説明

自転車における電子鍵装置

【課題】手動で施錠された錠を、物理鍵を使用しなくても、非接触型無線タグ機能を備え、広く汎用されているカードを用いて開錠することができる電子鍵装置を提供する。
【解決手段】無線タグのリーダー・ライター21を備え、且つリーダー・ライター21に対応する非接触無線タグ機能を備えた汎用のカード20を用いて、カード20に登録された固有のID番号をリーダー・ライター21に予め読み取って登録する一方、開錠時に登録されたID番号を持ったカード20をリーダー・ライター21で読み取って認識し、ID番号が一致することが確認できたときに、リーダー・ライター21から開錠部9に開錠の指令信号を発して開錠する電子鍵開錠機構を、物理鍵による物理鍵開錠機構Aを備えた汎用の自転車用鍵に付設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車に取り付ける盗難防止用の鍵装置であって、非接触型無線タグ機能を備えた、現在多くの人が所持して汎用されているカード等のID番号を読み取って登録でき、且つその登録されたID番号とかざされたカード等のID番号を読み取って照合し、それが一致すれば開錠することができる非接触型無線タグのリーダー・ライターに対応すると共に、物理鍵を使用して開錠することもできる自転車における電子鍵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に自転車の車輪に施錠する自転車錠としては、馬蹄形状をなしたケーシング内に基端部を固定して配設された復元用の引きばねの先端部に、半環状をした錠杆の基端部が連結され、該錠杆を前記引きばねに抗して前記ケーシングの一方側から引き出すと共に、前記錠杆の先端部を該ケーシングの他方側へ挿入して、ストッパーを前記錠杆の係止部に圧入係止して、該錠杆のケーシング内への前記引きばねによる復帰を阻止して、前記錠杆が固定され、全体として環状としてなして自転車の車輪を囲繞するようにして施錠する自転車錠が、普通に使用されている。そして、前記施錠された自転車錠を開錠するには、物理鍵を使用して開錠している。
【0003】
一方、物理鍵を使用しなくても、無線タグのリーダー・ライターに対応する非接触型無線タグ機能を備えた汎用のカードを用いて開錠することができる電子鍵装置につき、過去の特許文献を遡及検索しても、先行特許文献は1件も存在しなかった。ただ、複数個の押釦を備え、所定の押釦操作により物理鍵を使用しなくても、開錠することができる自転車錠が、下記特許文献1に開示されて公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−12568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来一般に使用されている自転車錠においては、物理鍵を差し込んで錠を開錠しなければならないので、開錠に時間がかかり、また物理鍵をいちいちポケット等から取り出す必要があり極めて面倒であり、更に、取り出した物理鍵を、特に薄暗い場所で鍵孔に差し込むのに非常に手間がかかるという課題があった。
【0006】
また、一般に自転車の物理鍵は予備も含めて2個であり、少なくとも3人以上の場合は、1台の自転車を共用することができないという課題があった。
【0007】
更に、前記特許文献1に記載されたものは、複数個の押釦を備え、所定の押釦操作と開錠プレートの操作によって開錠するものであって、物理鍵を使用しなくても開錠できるが、複数個の押釦を押圧しなければならないので面倒であり、更に、予め設定された順番で前記押釦を押圧しなければならないので、その順番を忘れてしまった場合は、物理鍵で開錠できるが、該物理鍵を紛失してしまった場合は開錠することができないという課題があった。
【0008】
本発明は、前記課題を解決すべくなされたものであって、自転車錠の施錠時において、開錠部に設置された無線タグのリーダー・ライターに通電し、アンテナとICチップとを備えたパッシブタイプの、所謂、JRが採用している商品名「Suica」や、東京メトロ等で採用している商品名「PASMO」等の、前記リーダー・ライターに対応する非接触無線タグ機能を備え、且つ現在多くの人が所持し汎用されているカードを、前記リーダー・ライターにかざし、該リーダー・ライターに予め登録された前記カードの固有のID番号と一致することを前記リーダー・ライターが認識したとき、該リーダー・ライターからの指令信号により、開錠部に開錠すべき旨の指令信号を発して開錠することができる自転車における電子鍵装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、無線タグのリーダー・ライターを備え、且つ該リーダー・ライターに対応する非接触無線タグ機能を備えた汎用のカードを用いて、該カードに登録された固有のID番号を前記リーダー・ライターに予め読み取って登録する一方、開錠時に前記登録されたID番号を持った前記カードを前記リーダー・ライターで読み取って認識し、前記ID番号が一致することが確認できたときに、該リーダー・ライターから開錠部に開錠の指令信号を発して開錠する電子鍵開錠機構を、物理鍵による物理鍵開錠機構を備えた汎用の自転車用鍵に付設
