説明

自転車用変速操作装置

【課題】電動変速装置を変速操作する変速操作装置において、複数の変速位置にわたる変速動作を1回の変速操作で行えるようにする。
【解決手段】変速操作部110aは、電動リアディレーラ97rを変速操作するものであって、取付部30と、第1操作部材32と、第1信号発生部36とを備えている。取付部は、ハンドルバーに取付可能である。第1操作部材は、取付部に対し第1操作開始位置から移動可能であり操作終了後に第1操作開始位置に戻る。第1信号発生部は、第1操作部材が第1操作開始位置から第1位置まで移動すると、リアディレーラの変速位置を現在の変速位置から第1方向に1段変化した状態にするための信号を発生し、第1操作部材が第1操作開始位置から第1位置を超えて第2位置まで移動すると、リアディレーラの変速位置を現在の変速位置から2段変化した状態にするための信号を発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速操作装置、特に、自転車のハンドルバーに装着可能であり、電気制御可能な変速装置を変速操作するための自転車用変速操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車の変速装置において、複数の変速位置を電気的に制御できる電動変速可能なものが従来知られている。この種の電動変速装置は、ハンドルバーに装着可能な変速操作装置により、変速操作される(たとえば、特許文献1参照)。従来の変速操作装置は、電動変速装置としての電動制御可能なフロント及びリアディレーラを有する外装変速装置用の変速操作装置である。従来の変速操作装置は、ケーブル巻取式の変速操作装置と同様にリアディレーラ用の変速操作装置がハンドルバーの右側に配置され、フロントでディレーラ用の変速操作装置がハンドルバーの左側に配置されている。各変速操作装置は、上下に並べて配置されたシフトアップ用とシフトダウン用の2つのスイッチを有している。各スイッチは、たとえば、押しボタンスイッチであり、シフトアップ用のスイッチを押圧操作すると1段シフトアップ方向に変速位置が変化し、シフトダウン用のスイッチを押圧操作すると1段シフトダウン方向に変速位置が変化する。
【特許文献1】特開2002−267002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来の構成では、変速操作装置を1回操作すると、1段だけ変速位置が変化する。したがって、急加速あるいは急減速する際に変速位置を複数段わたって変化させようとすると、変速操作装置のスイッチを複数回操作する必要があり、変速操作が煩わしいものになる。
【0004】
また、従来の変速操作装置では、スイッチを用いて変速操作している。このため、走行中の振動によりスイッチがオンオフする誤動作が生じ、変速動作が頻繁に行われるおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、電動変速装置を変速操作する変速操作装置において、複数の変速位置にわたる変速動作を1回の変速操作で行えるようにすることにある。
【0006】
本発明の別の課題は、電動変速装置を変速操作する変速操作装置において、振動による誤動作を防止できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明1に係る自転車用変速操作装置は、自転車のハンドルバーに装着可能であり、電気制御可能な変速装置を変速操作するための装置であって、取付部と、第1操作部材と、第1信号発生部とを備えている。取付部は、ハンドルバーに取付可能なものである。第1操作部材は、取付部に対し第1操作開始位置から移動可能であり操作終了後に第1操作開始位置に戻る部材である。第1信号発生部は、第1操作部材が第1操作開始位置から第1位置まで移動すると、変速装置の変速位置を現在の変速位置から第1方向に1段変化した状態にするための信号を発生し、第1操作部材が第1操作開始位置から第1位置を超えて第2位置まで移動すると、変速装置の変速位置を現在の変速位置から2段変化した状態にするための信号を発生するものである。
【0008】
この変速操作装置では、第1操作部材が第1操作開始位置から第1位置に操作されると、第1信号発生部から変速装置の変速位置を第1方向(たとえば、シフトダウン又はシフトアップ)に1段変化した状態にする信号が発生して、たとえば変速制御装置に出力される。操作が終わると第1操作開始位置に第1操作部材は戻る。また、第1操作開始位置から第1位置を超えて第2位置まで操作されると2段変化した状態にする信号が発生する。ここでは、第1操作部材を第1操作開始位置から第1位置及びそれを超えた第2位置まで移動できるように構成し、それぞれの位置に移動させると変速装置の変速位置を1段又は2段変化した状態にすることができるので、第1方向の複数の変速位置にわたる変速動作を1回の変速操作で行えるようになる。
【0009】
発明2に係る自転車用変速操作装置は、発明1に記載の装置において、第1信号発生部は、第1操作部材が第1操作開始位置から第1及び第2位置を超えた第3位置まで移動すると、変速装置の変速位置を現在の変速位置から3段変化した状態にするための信号を発生する。この場合には、たとえば、2速から5速にシフトアップさせるような3段にわたる変速動作を1回の変速操作で行える。
【0010】
発明3に係る自転車用変速操作装置は、発明1又は2に記載の装置において、第1操作部材は、第1軸回りに揺動自在に取付部に連結されている。この場合には、第1操作部材を軸に用いて第1軸回りに揺動するように取付部に取り付ければよいので、第1操作部材の取付部への取付が容易になる。
発明4に係る自転車用変速操作装置は、発明3に記載の装置において、取付部は、ハンドルバーに装着可能なブレーキブラケットと、ブレーキブラケットに第1軸と食い違う第2軸回りに揺動自在に連結された支持部材と、を有し、第1操作部材は、支持部材に第1軸回りに揺動自在に連結され、支持部材とともに第2軸回りに揺動することによりブレーキ操作可能である。この場合には、ブレーキ操作と第1方向の変速操作とを第1操作部材にて行える。
【0011】
発明5に係る自転車用変速操作装置は、発明1から4のいずれかに記載の装置において、第1信号発生部は、第1操作部材に連結され、第1操作部材の移動に応じて移動する第1可動コンタクトと、取付部に回転不能に連結され第1可動コンタクトと接触・離反するよう構成された第1固定コンタクトと、を有する。この場合には、2つのコンタクトにより移動方向の任意の位置に第1操作部材の変速操作の位置(第1及び第2位置等)を設定できる。
【0012】
発明6に係る自転車用変速操作装置は、発明1から5のいずれかに記載の装置において、取付部に対し第2操作開始位置から移動可能であり操作終了後に第2操作開始位置に戻る第2操作部材と、第2操作部材が第2操作開始位置から第4位置まで移動したとき、変速装置の変速位置を現在の変速位置から第2方向に1段変化した状態にするための信号を発生し、第2操作部材が第2操作開始位置から第4位置を超えて第5位置まで移動したとき、変速装置の変速位置を現在の変速位置から2段変化した状態にするための信号を発生する第2信号発生部と、をさらに備える。この場合には、第1方向(たとえばシフトダウン方向)に加えて第2方向(たとえば、シフトアップ方向)の複数の変速位置にわたる変速動作を1回の変速操作で行えるようになる。
【0013】
発明7に係る自転車用変速操作装置は、発明6に記載の装置において、第2操作部材は、第1軸回りに揺動自在に取付部に連結されている。この場合には、2つの操作部材が同じ軸回りに揺動するので、2つの操作部材の取付が容易である。
【0014】
発明8に係る自転車用変速操作装置は、発明7に記載の装置において、第1操作部材の第1操作開始位置から第1位置への揺動方向は、第2操作部材の第2操作開始位置から第4位置への揺動方向と同一である。この場合には、変速ケーブルが接続される従来の機械式の変速操作機能付きのブレーキ操作装置と同じ操作で変速操作を行えるので、変速操作を違和感なく行える。
