説明

自走車と搬送装置それらを用いた伐採材の搬出方法

【課題】伐採材を高い作業効率にて搬出することができしかも装置構成が簡単で低コストにて実施できる伐採材の搬出装置を提供する。
【解決手段】集材場3若しくは先山2又はそれらの両者に配設され、シーブ6とその回転駆動手段を装備している履帯式自走車5と、集材場3と先山2に配設したシーブ6、6間に設定された環状ルートに沿って回動する無端状の索条8と、無端状の索条8に装着されて伐採材を保持する吊具44とを備えた伐採材の搬出装置1において、履帯式自走車5をショベル付きブルドーザ7にて構成するとともに、そのムーブ16の中間部から上方に支持ブラケット17を立設し、支持ブラケット17の上部に配設した回転駆動手段としての油圧モータの出力部18bにシーブ6を固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山間地で伐採された竹材や木材などの伐採材を集材場に搬出するのに適し、工場や倉庫などでの屋内外を問わない資材などの搬送にも適用できる、履帯式自走車と搬送装置それらを用いた伐採材の搬出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自然環境の保護のために、里山の復活、樹林や竹林の保護、地域林業の復活、さらには石油資源の枯渇対策としてのバイオマスエネルギーの活用などの必要性が強く認識されており、その対策の1つとして過剰に繁茂した竹材の伐採や樹林の間伐を行うとともにその間伐材を有効活用することが要請されているが、その作業に多大な労力を要するため、コスト高になってなかなか実施できないというのが現実である。特に、伐採した伐採材を所定の集材場まで搬出するのに多大な労力と費用を必要とすることが大きな障害となっている。
【0003】
従来、先山で伐採した伐採材を所定の集材場まで効率的に搬出する装置として、集材場に自走式集材機を設置し、先山と自走式集材機との間に主索を張設し、この主索に沿って移動自在なキャリッジを設けるとともに、このキャリッジに伐採材を保持するフックを昇降可能に設け、キャリッジを往復移動させるメイン索とホールバック索及びフックを昇降させる引き上げ索をキャリッジと先山と自走式集材機の間に張設し、自走式集材機に主索にテンションを付与する巻取機と、メイン索とホールバック索を巻取り・巻き戻し操作してキャリッジを往復移動する一対の巻取機と、引き上げ索を巻取り・巻き戻し操作してフックを昇降させて荷上げ、荷卸しを行う巻取機とを配設したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、先山と集材場に設置した自走式集材機との間に主索を張設するとともに、主索に沿って移動自在なキャリッジを設け、キャリッジを往復移動させるメイン索とホールバック索をキャリッジと先山と自走式集材機の間に張設するとともに、メイン索とホールバック索を巻取り・巻き戻し操作する一対の巻取機を自走式集材機に搭載し、キャリッジには、主索を挟圧するクランプ手段と、メイン索とホールバック索が巻回されその移動によって吊荷用の吊持ロープを巻上げ・巻下げするウインチと、ウインチを制動するブレーキ手段を配設し、クランプ手段を開放し、ブレーキ手段を制動させた状態でメイン索とホールバック索を巻取り・巻き戻し操作することでキャリッジを往復移動させ、クランプ手段を作動させ、ブレーキ手段を開放した状態でメイン索とホールバック索を巻取り・巻き戻し操作することで吊持ロープを巻上げ・巻下げして荷上げ、荷卸しを行うように構成したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、集材場に設置するウインチ装置に2個のドラムを並設し、先山とウインチ装置間に設定したループ状のルートに沿って索条を配設してその両端を2個のドラムにそれぞれ巻回し、索条に伐採材を連結する連結手段を固定し、2個のドラムを選択的に回転駆動することで索条を往復回動させ、連結手段を集材場と先山との間で往復移動させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平5−193893号公報
【特許文献2】特開平10−338126号公報
【特許文献3】特開2004−149277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1記載の構成では、先山と自走式集材機との間にキャリッジを支持する主索を張設するとともに、メイン索とホールバック索と引き上げ索を設け、これらの索条を巻取り・巻き戻し操作する機構を設ける必要があるため、自走式集材機及びキャリッジの装置構成が複雑でかつ現場での設置作業も煩雑であるため、装置が高価でかつ設置時の作業効率も低いためにコスト高になるという問題がある。また、伐採材の搬出時に単一のキャリッジを往復移動させるため、搬出作業時に高い作業効率を確保することができないという問題がある。
【0007】
また、特許文献2記載の構成では、主索とメイン索とホールバック索を張設し、自走式集材機にはメイン索とホールバック索を巻取り・巻き戻し操作する一対の巻取機を配設した構成となっているため、特許文献1記載の構成に比して、引き上げ索を省略でき、自走式集材機の構成も簡単になっているが、キャリッジの構成が複雑になり、重量も大きくなっているため、特許文献1の問題を根本的に解消できるものではない。
【0008】
また、特許文献3記載の構成では、ループ状に索条を張設し、ウインチ装置も2個のドラムを並設した比較的簡単な装置構成であるため、装置を安価に構成できかつ設置作業も簡単であるが、索条に連結手段を固定しているため、伐採材の搬出時には索条を往復回動させて連結手段を往復移動させるため、搬出作業時に高い作業効率を確保することができないという問題がある。
【0009】
そこで、本出願人は先に、図11に示すように、鉛直軸心回りに回転駆動可能な駆動シーブ55を備えた履帯式自走車54を集材場53に位置させ、鉛直軸心回りに回転自在な従動シーブ57を備えた履帯式自走車56を先山52に位置させ、集材場53の駆動シーブ55と先山の従動シーブ57の間にわたって無端状に索条58を配設して索条58を一方向に回動させ、先山52で索条58に装着した吊具59に伐採材51を保持させ、集材場53で伐採材51を荷卸して吊具59を先山52に戻すようにした伐採材の搬出方法を提案している(特願2008−127193号参照)。
【0010】
この伐採材の搬出方法によれば、集材場53と先山52との間で一方向に回動する無端状の索条58に装着した吊具59に先山52で伐採材51を連結し、集材場53で伐採材51を荷卸しすることで伐採材51を集材場53に搬出することができ、伐採材51を連続的に高い作業効率にて搬出することができ、また単一の無端状の索条58を一方向に回動させるだけでよいので、装置構成及び現場での設置作業が簡単で低コストにて実施することができ、低コストにて高い作業効率で伐採材を搬出することができるという顕著な効果が発揮される。しかしながら、駆動シーブ55を備えた履帯式自走車54の具体的な構成として、ショベル付きブルドーザの後部に新たに支持フレームを付設して回転駆動手段とシーブを配設したものが開示されており、その構成ではショベル付きブルドーザに対する改造が大掛かりとなってコストがかかるためさらにコスト低下を図ることが好ましく、また索条58に作用するテンションを履帯式自走車54、56の自重だけで受けるのは不安定であるため別途にサポート手段を設ける必要があってコストアップ要因となり、さらに駆動シーブ55や従動シーブ57は水平姿勢に限定されるが、索条58に作用するテンションの方向に鑑みて駆動シーブ55や従動シーブ57を傾斜させた方が無理のない索条58の配設状態となる場合でも、駆動シーブ55や従動シーブ57の近傍にガイドローラを配設して駆動シーブ55や従動シーブ57に作用するテンションの方向を水平にする必要があり、テンションの作用方向を無理に変えるために設置作業に手間がかかるとともに設置状態の安定性に不安が残るという、改良すべき課題のあることが判明した。
