説明

自車位置検出装置、ナビゲーション装置、減速制御装置及び自車位置検出方法

【課題】 分岐地点で自車両が分岐路に進んだかどうかの判断を的確に行い、ナビゲーション装置で認識している自車両の現在位置を的確に補正する。
【解決手段】 単眼カメラ4の撮像情報に基づいて左右の道路白線の線種を判断し、ナビゲーション装置2からの自車両前方の道路地図情報に基づいて自車両前方にインターチェンジ出口への分岐地点を検出したとき、左右の道路白線の何れか一方が分岐地点の境界線の特徴である太破線であることが検出され(ステップS21、S25)、その後、他方の道路白線が太破線であることが検出されたとき(ステップS22、S26)、自車両は境界線を跨いで走行し、すなわち、本線から分岐路に進んだと判断する(ステップS23、S27)。この境界線を跨いだことを検出したとき、ナビゲーション装置2に対して位置補正要求を行い、ナビゲーション装置2では自車両の現在位置を、分岐地点の境界線近傍の位置に補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両の分岐路近傍での自車両の位置を検出する自車位置検出装置、これを用いたナビゲーション装置及び減速制御装置、及び自車位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS測位等により、自車両の現在位置を検出し、記憶媒体に予め記憶されている道路地図データに基づいて、道路地図上に、自車両の現在位置を表示するようにしたナビゲーション装置が提案されている。
また、道路地図データに車線数情報が含まれる場合には、自車両に搭載したカメラによって実際の車線数を検出し、この検出した車線数と道路地図データに含まれる車線数情報とを比較し、車線数が一致する道路上に自車両が存在すると判断することによって、例えば、地上道路とその上に高架道路とが存在する場合等、同一の緯度軽度の地点に複数の道路が存在するような場合であっても、これら道路の車線数と、検出した車線数とを比較することによって、自車両がどちらの道路に存在するかを的確に判断し、道路地図上における自車両の現在位置を補正することで、GPS測位等による位置検出誤差を補正するようにした車両位置検出装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−300494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のように、車線数情報から自車両の車線数位置を補正するようにした場合、例えば、高速道路の本線からの出口等の分岐地点において、本線が2車線、分岐路が1車線であって、分岐後の車線数が異なるような道路環境下においては、カメラで検出した車線数と道路地図データとして保持している車線数情報とから、自車両が本線を走行しているのか、分岐路に進んだのかを的確に判別することができ有効である。
【0004】
しかしながら、本線の車線数と分岐路の車線数とが同じ場合には、自車両が本線を進んでいるのか分岐路に進んだのかを車線数から判断することは困難であって、自車両の現在位置を補正することができないという問題がある。
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、走行中の道路に分岐路が存在する場合に、自車両が分岐路に進んだかどうかを的確に検出することの可能な、自車位置検出装置、これを用いたナビゲーション装置及び減速制御装置、及び自車位置検出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る自車位置検出装置は、撮像手段で撮像した撮像画像に基づき、左右の道路白線を検出し、この道路白線を含む左右の所定領域に、自車両前方の分岐路の分岐地点近傍に設けられた特徴点があるかどうかを検出し、分岐検出手段で自車両前方に前記分岐路があることを検出し、且つ、左右の道路白線のうち何れか一方の道路白線側のみで前記特徴点を検出した後、他方の道路白線側のみで前記特徴点を検出する状態となったとき、自車両が前記分岐路に進入したと判断する。そして、自車両が分岐路に進入したと判断した時点で、自車両は分岐路への境界位置に位置すると判断して、分岐地点の既知の位置情報に基づいて自車両の現在位置を検出する。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る自車位置検出装置は、走行中の道路を撮像した撮像画像に基づいて、自車両が分岐路に進入したと判断されるとき、自車両は分岐路への境界位置に位置すると判断して、分岐地点の既知の位置情報に基づいて自車両の現在位置を検出するから、自車両の現在位置を容易且つ的確に検出することができると共に、実際の撮像画像に基づいて判断しているから、分岐地点に進入したかどうかを精度よく検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
まず、第1の実施の形態を説明する。
図1は、本発明を適用したナビゲーション装置を搭載した車両の一例を示す構成図である。
図中2は、自車両前方の道路形状を検出するためのナビゲーション装置であって、GPS測位を行って自車両の現在位置を計測する測位部2a、道路地図情報が格納された記憶部2b、自車両の現在位置周辺の道路地図情報を表示手段に表示すると共に地図上に自車両の現在位置を表示する表示処理部2c及び、後述のコントローラ10からの位置補正要求フラグFrをもとに自車両の現在位置を補正する位置補正部2dとを備えている。前記表示処理部2cは、測位部2aで計測した自車両の現在位置に対応する、自車両前方の予め設定した所定区間内の各ノードのノード情報(Xn,Yn,Ln)を、記憶部2bに格納されている道路地図情報から獲得する。前記ノード情報は、ノードの位置情報(Xn,Yn)、及び、自車両からノードまでの距離Lnを含むと共に、リンク情報を含んでいる。このリンク情報は、ノード間の接続や、ランプやジャンクションへのリンクであることを表す情報等を含んで構成される。なお、“n”は各ノードを識別するための識別子である。
【0008】
前記位置補正部2dは、コントローラ10から位置補正要求フラグFrを入力し、この位置補正要求フラグFrが“1”であるとき、自車両の現在位置を補正する。
図中4は、撮像手段としての単眼カメラであって、単眼カメラ4の撮像情報はカメラコントローラ5に入力される。このカメラコントローラ5では、撮像情報に基づいて、公知の手順で自車両前方の道路白線や所定の道路標示情報を検出し、道路白線の線種及び道路標示情報の特徴点を抽出し、これをコントローラ10に出力する。
【0009】
なお、ここでは、撮像手段として自車両前部に搭載された単眼カメラ4を適用した場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、リアビューカメラを適用することも可能であって、要は、自車両前方の道路白線や道路標示情報を検出することの可能な手段であれば適用することができる。
なお、図1において、1FL、1FRは左右の前輪、1RL、1RRは、左右の後輪、21はステアリングホイールである。
【0010】
前記コントローラ10では、前記ナビゲーション装置2からの自車両の現在位置情報及び自車両前方の道路地図情報、カメラコントローラ5からの道路白線の線種及び道路標示情報の特徴点に基づいて、分岐路進入検出処理を実行し、高速道路を走行中の自車両がインターチェンジ出口への分岐地点において、分岐路に進んだか否かを判断し、その判断結果に応じて位置補正要求フラグFrを設定しこれをナビゲーション装置2に出力する。
【0011】
図2は、コントローラ10で実行される分岐路進入検出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。この分岐路進入検出処理は、所定周期毎の割込処理によって実行される。
コントローラ10では、まず、ステップS1の処理で、ナビゲーション装置2及びカメラコントローラ5から各種データを読み込む。
具体的には、前記ナビゲーション装置2からは、自車両の現在位置(X0,Y0)、自車両前方の所定範囲内における道路ノード情報(Xn,Yn,Ln)を読み込む。また、ノード間の接続や、ランプやジャンクションへのリンクであることを表す情報等を含んだリンク情報を読み込む。
【0012】
そして、これら情報に基づいて高速道路のインターチェンジ出口への分岐地点が自車両前方にあるか否かを表す分岐フラグFdivを設定する。つまり、インターチェンジ出口への分岐地点がある場合には分岐フラグFdivを“1”に設定する。この分岐フラグFdivは、本線上の、分岐地点の手前La〔m〕の地点と、分岐路上の、分岐地点からLb〔m〕進んだ地点との間に自車両が存在する間、Fdiv=1に設定可能に構成されている。つまり、分岐地点がある場合、分岐地点の位置情報及び自車両の現在の位置情報に基づいて、自車両が、前記分岐地点から距離Laだけ手前の地点から、分岐路上の分岐地点から距離Lbだけ進んだ地点までの区間に存在するかどうかを判断し、自車両が前記区間に存在しない場合には、分岐地点に有無に関わらず分岐フラグFdivは“0”に設定し、前記区間に存在する場合にのみ分岐地点の有無に応じて分岐フラグFdivを設定する。
