説明

自走式破砕機

【課題】冷却水の極端な温度上昇を抑制することができる自走式破砕機を提供する。
【解決手段】動力源であるエンジン44と、エンジン44の冷却機能の少なくとも一部を構成するラジエータ41と、ラジエータ41を通る空気の流れを生成する冷却ファン42と、冷却ファン42を回転駆動する駆動手段43とを備えた自走式破砕機において、空気中の異物の通過を抑制するスクリーン40を通過した空気がラジエータ41に供給される順方向の空気の流れを生成するように冷却ファンを正転駆動する冷却処理と、スクリーン40を通過する逆方向の空気の流れを生成するように冷却ファン42を逆転駆動する整備処理と、整備処理時に供給装置による被破砕物の供給を中断して被破砕物エンジン44の負荷を低減する負荷低減処理とを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材破砕機やジョークラッシャ等の被処理物を破砕する自走式破砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
自走式破砕機は、作業現場で生じる被処理物に対して所定の処理を施し、減容等による工事の円滑化やコスト削減などを図るものであり、木材破砕機やジョークラッシャなどが知られている。
【0003】
このような自走式破砕機として、例えば、特許文献1(特開2002−192959号公報)には、機体に、回転式破砕機と、外部から投入された木材を回転によって回転式破砕機に導入する回転式タブを備えた破砕装置、搬送コンベア、エンジン等を取り付け、そのエンジンを動力源として破砕装置で木材を破砕し、その木材破砕片を搬送コンベアで機体外部に排出する自走式木材破砕機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−192959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記木材破砕機は、エンジン室内にエンジン、ファン、ラジエータを取り付け、このエンジン室内に冷却空気を吸い込む吸気口にネットを取り付け、ファンを回転して吸気口から空気を吸い込む際に木材粉がエンジン室内に入り込まないようにし、また、ファンを逆転することでエンジン室内の空気をネットを通して吐出することで、そのネットに付着した粉塵を吹き飛ばしてネットの目詰まりを防止している。
【0006】
しかしながら、上記従来技術においては、次のような問題点がある。
【0007】
破砕装置による破砕処理中は、エンジンに対する負荷が非常に高く、ラジエータの冷却水温度が比較的高温の状態で定常的に運転している。したがって、破砕処理中にファンを逆転してしまうと、ラジエータに供給される冷却空気の流量減少により、冷却水温が極端に上昇してしまうことが考えられ、オーバーヒートの発生による各部品の劣化や冷却水の劣化による防錆能力の低下などが懸念される。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、冷却水の極端な温度上昇を抑制することができる自走式破砕機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、動力源であるエンジンと、前記エンジンの冷却機能の少なくとも一部を構成する冷却器と、前記冷却器を通る空気の流れを生成する冷却ファンと、前記冷却ファンを回転駆動する駆動手段と、前記冷却器の上流側に設けられたフィルタを通過した空気が前記冷却器と前記エンジンに供給される順方向の空気の流れを生成するように前記冷却ファンを正転駆動する冷却処理、及び、前記冷却器から前記フィルタに供給される逆方向の空気の流れを生成するように前記冷却ファンを逆転駆動する整備処理を行い、前記整備処理の際に前記エンジンの負荷を低減する負荷低減処理を行う制御装置とを備えたものとする。
【0010】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記負荷低減処理は、前記整備処理の開始前に、前記破砕装置に被処理物を供給する供給装置を停止するものとする。
【0011】
(3)上記(2)において、好ましくは、前記負荷低減処理は、前記整備処理の開始前に、前記破砕装置の破砕ロータを減速運転又は停止状態にするものとする。
【0012】
(4)上記(3)において、好ましくは、前記負荷低減処理は、前記整備処理の開始前に、前記エンジンをアイドリング状態にするものとする。
【0013】
(5)上記(1)〜(4)の何れか1つにおいて、好ましくは、前記負荷低減処理が実施中であることをオペレータに報知する報知手段を備えるものとする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、冷却水の極端な温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態に係る自走式木材破砕機の全体構成を示す側面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る自走式木材破砕機の全体構成を示す平面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る自走式木材破砕機を後方から見た図である。
【図4】動力装置の内部構成及び配置を概略的に示す図である。
【図5】操作盤の詳細を示す図である。
