説明

自転車用の保持装置

【課題】自動車、特に乗用車において使用される、自転車のペダル装置のクランクアームのための、機能的に有利に構成された少なくとも1つの受容コラムを備えた、保持装置を提供する。
【解決手段】自転車用の保持装置であって、自動車、特に乗用車に配置されていて、自転車のペダル装置のクランクアームのための受容コラムを有している形式のものにおいて、受容コラム12,13が、横倒し位置Stlと起立位置Staとの間において移動可能であり、受容コラム12,13が少なくとも起立位置Staにおいて支持装置16を用いて固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用の保持装置であって、自動車、特に乗用車に配置されていて、自転車のペダル装置のクランクアームのための受容コラムを有している形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
US5025923に基づいて公知の自動車用の自転車キャリアは、互いに並んで位置する2台の自転車を運ぶことができる。この公知の自転車キャリアは、自転車のそれぞれ2つの車輪を受容するレールと、起立した中空のコラムとを有している。各コラムは、自転車のペダル装置のクランクアームを受容するように形成されており、クランクアームは、コラムの横断面を閉鎖するカバーを用いて軸方向において固定されている。
【0003】
DE69708988T2に開示された自転車キャリアはクランプ装置を備えており、このクランプ装置は、自転車のペダル軸受アームの形状に関係なく、自転車をロックするのに適している。クランプ装置は、自転車のペダル軸受の軸ハウジングのための支持を備えている。支持は、スタンドの長手方向に対して直角に延びている軸を介して旋回可能に形成されている。これによって、真っ直ぐなペダル軸受アーム及び屈曲したペダル軸受アームを受容することが可能である。
【0004】
DE9420632U1には乗用車用の自転車キャリアが開示されており、この公知の構成では、自転車のペダル軸受アームを受容するための軸受保持体が設けられている。受容装置は、下側の固定の載設エレメントと、軸受保持体の横方向に移動可能な上側のルーフエレメントとを有していて、この載設エレメント及びルーフエレメントは、ペダル軸受アームと共働する。軸受保持体は横断面C字形に形成されていて、移動可能な載設エレメントは調節ねじを備えている。直ぐ上に述べた載設エレメントはしかしながら、軸受保持体において長手方向移動不能に配置されている。
【0005】
DE10231963B4には、荷物受容装置を有していて自動車のボディから引出し可能な荷物キャリアが開示されている。荷物受容装置はレール系を用いて自動車に移動可能に支承されている。荷物キャリアには構成部材として固定装置が設けられており、この固定装置を介して荷物受容装置は選択的に、進入させられた休止位置と進出させられた使用位置とにおいて固定可能である。
【特許文献1】US5025923
【特許文献2】DE69708988T2
【特許文献3】DE9420632U1
【特許文献4】DE10231963B4
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式の自転車用の保持装置を改良して、自動車、特に乗用車との関連において使用可能で、かつ自転車のペダル装置のクランクアームのための、機能的に有利に構成された少なくとも1つの受容コラムを備えた保持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために本発明の構成では、受容コラムが、横倒し位置と起立位置との間において移動可能であり、受容コラムが少なくとも起立位置において支持装置を用いて固定されているようにした。本発明の別の有利な構成は、請求項2以下に記載されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって得られる大きな利点としては次のことが挙げられる。すなわち本発明による自転車用の保持装置では、受容コラムが、横倒し位置と起立位置との間において移動可能であり、つまり受容コラムは、横倒し位置において空間的に有利に保持装置及び乗用車に配置することができ、保持装置は、自転車のための受容エレメントを備えていることができ、この受容エレメントは、乗用車のボディ内に押し込まれた休止位置から、ボディから外に進出させられた使用位置に移動可能である。受容コラムの起立位置において、自転車のペダル装置のクランクアームが、機能適宜に受容コラムに導入可能及び固定可能である。受容コラムはその起立位置において支持装置によって固定され、支持装置のフレーム構造体に設けられた安価な旋回軸受を用いて運動可能である。支持装置は構造的に問題なくフレーム構造体と受容コラムとの間において収納可能である。2つのリンクを形成するリンク系は、支持装置として模範的に適しており、この支持装置の良好な機能は、支持装置が受容エレメントの起立位置において延ばされた死点位置を占めることによって、得られる。この死点位置は、安価に構成可能なロック系によって固定され、このロック系は受容コラムに取り付けられていて、操作が分かり易い点で傑出している。
