説明

自立型電気機器収納用箱の輸送用荷台への固定構造

【課題】自立型電気機器収納用箱の天井の変形を防止し、高所作業の必要が無く、容易に自立型電気機器収納用箱を荷台に固定させることができる固定構造を提供する。
【解決手段】自立型電気機器収納用箱90の下部の設置部91には、水平方向に延出する張出部91aが形成され、荷台10の上面には、複数並列して嵌合溝10dが形成され、回動可能且つ固定可能に配設された腕部23を有する保持具20を、嵌合溝10dに嵌合させて、腕部23で張出部91aを押圧させた状態で、腕部23を固定させて、自立型電気機器収納用箱90を荷台10に固定させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立型電気機器収納用箱を輸送用の荷台に取り付けるための取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自立型電気機器収納用箱を工場から出荷する際には、前記箱をリフトやクレーンで吊り上げてトラック等の荷台に載せ、特許文献1に示されるようなラッシングベルトを、前記箱の天井に渡したうえで荷台の両側に取り付け、更に締め付けることにより、前記箱を荷台に固定させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−95268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の取付構造では、自立型電気機器収納用箱の天井にラッシングベルトを渡す際に、高所作業となることから、作業者の負担となるだけで無く危険であるという問題があった。また、ラッシングベルトを締め付けすぎると、前記箱の天井を変形させてしまう恐れがある。一方で、ラッシングベルトの締め付ける力が弱いと、輸送時の振動により、前記箱が荷台側面と接触し、前記箱が傷つく恐れがある。
本発明は、上記問題を解決し、自立型電気機器収納用箱の天井の変形を防止し、高所作業の必要が無く、容易に自立型電気機器収納用箱を荷台に固定させることができる固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、
自立型電気機器収納用箱を輸送用の荷台に固定する構造であって、
前記自立型電気機器収納用箱の下部には自立型電気機器収納用箱を床面に固定するための設置部が設けられ、
前記荷台には、前記設置部を固定する固定部が直線状に形成されていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記固定部に嵌合する脚部と、前記設置部を押圧する押圧部を備えた腕部を有する保持具により、前記設置部が前記荷台に固定されることを特徴とする。
これにより、保持具を固定部に嵌合させ、腕部の押圧部で載置部を押圧させるという簡単な作業で、自立型電気機器収納用箱を荷台に固定させることが可能となる。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、
前記設置部が、水平方向に延出する張出部として形成され、前記腕部は、前記押圧部で前記張出部を押圧させた状態で固定されるように構成され、前記脚部が前記固定部に嵌合され、前記押圧部が前記張出部を押圧している状態で、前記腕部が固定されることにより、前記設置部が前記荷台に固定されることを特徴とする。
これにより、水平方向に形成された張出部が押圧部で上方から押圧されるので、確実に自立型電気機器収納用箱を荷台に固定させることが可能となる。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3に記載の発明において、
前記固定部は、前記荷台上面に複数並列して複数設けられた嵌合レールであり、
前記脚部は、差込片を有し、前記差込片が前記嵌合レールに嵌合されて、前記保持具が前記固定部に取り付けられことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の自立型電気機器収納用箱の輸送用荷台への固定構造。
これにより、差込片を嵌合レールに嵌合させるという簡単な作業により、保持具を固定部に取り付けることが可能となる。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、
前記嵌合レールのうち少なくとも1つを、前記嵌合レールの長手方向と直交する方向にスライド可能に取り付けるスライド部材が、前記荷台に設けられていることを特徴とする。
これにより、自立型電気機器収納用箱の大きさに応じて、嵌合レールをスライドさせることにより、保持具で張出部を押圧させることができ、任意のサイズの自立型電気機器収納用箱を荷台に固定させることが可能となる。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜請求項5に記載の発明において、
前記保持具は、
前記脚部の上部に形成され、前記腕部の基端下部が回動可能に取り付けられる基部と、
前記腕部の基端上部に回動可能に取り付けられた操作レバーと、
前記操作レバーの基端付近と前記基部を、連結するリンクを有することを特徴とする。
