自転車駐車装置
【課題】自転車をユーザが駐車することを可能にする自転車駐車装置であって、ユーザに要求される作業をそのユーザが安全に行うことを支援するものを提供する。
【解決手段】自転車駐車装置10を、静止部材60と、自転車の前輪と後輪とのうちのいずれかである対象車輪を保持するホルダ62と、そのホルダを静止部材に相対的に昇降可能に連結する連結装置80と、ホルダを駆動する駆動装置110と、ホルダが静止部材に対してロックされたロック状態と、そのロック状態が解除された解除状態とに切り換わるロック装置150と、ホルダにおいて対象車輪を検知する検知装置250と、操作部材190と、検知装置および操作部材をロック装置に、対象車輪がホルダによって保持され、かつ、ユーザが操作部材を操作したときに、ロック装置がロック状態から解除状態に移行するように、連携させる連携装置260とを含むものとする。
【解決手段】自転車駐車装置10を、静止部材60と、自転車の前輪と後輪とのうちのいずれかである対象車輪を保持するホルダ62と、そのホルダを静止部材に相対的に昇降可能に連結する連結装置80と、ホルダを駆動する駆動装置110と、ホルダが静止部材に対してロックされたロック状態と、そのロック状態が解除された解除状態とに切り換わるロック装置150と、ホルダにおいて対象車輪を検知する検知装置250と、操作部材190と、検知装置および操作部材をロック装置に、対象車輪がホルダによって保持され、かつ、ユーザが操作部材を操作したときに、ロック装置がロック状態から解除状態に移行するように、連携させる連携装置260とを含むものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車を駐車することを可能にする装置に関するものであり、特に、ユーザが自転車を駐車するためにそのユーザに要求される作業をそのユーザが安全に行うことを支援する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特に市街地や駅前など、多くの人々が集中し易い地域においては、自転車を利用する人々の利便性のために、多くの台数の自転車を駐車できるスペースの設置が要望される。そのような駐車スペースの設置は、同時に、本来歩行者が歩行すべき歩道や通路に不当に駐車される自転車の台数の減少にもつながり、ひいては、歩行者の安全かつ円滑な通行が確保される。
【0003】
そのような事情を背景にして、自転車を駐車することを可能にするいくつかの技術が既に提案されている。そのような技術の中に、駐輪スペース、すなわち、1台の自転車を駐車するために占有しなければならない地上スペースを削減するために提案された技術が存在する。そのような技術は、例えば、特許文献1に開示されているように、自転車を水平な姿勢で駐車するのではなく、それより起立した姿勢(例えば、完全にまたはほぼ完全に直立した姿勢)で駐車することを可能にする。
【0004】
特許文献1に開示された技術は、垂直面内において揺動可能なアームであって、ユーザの操作をトリガーとして、スプリングの弾性力によって上昇回転させられるものを用いる。この技術によれば、自転車の前輪のリムのうちの上部がアームの先端において捕捉され、その状態で、そのアームがスプリングの弾性力によって上昇回転させられる。それにより、前輪が持ち上げられる。その結果、自転車は、水平姿勢より起立した姿勢で、定位置に保持されることになる。
【特許文献1】特開平10−16843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術を実施するためには、自転車を駐車するためにその自転車の車輪を持ち上げるなど、駐車すべき自転車の姿勢や位置を、特定の機械や器具を利用して変化させる作業がユーザに要求される。そのような機械や器具は、通常、可動部を有する。ユーザは、通常、そのような可動部の近くに位置して、必要な作業を行わなければならない。
【0006】
そのため、自転車を駐車することを可能にする装置においては、上述のような可動部の存在にもかかわらず、ユーザに要求される作業をユーザが安全に行うことを支援することが肝要である。
【0007】
しかしながら、特許文献1は、自転車の前輪を自動的に持ち上げることによってユーザの作業を軽減するための技術は開示しているが、ユーザの安全な作業を支援するための技術は何ら開示していない。
【0008】
以上の事情を背景にして、本発明は、自転車をユーザが駐車することを可能にする装置であって、ユーザに要求される作業をそのユーザが安全に行うことを支援するものを提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
【0010】
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
【0011】
(1) 各々車軸を有する前輪と後輪とがそれぞれ回転可能にフレームに取り付けられて成る自転車をユーザが駐車することを可能にする自転車駐車装置であって、
静止部材と、
前記前輪と前記後輪とのうちのいずれかである対象車輪を着脱可能に保持するためのホルダと、
そのホルダを前記静止部材に、その静止部材に対して相対的に、下降端位置と上昇端位置との間において、昇降可能であるように連結する連結装置と、
前記ホルダを前記静止部材に対して上昇する向きに駆動する駆動装置と、
前記ホルダが前記静止部材に対して前記下降端位置から上昇することを阻止するために前記ホルダが前記静止部材に対してロックされたロック状態と、そのロック状態が解除された解除状態とに切り換わるロック装置と、
前記ホルダにおいて前記対象車輪を検知する検知装置と、
前記ユーザによって操作される操作部材と、
前記検知装置および前記操作部材を前記ロック装置に、前記対象車輪が前記ホルダによって保持され、かつ、前記ユーザが前記操作部材を操作したときに、前記ロック装置が前記ロック状態から前記解除状態に移行するように、連携させる連携装置と
を含む自転車駐車装置。
【0012】
この自転車駐車装置によれば、駐車すべき自転車の対象車輪がホルダによって未だ保持されていない状態で、ユーザが誤って操作部材を操作しようとしても、ロック装置がロック状態に維持される。その結果、ユーザの意に反してホルダが上昇してしまうことが防止される。
【0013】
よって、この自転車駐車装置によれば、例えば、対象車輪をホルダに保持させるための作業の途中で、ユーザが誤って操作部材を操作しようとしても、ホルダひいては対象車輪が下降端位置から上昇しないため、ユーザの安全な作業が確保される。
【0014】
したがって、この自転車駐車装置によれば、ユーザに要求される作業、すなわち、対象車輪をホルダに保持させる作業をそのユーザが安全に行うことが支援される。
【0015】
なお付言するに、本項における「昇降」なる運動は、直線運動によって実現してもよいし、回転運動(揺動運動を含む。)によって実現してもよい。
【0016】
また、本項における「駆動装置」は、対象車輪の上昇がユーザの力を一切必要としない完全自動型として実施してもよいし、ユーザが対象車輪を上昇させることをアシストするアシスト型として実施してもよい。
【0017】
また、本項における「検知装置」は、対象車輪を機械的に検知する形式として実施してもよいし、電気的に、光学的にまたは磁気的に検知する形式として実施してもよい。
【0018】
(2) 前記連携装置は、前記検知装置が前記対象車輪を検知した状態において、前記ユーザが前記操作部材を操作しようとすると、前記ユーザによる前記操作部材の操作を許可し、それにより、前記ロック装置が前記ロック状態から前記解除状態に移行することが許可され、一方、前記検知装置が前記対象車輪を検知していない状態において、前記ユーザが前記操作部材を操作しようとすると、前記ユーザによる前記操作部材の操作を阻止し、それにより、前記ロック装置が前記ロック状態から前記解除状態に移行することが阻止される(1)項に記載の自転車駐車装置。
【0019】
前記(1)項に係る自転車駐車装置においては、ロック装置をロック状態から解除状態に移行させるために、ユーザが、対象車輪をホルダに保持させるとともに、操作部材を操作することが必要である。
【0020】
一方、ユーザが操作部材を操作したことを最終的なトリガーとして、ホルダが上昇して対象車輪が持ち上がるように、当該装置が作動することが、ユーザにとっては自然である。すなわち、ユーザが、対象車輪をホルダに保持させた後に操作部材を操作すると、対象車輪が持ち上がるように、当該装置が作動することが、ユーザにとって自然なのである。
【0021】
このような知見に基づき、本項に係る自転車駐車装置においては、ホルダが対象車輪を保持した状態において、ユーザが操作部材を操作しようとすると、ユーザによる操作部材の操作が許可され、それにより、ロック装置がロック状態から解除状態に移行することが許可される。その結果、ホルダの上昇が開始され、それにより、対象車輪の持ち上げ工程が開始される。
【0022】
この自転車駐車装置においては、さらに、ホルダが対象車輪を保持していない状態において、ユーザが操作部材を操作しようとすると、ユーザによる操作部材の操作が阻止され、それにより、ロック装置がロック状態から解除状態に移行することが阻止される。
【0023】
その結果、ホルダが対象車輪を保持していない状態において、ユーザが誤って操作部材を操作しようとしても、ホルダが上昇することが防止される。さらに、ホルダが対象車輪を保持していない状態において、ユーザが誤って操作部材を操作しようとしても、その操作部材は動かないため、ユーザは、自ら行った操作手順に何らかの異常があることを自ら認識することができる。
【0024】
(3) 前記連結装置は、
水平に延びる中心線を有する中空のハウジングであって、前記静止部材に固定されるものと、
そのハウジング内に、それと同軸的に、かつ、前記ハウジングに対して相対回転可能に配置されたシャフトと、
前記ハウジング内に収容された中空のロータであって、前記シャフトと同軸的に、かつ、そのシャフトに対して相対回転不能に配置されるとともに、前記ホルダと共に回転するものと
を含む(1)または(2)項に記載の自転車駐車装置。