【0013】
前記分岐地点手前の距離La〔m〕は、通常、高速道路、インターチェンジ出口への分岐地点付近には誘導路が設定されているので、この誘導路設定区間相当の値に設定される。また、分岐路側の距離Lb〔m〕は、GPS測位による誤差及び地図精度による自車両の道路地図情報における誤差を考慮して設定される値である。
また、インターチェンジ出口の検索は、例えば道路地図情報のリンク種別から判断すればよく、ランプリンク、又はジャンクション等を検索しこれに基づいてインターチェンジ出口への分岐地点の有無を設定すればよい。また、例えば、道路地図情報としてインターチェンジ出口への分岐地点の有無をノード情報に対応付けておき、ノード情報に基づいて判断するようにしてもよい。
【0014】
なお、前記分岐フラグFdivは、分岐路が右側に存在する場合及び左側に存在する場合に限らず、分岐地点が存在する場合には“1”に設定され、分岐地点が存在しない場合には“0”に設定される。
コントローラ10では、さらに、カメラコントローラ5から、自車両が走行している道路の左側白線の種別の判定結果及び右側白線の種別の判定結果を読み込む。カメラコントローラ5では、白線の種別として、実線、破線、及び図3に示すように、高速道路の本線とインターチェンジ出口への分岐路との境界線Lを表す太破線等を検出する。
次いで、ステップS2に移行し、後述の出口判断処理を行い、自車両前方に高速道路のインターチェンジ出口への分岐地点がある場合に、道路白線の線種判別結果を用いて自車両が分岐路側に進んだかどうかを判断する。
【0015】
次いで、ステップS3に移行し、ステップS2での出口判断処理の結果、自車両が分岐路に進んだと判断された場合には、ナビゲーション装置2に対して、位置補正要求フラグFrを“1”として出力する。また、ナビゲーション装置2において自車両が進んだ分岐路を特定することの可能な情報も同時に出力する。このとき、分岐路が例えば複数車線の道路である場合には、撮像情報から自車両がいずれの車線に進入したかも判断し、この情報も通知するようにしてもよい。そして、図2の分岐路進入検出処理を終了する。
一方、ステップS2での出口判断処理の結果、自車両が分岐路に進んだと判断されない場合には、位置補正要求フラグFrを“0”として出力する。そして、図2の分岐路進入検出処理を終了する。
【0016】
図4及び図5は、前記ステップS2の出口判断処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。この出口判断処理では、図4に示す処理手順で分岐地点の境界線を検出したかどうかを判定する境界線検出処理を行った後、図5に示す処理手順で、この境界線上を自車両が通過したかどうかつまり自車両が分岐路に進んだかどうかを判定する通過判定処理を行う。
【0017】
図4の境界線検出処理では、まず、ステップS11で分岐フラグFdivが“1”に設定されているかどうかを判断する。そして、分岐フラグFdivが“1”でないとき、すなわち、自車両前方にインターチェンジ出口への分岐地点が存在しないときにはステップS12に移行し、境界線検出フラグFlinを“0”に設定する。そして、処理を終了する。なお、この境界線検出フラグFlinは、“0”、“1”、“2”の3つの状態をとるフラグである。
【0018】
一方、ステップS11で分岐フラグFdivが“1”であるとき、すなわち、自車両前方にインターチェンジ出口への分岐地点があると判断されるときにはステップS13に移行し、境界線検出フラグFlinが“0”であるかどうかを判断する。そして、境界線検出フラグFlinが“0でないときにはそのまま処理を終了し、境界線検出フラグFlinが“0”である場合には、ステップS14に移行する。
このステップS14では、カメラコントローラ5で検出される左側白線の線種結果が、太破線であるか、つまり、図3に示すように、高速道路の本線とインターチェンジ出口側への分岐路の境界線Lであることを意味する太破線であるかどうかを判断する。
【0019】
左側白線が太破線であると判定されているときには、自車両が分岐地点に到達したと判断し、ステップS15に移行し、境界線検出フラグFlinを“1”に設定する。左側白線が太破線であると判定されていないときにはステップS16に移行し、次に、右側白線が太破線であると判定されているかどうかを判定する。そして、右側白線が太破線であると判定されているときにはステップS17に移行し、境界線検出フラグFlinを“2”に設定する。そして、処理を終了する。一方、右側白線が太破線でないと判定されているときにはそのまま処理を終了する。
【0020】
つまり、この境界線検出処理では、自車両前方にインターチェンジ出口への分岐地点がない場合には境界線検出フラグFlinを“0”、自車両前方に分岐地点が存在し、且つ左側白線が太破線であって自車両の左側にインターチェンジ出口への分岐路があると判断されるときには境界線検出フラグFlinを“1”、右側白線が太破線であって自車両の右側にインターチェンジ出口への分岐路があると判断されるときには境界線検出フラグFlinを“2”に設定する。
【0021】
このようにして境界線検出フラグFlinの設定を行ったならば、図5の通過判定処理を実行する。
まず、ステップS21で境界線検出フラグFlinが“1”であるかどうか、つまり、左側の道路白線が太破線かどうかを判断する。左側の道路白線が太破線である場合にはステップS22に移行し、右側の道路白線が太破線であるかどうかを判断する。右側の道路白線が太破線でない場合にはそのまま処理を終了し、右側の道路白線が太破線である場合にはステップS23に移行し、境界線通過フラグFcrosを“1”に設定し、ステップS24で境界線検出フラグFlinを“0”にした後処理を終了する。
【0022】
一方、前記ステップS21の処理で境界線検出フラグFlinが“1”でないとき、つまり、左側の道路白線が太破線でないときにはステップS25に移行し、境界線検出フラグFlinが“2”であるかどうか、つまり、右側の道路白線が太破線であるかどうかを判断する。そして右側の道路白線が太破線である場合にはステップS26に移行し、左側の道路白線が太破線であるかどうかを判断する。左側の道路白線が太破線でない場合にはそのまま処理を終了し、左側の道路白線が太破線である場合にはステップS27に移行し、境界線通過フラグFcrosを“1”に設定し、ステップS28で境界線検出フラグFlinを“0”に設定した後処理を終了する。
【0023】
そして、前記ステップS25で境界線検出フラグFlinが“2”でないとき、つまり、境界線検出フラグFlinが、“1”でも“2”でもなく、自車両の右側及び左側のいずれの道路白線も太破線でない場合にはステップS29に移行し、境界線通過フラグFcrosを“0”に設定する。
つまり、ステップS21からステップS23の処理では、左側道路白線が太破線となった後、右側道路白線が太破線となったかどうかを判断している。これはすなわち図3に示すように、インターチェンジ出口への分岐地点の道路上に標示されている境界を表す境界線Lとしての太破線を、自車両が、右側から左側に跨いだかどうかを判断していることと同等であって、これによって、自車両が本線から左側に分岐した分岐路に進んだかどうかを判断している。
【0024】
同様にステップS25からステップS27の処理では、右側道路白線が太破線となった後、左側道路白線が太破線となったかどうかを判断している。これはすなわちインターチェンジ出口への分岐地点の道路上に標示されている太破線を、自車両が、左側から右側に跨いだかどうかを判断していることと同等であって、自車両が本線から右側に分岐した分岐路に進んだかどうかを判断している。
【0025】
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
高速道路走行中の自車両では、ナビゲーション装置2により、自車両の現在位置を検出し、自車両前方の所定領域の道路地図情報を抽出し、道路地図上における自車両の現在位置を表示してドライバに経路案内を行うと共に、自車両の現在位置及びその周辺の道路地図情報をコントローラ10に出力する。また、カメラコントローラ5では、単眼カメラ4の撮像情報を処理し、左右の道路白線を検出しその種別を判断しその判別結果をコントローラ10に出力する。
【0026】
コントローラ10では、ナビゲーション装置2及びカメラコントローラ5から各種データを読み込み、道路地図情報から、自車両前方にインターチェンジ出口への分岐地点が存在しないと判断されるときには、分岐フラグFdivを“0”に設定する。このため、図4のステップS11からステップS12に移行し、境界線検出フラグFlinは“0”に設定されるから、図5の通過判定処理では、ステップS21からステップS25を経てステップS29に移行し、境界線通過フラグFcrosは“0”に設定される。そして、境界線通過フラグFcrosが“0”であることから、ナビゲーション装置2に対して位置補正要求フラグFrを“0”として出力する。ナビゲーション装置2の位置補正部2dでは、位置補正要求フラグFrが“0”に設定され補正要求が行われていないことから自車両の位置補正は行わない。
