説明

自立型ろ過装置

【課題】自立型ろ過装置並びにフィルターの寿命及び性能の改善方法の提供。
【解決手段】この課題は、次の構成:
a.流体が通過する膜と、該膜を支持するハウジングとを有するフィルター部材と、
b.該フィルター部材内に設置され、該膜を加熱するように構成された発熱体と
を備える流体を逃がすための装置によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年2月13日に出願された米国仮出願第61/152,329号及び2009年9月10日に出願された米国仮出願第61/241,053号を基礎とする優先権を主張する。これらの出願の開示は、参照により全文援用する。
本発明は、自立型ろ過装置並びにフィルターの寿命及び性能の改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
フィルターは、ワインから結晶を除去することから、飲料水及び潤滑油から不純物を除去すること並びにバイオリアクター、発酵槽その他の化学的プロセスから粒状物を除去することに至るまで、多数の用途に使用されている。
【0003】
フィルターは、これらの用途のそれぞれにおいて、それらの使用に関連する問題を有する。一部の例では、この問題は、特定の用途に特有のものである場合がある。例えば、バイオリアクター及び緩衝液槽といった医薬用の容器(これに限定されない)を含め、多数の容器は、内部気体を外部環境に逃がすことができることや、該容器の外部から新鮮な気体を取り入れることできることが必要である。そうするため及び無菌状態を維持するために、該容器上に無菌通気口フィルターを備えるのが一般的である。場合によっては、反応の間に発生する二酸化炭素や蒸気などの過剰のガスを容器から放出させなければならない。他の例では、酸素や空気といった散布ガス又は装入ガスが該容器に意図的に添加される。
【0004】
これらの通気口フィルターの特定の問題の一つは、許容できる気体流を維持することである。共通する問題は、該容器内の物質、典型的には水蒸気が凝結し得ることである。というのは、多くの用途において、操作中の気体温度は、周囲温度(すなわち、バイオリアクターについて典型的な35℃及びWFI槽について典型的な80℃)よりも高いからである。この物質が通気口フィルター上で凝結すると、フィルターの孔を閉塞させ、それによってガス輸送に対するその有効表面積を減少させることによって、容器と外部環境との間のガスの流れを制限するであろう。
【0005】
さらに、生物学的製造方法により生じる自然発泡がフィルター上に蓄積し、そしてこれが空気の伝達を制限する可能性がある。この泡は、典型的にはいくつかある方法のうちの一つで制御される。まず、表面張力を減少させて発泡が生じないように、消泡剤を添加することができる。或いは、容器又フィルターハウジングは、泡がフィルター膜に上がってくる前に泡形成物を破壊するように設計できる。これらのアプローチの両方は、通気口フィルターの設計及び反応プロセスを複雑にする。
【0006】
これらの現象に対抗するために、通気口フィルターは、典型的には疎水性膜から作られ、これは、フィルターの孔構造内での凝結に抵抗する。しかしながら、疎水性膜の使用にもかかわらず、通気口フィルター部材には依然として凝結又は詰まりが生じる可能性があることが知られている。この問題に対する、可能性のある一つの解決策は、フィルター部材の温度を上昇させ、それによって該部材上での凝結を低減させることに寄与する外付け発熱体を使用することである。
【0007】
これらの外付け発熱体は、典型的には、フィルターを組み立てた後に適用されるが、これはいくつかの故障モードを受ける可能性がある。場合によっては、外付け発熱体上の温度センサーが故障し、フィルターが加熱し、その完全性を損なう可能性がある。他の例では、このセンサーの故障によって、発熱体が所望の機能を実行しない停止状態となる可能性がある。他の例では、発熱体は、単に、フィルター部材周辺にあるステンレススチール製ハウジングの加熱を監視できるにすぎない。そのため、フィルターを通じた気体流の変化(これは、フィルターの温度に影響を及ぼす)は、該外付け発熱体によっては測定又は検出できない。これは、フィルターにおける流体の流量によっては、十分な熱の不足や過剰をもたらしかねない。
【0008】
さらに、大きな容器において、通気口フィルターは、例えば構造物によって差はあるが、作業者から物理的に離れているので、作業者が容易に点検することができない。そのため、完全性や流量の問題が、これらが現在の実施方法を使用して検出される前の所定期間、継続的に存在し得る。
【0009】
他のフィルターの適用も他の独特な問題を生じさせる可能性がある。例えば、接線流フィルター(TFFフィルター)は、ろ過している蛋白質によって詰まる可能性がある。適当な背圧を維持することは、この問題を多少なりとも解決するのに役立ち得る。
【0010】
適用の具体的問題の他に、全てのフィルターにとって一般的な問題がある。例えば、完全性の問題が全ての適用に共通してある。フィルター膜中における小さな裂け目は、微粒子がフィルターを通過する原因になる。このよう裂け目は、用途によっては破滅的になる場合がある。例えば、無菌の境界面又は界面を確保するためにフィルターを使用する場合には、このような裂け目は受け入れられない。
【0011】
二番目の一般的問題は、フィルター膜に対して捕捉された過剰量の微粒子により、流量が減少することである。この問題により、多くのフィルター供給メーカーがフィルターを規則的な間隔で荷電させることを提案している。例えば、自動車オイルフィルターは、経過時間又は走行距離によって決まる間隔で荷電されるであろう。同様に、冷蔵庫用のウォーターフィルターは、使用月数又はろ過された水のガロンとして測定されるライフサイクルを有し得る。
【0012】
現在、多くのフィルターは、2つのモードで操作されている。第1のモードは、正常作動モードである。このモードでは、フィルターは正常に機能し、目的通りに粒状物を除去する。多くの具体例では、これは、フィルターの初期設定操作であり、フィルターをこのモードの状態に維持することを確保するためには何も必要とされない。しかしながら、フィルターを作動モードのままに保持することを確保するための追加の維持活動を実施することが必要となる場合がある。例えば、ろ過される流体が特定の状態(例えば液体又は気体)のままであることを確保するために、上記のように通気口フィルターと関連してフィルター部材を加熱することが必要となる場合がある。
【0013】
全てのフィルターにも共通する第2の作動モードは寿命末期である。このモードでは、フィルターは、その耐用年数を超えている。このような事象は、フィルター膜上に粒状物が蓄積するために生じ得る。通常は、フィルター部材が許容できる流量で流体を通過させる能力を損なう。極端な場合には、流体の流れが完全に停止する。寿命末期に至る別の欠陥は、完全性の障害である。フィルター部材がもはや完全ではなくなると、その機能を果たすことができず、そのためその寿命に達する。フィルターは、それらの寿命に到達するとすぐに交換しなければならない。
【0014】
フィルターは、通常これら2つのモードで使用されるにすぎないが、回復モードとして知られている第3の作動モードを備えることが有益な場合もある。このモードでは、フィルターは最適には機能していないものの、実際にはその寿命末期には達していない。この性能は、例えば大きな粒状物が膜を詰まらせるような場合には、典型的な操作を除くプロセス条件によって悪化する可能性があり、或いは多数の粒状物が同時に到達する。フィルター膜自体は依然として詰まってはいないが、多量の粒状物又は予想外の量の粒状物によってフィルターの効率的機能能力が損なわれる。通気口フィルターの場合には、これはバイオリアクターにおいて偶然に生じる場合があり、そのときには、散布ガスが急増し、それにより蛋白質の泡沫がフィルター膜上に飛散される。ほとんどのフィルター用途では、このモードは寿命末期とは区別できないため、通常はフィルターの交換によって同様の態様で修復される。
【0015】
これら3つの作動モードをより確実に監視し、検出し、そして制御することができる、改良された装置及び方法が役立つであろう。このような装置及び方法は、フィルター部材の耐用年数を最大化し、かつ、フィルター交換に関連する休止時間を最小化することによってコストを削減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許出願第12/079,396号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
発明の概要
