説明

自脱形コンバインの脱穀装置

【課題】 刈取穀稈の搬送詰まりや脱穀性能の低下などを招くことなく、ささり粒に起因した穀粒回収効率の低下を防止する。
【解決手段】 刈取穀稈の株元側を挟持して刈取穀稈を搬送する挟持搬送機構7と、回転駆動されることで、挟持搬送機構7で搬送される刈取穀稈の穂先側に脱穀処理を施す扱胴9と、扱胴9の回転に伴って刈取穀稈の株元側に向けて流下する穀粒を扱胴9に向けて案内するガイド板25とを備え、ガイド板25を、挟持搬送機構7で搬送される刈取穀稈に対する上方の位置に、刈取穀稈の搬送方向に沿って整列配備した複数の板体25A,25Bで構成するとともに、板体25A,25Bのそれぞれにおける刈取穀稈の搬送方向上手側の端部に、その搬送方向上手側ほど上方に位置して、挾持搬送機構7で搬送される刈取穀稈を下方に案内する穀稈ガイド部25a,25bを形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取穀稈の株元側を挟持して刈取穀稈を搬送する挟持搬送機構と、回転駆動されることで、前記挟持搬送機構で搬送される刈取穀稈の穂先側に脱穀処理を施す扱胴と、前記扱胴の回転に伴って刈取穀稈の株元側に向けて流下する穀粒を前記扱胴に向けて案内するガイド板とを備えた自脱形コンバインの脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガイド板は、扱胴の回転に伴って刈取穀稈の株元側に向けて流下する穀粒を扱胴に向けて案内することで、その穀粒が挾持搬送機構で搬送される刈取穀稈の株元側に入り込むささり粒の発生を防止して、脱穀処理後の刈取穀稈とともに穀粒が排出される虞を未然に回避するためのものである。
【0003】
そして、自脱形コンバインの脱穀装置においては、扱口に供給される穀稈に対応して上下移動するとともに下方に向かって付勢され、かつ、最下降時には、その先端が下方側の扱口板に当接又は近接するように構成され、更に、その搬送方向上手側の端部が、搬送方向上手側ほど上方に位置するように形成されたガイド板(ささり粒防止体)を、独立して昇降する複数のプレートで構成したものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−14604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、ガイド板の搬送方向上手側端部に穀稈ガイド部が形成されていることから、挟持搬送機構によって挾持搬送された刈取穀稈が、ガイド板の搬送方向最上手側に位置するプレートまで搬送されると、そのプレートは、穀稈ガイド部の作用で刈取穀稈にスムーズに乗り上がって刈取穀稈の搬送を許容する。
【0005】
しかしながら、その刈取穀稈が搬送方向最上手側のプレートよりも後方に位置するプレートまで搬送されると、搬送方向最上手側のプレート以外のプレートには穀稈ガイド部が形成されていないことから、刈取穀稈が各プレートの搬送方向上手側端縁に引っ掛かり易くなり、その引っ掛かりに起因した刈取穀稈の搬送詰まりや、刈取穀稈の搬送姿勢(脱穀姿勢)の乱れによる脱穀性能の低下などを招き易くなっていた。
【0006】
本発明の目的は、刈取穀稈の搬送詰まりや脱穀性能の低下などを招くことなく、ささり粒に起因した穀粒回収効率の低下を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明のうちの請求項1に記載の発明では、刈取穀稈の株元側を挟持して刈取穀稈を搬送する挟持搬送機構と、回転駆動されることで、前記挟持搬送機構で搬送される刈取穀稈の穂先側に脱穀処理を施す扱胴と、前記扱胴の回転に伴って刈取穀稈の株元側に向けて流下する穀粒を前記扱胴に向けて案内するガイド板とを備え、前記ガイド板を、前記挟持搬送機構で搬送される刈取穀稈に対する上方の位置に、前記刈取穀稈の搬送方向に沿って整列配備した複数の板体で構成するとともに、前記板体のそれぞれにおける前記刈取穀稈の搬送方向上手側の端部に、その搬送方向上手側ほど上方に位置して、前記挾持搬送機構で搬送される刈取穀稈を下方に案内する穀稈ガイド部を形成してあることを特徴とする。
【0008】
この特徴構成によると、扱胴の回転に伴って刈取穀稈の株元側に向けて流下する穀粒を、ガイド板が扱胴に向けて案内することから、その穀粒が挾持搬送機構で搬送される刈取穀稈の株元側に入り込むささり粒の発生を防止することができ、刈取穀稈の株元側に入り込んだ穀粒が脱穀処理後の刈取穀稈とともに排出される不都合の発生を阻止することができる。