【0015】
発明9に係る自転車用変速操作装置は、発明6から8のいずれかに記載の装置において、第2信号発生部は、第2操作部材に連結され、第2操作部材の移動に応じて移動する第2可動コンタクトと、第1操作部材に回転不能に連結され第2可動コンタクトと接触・離反するよう構成された第2固定コンタクトと、を有する。この場合には、発明5と同様に第2操作部材においても、2つのコンタクトにより移動方向の任意の位置に第2操作部材の変速操作の位置(第4及び第5位置等)を設定できる。
【0016】
発明10に係る自転車用変速操作装置は、発明9に記載の装置において、第2操作部材は、第2操作開始位置から揺動すると単独で揺動し、かつ第1操作部材が第1操作開始位置から揺動すると一体で揺動するように第1操作部材に連結されている。この場合には、第2操作部材は、両方向の操作とも揺動するので、第2操作開始位置への復帰の際も一体で揺動するように構成することにより、第2操作部材を介して第1操作部材を第1操作開始位置に復帰させることができる。
【0017】
発明11に係る自転車用変速操作装置は、発明1から10のいずれかに記載の装置において、変速操作の変化を段数毎に報知する段数報知機構をさらに備え、段数報知機構は、第1操作部材の第1操作開始位置と第1位置との間で第1の報知を行い、第1操作部材の第1位置と第2位置との間で第2の報知を行う。この場合には、たとえば音や振動等により1段変速と2段変速の別が報知されるので、ライダーが自分の行った変速操作を確実に確認できる。
【0018】
発明12に係る自転車用変速操作装置は、自転車のハンドルバーに装着可能であり、電気制御可能な変速装置を変速操作するための装置であって、取付部と、第1操作部材と、第1信号発生部と、を備えている。取付部は、ハンドルバーに取付可能なものである。第1操作部材は、取付部に対し第1操作開始位置から移動であり操作終了後に第1操作開始位置に戻る部材である。第1信号発生部は、第1操作部材に連結され、第1操作部材の移動に応じて移動する第1可動コンタクトと、取付部に回転不能に連結され、第1可動コンタクトと接触・離反するよう構成された第1固定コンタクトと、を有し、第1操作部材が第1操作開始位置から第1位置まで移動すると、変速装置の変速位置を現在の変速位置から第1方向に1段変化した状態にするための信号をオンし、第1位置から第1操作開始位置に向けて戻る過程で、オンした位置と異なる位置で信号をオフするものである。
【0019】
この変速操作装置では、第1操作部材を第1操作開始位置から第1位置まで移動操作すると、両コンタクトが相対移動し、1段変速するための信号がオンし、第1位置から第1操作開始位置まで戻る際に、オンした位置と異なる位置で信号をオフする。ここでは、信号のオンオフが第1操作部材の移動方向の異なる位置でなされるので、振動により第1操作部材が移動方向に移動しても頻繁なオンオフが生じなくなる。このため、振動による誤動作を防止できるようになる。
【0020】
発明13に係る自転車用変速操作装置は、発明6又は12に記載の装置において、第1固定コンタクトは、第1パターンと、第1パターンと可動コンタクトの移動方向と交差する方向に間隔を隔てて配置され、第1パターンに対して移動方向にずれて配置された第2パターンを有する。この場合には、第1パターンと第2パターンとが移動方向にずれて配置されかつ移動方向と交差する方向に間隔を隔てて配置されているので、信号のオン位置とオフ位置とを、両パターンと第1可動コンタクトとが接触又は離反する位置等を用いて簡単に異なる位置に設定できる。
【0021】
発明14に係る自転車用変速操作装置は、発明13に記載の装置において、第1固定コンタクトは、第1パターンと移動方向に間隔を隔てて配置された第3パターンと、第2パターンと移動方向に間隔を隔てて配置されかつ第1パターンに対して移動方向にずれて配置された第4パターンとをさらに有する。この場合には、第1及び第3パターンと第2及び第3パターンとを用いて、3段変化する信号のオンオフ位置を簡単に異なる位置に設定できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、第1操作部材を第1操作開始位置から第1位置及びそれを超えた第2位置まで移動できるように構成し、それぞれの位置で変速装置の変速位置を1段又は2段変化した状態にすることができるので、第1方向の複数の変速位置にわたる変速動作を1回の変速操作で行えるようになる。
【0023】
本発明の別の発明によれば、信号のオンオフが第1操作部材の移動方向の異なる位置でなされるので、振動により第1操作部材が移動方向に移動しても頻繁なオンオフが生じなくなる。このため、振動による誤動作を防止できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1において、本発明の一実施形態を採用した自転車101は、ロードレーサであり、フロントフォーク98及びフロントフォーク98に固定されたハンドル部104を有するダイヤモンド形のフレーム102と、チェーン95やペダルPDが装着されたクランク96やフロント及びリアディレーラ(変速装置の一例)97f,97rやフロント及びリアスプロケット群99f,99r等からなる駆動部105と、フロントフォーク98及びフレーム102後部に装着された前輪及び後輪106f,106rと、フロント及びリアブレーキ装置107f,107rとを備えている。
【0025】
ハンドル部104は、図1に示すように、ハンドルステム111と、ハンドルステム111の上端で嵌合固定されたハンドルバー112とで構成されている。ハンドルステム111は、フロントフォーク98の上部に嵌合固定されている。ハンドルバー112は、両端に前方に突出してU字状に湾曲する湾曲部112a,112bを有するドロップハンドル型のものであり、フロント及びリアブレーキ装置107f,107rを制動操作するとともに、リア及びフロントディレーラ97r,97fを変速操作するための左右の1対のブレーキ及び変速操作部(変速操作装置の一例)110a,110bを備えている。右側に配置されるブレーキ及び変速操作部110aは、自転車101を後方から見てハンドルバー112の右端部に配置され、ブレーキ及び変速操作部110bは、左端部に配置されている。
【0026】
なお、特許請求の範囲及び明細書で記載した上下前後左右は、自転車に装着された状態における上下前後左右である。なお、左右は、自転車を後方から見たときの左右である。
【0027】
ブレーキ及び変速操作部110a,110bは、ボーデン型のブレーキケーブル(図示せず)を介してフロント及びリアブレーキ装置107f,107rにそれぞれ連結されている。また、ブレーキ及び変速操作部110a,110bは、後述する電気配線を介してリア及びフロントディレーラ97r,97fにそれぞれ接続されている。ハンドルバー112の中央部には、自転車の速度や走行距離を表示する速度表示部114が配置されている。
【0028】
フロントディレーラ(FD)97fは、電気制御可能なものであり、フレーム102のシートチューブ102aに設けられている。フロントディレーラ97fは、ブレーキ及び変速操作部110bの変速操作により、たとえば、F1,F2の2つの変速位置のいずれかに移動してチェーン95をフロントスプロケット群99fのいずれかのスプロケットに案内する。フロントディレーラ97fは、フレーム102のシートチューブ102aに固定された装着部材12fと、装着部材12fに対し接離する方向に移動可能なチェーンガイド14fと、装着部材12fとチェーンガイド14fとを連結する4点リンク機構16fと、を備えている。フロントディレーラ97fは、4点リンク機構16fを介してチェーンガイド14fを駆動する電動駆動部18fにより動作する。
【0029】
