説明

自転車のフォーク部固定装置

【課題】
盗難防止機構付の自転車のフォーク部固定装置において、フォーク部保持部の保持幅調整機構の回転防止機構を簡略化して製造コストを低減させ、更に最適な自転車のフォーク部の保持状態を容易に実現できる様にする。
【解決手段】
略中央部の位置が保持部材を介して前記キャリアに保持される串状部材と、前記串状部材の一方及び他方の位置に夫々配置された自転車のフォーク部保持部と、前記串状部材の一方の位置において前記フォーク部保持部よりも端部側位置に配置された保持幅調整機構と、前記串状部材の他方の位置に配置されたカム機構とを有し、前記保持幅調整機構は、前記串状部材の一方の端部に形成されたネジ部に螺合するナット部材とナット部材を覆うカバー部材間に配置されたスリップトルク発生機構によって、自転車のフォーク部の保持状態における前記ナット部材の回転が防止される

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に固定して使用する自転車ラックの自転車のフォーク部固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車に固定されたキャリアに自転車のフォーク部を固定するために用いられる自転車のフォーク部固定装置として、国際公開WO2010/014603号では、図38、図39に示す様に、前記キャリアへの固定構造を有する保持ベース220と、前記キャリアに固定される自転車の左右方向と同じ方向に向かって配置される串状部材210を有し、この串状部材210の略中央部は前記保持ベース220に保持され、前記串状部材210は前記保持ベース220に保持される略中央部に対して左右方向に延在する一方の位置210aおよび他方の位置210bを有し、前記一方の位置210aおよび他方の位置210bには夫々、前記フォーク部の先端部の左右面を挟持可能な内側挟持部225と外側挟持部226からなるフォーク部保持部230が構成される。
【0003】
尚、前記内側挟持部225は保持ベース220の串状部材保持部分の端部に結合されたリング状の付加部材221によって構成され、更に、前記串状部材210の一方の位置210aにはフォーク部保持部230の保持幅調整機構240が配置され、前記保持幅調整機構240は、前記串状部材210の一方の位置210aの端部に形成したネジ部213の位置に平面部214を形成すると共に、このネジ部213に螺合するナット部材241と、前記フォーク部保持部230の締め付け状態における前記ナット部材241の回転防止手段を有する。
【0004】
前記ナット部材241の回転防止手段は、一方の面が前記ナット部材241と当接する様に構成されたスライダ245を有し、前記スライダ245と前記ナット部材241の当接位置が互いに係合し相互の相対的な回転を防止するために、相互の当接面に形成された凹凸状の係合歯からなる係合部247が形成される。
【0005】
更に前記スライダ245はコイルスプリング255によって前記ナット部材241の方向に付勢されると共に、前記スライダ245の他方の位置にはリング状の付加部材248が結合され、一方の位置210aにおける外側挟持部226として、前記付加部材248が自転車のフォーク部と当接可能に構成される。
【0006】
更に前記スライダ245の中心部には孔246が形成され、前記孔246の形状を前記串状部材210の一方の位置210aの端部に形成したネジ部213および平面部214の形状に合致させることによって前記串状部材210の軸方向に沿った移動が可能で且つ、串状部材210に対しての回転が困難に構成される事によって、前記スライダ245に軸に対する回転方向の力が作用しても前記スライダ245の回転が困難に構成されるため、自転車のフォーク部の固定状態においては前記スライダ245とナット部材241の係合部247が係合する事によってナット部材241の回転が防止される。
【0007】
また、前記串状部材210の他方の位置210bには、カムレバー251と、前記カムレバー251の操作と連動して移動するスライド部253を含むカム機構250が配置され、前記カムレバー251の回動操作によって他方の位置210bのフォーク部保持部230の保持幅が縮小する様に構成されると共に、前記カムレバー251の回動状態において、カムレバー251の位置を固定する鍵機構252を有する。
【0008】
更に前記カム機構250はコイルスプリング256によって、前記串状部材210の他方の位置210bの端部方向に向かって付勢されると共に、前記スライド部253にはリング状の付加部材254が結合され、他方の位置210bにおける外側挟持部226として、前記付加部材254が自転車のフォーク部と当接可能に構成される。
【0009】
他の従来の自動車に固定して使用する自転車のフォーク部固定装置として、米国特許US5598959号では図40〜図41に示す様に、前記キャリアへの固定構造を有する保持ベース320と、前記キャリアに固定される自転車の左右方向と同じ方向に向かって配置される串状部材310を有し、前記串状部材310は、前記保持ベース320に保持される略中央部に対して左右方向に延在する一方の位置310aおよび他方の位置310bを有し、前記一方の位置310aおよび他方の位置310bには夫々、前記フォーク部の先端部の左右面を挟持可能な内側挟持部325と外側挟持部326からなるフォーク部保持部330が構成される。
【0010】
更に、前記串状部材310の一方の位置310aにはフォーク部保持部330の保持幅調整機構340が配置され、前記保持幅調整機構340は、前記串状部材310の一方の位置310aの端部に形成されたネジ部313aと、このネジ部313aに螺合するナット部材341と、前記フォーク部保持部330の緊張状態における前記ナット部材341の回転防止手段を有する。
【0011】
前記ナット部材341の回転防止手段は、中心部に形成された孔346によって前記串状部材310の軸方向に沿った移動が可能に形成され、一方の面が自転車のフォーク部と当接し他方の面が前記ナット部材341と当接する様に構成されたスライダ345を有し、前記ナット部材341に対する前記スライダ345の当接位置には夫々が互いに係合し、相互間の相対的な回転を防止する係合部347が形成される。
【0012】
前記スライダ345に前記串状部材310と離間して前記保持ベース320の方向に向かって伸びるピン状の延在部348が形成され、前記保持ベース320には前記スライダ345の延在部348が挿入可能な孔322が形成され、前記スライダ345に形成された延在部348が、前記保持ベース320に形成された孔322に挿入される事によって前記串状部材310に対する回転が不可能に構成され、自転車のフォーク部の固定状態において前記スライダ345に軸回転方向の力が作用した際には、前記スライダ345とナット部材341の係合部347の当接位置が互いに係合し相互の相対的な回転を防止するために、相互の当接面に形成された凹凸状の係合歯からなる係合部347が形成される。
【0013】
また、前記串状部材310の他方の位置310bには、カムレバー351と、前記カムレバー351の操作と連動して移動する前記外側挟持部を含むカム機構350が配置され、前記カムレバー351の回動操作による他方の位置310bのフォーク部保持部330の保持幅の縮小状態において前記カムレバー351の回動位置を固定する鍵機構352を有する。
【0014】
前記従来技術の自転車のフォーク部固定装置は何れも、串状部材と、前記串状部材の略中央部において串状部材を自動車用キャリアに固定するための保持ベースと、前記串状部材の一方及び他方の位置に夫々配置された自転車のフォーク部保持部と、前記串状部材の一方の位置において前記フォーク部保持部よりも端部側位置に配置されたフォーク部保持部の保持幅調整機構と、前記串状部材の他方の位置において前記フォーク部保持部よりも端部側位置に配置されたカム機構を有し、前記カム機構はカムレバーの回動操作によって自転車のフォーク部支持状態における前記フォーク部保持部を緩み状態と締め付け状態の相互の状態に切り替え出来る様に構成され、前記フォーク部保持部330の保持幅の縮小状態で前記カムレバーの回動位置を維持する鍵機構を有する。