これら従来技術の課題は、自立型ろ過装置並びにフィルターの寿命及び性能の改善方法を開示する本発明によって解決される。フィルター部材は、流体の1以上の特徴又はパラメーター、例えば温度、圧力又は流量などを測定するために改造された1個以上のセンサーを備える。測定された特徴又はパラメーターに答えて、該フィルター部材内の制御論理が好適な応答を決定することができる。例えば、制御論理は、フィルター膜に突然の(ただし一時の)詰まりが起こったことを決定できる。これに応じて、制御論理が、この詰まりを緩和するように設計された特定の応答を開始することができる。この応答は、温度変化、振動、流体流路の変化その他の作用であることができる。次いで、制御論理は、流体の特性のあらゆる変化を監視することに基づいて、この応答が成功かどうかを決定するであろう。これに基づき、制御論理は、フィルター部材を交換しなければならないことを作業者に警告することができる。或いは、この応答が詰まりを修正することに成功した場合には、制御論理は作業者に知らせる必要がない。フィルター部材は、通常の操作に戻る。他の具体例では、制御論理はまた、例えばフィルターを通過する流体が所定の温度又は圧力であることを確保することによって、フィルターの作動モードを調節する。
【0018】
他の具体例では、フィルター部材は、必要な機能性を与えるように、周囲のサポートメカニズムと関連して働く。例えば、所定の具体例では、フィルターは、粒状物が流量を減少させたこと決定できる。これに応じて、フィルターは、関連するサポートメカニズムに通信し、これがフィルターを介した流体の流れを変化させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明のフローチャートを示す。
【図2】図2は、本発明の代表図を示す。
【図3】図3は、通気口フィルターを有する容器を示す。
【図4】図4は、集積発熱体を有する本発明の通気口フィルターを示す。
【図5】図5は、本発明の一実施形態の代表図を示す。
【図6】図6は、状態図を示す。
【図7】図7は、本発明の一実施形態において通常の作動モード中の処理装置により使用できる代表的なフローチャートを示す。
【図8】図8は、ろ過部材における複数の流れセンサーの操作を示す。
【図9a】図9aは、様々なフィルター部材についての流量を示す。
【図9b】図9bは、様々なフィルター部材についての流量を示す。
【図9c】図9cは、様々なフィルター部材についての流量を示す。
【図9d】図9dは、様々なフィルター部材についての流量を示す。
【図10】図10は、本発明の第2の実施形態に従うフィルターを示す。
【図11】図11は、フィルターの各種タイプを通した流路を示す。
【図12】図12は、接線流(TFF)フィルターの流路を示す。
【図13】図13は、TFFフィルターの流路の第2実施形態を示す。
【図14】図14は、TFFフィルター上に作用する力を示す。
【図15】図15は、本発明の実施形態に従うTFFフィルターを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
上記のように、フィルター部材は、好ましくは3つの作動モードを有する。これら3つのモードを図1に示す。作動モード10は、フィルターの寿命の大部分において使用される。ほとんどの場合、フィルターが作動モードの状態を維持することを確保するためにいかなる処置も不要である。しかしながら、いくつかの実施形態では、メンテナンス活動12を連続的又は定期的に実施して、フィルターが機能的な状態を保持するのを確保することができる。このような措置は、熱サイクル、振動、圧力若しくは流体の逆流又は他の是正処置であることができる。
【0021】
若干使用した後に、ろ過流体の流量、上流圧力及び/又は下流圧力又は流体温度といったフィルターの測定パラメーター又は特性は、許容できる範囲から逸脱する場合がある。この事象27が延長期間後に生じた場合又は製造業者によって予期された場合には、フィルターは単にその寿命末期に達したにすぎないかもしれない。このような場合には、フィルターのモードは、自然摩耗経路27により作動モード10から寿命末期モード30に移行する。
【0022】
或いは、パラメーターは突然変化する可能性があるが、これは、フィルターが完全性の問題を有し、かつ、もはや粒状物をろ過するようには機能しないことを示している。また、このような事象も、フィルターのモードを作動モード10から寿命末期30に経路27を介して移行させる。
【0023】
しかしながら、時として、劣化事象15が不意に又は即座に生じる可能性がある。このようなケースでは、この事象によりフィルターが最適以下で機能するが、これは測定パラメーター又は特性の一つである突然の変化によって決まると考えられる。測定パラメーターの突然の変化は、典型的な損耗とは一致しないと思われるので、これは、異常な、おそらくは一時的な詰まりが生じたことを示すことができる。例えば、流体流量の劇的な減少は、フィルターが即座に詰まった状態になったことを示すことができる。このようなケースでは、フィルターは、作動モード10から回復モード20に移行し得る。
【0024】
回復モード20では、フィルターは、1回以上の調整又は改善手順を行うことによって詰まりを除こうと試みる。これらの手順は、温度を上昇させること、流体の循環経路を変更すること、フィルター膜を振り動かすこと又は膜を通す圧力などを変化若しくは逆転させることを含むことができる。この是正処置を1回行うことができ、そしてこの是正処置によって測定パラメーター又は特性を許容できる値にまで回復させることに成功した場合には、経路18を介してフィルターを作動モード100に戻す。
【0025】
いくつかの実施形態では、経路13に示すように、この是正処置を複数回実施することができる。所定数の是正処置を試みた後に、パラメーターが許容できる値にまで戻らなかった場合には、フィルターは、経路25を介して寿命末期30に移る。
【0026】
本発明のフィルターのモードを示す一般的なフローチャートを定義してきたが、以下、フィルター構造の一般的な図について説明する。
【0027】
図2は、本発明のフィルター部材100の代表図である。このフィルター部材100は、上記モードを理解し当該モード間での移行を可能にするための制御論理140を備える。この知能レベルを与えるためには、電源を備えなければならない。所定の実施形態では、バッテリー又は電気コンセントを使用して発熱体に必要なエネルギーを供給する。しかしながら、他の実施形態では、フィルターは独立型であり、電力を無線で受ける。所定の実施形態では、磁気誘導力結合ループ110は、必要な電源を生じさせるための磁場と共に使用される。この方法では、フィルターは外部電源には繋げられていないだけでなく、フィルターに内在する有効な電力源も存在しない。磁場を取り付けかつ統合するための方法は、米国同時係属出願第12/079,396号に記載されている(該文献は参照によって含められる)。
【0028】
一実施形態では、磁気誘導力結合ループ110を使用して、センサー、アクチュエータ及びフィルター内にある任意の関連回路部品が用いる電圧を創り出す。フィルター部材を操作するのに必要ないかなる電圧変動も、通気口フィルター内の回路部品で実行される。別の実施形態では、磁場は、電力結合ループ110が受信する電圧を変化させるように変更される。
【0029】
いくつかの実施形態では、1個以上のセンサー120,121,122を使用してフィルター部材の少なくとも一つのパラメーター又は特性を監視する。結合ループ110を使用して外部場から誘導電圧を創り出す。次いで、この電圧(AC電圧112である)を、整流回路113を使用して調整及び平滑化してDC電圧115を創り出す。次いで、このDC電圧115を使用してチューナー、センサー、CPUなどといった任意の有効回路部品に電力を供給する。
【0030】
センサー120を使用してフィルター部材のパラメーター又は特性を監視し、そして該センサーは、この情報を中央処理装置(CPU)のような処理装置140に中継する。処理装置140は、CPUのための指示を保存し、かつ、各種パラメーター及び設定を保存するために使用される半導体メモリなどの記憶装置を備える。センサー120は、フィルター内の位置に応じて有線又は無線である。例えば、センサー120が制御回路付近のハウジング内に配置される場合には、有線又は無線構造を使用することができる。ただし、センサー120が制御回路から離れて設置される場合には、無線センサーを使用することが有益であると考えられる。
【0031】