【0009】
次に図面を参照しながら本発明の1実施例を詳説する。
【0010】
図面には、乗用車1のうちのリヤ部分2だけが示されており、このリヤ部分2は、長手方向中心平面B−B(図2)に、保持装置4を進出させるための開口3を有している。保持装置4は自転車5を運ぶために形成されており、ベースキャリア6と受容キャリア7(図2)とを有しており、この受容キャリア7には、車両長手方向C−Cに対して直角に方向付けられた自転車5が保持される。受容キャリア7は車両長手方向C−Cにおいて休止位置Rsと使用位置Bsとの間において移動可能に構成されている(図2)。そのためにベースキャリア6は長手方向中心平面B−Bの両側に、内側のガイドレール8,9が設けられており、両ガイドレール8,9は受容キャリア7の外側のガイドレール10,11と共働する。
【0011】
受容キャリア7は、同じ機能を有する2つの中空の受容コラム12,13を、2つの自転車のペダル装置のクランクアームのために備えており、図示の実施例では、単に、自転車5のペダル装置15のクランクアーム14だけが、上から下に向かって導入されている(図1)。クランクアームが設けられていない受容コラム12は、倒されている横倒し位置Stlから立てられた起立位置Staに運動可能であり(図3)、起立位置Staにおいて受容コラム12はロック解除可能な支持装置16を用いて固定されている。
【0012】
受容コラム12は旋回軸受17を介して可動であり、この旋回軸受17は保持装置4のフレーム構造体18に配置されており、この旋回軸受17は、車両長手方向C−Cに延びている旋回軸線17′を有している。この場合旋回軸受17は保持装置4のフレーム構造体18に次のように、すなわち受容コラム12が倒された位置Staにおいて十分に沈められてフレーム構造体18内に収容されるように(図3)、設けられている。
【0013】
支持装置16は受容コラム12とフレーム構造体18との間において有効であり、ダイアログステーの形式で、フレーム構造体18の上側の画成面20に対して平行に方向付けられた水平面19に対して鋭角αを成して延びている(図3)。支持装置17は、第1のリンク22及び第2のリンク23を備えたリンク系21によって形成される。リンク22,23は、互いに向き合った端部において第1のジョイント24を介して互いに結合されている。さらに第1のリンク22は、第2のジョイント25を用いて受容コラム12と結合され、かつ第2のリンク23は第3のジョイント26を介してフレーム構造体18と結合されている。両方のリンク22,23は互いに異なった長さを有しており、すなわち第1のリンク22は、第2のリンク23に比べて短く構成されている。
【0014】
受容コラム12の起立位置Staにおいて、リンク系21の両方のリンク22,23は、延ばされた死点位置Tplを占めており、この場合例えば第1のリンク22にロック系27が係合する。ロック系27は図示の実施例では、リンク22の互いに反対側に位置する長辺28,29において作用し、第1のストッパ30と第2のストッパ31とによって形成される。第1のストッパ30は、受容エレメント12の壁33に位置固定に保たれるピン32によって形成されている。第2のストッパ31は手によってロック位置Spstから解放位置Frstに可動であり(図4)、板ばね状の操作部材34として形成されていて、ばね区分35と軸受区分36とを備えている。軸受区分36は保持手段37を用いて受容コラム12の壁33に固定されており、かつ操作部材34の自由な側38には操作レバー39が一体成形されている(図4)。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による自転車用の保持装置を備えた乗用車のリヤ領域を左後ろの上方から見た図である。
【図2】保持装置を示す斜視図である。
【図3】図2の矢印Aの方向から保持装置の受容コラムを見た図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】図2のXで示された領域を拡大して示す図である。
【符号の説明】
【0016】
1 乗用車、 2 リヤ部分、 3 開口、 4 保持装置、 5 自転車、 6 ベースキャリア、 7 受容キャリア、 8,9 内側のガイドレール、 10,11 外側のガイドレール、 12,13 受容コラム、 14 クランクアーム、 15 ペダル装置、 16 支持装置、 17 旋回軸受、 17′ 旋回軸線、 18 フレーム構造体、 19 水平面、 20 画成面、 21 リンク系、 22,23 リンク、 24,25,26 ジョイント、 27 ロック系、 28,29 長辺、 30,31 ストッパ、 32 ピン、 33 壁、 34 操作部材、 35 ばね区分、 36 軸受区分、 37 保持手段、 38 自由な側、 39 レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車用の保持装置であって、自動車、特に乗用車に配置されていて、自転車のペダル装置のクランクアームのための受容コラムを有している形式のものにおいて、