【0011】
本発明は、上記従来の課題に鑑み、伐採材を高い作業効率にて搬出することができしかも装置構成が簡単で低コストにて実施でき、工場や倉庫での奥内外を問わない資材の搬送などにも適用できる自走車と搬送装置それらを利用した伐採材の搬出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の自走車は、搬送元と搬送先との少なくとも一方に配設され、傾斜角度、または傾斜角度および高さ、を調整でき、かつ回転できるように支持して、装備されたシーブを有し、搬送元と搬送先の他方に回転できるように支持して配設されたシーブとの間に張設される無端状の索条を、前記一方のシーブの回転駆動により、設定される環状ルートに沿い周回させて、索条に設けた吊具により吊持した搬送対象物の搬送元から搬送先への搬送に供するようにしたことを特徴としている。
【0013】
このような構成では、自走車は車輪式または履帯式の形態の違いに応じ、公道での自由走行または運搬を伴い作業場に到達すると、シーブを傾斜角度、または傾斜角度および高さ、を調整でき、かつ回転できるように支持していることにより、支持しているシーブを搬送元および搬送先双方にて、高低差なしではもとより、高低差があってもその高低差に見合う傾斜め向きにシーブを位置させ、搬送元および搬送先間に張設する索条をシーブに沿った向きにて巻き掛けて搬送装置として現場設置し、少なくとも一方の側のシーブの駆動により索条を周回させて伐採材などの搬送対象物を搬送基から搬送先に搬送する作業に供することができるし、その際、地形の凹凸や載置物などが邪魔にならないように索条の張設高さをシーブによって調節することもできる。自走車を用いない搬送元または搬送先だけに用いるシーブは、設置する傾斜角や設置高さは現場設定にて対応できる。
【0014】
上記において、さらに、自走車が履帯式自走車であって、作業用のアーム機構を備え、シーブはアーム機構上に装備したものとすることができる。
【0015】
このような構成では、上記に加え、さらに、履帯式であることにより、山道、傾斜地、凹凸地など悪路を経た集材場への進行しやすい上に、作業アームを持つものであることにより、アーム機構にドーザーショベル、ドーザーブレード、掴持具、裁断具などその他のドーザー作業具を装着して、搬送先となる里山から搬送元とする先山までの搬送ルートの切り拓き作業もできる。
【0016】
上記において、さらに、ブームおよびアームを接続したアーム機構を装備したブルドーザタイプであって、シーブは、ブーム上に傾斜角度または傾斜角度および高さを調整できるように装備したものとすることができる。
【0017】
このような構成では、上記に加え、さらに、ブームによってシーブをアームよりも安定に支持できるし、ブームの傾斜角度だけでもシーブの高さを変えられ、ブームの傾斜角度による高さ調節でシーブが傾いても、シーブ自体のブームに対する傾斜角を調節することで、水平面に対する絶対傾斜角を自由に調整することができる。
【0018】
上記において、さらに、シーブを駆動する電動モータまたは油圧モータを備えたものとすることができる。
【0019】
このような構成では、上記に加え、さらに、シーブを駆動する電動モータまたは油圧モータは、対応する自走車の電源、あるいは油圧源を利用して動作させてシーブを回転駆動し搬送作業に供することができ、特に、油圧源にて駆動する履帯式自走車で、作業アームなどの油圧動作機器を備えたものは、それらの油圧動作機器に向けられる油圧経路の既存切換え手段を併用した切り替えにより正転、逆転、停止の操作を実行することができる。
【0020】
本発明の搬送装置は、搬送元および搬送先に配置され回転できるように支持される一対のシーブを備えて、その少なくとも一方を上記いずれか1つの自走車に装備されたものとし、搬送元および搬送先の各シーブ間に張設されて、設定された環状ルートに沿って周回する無端状の索条と、無端状の索条に装着されて搬送対象物を吊持する吊具と、を備えたことを特徴としている。
【0021】
このような構成では、上記シーブを支持した自走車を搬送元および搬送先の少なくとも一方に用いた、搬送元および搬送先間に張設した索条に搬送対象物を吊持させての搬送を実現することができる。
【0022】
上記において、さらに、搬送元および搬送先に配置され回転できるように支持される一対のシーブまたは一対のポータブルウインチを備えて、一対のシーブは少なくとも一方に自動駆動源を連結したもの、一対のポータブルウインチは双方に手動の駆動手段を連結したものとし、搬送元および搬送先の各シーブ間に張設されて設定される環状ルートに沿って周回される索条、または各ポータブルウインチ間に設定される往復ルートに沿って一方から繰り出し他方に巻き取られ反対に他方から繰り出し一方へ巻き取られる索条と、索条に装着されて搬送対象物を吊持する吊具と、を備え、シーブの駆動パワー、索条の耐張力強度、索条の周回経路長の少なくとも1つを、請求項7に記載の搬送装置よりも低くした、補助搬送装置を、1組以上、上記の搬送装置を主搬送装置として、組み合わせ備えたものとすることができる。
【0023】
このような構成では、上記に加え、さらに、主搬送装置は長距離で強力な駆動パワー、搬送パワーを持った定置型として配置して、長距離搬送、搬出を実現しながら、補助搬送装置は、主搬送装置に比し、シーブの駆動パワー、索条の耐張力強度、索条の周回経路長の少なくとも1つが低く、設置や、移動が簡易なことを利用して、主搬送装置の搬送元側を起点にした設置位置の移動を伴い、小規模範囲を単位に伐採され、集荷され、あるいは供給される伐採材などの搬送対象物を搬送して、主搬送装置の搬送に移し替えることで、主搬送装置の搬送元を起点にした広域を搬送元とした主搬送装置の搬送先までの搬送を実現することができる。
【0024】
ここに、吊具は、索条に上端を止着され下端にフックを備えた吊持ベルト、索条に上端を止着され下端にフックを備えると共に途中に長さ調節部を持った吊持ベルト、索条に上端を止着されたループの少なくとも1つとして、主搬送装置に比し補助搬送装置側では、より簡易な取り扱い、使用ができるも適用して使い分けられる。
【0025】