一実施形態では、無線センサー120は、フィルター部材100の後端キャップ内に埋設される。他の実施形態では、センサー120は、フィルター部材100の様々な箇所、例えばフィルターの中核的要素の下流側に固定され又は埋設される。いくつかの用途では、フィルター部材の温度は145℃を超過する可能性があるため、この温度に耐えることのできるセンサーを採用する必要がある。同様に、容器100内の温度は、低温から高温までを繰り返し、またその逆に戻るため、センサーは、この温度サイクルに耐えることができることを要する。
【0032】
一実施形態では、無線送信機もセンサー120付近に設置され又はそれに統合される。好ましい実施形態では、無線送信機及びセンサー120は、単一の内蔵部品内に封入される。或いは、送信機及びセンサー120は分離されるが、電気信号を介して互いに通信状態にあることができる。RFID、ジグビー、802.11a/b/g及び他のプロトコルを含め、様々なタイプの無線通信装置が可能である。
【0033】
プロセッサ装置140は、パラメーター又は特性についての所望の値若しくは許容値又は値の範囲とを比較する。センサー120によって戻された値は、測定されたパラメーターに釣り合うようなアナログ量であったり、デジタル信号であったりすることができる。この戻された値に基づき、プロセッサ140は、フィルターがなお作動モードにあるかどうか、又はフィルターが異なるモードに移行すべきかどうかを決定する。
【0034】
図1に示すように、いくつかの実施形態では、メンテナンス活動12を行ってフィルターが作動モード10にとどまることを可能にすることができる。この活動は、温度又は背圧の変更(これらに限定されない)を含め、多くの形態をとることができる。これらの実施形態では、処理装置140は、必要なメンテナンス活動を実行するアクチュエータ150を制御する。
【0035】
センサー120で見られるように、測定パラメーター又は特性が許容値又は許容範囲から逸脱した場合には、CPU140は、回復モード20に移動し得る。このモードでは、フィルターは、アクチュエータ160を用いて是正処置13を作動させる。このアクチュエータは、是正処置13を実施するために使用されるアクチュエータと同一のアクチュエータであってもよいし、異なるアクチュエータであってもよい。採用できる好適な処置は、温度又は背圧の変更、循環経路の変更、フィルターの振動又は他の同様の処置を含む。
【0036】
CPUがアクチュエータ160を制御した後に、該CPUは、センサー120によって戻された測定値を再度チェックする。この値が正常範囲にまで戻った場合には、CPUは是正処置13を終了し、作動モード10に戻る。測定値が依然として許容できない場合には、CPU140は、是正処置13を1回以上繰り返すことを選択することができる。測定値がこの間に許容できる範囲に戻った場合には、CPU140は、正常モード10に戻る。しかし、この値が許容できないままである場合には、CPU140は、寿命末期状態30に移動する。
【0037】
いくつかの実施形態では、フィルター100は、1個以上のセンサー120を使用することができる。例えば、フィルターは、温度センサー120と、上流圧力センサー121と、下流圧力センサー122とを備えることができる。他の実施形態では、様々なセンサーの組合せを使用できる。これらの実施形態では、CPU140は、いかなるモードかを決定して入力しかつ好適な処置を決定する際に、センサーの1個以上からの測定値を使用することができる。例えば、CPU140は、数種のセンサー(例えば温度及び圧力)の出力を使用してメンテナンス活動12を制御することができる。しかしながら、該CPUは、単一のセンサー(例えば流量)を使用して是正処置が成功したかどうかを決定することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、インジケータ170が、フィルターが寿命末期30に達したことを作業者に警告する。このインジケータ170は、視覚的手段、聴覚的手段、触覚的手段その他の手段であることができる。寿命末期30に達すると、CPU140は、インジケータ170を作動させることができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、アクチュエータ150及び/又はアクチュエータ160は、フィルター部材100内には物理的に設置できない。例えば、圧力の変化又は循環経路の変化を使用する用途では、CPU140は、フィルターから物理的に離れた弁その他の装置を制御することができる。この制御は、有線通信又は無線通信により行うことができる。
【0040】
上記状態図又は構造は、多数の異なる用途で使用できる。これらの用途のうちのいくつかを以下で議論する。しかしながら、このリストは網羅的なものではなく、当業者であれれば、他の用途もここに開示した教示を利用できることが分かるであろう。
【実施例】
【0041】
例1:ベントフィルター
第1の実施形態では、ベントフィルターを用いる。第1の実施形態では、このフィルターをベントフィルターとして使用する。
【0042】
図3は、このようなベントを有する容器を示す。典型的には、容器201は、ステンレススチール及び硬質プラスチックなどの剛体材料から構成される。他の実施形態では、この容器は可撓性プラスチック材料であることができる。容器201の内部と外部環境との間にガスを通すことを可能にするために、典型的にはベントフィルター200を使用する。図3に示す実施形態では、フィルター部材200は容器201の上面に設置されるため、容器201内に収容された材料からは分離される。
【0043】
ベントろ過システムは、バイオリアクターのためのみならず、成長培地、緩衝液、WFI(Water For Injection:注射用蒸留水)調製システム及び充填用途のためにも使用される。これらのベントフィルターは、オートクレーブ、定置蒸気滅菌(Steam-In-Place)、ガス滅菌、例えばETO(エチレンオキシド)ガスを用いたもの又はγ線照射などの好適な技術を使用して滅菌される。
【0044】
ベントフィルターは、典型的には2つの構成のうちの一つに設置される。図3に示す実施形態では、交換可能なカートリッジがステンレススチールハウジング内に設置され、この集合体全体が容器に固定される。このようなフィルターの一つが米国マサチューセッツ州のミリポアコーポレーションから入手できるAERVENT(商標)フィルターである。第2の共通構成は、内蔵型プラスチックカプセルをそれ自身のプラスチックハウジングと共に使用することである。このようなフィルターの一つが米国マサチューセッツ州のミリポアコーポレーションから入手できるAERVENT疎水性膜を有するOPTICAP(商標)カプセルフィルターである。
【0045】
図4は、集積発熱体を有するベントフィルターを示す。ベントフィルター200は任意の好適なタイプのものであることができ、例えば、限定されないが、使い捨てフィルターカプセル又は交換可能なフィルターカートリッジであることができる。ベントフィルターは、典型的には、外部多孔質プラスチックハウジング又はスリーブ210と、膜220と、内部コア230とを有する。ハウジング210及び内部コア230は多孔質であり、好ましくは一連の大きな開口(それぞれ212及び232)を有するが、これは流体をフィルターの外部からハウジング210に移動させ、その開口212を介して膜220に移動させ、そして多孔質コア230の開口からコア230及び基部240に連結する出口(図示しない)に移動させることを可能にする。発熱体はベントフィルター200内に設置され、例えばプラスチックハウジング210又は内部コア230に組み込まれる。いくつかの実施形態では、膜220は支持層(図示しない)によって取り囲まれる。この支持層は、さらに硬質の多孔質膜、不織布又は網状格子であることができる。いくつかの実施形態では、発熱体は支持層内に設置される。ベントフィルターは基部240を有し、この基部は容器に取り付けられる。また、ベントフィルター200は、閉じた上端部250も有する。
【0046】
図5はベントフィルターの代表図を示す。その最も簡単な形態では、発熱体330は、その周囲からは電気的に隔離されている、電源に繋がった導線を備える。この導線を介した電流の流れは該導線を加熱する働きをし、それによって周囲の温度を上昇させる。この導線に通される電流の変更は、温度を制御するための機構を与えることに役立つ。つまり、該電流にさらに多くの電流を通すことによってさらに高い温度が達成される。或いは、電流を一定に維持することができると同時に、適用される負荷サイクルを変更する。他の実施形態では、電流量と時間分との組合せを使用してフィルターの温度を調節する。
【0047】
さらに、発熱体は、導電性で、かつ、所望の加熱効果を生じさせることのできるグリッド又はメッシュ又は多孔質マットの形態にあることができる。これらのものは、金属や、炭素、グラファイト又カーボンナノチューブといった他の導電性材料から作製できる。