【図6】油圧回路システムの第1の実施の形態との関連部分を抜き出して示す図である。
【図7】第1の実施の形態に係る制御装置による冷却ファンに関する制御を示す処理フローである。
【図8】第1の実施の形態に係る自走式破砕機における動作を示すタイムチャートである。
【図9】第2の実施の形態に係る制御装置による冷却ファンに関する制御を示す処理フローである。
【図10】第2の実施の形態に係る自走式破砕機における動作を示すタイムチャートである。
【図11】第3の実施の形態に係る制御装置による冷却ファンに関する制御を示す処理フローである。
【図12】第3の実施の形態に係る自走式破砕機における動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、自走式破砕機の一例として自走式木材破砕機を例にとり、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態を図1〜図8を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る自走式木材破砕機の全体構成を示す側面図であり、図2はその平面図である。また、図3は自走式木材破砕機を後方から見た場合を示す図である。なお、以下において、図1及び図2中における左・右に対応する方向を木材破砕機の後・前とする。
【0019】
図1及び図2において、本実施の形態の自走式木材破砕機は、自力走行を可能にする走行体1と、走行体1上に設けられ、被破砕物を受け入れて破砕装置2に供給する供給装置10と、供給装置10により供給される被破砕物を破砕する破砕装置2と、破砕装置2で破砕された破砕物を搬送し機外に排出する排出コンベア3と、搭載した各機器の動力源であるエンジン44や各部駆動装置への圧油の吐出を行う油圧ポンプ45(後の図4等参照)等を備えた動力装置(パワーユニット)4とによって概略構成されている。
【0020】
走行体1は、トラックフレーム5と、このトラックフレーム5の前後両端部に設けた駆動輪6及び従動輪7と、出力軸を駆動輪6の軸に連結した駆動装置(走行用油圧モータ)8と、駆動輪6及び従動輪7に掛け回した履帯(無限軌道履帯)9とで構成されている。また、トラックフレーム5上には本体フレーム30が設けられており、この本体フレーム30によって、供給装置10、破砕装置2、排出コンベア3及び動力装置4等が支持されている。なお、走行体1は、図示したクローラ式に代えて、複数のタイヤで構成されるホイール式等にしても良い。
【0021】
供給装置10は、投入される被破砕物を受け入れるホッパ17と、このホッパ17内に収容配置され被破砕物を破砕装置2側(破砕機前方側)に搬送する送りコンベア11(図2参照)と、破砕装置2の手前で破砕装置2に導入される被破砕物を送りコンベア11に押し付ける押圧ローラ装置(図示せず)とを備えている。
【0022】
送りコンベア11は、破砕装置に設けられた破砕ロータ32側(破砕機前方側)に設けられた駆動輪11a(後の図6参照)と、その反対側(破砕機後方側)に設けた図示しない従動輪と、これら搬送方向両端部に設けた駆動輪11a及び従動輪の間に巻回された搬送帯(搬送ベルト、チェーンベルト)16とを備えている。送りコンベア11の駆動輪11aが駆動モータ46(後の図6参照)により回転駆動されることにより、駆動輪11a及び従動輪の間で搬送帯16が循環駆動される。押圧ローラ装置は、破砕装置2の破砕ロータ32(後述)の後方側に近接するように、かつ、送りコンベア11の上部にその搬送面に対向するように設けられており、搬送される被破砕物を上部から押さえ込みながら送りコンベア11と協働して破砕装置2の破砕ロータ32に向かって導入する。
【0023】
破砕装置2は、本体フレーム30の長手方向ほぼ中央部に配置されており、その内部に設けられた破砕室(図示せず)内には、駆動モータ47(後の図6参照)により高速回転される破砕ロータ32が備えられている。破砕ロータ32の外周部には、複数の破砕ビットが設けられており、供給装置10によって破砕室内に導入された被破砕物に高速回転する破砕ロータ32の破砕ビットが衝突することにより破砕される。破砕片はその後も破砕ロータ32の回転に伴って破砕室内を周回し破砕ビットや、破砕室内に配置されたアンビル(固定刃:図示せず)、破砕室の内壁面等と衝突してさらに細かく破砕される。破砕室は、内壁面の一部にスクリーン(篩部材)を用いて構成されており、破砕室内を周回する破砕片のうち、スクリーンの排出孔を通過する大きさに細粒化されたものが順次スクリーンを通過して破砕室から排出コンベア3上に排出される。
【0024】
排出コンベア3は、排出側(前方側)寄りの部分において、動力装置4から突出して設けた支持部材75に支持されており、その反対側(後方側)部分が本体フレーム30に支持されている。これにより、排出コンベア3は、破砕装置2の下方から動力装置4の下方を通され、動力装置4の下方から破砕機前方側外方へ上り傾斜となるように配置されている。排出コンベア3は、長手方向(前後方向)両端に設けた駆動輪と従動輪(共に図示せず)との間に巻回したコンベアベルト(図示せず)上に設けたコンベアカバー78を備えている。また、排出コンベア3の駆動輪(図示せず)は、軸受の幅方向外側に設けた駆動装置(排出コンベア用油圧モータ)79の出力軸にカップリング等を介して連結されており、この駆動装置79を回転駆動させることにより、駆動輪及び従動輪の間でコンベアベルトを循環駆動させるようになっている。また、排出コンベア3の搬送経路上には磁選機(図示せず)が設けられており、運搬の途中で破砕物に混入している釘や鉄片等の金属を吸着して取り除き最終的に搬出するようになっている。
