説明

自走式処理機の作業安全帯フック掛け装置

【課題】自走式処理機における投入部のメンテナンス作業の作業性を向上することができる作業安全帯のフック掛け装置を提供する。
【解決手段】左右一対の走行体1,601を備えた本体フレーム10,610と、本体フレーム10,610上に設けた処理装置3,603と、走行体1,601及び処理装置3,603を駆動する動力源4,604と、処理装置3,603で処理される被処理物が機体外部から投入される投入部55,655と、投入部55,655の外周に間隔を空けて立設された複数の縦支柱部材103,104,503,504と、投入部55,655の外縁部よりも上方において複数の縦支柱部材103,104,503,504間を連結する部材であって作業安全帯のフック掛けが可能な横連結部材105,505とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式処理機の機体上での作業時に用いる作業安全帯のフックを掛けるための自走式処理機の作業安全帯フック掛け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の廃棄物再利用促進の背景の下、例えば、被処理物(リサイクル原料)の発生現場まで自走して現場内の任意の場所に設置可能な自走式破砕機や自走式土質改良機、自走式振動スクリーンといった自走式処理機の活躍の場が拡がりつつある。
【0003】
例えば、自走式処理機の一つである自走式土質改良機は、シールド掘進機によるシールド工事、ガス管等の埋設工事、上下水道工事、或いは、道路工事・基礎工事等で発生する建設発生土をリサイクル原料として投入部(ホッパ等)に受け入れて搬送コンベヤで混合装置に搬送し、混合装置内で土質改良材(石灰系固化材・凝集剤等)とともに混合することで一般建設残土と同等の強度の土砂に改質し、排出コンベヤにより機外に搬出するものである。
【0004】
また、自走式破砕機としては、例えばビル解体現場や採石現場等で発生するコンクリート塊や破石等をリサイクル原料としてホッパに受け入れ、それを破砕装置で所定の大きさに破砕処理することで砂利や骨材として利用可能な状態とし、排出コンベヤにより機外に排出するものが知られており、例えば、特許文献1(特開2002−336726号公報)には、走行手段を備えた本体フレーム上に設けた処理装置と、破砕装置の上部に取り付けられたホッパと、本体フレームに設けられ、走行手段及び処理装置を駆動する動力源とを備えた自走式破砕機に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−336726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術のような自走式処理機においては、投入部(ホッパ等)に付着した土砂などを除去したり、詰まった被処理物を除去したりするメンテナンス作業を適宜行う必要があった。しかしながら、従来は、安全性の観点から作業者が投入部内に入ってメンテナンス作業を行うことはせず、メンテナンス作業用に停止制御を施したコンベヤ上や、機体脇に築かれる処理物の山の上などから道具を用いてメンテナンス作業を行う必要があった。従って、作業者の位置から届かない部位があったり、細部のメンテナンスが困難であったりして、作業性が著しく低下してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、自走式処理機における投入部のメンテナンス作業の作業性を向上することができる自走式処理機の作業安全帯フック掛け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、左右一対の走行体を備えた本体フレームと、前記本体フレーム上に設けた処理装置と、前記走行体及び前記処理装置を駆動する動力源と、前記処理装置で処理される被処理物が機体外部から投入される投入部と、前記投入部の外周に間隔を空けて立設された複数の縦支柱部材と、前記投入部の外縁部よりも上方において前記複数の縦支柱部材間を連結する部材であって作業安全帯のフック掛けが可能な横連結部材とを備えたものとする。
【0009】
このように、処理装置で処理される被処理物が機体外部から投入される投入部の外周に間隔を空けて複数の縦支柱部材を立設し、投入部の外縁部よりも上方において複数の縦支柱部材間を作業安全帯のフック掛けが可能な横連結部材で連結するよう構成したので、作業者が横連結部材に作業安全帯のフックを掛けた状態で投入部内に入ってメンテナンス作業を行うことができ、したがって、自走式処理機における投入部のメンテナンス作業の作業性を向上することができる。
【0010】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記投入部の外周であって、前記自走式処理機における機体の輸送制限幅よりも内側に配置され、前記縦支柱部材を立設姿勢で挿入して保持する保持孔を有し、前記縦支柱部材を前記保持孔に挿入することによる前記作業安全帯フック掛け装置の展開、及び、前記縦支柱部材を前記保孔から抜き取ることによる格納が可能な保持部材を備えたものとする。
【0011】
(3)また、上記(1)において、好ましくは、前記投入部の外周であって、前記自走式処理機における機体の輸送制限幅よりも内側に配置され、前記縦支柱部材を立設姿勢で上下方向に摺動可能に保持し、前記縦支柱部材を上方向に摺動することによる前記作業安全帯フック掛け装置の展開、及び、前記縦支柱部材を下方向に摺動することによる格納が可能な保持部材を備えたものとする。
【0012】
(4)さらに、上記(1)において、好ましくは、前記投入部の外周であって、前記自走式処理機における機体の輸送制限幅よりも内側に配置され、前記縦支柱部材を機体前後方向に回動可能に保持し、前記縦支柱部材を回動して立設姿勢にすることによる前記作業安全帯フック掛け装置の展開、及び、前記縦支柱部材を回倒することによる格納が可能な保持部材を備えたものとする。
【0013】
(5)上記(2)〜(4)の何れか1つにおいて、好ましくは、地上からの展開及び格納が可能であるものとする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、自走式処理機における投入部のメンテナンス作業の作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態に係る自走式振動スクリーンの全体構成を示す側面図であり、作業安全帯フック掛け装置を投入部上に展開した状態を示す図である。
