説明

自走式土壌削孔採取装置

【課題】効率的に、削孔作業及び土壌サンプル採取作業を行う自走式土壌削孔装置を提供する。
【解決手段】走行手段3が設けられた台車4と、台車4の前方に取り付けられた支柱7と、支柱7に取り付けられ、支柱7に沿って上下移動すると共に、支柱7の軸線を中心に旋回するコアカッター11と、コアカッター11を回転駆動する第1の駆動部12と、支柱7においてコアカッター11より上部に取り付けられ、支柱7に沿って上下移動する土壌サンプラー15とを備え、コアカッター11により土壌の表層が削孔された後に、コアカッター11が旋回され、次いで、土壌サンプラー15により削孔された孔から土壌サンプルが採取されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌汚染調査等の土壌サンプルの採取時において、土壌の表層の削孔、特にコンクリート、石材、アスファルト等の舗装面への削孔及び土壌サンプルの採取を行うのに好適な自走式土壌削孔採取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、環境汚染が大きな社会問題となっており、中でも土壌の汚染については、各種金属や揮発性有機化合物等を含んでいる土壌に対する汚染状況の調査が全国的に急務となっている。
【0003】
このような土壌汚染調査を行うためには、調査区画内の幾つかの地点で、土壌サンプルを採取する必要がある。土壌サンプルの採取は、一般に、地表面から地表面下約50cmの土壌について行なわれる。しかし、調査対象地点によっては、土壌の表層がコンクリート、アスファルト、石材等によって舗装された舗装面である場合があり、その際には、土壌サンプルの採取を行うためにこれらの舗装面を削孔する必要がある。
【0004】
舗装面を削孔する削孔装置としては、特許文献1に示す自走式の削孔装置がある。この削孔装置は、自走式であるため、土壌調査対象区域が広範囲であっても、コアカッターにより舗装面等の削孔を簡単かつ容易に行うことができる。しかしながら、削孔後引き続き土壌サンプル採取作業を行う場合には、作業スペース及び安全性を確保するため、上記削孔装置を土壌サンプルを採取する削孔地点から移動させ、必要とされる位置まで退避させなければならない。このため、舗装面の削孔から土壌サンプルの採取までの作業を円滑に行うことができず、作業を効率的に行うことができない。また、上記削孔装置は、鉛直方向にのみ土壌の表層等の削孔を行うことはできるが、水平方向には削孔を行うことはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3532150号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、削孔作業後、連続して、土壌サンプルの採取作業を行うことができ、効率的に、削孔及び土壌サンプルの採取を行うことができる自走式土壌削孔採取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る自走式土壌削孔採取装置は、対象土壌の目標位置で土壌の表層を削孔し、削孔された孔から土壌サンプルを採取する自走式土壌削孔採取装置であって、走行手段が設けられた台車と、台車の前方に取り付けられた支柱と、支柱に取り付けられ、支柱に沿って上下移動すると共に、支柱の軸線を中心に旋回するコアカッターと、コアカッターを回転駆動する第1の駆動部と、支柱においてコアカッターより上部に取り付けられ、支柱に沿って上下移動する土壌サンプラーと、土壌サンプラーを駆動する第2の駆動部とを備え、コアカッターは、土壌の表層を削孔した後に、支柱の軸線を中心に旋回し、次いで、土壌サンプラーが降下して、コアカッターにより削孔された孔から土壌サンプルを採取する。
【0008】