【0025】
図4は、動力装置の内部構成及び配置を概略的に示す図である。
【0026】
動力装置4は、本体フレーム30の長手方向前方側の端部上に搭載されており、その外側を外装カバー4aによって覆われている。外装カバー4bの側面部には吸気口4b(図1参照)が形成されており、吸気口4bには防塵用のスクリーン40(網部材(ネット)、フィルタ)設けられている。図4に示すように、動力装置4内部(すなわち、外装カバー4aの内部)には、走行体1や供給装置10、破砕装置2などに設けられた各種油圧アクチュエータを駆動するための油圧源としての油圧ポンプ45や、それらを駆動するエンジン44などが内蔵されている。
【0027】
動力装置4の内部において、エンジン44は、油圧ポンプ45に接続された駆動軸が機体左右方向に延在するように横置きに配置されている。エンジン44と吸気口4bのスクリーン40との間には、エンジン44を冷却する冷却水が流通するラジエータ41(冷却器)と、ラジエータ41のエンジン44側に配置され駆動モータ43により回転駆動される冷却ファン42とが備えられている。
【0028】
駆動モータ43により、冷却ファン42が正転駆動されると、順方向の空気の流れが生成され、吸気口4bのスクリーン40を介して動力装置4内部に空気が吸い込まれ、ラジエータ50に吹きつけられて冷却水が冷却される(冷却処理)。このとき、動力装置4外部の空気中の木材粉などの粉塵(異物)はスクリーン40により捕捉され、動力装置4内部への入り込みが抑制される。
【0029】
また、駆動モータ43により、冷却ファン42が逆転駆動されると、逆方向の空気の流れが生成され、動力装置4内部の空気が吸気口4bのスクリーン40を介して外部に排出されるので、スクリーン40に捕捉されて付着した粉塵が吹き飛ばされ、スクリーン40の目詰まりが防止される(整備処理)。このとき、エンジン44の負荷を低減する処理(負荷低減処理)が実施される。
【0030】
動力装置4の下方側面には、木材破砕機の走行や破砕処理に関する操作・設定、モニタリング等を行うための操作盤83と、マニュアルや工具等が収納された収納ボックス85とが設けられている。また、動力装置4の上方には、機体の各種状態をオペレータに報知するためのパトライト86(報知手段)が設けられている。
【0031】
図5は、操作盤の詳細を示す図である。
【0032】
図5に示すように、操作盤83には、表示部83A、入力部83B、緊急停止スイッチ83C、作動装置類の起動停止指示部83D、供給・破砕動作操作部83E、メインスイッチ83F、運転モード選択スイッチ83G、操作手段の選択スイッチ83H、警報ボタン83I、照明ボタン83J、エンジン回転数設定スイッチ83K、連動運転操作部83L、ヒューズボックス83M等が備えられている。
【0033】
表示部83Aは、機体の稼動状況や各種データ、案内、メッセージ等を表示するもので、タッチパネル機能等による各種入力操作も可能である。また、入力部83Bは、表示部83Aに表示された設定画面等においてカーソルの移動や選択・決定、ヘルプ画面の呼び出し等を行う。なお、表示部83Aでは、冷却ファン42の動作に関する後述の冷却処理、整備処理、及び負荷低減処理に関する設定や状態の表示が行われる。
【0034】
緊急停止スイッチ83Cは、緊急時に機体の各作動装置を即時的に停止させるスイッチである。メインスイッチ83Fは、電気系統のON/OFFやエンジンの始動等を操作する。運転モード選択スイッチ83Gは、走行操作を行う走行モード、破砕作業を行う作業モード、メンテナンスに設定するメンテナンスモードのいずれかを選択する。選択スイッチ83Hは、操作手段として当該操作盤83とリモコン(不図示)のいずれかを有効とするかを設定する。警報ボタン83Iは警報音を鳴らす指示を、照明ボタン83Jは照明の光量設定や消灯の指示をする。エンジン回転数設定スイッチ83Kは、エンジンの回転数をダイヤルの回転により設定する。
【0035】
起動停止指示部83Dには、送りコンベア11の停止・正転方向起動・逆転方向起動を各指示する停止ボタン83Da1・正転起動ボタン83Da2・逆転起動ボタン83Da3、押圧ローラ装置の停止・正転方向起動・逆転方向起動を各指示する停止ボタン83Db1・正転起動ボタン83Db2・逆転起動ボタン83Db3、破砕ロータ32の停止・正転方向起動・逆転方向起動を各指示する停止ボタン83Dc1・正転起動ボタン83Dc2・逆転起動ボタン83Dc3、排出コンベア3の起動・停止を各指示する起動ボタン83Dd1・停止ボタン83Dd2が配置されている。
【0036】
また、供給・破砕動作操作部83Eには、供給装置10(送りコンベア11及び押圧ローラ装置)の正転方向の動作速度の調整用のフィーダ速度調整ダイヤル83Ea、破砕ロータ15の正転方向の回転速度の調整用の破砕ロータ速度調整ダイヤル83Eb、押圧ローラ装置を上げ下げする油圧シリンダ28のロック/フリーの切り換え等を行うためのシリンダ動作切換スイッチ83Ecが配置されている。
【0037】
図6は、油圧回路システムの本実施の形態との関連部分を抜き出して示す図である。
【0038】