【0025】
この自転車駐車装置によれば、ホルダが垂直面内において揺動することによってホルダが昇降する形式を実現するための一具体例が提供される。
【0026】
(4) 前記ロータは、第1係合部を有し、
前記ロック装置は、
前記第1係合部に選択的に係合可能な第2係合部を有する第1部材であって、前記ロータに対して相対変位可能であるとともに、第3係合部を有するものと、
その第3係合部に選択的に係合可能な第4係合部を有する第2部材であって、前記第1部材に対して相対変位可能であるものと
を含み、
前記ホルダが前記下降端位置にあるときに、前記第1部材の前記第2係合部が前記ロータの前記第1係合部に係合し、それにより、前記ロータの回転が阻止され、
前記ロック装置の前記ロック状態においては、前記第2部材の前記第4係合部が前記第1部材の前記第3係合部に係合し、それにより、前記第1部材の前記第2係合部が前記ロータの前記第1係合部から離脱するように前記第1部材が変位することが阻止され、それにより、前記ロータおよび前記ホルダが回転することが阻止される(3)項に記載の自転車駐車装置。
【0027】
この自転車駐車装置によれば、前記(3)項に係る自転車駐車装置における「ロック装置」を実現するための一具体例が提供される。
【0028】
なお付言するに、この自転車駐車装置の一具体例においては、本項における「第1係合部」は、ロータの外周面に形成された溝または穴である。また、「第1部材」は、垂直に延びる昇降可能なロッドであり、「第2係合部」は、そのロッドの上端部に形成された突起であり、「第3係合部」は、そのロッドの中間部に形成された凹み、溝または穴である。また、「第2部材」は、水平に延びる直線移動可能なロックプレートであり、「第4係合部」は、突起である。
【0029】
(5) 前記ロック装置は、前記第2部材の前記第4係合部が前記第1部材の前記第3係合部に係合している状態においては、前記第1部材が、前記第2係合部および前記ロータに対して相対変位することを阻止し、
前記連携装置は、前記操作部材を前記第1部材に、両者が互いに連動するように連携させるとともに、前記検知装置のうち前記対象車輪の検知の有無に応じて変位する部分を前記第2部材に、前記検知装置が前記対象車輪を検知しない状態では、前記第2部材の前記第3係合部が前記第1部材の前記第2係合部に係合する一方、前記検知装置が前記対象車輪を検知すると、前記第2部材の前記第3係合部が前記第1部材の前記第2係合部から離脱するように変位するように、前記部分と前記第2部材とが互いに連動するように連携させる(4)項に記載の自転車駐車装置。
【0030】
この自転車駐車装置によれば、ホルダが対象車輪を保持していない状態、すなわち、前記第2部材の前記第4係合部が前記第1部材の前記第3係合部に係合している状態においては、前記第1部材の変位が阻止されている。一方、その第1部材は、操作部材と連動するようにその操作部材に連携させられている。
【0031】
したがって、ホルダが対象車輪を保持していない状態において、ユーザが操作部材を操作しようとすると、ユーザによる操作部材の操作が阻止される。
【0032】
その結果、第1部材の第2係合部がロータの第1係合部から離脱する向きに第1部材が変位することが阻止され、それにより、ロータが回転することが阻止され、ひいては、ホルダおよび対象車輪が上昇することが阻止される。
【0033】
(6) 前記連携装置は、前記操作部材を前記第2部材に、前記操作部材が操作されない状態では、前記第2部材の前記第3係合部が前記第1部材の前記第2係合部に係合する一方、前記操作部材が操作されると、前記第2部材の前記第3係合部が前記第1部材の前記第2係合部から離脱するように変位するように、前記操作部材と前記第2部材とが両者が互いに連動するように連携させるとともに、前記検知装置のうち前記対象車輪の検知の有無に応じて変位する部分を前記第1部材に、両者が互いに連動するように連携させる(4)項に記載の自転車駐車装置。
【0034】
この自転車駐車装置によれば、前記(5)項に係る自転車駐車装置とは別の形式の連携装置の一例が提供される。
【0035】
(7) 前記駆動装置は、
前記ホルダに常時、前記静止部材に対して上昇する向きの力を付与するスプリングと、
そのスプリングによって前記ホルダが前記静止部材に対して上昇する際に前記ホルダに抵抗を、その大きさが前記ホルダの位置に応じて変化するように、付与する抵抗付与装置と
を含む(1)ないし(6)項のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【0036】
この自転車駐車装置によれば、ホルダが、その上昇のために、スプリングの弾性力によって駆動されるとともに、ホルダの上昇中に、そのホルダに抵抗が、その大きさがホルダの位置に応じて変化するように、付与される。その結果、ホルダの自動上昇中の速度が、そのホルダの位置に応じて最適化される。
【0037】
この自転車駐車装置によれば、例えば、ホルダの上昇工程の前半においては、大きな抵抗がホルダに付与され、それにより、ホルダが緩やかに上昇するのに対し、その後半においては、小さな抵抗がホルダに付与され、それにより、ホルダが速やかに上昇するというように、ホルダの上昇速度がそのホルダの位置に応じて変化する上昇速度パターンを最適化することが容易となる。
【0038】
(8) 前記駆動装置は、前記ホルダに常時、前記静止部材に対して上昇する向きの力を付与するスプリングを含み、
そのスプリングは、前記シャフトと同軸のスパイラルスプリングまたはコイルスプリングであり、
そのスプリングは、それの一端が前記シャフトに取り付けられる一方、それの他端が前記ハウジングに取り付けられる(3)ないし(6)項のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【0039】
この自転車駐車装置によれば、ホルダの上昇のためにそのホルダに力を付与するスプリングが、密巻きに適しているスパイラル式またはコイル式であるため、そのスプリングの全体構造をコンパクトにしてその収容スペースを節約することが容易となる。
【0040】
(9) 前記駆動装置は、前記ホルダが前記静止部材に対して上昇する際に前記ホルダに抵抗を、その大きさが前記ホルダの位置に応じて変化するように、付与する抵抗付与装置を含み、
その抵抗付与装置は、
前記シャフトに固定されたカムであって、前記ホルダの位置と前記抵抗との間の関係を規定するカムプロファイルを有するものと、
前記ハウジングに変位可能に取り付けられた可動部材であって前記カムに係合するものと、
その可動部材に弾性力を付与することにより、その可動部材が圧力下に前記カムに係合することを可能にするスプリングと
を含む(3)ないし(6)項のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【0041】
この自転車駐車装置によれば、ホルダの上昇速度がそのホルダの位置に応じて変化する上昇速度パターンを、カムを主な要素とする構造により、比較的簡単な構造でありながら高い自由度で実現することが容易となる。
【0042】
(10) 前記ホルダは、前記対象車輪の前記車軸を着脱可能に保持する(1)ないし(9)項のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【0043】
この自転車駐車装置によれば、ホルダが対象車輪を保持するために、そのホルダは、対象車輪のリムのうちの上部ではなく、車軸を保持する。一方、車軸は、対象車輪の重心位置である。よって、対象車輪の車軸を保持する方が、対象車輪のリムのうちの上部を保持するより、対象車輪を力学的に安定した姿勢で保持することが容易となる。
【0044】
その結果、例えば、対象車輪が保持されている状態において、外力により、対象車輪が左右に予定外にぐらつくことを防止することが容易となる。
【0045】
また、車軸は、対象車輪の中心位置でもあるから、対象車輪の車軸を保持する方が、対象車輪のリムのうちの上部を保持するより、ホルダの最大高さを低くすることが容易となる。
【0046】
その結果、当該自転車駐車装置の高さ寸法を低く抑えることも容易となり、ひいては、小型化も容易となる。
【0047】
なお付言するに、本項に記載の構成要素は、前記(1)ないし(9)項に係る自転車駐車装置の特徴的構成要素から切り離して単独で実施することが可能である。
【0048】
(11) 前記対象車輪は、それの中心部にハブを有し、
前記車軸は、それの2か所において、前記フレームのうちの二股状のフォークに、そのフォークに対して相対回転不能に固定されており、
前記車軸は、前記ハブに、軸受を介して回転可能に取り付けられており、
2個または2組の中空のスペーサが、前記軸受と前記フォークとの間に形成された2つの軸方向すきまにそれぞれ、前記車軸に挿入された状態で配置されており、
前記ホルダは、前記2個または2組のスペーサのうちの少なくとも一方である対象スペーサの外周面に着脱可能に係合する係合部を含む(10)項に記載の自転車駐車装置。
【0049】
ほとんどの自転車は、その種類の如何を問わず、車軸に、上述のようなスペーサが装着されている。また、通常、そのようなスペーサが車軸に装着されている状態において、そのようなスペーサを全体的に通過するように延びる垂直面が存在するとともに、その垂直面内には、同じ自転車の他の部品は存在しない。したがって、駐車すべき自転車の前方から上述のスペーサに、物理的な障害物に当たることなく、アクセスすることが可能である。
【0050】
また、ほとんどの自転車においては、車輪の直径の大小を問わず、前述の2個のスペーサは、ほぼ同じ軸方向距離を隔てて配置されている。したがって、それら2個のスペーサを同時に保持する一対のアームを有するように前記ホルダを設計する場合、それら一対のアームを両者間の距離が不変であるように設計しても、ほとんどの自転車に適合可能となる。
【0051】
以上説明したいくつかの知見に基づき、本項における自転車駐車装置においては、ホルダが、2個のスペーサのうちの少なくとも一方である対象スペーサの外周面に着脱可能に係合する係合部を含むように設計されている。