【0027】
この状態から、自車両前方にインターチェンジ出口への分岐地点が検出される状態となり且つ自車両が分岐地点手前のLa〔m〕の距離の地点に到達すると、図2のステップS1の処理で分岐フラグFdivは“1”に設定される。このため、図4のステップS11からステップS13を経てステップS14に移行するが、自車両がインターチェンジ出口への分岐地点に達しておらず、カメラコントローラ5で検出される左右の道路白線のいずれもが太破線でない場合には、ステップS16から処理を終了し、引き続き分岐フラグFdivは“0”を維持する。
【0028】
そして、図3に示すように、自車両が左側に分岐するインターチェンジ出口への分岐地点近傍に達し、カメラコントローラ5で道路左側の太破線(境界線L)を検出する状態となると、図4のステップS13からステップS14を経てステップS15に移行し、境界線検出フラグFlinは“1”に設定される。このため、図5のステップS21からステップS22に移行するが、自車両が太破線上を通過していない場合には、右側の道路白線は、車線区分線に相当する実線或いは細破線となることから、境界線通過フラグFcrosは“0”を維持し、自車両が分岐路に進むために分岐路方向に向きを換えると、これに伴って単眼カメラ4の撮像範囲が変化し、右側道路白線として、本線左側に標示されている太破線を検出することになる。このため、右側道路白線が太破線であることを検出したことから図5のステップS22からステップS23に移行し、境界線通過フラグFcrosが“1”に設定され、ステップS24で境界線検出フラグFlinが“0”に設定される。
【0029】
このため、図2のステップS3の処理で、位置補正要求フラグFrが“1”としてナビゲーション装置2に対して出力される。
ナビゲーション装置2の補正部2dでは、位置補正要求フラグFrが“1”であることから、自車両の現在位置の補正を行う。ここで、位置補正要求フラグFrが“1”となった時点は、すなわち、自車両がインターチェンジ出口への境界線つまり太破線を跨いで通過した時点であることから、位置補正要求フラグFrが“1”に切り換わった時点で自車両は分岐地点の境界線近傍に位置することになる。したがって、ナビゲーション装置2で保持している自車両の現在位置を、インターチェンジ出口への分岐地点の境界線近傍の地点に補正する。
【0030】
このように、単眼カメラ4で撮像した実際の撮像情報に基づいて自車両が分岐地点の境界線を跨いだかどうかを判断することで、自車両が分岐路に進んだかどうかを判断するようにしているから、信頼性の高い判断結果を得ることができると共に、この分岐地点の境界線を跨いだことを検出したタイミングで、ナビゲーション装置2で保持する自車両の現在位置を補正するようにしているから、自車両の現在位置の補正を的確に行うことができる。
【0031】
特に、既知の境界線の位置つまり分岐地点を通過したかどうかを判断するようにしているから、境界線を通過したと判断されたタイミングで自車両の位置補正を行うことによって、現在位置をより的確に補正することができると共に、道路地図上における自車両の表示位置も、実際に則した表示内容とすることができる。
なお、上記第1の実施の形態においては、太破線を跨いだかどうかを判断することによって自車両が分岐路側に進んだかどうかを判断するようにした場合について説明したが、これに限るものではない。
【0032】
例えば、通常、インターチェンジ出口への分岐地点には、図3に示すように、ゼブラゾーンZが標示されていることから、このゼブラゾーンZを分岐地点の特徴を表す特徴点として、このゼブラゾーンZを撮像情報から検出するようにし、このゼブラゾーンZを、自車両の一方の側に検出している状態から、他方の側で検出する状態に切り換わったとき、自車両が分岐地点で分岐路に進んだと判断するようにしてもよい。要は、分岐地点近傍に設けられた特徴点であって、自車両が分岐路に進むことによって、自車両からの特徴点の見え方が、左右の一方の側から他方の側に切り換わるような特徴点であって、自車両が分岐地点で分岐路に進んだと判断することの可能な特徴点であれば適用することができる。
【0033】
また、上記実施の形態においては、高速道路のインターチェンジ出口への分岐地点において分岐路に進んだかどうかを判断するようにした場合について説明したが、これに限るものではなく、サービスエリア或いはパーキングエリア等への分岐地点等、分岐路との境界線を表す太破線や、ゼブラゾーンが標示されている分岐地点であれば適用することができる。
また、高速道路に限らず、分岐地点近傍に設けられた特徴点であって、自車両が分岐路に進むことによって、自車両からの特徴点の見え方が、左右の一方の側から他方の側に切り換わるような特徴点であり、自車両が分岐地点で分岐路に進んだと判断することの可能な特徴点が標示されている分岐地点であれば適用することができる。
【0034】
また、上記第1の実施の形態においては、図4のステップS14及びステップS16の処理で、左側道路白線及び右側道路白線の両方についてその線種が太破線となったかどうかを判断するようにしているが、例えば、ナビゲーション装置2からのノード情報として、本線の右側及び左側のいずれの方向に分岐路が存在するかという情報をも獲得するようにし、分岐路が存在する側の道路白線についてのみその線種が太破線になったかどうかを判断するようにしてもよい。
【0035】
ここで、上記第1の実施の形態において、単眼カメラ4が撮像手段に対応し、図2のステップS1の処理で分岐フラグFdivを設定する処理が分岐検出手段に対応し、図2のステップS2で実行される、図4の境界線検出処理及び図5の通過判定処理で左右の道路白線の線種が太破線であるかどうかを判断する処理が特徴点検出手段に対応し、図5の通過判定処理の、ステップS21及びステップS22、また、ステップS25、ステップS26の処理が、分岐路進入検出手段に対応している。
また、ナビゲーション装置2の測位部2aが自車位置計測手段に対応し、記憶部2b及び表示処理部2cが情報提供手段に対応し、位置補正部2dが補正手段に対応している。
【0036】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、図1に示す基本的な構成は同一であるので同一部の詳細な説明は省略する。
この第2の実施の形態では、カメラコントローラ5は、上記第1の実施の形態と同様の手順で、左右の道路白線を検出し、その白線種別を判断すると共に、図6に示すように、右側白線から自車両中心までの横距離Xr、左側白線から自車両中央までの横距離Xlを検出し、これら検出結果をコントローラ10に出力する。なお、ここでは、道路幅Wは、道路設計値(3.3〔m〕程度)に設定している。また、横距離Xr及びXlは、白線に対して自車両が右側を走行している場合に正値をとる値とする。例えば、図6の場合には、Xr<0、Xl>0となる。
【0037】
コントローラ10で実行される分岐路進入検出処理の基本的な流れは、第1の実施の形態における図2の処理と同様である。すなわち、まず、ナビゲーション装置2やカメラコントローラ5から各種データを入力すると共に分岐フラグFdivを設定し(ステップS1)、続いて出口判断を行った後(ステップS2)、出口判断処理の処理結果に応じてナビゲーション装置2に対して位置補正要求フラグFrを出力する(ステップS3)。
なお、この第2の実施の形態においては、コントローラ10では、カメラコントローラ5から、左右の道路白線の白線種別を入力すると共に、さらに、左右の道路白線から自車両中心までの距離Xr、Xlを入力する。
【0038】
また、この第2の実施の形態では、出口判断処理を、図6に示す処理手順で行う。
まず、ステップS31で、分岐フラグFdivが“1”に設定されているかどうかを判断する。そして、分岐フラグFdivが“1”であって、自車両前方にインターチェンジ出口への分岐地点が存在するときにはステップS32に移行し、カメラコントローラ5からの走行レーン情報に基づいて、自車両が最も左側のレーン、つまり左端レーンを走行しているかどうかを判断する。この判断は、例えば、左右の道路白線の白線種別に基づいて行い、例えば、左側白線が実線、右側白線が破線の場合には、左端レーンを走行中と判断し、逆に左側白線が破線、右側白線が実線の場合には、右端レーンを走行中と判断する。
【0039】
そして、自車両が左端レーンを走行しているときにはステップS33に移行し、右側白線から自車両中心までの横距離Xrが道路幅“−W”よりも小さいかどうか(Xr<−W)を判断する。そして、Xr<−Wを満足するときには、自車両の車両中心が右側白線から走行車線幅“W”以上離れた地点に位置し、自車両は左端レーンから外側に半分以上はみ出した状態であって、これはすなわち、分岐地点の境界線を越えた状態であり、本線から左側の分岐路に進んだとみなすことが可能と判断し、ステップS34に移行して、境界線通過フラグFcrosを“1”に設定する。そして、処理を終了する。
【0040】