図6において、本実施の形態の油圧回路システムは、駆動モータ43,46,47等の各種アクチュエータを駆動するための圧油を吐出する油圧ポンプ45と、圧油ポンプ45を駆動するエンジン44と、圧油ポンプ45から吐出されて各種アクチュエータに供給される圧油の流れを制御する複数の流量制御弁により構成される流量制御弁群48と、制御盤83による設定入力や、エンジン44に設けられた温度センサ44aからの検出結果に基づいて、流量制御弁群48やエンジン44などを含む自走式破砕機全体の動作を制御する制御装置49とを概略備えている。
【0039】
制御装置49は、被破砕物を破砕する破砕処理時の機体各部の動作の制御の他に、スクリーン40を通過した空気がラジエータ41(冷却器)に供給される順方向の空気の流れを生成するように冷却ファン42を正転駆動する冷却処理、スクリーン40を通過する逆方向の空気の流れを生成するように冷却ファン42を逆転駆動する整備処理、整備処理時にエンジン44の負荷を低減する負荷低減処理などの制御を行なう。冷却処理や整備処理、負荷低減処理などで用いる各種プログラムや設定値は、制御装置49の図示しない記憶部に記憶されている。
【0040】
図7は、制御装置による冷却ファンに関する制御を示す処理フローである。
【0041】
図7において、制御装置49は、オペレータにより操作盤83等から動作開始の指示が入力されると、冷却ファン42及び供給装置10の送りコンベア11を正転駆動し、破砕ロータ32を最高回転数(通常運転)で駆動させる(ステップS10)。ここで、動作開始からの時間である動作時間T1をカウントし(ステップS20)、動作時間T1が予め定めた基準動作時間t1を超えたかどうかを判定し(ステップS30)、判定結果がNOの場合は、動作時間T1のカウントを続ける。ステップS30での判定結果がYESの場合は、供給装置10の送りコンベア11を所定量だけ逆転した後、停止させる(ステップS40)。続いて、送りコンベア11が停止してからの時間である待機時間T2をカウントし(ステップS50)、動作時間T2が予め定めた基準待機時間t2を超えたかどうかを判定し(ステップS60)、判定結果がNOの場合は、動作時間T2のカウントを続ける。ステップS60での判定結果がYESの場合は、冷却ファン42を減速および逆転駆動させる(ステップS70)。続いて、冷却ファン42を逆転駆動してからの時間である逆転時間T3をカウントし(ステップS80)、逆転時間T3が予め定めた基準逆転時間t3を超えたかどうかを判定し(ステップS90)、判定結果がNOの場合は、逆転時間T3のカウントを続ける。ステップS90での判定結果がYESの場合は、冷却ファン42を減速および正転駆動させる(ステップS100)。次に、供給装置10の送りコンベア11を正転駆動し(ステップS110)、続いて、時間T1〜T3をリセットし(ステップS120)。そして、自走式木材破砕機の動作中は、ステップS10〜S120の処理を繰り返す。なお、基準動作時間t1、基準待機時間t2および基準逆転時間t3は、それぞれ予め設定され、制御装置49に記憶されている。
【0042】
以上の制御において、ステップS10,S100は、スクリーン40を通過した空気がラジエータ41(冷却器)に供給される順方向の空気の流れを生成するように冷却ファン42を正転駆動する冷却処理の少なくとも一部を構成し、ステップS70〜90は、スクリーン40を通過する逆方向の空気の流れを生成するように冷却ファン42を逆転駆動する整備処理の少なくとも一部を構成し、ステップS20〜S60は、整備処理時に破砕装置2による破砕処理を中断することによりエンジン44の負荷を低減する負荷低減処理の少なくとも一部を構成する。
【0043】
以上のように構成した本実施の形態における動作を図面を参照しつつ説明する。
【0044】
図8は、本実施の形態の自走式破砕機における動作を示すタイムチャートである。
【0045】
時刻T10において、操作盤83を操作して動作開始し、送りコンベア11や押圧ローラ装置、破砕ロータ32、排出コンベア3、及び、エンジン44を正転駆動(通常運転)した状態で(図7のステップS10)、グラップル等の適宜の作業具を備えた重機(油圧ショベル等)等によってホッパ17内に被破砕物を投入すると、被破砕物が送りコンベア11の搬送帯16上に載置され、循環駆動する搬送帯16によって破砕装置2に向かって搬送される。被破砕物が押圧ローラ装置付近まで搬送されると送りコンベア11の搬送面に押し付けられる格好となる。このようにして、供給装置10の送りコンベア11と押圧ローラ装置は被破砕物を挟持した状態で協働して破砕装置2の破砕室へ被破砕物を導入する。供給装置10によって破砕装置2の破砕室内に導入された被破砕物は、高速回転する破砕ロータ32の破砕ビットが衝突することにより破砕される。破砕片はその後も破砕ロータ32の回転に伴って破砕室内を周回し破砕ビットや、破砕室内に配置されたアンビル(固定刃:図示せず)、破砕室の内壁面等と衝突してさらに細かく破砕される。破砕室内を周回する破砕片のうち、スクリーンの排出孔を通過する大きさに細粒化されたものが順次スクリーンを通過して破砕室から排出コンベア3上に排出され、排出コンベア3によって搬送されて機外に排出される。
【0046】