【0052】
本項における「係合部」は、例えば、対象スペーサの外周面に嵌合することが可能な溝または穴として実施してもよい。
【0053】
(12) 前記検知装置は、前記ホルダに、それと一体的に移動可能に設けられ、前記ホルダの位置の如何を問わず、そのホルダにおける前記対象車輪を検知する(1)ないし(11)項のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【0054】
この自転車駐車装置によれば、ホルダの位置の如何を問わず、そのホルダにおける対象車輪を検知することが可能となる。
【0055】
なお付言するに、本項に記載の構成要素は、前記(1)ないし(11)項に係る自転車駐車装置の特徴的構成要素から切り離して単独で実施することが可能である。
【0056】
(13) 前記ロック装置は、ロック位置と解除位置とに変位可能な第3部材を含み、
前記検知装置は、前記対象車輪の検知の有無に応じて変位する第4部材を含み、
前記連携装置は、前記ロック装置と前記検知装置とを互いに連携させるフレキシブルなケーブルを含み、
そのケーブルは、アウタチューブ内にインナワイヤが前記アウタチューブに対して相対移動可能に収容されて構成されており、
前記インナワイヤの一端は、前記ロック装置の前記第3部材に装着される一方、前記インナワイヤの他端は、前記検知装置の前記第4部材に装着される(12)項に記載の自転車駐車装置。
【0057】
(14) 前記検知装置は、前記対象車輪の前記車軸を検知する(10)または(11)項に記載の自転車駐車装置。
【0058】
前記(10)または(11)項に係る自転車駐車装置においては、ホルダが対象車輪の車軸を保持するように設計される。そのホルダは、通常、駐車すべき自転車の種類の如何を問わず、駐車すべき自転車の車軸を、同じ位置において保持するように設計される。
【0059】
一方、自転車の種類によって対象車輪の直径が異なる傾向があるため、例えば、対象車輪のリムを検知することによって対象車輪を検知するように前記検知装置を設計する場合には、その検知装置の、対象車輪の直径のバリエーションに対する汎用性が向上するように工夫しなければならない。
【0060】
これに対し、車軸を検知するように前記検知装置を設計すれば、対象車輪の直径の大小を問わず、同じ位置において保持される車軸を検知すればよくなるから、前記検知装置の設計が容易となる。
【0061】
上述の知見に基づき、本項に係る自転車駐車装置においては、前記検知装置が、対象車輪の車軸を検知するように設計されている。
【0062】
なお付言するに、本項に記載の構成要素は、前記(10)および(11)項に係る自転車駐車装置の特徴的構成要素から切り離して単独で実施することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のうちのいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0064】
図1には、本発明の第1実施形態に従う自転車駐車装置10が、駐車する自転車12と共に、それぞれ側面図で示されている。この自転車駐車装置10は、設置面14(例えば、屋外であるか屋内であるかを問わず、路面)上に設置されている。この自転車駐車装置10は、駐車すべき自転車12のうちの1個の対象車輪を自動的に持ち上げることにより、駐車すべき自転車12を、同図において実線で示す水平姿勢から、同図において二点鎖線で示す起立姿勢(垂直姿勢に近い姿勢)に変化させ、その起立姿勢で自転車12を駐車する。
【0065】
図2に示すように、自転車12は、よく知られているように、各々車軸20,22を有する前輪24と後輪26とがそれぞれ回転可能にフレーム28に取り付けられて構成されている。図3に示すように、フレーム28は、それのフロント部において、二股状のフォーク30を備えている。前輪24は、それの中心部にハブ32を有する。本実施形態においては、前輪24が、自転車駐車装置10によって持ち上げられるべき対象車輪に選定されている。
【0066】
前輪24の車軸20は、それの2か所において、フォーク30に、そのフォーク30に対して相対回転不能に固定されている。車軸20は、ハブ32に、軸受34を介して回転可能に取り付けられている。2個の中空のスペーサ36が、軸受34とフォーク30との間に形成された2つの軸方向すきまにそれぞれ、車軸20に挿入された状態で配置されている。
【0067】
車軸20は、フォーク30から両側にそれぞれ突出する2個の突出部38,38を有しており、それら突出部38,38にそれぞれ、ナット40,40が締結されている。対応するナット40とスペーサ36とが互いに共同することにより、車軸20がフォーク30に固定されている。
【0068】
図1には、さらに、ガイドレール50も示されている。このガイドレール50は、自転車駐車装置10に位置的に関連付けて設置されている。
【0069】
このガイドレール50は、図4(a)には平面図で示すとともに、図4(b)には断面図で示すように、各々真っ直ぐに延びる一対の縦壁52,52と、それら縦壁52,52を、それら縦壁52,52の底部同士において互いに連結する底壁54とを有している。一対の縦壁52,52間に直線溝56が形成されている。その直線溝56は、駐車すべき自転車12の前輪24と後輪26とが嵌り入る幅寸法を有している。
【0070】
この直線溝56は、前輪24の持上げ前にあっては、自転車12を、自転車駐車装置10内の所定位置(前輪24を保持するための位置)に誘導する機能を有する一方、前輪24の持上げ後にあっては、起立姿勢にある自転車12の後輪26が左右方向にみだりに移動しないように後輪26を保持する機能を有する。この直線溝56は、それの一端部において、駐車すべき自転車12の前輪24および後輪26がそれぞれ円滑に直線溝56に侵入可能となるように、先広の入口部58を備えている。
【0071】
図5には、この自転車駐車装置10が断面図で示されている。この自転車駐車装置10は、静止部材としての中空円筒状の支柱60を備えている。その支柱60は、それの下端部において設置面14に固定されている。自転車駐車装置10は、さらに、前輪24を着脱可能に保持するホルダ62を備えている。ホルダ62は、後に別の図面を参照して詳述するように、Y字状アーム64と、一対のホルダプレート66,66と、一対のガイドアーム68,68とを含むように構成されている。
【0072】
図6に示すように、Y字状アーム64は、二股状を成しており、具体的には、1本の基端アーム70と、その基端アーム70の末端から分岐するように平行に延びるU字状アーム72とを有している。
【0073】
図5に示すように、自転車駐車装置10は、さらに、連結装置80を備えている。その連結装置80は、支柱60にホルダ62を、垂直面内において揺動可能に連結するために設けられている。
【0074】
その連結装置80が、図6には斜視図で、図7には分解斜視図で、図8には断面図でそれぞれ示されている。
【0075】
図6に示すように、連結装置80は、中空円筒状のハウジング82を備えている。そのハウジング82は、水平に延びる中心線を有している。このハウジング82は、支柱60の上端部に固定されている。図7および図8に示すように、このハウジング82の両端には一対の端部キャップ84,84がそれぞれ固定され、それにより、このハウジング82が閉塞される。
【0076】
図6および図7に示すように、このハウジング82には、それの軸方向中央位置において周方向に延びる貫通穴86が形成されている。
【0077】
図7および図8に示すように、ハウジング82内には、それと同軸に、1本のシャフト90が収容されている。このシャフト90は、ハウジング82に対して相対回転可能である。このシャフト90の両端部は、一対の端部キャップ84,84により、回転可能、かつ、軸方向移動不能に支持されている。
【0078】
図7に示すように、シャフト90の外周面には、局部的に、面取り加工が施されている。それにより、シャフト90の中心線に平行に延びる平面部92が、その中心線からオフセットした位置に形成されている。この平面部92は、シャフト90が挿入される部品との相対回転を阻止するために用いられる。シャフト90においては、平面部92が形成されている非円筒部分94(断面がD字状を成す部分)と、平面部92が形成されていない円筒部分96とが同軸に並んでいる。
【0079】
図7に示すように、ハウジング82には、それと同軸に、中空円柱状のロータ100が摺動によって回転可能に嵌合されている。このロータ100は、シャフト90の非円筒部分94に同軸に固定されている。その結果、それらロータ100とシャフト90は、互いに一体的に、かつ、ハウジング82に対して相対的に回転させられる。
【0080】
ロータ100の軸方向中央位置に、ロータ100の外周面から半径方向内向きに延びる有底穴102が形成されている。図6に示すように、基端アーム70がハウジング82の外側から、貫通穴86を通過してロータ100に到達し、その基端アーム70の先端がロータ100の有底穴102に挿入されて固定される。その結果、基端アーム70がロータ100と一体的に回転させられる。
【0081】
貫通穴86の長さは、基端アーム70の回転角度範囲より短くないように設定されている。基端アーム70の回転角度範囲、すなわち、ホルダ62の最大上昇量(最大リフト)は、駐車すべき自転車の大きさに依存して前輪24と後輪26との間の距離が変化するにもかかわらず、ホルダ62の上昇端位置においても、後輪26が設置面14から浮上しないように設定されている。したがって、駐車すべき自転車の大きさの如何を問わず、後輪26がガイドレール50の直線溝56内に保持されることになる。
【0082】
図6ないし図9に示すように、連結装置80は、さらに、スパイラルスプリング110を備えている。図7に示すように、シャフト90の円筒部分96には、それの先端面から同軸に延びる縦溝112が形成されている。その円筒部分96が、図8に示すように、スパイラルスプリング110の中央部に挿入される。
【0083】