一方、ステップS33の処理で、右側白線から自車両中心までの横距離Xrが、道路幅“−W”以上であるときには、自車両の車両中心は右側白線から走行車線幅“W”以内の地点に位置し、すなわち自車両は左端レーン内を走行中と判断し、ステップS35に移行して境界線通過フラグFcrosを“0”に設定する。そして処理を終了する。
【0041】
また、前記ステップS32で、自車両が左端レーンを走行していると判断されない場合には、ステップS36に移行し、今度は、自車両が最も右側のレーン、つまり右端レーンを走行しているかどうかを判断する。そして、自車両が右端レーンを走行していると判断される場合には、ステップS37に移行し、今度は、左側白線から自車両の車両中心までの横距離Xlが道路幅“W”よりも大きいかどうか(Xl>W)を判断する。そして、Xl>Wを満足するときには、自車両の車両中心が左側白線から走行車線幅“W”以上離れた地点に位置し、自車両は右端レーンから半分以上外側にはみ出した状態であり、分岐地点の境界線を越え、本線から右側の分岐路に進んだとみなすことが可能と判断し、ステップS38に移行して、境界線通過フラグFcrosを“1”に設定する。そして処理を終了する。
【0042】
一方、ステップS37の処理で、左側白線から自車両中心までの横距離Xlが、道路幅“W”以下であるときには、自車両の車両中心は右側白線から走行車線幅“W”以内の地点に位置し、すなわち自車両は右端レーン内を走行中と判断し、前記ステップS35に移行して境界線通過フラグFcrosを“0”に設定する。そして処理を終了する。
【0043】
また、前記ステップS36で、自車両が右端レーンを走行していないとき、つまり、左端レーンも右端レーンも走行しておらず、両端のレーン間の何れかのレーンを走行していると判断されるときには、自車両のドライバ、分岐路に進む意志はないと判断し、ステップS39に移行して、境界線通過フラグFcrosを“0”に設定する。また、前記ステップS31で、分岐フラグFdivが“0”であるときには、自車両前方に分岐地点はないからそのままステップS39に移行し、境界線通過フラグFcrosを“0”に設定した後、処理を終了する。
【0044】
そして、このようにして、出口判断を行ったならば(ステップS2)、境界線通過フラグFcrosに応じて位置補正要求フラグFrを設定する(ステップS3)。すなわち、境界線通過フラグFcrosが“1”ならば位置補正要求フラグFrを“1”に設定し、ナビゲーション装置2に対して位置補正を行うよう指示し、境界線通過フラグFcrosが“0”ならば位置補正要求フラグFrを“0”に設定し、ナビゲーション装置2に対して位置補正の指示は行わない。
【0045】
このように、この第2の実施の形態においては、右端レーン又は左端レーンを走行しているときの、右端レーン又は左端レーン内のどの位置を自車両が走行しているのかを判断し、自車両の車両中心が右端レーンを走行している場合には左側白線、左端レーンを走行している場合には右側白線からの自車両の車両中心までの距離が、道路幅“W”を越えるときに、分岐地点の境界線を越え、分岐路に進んだと判断するようにしている。したがって、この場合も、自車両が分岐地点で分岐路に進んだかどうかを的確に判断することができると共に、位置情報から容易に判断することができる。また、この場合も撮像情報から得た実際の車両の位置に基づいて、分岐路に進んだかどうかを判断し、分岐路に進んだと判断したタイミング、つまり、境界線を通過したと判断したタイミングで、ナビゲーション装置2に対して位置補正要求を行うようにしているから、ナビゲーション装置2では位置補正要求が行われたときに、ナビゲーション装置2で保持している自車両の現在位置を、境界線近傍に補正することによって、道路地図上における自車両の位置表示を実際の走行位置に応じて的確に補正することができる。
【0046】
また、このように、道路白線に対する自車両の走行位置に基づいて自車両が分岐路に進んだかどうかを判断しているから、上記第1の実施の形態のように、分岐地点に太破線からなる境界線や、ゼブラゾーン等といった分岐地点の特徴点が敷設されていない場合であっても、分岐路に進んだかどうかを的確に判断することができる。
ここで、上記第2の実施の形態において、単眼カメラ4が撮像手段に対応し、カメラコントローラ5で左右の道路白線から自車両中心までの距離Xr、Xlを算出する処理が対道路白線検出手段に対応し、図2のステップS1の処理で分岐フラグFdivを設定する処理が分岐検出手段に対応し、図2のステップS2で実行される、図7の出口判断処理において、ステップS32、ステップS36の処理が走行車線検出手段に対応し、ステップS33、ステップS37の処理が分岐路進入検出手段に対応している。
【0047】
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
この第3の実施の形態は、上記第2の実施の形態において、何らかの理由によって、カメラコントローラ5で道路白線を捕捉することができず、横距離Xr及びXlを得ることができなかった場合であっても、分岐路に進んだかどうかを検出することができるようにしたものである。
図8は、第3の実施の形態におけるナビゲーション装置を搭載した車両の一例を示す構成図であって、上記第1の実施の形態における図1の構成図において、ヨーレートセンサ8及び車速センサ9を追加したものである。これらヨーレートセンサ8及び車速センサ9の検出信号はコントローラ10に入力される。なお、コントローラ10では、このヨーレートセンサ8の検出信号に対し、ドリフト補正、ノイズ除去等のデータの補正を行った後、この補正後のヨーレート検出値に基づいて処理を行うものとする。
【0048】
また、ナビゲーション2は上記各実施の形態と同様に構成され、カメラコントローラ5では、単眼カメラ4の撮像情報に基づいて左右の道路白線を検出すると共に、図9に示すように、上記第2の実施の形態と同様に、右側白線から自車両の車両中央までの横距離Xr及び左側車線から自車両の車両中央までの横距離Xlを算出し、さらに、走行レーンに対する自車両のヨー角Θを算出する。また、道路白線の捕捉が不可となったとき、捕捉不可フラグFcamを“1”として出力する。
【0049】
コントローラ10では、図10に示す分岐路進入検出処理を所定周期で実行する。この分岐路進入検出処理の基本的な流れは第1の実施の形態における図2の分岐路進入検出処理と同様であるが、この第3の実施の形態においては、ナビゲーション装置2やカメラコントローラ5、ヨーレートセンサ8、車速センサ9から各種データを入力すると共に分岐フラフFdivを設定した後(ステップS1a)、ステップS1bに移行し、横距離推定処理を実行する。その後、ステップS2aに移行し出口判断を行い、出口判断の結果に応じてナビゲーション装置2に対して位置補正要求フラグFrを出力する(ステップS3)。
具体的には、コントローラ10では、カメラコントローラ5から、左右の道路白線の白線種別を入力すると共に、さらに、左右の白線から自車両中心までの距離Xr、Xl、自車両の走行レーン情報、ヨー角Θ及び、捕捉不可フラグFcamを入力する(ステップS1a)
【0050】
次いで、ステップS1bに移行し、図11に示す手順で、横距離推定処理を行う。
まず、ステップS41で、捕捉不可フラグFcamを参照し、これが“1”に設定されているかどうかを判断する。捕捉不可フラグFcamが“0”に設定されており、カメラコントローラ5において単眼カメラ4の撮像情報に基づいて左右の道路白線を良好に検出することが可能な状態である場合にはステップS42に移行し、カメラコントローラ5で検出したヨー角Θを、ヨー角の今回値θとして設定すると共に、ヨー角の前回値θzとして設定する。また、ヨーレートセンサ8からのヨーレート検出値φを、ヨーレート前回値φ0として設定する。さらに、カメラコントローラ5からの左右の横距離Xr及びXlを、横距離推定値xr、xlの前回値xrz及びxlzとして設定する。そして、ステップS45に移行する。
【0051】
このステップS45では、次式(1)にしたがって、走行車線方向をX軸としたときの車速VのX軸方向成分Vx、今回の横距離推定値xr、xlを算出すると共に、車速のX軸方向成分Vxの前回値Vxzとする。
Vx=V×sinθ×Δt
xr=xrz+〔(Vxz+Vx)/2〕×Δt
xl=xlz+〔(Vxz+Vx)/2〕×Δt
Vxz=Vx ……(1)
なお、(1)式中の、Δtは、サンプリング時間である。
このようにして各種変数を算出したならば、処理を終了する。
【0052】
一方、前記ステップS41で捕捉不可フラグFcamが“1”であって何らかの理由によって、カメラコントローラ5で、走行車線の左右の道路白線を検出することができない場合には、ステップS41からステップS43に移行し、横距離推定値の前回値xrz及びxlzとして、現時点における横距離推定値xr、xlを設定すると共に、ヨーレート検出値φ、ヨーレート前回値φ0を用いて、次式(2)からヨー角の今回値θを算出する。
θ=θz+(φ−φ0)×Δt ……(2)
そして、前記ステップS45に移行し各種変数を算出し、処理を終了する。
このようにして、ステップS1bで横距離推定処理を行ったならば、ステップS2aに移行し、出口判断を行う。
【0053】