ここで、動作開始(時刻T10)からの時間である動作時間T1が予め定めた基準動作時間t1を超えるまでカウントし(図7のステップS20,S30)、基準動作時間t1を超えたとき(時刻T20)、供給装置10の送りコンベア11を所定量だけ逆転した後、停止させる(図7のステップS40)。このように、送りコンベア11を停止させることにより、破砕装置2への被破砕物への導入が停止され、破砕ロータ32で破砕処理を行うことによるエンジン44の負荷を低減することができる。また、送りコンベア11を所定量逆転することにより、破砕装置2へ導入中の被破砕物が不安定な状態で保持されて意図せず破砕装置2内に導入されてしまうことを防止することができる。
【0047】
続いて、送りコンベア11が停止した時刻(時刻T20)からの時間である待機時間T2が予め定めた基準待機時間t2を超えるまでカウントし(図7のステップS50,S60)、基準待機時間t2を超えたとき(時刻T30)、冷却ファン42を減速および逆転駆動させる(図7のステップS70)。このように、送りコンベア11を停止してから冷却ファン42を減速および逆転駆動させるまで基準待機時間t2だけ待機することにより、破砕装置2内に残った被破砕物がより確実に排出されるので、冷却ファン42を減速および逆転駆動するタイミングにおけるエンジン44の負荷をさらに低減することができる。
【0048】
続いて、冷却ファン42を逆転駆動した時刻(時刻T30)からの時間である逆転時間T3をカウントし(図7のステップS80)、基準逆転時間t3を超えたとき(時刻T60)、冷却ファン42を減速および正転駆動させる(図7のステップS100)。続いて、供給装置10の送りコンベア11を正転駆動し(図7のステップS110)、破砕処理を再開する(時刻T70)。そして、時刻T70は動作開始(時刻T10)と同様となり、自走式木材破砕機の動作中は上記処理を繰り返す(図7のステップS10〜S120)。
【0049】
なお、少なくとも、整備処理、或いは、負荷低減処理の実施中であることは、操作盤83の表示部83Aへの表示、又は、パトライト86の点灯により、オペレータに報知される。
【0050】
以上のように構成した本実施の形態における効果を説明する。
【0051】
従来技術における自走式木材破砕機では、エンジン室内にエンジン、ファン、ラジエータを取り付け、このエンジン室内に冷却空気を吸い込む吸気口にネットを取り付け、ファンを回転して吸気口から空気を吸い込む際に木材粉がエンジン室内に入り込まないようにし、また、ファンを逆転することでエンジン室内の空気をネットを通して吐出することで、そのネットに付着した粉塵を吹き飛ばしてネットの目詰まりを防止している。しかしながら、破砕装置による破砕処理中は、エンジンに対する負荷が非常に高く、ラジエータの冷却水温度が比較的高温の状態で定常的に運転している。したがって、破砕処理中にファンを逆転してしまうと、ラジエータに供給される冷却空気の流量減少により、冷却水温が極端に上昇してしまうことが考えられ、オーバーヒートの発生による各部品の劣化や冷却水の劣化による防錆能力の低下などが懸念される。
【0052】
これに対し、本実施の形態においては、スクリーン40を通過した空気がラジエータ41(冷却器)に供給される順方向の空気の流れを生成するように冷却ファン42を正転駆動する冷却処理と、スクリーン40を通過する逆方向の空気の流れを生成するように冷却ファン42を逆転駆動する整備処理と、整備処理時に破砕装置2による破砕処理を中断することによりエンジン44の負荷を低減する負荷低減処理とを行うように構成したので、冷却水の極端な温度上昇を抑制することができ、したがって、オーバーヒートの発生による各部品の劣化や冷却水の劣化による防錆能力の低下などを防止することができる。
【0053】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図9及び図10を参照しつつ説明する。本実施の形態は、整備処理時に供給装置による被処理物の供給を停止し、さらに破砕ロータを減速運転するようにしたものである。
【0054】
図9は、本実施の形態の制御装置による冷却ファンに関する制御を示す処理フローであり、図10は、自走式破砕機における動作を示すタイムチャートである。図中、第1の実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し説明を省略する。
【0055】
図9において、制御装置49は、オペレータにより操作盤83等から動作開始の指示が入力されると、冷却ファン42及び供給装置10の送りコンベア11を正転駆動し、破砕ロータ32を最高回転数(通常運転)で駆動させる(ステップS10)。ここで、動作開始からの時間である動作時間T1をカウントし(ステップS20)、動作時間T1が予め定めた基準動作時間t1を超えたかどうかを判定し(ステップS30)、判定結果がNOの場合は、動作時間T1のカウントを続ける。ステップS30での判定結果がYESの場合は、供給装置10の送りコンベア11を所定量だけ逆転した後、停止させる(ステップS40)。続いて、送りコンベア11が停止してからの時間である待機時間T2をカウントし(ステップS50)、動作時間T2が予め定めた基準待機時間t2を超えたかどうかを判定し(ステップS60)、判定結果がNOの場合は、動作時間T2のカウントを続ける。ステップS60での判定結果がYESの場合は、冷却ファン42を減速および逆転駆動させ(ステップS70)、さらに、駆動モータ47による破砕ロータ32の運転を減速運転にする(ステップS71)。続いて、冷却ファン42を逆転駆動してからの時間である逆転時間T3をカウントし(ステップS80)、逆転時間T3が予め定めた基準逆転時間t3を超えたかどうかを判定し(ステップS90)、判定結果がNOの場合は、逆転時間T3のカウントを続ける。ステップS90での判定結果がYESの場合は、冷却ファン42を減速および正転駆動させ(ステップS100)、さらに、破砕ロータ32を通常運転させる(ステップS101)。次に、供給装置10の送りコンベア11を正転駆動し(ステップS110)、続いて、時間T1〜T3をリセットし(ステップS120)。そして、自走式木材破砕機の動作中は、ステップS10〜S120の処理を繰り返す。なお、基準動作時間t1、基準待機時間t2および基準逆転時間t3は、それぞれ予め設定され、制御装置49に記憶されている。