リアディレーラ(RD)97rは、電気制御可能なものであり、フレーム102のチェーンスティ102dの後部に設けられている。リアディレーラ97rは、ブレーキ及び変速操作部110aの変速操作により、たとえば、R1〜R10の10個の変速位置のいずれかに移動してチェーン95をリアスプロケット群99rのいずれかのスプロケットに案内する。リアディレーラ97rは、フレーム102のチェーンスティ102dの後部に固定された装着部材12rと、装着部材12rに対し相対的に移動可能なチェーンガイド14rと、装着部材12rとチェーンガイド14rとを連結する4点リンク機構16rと、を備えている。リアディレーラ97rは、4点リンク機構16rを介してチェーンガイド14rを駆動する電動駆動部18rにより動作する。フロントディレーラ97fには、フロント及びリアディレーラ97f,97rの電源となる電源装置20が取り付けられている。
【0030】
フロントスプロケット群99fは、クランク軸の軸方向に並べて配置された歯数が異なる複数(たとえば、2枚)のスプロケットを有している。この2枚のスプロケットが変速位置F1,F2に対応して配置されている。リアスプロケット群99rは、後輪106rのハブ軸の軸方向に並べて配置された歯数が異なる、複数(たとえば、10枚)のスプロケットを有している。この10枚のスプロケットが変速位置R1〜R10に対応して配置されている。
【0031】
フロントスプロケット群99fでは、変速位置F1に対応する内側にあるローのスプロケットが変速位置F2に対応する外側にあるトップのスプロケットより歯数の少ない。また、リアスプロケット群99rでは、変速位置R1に対応する最も内側にあるローのスプロケットの歯数が最も多く、それから軸方向外方にいくに従い順に歯数が少なくなり、変速位置R10に対応する最も外側にあるトップのスプロケットの歯数が最も少ない。
【0032】
<ブレーキ及び変速操作部の構成>
ブレーキ及び変速操作部110a,110bは、鏡像関係にある装置であるとともに、変速段数が異なるだけであるので、以下、ドロップハンドル112の右側に通常配置されるブレーキ及び変速操作部110aについて主に説明する。
【0033】
ブレーキ及び変速操作部110aは、図2〜図4に示すように、自転車のドロップハンドル112の湾曲部112aに取り付けられるものである。ブレーキ及び変速操作部110aは、ドロップハンドル112の湾曲部112aに取付可能な取付部30と、取付部30に対し前後方向に配置可能な第1軸X回りに揺動自在な第1及び第2操作部材32,34と、第1及び第2操作部材32,34の移動に応じて第1方向(たとえば、シフトダウン方向)及び第2方向(たとえば、シフトアップ方向)の変速のための信号を各別に発生する第1及び第2信号発生部36,38と、を備えている。また、ブレーキ及び変速操作部110aは、変速操作の変化を段数毎に報知する第1及び第2段数報知機構40,42をさらに備えている。
【0034】
<取付部の構成>
取付部30は、ハンドルバー112の湾曲部112aに装着可能なブレーキブラケット50と、ブレーキブラケット50に第1軸Xと食い違う第2軸Y回りに揺動自在に連結された支持部材52とを有している。
【0035】
ブレーキブラケット50は、湾曲部112aの周囲をクランプするクランプ部54と、クランプ部54が固定されたブラケット本体56とを有している。ブラケット本体56の先端部には、液晶表示部58を有する変速位置を表示するリア変速表示装置119rが装着されている。ブラケット本体56は、湾曲部112aに係合するように基端部が形成されており、内部に第1及び第2操作部材32,34や第1及び第2信号発生部36,38を収納可能な空間を有している。このブラケット本体56の上部外周面は、ライダーがブレーキ操作をするときに手のひらを置けるようになっている。また、ブラケット本体56の基端側の内部には、リア変速表示装置119r及びブレーキ及び変速操作部110bに設けられたフロント変速表示装置119f(図9)を制御する表示制御部118が設けられている。
【0036】
支持部材52は、支持部本体60と、支持部本体60に固定された支持軸62と、支持部本体60と第1軸X方向前方に間隔を隔てて配置された前フレーム64と、を有している。支持部本体60は、金属板をC字状に折り曲げて形成されたものであり、ブラケット本体56に第2軸Yに沿って配置された揺動軸59によりブラケット本体56に揺動自在に支持されている。支持部本体60には、支持軸62が装着される支持軸装着孔60aが前面に形成され、両側面には、揺動軸59が装着される揺動軸装着孔60bと、ブレーキケーブルのインナーケーブル113rの先端のニップル113aを係止するニップル係止溝60cと、が形成されている。
【0037】
支持軸62は、第1軸Xに沿って配置されており、ワッシャ63を介してナット61により支持部本体60に回転不能に固定されている。支持軸62は、軸部62aと、軸部62aの両端に形成された雄ねじ部62b,62cと、を有している。軸部62aの外周面には、互いに平行に面取りされた回転係止部62dが形成されている。
【0038】
前フレーム64は、板状部材であり、支持軸62の先端を支持するとともに、第1信号発生部36及び第1段数報知機構40を装着するために設けられている。前フレーム64は、第1軸Xと平行に配置された2本の連結軸65a,65bにより支持部本体60と連結されている。前フレーム64には、支持軸62が回転不能に係合する支持軸装着孔64aと、第1信号発生部36を回転不能に連結するための1対の連結孔64bとが設けられている。また、前フレーム64の後面には、第1段数報知機構40を装着するための1対の装着ピン64d,64eが立設されている。支持軸装着孔64aは、支持軸62の回転係止部62dに係合して回り止めされる長孔形状である。連結孔64bは、支持軸装着孔64aと同芯かつ周方向に間隔を隔てた位置に配置された円弧状の長孔である。装着ピン64d,64eは、互いに平行に配置され後方に延びている。
【0039】
<第1及び第2操作部材の構成>
第1操作部材32(又は第2操作部材34)は、図3に示すように、第1操作開始位置HP1(又は第2操作開始位置HP2)から第1位置P1(又は第4位置P4)及び第2位置P2(又は第5位置P5)を経由して第3位置P3(又は第6位置P6)までハンドルバー112の内側に第1軸X回りに各別に揺動可能である。また、第1及び第2操作部材32,34は、操作終了後に第1及び第2操作開始位置HP1,HP2にそれぞれ戻る。なお、この実施形態では、第1及び第2操作部材32,34は、同じ第1軸X回りに揺動するが、別の軸回りに揺動するようにしてもよい。この場合、2つの揺動軸が平行でなくてもよい。また、第1及び第2操作部材32,34は、揺動ではなく直線移動してもよい。
【0040】
第1操作部材32は、支持軸62に第1軸X回りに揺動自在に支持されている。第1操作部材32は、図4に示すように、ブレーキ操作可能なブレーキレバー66と、ブレーキレバー66と一体的に揺動可能な第1レバー部材67と、第1レバー部材67と一体的に揺動可能に連結された第2レバー部材68と、を有している。ブレーキレバー66は、支持軸62に回動自在に支持される円形の回動支持部66aと、回動支持部66aから径方向外方に延びるレバー部66bとを有している。回動支持部66aには、支持軸62が貫通する支持孔66eが形成されている。レバー部66bは通常のブレーキレバーと同様にS字状に湾曲した形状である。回動支持部66aには、固定ナット55が収納されるナット凹部66cが前面に形成されている。また、後面には、第1レバー部材67に連結される連結突起66d(図2)が形成されている。連結突起66dは、支持孔66eと同芯かつ周方向に間隔を隔てた位置に配置された円弧状の突起である。この連結突起66dによりブレーキレバー66の揺動が第1レバー部材67に伝達される。
【0041】