図9に示すように、スパイラルスプリング110の内端114は、縦溝112内に挿入され、それにより、その内端114がシャフト90に相対回転不能に取り付けられる。一方、スパイラルスプリング110の外端116は、ハウジング82に形成された貫通穴118に挿入されて固定される。
【0084】
シャフト90とハウジング82とが互いに拘束される状態(後述のロッド152がロータ100に係合してそのロータ100の回転が阻止される状態)では、スパイラルスプリング110が巻き締められ、それにより、スパイラルスプリング110に弾性復元力が発生する。これに対し、シャフト90とハウジング82とが互いに解放される状態(後述のロッド152がロータ100から離脱してそのロータ100の回転が許可される状態)では、スパイラルスプリング110は、自身の弾性復元力により、巻き緩む方向に回転することになる。
【0085】
スパイラルスプリング110の弾性変形量ひいては弾性力は、ハウジング82に対するシャフト90の相対回転角度に応じて増加する。スパイラルスプリング110の弾性力は、シャフト90の回転トルクに変化し、さらに、ロータ100の回転トルクに変化し、ひいては、ホルダ62の上昇力に変化する。
【0086】
図6ないし図8に示すように、連結装置80は、さらに、抵抗付与装置130を備えている。その抵抗付与装置130は、スパイラルスプリング110によってロータ100が回転する際にそのロータ100に抵抗を、その大きさがロータ100の角度位置に応じて変化するように、付与する。この抵抗付与装置130は、最終的に、ホルダ62が上昇する際にそのホルダ62に抵抗を、その大きさがホルダ62の位置に応じて変化するように、付与することになる。
【0087】
図6ないし図8および図10に示すように、抵抗付与装置130は、カム132と、プランジャ134と、ケーシング136と、スプリング138とを備えている。
【0088】
カム132は、シャフト90の非円筒部分94に固定され、それにより、それらカム132とシャフト90は一体的に回転させられる。カム132は、図10に側面図で示すように、カム132の外周面にカム面140が形成されている。そのカム面140は、ロータ100の角度位置と、付与すべきカム抵抗力との間の関係を規定するカム132プロファイルを有している。
【0089】
図6および図10に示すように、プランジャ134は、ハウジング82に、それを半径方向に貫通するように、装着されている。プランジャ134は、ハウジング82に、半径方向に相対移動可能に装着されている。このプランジャ134は、それの先端において、カム132のカム面140に摺接するようになっている。図10に示すように、ケーシング136は、プランジャ134を摺動可能に嵌合するとともに、離脱不能に収容している。
【0090】
図10に示すように、スプリング138は、ケーシング136とプランジャ134との間に配置されている。このスプリング138は、プランジャ134を常時、カム132に係合する向きに付勢する。その結果、プランジャ134が圧力下にカム132に係合し、それにより、それらプランジャ134とカム132との間に摩擦力が発生する。この摩擦力が、ロータ100の回転に対する抵抗として作用する。
【0091】
図11には、ロータ100の回転角度と、カム132によって発生させられるカム抵抗力との間の関係、すなわち、ロータ回転角度−カム抵抗力特性の一例がグラフで表されている。同図において、「A,B,C,・・・」は、図10に示すカム面140上の複数の代表点にそれぞれ付された符号A,B,C,・・・にそれぞれ対応する。
【0092】
図11にグラフで表されているロータ回転角度−カム抵抗力特性の例においては、ロータ100が初期位置(ホルダ62の下降端位置に対応する)から回転を開始した段階では、最大のカム抵抗力が発生する。その後、ロータ100の回転角度が増加するにつれて、カム抵抗力が減少し、ロータ100が最終位置(ホルダ62の上昇端位置に対応する)に接近した段階では、最小のカム抵抗力が発生する。
【0093】
一方、この自転車駐車装置10においては、カム抵抗力が大きいほど、ロータ100の回転抵抗が大きい。また、スパイラルスプリング110は、ロータ100の回転角度(初期回転位置からの隔たり角度)が0であるときに最大の弾性力を発生し、その回転角度が0から増加するにつれて、弾性力が実質的にリニアに減少する。一方、ロータ100の回転トルクの合成値は、スパイラルスプリング110の弾性力に基づく回転トルクから、カム抵抗力に基づくカウンタ回転トルクを控除した大きさに等しい。また、ロータ100の回転トルクの合成値が大きいほど、ロータ100の回転速度が大きく、ひいては、ホルダ62の上昇速度が大きい。
【0094】
よって、図11にグラフで表されるロータ回転角度−カム抵抗力特性の例によれば、ホルダ62の上昇中に、そのホルダ62に抵抗が、その大きさがホルダ62の位置に応じて変化するように、付与される。具体的には、ホルダ62の上昇工程の前半においては、大きな抵抗がホルダ62に付与され、それにより、ホルダ62が、抵抗付与装置130が存在しない場合より低速で上昇するという上昇速度パターンが実現される。
【0095】
ところで、ホルダ62の所要上昇時間(すなわち、ホルダ62が下降端位置から上昇端位置まで上昇するまでの所要時間)の短縮を優先させるべく、ホルダ62の上昇開始直後に、そのホルダ62が高速で上昇するようにホルダ62を上昇させることが可能である。しかし、この場合には、ユーザが、ホルダ62の動きの急変についていくことができず、不安を感じる可能性がある。
【0096】
これに対し、上述の上昇速度パターンに従ってホルダ62を上昇させれば、ホルダ62の上昇開始直後に、そのホルダ62が低速で上昇し、そのようなホルダ62の動きにユーザが慣れたころに、ホルダ6高速で上昇するようにホルダ62を上昇させることが可能である。その結果、ホルダ62の所要上昇時間を短縮したいという要請を、ユーザに与える不安を抑えつつ実現することが可能となる。
【0097】
なお付言するに、上述のロータ回転角度−カム抵抗力特性は、任意に設定することが可能であり、例えば、ロータ100の回転角度の如何を問わず、ロータ100の回転トルクの合成値が概して一定に維持されるように、ロータ回転角度−カム抵抗力特性を設定することが可能である。
【0098】
図5に示すように、この自転車駐車装置10は、さらに、ロック装置150を備えている。そのロック装置150は、支柱60内に同軸に昇降可能に収容されたロッド152を備えている。
【0099】
ところで、図5に示すように、ロータ100の外周面には、同一断面上において周方向に隔たって2か所にそれぞれ第1係合穴154および第2係合穴156が形成されている。ロッド152の上端部は、それら2個の係合穴154,156のいずれかに選択的に係合する係合突起158として機能する。
【0100】
ホルダ62が、図5に実線で示す位置すなわち下降端位置にあるときには、ロータ100の第1係合穴154に、上昇端位置にあるロッド152の係合突起158が係合し、その結果、ロータ100が図示の初期位置から回転することが阻止される。
【0101】
これに対し、ホルダ62が、図5に二点鎖線で示す位置すなわち上昇端位置にあるときには、ロータ100の第2係合穴156に、上昇端位置にあるロッド152の係合突起158が係合し、その結果、ロータ100が最大回転位置から回転することが阻止される。
【0102】
図5に示すように、ロック装置150は、さらに、ロッド152を常時、ロータ100に接近する向きに付勢するスプリング160を備えている。そのスプリング160は、それの一端を、ロッド152と一体的に移動するリテーナ162によって支持される一方、それの他端を、支柱60に固定された部材164によって支持されている。
【0103】
図5に示すように、ロック装置150は、さらに、ロックプレート170を備えている。そのロックプレート170は、ロッド152に対して交差する方向(直角な方向か、斜めの方向)に移動可能に、支柱60に支持されている。ロックプレート170は、それの移動方向における中央部に貫通穴172を有している。その貫通穴172をロッド152が通過している。このロックプレート170には、係合突起174が形成されている。
【0104】
ロック装置150は、さらに、ロックプレート170を常時、それの係合突起174がロッド152に接近する向きに付勢するスプリング176を備えている。そのスプリング176は、それの一端を、ロックプレート170の一端部によって支持される一方、それの他端を、支柱60に固定された部材178によって支持されている。
【0105】
図5に示すように、ロッド152の外周面には、ロックプレート170の係合突起174に対向する位置に、係合溝180が形成されている。ロッド152が図示の上昇端位置にあるときには、ロックプレート170の係合突起174がロッド152の係合溝180に係合し、それにより、ロッド152が上昇端位置から下降すること、すなわち、ロッド152の係合突起158がロータ100の第1係合穴154から離脱することが阻止される。
【0106】
具体的には、ロッド152がスプリング160の弾性力によって下降しようとすると、ロッド152の係合溝180における一対の側壁面のうち下向きの側壁面が、ロックプレート170の係合突起174の両表面のうち上向きの表面に当接し、それにより、ロッド152が下降することが阻止される。
【0107】
これに対し、ロックプレート170の係合突起174がロッド152の係合溝180から離脱している状態においては、ロッド152が、上昇および下降することが許可される。
【0108】
図5に示すように、この自転車駐車装置10は、さらに、操作ペダル190を備えている。その操作ペダル190は、ホルダ62の上昇開始または下降開始を許可する指令を自転車駐車装置10に対して発令するためにユーザによって操作される操作部材の一例である。この操作ペダル190は、ロッド152と一体的に昇降するようにそのロッド152に固定されている。この操作ペダル190は、支柱60の下端部近傍に配置されている。
【0109】