するという手段を採用することにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0010】
本発明自転車における電子鍵装置によれば、従来同様、開錠用の物理鍵を用いて開錠することもできるが、開錠用の物理鍵を用いることなく、開錠部に設置された無線タグのリーダー・ライターに通電し、非接触型無線タグ機能を備えた汎用のカードを前記リーダー・ライターにかざすのみで、ポケット等から開錠用の物理鍵を取り出して開錠操作をする必要もなく、簡単に、且つ容易に自転車錠の開錠ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明自転車における電子鍵装置において、カードを使用して開錠しようとする状態の実施の一例を示す全体の斜視図である。
【図2】本発明自転車における電子鍵装置において、開錠時の状態の実施の一例を一部を切欠いて示す平面図である。
【図3】同縦断面図である。
【図4】本発明自転車における電子鍵装置において、施錠時の状態の実施の一例を一部を切欠いて示す平面図である。
【図5】同縦断面図である。
【図6】本発明自転車における電子鍵装置において、ID番号登録の実施の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明自転車における電子鍵装置において、開錠の実施の一例を示すフローチャートである。
【実施例】
【0012】
本発明は、無線タグのリーダー・ライターを備え、且つ該リーダー・ライターに対応する非接触無線タグ機能を備えた汎用のカードを用いて、該カードに登録された固有のID番号を前記リーダー・ライターに予め読み取って登録する一方、開錠時に前記登録されたID番号を持った前記カードを前記リーダー・ライターで読み取って認識し、前記ID番号が一致することが確認できたときに、該リーダー・ライターから開錠部に開錠の指令信号を発して開錠する電子鍵開錠機構を、物理鍵による物理鍵開錠機構を備えた汎用の自転車用鍵に付設した自転車における電子鍵装置である。
【0013】
本発明自転車における電子鍵装置に使用することができる自転車錠装置は、物理鍵を使用する物理鍵開錠機構を備えたものであれば、いずれも採用することができる。そして、本発明自転車における電子鍵装置に使用することができる自転車錠装置としては、特に限定する必要はないが、実施の一例として示す下記の構成を有する自転車錠装置が好ましい。
【0014】
すなわち、本発明自転車における電子鍵装置に使用することができる自転車錠装置は、基本的な構造として、開錠部において、錠杆係止用ストッパーを常時施錠側方向(時計方向)に付勢するストッパー用引きばねを備えると共に、物理鍵を差し込んでシリンダー錠を、前記引きばねに抗して開錠側方向(反時計方向)へ回動することにより、前記引きばねの引張力により錠杆の係止部に圧入係止されていた錠杆係止用ストッパーの先方部が、前記係止部から離脱して係止状態が解除されると同時に、前記錠杆が復元用の引きばねによってケーシング内に引き戻されて復帰して開錠される物理鍵開錠機構を備えて形成されている。
【0015】
更に、図に基づいて詳細に説明すると、前記本発明装置に使用することができる物理鍵開錠機構Aを備えた自転車錠装置は、内部に中空の通路1を設けた馬蹄形状のケーシング2と、該ケーシング2の左側の通路1内部を摺動して移動する半環状の錠杆3と、前記ケーシング2の右側の通路1内部に、前記錠杆3の基端部に連結して、該錠杆3を常時開錠方向(時計方向)へ付勢する復元用の引きばね4とを備えて形成されている。
【0016】
前記復元用の引きばね4は、前記ケーシング2の通路1内の右側位置に配設され、該引きばね4の基端部が該ケーシング2内に突設された固定ピン5に連結固定されると共に、前記引きばね4の先端部が前記錠杆3の基端部の連結部6に連結固定して形成されている。
【0017】