この出口判断は、図12のフローチャートに示す処理手順にしたがって行い、まず、ステップS51で、分岐フラグFdivが“1”であるかどうかを判断し、“1”であるときには、自車両前方にインターチェンジ出口への分岐地点があると判断し、ステップS52に移行する。このステップS52では、捕捉不可フラグFcamが“1”であるかどうかを判断し、“0”に設定されているときには、左右の道路白線を良好に検出することができていると判断しステップS53に移行し、以後、上記第3の実施の形態の図7のステップS32からステップS38の処理と同様の処理を行い、自車両が左端レーンを走行しており(ステップS53)且つ自車両の車両中心の右側道路白線からの横距離Xrが道路幅“−W”よりも小さければ(ステップS54)、自車両は左側の分岐路に進んだと判断し、同様に、自車両が右端レーンを走行しており(ステップS57)且つ自車両の車両中心の左側道路白線からの横距離Xlが道路幅“W”よりも小さいときには(ステップS58)、自車両は右側の分岐路に進んだと判断し、境界線通過フラグFcrosを“1”に設定し(ステップS55、ステップS59)、そうではないときには分岐路に進んではいないと判断して境界線通過フラグFcrosは“0”に設定する(ステップS56)。
【0054】
そして、ステップS51で出口有無フラグFoutが“0”であって、自車両前方にインターチェンジ出口がない場合には、そのままステップS60に移行し、境界線通過フラグFcrosを“0”に設定する。また、ステップS57で自車両が右端レーンを走行していないときには、自車両は中央よりの走行車線を走行しているものと判断し、そのままステップS60に移行して境界線通過フラグFcrosを“0”に設定する。
【0055】
一方、前記ステップS52で、捕捉不可フラグFcamが“1”に設定されており、何らかによってカメラコントローラ5において道路白線を捕捉することができなかった場合にはステップS53aに移行し、以後、ステップS53aからステップS60aの処理を、前記ステップS53からステップS60の処理と同様の手順で行うが、この場合、捕捉不可フラグFcamが“1”に設定されており、道路白線を捕捉することができず、すなわち、カメラコントローラ5から横距離Xr及びXlを得ることができないから、前記ステップS1bの横距離推定処理で推定した横距離推定値xr及びxlを用いて処理を行う。そして、処理を終了する。
【0056】
そして、このようにして、ステップS2aの処理で、横距離Xr、Xl又は横距離推定値xr、xlに基づいて境界線通過フラグFcrosを設定したならば、この境界線通過フラグFcrosに基づいてステップS3の処理で位置補正要求フラグFrを設定しこれをナビゲーション装置2に出力する。
このように、この第3の実施の形態においては、ヨーレート検出値及びヨー角に基づいて、自車両の横距離の推定値xr及びxlを算出するようにし、カメラコントローラ5から横距離Xr及びXlを入力することができない場合には、推定値xr及びxlを用いて、分岐路へ進んだかどうかを判断するようにしているから、路面状態或いは単眼カメラ4の状態等によってカメラコントローラ5において横距離Xr、Xlを検出することができない場合であっても、分岐路に進んだかどうかを的確に判断することができる。
【0057】
また、前記横距離の推定値xr及びxlを算出する際に、図11のステップS42に示すように、カメラコントローラ5からの横距離Xr、Xlを前回値として保持しておき、カメラコントローラ5で捕捉不可となったときには、捕捉不可となる前の、カメラコントローラ5から横距離Xr、Xlをもとに、横距離推定値xr及びxlを算出するようにしているから、捕捉不可となる前の横距離Xr及びXlと捕捉不可となった後の横距離推定値xr及びxlとの切り換わりに際し、横距離の変動が不連続となることなく、スムーズに切り換えることができる。
【0058】
なお、上記第2及び第3の実施の形態においては、高速道路のインターチェンジ出口への分岐地点において、分岐路に進入したかどうかを判断するようにした場合について説明したが、これに限るものではなく、サービスエリアやパーキングエリア等への分岐地点であっても適用することができる。また、高速道路に限るものではなく、位置情報を獲得することの可能な分岐地点であれば適用することができる。
【0059】
また、上記第1の実施の形態から第3の実施の形態においては、ナビゲーション装置2とは別にコントローラ10を設けるようにした場合について説明したが、コントローラ10をナビゲーション装置2内に設け、ナビゲーション装置2内において分岐路に進んだかどうかの検出を行うようにしてもよい。
ここで、上記第3の実施の形態において、図10のステップS1bの処理で実行される図11の横距離推定処理が、車両挙動推測手段及び対道路白線距離推定手段に対応している。
【0060】
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
図13は、本発明を適用したナビゲーション装置を備えた減速制御装置の一例を示す車両概略構成図である。
なお、この車両は、自動変速機及びコンベンショナルディファレンシャルギヤを搭載した後輪駆動車両であり、制動装置は、前後輪とも、左右輪の制動力を独立に制御可能としている。
【0061】
図13中の符号101はブレーキペダル、102はブースタ、103はマスタシリンダ、104はリザーバであり、通常は、ドライバによるブレーキペダル101の踏込み量に応じて、マスタシリンダ103で昇圧された制動流体圧が、各車輪105FL〜105RRの各ホイールシリンダ106FL〜6RRに供給されるようになっているが、このマスタシリンダ103と各ホイールシリンダ106FL〜106RRとの間には制動流体圧制御回路107が介挿されており、この制動流体圧制御回路107内で、各ホイールシリンダ106FL〜106RRの制動流体圧を個別に制御することも可能となっている。
【0062】
前記制動流体圧制御回路107は、例えばアンチスキッド制御やトラクション制御に用いられる制動流体圧制御回路を適用したものであり、この実施形態では、各ホイールシリンダ106FL〜106RRの制動流体圧を、単独で増減圧することができるように構成され、例えば比例ソレノイド弁を使用することによって任意の制動流体圧に制御可能に構成されている。この制動流体圧制御回路107は、後述するコントロールユニット108からの制動流体圧指令値に応じて各ホイールシリンダ106FL〜106RRの制動流体圧を制御する。
【0063】
また、この車両には、エンジン109の運転状態、自動変速機110の選択変速比、並びにスロットルバルブ111のスロットル開度を制御することにより、駆動輪である後輪105RL、105RRへの駆動トルクを制御する駆動トルク制御ユニット112が設けられている。
エンジン109の運転状態制御は、例えば燃料噴射量や点火時期を制御することによって制御することができるし、同時にスロットル開度を制御することによっても制御することができる。
なお、この駆動トルク制御ユニット112は、単独で、駆動輪である後輪105RL、105RRの駆動トルクを制御することも可能であるが、前述したコントロールユニット108から駆動トルクの指令値が入力されたときには、その駆動トルク指令値を参照しながら駆動輪トルクを制御する。
【0064】
さらに、この車両には、自車両に発生する前後加速度Xg及び横加速度Ygを検出する加速度センサ115、自車両に発生するヨーレートφを検出するヨーレートセンサ116、前記マスタシリンダ103の出力圧、いわゆるマスタシリンダ圧Pmを検出するマスタシリンダ圧センサ117、アクセルペダルの踏込み量、すなわちアクセル開度Accを検出するアクセル開度センサ118、ステアリングホイール121の操舵角θを検出する操舵角センサ119、各車輪105FL〜105RRの回転速度、いわゆる車輪速度Vwi(i=FL〜RR)を検出する車輪速度センサ122FL〜122RRが備えられ、それらの検出信号は前記コントロールユニット108に出力される。また、駆動トルク制御ユニット112で制御された車輪軸上での駆動トルクTwも合わせてコントロールユニット108に出力される。
【0065】
なお、検出された車両の走行状態データに左右の方向性がある場合には、何れも左方向を正方向とし、右方向を負方向とする。すなわち、ヨーレートφや横加速度Yg、操舵角θは、左旋回時に正値となり、右旋回時に負値となる。
また、車両には、自車両前方に、前記コントロールユニット108で後述の減速制御が作動するようなカーブが存在する場合に、これをドライバに警告するための警報装置123が設けられている。この警報装置123は、音声やブザー音を発生するためのスピーカやモニタを含んで構成され、表示情報及び音声情報によって警告を発することにより、減速度が発生することをドライバに通知するようになっている。
【0066】
また、この車両には、上記第1の実施の形態で説明したナビゲーション装置2及び単眼カメラ4及びカメラコントーラ5が搭載され、これらナビゲーション装置2及びカメラコントローラ5の検出信号は、コントロールユニット108に入力され、ナビゲーション装置2は、コントロールユニット108から位置補正要求フラグFrを入力しこれに応じて自車両の現在位置を補正する。
