説明

自走式処理機

【課題】輸送時の機体高さを上昇させることなく、スクレーパを適正な角度でコンベヤベルトに接触させ、ベルトコンベヤの負荷増大を抑制する。
【解決手段】ベルトコンベヤ11を有する自走式処理機において、コンベヤベルト23の戻り面23bに対向しピン41を中心に回動するようにコンベヤフレーム21に取り付けた揺動フレーム31と、ベルトコンベヤ11のヘッドプーリ22から離れた位置でコンベヤベルト23の戻り面23bに対向するように揺動フレーム31に設けたスクレーパ32と、ピン41を挟んでスクレーパ32の反対側に位置するように揺動フレーム31に設けたウェイト33と、スクレーパ32との間にコンベヤベルト23の戻り面23bが介在するようにコンベヤフレーム21に設けた裏当て部材34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベヤを有する自走式処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
自走式スクリーンは、例えば建設現場で発生する大小様々な岩石・建設廃材等を選別装置(処理装置)によって所定の大きさに分級することによって工事の円滑化やコスト削減を図るものである(特許文献1等参照)。自走式処理機には、この自走式スクリーンの他、被破砕物を破砕する破砕装置を処理装置として搭載した自走式破砕機、改質対処土砂を固化材等と混合する混合装置を処理装置として搭載した自走式土質改良機等があり、いずれも処理装置から排出された処理物をベルトコンベヤによって機体外部に搬出するようになっている。
【0003】
こうした自走式処理機においては、コンベヤベルト上の処理物の一部がベルト上面には付着したままコンベヤの放出端で放出されずにベルトコンベヤの下部側に回り込むと、コンベヤベルトを支持する各種ローラに処理物が噛み込んだり、ベルト戻り面から処理物が落下して飛散したりすることがある。
【0004】
そこで、ベルトコンベヤの放出端側のプーリのところでベルト表面にスクレーパを当て、ベルト表面のスクレーパで付着物を掻き落とすものがある(特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−142765号公報
【特許文献2】特開2002−266371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、自走式処理機は、トレーラ等の荷台に載せて輸送することができるように輸送制限寸法に収まるように構成する必要がある。その一方で、処理物を搬出するベルトコンベヤは、傾斜角を一定の範囲に抑えつつもできるだけ排出高さを確保する必要があり、できるだけ長く構成することが望まれる。そこで、比較的大型の自走式処理機においては、特許文献1の自走式スクリーンのようにベルトコンベヤを折り畳んで輸送姿勢をとるものもある。
【0007】
ところで、コンベヤ下部にスクレーパを設けた場合、ベルトコンベヤの先端側を折り返す輸送姿勢ではスクレーパがベルトコンベヤの上に来る。しかも、ベルトコンベヤの折り返し部分は、折り返された姿勢において先端に向かって上り傾斜とならざるを得ない場合、放出端のプーリに対向してスクレーパを設置すると、輸送姿勢時にはスクレーパが機体の最も高い位置となり得る。スクレーパは比較的小さな構成要素ではあるが、そもそも大型の自走式処理機を輸送制限寸法に収めることは容易なことではなく、輸送制限を満たすために既に様々な工夫を重ねてきた実情から、他の構成要素の構成を変更してスクレーパの高さ分だけ機体全体を低くすることは容易いことではない。
【0008】
そこで、上記の構成にあっては、放出端のプーリから離れた位置にスクレーパを設置し、ベルトコンベヤの先端部を折り返した際に、ベルトコンベヤの放出端よりもスクレーパが低位置となるようにすることが考えられる。
【0009】
ところが、放出端から離れた位置にスクレーパを設置するに当たって、例えばコンベヤベルトに対する十分な接触力を確保するためにスクレーパをコンベヤベルトに向かってバネ等で付勢する構成を採ろうとすると、処理作業中、コンベヤベルトがスクレーパによって押し上げられ、コンベヤベルトの撓み方によっては、コンベヤベルトに対するスクレーパの接触角度が意図した角度にならないことも想定される。スクレーパの接触角度によっては、例えばスクレーパの刃先に付着する処理物が上手く掻き落とされずに成長し、甚だしい場合にはベルト表面にスクレーパが摺接しなくなってスクレーパが機能しなくなることもある。この場合、ベルトコンベヤの負荷増大を招く恐れがある。