これにより、腕部の押圧部が張出部を押圧した状態で確実に固定されるので、確実に自立型電気機器収納用箱が荷台に固定される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、自立型電気機器収納用箱の下部には床面に固定するための設置部が設けられ、荷台には前記設置部を固定させる固定部が直線状に形成されているので、従来のように高所作業の必要が無く、容易に自立型電気機器収納用箱を荷台に固定させることができる固定構造を提供することが可能となる。また、自立型電気機器収納用箱の天井の変形が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態の固定構造の斜視図である。
【図2】第1の実施形態の固定構造の上面図である。
【図3】第1の実施形態の固定構造の詳細斜視図である。
【図4】第1の実施形態の固定構造の詳細側面図である。
【図5】第1の実施形態の保持具の斜視図である。
【図6】第1の実施形態の保持具の側面図である。
【図7】異なる方向に嵌合溝を形成した実施形態の荷台の上面図である。
【図8】碁盤目状に嵌合溝を形成した実施形態の荷台の上面図である。
【図9】第1の実施形態の別例の固定構造の詳細断面図である。
【図10】第2の実施形態の固定構造の上面図である。
【図11】第2の実施形態の固定構造の詳細側面図である。
【図12】保持具先端の別例の側面図である。
【図13】荷台に側壁を設けた実施形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態の発明の概要)
以下に図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施の形態を示す。第1の実施形態の自立型電気機器収納用箱の輸送用荷台への固定構造は、図1〜図4に示されるように、荷台10上に直線状に形成された嵌合溝10a(特許請求の範囲における固定部)に、保持具20を嵌合させて取り付け、保持具20の腕部23で、後述する載置部91の一部を外向きに延出して形成した張出部91aを押さえ付けて、自立型電気機器収納用箱90を荷台10に固定させる構造である。なお、荷台10は、この荷台10上に載せられる自立型電気機器収納用箱90を輸送するためのものであり、トラックや鉄道等の輸送機器の荷台、或いは、トラックや鉄道、船舶等で輸送されるコンテナの底部をいう。
【0014】
(自立型電気機器収納用箱の説明)
自立型電気機器収納用箱90とは、床面に設置される電気機器収納用箱である。図1に示されるように、自立型電気機器収納用箱90の下部には、設置部91が設けられている。自立型電気機器収納用箱90は設置する際に、載置部91にアンカーボルトを係合穴91bに挿通しアンカーボルトを打ち付けて床面に固定している。本実施形態では、設置部91は、自立型電気機器収納用箱90下部周縁の対向する2辺に設けられているが、自立型電気機器収納用箱90下部周縁の4辺全てに設けられていても差し支え無い。設置部91の下部には、水平方向に外側に向かって延出する板状の張出部91aが形成されている。図に示される実施形態では、設置部91は断面形状が略コ字形状のチャンネル材である。なお、本実施形態では、図3に示されるように、張出部91aの上面には、係合穴91bが凹陥形成又は連通形成されている。
【0015】
(第1の実施形態の荷台の構造)
第1の実施形態の発明に用いられる荷台10は、その上面に並列して複数の嵌合溝10aが直線状に形成されている。嵌合溝10aは、図4の(A)に示されるように、荷台10の上面に開口する開口部10bと、この開口部10bに下方に連通形成され、開口部10bの幅寸法よりも大きい幅寸法の差込空間10cとから構成されている。言い換えると、差込空間10cの上方には、一対の突出片10dが互いに対向して突出形成されている。
【0016】
(第1の実施形態の保持具の説明)
次に、図5及び図6を用いて、保持具20について説明する。保持具20は、トグルクランプと呼ばれるものであり、図5や図6に示されるように、基部21、脚部22、腕部23、操作レバー24、リンク25を有している。腕部23の基端下部は、基部21前端上部の第1回動軸20aに回動可能に取り付けられている。操作レバー24の先端上部は、腕部23の基端上部の第2回動軸20bに回動可能に取り付けられている。操作レバー24の先端付近下部(第3回動軸20c)は、リンク25を介して、基部21後端上部の第4回動軸20dと連結されている。図6の(B)に示されるように、操作レバー24を完全に押し下げた状態では、第2回動軸20b、第3回動軸20c、第4回動軸20dが一直線状に位置し、又は、第3回動軸20cが、第2回動軸20bと第4回動軸20dとの間に形成される直線(図6の(B)に示される一点鎖線)よりも下方に位置している。このため、腕部23が第1回動軸20a回りに上方側に回動しようとしたとしても、第3回動軸20cに作用する力の方向と第3回動軸20cの移動可能方向とが略直交して一致しないので、腕部23の第1回動軸20a回りの回動が阻止されて、固定状態(ロック状態)となる。勿論、操作レバー24を上方に引き上げると、腕部23は第1回動軸20a回りに上方側に回動する。
【0017】