第1レバー部材67は、ブレーキレバー66に接触して配置されている。第1レバー部材67は、金属板製の部材であり、支持軸62に回動自在に支持される回動支持部67aと、回動支持部67aから径方向に延び途中で後方に折れ曲がっている連結アーム67bとを有している。回動支持部67aには、支持軸62が貫通する支持孔67cが形成されている。回動支持部67aの後面の外周側には、後方に延びる1対の係合ピン67dが立設されている。係合ピン67dは、第1信号発生部36を連結するために設けられている。また、回動支持部67aの支持孔67cの径方向外方には、ブレーキレバー66の連結突起66dに係合する1対の連結孔67eが形成されている。連結孔67eは、支持軸装着孔64aと同芯かつ周方向に間隔を隔てた位置に配置された円弧状の長孔である。この係合により、第1レバー部材67は、ブレーキレバー66と一体で第1軸X回りに揺動する。連結アーム67bは、第1レバー部材67と第2レバー部材68とを一体的に連結するために設けられている。連結アーム67bの先端は、第2レバー部材68に沿うように折り曲げられている。この先端に装着された連結ボルト74により第1レバー部材67と第2レバー部材68とが一体的に揺動可能に連結される。
【0042】
第2レバー部材68は、第1レバー部材67と第1及び第2信号発生部36,38を挟んで対向して配置されている。第2レバー部材68は金属板製の部材であり、たとえば合成樹脂製の鍔付きブッシュ71を介して支持軸62に回動自在に支持される回動支持部68aと、回動支持部68aから径方向に延びる連結部68bとを有している。回動支持部68aには、支持軸62が貫通する支持孔68cが形成されている。回動支持部68aの外周面の上部には、連結軸65aに接触して第1操作部材32の揺動範囲を規制するための1対の規制突起68d,68eが径方向外方に突出して形成されている。回動支持部68aの外周面の左右部には、第2操作部材34に設けられた係合ピン69f(後述)に係合する1対の係合凹部68fが形成されている。係合凹部68fは、第1操作部材32に対する第2操作部材34の揺動範囲を規制するとともに、第1操作部材32が第1操作開始位置HP1から第1位置P1に向けて揺動する際に第2操作部材34を連動して揺動させるために、円弧状に凹んで形成されている。さらに、回動支持部68aには、第2信号発生部38に連結するための1対の連結孔68jが設けられている。また、連結部68bの前面には、第2段数報知機構42を装着するための1対の装着ピン68h,68iが立設されている。連結部68bの下部には、連結ボルト74がねじ込まれるねじ孔68kが形成されている。連結孔68jは、支持孔68cと同芯かつ周方向に間隔を隔てた位置に配置された円弧状の長孔である。装着ピン68h,68iは、互いに平行に配置され前方に延びている。
【0043】
第2操作部材34は、第2レバー部材68の後方に支持軸62に第1軸X回りに揺動自在に支持されている。第2操作部材34は、支持軸62に揺動自在に支持された金属板製のレバー体69と、レバー体69と一体形成された、たとえば、合成樹脂製の操作体70とを有している。レバー体69は、第2レバー部材68の後方に配置され、たとえば合成樹脂製の鍔付きブッシュ72を介して支持軸62に回動自在に支持される回動支持部69aと、回動支持部69aから操作体70に向かって径方向外方に延びる連結部69bとを有している。回動支持部69aには、鍔付きブッシュ72が装着される支持孔69cが形成されている。回動支持部69aの外周面の上部には、連結軸65aに接触して第2操作部材34の揺動範囲を規制するための1対の規制突起69d,69eが径方向外方に突出して形成されている。
【0044】
回動支持部69aの前面の外周側には、前方に延びる1対の係合ピン69fが立設されている。係合ピン69fは、第2信号発生部38を連結するために設けられている。また、前述したように、係合ピン69fは、係合凹部68fに係合して第2操作部材34の揺動範囲の規制及び第1操作部材32との連動のために設けられている。具体的には、第2操作部材34が、図8(a)に示す第2操作開始位置HP2から、図8(b)に示す第6位置P6に向けて操作するときは、係合凹部68fに沿って係合ピン69fが移動する。すなわち、第1操作部材32に対して第2操作部材34だけが揺動する。
【0045】
一方、第1操作部材32を第1操作開始位置HP1から第1位置P1に向けて操作するときには、図8(a)において、係合凹部68fが係合ピン69fを押圧して第2操作部材34が第1操作部材32とともに揺動する。
【0046】
操作体70は、ブレーキレバー66を操作する手の人差し指等で操作可能にブレーキレバーの先端部の後面に配置されている。この形状は、通常のロードレーサに設けられる機械式の変速機能付きのブレーキレバーに設けられる解除レバーと同様な形状である。
【0047】
第2操作部材34と支持部本体60との間には、第2操作部材34を第2操作開始位置HP2に戻すための付勢部材としてのばね部材73が設けられている。ばね部材73は、たとえば、軸方向寸法を小さくするために渦巻きばねの形態である。ばね部材73の一端(本実施形態では外側端)は、支持部本体60に係止され、他端(本実施形態では内側端)は、レバー体69の回動支持部69aに係止されている。ばね部材73は、図3時計回り、すなわち、ハンドルバー112の外側に向けて第2操作部材34を付勢する。第1操作部材32は、係合ピン69fと係合凹部68fとの係合により第2操作部材34の時計回りの回動により回動するので、ひとつのばね部材73で第1操作部材32を第1操作開始位置HP1に戻すことができる。なお、ばね部材73の付勢力は、後述する第1及び第2段数報知機構40,42による押圧力より強い力に設定されている。
【0048】
<第1及び第2信号発生部の構成>
第1信号発生部36と第2信号発生部38とは、一部を除いて鏡像関係にあるものである。したがって、主に第1信号発生部36について構成を説明し、相異部分等についてのみ第2信号発生部38について説明する。
【0049】
第1信号発生部36は、第1操作部材32が第1操作開始位置HP1から第1位置P1まで移動したとき、リアディレーラ97rの変速位置を現在の変速位置から第1方向(たとえばシフトダウン方向)に1段変化した状態にするための信号を発生し、第1操作部材32が第1操作開始位置HP1から第1位置P1を超えて第2位置P2まで移動したとき、リアディレーラ97rの変速位置を現在の変速位置から2段変化した状態にするための信号を発生する。また、第1信号発生部36は、第1操作部材32が第1操作開始位置HP1から第1及び第2位置P1,P2を超えた第3位置P3まで移動したとき、リアディレーラ97rの変速位置を現在の変速位置から3段変化した状態にするための信号を発生する。
【0050】
同様に、第2信号発生部38は、第2操作部材34が第2操作開始位置HP2から第4位置P4まで移動したとき、リアディレーラ97rの変速位置を現在の変速位置から第2方向(たとえばシフトアップ方向)に1段変化した状態にするための信号を発生し、第2操作部材34が第2操作開始位置HP2から第4位置P4を超えて第5位置P5まで移動したとき、リアディレーラ97rの変速位置を現在の変速位置から2段変化した状態にするための信号を発生する。また、第2信号発生部38は、第2操作部材34が第2操作開始位置HP2から第4及び第5位置P4,P5を超えた第6位置P6まで移動したとき、リアディレーラ97rの変速位置を現在の変速位置から3段変化した状態にするための信号を発生する。
【0051】
第1信号発生部36は、図4及び図5に示すように、第1操作部材32に連結され、第1操作部材32の揺動に応じて回動する第1可動コンタクト80と、取付部30に回転不能に連結され第1可動コンタクト80と接触・離反するよう構成された第1固定コンタクト82と、を有している。
【0052】
第1固定コンタクト82は、図4に示すように、支持軸62に回転不能に装着された第1固定部材83に連結されている。第1固定部材83は、鍔部83aと筒部83bとを有する、たとえば、絶縁体である合成樹脂製の部材であり、内周面に支持軸62の回転係止部62dに回転不能に係合する長孔部83cを有している。また、第1固定部材83は、前フレーム64の1対の連結孔64bに係合する1対の連結突起83dを鍔部83aの前面に有している。第1固定コンタクト82は、鍔部83aと筒部83bとの境界部分で筒部83bに回転不能に連結されている。