【0015】
前記保持幅調整機構は、前記串状部材の一方の端部に形成されたネジ山と、このネジ部に螺合するナット部材と、前記フォーク部保持部の緊張状態における前記ナット部材の回転防止手段を有し、前記ナット部材の回転防止手段は、前記串状部材に対して軸方向に沿った移動が可能で且つ前記串状部材に対する回転防止手段を有するスライダを有し、前記スライダは一方の面が自転車のフォーク部と当接し、他方の面が前記ナット部材と当接する様に構成され、前記ナット部材と前記スライダの当接面には、夫々が互いに係合しナット部材の回転を防止する係合歯が形成される。
【0016】
しかしながら、上記の公知技術は何れも、ナット部材の回転防止手段のための部品構造が複雑であり、また、前記ナット部材と前記スライダの当接面に係合歯を形成する際に十分な盗難防止効果を得るために深い係合歯の形成する必要があるため、ダイキャスト等の比較的コストが高い部品を使用する必要があるためコストアップに繋がっていた。
【0017】
また、上記従来技術で用いた締め付け構造は、ナット部材の回転角度が係合歯の数に対応した段階的な締め付けになるため、最適な締め付け状態で自転車のフォーク部を保持出来ない場合があり、一回転当たりの締め付け可能な段階数を増やすために上記係合歯の配置数を増やすと、係合歯の深さが浅くなるために盗難され易くなり、また係合歯の機械的強度の低下に繋がる欠点が有った。
【0018】
更に、前記従来技術では、自転車のフォーク部を固定するために、フォーク部保持部の保持幅の縮小状態で、安全な締め付け状態を確保出来ているかどうかの目安が無く、作業者毎の個人的な感覚に沿って固定作業を行うため、締め付け不足による落下の危険を事前に察知する事が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】国際公開WO2010/014603号
【特許文献2】米国特許US5598959号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
盗難防止機構付の自転車のフォーク部固定装置において、フォーク部保持部の保持幅調整機構の回転防止機構(盗難防止手段)を簡略化して製造コストを低減させ、更に自転車のフォーク部の締め付け具合が適切であるか確認できる様に構成すると共に、自転車のフォーク部の保持状態を調節するためのナットが無断階で締め付けできる様に構成する事によって、安全な自転車のフォーク部の保持状態を確実に実現できる様にする事である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の自転車のフォーク部固定装置は、自動車に固定されたキャリアに自転車のフォーク部を固定するために用いられる自転車のフォーク部固定装置に関し、前記キャリアへの固定構造を有する保持ベースと、前記キャリアに固定される自転車の左右方向と同じ方向に向かって配置される串状部材を有し、この串状部材の略中央部は前記保持ベースに形成された串状部材挿通部によって左右方向への摺動が可能な状態で保持され、前記串状部材は、前記保持ベースに保持される略中央部に対して左右方向に延在する一方および他方の位置を有し、前記一方および他方の位置には夫々、前記自転車のフォーク部の先端に形成された逆U字型の開口部が進入可能な軸径を有する一方および他方の軸部が形成され、前記一方および他方の軸部の左右位置には、夫々内側挟持部と外側挟持部からなる、前記フォーク部の先端部の左右面を挟持可能なフォーク部保持部が構成され、前記一方および他方の位置における内側挟持部は、前記保持ベースに形成された串状部材挿通部の左右夫々の端部(別体で構成されたリング状の付加部材を含む)からなり、更に、前記串状部材の一方の位置にはフォーク部保持部の保持幅調整機構が配置され、前記保持幅調整機構は前記串状部材の一方の位置の端部に形成されたネジ部と、このネジ部に螺合し一端に外側挟持部(別体で構成されたリング状の付加部材を含む)が形成されたナット部材と、前記フォーク部の固定状態における前記ナット部材の回転防止手段を有し、前記ナット部材の回転防止手段は、フォーク部の固定状態においてナット部材を直接回転させる操作が難しくなる様に前記ナット部材の少なくとも外周部の一部を覆うカバー部材と、前記ナット部材に対する前記カバー部材の離脱防止手段と、前記ナット部材と前記カバー部材間に設けられたスリップトルク発生機構より構成され、
更に、前記串状部材の他方の位置には、カムレバーの回動操作と連動して他方の位置の前記外側挟持部(別体で構成されたリング状の付加部材を含む)が移動しフォーク部保持部の保持幅を縮小させる事が可能に構成されたカム機構が配置され、前記カム機構は前記カムレバーの回動操作によるフォーク部保持部の保持幅の縮小状態で前記カムレバーの回動位置の変更を制御する鍵機構を有する事を特徴とする。
【0022】
更に、前記ナット部材と前記カバー部材の間に弾性部材が配置され、前記弾性部材の一方の位置に前記ナット部材との係合部が形成され、前記弾性部材の他方の位置に前記カバー部材との係合部が形成され、前記一方および他方のフォーク部保持部に前記フォーク部が適切に固定された状態で、前記カバー部材に回転トルクを付加した際に、主として前記弾性部材の変形によって、前記ナット部材と前記カバー部材の少なくとも何れか一方の弾性部材との係合部において前記弾性部材との間に滑りが発生する様に前記スリップトルク発生機構が構成されると良い。
【0023】
更に、前記弾性部材がゴム、エラストマもしくは合成樹脂によって形成されると良い。
【0024】
また、前記弾性部材を金属のバネ材料によって形成しても良い。
【0025】
また、前記ナット部材と前記カバー部材は夫々、互いに係合する係合部が形成され、前記一方および他方のフォーク部保持部に前記フォーク部が適切に固定された状態で、前記カバー部材に回転トルクを付加した際に、前記ナット部材の係合部と前記カバー部材の係合部の、少なくとも何れか一方の係合部の弾性変形によって、前記ナット部材と前記カバー部材の係合部に滑りが発生する様に前記スリップトルク発生機構が構成しても良い。
【発明の効果】
【0026】
本発明の自転車のフォーク部固定装置は前記の欠点を除くようにしたものであり、前記保持幅調整機構の回転防止のための構造が簡単になり製造コストが安く、更に、前記保持幅調整機構の保持状態を調節するためのナットの締め付け角度が無断階に調節できるため、ナットの取り外し防止機構を有しているにも係わらず、常に最適の締め付け状態で自転車のフォーク部を保持出来る大きな効果を有する。更に前記スリップトルク発生機構が作動状態を確認する事により、自転車のフォーク部の保持力が適切で有るか否かを確認できるため、安全に自転車を運搬出来る大きな効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施例に係わる部品構成を説明するための参考斜視図。
【図2】本発明の第1実施例に係わる自転車のフォーク部の固定状態を示す斜視図
【図3】本発明の第1実施例に係わる平面図
【図4】本発明の第1実施例に係わるAA線断面図
【図5】本発明の第1実施例に係わるCC線断面図
【図6】本発明の第1実施例に係わるカム機構の分解図
【図7】本発明の第1実施例に係わる保持幅調整機構の分解図
【図8】本発明の第1実施例に係わる保持幅調整機構の平面図
【図9】本発明の第1実施例に係わる要部保持幅調整機構のDD断面図
【図10】本発明の第1実施例に係わる保持幅調整機構のEE断面図
【図11】本発明の第1実施例に係わる保持幅調整機構のFF断面図(回転トルク未発生状態)
【図12】本発明の第1実施例に係わる保持幅調整機構のFF断面図(回転トルク発生状態)
