説明

自転車の整列駐輪装置

【課題】 自転車の前輪を後輪と一直線状に保って駐輪し,余計なスペースを取ることなく、自転車を整然と適所に置けると共に、置いた自転車を倒れにくくした自転車の整列駐輪装置を提供する。
【解決手段】 位置決め部材40の水平部を自転車の下側管1に固着し、2段リベット13によって伸張ばね20のフック22をプル・ロッド30に係合させ、伸張ばね20を保護管60の切込み部を経て保護管60内に押入れ、保持座10の垂直部を自転車のフォーク部2上部に固定し、プル・ロッド30のおねじ部分を位置決め部材40の垂直部に挿通し、調節ノブ50を前記おねじ部分にねじ嵌合させ、必要に応じ、調節ノブ50によってプル・ロッド30を動かし、慎重ばね20を伸縮させることで、前輪3を後輪と一直線状に整列させ得るようにした。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、自転車をきちんと駐輪させるために、前輪と後輪とを一直線状に揃え得るようにした整列駐輪装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、通常の自転車の前輪とフォーク部とは互いに関連するようになっているので、自転車に乗った人がフォーク部に一体に接続されたハンドルを動かした場合,その動きに従って前輪も動きが制御されるようになる。
【0003】
しかし、支持スタンドまたは支持脚を立てて、自転車をある場所に駐輪した場合に、前輪が簡単に自転車の右側や左側に旋回してしまい、他に駐輪している自転車の様々なパーツ部分と偶発的に触れてしまった時などには、自転車が簡単に倒れてすぐに損傷したり、また自転車を乱雑に駐輪すると、必要以上に広い場所をとったりするなどの問題点がある。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
この考案は、前述のような問題点を解決しようとするもので、まず、支持スタンドや支持脚を立てて、適所に駐輪した自転車の前輪と後輪とを直線的に整列した状態に前輪を保持するようにすることで、人などが偶発的に自転車に接触しても、これが簡単に倒れないようにし、自転車の各パーツが損傷しないようにする自転車の整列駐輪装置を提供することを目的としている。
【0005】
また、この考案は、支持スタンドや支持脚を立て,適所に駐輪した自転車の前輪と後輪とを直線的に整列した状態に保持するようにして,自転車を一列にきちんと並べてスペースを広く取らないようにすることを目的としている。
【0006】
さらに、この考案は、自転車に乗っている人や,その近くにいる人が、整列駐輪装置の伸張ばねに衣服などを引っ掛けないように、前期ばねを保護管に内蔵した整列駐輪装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の考案は、自転車の前輪と後輪とを一直線状に揃えて駐輪する整列駐輪装置であって、保持座と、2段リベットと、一端部にリング・ループを配置し、他端部にフックを配置した伸張ばねと、一端部にフック係合穴を有し、他端部におねじ部分を有するプル・ロッドと、アングル状に作られ,係止用貫通穴を形成した垂直部および湾曲した水平部を有する位置決め部材と、全長にわたって内側ねじを形成した貫通穴が中央にある調節ノブと、長手方向の全長にわたって細長い切込み部を形成した保護管とを備え、前記位置決め部材の水平部を自転車の下側管にぴったりと接触させて固着し,前記2段リベットによって前記伸張ばねのリング・ループを前記保持座の水平部に係合させ、前記伸張ばねのフックをプル・ロッドの係合穴に嵌め、前記伸張ばねを前記保護管の細長い切込み部を介して保護管内に押入れ、前記保持座の垂直部を自転車のフォーク部の適切な場所に固着し,前記プル・ロッドのおねじ部分を前記位置決め部材の垂直部の係止用貫通穴に通し、前記調節ノブをプル・ロッドのおねじ部分にねじ嵌合させ、前記調節ノブを付勢することで前記プル・ロッドを動かし、これに対応して伸張ばねが伸張したり、収縮したりすることで、自転車のフォーク部と前輪が後輪と一直線状を保って整列されるようにしたことを特徴としたものである。
【0008】
【考案の実施の形態】
以下、この考案の一実施形態につき、図1ないし図4の各図を参照して,以下に説明する。
【0009】
図1および図2に示すように、この考案の一実施形態に係る自転車の整列駐輪装置は,保持座10、2段リベット13、コイル状の伸張ばね20、プル・ロッド30、位置決め部材40、調節ノブ50、保護管60、ボルト70およびワッシャ71から構成されている。
【0010】
前記保持座10は、垂直部および水平部を有するアングル状のブラケットであり、前記垂直部には上下方向に長い穴11を形成し、この穴11の上,下部を括弧形の円弧状とし、前記水平部には円形のリベット穴12を形成してある。
【0011】
前記伸張ばね20は、コイル状に形成した部分の一端部にリング・ループを、他端部にフック22をそれぞれ連続させてある。前記プル・ロッド30は、これの一端部にフック係合穴31を直径方向に貫通させ、他端部外周におねじ部分32を形成してある。
【0012】
前記位置決め部材40は、垂直部および水平部を有するアングル状に形成し,前記垂直部には係止用貫通穴41を形成し、前記水平部が凹湾曲させた横断面形状に形成してある。調節ノブ50は、中心部に内側ねじを形成した貫通穴51を形成してある。
【0013】
前記保護管60は、横断面がC字状になるように、全長にわたって長手方向に細長い切込み部61を形成してある。
【0014】
前述した各部材からなる整列駐輪装置を自転車に取付けるには、図2に示すように、まず位置決め部材40の水平部上面を自転車の下側管1の下部にぴったりと接触した状態に設置し,下側管1の適切な位置に溶接などの手段で固着する。
次に、2段リベット13の大径部を伸張ばね20の一端部に設けたリング・ループ21に係合させる。その後、前記リベット13の小径部を保持座10の水平部のリベット穴12に係合させて、伸張ばね20を保持座10の水平部の後端部にリベット止めする。
前記伸張ばね20の他端部に設けたフック22をプル・ロッド30のフック係合穴31に嵌め、細長い切込み部61を経て伸張ばね20を保護管60内に押し入れる。
【0015】
次いで,保持座10の垂直部を、自転車前部のフォーク部2上部の適切な場所に配置し、前記ボルト70のねじ部にワッシャ71を嵌め、前記ねじ部を保持座10の垂直部の上下方向に長い穴11に通して、前期フォーク部2上部に設けたねじ穴(図示省略)にしっかりと締付けて止める。
【0016】
その後、プル・ロッド30のおねじ部分32を、位置決め部材40の垂直部に形成した係止用貫通穴41に通し、調節ノブ50の内側ねじを形成した貫通穴51にねじ嵌合させることで、整列駐輪装置の組立および自転車の装着を完了させる。
【0017】
前述のように組立てて自転車に装着した整列駐輪装置を使用するには、図3に示した第1モードの状態で、矢印のようにプル・ロッド30を引っ張って動かしてから、調節ノブ50を反時計回りに回転させることで、自転車の前輪3が整列状態に合わせられ、その結果、伸張ばね20が伸張し、これによって、自転車前部のフォーク部2は自転車の前輪3に合わせて自転車の後輪と一直線状に整列するようになる。
【0018】
また、乗車中などに、自転車の前輪を左右に旋回させられるように自由状態に設定するには、図4に示した第2モードの状態で、矢印に示すように、調節ノブ50を時計回りに回転させて、引っ張り出されていたプル・ロッド30を解放することで、伸張ばね20が伸張前の元の位置に戻る。このようにして、前輪3が拘束されることなく、自転車に乗っている人は自転車前部のフォーク部2を自転車のハンドルによって制御できるようになる。
【0019】
なお、この考案において、自転車は一般的なものでよいので、図示および動作の説明は省略する。
また、この考案は、原動機付きの自転車にも適用できる。
【0020】
【考案の効果】
以上説明したように、この考案にかかる自転車の整列駐輪装置は、下記の効果がある。
■自転車を支持スタンドや支持脚を立てて駐輪する場合に、自転車の前輪を後輪に合わせて一直線状に設置することができるので、人が自転車に接触して偶然に倒してしまうことを防止できる。
■自転車の前輪を後輪と一直線状に駐輪することで、余計なスペースを取ることなく、自転車を整然と駐輪場などの適所に置くことができる。
■伸張ばねが保護管に覆われていることで保護されており、自転車に乗っている人の衣服などが前記ばねに引っかからないので、安全な走行ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の一実施形態による自転車の整列駐輪装置の構成部品を示す概略分解斜視図。
【図2】図1に示した整列駐輪装置を自転車に装着した状態を示す概略図。
【図3】調節ノブを第1モードに操作した状態の自転車の前輪部分を示す一部破断平面図。
【図4】調節ノブを第2モードに操作した状態の自転車の前輪部分を示す一部破断平面図。
【符号の説明】
1 自転車の下側管
2 自転車の前部のフォーク部
3 自転車の前輪
10 保持座
11 上下方向に長い穴
12 リベット穴
13 2段リベット
20 伸張ばね
21 リング・ループ
22 フック
30 プル・ロッド
31 フック係合穴
32 おねじ部分
40 位置決め部材
41 係止用貫通穴
50 調節ノブ
51 貫通穴
60 保護管
61 細長い切込み部
70 ボルト
71 ワッシャ