【0053】
第1固定コンタクト82は、図5に示すように、第1固定部材83に回転不能に連結される装着部82aと、装着部82aの前面に形成された第1パターンC1と、第1パターンC1と第1可動コンタクト80の移動方向と交差する方向(第1パターンC1の内周側)に間隔を隔てて配置され、第1パターンC1に対して移動方向にずれて配置された第2パターンAとを有している。また、第1固定コンタクト82は、第1パターンC1と移動方向に間隔を隔てて配置された第3パターンBと、第2パターンAと移動方向に間隔を隔てて配置されかつ第2パターンBに対して移動方向にずれて配置された第4パターンC2と、これらのパターンA,B,C1,C2と移動方向に間隔を隔てて配置された共通パターンGとをさらに有している。第2パターンAは、移動方向において第1パターンC1と第3パターンBとの間に配置され、両パターンと移動方向に重畳している。なお、この実施形態では、信号線の数を減らすため、第1パターンC1と第4パターンC2とは電気的に接続されている。したがって、後述する信号のタイミングチャートの説明では、2つのパターンC1,C2で発生する信号を信号Cで表す。装着部82aは、たとえば、合成樹脂などの絶縁体製の概ね円板状の部材である。装着部82aのパターン形成部分以外の部分は外周部が半円弧状に切り欠かれている。また、内周側には、第1固定部材83の筒部82bが貫通可能な貫通孔82bが形成され、さらに貫通孔82bには、第1固定部材83の筒部83bの外周面に形成された3つの突起部(図示せず)に係合する3つの凹部82cが形成されている。この凹部82cと突起部との係合により第1固定コンタクト82が第1固定部材83に回転不能に連結される。
【0054】
第1可動コンタクト80は、円弧状に形成された導電金属薄板製の部材である。第1可動コンタクト80は弾性を有しており、両端が第1固定コンタクト82の各パターンA,B,C1,C2及びパターンGに向けて折り曲げられている。第1可動コンタクト80は、第1操作開始位置に第1操作部材32が配置されたとき、一端が第1パターンC1からはずれ他端が共通パターンに接触又は僅かに接触する(実施形態では僅かに接触している)長さを有している。第1可動コンタクト80の両端は、内周側から外周側にかけて4つの接触片80a〜80dに分割されており、2つの接触片80a,80b及び接触片80c,80dが内外周のパターンC1,B及びパターンA,C2に接触する。これにより1つの接触片で接触不良が生じても他方の接触片が接触していれば段数変化用の信号をオンオフできる。
【0055】
第1可動コンタクト80は、図4に示すように、第1固定部材83に回動自在に装着された、たとえば絶縁体である合成樹脂製の第1可動部材84に固定されている。第1可動部材84は、内部に第1固定コンタクト82及び第1可動コンタクト80を収納可能な空間を有する部材本体84aと、部材本体84aの空間をカバーする蓋部材84bとを有している。第1固定コンタクト82は、この空間に配置された状態で第1固定部材83に連結されている。また、第1可動コンタクト80は空間内で部材本体84aに固定されている。部材本体84a及び蓋部材84bには、空間をシールするためのOリング85,86が各別に装着されている。Oリング85,86は、第1可動部材84の両端に配置され、前端は第1固定部材83の鍔部83aに接触している。また後端は、第2信号発生部38との間に配置された合成樹脂製の2枚の座金部材98の一方に接触している。これにより、第1可動コンタクト80及び第1固定コンタクト82が液体の浸入等により腐食して接触不良をおこしにくくなる。
【0056】
部材本体84aの外周面には、第1レバー部材67に設けられた1対の係合ピン67dに係合する1対の係合溝84dが形成されている。この係合ピン67dに係合溝84dが係合することにより、第1操作部材32の揺動が第1可動部材84に伝達され、第1可動コンタクト80が回動する。また、部材本体84の外周面には、第1段数報知機構40を構成する第1報知歯43が形成されている。第1報知歯43は、図7に示すように、階段状に3段階に形成されている。
【0057】
第2信号発生部38は、第1信号発生部36と鏡像関係にある点を除いて概ね同様な構造であり、第1信号発生部36の80番台の各部材に対して90番台の符号を付している。第2信号発生部38は、図4に示すように、第2操作部材34に連結され、第2操作部材34の揺動に応じて回動する第2可動コンタクト90と、第2レバー部材68に回転不能に連結され第2可動コンタクト90と接触・離反するよう構成された第2固定コンタクト92と、を有している。
【0058】
第2固定コンタクト92は、第2固定部材93に回動不能に連結され、第2可動コンタクト90は、第2可動部材94に固定されている。このうち、第2固定部材93の内周部に支持軸62に回転自在に支持される支持孔93cが形成されている点及び取付部30ではなく第1操作部材32、具体的には、第2レバー部材68に第2固定部材93が回動不能に連結されている点が第1信号発生部36と異なる。これは、第1操作部材32を操作すると第2操作部材34も連動して揺動するための機構になっているためであり、第1操作部材32を揺動させたときに、第2操作部材34が揺動しても、第2信号発生部38から第2方向の段数変化用の信号を発生させないようにするためである。また、第1パターンF1,第2パターンD,第3パターンE,第4パターンF2共通パターンGも鏡像関係になり、装着部92aの後面に形成されている。その他の部材も第1信号発生部36と鏡像関係にある部材であるので説明を省略する。
【0059】
このような構成の第1信号発生部36(又は第2信号発生部38)では、第1操作開始位置HP1(又は第2操作開始位置HP2)に第1操作部材32(又は第2操作部材34)が配置された状態では、図5(a)に示すように、第1可動コンタクト80(又は第2可動コンタクト90の)一端が第1パターンC1(又はF1)に接触しておらず、他端は共通コンタクトGに接触している。この第1操作開始位置HP1(又は第2操作開始位置HP2)から第3位置P3(又は第6位置P6)に向かって揺動すると、第1可動コンタクト80(又は第2可動コンタクト90)の一端が第1〜第3パターンC1,A,B(又はF1〜D,B)に順に接触・離反し、第3位置P3(又は第6位置P)に至ると、図5(b)に示すように、第1可動コンタクト80(又は第2可動コンタクト90)の一端は、第4パターンC2(又はF2)に接触する。
【0060】
このときの信号発生のタイミングチャートを図6に示す。
【0061】
図6において、第1操作部材32が操作されて第1操作開始位置HP1(又は第2操作開始位置HP2)から揺動を開始すると、最初に第1可動コンタクト80(又は第2可動コンタクト90)が第1パターンC1(又はF1)に接触し信号C(又はF)がオンする。そして、順に第2〜第4パターンA,B,C2(又はD,E.F2)に接触して信号A,信号B、信号Cがオンする。なお、信号Cは、信号Aがオンしてから信号Bがオンするまでの間でいったんオフし、信号Bがオンして信号Aがオフしてからオンする。
【0062】
そしてこれらの2つのオンオフ状態とオンエッジ(信号がオフからオンに変化するタイミング)やオフエッジ(信号がオンからオフに変化するタイミング)を見て、1〜3段変化する信号をオンオフする。具体的には、この実施形態では、第1操作部材32(又は第2操作部材34)が第1操作開始位置HP1(又は第2操作開始位置HP2)から操作され、信号C(又は信号F)がオンの状態のときに信号A(又は信号D)がオンエッジのとき、リアディレーラ97fを第1方向(又は第2方向)に1段変化させる信号がオンしたと後述するリア制御部127r(図9)が判断する。同様に、信号A(又は信号D)がオンの状態のときに信号B(又は信号E)がオンエッジのとき、2段変化させる信号がオンしたと判断し、信号B(又は信号E)がオンの状態のときに信号C(又は信号F)がオンエッジのとき、3段変化させる信号がオンしたと判断する。
【0063】