【図2】投入部を構成するホッパ部分を抜き出して前方向から見た場合を示す図であり、作業安全体フック掛け装置を投入部上に展開した状態を示す図である。
【図3】第1の実施の形態に係る自走式振動スクリーンの全体構成を示す側面図であり、作業安全帯フック掛け装置を投入部上から格納した状態を示す図である。
【図4】投入部を構成するホッパ部分を抜き出して前方向から見た場合を示す図であり、作業安全帯フック掛け装置を投入部上から格納した状態を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係る自走式振動スクリーンの投入部を構成するホッパ部分を抜き出して前方向から見た場合を示す図であり、作業安全体フック掛け装置を投入部上から格納した状態を示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係る自走式振動スクリーンの投入部を構成するホッパ部分を抜き出して前方向から見た場合を示す図であり、作業安全体フック掛け装置を投入部上に展開した状態を示す図である。
【図7】第3の実施の形態に係る自走式振動スクリーンの投入部を構成するホッパ部分を抜き出して前方向から見た場合を示す図であり、作業安全帯フック掛け装置を投入部から格納した状態を示す図である。
【図8】第3の実施の形態に係る自走式振動スクリーンの投入部を構成するホッパ部分を抜き出して前方向から見た場合を示す図であり、作業安全帯フック掛け装置を投入部から格納する途中状態を示す図である。
【図9】第3の実施の形態に係る自走式振動スクリーンの投入部を構成するホッパ部分を抜き出して前方向から見た場合を示す図であり、作業安全帯フック掛け装置を投入部から格納した状態を示す図である。
【図10】第3の実施の形態に係る自走式振動スクリーンの投入部を構成するホッパ部分を抜き出して前方向から見た場合を示す図であり、縦支柱部材と支持部材とを分けて示す図である。
【図11】第4の実施の形態に係る自走式振動スクリーンの全体構成を示す側面図であり、作業安全帯フック掛け装置を投入部上に展開した状態を示す図である。
【図12】第3の実施の形態に係る自走式振動スクリーンの投入部を構成するホッパ部分を抜き出して前方向から見た場合を示す図であり、作業安全帯フック掛け装置を投入部上に展開した状態を示す図である。
【図13】第3の実施の形態に係る自走式振動スクリーンの篩装置本体付近を拡大して示す側面図であり、作業安全帯フック掛け装置を投入部上から格納した状態を示す図である。
【図14】第5の実施の形態に係る自走式破砕機の全体構成を示す側面図であり、作業安全帯フック掛け装置を投入部上に展開した状態を示す図である。
【図15】第5の実施の形態に係る自走式破砕機の投入部を構成するホッパ部分を拡大して示す側面図であり、作業安全帯フック掛け装置を投入部上に展開した状態を示す図である。
【図16】第3の実施の形態に係る自走式破砕機の投入部を構成するホッパ部分を抜き出して後方向から見た場合を示す図であり、作業安全帯フック掛け装置を投入部上に展開した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0017】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態を図1〜図4を参照しつつ説明する。本実施の形態では、自走式処理機として、自走式振動スクリーンを例に挙げて説明する。
【0018】
図1及び図3は、本発明の第1の実施形態に係る自走式振動スクリーンの全体構成を示す側面図、図2及び図4は、投入部を構成するホッパ部分を抜き出して前方向から見た場合を示す図であり、図1及び図2は作業安全帯フック掛け装置を投入部上に展開した状態、図3及び図4は格納した状態をそれぞれ示している。なお、以下において、図1及び図3における左・右に対応する方向を自走式振動スクリーンの前・後とする。
【0019】
図1及び図3において、本実施の形態に係る自走式振動スクリーンは、走行体1と、この走行体1上に設けた排出コンベヤ2と、排出コンベヤ2の上側に設けた篩装置(振動装置)3と、排出コンベヤ2の下側に設けたパワーパック4とを備えている。
【0020】
走行体1は、左右1対の走行手段10と、これら走行手段10の上部に設けた本体フレーム11とを備えている。走行手段10は、左右一対のトラックフレーム12と、これらトラックフレーム12の前後にそれぞれ設けた従動輪13及び駆動輪14と、出力軸を駆動輪14に連結した走行用油圧モータ15と、左右の従動輪13及び駆動輪14にそれぞれ掛け回した無限軌道履帯16とを備えている。本体フレーム11は、上下・左右・前後の各方向に延びる複数の鋼材で三次元的に組み上げられた枠状の部材であってトラックフレーム12の上部に設けられており、走行手段10の前方に突き出ないように前端部が走行手段10の前端部よりも後方に位置している。本体フレーム11の後端部は走行手段10の後端部よりもやや後方に位置している。本体フレーム11の後部には、排出コンベヤ2と篩装置3との間への木材干渉防止用のガード17が設けられている。
【0021】
排出コンベヤ2は、篩装置3で選別された所定粒度以下の選別物(処理物)を搬送し機体前方に排出するものであり、篩装置3の下側から前方に向かって斜めに立ち上がるように配置されている。この排出コンベヤ2は、コンベヤフレーム20と、コンベヤフレーム20の前端に回転自在に設けたヘッドプーリ21と、コンベヤフレーム20の後端に回転自在に設けたテールプーリ(図示せず)と、ヘッドプーリ21及びテールプーリに掛け回したコンベヤベルト23と、ヘッドプーリ21に連結した排出コンベヤ用油圧モータ24とを備えており、排出コンベヤ用油圧モータ24でヘッドプーリ21を駆動することによってヘッドプーリ21及びテールプーリ間でコンベヤベルト23を循環駆動させる。
【0022】