【0009】
又、扱胴とガイド板との間における処理物詰まりなどに起因してガイド板が変形あるいは破損した場合には、ガイド板の全体を交換しなくても、その変形又は破損箇所の板体を交換することで対処することができる。
【0010】
しかも、挟持搬送機構によって挾持搬送された刈取穀稈が、ガイド板の各板体まで搬送されると、それらの各板体は、穀稈ガイド部の作用で刈取穀稈を各板体の下方にスムーズに案内して刈取穀稈の搬送を許容することから、刈取穀稈が各板体の搬送方向上手側の端縁に引っ掛かることがなく、よって、その引っ掛かりに起因した刈取穀稈の搬送詰まりや、刈取穀稈の搬送姿勢(脱穀姿勢)の乱れによる脱穀性能の低下などを未然に回避することができる。
【0011】
従って、ガイド板の変形や破損などに対する処置を経済的に行える上に、刈取穀稈の搬送詰まりや脱穀性能の低下などを招くことなく、ささり粒に起因した穀粒回収効率の低下を防止することができる。
【0012】
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、前記ガイド板を、その扱胴側の端部が、前記扱胴の回転に伴って前記扱胴に備えた扱歯の先端が描く回転軌跡の内側に入り込むように形成するとともに、その扱胴側の端部に、前記扱歯の通過を許容するスリットを設けてあることを特徴とする。
【0013】
この特徴構成によると、ガイド板と扱歯との干渉による破損を招くことなく、扱胴の回転に伴って刈取穀稈の株元側に向けて流下する穀粒を、ガイド板によって、より確実に扱胴に向けて案内することができ、これによって、ささり粒の発生をより効果的に防止することができ、刈取穀稈の株元側に入り込んだ穀粒が脱穀処理後の刈取穀稈とともに排出される不都合の発生をより確実に阻止することができる。
【0014】
又、ガイド板の扱胴側端部に扱歯の通過を許容する凹部を設けた場合に生じる虞のある、その凹部から刈取穀稈の株元側への穀粒の流下を阻止することができる。
【0015】
従って、ささり粒に起因した穀粒回収効率の低下をより効果的に防止することができる。
【0016】
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の発明において、前記ガイド板が連結されるガイド板連結部に前記ガイド板とともに連結されることで、前記ガイド板の上部を前記ガイド板連結部に押さえ付ける押さえ板を設けるとともに、前記押さえ板を、前記ガイド板連結部に連結した状態では、その上部が前記ガイド板連結部に接当して前記ガイド板の上部を上方から覆う状態となるように形成してあることを特徴とする。
【0017】
この特徴構成によると、押さえ板が、ガイド板に向けて流下する処理物からガイド板を保護するようになることから、処理物との接触によるガイド板の摩耗を防止することができ、ガイド板の耐久性が向上する。
【0018】
又、ガイド板連結部とガイド板との間やガイド板と押さえ板との間に切れワラなどの一部が入り込むことを防止でき、これによって、その入り込みで切れワラなどが引っ掛かった状態になって、脱穀処理に悪影響を及ぼす虞を阻止することができる。
【0019】
従って、ガイド板の耐久性の向上を図りながら、ガイド板の装備に起因した脱穀処理性能の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1には自脱形コンバインに搭載される脱穀装置1の縦断側面が、図2にはその縦断背面がそれぞれ示されており、この脱穀装置1は、機体フレーム(図示せず)に連結される下部ケース2と、その下部ケース2に開閉揺動可能に連結された上部ケース3とで形成される処理空間に、刈取穀稈を後方に向けて搬送しながら刈取穀稈の穂先側に脱穀処理を施す脱穀部4、その脱穀処理で得た処理物に選別処理を施す選別部5、及び、その選別処理で得た1番物と2番物とを回収する回収部6、などを備えて構成されている。
【0021】
脱穀部4は、刈取穀稈の株元側を挟持して刈取穀稈を左右向きの姿勢で搬送する挟持搬送機構7、前後向きの支軸8を支点にして背面視左回りに回転駆動されることで刈取穀稈の穂先側に脱穀処理を施す扱胴9、及び、この脱穀処理で得られた処理物を下方の選別部5に向けて漏下させる受網10、などを備えて構成されている。受網10の後方には、受網10から漏下しなかった処理物を下方の選別部5に向けて流下させる送塵口11が形成されている。
