自立型オーニング
【課題】別の場所への保管や設置場所の変更に適したものとする。
【解決手段】ベース1と、ベース1に立てられた固定柱2と、固定柱2に沿って昇降可能な昇降柱3と、昇降柱3に取り付けられた日よけ部4と、ベース1又は固定柱2に設けた回転軸43を中心に、固定柱2と略平行な収納位置と固定柱2と略直交する使用位置との間で回動する補助脚5と、補助脚5を使用位置にてロックするロック機構6と、昇降柱3と補助脚5を連結し、補助脚5の収納位置への回動に連動して昇降柱3を下降させ、補助脚5の使用位置への回動に連動して昇降柱3を上昇させるリンク機構7を備えている。
【解決手段】ベース1と、ベース1に立てられた固定柱2と、固定柱2に沿って昇降可能な昇降柱3と、昇降柱3に取り付けられた日よけ部4と、ベース1又は固定柱2に設けた回転軸43を中心に、固定柱2と略平行な収納位置と固定柱2と略直交する使用位置との間で回動する補助脚5と、補助脚5を使用位置にてロックするロック機構6と、昇降柱3と補助脚5を連結し、補助脚5の収納位置への回動に連動して昇降柱3を下降させ、補助脚5の使用位置への回動に連動して昇降柱3を上昇させるリンク機構7を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自立型オーニングに関する。さらに詳述すると、本発明は支柱を有し任意の場所に設置可能な自立型オーニングの構造の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自立型オーニングとして、例えば特許文献1(特開2000−303642号)に開示された木製オーニングがある。このオーニングは、図18に示すように、左右一対のメインポール101の間にテーブル102を設けると共に、各メインポール101の上端を横架設部材103で連結し、横架設部材103に取り付けた巻き込み具104から日よけとなるシート105を引き出してシート張出ポール106との間に張っている。
【0003】
図19にメインポール101の横断面を示す。メインポール101は2枚の平板107の間に調整板材108を摺動可能に挟み込んだ構成であり、調整板材108を摺動させて昇降させることでシート105の高さ調整が可能になっている。このオーニングは組み立て式のものであり、組み立て時にメインポール101の長さを調整しておくことで、シート105の高さを所望の高さにして使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−303642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の自立型オーニングでは、一度組み立ててしまうと、日よけとなる部分(シート105とシート張出ポール106)を折り畳むことは可能であるが、その他の部分を折り畳むことができない。コンパクトな状態にするためには、分解する必要がある。そのため、夜間だけ別の場所に保管しておくような使い方や、頻繁に設置場所を変更するような使い方に向いておらず、使い勝手に劣る。
【0006】
本発明は、別の場所への保管や設置場所の変更に適した自立型オーニングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ベースと、ベースに立てられた固定柱と、固定柱に沿って昇降可能な昇降柱と、昇降柱に取り付けられた日よけ部と、ベース又は固定柱に設けた回転軸を中心に、固定柱と略平行な収納位置と固定柱と略直交する使用位置との間で回動する補助脚と、補助脚を使用位置にてロックするロック機構と、昇降柱と補助脚を連結し、補助脚の収納位置への回動に連動して昇降柱を下降させ、補助脚の使用位置への回動に連動して昇降柱を上昇させるリンク機構を備えるものである。
【0008】
したがって、補助脚を持ち上げて収納位置へと回動させると、保管に必要なスペースを最小限に抑えた保管状態となる。この保管状態ではリンク機構が昇降柱を降ろしており、高さも最小限に抑えられている。この状態から補助脚を倒して使用位置へと回動させると、補助脚が地面を突っ張って支柱ユニット(ベースと固定柱と昇降柱)を自立させる使用状態となる。このとき、補助脚の動きに連動してリンク機構が昇降柱を上昇させるので、補助脚を使用位置へと回動させるだけで昇降柱を所定の高さまで上昇させる、換言すると支柱ユニットを使用時の長さに伸ばすことができる。使用状態では補助脚はロック機構によってロックされ、支柱ユニットの転倒が防止される。そして、補助脚を持ち上げて立たせると、リンク機構が昇降柱を降ろして上述の保管状態となる。
【0009】
また、請求項2記載の自立型オーニングは、補助脚が複数設けられている。したがって、支柱ユニットの自立がより容易になる。例えば支柱ユニットの本数が少ない場合にも支柱ユニットを自立させることができる。
【0010】
また、請求項3記載の自立型オーニングは、ベースに車輪を設けている。したがって、自立型オーニングの移動が容易になる。
【0011】
また、請求項4記載の自立型オーニングは、リンク機構が、昇降柱と補助脚を連結する第1のリンクロッドと、第1のリンクロッドの昇降柱への連結位置と補助脚への連結位置との間の位置をベースに連結する第2のリンクロッドと、第1のリンクロッドの補助脚への連結位置を補助脚に対してスライドさせるスライド機構を備え、第1のリンクロッドは補助脚の回動に連動して第2のリンクロッドへの連結位置を中心に揺動し、補助脚の収納位置への回動に連動して昇降柱を下降させ、補助脚の使用位置への回動に連動して昇降柱を上昇させるものである。
【0012】
したがって、補助脚を収納位置へと回動させると、第1のリンクロッドの補助脚への連結位置が上昇し、昇降柱への連結位置が下降するので、昇降柱が下降する。一方、補助脚を使用位置へと回動させると、第1のリンクロッドの補助脚への連結位置が下降し、昇降柱への連結位置が上昇するので、昇降柱が上昇する。即ち、第1のリンクロッドがてこ(力点:補助脚への連結位置、支点:第2のリンクロッドへの連結位置、作用点:昇降柱への連結位置)となり、補助脚の回動に連動して昇降柱を昇降させる。このとき、第1のリンクロッドの補助脚への連結位置をスライド機構が補助脚に対してスライドさせるので、上述のてこの動作が可能になる。
【0013】
さらに、請求項5記載の自立型オーニングは、ベースと固定柱と昇降柱と補助脚とロック機構とリンク機構とを組み付けたオーニングユニットを複数設けると共に、オーニングユニットの昇降柱の間に日よけ部を設けたものである。したがって、複数のオーニングユニットを組み合わせた大型の自立型オーニングが構成される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の自立型オーニングでは、補助脚の回動と支柱ユニットの伸縮が可能であり、これらが連動するので、保管時に小型化できて保管し易いにもかかわらず、使用時の設置が容易である。
【0015】
また、請求項2記載の自立型オーニングでは、支柱ユニットの本数が少ない場合にも支柱ユニットを自立させることができる。
【0016】
また、請求項3記載の自立型オーニングでは、移動を容易にすることができる。
【0017】
また、請求項4記載の自立型オーニングでは、補助脚と昇降柱との連動にてこの原理を利用するので、軽い操作力で支柱ユニットを伸縮させることができる。
【0018】
さらに、請求項5記載の自立型オーニングでは、大型化が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の自立型オーニングの第1の実施形態を示し、使用状態における側面図である。
【図2】同自立型オーニングの使用状態における正面図である。
【図3】同自立型オーニングの保管状態における側面図である。
【図4】同自立型オーニングの保管状態における正面図である。
【図5】固定柱と昇降柱を第1の係止手段が係止する様子を示す断面図である。
【図6】補助脚5の縦断面図である。
【図7】図1のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】補助脚の揺動に伴いリンク機構が昇降柱を移動させる様子を説明するための図であり、(A)は保管状態を示す側面図、(B)は補助脚を若干倒した状態を示す側面図、(C)は補助脚を更に倒した状態を示す側面図、(D)は使用状態を示す側面図である。
【図9】第1のリンクロッドの下端のローラがロック機構のラッチを倒しながら移動する様子を示す断面図である。
【図10】ロック機構のロックを解除する様子を示す断面図である。
【図11】図2のXI−XI線に沿う断面(上段位置側)を示し、(A)はスライダが在る状態の第2のスライド機構の横断面図、(B)はスライダが無い状態の第2のスライド機構の横断面図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿う断面を示し、(A)はスライダが在る状態の第2のスライド機構の縦断面図、(B)はスライダが無い状態の第2のスライド機構の縦断面図である。
【図13】第2のスライド機構の下段位置側の凹側部材を示す縦断面図である。
【図14】第2のスライド機構の凸側部材が凹側部材の傾斜部を移動する様子を示す縦断面図である。
【図15】本発明の自立型オーニングの第2の実施形態を示し、使用状態における側面図である。