なお、操作レバー24には締付バンドやマグネット等を設けておき、固定状態の保持具20の操作レバー24に不意の外力が働いても、上方に引き上げられるのを防ぐ構造とすることが好ましい。
【0018】
基部21の下方に、嵌合溝10aに嵌合する脚部22が形成されている。脚部22は、基部21と接続する脱落防止片22aと、脱落防止片22aと離間して対面配設された嵌合片22bと、脱落防止片22aと嵌合片22bを接続する接続部22cとから構成されている。脱落防止片22aと嵌合片22bは、板状であり、水平方向に形成されている。嵌合片22bを差込空間10cに差し込んで嵌合させることにより、保持具22を嵌合溝10aにスライド可能に取り付けることができる。
【0019】
腕部23の先端には、押圧部23aが垂下形成されている。押圧部23aは、腕部23の先端から垂下形成された垂下部23b、垂下部23bの先端に取り付けられた板状の押圧片23c、押圧片23cの下面から突出する突起部23dとから構成されている。本実施形態では、図4の(B)に示されるように、押圧片23cの下面は、張出部91aの上面の傾斜と合致するように、揺動自在としている。また、突起部23dは、係合穴91bに係合する。
【0020】
(第1の実施形態の荷台への取付方法の説明)
次に図1〜図4を用いて、自立型電気機器収納用箱90の荷台10への取付構造の説明をする。まず、図1や図2に示されるように、自立型電気機器収納用箱90を荷台10に載置する。次に、複数の保持具20を嵌合溝10aに嵌合させて取り付ける。保持具20には、脱落防止片22aが形成されているので、保持具20が嵌合溝10aに脱落することが無い。そして、図3や図4に示されるように、操作レバー24を完全に押し下げて、突起部23dを係合穴91bに係合させ、押圧片23cで張出部91aを押圧させる。この状態では、前述したように、腕部23は固定状態となっているので、押圧片23cの張出部91aへの押圧状態が維持され、自立型電気機器収納用箱90が荷台10に固定される。
【0021】
このように本発明では、荷台10に取り付けた保持具20の腕部23で、設置部91の張出部91aを押さえ付けて、自立型電気機器収納用箱90を荷台10に固定させる構造としたので、固定時に高所作業の必要が無く、容易に自立型電気機器収納用箱90を荷台10に固定させることが可能となる。また、自立型電気機器収納用箱90の天井の変形が防止される。
【0022】
図4の(B)に示されるように、張出部91aは、押圧部23aにより、押圧片23cの押圧面と直交する方向に押圧されるので、押圧部23aによる押圧力が確実に、張出部91aに作用し、確実に張出部91aが荷台10に固定される。なお、前記押圧力の反力は、嵌合片22bから突出片10dに作用する。このため、前記押圧力が維持される。上記固定構造により、電気機器収納用箱90を床面に設置する際に、載置部91にアンカーボルトを係合穴91bに挿通しアンカーボルトを打ち付けて固定するのと同程度の強度を持って固定されるものである。
本実施形態では、押圧部23aの先端には、板状の押圧片23cが形成されている。これにより、張出部91aは十分な面積の押圧片23cで押圧され、張出部91aや押圧片23cに過大な応力が作用すること無く、張出部91aや押圧片23cの塑性変形が防止される。このため、押圧片23cによる張出片91aへの押圧力が維持される。
また本実施形態では、係合穴91bは突起部23dに係合しているので、輸送時における自立型電気機器収納用箱90の荷台10上での移動が防止される。
【0023】
本実施形態では、保持具20を嵌合溝10aにスライド可能に取り付けることができるので、自立型電気機器収納用箱90の大きさに応じて、任意の数の保持具20を嵌合溝10aに取り付けることができ、また、保持具20で任意の位置の張出部91aを押さえ付けることができる。
【0024】
図1や図2に示される実施形態では、荷台10の上面には、一対の嵌合溝10a以外に、これらと平行して更に複数の嵌合溝10aが形成されているので、任意の位置の嵌合溝10aを選択して、この嵌合溝10aに保持具20を取り付けることにより、大きさの異なる自立型電気機器収納用箱90を荷台10に取り付けることができる。
【0025】
図7に示されるように、嵌合溝10aを、一定方向だけでなく、異なる方向(図7の例では、互いに直交する方向)に、荷台10上に形成しても差し支え無い。また、図8に示されるように、荷台10上に、嵌合溝10aを碁盤目状に形成しても差し支え無い。このような構成にすると、様々な大きさの自立型電気機器収納用箱90を荷台10上に固定させることが可能となる。
【0026】
上記実施形態では、自立型電気機器収納用箱90下部周縁の対向する2辺に設けた張出部91aを保持具20で荷台10に固定しているが、一方の張出部91aを荷台10に起立させて形成した断面コ字状の一連の立上辺に嵌合させて保持し、他方の張出部91aのみを上記したような嵌合溝10aに対応する保持具20で荷台10に固定する構造としてもよい。
【0027】
(第1の実施形態の別例)