【図13】本発明の第1実施例に係わるナット部材の外観図
【図14】本発明の第1実施例に係わるカバー部材の外観図
【図15】本発明の第1実施例に係わる弾性部材の外観図
【図16】本発明の第1実施例に係わるキャリアバーとの固定構造を示すBB線断面参考図
【図17】本発明の第2実施例に係わる保持幅調整機構の平面図
【図18】本発明の第2実施例に係わる保持幅調整機構のGG断面図(スリップトルク未発生状態)
【図19】本発明の第2実施例に係わる保持幅調整機構のGG断面図(スリップトルク発生状態)
【図20】本発明の第2実施例に係わる保持幅調整機構のHH断面図
【図21】本発明の第2実施例に係わるナット部材の外観図
【図22】本発明の第2実施例に係わるカバー部材の外観図
【図23】本発明の第2実施例に係わる係合片の外観図
【図24】本発明の第3実施例に係わる保持幅調整機構の平面図
【図25】本発明の第3実施例に係わる保持幅調整機構のJJ断面図(スリップトルク未発生状態)
【図26】本発明の第3実施例に係わる保持幅調整機構のJJ断面図(スリップトルク発生状態)
【図27】本発明の第3実施例に係わる保持幅調整機構のKK断面図
【図28】本発明の第3実施例に係わるナット部材の外観図
【図29】本発明の第3実施例に係わるカバー部材の外観図
【図30】本発明の第3実施例に係わる板バネの外観図
【図31】本発明の第4実施例に係わる保持幅調整機構の平面図
【図32】本発明の第4実施例に係わる保持幅調整機構のLL断面図
【図33】本発明の第4実施例に係わる保持幅調整機構のMM断面図(回転トルク未発生状態)
【図34】本発明の第4実施例に係わる保持幅調整機構のMM断面図(回転トルク発生状態)
【図35】本発明の第4実施例に係わるナット部材の外観図
【図36】本発明の第4実施例に係わるカバー部材の外観図
【図37】本発明の第4実施例に係わる保持幅調整機構変形例のMM断面図(回転トルク未発生状態)
【図38】従来技術を示す参考斜視図
【図39】従来技術を示す要部分解図
【図40】従来技術を示す参考斜視図
【図41】従来技術を示す要部分解図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の第1実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0029】
図1は部品構成を説明するための参考斜視図、図2は自転車のフォーク部の固定状態を示す斜視図、図3は平面図、図4はAA線断面図、図5はCC線断面図、図6はカム機構の分解図、図7は保持幅調整機構の分解図、図8は保持幅調整機構の平面図、図9は要部保持幅調整機構のDD断面図、図10は保持幅調整機構のEE断面図、図11は保持幅調整機構のFF断面図(回転トルク未発生状態)、図12は保持幅調整機構のFF断面図(回転トルク発生状態)、図13はナット部材の外観図、図、14はカバー部材の外観図、図15は弾性部材の外観図、図16はキャリアバーとの固定構造を示すBB線断面参考図である。
【0030】
本発明の第1実施例に係わる自転車のフォーク部固定装置は、図1〜図5に示す様に、自動車に固定されたキャリアバー1に、自転車のフォーク部2を固定するために用いられ、前記キャリアバー1への固定構造を有する保持ベース20と、自動車に固定する自転車の左右方向と同じ方向に配置される串状部材10とを有し、前記串状部材10の略中央部の位置は前記保持ベース20に形成された串状部材挿通部21によって左右方向への摺動が可能な状態で保持される。
【0031】
そして前記串状部材10は、前記保持ベース20に保持される略中央部に対して左右方向に延在する一方の位置10aと他方の位置10bを有し、前記串状部材10の一方の位置10aと他方の位置10bには夫々、自転車のフォーク部2の先端に形成された逆U字型の開口部3が進入可能な軸径を有する一方の軸部11a及び他方の軸部11bが形成され、前記一方の軸部11a及び他方の軸部11bの左右位置には、夫々内側挟持部25と外側挟持部26からなる、前記フォーク部2の先端部の左右面を挟持可能な一方のフォーク部保持部30aおよび他方のフォーク部保持部30bが構成され、前記一方の位置10aおよび他方の位置10bにおける夫々の内側挟持部25は、前記保持ベース20に形成された串状部材挿通部21の左右夫々の端部からからなる。
【0032】
更に、図7〜図11に示す様に、前記串状部材10の一方の位置10aにはフォーク部保持部30の保持幅調整機構50が配置され、前記保持幅調整機構50は前記串状部材10の一方の位置10aの端部に形成されたネジ部13aと、このネジ部13aに螺合するネジ部54を中心部に形成したナット部材51と、前記フォーク部2の固定状態における前記ナット部材51の回転防止手段を有する。
【0033】
前記ナット部材51の回転防止手段は、フォーク部2の固定状態において前記ナット部材51の少なくとも外周部の一部を覆う事が可能なカバー部材60と、前記ナット部材51に対する前記カバー部材60の離脱防止手段と、前記ナット部材51と前記カバー部材60間に設けられたスリップトルク発生機構より構成される。
【0034】
実施例においては前記ナット部材51の一方の外側挟持部26aの周縁部56が、約2mmの幅で外部に露出し、図2に示す自転車のフォーク部2の保持状態において、この様にナット部材51の周縁部56の幅が十分小さい場合は、ラジオペンチなどの先端部が細く形成された工具でのみ、前記周縁部56を挟持する事が可能であるが、上記ラジオペンチなどの先端部が細く形成された細径線材用の工具は前記ナット部材51の周縁部56を略平行に挟持する事が困難であるため、これらの工具によってナット部材51に強い回転力を伝えることは難しいため、これらの工具によって容易に前記ナット部材51が回されることは無い。
【0035】
また、スライドジョイントプライヤーの様に、回転軸を握り方向にスライドさせることで、ナット部材51の周縁部56を略平行に保持する事が可能なプライヤーや、大径構造物挟持用のプライヤー類の一般的な先端部の幅は6mm以上であるため、前記ナット部材51の一方の外側挟持部26aの周縁部56の幅を6mm未満にすると、車載工具等の容易に入手可能な工具による回転を防止する事ができる。
【0036】
更に、前記ナット部材51の一方の外側挟持部26aの周縁部56の外径を前記カバー部材60の隣接する部分の外径よりも小さくすることにより、上記回転防止の効果を高める事ができる。
【0037】
尚、前記ナット部材51の一方の外側挟持部26aの周縁部56の外径を、前記カバー部材60の内径よりも小さくすることにより、前記ナット部材51の一方の外側挟持部26aの周縁部56全体を実質的に前記カバー部材60が覆う様に構成しても良い(図示せず)。
【0038】
前記ナット部材51は、前記保持ベース20と対向する端面に一方の外側挟持部26aが形成される。前記一方の外側挟持部26aには軸中心から放射状に伸びる複数の滑り止め用の溝52が形成され、更に周方向には溝部55が形成される。そして前記カバー部材60の外周部には前記串状部材10の軸中心に向かって孔61が形成され、前記ナット部材51との組み立て状態において前記ナット部材51の溝部55と、前記カバー部材60の孔61の位置が一致した状態で、前記カバー部材60の孔61にピン62が圧入され、前記ピン62の先端部が前記ナット部材51の溝部55に突出する様に構成される事によって、前記ナット部材51に対して前記カバー部材60が回転可能で且つ離脱困難な状態に結合される。尚、本発明において、前記ナット部材51と前記カバー部材60の接続は、係合爪による結合等、ピン以外の既存の技術を用いても良い。
【0039】
前記スリップトルク発生機構の構成は、前記ナット部材51の他方の位置と前記カバー部材60の内部空間部65の間に形成された隙間部分に配置され、前記カバー部材60に付加した回転トルクを前記ナット部材51に伝達可能な弾性部材70を有する。