【図16】本発明の自立型オーニングの第3の実施形態を示し、使用状態における側面図である。
【図17】本発明の自立型オーニングの第4の実施形態を示し、(A)は使用状態の側面図、(B)は日よけ部を支えるアームを畳んだ状態の側面図である。
【図18】従来の自立型オーニングを示す斜視図である。
【図19】従来の自立型オーニングのメインポールの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の構成を図面に示す形態に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1〜図4に本発明の自立型オーニングの実施形態の一例を示す。自立型オーニングは、ベース1と、ベース1に立てられた固定柱2と、固定柱2に沿って昇降可能な昇降柱3と、昇降柱3に取り付けられた日よけ部4と、ベース1又は固定柱2に設けた回転軸43を中心に、固定柱2と略平行な収納位置(図3,図4の位置)と固定柱2と略直交する使用位置(図1,図2の位置)との間で回動する補助脚5と、補助脚5を使用位置にてロックするロック機構6と、昇降柱3と補助脚5を連結し、補助脚5の収納位置への回動に連動して昇降柱3を下降させ、補助脚5の使用位置への回動に連動して昇降柱3を上昇させるリンク機構7を備えている。本実施形態では、ベース1と固定柱2と昇降柱3と補助脚5とロック機構6とリンク機構7とを組み付けてユニット化し、このオーニングユニット8を2つ組み合わせて設けると共に、各オーニングユニット8の昇降柱3の間に日よけ部4を設けている。
【0022】
ベース1は例えば横断面形状が長方形の角パイプより構成され、剛性の確保と軽量化が図られている。ただし、ベース1を構成する材料は角パイプに限るものではない。ベース1には車輪9が設けられている。本実施形態では、車輪9として向きを変えることができるキャスターを2つ設けている。ただし、車輪9の数は2つに限るものではない。また、キャスター以外の車輪9を設けても良い。さらに、ブレーキ付きの車輪9を使用しても良い。
【0023】
ベース1の上面には固定柱2が立てられている。固定柱2は例えば横断面形状が正方形の角パイプより構成され、剛性の確保と軽量化が図られている。ただし、固定柱2を構成する材料は角パイプに限るものではない。
【0024】
昇降柱3は例えば横断面形状が正方形の角パイプより構成され、剛性の確保と軽量化が図られている。ただし、昇降柱3を構成する材料は角パイプに限るものではない。本実施形態では、昇降柱3を固定柱2よりも太くし、昇降柱3内に固定柱2を挿入することで固定柱2に対して昇降柱3を昇降可能にしている。昇降柱3の内周面の下端部分と昇降柱3を上昇させた場合に固定柱2の上端部分に対向する部分にはスリーブ状のスライダ10が設けられており、各スライダ10を固定柱2の外周面に摺動させることで昇降柱3を固定柱2に対して真っ直ぐに昇降させると共に、昇降柱3の固定柱2に対するがたつきが防止される。
【0025】
本実施形態では、昇降柱3を下降させた位置(保管状態での位置)と上昇させた位置(使用状態での位置)で固定柱2に係止する第1の係止手段11が設けられている。第1の係止手段11は、例えば昇降柱3と固定柱2の重なっている部分を水平に貫通する係止棒(以下、係止棒11という)であり、固定柱2と昇降柱3に孔を設け、これらの孔に係止棒11を挿入することで係止棒11を固定柱2と昇降柱3とに貫通させている(図5)。例えば、固定柱2の所定の高さの位置に孔を設け、この固定柱2側の孔に対応する昇降柱3の2つの高さ位置(下降させた場合の位置と上昇させた場合の対応位置)に昇降柱3側の孔を設けている。係止棒11を固定柱2と昇降柱3の孔から引き抜くことで、係止を解くことができる。
【0026】
補助脚5は例えば横断面形状が正方形の角パイプより構成され、剛性の確保と軽量化が図られている。ただし、補助脚5を構成する材料は角パイプに限るものではない。補助脚5の基端はベース1の上面に固定されたブラケット12に水平な回転軸43を使用して回動自在に連結されている。また、補助脚5の先端には使用状態で地面を支える支持部13が設けられている。本実施形態では、補助脚5を2本設けている。2本の補助脚5はベース1の両端に設けられており、使用状態ではベース1の前後に一直線状に張り出す構成となっている。
【0027】
本実施形態のリンク機構7は、昇降柱3と補助脚5を連結する第1のリンクロッド14と、第1のリンクロッド14の昇降柱3への連結位置と補助脚5への連結位置との間の位置をベース1に連結する第2のリンクロッド15と、第1のリンクロッド14の補助脚5への連結位置を補助脚5に対してスライドさせる第1のスライド機構42を備えている。リンク機構7は各補助脚5毎にそれそれ設けられている。
【0028】
本実施形態では、第1のリンクロッド14の両端を昇降柱3又は補助脚5に連結しており、昇降柱3側端が昇降柱3への連結位置、補助脚5側端が補助脚5への連結位置となっている。
【0029】
第1のリンクロッド14は例えば横断面形状が正方形の角パイプより構成され、剛性の確保と軽量化が図られている。ただし、第1のリンクロッド14を構成する材料は角パイプに限るものではない。第1のリンクロッド14の昇降柱3側端は、昇降柱3の下端に固定されたブラケット17に上下方向に揺動自在に連結されている。第1のリンクロッド14の補助脚5側端には第1のスライド機構42のスライダ18が取り付けられている。本実施形態では、スライダ18としてローラ(以下、ローラ18という)を使用している。ただし、必ずしもローラ18に限るものではなく、小さな抵抗で摺動可能であれは他のスライダも使用可能である。本実施形態では、第1のリンクロッド14の補助脚5側端に取付板19を接続し、取付板19を挟むようにして2つのローラ18を配置している。
【0030】
第2のリンクロッド15は例えば長尺の板材によって構成されている。ただし、第2のリンクロッド15を構成する材料は板材に限るものではない。本実施形態では2枚の同形状の板材によって第2のリンクロッド15を構成している。ただし、必ずしも2枚の板材によって第2のリンクロッド15を構成に限るものではない。第2のリンクロッド15の上端は、第1のリンクロッド14の途中の位置に上下方向に揺動自在に連結されている。本実施形態では、第1のリンクロッド14を2枚の板材で挟むようにして連結されている。また、第2のリンクロッド15の下端はベース1の上面に上下方向に揺動自在に連結されている。本実施形態では補助脚5とベース1との連結部分に第2のリンクロッド15の下端も一緒に連結されており、補助脚5を2枚の板材(第2のリンクロッド15)で挟み、その両側をブラケット12で挟むようにして連結されている。
【0031】
第1のスライド機構42は、上述のスライダ18と、スライダ18を案内するガイドレール16を備えている。ガイドレール16は、例えば角パイプの上面に長さ方向のスリット16aを設けた形状を成している(図6,図7)。ただし、必ずしもこの構成に限るものではない。ガイドレール16は補助脚5の上面に取り付けられており、スリット16aには取付板19が挿入され、ガイドレール16の内側面をローラ18が転動可能となっている。ガイドレール16の長さは、補助脚5の回動によって第1のリンクロッド14が移動する範囲をカバーする長さとなっており、両端にはストッパ20,20が設けられている。
【0032】
このリンク機構7は、第2のリンクロッド15の上端を中心に第1のリンクロッド14が揺動することで、補助脚5の収納位置への回動に連動して昇降柱3を下降させ、補助脚5の使用位置への回動に連動して昇降柱3を上昇させる。即ち、第1のリンクロッド14がてこ(力点:補助脚5への連結位置、支点:第2のリンクロッド15への連結位置、作用点:昇降柱3への連結位置)となり、補助脚5の回動に連動して昇降柱3を昇降させる。このとき、第1のリンクロッド14の補助脚5への連結位置を第1のスライド機構42が補助脚5に対してスライドさせるので、上述のてこの動作が可能になる。補助脚5と昇降柱3との連動にてこの原理を利用するので、軽い操作力で昇降柱3を昇降させることができる。
【0033】
補助脚5を持ち上げて固定柱2と略平行な収納位置へと回動させた状態(保管状態)では、ローラ18はガイドレール16の外側端に移動しており、第1のリンクロッド14及び第2のリンクロッド15は立った状態で折り畳まれている(図8(A))。この状態では、第1のリンクロッド14の補助脚5側端が高く、昇降柱3側端が低くなっている。
【0034】
この状態から補助脚5を倒すと、ローラ18がガイドレール16の内側端に向けて移動する。即ち、第1のリンクロッド14の補助脚5側端が下降するので、第1のリンクロッド14が第2のリンクロッド15の上端を中心に揺動し、昇降柱3側端を上昇させる。これにより、昇降柱3が持ち上げられる(図8(B)→(C))。そして、補助脚5が使用位置まで倒される(回動させる)と、第1のリンクロッド14の昇降柱3側端が最も高い位置まで上昇し、昇降柱3を使用時の高さまで上昇させる(図8(D))。
【0035】
逆に、使用状態の補助脚5を収納位置へ回動させると、上述の動きとは逆の動きによって昇降柱3が降ろされる(図8(D)→(C)→(B)→(A))。
【0036】