【0067】
前記コントロールユニット108は、これら各種センサからの検出信号をもとに、上記第1の実施の形態と同様に、自車両がインターチェンジ出口への分岐地点において境界線を跨いだかどうかの判断を行うと共に、その判断結果に応じてナビゲーション装置2に位置補正要求を行う。また、ナビゲーション装置2からの道路地図情報に基づいて自車両前方にカーブ路があるかどうかを判断し、カーブ路がある場合には、自車両の速度が、このカーブ路を安全に走行可能な速度となるように減速制御を行う。
【0068】
図14は、コントロールユニット108で実行される演算処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。コントロールユニット108では、この演算処理を予め設定した所定周期で実行する。
まず、ステップS101で各種センサやナビゲーション装置2、カメラコントローラ5から所定のデータを読み込み、ステップS102に移行して分岐路進入検出処理を行う。この分岐路進入検出処理は上記第1の実施の形態と同様の手順で行い、自車両の前方にインターチェンジ出口が存在する場合には、自車両がその分岐路側に進んだかどうかを判断し、分岐路側に進んだときナビゲーション装置2に対して位置補正要求を行う。ナビゲーション装置2では、これを受けてナビゲーション装置2で保持している自車両の現在位置を分岐地点の境界線近傍の位置に補正する。
【0069】
ステップS102で分岐路進入検出処理を実行し、ナビゲーション装置2に位置補正要求フラグFrを送信したならばステップS103に移行し、車速Vを算出する。例えば、通常通行走行時には、車輪速度センサ122FL〜122RRの検出信号のうち、前左右輪の車輪速度に基づいてその平均値を算出しこれを車速Vとする。また、ABS制御等が作動している場合には、ABS制御において推定される推定車体速を、車速Vとして用いる。
【0070】
次いで、ステップS104に移行し、自車両前方の各ノード点について旋回半径を算出する。具体的には、ステップS101で入力したナビゲーション装置2からの自車両前方の道路地図情報をもとに、自車両前方の各ノード点の座標から、各ノード点の旋回半径Rnを算出する。この旋回半径の算出方法として、いくつかの方法が考えられるが、ここでは例えば連続する3点のノード座標(Xn−1,Yn−1)、(Xn,Yn)、(Xn+1,Yn+1)から、旋回半径Rnを算出する。なお、旋回半径Rnは、左旋回を負値、右旋回を正値で表すものとする。
【0071】
なお、ここでは、3点のノード座標から旋回半径Rnを算出する方法を用いているがこれに限るものではなく、例えば、前後するノード点を結ぶ直線のなす角を用いて算出する方法等を適用することも可能であり、また、ナビゲーション装置2の道路地図情報として各ノード点における旋回半径をノード情報として記憶させておき、このノード情報に含まれる旋回半径を検索することでノード点における旋回半径Rnを検出するようにしてもよい。
【0072】
ここで、この第4の実施の形態は、カーブ路の実際の旋回半径に応じて、このカーブ路を安全に走行可能な安全車速を設定し、この設定した安全車速以上の速度で自車両がカーブ路を通過することを防止することを目的としている。このため、最も直近のカーブの、最も旋回半径が小さい地点を制御対象として制御を行う。したがって、自車両前方の、旋回半径Rnが極小値となる最初のノード点を目標ノード点とし、この目標ノード点の旋回半径Rnを目標点旋回半径Rmin、自車両の現在地点から前記目標ノード点までの距離を目標点距離Lminとする。
【0073】
次いで、ステップS105に移行し、カーブ路を通過する際に自車両に発生する横加速度の許容値である許容横加速度Yglimを設定する。ここでは、路面摩擦係数μに係数Ksを乗算した値を許容横加速度Yglimとする。なお、係数Ksは許容横加速度算出係数であって、例えば“0.5”程度の固定値とする。また、路面摩擦係数μは、路面判別センサを搭載し、この検出値を用いるようにしてもよく、或いは、走行路に配設されたインフラ設備と自車両との間で路車間通信を行う路車間通信手段を搭載し、路車間通信手段によってインフラ設備と自車両との間で路車間通信を行い、インフラ設備が保有している走行路の路面摩擦係数μ情報を獲得するようにしてもよく、路面摩擦係数μを検出することの可能な路面摩擦係数検出手段であればどのような手段であっても適用することができる。
【0074】
次いでステップS106に移行し、自車両がカーブ路を走行する際の目標車速Vrを算出する。ここでは、目標ノード点の旋回半径Rmin及び許容横加速度Yglimに基づいて次式(3)から算出する。
Vr=(Yglim×|Rmin|)1/2 ……(3)
次いでステップS107に移行し、自車両がカーブ路を走行する際の車速が、前記目標車速Vrとなり得るための目標減速度Xgsを算出する。ここでは、目標車速Vr、車速V、自車両の現在位置から目標ノード点までの距離Lminに応じて、次式(4)から算出する。なお、目標減速度Xgsは、減速側の値を正値で表すものとする。
Xgs=(V2−Vr2)/(2×Lmin) ……(4)
【0075】
次いで、ステップS108に移行し、警報作動開始判断を行なう。具体的には、ステップS107で算出した目標減速度Xgsに応じて警報を作動させるかどうかを判断し、警報の作動状態を表すフラグを警報作動フラグFwとしたとき、警報作動フラグFwが“OFF”であるときには次式(5)を満足するとき、警報作動フラグFwを“ON”に設定する。また、警報作動フラグFwが“ON”であるときには、次式(6)を満足するとき、警報作動フラグFwを“ON”に設定する。そして、次式(5)及び(6)を共に満足しない状況となったとき、警報作動フラグFwを“OFF”に設定する。
Xgs≧Xgsw ……(5)
Xgs≧Xgsw−Khw ……(6)
なお、前記(5)及び(6)式中のXgswは、警報を作動開始タイミングを決定するための警報作動判断しきい値である。また、Khwは、警報のオンオフのハンチングを防ぐためのヒステリシスであって、例えば0.03〔g〕程度の固定値に設定される。
【0076】
このようにして警報作動開始判断を行ったならばステップS109に移行し、次に、制御作動開始判断を行う。具体的には、ステップS107で算出した目標減速度Xgsに応じて行い、制御の作動状態を表すフラグを制御作動フラグFbとしたとき、制御作動フラグFbが“OFF”であるときには次式(7)を満足するときに、制御作動フラグFbは“ON”に設定され、また、制御作動フラグFbが“ON”であるときには、次式(8)を満足するとき制御作動フラグFbは“ON”を維持する。そして、次式(7)及び(8)のいずれも満足しないとき、制御作動フラグFbは“OFF”に設定される。
Xgs≧Xgsb ……(7)
Xgs≧Xgsb−Kh ……(8)
なお、前記(7)及び(8)式中のXgswは、減速制御の作動開始タイミングを設定するための制御作動判断しきい値である。また、Khは、制御のオンオフのハンチングを防ぐためのヒステリシスであって、例えば、0.05〔g〕程度の固定値に設定される。
【0077】
なお、ステップS108及びステップS109における警報及び制御の作動開始判断は、連動して設定されるため、常に警報から始まり、制御が後に続くようになっている。つまり、警報作動判断しきい値Xgswと、制御作動判断しきい値Xgsbとは、Xgsb>Xgswを満足するように設定される。
このようにして、制御作動開始判断を行ったならば、ステップS110に移行し、目標制動流体圧Pcの算出を行う。この目標制動流体圧Pcは、制御作動フラグFbが“ON”であって制御開始の判断が行われているときに、前記ステップS107で算出された目標減速度Xgsにしたがって次式(9)から算出する。
Pc=Kb×Xgs ……(9)
なお、(9)式中のKbは、目標減速度Xgsを制動流体圧に換算するための換算係数であって、ブレーキ諸元を含む車両諸元により定まる定数である。
【0078】
次に、ドライバによる制動操作に応じたマスタシリンダ圧Pmも考慮して、制御目標制動流体圧Pcに基づき、前輪目標制動流体圧PsF及び後輪目標制動流体圧PsRを次式(10)から算出する。
PsF=max(Pm,Pc)
PsR=h(PsF) ……(10)
なお、(10)式中の、関数max( )は、( )内の何れか大きい方を選択することを表す。また、関数hは、最適な前後制動力配分となるように前輪の制動流体圧から後輪の制動流体圧を算出するための関数である。
そして、このようにして算出した前輪目標制動流体圧PsF及び後輪目標制動流体圧PsRに基づいて、次式(11)から各ホイールシリンダ106FL〜106RRへの目標制動流体圧Psi(i=FL〜RR)を算出する。
Psfl=Psfr=PsF
Psrl=Psrr=PsR ……(11)
【0079】