コンベヤフレーム20は、後端部が本体フレーム11上部の後端部に対して回動軸30を介して傾動可能に連結されていて、前後方向の中央部が支持部材31を介して本体フレーム11に支持されている。支持部材31は、筒状のケーシング32とこれに挿入されたロッド33からなり、ケーシング32の上端部がピン34を介してコンベヤフレーム20の前後中央部に設けたブラケット35に、ロッド33の下端部がピン36を介して本体フレーム11の前部に設けたブラケット37にそれぞれ回動可能に連結されている。この支持部材31のケーシング32とロッド33は油圧シリンダ38で連結されており、油圧シリンダ38の伸縮に伴ってロッド33がケーシング32に対して摺動し、その結果、排出コンベヤ2が回動軸30を支点に傾動する。このとき、作業者等が傾動する排出コンベヤ2の下に入って本体フレーム11との間に挟まれることのないように、本体フレーム11上にはコンベヤフレーム20の左右に位置するように安全柵39が立てられている。
【0023】
篩装置3は、投入される被選別物(被処理物)を粒度に応じて選別するものであり、コンベヤフレーム20後部の上部に弾性部材45を介して振動可能に支持された枠型の篩装置本体46(振動体)と、篩装置本体46の内側に機体後方に向って斜めに下るように固定された篩部材(図示せず)と、篩装置本体46を加振する加振装置48とを備えている。篩装置本体46の上部には、被選別物が機体外部から投入される投入部55が設けられており、投入部55の機体前方寄り外縁部には、投入される被選別物を受けて篩装置本体46の内側方向に導くように上方に拡開して設けられたホッパ47が配置されている。篩装置3は、加振装置48を駆動して篩装置本体46と篩部材を一体的に揺さ振ることにより、投入部55に投入された被選別物のうち篩部材を通過する所定粒度以下の選別物を排出コンベヤ2上に導くとともに、それより粒度の大きなものを機体後方に排出する。ホッパ47は、篩装置本体46前後両端付近においてコンベヤフレーム20後部の上部にホッパ支持体47aを介して支持されており、加振装置48の駆動時においても篩装置本体46と接触しないように間を空けて配置されている。また、機体側面における投入部55の後方側(ホッパ47と反対側)には、作業者が篩装置本体46の投入部55にアクセスするためのメンテナンス用ラダー49が設けられている。
【0024】
なお、本実施形態では篩装置本体46を支持する弾性部材45の一例としてラバースプリングを用いた場合を示しているが、コイルバネ等の他の弾性体を用いても良い。弾性部材45は篩装置本体46の左右両側においてそれぞれ前後に配置されており、篩装置本体46は計4箇所でコンベヤフレーム20に対して支持されている。また、篩装置3は走行手段10に対して全体的にやや重心を後方にずらして配置されており、内部の篩部材は排出コンベヤ2と同じく後方に向かって下方に傾斜した姿勢で配置されている。篩装置3は排出コンベヤ2のコンベヤフレーム20に支持されているため、排出コンベヤ2を傾動させることで被選別物の性状に応じて傾斜角度を変更し選別能力を調整することができる。
【0025】
また、篩装置本体46には、投入部55の外周に間隔を空けて立設された複数の縦支柱部材103,104と、投入部55の外縁部よりも上方において複数の縦支柱部材103,104間を連結する部材であって作業安全帯のフック掛けが可能な横連結部材105とを備えた作業安全帯フック掛け装置100が備えられている。本実施の形態では、投入部55の機体左側の前後端部に2本の縦支柱部材103,104を設けた場合を示している。
【0026】
篩装置本体46の投入部55の外周であって、ホッパ支持体47aの機体左側(図1中手前側)前後端部付近には、縦支柱部材103,104をそれぞれ立設姿勢で挿入して保持する保持孔101c,102cを有する複数(本実施の形態では2つ)の保持部材101,102がそれぞれ支持部材101a,101b、及び、支持部材102a,102bを介して取り付けられている。この保持部材101,102は、機体幅方向において、輸送制限幅よりも内側に配置されている。また、保持部材101,102は、機体高さ方向において、投入部55の外縁部よりも低くなるよう配置されている。
【0027】
縦支柱部材103,104は、保持部材101,102の保持孔101c、102c内に挿入可能な外径の円筒形状を有しており、その長手方向の中央付近に、保持孔101c,102cの内径よりも大きいストッパ103a,104aが設けられている。縦支柱部材103,104のストッパ103a,104aより下端側を保持孔101c,102cに挿入することにより、縦支柱部材103,104を投入部55の外周に立設する。縦支柱部材103,104の上端部には、連結部103a,104aを介して横連結部材105が接続されており、投入部55の底部(篩装置本体46の内側に固定された図示しない篩部材上など)に立った一般成人の直立姿勢における腰高やそれよりも高い位置(例えば、胸部高さ)となるように設けられている。横連結部材105は、作業安全帯のフック掛けが可能な部材であり、図1等に示すようなチェーンやワイヤー等の紐状部材の他、棒状の部材であっても良い。
【0028】
このように構成された作業安全帯フック掛け装置100は、縦支柱部材103,104を保持部材101,102に挿入することにより篩装置3上、すなわち、投入部55上に展開され、保持部材101,102から抜き出すことにより格納される。このとき、格納時の作業安全帯フック掛け装置100(つまり、保持部材101,102)は、輸送制限幅と輸送制限高さの範囲内に格納される。なお、縦支柱部材103,104の保持部材101,102への挿入作業、および保持部材101,102からの抜き取り作業は、作業者が地上から行うことができる。
【0029】
パワーパック4は、エンジンなど(図示せず)の動力源を内蔵しており、コンベヤフレーム20に垂設されたパワーパックフレーム50上に積載されて排出コンベヤ2の下側に配置されている。パワーパックフレーム50は、支持部材31を連結したブラケット34よりも前方位置でコンベヤフレーム20に垂設されており、パワーパック4は走行体1よりも前方に位置している。但し、パワーパック4の前後位置は、篩装置3や排出コンベヤ2等の他の搭載機器と合わせた機体重心が走行装置10の前後ほぼ中央位置に来るように制限される。したがって、油圧シリンダ38を縮めて排出コンベヤ2を寝かせていくと、パワーパック4は走行体1の上部に重なることなく走行体1の前方のスペースまで下降する。そのため排出コンベヤ2を水平姿勢近くまで寝かせることができ、輸送時には一般道路の輸送制限高さに納まる範囲にまで機体の全高を抑えることができる。
【0030】
なお、輸送制限高さまで余裕があってパワーパック4を走行体1の前方のスペースに下降させる必要がない場合には、パワーパック4を本体フレーム11上又はトラックフレーム12上に設置することもできる。