更に、前記ケーシング2の左側上面に長孔7を穿設すると共に、前記錠杆3の中央部近傍上面に突設された摘み部8が前記長孔7上面に突出して配置され、該摘み部8を前記長孔7に沿って下方側へ押圧移動することにより、前記錠杆3が、前記引きばね4に抗して前記ケーシング2の左側の通路1内を摺動して、該錠杆3の先端部が前記ケーシング2の左側開口部2aから突出して右側開口部2b内に挿入されると同時に、開錠部9の錠杆係止用ストッパー10の先方部が、前記錠杆3に設けられた、例えば、係止用の孔、あるいは凹欠部等の係止部11に圧入係止されて、該錠杆3は固定され、全体として環状をなして自転車の車輪Wを囲繞するようにして施錠される。この時、物理鍵12は、鍵挿入孔13から取外すことができる。
【0018】
前記開錠部9は、シリンダー錠14と、該シリンダー錠14を回動可能に収納したシリンダー錠収納部15と、前記錠杆3の係止部11に圧入係止する一方、該錠杆3への圧入係止を解除するための錠杆係止用ストッパー10を備えて形成されている。前記開錠部9は、前記係止部11を含むケーシング2の外側に一体に固設されたボックス16内に設置されており、前記シリンダー錠14に物理鍵12を差込むシリンダー錠収納部15が前記ボックス16上に突設されている。
【0019】
また、前記シリンダー錠14の下面には、前記錠杆3の外周面に摺接しながら該錠杆3が移動できるようにした錠杆係止用ストッパー10の基端部が固定されると共に、該錠杆係止用ストッパー10の先方部は、前記錠杆3の係止部11に圧入係止可能な形状に形成されている。
【0020】
そして、前記錠杆3の係止部11に圧入係止すると共に、該圧入係止を解除するためのストッパー機構Bは、前記錠杆係止用ストッパー10の先方部がモーターの回転を利用して、前記錠杆3の係止部11に圧入係止する一方、該圧入係止を解除することができる構成を備えておれば、いずれも本発明装置において使用することができる。本発明においては、特に限定する必要はないが、実施の一例として示す下記の構成を有するストッパー機構Bを使用するものとして説明する。
【0021】
すなわち、ストッパー機構Bは、前記ボックス16に突設された固定ピン17に一端部を連結されたストッパー用引きばね18の他端部が、前記錠杆係止用ストッパー10の先方部の施錠方向側に突設された固定ピン19に連結固定されていて、該錠杆係止用ストッパー10は、前記ストッパー用引きばね18によって常時施錠方向(ケーシング2の左側開口部2a側方向)へ付勢されて形成されている。
【0022】
そして、前記錠杆3が施錠されているときは、該錠杆3の係止部11に前記錠杆係止用ストッパー10の先方部が圧入係止されると共に、前記錠杆係止用ストッパー10が前記ストッパー用引きばね18によって常時施錠方向へ付勢されて、該錠杆係止用ストッパー10の施錠方向側端縁部10aが前記係止部11の施錠方向側端縁部11aに圧接係止されて錠杆3が開錠方向に動くことはない。
【0023】
一方、物理鍵12をシリンダー錠14に差込み開錠方向(反時計方向)へ回動すると、前記ストッパー用引きばね18に抗して、前記シリンダー錠14に基端部を固定された錠杆係止用ストッパー10が反時計方向へ回動して、前記錠杆係止用ストッパー10の施錠方向側端縁部10aの、係止部11の施錠方向側端縁部11aへの圧接係止状態が解除され、錠杆3は復元用の引きばね4の復元力によって引張られて、開錠方向に移動して開錠される。
【0024】
前記錠杆3の開錠に伴い物理鍵12による回動操作を停止して、該物理鍵12より手を離すと、前記ストッパー用引きばね18の復元力により引張られて、前記錠杆係止用ストッパー10の先端縁が、前記復元用の引きばね4によってケーシング内に引き戻されて復帰して開錠されている錠杆3の外周面に圧接して停止している状態となる。
【0025】
そして、前記開錠された錠杆3を施錠する場合は、前記ストッパー用引きばね18の復元力により引張られて、前記錠杆係止用ストッパー10の先端縁が錠杆3の外周面に圧接して停止している状態において、前記引きばね4に抗して錠杆3の摘み部8を長孔7に沿って下方側へ押圧移動すると、前記錠杆係止用ストッパー10の先端縁が、前記錠杆3の外周面に摺接しながら、該錠杆3が通路1内を摺動して移動し、該錠杆3の先端部がケーシング2の左側開口部2aから突出して右側開口部2b内に挿入されると同時に、前記錠杆係止用ストッパー10の施錠方向側端縁部10aが、前記錠杆3に設けられた係止部11の施錠方向側端縁部11aに、前記ストッパー用引きばね18の引張力により圧入係止されて錠杆3は固定されて施錠される。
【0026】