【0010】
本発明の目的は、輸送時の機体高さを上昇させることなく、スクレーパを適正な角度でコンベヤベルトに接触させ、ベルトコンベヤの負荷増大を抑制することができる自走式処理機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、第1の発明は、走行装置と、この走行装置上に設けた本体フレームと、この本体フレーム上に設けた処理装置と、この処理装置から排出された処理物を搬送し排出するベルトコンベヤとを備え、前記ベルトコンベヤが、左右のコンベヤフレームと、これらコンベヤフレームの処理物搬送方向の上流側に設けたテールプーリと、前記コンベヤフレームの処理物搬送方向の下流側に設けたヘッドプーリと、前記テールプーリ及び前記ヘッドプーリに掛け回したコンベヤベルトとを有する自走式処理機において、運転時に上を向く面であって前記処理装置から排出される処理物を受け止めて搬送する面を前記コンベヤベルトの搬送面、運転時に下を向く面であって前記ヘッドプーリで返転して前記テールプーリに向かって戻る面を前記コンベヤベルトの戻り面とした場合、前記コンベヤベルトの戻り面に対向し、前記コンベヤベルトの幅方向に延びる回転中心周りに回動するように、前記コンベヤフレームに取り付けた揺動フレームと、前記ヘッドプーリから離れた位置で前記コンベヤベルトの戻り面に対向するように、前記揺動フレームに設けたスクレーパと、前記回転中心を挟んで前記スクレーパの反対側に位置するように前記揺動フレームに設けたウェイトと、前記スクレーパとの間に前記コンベヤベルトの戻り面が介在するように前記コンベヤフレームに設けた裏当て部材とを備えたことを特徴とする。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記走行装置に対して前記ベルトコンベヤの処理物搬送方向の下流側で前記ベルトコンベヤの下側の位置にパワーユニットを備え、前記スクレーパは、前記パワーユニットよりも前記ヘッドプーリ寄りに設けられていることを特徴とする。
【0013】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記ベルトコンベヤは、前記ヘッドプーリを含むその下流部が、その上流部に対して上方に折曲可能に構成されており、前記スクレーパ、前記揺動フレーム、前記ウェイト及び前記裏当て部材は、前記ベルトコンベヤの当該下流部に設置されていることを特徴とする。
【0014】
第4の発明は、第3の発明において、前記スクレーパ、前記揺動フレーム、前記ウェイト及び前記裏当て部材は、前記ベルトコンベヤの下流部を上方に折曲させた輸送姿勢のとき、前記ヘッドプーリよりも低位置となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、輸送時の機体高さを上昇させることなく、スクレーパを適正な角度でコンベヤベルトに接触させ、負荷増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の自走式処理機の一実施形態である自走式スクリーンの作業姿勢時の全体構成を表す斜視図である。
【図2】本発明の自走式処理機の一実施形態である自走式スクリーンの作業姿勢時の全体構成を表す側面図である。
【図3】本発明の自走式処理機の一実施形態である自走式スクリーンの輸送姿勢時の全体構成を表す側面図である。
【図4】本発明の自走式処理機の一実施形態である自走式スクリーンに備えられたベルトコンベヤの下流部を拡大して表す側面図である。
【図5】本発明の自走式処理機の一実施形態である自走式スクリーンに備えられたベルトコンベヤの下流部を幅方向の中央部で切断した側断面図である。
【図6】本発明の自走式処理機の一実施形態である自走式スクリーンに備えられたベルトコンベヤの下流部を幅方向の中央部で切断した断面斜視図である。
【図7】本発明の自走式処理機の一実施形態である自走式スクリーンに備えられたベルトコンベヤの下流部を斜めに仰ぎ見た図である。