【0048】
温度変化に影響を及ぼすためには、電源を備えなければならない。所定の実施形態では、バッテリー又は電気差し込み口を使用して発熱体に必要なエネルギーを供給する。しかしながら、他の実施形態では、ベントフィルターは内蔵型であり、電力を無線で受信する。所定の実施形態では、磁気誘導力結合ループを磁場と共に使用して必要な電源を生じさせる。この方法では、ベントフィルターは外部電源にはつながれていないだけでなく、フィルターに内在する有効電源が存在しない。磁場を取り付けかつ統合するための方法は、米国同時係属出願第12/079,396号に記載されている。当該出願を参照によって含めるものとする。
【0049】
一実施形態では、磁気誘導力結合ループを使用して、発熱体及びフィルター内における任意の関連回路部品が使用する電圧を創り出す。発熱体の温度を変化させるのに必要ないかなる電圧変動も、ベントフィルター内の回路部品によって実行される。別の実施形態では、磁場は、電力結合ループが受信する電圧を変化させるように変更される。
【0050】
いくつかの実施形態では、1個以上の温度センサーを使用して発熱体及びその周囲の温度を制御しかつ監視する。図5は、能動的に制御されるベントフィルターに必要な回路部品の代表図を示す。結合ループ310を使用して外部場から誘導電圧を生じさせる。続いて、この電圧(AC電圧312である)を、整流回路313を使用して調整及び平滑化してDC電圧315を生じさせる。次いで、このDC電圧315を使用して任意の有効な回路部品、例えばチューナー、センサー、CPUなどに電力を供給する。
【0051】
温度センサー320は、発熱体330の温度を監視するために使用され、そしてこの情報を中央処理装置(CPU)などの処理装置340に中継する。温度センサーは、ベントフィルター内におけるその位置に応じて、有線であっても無線であってもよい。例えば、該センサーが制御回路付近のハウジング内に設置される場合には、有線又は無線構成が使用できる。しかしながら、温度センサーが制御回路から離れて設置される場合には、無線センサーを使用することが有益であると考えられる。
【0052】
好適なセンサーとしては、高温抵抗係数を有する抵抗であるサーミスター、及び集積回路である変換器が挙げられる。また、このセンサーは、ダイオード、RTD(抵抗温度検出器)又は熱電対を含め(ただし、これらに限定されない)、別のタイプのものであることもできる。
【0053】
一実施形態では、無線温度センサー320は、フィルター部材300の後端キャップ内に埋設される。他の実施形態では、温度センサーは、フィルター部材の様々な箇所、好ましくは下流側に固定され又は埋設される。いくつかの用途では、フィルター部材の温度は145℃を超える場合があるので、この温度を監視することのできるセンサーを使用する必要があるであろう。同様に、容器100内の温度は、低温から高温までを繰り返し、またその逆に戻るため、温度センサーは、温度サイクルを測定することができる程度に十分な応答時間を有することを要する。
【0054】
一実施形態では、無線送信機もセンサー320付近に設置され又はそれに統合される。。好ましい実施形態では、無線送信機及び温度センサー320は、単一の内蔵部品内に封入される。或いは、送信機及びセンサー320は分離されるが、電気信号を介して互いに通信状態にあることができる。RFID、ジグビー、802.11a/b/g及び他のプロトコルを含め、様々なタイプの無線通信装置が可能である。
【0055】
続いて、プロセッサ装置340は、温度センサーによって測定された温度値と所望の温度とを比較し、それに従って発熱体330を介して電流を調節する。温度センサーによって戻された値は、検出された温度に釣り合うようなアナログ量であったり、デジタル信号であったりすることができる。この調節を行うために処理装置が使用する方法は、PID制御、比例制御又は任意の他の方法を含め(これらに限定されない)、任意の好適な手段であることができる。
【0056】
処理装置340は、電流制御回路350を使用することによって電流を変化させる。この回路350は、従来の手段を使用して、発熱体330を通過する電流の量を制御する。いくつかの実施形態では、制御回路350は、発熱体330を通過する電流の負荷サイクルを変更する。他の実施形態では、回路350は、発熱体330を通過する電流の大きさを変更する。
【0057】
いくつかの実施形態では、第2温度センサー360を熱動継電器又はスイッチなどの耐故障性装置として使用して、ベントフィルターが第1センサー320の故障の場合でも過熱しないことを確保する。
【0058】
好ましくは、これらの温度センサーは、フィルター部材の温度を正確に報告するように、発熱体330のすぐ近くに設置される。
【0059】
別の実施形態では、ベントフィルター内の回路部品は、極めて単純化されており、無線温度センサー及び誘導コイルしか備えない。この実施形態では、電圧の制御はフィルターの外部で実行され、また、磁場は、発熱体を介して電流を変化させるように調節される。この実施形態は、フィルター内の電子装置が少なくてすむが、ただし、追加の外部ロジック及び制御が必要となる。
【0060】
上記のように、外部ヒーターは、単にフィルター部材に一定の熱量を供給するにすぎない。これらのヒーターは、フィルターの内部条件を検出することができないからである。一実施形態では、図3の加熱回路は、知的処理装置と共に利用される。例えば、圧力センサー370をフィルター部材に加え、容器内の圧力を測定するように適合させることができる。
【0061】
温度センサーに関して説明したように、圧力センサーは有線であっても無線であっても良い。このセンサー370は、周囲環境の圧力に応じて変化する出力を生じさせることができる。別の実施形態では、センサー370は、異なるセンサーであるため、その出力は、2つの領域間の圧力差の関数である。この出力は、アナログ電圧若しくはアナログ電流の形式であることができ、又はデジタル値若しくはデジタルパルスであることができる。好ましい実施形態では、この出力は、圧力と共に直線的に変化するが、ただし、これは必要条件ではない。周囲の圧力に対する既知の関係(例えば、関数又は指数)を有する任意の出力を使用できる。このような状態において、出力の変換を実行して実測圧力を決定することができる。
【0062】
いくつかの用途では、フィルター部材の温度は145℃を超過する場合があるため、これらの温度で安定なセンサーを使用する必要がある。同様に、この温度に耐え得る送信機を使用する必要がある。最後に、容器100内の温度は、低温から高温までを繰り返し、またその逆に戻るため、圧力センサーは、この温度サイクルに耐えることができることを要する。
【0063】
圧力センサー370に関しては多数の実施形態が存在する。例えば、このセンサーは、微小電気機械システム(MEMS)技術、圧電素子、導電性ポリマー若しくは抵抗性ポリマー(エラストマー及びインクを含む)又は変換器を使用して構成できる。これらの例は、使用できるセンサーの種類のうちのいくつかを例示することを目的とするものである。これは、このような好適な圧力センサーの全てに関する網羅的なリストであることを目的とするものではない。さらに、これらのセンサーは、米国同時係属出願第12/502,259号に記載されるように、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)技術を使用して作製できる。
【0064】
さらに、警報機構380は、処理装置340と通信状態にあることができる。これにより、フィルター部材は、フィルターがその寿命末期に到達しかつ交換が必要な状態にあることを決定したことを作業者に警告することを可能にする。
【0065】
このフィルターは、図1に記載した態様で使用できる。作動モードでは、ベントフィルターは、ろ過される流体が気相状態のままであることを確保しなければならない。図6は、従来の状態図を示している。温度及び/又は圧力を監視することによって、ベント内のCPUは、その中の流体の相を決定することができる。発熱体を通過している電流を変化させることによって、CPUは、この気相が維持されることを確保することができる。
【0066】
上で述べたように、この実施形態では、メンテナンス活動12が存在する(図1に示したとおり)。
【0067】