【0040】
尚、前記カバー部材60の外側の端部位置には側壁部66が形成され、その中央部は、前記串状部材10の他方の端部10bとの干渉を防止するために、前記串状部材10の他方の端部10bの外径よりも大きい内径の開口部67が形成され、前記弾性部材70には前記串状部材10が通過可能な孔71が中央部に形成される。
【0041】
前記弾性部材70の一方の位置に凸部72が形成され、前記ナット部材51の他方の位置に形成された凹部53と係合する様に構成され、前記弾性部材70の他方の位置の外周部には多角形外面73が形成され、前記多角形外面73と隣接する前記カバー部材60の内面部に多角形内面63が形成され、前記カバー部材60の回転操作による前記角形内面63の回転トルクが前記多角形外面73に伝達可能に構成される。
【0042】
そして、前記弾性部材70に伝達された回転トルクは、前記弾性部材70の一方の位置に形成された凸部72と係合する前記ナット部材51の凹部53によってナット部材51に伝達される。
【0043】
更に、図12に示す様に、前記カバー部材60に回転トルクを付加した際には主として前記弾性部材70の外周部に形成された多角形外面73に変形は始まり、前記カバー部材60に付加される回転トルクの増加に伴い主として前記多角形外面73の変形量の増加し、更に前記カバー部材60に所定範囲を超える回転トルクが付加されて、前記カバー部材の多角形内面63の対向する2面間の最小距離と前記多角形外面73の対向する角部間の最大距離が一致した時点で、前記多角形内面63と前記多角形外面73の間に滑りが発生する様に構成される。
【0044】
尚、前記カバー部材60と前記弾性部材70の回転トルク伝達部の形状と前記弾性部材70と前記ナット部材51の回転トルク伝達部の形状は、夫々、本実施例に限定されず、既存の回転トルク伝達構造を用いて自由に設定する事ができ、前記弾性部材70と前記ナット部材51の回転トルク伝達部において滑りが発生する様に構成しても良く、前記弾性部材70の両端の回転トルク伝達部において夫々滑りが発生する様に構成しても良く、更に前記弾性部材70を複数に分割して、複数の前記弾性部材間にトルクの伝達と、トルクの滑りが発生する様に構成しても良い。(弾性部材間に非弾性部材が配置される積層構造を含む)
【0045】
更に、前記串状部材10の他方の位置10bには、カムレバー46の回動操作と連動して移動する移動体35を有するカム機構45が配置される。前記カム機構45は前記カムレバー46の回動操作によるフォーク部保持部30の保持幅の縮小状態において前記カムレバー46の操作部の回動位置の第三者による変更を防止するための鍵機構29を有する。尚、前記移動体35の一端には他方の外側挟持部26bが形成される。
【0046】
前記カム機構45は、前記串状部材10の他方の位置10bの端部側位置に形成された細径部12と、この細径部12に配置され、内径が串状部材10の細径部12の外径よりも大きく、串状部材10の受け部11の外径よりも小さい内径に形成されたコイルスプリング32が配置ざれ、さらに前記コイルスプリング32よりも端部側の位置には、前記串状部材10の細径部12の外形よりも大きく、前記コイルスプリング32の外径よりも小さな孔33が中心部に形成された壁部34を有する移動体35が配置され、前記移動体35の前記壁部34の外周部には前記保持ベース20の方向に向かって延在した円筒状延在部36が形成される。
【0047】
前記円筒状延在部36は、内径が前記コイルプリング32の外径よりも大きく形成され、前記保持ベース20の内側挟持部25と対向する端面には軸中心から放射状に伸びる複数の滑り止め用の溝38が形成され、前記他方のフォーク部保持部30bにおける他方の外側の挟持部26bとして構成される。
【0048】
前記串状部材10の一方の位置10aにおける前記移動体35よりも端部側の位置には、前記串状部材10の軸方向と垂直に配置された軸支部材40によって、前記カムレバー46が回動可能に軸支され、前記カムレバー46の端部には操作部が形成される。本実施例においては前記軸支部材40の軸方向と垂直方向に形成されたネジ孔41と、前記串状部材10の一方の位置10aの端部に形成されたネジ部13aを螺合させた後に、プレスによる周り止め処理を行なっているが、他の既存の構造によって軸支部材40を固定しても良い。
【0049】
前記カムレバー46は前記軸支部材40による軸支部47の周囲に、ワッシャ部材39を介して前記移動体35の壁部34の外側面と当接する摺動面48が形成され、前記移動体35が前記コイルスプリング32によって前記カムレバー46に向かって付勢される事によって、前記ワッシャ部材39を介した前記摺動面48との当接状態が維持され、前記カムレバー46の操作部を前記串状部材10に対して開いた状態において、前記フォーク部2の先端部の左右面を挟持可能な内側挟持部25および外側挟持部26間が開いた状態を維持可能に構成される。尚、このコイルスプリング32は省略する事もできる。
【0050】
また、前記ワッシャ部材39は前記移動体35の壁部34の外側面に対する前記カムレバー46の摺動面48の滑りを円滑にする為に用いられるものであるため、省略して、前記移動体35の壁部34の外側面が直接、前記カムレバー46の摺動面48に当接する様に構成しても良い。
【0051】
前記カムレバー46の軸支部47の中心から前記摺動面48までの距離は前記カムレバー46を前記串状部材10に対して開いた状態で短く、前記カムレバー46を前記串状部材10に対して閉じた状態で長くなる様に形成される事によって、前記カムレバー46を開いた上体から閉じた状態に操作する事によって、前記軸支部47に対して前記移動体35が前記保持ベース20の方向に移動する様に構成される。
【0052】
前記串状部材10に対する前記カムレバー46の開閉方向が略水平方向に成る様に、前記保持ベース20に対する前記串状部材10の保持角度を調整し、前記串状部材10に対してる前記カムレバー46を閉じた状態で、前記カムレバー46が前記保持ベース20の上面に形成されたレバー受部27の位置に配置される様に構成され、更に前記保持ベース20には前記カムレバー46を閉じた状態を維持するために、前記カムレバー46を閉じた状態で、前記カムレバー46の先端部を覆うカバー28と、前記カバー28の開閉を制御するために前記カバー28を保持ベース20に固定する鍵29を有する。尚、前記カムレバー46自体に鍵を配置して、直接カムレバー46を保持ベース20に固定する様に構成しても良く、更に、既存の技術を用いて、他の構造によってカムレバー46を固定しても良い。尚、記保持ベース20に対して前記串状部材10の回り止め手段として、串状部材挿通部21の断面形状と、前記串状部材10の挿通部位置の断面形状を、夫々正円以外の形状としても良い。
【0053】
尚、自転車のフォーク部2を固定するための、前記カム機構45によるフォーク部保持部30の可動構造は本実施例に限定されず、既存の技術を利用する事ができる。
【0054】
本実施例において、前記保持ベース20のキャリアバー1との固定構造は、前記キャリアバー1の上面に前記保持ベース20の下面を当接させた状態で、このキャリアバー1の下面と当接するクランプアーム15と、前記クランプアーム15の前記保持ベース20への固定手段からなり、この固定手段は、前記保持ベース20に対して回動可能に接続されるクランプアーム15の一端と、前記保持ベース20の下面から下方に向かって固定位置されたネジ部材23と、前記クランプアーム15の他端に設けられた、前記ネジ部材23が挿通可能な孔16と、前記孔16に前記ネジ部材23を挿通させた状態で前記クランプアーム15の下面と当接して前記ネジ部材23螺合するナット部材24より構成される。尚、本発明の保持ベース20のキャリアバー1との固定構造は本実施例の構造に限定されず、既存のキャリアバーとの固定機構を利用することができる。
【0055】