ロックプレート170が、それの係合突起174がロッド152の係合溝180に係合している状態(ロックプレート170がロック位置にある状態)においては、ユーザが操作ペダル190を踏み込もうとしても、ロックプレート170がロッド152の下降を阻止するため、ユーザは操作ペダル190を踏み込むことができない。
【0110】
具体的には、ロッド152が下降しようとすると、そのロッド152の係合溝180における一対の側壁面のうち下向きの側壁面が、ロックプレート170の係合突起174の両表面のうち上向きの表面に当接し、それにより、ロッド152が下降することが阻止される。
【0111】
その結果、ロッド152の係合突起158がロータ100の第1係合穴154から離脱せず、ロータ100が初期位置から回転できない。
【0112】
これに対し、ロックプレート170が、それの係合突起174がロッド152の係合溝180から離脱している状態(ロックプレート170が解除位置にある状態)においては、ユーザが操作ペダル190を踏み込もうとすれば、ロックプレート170がロッド152の下降を阻止しないため、ユーザは操作ペダル190を踏み込むことができる。その結果、ロッド152の係合突起158がロータ100の第1係合穴154から離脱し、ロータ100が、スパイラルスプリング110の弾性力によって助勢されて、初期位置から回転する。それにより、ホルダ62が上昇する。
【0113】
図12には、ホルダ62の要部が平面図で示されている。Y字状アーム64は、基端アーム70と、中空のU字状アーム72とを互いに接合することによって構成されている。U字状アーム72は、一対の直線部200,200と、それら直線部200,200をそれらの一端部同士において互いに連結する連結部202とを有している。一対の直線部200,200は、ホルダ62によって保持された前輪24を、隙間を隔てて、両側から挟む。図12には、その前輪24におけるタイヤ204とリム206とがそれぞれ二点鎖線で示されている。
【0114】
一対のホルダプレート66,66は、一対の直線部200,200の2組の両端部のうち連結部202によって連結されていない組の両端部にそれぞれ接合されている。それら一対のホルダプレート66,66は、一対の直線部200,200に接合されていない側において、一対のガイドアーム68,68にそれぞれ接合されている。
【0115】
その結果、ホルダ62においては、一対の直線部200,200のうちの一方と、一対のホルダプレート66,66のうちの一方と、一対のガイドアーム68,68のうちの一方とが一列に並んで組み立てられた第1の部分組立体210と、一対の直線部200,200のうちの他方と、一対のホルダプレート66,66のうちの他方と、一対のガイドアーム68,68のうちの他方とが一列に並んで組み立てられた第2の部分組立体212とが存在する。
【0116】
図12には、一対のホルダプレート66,66に保持されている車軸20が二点鎖線で示されている。具体的には、車軸20が2個のスペーサ36,36を介して一対のホルダプレート66,66によってそれぞれ保持されるとともに、ハブ32が、一対のホルダプレート66,66によって挟まれている。それらホルダプレート66,66は、ハブ32の軸方向寸法より大きい隙間を隔てて互いに対向させられている。
【0117】
図13には、第1の部分組立体210が側面図で示されている。ホルダプレート66の複数の端部のうち、同図において右側に示すものは、前輪24をホルダ62に保持させる際に車軸20が進入する側に位置する進入側端部220である。進入側端部220には、外部からホルダプレート66内への車軸20の進入を案内するためのテーパ状の開口部222が形成されている。
【0118】
ホルダプレート66には、その開口部222から延びる誘導溝224と、その誘導溝224から延びる係合溝226とが形成されている。
【0119】
誘導溝224は、ホルダプレート66の開口部222から、ホルダプレート66の中心部に向かって概して水平に延びている。この誘導溝224は、車軸20に装着されたスペーサ36の直径より大きい幅寸法を有している。
【0120】
これに対し、係合溝226は、誘導溝224の内端から概して垂直に延びている。この係合溝226は、誘導溝224の幅寸法よりは小さいが、車軸20に装着されたスペーサ36の直径よりは大きい幅寸法を有している。係合溝226の両端部のうち、誘導溝224と連結された端部とは反対側の端部にスペーサ36が当接したときに、スペーサ36がホルダプレート66によって保持された状態が実現される。
【0121】
スペーサ36は、係合溝226内に一旦進入すると、ユーザが意図的に前輪24をホルダプレート66から離脱させるための作業をしない限り、係合溝226内に保持されることが望ましい。そのため、本実施形態においては、誘導溝224内に、スペーサ36の予定外の逆行を防止する部材の一例として、ストッパとしての弾性片が配置されている。
【0122】
具体的には、弾性片としてのリーフスプリング230であって局部的に凸状に湾曲させられたものが、そのリーフスプリング230の一端部のみにおいて、誘導溝224における一対の側壁面のうち上側に位置するものに装着されている。そのリーフスプリング230の凸部232は、誘導溝224内のスペーサ36の通路の幅寸法を、そのスペーサ36の直径より小さい寸法に減少させる。
【0123】
さらに、係合溝226内にも、ストッパとしての弾性片の一例であるリーフスプリング234が装着されている。このリーフスプリング234は、スペーサ36が係合溝226のうちの最下端部236(すなわち、係合溝226の両端部のうち、誘導溝224と連結された端部とは反対側の端部)に到達すると、スペーサ36が、ユーザが意図的に力を加えてスペーサ36をその最下端部236から退出させようとしない限り、ホルダ62の上昇端位置において車軸20に作用する自重によってスペーサ36が最下端部236から予定外に退出しないようにするために設けられている。
【0124】
その結果、スペーサ36は、ホルダ62の下降端位置から上昇端位置までの全行程において、係合溝226内の最下端部236に保持されることになり、よって、ロックプレート170も、解除位置に保持されることになる。
【0125】
ガイドアーム68は、ホルダプレート66の開口部222から外向きに、かつ、下降する向きに延びるように、ホルダプレート66に取り付けられている。これにより、ガイドアーム68は、斜めのガイド面240を形成している。そのガイド面240は、ユーザが前輪24の車軸20をホルダプレート66内に進入させる際にその車軸20の移動方向をガイドする機能を有する。このガイドアーム68の先端部は、概して垂直に下降している。
【0126】
具体的には、まず、ユーザが自転車12を前進方向に押して前輪24の車軸20をガイドアーム68に接近させると、その車軸20は、ガイド面240上のいずれかの位置に当接する。その後にもユーザが自転車12を前進方向に押すと、ユーザの力が部分的に、ガイド面240により、車軸20を上昇させる向きの力に変換される。その結果、車軸20が、ガイド面240に沿って上昇し、やがて、誘導溝224内に進入する。その後にもユーザが自転車12を前進方向に押すと、車軸20が係合溝226に沿って自重で落下し、最終的な係合位置に到達する。
【0127】
駐車すべき自転車12の種類により、前輪24の直径が異なり、ひいては、その前輪24の車軸20の、設置面14からの高さHも異なる。図13に示すように、前輪24の直径が大きいために車軸20が高さH1を有する場合には、ガイドレール50上の複数の位置のうち対応するものに車軸20が最初に接触する。これに対し、前輪24の直径が小さいために車軸20が高さH2を有する場合には、ガイドレール50上の複数の位置のうち対応するものに車軸20が最初に接触する。
【0128】
図13に示すように、ホルダプレート66には、前輪24の車軸20が係合溝226に係合されたこと、すなわち、前輪24がホルダ62によって保持されたことを検知する検知装置250が装着されている。この検知装置250は、ホルダプレート66と一体的に移動する。
【0129】
この検知装置250は、車軸20、正確には、スペーサ36と連動するリンク252を有する。そのリンク252の基端部254は、ホルダプレート66に、車軸20に平行な一水平軸線まわりに回動可能に取り付けられている。そのリンク252は、常には、図13に二点鎖線で示す初期位置に位置している。係合溝226内に車軸20が進入すると、車軸20がリンク252に接触し、その後は、車軸20とリンク252とが一体的に移動する。その結果、リンク252が回動し、そのリンク252の自由端部256が所定距離だけ移動する。
【0130】
このようなリンク252の自由端部256の移動は、後述のケーブルを介して、前述のロックプレート170に伝達される。
【0131】
図14には、第2の部分組立体212が側面図で示されている。この第2の部分組立体212におけるホルダプレート66およびガイドアーム68は、第1の部分組立体210と同様な構成を有する。ただし、この第2の部分組立体212には、第1の部分組立体210とは異なり、検知装置250と同じものは装着されていない。
【0132】
図5に示すように、この自転車駐車装置10は、さらに、連携装置260を備えている。その連携装置260は、検知装置250および操作ペダル190をロック装置150に、前輪24の車軸20がホルダ62によって保持され、かつ、ユーザが操作ペダル190を踏み込んだときに、ロック装置150が、ロッド152の係合突起158がロータ100の各係合穴154,156に係合するロック状態から、ロッド152の係合突起158がロータ100の各係合穴154,156から離脱する解除状態に移行するように、連携させる。
【0133】
具体的には、その連携装置260は、検知装置250が前輪24の車軸20を検知した状態において、ユーザが操作ペダル190を踏み込もうとすると、ユーザによる操作ペダル190の踏込みを許可し、それにより、ロック装置150がロック状態から解除状態に移行すること(すなわち、スパイラルスプリング110の弾性力によってロータ100が回転してホルダ62が上昇すること)が許可され、一方、検知装置250が前輪24の車軸20を検知していない状態において、ユーザが操作ペダル190を踏み込もうとすると、ユーザによる操作ペダル190の踏込みを阻止し、それにより、ロック装置150がロック状態から解除状態に移行することが阻止される。