【図8】本発明の自走式処理機の一実施形態である自走式スクリーンに備えられたベルトコンベヤの下流部の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0018】
本実施形態では、例えば建設現場で発生する大小様々な岩石・建設廃材等を篩装置(処理装置)によって所定の大きさに分級することによって工事の円滑化やコスト削減を図る自走式スクリーンに本発明を適用した場合を例に挙げて説明するが、この自走式スクリーンの他、被破砕物を破砕する破砕装置を処理装置として搭載した自走式破砕機、改質対処土砂を固化材等と混合する混合装置を処理装置として搭載した自走式土質改良機等、他の自走式処理機にも本発明は適用可能である。本発明の適用対象は、篩装置を含む選別装置、破砕装置、混合装置等の各種処理装置から排出された処理物をベルトコンベヤによって機体外部に搬出するタイプの自走式処理機である。
【0019】
図1は本発明の自走式処理機の一実施形態である自走式スクリーンの全体構成を表す斜視図、図2及び図3は図1の振動スクリーンの側面図である。図1及び図2では自走式スクリーンの作業姿勢を表し、図3では輸送姿勢を表している。以下の説明において、図2中の左側を自走式スクリーンの前方、右側を自走式スクリーンの後方とする。
【0020】
図1−図3に示した自走式スクリーンは、走行装置1と、この走行装置1上に設けた本体フレーム2と、この本体フレーム2の一方側(後部)に設けた回動軸3と、この回動軸3を介して本体フレーム2に傾動可能に設けた傾動フレーム4と、この傾動フレーム4上にばね部材5を介して取り付けた処理装置である振動式の篩装置6と、この篩装置6上に設けたホッパ12と、篩装置6で篩い分けられた処理物(選別物)を機外に搬送し機外に排出する第1−第3排出コンベア(ベルトコンベヤ)7,8,11と、動力源を内蔵したパワーユニット10とを備えている。
【0021】
第1排出コンベア7は、本体フレーム2の一方側に後方に向かって上り傾斜に設けられ、篩装置6の上段の網上に残った第1設定粒度よりも大きな選別対象物を後方に排出する。
【0022】
第2排出コンベア8は、本体フレーム2の一方側に左方向に上り傾斜に設けられ、篩装置6の下段の網上に残った第2設定粒度よりも大きな粒度の処理物を左側方へ排出する。
【0023】
第3排出コンベア11は、傾動フレーム4の下部に沿わせて前方に上り傾斜に配設され、先端が傾動フレーム4の他方側(前方)に突出している。この第3排出コンベア11は、篩装置6の下段の網を通過した第2設定粒度よりも小さな選別対象物を前方に排出する。第3排出コンベヤ11は、ヘッドプーリ22(図4等で後述)を含むその下流部11Aが、その上流部11Bに対して上方に折曲可能に構成されている(図3参照)。図3に示した輸送姿勢のとき、第3排出コンベヤ11の下流部11Aは、戻り面(後述)側を上に向けた状態で、上流側の部分13との連結部から先端に向かって上方に傾斜した姿勢をとる。また、シリンダ14を縮めて回動軸3を支点に傾動フレーム4を倒伏させ、第3排出コンベヤ11、篩装置6及びパワーユニット10等からなるユニットを、図1及び図2に示す作業姿勢のときに比べて全体的に低くしている。
【0024】
パワーユニット10は、走行装置1に対して第3排出コンベヤ11の処理物搬送方向の下流側で第3排出コンベヤ11の下側の位置に設けられている。具体的には、傾動フレーム4の自由端側の下部に設けた支持部材9に、ボルト等で固定される取り付けブラケット(図示せず)を介して吊り下げ支持されており、篩装置6の最上流部(前端部)の下側に位置している。
【0025】
この振動スクリーンで篩い分け処理される選別対象物は、例えばコンクリート塊、土石、砂利等であり、ホッパ12を介して選別対象物は篩装置6によって篩分けられ、上述のように粒度の大きな処理物は第1排出コンベア7によって、中程度の粒度の処理物は第2排出コンベア8によって、粒度の小さな処理物は第3排出コンベア11によって、それぞれ機外に排出される。第3排出コンベア11によって排出される粒度の小さな選別対象物や、第2排出コンベア8によって排出される中程度の選別対象物は、例えば建設資材等に再活用される。第1排出コンベア7によって排出される粒度の大きな選別対象物は、例えば破砕機(図示せず)で破砕された後、再びホッパ12から篩装置6に投入されて篩い分けられたりする。
【0026】