図7は、作動モード中に発熱体を通って流れる電流を制御するのに必要な制御ループの代表的なフローチャートを示している。まず、処理装置は、 ボックス500に示すように、圧力センサーを調べて容器内の圧力を決定する。続いて、処理装置は、ボックス510に示すように、温度センサーを調べて容器内の温度を決定する。続いて、処理装置は、この値のセットと、所定の物質についての状態図とを比較する。いくつかの実施形態では、気体/液体ライン400を表す処理装置の記憶素子内に方程式を保存する。他の実施形態では、座標が気体/液体ライン400に相当する点のセットを処理装置の記憶素子内に保存する。この処理装置は、実測値と記憶素子内に保存されたものとを比較する。この比較に基づき、処理装置は、操作条件が、この物質がその気体状態であるようなものであるかどうかを決定することができる。そうでない場合には、処理装置は、ボックス540に示すように、発熱体において電流を増加させて温度を上昇させる。さらなる実施形態では、該素材がその気体の状態にある場合には、処理装置は、それらの値と気体/液体ライン400とを比較する。これらの値がライン400に近いポイントを生成する場合には、ボックス570に示すように、適当量の熱を使用してその環境を保持する。しかしながら、このポイントがライン400から遠くにある場合には、これは、凝縮のおそれなしに温度を低下させることができることを意味する。この場合には、ボックス560に示すように発熱体における電流を減少させる。
【0068】
図7のフローチャートは、発熱体を適当な温度に維持するように、繰り返し実施される。これらの電流に対する調節は、任意の制御アルゴリズムを基礎とすることができる。例えば、比例アルゴリズム、P−Iアルゴリズム(比例−積分)、P−D(比例微分)又はP−I−Dアルゴリズム(比例−積分−微分)アルゴリズムを使用して電流の調節を決定することができる。他のアルゴリズムも周知であり、本発明の範囲内にある。
【0069】
CPUは、測定パラメーターが許容できる範囲内にとどまる限り、このフローチャートを実行し続ける。フィルターは作動モード10で開始する。圧力センサー370及び温度センサー320を読むことによって、該処理装置は、図6に示すように、詰まりを起こしかねない物質が存在する相を決定することができる。この制御システムの目標は、この物質がガス状のままであることを確保することである。つまり、このものは、容器内の圧力と温度を連続的に監視し、そして発熱体を通過する電流を調節してこの条件が満たされることを確保する。
【0070】
このようなアルゴリズムを使用すると、柔軟な容器の位置決めが可能になる。言い換えれば、本システムは、様々な操作条件(冷、暖又は高温)に適合し、それに応じてフィルターを効率的に加熱することができる。
【0071】
さらなる実施形態では、流量検出器がベントフィルター内に組み込まれる。図8は、フィルター600を示しており、当該図において、物質の流れを矢印で示している。流体はコア610に入り、膜620を通過し、そしてフィルターの外部に出る。いくつかの実施形態では、加熱要素は、膜620に又はその近傍に設置され、例えばコア、ハウジング又は支持層に設置される。温度センサー(図示しない)をコア内に設置して、流体が膜を通過する前に該流体の温度を測定する。対応する対の温度センサー630をフィルターの外面に設置して、流体が膜620及び共同設置された発熱体を通過した後に該流体の温度を測定する。上で説明したように、これら2個のセンサーによって観察される温度差により、その地点での流量を測定することが可能になる。図8に示す実施形態では、3個の流量センサーが示されており、この場合、それぞれは、フィルター部材の様々な部分で流量を測定するように適合されている。
【0072】
図9a〜9dは、フィルターがそのライフサイクルを通して詰まるようになるときの、該フィルター用の3個のセンサーによって観察される代表的な流量を示すグラフ図である。新たなフィルターを設置したときには、膜の全ての部分が等しく透過可能である。この段階では、流量は、図9aに示すようにフィルターの全ての部分で概ね等しいと考えられる。或いは、さらに高い流量が最も左のセンサーで見られる場合がある。というのは、このセンサーは、供給源に最も近いものであり、しかもこのセンサーは最も抵抗が小さくかつ最も距離が短い経路であるため流体が該センサーを通じて出ることができるからである。これを図9bに示している。ろ過部材を使用すると、物質からの飛散物や泡沫がフィルターを覆い始めるが、これは典型的にはフィルターの入口付近から始まる。そのため、図9cに示すように、最も左のセンサーによって見られる流量は減少し、他の位置での流量増加が余儀なくされる。フィルターの詰まりが続くと、図9dに示すように中央のセンサーでの流量も減少し、フィルターの最右部分を通した流れが多くならざるを得ない。
【0073】
このような構成は、流量の絶対値が不要な点で有益である。むしろ、様々なセンサーの経時的な相対値は、フィルターの現在の透過性及び条件を理解するのには十分なものである。例えば、実際の流量値は図9a〜9dには含められていない。しかしながら、このグラフの全体の形と、様々なポイントでの流量間の関係は、当業者が膜の状態を理解し、かつ、交換が必要かどうかを決定することを可能にする。
【0074】
他の実施形態では、簡易な熱線流速計を使用できる。この実施形態では、細いワイヤーを流体の流れ中に置く。次いで、このワイヤーに電流を通すことによって該ワイヤーに電圧を印可し、それによって該ワイヤーを加熱する。該ワイヤーを通り過ぎた流体の流れは、該ワイヤーによって発生する熱を除去する作用を有し、それによって該ワイヤーを冷却する。つまり、流量が多ければ多いほどワイヤーの温度は低い。このワイヤーの温度の変化は、該ワイヤーの抵抗に同様の変化を生じさせる。つまり、流量は、ワイヤーの抵抗を測定することによって決定できる。所定の実施形態では、定電流型熱線流速計(CCA)として知られ、定電流がワイヤーを通過し、そして該ワイヤーを横切る電圧を測定してその抵抗を決定する。他の実施形態では、定電圧型熱線流速計(CVA)として知られ、定電圧を該ワイヤー間で維持し、そして電流を測定する。いずれのケースでもワイヤーの抵抗を決定することができ、結果として流体の流れを推定できる。
【0075】
つまり、流量を使用してフィルターが詰まった状態になっているかどうかを決定することができる。言い換えれば、図1を参照すると、流量が徐々に減少する場合には、これは摩耗の兆候である可能性がある。このような事象は、CPU340を寿命末期モード30への移行に導くであろう。
【0076】
流量センサーはフィルター内の詰まりを決定する際に有用であると同時に、該センサーを使用してフィルターの完全性を決定することもできる。例えば、これらのセンサーの一つによって決定される流量が実質的な増加を受ける場合には、完全性の問題が存在する可能性がある。これらのセンサーの1個以上で測定され流量が突然増加することは、フィルター膜が破損し、それによって流量が即座に増加したことを示す場合がある。そのため、流量の増加は、CPUを寿命末期モード30に移行させる原因となり得る。また、完全性の問題は、圧力センサーの使用によっても検出できる。当業者に知られているように、2つのポイント間での差圧を使用して、これらのポイントを通過する流体の流量を決定することができる。これらの圧力センサーは、プロセッサーが、完全性の問題のサインとして膜の厚みにわたって差圧を監視するように処理装置に連結できる。
【0077】
しかしながら、詰まりが唯一の懸案事項ではない。所定の状況では、一時的な閉塞が起こる場合がある。醗酵容器などのいくつかの環境では、ある種の物質又は蛋白質泡沫などの反応副産物が上面に蓄積し、上方に押しつけられる可能性がある。これが表面に達すると、この泡沫は、表面と接触したときに破裂してつぶれ、ガスが放出されるときに飛び散る可能性がある。時として、この物質はフィルター部材上に飛び散り、詰まりを生じさせる場合がある。いくつかの実施形態では、この閉塞は永久的ではなく、この飛散した物質を蒸発させる程度に十分な熱を加えることによって調節できる。このようなケースでは、処理装置340は、フィルターの特定の部分を通した流れの突然の変化を検出することができる。これに基づいて、処理装置は、図1に示すように、測定パラメーターにおける突然の悪化であるとみなすことができる。次いで、CPU340は、回復モード20に移動し、ここで是正処置が試みられるであろう。この実施形態では、CPU340は、この変化が飛沫によるものであると仮定して、かなりの量の電流を発熱体に加えることができる。次いで、処理装置は、フィルターのこの部分を介して流量を監視し続ける。流量が改善する場合には、この仮定は正しかったので、処理装置は作動モード10に戻るであろう。
【0078】
しかしながら、流量が所定の期間内に特定の値に改善しない場合には、処理装置は、熱のみを使用してもこの状況を改善することができない程度にフィルターが十分に詰まっていることを決定できる。このようなケースでは、処理装置は、寿命末期モード30に移動でき、かつ、警報380を使用することにより作業者に通知する。