また、本発明の自走式土壌削孔採取装置は、支柱が、台車上に設けられた回動部に回動可能に支持され、回動部が、支柱を、台車に対して垂直な状態から平行な状態となる方向に回動し、所定の位置で支持するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明に係る自走式土壌削孔採取装置は、回動部が、支柱を、台車に対して垂直な状態と平行な状態に支持するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明に係る自走式土壌削孔採取装置は、更に、台車上に設けられ、回動部を台車に対して上下移動させる昇降部を備え、昇降部が、支柱が台車に対して垂直な状態で支持されている場合、支柱を土壌に向けて降下させ、支柱の下端に設けられた固定部を、対向する土壌の表層に押し当てて支柱を固定し、支柱が台車に対して平行な状態で支持されている場合、回動部を台車に対して上下移動させて、コアカッター及び土壌サンプラーと対象土壌の目標位置とを一致させ、走行手段により台車を土壌に向けて移動させ、支柱の下端に設けられた固定部を、対向する土壌の表層に押し当てて支柱を固定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る自走式土壌削孔採取装置によれば、台車上の支柱に、土壌の表層を削孔するコアカッターと、コアカッターにより削孔された孔から土壌を採取する土壌サンプラーとが取り付けられ、コアカッターが、土壌の表層を削孔した後に、支柱の軸線を中心に旋回され、次いで、当該装置を移動させることなく連続して、土壌サンプラーを降下させて、土壌サンプラーにより土壌サンプルを採取することができ、効率的に、削孔及び土壌サンプルの採取を行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る自走式土壌削孔採取装置によれば、支柱が、回動部に回動可能に支持されているので、鉛直方向に削孔及び土壌サンプルの採取を行うことができることに加え、水平方向に削孔及び土壌サンプルの採取を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の自走式土壌削孔採取装置の具体例の概略を示した側面図である。
【図2】コアカッター及び土壌サンプラーが支柱に対して旋回される様子の概略を示した斜視図である。
【図3】土壌サンプラー及び支柱の概略を示した断面図である。
【図4】本発明の自走式土壌削孔採取装置を用いた削孔作業及び土壌サンプルの採取作業を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の自走式土壌削孔採取装置における他の実施の形態の具体例を示し、支柱が台車に垂直な状態で支持された際の概略を示した側面図である。
【図6】本発明の自走式土壌削孔採取装置における他の実施の形態の具体例を示し、支柱が台車に平行な状態で支持された際の概略を示した側面図である。
【図7】本発明の自走式土壌削孔採取装置における他の実施の形態の具体例の概略を示した平面図である。
【図8】本発明の自走式土壌削孔採取装置における他の実施の形態であって、支柱が台車に垂直な状態で支持された際の、削孔作業及び土壌サンプルの採取作業を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の自走式土壌削孔採取装置における他の実施の形態であって、支柱が台車に平行な状態で支持された際の、削孔作業及び土壌サンプルの採取作業を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明が適用された自走式土壌削孔採取装置1について、図面を参照にして説明する。
【0015】
本発明が適用された自走式土壌削孔採取装置1は、土壌汚染調査等のため土壌サンプルの採取を行う際、調査対象地点の被掘削面2aとなる土壌の表層が、コンクリート、アスファルト、石材等によって舗装された舗装面である場合、この被掘削面2aの舗装面を削孔し、そこから土壌サンプルの採取を行うことができる。
【0016】
