175】
電流プリチャージ時の電流値が異なるのは基準電流生成部61によって表示色ごとに異なる電流値が設定されているためである。電流プリチャージ5が選択されているにもかかわらず期間が異なるのも同様にパルス設定において色ごとに異なる設定がされているためである。
【0176】
図51におけるゲート信号線の接続であれば、セレクタ472は必ずしも必要というわけではない。30a〜cの信号線をすべて出力64aに接続しても同様に書き込みすることが可能であるが、64aの出力に対するソース信号線容量が従来の方式に比べて約3倍に増加することから電流変化がしにくくなる可能性がある。そこで本発明ではソース信号線30の容量低減を目的としてセレクタ472を挿入している。したがって2インチ以下もしくは低解像度で水平走査期間が十分長い表示装置であれば、セレクタ472はなくても本発明の効果を得ることが可能である。
【0177】
1つの端子を3つの出力兼用で使う構成で説明したが、2つの出力兼用として使うことも可能である。これは、水平走査期間が短く分割された期間で電流が画素に書き込めない場合に水平走査期間の2分の1で書き込める場合には端子数の削減と書き込みを両立させる方法として有効である。
【0178】
この場合、基準電流生成部と電流出力部の接続方法が異なる。1つの出力は異なる色の隣り合う信号を水平走査期間の半分ずつで出力することから、図55に示すように、出力1では例えば赤と緑、出力2では青と赤、出力3では緑と青を出力することになる。必要とする数だけ繰り返しで出力端子が形成される。なおこの例は分かりやすく3原色で説明を行ったが、任意の3色の組み合わせであっても良い。またドライバICが表示装置のどちらの端に形成されるかまたは画素の並びによっては、赤と青が入れ替わる場合もあるが、その場合も同様の動作となる。
【0179】
出力される色に応じて各電流出力部に基準電流が入力される。そのためセレクタは先の出力色の関係の例においては図56に示すように基準電流生成部61と基準電流線1〜3(552)の関係が決まる。ここで基準電流生成部61aが赤、61bが緑、61cが青の基準電流を出力するとしている。
【0180】
このように1つの電流出力部を時間ごとに変化させ、2つのソース信号線に対し、共通の出力部を利用することでソースドライバの出力数が半分となり、さらに電流出力部255が半分になる利点がある。
【0181】
また同一出力数が実現できれば、ドライバICを複数用いて表示を行ってきた表示装置においてもソースドライバの数が削減されることから低コスト化を実現できる。
【0182】
QVGAの画素数を持つ表示装置などではこれまでドライバICを2つ用いて表示することが一般的であるが、本発明を用いることで1つのドライバICで表示をおこなうことが可能となった。そのため、異なるチップ間の隣接端子の電流出力のずれ(チップ間ばらつきに起因するずれ)が発生しやすい問題を回避でき、ドライバICをカスケードに接続させるための回路及びチップ間隣接端子出力の電流ずれを防止するための回路を付加することなく表示が可能となるため、全体としてチップサイズの削減が期待できる。
【0183】
なおこれまでの説明では、画素に用いられる駆動トランジスタ32がp型TFTである場合で説明を行ってきたが、図46に示すn型TFTであっても同様に本発明を適用可能である。基準電流部を図45に示すように逆向きの電流を発生させるようにして、さらに電流出力回路65についても階調表示用電流源63をp型TFTで構成して、ドライバIC出力に向かって電流を吐き出すようにすればよい。階調に対するソース信号線電位は白階調ほど電位が高くなる。(これまでと電位関係が逆と成る)プリチャージ電圧の設定を黒表示もっとも低い電圧に設定し、電流プリチャージによりソース信号線電位を上昇させるようにすれば同様にプリチャージも適用可能となる。
【0184】
なお本発明では表示素子として、有機発光素子で説明を行ったが、発光ダイオード、SED(表面電界ディスプレイ)、FEDなど電流と輝度が比例関係となる表示素子ならどのような素子を用いても実施可能である。
【0185】
また、図59から図61に示すように、本発明を用いた表示素子を用いた表示装置をテレビや、ビデオカメラ、携帯電話に適用することによって、より階調表示性能が高い製品を実現することができる。
【0186】
なお、本発明において、制御IC28もしくはコントローラとソースドライバ36はそれぞれ別のICを用いて実現した例を図示し、説明を行ったが、同一チップで一体化して作成した場合でも同様に本発明が実施可能であり同様の効果が得られる。
【0187】
以上の発明においてトランジスタはMOSトランジスタとして説明を行ったがMISトランジスタやバイポーラトランジスタでも同様に適用可能である。
【0188】
またトランジスタは結晶シリコン、低温ポリシリコン、高温ポリシリコン、アモルファスシリコン、ガリウム砒素化合物などどの材質でも本発明を適用可能である。
【0189】