【0079】
別の実施形態では、突然の悪化15を圧力センサーを使用して検出して容器内の圧力の突然の上昇を検出することができる。この増加は、上記の一時的な閉塞に相当し得る。このような圧力変化を検出したときには、上記ステップを実施してフィルター部材から物質を蒸発させることを試みることができる。このような状況が修正されない場合には、処理装置は、警報を用いて作業者に通知することができる。
【0080】
図5に示した実施形態によれば、プロセッサーは、多数の異なるタイプのセンサーと通信状態にあることができる。前記のように、フィルター部材のため及び流量を推定するために複数の温度センサーを使用して所定の温度を維持することができる。流量試験又は完全性試験のために圧力センサーを使用することができる。また、他のタイプのセンサーも使用できる。例えば、バイオリアクターでは、反応の亜化合物が表面エネルギーを変化させることによってフィルター膜の疎水性に有害な影響を及ぼすことが知られていると思われる。これに対抗するために、バイオリアクター内の材料のレベルを、ベントフィルターには達しないように十分に低く維持する。しかしながら、過剰の発泡又は飛散は、材料がベントフィルターにまで達する原因となり得る。伝導度センサーを処理装置と共に使用してこの状態を予測し、そして差し迫った接触に備えることができる。
【0081】
例2:粒子フィルター
別の実施形態では、バイオリアクターからの細胞残屑やワインからの結晶といった粒状物用のろ過システムは、上記の技術を用いることができる。
【0082】
バイオリアクターからの細胞残屑やワインからの結晶といった粒状物のろ過システムを図10に示す。これは、1個以上のフィルター704を収容するハウジング702からなる。フィルター704は、ハウジングの出口706に取り付けられており、それによって出口706に達する全てのろ過液がフィルター704を最初に通過するようにしている。また、ハウジング702は、ろ過される流体源からの入口708も有する。出口706の下流には再循環ループ710があり、該ループは、第1電子作動弁714(例えば電磁弁)を介して出口706に連結され、かつ、第2電子制御弁718を介してハウジング702の側に連結されている。通常の閉鎖位置において、出口706を出たろ過液は、貯蔵容器又は追加の精製工程といった次の位置718に向けて下流に進む。また、入口708は、ハウジング702に隣接して設置された電子制御弁732も有する。
【0083】
フィルター704は、フィルター材料の上流側に設置される第1センサー720と、フィルター材料の下流に設置された第2センサー722とを有する。センサー720,722の両方は、RFIDタグのような無線通信装置を備えることができる。PIDコントローラ又はCPU724などの追加の計算論理装置が2個のセンサー720,722と通信状態にある。このCPU724は、該2個のセンサー720,722からの信号と、既知のセットのパラメーターとを比較しかつ対比することができる。また、処理装置724は、弁714及び718を、例えば弁714,718及び732のそれぞれに備えられた無線通信装置726,728,734を介して個々に又は有線通信によって制御することもできる。該無線通信装置は、RFID装置及びジグビー装置を含め(ただしこれらに限定されない)、任意の好適なタイプのものであることができる。CPU724は、必要に応じて弁714,718,732を作動させ又はその作動を止めることができる。センサー720,722及び処理装置724には、例えばハウジング702の出口内にある誘導結合装置によって、リモートで電力が供給される。弁714,718及び732の無線通信装置726,728,734と、弁714,718及び732自体とには、システム電源(図示しない)への有線電気接続によって電力が供給できる。
【0084】
除去されるべき結晶を含有する、ろ過されていないワインを、入口708からハウジング702に通し、そしてフィルター(例えばミリポアコーポレーションから入手できるPolySep(商標)IIフィルター)から該システムの出口706に通す。第1及び第2センサー720,722を、所定の間隔、例えば2分ごとに処理装置724で監視する。この実施形態では、作動モード10に保持するためにいかなるメンテナンス活動も必要とされない。
【0085】
しかしながら、2個のセンサー720,722間にある圧力弁が所定量(例えば2psig)を超えて異なることが分かった場合には、処理装置724は是正処置を開始する。処理装置724は信号を送って弁712及び718を開き、弁732を閉じる。この実施形態では、図2に示すアクチュエータは、実際にはフィルター部材の外側にあるが、これらのものは、フィルター部材内の処理装置によって制御される。しかしながら、他の実施形態は、アクチュエータと弁とをフィルターハウジング内に配置し、それによって応答時間と測定及び是正処置の感度とを改善させる。
【0086】
この是正処置は、出口706からのろ過液を、フィルター704の外側に隣接する再循環ループ710の箇所(弁718が設置されたところ)を介して、ハウジング702に方向転換させる。これにより、堆積物の蓄積がフィルター704の外部表面から除去される。この洗浄は、一定の時間、例えば30秒間行うことができる。所定時間経過後に、処理装置724は弁712及び718を閉じ、かつ、弁732を開くように命じる。次いで、弁744を開いてループ710の水抜きをする。次いで、処理装置724が、該システムが将来の流れ/ろ過手順に再活動化するために、2個のセンサー720,722からの信号と既知のパラメーターのセットとを比較しかつ対比する。
【0087】
この洗浄がろ過を改善しない場合(圧力差を所定の差内に維持することによっても)には、処理装置724は、二度目の是正処置(例えば洗浄)を試み、そして再度圧力差を測定し基準セットと比較することができる。
【0088】
その差が所定の範囲内にない場合には、処理装置は寿命末期モード30に移動する。この場合、警報(図示しない)が鳴らされ、作業者にフィルターの交換が必要であることを指摘する。
【0089】
この洗浄が差圧を許容できる値にまで回復する場合には、処理装置724は作動モード10に戻る。この場合、これは、単にセンサー720,722間の差圧を監視し続けるだけである。
【0090】
この例の異なる実施形態では、圧力センサー720,722を流量センサーで置き換える。処理装置724は、モード変化及び是正処置についての決定を行うために、フィルターを通る流量を直ちに監視する。この例外では、このシステムは、上記と同等に機能する。さらに別の実施形態では、単一の流量センサーをフィルターの下流側に設置し、そして処理装置724で監視する。処理装置724は、流量差を測定するのではなく、フィルターを通した絶対流量を単に監視するにすぎない。
【0091】
例3:TFFフィルター
接線流フィルター(TFF)は、一般に、ろ過液から蛋白質を単離するために使用される。蛋白質は膜を詰まらせる可能性があるため、流体は、膜を接線方向に流れ過ぎる。図11aは、従来のフィルターの流れを示しており、この際、流体は、膜の表面の方に又は膜の表面に対して垂直に流れる。図11bは、TFFフィルターの作用を示しており、この場合、流体の流れは、膜の表面に対して接線方向である。これによって、数個の粒状物しか膜上に集まらないので、詰まりを低減させることが可能になる。
【0092】
図12は、従来の濃縮TFFシステムを示している。供給タンク800からの流体を遠回りな経路でTFFフィルター810にポンプで送り、そして供給タンク800に戻す。TFFフィルター810は、流体からろ過液をろ過し、これは、ろ過液流れ820を介してシステムから出る。このプロセスが続行すると、保持液の濃度が上昇する。流体がそれぞれフィルター膜の表面を超えて通過する間に、加えられた圧力は、流体の一部分を強制的に膜からろ過液流れ920に通す。結果として、該チャンネルの中央でのバルク条件から膜表面でのさらに濃縮された壁条件まで供給原料の勾配が存在することになる。また、入口から出口までの供給チャンネルの長さに沿って濃度勾配が存在する(保持液)。次第に多くの流体がろ過液側に通るからである。
【0093】
図14は、上記の流れと力を示すものである。パラメーターは次のとおりに定義される:
F:供給物流量[L/h]
R:保持液流量[L/h]
f:ろ過液流量[L/h]
b:バルク溶液中の成分濃度[g/L]
w:膜表面での成分濃度[g/L]
f:ろ過液流れ中の成分濃度[g/L]
TMP:膜にわたって加えた圧力[bar]。
【0094】