このような本発明が適用された自走式土壌削孔採取装置1は、図1に示すように、モータ等で駆動するキャタピラ3が設けられた台車4に、キャタピラ3を駆動する走行用モータ5と、操舵のための運転ハンドル6とが備え付けられている。これにより、自走式土壌削孔採取装置1は、任意の位置に自由に移動することができ、所定の調査対象地点等に容易に移動することができる。また、自走式土壌削孔採取装置1は、台車4の走行手段としてキャタピラ3を用いることで、傾斜地での走行性が向上し、しかも装置全体の自重が重くなるため、装置の安定性向上を図ることができる。なお、台車4の走行手段は、キャタピラ3に限定されるものではなく、車輪等でもよく、自走式土壌削孔採取装置1を移動可能とするものであれば、如何なるものでもよい。
【0017】
台車4の進行方向の前方部には、図1に示すように、支柱7が、台車4上に搭載された支持機構8によって、台車4に垂直な状態で支持されている。この支柱7は、下端が固定プレート7aとなっていて、この固定プレート7aを被掘削面2aに押し当てることで、被掘削面2aに支柱7が固定され、位置ズレを防止することができる。
【0018】
支柱7を支持する支持機構8は、図1に示すように、支柱7を支持する支持体9と、この支持体9を台車4に対して上下移動させる昇降部10とを有する。
【0019】
支持体9は、支柱7を、支持部9aで台車4に支柱7の軸が垂直な状態で支持し、支持部9aで溶接等により支柱7と接合され、一体化されている。また、昇降部10は、油圧ジャッキ等の油圧アクチュエータであり、支柱7を支持する支持体9を、台車4に対して上下移動する。
【0020】
なお、昇降部10は、油圧アクチュエータに限定されるものではなく、支持体9を台車4に対して上下動することができるものであれば、如何なるものでもよい。
【0021】
更に、支柱7には、下端に切断刃11aを有するコアカッター11が、支柱7に沿って切断刃11aを固定プレート7a側に向けて、第1の取付部13を介して取り付けられている。このコアカッター11は、第1の駆動用モータ12に連結され、この第1の駆動用モータ12より、回転駆動される。また、コアカッター11は、第1の取付部13により、第1の取付部13に設けられた第1のハンドル14の操作に応じて、支柱7に沿って上下移動する。更に、コアカッター11は、第1の取付部13により、図2に示すように、支柱7に対して支柱7の軸線を中心に、例えば図2中の矢印A1方向及びA2方向に旋回する。
【0022】
なお、コアカッター11は、第1のハンドル14により支柱7に沿って上下移動することに限定されるものではなく、電動で上下移動するようなものでもよい。
【0023】
更に、支柱7には、下端に採取刃15aを有する土壌サンプラー15が、支柱7に沿って採取刃15aを固定プレート7a側に向けて、第2の取付部17を介して着脱可能に取り付けられている。この際、土壌サンプラー15は、コアカッター11が取り付けられている位置より上部側に取り付けられている。このような土壌サンプラー15は、第2の駆動用モータ16に着脱可能に連結され、この第2の駆動用モータ16により、被掘削面2aに対して打撃駆動、振動駆動又は回転駆動することで、土壌サンプルを採取する。また、土壌サンプラー15は、第2の取付部17により、第2の取付部17に設けられた第2のハンドル18の操作に応じて、支柱7に沿って上下移動する。この際、第2の取付部17は、上述した支柱7と接合された支持部9aによってこの支持部9aより下側に移動することが制限されないように、図3に示すように、支持部9aよりやや大きな開口部17aを有する断面略C字状に形成されている。
【0024】
なお、第2の取付部17は、断面略C字状に限定されるものではない。また、土壌サンプラー15は、第2のハンドル18により支柱7に沿って上下移動することに限定されるものではなく、電動で上下移動するようなものでもよい。更に、土壌サンプラー15は、第2の取付部17により、図2に示すように、支柱7に対して支柱7の軸線を中心に、例えば図2中の矢印B1方向及びB2方向に、旋回するようなものでもよい。これにより、土壌サンプラー15は、着脱を容易に行うことができる。
【0025】
