説明

自転車用表示装置

【課題】自転車の車軸に取り付ける表示装置において、視認性と着脱性に優れた自転車用表示装置を提供する。
【解決手段】自転車の車輪のスポーク間の隙間を通じて車軸に回転自在に取り付け可能な鍔付きのスリーブと、該スリーブの鍔に対して着脱自在に取り付け可能な表示部から構成するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己所有物の印として、あるいは宣伝用、アクセサリーとして自転車の車軸に取り付けられる自転車用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
他人の自転車と識別するために、名前や住所を記載したシールをフレームに貼り付ける方法が一般的に行われている。又一方では自転車の車軸に取り付ける表示板として特開2001−347978号公報、特開2003−276670号公報などに記載されたものが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、名前や住所を記載したシールを自転車のフレームに貼り付ける方法では視認性に乏しいために、例えば自転車が多数駐輪されている駅やスーパーマーケットなどに設置されている大型の駐輪場では容易に自分の自転車を探すことができないという問題があった。又、特開2001−347978号公報に示されているように自転車の車輪に取り付けられるものはあったが、走行時は車輪と一体に回転するために文字などを読み取ることができなかった。又、特開2003−276670号公報に示されている方法は、分割された左右の表示板を車輪のスポークで囲まれた空間において各々組立てた後、さらに左右の表示板を一体化させる必要があり、取り付けの手間や交換が面倒であった。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであり、自転車の車軸に取り付ける表示装置において、視認性と着脱性に優れ、且つ表示の内容によって表示板を静止させたり回転させたり、あるいは揺らぎを生じさせたりすることが容易な自転車用表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は自転車の車軸に取り付ける表示装置において、自転車の車輪のスポーク間の隙間を通じて上記車輪の車軸に回転自在に取り付け可能な鍔付きのスリーブと、該スリーブの鍔に対して着脱自在に取り付け可能な表示部から構成されていることを特徴とする自転車用表示装置である。
【0006】
このようにすると、車軸とリムとを繋ぐスポークとスポークに囲まれた空間内において容易に鍔付きのスリーブを車軸に取り付けることが可能で、且つ前記鍔付きのスリーブの顎部に対して前記表示部を容易に着脱することができる。
【0007】
又、本発明の一実施形態では、前記鍔付きスリーブが軸線方向に延出する割れ目開口を有し、該割れ目開口を通じてスリーブを車軸に嵌め付ける構成になっている。
【0008】
このようにすると、前記鍔付きスリーブに設けた割れ目開口部を車軸に対して押込むことにより容易にスリーブを車軸に嵌め付けることができる。
【0009】
又、本発明の一実施形態では、前記鍔付きスリーブが半割され、半割部同士を雌雄結合部の嵌合により結合することにより鍔付きスリーブを車軸に取り付けることができる構成になっている。
【0010】
このようにすると、半割された2つの鍔付きスリーブを車軸に対して取り囲むように設置し、次に鍔付きスリーブに設けた雌雄結合部の嵌合により結合するだけで容易にスリーブを車軸に嵌め付けることができる。
【0011】
又、本発明の一実施形態では、前記鍔付きスリーブのスリーブ部に、車軸を押付けて固定する手段が設けられている。
【0012】
このようにすると、容易に前記鍔付きスリーブと車軸を一体化させることが可能となり、自転車の走行に伴って前記鍔付きスリーブを、即ち表示装置を回転させることができる。
【0013】
又、本発明の一実施形態では、前記表示部が略円形の板状であって且つ半割り状態に分割されており、前記表示部を一体にした状態においてその中心部に前記スリーブの外径に嵌り合う開口部が設けられ、且つその開口部は前記表示部の外縁方向に向けて小判状の長穴になっている。
【0014】