【0031】
また、パワーパック4の左側面には、排出コンベヤや篩装置2等の動作を指示するための操作盤51が設けられている。この操作盤51に隣接した位置に前述した油圧シリンダ38の伸縮動作を指示する操作部52が設けられている。また、操作盤51や操作部52を操作する場合等に作業者が立つ足場として、パワーパック4にはステップ53及び、ステップ53にアクセスするためのラダー54が設けられている。
【0032】
以上のように構成した本実施の形態の動作および作用・効果を説明する。
【0033】
篩装置3の駆動中、例えば油圧ショベル等の投入重機、若しくはリサイクル機械、ベルトコンベヤ等によって篩装置3の投入部55に被選別物が投入されると、篩部材による選別粒度よりも小さいものは篩部材を通過して排出コンベヤ2の搬送面上に導かれ、排出コンベヤ2によって前方に搬送されて機体前方に排出される。一方、選別粒度より大きなものは篩部材上を下って機体後方に排出される。
【0034】
このような自走式振動スクリーンにおいては、投入部55(ホッパ47や篩部材等)に付着した土砂などの被処理物を除去したり、詰まった被処理物を除去したりするメンテナンス作業(清掃作業)を適宜行う必要がある。しかしながら、従来技術の自走式振動スクリーンにおいては、投入部の周辺には、作業安全帯のフックを掛ける場所が無いため、作業者が投入部内に入ってメンテナンス作業を行うことができず、メンテナンス作業用に停止制御を施したコンベヤ上や、機体脇に築かれる処理物の山の上などから道具を用いてメンテナンス作業を行う必要があった。従って、作業者の位置から届かない部位があったり、細部のメンテナンスが困難であったりして、作業性が著しく低下してしまうという問題があった。
【0035】
これに対し、本実施の形態においては、処理装置で処理される被処理物が機体外部から投入される投入部55の外周に間隔を空けて複数の縦支柱部材103,104を立設し、投入部55の外縁部よりも上方において複数の縦支柱部材103,104間を作業安全帯のフック掛けが可能な横連結部材105で連結するよう構成したので、作業者が横連結部材105に作業安全帯のフックを掛けた状態で投入部55内に入ってメンテナンス作業を行うことができ、したがって、自走式処理機における投入部55のメンテナンス作業の作業性を向上することができる。
【0036】
また、縦支柱部材103,104を保持部材101,102から抜き出すことにより篩装置3上(すなわち、投入部55上)から格納することができるので、被処理物の処理動作時における作業の妨げになるのを抑制することができる。
【0037】
さらに、格納時の作業安全帯フック掛け装置100(つまり、保持部材101,102)は、輸送制限幅と輸送制限高さの範囲内に格納されるので、機体輸送の妨げになることを防止することができる。
【0038】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図5及び図6を参照しつつ説明する。
【0039】
図5及び図6は、投入部を構成するホッパ部分を抜き出して前方向から見た場合を示す図であり、図5は作業安全帯フック掛け装置を投入部から格納した状態、図6は展開した状態をそれぞれ示している。図5及び図6においては、ホッパ47の機体左側(図中右側)のみを図示している。図中、第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。なお、本実施の形態において、機体後側の縦支柱部材204に関する構成については図中に括弧書きで示している。
【0040】
図5及び図6において、本実施の形態の篩装置本体46(第1の実施の形態の図1参照)の上部には、被選別物が機体外部から投入される投入部55が設けられており、投入部55の機体前方寄り外縁部には、投入される被選別物を受けて篩装置本体46の内側方向に導くように上方に拡開して設けられたホッパ47が配置されている。
【0041】
篩装置本体46には、投入部55の外周に間隔を空けて立設された複数(本実施の形態では2本)の縦支柱部材203,204と、投入部55の外縁部よりも上方において複数の縦支柱部材203,204間を連結する部材であって作業安全帯のフック掛けが可能な横連結部材105とを備えた作業安全帯フック掛け装置200が備えられている。
【0042】
篩装置本体46の投入部55の外周であって、ホッパ支持体47aの機体左側(図5及び図6中右側)前後端部付近には、縦支柱部材203,204をそれぞれ立設姿勢で挿入して保持する保持孔201c,202cを有する保持部材201,202がそれぞれ支持部材201a,201b、及び、支持部材202a,202bを介して取り付けられている。この保持部材201,202は、機体幅方向において、輸送制限幅よりも内側に配置されている。また、保持部材201,202は、機体高さ方向において、投入部55の外縁部よりも低くなるよう配置されている。
【0043】
保持部材201,202の下端部付近には、固定ピン206,207を挿入するための固定孔201d,202dが設けられている。また、縦支柱部材203,204は、保持部材201,202の保持孔201c,202c内に挿入可能な外形の円筒形状を有しており、その長手方向の下端部付近には、固定ピン206,207を挿入するための固定孔203c,204cが設けられている。そして、縦支柱部材203,204の下端側を保持孔201c,202cに挿入し、保持部材201,202の固定孔201d,202dと、縦支柱部材203,204の固定孔203c,204cの位置を合わせた状態で固定ピン206,207を挿入することにより、縦支柱部材203,204を投入部55の外周に立設する。なお、第1の実施の形態と同様に、縦支柱部材203,204の上端部には、横連結部材105が接続されており、投入部55の底部(篩装置本体46の内側に固定された図示しない篩部材上など)に立った一般成人の直立姿勢における腰高やそれよりも高い位置(例えば、胸部高さ)となるように設けられている。
【0044】