更に、台車4の上には、図1に示すように、コアカッター11の切断刃11aに切削水を供給する切削水供給機構19と、使用済切削水を吸収する切削水回収機構20と、圧縮空気を調査対象地点の削孔予定位置及びその周辺に噴出する圧縮空気供給機構21とが設置されている。
【0026】
切削水供給機構19は、図1に示すように、給水タンク19aとコアカッター11とが給水ホース19bで接続され、バルブ19cを開くことによって切削水を自然流下させ、コアカッター11の切断刃11aに供給する。したがって、切削水供給機構19は、コアカッター11の摩耗を防止すると共に、削孔時などに発生する粉塵の飛散を防止することができる。
【0027】
切削水回収機構20は、図1に示すように、回収タンク20aから吸水ホース20bがコアカッター11の方向に延びており、吸水ホース20bの先端には飛散防止カバー22が取り付けられている。この飛散防止カバー22には、上下移動するコアカッター11の下端部が挿通し得る挿通孔22aが設けられている。したがって、切削水回収機構20は、吸水用モータ20cを駆動することにより、コアカッター11に供給された切削水を、吸水ホース20bから吸引し、飛散防止カバー22から外に殆ど漏れることなく回収して、回収タンク20aに回収貯蔵することができる。
【0028】
圧縮空気供給機構21は、コンプレッサ21aから供給ホース21bがコアカッター11の方向に延びており、コンプレッサ21aを駆動することにより、圧縮空気を、供給ホース21bから調査対象地点の削孔予定位置及びその周辺に噴出する。したがって、圧縮空気供給機構21は、調査対象地点の削孔予定位置及びその周辺の、塵埃、砂又は石等の障害物を除去することができ、これら障害物によるコアカッター11の摩耗を防止することができる。
【0029】
なお、上述したコアカッター11を駆動する第1の駆動用モータ12、土壌サンプラー15を駆動する第2の駆動用モータ16、切削水回収機構20の吸水用モータ20c及び圧縮空気供給機構21のコンプレッサ21aは、図1に示すように、台車4に設置されたエンジン発電機23から供給される電力によって稼動する。したがって、自走式土壌削孔採取装置1は、土壌汚染調査の対象地が屋外であっても、また近くに電柱等がなく電源の確保が難しい場合であっても、削孔作業及び土壌サンプルの採取作業を行なうことができる。
【0030】
次に、自走式土壌削孔採取装置1を用いた削孔作業及び土壌サンプルの採取作業について、図4を用いて説明する。
【0031】
ステップS1において、自走式土壌削孔採取装置1は、キャタピラ3を走行用モータ5により駆動させ、運転ハンドル6の操作に応じて、土壌汚染調査等の調査対象地点に移動する。
【0032】
そして、自走式土壌削孔採取装置1は、コンプレッサ21aを駆動し、圧縮空気を、供給ホース21bから噴出して、調査対象地点の削孔予定位置及びその周辺の、塵埃、砂、石等の障害物を除去する。
【0033】
次いで、ステップS2において、自走式土壌削孔採取装置1は、昇降部10により支柱7を降下して、支柱7の固定プレート7aを、対向する被掘削面2aの舗装面に押し当てて、支柱7を被掘削面2aの舗装面に固定し、位置ズレを防止する。
【0034】
次いで、ステップS3において、自走式土壌削孔採取装置1は、コアカッター11を、第1の駆動用モータ12により回転駆動する。そして、自走式土壌削孔採取装置1は、第1のハンドル14の操作に応じて、支柱7に沿ってコアカッター11を被掘削面2aに向けて降下し、コアカッター11により被掘削面2aの舗装面の削孔を行う。この際、自走式土壌削孔採取装置1は、切削水供給機構19のバルブ19cを開くことによって切削水を自然流下させ、切削水をコアカッター11の切断刃11aに供給すると共に、切削水回収機構20の吸水用モータ20cを駆動することにより、コアカッター11に供給された切削水を、吸水ホース20bから吸引する。
【0035】
次いで、ステップS4において、自走式土壌削孔採取装置1は、被掘削面2aの舗装面の削孔後、第1のハンドル14の操作に応じて、コアカッター11を支柱7に沿って上昇させて被掘削面2aから抜き出す。そして、自走式土壌削孔採取装置1は、手動又は図示しないハンドル等の他の操作部の操作に応じて、図2に示すように、コアカッター11を、支柱7に対して支柱7の軸線を中心に、例えば図2中の矢印A1又はA2方向に旋回する。これにより、自走式土壌削孔採取装置1は、コアカッター11を、土壌サンプラー15の降下軌道上から逃がすことができる。