【0022】
つまり、この脱穀部4での脱穀処理によって、単粒化穀粒や枝梗付きの穀粒などの含有量の多い処理物が受網10から選別部5の選別方向上手側(前部側)に向けて漏下し、又、切れワラやワラ屑などの含有量の多い処理物が送塵口11から選別部5の選別方向下手側(後部側)に向けて流下する。
【0023】
選別部5は、脱穀部4からの処理物を揺動選別する揺動選別機構12、及び、脱穀部4からの処理物を風力選別する選別風を生起する唐箕13、などを備えて構成されている。そして、処理物に対する揺動選別及び風力選別によって、脱穀部4からの処理物を、1番物としての単粒化穀粒、2番物としての枝梗付き穀粒やワラ屑などの混在物、及び、3番物としての切れワラやワラ屑など、に選別する。
【0024】
回収部6は、揺動選別機構12の選別方向上手側の下方に形成した1番回収部14、及び、揺動選別機構12の選別方向下手側の下方に形成した2番回収部15、などによって構成されている。
【0025】
1番回収部14は、選別部5で選別された1番物を回収するとともに、回収した1番物を、その底部に左右向きに配備した1番スクリュー16によって、その右端に連通接続した図外の揚送スクリューに向けて搬送する。
【0026】
2番回収部15は、選別部5で選別された2番物を回収するとともに、回収した2番物を、その底部に左右向きに配備した2番スクリュー17によって、その右端に連通接続した2番還元スクリュー(符号なし)に向けて搬送する。
【0027】
ちなみに、揚送スクリューは、1番スクリュー16によって搬送された1番物を揚送し、脱穀装置1の右側方に並設した図外の穀粒タンクに上方から供給する。2番還元スクリューは、2番スクリュー17によって搬送された2番物に再脱穀処理を施した後、揚送して揺動選別機構12に還元する。
【0028】
図2〜4に示すように、下部ケース2の左上部には下唇板18が配備され、上部ケース3の左下部には上唇板19が配備され、それらの間に、挟持搬送機構7で挾持搬送される刈取穀稈の扱胴9と受網10との間への供給を可能にする扱口20が形成されている。
【0029】
挟持搬送機構7は、下唇板18に沿って刈取穀稈を搬送する搬送面21Aを有するように下部ケース2の左側部に配備されたフィードチェーン21、上唇板19に装備したレール台22、そのレール台22の下部に上下変位可能に支持された挟持レール23、及び、挟持レール23をフィードチェーン21の搬送面21Aに向けて下降付勢する複数の押しバネ24、などによって構成されている。
【0030】
上唇板19には、扱胴9の回転に伴って扱胴9の上部から刈取穀稈の株元側に向けて流下する穀粒を扱胴9に向けて案内するガイド板25が取り付けられている。つまり、上唇板19は、ガイド板25の取り付けを可能にするガイド板連結部に兼用されている。
【0031】
ガイド板25は、挟持搬送機構7によって挟持搬送される刈取穀稈に対する上方の位置に、刈取穀稈の搬送方向に沿って前後に整列配備した2枚の板体25A,25Bによって構成されている。
【0032】
2枚の板体25A,25Bは、樹脂製で、それらの下端部が、上唇板19の下縁よりも下方に位置し、かつ、扱胴9に備えた各扱歯26の先端が扱胴9の回転に伴って描く回転軌跡に近接するように、それらの上端部が、押さえ板27とともに上唇板19の内面に、上唇板19と押さえ板27との間に挟み込まれた状態でボルト連結されている。
【0033】
各板体25A,25Bにおける刈取穀稈の搬送方向上手側の端部(前端)には、その搬送方向上手側ほど上方に位置して、挾持搬送機構7で搬送される刈取穀稈を下方に案内する穀稈ガイド部25a,25bが形成されている。
【0034】
以上の構成から、扱胴9の回転に伴って扱胴9の上部から刈取穀稈の株元側に向けて流下する穀粒は、ガイド板25によって扱胴9に向けて案内されるようになり、これによって、その穀粒が挾持搬送機構7で搬送される刈取穀稈の株元側に入り込むささり粒の発生を防止することができ、刈取穀稈の株元側に入り込んだ穀粒が脱穀処理後の刈取穀稈とともに機外に排出される不都合の発生を阻止することができる。
【0035】
又、扱胴9とガイド板25との間における処理物詰まりなどに起因してガイド板25が変形あるいは破損した場合には、ガイド板25の全体を交換しなくても、その変形又は破損箇所の板体25A,25Bを交換することで対処することができる。