【0134】
上述の機能を実現するため、連携装置260は、ロック装置150と検知装置250とを互いに連携させるフレキシブルなケーブル270を備えている。そのケーブル270は、アウタチューブ272内にインナワイヤ274が、アウタチューブ272に対して相対移動可能に収容されて構成されている。
【0135】
インナワイヤ274の一端は、ロック装置150のロックプレート170に装着されている。具体的には、インナワイヤ274の一端は、ロックプレート170のうち、それの係合突起174がロッド152の係合溝180から離脱するためにロックプレート170が移動する側に位置する部分に装着されている。
【0136】
一方、インナワイヤ274の他端は、検知装置250のリンク252の自由端部256に装着されている。ホルダプレート66の係合溝226内に車軸20が進入した結果、その車軸20がリンク252を押してそのリンク252を回動させると、インナワイヤ274が、スプリング176の弾性力に抗して、ホルダプレート66に接近する向きに引き込まれる。その結果、ロックプレート170が、図5に示す初期位置(ロック位置)から、同図において右方に移動し、それにより、ロックプレート170の係合突起174がロッド152の係合溝180から離脱する。
【0137】
図5に示すように、ケーブル270は、ロックプレート170から延び出た後に、第1の部分組立体210に属するU字状アーム72における1本の直線部200内の空間を通過して、検知装置250に到達するように、取り回されている。
【0138】
図5に示すように、連携装置260は、さらに、連結部材280を備えている。その連結部材280は、操作ペダル190とロッド152とを互いに一体的に移動可能に連結する。
【0139】
次に、この自転車駐車装置10の作動を図15および図16のフローチャートを参照して説明する。
【0140】
まず、ユーザが自転車12を起立姿勢で駐車するための操作手順に関連付けて、この自転車駐車装置10の作動を図15を参照して説明する。
【0141】
まず、ステップS1において、ユーザが、図1に示すように、自転車12をガイドレール50に沿って、前輪24が自転車駐車装置10のホルダ62に接近するように、前進させる。次に、ステップS2において、ユーザが、図13に示すように、前輪24の車軸20をガイドアーム68に沿って上昇させる。
【0142】
続いて、ステップS3において、ユーザが、前輪24の車軸20をホルダプレート66の係合溝226内に挿入する。これにより、前輪24がホルダ62によって保持されることになる。その後、ステップS4において、検知装置250が前輪24の車軸20を検知し、その結果、ケーブル270内のインナワイヤ274が引き込まれる。
【0143】
続いて、ステップS5において、ロックプレート170がロック位置から解除位置に移動させられ、その結果、ロッド152の下降が許可される。その後、ステップS6において、ユーザが操作ペダル190を踏み込む。
【0144】
その結果、ステップS7において、ロッド152が下降する。やがて、ステップS8において、ロッド152がロータ100の第1係合穴154から離脱する。これにより、ロータ100の回転が許可される。
【0145】
その後、ステップS9において、スパイラルスプリング110の弾性力によってロータ100が回転を開始し、その結果、ホルダ62が上昇を開始する。それにより、前輪24の持上げが開始される。
【0146】
続いて、ステップS10において、ユーザが操作ペダル190から足を外す。このとき、ロッド152は、スプリング160の弾性力によって上昇しようとするが、ロッド152の係合突起が、ロータ100の外周面のうち、第1係合穴154も第2係合穴156も形成されていない部分に接触させられるため、ロッド152はロータ100の回転を阻止しない。
【0147】
その後、ステップS11において、ロータ100が最大角度回転させられ、その結果、ホルダ62が上昇端位置に到達する。これにより、前輪24の持上げが完了する。
【0148】
そうすると、ステップS12において、ロッド152の係合突起158がロータ100の第2係合穴156に係合する。それにより、ロータ100の回転が阻止され、ひいては、ホルダ62および前輪24が上昇端位置に保持される。以上で、ユーザが自転車12を起立姿勢で駐車するための一連の操作が終了する。
【0149】
次に、ユーザが自転車12をこの自転車駐車装置10から取り出すための操作手順に関連付けて、この自転車駐車装置10の作動を図16を参照して説明する。
【0150】
まず、ステップS101において、ユーザが操作ペダル190を踏み込む。その踏込みに先立ち、ロックプレート170は解除位置に保持されている。その結果、ステップS102において、ロッド152が下降する。
【0151】
続いて、ステップS103において、ロッド152がロータ100の第2係合穴156から離脱する。その結果、ステップS104において、ロータ100の回転、ひいては、ホルダ62の下降が許可される。
【0152】
その後、ステップS105において、ユーザが前輪24を引き下げることによってホルダ62を下降させる。続いて、ステップS106において、ユーザが操作ペダル190から足を外す。
【0153】
その後、ステップS107において、ユーザがホルダ62を下降端位置まで下降させる。その結果、ステップS108において、ロッド152がロータ100の第1係合穴154に係合する。それにより、ステップS109において、ロータ100の回転、ひいては、ホルダ62の上昇が阻止される。
【0154】
その後、ステップS110において、ユーザが車軸20をホルダプレート66の係合溝226から離脱させる。その結果、ステップS111において、インナワイヤ274がスプリングの弾性力によってもとの位置に戻る。それにより、ロックプレート170が解除位置からロック位置に移動する。その結果、ステップS112において、ロッド152の下降が阻止される。
【0155】
続いて、ステップS113において、ユーザが前輪24の車軸20をガイドアーム68に沿って下降させる。その後、ステップS114において、ユーザが自転車12をガイドレール50に沿って、この自転車駐車装置10から離れる向きに後退させる。以上で、ユーザが自転車12をこの自転車駐車装置10から取り出すための一連の操作が終了する。
【0156】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、説明の便宜上、スパイラルスプリング110が前記(1)項における「駆動装置」の一例を構成し、ケーブル270と連結部材280とが互いに共同して、同項における「連携装置」の一例を構成していると考えることが可能である。
【0157】
さらに、本実施形態においては、説明の便宜上、ロータ100の第1係合穴154が前記(4)項における「第1係合部」の一例を構成し、ロッド152が同項における「第1部材」の一例を構成し、係合突起158が同項における「第2係合部」の一例を構成し、係合溝180が同項における「第3係合部」の一例を構成し、ロックプレート170が同項における「第2部材」の一例を構成し、係合突起174が同項における「第4係合部」の一例を構成していると考えることが可能である。
【0158】
さらに、本実施形態においては、説明の便宜上、プランジャ134が前記(9)項における「可動部材」の一例を構成し、リンク252が前記(5)項における「部分」の一例を構成し、ロックプレート170が前記(13)項における「第3部材」の一例を構成し、リンク252が同項における「第4部材」の一例を構成していると考えることが可能である。
【0159】
なお付言するに、本実施形態においては、1個の下降端位置に対して1個の上昇端位置が割り当てられているが、複数個の上昇端位置であってユーザによって択一されるものを割り当ててもよい。
【0160】
その場合には、例えば、小型の自転車12については、複数個の上昇端位置すなわち車輪保持位置のうち下降端位置に近いものを選択し、それにより、ホルダ62の上昇量を、後輪26が設置面14から浮上することなく、自転車12が概して垂直姿勢となるように、調節し、また、大型の自転車12については、複数個の上昇端位置すなわち車輪保持位置のうち下降端位置から離れたものを選択し、それにより、ホルダ62の上昇量を、後輪26が設置面14から浮上することなく、自転車12が概して垂直姿勢となるように、調節することが可能となる。
【0161】
さらに付言すれば、本実施形態においては、駐車すべき自転車12の重量の如何を問わず、その自転車12が、ユーザの力を必要とせずに、完全に自動的に上昇させられるようになっているが、例えば、最も軽量である自転車12については、ユーザの力を必要とはせずに、自転車12が完全に自動的に上昇させられるが、それより重い自転車12については、途中までは、ユーザの力を必要とはせずに、自転車12が完全に自動的に上昇させられるが、それより高く上昇させるためには、ユーザの力を必要とするように、スパイラルスプリング110の弾性力特性を含む駆動特性を設定してもよい。このようにすれば、最も軽量である自転車12を上昇させる場合に、必要以上に高速に自転車12が上昇させられてしまう事態が回避される。
【0162】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素が多いため、共通する要素については、同一の符号または名称を使用して引用することにより、重複した説明を省略し、異なる要素についてのみ、詳細に説明する。
【0163】
図17には、本実施形態に従う自転車駐車装置300が斜視図で示されている。
【0164】