受容コラム(12,13)が、横倒し位置(Stl)と起立位置(Sta)との間において移動可能であり、受容コラム(12,13)が少なくとも起立位置(Sta)において支持装置(16)を用いて固定されていることを特徴とする、自転車用の保持装置。
【請求項2】
受容コラム(12,13)が旋回軸受(17)を介して運動可能である、請求項1記載の保持装置。
【請求項3】
受容コラム(12,13)の旋回軸受(17)が、保持装置(14)のフレーム構造体(18)に配置されている、請求項2記載の保持装置。
【請求項4】
旋回軸受(17)の回転軸線(17′)が車両長手方向(B−B)に方向付けられている、請求項2又は3記載の保持装置。
【請求項5】
受容コラム(12,13)が横倒し位置(Stl)においてフレーム構造体(18)内に沈み込んで格納配置されている、請求項1又は4記載の保持装置。
【請求項6】
支持装置(16)がフレーム構造体(18)と受容コラム(12)との間において延びている、請求項1又は2記載の保持装置。
【請求項7】
支持装置(16)が水平面(19)と受容コラム(12,13)との間において所定の角度(α)を成して延びている、請求項6記載の保持装置。
【請求項8】
支持装置(16)が、少なくとも1つの第1のリンク(22)と第2のリンク(23)とを有するリンク系(21)を備えており、該第1のリンク(22)と第2のリンク(23)とが第1のジョイント(24)を介して互いに連結されていて、第2のジョイント(15)及び第3のジョイント(26)を介して受容コラム(12,13)もしくはフレーム構造体(18)に支承されている、請求項7記載の保持装置。
【請求項9】
第1のリンク(22)が第2のジョイント(25)を用いて受容コラム(12,13)に支承され、第2のリンク(23)が第3のジョイント(26)を用いてフレーム構造体(18)に支承されている、請求項7記載の保持装置。
【請求項10】
リンク系(21)の第1のリンク(22)と第2のリンク(23)とが、異なった長さを有している、請求項9記載の保持装置。
【請求項11】
第1のリンク(22)の長さ(LI)が第2のリンク(23)の長さ(LII)よりも短い、請求項10記載の保持装置。
【請求項12】
リンク系(21)の第1のリンク(22)と第2のリンク(23)とが、受容エレメント(12,13)の起立位置(Sta)において延ばされた死点位置(Tpl)を占めている、請求項1から11までのいずれか1項記載の保持装置。
【請求項13】
リンク系(21)の延ばされた死点位置(Tpl)において、両リンク(22,23)のうちの少なくとも1つに、ロック系(27)が係合する、請求項12記載の保持装置。
【請求項14】
ロック系(27)が、両リンク(22,23)のうちの少なくとも1つのリンクの互いに反対側に位置する長辺(28,29)において有効である、請求項13記載の保持装置。
【請求項15】
ロック系(27)が第1のストッパ(30)と第2のストッパ(31)とを有している、請求項14記載の保持装置。
【請求項16】
第1のストッパ(30)が、受容コラム(12,13)に固定されたピン(32)によって形成されている、請求項15記載の保持装置。
【請求項17】
第2のストッパ(31)が、ロック位置(Spst)から解除位置(Enst)に運動可能である、請求項15記載の保持装置。
【請求項18】
第2のストッパ(31)が板ばね状の操作部材(34)に固定されていて、該操作部材(34)が軸受区分(36)を用いて受容コラム(12,13)に保持されている、請求項17記載の保持装置。
【請求項19】
操作部材(34)の自由な側(38)に、操作レバー(39)が一体成形されている、請求項17記載の保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−13172(P2008−13172A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175372(P2007−175372)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(506292985)マグナ カー トップ システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (31)
【氏名又は名称原語表記】Magna Car Top Systems GmbH
【住所又は居所原語表記】Stuttgarter Strasse 59, D−74321 Bietigheim−Bissingen, Germany
【Fターム(参考)】