本実施形態ではリンク機構7を2つ設けているが、2つのリンク機構7の第1のリンクロッド14は昇降柱3に連結されているので、2つのリンク機構7は連動する。したがって、2本の補助脚5も連動することになり、片方の補助脚5を回動させることで2本の補助脚5を同時に同量だけ回動させることができる。
【0037】
ロック機構6は、ローラ18をガイドレール16の内側端に位置固定するラッチ21と、ラッチ21を操作する操作レバー22を備えている。ラッチ21は、補助脚5内のガイドレール16内側端近傍位置に設けられ、先端21aをガイドレール16内に突出させることができるように軸によって回転可能に支持されている。ラッチ21は、リターンスプリング23によって先端21aをガイドレール16内に突出させる方向に付勢されている。ラッチ21の先端21aは、ガイドレール16内側端に対してはほぼ垂直な形状となっており、ガイドレール16外側端に対しては傾斜面となっている。したがって、ローラ18が内側端から外側端に向けて移動しようとしてもラッチ21を押し退けることはできないが(図6)、外側端から内側端に向けて移動する場合にはラッチ21を押し退けることができる(図9)。
【0038】
操作レバー22は、作業者が操作しやすい場所、例えば補助脚5の底面の外側端近傍位置に揺動自在に取り付けられている。操作レバー22の操作端22aは補助脚5内に突出しており、補助脚5内に収容されたワイヤ24によってラッチ21に連結されている。したがって、操作レバー22を操作してワイヤ24を引っ張ることで、ラッチ21の先端を補助脚5内に引き戻すことができる(図10)。一方、操作レバー22を操作していな状態では、リターンスプリング23の付勢力によってワイヤ24が引っ張られ、操作レバー22は図6の状態となっている。操作レバー22を操作してラッチ21の先端21aを補助脚5内に引っ込めることでローラ18を内側端から外側端に向けて移動させることが可能になる(図10)。
【0039】
本実施形態では、2本の補助脚5のうち片方にのみロック機構6を設けているが、両方の補助脚5にロック機構6を設けても良い。
【0040】
本実施形態では、ベース1、固定柱2、昇降柱3、2本の補助脚5、ロック機構6、2つのリンク機構7、後述する支持アーム29を組み付けたオーニングユニット8は2つ組み合わせて使用される(図2,図4)。2つのオーニングユニット8は所定の間隔をあけて配置され、昇降柱3の上端を梁状部材25によって連結されている。このとき、上から見て、梁状部材25に対して2本の補助脚5が直交するようにオーニングユニット8が配置される。即ち、2つのオーニングユニット8を並べた方向を左右方向(図2,図4の左右方向)とすると、ベース1に対して補助脚5が前後に倒れるように配置される。以下、適宜左右のオーニングユニット8,前後の補助脚5という。
【0041】
日よけ部4は、日よけとなるシート26と、シート26を巻き取るロール装置27と、シート26の外側端(縁)に取り付けられた支持レール28と、昇降柱3に揺動自在に取り付けられて支持レール28を支持する支持アーム29を備えている。なお、図2では支持アーム29の記載を省略している。
【0042】
本実施形態では、前後2枚のシート26を設けている。2枚のシート26は1本のロール装置27によって巻き取られる。即ち、前後2枚のシート26の内側端はロール装置27の芯部材(図示省略)に連結されており、回転手段30によって芯部材を回転させることで前後2枚のシート26を同時に巻き取り、ケーシング27a内に収容することができる。回転手段30としては、図示しない操作ロッドを使用して手動でギヤを回転させることで芯部材を回転させるものでも良いし、電動モータによって芯部材を回転させるものでも良い。回転手段30は芯部材の一端に連結されている。
【0043】
ロール装置27は梁状部材25の上方に配置され、左右の昇降柱3の上端に取り付けられた支持プレート31によって両端を支持されている。
【0044】
シート26の外側端に取り付けられてこれを支持する支持レール28は、左右2本の支持アーム29によってその両端が支持されている。本実施形態では前後2枚のシート26を設けているので、各シート26毎に支持アーム29を2本ずつ設けている。支持アーム29の先端には支持レール28が取り付けられている。また、支持アーム29の基端は第2のスライド機構32を介して昇降柱3に上下方向に揺動自在に取り付けられている。
【0045】
第2のスライド機構32は、昇降柱3に取り付けられたガイドレール33と、ガイドレール33に案内されて昇降するスライダ34と、スライダ34をガイドレール33に位置決めして係止する第2の係止手段35を備えている(図11,図12)。第2のスライド機構32は各昇降柱3毎にそれぞれ設けられており、支持アーム29を前後方向に延出させるために昇降柱3の右側面又は左側面に取り付けられている。本実施形態では、左右の昇降柱3の互いに対向する面(内側の面)、即ち、右側昇降柱3の左側面と左側昇降柱3の右側面に取り付けられている。左右の第2のスライド機構32を左右の昇降柱3の内側の面に取り付けることで、自立型オーニングを前後方向から見て、支持アーム29を左右の昇降柱3の内側に配置することができ、支持レール28の両端が左右の昇降柱3よりも突出するのを防止できる。
【0046】
ガイドレール33は、昇降柱3の側面にその長さ方向即ち上下方向に沿って取り付けられている。ガイドレール33内にはスライダ34のローラ36が転動する溝33aが2本設けられている。ガイドレール33は支持アーム29の基端を移動させる範囲に亘って設けられており、上下両端にはスライダ34の過移動を禁止してガイドレール33からの外れを防止するストッパ37が設けられている。
【0047】
スライダ34は例えば断面コ字形状を成す板状部材であり、内側の上端近傍位置と下端近傍位置には左右一対のローラ36が転動自在に設けられている。ローラ36はガイドレール33の溝33a内を転動する。溝33aの開口はローラ36の直径よりも狭くなっており、ローラ36の脱落が防止される。スライダ34の両側面には支持アーム29の基端が上下方向に揺動自在に連結されている。
【0048】
第2の係止手段35は、スライダ34に設けられた凸側部材38とガイドレール33に設けられた凹側部材39とを備えている。凸側部材38はスライダ34の内側に設けられ、ガイドレール33の底板33bに向けて垂直に突出可能になっている。凸側部材38はリターンスプリング40によって常に突出する方向に付勢されている。凸側部材38の後端には操作摘み38aが設けられており、リターンスプリング40のばね力に抗して操作摘み38aを引っ張ることで凸側部材38を凹側部材39から引き抜くことができる。凸側部材38の先端は球面形状を成しており、ガイドレール33の底板33b及び凹側部材39の傾斜部39aに対する摺動抵抗を小さくすると共に、凹側部材39の孔39bに挿入しやすくなっている。
【0049】
凹側部材39は、スライダ34を係止する高さ位置に設けられている。具体的には、スライダ34を係止する高さは保管時の高さ位置と使用時の高さ位置との2段であるので、これらの高さ位置に対応する2箇所に凹側部材39が設けられている。凹側部材39は、ある程度の高さ(ガイドレール33の底板33bからの突出量)を有し、凸側部材38が挿入される孔39bが形成されている本体部39cと、凸側部材38を本体部39cへと持ち上げる傾斜部39aを有している。本体部39cはガイドレール33の底板33bと昇降柱3に設けられた孔に嵌め込まれている。傾斜部39aは本体部39cの凸側部材38移動方向、即ち、上段側の凹側部材39(図11,図12)については本体部39cの下側、下段側の凹側部材39(図13)については本体部39cの上側に設けられている。
【0050】
図11(A),図12(A)に示すように、凸側部材38が凹側部材39の孔39bに挿入されている状態では、スライダ34はガイドレール33に係止されており、移動することができない。この状態から操作摘み38aを引っ張って凸側部材38を凹側部材39の孔39bから引き抜くと、スライダ34の係止が解除されて移動可能になる。スライダ34を移動させて凸側部材38を凹側部材39の孔39bに対向する位置からずらした後は、操作摘み38aから手を離してもスライダ34を移動させることができる。凸側部材38はリターンスプリング40のばね力によって突出し、その先端を凹側部材39の傾斜部39a又はガイドレール33の底板33bに当てるが、スライダ34は凸側部材38の先端を凹側部材39の傾斜部39aやガイドレール33の底板33bに摺動させながら移動する。なお、操作摘み38aを引っ張って凸側部材38をスライダ34内に引っ込めながら移動させても良いことは勿論である。
【0051】
そして、スライダ34が反対側の凹側部材39が設けられている位置まで移動すると、凸側部材38がガイドレール33の底板33bから凹側部材39の傾斜部39aに乗り上げ、凸側部材38をリターンスプリング40のばね力に抗してスライダ34内に向けて押し戻す(図14)。そして、凸側部材38が凹側部材39の孔39bに到達すると、リターンスプリング40のばね力によって凸側部材38が孔39b内に挿入され、スライダ34がガイドレール33に対して正確な位置に位置決めされて係止される(図11(A),図12(A))。
【0052】