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 自転車の前輪と後輪とを一直線状に揃えて駐輪する整列駐輪装置であって、保持座と、2段リベットと、一端部にリング・ループを配置し、他端部にフックを配置した伸張ばねと、一端部にフック係合穴を有し、他端部におねじ部分を有するプル・ロッドと、アングル状に作られ,係止用貫通穴を形成した垂直部および湾曲した水平部を有する位置決め部材と、全長にわたって内側ねじを形成した貫通穴が中央にある調節ノブと、長手方向の全長にわたって細長い切込み部を形成した保護管とを備え、前記位置決め部材の水平部を自転車の下側管にぴったりと接触させて固着し,前記2段リベットによって前記伸張ばねのリング・ループを前記保持座の水平部に係合させ、前記伸張ばねのフックをプル・ロッドの係合穴に嵌め、前記伸張ばねを前記保護管の細長い切込み部を介して保護管内に押入れ、前記保持座の垂直部を自転車のフォーク部の適切な場所に固着し,前記プル・ロッドのおねじ部分を前記位置決め部材の垂直部の係止用貫通穴に通し、前記調節ノブをプル・ロッドのおねじ部分にねじ嵌合させ、前記調節ノブを付勢することで前記プル・ロッドを動かし、これに対応して伸張ばねが伸張したり、収縮したりすることで、自転車のフォーク部と前輪が後輪と一直線状を保って整列されるようにしたことを特徴とする自転車の整列駐輪装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【登録番号】第3057820号
【登録日】平成11年(1999)3月10日
【発行日】平成11年(1999)6月8日
【考案の名称】自転車の整列駐輪装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平10−7268
【出願日】平成10年(1998)9月18日
【出願人】(595033850)瑞振工業股▲ぶん▼有限公司 (5)