説明

自着ラベル連続体および自着ラベル

【課題】ロール状に巻いてプリンターに装填し、ラベル基材2の表面側に印字を可能とし、固定情報のみならず、可変情報も必要に応じて印字表示可能であり、剥離紙自体を必要とせず、省資源的で環境への負荷がより少ないとともに、各種の分野に応用可能な自着ラベル連続体および自着ラベルを提供すること。
【解決手段】ラベル基材2の表面側に感熱発色剤層11を設けて、サーマル印字を可能とすることに着目したもので、帯状のラベル基材2と、ラベル基材2の裏面側に設けた自着接着剤層3と、を有する自着ラベル連続体であって、ラベル基材2の表面側に設けた感熱発色剤層11と、感熱発色剤層11の上層に設けた剥離剤層12と、を有するとともに、ラベル基材2には、所定のラベルピッチによる単葉の自着ラベル13を形成可能な分離用切断線4を形成しておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自着ラベル連続体および自着ラベルにかかるもので、とくに接着剤どうしは接着するが、一般的な紙材やフィルム材などその他の部材には接着しにくい特性を有する自着ラベル連続体および自着ラベルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からの自着ラベル連続体および自着ラベルについて、図7および図8にもとづき概説する。
図7は、従来の自着ラベル連続体1の断面図であって、自着ラベル連続体1は、帯状のラベル基材2と、ラベル基材2の裏面側に設けた自着接着剤層3と、を有する。
【0003】
ラベル基材2は、表面が比較的粗いクラフト紙や上質紙、その他任意の紙材あるいは合成樹脂材などからこれを構成し、ミシン目などによる分離用切断線4を形成して、所定のラベルピッチで単葉の自着ラベル5を形成可能である。
【0004】
自着接着剤層3の自着接着剤は、自着接着剤層3の面どうしを接触加圧すれば互いに強固に接着するが、無理やりはがそうとすれば自着接着剤層3自体が自着ラベル連続体1(自着ラベル5)の裏面側からはがされてしまうほどである一方、自着接着剤層3を他の部材に押し付けても接着しにくい特性を有している。
したがって、一般的な感圧接着剤層を有するラベルが剥離紙(台紙)をその裏打ちに必要とするのに対して、剥離紙自体を必要としないので、省資源であるとともに環境への負荷がより少ないという利点がある。
【0005】
自着ラベル5の表面側には、任意の表示情報、たとえば「精算済み」などの固定情報6をあらかじめ印刷してある。
【0006】
こうした構成の自着ラベル連続体1を使用するにあたっては、分離用切断線4の部分で自着ラベル5を分離切り離し、任意の物品に取り付ける。
たとえば図8は、スーパーなどの小売店に購買者が自前で持参するマイバスケット7の取っ手8に自着ラベル5を取り付けた例を示す斜視図である。
図示のように、自着ラベル5を取っ手8に掛け回し、自着ラベル5の自着接着剤層3すなわち裏面どうしを合わせて軽く加圧すれば、自着ラベル5自体を取っ手8にリング状に取り付けることができ、たとえば「精算済み」などの固定情報6を表示して、マイバスケット7内の購入商品9についての支払い精算が完了していることを示すことができる。
【0007】
しかしながら、上述のような自着ラベル連続体1(自着ラベル5)の自着接着剤層3は、接着性はないものの、多少のべた付きがあるため、自着ラベル連続体1をロール状に巻いて、任意のプリンター(図示せず)に装填し、機械的に帯状に繰り出すことが困難で、したがって、ラベル基材2の表面側に熱転写印字するには支障があるという問題がある。ラベル基材2に感熱紙を用いることも考えられるが、感熱紙の表面は平滑性が高いため、自着性接着剤層3とブロッキングする不具合を生じるという問題がある。
すなわち、自着ラベル連続体1の製造工程の途中において、ラベル基材2の裏面側に自着接着剤層3を塗工する前にラベル基材2の表面側に固定情報6をあらかじめ印刷表示することはできても、小売店その他の現場において必要な情報を可変情報として臨機応変に表示することは困難であるという問題がある。
すなわち、自着ラベル5が表示可能な情報として、あらかじめ設定された単純な広告情報やデザインなどの固定情報に限定されて、利用分野が狭いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭60−82440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、固定情報のみならず、可変情報も必要に応じて印字表示可能な自着ラベル連続体および自着ラベルを提供することを課題とする。
【0010】
また本発明は、ロール状に巻いてプリンターに装填し、ラベル基材の表面側に印字を可能とした自着ラベル連続体および自着ラベルを提供することを課題とする。
【0011】
また本発明は、剥離紙自体を必要とせず、省資源的で環境への負荷がより少ないとともに、各種の分野に応用可能で、その利用分野を拡大可能な自着ラベル連続体および自着ラベルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち本発明は、ラベル基材の表面側に感熱発色剤層を設けて、サーマル印字を可能とすることに着目したもので、第一の発明は、帯状のラベル基材と、このラベル基材の裏面側に設けた自着接着剤層と、を有する自着ラベル連続体であって、上記ラベル基材の表面側に設けた感熱発色剤層と、この感熱発色剤層の上層に設けた剥離剤層と、を有するとともに、上記ラベル基材には、所定のラベルピッチによる単葉の自着ラベルを形成可能な分離用切断線を形成していることを特徴とする自着ラベル連続体である。