図9に第1の実施形態の別例を示して、以上説明した第1の実施形態と異なる点について、第1の実施形態の別例について説明する。第1の実施形態の別例では、嵌合溝としての役割を果たす直線状の嵌合レール11を、荷台10上に配設したものである。嵌合レール11は、図9に示されるように、上方が開放した断面形状が略コ字形状の基部11aの両上端に、一対の突出片11bが互いに対向するように内側方向に突出形成された、所謂C型チャンネル材と呼ばれるレール状部材である。そして、第1の実施形態の別例の保持具30は、図9に示されるように、基部21の下方に、嵌合レール11と嵌合する脚部27が形成されている。脚部27は、基部21と接続する支持片27aと、支持片27aと離間して対面して配設された嵌合片27bと、支持片27aと嵌合片27bを接続する接続部27cとから構成されている。支持片27aと嵌合片27bの離間寸法は、突出片27bの厚さ寸法よりも大きくなっていて、嵌合片27bの幅寸法は、嵌合レール11の基部11a内部の幅寸法よりも小さくなっているので、図9に示されるように、嵌合片27bを嵌合レール11内に挿入させて嵌合させることにより、保持具30を嵌合レール11にスライド可能に取り付けることができる。
【0028】
自立型電気機器収納用箱90を荷台10に載置後、保持具30を嵌合レール11に取り付け、操作レバー24を完全に押し下げて、突起部23dを係合穴91bに係合させ、押圧片23cで張出部91aを押圧させて、自立型電気機器収納用箱90の荷台10への固定が完了する。この状態では、前述したように、保持具30は固定状態となっているので、押圧片23cの張出部91aへの押圧状態が維持され、自立型電気機器収納用箱90が荷台10に固定される。また、突起部23dが係合穴91bに係合しているので、輸送時における自立型電気機器収納用箱90の荷台10上での移動が防止される。
【0029】
保持具30を嵌合レール11にスライド可能に取り付けることができるので、自立型電気機器収納用箱90の大きさに応じて、任意の数の保持具30を嵌合レール11に取り付けることができ、また、保持具30で任意の位置の張出部91aを押さえ付けることができる。
【0030】
(第2の実施形態の荷台の構造)
次に、図10及び図11を用いて、第2の実施形態の自立型電気機器収納用箱の輸送用荷台への固定構造について説明する。
図10に示されるように、第2の実施形態の発明に用いられる荷台70は、その上面に並列して複数の直線状の嵌合レール71(特許請求の範囲における固定部)が配設されている。例えば、図11に示されるように、嵌合レール71は、断面形状が略コ字形状であり、水平方向に開口した差込凹部71aが形成されている。本実施形態では、図11に示すように荷台70にはスライド部材75が設けられ、嵌合レール71のうち少なくとも1つが、スライド部材75に取り付けられている。スライド部材75は、嵌合レール71を嵌合レール71の長手方向と直交する方向にスライド可能に取り付けるものである。スライド部材75には、リニアガイド等が含まれる。
【0031】
(第2の実施形態の保持具の説明)
図11を用いて、第2の実施形態の保持具80について、第1の実施形態の保持具20と異なる点について説明する。第2の実施形態の保持具80の脚部26は、水平方向に形成された板状の差込片26aと、差込片26aと基部21を接続する接続部26bとから構成されている。差込片26aを差込凹部71aに差し込み嵌合させることにより、保持具80を嵌合レール71にスライド可能に取り付けることができる。
【0032】
(第2の実施形態の荷台への取付方法の説明)
次に、自立型電気機器収納用箱90の荷台70への取付方法の説明をする。図11に示されるように、設置部91を嵌合レール71上に沿わせて載置する。次に、複数の保持具80を嵌合レール71に取り付ける。次に、操作レバー24を完全に押し下げて、突起部23dを係合穴91bに係合させ、押圧片23cで張出部91aを押圧させる。この状態では、前述したように、腕部23は固定状態となっているので、押圧片23cの張出部91aへの押圧状態が維持され、自立型電気機器収納用箱90が荷台70に固定される。第2の実施形態では、図11に示されるように、差込片26aと押圧片23cで、嵌合レール71と張出部91aが挟持される構造となっているので、設置部91を強固に嵌合レール71に固定させることが可能となっている。なお、突起部23dが係合穴91bに係合しているので、上記固定構造により、自立型電気機器収納用箱90を床面に設置する際に、載置部91にアンカーボルトを係合穴91bに挿通しアンカーボルトを打ち付けて固定するのと同程度の強度を持って固定され、輸送時における自立型電気機器収納用箱90の荷台70上での移動が防止される。
【0033】
保持具80を嵌合レール71の任意の位置に取り付けることができるので、自立型電気機器収納用箱90の大きさに応じて、任意の数の保持具80を嵌合レール71に取り付けることができ、また、保持具80で任意の位置の張出部91aを押さえ付けることができる。本実施形態では、嵌合レール71のうち少なくとも1つが、スライド部材75に取り付けられているので、自立型電気機器収納用箱90の大きさに応じて、嵌合レール71をスライドさせることにより、保持具80で張出部91aを嵌合レール71に固定させることができる。このため、規定サイズだけでなく、任意のサイズの自立型電気機器収納用箱90を荷台70に固定させることが可能となる。