【0056】
以上の制御において、ステップS10,S100は、スクリーン40(網部材(ネット)、フィルタ)を通過した空気がラジエータ41(冷却器)に供給される順方向の空気の流れを生成するように冷却ファン42を正転駆動する冷却処理の少なくとも一部を構成し、ステップS70〜90は、スクリーン40を通過する逆方向の空気の流れを生成するように冷却ファン42を逆転駆動する整備処理の少なくとも一部を構成し、ステップS20〜S60,S71は、整備処理時に破砕装置2による破砕処理を中断することによりエンジン44の負荷を低減する負荷低減処理の少なくとも一部を構成する。
【0057】
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0058】
以上のように構成した本実施の形態における動作を図面を参照しつつ説明する。
【0059】
図10に示すように、時刻T10において、操作盤83を操作して動作開始し、送りコンベア11や押圧ローラ装置、破砕ロータ32、排出コンベア3、及び、エンジン44を正転駆動(通常運転)した状態で(図9のステップS10)、グラップル等の適宜の作業具を備えた重機(油圧ショベル等)等によってホッパ17内に被破砕物を投入すると、被破砕物が送りコンベア11の搬送帯16上に載置され、循環駆動する搬送帯16によって破砕装置2に向かって搬送される。被破砕物が押圧ローラ装置付近まで搬送されると送りコンベア11の搬送面に押し付けられる格好となる。このようにして、供給装置10の送りコンベア11と押圧ローラ装置は被破砕物を挟持した状態で協働して破砕装置2の破砕室へ被破砕物を導入する。供給装置10によって破砕装置2の破砕室内に導入された被破砕物は、高速回転する破砕ロータ32の破砕ビットが衝突することにより破砕される。破砕片はその後も破砕ロータ32の回転に伴って破砕室内を周回し破砕ビットや、破砕室内に配置されたアンビル(固定刃:図示せず)、破砕室の内壁面等と衝突してさらに細かく破砕される。破砕室内を周回する破砕片のうち、スクリーンの排出孔を通過する大きさに細粒化されたものが順次スクリーンを通過して破砕室から排出コンベア3上に排出され、排出コンベア3によって搬送されて機外に排出される。
【0060】
ここで、動作開始(時刻T10)からの時間である動作時間T1が予め定めた基準動作時間t1を超えるまでカウントし(図9のステップS20,S30)、基準動作時間t1を超えたとき(時刻T20)、供給装置10の送りコンベア11を所定量だけ逆転した後、停止させる(図9のステップS40)。このように、送りコンベア11を停止させることにより、破砕装置2への被破砕物への導入が停止され、破砕ロータ32で破砕処理を行うことによるエンジン44の負荷を低減することができる。また、送りコンベア11を所定量逆転することにより、破砕装置2へ導入中の被破砕物が不安定な状態で保持されて意図せず破砕装置2内に導入されてしまうことを防止することができる。
【0061】
続いて、送りコンベア11が停止した時刻(時刻T20)からの時間である待機時間T2が予め定めた基準待機時間t2を超えるまでカウントし(図9のステップS50,S60)、基準待機時間t2を超えたとき(時刻T30)、冷却ファン42を減速および逆転駆動させる、さらに、破砕ロータ32を減速運転させる(図9のステップS70,S71)。このように、送りコンベア11を停止してから冷却ファン42を減速および逆転駆動させるまで基準待機時間t2だけ待機することにより、破砕装置2内に残った被破砕物がより確実に排出されるので、冷却ファン42を減速および逆転駆動するタイミングにおけるエンジン44の負荷をさらに低減することができる。
【0062】
続いて、冷却ファン42を逆転駆動した時刻(時刻T30)からの時間である逆転時間T3をカウントし(図9のステップS80)、基準逆転時間t3を超えたとき(時刻T60)、冷却ファン42を減速および正転駆動させ、さらに、破砕ロータ32を通常運転させる(図9のステップS100,S101)。続いて、供給装置10の送りコンベア11を正転駆動し(図9のステップS110)、破砕処理を再開する(時刻T70)。そして、時刻T70は動作開始(時刻T10)と同様となり、自走式木材破砕機の動作中は上記処理を繰り返す(図9のステップS10〜S120)。
【0063】
なお、少なくとも、整備処理、或いは、負荷低減処理の実施中であることは、操作盤83の表示部83Aへの表示、又は、パトライト86の点灯により、オペレータに報知される。
【0064】
以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることが出来る。
【0065】