膜間圧力(TMP)は、TFF膜にわたる圧力差であると定義される。図12を参照すると、これは、流体側での平均圧力であり、典型的には供給物圧力830と保持液圧力840との平均であると定義され、ろ過液側での圧力よりも小さい。
【0095】
TMPを所定の範囲内に維持すると、TFFフィルターの動作と性能が改善することが知られている。多くの場合、非常に高い壁濃度及びかなりの膜の汚れが、特にプロセスの開始の間に生じる。ろ過液の速度を減少させ、かつ、TMPを力強いTFF操作に必要な低い値に制御することを可能にするためには、ろ過液の流れを制御しなければならない。
【0096】
流れが制御されたろ過液操作においては、図13に示すように、ろ過液ライン上のポンプ又弁860がろ過液の流れを設定値に制限する。これは、適切な接線流を維持するためにろ過液流れを減少させることの他に、ろ過液ライン中に圧力を創り出してTMPを低下させると共に、供給物の圧力及び保持液の圧力を一定に維持する。
【0097】
供給物圧力及び保持液圧力を監視することによって、フィルターのろ過液側での最適な圧力を決定することが可能になる。続いて、ろ過液ポンプ又は弁860を調節してこの圧力を達成する。
【0098】
TFFフィルターの典型的な操作を定義してきたが、以下では自立型TFFフィルターについて説明する。
【0099】
図15に示すように、フィルター900は、フィルター膜の上流側に設置される第1センサー920と、フィルター膜の下流に設置される第2センサー922とを有する。両方のセンサーは、フィルターの相対面に近くてよいが、ろ過機能を曖昧にするように必ずしもそうである必要はなく、好ましくは膜自体とは接触していない。例えば、これらは、フィルターのそれぞれの側付近にある供給物チャンネル及びろ過液チャンネル内に設置できる。また、これらは、いずれかのチャンネルの内壁などにも設置できる。センサー920,922の両方は、RFIDタグのような無線通信装置を備えることができる。PIDコントローラ又はCPU924などの追加の計算論理装置がこれら2つのセンサー920,922と通信状態にある。このCPU924は、該2個のセンサー920,922からの信号と既知のパラメーターセットとを比較し対比することができる。また、処理装置924は、弁又はポンプ914を、例えば弁若しくはポンプ914に備えられる無線通信装置926を介して又は有線通信を介して制御することができる。無線通信装置は、RFID装置、ブルートゥース装置及びジグビー装置を含め(ただしこれらに限定されない)、任意の好適なタイプのものであることができる。CPU924は、必要に応じて弁又はポンプ924を作動させ又はその作動を止めることができる。センサー920,922及び処理装置924は、例えばハウジングの出口内にある誘導結合装置によりリモートで電力を供給され得る。弁又はポンプ914の無線通信装置926と、弁又はポンプ914自体は、システム電源(図示しない)への有線電気接続により電力が供給され得る。
【0100】
上で説明したように、流体は、フィルター膜にわたって接線方向に通される。ろ過液は膜を通過し、そしてろ過液流れの一部分となる。いくつかの実施形態では、TFFフィルターが必要とするメンテナンス活動12は存在しない。しかしながら、他の実施形態では、TFFフィルターにおける処理装置は、センサー920,922により上流の圧力及び下流の圧力を連続的に監視することができる。これらの値の差に基づき、処理装置は、弁又はポンプ914を制御し、それによって下流の圧力及びTMPを間接的に制御することができる。
【0101】
ある時点で、上流の圧力又はTMPは、弁又はポンプ914を調節しても修正できないレベルに到達する場合がある。この場合には、フィルターは、回復モード20に移行することができる。この場合、是正処置が実施される。一実施形態では、フィルターは1個以上の圧電装置を有し、これは、通電されたとき、フィルター膜上又はその付近に設置されたときに振動する。この実施形態では、コントローラ924は、圧電装置930を作動させる。
【0102】
これらの圧電装置は、フィルター部材上に設置され、好ましくは膜近くに設置され又は膜に固定される。これらの装置930は、作動すると電流に応答して振動する。得られた振動は、膜上に蓄積した粒状物を自由にして接線流で移動させ、それによって上流の圧力を低下させる。圧電装置は所定の振動を生じさせ、それによって蓄積物質を解放させるが、他の機械的又は電気的実施形態も使用できる。例えば、蛋白質は、ゲル電気泳動で使用するときに電気的分極であることが知られているので、一時的な電位差を使用して膜表面から蛋白質を一時的に除去することができるであろう。
【0103】
これを行う場合には、処理装置924は通常の作動モード10に戻る。しかしながら、振動その他の方法が粒状物を除去することに失敗した場合には、処理装置は、1回以上の回復活動を試みることができる。所定数の試みの後に、この活動では粒状物を除去することができなければ、プロセッサー924は寿命末期モード30に移行し得る。このモードでは、処理装置は上記のように作業者に警告する。
【0104】
別の態様では、ろ過液側から供給物側に向けて膜を通した流体のバックフラッシュを使用して、膜の供給側表面から蓄積粒状物を除去することができるであろう。ろ過液ポンプ860は逆転でき、かつ、膜からろ過液を引き戻すことができる。所望ならば又はバックフラッシュを達成するのに必要ならば、供給物ポンプ850を止めたり速度を減少させたりすることができる。次いで、バックフラッシュしたろ過液は、保持液ラインを介して供給タンクに逆流する。別の選択肢として、緩衝液をろ過液側から膜を通して供給して、ろ過液が2回ろ過される必要がないようにこれをバックフラッシュする。
【0105】
これを行う場合には、処理装置924は通常の作動モード10に戻る。しかしながら、粒状物を除去するのにバックフラッシュが不要の場合には、処理装置は、回復活動を1回以上試みることができる。所定数の試み後に、この活動でも粒状物を除去できない場合には、プロセッサー924は寿命末期モード30に移行し得る。このモードでは、処理装置は上記のように作業者に警告する。
【0106】
これらの状況のいずれかにおいて、本発明は問題を見つけ、その問題の作業者に警告する。この警報機構は様々なタイプのものであることができる。いくつかの実施形態では、感覚警報、例えば視覚又は聴覚が利用される。これらの場合には、作業者が注意を払わなければならない状態を示すように、LEDが蛍光を発し又は装置が音を発することができる。他の実施形態では、エラーに関する情報を無線でリモート装置に伝え、該リモート装置が無線伝送を受信し、そしてその後、例えばビデオディスプレー装置上での画像メッセージを通して作業者に警告する。
【0107】
本発明のフィルターは、ろ過部材の操作条件を維持し、一時的なエラー状態を回復し、そして作業者に修復不能なエラーを報告するように構成される。
【0108】
また、処理装置は、流量及び/又は圧力の突然の変化(これは、材料の飛散などの一時的エラーを示し得る)も検出することができる。この仮定に基づき、処理装置は、昇温などの回復技術を使用してその問題を修正することを試みることができる。
【0109】
最後に、処理装置では修正できないフィルターの詰まりの場合には、警報を作業者に送り、ろ過部材が修理を必要としていることを知らせる。
【0110】
上記例は、本発明のいくつかの実施形態を示すものである。全ての実施形態において、フィルター部材は、3つの異なるモードで作動することができる処理装置と、少なくとも1個のセンサーとを備える。このセンサーは、圧力センサー、温度センサー、流れセンサー、pHセンサーその他の任意の好適なタイプであることができる。さらに、処理装置は、回復モード中に使用される少なくとも1個のアクチュエータを制御することのできる能力を有する。いくつかの実施形態では、処理装置は、通常モードでのメンテナンス活動中に少なくとも1個のアクチュエータを制御する。場合によっては、例1のように、処理装置、センサー及びアクチュエータは全てフィルター内に備えられることに留意すべきである。他の実施形態では、例2のように、アクチュエータはフィルターとは離れて設置されるが、フィルター内の処理装置によって制御される。最後に、例3では、第1のアクチュエータがフィルター上に設置されるのに対して、第2のアクチュエータがフィルターとは離れて設置される。
【0111】
ここで用いた用語及び表現は、説明として使用したものであり、限定の目的で使用したのではなく、また、このような用語及び表現を使用することで、示しかつ説明した特徴(又はその一部)の任意の均等物を除外する意図は全くない。また、特許請求の範囲内で様々な改変が可能であることも認められる。他の改変、変更及び選択も可能である。したがって、先の説明は単なる例示であって、限定を意図するものではない。