本発明の使用工程においては、まず、前記串状部材10に対して前記カム機構45のカムレバー46を開いた状態で、前記自転車の左右のフォーク部2の先端部に夫々形成された逆U字型の開口部3を、前記一方の軸部11a及び他方の軸部11bに夫々配置する。この状態で一方のフォーク部保持部30aに配置される一方の軸部11aの幅と他方のフォーク部保持部30bに配置される他方の軸部11bの幅の少なくとも何れかの幅が狭すぎてフォーク部2の逆U字型の開口部3を前記フォーク部保持部30内に配置する事が困難な場合は、前記カバー部材60の回転操作によってナット部材51を緩み方向回転させ、前記他方のフォーク部保持部30bにおける、外側の挟持面26bを一方の軸部11aの幅が広くなる方向に移動させた後に、前記保持ベース20に対する前記串状部材10の位置をスライドさせ、夫々の軸部11a、11bの幅がほぼ均等になる様に調節する。
【0056】
次に、前記串状部材10に対して前記カムレバー46を閉じた状態(前記カムレバー46が前記保持ベース20の上面に形成されたレバー受部27上に配置された状態)まで回転させる。
【0057】
前記カムレバー46を閉じた状態まで回転させた状態で、前記カバー部材60をナット部材51の緩み方向に回転させた際に、前記スリップトルク発生機構が作動して、前記ナット部材51が緩み方向に回転しない場合は、自転車フォーク部2の保持状態が適切であるため、前記操作レバー46の先端部を覆うカバー28を閉じ、鍵29をロック状態にする事によって、使用者の意に反したレバー46の開き動作を防止する。この状態において前記カバー部材60をナット部材51の緩み方向に回転させても、前記スリップトルク発生機構が作動して、ナット部材が緩み方向に回転しないため、自転車の盗難を防止する事ができる。
【0058】
尚、本発明の上記使用工程において、前記カムレバー46を閉じ方向に回転させた際に、前記カムレバー46が完全に閉じた状態まで回転出来ない場合は、一方のフォーク部保持部30aおよび他方のフォーク部保持部30bの隙間が狭すぎるため、再度、前記カムレバー46を開いた状態の戻し、前記カバー部材60の回転操作によってナット部材51を緩み方向回転させ、前記一方のフォーク部保持部30aにおける、外側の挟持面26aを一方の軸部11aの幅が広くなる方向に移動させた後に、再度、前記串状部材10に対して前記カムレバー46を閉じた状態に移動させる。
【0059】
また、前記カムレバー46を閉じた状態まで回転させた状態で、前記カバー部材60をナット部材51の緩み方向に回転させた際に、前記スリップトルク発生機構が作動せず、前記ナット部材51が緩み方向に回転してしまう場合は、一方のフォーク部保持部30aと他方のフォーク部保持部30bの隙間が広すぎるため、再度、前記前記カムレバー46を開いた状態の戻し、前記カバー部材60の回転操作によってナット部材51を締め方向回転させ、前記一方のフォーク部保持部30aにおける、外側の挟持面26aを一方の軸部11aの幅が狭くなる方向に移動させてフォーク部保持部30の隙間を調節する。
【0060】
尚、弾性部材70の中央部に形成された孔71の内径を、前記串状部材10の他方の位置10bは端部に形成されたネジ部13の外径よりも0.2〜2mm程度内径を小さく形成することにより、自転車フォーク部の非保持状態における、車の走行中の振動等に起因するナットの緩みを防止する効果を有する。
【0061】
前記弾性部材は耐久性(耐磨耗性)と適度な弾性を有し、使用時の温度条件での硬度変化が少ない材料を使用する事が望ましいく、例えばポリウレタンエラストマを使用する事ができるが、本実施例に限定されず、各種エラストマ(熱可塑性エラストマ、熱硬化性エラストマ、加硫ゴム、熱硬化性樹脂系エラストマ等)や、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂等の、体磨耗性と、耐寒性の良好な材料の中から自由に選択する事ができる。
【0062】
尚、本発明において、一方のフォーク部保持部30aと他方のフォーク部保持部30bの部品構成は本実施例に限定されず、例えば前記一方のフォーク部保持部30aと他方のフォーク部保持部30bの夫々の内側に位置する挟持面である前記保持ベース20の串状部材挿通部21の一方の端部25aおよび他方の端部25bがスペーサを介して自転車のフォーク部と当接する様に構成しても良く、前記一方のフォーク部保持部30aと他方のフォーク部保持部30bの夫々の外側に位置する挟持面26aおよび26bがスペーサを介して自転車のフォーク部と当接する様に構成しても良い。(図示せず)
【0063】
以下に、本発明の第2実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例2】
【0064】
図17は保持幅調整機構の平面図、図18は保持幅調整機構のGG断面図(スリップトルク未発生状態)、図19は保持幅調整機構のGG断面図(スリップトルク発生状態)、図20は保持幅調整機構のHH断面図、図21はナット部材の外観図、図22はカバー部材の外観図、図23は係合片の外観図である。
【0065】
本発明の第2実施例は、前記第1実施例の保持幅調整機構50が異なる構成を有するものであり、図17〜図23に示す様に、前記串状部材10の一方の位置10aの端部に形成されたネジ部13aと、このネジ部13aに螺合するネジ部54を中心部に形成したナット部材88と、前記フォーク部2の固定状態における前記ナット部材88の回転防止手段を有する。
【0066】
前記ナット部材88の回転防止手段は、フォーク部2の固定状態において前記ナット部材88の少なくとも外周部の一部を覆う事が可能なカバー部材85と、前記ナット部材88に対する前記カバー部材88の離脱防止手段と、前記ナット部材88と前記カバー部材85間に設けられたスリップトルク発生機構より構成される。
【0067】
実施例においては前記ナット部材88の一方の外側挟持部26aの周縁部56が、約2mmの幅で外部に露出し、自転車のフォーク部2の保持状態において、この様にナット部材88の周縁部56の幅が十分小さい場合は、ラジオペンチなどの先端部が細く形成された工具でのみ、前記周縁部56を挟持する事が可能であるが、上記ラジオペンチなどの先端部が細く形成された細径線材用の工具は、前記ナット部材88の周縁部56を略平行に挟持する事が困難であるため、これらの工具によってナット部材88に強い回転力を伝えることは難しいため、これらの工具によって容易に前記ナット部材88が回されることは無い。
【0068】
また、スライドジョイントプライヤーの様に、回転軸を握り方向にスライドさせることで、ナット部材88の周縁部56を略平行に保持する事が可能なプライヤーや、大径構造物挟持用のプライヤー類の一般的な先端部の幅は6mm以上であるため、前記ナット部材88の一方の外側挟持部26aの周縁部56の幅を6mm未満にすると、車載工具等の容易に入手可能な工具による回転を防止する事ができる。
【0069】
更に、前記ナット部材88の一方の外側挟持部26aの周縁部56の外径を前記カバー部材85の隣接する部分の外径よりも小さくすることにより、上記回転防止の効果を高める事ができる。
【0070】
尚、前記ナット部材88の一方の外側挟持部26aの周縁部56の外径を、前記カバー部材85の内径よりも小さくすることにより、前記ナット部材88の一方の外側挟持部26aの周縁部56全体を実質的に前記カバー部材85が覆う様に構成しても良い(図示せず)。
【0071】
前記ナット部材88は、前記保持ベース20と対向する端面に一方の外側挟持部26aが形成される。前記一方の外側挟持部26aには軸中心から放射状に伸びる複数の滑り止め用の溝52が形成され、更に周方向には溝部55が形成される。そして前記カバー部材85の外周部には前記串状部材10の軸中心に向かって孔61が形成され、前記ナット部材88との組み立て状態において前記ナット部材88の溝部55と、前記カバー部材85の孔61の位置が一致した状態で、前記カバー部材85の孔61にピン62が圧入され、前記ピン62の先端部が前記ナット部材88の溝部55に突出する様に構成される事によって、前記ナット部材88に対して前記カバー部材85が回転可能で且つ離脱困難な状態に結合される。尚、本発明において、前記ナット部材88と前記カバー部材85の接続は、係合爪による結合等、ピン以外の既存の技術を用いても良い。