本発明装置は、前記のように、物理鍵12の使用によって錠杆3は開錠することができる物理鍵開錠機構Aを備えた自転車錠装置に、更に無線タグのリーダー・ライターに対応する非接触無線タグ機能を備えた、現在多くの人が所持し汎用されているカード20を開錠部9に設置されたリーダー・ライター21にかざすと、該リーダー・ライター21の指令信号により、前記錠杆3を物理鍵12を使用しなくても電子的に開錠することができる電子錠開錠機構Cを付設して構成されている。
【0027】
前記物理鍵開錠機構Aに付設される電子鍵開錠機構Cは、カード20を開錠部に設置されたリーダー・ライター21にかざすことにより、該リーダー・ライター21が開錠の指令信号を発して開錠することができる開錠機構を備えたものであれば、いずれも採用することができる。そして、リーダー・ライター21の指令信号により、開錠することができる構成としては、特に限定する必要はないが、例えば、実施の一例として示す下記の構成より成る電子鍵開錠機構Cを備えたものを使用することができる。
【0028】
すなわち、前記ボックス16には、乾電池等の電源供給部23および電源供給回路と制御回路を備えた基板24が設置されると共に、該ボックス16の外側面には、使用者が押圧操作をするスイッチ27が設置され、更に、該ボックス16には、前記リーダー・ライター21からの指令信号を受けて作動するモーター22、LEDランプ25およびビーブ音を発するブザー26がそれぞれ設置されている。
【0029】
また、前記スイッチ27をONすることにより、電源供給部23から電源が供給され、前記リーダー・ライター21が起動すると共に、モーター22、LEDランプ25およびブザー26も、それぞれ作動ができるように形成されている。
【0030】
前記ボックス16内に設置されたモーター22の回転軸28には、伝導歯車29が回転自在に連結固定されていると共に、前記伝導歯車29に噛合して回転する従動歯車30が、前記ボックス16内に固定された取付板31に回転自在に軸支された回転軸32の基端側に連結固定され、更に、前記回転軸32の先方部には、開錠時において、該回転軸32の回動に伴い、僅かに反時計方向へ回動する回動板33の下方部が一体に連結固定されると共に、該回動板33の上方部には、前記錠杆係止用ストッパー10に係止して開錠させるための係止ピン34が突設固定されており、更に前記係止ピン34は、前記錠杆係止用ストッパー10に湾曲して穿設されたガイド用長孔35に貫通され、前記錠杆3の施錠時には、該係止ピン34は、前記ガイド用長孔35の開錠方向端縁部35aに圧接して、前記錠杆3は施錠状態を維持するよう構成されている。
【0031】
前記構成を備えた本発明装置を自転車に設置した後、該装置を1人または複数の各人が所有する非接触無線タグ機能を備えたカード20を使用して、物理鍵12を用いることなく、該カード20をリーダー・リイター21にかざすことにより、開錠できるようにするための初期設定をする必要がある。以下、初期設定の実施の一例を、図6のフローチャートにより説明する。
【0032】
本発明装置においては、常にLEDランプ25は消灯してスタンバイ状態となっている(ステップ1)。このステップ1のスタンバイ状態において、スイッチ27をONすると(ステップ2)、物理鍵12が鍵挿入孔13に差し込まれて回動し(ステップ3)、開錠されていることを確認する(ステップ4)。開錠されていないとき(NO)は、ステップ1へ戻る。
【0033】
前記開錠されている(YES)ことを確認した後、電源供給回路を介して電源供給部23より電源が供給されてLEDランプ25が点滅すると共に、ブザー26がビープ音を発し、初期モードの設定が可能となったことを、使用者は光と音で確認する(ステップ5)。
【0034】
前記ステップ5における初期モードの設定が可能となったことを確認後、制御回路の指令信号により、リーダー・ライター21のアンテナがアクティブとなって、カード20に登録された固有のID番号のサーチが可能となり(ステップ6)、このとき自転車の開錠用として使用したいカード20を前記リーダー・ライター21にかざして(ステップ7)、前記カード20の固有のID番号を前記リーダー・ライター21に読み込んで登録し、その登録が完了したことを確認する作業に入り(ステップ8)、前記カード20の固有のID番号がリーダー・ライター21へ登録されたことを確認(YES)すると、1枚目のカード無線タグ20の初期モード設定は完了する(ステップ9)。
【0035】
前記ステップ8において、前記カード20の固有のID番号が前記リーダー・ライター21へ登録されたことを確認できないとき(NO)は、該確認できなかったことをブザー26によるビープ音(前記ステップ5におけるビープ音とは異なる音)を発して使用者に通知し、ステップ6に戻り、再度ステップ6以降の操作を繰り返すよう形成されている。