例えば、主搬送装置を、里山などの集材場を搬送先、先山を搬送元としてそれらの間で索条を張設して設定された主環状ルートに沿い周回させるように配置し、補助搬送装置を、搬送元および搬送先間で索条を張設して設定した補助環状ルートまたは往復ルートが搬送先側で主搬送装置の主環状ルートにクロスまたは近接して搬送元側が主搬送装置から遠ざかるように、単列で、あるいは複列で、配置し、補助搬送装置の環状ルートまたは往復ルートの周辺で伐採される伐採材を、環状ルートまたは往復ルートに沿って搬送元側から搬送先側に周回または巻き取り移動される索条に止着した吊具に吊持させて主搬送装置の環状ルート側に搬送し、主搬送装置の環状ルート側で補助搬送装置によって搬送されてくる伐採材を順次に吊具から下ろすのに併せ、下ろされた伐採材を順次主搬送装置の搬送先側に周回される索条に止着した吊具に吊持させて先山側から里山側に搬出し、里山側で搬送されてきた伐採材を吊具から下ろして集材することを繰り返し、補助搬送装置は、環状ルートまたは往復ルート周辺での伐採の進行度に応じ、搬送元側を次の伐採位置側にシフトさせながら以降の伐採材の搬送を行う伐採材の搬出方法が実現する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の自走車によれば、車輪式または履帯式の形態の違いに応じ、遠距離な作業場でも、公道での自由走行または運搬を伴い到達でき、自走車自体に傾斜角度、または傾斜角度および高さ、を調整できるように支持しただけのシーブを、搬送元および搬送先双方にて、高低差のない平地などではもとより、高低差のある傾斜地などでもその高低差に応じ傾斜した向きにシーブを容易かつ簡単に位置させて、搬送元および搬送先間に張設する索条をシーブの向きに沿う姿勢にて巻き掛けられ、周回時に外れないようにして索条とそれに設けた吊具による伐採材などの搬送対象物の搬送元から搬送先への吊持搬送に安定して供することができる。その際、地形の凹凸や載置物などが邪魔にならないように索条の張設高さをシーブによって調節するだけで、搬送元から搬送先までの間の凹凸や載置物などが邪魔にならないようにもできる。自走車を用いない搬送元または搬送先にだけに用いるシーブは、設置する傾斜角や設置高さは現場設定して対応でき、搬送装置全体の構造および低コスト化を実現し、構築および搬送の作業効率を高められる。
【0027】
上記に加え、さらに、履帯式では、悪路を経た伐採材の集材場への進行はもとより、作業用のアーム機構にドーザーショベル、ドーザーブレード、掴持具、裁断具などその他のドーザー作業具を装着して、搬送先となる里山などの集材場から搬送元とする先山までの搬送装置設置ルートの切り拓き作業もでき、搬送装置の構築の作業効率が、他の機器の応援なしにも向上、設置コストの低減が図れる。
【0028】
上記に加え、さらに、ブームによってシーブを安定に支持し、ブームの傾斜角度にてもシーブの高さを変えられ、ブーム上での高さ調節を併せれば、高さ調節範囲を大きく採りやすいし、ブーム傾斜角による高さ調節でシーブが傾いても、シーブ自体のブームに対する傾斜角を調節して水平面に対する絶対傾斜角を自由に調整することができる。
【0029】
上記に加え、さらに、シーブを駆動する電動モータまたは油圧モータを対応した自走車の電源、油圧源により動作させてシーブを回転駆動し、搬送作業に供せるので、特別なエネルギ源が不要になる。特に、油圧源による履帯式自走車で、アーム機構などの油圧動作機器を備えたものは、それらの油圧動作機器に向けられる油圧経路の既存切換え手段を併用した切り替えにより特別な操作手段なしに正転、逆転、停止の操作を実行することができ、それには、履帯部駆動用の油圧モータをシーブ用に転用するのが好適である。
【0030】
本発明の上記いずれか1つの自走車を利用した搬送装置によれば、上記シーブを支持した自走車を搬送元および搬送先の少なくとも一方に用いた、搬送元および搬送先間に張設した索条に搬送対象物を吊持させての搬送を容易かつ安価に実現し、作業性よく間伐材などの搬送対象物をランニングコスト少なく搬送することができる。
【0031】
上記に加え、さらに、主搬送装置は長距離で強力なパワーを持った定置型として、長距離搬送、搬出を実現しながら、主搬送装置よりも短く低パワーとした設置や、移動が簡易な補助搬送装置にて、主搬送装置の搬送元側を起点にした設置位置の移動を伴い、小規模範囲を単位に伐採され、集荷され、あるいは供給される伐採材などの搬送対象物を主搬送装置の搬送元側に搬送して、主搬送装置の搬送元側に移し替えて搬送先へ搬送することを繰り返して、例えば、主搬送装置の先山に設定する搬送元を起点にした広域を最搬送元とした主搬送装置の里山に設定する搬送先までの搬送を、補助搬送装置近傍での伐採と伐採材の吊持作業にて簡易に実現することができ、伐採の進行に伴う主搬送装置の次期伐採、搬送位置への移動が必要となる時間間隔を延ばして作業効率を高められる。
【0032】
吊具は、索条に上端を止着され下端にフックを備えた吊持ベルト、索条に上端を止着され下端にフックを備えると共に途中に長さ調節部を持った吊持ベルト、索条に上端を止着されたループの少なくとも1つとして、主搬送装置に比し補助搬送装置側では、より簡易な取り扱い、使用ができるも適用して使い分けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明に係る自走車、搬送装置、それらを用いた搬送方法の実施の形態について、図1〜図10を参照して説明する。
【0034】
図1〜図5に示す例、図6に示す例、図7に示す例、図8に示す例の自走車5は、搬送元Aと搬送先Bとの少なくとも一方に配設され、傾斜角度、または傾斜角度および高さ、を調整でき、かつ回転できるように支持して、装備されたシーブ6を有し、搬送元Aと搬送先Bの他方に回転できるように支持して配設されたシーブ6との間に張設される無端状の索条8を、前記一方のシーブ6の回転駆動により、設定される環状ルートに沿い周回させて、索条8に設けた吊具44により吊持した伐採材などの搬送対象物51の搬送元から搬送先への搬送に供するようにしている。これにより、自走車5は、図7に示す例の車輪式自走車5、または図1〜図5に示す例、図6に示す例、図8に示す例の履帯式自走車5などの形態の違いに応じ、公道での自由走行または運搬を伴い作業場に到達すると、シーブ6を傾斜角度、または傾斜角度および高さ、を調整でき、かつ回転できるように支持していることにより、支持しているシーブ6を搬送元Aおよび搬送先B双方にて、高低差なしではもとより、高低差があってもその高低差に見合う傾斜め向きにシーブを位置させ、搬送元Aおよび搬送先B間に張設する索条8をシーブ6の溝6aに沿った向きにて巻き掛けて搬送装置1として図1〜図5に示す例、図7に示す例、図8に示す例のように現場設置し、少なくとも一方の側のシーブ5の駆動により索条8を周回させて伐採材などの搬送対象物51を搬送基Aから搬送先Bに搬送する作業に供することができる。その際、地形の凹凸や載置物などが邪魔にならないように索条8の張設高さをシーブ6によって調節することもできる。自走車5を用いない搬送元Aまたは搬送先Bだけに用いるシーブ6は、設置する傾斜角や設置高さは現場設定にて対応できる。
【0035】
この結果、自走車5は、車輪式または履帯式の形態の違いに応じ、遠距離な作業場でも、公道での自由走行または運搬を伴い到達でき、自走車5自体に傾斜角度、または傾斜角度および高さ、を調整できるように支持しただけのシーブ6を、搬送元Aおよび搬送先B双方にて、高低差のない平地などではもとより、高低差のある傾斜地などでもその高低差に応じ傾斜した向きにシーブ6を容易かつ簡単に位置させて、搬送元Aおよび搬送先B間に張設する索条8をシーブ6の向きに沿う姿勢にて巻き掛けられ、周回時に外れないようにして索条8とそれに設けた吊具44による伐採材などの搬送対象物51の搬送元Aから搬送先Bへの吊持搬送に安定して供することができる。その際、地形の凹凸や載置物などが邪魔にならないように索条8の張設高さをシーブ6によって調節するだけで、搬送元Aから搬送先Bまでの間の凹凸や載置物などが邪魔にならないようにもできる。自走車5を用いない搬送元または搬送先だけに用いるシーブ6は、設置する傾斜角や設置高さは現場設定して対応でき、搬送装置1全体の構造および低コスト化を実現し、構築および搬送の作業効率を高められる。