【0072】
更に前記ナット部材88と前記カバー部材85が前記ピン62によって離脱困難に結合された状態において、前記ナット部材88と、前記カバー部材85との間には、スリップトルク発生機構が配置される。
【0073】
前記スリップトルク発生機構の構成は、前記ナット部材88の他方の位置と前記カバー部材85の内部空間部65の間に形成された隙間部分に配置され、前記カバー部材85に付加した回転トルクを前記ナット部材88に伝達可能な係合片81と、前記内部空間部65においてカバー部材85と前記カバー部材85の間に配置されたコイルスプリング80とを有する。尚、前記カバー部材85の内部空間部65における端部位置には側壁部66が形成され、その中央部は、前記串状部材10の他方の端部10bとの干渉を防止するため前記串状部材10の他方の端部10bの外径よりも大きい内径の開口部67が形成される。
【0074】
更に前記カバー部材85に対する前記係合片81の空転防止手段として、係合片81の周囲部に係合凹部82が形成され、前記カバー部材85の内面には前記係合凹部82に係合するリブ状の係合凸部86が形成される。
【0075】
前記係合片81の一方の面には係合凸部83が形成され、前記ナット部材88の他方の位置には係合凹部89が形成され、前記コイルスプリング80によって、前記係合片81の係合凸部83を前記ナット部材88の係合凹部89に向って付勢させる事によって、前記ナット部材88に形成された係合凹部89を係合片81の係合凸部83に形成された傾斜面84に当接させ、設定値以上の回転トルクが前記の当接部分に付加された場合に、前記回転トルクによって前記係合片81の傾斜面84に作用するコイルスプリング80方向への力が、前記コイルスプリング80によるナット部材88方向への付勢力よりも大きくなった場合に、前記係合片81とナット部材88との係止状態が解除され、ナット部材88への回転トルクの伝達が解除される様に構成される。尚、前記係合片81の略中央部には前記串状部材10の他方の端部10bの外径よりも大きい内径の孔79が形成され、前記串状部材10との干渉が防止される様に構成される。
【0076】
尚、本実施例の更なる変形例(図示せず)として、コイルスプリング80を前記係合片81と前記ナット部材88間に配置し、前記カバー部材85に形成された係合凹部に、係合片の係合凸部の傾斜面を当接させ、設定値以上の回転トルクが前記の当接部分に付加された場合に、前記回転トルクによって前記係合片の傾斜面に発生した非当接方向への力が、前記コイルスプリングによる付勢力よりも大きくなった場合に、前記係合片とカバー部材の係止状態が解除され、カバー部材に付加したナット部材への回転トルクの伝達が回避される様に構成しても良い。
【0077】
以下に、本発明の第3実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例3】
【0078】
図24は本発明の保持幅調整機構の平面図、図25は保持幅調整機構のJJ断面図(スリップトルク未発生状態)、図26は保持幅調整機構のJJ断面図(スリップトルク発生状態)、図27は保持幅調整機構のKK断面図、図28はナット部材の外観図、図29はカバー部材の外観図、図30は板バネの外観図である。
【0079】
本発明の第3実施例は、前記第1実施例の保持幅調整機構50が異なる構成を有するものであり、図24〜図30に示す様に、前記串状部材10の一方の位置10aの端部に形成されたネジ部13aと、このネジ部13aに螺合するネジ部54を中心部に形成したナット部材98と、前記フォーク部2の固定状態における前記ナット部材98の回転防止手段を有する。
【0080】
前記ナット部材98の回転防止手段は、フォーク部2の固定状態において前記ナット部材98の少なくとも外周部の一部を覆う事が可能なカバー部材96と、前記ナット部材98に対する前記カバー部材96の離脱防止手段と、前記ナット部材98と前記カバー部材96間に設けられたスリップトルク発生機構より構成される。
【0081】
実施例においては前記ナット部材98の一方の外側挟持部26aの周縁部56が、約2mmの幅で外部に露出し、自転車のフォーク部2の保持状態において、この様にナット部材98の周縁部56の幅が十分小さい場合は、ラジオペンチなどの先端部が細く形成された工具でのみ、前記周縁部56を挟持する事が可能であるが、上記ラジオペンチなどの先端部が細く形成された細径線材用の工具は前記ナット部材98の周縁部56を略平行に挟持する事が困難であるため、これらの工具によってナット部材98に強い回転力を伝えることは難しいため、これらの工具によって容易に前記ナット部材98が回されることは無い。
【0082】
また、スライドジョイントプライヤーの様に、回転軸を握り方向にスライドさせることで、ナット部材98の周縁部56を略平行に保持する事が可能なプライヤーや、大径構造物挟持用のプライヤー類の一般的な先端部の幅は6mm以上であるため、前記ナット部材98の一方の外側挟持部26aの周縁部56の幅を6mm未満にすると、車載工具等の容易に入手可能な工具による回転を防止する事ができる。
【0083】
更に、前記ナット部材98の一方の外側挟持部26aの周縁部56の外径を前記カバー部材96の隣接する部分の外径よりも小さくすることにより、上記回転防止の効果を高める事ができる。
【0084】
尚、前記ナット部材98の一方の外側挟持部26aの周縁部56の外径を、前記カバー部材96の内径よりも小さくすることにより、前記ナット部材98の一方の外側挟持部26aの周縁部56全体を実質的に前記カバー部材96が覆う様に構成しても良い(図示せず)。
【0085】
前記ナット部材98は、前記保持ベース20と対向する端面に一方の外側挟持部26aが形成される。前記一方の外側挟持部26aには軸中心から放射状に伸びる複数の滑り止め用の溝52が形成され、更に周方向には溝部55が形成される。そして前記カバー部材96の外周部には前記串状部材10の軸中心に向かって孔61が形成され、前記ナット部材98との組み立て状態において前記ナット部材98の溝部55と、前記カバー部材96の孔61の位置が一致した状態で、前記カバー部材96の孔61にピン62が圧入され、前記ピン62の先端部が前記ナット部材98の溝部55に突出する様に構成される事によって、前記ナット部材98に対して前記カバー部材96が回転可能で且つ離脱困難な状態に結合される。尚、本発明において、前記ナット部材98と前記カバー部材96の接続は、係合爪による結合等、ピン以外の既存の技術を用いても良い。
【0086】
更に前記ナット部材98と前記カバー部材96が前記ピン62によって離脱困難に結合された状態において、前記ナット部材98と、前記カバー部材96との間には、スリップトルク発生機構が配置される。
【0087】
前記スリップトルク発生機構の構成は、前記ナット部材98の他方の位置と前記カバー部材96の内部空間部65の間に形成された隙間部分に配置され、前記カバー部材96に付加した回転トルクを前記ナット部材98に伝達可能な板バネ90を有する。
前記板バネ90は平板状の基部91と、前記基部91から略垂直に延在する平板状の立ち上り部92と、前記基部91と対向して形成される略U字状の腕部93を有し、前記立ち上り部92および前記基部91の前記立ち上り部92と対向する位置には周り止め部94が直線状に形成され、更に前記基部91と略U字状の腕部93の夫々の略中央部には前記串状部材10の他方の端部10bの外径よりも大きい内径の孔95が形成され、前記串状部材10との干渉が防止される様に構成される。
【0088】