【0036】
更に、前記初期設定においては、複数人がそれぞれ所有するカード20を使用することができるように、複数の登録が可能である。すなわち、前記1人が所有するカード20の固有のID番号を前記リーダー・ライター21に登録して、その登録の確認後(ステップ8)、直ちに2枚目のカード20をリーダー・ライター21にかざして(ステップ7)、該2枚目のカード20の固有のID番号を前記リーダー・ライター21に読み込んで登録し、その登録が完了したことをブザー26によるビープ音(前記ステップ5およびステップ7におけるビープ音とは異なる音)を発して使用者に登録されたことを通知する。以下、3枚目以降のカード20への登録を繰り返す。
【0037】
そして、所定の枚数のカード20への登録が完了(YES)すると、初期モードの設定登録が完了する。なお、前記初期モードの設定登録は、ある一定時間、例えば、ステップ6から初期モード設定完了のステップ9までを10秒以内に行うよう設定されている。前記初期モードの設定登録時において、予め設定された一定時間が経過すると、電源が自動的にスタンバイ状態となり、初期モードの設定登録操作は完了する。
【0038】
前記構成より成る本発明装置の開錠動作について、図7の開錠動作の実施の一例を示すフローチャートを用いて説明する。前記初期設定が完了することにより、本発明装置の使用が可能となる。錠杆3が施錠されているときは、LEDランプ25は消灯してスタンバイ状態となっている(ステップ10)。前記ステップ10のスタンバイ状態において、スイッチ27をONして(ステップ11)、前記錠杆3が施錠中であるか否かを確認する(ステップ12)。
【0039】
なお、前記前記錠杆3が施錠中でない(NO)とき(すなわち、開錠中であるとき)は、開錠操作をする必要がないのでステップ10に戻る。また、ステップ12において、施錠中であることを確認したにも拘わらず、何らかの事情でスイッチ27をONしなかった(NO)ときは、開錠操作をしないものとしてステップ10に戻る。
【0040】
前記ステップ12において施錠中である(YES)ことを確認すると、LEDランプ25が点灯すると共に、ブザー26がビープ音を発し(ステップ13)、電源供給部23からリーダー・ライター21、モーター22および基板24へ通電状況にあること使用者に光と音で知らせる。
【0041】
前記前記ステップ13において電源供給部23からリーダー・ライター21、モーター22および基板24へ通電されると、リーダー・ライター21のアンテナがアクティブとなって、カード20に登録された固有のID番号のサーチが可能となり(ステップ14)、このとき使用者が自転車の開錠用として使用するカード20を前記リーダー・ライター21にかざすと(ステップ15)、該リーダー・ライター21は前記カード20に登録されたID番号が前記リーダー・ライター21に初期設定で登録されたID番号と一致するか否かを認識し、前記カード20のID番号とリーダー・ライター21に登録されたID番号とが一致する(YES)と認識すると(ステップ16)、該リーダー・ライター21が開錠の指令信号を発し、モーター22を回転させて錠杆3を開錠する(ステップ17)。そして、前記錠杆3の開錠が完了すると、前記電源の供給が停止され、ステップ11の前記LEDランプ25が消灯しスタンバイ状態へ戻る。
【0042】
なお、前記ステップ16において、使用者がリーダー・ライター21にかざしたカード20のID番号と、該リーダー・ライター21に登録されたID番号とが一致せず認識できない(NO)場合、ブザー26がビープ音(前記スイッチ27をONしたとき発する音と異なる音)を発し、使用者にその旨を通知し、ステップ14へ戻り、以下同一操作を行う。
【0043】
前記ステップ14からステップ16への流れにおいて、該ステップ14からステップ16までの時間を一定の限られた時間、例えば5秒以内に終了しないと、前記開錠操作は終了するよう予め設定しておくことが好ましい。これにより、前記ステップ14からステップ16の作業が時間内に完了しない場合は、前記電源の供給が停止され、ステップ10の前記LEDランプ25が消灯しスタンバイ状態へ戻る。
【0044】
前記ステップ17において、リーダー・ライター21の指令信号により、モーター22を回転させて、回転軸28を正方向へ回転させると、該回転軸28の回転に伴い、伝導歯車29が回転すると共に、該伝導歯車29に噛合している従動歯車30も回転する。
【0045】
そして、前記従動歯車30の回転に伴い、回転軸32は逆方向へ回動して、該回転軸32に基部側を一体に固定された回動板33が反時計方向へ回動し、且つ該回動板33に突設固定された係止ピン34が、錠杆係止用ストッパー10に穿設されたガイド用長孔35の開錠方向端縁部35aに圧接したまま、前記