【0036】
ここで、自走車5が履帯式自走車であって、図1〜図5に示す例のように作業用のアーム機構14を備え、シーブ6はアーム機構14上に装備したものとすることができ、自走車5が履帯式であることにより、山道、傾斜地、凹凸地など悪路を経た集材場への進行しやすい上に、アーム機構14を持つものであることにより、図3に示すようなブルドーザー7をなして、アーム機構14にドーザーショベル15、あるいはドーザーブレード、掴持具、裁断具などその他の作業具を装着してを構成し、搬送先となる里山から搬送元とする先山までの搬送ルートの切り拓き作業もできる。結果、悪路を経た伐採材の集材場への進行はもとより、アーム機構14にドーザーショベル15、ドーザーブレード、掴持具、裁断具などその他の作業具を装着して、搬送先Bとなる里山などの集材場から搬送元Aとする先山までの搬送装置1の設置ルートの切り拓き作業もでき、搬送装置1の構築の作業効率が、他の機器の応援なしにも向上、設置コストの低減が図れる。さらに、図2に示すようにブーム16およびアーム16cを接続したアーム機構14を装備したブルドーザタイプであって、シーブ6は、ブーム16上に傾斜角度または傾斜角度および高さを調整できるように装備したものとすることができる。これにより、ブーム16によってシーブ6をアーム16cよりも安定に支持できるし、ブーム16の傾斜角度だけでもシーブ6の高さを変えられ、ブーム16の傾斜角度による高さ調節でシーブ6が傾いても、シーブ6自体のブーム16に対する傾斜角を調節することで、水平面に対する絶対傾斜角を図5(a)(b)に例示するように自由に調整することができる。結果、ブーム16によってシーブ6を安定に支持し、ブーム16の傾斜角度にてもシーブの高さを変えられ、ブーム上での高さ調節を併せれば、高さ調節範囲を大きく採りやすいし、ブーム傾斜角による高さ調節でシーブ6が傾いても、シーブ6自体のブーム16に対する傾斜角を調節して水平面に対する絶対傾斜角を自由に調整することができる。
【0037】
また、シーブ6を駆動する図7に示すような電動モータ61または図2に示すような油圧モータ18を備えたものとすることができる。これにより、シーブ6を駆動する電動モータ61または油圧モータ18は、対応する自走車の走行電源や図7に示す発電機122、あるいは油圧源を利用して動作させてシーブ6を回転駆動し搬送作業に供することができ、特に、油圧源にて駆動するブルドーザー7などの履帯式自走車で、アーム機構14などの油圧動作機器を備えたものは、それらの油圧動作機器に向けられる油圧経路の既存切換え手段である操作レバー62、63などを併用した切り替えにより正転、逆転、停止の操作を実行することができる。特に、履帯式の自走車5には、油圧源からの油圧を複数の油圧作業機器に分岐供給する給油路が設けられていることが多く、この場合に、使用しない給油経路を油圧モータ18に接続するだけで、操作レバー62、63などを併用した駆動制御が可能になる。以上のように、シーブ6を駆動する電動モータ61または油圧モータ18を対応した自走車5の電源、油圧源により動作させてシーブ6を回転駆動し、搬送作業に供せるので、特別なエネルギ源が不要になる。特に、油圧源による履帯式の自走車5で、アーム機構14などの油圧動作機器を備えたものは、それらの油圧動作機器に向けられる油圧経路の既存切換え手段を併用した切り替えにより特別な操作手段なしに正転、逆転、停止の操作を実行することができ、それには、履帯部駆動用の油圧モータをシーブ6用に転用するのが好適である。
【0038】
ここで、主搬送装置1としては、搬送元Aおよび搬送先Bに配置され回転できるように支持される一対のシーブ6を備えて、その少なくとも一方を上記いずれか1つの自走車5に装備されたものとし、搬送元Aおよび搬送先Bの各シーブ6、6間に張設されて、設定された環状ルートに沿って周回する無端状の索条8と、無端状の索条8に装着されて搬送対象物51を吊持する吊具44と、を備えたものでよく、上記シーブ6を支持した自走車5を搬送元Aおよび搬送先Bの少なくとも一方に用いた、搬送元Aおよび搬送先B間に張設した索条8に搬送対象物51を吊持させての搬送を実現することが、容易かつ安価に実現し、作業性よく間伐材などの搬送対象物51をランニングコスト少なく搬送することができる。
【0039】
さらに、既述のような、搬送元Aおよび搬送先Bに配置され回転できるように支持される一対のシーブ6、6、または釣り用の大型リールなどとして知られる図9に示すような一対のポータブルウインチ71、71を備えて、一対のシーブ6、6は少なくとも一方に自動駆動源を連結したもの、一対のポータブルウインチ71、71は双方にハンドル72などの手動の駆動手段を連結したものとし、搬送元Aおよび搬送先Bの各シーブ6、6間に張設されて設定される環状ルートに沿って周回される索条8、または各ポータブルウインチ71、71間に設定される往復ルートに沿って一方から繰り出し他方に巻き取られ反対に他方から繰り出し一方へ巻き取られる索条8と、索条8に装着されて搬送対象物を吊持する吊具44と、を備え、シーブ6、6の駆動パワー、索条8の耐張力強度、索条8の周回経路長の少なくとも1つを、上記搬送装置1よりも低くした、図7に示すような補助搬送装置101を、1組以上、上記の搬送装置1を主搬送装置として、組み合わせ備えたものとすることができる。
【0040】
これにより、主搬送装置1は150mといった長距離で強力な駆動パワー、搬送パワーを持った定置型として配置して、長距離搬送、搬出を実現しながら、補助搬送装置101は、主搬送装置1に比し、シーブ6やポータブルウインチ71の駆動パワー、索条8の耐張力強度、索条8の周回経路長の少なくとも1つが低く、設置や、移動が簡易なことを利用して、主搬送装置1の搬送元A側を起点にした設置位置の移動を伴い、小規模範囲を単位に伐採され、集荷され、あるいは供給される伐採材などの搬送対象物51を搬送して、主搬送装置1の搬送に移し替えることで、主搬送装置1の搬送元Aを起点にした広域を搬送元Aとした主搬送装置1の搬送先Bまでの搬送を実現することができる。結果、主搬送装置1は長距離で強力なパワーを持った定置型として、長距離搬送、搬出を実現しながら、主搬送装置1よりも短く低パワーとした設置や、移動が簡易な補助搬送装置101にて、主搬送装置1の搬送元側を起点にした設置位置の移動を伴い、小規模範囲を単位に伐採され、集荷され、あるいは供給される伐採材などの搬送対象物51を主搬送装置1の搬送元A側に搬送して、主搬送装置1の搬送元A側に移し替えて搬送先Bへ搬送することを繰り返して、例えば、主搬送装置1の先山2に設定する搬送元Bを起点にした広域を最搬送元Aとした主搬送装置1の里山などの集材場3に設定する搬送先Bまでの搬送を、補助搬送装置101近傍での伐採と伐採材の吊持作業にて簡易に実現することができ、伐採の進行に伴う主搬送装置1の次期伐採、搬送位置への移動が必要となる時間間隔、期間を延ばして作業効率を高められる。
【0041】