このようにすると、半割りされた表示部を容易に前記鍔付きスリーブの鍔部において一体化させるように取り付けることが可能になる。又、例えば取り付け位置を中心から偏芯した位置にすれば、表示板の重心が車軸の中心から偏芯した位置になるため、自転車が走行状態即ち車輪が回転した状態であっても表示装置は回転することがなく、走行時においても第三者が表示板を容易に視認することができる。
【0015】
又、本発明の一実施形態では、前記表示部が略円形の板状であってその中心部に前記スリーブの外径に嵌り合う開口部が設けられ、且つその開口部は前記表示部の外縁方向に向けて小判状の長穴になっており、さらに外縁に繋がる補助割れ目開口を備えている。
【0016】
このようにすると、外縁に繋がる補助割れ目開口を通じて表示部の開口部を車軸に嵌め合わせた後、前記鍔付きスリーブの鍔部に取り付けることを容易に行うことができる。又、例えば取り付け位置を中心から偏芯した位置にすれば、表示部の重心が車軸の中心から偏芯した位置になるため、自転車が走行状態即ち車輪が回転した状態であっても表示装置は回転することがなく、走行時においても第三者が表示部を容易に視認することができる。
【0017】
又、本発明の一実施形態では、前記表示部に径方向の内側部から外周側に向かう方向にブレードが設けられている。
【0018】
このようにすると、自転車が走行した際にブレードが風圧を受けて進行方向と反対側にブレードが移動し、表示板が回転することなく走行速度に応じて適度な角度で揺らぎが生じて視覚的にも人目を引く効果がある。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、表示装置は車軸とリムとを繋ぐスポークとスポークに囲まれた空間内において容易に鍔付きのスリーブを車軸に取り付けることが可能で、且つ前記鍔付きのスリーブの顎部に対して前記表示部を容易に着脱することができる。さらに、表示板は鍔付きのスリーブに対して取り付け位置を自由に変更することが可能であって偏芯した位置に取り付けることで重心位置を偏芯させることができ、自転車が走行状態即ち車輪が回転した状態であっても表示装置は回転することがなく、走行時においても第三者が表示板を容易に視認することができる。さらに、表示板のデザインが渦巻き状の場合などにおいて表示板を車輪と共に回転させたい場合には、鍔付きスリーブのスリーブ部に設けた固定手段を働かせることによって容易に行うことができる。又、表示板にブレードを取り付けることで走行時に適度な角度で揺らぎを生じさせることができるなど、表示板のデザインや好みに応じて表示板を車輪と共に回転させたり、静止状態を保ったりあるいは揺らぎを生じさせることが可能な着脱性と視認性に優れた自転車用表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態につき図を参照しながら説明する。なお、便宜上、各図において実質的に同一部分には同一符号を付している。
【0021】
図1は本発明の第二実施の形態に係わる自転車用表示装置を構成する鍔付きスリーブ1を示す図であり、図2はその斜視図である。1aはスリーブ部であり、1bは鍔部である。1cは自転車の車軸に取り付けるために設けられた軸線方向に延出する割れ目開口であり、車軸Xを仮想線で示している。
【0022】
本発明によれば、図3に示す様に前記割れ目開口1cを通じて車軸Xに対して押込むことにより、本装置を容易に車軸Xに取り付けることができる。尚、割れ目開口1cの開口幅は車軸の直径よりも僅かに小さくするのが望ましい。鍔付きスリーブ1は後述の表示部を取り付けるためのものであるために小さな寸法で良く、容易に車軸とリムとを繋ぐスポーク間の隙間を通じてスポークとスポークに囲まれた空間内に挿入することができる。
【0023】
図4は本発明の第五実施の形態に係わる自転車用表示装置を構成する表示部2を示す図である。表示部2は車輪が回転した際にスポークが引っ掛からない様に略円形であり、且つスポークとスポークの隙間を通じて容易にスポークに囲まれた空間に挿入できるように板状であって2aにおいて半割り状態に分割されている。又、前記表示部を一体にした状態においてその中心部に前記スリーブの外径に嵌り合う開口部2bが設けられ、且つその開口部2bは前記表示部の外縁方向に向けて小判状の長穴になっている。前記表示部2を前記鍔付きスリーブ1に取り付けるには、鍔部1bの側面において粘着テープやマジックテープなどを使えば容易に行うことができる。図5の(a)図は前記表示部2を前記鍔付きスリーブ1に対して取り付け位置を偏芯させた状態を示す図である。尚、分割された部分の突合せ部が横ズレしないように(b)図に示すようなズレ止め部2cを設けても良い。