このように、スライダ34の移動を開始する時にだけ操作摘み38aを操作すれば、その後は操作摘み38aを操作しなくてもスライダ34を移動させて正確な位置に位置決めして係止することができる。
【0053】
次に、自立型オーニングの使用について説明する。図3,図4に保管状態の自立型オーニングを示す。保管状態では、補助脚5は収納位置に持ち上げられて立てた状態になっており、昇降柱3は降りている。この状態では、昇降柱3は第1の係止手段11によって固定柱2に係止されている。また、昇降柱3の係止によってリンク機構7が固定され、補助脚5も立てた状態で固定されている。さらに、日よけ部4は閉じられている。即ち、支持アーム29は持ち上げられて起立状態となり、スライダ34は下段位置まで降ろされて第2の係止手段35によって係止されており、各シート26はロール装置27に巻き取られている。保管状態では、自立型オーニングが最もコンパクトになっており、保管に必要なスペースを最小限に抑えることができる。
【0054】
次に、作業者が自立型オーニングを設置場所まで移動させる。左右のオーニングユニット8のベース1には車輪9が設けられているので、自立型オーニングを持ち上げなくても移動させることができ、その移動は容易である。自立型オーニングを設置場所まで移動させた後、作業者が第1の係止手段11の係止を解除して昇降柱3とリンク機構7と補助脚5の動きを可能にする。
【0055】
次に、作業者が補助脚5を使用位置へと回動させる。これにより、リンク機構7が昇降柱3を使用時の高さまで上昇させ、ロール装置27を持ち上げる。補助脚5の先端に設けられた支持部13が地面に当たる位置(使用位置)まで補助脚5が倒されると、リンク機構7のローラ18がロック機構6のラッチ21を押し退けて内側端側に移動し(図9)、これによってラッチ21がリターンスプリング23のばね力によって突出しローラ18の戻りを禁止するので、補助脚5は使用位置でロックされる。一方、作業者は第1の係止手段11を使用して昇降柱3を固定柱2に係止する。
【0056】
設置作業を1人で行う場合には、上述の作業を左右のオーニングユニット8に対して順番に行う。一方、設置作業を複数人で行う場合には、左右のオーニングユニット8に対して上述の作業を同時に行うことが好ましい。左右のオーニングユニット8に対して上述の作業を同時に行うことで、ロール装置27の両端を同時に持ち上げることができ、左右のオーニングユニット8の傾きやロール装置27及び支持プレート31の湾曲を防止することができる。
【0057】
昇降柱3を固定柱2に係止した後、作業者はロール装置27の芯部材をシート引出方向に回転させて前後のシート26をケーシング27aから引き出す。芯部材の回転に伴い、前後のシート26は支持レール28と支持アーム29の重みによって引き出される。前後のシート26は1本の芯部材に一緒に巻き取られているので、同時に同量だけ引き出される。シート26の外側端を支持する支持レール28は、昇降柱3に対して揺動自在に連結されている支持アーム29によって支持されているので、シート26の引き出しに伴って支持アーム29が下方向に揺動し、シート26を張り広げる。
【0058】
そして、作業者が第2の係止手段35の係止を解除してスライダ34を下段位置から上段位置まで持ち上げると、支持アーム29の下端が上昇して邪魔になり難くなると共に、前後のシート26が使用時の高さに張り広げられる。作業者は第2の係止手段35を使用してスライダ34を上段位置に係止する。これにより、自立型オーニングが使用状態となり設置される。
【0059】
設置作業を1人で行う場合には、上述のシート26を張り広げる作業を左右のオーニングユニット8に対して1つずつ順番に行う。一方、設置作業を複数人で行う場合には、左右のオーニングユニット8に対して上述のシート26を張り広げる作業を左右同時に行うことが好ましい。左右のオーニングユニット8に対して上述のシート26を張り広げる作業を同時に行うことで、支持レール28の両端を同時に持ち上げることができ、支持レール28の湾曲を防止することができる。
【0060】
この自立型オーニングは、左右一対のオーニングユニット8を備えており、各オーニングユニット8には前後に張り出す2本の補助脚5が設けられているので、安定的な自立状態をとることができる。
【0061】
自立型オーニングを保管する場合には、上述の手順を逆に行って自立型オーニングを保管状態に変形させて保管場所に移動させる。
【0062】
自立型オーニングは、補助脚5の開閉動作と昇降柱3の昇降動作がリンク機構7によって連動されるので、設置作業及び保管作業が容易である。また、保管状態ではコンパクトになるので、保管に便利である。さらに、ベース1には車輪9が取り付けられているので、自立型オーニングを容易に移動させることができ、この点からも設置作業及び保管作業が容易である。また、左右のオーニングユニット8の間に日よけとなるシート26を張ることができるので、大型化が容易である。
【0063】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の説明では、補助脚5の基端をベース1に取り付けていたが、固定柱2に取り付けても良い。この場合にも、補助脚5を広げて安定的な自立状態をとることができる。
【0064】
また、上述の説明では、ベース1に車輪9を取り付けていたが、車輪9を省略しても良い。この場合には、自立型オーニングを持ち上げることで移動させることができる。
【0065】
また、上述の説明では、使用時に補助脚5とベース1の車輪9を地面に付けていたが、ベース1を地面から浮かせて補助脚5のみを地面に付けるようにしても良い。この場合にも、補助脚5を広げて安定的な自立状態をとることができる。
【0066】
また、上述の説明では、オーニングユニット8を2つ組み合わせて使用していたが、3つ以上を組み合わせて使用しても良い。
【0067】
また、上述の説明では、各オーニングユニット8毎に補助脚5を2本ずつ設けていたが、補助脚5の本数は2本に限るものではなく、3本又は4本以上設けても良い。また、複数のオーニングユニット8を組み合わせて使用する場合であって安定的な自立が可能なときには1本でも良い。
【0068】
また、上述の説明では、オーニングユニット8を2つ組み合わせて使用していたが、1つのオーニングユニット8で構成しても良い。この場合の例を図15〜図17に示す。ベース1には4本の補助脚5が四方に広がるように設けられており、安定的な自立状態を確保されている。図15では、パラソル型の日よけ部4の中心軸からオフセットさせた位置にオーニングユニット8を設け、日よけ部4を上から吊すようにしている。図16では、パラソル型の日よけ部4の中心位置にオーニングユニット8を設け、日よけ部4を下から支えている。図17では、パラソル型の日よけ部4の中心軸からオフセットさせた位置にオーニングユニット8を設け、日よけ部4を上から吊すようにしていると共に、日よけ部4を支えるアーム41を折り畳むことが可能になっている(図17(B))。これらのように、1つのオーニングユニット8から成る構成にすることもできる。これらの場合、自立型オーニングを小型にできるので、例えば個人宅の庭への設置等に便利である。
【符号の説明】
【0069】
1 ベース
2 固定柱
3 昇降柱
4 日よけ部
5 補助脚
6 ロック機構
7 リンク機構
8 オーニングユニット
9 車輪
14 第1のリンクロッド
15 第2のリンクロッド
42 第1のスライド機構
43 回転軸
【技術分野】
【0001】
本発明は自立型オーニングに関する。さらに詳述すると、本発明は支柱を有し任意の場所に設置可能な自立型オーニングの構造の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自立型オーニングとして、例えば特許文献1(特開2000−303642号)に開示された木製オーニングがある。このオーニングは、図18に示すように、左右一対のメインポール101の間にテーブル102を設けると共に、各メインポール101の上端を横架設部材103で連結し、横架設部材103に取り付けた巻き込み具104から日よけとなるシート105を引き出してシート張出ポール106との間に張っている。
【0003】
図19にメインポール101の横断面を示す。メインポール101は2枚の平板107の間に調整板材108を摺動可能に挟み込んだ構成であり、調整板材108を摺動させて昇降させることでシート105の高さ調整が可能になっている。このオーニングは組み立て式のものであり、組み立て時にメインポール101の長さを調整しておくことで、シート105の高さを所望の高さにして使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−303642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の自立型オーニングでは、一度組み立ててしまうと、日よけとなる部分(シート105とシート張出ポール106)を折り畳むことは可能であるが、その他の部分を折り畳むことができない。コンパクトな状態にするためには、分解する必要がある。そのため、夜間だけ別の場所に保管しておくような使い方や、頻繁に設置場所を変更するような使い方に向いておらず、使い勝手に劣る。
【0006】