また、縦支柱部材203,204の上端側であって、横連結部材105の接続部よりも下側には、保持孔201c、202cの内径よりも大きいストッパ203a,204aが設けられており、固定ピン206,207を抜いた状態で縦支柱部材203,204をストッパ203a,204a部分まで挿入することができる。このとき、縦支柱部材203,204の上端部が投入部55の外縁部よりも低い位置まで下がるように保持部材201,202は配置されている。なお、縦支柱部材203,204をストッパ203a,204a部分まで挿入した状態において、縦支柱部材203,204における保持部材201,202の固定孔201d,202dと対応する位置には、固定ピン206,207を挿入するための固定孔203d,204dが設けられており、保持部材201,202の固定孔201d,202dと、縦支柱部材203,204の固定孔203d,204dの位置を合わせた状態で固定ピン206,207を挿入することにより、縦支柱部材203,204を固定する。
【0045】
このように構成された作業安全帯フック掛け装置200は、縦支柱部材203,204を保持部材201,202に挿入し、保持部材201,202の固定孔201d,202dと、縦支柱部材203,204の固定孔203c,204cの位置を合わせた状態で固定ピン206,207を挿入することにより、篩装置3上、すなわち、投入部55上に展開される。また、固定ピン206,207を抜いた状態で縦支柱部材203,204をストッパ203a,204a部分まで挿入することにより篩部材3上から格納される。したがって、格納時の作業安全帯フック掛け装置200は、輸送制限幅と輸送制限高さの範囲内に格納される。
【0046】
その他の構成は、本発明の第1の実施の形態と同様である。
【0047】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態を図7〜図10を参照しつつ説明する。
【0049】
図7〜図10は、投入部を構成するホッパ部分を抜き出して前方向から見た場合を示す図であり、図7は作業安全帯フック掛け装置を投入部から格納した状態、図8は格納途中の状態、図9は格納した状態をそれぞれ示している。また、図10は、縦支柱部材303,304と支持部材301,302とを分けて示す図である。図7〜図10においては、ホッパ47の機体左側(図中右側)のみを図示している。図中、第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。なお、本実施の形態において、機体後側の縦支柱部材304に関する構成については図中に括弧書きで示している。
【0050】
図7及び図10において、本実施の形態の篩装置本体46(第1の実施の形態の図1参照)の上部には、被選別物が機体外部から投入される投入部55が設けられており、投入部55の機体前方寄り外縁部には、投入される被選別物を受けて篩装置本体46の内側方向に導くように上方に拡開して設けられたホッパ47が配置されている。
【0051】
篩装置本体46には、投入部55の外周に間隔を空けて立設された複数(本実施の形態では2本)の縦支柱部材303,304と、投入部55の外縁部よりも上方において複数の縦支柱部材303,304間を連結する部材であって作業安全帯のフック掛けが可能な横連結部材105とを備えた作業安全帯フック掛け装置300が備えられている。本実施の形態では、投入部55の機体左側の前後端部に2本の縦支柱部材303,304を設けた場合を示している。
【0052】
篩装置本体46の投入部55の外周であって、ホッパ支持体47aの機体左側(図7中右側)前後端部付近には、縦支柱部材303,304をそれぞれ立設姿勢で挿入して保持する保持孔301c,302cを有する保持部材301,302がそれぞれ支持部材301a,301b、及び、支持部材302a,302bを介して取り付けられている。この保持部材301,302は、機体幅方向において、輸送制限幅よりも内側に配置されている。また、保持部材301,302は、機体高さ方向において、投入部55の外縁部よりも低くなるよう配置されている。
【0053】
縦支柱部材303,304は、保持部材201,202の保持孔201c,202c内に挿入可能な外形の円筒形状を有しており、その長手方向の下端部付近には、固定用突起303c,303cが設けられている。また、保持部材301,302の下端部には、固定用突起303c,303cを保持して縦支柱部材303,304を保持部55上に立設するための切り込み301d,302dが設けられている。切り込み301d,302dは、縦支柱部材303,304の下端部から上方に延在する部分と、軸周り方向下側に向って延在する反し部とからなる、例えば、逆さJ字形状を有している。そして、縦支柱部材303,304を上方に移動して固定用突起303c,303cを切り込み301d,302dに通して(図8参照)、反し部に嵌め込むことにより(図9参照)、縦支柱部材303,304を投入部55の外周に立設する。なお、第1の実施の形態と同様に、縦支柱部材303,304の上端部には、横連結部材105が接続されており、投入部55の底部(篩装置本体46の内側に固定された図示しない篩部材上など)に立った一般成人の直立姿勢における腰高やそれよりも高い位置(例えば、胸部高さ)となるように設けられている。
【0054】
また、縦支柱部材203,204の上端側であって、横連結部材105の接続部よりも下側には、保持孔301c、302cの内径よりも大きいストッパ303a,304aが設けられており、縦支柱部材303,304をストッパ303a,304a部分まで挿入することができる。このとき、縦支柱部材203,204の上端部が投入部55の外縁部よりも低い位置まで下がるように保持部材301,302は配置されている。
【0055】
このように構成された作業安全帯フック掛け装置300は、縦支柱部材303,304を保持部材301,302に挿入した状態で保持し、固定用突起303c,303cを保持部材301,302の切り込み301d,302dに嵌め込むことにより、篩装置3上、すなわち、投入部55上に展開される。また、保持部材301,302の切り込み301d,302dから固定用突起303c,303cを外して縦支柱部材303,304をストッパ303a,304a部分まで下げることにより篩部材3上から格納される。したがって、格納時の作業安全帯フック掛け装置300は、輸送制限幅と輸送制限高さの範囲内に格納される。
【0056】
その他の構成は、本発明の第1の実施の形態と同様である。
【0057】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0058】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態を図11〜図13を参照しつつ説明する。