【0034】
なお、本実施形態において取付方法は嵌合レール71に固定部としてボルト孔を形成し、載置部91に形成した係合穴91bにボルトを挿通してボルト孔に締付固定することにより、自立型電気機器収納用箱90を荷台70上に固定するものとしてもよい。
【0035】
(総括)
図12に示されるように、保持具20、30、80の板部23を上下方向に調整可能な構造としても差し支え無い。図12に示される実施形態では、腕部23の先端に垂直方向に形成されたネジ穴23eに、外周面にネジ溝が形成された垂下部23bを螺入させている。そして、垂下部23bに螺入されたナット23fを腕部23側に締め付けて、垂下部23bを腕部23先端に固定させている。このように、図12に示されるような保持具20、30、80であれば、板部23の位置が上下方向に調整可能な構造となっているので、サイズや形状の異なる張出部91aに対応させることが可能となり、確実に板部23cで張出部91aを押圧させることが可能となる。
【0036】
図13に示されるように、荷台10、70の周縁上に、側壁50を設け、更に、側壁50の開口部分にカバー60が被着される構造としても差し支え無い。また、以上説明した荷台10、70を、コンテナの底部とする実施形態であっても差し支え無い。このような実施形態であれば、雨水等による自立型電気機器収納用箱90への汚損が防止される。なお、図13に示される実施形態では、側壁50は開閉可能な扉状となっている。
【0037】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う自立型電気機器収納用箱の輸送用荷台への固定構造もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0038】
10 荷台(第1の実施形態)
10a 嵌合溝(固定部)
11 嵌合レール(固定部)
20 保持具(第1の実施形態)
21 基部
22 係合部
23 腕部
24 操作レバー
25 リンク
70 荷台(第2の実施形態)
71 嵌合レール(固定部)
75 スライド部材
80 保持具(第2の実施形態)
90 自立型電気器収納用箱
91 設置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自立型電気機器収納用箱を輸送用の荷台に固定する構造であって、
前記自立型電気機器収納用箱の下部には自立型電気機器収納用箱を床面に固定するための設置部が設けられ、
前記荷台には、前記設置部を固定する固定部が直線状に形成されていることを特徴とする自立型電気機器収納用箱の輸送用荷台への固定構造。
【請求項2】
前記固定部に嵌合する脚部と、前記設置部を押圧する押圧部を備えた腕部を有する保持具により、前記設置部が前記荷台に固定されることを特徴とする請求項1に記載の自立型電気機器収納用箱の輸送用荷台への固定構造。
【請求項3】
前記設置部が、水平方向に延出する張出部として形成され、
前記腕部は、前記押圧部で前記張出部を押圧させた状態で固定されるように構成され、
前記脚部が前記固定部に嵌合され、前記押圧部が前記張出部を押圧している状態で、前記腕部が固定されることにより、
前記設置部が前記荷台に固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の自立型電気機器収納用箱の輸送用荷台への固定構造。
【請求項4】
前記固定部は、前記荷台上面に複数並列して複数設けられた嵌合レールであり、
前記脚部は、差込片を有し、前記差込片が前記嵌合レールに嵌合されて、前記保持具が前記固定部に取り付けられことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の自立型電気機器収納用箱の輸送用荷台への固定構造。
【請求項5】
前記嵌合レールのうち少なくとも1つを、前記嵌合レールの長手方向と直交する方向にスライド可能に取り付けるスライド部材が、前記荷台に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の自立型電気機器収納用箱の輸送用荷台への固定構造。
【請求項6】
前記保持具は、
前記脚部の上部に形成され、前記腕部の基端下部が回動可能に取り付けられる基部と、
前記腕部の基端上部に回動可能に取り付けられた操作レバーと、
前記操作レバーの基端付近と前記基部を、連結するリンクを有することを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれかに記載の自立型電気機器収納用箱の輸送用荷台への固定構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−236517(P2012−236517A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107095(P2011−107095)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000227401)日東工業株式会社 (374)
【Fターム(参考)】