本発明は、別の場所への保管や設置場所の変更に適した自立型オーニングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ベースと、ベースに立てられた固定柱と、固定柱に沿って昇降可能な昇降柱と、昇降柱に取り付けられた日よけ部と、ベース又は固定柱に設けた回転軸を中心に、固定柱と略平行な収納位置と固定柱と略直交する使用位置との間で回動する補助脚と、補助脚を使用位置にてロックするロック機構と、昇降柱と補助脚を連結し、補助脚の収納位置への回動に連動して昇降柱を下降させ、補助脚の使用位置への回動に連動して昇降柱を上昇させるリンク機構を備えるものである。
【0008】
したがって、補助脚を持ち上げて収納位置へと回動させると、保管に必要なスペースを最小限に抑えた保管状態となる。この保管状態ではリンク機構が昇降柱を降ろしており、高さも最小限に抑えられている。この状態から補助脚を倒して使用位置へと回動させると、補助脚が地面を突っ張って支柱ユニット(ベースと固定柱と昇降柱)を自立させる使用状態となる。このとき、補助脚の動きに連動してリンク機構が昇降柱を上昇させるので、補助脚を使用位置へと回動させるだけで昇降柱を所定の高さまで上昇させる、換言すると支柱ユニットを使用時の長さに伸ばすことができる。使用状態では補助脚はロック機構によってロックされ、支柱ユニットの転倒が防止される。そして、補助脚を持ち上げて立たせると、リンク機構が昇降柱を降ろして上述の保管状態となる。
【0009】
また、請求項2記載の自立型オーニングは、補助脚が複数設けられている。したがって、支柱ユニットの自立がより容易になる。例えば支柱ユニットの本数が少ない場合にも支柱ユニットを自立させることができる。
【0010】
また、請求項3記載の自立型オーニングは、ベースに車輪を設けている。したがって、自立型オーニングの移動が容易になる。
【0011】
また、請求項4記載の自立型オーニングは、リンク機構が、昇降柱と補助脚を連結する第1のリンクロッドと、第1のリンクロッドの昇降柱への連結位置と補助脚への連結位置との間の位置をベースに連結する第2のリンクロッドと、第1のリンクロッドの補助脚への連結位置を補助脚に対してスライドさせるスライド機構を備え、第1のリンクロッドは補助脚の回動に連動して第2のリンクロッドへの連結位置を中心に揺動し、補助脚の収納位置への回動に連動して昇降柱を下降させ、補助脚の使用位置への回動に連動して昇降柱を上昇させるものである。
【0012】
したがって、補助脚を収納位置へと回動させると、第1のリンクロッドの補助脚への連結位置が上昇し、昇降柱への連結位置が下降するので、昇降柱が下降する。一方、補助脚を使用位置へと回動させると、第1のリンクロッドの補助脚への連結位置が下降し、昇降柱への連結位置が上昇するので、昇降柱が上昇する。即ち、第1のリンクロッドがてこ(力点:補助脚への連結位置、支点:第2のリンクロッドへの連結位置、作用点:昇降柱への連結位置)となり、補助脚の回動に連動して昇降柱を昇降させる。このとき、第1のリンクロッドの補助脚への連結位置をスライド機構が補助脚に対してスライドさせるので、上述のてこの動作が可能になる。
【0013】
さらに、請求項5記載の自立型オーニングは、ベースと固定柱と昇降柱と補助脚とロック機構とリンク機構とを組み付けたオーニングユニットを複数設けると共に、オーニングユニットの昇降柱の間に日よけ部を設けたものである。したがって、複数のオーニングユニットを組み合わせた大型の自立型オーニングが構成される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の自立型オーニングでは、補助脚の回動と支柱ユニットの伸縮が可能であり、これらが連動するので、保管時に小型化できて保管し易いにもかかわらず、使用時の設置が容易である。
【0015】
また、請求項2記載の自立型オーニングでは、支柱ユニットの本数が少ない場合にも支柱ユニットを自立させることができる。
【0016】
また、請求項3記載の自立型オーニングでは、移動を容易にすることができる。
【0017】
また、請求項4記載の自立型オーニングでは、補助脚と昇降柱との連動にてこの原理を利用するので、軽い操作力で支柱ユニットを伸縮させることができる。
【0018】
さらに、請求項5記載の自立型オーニングでは、大型化が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の自立型オーニングの第1の実施形態を示し、使用状態における側面図である。
【図2】同自立型オーニングの使用状態における正面図である。
【図3】同自立型オーニングの保管状態における側面図である。
【図4】同自立型オーニングの保管状態における正面図である。
【図5】固定柱と昇降柱を第1の係止手段が係止する様子を示す断面図である。
【図6】補助脚5の縦断面図である。
【図7】図1のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】補助脚の揺動に伴いリンク機構が昇降柱を移動させる様子を説明するための図であり、(A)は保管状態を示す側面図、(B)は補助脚を若干倒した状態を示す側面図、(C)は補助脚を更に倒した状態を示す側面図、(D)は使用状態を示す側面図である。
【図9】第1のリンクロッドの下端のローラがロック機構のラッチを倒しながら移動する様子を示す断面図である。
【図10】ロック機構のロックを解除する様子を示す断面図である。
【図11】図2のXI−XI線に沿う断面(上段位置側)を示し、(A)はスライダが在る状態の第2のスライド機構の横断面図、(B)はスライダが無い状態の第2のスライド機構の横断面図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿う断面を示し、(A)はスライダが在る状態の第2のスライド機構の縦断面図、(B)はスライダが無い状態の第2のスライド機構の縦断面図である。
【図13】第2のスライド機構の下段位置側の凹側部材を示す縦断面図である。
【図14】第2のスライド機構の凸側部材が凹側部材の傾斜部を移動する様子を示す縦断面図である。
【図15】本発明の自立型オーニングの第2の実施形態を示し、使用状態における側面図である。
【図16】本発明の自立型オーニングの第3の実施形態を示し、使用状態における側面図である。
【図17】本発明の自立型オーニングの第4の実施形態を示し、(A)は使用状態の側面図、(B)は日よけ部を支えるアームを畳んだ状態の側面図である。
【図18】従来の自立型オーニングを示す斜視図である。
【図19】従来の自立型オーニングのメインポールの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の構成を図面に示す形態に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1〜図4に本発明の自立型オーニングの実施形態の一例を示す。自立型オーニングは、ベース1と、ベース1に立てられた固定柱2と、固定柱2に沿って昇降可能な昇降柱3と、昇降柱3に取り付けられた日よけ部4と、ベース1又は固定柱2に設けた回転軸43を中心に、固定柱2と略平行な収納位置(図3,図4の位置)と固定柱2と略直交する使用位置(図1,図2の位置)との間で回動する補助脚5と、補助脚5を使用位置にてロックするロック機構6と、昇降柱3と補助脚5を連結し、補助脚5の収納位置への回動に連動して昇降柱3を下降させ、補助脚5の使用位置への回動に連動して昇降柱3を上昇させるリンク機構7を備えている。本実施形態では、ベース1と固定柱2と昇降柱3と補助脚5とロック機構6とリンク機構7とを組み付けてユニット化し、このオーニングユニット8を2つ組み合わせて設けると共に、各オーニングユニット8の昇降柱3の間に日よけ部4を設けている。
【0022】
ベース1は例えば横断面形状が長方形の角パイプより構成され、剛性の確保と軽量化が図られている。ただし、ベース1を構成する材料は角パイプに限るものではない。ベース1には車輪9が設けられている。本実施形態では、車輪9として向きを変えることができるキャスターを2つ設けている。ただし、車輪9の数は2つに限るものではない。また、キャスター以外の車輪9を設けても良い。さらに、ブレーキ付きの車輪9を使用しても良い。
【0023】
ベース1の上面には固定柱2が立てられている。固定柱2は例えば横断面形状が正方形の角パイプより構成され、剛性の確保と軽量化が図られている。ただし、固定柱2を構成する材料は角パイプに限るものではない。
【0024】
昇降柱3は例えば横断面形状が正方形の角パイプより構成され、剛性の確保と軽量化が図られている。ただし、昇降柱3を構成する材料は角パイプに限るものではない。本実施形態では、昇降柱3を固定柱2よりも太くし、昇降柱3内に固定柱2を挿入することで固定柱2に対して昇降柱3を昇降可能にしている。昇降柱3の内周面の下端部分と昇降柱3を上昇させた場合に固定柱2の上端部分に対向する部分にはスリーブ状のスライダ10が設けられており、各スライダ10を固定柱2の外周面に摺動させることで昇降柱3を固定柱2に対して真っ直ぐに昇降させると共に、昇降柱3の固定柱2に対するがたつきが防止される。
【0025】