ストッパー用引きばね18に抗して前記錠杆係止用ストッパー10を反時計方向へ移動させ、これにより、該錠杆係止用ストッパー10の係止部11への圧入係止状態が解除され、引きばね4によって錠杆3はケーシング2内に引き戻されて開錠される。そして、前記錠杆3が開錠されると、電源は自動的にスタンバイ状態へ戻る。
【0046】
前記開錠された錠杆3を施錠するには、前記したように、摘み部8を長孔7に沿って下方側へ押圧移動することにより、前記錠杆3が引きばね4に抗してケーシング2の左側の通路1内を摺動して、該錠杆3の先端部が前記ケーシング2の左側開口部2aから突出して右側開口部2b内に挿入されると同時に、前記錠杆係止用ストッパー10の先端部が係止部11に圧入係止されて錠杆3は施錠される。
【0047】
そして、前記錠杆係止用ストッパー10の先端部が係止部11に圧入係止されると同時に、ストッパー用引きばね18によって施錠方向側へ引っ張られると共に、係止ピン34がガイド用長孔35の開錠方向端縁部35aに当接して開錠方向側へ移動し、これにより従動歯車30も強制的に逆回転して、該従動歯車30に噛合する伝導歯車29を逆回転させて、前記モーター22の回転軸28を逆回転させて起動前の元の位置まで復帰させる。
【0048】
更に、カード20を使用することなく錠杆3を開錠する場合は、スイッチ27をONせず、従来と同様、単に鍵挿入孔13に物理鍵12を差し込んで反時計方向へ回動させることにより錠杆3を開錠することができる。すなわち、物理鍵12を反時計方向へ回動させると、シリンダー錠14と共に錠杆係止用ストッパー10がストッパー用引きばね18に抗して開錠方向へ回動する。この際、係止ピン34は停止したままで、錠杆係止用ストッパー10のみが、前記係止ピン34をガイドとしてガイド用長孔35に沿って移動し、前記錠杆3が開錠されたときは、前記係止ピン34はガイド用長孔35の施錠方向端縁部35bに当接するので、前記錠杆係止用ストッパー10の回動操作において係止ピン34が邪魔とならず、カード20を使用することなく物理鍵12を使用して錠杆3を開錠することができる。
【0049】
なお、複数の人が1台の自転車を共用する場合も、各人が所有する各カード20を使用してそれぞれ開錠する場合の操作は、前記と同一であるので説明を省略する。
【符号の説明】
【0050】
A 物理鍵開錠機構
B ストッパー機構
C 電子鍵開錠機構
W 車輪
1 通路
2 ケーシング
2a 左側開口部
2b 右側開口部
3 錠杆
4 引きばね
5 固定ピン
6 連結部
7 長孔
8 摘み部
9 開錠部
10 錠杆係止用ストッパー
10a 施錠方向側端縁部
11 係止部
11a 施錠方向側端縁部
12 物理鍵
13 鍵挿入孔
14 シリンダー錠
15 シリンダー錠収納部
16 ボックス
17 固定ピン
18 ストッパー用引きばね
19 固定ピン
20 カード
21 リーダー・ライター
22 モーター
23 電源供給部
24 基板
25 LEDランプ
26 ブザー
27 スイッチ
28 回転軸
29 伝導歯車
30 従動歯車
31 取付板
32 回転軸
33 回動板
34 係止ピン
35 ガイド用長孔
35a 開錠方向端縁部
35b 施錠方向端縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグのリーダー・ライターを備え、且つ該リーダー・ライターに対応する非接触無線タグ機能を備えた汎用のカードを用いて、該カードに登録された固有のID番号を前記リーダー・ライターに予め読み取って登録する一方、開錠時に前記登録されたID番号を持った前記カードを前記リーダー・ライターで読み取って認識し、前記ID番号が一致することが確認できたときに、該リーダー・ライターから開錠部に開錠の指令信号を発して開錠する電子鍵開錠機構を、物理鍵による物理鍵開錠機構を備えた汎用の自転車用鍵に付設したことを特徴とする自転車における電子鍵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−241428(P2012−241428A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112977(P2011−112977)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(593044919)カインズ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】