また、整備処理中において、供給装置10による被処理物の処理装置2への供給を中断し、さらに、破砕ロータ32を減速運転するように構成したので、ンジン44の負荷をさらに低減することができ、冷却水の極端な温度上昇をより確実に抑制することができ、したがって、オーバーヒートの発生による各部品の劣化や冷却水の劣化による防錆能力の低下などをより確実に防止することができる。
【0066】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態を図11及び図12を参照しつつ説明する。本実施の形態は、整備処理時に供給装置による被処理物の供給を停止し、さらに破砕ロータ、及び、エンジンを減速運転するようにしたものである。
【0067】
図11は、本実施の形態の制御装置による冷却ファンに関する制御を示す処理フローであり、図12は、自走式破砕機における動作を示すタイムチャートである。図中、第1の実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し説明を省略する。
【0068】
図11において、制御装置49は、オペレータにより操作盤83等から動作開始の指示が入力されると、冷却ファン42及び供給装置10の送りコンベア11を正転駆動し、破砕ロータ32を最高回転数(通常運転)、エンジン44を通常運転で駆動させる(ステップS11)。ここで、動作開始からの時間である動作時間T1をカウントし(ステップS20)、動作時間T1が予め定めた基準動作時間t1を超えたかどうかを判定し(ステップS30)、判定結果がNOの場合は、動作時間T1のカウントを続ける。ステップS30での判定結果がYESの場合は、供給装置10の送りコンベア11を所定量だけ逆転した後、停止させる(ステップS40)。続いて、送りコンベア11が停止してからの時間である待機時間T2をカウントし(ステップS50)、動作時間T2が予め定めた基準待機時間t2を超えたかどうかを判定し(ステップS60)、判定結果がNOの場合は、動作時間T2のカウントを続ける。ステップS60での判定結果がYESの場合は、冷却ファン42を減速および逆転駆動させ(ステップS70)、さらに、駆動モータ47による破砕ロータ32の運転、及び、エンジン44の運転を減速運転にする(ステップS71,S72)。続いて、冷却ファン42を逆転駆動してからの時間である逆転時間T3をカウントし(ステップS80)、逆転時間T3が予め定めた基準逆転時間t3を超えたかどうかを判定し(ステップS90)、判定結果がNOの場合は、逆転時間T3のカウントを続ける。ステップS90での判定結果がYESの場合は、冷却ファン42を減速および正転駆動させ(ステップS100)、さらに、破砕ロータ32及びエンジン44を通常運転させる(ステップS101,S102)。次に、供給装置10の送りコンベア11を正転駆動し(ステップS110)、続いて、時間T1〜T3をリセットし(ステップS120)。そして、自走式木材破砕機の動作中は、ステップS11〜S120の処理を繰り返す。なお、基準動作時間t1、基準待機時間t2および基準逆転時間t3は、それぞれ予め設定され、制御装置49に記憶されている。
【0069】
以上の制御において、ステップS10,S100は、スクリーン40(網部材(ネット)、フィルタ)を通過した空気がラジエータ41(冷却器)に供給される順方向の空気の流れを生成するように冷却ファン42を正転駆動する冷却処理の少なくとも一部を構成し、ステップS70〜90は、スクリーン40を通過する逆方向の空気の流れを生成するように冷却ファン42を逆転駆動する整備処理の少なくとも一部を構成し、ステップS20〜S60,S71,S72は、整備処理時に破砕装置2による破砕処理を中断することによりエンジン44の負荷を低減する負荷低減処理の少なくとも一部を構成する。
【0070】
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0071】
以上のように構成した本実施の形態における動作を図面を参照しつつ説明する。
【0072】
図12に示すように、時刻T10において、操作盤83を操作して動作開始し、送りコンベア11や押圧ローラ装置、破砕ロータ32、排出コンベア3、及び、エンジン44を正転駆動(通常運転)した状態で(図11のステップS11)、グラップル等の適宜の作業具を備えた重機(油圧ショベル等)等によってホッパ17内に被破砕物を投入すると、被破砕物が送りコンベア11の搬送帯16上に載置され、循環駆動する搬送帯16によって破砕装置2に向かって搬送される。被破砕物が押圧ローラ装置付近まで搬送されると送りコンベア11の搬送面に押し付けられる格好となる。このようにして、供給装置10の送りコンベア11と押圧ローラ装置は被破砕物を挟持した状態で協働して破砕装置2の破砕室へ被破砕物を導入する。供給装置10によって破砕装置2の破砕室内に導入された被破砕物は、高速回転する破砕ロータ32の破砕ビットが衝突することにより破砕される。破砕片はその後も破砕ロータ32の回転に伴って破砕室内を周回し破砕ビットや、破砕室内に配置されたアンビル(固定刃:図示せず)、破砕室の内壁面等と衝突してさらに細かく破砕される。破砕室内を周回する破砕片のうち、スクリーンの排出孔を通過する大きさに細粒化されたものが順次スクリーンを通過して破砕室から排出コンベア3上に排出され、排出コンベア3によって搬送されて機外に排出される。
【0073】