【0036】
しかも、挟持搬送機構7によって挾持搬送された刈取穀稈が、ガイド板25の各板体25A,25Bまで搬送されると、それらの各板体25A,25Bは、穀稈ガイド部25a,25bの作用で刈取穀稈を各板体25A,25Bの下方にスムーズに案内して、挟持搬送機構7による刈取穀稈の搬送を許容することから、刈取穀稈が各板体25A,25Bの搬送方向上手側の端縁に引っ掛かることがなく、よって、その引っ掛かりに起因した刈取穀稈の搬送詰まりや、刈取穀稈の搬送姿勢(脱穀姿勢)の乱れによる脱穀性能の低下などを未然に回避することができる。
【0037】
その結果、ガイド板25の変形や破損などに対する処置を経済的に行える上に、刈取穀稈の搬送詰まりや脱穀性能の低下などを招くことなく、ささり粒に起因した穀粒回収効率の低下を防止することができる。
【0038】
押さえ板27は、ガイド板25とともに上唇板19に取り付けられた状態では、その上縁が上唇板19に接当してガイド板25の上部を上方から覆う状態となるように屈曲形成されている。
【0039】
つまり、押さえ板27が、ガイド板25に向けて流下する処理物からガイド板25を保護するようになることから、ガイド板25の処理物との接触による摩耗を防止することができ、ガイド板25の耐久性を向上させることができる。
【0040】
又、上唇板19とガイド板25との間やガイド板25と押さえ板27との間に切れワラなどの一部が入り込むことを防止でき、これによって、その入り込みで切れワラなどが引っ掛かった状態になって、脱穀処理に悪影響を及ぼす虞を阻止することができる。
【0041】
上唇板19の外面には、挟持レール23に向けて突出するガイド板取り付け用のボルト28及びナット29を左横外方から覆うカバー30が取り付けられている。このカバー30は、その底面30Aが左外方側ほど上方に位置する傾斜面に形成されている。
【0042】
この構成から、扱胴9の回転によって、挟持搬送機構7で挾持搬送される刈取穀稈が扱胴9に向けて引き込まれるようになるのに伴って、挟持搬送機構7の挟持レール23が扱胴9に向けて変位しても、挟持搬送機構7で挾持搬送される刈取穀稈の稈圧で、押しバネ24の付勢に抗して挟持レール23が押し上げられる際には、挟持レール23は、カバー30の底面30Aによって、ガイド板取り付け用のボルト28及びナット29から左横外方に外れた位置に案内されるようになる。
【0043】
これによって、挟持レール23を、ガイド板取り付け用のボルト28やナット29との接触を回避できるように、上唇板19から左外方に離れた位置に配備する場合に比較して、省スペース化を図りながら、挟持レール23がガイド板取り付け用のボルト28やナット29に引っ掛かって、挟持レール23の上昇変位が規制されることに起因した、挟持搬送機構7における刈取穀稈の搬送詰まりを未然に回避することができる。
【0044】
〔別実施形態〕
【0045】
〔1〕図5に示すように、ガイド板25を、刈取穀稈の搬送方向に沿って整列配備した4枚の板体25A〜25Dで構成するようにしてもよく、又、図示は省略するが、ガイド板25を、刈取穀稈の搬送方向に沿って整列配備した3枚の板体25A〜25Cあるいは5枚以上の板体25A〜で構成するようにしてもよい。
【0046】
上記の構成では、各板体25A〜のそれぞれにおける刈取穀稈の搬送方向上手側の端部に、その搬送方向上手側ほど上方に位置して、挾持搬送機構7で搬送される刈取穀稈を下方に案内する穀稈ガイド部25a〜が形成される。
【0047】
〔2〕図6に示すように、ガイド板25を、ゴム板などの弾性変形可能な樹脂製の板体25A,25Bで構成し、かつ、その扱胴側の端部が、扱胴9の回転に伴って扱胴9に備えた扱歯26の先端が描く回転軌跡の内側に入り込むように形成するとともに、その扱胴側の端部に、扱歯26の通過を許容するスリット31を設けるようにしてもよい。
【0048】
上記の構成では、ガイド板25と扱歯26との干渉による破損を招くことなく、扱胴9の回転に伴って刈取穀稈の株元側に向けて流下する穀粒を、ガイド板25によって、より確実に扱胴9に向けて案内することができる。又、ガイド板25の扱胴側端部に、スリット31に代えて、扱歯26の通過を許容するように細長く切り抜いた凹部を設けた場合に生じる虞のある、その凹部から刈取穀稈の株元側への穀粒の流下、を阻止することができる。その結果、ささり粒の発生をより効果的に防止することができ、刈取穀稈の株元側に入り込んだ穀粒が脱穀処理後の刈取穀稈とともに排出される不都合の発生をより確実に阻止することができる。