例えば、主搬送装置1を、里山などの集材場3を搬送先B、先山2を搬送元Aとしてそれらの間で索条8を張設して設定された主環状ルートに沿い周回させるように配置し、補助搬送装置101を、搬送元Aおよび搬送先B間で索条8を張設して設定した補助環状ルートまたは往復ルートが搬送先B側で主搬送装置1の主環状ルートにクロスまたは近接して搬送元A側が主搬送装置1から遠ざかるように、単列で、あるいは複列で、配置し、補助搬送装置101の環状ルートまたは往復ルートの周辺で伐採される伐採材51を、環状ルートまたは往復ルートに沿って搬送元A側から搬送先B側に周回または巻き取り移動される索条8に止着した吊具44に吊持させて主搬送装置1の環状ルート側に搬送し、主搬送装置1の環状ルート側で補助搬送装置101によって搬送されてくる伐採材51を順次に吊具44から下ろすのに併せ、下ろされた伐採材51を順次主搬送装置1の搬送先B側に周回される索条8に止着した吊具44に吊持させて先山2側から里山の集材場3側に搬出し、集材場3側で搬送されてきた伐採材51を吊具44から下ろして集材することを繰り返し、補助搬送装置1は、環状ルートまたは往復ルート周辺での伐採の進行度に応じ、搬送元A側を次の伐採位置側にシフトさせながら以降の伐採材51の搬送を行う伐採材51の搬出方法が実現する。
【0042】
なお、吊具44は、図6に例示するように索条8に上端を止着され下端に図6に示すようなフック44aを備えた吊持ベルト、図6に示す索条8に上端を止着され下端にフック44aを備えた上に、されらに、途中に各種の長さ調節部を持った吊持ベルト、図10に示すように索条8に上端を止着されたループの少なくとも1つとして、主搬送装置1に比し補助搬送装置101側では、より簡易な取り扱い、使用ができるも適用して使い分けられる。また、図7に吊具44の索条8への吊持構造を断面で示すように、索条8に吊持ベルトを掛けて折り返した二重部分をフランス環などとして知られるベルト締具44cに通してベルト締めする方式を採用して、吊具44を索条8に吊持すると、図6に示すような鞘部材46などの引き揃え具を介してベルト締め具でベルト締めする場合に比べて吊持構造が簡単になる上、シーブ6やガイドローラユニット127の横向き偏向ガイドローラに対する順応性はもとより、縦向き偏向ガイドローラに対する順応性も高くなる利点があり、図7に示す主搬送装置1の側面視図に見られる縦向きに屈曲した張設経路にて複雑な地形にも平行な搬送ができるようになるし、図6に示す場合にシー部6まわりに設ける鞘部材46なども省略することができる。
【0043】
以下、各例について、さらに具体的に説明する。図1〜図5に示す例では、図1において、竹材や木材などの伐採材の伐採地において、伐採作業を行う先山2に近い位置でかつトラック等による輸送が可能な林道等に近い位置に集材場3が設定されている。この集材場3から先山2に向けて履帯式自走車が走行可能でかつ伐採材の搬出に障害とならない程度に整地された搬出路4が形成されている。先山2と集材場3には、それぞれ駆動側若しくは従動側のシーブ6を装備した履帯式自走車5が設置されている。履帯式自走車5はショベル付きブルドーザ7にて構成し、集材場3の整地、搬出路4の形成、先山2における履帯式自走車5の設置面の整地を履帯式自走車5が自ら行えるようにしている。
【0044】
先山2と集材場3に設置された履帯式自走車5、5のシーブ6、6間に設定された所定の環状ルートに沿って無端状の索条8が配設され、駆動側のシーブ6の回転駆動によって索条8を一方向に連続的に回動させるように構成されている。無端状の索条8は、例えば直径20mm程度の合成樹脂製のロープを編込や接続具等によって無端状に接続したものが好適に用いられる。索条6の具体的な構成と材質としては、アラミド繊維などの高強度の繊維から成る芯ロープの外周面を、ポリエチレンテレフタレートなどの耐候性や耐摩耗性の高い繊維から成る編成材にて被覆したものや、芯ロープの外周面に耐摩耗性の高い合成樹脂のコーティング材で被覆したものなどが好適に適用される。
【0045】
なお、先山2と集材場3に配置される何れのシーブ6を駆動側とするかは、状況に応じて任意に決定すれば良く、同期運転が可能であれば両方とも駆動側としても良い。また、先山2と集材場3に配置する履帯式自走車5を同一構成のものを適用しても良く、その場合従動側になるものついてはシーブ6の回転駆動手段を回転フリーの状態にすれば良い。
【0046】
先山2と集材場3の間の索条8が通る環状ルートには、索条8を移動自在に支持するガイドローラ9aを備えた索条案内支持手段9が適宜に配設されている。また、先山2と集材場3に設置された履帯式自走車5、5を矢印10で示すように相互に遠近方向に位置調整することで、索条8に対して所要のテンションが付与される。
【0047】
履帯式自走車5を構成するショベル付きブルドーザ7は、図2に示すように、本体11の下部に履帯部12と土工板13を有し、かつ本体11の前端から上下揺動及び屈曲可能なアーム機構14が延設され、その先端にショベル15が上下に首振り可能に装着されている。アーム機構14を構成する複数のアームの内、最長のムーブ16は、基端16aが本体11に上下揺動自在に連結されるとともに側面視で山形状に形成されており、その上方に突出した中間部16bに、シーブ6とその回転駆動手段としての油圧モータ18(図3、図4参照)を支持する支持ブラケット17が装着固定されている。
【0048】
支持ブラケット17は、図3、図4に示すように、ムーブ16の両側面にそれぞれ一体固着された上下一対の取付ブロック19a、19bに下部支持板20a、20bの下端部をそれぞれ締結固定し、この下部支持板20a、20bの上端部間に架設した支軸21にて上部支持板22a、22bの上下方向の中間部を回動自在に支持した構成とされている。上部支持板22a、22bの上端間は取付プレート23にて連結され、この取付プレート23の中央部に貫通形成された取付穴23aに油圧モータ18の固定部18aが上方から挿入されて締結固定され、この油圧モータ18の上方に突出した出力部18bにシーブ6を構成する円板24の内周部が締結固定されている。シーブ6は、円板24の外周部に設けられたシーブ溝部25にて構成され、シーブ溝部25は一対のシーブ溝形成部材25a、25bにて円板24の外周部を挟持した状態で締結固定して構成されている。
【0049】
支軸21の両端部には小径軸部21aが設けられ、その両端が下部支持板22a、22bに形成された取付穴26に嵌合され、かつ下部支持板22a、22bの外面に係合するように配置した座金27を介して固定ボルト28にて締結固定されている。また、小径軸部21aの外周には、上部支持板22a、22bの内側面に一体的に突設されたボス部29が軸受部材30を介して回転自在に嵌合されている。
【0050】
上部支持板22aの下部と、下部支持板20aのそれに対向する部分との間に、上部支持板22aを支軸21の回りに所望の回動位置まで回動させる回動手段31が配設されている。回動手段31の具体構成を説明する。下部支持板20aからその両側に延出された支持部材(図示せず)の両端に、上部支持板22aの内側面より内側位置まで突出するように軸受部32が設けられ、この軸受部32にてねじ軸33が回転自在に支持されるとともにねじ軸33の一端に回転操作ハンドル34が設けられている。ねじ軸33には角型のナット部材35が螺合され、ナット部材35の一側面が上部支持板22aの内側面に係合されるとともに、その一側面に突設された係合突部36が上部支持板22aに形成された上下方向の長穴37にその長手方向に相対移動可能に係合されている。かくして、図3に示す状態で回転操作ハンドル34を回転操作すると、ナット部材35が図3の左右方向に移動し、それに伴って長穴37は仮想線で示す回動限位置の間で回動可能であり、この長穴37を介して上部支持板22aを支軸21回りに回動させることができる。