また、第1操作開始位置HP1(又は第2操作開始位置HP2)に戻るときには、信号B(又は信号E)がオンの状態のときに信号A(又は信号D)がオンエッジのとき、リアディレーラ97fを第1方向(又は第2方向)に3段変化させる信号がオフしたと後述するリア制御部127rが判断する。同様に、信号A(又は信号D)がオンの状態のときに信号C(又は信号F)がオンエッジのとき、2段変化させる信号がオフしたと判断し、信号Cだけがオンの状態のときに信号C(又は信号F)がオンエッジのとき、1段変化させる信号がオフしたと判断する。
【0064】
ここでは、移動方向と交差する方向及び移動方向にずれた複数のパターンを用いて変速のための信号のオン位置とオフ位置とをずらしているので、第1操作部材32が振動により移動しても誤操作が生じにくくなる。
【0065】
<第1及び第2段数報知機構の構成>
第1段数報知機構40と第2段数報知機構42とは、鏡像関係にあるものである。したがって、主に第1段数報知機構について構成を説明する。
【0066】
第1段数報知機構40は、第1操作部材32の第1操作開始位置HP1と第1位置P1との間で第1の報知を行い、第1操作部材32の第1位置P1と第2位置P2との間で第2の報知を行う。さらに第2位置P2と第3位置P3との間で第3の報知を行う。
【0067】
第1段数報知機構40は、図4に及び図7に示すように、前述した第1報知歯43と、第1報知歯43に当接するように装着ピン64dに揺動自在に装着された第1報知爪44と、第1報知爪44を第1報知歯43に向けて付勢する第1付勢部材45と、を有している。第1報知歯43は、部材本体84aと、たとえばインサート成形により一体形成された金属製の部材である。第1報知歯43は、図7に示すように、一番凹んだ第1部分43aと、第1部分43aから階段状に径方向外方に突出した第2〜第4部分43b〜43dを有している。第1報知爪44は、たとえば金属製の部材であり、装着ピン64dに揺動自在に装着される揺動装着部44aと、揺動装着部44aから径方向外方に延びた後に第1報知歯43に向けて突出する爪部44bとを有している。第1付勢部材45は、一端が装着ピン64eに係止され他端が第1報知爪44の背面に係止された捩じりコイルばねである。
【0068】
このような構成の第1段数報知機構40では、図7(a)に示すように、ばね部材73により付勢された第1操作部材32が第1操作開始位置HP1に配置されると、第1報知爪44の爪部44bが第1部分43aと第2部分43bとの境界部分に接触する。この状態で第1操作部材32がばね部材73の付勢力に抗して第1位置P1に向けて操作されると、爪部44bが第2部分43bにより押圧されて、第1報知爪44が図7反時計回りに揺動し、図7(b)に示すように、第2部分43bに乗り上がり中間位置付近で1段変化する信号が発生し、爪部44bが第2部分43bと第3部分43cとの段差部分に接触して第1操作部材32の操作抵抗が強くなる。この乗り上がり時にクリック感が得られるとともに僅かに発音して第1の報知を行う。これにより、ライダーは、第1位置P1に操作したことを認識できる。同様に、第1操作部材32が第2位置P2、第3位置P3に操作されると、爪部44bが第3部分43c,第4部分43dによりそれぞれ押圧されて、第1報知爪44が図7反時計回りに揺動し、図7(c)、図7(d)に示すように、第3部分43c,第4部分43dに乗り上がり、第3部分の中間位置付近及び第4部分に乗り上げてから僅かに移動したところで2段変化する信号及び3段変化する信号が出力される。第2位置P2に操作すると、第3部分43cと第4部分43cとの段差部分で第1操作部材32への操作抵抗が強くなる。第3位置P3に操作すると規制突起68eが連結軸65aに接触して止まる。そして、乗り上がり時にクリック感が得られるとともに僅かに発音して第2及び第3の報知を行う。これにより、ライダーは、第2位置P2,第3位置P3に操作したことを認識できる。
【0069】
また、第1操作開始位置HP1に戻る際には、第1報知爪44が各段差を下りたところで各信号がオフする。
【0070】
ここでは、第1部分43aから第4部分43dにかけて徐々に径が大きくなるので、第1付勢部材45のばね力が徐々に強くなり段差を乗り越えるのに要する操作力が徐々に大きくなる。このため、複数段にわたる変速操作する際に1段だけ変速操作する場合より大きな操作力が必要になり、誤操作を防止できる。
【0071】
第1可動コンタクト80及び第1固定コンタクト82の各パターンC1,A,B,C2は、上記のような位置で各信号がオンオフするように形成されているとともに、配置されている。
【0072】
第2段数報知機構42は、図4に示すように、第1段数報知機構40の各部材と鏡像関係にある第2報知歯46と、第2報知爪47と、第2付勢部材48とを有している。
【0073】
なお、フロントディレーラ97fを操作するブレーキ及び変速操作部110bは、フロントスプロケット群99fが2つのスプロケットしか有していないので、図3に示すように、第1操作部材49(又は第2操作部材51)は、第1操作開始位置HP3(又は第2操作開始位置HP4)から第1位置P7(又は第4位置P8)にだけハンドルバー112の内側に揺動する。このため、ブレーキ及び変速操作部110bの第1及び第2固定コンタクトは、第1及び第2パターンだけを有していればよい。なお、フロントスプロケット群が3つのスプロケットを有する場合は、第2位置(又は第5位置)まで揺動させるようにすれば変速位置を1回の操作で2段変化させることができる。また、フロント変速表示装置119f(図9)がブレーキ及び変速操作部110bにも設けられている。
【0074】
<制御系の構成>
このように構成されたブレーキ及び変速操作部110a,110bは、電気配線によりリアディレーラ97r及びフロントディレーラ97fに接続されている。
【0075】
フロントディレーラ97fの電動駆動部18fは、図9に示すように、フロントディレーラ97f駆動用のモータ125fと、モータ125fを駆動するためのモータ駆動部126fと、モータ駆動部126fをブレーキ及び変速操作部110bからの信号により制御するフロント制御部127f(FD制御部)と、フロントディレーラ97fの変速位置を検出するための位置センサ128fと、を内部に有している。
【0076】
リアディレーラ97rの電動駆動部18rは、電動駆動部18fと同様なモータ125r、モータ駆動部126r、モータ駆動部126rを制御するリア制御部(RD制御部)127r及び変速位置を検出する位置センサ128rを内部に有している。
【0077】
ここで、前後のモータ駆動部126f,126rは、モータ125f,125rの回転を減速する減速ユニット及びモータドライバを含むユニットである。前後の制御部127f,127rは、それぞれ記憶部や演算部等を有するマイクロコンピュータを含む制御回路を有しており、ソフトウェアによりブレーキ及び変速操作部110a,110bから出力される信号に応じてモータ駆動部126f,126rを各別に制御する。前後の位置センサ128f,128rは、各ディレーラ97f,97rの変速位置を検出するための、たとえばロータリエンコーダなどを用いたセンサである。
【0078】
これらのディレーラ97f,97rの各部、ブレーキ及び変速操作部110a,110、表示制御部118及び前後の変速表示装置119f,119rには、フロントディレーラ97fに装着された電源装置20から電力が供給される。具体的には、フロントディレーラ97fの電動駆動部18fには、電源線150及び接地線151を介して電源装置20から、たとえば直流6〜8.4ボルト程度の電源電圧Vの電力が供給される。また、電動駆動部18fから電源線152及び接地線153を介して、リアディレーラ97rの電動駆動部18r及び表示制御部118に電源電圧Vの電力が供給される。
【0079】