【0036】
次いで、ステップS5において、自走式土壌削孔採取装置1は、土壌サンプラー15が、第2の駆動用モータ16により、回転駆動する。そして、自走式土壌削孔採取装置1は、土壌サンプラー15を、第2のハンドル18の操作に応じて支柱7に沿って降下し、被掘削面2aの地表面から地表面下約50cmまで挿入して、土壌サンプルを採取する。そして、自走式土壌削孔採取装置1は、土壌サンプラー15を、第2のハンドル18の操作に応じて支柱7に沿って上昇させ、被掘削面2aの地表面から抜き出す。
【0037】
次いで、自走式土壌削孔採取装置1は、土壌サンプラー15を、第2の駆動用モータ16から外し、新たな土壌サンプラー15を、第2の駆動用モータ16に装着する。そして、自走式土壌削孔採取装置1は、土壌サンプルの採取を継続する場合、ステップS1に戻り、新たな調査対象地点に移動し、上述したステップS1〜ステップS5の工程を繰り返す。
【0038】
以上のような本発明の自走式土壌削孔採取装置1は、コアカッター11により被掘削面2aの舗装面を削孔した後に、コアカッター11を支柱7に対して支柱7の軸線を中心に旋回し、土壌サンプラー15の降下軌道上から逃がし、次いで、当該装置1を移動させることなく連続して、土壌サンプラー15を降下して、土壌サンプラー15により土壌サンプルを採取する。したがって、本発明の自走式土壌削孔採取装置1は、従来の自走式の削孔装置のように、削孔を行った後に土壌調査地点から移動させて退避させる必要がなく、効率的に、削孔作業及び土壌サンプルの採取作業を行うことができる。
【0039】
なお、自走式土壌削孔採取装置1は、支柱7を台車4に対して回動可能に支持するようにしてもよい。
【0040】
以下、支柱7が台車4に対して回動可能に支持された自走式土壌削孔採取装置30について説明する。
【0041】
この自走式土壌削孔採取装置30は、支柱7を台車4に垂直な状態で支持する支持機構8の代わりに、支柱7を台車4に対して回動可能に支持する支持機構31を設けるものである。台車4の前方部には、図5に示すように、支柱7が、台車4上に搭載された支持機構31により回動可能に支持されている。
【0042】
支柱7を支持する支持機構31は、図5に示すように、支柱7を回動可能に支持する回動部32と、この回動部32を台車4に対して上下移動させる昇降部10とを有する。
【0043】
回動部32は、回動支持体32aに回動軸32bを中心に回動可能に支持された支柱7の取付部7bに設けられた図示しない第1のギアと噛合された図示しない1又は複数のギアからなる第2のギアと、第2のギアと噛合された回動用駆動モータ32cとを有する。このような回動部32は、回動用駆動モータ32cを回転駆動し、この回動用駆動モータ32cの回転が第2のギアを介して第1のギアに伝達されることで、支柱7を、台車4と垂直な状態から台車4に平行な状態となる方向に回動させる。したがって、回動部32は、支柱7を、図5に示すような台車4に垂直な状態と、図6に示すような台車4に平行な状態に支持することができる。
【0044】
なお、昇降部10は、自走式土壌削孔採取装置1と同様の構成を有するものであるので説明を省略する。
【0045】
したがって、自走式土壌削孔採取装置30は、支柱7を回動支持する支持機構31により、図5に示すように、水平方向に平行な被掘削面2aに対して鉛直方向に削孔及び土壌サンプルの採取を行うことができることに加え、図6に示すように、壁面等の鉛直方向に平行な被掘削面2aに対して水平方向に削孔及び土壌サンプルの採取を行うことができる。
【0046】