【0051】
また、支軸21と回動手段31の間に、上部支持板22a、22bを所望の回動位置で固定する固定手段38が配設されている。固定手段38の具体構成を説明する。下部支持板20a、20bには、支軸21を中心とする所定半径の円弧線上に適当間隔置きに複数の位置決め穴39が形成され、上部支持板22a、22bには、支軸21直下で上記円弧線の半径と同じ距離の位置に位置規制穴40が形成されており、下部支持板20a、20bと上部支持板22a、22bを上記のように所望の回動位置に位置させた状態で、位置決め穴39と位置規制穴40を貫通して固定ピン41を挿通することで、上部支持板22a、22bをその回動位置で固定できるように構成されている。なお、固定ピン41の一端には下部支持板20aの外側面に係合する頭部41aが設けられ、かつその端面に固定ピン41を抜き出したときにぶら下げて保持しておくための保持紐42が連結されている。また、固定ピン41の下部支持板20bの外側面から突出する他端部には環状溝41bが形成され、この環状溝41bに係合ピン43aの先端を離脱操作可能な係合させて固定ピン41の抜け出しを防止する抜け出し防止手段43が下部支持板20bの外側面に配設されている。
【0052】
かくして、必要時に、固定手段38の固定ピン41を引き抜き、回転操作ハンドル34を回転操作することで、支持ブラケット17の上部支持板22a、22bを支軸21回りに回動させて所要の位置決め穴39と位置規制穴40を合致させ、固定ピン41を挿入することで、上部支持板22a、22bを所望角度傾斜させた姿勢で固定することができ、図5(a)や図5(b)に示すように、シーブ6の配置面を索条8のテンションの作用方向に向かせることができる。
【0053】
なお、索条8には、長手方向に適当間隔置きに、図3に示すように吊具44が装着されている。吊具44は索条8に吊ベルト45を倒立U字状に巻掛け、索条8から垂下した吊ベルト45に扁平な角筒状の鞘部材46を通してその鞘部材46を索条8に向けて押し上げ、その状態で鞘部材46の下端に係合させた固定具(図示せず)にて吊ベルト45を相互に固定し、さらに下方に所定長さ垂下された吊ベルト45の先端に、伐採材を保持した結束手段(図示せず)を引っ掛ける引掛具(図示せず)が装着されている。また、索条8がシーブ6のシーブ溝部25内に入り込んで巻き掛けられる際に、この吊具44がシーブ溝形成部材25bと干渉するのを防止するために、上部支持板22a、22bの上端部には、索条8がシーブ6に巻き掛け始める位置の手前で、鞘部材46に係合して鞘部材46を外周上方に押し上げるガイド部材47が取付けられている。
【0054】
以上の構成において、山林で間伐材を伐採して搬出する場合には、対象地の先山2の近傍でかつ林道などの道路に近い位置に集材場3を設定し、この集材場3にトラックなどで2台のショベル付きブルドーザ7と所要の支持ローラ機構9を搬入し、一方のショベル付きブルドーザ7で集材場3を整地してそのショベル付きブルドーザ7を設置し、他方のショベル付きブルドーザ7で先山2と集材場3の間の搬出路4を形成しつつ先山2に移動させ、先山2におけるショベル付きブルドーザ7の設置面を整地して設置する。これらショベル付きブルドーザ7の設置に際しては、ムーブ16を前方に伸ばしてショベル15を地面に当接若しくはショベル15の先端を地面食い込ませた状態で設置し、履帯部12とショベル15がスパンの長い2つの支持点として機能するようにする。次に、先山2に設置したショベル付きブルドーザ7のシーブ6と集材場3に設置したショベル付きブルドーザ7のシーブ6の間を接続する環状ルートを搬出路4上に設定し、その環状ルートの所要箇所に支持ローラ機構9を分配配置する。そして、適当間隔置きに吊具44が装着された無端状の索条8をシーブ6、6間に巻き掛けて配置するとともに、所要箇所で支持ローラ機構9にて索条8を支持し、またショベル付きブルドーザ7を矢印10のように位置調整して索条8に所要のテンションを付与する。
【0055】
こうして伐採材1の搬出装置の設置が完了すると、先山2若しくは集材場3又はそれら両方に設置したショベル付きブルドーザ7のムーブ16の中間部に配置した油圧モータ18を作動させ、その出力部18bに固定した駆動側となるシーブ6を回転駆動して無端状の索条8を集材場3と先山2との間で一方向に回動させる。なお、従動側となるシーブ6は、そのシーブ6が固定された油圧モータ18を回転フリーとしておく。そして、先山2で、索条8の回動に伴って集材場3に向けて移動する吊具44の下端の引掛具(図示せず)に、伐採材を結束した結束手段(図示せず)を引っ掛ける。かくして、索条8が集材場3に向けて回動することで伐採材を集材場3に向けて搬送することができる。集材場3では、吊具44から伐採材を荷卸し、伐採材を所定場所に集積することで、伐採材の搬送が終了し、以上の動作を繰り返すことで、集材場3に搬出された伐採材が集材される。
【0056】
なお、集材場3に搬出した伐採材は、そのままトラック等で処理場に運送しても良いが、集材場3に伐採材をチップ状に破砕するチョッパー(図示せず)を設置して、チップ材にしてトラック搬送するようにすると、効率的に運送することができる。因みに、こうして製造された伐採材のチップは、その後乾燥して粉砕することで堆肥等として、さらに発酵促進剤を加えて家畜の餌等に利用可能であり、また炭化処理することで、樹脂成形品の充填材等として有効に利用することができ、さらには生物・化学的な処理によって化石燃料の代替燃料として再生してすることも考えられる。
【0057】
以上のように本例によれば、集材場3と先山2との間で一方向に回動する無端状の索条8に、先山2で吊具44を介して伐採材を保持させ、集材場3で伐採材を荷卸しすることで伐採材を連続的に高い作業効率にて集材場に搬出することができ、かつ単一の無端状の索条8に回動させるだけでよいので装置構成及び現場での設置作業が簡単で低コストにて実施することができる。
【0058】
また、履帯式自走車5としてショベル付きブルドーザ7を適用しているので、山地でも自ら必要な整地作業を行いながら自走して集材場3や先山2に設置することができ、容易かつ短時間で履帯式自走車5を設置することができる。さらに、ショベル付きブルドーザ7のムーブ16の中間部上にシーブ6を配設しているので、ブルドーザ7の履帯部12とアーム機構14の先端のショベル15を地面上に接地しまたはショベル15の先端を地面に食い込ませることで、長いスパンの支持点間の中間にシーブ6が配置された状態となり、したがって別途にサポート手段を設けない簡単な構成にて安定した支持状態を確保することができる。
【0059】
しかも、ムーブ16の中間部に配置したシーブ6の回転駆動手段として油圧モータ18を適用しており、かつシーブ6の回転駆動時にはブルドーザ7を走行させることはないので、ブルドーザ7に設置されている油圧ポンプからこの油圧ポンプに接続する簡単な配管を追加するだけで油圧ポンプを共用できて駆動源を確保でき、安価な改造にて所望の機能を持った履帯式自走車5を構成することができる。かくして、装置構成が簡単であるため、低コストにて実施することができる。
【0060】