前述の第1実施形態に従う自転車駐車装置10においては、図6に示すように、それを正面から見た場合に、ホルダ62の中心線(基端アーム70の中心線と一致し、以下、「ホルダ中心線」という。)と、自転車駐車装置10の中心線であって垂直に延びるもの(支柱60の中心線と一致し、以下、「装置中心線」という。)とが、共に、同一の垂直面であって自転車駐車装置10の前後方向に延びるものの上に存在する。すなわち、ホルダ62の回転運動中にホルダ中心線が描く軌跡である垂直面内に装置中心線が存在するのである。
【0165】
なお付言するに、ホルダ62の回転運動中にホルダ中心線が描く軌跡である垂直面は、自転車12を駐車するためのその自転車12の動作中にその自転車12の垂直中心線が描く軌跡である垂直面と一致する。
【0166】
これに対し、図17に示すように、自転車駐車装置300においては、ホルダ中心線が、装置中心線に対して、自転車駐車装置300の右側または左側にオフセットした位置に設定されている。その結果、操作ペダル190の動作中にその操作ペダル190が描く軌跡である垂直面と、ホルダ62の回転運動中にホルダ中心線が描く軌跡である垂直面とが、互いに異ならせられる。
【0167】
上述のレイアウトを実現するために、図17に示すように、シャフト90の両端部のうちの一方が部分的に、ハウジング82の端部キャップ84から露出させられる。シャフト90のうち、その露出させられた部分に、ホルダ62が取り付けられる。
【0168】
したがって、本実施形態によれば、ユーザは、操作ペダル190を踏み込む動作と、自転車12を掴んで動かす動作とを、それぞれ、互いに異なる垂直面上において行うことが可能となる。その結果、ユーザは、操作ペダル190を踏み込む動作と、自転車12を掴んで動かす動作とを、同一の垂直面上において行わなければならない場合より、自然な姿勢で必要な動作を行うことが容易となり、操作性が向上する。
【0169】
さらに、本実施形態によれば、第1実施形態とは異なり、ホルダ62をロータ100に取り付けるために、ホルダ62をハウジング82の円筒壁部を半径方向に貫通させずに済む。よって、本実施形態によれば、例えば、連結装置80の構造を単純化したり、必要な防水対策を軽減したりして、自転車駐車装置300をコストダウンすることが容易となる。
【0170】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素が多いため、共通する要素については、同一の符号または名称を使用して引用することにより、重複した説明を省略し、異なる要素についてのみ、詳細に説明する。
【0171】
図18には、本実施形態に従う自転車駐車装置320が斜視図で示されている。この自転車駐車装置320は、図17に示す自転車駐車装置300と同様に、ホルダ中心線が、装置中心線に対して、自転車駐車装置300の右側または左側(本実施形態においては、自転車駐車装置300に向かって右側)にオフセットした位置に設定されている。
【0172】
さらに、この自転車駐車装置320においては、操作ペダル190の動作中にその操作ペダル190が描く軌跡である垂直面(以下、「ペダル軌跡面」というが、図18においては、「ペダル中心線」で表す。)が、装置中心線に対して、ホルダ中心線とは反対側に、すなわち、本実施形態においては、自転車駐車装置300に向かって左側にオフセットした位置に設定されている。
【0173】
ユーザは、その左足322を設置面14上に置いたまま、その右足324で操作ペダル190を踏み込むのが一般的であり、この場合には、操作ペダル190を踏み込むためにユーザが位置する位置におけるそのユーザの中心線(図18においては、「人体中心線」で表す。)が、装置中心線に対して、操作ペダル190と同じ側にオフセットさせられることになる。
【0174】
したがって、本実施形態によれば、ユーザの操作性を向上させるために人体中心線とホルダ中心線との距離を、図17に示す自転車駐車装置300より長くすることが必要である場合に、必要なレイアウトを実現することが容易となる。
【0175】
なお付言するに、図6に示す自転車駐車装置10の部品レイアウトを、ホルダ中心線は装置中心線と一致するが、操作ペダル190(図5参照)のペダル中心線は、装置中心線に対し、自転車駐車装置10の右側または左側にオフセットするように変更した態様で本発明を実施することも可能である。
【0176】
次に、本発明の第4実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素が多いため、共通する要素については、同一の符号または名称を使用して引用することにより、重複した説明を省略し、異なる要素についてのみ、詳細に説明する。
【0177】
第1実施形態においては、ホルダ62によって前輪24を保持するために、図19に二点鎖線で示すように、前輪24の車軸20における一対のスペーサ36,36が、車軸20の軸方向において互いに対向する一対のホルダプレート66,66によってそれぞれ保持される。一対のスペーサ36,36は、車軸20に関連する複数の部品のうち一対のフォーク30,30の内側に位置するものの一例である。
【0178】
これに対し、本実施形態に従う自転車駐車装置360においては、ホルダ62によって前輪24を保持するために、図19に実線で示すように、前輪24の車軸20における一対の突出部38,38に螺合された一対のナット40,40が、一対のホルダプレート66,66によってそれぞれ保持される。一対のナット40,40は、車軸20に関連する複数の部品のうち一対のフォーク30,30の外側に位置するものの一例である。
【0179】
以上、本発明のいくつかの実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の開示]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】本発明の第1実施形態に従う自転車駐車装置10の外観を示す側面図である。
【図2】図1に示す自転車駐車装置10によって駐車される自転車12の一例を示す側面図である。
【図3】図2に示す自転車12の前輪24の車軸20まわりの構造を説明するための部分正面断面図である。
【図4】図4(a)は図1に示すガイドレール50を示す平面図、図4(b)はそのガイドレール50を示す正面図である。
【図5】図1に示す自転車駐車装置10を示す部分側面断面図である。
【図6】図5に示す自転車駐車装置10のうちの連結装置80を示す斜視図である。
【図7】図6に示す連結装置80を示す分解斜視図である。
【図8】図5に示す連結装置80を示す縦断面図である。
【図9】図5に示す連結装置80を示す横断面図である。
【図10】図5に示す連結装置80を示す別の横断面図である。
【図11】図10に示すカム132の特性を説明するためのグラフである。
【図12】図5に示すホルダ62を示す正面図である。
【図13】図12に示すホルダ62を構成する第1および第2の部分組立体210,212のうちの第1の部分組立体210を示す側面図である。
【図14】図12に示すホルダ62を構成する第1および第2の部分組立体210,212のうちの第2の部分組立体212を示す側面図である。
【図15】図1に示す自転車駐車装置10に自転車12を駐車するためのユーザの操作手順を時系列的に表すフローチャートである。
【図16】図1に示す自転車駐車装置10から自転車12を取り出すためのユーザの操作手順を時系列的に表すフローチャートである。
【図17】本発明の第2実施形態に従う自転車駐車装置300の外観を示す斜視図である。
【図18】本発明の第3実施形態に従う自転車駐車装置320の外観を示す正面図である。
【図19】本発明の第4実施形態に従う自転車駐車装置360において自転車12の前輪24の車軸20が保持される機構を説明するための正面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車を駐車することを可能にする装置に関するものであり、特に、ユーザが自転車を駐車するためにそのユーザに要求される作業をそのユーザが安全に行うことを支援する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特に市街地や駅前など、多くの人々が集中し易い地域においては、自転車を利用する人々の利便性のために、多くの台数の自転車を駐車できるスペースの設置が要望される。そのような駐車スペースの設置は、同時に、本来歩行者が歩行すべき歩道や通路に不当に駐車される自転車の台数の減少にもつながり、ひいては、歩行者の安全かつ円滑な通行が確保される。
【0003】
そのような事情を背景にして、自転車を駐車することを可能にするいくつかの技術が既に提案されている。そのような技術の中に、駐輪スペース、すなわち、1台の自転車を駐車するために占有しなければならない地上スペースを削減するために提案された技術が存在する。そのような技術は、例えば、特許文献1に開示されているように、自転車を水平な姿勢で駐車するのではなく、それより起立した姿勢(例えば、完全にまたはほぼ完全に直立した姿勢)で駐車することを可能にする。
【0004】
特許文献1に開示された技術は、垂直面内において揺動可能なアームであって、ユーザの操作をトリガーとして、スプリングの弾性力によって上昇回転させられるものを用いる。この技術によれば、自転車の前輪のリムのうちの上部がアームの先端において捕捉され、その状態で、そのアームがスプリングの弾性力によって上昇回転させられる。それにより、前輪が持ち上げられる。その結果、自転車は、水平姿勢より起立した姿勢で、定位置に保持されることになる。
【特許文献1】特開平10−16843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術を実施するためには、自転車を駐車するためにその自転車の車輪を持ち上げるなど、駐車すべき自転車の姿勢や位置を、特定の機械や器具を利用して変化させる作業がユーザに要求される。そのような機械や器具は、通常、可動部を有する。ユーザは、通常、そのような可動部の近くに位置して、必要な作業を行わなければならない。
【0006】
そのため、自転車を駐車することを可能にする装置においては、上述のような可動部の存在にもかかわらず、ユーザに要求される作業をユーザが安全に行うことを支援することが肝要である。