【0049】
〔3〕図7に示すように、ガイド板25を、その扱胴側の端部が、扱胴9の回転に伴って扱胴9に備えた扱歯26の先端が描く回転軌跡の内側に浅く入り込むように形成するとともに、その扱胴側の端部に、扱歯26の先端の通過を許容するR状の凹部32を浅く形成するようにしてもよい。
【0050】
上記の構成では、ガイド板25と扱歯26との干渉による摩耗や破損を招くことなく、扱胴9の回転に伴って刈取穀稈の株元側に向けて流下する穀粒を、ガイド板25によって、より確実に扱胴9に向けて案内することができる。又、扱歯26の先端が描く回転軌跡の内側へのガイド板25の入り込みを深くし、かつ、ガイド板25の扱胴側端部に、R状の凹部32に代えて、扱歯26の通過を許容するように深く切り抜いた凹部を設けた場合に生じる虞のある、その凹部から刈取穀稈の株元側への穀粒の流下、を効果的に抑制することができる上に、ガイド板25の保形性を高くすることができる。その結果、ささり粒の発生をより効果的に防止することができ、刈取穀稈の株元側に入り込んだ穀粒が脱穀処理後の刈取穀稈とともに排出される不都合の発生をより確実に阻止することができる。
【0051】
〔4〕ガイド板25を、板金製などの複数の板体25A〜で構成するようにしてもよい。又、各板体25A〜を、弾性変形可能な素材又は弾性変形不能な素材で構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】脱穀装置の縦断側面図
【図2】脱穀部の縦断背面図
【図3】ガイド板の取り付け構造を示す要部の縦断背面図
【図4】ガイド板の形状を示す要部の側面図
【図5】ガイド板を4枚の板体で構成した別実施形態を示す要部の側面図
【図6】ガイド板の扱胴側端部にスリットを形成した別実施形態を示す要部の平面図
【図7】ガイド板の扱胴側端部にR状の凹部を浅く形成した別実施形態を示す要部の平面図
【符号の説明】
【0053】
7 挟持搬送機構
9 扱胴
19 ガイド板連結部
25 ガイド板
25A 板体
25B 板体
25a 穀稈ガイド部
25b 穀稈ガイド部
26 扱歯
27 押さえ板
31 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取穀稈の株元側を挟持して刈取穀稈を搬送する挟持搬送機構と、回転駆動されることで、前記挟持搬送機構で搬送される刈取穀稈の穂先側に脱穀処理を施す扱胴と、前記扱胴の回転に伴って刈取穀稈の株元側に向けて流下する穀粒を前記扱胴に向けて案内するガイド板とを備え、
前記ガイド板を、前記挟持搬送機構で搬送される刈取穀稈に対する上方の位置に、前記刈取穀稈の搬送方向に沿って整列配備した複数の板体で構成するとともに、
前記板体のそれぞれにおける前記刈取穀稈の搬送方向上手側の端部に、その搬送方向上手側ほど上方に位置して、前記挾持搬送機構で搬送される刈取穀稈を下方に案内する穀稈ガイド部を形成してあることを特徴とする自脱形コンバインの脱穀装置。
【請求項2】
前記ガイド板を、その扱胴側の端部が、前記扱胴の回転に伴って前記扱胴に備えた扱歯の先端が描く回転軌跡の内側に入り込むように形成するとともに、その扱胴側の端部に、前記扱歯の通過を許容するスリットを設けてあることを特徴とする請求項1に記載の自脱形コンバインの脱穀装置。
【請求項3】
前記ガイド板が連結されるガイド板連結部に前記ガイド板とともに連結されることで、前記ガイド板の上部を前記ガイド板連結部に押さえ付ける押さえ板を設けるとともに、
前記押さえ板を、前記ガイド板連結部に連結した状態では、その上部が前記ガイド板連結部に接当して前記ガイド板の上部を上方から覆う状態となるように形成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の自脱形コンバインの脱穀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−182975(P2008−182975A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20770(P2007−20770)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】