【0059】
図11は、本実施の形態に係る自走式振動スクリーンの全体構成を示す側面図、図12は投入部を構成するホッパ部分を抜き出して前方向から見た場合を示す図、図13は篩装置本体付近を拡大して示す側面図であり、図11及び図12は作業安全帯フック掛け装置を投入部上に展開した状態、図13は格納した状態をそれぞれ示している。図中、第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。なお、以下において、図11及び図13における左・右に対応する方向を自走式振動スクリーンの前・後とする。
【0060】
図11〜図13において、本実施の形態の篩装置本体46の上部には、被選別物が機体外部から投入される投入部55が設けられており、投入部55の機体前方寄り外縁部には、投入される被選別物を受けて篩装置本体46の内側方向に導くように上方に拡開して設けられたホッパ47が配置されている。
【0061】
篩装置本体46には、投入部55の外周に間隔を空けて立設された複数(本実施の形態では2本)の縦支柱部材403,404と、投入部55の外縁部よりも上方において複数の縦支柱部材203,204間を連結する部材であって作業安全帯のフック掛けが可能なに設けられた横連結部材105とを備えた作業安全帯フック掛け装置400が備えられている。
【0062】
篩装置本体46の投入部55の外周であって、ホッパ支持体47aの機体左側(図11中手前側)前後端部付近には、縦支柱部材403,404を前後方向に回動可能に支持する支持軸401,402が設けられている。この支持軸401,402は、縦支柱部材403,404を前後方向に回動可能に保持する保持部材である。
【0063】
作業案全体フック掛け装置400の展開状態(図11参照)において、縦支柱部材403の支持軸401よりも下端部側の機体後側に接する位置には、縦支柱部材403の下端部側の機体後方向への回動を抑制する(すなわち、縦支柱部材403の支持軸401よりも上端部側の機体前方への回動を抑制する)展開位置保持部材406aが設けられており、縦支柱部材403は、展開位置固定ネジ406bにより機体前方側から展開位置保持部材406aに固定されている。展開位置固定ネジ406bを外して縦支柱部材403を開放し、縦支柱部材403の上端部側を機体後方側に回動することにより作業案全体フック掛け装置400の格納状態(図13参照)とする。ホッパ支持体47aの支持軸401の機体後方側には、縦支柱部材403の支持軸401よりも上端部側の機体下側への回動を抑制する格納位置保持部材406cが設けられている。
【0064】
縦支柱部材404も同様である。すなわち、縦支柱部材404の支持軸402よりも下端部側の機体後側に接する位置には、縦支柱部材404の下端部側の機体前方向への回動を抑制する(すなわち、縦支柱部材404の支持軸402よりも上端部側の機体後方への回動を抑制する)展開位置保持部材407aが設けられており、縦支柱部材404は、展開位置固定ネジ407bにより機体後方側から展開位置保持部材407aに固定されている。展開位置固定ネジ407bを外して縦支柱部材404を開放し、縦支柱部材404の上端部側を機体後方側に回動することにより作業案全体フック掛け装置400の格納状態(図13参照)とする。ホッパ支持体47aの支持軸402の機体前方側には、縦支柱部材404の支持軸402よりも上端部側の機体下側への回動を抑制する格納位置保持部材407cが設けられている。
【0065】
なお、第1の実施の形態と同様に、縦支柱部材403,404の上端部には、横連結部材105が接続されており、投入部55の底部(篩装置本体46の内側に固定された図示しない篩部材上など)に立った一般成人の直立姿勢における腰高やそれよりも高い位置(例えば、胸部高さ)となるように設けられている。
【0066】
このように構成された作業安全帯フック掛け装置400は、縦支柱部材403,404を回動させて展開姿勢とし、展開位置固定ネジ407bにより展開位置保持部材407aに固定することにより篩装置3上、すなわち、投入部55上に展開される。また、展開位置固定ネジ407bを外して縦支柱部材404を開放し、縦支柱部材404の上端部側を機体後方側に回動し、格納位置保持部材407cで保持することにより作業案全体フック掛け装置400を格納する。
【0067】
その他の構成は、本発明の第1の実施の形態と同様である。
【0068】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
<第5の実施の形態>
本発明の第5の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施の形態では、自走式処理機として、自走式破砕機を例に挙げて説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態に示した作業安全帯フック掛け装置を自走式破砕機に適用したものである。
【0070】
図14は本実施の形態に係る自走式破砕機の全体構成を示す側面図であり、図15はホッパ部分を拡大して示す側面図、図16は後面図である。図中、第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。なお、図16において、機体前側の縦支柱部材503に関する構成については図中に括弧書きで示している。また、以下において、図14における左・右に対応する方向を自走式破砕機の後・前とする。
【0071】
図14〜図16において、本実施の形態の破砕機は、自力走行を可能にする走行体601と、走行体601上に設けられ、投入部655により受け入れた被処理物(被破砕物)に破砕処理を施す処理装置603と、処理装置603処理された処理物(破砕物)を搬送し機外に排出する排出コンベヤ605と、自走式破砕機に搭載された各機器の動力源であるエンジン等を備えた動力装置(パワーユニット)604などによって概略構成されている。
【0072】
走行体601は、トラックフレーム606と、このトラックフレーム606の前後両端部に設けた駆動輪608及び従動輪609と、出力軸を駆動輪608の軸に連結した駆動装置(図示せず)と、駆動輪608及び従動輪609に掛け回した履帯(無限軌道履帯)607とを備えている。また、トラックフレーム606上には本体フレーム610が設けられており、この本体フレーム610によって、処理装置603、排出コンベヤ605及び動力装置604等が支持されている。なお、走行装置601は、図示したような無限軌道履帯607により走行する構成(クローラ式)に代えて、複数のタイヤにより走行する構成(ホイール式)等にしても良い。