また、第2の取付部17の開口部17aは、支柱7の取付部7bによって支柱7の取付部7bより下側に移動することが制限されないように、支柱7の取付部7bよりやや大きく形成されている。更に、切削水供給機構19、切削水回収機構20及び圧縮空気供給機構21は、図7に示すように、支持機構31により支柱7が台車4に平行な状態で支持された際に、支柱7と当接しないように、例えば、台車4の幅方向の両端部の周辺及び台車4の後端部の周辺に配置されている。このような自走式土壌削孔採取装置30において、上述した構成以外は、自走式土壌削孔採取装置1と同様の構成を有するので、同様の構成については同じ符号を付して、説明を省略する。
【0047】
次に、自走式土壌削孔採取装置30を用いた削孔作業及び土壌サンプルの採取作業について、図8及び図9を用いて説明する。
【0048】
先ず、自走式土壌削孔採取装置30を用いて、図5に示すような水平方向に平行な被掘削面2aに対して、鉛直方向に削孔及び土壌サンプルの採取を行う場合について、図8を用いて説明する。
【0049】
ステップS10において、自走式土壌削孔採取装置30は、自走式土壌削孔採取装置1のステップS1と同様に、土壌汚染調査等の調査対象地点に移動し、圧縮空気を供給ホース21bから噴出して、調査対象地点の削孔予定位置及びその周辺の、塵埃、砂、石等の障害物を除去する。
【0050】
次いで、ステップS11において、自走式土壌削孔採取装置30は、回動部32により、支柱7を、台車4に垂直な状態で鉛直方向に平行な状態となるように回動する。
【0051】
次いで、ステップS12において、自走式土壌削孔採取装置30は、自走式土壌削孔採取装置1のステップS2と同様に、昇降部10により、支柱7を降下して、支柱7の固定プレート7aを、被掘削面2aの舗装面に押し当てて、支柱7を対向する被掘削面2aの舗装面に固定し、位置ズレを防止する。
【0052】
次いで、ステップS13において、自走式土壌削孔採取装置30は、自走式土壌削孔採取装置1のステップS3と同様に、コアカッター11を、被掘削面2aに向けて降下し、被掘削面2aの舗装面の削孔を行う。
【0053】
次いで、ステップS14において、自走式土壌削孔採取装置30は、自走式土壌削孔採取装置1のステップS4と同様に、コアカッター11を被掘削面2aから抜き出し、図2に示すように、コアカッター11を、支柱7に対して支柱7の軸線を中心に、例えば図2中の矢印A1又はA2方向に旋回して、土壌サンプラー15の降下軌道上から逃がす。
【0054】
次いで、ステップS15において、自走式土壌削孔採取装置30は、自走式土壌削孔採取装置1のステップS5と同様に、土壌サンプラー15を、支柱7に沿って降下し、土壌サンプルを採取する。
【0055】
そして、自走式土壌削孔採取装置30は、土壌サンプルの採取を継続する場合、自走式土壌削孔採取装置1と同様に、土壌サンプルを採取した土壌サンプラー15を新たな土壌サンプラー15に代え、ステップS10に戻り、新たな調査対象地点に移動し、上述したステップS10〜ステップS15の工程を繰り返す。
【0056】
次に、図6に示すような壁面等の鉛直方向に平行な被掘削面2aに対して、水平方向に削孔及び土壌サンプルの採取を行う場合について、図9を用いて説明する。
【0057】
ステップS20において、自走式土壌削孔採取装置30は、自走式土壌削孔採取装置1のステップS1と同様に、土壌汚染調査等の調査対象地点に移動する。
【0058】
次いで、ステップS21において、自走式土壌削孔採取装置30は、回動部32により、支柱7を、台車4に垂直な状態から台車4に平行な状態で、水平方向に平行な状態となるように回動する。
【0059】
次いで、ステップS22において、自走式土壌削孔採取装置30は、昇降部10により回動部32を上下移動し、コアカッター11及び土壌サンプラー15を、調査対象地点の削孔予定位置に合わせる。
【0060】
次いで、ステップS23において、自走式土壌削孔採取装置30は、圧縮空気を供給ホース21bから噴出して、調査対象地点の削孔予定位置及びその周辺の、塵埃、砂、石等の障害物を除去する。そして、自走式土壌削孔採取装置30は、キャタピラ3を駆動させて、台車4を被掘削面2aに向かって移動することで、回動部32により水平方向に平行な状態で支持された支柱7の固定プレート7aを、対向する被掘削面2aの舗装面に押し当てて、支柱7を被掘削面2aの舗装面に固定し、位置ズレを防止する。