また、支持ブラケット17の上部を、支持ブラケット17の高さ方向の中間部に配置したムーブ16の長手方向と直交する水平な支軸21の回りに傾動可能に構成しているので、支持ブラケット17の上部に配置した油圧モータ18を介してシーブ6の傾きを変更することができ、シーブ6に巻回した索条8に作用するテンション方向にシーブ6の傾きを設定することができ、テンションの作用方向を無理に変えるために設置作業に手間がかかることがなくかつ設置状態の安定性を確保することができる。
【0061】
また、油圧モータ18は、ブルドーザ7の履帯駆動用の油圧モータを転用し、その出力部18に円板24を固定し、円板24の外周にシーブ溝形成部材25a、25bを装着して索条8を保持するシーブ溝25を形成しているので、ブルドーザに設置されている油圧ポンプ18をそのまま転用して適切に動作させることができ、かつシーブ6を円板24とシーブ溝形成部材25a、25bからなる簡単な構成としながらそのシーブ6を確実に駆動することができる。
【0062】
以上の実施形態の説明では、索条8として、合成樹脂繊維から成る合成樹脂繊維ロープを適用した例を示したが、ワイヤーロープやチェーンなどを適用することもできる。しかし、ワイヤーロープやチェーンなどは、重量が大きく張設作業に多大な労力を要するとともに、重量が大きいと大きく垂れ下がるために運転時に大きな張力を負荷する必要があり、そのため装置構成自体が大掛かりになってコスト高になってしまうという課題がある。これに対して合成樹脂繊維ロープを用いると、軽量でありながら必要な強度を確保できるので好適である。
【0063】
図6に示す例は、上記とは別の履帯式自走車511を構成している。履帯部12を有した本体11上の一側の後部寄りに運転席112が設けられ、運転席112の前部に図6(a)に示す油圧モータ18を設置して履帯式自走車511の油圧源、操作レバー62、63を共用して運転制御できるようにしてある。一方、本体11の空きスペースのほぼ中央にシーブ6を設置して、ジャッキ113により軸114を中心に傾斜角を調整される支持板115上に油圧シリンダ116により上下動できるように支持してあり、シーブ6は傾斜角および高さ調節ができる。シーブ6の回転軸117は、図6(b)(c)に示す中間軸118を介した伝動機構119により油圧モータ18の回転を伝達されて、正転、逆転駆動される。
【0064】
図7に示す例では、主搬送装置1を履帯式自走車5であるブルドーザー7上のシーブ6と、車輪式自走車5上のシーブ6との間に索条8を張設して構築しており、履帯式自走車5は先山2側として搬送先Bから搬送元Aまでのルート開発もできるようにし、車輪式自走車5は通常車が進入できる里山側の集材場3としている。車輪式自走車5は車止め81と索条8の張設側に打ち込んだ打ち込み杭82によって索条8の張力を受け止め、履帯式自走車5であるブルドーザー7はドーザーショベル15を索条8の張設側に向け地面に突き刺すことで張力を受けられるが、これに代わって、あるいはそれと共に、図示するように杭82によって索条8の反張設側に向け索条121により支持してもよい。車輪式自走車のシーブ6は、発電機122とこれに給電される電動モータ123によって駆動されるようにしたシーブユニット124とを荷台に搭載し固定したトラックを利用しており、トラックを現地で調達し、発電機122およびシーブユニット124を後付けして得られる。主搬送装置1はその設置域が例えば150mといった長距離に及ぶことから、索条8の途中適数か所を、打ち込み支柱125、これに代わり、あるいは併用する、竹や木、またはそれらの根側を適当高さに残して伐採した竹や木の立ち株126にて支持したガイドローラユニット127にて案内および支持している。補助搬送装置101はその設置域が例えば100m程度と小さくし、図6に示す履帯式自走車5を搬送先B側に配置し、車輪式台車タイプのトラックの箱構造を省略するなどしてより簡略化した簡易自走車5を搬送元A側に配置して、打ち込み杭82と索条121とにより背後支持している。
【0065】
図8に示す例では、主搬送装置1は、図8(a)(b)に示す左右の尾根間の谷間を先山2側に配置した駆動側シーブ6を搭載した履帯式自走車5による適度な整地を伴い配置した点、搬送先Bのシーブ6を従動側として図示しない支柱によって支持し、必要な背後支持をした点で図7の例と異なる。また、索条8の途中を支持するガイドローラユニット127を支持するのに、竹132の立ち株132aと、木133の立ち株133aとを併用した点でも相違する。勿論、既述した支柱125を併用することもできる。さらに、補助搬送装置101自体は図7に示す例と変わらないが、補助搬送装置101を主搬送装置1側から谷間の一方側の竹林141へ延びるように配置した点で設置環境に相違があり、主搬送装置1側から谷間の他方側にある木、竹の混合林142へ延びるシュラ装置143を設けた点で図7に示す例と相違している。混合林142は、木の森林に混合している竹は、竹林から竹の根が勝手に延びて筍を発生し、それが成長したもので、竹を含んだ木の林立密度が極端に高くなっていて、搬送装置の構築や搬出作業がしにくく、現地では放置され勝ちなところ、伐採材の搬送装置としては極端にスリム化するシュラ装置143を設置することで対応している。シュラ装置143は、樹脂や金属板できた樋型のものが基本であるが、搬送先Bから搬送元Aに向け分岐するように構築することで、竹を含んだ木の林立密度の高い混合林中の広い伐採域にシュラ経路を伸ばして伐採材51を合流させながら主搬送装置1側に搬送することで、主搬送装置1にて搬出できるようになる。シュラは伐採材を下流へ滑らせるのが基本であるが、摩擦を軽減する凹凸を設けたり、緩い傾斜にても滑落できるように図示する回転ローラ143aを設けたものとすることもできる。
【0066】
図9に示す例では、搬送元Aと搬送先Bとの双方にポータブルウインチ71を配置して、それを取り付けた基板147を打ち込み支柱145に帯金を用いた緊縛具146により複数個所にて緊縛するなどして固定し、両ポータブルウインチ71の巻き取りドラム71a間に渡した索条8を、最初搬送元A側に巻き取っておくことで補助搬送装置101を構築してある。最初、搬送元A側に巻き取っておいた索条8の搬送先B側のポータブルウインチ71まで延びている部分の吊具44に伐採材51を吊持しながら、索条8を最初搬送先B側に巻き取っていくことで、搬送先B側に搬送させられる。搬送元B側への巻きとり限界に達したとき、それ以上の搬送を停止し、索条8を搬送元A側のポータブルウインチ71側に巻き戻してから、搬送を再開することを繰り返す。ここで、吊具44は、索条8と共にポータブルウインチ71に巻き取られるので、柔軟かつかさ低いものが好適となる。それには、図10に示すような漁業で使われるはえ縄漁用の索条8とループ状の吊具44を用いるのが柔軟性、かさ低さの点で好適となる。なお、ループ状の吊具44はロープ材を索条8の撚り目8aや編み目に通して(a)のように両端を結びつけるか、(b)(c)に示すように中央部を結びつけた後、両端を下端にして結びつけた下向きの先どうしを(b)に示すようにテープなどによる緊縛部44aとするか、(c)に示すように溶着ないしは接着して固着させた固着部44bとするかしてループ化する。
【0067】