また、前後の変速表示装置119f,119r及び前後の変速操作部110a,110bには、表示制御部118を介して電源電圧Vの電力が供給される。また、前後の位置センサ128f,128rの変速位置信号FPOS,RPOSは、位置信号線154を介して表示制御部118に出力され、表示制御部118でそれらを表示信号にして前後の変速表示装置119f,119rで前後のディレーラ97f,97rの変速位置が表示される。また、ブレーキ及び変速操作部110a,110bの操作に応じて出力される変速信号FDS,RDS(信号A−F)は、表示制御部118を経由してそれぞれの変速信号線155,156を通って前後のディレーラ97f,97rに出力される。なお、変速信号RDSの変速信号線156は実際には、電動駆動部18fを経由して電動駆動部18rに接続される。したがって、フロントディレーラ97fの電動駆動部18fは、5芯の配線でたとえばダウンチューブ102cを経由して表示制御部118に接続され、電動駆動部18rは、4芯の配線でたとえばチェーンスティ102dを介して電動駆動部18fと接続される。したがって、電動駆動部18fにこれらの5芯の配線を一括して接続するコネクタを設けてもよい。
【0080】
<リア制御部の変速制御>
次にリア制御部127rによる概略の制御処理について説明する。なお、以降の説明は制御処理の一例であり、本発明の制御処理は、これらの制御処理に限定されない。
【0081】
リア制御部127rでは、図10に示すように、電源が投入されると、ステップS1で初期設定を行う。この初期設定では、各種のフラグや変数が初期化される。ステップS2では、信号AからF及び変速前の変速位置RPOSを読み込む。ステップS3では、信号Cがオンしているか否かを判断する。信号Cがオンしていないと判断するとステップS4に移行し、信号Aがオンしているか否かを判断する。信号Aがオンしていないと判断するとステップS5に移行し、信号Bがオンしているか否かを判断する。これらの全ての信号A−Cがオンしていないと判断するとステップS23に移行し、図11のステップS23以降の第2方向であるシフトアップ処理に移行する。このシフトアップの処理はシフトダウンと処理と連続して行われるが、ここでは、第1方向であるシフトダウンの処理を先に説明する。
【0082】
信号Cがオンしていると判断すると、ステップS3からステップS6に移行する。ステップS6では、信号Aがオンエッジであるか否か、つまり、信号Aがオフからオンに変化したタイミングか否かを判断する。信号Aがオンエッジの場合は変速前の変速位置RPOSから1段シフトダウンの信号SD1をオンするタイミングであるので、ステップS7に移行し、リアディレーラ97rの変速前の変速位置RPOSがR1、つまり最も内方の最大径のスプロケットに応じた変速位置か否かを判断する。変速位置RPOSがR1の場合は、シフトダウンできないのでステップS4に移行する。変速位置RPOSがR1でない場合は、ステップS8に移行し、1段シフトダウンの信号SD1をオンしてモータ駆動部126rで変速前の変速位置RPOSから1段だけのシフトダウン動作を行いステップS4に移行する。信号Aがオンエッジではないと判断すると、ステップS6からステップS9に移行する。ステップS9では、信号Cがオフエッジか否か、つまりオンしていた信号Cがオフに変化したか否かを判断する。信号Cがオフエッジではない場合はステップS4に移行し、オフエッジの場合はステップS10に移行する。ステップS10では、信号A又は信号Bがオンしているか否かを判断する。信号A又は信号Bがオフしている場合は、1段シフトダウンする信号SD1をオフするタイミングであるので、ステップS11に移行して信号SD1をオフする。信号A又はCがオンしている場合はステップS4に移行する。
【0083】
信号Aがオンしていると判断すると、ステップS4からステップS12に移行する。ステップS12では、信号Bがオンエッジであるか否かを判断する。信号Bがオンエッジの場合は、変速前の変速位置RPOSから2段シフトダウンの信号SD2をオンするタイミングであるので、ステップS13に移行し、リアディレーラ97rの変速前の変速位置RPOSがR2、つまり最も内方の最大径のスプロケットの隣のスプロケットに応じた変速位置か否かを判断する。変速位置RPOSがR2の場合は、変速前の変速位置RPOSから2段シフトダウンできないのでステップS5に移行する。変速位置RPOSがR2でない場合は、ステップS14に移行し、2段シフトダウンの信号SD2をオンしてモータ駆動部126rで変速前の変速位置RPOSから2段だけのシフトダウン動作を行いステップS5に移行する。また、信号Bがオンエッジではない場合は、ステップS12からステップS15に移行し、信号Cがオンエッジであるか否かを判断する。信号Cがオンエッジである場合は、第1操作部材32が第2位置P2から戻ったときに信号SD2をオフするタイミングであるので、ステップS16に移行して、信号SD2をオフしてステップS5に移行する。
【0084】
信号Bがオンしていると判断すると、ステップS5からステップS17に移行する。ステップS17では、信号Cがオンエッジであるか否かを判断する。信号Cがオンエッジの場合は、変速前の変速位置RPOSから3段シフトダウンの信号SD3をオンするタイミングであるので、ステップS18に移行し、リアディレーラ97rの変速位置RPOSがR3、つまり最も内方の最大径のスプロケットの2つ隣のスプロケットに応じた変速位置か否かを判断する。変速位置RPOSがR3の場合は、3段シフトダウンできないのでステップS6に移行する。変速位置RPOSがR3でない場合は、ステップS19に移行し、3段シフトダウンの信号SD3をオンしてモータ駆動部126rで3段だけのシフトダウン動作を行いステップS6に移行する。また、信号Cがオンエッジではない場合は、ステップS17からステップS20に移行し、信号Aがオンエッジであるか否かを判断する。信号Aがオンエッジである場合は、第1操作部材32が第3位置P3から戻ったときに信号SD3をオフするタイミングであるので、ステップS21に移行して、信号SD2をオフしてステップS6に移行する。
【0085】
ステップS23〜ステップS41のシフトアップ処理では、ステップS3〜ステップS21と同様な処理を行う。ただし、シフトアップできない場合の判断として、ステップS2で読み込んだ変速前の変速位置RPOSが、ステップS27,33,38で最小径のスプロケットに応じた変速位置R10、その隣のスプロケットに応じた変速位置R9及び最小径のスプロケットの2つ隣のスプロケットに応じた変速位置R8であるか否かを判断する。そして変速前の変速位置RPOSから1段シフトアップする信号SU1、2段シフトアップする信号SU2、及び3段シフトアップする信号SU3を、対応するステップS28,S31、ステップS34,S36、及びステップS38,S41で各別にオンオフする。
【0086】
ここでは、第1操作部材32(又は第2操作部材34)を第1操作開始位置HP1(又は第2操作開始位置HP2)から第1位置P1(又は第4位置P4)及びそれを超えた第2位置P2(又は第5位置P6)及び第3位置P3(又は第6位置(P6)まで移動できるように構成し、それぞれの位置P1,P2,P3(又は位置P4,P5,P6)でリアディレーラ97rの変速位置を1段、2段又は3段シフトダウン(又はシフトアップ)した状態にすることができるので、第1方向(たとえばシフトダウン)(又は第2方向(シフトアップ))の複数の変速位置にわたる変速動作を1回の変速操作で行えるようになる。
【0087】
また、変速のための信号SD1,SD2,SD3(又はSU1,SU2,SU3)のオンオフが第1操作部材32(又は第2操作部材34)の移動方向の異なる位置でなされるので、振動により第1操作部材32(又は第2操作部材34)が移動方向に移動しても頻繁なオンオフが生じなくなる。このため、振動による誤動作を防止できるようになる。
【0088】
<他の実施形態>
(a)前記実施形態では、変速装置としてリアディレーラを例示したが、3以上のスプロケットを有するフロントスプロケット群に対して変速するためのフロントディレーラや3以上の変速位置を有する内装変速装置を変速操作する変速操作装置にも本発明を適用できる。
【0089】