【0061】
次いで、ステップS24において、自走式土壌削孔採取装置30は、自走式土壌削孔採取装置1のステップS3と同様に、コアカッター11を、被掘削面2aに向けて降下し、被掘削面2aの舗装面の削孔を行う。
【0062】
次いで、ステップS25において、自走式土壌削孔採取装置30は、自走式土壌削孔採取装置1のステップS4と同様に、コアカッター11を被掘削面2aから抜き出し、図2に示すように、コアカッター11を、支柱7に対して支柱7の軸線を中心に、例えば図2中の矢印A1又はA2方向に旋回して、土壌サンプラー15の軌道上から逃がす。
【0063】
次いで、ステップS26において、自走式土壌削孔採取装置30は、土壌サンプラー15を、支柱7に沿って降下し、土壌サンプルを採取する。
【0064】
そして、自走式土壌削孔採取装置30は、土壌サンプルの採取を継続する場合、自走式土壌削孔採取装置1と同様に、土壌サンプルを採取した土壌サンプラー15を新たな土壌サンプラー15に代え、ステップS20に戻り、新たな調査対象地点に移動し、上述したステップS20〜ステップS26の工程を繰り返す。
【0065】
以上のような本発明の自走式土壌削孔採取装置30は、自走式土壌削孔採取装置1の効果に加え、支柱7が支持機構31に回動可能に支持され、支柱7を、台車4と垂直な状態から台車4と平行な状態となる方向に回動することができ、支柱7を、台車4と垂直な状態と台車4と平行な状態に支持することができる。したがって、本発明の自走式土壌削孔採取装置30は、図5に示すような水平方向に平行な被掘削面2aに対して鉛直方向に削孔及び土壌サンプルの採取を行うことができると共に、図6に示すような壁面等の鉛直方向に平行な被掘削面2aに対しても、水平方向に削孔及び土壌サンプルの採取を行うことができる。
【0066】
なお、鉛直方向に設けられた被掘削面2aは、図6に示すような鉛直方向に平行な被掘削面2aに限定されるものではなく、鉛直方向に所定の角度を有する被掘削面2aであってもよい。本発明の自走式土壌削孔採取装置30は、鉛直方向に所定の角度を有する被掘削面2aに対しても、図6に示すような鉛直方向に平行な被掘削面2aと同様に、水平方向に削孔及び土壌サンプルの採取を行うことができる。
【0067】
また、回動部32は、支柱7を、図5に示すような台車4に垂直な状態と、図6に示すような台車4に平行な状態に支持することに限定されるものではなく、支柱7を、台車4に対して所定の角度を有するように支持してもよい。
【0068】
これにより、自走式土壌削孔採取装置30は、図5に示すように、水平方向に平行な被掘削面2aに対して鉛直方向に削孔及び土壌サンプルの採取を行うことができることに加え、回動部32により、支柱7を、台車4に垂直な状態から台車4に対して所定の角度を有する状態に回動し、傾斜地等の水平方向に対して所定の角度を有する被掘削面2aに対しても、鉛直方向に平行な状態で支持することができるので、水平方向に対して所定の角度を有する被掘削面2aに対しても、鉛直方向に削孔及び土壌サンプルの採取を行うことができる。
【0069】
また、このような自走式土壌削孔採取装置30は、図6に示すように、鉛直方向に平行又は所定の角度を有する被掘削面2aに対して、水平方向に削孔及び土壌サンプルの採取を行う際に、台車4が配置された配置面2bが水平方向に平行な場合に加え、台車4が配置された配置面2bが傾斜面等の水平方向に対して所定の角度を有する場合であっても、回動部32により、支柱7を、台車4に垂直な状態から台車4に対して所定の角度を有する状態に回動し、水平方向に平行な状態となるように回動することができるので、台車4が配置された配置面2bが傾斜面等の水平方向に対して所定の角度を有する場合であっても、鉛直方向に平行又は所定の角度を有する被掘削面2aに対して、水平方向に削孔及び土壌サンプルの採取を行うことができる。
【0070】