尚、前記カバー部材96の内部空間部65における端部位置には側壁部66が形成され、その中央部は、前記串状部材10の他方の端部10bとの干渉を防止するため前記串状部材10の他方の端部10bの外径よりも大きい内径の開口部67が形成される。
【0089】
保持幅調整機構50の組み立て状態において前記カバー部材96の側壁部66には前記板バネ90の基部91が当接する様に構成され、更に前記カバー部材96の基部91は位置の周囲部は、前記周り止め部94に対応する位置に直線状の回り止め壁97が形成される事により、前記カバー部材96の回転操作時の前記カバー部材96と前記板バネ90の空転が防止される。尚、前記カバー部材96と前記板バネ90の空転を防止されるための構成および形状は、上記実施例に限定されず、既存の回り止め形状の組み合わせを応用する事ができる。
【0090】
前記ナット部材98の前記板バネ90と対向する位置には係合凹部99が形成され、前記ナット部材98に形成された係合凹部99に前記板バネ90の腕部93が係合した状態で、設定値以上の回転トルクが前記係合部分に付加された場合に、前記回転トルクによって前記板バネ90の腕部93に作用した基部91方向への力が、前記板バネ90のナット部材98方向への付勢力よりも大きくなった場合に、前記板バネ90とナット部材98の係止状態が解除され、ナット部材98への回転トルクの伝達が回避される様にスリップトルク機構が構成される。尚、上記腕部93の形状は略U字状に限定されず、上記腕部93と係合する前記ナット部材98の形状の凹形状に限定されず、既存のスリップトルク発生機構を応用する事ができる。
【0091】
尚、本実施例の更なる変形例(図示せず)として、板バネ90に対するカバー部材96およびナット部材98の構成を逆にして、板バネ90とナット部材98間に空転を防止されるための構成を設け、板バネ90とカバー部材96間にスリップトルク機構を構成しても良く、更に、板バネ90の両端に上記腕部93を設け、カバー部材96とナット部材98の両方に対してスリップトルク機構を設けても良い。
【0092】
以下に、本発明の第4実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例4】
【0093】
図31は本発明の保持幅調整機構の平面図、図32は保持幅調整機構のLL断面図、図33は保持幅調整機構のMM断面図(回転トルク未発生状態)、図34は保持幅調整機構のMM断面図(回転トルク発生状態)、図35はナット部材の外観図、図36はカバー部材の外観図、図37は保持幅調整機構変形例のMM断面図(回転トルク未発生状態)である。
【0094】
本発明の第4実施例は、前記第1実施例の保持幅調整機構50が異なる構成を有するものであり、図31〜図37に示す様に、前記串状部材10の一方の位置10aの端部に形成されたネジ部13aと、このネジ部13aに螺合するネジ部54を中心部に形成したナット部材100と、前記フォーク部2の固定状態における前記ナット部材100の回転防止手段を有する。
【0095】
前記ナット部材100の回転防止手段は、フォーク部2の固定状態において前記ナット部材100の少なくとも外周部の一部を覆う事が可能なカバー部材105と、前記ナット部材100に対する前記カバー部材105の離脱防止手段と、前記ナット部材100と前記カバー部材105間に設けられたスリップトルク発生機構より構成される。
【0096】
実施例においては前記ナット部材100の一方の外側挟持部26aの周縁部56が、約2mmの幅で外部に露出し、自転車のフォーク部2の保持状態において、この様にナット部材100の周縁部56の幅が十分小さい場合は、ラジオペンチなどの先端部が細く形成された工具でのみ、前記周縁部56を挟持する事が可能であるが、上記ラジオペンチなどの先端部が細く形成された細径線材用の工具は前記ナット部材100の周縁部56を略平行に挟持する事が困難であり、これらの工具によってナット部材100に強い回転力を伝えることは難しいため、これらの工具によって容易に前記ナット部材100が回されることは無い。
【0097】
また、スライドジョイントプライヤーの様に、回転軸を握り方向にスライドさせることで、ナット部材100の周縁部56を略平行に保持する事が可能なプライヤーや、大径構造物挟持用のプライヤー類の一般的な先端部の幅は6mm以上であるため、前記ナット部材100の一方の外側挟持部26aの周縁部56の幅を6mm未満にすると、車載工具等の容易に入手可能な工具による回転を防止する事ができる。
【0098】
更に、前記ナット部材100の一方の外側挟持部26aの周縁部56の外径を前記カバー部材105の隣接する部分の外径よりも小さくすることにより、上記回転防止の効果を高める事ができる。
【0099】
尚、前記ナット部材100の一方の外側挟持部26aの周縁部56の外径を、前記カバー部材105の内径よりも小さくすることにより、前記ナット部材100の一方の外側挟持部26aの周縁部56全体を実質的に前記カバー部材105が覆う様に構成しても良い(図示せず)。
【0100】
前記ナット部材100は、前記保持ベース20と対向する端面に一方の外側挟持部26aが形成される。前記一方の外側挟持部26aには軸中心から放射状に伸びる複数の滑り止め用の溝52が形成され、更に周方向には溝部55が形成される。そして前記カバー部材100の外周部には前記串状部材10の軸中心に向かって孔61が形成され、前記ナット部材100との組み立て状態において前記ナット部材100の溝部55と、前記カバー部材105の孔61の位置が一致した状態で、前記カバー部材105の孔61にピン62が圧入され、前記ピン62の先端部が前記ナット部材100の溝部55に突出する様に構成される事によって、前記ナット部材100に対して前記カバー部材105が回転可能で且つ離脱困難な状態に結合される。尚、本発明において、前記ナット部材100と前記カバー部材105の接続は、係合爪による結合等、ピン以外の既存の技術を用いても良い。
【0101】
更に前記ナット部材100と前記カバー部材105が前記ピン62によって離脱困難に結合された状態において、前記ナット部材100と、前記カバー部材105との間には、スリップトルク発生機構が配置される。尚、前記カバー部材105の内部空間部65における端部位置には側壁部66が形成され、その中央部は、前記串状部材10の他方の端部10bとの干渉を防止するため前記串状部材10の他方の端部10bの外径よりも大きい内径の開口部67が形成される。
【0102】
前記スリップトルク発生機構の構成は、前記ナット部材100の他方の位置と前記カバー部材105の内側位置間に構成され、前記カバー部材105に付加した回転トルクを前記ナット部材100に伝達可能に構成するため、前記カバー部材105には前記側壁部66から内側方向に延在した円筒状壁部106が形成され、その内径は前記串状部材10の他方の端部10bの外径よりも大きく形成されると共に、その外周部には円周方向に対して凹凸形状が交互に配置された凹凸外周部107が形成される。
【0103】
そして前記ナット部材100の他方の位置には、前記カバー部材105の内面と前記円筒状壁部106の凹凸外周部107間に形成された隙間部に挿入可能な、円筒状壁部101が形成され、その内周部には円周方向に対して凹凸形状が交互に配置された凹凸内周部102が形成される。
【0104】
前記カバー部材105に回転トルクを付加した際に、前記カバー部材105の凹凸外周部107から前記ナット部材100の凹凸内周部102に回転が伝達されると共に、設定値以上の回転トルクが前記カバー部材105に付加された場合に、前記回転トルクによって少なくとも前記カバー部材105に形成された円筒状壁部106が変形してスリップが発生する様に構成される。
【0105】