図4は第3排出コンベヤ11の下流部11Aを拡大して表す側面図、図5及び図6は幅方向の中央部で切断した下流部11Aの側断面図及び断面斜視図、図7は第3排出コンベヤ11の下流部11Aを斜めに仰ぎ見た図、図8は第3排出コンベヤ11の下流部11Aの下面図である。
【0027】
図4−図8に示したように、第3排出コンベヤ11は、左右のコンベヤフレーム21と、コンベヤフレーム21の前端(処理物搬送方向の下流側)に回転自在に設けたヘッドプーリ22と、コンベヤフレーム21の後端(処理物搬送方向の上流側)に回転自在に設けたテールプーリ(図示せず)と、ヘッドプーリ22及びテールプーリに掛け回したコンベヤベルト23と、ヘッドプーリ22の両端に連結した左右の排出コンベヤ用油圧モータ24とを備えており、同一方向に同一回転速度で回転する左右の排出コンベヤ用油圧モータ24でヘッドプーリ22を駆動することによってヘッドプーリ22及びテールプーリ間でコンベヤベルト23を循環駆動させる。
【0028】
なお、以下の説明において、運転時に上を向く面であって篩装置6から排出される処理物を受け止めて搬送する面をコンベヤベルト23の搬送面23a、運転時に下を向く面であってヘッドプーリ22で返転してテールプーリに向かって戻る面をコンベヤベルト23の戻り面23bとする。なお、コンベヤベルト23のヘッドプーリ22及びテールプーリに接する部分は返転部23cとして搬送面23a及び戻り面23bとは区別する。
【0029】
コンベヤベルト23の搬送面23aは、処理物搬送方向に間隔を持って配置された複数の支持ローラ25によって下から支持され、かつ幅方向の中央が窪んだ樋状に曲成されている。支持ローラ25は左右のコンベヤフレーム21に渡されたビーム26上のブラケット27によって回転自在に支持されている。また、コンベヤベルト23の戻り面23bは、処理物搬送方向に間隔を持って配置された複数のリターンローラ(図示せず)によって下から支持されている。戻り面23bは、搬送面23aと異なり、リターンローラによって平面的に支持されている。
【0030】
ここで、本実施形態においては、コンベヤベルト23の表面に付着した処理物を掻き落とす掻き取り装置30が第3排出コンベヤ11の下流部11Aに設置されている。
【0031】
掻き取り装置30は、揺動自在な揺動フレーム31と、この揺動フレーム31に設けたスクレーパ32と、このスクレーパ32をコンベヤベルト23の戻り面23bに押し付けるためのウェイト33と、このウェイト33により押し上げられるコンベヤベルト23の戻り面23bを押さえる裏当て部材34とを備えている。
【0032】
揺動フレーム31は、コンベヤベルト23の戻り面23aに対向し、ピン41(本例では段付きボルト)を介してコンベヤフレーム21に対して連結されている。揺動フレーム31は、左右のサイドフレーム42と、スクレーパ32を保持する保持フレーム43とでコの字状(ロの字状でも良い)に形成されている。左右のサイドフレーム42は、例えばフラットバーで構成されており、それぞれコンベヤベルト23の戻り面23bの左右のエッジ部近傍において戻り面23bに沿って延びている。これら左右のサイドフレーム42は、それぞれピン41でコンベヤフレーム21の内壁に対して連結されており、左右のピン41により形成されるコンベヤベルトの幅方向に延びる回転中心を支点(ピン41に代えてボルトを用いても良い)に回動可能な構成である。一方、保持フレーム43は、スクレーパ32を挟み込む1枚の押さえ板からなり、左右のサイドフレーム43の前端部間に渡されていて、コンベヤベルト23の幅方向に延在している。
【0033】
スクレーパ32は、例えば板ゴムで構成されており、コンベヤベルト23の幅方向に延在していて、戻り面23bの幅全域をカバーしている。このスクレーパ32は、ヘッドプーリ22から離れた位置で、かつパワーユニット10よりもヘッドプーリ22寄りの位置で、コンベヤベルト23の戻り面23bに対向している。また、本実施形態の場合、スクレーパ32は、第3排出コンベヤ11の側断面において、戻り面23bに対してほぼ垂直に当接するように構成してある(図5参照)が、保持フレーム43によって、戻り面23bに向かってヘッドプーリ22側、若しくはテールプーリ側に傾斜した姿勢で設ける場合もあり得る。
【0034】