(b)前記実施形態では、ブレーキ操作も行えるブレーキ及び変速操作装置を例に本発明を説明したが、変速操作だけを単独で行う変速操作装置にも本発明を適用できる。
【0090】
(c)前記実施形態では、1回の変速操作で3段変速できる例を説明したが、1回の変速操作で2段変速を行えるものでもよい。
【0091】
(d)前記実施形態では、複数のパターンを有する固定コンタクトを第1及び第2信号発生部用いたが、固定コンタクトと可動コンタクトとを有する市販のスイッチ等を用いて1段及び複数段の変化する信号を発生するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施形態が採用された自転車の側面図。
【図2】そのブレーキ及び変速操作部の断面拡大図。
【図3】そのハンドルバーの正面図。
【図4】ブレーキ及び変速操作部の分解斜視図。
【図5】第1及び第2信号発生部の動作を説明する図。
【図6】第1及び第2信号発生部が発生する信号のタイミングチャート。
【図7】第1操作部材の動作を説明する図。
【図8】第2操作部材の動作を説明する図。
【図9】変速制御システムの構成を示す図。
【図10】リア変速制御部のシフトダウン処理を示すフローチャート。
【図11】リア変速制御部のシフトアップ理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0093】
30 取付部
32,34 第1及び第2操作部材
36,38 第1及び第2信号発生部
40,42 第1及び第2段数報知機構
50 ブレーキブラケット
52 支持部材
80,90 第1及び第2可動コンタクト
82,92 第1固定コンタクト
97r リアディレーラ(変速装置の一例)
112 ハンドルバー
C1,A,B,C2 第1〜第4パターン
HP1 第1操作開始位置
HP2 第2操作開始位置
P1〜P6 第1〜第6位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のハンドルバーに装着可能であり、電気制御可能な変速装置を変速操作するための自転車用変速操作装置であって、
前記ハンドルバーに取付可能な取付部と、
前記取付部に対し第1操作開始位置から移動可能であり操作終了後に前記第1操作開始位置に戻る第1操作部材と、
前記第1操作部材が前記第1操作開始位置から第1位置まで移動すると、前記変速装置の変速位置を現在の変速位置から第1方向に1段変化した状態にするための信号を発生し、前記第1操作部材が前記第1操作開始位置から前記第1位置を超えて第2位置まで移動すると、前記変速装置の変速位置を現在の変速位置から2段変化した状態にするための信号を発生する第1信号発生部と、
を備えた自転車用変速操作装置。
【請求項2】
前記第1信号発生部は、前記第1操作部材が第1操作開始位置から前記第1及び第2位置を超えた第3位置まで移動すると、前記変速装置の変速位置を現在の変速位置から3段変化した状態にするための信号を発生する、請求項1に記載の自転車用変速操作装置。
【請求項3】
前記第1操作部材は、第1軸回りに揺動自在に前記取付部に連結されている、請求項1又は2に記載の自転車用変速操作装置。
【請求項4】
前記取付部は、
前記ハンドルバーに装着可能なブレーキブラケットと、
前記ブレーキブラケットに前記第1軸と食い違う第2軸回りに揺動自在に連結された支持部材と、を有し、
前記第1操作部材は、前記支持部材に前記第1軸回りに揺動自在に連結され、前記支持部材とともに前記第2軸回りに揺動することによりブレーキ操作可能である、請求項3に記載の自転車用変速操作装置。
【請求項5】
前記第1信号発生部は、
前記第1操作部材に連結され、前記第1操作部材の移動に応じて移動する第1可動コンタクトと、
前記取付部に回転不能に連結され前記第1可動コンタクトと接触・離反するよう構成された第1固定コンタクトと、を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の自転車用変速操作装置。
【請求項6】
前記取付部に対し第2操作開始位置から移動可能であり操作終了後に前記第2操作開始位置に戻る第2操作部材と、
前記第2操作部材が前記第2操作開始位置から第4位置まで移動すると、前記変速装置の変速位置を現在の変速位置から第2方向に1段変化した状態にするための信号を発生し、前記第2操作部材が前記第2操作開始位置から前記第4位置を超えて第5位置まで移動すると、前記変速装置の変速位置を現在の変速位置から2段変化した状態にするための信号を発生する第2信号発生部と、
をさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の自転車用変速操作装置。
【請求項7】
前記第2操作部材は、前記第1軸回りに揺動自在に前記取付部に連結されている、請求項6に記載の自転車用変速操作装置。
【請求項8】
前記第1操作部材の前記第1操作開始位置から前記第1位置への揺動方向は、前記第2操作部材の前記第2操作開始位置から前記第4位置への揺動方向と同一である、請求項7に記載の自転車用変速操作装置。
【請求項9】
前記第2信号発生部は、
前記第2操作部材に連結され、前記第2操作部材の移動に応じて移動する第2可動コンタクトと、
前記第1操作部材に回転不能に連結され前記第2可動コンタクトと接触・離反するよう構成された第2固定コンタクトと、を有する、請求項6から8のいずれか1項に記載の自転車用変速操作装置。
【請求項10】
前記第2操作部材は、前記第2操作開始位置から揺動すると単独で揺動し、かつ前記第1操作部材が前記第1操作開始位置から揺動すると一体で揺動するように前記第1操作部材に連結されている、請求項9に記載の自転車用変速操作装置。
【請求項11】
前記変速操作の変化を段数毎に報知する段数報知機構をさらに備え、
前記段数報知機構は、前記第1操作部材の前記第1操作開始位置と前記第1位置との間で第1の報知を行い、前記第1操作部材の前記第1位置と前記第2位置との間で第2の報知を行う、請求項1から10のいずれか1項に記載の自転車用変速操作装置。
【請求項12】
自転車のハンドルバーに装着可能であり、電気制御可能な変速装置を変速操作するための自転車用変速操作装置であって、
前記ハンドルバーに取付可能な取付部と、
前記取付部に対し第1操作開始位置から移動であり操作終了後に前記第1操作開始位置に戻る第1操作部材と、
前記第1操作部材に連結され、前記第1操作部材の移動に応じて移動する第1可動コンタクトと、前記取付部に回転不能に連結され、前記第1可動コンタクトと接触・離反するよう構成された第1固定コンタクトと、を有し、前記第1操作部材が前記第1操作開始位置から第1位置まで移動すると、前記変速装置の変速位置を現在の変速位置から第1方向に1段変化した状態にするための信号をオンし、前記第1位置から前記第1操作開始位置に向けて戻る過程で、オンした位置と異なる位置で前記信号をオフする第1信号発生部と、
を備えた自転車用変速操作装置。
【請求項13】
前記第1固定コンタクトは、
第1パターンと、
前記第1パターンと前記可動コンタクトの移動方向と交差する方向に間隔を隔てて配置され、前記第1パターンに対して前記移動方向にずれて配置された第2パターンを有する、請求項6又は12に記載の自転車用変速操作装置。
【請求項14】
前記第1固定コンタクトは、
前記第1パターンと前記移動方向に間隔を隔てて配置された第3パターンと、
前記第2パターンと前記移動方向に間隔を隔てて配置されかつ前記第3パターンに対して前記移動方向にずれて配置された第4パターンとをさらに有する、請求項13に記載の自転車用変速操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−132934(P2008−132934A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322077(P2006−322077)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】