【0024】
本発明によれば、表示部2は半割りされた略円形の板状であるため、大きな外径寸法であっても容易に車軸とリムとを繋ぐスポーク間の隙間を通じてスポークとスポークに囲まれた空間内に挿入して前記鍔付きスリーブに容易に取り付けることができる。又、例えば取り付け位置を中心から偏芯した位置にすれば、表示板の重心が車軸の中心から偏芯した位置になるため、ウエイトなどを使用せずとも自転車が走行状態即ち車輪が回転した状態において表示装置は回転することがなく、走行時においても第三者が表示板を容易に視認することができる。
【0025】
本表示装置を適用するには、図6に示すように、車軸XとリムZとを繋ぐスポークY間の隙間を通じて、前記鍔付きスリーブ1をスポークYとスポークYに囲まれた空間内に挿入し、しかる後に鍔付きスリーブ1に設けた割れ目開口1cを通じて車軸Xに対して押込むことにより、鍔付きスリーブ1を車軸Xに取り付ける。次に表示部2も前記と同様にスポークYとスポークYに囲まれた空間内に挿入した後、図7に示すように前記鍔付きスリーブ1の鍔部1bの側面に取り付ける。図8は本表示装置を取り付けた例を示す正面図である。
【0026】
図9は本発明の第三の実施形態に係わる自転車用表示装置を構成する鍔付きスリーブ11を示す図である。本表示装置11は半割りされており、11aはスリーブ部であり、11bは鍔部である。 11cは雌側結合部であり、11dは雄側結合部であって、図10に示すように夫々の結合部の嵌合により一体化させることができる。
【0027】
本発明によれば、2つの半割された鍔付きスリーブ11を車軸に対して取り囲むように設置し、次に雌雄結合部11c、11dを嵌合して一体化させることによって容易に車軸に取り付けることができる。
【0028】
図11は本発明の第四の実施形態に係わる車軸を押付けるための固定手段を設けた例を示す図である。前記鍔付きスリーブに車軸を押付けて固定する手段3が設けられている。固定手段3は蝶ネジなどを使用して締め付ければ、簡単に鍔付きスリーブと車軸を一体化させることができる。
【0029】
本発明によれば、表示板のデザインが渦巻き状の場合などにおいて表示板を車輪と共に回転させたい場合には、前記固定手段を使用して簡単に行うことができる。
【0030】
図12は本発明の第六の実施形態に係わる自転車用表示装置を構成する表示部21を示す図である。表示部21は回転した際にスポークが引っ掛からない様に略円形であり、且つスポークとスポークの隙間を通じて容易にスポークに囲まれた空間に挿入できるように板状であって、その中心部には前記スリーブの外径に嵌り合う開口部が設けられ、且つその開口部は前記表示部の外縁方向に向けて小判状の長穴21aになっており、さらに外縁に繋がる補助割れ目開口21bを備えている。本表示部21は容易に弾性変形させることができるように、好ましくは厚みが1〜2mm程度の肉薄の硬質塩ビやポリプロピレン、ABS樹脂などが良い。車軸に予め取り付けられた前記鍔付きスリーブに取り付けるには、補助割れ目開口21bをいったん押し開いて車軸部を通過させた後、長穴21a部のしかるべき位置において鍔付きスリーブの鍔の側面に取り付ける。
【0031】
本発明によれば、表示部21は肉薄の板状の一体物であることから、より一層容易に車軸とリムとを繋ぐスポーク間の隙間を通じてスポークとスポークに囲まれた空間内に挿入して前記鍔付きスリーブに容易に取り付けることができる。尚、取り付け位置を偏芯した位置にできることは前述と同様である。
【0032】
図13は本発明の第七の実施形態に係わる自転車用表示装置を構成する表示部22を示す図であり、表示部22には径方向の内周側から外周側に向かう方向にブレード22aが設けられている。尚、好ましくは図14に示すようにブレード22a1部の高さは内周側を前記鍔付きスリーブに取り付けた際に概ね同じ幅になるような高さとし、外周側はスポークに接触しないように高さを低くすると良い。尚、ブレード22aにブレード部22a1と取付部2a2を設けておけば、取付部22a2を表示板22に対して粘着テープやマジックテープを使って容易に着脱することができる。又、図15は車軸に前記表示部22を取り付けて走行している状態を示す図であり、Wは風の流れを模式的に表している。
【0033】
本発明によれば、自転車が走行した際にブレードが風圧を受けて進行方向とは反対方向にブレード部が移動するため、表示板が回転することなく走行速度に応じて適度な角度で揺らぎが生じて視覚的にも人目を引く効果を得る事ができる。