ウェイト33は、ピン41による回転中心を挟んでスクレーパ32の反対側に位置するように揺動フレーム31に設けられており、本実施形態では左右のサイドフレーム42の後端部間に鋼材を渡して形成してある。ウェイト33は、ピン41を中心に揺動フレーム31にモーメントを与えてスクレーパ32をコンベヤベルト23の戻り面23bに押し付ける役割を果たすもので、相応の重量を持つものであれば材質や形状は特別に限定されない。
【0035】
裏当て部材34は、スクレーパ32との間にコンベヤベルト23の戻り面23bが介在するようにコンベヤフレーム21に固定的に設けられていて、スクレーパ32が所定の角度(本例の場合はほぼ垂直)に当たった状態の戻り面23bの浮き上がりを押さえる役割を果たす。裏当て部材34は、裏当て部材34は、処理物搬送方向の両側(つまり前後両端)がコンベヤベルト23の戻り面23bから浮き上がるように曲成されており、これに摺接する戻り面23bを過度に傷付けないように配慮されている。
【0036】
以上のように、スクレーパ32、揺動フレーム31、ウェイト33及び裏当て部材34を備えた掻き取り装置30は、第3排出コンベヤ11の下流部11Aに設置されていて、第3排出コンベヤ11の下流部11Aを上方に折曲させた輸送姿勢のとき、ヘッドプーリ22よりも全体が低位置となるように構成されている。
【0037】
なお、ピン41の下方位置には、左右のコンベヤフレーム21間にビーム45が渡されていて、このビーム45の前面にL字型のストッパ46が設けられている。ストッパ46は、ピン41よりもヘッドプーリ22側の位置で左右のサイドフレーム42の下側に位置しており、例えば図3に示した輸送姿勢に移行した際に、スクレーパ32が戻り面23bから必要以上に離れ、またウェイト33が戻り面23bを必要以上に強く押さないように揺動フレーム31の回動動作を規制している。
【0038】
上記構成の自走式処理機においては、第3排出コンベヤ11の搬送面23a上の処理物は返転部23cで放出されて適宜の集積場所に集積されるが、一部は戻り面23bに付着してテールプーリ側に移動し得る。それに対して本実施形態では、ウェイト33によってスクレーパ32を戻り面23bに押し付けることで、戻り面23bに付着した一部の処理物をヘッドプーリ22近辺で掻き落とし、放出端から放出された処理物の山の斜面に落下させる。
【0039】
このとき、スクレーパ32は返転部23cではなく戻り面23bに当接しているので、所望のスクレーピング機能を確保すべく相応の重量のウェイト33を使用すると、スクレーパ32によって戻り面23bが撓んで押し上げられ得る。このように戻り面23bが撓むと、スクレーパ32と戻り面23bの接触角度が変化し、当初計画していたスクレーピング性能が発揮できなくなる可能性がある。
【0040】
そこで、戻り面23bを挟んでスクレーパ32と対向する位置に裏当て部材34を設けることで、戻り面23bの浮き上がりを抑え、スクレーパ32の戻り面23bに対する接触角度の変動を抑制することができる。このように、輸送時の機体高さを上昇させることなく、スクレーパ32を適正な角度でコンベヤベルト23の戻り面23bに接触させることができるので、スクレーピング性能を良好に発揮させることができ、第3排出コンベヤ11の負荷増大を抑制することができる。
【0041】
加えて、本実施形態の自走式スクリーンは、トレーラ等の荷台に載せて輸送する際に図3に示した輸送姿勢をとる。図3に示した通り、輸送姿勢では第3排出コンベヤ11の下流部11Aが上に折り返される。なおかつ、他の構成要素(篩装置6等)との干渉の関係で、第3排出コンベヤ11の下流部11Aは180度折り返される訳でもなく、戻り面23bを上に向けた状態でヘッドプーリ22に向かって上方に傾斜した姿勢となる。したがって、仮にコンベヤベルト23の返転部23cにスクレーパを接触させた場合には、輸送姿勢ではスクレーパがテールプーリ22よりも高位置にきてしまい、結果として輸送姿勢の全高が高まる恐れがある。
【0042】
これに対しては、本実施形態ではスクレーパ32をヘッドプーリ22から離してコンベヤベルト23の戻り面23bに接触させる構成を採用しつつも、前述したように十分なスクレーピング性能が発揮されるように工夫してあるので、スクレーパ32を含む掻き取り装置30は、輸送姿勢のときにヘッドプーリ22よりも低位置に収まり、輸送姿勢の全高に影響することもない。
【0043】