本実施形態では、昇降柱3を下降させた位置(保管状態での位置)と上昇させた位置(使用状態での位置)で固定柱2に係止する第1の係止手段11が設けられている。第1の係止手段11は、例えば昇降柱3と固定柱2の重なっている部分を水平に貫通する係止棒(以下、係止棒11という)であり、固定柱2と昇降柱3に孔を設け、これらの孔に係止棒11を挿入することで係止棒11を固定柱2と昇降柱3とに貫通させている(図5)。例えば、固定柱2の所定の高さの位置に孔を設け、この固定柱2側の孔に対応する昇降柱3の2つの高さ位置(下降させた場合の位置と上昇させた場合の対応位置)に昇降柱3側の孔を設けている。係止棒11を固定柱2と昇降柱3の孔から引き抜くことで、係止を解くことができる。
【0026】
補助脚5は例えば横断面形状が正方形の角パイプより構成され、剛性の確保と軽量化が図られている。ただし、補助脚5を構成する材料は角パイプに限るものではない。補助脚5の基端はベース1の上面に固定されたブラケット12に水平な回転軸43を使用して回動自在に連結されている。また、補助脚5の先端には使用状態で地面を支える支持部13が設けられている。本実施形態では、補助脚5を2本設けている。2本の補助脚5はベース1の両端に設けられており、使用状態ではベース1の前後に一直線状に張り出す構成となっている。
【0027】
本実施形態のリンク機構7は、昇降柱3と補助脚5を連結する第1のリンクロッド14と、第1のリンクロッド14の昇降柱3への連結位置と補助脚5への連結位置との間の位置をベース1に連結する第2のリンクロッド15と、第1のリンクロッド14の補助脚5への連結位置を補助脚5に対してスライドさせる第1のスライド機構42を備えている。リンク機構7は各補助脚5毎にそれそれ設けられている。
【0028】
本実施形態では、第1のリンクロッド14の両端を昇降柱3又は補助脚5に連結しており、昇降柱3側端が昇降柱3への連結位置、補助脚5側端が補助脚5への連結位置となっている。
【0029】
第1のリンクロッド14は例えば横断面形状が正方形の角パイプより構成され、剛性の確保と軽量化が図られている。ただし、第1のリンクロッド14を構成する材料は角パイプに限るものではない。第1のリンクロッド14の昇降柱3側端は、昇降柱3の下端に固定されたブラケット17に上下方向に揺動自在に連結されている。第1のリンクロッド14の補助脚5側端には第1のスライド機構42のスライダ18が取り付けられている。本実施形態では、スライダ18としてローラ(以下、ローラ18という)を使用している。ただし、必ずしもローラ18に限るものではなく、小さな抵抗で摺動可能であれは他のスライダも使用可能である。本実施形態では、第1のリンクロッド14の補助脚5側端に取付板19を接続し、取付板19を挟むようにして2つのローラ18を配置している。
【0030】
第2のリンクロッド15は例えば長尺の板材によって構成されている。ただし、第2のリンクロッド15を構成する材料は板材に限るものではない。本実施形態では2枚の同形状の板材によって第2のリンクロッド15を構成している。ただし、必ずしも2枚の板材によって第2のリンクロッド15を構成に限るものではない。第2のリンクロッド15の上端は、第1のリンクロッド14の途中の位置に上下方向に揺動自在に連結されている。本実施形態では、第1のリンクロッド14を2枚の板材で挟むようにして連結されている。また、第2のリンクロッド15の下端はベース1の上面に上下方向に揺動自在に連結されている。本実施形態では補助脚5とベース1との連結部分に第2のリンクロッド15の下端も一緒に連結されており、補助脚5を2枚の板材(第2のリンクロッド15)で挟み、その両側をブラケット12で挟むようにして連結されている。
【0031】
第1のスライド機構42は、上述のスライダ18と、スライダ18を案内するガイドレール16を備えている。ガイドレール16は、例えば角パイプの上面に長さ方向のスリット16aを設けた形状を成している(図6,図7)。ただし、必ずしもこの構成に限るものではない。ガイドレール16は補助脚5の上面に取り付けられており、スリット16aには取付板19が挿入され、ガイドレール16の内側面をローラ18が転動可能となっている。ガイドレール16の長さは、補助脚5の回動によって第1のリンクロッド14が移動する範囲をカバーする長さとなっており、両端にはストッパ20,20が設けられている。
【0032】
このリンク機構7は、第2のリンクロッド15の上端を中心に第1のリンクロッド14が揺動することで、補助脚5の収納位置への回動に連動して昇降柱3を下降させ、補助脚5の使用位置への回動に連動して昇降柱3を上昇させる。即ち、第1のリンクロッド14がてこ(力点:補助脚5への連結位置、支点:第2のリンクロッド15への連結位置、作用点:昇降柱3への連結位置)となり、補助脚5の回動に連動して昇降柱3を昇降させる。このとき、第1のリンクロッド14の補助脚5への連結位置を第1のスライド機構42が補助脚5に対してスライドさせるので、上述のてこの動作が可能になる。補助脚5と昇降柱3との連動にてこの原理を利用するので、軽い操作力で昇降柱3を昇降させることができる。
【0033】
補助脚5を持ち上げて固定柱2と略平行な収納位置へと回動させた状態(保管状態)では、ローラ18はガイドレール16の外側端に移動しており、第1のリンクロッド14及び第2のリンクロッド15は立った状態で折り畳まれている(図8(A))。この状態では、第1のリンクロッド14の補助脚5側端が高く、昇降柱3側端が低くなっている。
【0034】
この状態から補助脚5を倒すと、ローラ18がガイドレール16の内側端に向けて移動する。即ち、第1のリンクロッド14の補助脚5側端が下降するので、第1のリンクロッド14が第2のリンクロッド15の上端を中心に揺動し、昇降柱3側端を上昇させる。これにより、昇降柱3が持ち上げられる(図8(B)→(C))。そして、補助脚5が使用位置まで倒される(回動させる)と、第1のリンクロッド14の昇降柱3側端が最も高い位置まで上昇し、昇降柱3を使用時の高さまで上昇させる(図8(D))。
【0035】
逆に、使用状態の補助脚5を収納位置へ回動させると、上述の動きとは逆の動きによって昇降柱3が降ろされる(図8(D)→(C)→(B)→(A))。
【0036】
本実施形態ではリンク機構7を2つ設けているが、2つのリンク機構7の第1のリンクロッド14は昇降柱3に連結されているので、2つのリンク機構7は連動する。したがって、2本の補助脚5も連動することになり、片方の補助脚5を回動させることで2本の補助脚5を同時に同量だけ回動させることができる。
【0037】
ロック機構6は、ローラ18をガイドレール16の内側端に位置固定するラッチ21と、ラッチ21を操作する操作レバー22を備えている。ラッチ21は、補助脚5内のガイドレール16内側端近傍位置に設けられ、先端21aをガイドレール16内に突出させることができるように軸によって回転可能に支持されている。ラッチ21は、リターンスプリング23によって先端21aをガイドレール16内に突出させる方向に付勢されている。ラッチ21の先端21aは、ガイドレール16内側端に対してはほぼ垂直な形状となっており、ガイドレール16外側端に対しては傾斜面となっている。したがって、ローラ18が内側端から外側端に向けて移動しようとしてもラッチ21を押し退けることはできないが(図6)、外側端から内側端に向けて移動する場合にはラッチ21を押し退けることができる(図9)。
【0038】
操作レバー22は、作業者が操作しやすい場所、例えば補助脚5の底面の外側端近傍位置に揺動自在に取り付けられている。操作レバー22の操作端22aは補助脚5内に突出しており、補助脚5内に収容されたワイヤ24によってラッチ21に連結されている。したがって、操作レバー22を操作してワイヤ24を引っ張ることで、ラッチ21の先端を補助脚5内に引き戻すことができる(図10)。一方、操作レバー22を操作していな状態では、リターンスプリング23の付勢力によってワイヤ24が引っ張られ、操作レバー22は図6の状態となっている。操作レバー22を操作してラッチ21の先端21aを補助脚5内に引っ込めることでローラ18を内側端から外側端に向けて移動させることが可能になる(図10)。
【0039】
本実施形態では、2本の補助脚5のうち片方にのみロック機構6を設けているが、両方の補助脚5にロック機構6を設けても良い。
【0040】
本実施形態では、ベース1、固定柱2、昇降柱3、2本の補助脚5、ロック機構6、2つのリンク機構7、後述する支持アーム29を組み付けたオーニングユニット8は2つ組み合わせて使用される(図2,図4)。2つのオーニングユニット8は所定の間隔をあけて配置され、昇降柱3の上端を梁状部材25によって連結されている。このとき、上から見て、梁状部材25に対して2本の補助脚5が直交するようにオーニングユニット8が配置される。即ち、2つのオーニングユニット8を並べた方向を左右方向(図2,図4の左右方向)とすると、ベース1に対して補助脚5が前後に倒れるように配置される。以下、適宜左右のオーニングユニット8,前後の補助脚5という。
【0041】
日よけ部4は、日よけとなるシート26と、シート26を巻き取るロール装置27と、シート26の外側端(縁)に取り付けられた支持レール28と、昇降柱3に揺動自在に取り付けられて支持レール28を支持する支持アーム29を備えている。なお、図2では支持アーム29の記載を省略している。
【0042】