【0013】
当該自着ラベル連続体は、これをロール状としてサーマルプリンターに装填し、上記感熱発色剤層に可変情報を印字可能とすることができる。
【0014】
上記ラベル基材の裏面側に上記自着ラベルの位置検出用マークを設けていることができる。
【0015】
上記自着接着剤層は、上記ラベル基材の裏面側においてその側縁部からわずかな間隔をあけて、これを形成していることができる。
【0016】
第二の発明は、ラベル基材と、このラベル基材の裏面側に設けた自着接着剤層と、を有する自着ラベルであって、上記ラベル基材の表面側に設けた感熱発色剤層と、この感熱発色剤層の上層に設けた剥離剤層と、を有することを特徴とする自着ラベルである。
【発明の効果】
【0017】
本発明による自着ラベル連続体および自着ラベルにおいては、ラベル基材の表面側に感熱発色剤層および剥離剤層を設けることにより、サーマルプリンターへの装填およびサーマル印字を可能とすることにより、必要に応じて可変情報を印字して、任意の物品に取り付けることができるため、広告表示はもちろん、価格表示や各種の管理用情報の表示など各種の分野における活用が可能である。
【0018】
とくに第一の発明の自着ラベル連続体によれば、帯状の自着ラベル連続体をロール状に巻いた状態でサーマルプリンターに装填可能であり、任意の情報を可変的に印字した上で、分離用切断線の部分で単葉の自着ラベルに切り離すことができる。
【0019】
とくに第二の発明の自着ラベルによれば、可変情報を印字した状態で、自着接着剤層どうしを貼り付けたリング状の形態で任意の物品に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例による自着ラベル連続体10の平面図である。
【図2】同、図1のII−II線断面図である。
【図3】同、自着ラベル連続体10の裏面図である。
【図4】同、サーマルプリンター17の概略側面図である。
【図5】同、自着ラベル13の平面図である。
【図6】同、任意の商品Mに自着ラベル13を取り付けた状態の斜視図である。
【図7】従来の自着ラベル連続体1の断面図である。
【図8】同、スーパーなどの小売店に購買者が自前で持参するマイバスケット7の取っ手8に自着ラベル5を取り付けた例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、ラベル基材の表面側に感熱発色剤層および剥離剤層を設けて、サーマル印字を可能とすることにより、必要に応じて可変情報を印字して、任意の物品に取り付けることができる自着ラベル連続体および自着ラベルを実現した。
【実施例】
【0022】
つぎに本発明の実施例による自着ラベル連続体および自着ラベルを図1ないし図6にもとづき説明する。ただし、図7および図8と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、自着ラベル連続体10の平面図、図2は、図1のII−II線断面図であって、自着ラベル連続体10は、前記帯状のラベル基材2と、ラベル基材2の裏面側に設けた前記自着接着剤層3と、ラベル基材2の表面側に設けた感熱発色剤層11と、感熱発色剤層11の上層に設けた剥離剤層12と、を有する。
【0023】
ラベル基材2としては、たとえば、紙、PETフィルム、PPフィルム、合成紙、紙と合成樹脂の複合材料が使用可能である。
ラベル基材2には、所定のラベルピッチでミシン目などによる前記分離用切断線4を形成し、単葉の自着ラベル13を形成可能としている。
【0024】
自着接着剤層3の自着接着剤としては、天然ゴムラテックスおよびスチレン・アクリルニトリル共重合体水性エマルジョンを含む、たとえばサイデン化学株式会社のサイビノール加圧接着剤E、あるいは天然ゴムおよびスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体を含むエラストマーなどを用いることができる。
【0025】
感熱発色剤層11は、任意の感熱発色剤を塗工した層であって、所定の加熱操作により任意の印字パターンによる情報の印字が可能である。
【0026】
剥離剤層12は、紫外線硬化型シリコーンなどの剥離剤を塗工した層であって、自着ラベル連続体10をロール状に巻いた形態であっても、自着接着剤層3と感熱発色剤層11とが互いに貼り付いてしまうことを防止可能である。
【0027】
ラベル基材2の裏面側には、自着ラベル13の位置検出用マーク14を設けている。
ただし、位置検出用マーク14としては、ラベル基材2の裏面側(図2中、実線)あるいは自着接着剤層3の裏面側(図2中、仮想線)のいずれであってもよい。
【0028】
図3は、自着ラベル連続体10の裏面図であって、自着接着剤層3は、ラベル基材2(自着ラベル連続体10)の裏面側においてその側縁部2Aからわずかな間隔をあけて設けた細幅非接着領域15を介して、これを形成している。
したがって、自着ラベル連続体10の製造工程において、いわゆる大巻として複数列に並列している自着ラベル連続体10を、いわゆる小卷としての単列の自着ラベル連続体10に切り分ける際に、隣り合う自着ラベル連続体10どうしがそれぞれの自着接着剤層3により互いにくっつき合うことを回避可能としている。
【0029】
なお感熱発色剤層11の上層側には、たとえば「○×スーパー」などの固定情報16をあらかじめ印刷してある。
【0030】