また、スクレーパ32は、パワーユニット10よりもヘッドプーリ22寄りの位置に設けられているので、スクレーパ32により掻き落とされた処理物のパワーユニット10上への落下を避けることができ、清掃やメンテナンスの作業負担を軽減することができる。
【0044】
なお以上においては、折り畳み式のベルトコンベヤに本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明は折り畳み機能を持たない通常のベルトコンベヤにも適用可能である。また、戻り面23bの浮き上がり防止のために板状の裏当て部材34を用いた場合を例に挙げて説明したが、例えばスクレーパ32と戻り面23bを挟んで対向するローラを設けて、このローラで戻り面23bを抑える構成とすることもできる。この場合には、裏当て部材と戻り面23bとの摩擦を軽減することができる。その他、掻き取り装置30の各構成要素も例示した態様に限定されず、発明の思想を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 走行装置
2 本体フレーム
6 篩装置(処理装置)
10 パワーユニット
11 第3排出コンベヤ(ベルトコンベヤ)
11A 下流部
11B 上流部
21 コンベヤフレーム
22 ヘッドプーリ
23 コンベヤベルト
23a 搬送面
23b 戻り面
31 揺動フレーム
32 スクレーパ
33 ウェイト
34 裏当て部材
41 ピン(回転中心)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置と、この走行装置上に設けた本体フレームと、この本体フレーム上に設けた処理装置と、この処理装置から排出された処理物を搬送し排出するベルトコンベヤとを備え、前記ベルトコンベヤが、左右のコンベヤフレームと、これらコンベヤフレームの処理物搬送方向の上流側に設けたテールプーリと、前記コンベヤフレームの処理物搬送方向の下流側に設けたヘッドプーリと、前記テールプーリ及び前記ヘッドプーリに掛け回したコンベヤベルトとを有する自走式処理機において、
運転時に上を向く面であって前記処理装置から排出される処理物を受け止めて搬送する面を前記コンベヤベルトの搬送面、運転時に下を向く面であって前記ヘッドプーリで返転して前記テールプーリに向かって戻る面を前記コンベヤベルトの戻り面とした場合、
前記コンベヤベルトの戻り面に対向し、前記コンベヤベルトの幅方向に延びる回転中心周りに回動するように、前記コンベヤフレームに取り付けた揺動フレームと、
前記ヘッドプーリから離れた位置で前記コンベヤベルトの戻り面に対向するように、前記揺動フレームに設けたスクレーパと、
前記回転中心を挟んで前記スクレーパの反対側に位置するように前記揺動フレームに設けたウェイトと、
前記スクレーパとの間に前記コンベヤベルトの戻り面が介在するように前記コンベヤフレームに設けた裏当て部材と
を備えたことを特徴とする自走式処理機。
【請求項2】
前記走行装置に対して前記ベルトコンベヤの処理物搬送方向の下流側で前記ベルトコンベヤの下側の位置にパワーユニットを備え、
前記スクレーパは、前記パワーユニットよりも前記ヘッドプーリ寄りに設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の自走式処理機。
【請求項3】
前記ベルトコンベヤは、前記ヘッドプーリを含むその下流部が、その上流部に対して上方に折曲可能に構成されており、
前記スクレーパ、前記揺動フレーム、前記ウェイト及び前記裏当て部材は、前記ベルトコンベヤの当該下流部に設置されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の自走式処理機。
【請求項4】
前記スクレーパ、前記揺動フレーム、前記ウェイト及び前記裏当て部材は、前記ベルトコンベヤの下流部を上方に折曲させた輸送姿勢のとき、前記ヘッドプーリよりも低位置となることを特徴とする請求項3に記載の自走式処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−51738(P2011−51738A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202808(P2009−202808)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)