本実施形態では、前後2枚のシート26を設けている。2枚のシート26は1本のロール装置27によって巻き取られる。即ち、前後2枚のシート26の内側端はロール装置27の芯部材(図示省略)に連結されており、回転手段30によって芯部材を回転させることで前後2枚のシート26を同時に巻き取り、ケーシング27a内に収容することができる。回転手段30としては、図示しない操作ロッドを使用して手動でギヤを回転させることで芯部材を回転させるものでも良いし、電動モータによって芯部材を回転させるものでも良い。回転手段30は芯部材の一端に連結されている。
【0043】
ロール装置27は梁状部材25の上方に配置され、左右の昇降柱3の上端に取り付けられた支持プレート31によって両端を支持されている。
【0044】
シート26の外側端に取り付けられてこれを支持する支持レール28は、左右2本の支持アーム29によってその両端が支持されている。本実施形態では前後2枚のシート26を設けているので、各シート26毎に支持アーム29を2本ずつ設けている。支持アーム29の先端には支持レール28が取り付けられている。また、支持アーム29の基端は第2のスライド機構32を介して昇降柱3に上下方向に揺動自在に取り付けられている。
【0045】
第2のスライド機構32は、昇降柱3に取り付けられたガイドレール33と、ガイドレール33に案内されて昇降するスライダ34と、スライダ34をガイドレール33に位置決めして係止する第2の係止手段35を備えている(図11,図12)。第2のスライド機構32は各昇降柱3毎にそれぞれ設けられており、支持アーム29を前後方向に延出させるために昇降柱3の右側面又は左側面に取り付けられている。本実施形態では、左右の昇降柱3の互いに対向する面(内側の面)、即ち、右側昇降柱3の左側面と左側昇降柱3の右側面に取り付けられている。左右の第2のスライド機構32を左右の昇降柱3の内側の面に取り付けることで、自立型オーニングを前後方向から見て、支持アーム29を左右の昇降柱3の内側に配置することができ、支持レール28の両端が左右の昇降柱3よりも突出するのを防止できる。
【0046】
ガイドレール33は、昇降柱3の側面にその長さ方向即ち上下方向に沿って取り付けられている。ガイドレール33内にはスライダ34のローラ36が転動する溝33aが2本設けられている。ガイドレール33は支持アーム29の基端を移動させる範囲に亘って設けられており、上下両端にはスライダ34の過移動を禁止してガイドレール33からの外れを防止するストッパ37が設けられている。
【0047】
スライダ34は例えば断面コ字形状を成す板状部材であり、内側の上端近傍位置と下端近傍位置には左右一対のローラ36が転動自在に設けられている。ローラ36はガイドレール33の溝33a内を転動する。溝33aの開口はローラ36の直径よりも狭くなっており、ローラ36の脱落が防止される。スライダ34の両側面には支持アーム29の基端が上下方向に揺動自在に連結されている。
【0048】
第2の係止手段35は、スライダ34に設けられた凸側部材38とガイドレール33に設けられた凹側部材39とを備えている。凸側部材38はスライダ34の内側に設けられ、ガイドレール33の底板33bに向けて垂直に突出可能になっている。凸側部材38はリターンスプリング40によって常に突出する方向に付勢されている。凸側部材38の後端には操作摘み38aが設けられており、リターンスプリング40のばね力に抗して操作摘み38aを引っ張ることで凸側部材38を凹側部材39から引き抜くことができる。凸側部材38の先端は球面形状を成しており、ガイドレール33の底板33b及び凹側部材39の傾斜部39aに対する摺動抵抗を小さくすると共に、凹側部材39の孔39bに挿入しやすくなっている。
【0049】
凹側部材39は、スライダ34を係止する高さ位置に設けられている。具体的には、スライダ34を係止する高さは保管時の高さ位置と使用時の高さ位置との2段であるので、これらの高さ位置に対応する2箇所に凹側部材39が設けられている。凹側部材39は、ある程度の高さ(ガイドレール33の底板33bからの突出量)を有し、凸側部材38が挿入される孔39bが形成されている本体部39cと、凸側部材38を本体部39cへと持ち上げる傾斜部39aを有している。本体部39cはガイドレール33の底板33bと昇降柱3に設けられた孔に嵌め込まれている。傾斜部39aは本体部39cの凸側部材38移動方向、即ち、上段側の凹側部材39(図11,図12)については本体部39cの下側、下段側の凹側部材39(図13)については本体部39cの上側に設けられている。
【0050】
図11(A),図12(A)に示すように、凸側部材38が凹側部材39の孔39bに挿入されている状態では、スライダ34はガイドレール33に係止されており、移動することができない。この状態から操作摘み38aを引っ張って凸側部材38を凹側部材39の孔39bから引き抜くと、スライダ34の係止が解除されて移動可能になる。スライダ34を移動させて凸側部材38を凹側部材39の孔39bに対向する位置からずらした後は、操作摘み38aから手を離してもスライダ34を移動させることができる。凸側部材38はリターンスプリング40のばね力によって突出し、その先端を凹側部材39の傾斜部39a又はガイドレール33の底板33bに当てるが、スライダ34は凸側部材38の先端を凹側部材39の傾斜部39aやガイドレール33の底板33bに摺動させながら移動する。なお、操作摘み38aを引っ張って凸側部材38をスライダ34内に引っ込めながら移動させても良いことは勿論である。
【0051】
そして、スライダ34が反対側の凹側部材39が設けられている位置まで移動すると、凸側部材38がガイドレール33の底板33bから凹側部材39の傾斜部39aに乗り上げ、凸側部材38をリターンスプリング40のばね力に抗してスライダ34内に向けて押し戻す(図14)。そして、凸側部材38が凹側部材39の孔39bに到達すると、リターンスプリング40のばね力によって凸側部材38が孔39b内に挿入され、スライダ34がガイドレール33に対して正確な位置に位置決めされて係止される(図11(A),図12(A))。
【0052】
このように、スライダ34の移動を開始する時にだけ操作摘み38aを操作すれば、その後は操作摘み38aを操作しなくてもスライダ34を移動させて正確な位置に位置決めして係止することができる。
【0053】
次に、自立型オーニングの使用について説明する。図3,図4に保管状態の自立型オーニングを示す。保管状態では、補助脚5は収納位置に持ち上げられて立てた状態になっており、昇降柱3は降りている。この状態では、昇降柱3は第1の係止手段11によって固定柱2に係止されている。また、昇降柱3の係止によってリンク機構7が固定され、補助脚5も立てた状態で固定されている。さらに、日よけ部4は閉じられている。即ち、支持アーム29は持ち上げられて起立状態となり、スライダ34は下段位置まで降ろされて第2の係止手段35によって係止されており、各シート26はロール装置27に巻き取られている。保管状態では、自立型オーニングが最もコンパクトになっており、保管に必要なスペースを最小限に抑えることができる。
【0054】
次に、作業者が自立型オーニングを設置場所まで移動させる。左右のオーニングユニット8のベース1には車輪9が設けられているので、自立型オーニングを持ち上げなくても移動させることができ、その移動は容易である。自立型オーニングを設置場所まで移動させた後、作業者が第1の係止手段11の係止を解除して昇降柱3とリンク機構7と補助脚5の動きを可能にする。
【0055】
次に、作業者が補助脚5を使用位置へと回動させる。これにより、リンク機構7が昇降柱3を使用時の高さまで上昇させ、ロール装置27を持ち上げる。補助脚5の先端に設けられた支持部13が地面に当たる位置(使用位置)まで補助脚5が倒されると、リンク機構7のローラ18がロック機構6のラッチ21を押し退けて内側端側に移動し(図9)、これによってラッチ21がリターンスプリング23のばね力によって突出しローラ18の戻りを禁止するので、補助脚5は使用位置でロックされる。一方、作業者は第1の係止手段11を使用して昇降柱3を固定柱2に係止する。
【0056】
設置作業を1人で行う場合には、上述の作業を左右のオーニングユニット8に対して順番に行う。一方、設置作業を複数人で行う場合には、左右のオーニングユニット8に対して上述の作業を同時に行うことが好ましい。左右のオーニングユニット8に対して上述の作業を同時に行うことで、ロール装置27の両端を同時に持ち上げることができ、左右のオーニングユニット8の傾きやロール装置27及び支持プレート31の湾曲を防止することができる。
【0057】
昇降柱3を固定柱2に係止した後、作業者はロール装置27の芯部材をシート引出方向に回転させて前後のシート26をケーシング27aから引き出す。芯部材の回転に伴い、前後のシート26は支持レール28と支持アーム29の重みによって引き出される。前後のシート26は1本の芯部材に一緒に巻き取られているので、同時に同量だけ引き出される。シート26の外側端を支持する支持レール28は、昇降柱3に対して揺動自在に連結されている支持アーム29によって支持されているので、シート26の引き出しに伴って支持アーム29が下方向に揺動し、シート26を張り広げる。
【0058】