また、前記カバー部材105に所定範囲を超える回転トルクを付加した際に、主として前記ナット部材100の円筒状壁部101が変形してスリップが発生する様に構成しても良く、前記カバー部材105に形成された円筒状壁部106と前記ナット部材100の円筒状壁部101が同等に変形してスリップが発生する様に構成しても良い。尚、本実施例においてカバー部材105は、熱可塑性樹脂等の弾性変形が容易な材料を使用する事が望ましい。
【0106】
尚、本実施例の更なる変形例として、図37に示す様に、前記カバー部材105に形成された円筒状壁部106に複数の切欠き溝108を設けて、円筒状壁部106の変形を容易にしても良い。また前記ナット部材100の円筒状壁部101にも切欠き溝を設けて円筒状壁部101の変形を容易にしても良い。(図示せず)またリング状のスリップトルク調整部材を前記円筒状壁部106に対して位置調整可能に配置して、スリップトルクを調整可能に構成しても良い。(図示せず)
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、自動車に自転車を積載して運搬する際の、自転車のフォーク部固定装置として、産業上有効に利用する事が出来る。
【符号の説明】
【0108】
1:キャリアバー、2:フォーク部、3:開口部、10:串状部材、10a:一方の位置、10b:他方の位置、11a:一方の軸部、11b:他方の軸部、12:細径部、13a:ネジ部、13b:ネジ部、15:クランプアーム、16:孔、20:保持ベース、21:串状部材挿通部、23:ネジ部材、24:ナット部材、25:内側挟持部、26:一方の外側挟持部26a:一方の外側挟持部、26b:他方の外側挟持部、27:レバー受部、28:カバー、29:鍵機構、30:フォーク部保持部、30a:一方のフォーク部保持部、30b:他方のフォーク部保持部、32:コイルスプリング、33:孔、34:壁部、35:移動体、36:円筒状延在部、38:溝、39:ワッシャ部材、40:軸支部材、41:ネジ孔、45:カム機構、46:カムレバー、47:軸支部、48:摺動面、50:保持幅調整機構、51:ナット部材、52:溝、53:凹部、54:ネジ部、55:溝部、56:周縁部、60:カバー部材、61:孔、62:ピン、63:多角形内面、65:内部空間部、66:側壁部、67:開口部、70:弾性部材、71:孔、72:凸部、73:多角形外面、79:孔、80:コイルスプリング、81:係合片、82:係合凹部、83:係合凸部、84:傾斜面、85:カバー部材、86:係合凸部、88:ナット部材、89:係合凹部、90:板バネ、91:基部、92:立ち上り部、93:腕部、94:回り止め部、95:孔、96:カバー部材、97:回り止め壁、98:ナット部材、99:係合凹部、100:ナット部材、101:円筒状壁部、102:凹凸内周部、105:カバー部材、106:円筒状壁部、107:凹凸外周部、108:切欠き溝、210:串状部材、210a:一方の位置、210b:他方の位置、213:ネジ部、214:平面部、220:保持ベース、221:付加部材、225:内側挟持部、226:外側挟持部、230:フォーク部保持部、240:保持幅調整機構、241:ナット部材、245:スライダ、246:孔、247:係合部、248:付加部材、250:カム機構、251:カムレバー、252:鍵機構、253:スライド部、254:付加部材、255:コイルスプリング、256:コイルスプリング、310:串状部材、310a:一方の位置、310b:他方の位置、313a:ネジ部、320:保持ベース、321:串状部材挿通部、322:孔、325:内側挟持部、326:外側挟持部、330:フォーク部保持部、340:保持幅調整機構、341:ナット部材、345:スライダ、346:孔、347:係合部、348:延在部、350:カム機構、351:カムレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に固定されたキャリアに自転車のフォーク部を固定するために用いられる自転車のフォーク部固定装置に関し、
前記キャリアへの固定構造を有する保持ベースと、前記キャリアに固定される自転車の左右方向と同じ方向に向かって配置される串状部材を有し、この串状部材の略中央部は前記保持ベースに形成された串状部材挿通部によって左右方向への摺動が可能な状態で保持され、
前記串状部材は、前記保持ベースに保持される略中央部に対して左右方向に延在する一方および他方の位置を有し、前記一方および他方の位置には夫々、前記自転車のフォーク部の先端に形成された逆U字型の開口部が進入可能な軸径を有する一方および他方の軸部が形成され、
前記一方および他方の軸部の左右位置には、夫々内側挟持部と外側挟持部からなる、前記フォーク部の先端部の左右面を挟持可能なフォーク部保持部が構成され、
前記一方および他方の位置における内側挟持部は、前記保持ベースに形成された串状部材挿通部の左右夫々の端部(別体で構成されたリング状の付加部材を含む)からなり、
更に、前記串状部材の一方の位置にはフォーク部保持部の保持幅調整機構が配置され、前記保持幅調整機構は前記串状部材の一方の位置の端部に形成されたネジ部と、このネジ部に螺合し一端に外側挟持部(別体で構成されたリング状の付加部材を含む)が形成されたナット部材と、前記フォーク部の固定状態における前記ナット部材の回転防止手段を有し、
前記ナット部材の回転防止手段は、フォーク部の固定状態においてナット部材を直接回転させる操作が難しくなる様に前記ナット部材の少なくとも外周部の一部を覆うカバー部材と、前記ナット部材に対する前記カバー部材の離脱防止手段と、前記ナット部材と前記カバー部材間に設けられたスリップトルク発生機構より構成され、
更に、前記串状部材の他方の位置には、カムレバーの回動操作と連動して他方の位置の前記外側挟持部(別体で構成されたリング状の付加部材を含む)が移動しフォーク部保持部の保持幅を縮小させる事が可能に構成されたカム機構が配置され、前記カム機構は前記カムレバーの回動操作によるフォーク部保持部の保持幅の縮小状態で前記カムレバーの回動位置の変更を制御する鍵機構を有する事を特徴とする自転車のフォーク部固定装置
【請求項2】
前記ナット部材と前記カバー部材の間に弾性部材が配置され、
前記弾性部材の一方の位置に前記ナット部材との係合部が形成され、前記弾性部材の他方の位置に前記カバー部材との係合部が形成され、前記一方および他方のフォーク部保持部に前記フォーク部が適切に固定された状態で、前記カバー部材に回転トルクを付加した際に、主として前記弾性部材の変形によって、前記ナット部材と前記カバー部材の少なくとも何れか一方の弾性部材との係合部において前記弾性部材との間に滑りが発生する様に前記スリップトルク発生機構が構成される事を特徴とする請求項1記載の自転車のフォーク部固定装置
【請求項3】
前記弾性部材がゴム、エラストマもしくは合成樹脂によって形成される事を特徴とする請求項2記載の自転車のフォーク部固定装置
【請求項4】
前記弾性部材が金属のバネ材料によって形成される事を特徴とする請求項2記載の自転車のフォーク部固定装置
【請求項5】
前記ナット部材と前記カバー部材は夫々、互いに係合する係合部が形成され、前記一方および他方のフォーク部保持部に前記フォーク部が適切に固定された状態で、前記カバー部材に回転トルクを付加した際に、前記ナット部材の係合部と前記カバー部材の係合部の、少なくとも何れか一方の係合部の弾性変形によって、前記ナット部材と前記カバー部材の係合部に滑りが発生する様に前記スリップトルク発生機構が構成される事を特徴とする請求項1記載の自転車のフォーク部固定装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2012−206661(P2012−206661A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75094(P2011−75094)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(391021226)株式会社カーメイト (100)
【Fターム(参考)】