【符号の説明】
【0112】
100 フィルター部材
110 磁器誘導力結合ループ
113 整流回路
115 DC電圧
120 センサー
121 センサー
122 センサー
140 処理装置
150 アクチュエータ
160 アクチュエータ
170 インジケータ
200 ベントフィルター
201 容器
210 ハウジング
220 膜
230 内部コア
240 基部
250 上端部
310 結合ループ
313 整流回路
315 DC電圧
320 第1温度センサー
330 発熱体
340 処理装置
350 電子制御回路
360 第2温度センサー
370 圧力センサー
380 警報機構
600 フィルター
610 コア
620 膜
630 温度センサー
702 ハウジング
704 フィルター
706 出口
708 入口
710 再循環ループ
714 第1電子作動弁
718 第2電子制御弁
720 第1センサー
722 第2センサー
724 処理装置
726 無線通信装置
728 無線通信装置
734 無線通信装置
744 弁
900 フィルター
914 弁
920 第1センサー
922 第2センサー
924 処理装置
926 無線通信装置
930 圧電装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構成:
a.流体が通過する膜と、該膜を支持するハウジングとを有するフィルター部材と、
b.該フィルター部材内に設置され、該膜を加熱するように構成された発熱体と
を備える流体を逃がすための装置。
【請求項2】
前記装置は容器から液体を逃がすように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記流体が気体を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
電磁場エネルギーを電力に変換するように構成された誘導ループをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記フィルター部材の温度を測定するように構成された第1温度センサーをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記フィルター部材の温度を制御するように構成された処理装置をさらに備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記処理装置が、前記第1温度センサーからのデータに基づいて前記フィルター部材の温度を制御する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記制御が前記発熱体を通過する電流を変化させることを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
圧力センサーをさらに備え、ここで、前記処理装置は、前記第1温度センサー及び該圧力センサーからのデータに基づいて該フィルター部材の温度を制御する、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記処理装置が前記データと所定の値のセットとを比較して前記フィルター部材の温度を制御する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
記憶素子をさらに備え、前記所定の値のセットを該記憶素子内に保存し、そして該所定の値のセットが状態図を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
第2温度センサーをさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項13】
前記発熱体及び前記フィルター部材は、流量センサーを備えるように、前記第1温度センサーと前記第2温度センサーとの間に位置する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記処理装置は、前記第1及び第2温度センサーからのデータに基づいて流量を決定する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記装置は、前記フィルター部材内の様々な箇所で流体の流れを測定するように構成された複数の流量センサーを備える、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記流体の流量を測定するための流速計をさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、前記フィルター部材内の様々な箇所で流体の流れを測定するように構成された複数の流速計を備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記処理装置と通信状態にある警報機構をさらに備え、ここで、該処理装置は、エラー状態を作業者に知らせるように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項19】
前記第1温度センサーが前記処理装置と無線で通信する、請求項6に記載の装置。
【請求項20】
次の工程:
a.流体が通過する膜と、該膜を支持するハウジングとを有するフィルター部材、及び、該フィルター部材内に設置され、該膜を加熱するように構成された発熱体を与え、
b.該フィルター部材内にある該発熱体の温度を制御して該膜上での濃縮を最小限にとどめること
を含む、フィルター部材の詰まりを防止する方法。
【請求項21】
前記フィルター部材に最も近い温度センサーと、該センサー及び前記発熱体と通信状態にあり、該センサーからデータを受け取るように構成された処理装置とを与えることをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記発熱体は、電流が通る抵抗素子を備え、前記処理装置は、該発熱体を通して電流を変化させることによって前記フィルターの温度を制御する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記フィルター部材の最も近くにあり、かつ、前記処理装置と通信状態にある圧力センサーを与えることをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記処理装置は、前記圧力センサー及び温度センサーからの測定値と所定の値のセットとを比較し、該比較に基づいて前記発熱体を通して電流を制御する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記所定の値のセットが状態図を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
次の工程:
a.流体が通過する膜及び該膜を支持するハウジングを有するフィルター部材と、該フィルター部材内に設置され、該膜を加熱するように構成された発熱体と、該膜及び該発熱体のいずれかの側に設置された第1及び第2温度センサーと、該センサー及び該発熱体と通信状態にある処理装置とを与え、
b.該第1温度センサーと第2温度センサーとの間の温度差に基づいて該膜を通した流量を監視し、そして
c.該流量が所定のレベルよりも減少した場合(この減少は該膜が詰まったことを示す)には、作業者に警告すること
を含む、フィルター部材の状態を提供する方法。
【請求項27】
前記流量が所定のレベルを超えて増加した場合に作業者に警告することをさらに含み、ここで、該増加がフィルターの完全性の問題を示す、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図9d】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−49058(P2013−49058A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−261609(P2012−261609)
【出願日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【分割の表示】特願2010−29012(P2010−29012)の分割
【原出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(504115013)イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン (33)
【Fターム(参考)】