本例の補助搬送装置101は分岐できないものの、最も簡単かつスリムで、混合林での構築に最も適するし、複数列配置することで広域での同時伐採に対応できる利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、集材場と先山に配置したシーブ間で一方向に回動する無端状の索条に先山で吊具を介して伐採材を保持させ、集材場で伐採材を荷卸しすることで、伐採材を連続的に高い作業効率にて集材場に搬出することができ、またシーブとその回転駆動手段としての油圧モータをショベル付きブルドーザの主アームの中間部に配設しているので、自ら整地作業を行って容易かつ短時間で設置することができ、かつシーブがブルドーザの履帯部とアーム先端のショベルによる長いスパンの支持点で支持されるので安定した支持状態を確保でき、伐採材を高い作業効率にて搬出することができしかも装置構成が簡単で低コストにて実施することができるので、竹材や木材などの伐採材の搬出に好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態に係る自走車を伐採材の搬出装置に利用した状態で示す概略構成図である。
【図2】同自走車であるショベル付きブルドーザの構成を示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図3】同自走車における支持ブラケット部の構成を示す正面図である。
【図4】同自走車における支持ブラケット部の構成を示す部分断面側面図である。
【図5】(a)、(b)は同自走車においてシーブを傾斜させる状態の説明図である。
【図6】(a)〜(e)は本発明の実施の形態に係る自走車を示す正面図、平面図、背面図、左側面図、右側面図である。
【図7】自走車を利用した本実施の形態に係る1つの搬送装置を示す平面図、側面図である。
【図8】自走車を利用した本実施の形態に係る別の搬送装置を示す平面図、側面図である。
【図9】自走車を用いないでポータブルウインチを用いた本実施の形態に係る他の搬送装置を示す平面図、側面図である。
【図10】図9の搬送装置に用いて好適な索条と吊具の例を示す側面図である。
【図11】従来例の伐採材の搬出装置の全体概略構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
A 搬送元
B 搬送先
1 搬送装置
101 補助搬送装置
2 先山
3 集材場
5 履帯式自走車
6 シーブ
7 ブルドーザ
8 索条
12 履帯部
14 アーム機構
15 ショベル
16 ムーブ
16c アーム
17 支持ブラケット
18 油圧モータ(回転駆動手段)
61 電動モータ
62、63 操作レバー
18b 出力部
20a、20b 上部支持板
21 支軸
22a、22b 上部支持板
24 円板
25 シーブ溝
25a、25b シーブ溝形成部材
44 吊具
44a フック
51 搬送対象物
71 ポータブルウインチ
71a 操作ハンドル
127 ガイドローラユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送元と搬送先との少なくとも一方に配設され、傾斜角度、または傾斜角度および高さ、を調整でき、かつ回転できるように支持して、装備されたシーブを有し、搬送元と搬送先の他方に回転できるように支持して配設されたシーブとのに張設される無端状の索条を、前記一方のシーブの回転駆動により、設定される環状ルートに沿い周回させて、索条に設けた吊具により吊持した搬送対象物の搬送元から搬送先への搬送に供するようにしたことを特徴とする自走車。
【請求項2】
履帯式自走車であって、作業用のアーム機構を備え、シーブはアーム機構上に装備した請求項1に記載の自走車。
【請求項3】
ブームおよびアームを接続したアーム機構を装備したブルドーザタイプであって、シーブは、ブーム上に傾斜角度または傾斜角度および高さを調整できるように装備した請求項2に記載の自走車。
【請求項4】
シーブを駆動する電動モータまたは油圧モータを備えた請求項1〜3のいずれか1項に記載の自走車。
【請求項5】
電動モータおよび油圧モータは、自走用および作業用の電源または油圧源を用いる請求項4に記載の自走車。
【請求項6】
搬送元は、先山であり、搬送先は、里山であり、搬送対象物は伐採材である請求項1〜5のいずれか1項に記載の自走車。
【請求項7】
搬送元および搬送先に配置され回転できるように支持される一対のシーブを備えて、その少なくとも一方を請求項1〜6のいずれか1項に記載の自走車に装備されたものとし、
搬送元および搬送先の各シーブ間に張設されて、設定された環状ルートに沿って周回する無端状の索条と、
無端状の索条に装着されて搬送対象物を吊持する吊具と、
を備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項8】
搬送元および搬送先に配置され回転できるように支持される一対のシーブまたは一対のポータブルウインチを備えて、一対のシーブは少なくとも一方に自動駆動源を連結したもの、一対のポータブルウインチは双方に手動の駆動手段を連結したものとし、
搬送元および搬送先の各シーブ間に張設されて設定される環状ルートに沿って周回される索条、または各ポータブルウインチ間に設定される往復ルートに沿って一方から繰り出し他方に巻き取られ反対に他方から繰り出し一方へ巻き取られる索条と、
索条に装着されて搬送対象物を吊持する吊具と、
を備え、
シーブの駆動パワー、搬送パワー、索条の耐張力強度、索条の周回経路長の少なくとも1つを、請求項7に記載の搬送装置よりも低くした、補助搬送装置を、1組以上、請求項7に記載の搬送装置を主搬送装置として、組み合わせ備えた請求項7に記載の搬送装置。
【請求項9】
吊具は、索条に上端を止着され下端にフックを備えた吊持ベルト、索条に上端を止着され下端にフックを備えると共に途中に長さ調節部を持った吊持ベルト、索条に上端を止着されたループの少なくとも1つである請求項8に記載の搬送装置。
【請求項10】
主搬送装置を、里山などの集材場を搬送先、先山を搬送元としてそれらの間で索条を張設して設定された主環状ルートに沿い周回させるように配置し、補助搬送装置を、搬送元および搬送先間で索条を張設して設定した補助環状ルートまたは往復ルートが搬送先側で主搬送装置の主環状ルートにクロスまたは近接して搬送元側が主搬送装置から遠ざかるように、単列で、あるいは複列で、配置し、補助搬送装置の環状ルートまたは往復ルートの周辺で伐採される伐採材を、環状ルートまたは往復ルートに沿って搬送元側から搬送先側に周回または巻き取り移動される索条に止着した吊具に吊持させて主搬送装置の環状ルート側に搬送し、主搬送装置の環状ルート側で補助搬送装置によって搬送されてくる伐採材を順次に吊具から下ろすのに併せ、下ろされた伐採材を順次主搬送装置の搬送先側に周回される索条に止着した吊具に吊持させて先山側から里山側に搬出し、里山側で搬送されてきた伐採材を吊具から下ろして集材することを繰り返し、補助搬送装置は、環状ルートまたは往復ルート周辺での伐採の進行度に応じ、搬送元側を次の伐採位置側にシフトさせながら以降の伐採材の搬送を行うことを特徴とする伐採材の搬出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−247920(P2010−247920A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97476(P2009−97476)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000203461)村田精工株式会社 (6)