【0073】
投入部655は、被選別物が機体外部から投入されるところであり、投入部655の外縁部には、投入される被選別物を受けて投入部655の内側方向に導くように上方に拡開して設けられたホッパ647が配置されている。ホッパ647は、本体フレーム610の上部にホッパ支持体647aを介して支持されている。また、投入部655の内側には、投入部655に受け入れられた被破砕物を破砕装置603に搬送するグリズリフィーダ(図示せず)が設けられており、フィーダ用油圧モータなどの加振機611によって加えられる振動を利用して、被破砕物を破砕装置603に向けて搬送する複数のグリズリバーが収納されている。グリズリバーは、本体フレーム610の幅方向に複数配置された櫛を並べて設けられており、その櫛の間隔より小さい被破砕物(細粒(いわゆるズリ))をふるい落とし、この櫛歯から落下した細粒等はグリズリバーの下方に設けられたシュートを介して排出コンベヤ605上に導かれる。
【0074】
処理装置603は、機体後側上方に設けられた投入部655内に投入されグリズリフィーダ(図示せず)により搬送された被破砕物を破砕するものであり、例えば、投入部655の前方かつ下方の位置となるよう本体フレーム610の長手方向中央付近に搭載されている。破砕装置603としては、例えば、固定歯と揺動する動歯とによって破砕室を形成し、この破砕室に導入された被破砕物をその固定歯と動歯とによって噛み砕くように破砕して下方の排出口から排出コンベヤ605上に排出する形態のジョークラッシャーなどが挙げられる。
【0075】
動力装置604は、破砕装置603より更に前方側の本体フレーム610上に位置するよう設けられており、内部には、走行体601や破砕装置603、排出コンベヤ605などに設けられた各油圧アクチュエータを駆動する油圧源としての油圧ポンプや、それらを駆動するディーゼルエンジンなど(ともに図示せず)が内蔵されている。
【0076】
排出コンベヤ605は、破砕装置603から排出された破砕物をフレーム内に収納された搬送ベルト(図示せず)で機体前方に搬送して機外に排出するものである。排出コンベヤ605は、破砕装置603の下方であって左右一対のトラックフレーム606の間から動力装置604の下方を通るよう設けられ、さらにそこからホッパ647や動力装置604の上端部と同程度の高さまで機体前方に向かって斜めに立ち上がるよう上り傾斜に形成されている。搬送ベルトは、排出コンベヤ605前後方向における両端に設けられた従動輪及び駆動輪(ともに図示せず)に巻回されており、駆動輪によって循環駆動され破砕物を機体前方側に搬送する。
【0077】
動力装置604の後側に隣接する領域であって、破砕装置603の前方から側方にかけての機体上面部には、作業者が破砕装置603や受入部655に上方からアクセスするための作業フロア617が設けられている。作業フロア617は、破砕装置603および動力装置4の上面よりも低く形成されており、その領域の機体側面との境界部分にはその境界に沿うように手摺618が立設されている。手摺618は、作業フロア617に立った一般成人の直立姿勢における腰高やそれよりも高い位置(例えば、胸部高さ)となるよう設けられている。この手摺618は作業安全帯のフックが連結可能に設けられており、作業者は作業フロア617において作業案全帯を用いて作業を行うことができる。
【0078】
走行体601の前方側上方には、キースイッチ、エンジンコントロールダイアル、或いは、各部の動作制御用スイッチ等が配置された操作盤616が設けられている。また、操作盤616の後方側に隣り合う位置、すなわち、機体の前後方向における中央付近(破砕装置603などが設けられた位置)の機体側面部であって走行体601の上方には、作業者が作業フロア617にアクセスするためのメンテナンス用ラダー614が設けられている。また、走行体601及び操作盤616の前方側に隣り合う位置であって動力装置604の下方には、作業者が動力装置604にアクセスするためのメンテナンス用ラダー615が設けられている。
【0079】
投入部655には、その外周に間隔を空けて立設された複数の縦支柱部材503,504と、投入部655の外縁部よりも上方において複数の縦支柱部材503,504間を連結する部材であって作業安全帯のフック掛けが可能な横連結部材505とを備えた作業安全帯フック掛け装置500が備えられている。本実施の形態では、投入部655の機体右側の前後端部に2本の縦支柱部材503,504を設けた場合を示している。
【0080】
投入部655の外周であって、ホッパ支持体647aの機体右側(図14中手前側)前後端部付近には、縦支柱部材503,504をそれぞれ立設姿勢で挿入して保持する保持孔501c,502cを有する保持部材501,502がそれぞれ支持部材501a,501b、及び、支持部材502a,502bを介して取り付けられている。この保持部材501,502は、機体幅方向において、輸送制限幅よりも内側に配置されている。また、保持部材501,502は、機体高さ方向において、投入部655の外縁部よりも低くなるよう配置されている。
【0081】
縦支柱部材503,504は、保持部材501,502の保持孔501c、502c内に挿入可能な外径の円筒形状を有しており、その長手方向の中央付近に、保持孔501c,502cの内径よりも大きいストッパ503a,504aが設けられている。縦支柱部材503,504のストッパ503a,504aより下端側を保持孔501c,502cに挿入することにより、縦支柱部材503,504を投入部655の外周に立設する。縦支柱部材503,504の上端部には、連結部503a,504aを介して横連結部材505が接続されており、投入部655の内側(投入部655の底部に固定された図示しないグリズリフィーダ上など)に立った一般成人の直立姿勢における腰高やそれよりも高い位置(例えば、胸部高さ)となるように設けられている。横連結部材105は、作業安全帯のフック掛けが可能な部材であり、図1等に示すようなチェーンやワイヤー等の紐状部材の他、棒状の部材であっても良い。
【0082】