このようにして、各ホイールシリンダ106FL〜106RRへの目標制動流体圧Psi(i=FL〜RR)を算出したならば、ステップS111に移行し、駆動輪の目標駆動トルクTrqを算出する。具体的には、減速制御作動中であるか、つまり、減速制御によって制動流体圧を制御している状態であるか否かに応じて場合分けを行い、減速制御が作動していないときには、アクセル開度Accに応じた駆動トルクを、目標駆動トルクTrqとする(Trq=f(Acc))。
【0080】
一方、減速制御作動中である場合には、ドライバによってアクセルペダル操作が行われたとしてもエンジン出力を絞り、加速できないようにする。つまり、減速制御作動中は、目標駆動トルクTrqを次式(12)から算出する。
Trq=f(Acc)−g(Pc) ……(12)
なお、(12)式中のg(Pc)は、減速制御による制動流体圧により発生すると予測される制動トルクを算出する関数である。前記(12)式からわかるように、減速制御作動中は、減速制御により発生する制動トルク分を差し引いて、駆動トルクを発生させる。
【0081】
次いで、ステップS112に移行し、ステップS110で算出した各車輪の目標制動流体圧Psiを発生するように前記制動流体圧制御回路107に向けて制御信号を出力し、また、ステップS111で算出した目標駆動トルクTrqを発生するよう駆動トルク制御ユニット112に制御信号を出力する。また、警報作動フラグFwが“ON”であって警報開始の判断が行われているときには、警報装置123を作動させカーブ路への進入に備えて減速を促すと共に減速制御の作動によって減速度が発生する旨を通知するための警報を発生させる。
【0082】
次に、上記第4の実施の形態の動作を説明する。
コントロールユニット108では、ナビゲーション装置2から、自車両前方の所定区間内のノード情報を逐次入力すると、上記第1の実施の形態と同様の手順で分岐路進入検出処理を実行し、自車両がインターチェンジ出口への分岐地点で分岐路に進んだかどうかを判断し、分岐路に進んだことを検出したタイミングで、ナビゲーション装置2に対して位置補正要求を行う。
ナビゲーション装置2では、コントロールユニット108から位置補正要求が行われると、このタイミングで自車両位置補正を行う(ステップS102)。
【0083】
コントロールユニット108では、また、自車両前方の所定区間内の各ノードにおける旋回半径を算出し、これに基づいて自車両からみて、旋回半径が最初に極小値となるノードを目標ノード点として設定し(ステップS104)、目標ノード点の路面摩擦係数μに応じて許容横加速度Yglimを算出し(ステップS105)、この許容横加速度Yglimを実現するための目標車速Vrを算出し(ステップS106)、自車両の車速を目標車速Vrにするために必要な目標減速度Xgsを算出する(ステップS107)。
【0084】
そして、達成すべき目標減速度Xgsが警報作動判断しきい値Xgsw以上であるときには、警報を作動させてドライバに対して減速操作を促し(ステップS108)、さらに、目標減速度Xgsが制御作動判断しきい値Xgsb以上となったときに、目標減速度Xgsを達成するための、目標制動流体圧Psi及び目標駆動トルクTrqを算出し、これらを発生するよう、制動流体圧制御回路107に向けて制御信号を出力すると共に、駆動トルク制御ユニット112に向けて制御信号を出力する(ステップS109〜ステップS112)。
【0085】
これによって、駆動トルク制御ユニット112及び制動流体圧制御回路107が指定された目標駆動トルクTrq及び目標制動流体圧Psiを発生するよう動作し、目標減速度Xgs相当の減速度が車両に発生する。このため、目標ノード点を通過する際の自車両の車速は、目標車速Vr相当まで減速されることになって、カーブ路を通過する際の自車両の横加速度Ygは、カーブ路の路面摩擦係数μに応じて設定された、許容横加速度設定値Yglim内に収まることになって、安定した走行を実現することができる。
【0086】
このように、自車両が前方カーブに対してオーバースピードで進入しようとしているときには、前以って警報が発生されると共に減速制御が行われるため、自車両に減速度が発生されて、オーバースピードでのカーブへの進入が抑制されることになる。
ここで、例えば、自車両が高速道路を走行している際に、インターチェンジ出口への分岐地点で分岐路に進む場合、前述のように、GPS測位に基づいて道路地図上における自車両の現在位置を捕捉した場合には、自車両が分岐地点で分岐路に進んだ場合であっても位置検出誤差のため、自車両は本線を走行中として誤認識される場合がある。
【0087】
しかしながら、前記ステップS102の処理で、インターチェンジ出口への分岐地点で自車両が分岐地点の境界線を跨いだかどうかを単眼カメラ4の撮像情報に基づいて判断し、境界線を跨いだことを検出したとき、すなわち自車両が分岐路に進入したことを検出したタイミングで、ナビゲーション装置2では、自車両の現在位置を補正するようにしている。したがって、ナビゲーション装置2では、自車両が分岐路に進んだかどうかを、実際に自車両が境界線を跨いだ時点で認識することができ、コントロールユニット108に出力する道路地図情報を、自車両が分岐路に進入した時点で速やかに分岐路前方の道路地図情報に切り換えることができる。
【0088】
ここで、分岐路へ進んだとの判断が遅れた場合、実際には自車両は分岐路に進入したにも関わらず、本線を走行していると誤認識していることから、本線における自車両前方の道路地図情報がコントロールユニット108に供給されることになって、コントロールユニット108では、本線前方の道路地図情報に基づいてカーブ路判定を行い、警報の発生や減速操作を行うことになる。このため、実際には分岐路を走行している場合には、自車両が分岐路に進入したと判断されるまでの間は、本線前方の道路地図情報に基づいてカーブ路判断が行われるため、分岐路前方に急なカーブ路がある場合であって、自車両が減速する必要がある場合であっても警報や減速制御が行われず、車両が分岐路を走行していると判断された時点で減速制御が開始されることになって、場合によっては、分岐路を走行中と判断された時点で比較的大きな減速度が車両に発生することになってドライバに違和感を与える場合がある。
【0089】
特に、従来のように、車線数に基づいて自車両が本線と分岐路との何れを走行しているかを判断するようにした場合、本線と分岐路とが分岐後、互いに平行に走行している場合には、いずれの道路を走行しているかを判断することが困難であってそれだけ分岐路を走行中と判断されるタイミングが遅れることになり、カーブ路に対する減速制御の開始タイミングが遅れることになる。
【0090】
しかしながら、前記ステップS102の分岐路進入検出処理において、自車両が分岐地点の境界線を跨ぎ、分岐路に進んだことを検出した時点で、ナビゲーション装置2では、自車両の現在位置を補正するから、自車両が分岐地点で境界線を跨いだ時点でナビゲーション装置2では自車両が分岐路に進んだことを認識することができ、分岐路前方の道路地図情報をコントロールユニット108に出力することになる。
【0091】
したがって、分岐地点を通過したタイミングで分岐路側の道路地図情報に基づいてカーブ路の判定が行われこれに応じて警報の発生や減速制御が行われるから、実際の道路状況にそぐわない状態で、警報の発生や減速動作が行われることを回避することができる。また、分岐路前方に比較的急なカーブがある場合には、自車両が分岐路を走行中とナビゲーション装置2で認識するタイミングが遅いときほど、減速制御の開始タイミングが遅くなるため、場合によっては、大きな減速度が作用することになるが、上述のように、自車両が分岐地点の境界線を跨いだタイミングで補正を行うことができるから、分岐路に進んだ時点からカーブ路に対する減速制御を開始することができ、大きな減速度が発生することによりドライバに違和感を与えることを回避することができると共に、自車両の安全性をより向上させることができ、ドライバの操作支援を的確に行うことができる。
【0092】
ここで、上記第4の実施の形態において、ナビゲーション装置2が情報獲得手段に対応し、図14のステップS104の処理がカーブ路検出手段に対応し、ステップS105からステップS112の処理が走行状態制御手段に対応し、ステップS108の処理が警報手段に対応し、ステップS109の処理が減速制御手段に対応している。
なお、上記第4の実施の形態においては、分岐路進入検出処理として、第1の実施の形態における分岐路進入検出処理を適用した場合について説明したが、これに限るものではなく、第2の実施の形態或いは第3の実施の形態における分岐路進入検出処理を適用することも可能である。
また、上記第4の実施の形態においては、本発明によるナビゲーション装置を減速制御装置に適用した場合について説明したがこれに限るものではなく、ナビゲーション装置から自車両前方の道路地図情報を獲得し、これに基づいて走行制御等を行うようにした制御装置であっても適用することができる。
【0093】
また、上記各実施の形態においては、ナビゲーション装置に適用した場合について説明したが、これに限るものではなく、単に自車両の現在位置を検出する自車位置検出装置に適用することも可能である。この場合には、例えば、自車両前方のインターチェンジ出口への分岐地点の位置情報を検出する分岐地点情報獲得手段を設け、この分岐地点情報獲得手段で検出した分岐地点の位置情報に基づいて、上記と同様に分岐路への進入判断を行い、分岐路への進入を検出したとき、分岐地点の既知の位置情報から自車位置を検出するようにしてもよい(位置検出手段)。