図4は、サーマルプリンター17の概略側面図であって、自着ラベル連続体10は、これをロール状としてサーマルプリンター17に装填し、感熱発色剤層11に可変情報を印字可能としている。
すなわち、サーマルプリンター17は、自着ラベル連続体10の供給部18と、位置検出部19と、印字部20と、を有する。
【0031】
供給部18は、帯状の自着ラベル連続体10をロール状に保持し、位置検出部19および印字部20の方向に自着ラベル連続体10を帯状に繰り出し可能である。
【0032】
位置検出部19は、たとえば光学的な位置検出センサー21を有し、自着ラベル連続体10の位置検出用マーク14を検出して、印字部20に対する自着ラベル13の相対的位置を検出する。
【0033】
印字部20は、サーマルヘッド22と、プラテンローラー23と、を有し、サーマルヘッド22およびプラテンローラー23の間に自着ラベル連続体10を挟持して、プラテンローラー23の回転にともなってサーマルヘッド22からの印字信号により自着ラベル連続体10上(自着ラベル13の感熱発色剤層11内)に任意の可変情報24(図5を参照、たとえば、「本日限り! 値引き価格 ¥1,000)を印字可能である。
なお、プラテンローラー23は、剥離性を有する材料からこれを製造するか、あるいはその円周面に剥離剤を塗布しておくことが望ましい。
【0034】
こうした構成の自着ラベル連続体10(自着ラベル13)において、自着ラベル連続体10をサーマルプリンター17(図4)にロール状に装填して可変情報24を印字し、分離用切断線4の部分で単葉の自着ラベル13とすることができる。
すなわち、図5は、自着ラベル13の平面図であって、その表面側に固定情報16および可変情報24を表示可能である。
【0035】
図6は、任意の商品Mに自着ラベル13を取り付けた状態の斜視図であって、帯状の自着ラベル13を商品Mに掛け回し、自着ラベル13の両端部における自着接着剤層3を互いに合わせて接着し、商品Mに自着ラベル13をリング状に取り付けておくことができる。
なお、自着ラベル13の自着接着剤層3どうしを接着した部分は、容易にはがすことができず、無理にはがすとラベル基材2が破れるか、または、自着接着剤層3がラベル基材2から剥離する。そのため、図5および図6に示したような値引きラベルや、精算済みを表すラベルとして自着ラベル13を利用した場合でも、貼替えや再利用などの不正行為を防止することが可能である。
【0036】
かくして、本発明の自着ラベル連続体10(自着ラベル13)によれば、固定情報16に加えて、必要に応じて可変情報24を表示可能であり、その利用範囲を、例示した価格表示はもちろん、各種の広告表示や管理表示などに拡大可能である。
【0037】
さらに、従来の感圧ラベルとは異なって剥離紙(台紙)を用いる必要がないので、省資源であるとともに、環境への負荷を低減することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 自着ラベル連続体(従来、図7)
2 帯状のラベル基材
2A ラベル基材の側縁部(図3)
3 自着接着剤層
4 ミシン目などによる分離用切断線
5 自着ラベル
6 固定情報
7 マイバスケット
8 取っ手
9 購入商品
10 自着ラベル連続体(実施例、図1〜図3)
11 感熱発色剤層
12 剥離剤層
13 自着ラベル(実施例、図5)
14 位置検出用マーク
15 細幅非接着領域
16 固定情報
17 サーマルプリンター(図4)
18 供給部
19 位置検出部
20 印字部
21 位置検出センサー
22 サーマルヘッド
23 プラテンローラー
24 可変情報
M 商品(図6)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のラベル基材と、
このラベル基材の裏面側に設けた自着接着剤層と、を有する自着ラベル連続体であって、
前記ラベル基材の表面側に設けた感熱発色剤層と、
この感熱発色剤層の上層に設けた剥離剤層と、を有するとともに、
前記ラベル基材には、所定のラベルピッチによる単葉の自着ラベルを形成可能な分離用切断線を形成していることを特徴とする自着ラベル連続体。
【請求項2】
当該自着ラベル連続体は、これをロール状としてサーマルプリンターに装填し、前記感熱発色剤層に可変情報を印字可能としていることを特徴とする請求項1記載の自着ラベル連続体。
【請求項3】
前記ラベル基材の裏面側に前記自着ラベルの位置検出用マークを設けていることを特徴とする請求項1または2記載の自着ラベル連続体。
【請求項4】
前記自着接着剤層は、前記ラベル基材の裏面側においてその側縁部からわずかな間隔をあけて、これを形成していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の自着ラベル連続体。
【請求項5】
ラベル基材と、
このラベル基材の裏面側に設けた自着接着剤層と、を有する自着ラベルであって、
前記ラベル基材の表面側に設けた感熱発色剤層と、
この感熱発色剤層の上層に設けた剥離剤層と、を有することを特徴とする自着ラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−114217(P2013−114217A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262694(P2011−262694)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)