このように構成された作業安全帯フック掛け装置500は、縦支柱部材503,504を保持部材501,502に挿入することにより投入部655上に展開され、保持部材501,502から抜き出すことにより投入部655上から格納される。したがって、格納時の作業安全帯フック掛け装置500(つまり、保持部材501,502)は、輸送制限幅と輸送制限高さの範囲内に格納される。なお、縦支柱部材103,104の保持部材101,102への挿入作業、および保持部材101,102からの抜き取り作業は、作業者が地上から行うことができる。
【0083】
以上のように構成した本実施の形態の動作および作用・効果を説明する。
【0084】
破砕作業時において、例えば油圧ショベル等の投入重機でホッパ内に被破砕物が投入部655に投入されると、被破砕物がグリズリフィーダ等の搬送手段により破砕装置603へと導かれ、破砕処理を施されて下方の排出口から排出コンベヤ605上に排出される。破砕装置603から排出コンベヤ605上に排出された破砕物は、搬送ベルトで機体前方に搬送され、自走式破砕機前方から機外に排出される。
【0085】
このような自走式破砕機においては、投入部655(ホッパ547やグリズリフィーダ等)に付着した土砂などの被処理物を除去したり、詰まった被処理物を除去したりするメンテナンス作業(清掃作業)を適宜行う必要がある。しかしながら、従来技術の自走式振動スクリーンにおいては、投入部の周辺には、作業安全帯のフックを掛ける場所が無いため、作業者が投入部内に入ってメンテナンス作業を行うことができず、メンテナンス作業用に停止制御を施したコンベヤ上や、機体脇に築かれる処理物の山の上などから道具を用いてメンテナンス作業を行う必要があった。従って、作業者の位置から届かない部位があったり、細部のメンテナンスが困難であったりして、作業性が著しく低下してしまうという問題があった。
【0086】
これに対し、本実施の形態においては、処理装置で処理される被処理物が機体外部から投入される投入部655の外周に間隔を空けて複数の縦支柱部材503,504を立設し、投入部655の外縁部よりも上方において複数の縦支柱部材503,504間を作業安全帯のフック掛けが可能な横連結部材505で連結するよう構成したので、作業者が横連結部材505に作業安全帯のフックを掛けた状態で投入部655内に入ってメンテナンス作業を行うことができ、したがって、自走式処理機における投入部655のメンテナンス作業の作業性を向上することができる。
【0087】
なお、本発明の実施の形態においては、2つの縦支柱部材を機体の左右片側に設け、これらを横連結部材で連結するように構成したが、これに限られず、実施例に示した側と反対側に縦支柱部材を設けるように構成しても良く、左右両側に縦支柱部材を設けるように構成しても良い。また、機体片側に2つの縦支柱部材を設けるように構成したが、これに限られず、3本以上の縦支柱部材を設け、これらを横連結部材で連結するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0088】
1,601 走行体
2,605 排出コンベヤ
3,603 処理装置
4,604 動力装置(パワーユニット)
11,610 本体フレーム
46 篩装置本体
47,647 ホッパ
47a,647a ホッパ支持体
49,614 メンテナンス用ラダー
51,616 操作盤
55,655 投入部
100,200,300,400,500 作業安全帯フック掛け装置
101,201,301,401,501 保持部材
102,202,302,402,502 保持部材
103,203,303,403,503 縦支柱部材
104,204,304,404,504 縦支柱部材
105,505 横連結部材
617 作業フロア
618 手摺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の走行体を備えた本体フレームと、
前記本体フレーム上に設けた処理装置と、
前記走行体及び前記処理装置を駆動する動力源と、
前記処理装置で処理される被処理物が機体外部から投入される投入部と、
前記投入部の外周に間隔を空けて立設された複数の縦支柱部材と、
前記投入部の外縁部よりも上方において前記複数の縦支柱部材間を連結する部材であって作業安全帯のフック掛けが可能な横連結部材と
を備えたことを特徴とする自走式処理機の作業安全帯フック掛け装置。
【請求項2】
請求項1記載の自走式処理機の作業安全帯フック掛け装置において、
前記投入部の外周であって、前記自走式処理機における機体の輸送制限幅よりも内側に配置され、前記縦支柱部材を立設姿勢で挿入して保持する保持孔を有し、前記縦支柱部材を前記保持孔に挿入することによる前記作業安全帯フック掛け装置の展開、及び、前記縦支柱部材を前記保孔から抜き取ることによる格納が可能な保持部材を備えたことを特徴とする自走式処理機の作業安全帯フック掛け装置。
【請求項3】
請求項1記載の自走式処理機の作業安全帯フック掛け装置において、
前記投入部の外周であって、前記自走式処理機における機体の輸送制限幅よりも内側に配置され、前記縦支柱部材を立設姿勢で上下方向に摺動可能に保持し、前記縦支柱部材を上方向に摺動することによる前記作業安全帯フック掛け装置の展開、及び、前記縦支柱部材を下方向に摺動することによる格納が可能な保持部材を備えたことを特徴とする自走式処理機の作業安全帯フック掛け装置。
【請求項4】
請求項1記載の自走式処理機の作業安全帯フック掛け装置において、
前記投入部の外周であって、前記自走式処理機における機体の輸送制限幅よりも内側に配置され、前記縦支柱部材を機体前後方向に回動可能に保持し、前記縦支柱部材を回動して立設姿勢にすることによる前記作業安全帯フック掛け装置の展開、及び、前記縦支柱部材を回倒することによる格納が可能な保持部材を備えたことを特徴とする自走式処理機の作業安全帯フック掛け装置。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか1項に記載の自走式処理機の作業安全帯フック掛け装置において、
地上からの展開及び格納が可能であることを特徴とする自走式処理機の作業安全帯フック掛け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−66622(P2013−66622A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208133(P2011−208133)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】