なお、自走式土壌削孔採取装置30は、固定プレート7aを、支柱7に回動軸等を中心に被掘削面2aの角度に応じて自在に角度が変えられるように設けてもよい。これにより、自走式土壌削孔採取装置30は、固定プレート7aが所定の角度を有する被掘削面2aの舗装面に押し当てられた際に、固定プレート7aが被掘削面2aの角度に追従し、支柱7が被掘削面2aの舗装面に確実に固定され、位置ズレが防止される。
【符号の説明】
【0071】
1 自走式土壌削孔採取装置、2a 被掘削面、2b 配置面、3 キャタピラ、4 台車、5 走行用モータ、6 運転ハンドル、7 支柱、7a 固定プレート、7b 取付部、8 支持機構、9 支持体、9a 支持部、10 昇降部、11 コアカッター、11a 切断刃、12 第1の駆動用モータ、13 第1の取付部、14 第1のハンドル、15 土壌サンプラー、15a 採取刃、16 第2の駆動用モータ、17 第2の取付部、17a 開口部、18 第2のハンドル、19 切削水供給機構、19a 給水タンク、19b 給水ホース、19c バルブ、20 切削水回収機構、20a 回収タンク、20b 吸水ホース、20c 吸水用モータ、21 圧縮空気供給機構、21a コンプレッサ、21b 供給ホース、22 飛散防止カバー、22a 挿通孔、23 エンジン発電機、30 自走式土壌削孔採取装置、31、 支持機構、32 回動部、32a 回動支持部、32b 回動軸、32c 回動用駆動モータ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象土壌の目標位置で土壌の表層を削孔し、削孔された孔から土壌サンプルを採取する自走式土壌削孔採取装置であって、
走行手段が設けられた台車と、
上記台車の前方に取り付けられた支柱と、
上記支柱に取り付けられ、上記支柱に沿って上下移動すると共に、上記支柱の軸線を中心に旋回するコアカッターと、
上記コアカッターを回転駆動する第1の駆動部と、
上記支柱において上記コアカッターより上部に取り付けられ、上記支柱に沿って上下移動する土壌サンプラーと、
上記土壌サンプラーを駆動する第2の駆動部とを備え、
上記コアカッターは、上記土壌の表層を削孔した後に、上記支柱の軸線を中心に旋回され、次いで、上記土壌サンプラーは、降下されて、上記コアカッターにより削孔された孔から土壌サンプルを採取する自走式土壌削孔採取装置。
【請求項2】
上記支柱は、上記台車上に設けられた回動部に回動可能に支持され、
上記回動部は、上記支柱を、上記台車に対して垂直な状態から平行な状態となる方向に回動し、所定の位置で支持する請求項1に記載の自走式土壌削孔採取装置。
【請求項3】
上記回動部は、上記支柱を、上記台車に対して垂直な状態と平行な状態に支持する請求項2に記載の自走式土壌削孔採取装置。
【請求項4】
更に、上記台車上に設けられ、上記回動部を上記台車に対して上下移動させる昇降部を備え、
上記昇降部は、上記支柱が上記台車に対して垂直な状態で支持されている場合、上記支柱を上記土壌に向けて降下させ、上記支柱の下端に設けられた固定部を、対向する上記土壌の表層に押し当てて上記支柱を固定し、
上記支柱が上記台車に対して平行な状態で支持されている場合、上記回動部を上記台車に対して上下移動させて、上記コアカッター及び上記土壌サンプラーと上記対象土壌の目標位置とを一致させ、上記走行手段により上記台車を対向する上記土壌に向けて移動させ、上記支柱の下端に設けられた固定部を、上記土壌の表層に押し当てて上記支柱を固定する請求項2又は請求項3に記載の自走式土壌削孔採取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−196140(P2011−196140A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65959(P2010−65959)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(500240357)住鉱テクノリサーチ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】