ここで、動作開始(時刻T10)からの時間である動作時間T1が予め定めた基準動作時間t1を超えるまでカウントし(図11のステップS20,S30)、基準動作時間t1を超えたとき(時刻T20)、供給装置10の送りコンベア11を所定量だけ逆転した後、停止させる(図11のステップS40)。このように、送りコンベア11を停止させることにより、破砕装置2への被破砕物への導入が停止され、破砕ロータ32で破砕処理を行うことによるエンジン44の負荷を低減することができる。また、送りコンベア11を所定量逆転することにより、破砕装置2へ導入中の被破砕物が不安定な状態で保持されて意図せず破砕装置2内に導入されてしまうことを防止することができる。
【0074】
続いて、送りコンベア11が停止した時刻(時刻T20)からの時間である待機時間T2が予め定めた基準待機時間t2を超えるまでカウントし(図11のステップS50,S60)、基準待機時間t2を超えたとき(時刻T30)、冷却ファン42を減速および逆転駆動させる、さらに、破砕ロータ32を減速運転させる(図11のステップS70〜S72)。このように、送りコンベア11を停止してから冷却ファン42を減速および逆転駆動させるまで基準待機時間t2だけ待機することにより、破砕装置2内に残った被破砕物がより確実に排出されるので、冷却ファン42を減速および逆転駆動するタイミングにおけるエンジン44の負荷をさらに低減することができる。
【0075】
続いて、冷却ファン42を逆転駆動した時刻(時刻T30)からの時間である逆転時間T3をカウントし(図11のステップS80)、基準逆転時間t3を超えたとき(時刻T60)、冷却ファン42を減速および正転駆動させ、さらに、破砕ロータ32を通常運転させる(図11のステップS100〜S102)。続いて、供給装置10の送りコンベア11を正転駆動し(図11のステップS110)、破砕処理を再開する(時刻T70)。そして、時刻T70は動作開始(時刻T10)と同様となり、自走式木材破砕機の動作中は上記処理を繰り返す(図11のステップS11〜S120)。
【0076】
なお、少なくとも、整備処理、或いは、負荷低減処理の実施中であることは、操作盤83の表示部83Aへの表示、又は、パトライト86の点灯により、オペレータに報知される。
【0077】
以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることが出来る。
【0078】
また、整備処理中において、供給装置10による被処理物の処理装置2への供給を中断し、さらに、破砕ロータ32及びエンジン44を減速運転するように構成したので、ンジン44の負荷をさらに低減することができ、冷却水の極端な温度上昇をより確実に抑制することができ、したがって、オーバーヒートの発生による各部品の劣化や冷却水の劣化による防錆能力の低下などをより確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 走行体
2 破砕装置
3 排出コンベア
4 動力装置(パワーユニット)
4a 外装カバー
4b 吸気口
10 供給装置
11 搬送コンベア
16 搬送帯(搬送ベルト、チェーンベルト)
40 スクリーン(網部材(ネット)、フィルタ)
41 ラジエータ(冷却器)
42 冷却ファン
43,46,47 駆動モータ
44 エンジン
44a 温度センサ
45 油圧ポンプ
48 流量制御弁群
49 制御装置
32 破砕ロータ
83 操作盤
85 収納ボックス
86 パトライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源であるエンジンと、
前記エンジンの冷却機能の少なくとも一部を構成する冷却器と、
前記冷却器を通る空気の流れを生成する冷却ファンと、
前記冷却ファンを回転駆動する駆動手段と、
前記冷却器の上流側に設けられたフィルタを通過した空気が前記冷却器と前記エンジンに供給される順方向の空気の流れを生成するように前記冷却ファンを正転駆動する冷却処理、及び、前記冷却器から前記フィルタに供給される逆方向の空気の流れを生成するように前記冷却ファンを逆転駆動する整備処理を行い、前記整備処理の際に前記エンジンの負荷を低減する負荷低減処理を行う制御装置と
を備えたことを特徴とする自走式破砕機。
【請求項2】
請求項1記載の自走式破砕機において、
前記負荷低減処理は、前記整備処理の開始前に、前記破砕装置に被処理物を供給する供給装置を停止することを特徴とする自走式破砕機。
【請求項3】
請求項2記載の自走式破砕機において、
前記負荷低減処理は、前記整備処理の開始前に、前記破砕装置の破砕ロータを減速運転又は停止状態にすることを特徴とする自走式破砕機。
【請求項4】
請求項3記載の自走式破砕機において、
前記負荷低減処理は、前記整備処理の開始前に、前記エンジンをアイドリング状態にすることを特徴とする自走式破砕機。
【請求項5】
請求項1〜4記載の何れか1項に記載の自走式破砕機において、
前記負荷低減処理が実施中であることをオペレータに報知する報知手段を備えることを特徴とする自走式破砕機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−68176(P2013−68176A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208093(P2011−208093)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】