そして、作業者が第2の係止手段35の係止を解除してスライダ34を下段位置から上段位置まで持ち上げると、支持アーム29の下端が上昇して邪魔になり難くなると共に、前後のシート26が使用時の高さに張り広げられる。作業者は第2の係止手段35を使用してスライダ34を上段位置に係止する。これにより、自立型オーニングが使用状態となり設置される。
【0059】
設置作業を1人で行う場合には、上述のシート26を張り広げる作業を左右のオーニングユニット8に対して1つずつ順番に行う。一方、設置作業を複数人で行う場合には、左右のオーニングユニット8に対して上述のシート26を張り広げる作業を左右同時に行うことが好ましい。左右のオーニングユニット8に対して上述のシート26を張り広げる作業を同時に行うことで、支持レール28の両端を同時に持ち上げることができ、支持レール28の湾曲を防止することができる。
【0060】
この自立型オーニングは、左右一対のオーニングユニット8を備えており、各オーニングユニット8には前後に張り出す2本の補助脚5が設けられているので、安定的な自立状態をとることができる。
【0061】
自立型オーニングを保管する場合には、上述の手順を逆に行って自立型オーニングを保管状態に変形させて保管場所に移動させる。
【0062】
自立型オーニングは、補助脚5の開閉動作と昇降柱3の昇降動作がリンク機構7によって連動されるので、設置作業及び保管作業が容易である。また、保管状態ではコンパクトになるので、保管に便利である。さらに、ベース1には車輪9が取り付けられているので、自立型オーニングを容易に移動させることができ、この点からも設置作業及び保管作業が容易である。また、左右のオーニングユニット8の間に日よけとなるシート26を張ることができるので、大型化が容易である。
【0063】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の説明では、補助脚5の基端をベース1に取り付けていたが、固定柱2に取り付けても良い。この場合にも、補助脚5を広げて安定的な自立状態をとることができる。
【0064】
また、上述の説明では、ベース1に車輪9を取り付けていたが、車輪9を省略しても良い。この場合には、自立型オーニングを持ち上げることで移動させることができる。
【0065】
また、上述の説明では、使用時に補助脚5とベース1の車輪9を地面に付けていたが、ベース1を地面から浮かせて補助脚5のみを地面に付けるようにしても良い。この場合にも、補助脚5を広げて安定的な自立状態をとることができる。
【0066】
また、上述の説明では、オーニングユニット8を2つ組み合わせて使用していたが、3つ以上を組み合わせて使用しても良い。
【0067】
また、上述の説明では、各オーニングユニット8毎に補助脚5を2本ずつ設けていたが、補助脚5の本数は2本に限るものではなく、3本又は4本以上設けても良い。また、複数のオーニングユニット8を組み合わせて使用する場合であって安定的な自立が可能なときには1本でも良い。
【0068】
また、上述の説明では、オーニングユニット8を2つ組み合わせて使用していたが、1つのオーニングユニット8で構成しても良い。この場合の例を図15〜図17に示す。ベース1には4本の補助脚5が四方に広がるように設けられており、安定的な自立状態を確保されている。図15では、パラソル型の日よけ部4の中心軸からオフセットさせた位置にオーニングユニット8を設け、日よけ部4を上から吊すようにしている。図16では、パラソル型の日よけ部4の中心位置にオーニングユニット8を設け、日よけ部4を下から支えている。図17では、パラソル型の日よけ部4の中心軸からオフセットさせた位置にオーニングユニット8を設け、日よけ部4を上から吊すようにしていると共に、日よけ部4を支えるアーム41を折り畳むことが可能になっている(図17(B))。これらのように、1つのオーニングユニット8から成る構成にすることもできる。これらの場合、自立型オーニングを小型にできるので、例えば個人宅の庭への設置等に便利である。
【符号の説明】
【0069】
1 ベース
2 固定柱
3 昇降柱
4 日よけ部
5 補助脚
6 ロック機構
7 リンク機構
8 オーニングユニット
9 車輪
14 第1のリンクロッド
15 第2のリンクロッド
42 第1のスライド機構
43 回転軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、前記ベースに立てられた固定柱と、前記固定柱に沿って昇降可能な昇降柱と、前記昇降柱に取り付けられた日よけ部と、前記ベース又は前記固定柱に設けた回転軸を中心に、前記固定柱と略平行な収納位置と前記固定柱と略直交する使用位置との間で回動する補助脚と、前記補助脚を前記使用位置にてロックするロック機構と、前記昇降柱と前記補助脚を連結し、前記補助脚の前記収納位置への回動に連動して前記昇降柱を下降させ、前記補助脚の前記使用位置への回動に連動して前記昇降柱を上昇させるリンク機構を備えることを特徴とする自立型オーニング。
【請求項2】
前記補助脚は複数設けられていることを特徴とする請求項1記載の自立型オーニング。
【請求項3】
前記ベースには車輪が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の自立型オーニング。
【請求項4】
前記リンク機構は、前記昇降柱と前記補助脚を連結する第1のリンクロッドと、前記第1のリンクロッドの前記昇降柱への連結位置と前記補助脚への連結位置との間の位置を前記ベースに連結する第2のリンクロッドと、前記第1のリンクロッドの前記補助脚への連結位置を前記補助脚に対してスライドさせるスライド機構を備え、前記第1のリンクロッドは前記補助脚の回動に連動して前記第2のリンクロッドへの連結位置を中心に揺動し、前記補助脚の前記収納位置への回動に連動して前記昇降柱を下降させ、前記補助脚の前記使用位置への回動に連動して前記昇降柱を上昇させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の自立型オーニング。
【請求項5】
前記ベースと前記固定柱と前記昇降柱と前記補助脚と前記ロック機構と前記リンク機構とを組み付けたオーニングユニットを複数設けると共に、前記オーニングユニットの前記昇降柱の間に前記日よけ部を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに自立型オーニング。
【請求項1】
ベースと、前記ベースに立てられた固定柱と、前記固定柱に沿って昇降可能な昇降柱と、前記昇降柱に取り付けられた日よけ部と、前記ベース又は前記固定柱に設けた回転軸を中心に、前記固定柱と略平行な収納位置と前記固定柱と略直交する使用位置との間で回動する補助脚と、前記補助脚を前記使用位置にてロックするロック機構と、前記昇降柱と前記補助脚を連結し、前記補助脚の前記収納位置への回動に連動して前記昇降柱を下降させ、前記補助脚の前記使用位置への回動に連動して前記昇降柱を上昇させるリンク機構を備えることを特徴とする自立型オーニング。
【請求項2】
前記補助脚は複数設けられていることを特徴とする請求項1記載の自立型オーニング。
【請求項3】
前記ベースには車輪が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の自立型オーニング。
【請求項4】
前記リンク機構は、前記昇降柱と前記補助脚を連結する第1のリンクロッドと、前記第1のリンクロッドの前記昇降柱への連結位置と前記補助脚への連結位置との間の位置を前記ベースに連結する第2のリンクロッドと、前記第1のリンクロッドの前記補助脚への連結位置を前記補助脚に対してスライドさせるスライド機構を備え、前記第1のリンクロッドは前記補助脚の回動に連動して前記第2のリンクロッドへの連結位置を中心に揺動し、前記補助脚の前記収納位置への回動に連動して前記昇降柱を下降させ、前記補助脚の前記使用位置への回動に連動して前記昇降柱を上昇させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の自立型オーニング。
【請求項5】
前記ベースと前記固定柱と前記昇降柱と前記補助脚と前記ロック機構と前記リンク機構とを組み付けたオーニングユニットを複数設けると共に、前記オーニングユニットの前記昇降柱の間に前記日よけ部を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに自立型オーニング。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図7】
【図8】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−251328(P2012−251328A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123266(P2011−123266)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000108627)タカノ株式会社 (250)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000108627)タカノ株式会社 (250)
【Fターム(参考)】
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