【0034】
本表示装置を構成する前記鍔付きのスリーブと表示部の材質は特には制約されないが、軽量で成形性に優れた硬質塩化ビニル、ABS、ポリプロピレンなどの樹脂が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】 本発明の第二実施の形態に係わる鍔付きスリーブを示す図である。
【図2】 同上の斜視図である。
【図3】 車軸に対して図1に示すスリーブを取り付ける状況を示す図である。
【図4】 本発明の第五実施の形態に係わる表示部を示す図である。
【図5】 表示部を鍔付きスリーブに対して取り付け位置を偏芯させた状態を示す図である。
【図6】 スポークの隙間を通じて鍔付きスリーブをスポークに囲まれた空間内に挿入する状態を示す図である。
【図7】 車軸に本発明の表示装置を取り付けた断面図である。
【図8】 本表示装置を取り付けた例を示す正面図である。
【図9】 本発明の第三の実施形態に係わる鍔付きスリーブを示す図である。
【図10】 同上の鍔付きスリーブを一体化させた状態を示す図である。
【図11】 本発明の第四の実施形態に係わる車軸を押付けるための固定手段を設けた例を示す図である。
【図12】 本発明の第六の実施形態に係わる表示部を示す図である。
【図13】 本発明の第七の実施形態に係わる表示部を示す図である。
【図14】 本発明の第七の実施形態のブレードの例を示す三面図である。
【図15】 車軸に図13に示す表示部を取り付けて走行している状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0036】
1 本発明の第二実施の形態に係わる鍔付きスリーブ
11 本発明の第三実施の形態に係わる鍔付きスリーブ
2 本発明の第五実施の形態に係わる表示部
21 本発明の第六実施の形態に係わる表示部
22 本発明の第七実施の形態に係わる表示部
3 固定手段
W 風の流れ
X 車軸
Y スポーク
Z リム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車の車軸に取り付ける表示装置において、自転車の車輪のスポーク間の隙間を通じて前記車輪の車軸に回転自在に取り付け可能な鍔付きのスリーブと、該スリーブの鍔に対して着脱自在に取り付け可能な表示部から構成されていることを特徴とする自転車用表示装置。
【請求項2】
前記鍔付きスリーブが軸線方向に延出する割れ目開口を有し、該割れ目開口を通じてスリーブを車軸に嵌め付ける構成になっていることを特徴とする請求項1記載の自転車用表示装置。
【請求項3】
前記鍔付きスリーブが半割され、半割部同士を雌雄結合部の嵌合により結合することによりスリーブを車軸に取り付けることができる構成になっていることを特徴とする請求項1記載の自転車用表示装置。
【請求項4】
前記鍔付きスリーブのスリーブ部に、車軸を押付けて固定する手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3記載の自転車用表示装置。
【請求項5】
前記表示部が略円形の板状であって且つ半割り状態に分割されており、前記表示部を一体にした状態においてその中心部に前記スリーブの外形に嵌り合う開口部が設けられ、且つその開口部は前記表示部の外縁方向に向けて小判状の長穴になっていることを特徴とする請求項1乃至4記載の自転車用表示装置。
【請求項6】
前記表示部が略円形の板状であってその中心部に前記スリーブの外形に嵌り合う開口部が設けられ、且つその開口部は前記表示部の外縁方向に向けて小判状の長穴になっており、さらに外縁に繋がる補助割れ目開口を備えていることを特徴とする請求項1乃至4記載の自転車用表示装置。
【請求項7】
前記表示部に径方向の内側部から外周側に向かう方向にブレードが設けられていることを特徴とする請求項1乃至6記載の自転車用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−50872(P2007−50872A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−267617(P2005−267617)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(501468828)有限会社インテス (20)