また、図50、図54及び図57に記載したソースドライバ36は、プリチャージ電圧発生部323がない構成でも実施が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0190】
本発明によれば、従来の表示装置の課題を考慮した、回路規模が小さく、かつ低コストな、自発光素子を用いた表示装置、及び駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】有機発光素子の構造を示した図
【図2】(a)有機発光素子の電流−電圧−輝度特性を示した図、(b)有機発光素子の電流−電圧−輝度特性を示した図
【図3】カレントコピア構成の画素回路を用いたアクティブマトリクス型表示装置の回路を示した図
【図4】(a)カレントコピア回路の動作を示した図(b)カレントコピア回路の動作を示した図
【図5】カレントミラーの回路構成を示す図
【図6】従来の電流出力型ドライバの各出力へ電流を出力するための回路を示した図
【図7】表示色ごとの有機発光素子の発行効率を示す図
【図8】表示色ごとに電流出力回路を個別に用意することを説明する図
【図9】基準電流生成部の構成の一例を示す図
【図10】出力電流の調整方法を示す図
【図11】電流駆動時の問題を説明するための表示パターンを示す図
【図12】電流駆動時の問題を説明するための表示パターンを示す図
【図13】ソース信号線における電流の時間変化を示す図
【図14】ソース信号線における電位の時間変化を示す図
【図15】(a)画素にソース信号線電流が流れるときの等化回路を示す図、(b)トランジスタの電流−電圧特製図
【図16】1出力端子における電流出力とプリチャージ電圧印加部及び切り替えスイッチの関係を示した図
【図17】プリチャージパルス、プリチャージ判定信号と印加判定部出力の関係を示した図
【図18】電流プリチャージを行った際の、ソース信号線における電流の時間変化を示す図
【図19】水平走査期間のはじめに所定電流の10倍の電流を出力するときのソースドライバ出力の時間変化を示した図
【図20】電流プリチャージを行ったときのソース信号線電流の変化の様子を示した図
【図21】1水平走査期間内での電流プリチャージ実施時のシーケンス図
【図22】電流プリチャージ実施時のソース信号線電流の時間変化を示す図
【図23】1行目に電流プリチャージを行った場合のソース信号線変化の様子を示した図
【図24】電圧プリチャージを行う時間によるソース信号線電位の比較図
【図25】電流プリチャージを行う機能を有する電流出力部255の回路を示した図
【図26】パルス選択部252の入出力信号の関係を示した図
【図27】プリチャージパルス群とプリチャージ判定線と出力の時間変化を示した図
【図28】各階調と使用するプリチャージパルスとの対応を示す図
【図29】表示階調と必要なプリチャージ電流出力期間との関係を示す図
【図30】電流プリチャージパルス256dが選択されたときのソース信号線電流の時間変化を示す図
【図31】発光色ごとに異なる電流プリチャージ期間を出力するパルス発生部の回路構成を示した図
【図32】電圧プリチャージを行うための回路構成を示す図
【図33】黒輝度を調整するための回路構成を示す図
【図34】黒調整時の調整方法を示す図
【図35】ソース信号線電流の時間変化を示す図
【図36】ソース信号線電流の時間変化を示す図
【図37】プリチャージを行うか否かの判定方法を示す図
【図38】255階調が1μAの電流で、QCIF+の画素数でソース信号線の容量が10pFの場合における1行前書き込み電流と書き込み電流との対応関係を示す図
【図39】図37の判定処理時の、ソース信号線電流の時間変化を示す図
【図40】垂直ブランキング期間に、映像信号に階調0を挿入し、プリチャージ判定信号発生部では特定の信号を出力する回路構成を示した図
【図41】プリチャージ動作と、プリチャージ判定信号の関係を示した図
【図42】ソースドライバ及び制御ICを組み込んだ表示装置の回路構成を示す図
【図43】1画素分のデータを、N倍のクロック周波数でシリアル転送する方法を示す図
【図44】電流及び電圧プリチャージを実施するソースドライバの回路構成を示す図
【図45】基準電流生成部を示した図
【図46】n型トランジスタを用いた場合のカレントコピアを用いた画素回路を示した図
【図47】1つの出力から時分割で出力する回路構成を示す図
【図48】表示色切り替え信号のタイミングと、出力電流と、水平走査期間との関係を示す図
【図49】ドライバICに関連する回路の構成の一例を示す図
【図50】ドライバICの構成を示す図
【図51】3つの色に対して、1つのドライバ出力で表示を行う場合の画素回路、ソース信号線、及びゲート信号線の構成を示す図
【図52】信号線波形を示す図
【図53】1つの出力から時分割で出力する回路構成を示す図
【図54】図48で示す出力と同一の電流を出力するドライバの構成を示す図
【図55】1つの電流出力部から時分割により2つの電流を出力するドライバICの回路構成を示す図