また、上述のように、分岐地点において分岐路側に進んだかどうかを的確に検出することができるから、分岐地点において自車両が分岐路側に進んだかどうかを判断し、これに基づいて処理を行うようにした制御装置等に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるナビゲーション装置を搭載した車両構成図の一例である。
【図2】図1のコントローラで実行される分岐路進入検出処理の所定手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】インターチェンジ出口への分岐地点の道路標示の一例である。
【図4】図2の出口判断処理で実行される境界線検出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】図2の出口判断処理で実行される通過判定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】カメラコントローラで検出する横距離を説明するための説明図である。
【図7】第2の実施の形態における出口判断処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】第3の実施の形態におけるナビゲーション装置を搭載した車両構成図の一例である。
【図9】第3の実施の形態においてカメラコントローラで検出する横距離及びヨー角を説明するための説明図である。
【図10】第3の実施の形態における分岐路進入検出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】図10の横距離推定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】図10の出口判断処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】第4の実施の形態におけるナビゲーション装置を搭載した車両構成図の一例である。
【図14】図13のコントロールユニットで実行される演算処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
2 ナビゲーション装置
4 単眼カメラ
5 カメラコントローラ
8 ヨーレートセンサ
9 車速センサ
10 コントローラ
107 制動流体圧制御回路
108 コントロールユニット
111 スロットルバルブ
112 駆動トルク制御ユニット
115 加速度センサ
116 ヨーレートセンサ
117 マスタシリンダ圧センサ
118 アクセル開度センサ
119 操舵角センサ
122FL〜122RR 車輪速度センサ
123 警報装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両前方に分岐路があるかどうかを検出する分岐検出手段と、
自車両が走行中の道路を撮像する撮像手段と、
当該撮像手段の撮像画像に基づき左右の道路白線を検出し、前記撮像画像の、前記道路白線を含む左右の所定領域に、前記分岐路の分岐地点近傍に設けられた特徴点があるかどうかを検出する特徴点検出手段と、
前記分岐検出手段で自車両前方に前記分岐路があると判断されたとき、自車両が前記分岐路に進入したかどうかを検出する分岐路進入検出手段と、
前記分岐路進入検出手段で自車両の前記分岐路への進入を検出したとき、前記分岐地点の既知の位置情報に基づいて自車両の現在位置を検出する位置検出手段と、を備え、
前記分岐路進入検出手段は、前記分岐検出手段で自車両前方に前記分岐路があることを検出し、且つ、前記特徴点検出手段により、前記左右の道路白線のうち何れか一方の道路白線側のみで前記特徴点を検出した後、他方の道路白線側のみで前記特徴点を検出する状態となったとき、自車両が前記分岐路に進入したと判断することを特徴とする自車位置検出装置。
【請求項2】
自車両が走行中の道路は高速道路であって、
前記特徴点検出手段は、本線と前記分岐路との境界線として標示される太破線を前記特徴点とし、前記左右の道路白線の線種が前記太破線であるかどうかを検出することを特徴とする請求項1記載の自車位置検出装置。
【請求項3】
自車両が走行中の道路は高速道路であって、
前記特徴点検出手段は、本線と前記分岐路との境界付近に標示されるゼブラゾーンを前記特徴点とし、前記左右の所定領域に、前記ゼブラゾーンがあるかどうかを検出することを特徴とする請求項1又は2記載の自車位置検出装置。
【請求項4】
自車両前方に分岐路があるかどうかを検出する分岐検出手段と、
自車両が走行中の道路を撮像する撮像手段と、
当該撮像手段の撮像画像に基づき左右の道路白線を検出すると共に、自車両が左端レーン又は右端レーンを走行しているかどうかを検出する走行車線検出手段と、
当該走行車線検出手段で左端レーン又は右端レーンを走行していることを検出したとき、前記撮像画像に基づき前記左右の道路白線のうち、道路内側の道路白線と自車両の走行位置との間の距離を検出する対道路白線距離検出手段と、
前記分岐路検出手段で自車両前方に前記分岐路があると判断されたとき、自車両が前記分岐路に進入したかどうかを検出する分岐路進入検出手段と、
当該分岐路進入検出手段で前記分岐路への進入を検出したとき、前記分岐地点の既知の位置情報に基づいて自車両の現在位置を検出する位置検出手段と、を備え、
前記分岐路進入検出手段は、前記分岐検出手段で自車両前方に前記分岐路があることを検出し、且つ、前記走行車線検出手段で自車両が左端レーン又は右端レーンを走行していることを検出している状態で、前記対道路白線距離検出手段で検出される対道路白線距離が、走行中の道路幅に応じて設定されるしきい値以上となったとき、自車両が前記分岐路に進入したと判断することを特徴とする自車位置検出装置。
【請求項5】
自車両の車両挙動を推測する車両挙動推測手段と、
当該車両挙動推測手段で推定される車両挙動に基づいて前記道路内側の道路白線と自車両の走行位置との間の距離を推定する対道路白線距離推定手段と、
を備え、
前記分岐路進入検出手段は、前記対道路白線距離検出手段で前記対道路白線距離の検出が不可となったとき前記対道路白線距離推定手段で推定される対道路白線距離を用いて、前記分岐路に進入したかどうかを判断することを特徴とする請求項4記載の自車位置検出装置。
【請求項6】
前記対道路白線距離推定手段は、前記対道路白線距離検出手段での対道路白線距離の検出が不可となる直前の対道路白線距離を初期値として、前記対道路白線距離を推定することを特徴とする請求項5記載の自車位置検出装置。
【請求項7】
自車両の現在位置を計測する自車位置計測手段と、
当該自車位置計測手段で計測した自車位置周辺の道路地図情報を提供する情報提供手段と、を備えたナビゲーション装置において、
前記請求項1から請求項6の何れか1項に記載の自車位置検出装置と、
当該自車位置検出手段で検出した自車位置を、前記自車位置検出手段で検出した自車位置に応じて補正する補正手段と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
自車両の現在位置周辺の道路地図情報を獲得する情報獲得手段と、
当該情報獲得手段で獲得した道路地図情報に基づいて自車両前方のカーブ路の存在状況を検出するカーブ路検出手段と、
当該カーブ路検出手段で自車両前方にカーブ路が存在することを検出したとき、自車両が前記カーブ路を安定走行できるように、車両の走行状態を制御する走行状態制御手段と、を備え、当該走行状態制御手段は少なくとも車両に減速度を発生させる減速制御手段及び警報を発する警報手段の何れか一方を有する減速制御装置において、
前記情報獲得手段として、前記請求項7記載のナビゲーション装置を備えることを特徴とする減速制御装置。
【請求項9】
前記走行状態制御手段は、前記減速制御手段及び警報手段を共に備え、
前記警報手段を作動させた後、前記減速制御手段を作動させることを特徴とする請求項8記載の減速制御装置。
【請求項10】
自車両が走行中の道路を撮像する撮像手段を備え、
自車両前方に分岐路があるとき、前記撮像手段の撮像画像に基づき左右の道路白線を含む左右の所定領域に、前記分岐路の分岐地点近傍に設けられた特徴点があるかどうかを監視し、
左右の道路白線のうち、何れか一方の道路白線側のみに前記特徴点を検出し、その後他方の道路白線側で同一の特徴点を検出する状態となったとき自車両は前記分岐路に進入したと判断し、自車両は前記分岐地点に存在すると判断することを特徴とする自車位置検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−3286(P2007−3286A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−182199(P2005−182199)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】