【図56】セレクタ551の動作を示す図
【図57】プリチャージパルス発生部の回路規模を小さくするための回路構成を示す図
【図58】トランジスタのサイズと出力電流とのばらつきを示す図
【図59】本発明の実施の形態を用いた表示装置として、テレビに適用した場合を示した図
【図60】本発明の実施の形態を用いた表示装置として、デジタルカメラに適用した場合を示した図
【図61】本発明の実施の形態を用いた表示装置として、携帯情報端末に適用した場合を示した図
【符号の説明】
【0192】
11 陰極
12 有機層
13 陽極
14 電源
28 制御IC
30、30a、30b、30c ソース信号線
31a、31b ゲート信号線
32 駆動トランジスタ
33 有機発光素子
34 EL電源線
35 ゲートドライバ
36 ドライバIC(ソースドライバ)
37 画素
39a、39b、62、491 トランジスタ
60 抵抗素子
61a、61b、61c 基準電流生成部
63 階調用表示電流源
64 電流出力
65 電流出力回路
66 デジタルアナログ変換部
67 共通ゲート線
68 スイッチ
95 電圧調整部
98 電子ボリューム
111、112 表示領域
169 印加判定部
151 浮遊容量
152 電流源
252 パルス選択部
253a、253d、253f 電圧印加選択部
255a、255b 電流出力部
256 電流プリチャージパルス群
258 電圧プリチャージパルス
313 分周回路
314 ソースドライバクロック
317 カウンタ
319 パルス発生部
323 プリチャージ電圧発生部
324 電子ボリューム
330 ELカソード電源
333 制御装置
337 記憶手段
381、382 領域
384 ラッチ部
323 プリチャージ電圧発生部
402 黒データ挿入部
403 ガンマ補正回路
406 プリチャージフラグ
422 ROM
471、472、531、551 セレクタ
473 表示データ
474 基準電流線
475 表示色切り替え信号
491 トランジスタ
511 ゲート信号イネーブル回路
514 デコード部
541 パルス発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自発光素子をマトリクス状に配列した画素で構成された、少なくとも2色以上の表示を電流値制御に基づいて行う表示装置の前記自発光素子の各発光色に応じて調整された第1の電流を生成し、前記各発光色ごとに出力する基準電流出力部と、
前記基準電流出力部から出力された第1の電流を、信号線から送られてくる表示階調データの情報を反映させた第2の電流に変換し、表示領域側に出力する複数の電流出力部と、
前記電流出力部から出力された、前記第2の電流の出力先を前記各発光色に対応した各画素列に切り替える第1のセレクタ部とを備え、
前記基準電流出力部は、前記第1のセレクタ部の切り替えに応じて、前記第1の電流を出力する、自発光素子を用いた表示装置。
【請求項2】
前記基準電流出力部は、
前記各発光色ごとに調整された前記第1の電流に対応する基準電流を、個別に生成し出力する複数の基準電流生成部と、
前記複数の基準電流生成部と前記複数の電流出力部との間に接続され、前記第1のセレクタ部の前記切り替えと同じタイミングで、前記第1のセレクタ部の切り替えに応じた前記基準電流を、前記第1の電流として出力する第2のセレクタ部とを備える、請求項1に記載の自発光素子を用いた表示装置。
【請求項3】
前記第2のセレクタ部は、前記複数の基準電流生成部が出力する前記基準電流を、1水平走査期間における時分割クロックに同期して、所定の順番に従って前記第1の電流として出力する、請求項2に記載の自発光素子を用いた表示装置。
【請求項4】
前記第2のセレクタ部は、前記複数の基準電流生成部が出力する前記基準電流を、電気的な切り替え手段に連動して、所定の順番に従って、前記第1の電流として出力する、請求項2に記載の自発光素子を用いた表示装置。
【請求項5】
前記第1のセレクタ部の前段に接続され、前記第1のセレクタ部と前記第2のセレクタ部とを連動動作させる表示色切り替え信号を、前記第1のセレクタ部に入力するための表示色切り替え信号線を備える、請求項2に記載の自発光素子を用いた表示装置。
【請求項6】
前記第1のセレクタ部を介して前記電流出力部に接続される前記各画素列の数は、2乃至3である、請求項2に記載の自発光素子を用いた表示装置。
【請求項7】
前記発光色は、赤、青、緑、黄、シアン、マゼンタのうちから選ばれる2以上の発光色である、請求項2に記載の自発光素子を用いた表示装置。
【請求項8】
ソース信号線の電圧を高速に変化させるプリチャージ電圧を決定し、生成して出力するプリチャージ電圧発生部とを備える、請求項1に記載の自発光素子を用いた表示装置。
【請求項9】
前記プリチャージ電圧発生部と前記第1のセレクタ部との間に接続され、前記電圧プリチャージを実施するか否かを判定する電圧印加選択部を備え、
前記プリチャージ電圧発生部は、前記電圧印加選択部の判定結果に応じて、前記プリチャージ電圧を出力する、請求項8に記載の自発行素子を用いた表示装置。
【請求項10】
前記基準電流出力部は、
前記各発光色ごとに調整された前記第1の電流に対応する基準電流を、個別に生成し出力する複数の基準電流生成部と、
前記複数の基準電流生成部と前記複数の電流出力部との間に接続され、前記第1のセレクタ部の前記切り替えと同じタイミングで、前記第1のセレクタ部の切り替えに応じた前記基準電流を、前記第1の電流として出力する第2のセレクタ部とを備える、請求項8に記載の自発光素子を用いた表示装置。
【請求項11】
前記第2のセレクタ部は、前記複数の基準電流生成部が出力する前記基準電流を、1水平走査期間における時分割クロックに同期して、所定の順番に従って前記第1の電流として出力する、請求項10に記載の自発光素子を用いた表示装置。
【請求項12】
前記第2のセレクタ部は、前記複数の基準電流生成部が出力する前記基準電流を、電気的な切り替え手段に連動して、所定の順番に従って、前記第1の電流として出力する、請求項10に記載の自発光素子を用いた表示装置。
【請求項13】
前記第1のセレクタ部の前段に接続され、前記第1のセレクタ部と前記第2のセレクタ部とを連動動作させる表示色切り替え信号を、前記第1のセレクタ部に入力するための表示色切り替え信号線を備える、請求項10に記載の自発光素子を用いた表示装置。
【請求項14】
前記第1のセレクタ部を介して前記電流出力部に接続される前記各画素列の数は、2乃至3である、請求項10に記載の自発光素子を用いた表示装置。
【請求項15】
前記発光色は、赤、青、緑、黄、シアン、マゼンタのうちから選ばれる2以上の発光色である、請求項10に記載の自発光素子を用いた表示装置。
【請求項16】
自発光素子をマトリクス状に配列した画素で構成された、少なくとも2色以上の表示を電流値制御に基づいて行う表示装置の前記自発光素子の各発光色に応じて調整された第1の電流を生成し、前記各発光色ごとに出力する基準電流出力ステップと、
前記第1の電流を、信号線から送られてくる表示階調データの情報を反映させた第2の電流に変換し、表示領域側に出力する複数の電流出力ステップと、
前記第2の電流の出力先を前記各発光色に対応した各画素列に切り替える第1の選択ステップとを備え、
前記基準電流出力ステップは、前記第1の選択ステップの切り替えに応じて、前記第1の電流を出力する、自発光素子を用いた表示装置の駆動方法。
【請求項17】
ソース信号線の電圧を高速に変化させるプリチャージ電圧を決定し、生成して出力するプリチャージ電圧発生ステップとを備える、請求項16に記載の自発光素子を用いた表示装置の駆動方法。
【請求項18】
前記電圧プリチャージを実施するか否かを判定する電圧印加選択ステップを備え、
前記プリチャージ電圧発生ステップは、前記電圧印加選択ステップの判定に応じて、前記プリチャージ電圧を出力する、請求項17に記載の自発行素子を用いた表示装置の駆動方法。
【請求項19】
前記基準電流出力ステップは、
前記各発光色ごとに調整された前記第1の電流に対応する基準電流を、個別に生成し出力する基準電流生成ステップと、
前記第1の選択ステップの前記切り替えと同じタイミングで、前記第1の選択ステップの切り替えに応じた前記基準電流を、第1の電流として出力する第2の選択ステップとを備える、請求項16に記載の自発光素子を用いた表示装置の駆動方法。
【請求項20】
前記第2の選択ステップは、前記基準電流生成ステップが出力する基準電流を、1水平走査期間における時分割クロックに同期して、所定の順番に従って前記第1の電流として出力する、請求項19に記載の自発光素子を用いた表示装置の駆動方法。
【請求項21】
前記第2の選択ステップは、前記基準電流生成ステップが出力する基準電流を、電気的な切り替え手段に連動して、所定の順番に従って、前記第1の電流として出力する、請求項19に記載の自発光素子を用いた表示装置の駆動方法。
【請求項22】
前記第1の選択ステップと前記第2の選択ステップとを連動動作させる表示色切り替え信号を入力する表示色切り替えステップを備える、請求項19に記載の自発光素子を用いた表示装置の駆動方法。
【請求項23】
前記電流出力ステップの出力先は、2乃至3の画素列である、請求項19に記載の自発光素子を用いた表示装置の駆動方法。
【請求項24】
前記発光色は、赤、青、緑、黄、シアン、マゼンタのうちから選ばれる2以上の発光色である、請求項19に記載の自発光素子を用いた表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【公開番号】特開2007−263989(P2007−263989A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55536(P2006−55536)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】