【0007】
しかしながら、特許文献1は、自転車の前輪を自動的に持ち上げることによってユーザの作業を軽減するための技術は開示しているが、ユーザの安全な作業を支援するための技術は何ら開示していない。
【0008】
以上の事情を背景にして、本発明は、自転車をユーザが駐車することを可能にする装置であって、ユーザに要求される作業をそのユーザが安全に行うことを支援するものを提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
【0010】
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
【0011】
(1) 各々車軸を有する前輪と後輪とがそれぞれ回転可能にフレームに取り付けられて成る自転車をユーザが駐車することを可能にする自転車駐車装置であって、
静止部材と、
前記前輪と前記後輪とのうちのいずれかである対象車輪を着脱可能に保持するためのホルダと、
そのホルダを前記静止部材に、その静止部材に対して相対的に、下降端位置と上昇端位置との間において、昇降可能であるように連結する連結装置と、
前記ホルダを前記静止部材に対して上昇する向きに駆動する駆動装置と、
前記ホルダが前記静止部材に対して前記下降端位置から上昇することを阻止するために前記ホルダが前記静止部材に対してロックされたロック状態と、そのロック状態が解除された解除状態とに切り換わるロック装置と、
前記ホルダにおいて前記対象車輪を検知する検知装置と、
前記ユーザによって操作される操作部材と、
前記検知装置および前記操作部材を前記ロック装置に、前記対象車輪が前記ホルダによって保持され、かつ、前記ユーザが前記操作部材を操作したときに、前記ロック装置が前記ロック状態から前記解除状態に移行するように、連携させる連携装置と
を含む自転車駐車装置。
【0012】
この自転車駐車装置によれば、駐車すべき自転車の対象車輪がホルダによって未だ保持されていない状態で、ユーザが誤って操作部材を操作しようとしても、ロック装置がロック状態に維持される。その結果、ユーザの意に反してホルダが上昇してしまうことが防止される。
【0013】
よって、この自転車駐車装置によれば、例えば、対象車輪をホルダに保持させるための作業の途中で、ユーザが誤って操作部材を操作しようとしても、ホルダひいては対象車輪が下降端位置から上昇しないため、ユーザの安全な作業が確保される。
【0014】
したがって、この自転車駐車装置によれば、ユーザに要求される作業、すなわち、対象車輪をホルダに保持させる作業をそのユーザが安全に行うことが支援される。
【0015】
なお付言するに、本項における「昇降」なる運動は、直線運動によって実現してもよいし、回転運動(揺動運動を含む。)によって実現してもよい。
【0016】
また、本項における「駆動装置」は、対象車輪の上昇がユーザの力を一切必要としない完全自動型として実施してもよいし、ユーザが対象車輪を上昇させることをアシストするアシスト型として実施してもよい。
【0017】
また、本項における「検知装置」は、対象車輪を機械的に検知する形式として実施してもよいし、電気的に、光学的にまたは磁気的に検知する形式として実施してもよい。
【0018】
(2) 前記連携装置は、前記検知装置が前記対象車輪を検知した状態において、前記ユーザが前記操作部材を操作しようとすると、前記ユーザによる前記操作部材の操作を許可し、それにより、前記ロック装置が前記ロック状態から前記解除状態に移行することが許可され、一方、前記検知装置が前記対象車輪を検知していない状態において、前記ユーザが前記操作部材を操作しようとすると、前記ユーザによる前記操作部材の操作を阻止し、それにより、前記ロック装置が前記ロック状態から前記解除状態に移行することが阻止される(1)項に記載の自転車駐車装置。
【0019】
前記(1)項に係る自転車駐車装置においては、ロック装置をロック状態から解除状態に移行させるために、ユーザが、対象車輪をホルダに保持させるとともに、操作部材を操作することが必要である。
【0020】
一方、ユーザが操作部材を操作したことを最終的なトリガーとして、ホルダが上昇して対象車輪が持ち上がるように、当該装置が作動することが、ユーザにとっては自然である。すなわち、ユーザが、対象車輪をホルダに保持させた後に操作部材を操作すると、対象車輪が持ち上がるように、当該装置が作動することが、ユーザにとって自然なのである。
【0021】
このような知見に基づき、本項に係る自転車駐車装置においては、ホルダが対象車輪を保持した状態において、ユーザが操作部材を操作しようとすると、ユーザによる操作部材の操作が許可され、それにより、ロック装置がロック状態から解除状態に移行することが許可される。その結果、ホルダの上昇が開始され、それにより、対象車輪の持ち上げ工程が開始される。
【0022】
この自転車駐車装置においては、さらに、ホルダが対象車輪を保持していない状態において、ユーザが操作部材を操作しようとすると、ユーザによる操作部材の操作が阻止され、それにより、ロック装置がロック状態から解除状態に移行することが阻止される。
【0023】
その結果、ホルダが対象車輪を保持していない状態において、ユーザが誤って操作部材を操作しようとしても、ホルダが上昇することが防止される。さらに、ホルダが対象車輪を保持していない状態において、ユーザが誤って操作部材を操作しようとしても、その操作部材は動かないため、ユーザは、自ら行った操作手順に何らかの異常があることを自ら認識することができる。
【0024】
(3) 前記連結装置は、
水平に延びる中心線を有する中空のハウジングであって、前記静止部材に固定されるものと、
そのハウジング内に、それと同軸的に、かつ、前記ハウジングに対して相対回転可能に配置されたシャフトと、
前記ハウジング内に収容された中空のロータであって、前記シャフトと同軸的に、かつ、そのシャフトに対して相対回転不能に配置されるとともに、前記ホルダと共に回転するものと
を含む(1)または(2)項に記載の自転車駐車装置。
【0025】
この自転車駐車装置によれば、ホルダが垂直面内において揺動することによってホルダが昇降する形式を実現するための一具体例が提供される。
【0026】
(4) 前記ロータは、第1係合部を有し、
前記ロック装置は、
前記第1係合部に選択的に係合可能な第2係合部を有する第1部材であって、前記ロータに対して相対変位可能であるとともに、第3係合部を有するものと、
その第3係合部に選択的に係合可能な第4係合部を有する第2部材であって、前記第1部材に対して相対変位可能であるものと
を含み、
前記ホルダが前記下降端位置にあるときに、前記第1部材の前記第2係合部が前記ロータの前記第1係合部に係合し、それにより、前記ロータの回転が阻止され、
前記ロック装置の前記ロック状態においては、前記第2部材の前記第4係合部が前記第1部材の前記第3係合部に係合し、それにより、前記第1部材の前記第2係合部が前記ロータの前記第1係合部から離脱するように前記第1部材が変位することが阻止され、それにより、前記ロータおよび前記ホルダが回転することが阻止される(3)項に記載の自転車駐車装置。
【0027】
この自転車駐車装置によれば、前記(3)項に係る自転車駐車装置における「ロック装置」を実現するための一具体例が提供される。
【0028】
なお付言するに、この自転車駐車装置の一具体例においては、本項における「第1係合部」は、ロータの外周面に形成された溝または穴である。また、「第1部材」は、垂直に延びる昇降可能なロッドであり、「第2係合部」は、そのロッドの上端部に形成された突起であり、「第3係合部」は、そのロッドの中間部に形成された凹み、溝または穴である。また、「第2部材」は、水平に延びる直線移動可能なロックプレートであり、「第4係合部」は、突起である。
【0029】
(5) 前記ロック装置は、前記第2部材の前記第4係合部が前記第1部材の前記第3係合部に係合している状態においては、前記第1部材が、前記第2係合部および前記ロータに対して相対変位することを阻止し、
前記連携装置は、前記操作部材を前記第1部材に、両者が互いに連動するように連携させるとともに、前記検知装置のうち前記対象車輪の検知の有無に応じて変位する部分を前記第2部材に、前記検知装置が前記対象車輪を検知しない状態では、前記第2部材の前記第3係合部が前記第1部材の前記第2係合部に係合する一方、前記検知装置が前記対象車輪を検知すると、前記第2部材の前記第3係合部が前記第1部材の前記第2係合部から離脱するように変位するように、前記部分と前記第2部材とが互いに連動するように連携させる(4)項に記載の自転車駐車装置。
【0030】
この自転車駐車装置によれば、ホルダが対象車輪を保持していない状態、すなわち、前記第2部材の前記第4係合部が前記第1部材の前記第3係合部に係合している状態においては、前記第1部材の変位が阻止されている。一方、その第1部材は、操作部材と連動するようにその操作部材に連携させられている。
【0031】
したがって、ホルダが対象車輪を保持していない状態において、ユーザが操作部材を操作しようとすると、ユーザによる操作部材の操作が阻止される。
【0032】
その結果、第1部材の第2係合部がロータの第1係合部から離脱する向きに第1部材が変位することが阻止され、それにより、ロータが回転することが阻止され、ひいては、ホルダおよび対象車輪が上昇することが阻止される。
【0033】
(6) 前記連携装置は、前記操作部材を前記第2部材に、前記操作部材が操作されない状態では、前記第2部材の前記第3係合部が前記第1部材の前記第2係合部に係合する一方、前記操作部材が操作されると、前記第2部材の前記第3係合部が前記第1部材の前記第2係合部から離脱するように変位するように、前記操作部材と前記第2部材とが両者が互いに連動するように連携させるとともに、前記検知装置のうち前記対象車輪の検知の有無に応じて変位する部分を前記第1部材に、両者が互いに連動するように連携させる(4)項に記載の自転車駐車装置。
【0034】
この自転車駐車装置によれば、前記(5)項に係る自転車駐車装置とは別の形式の連携装置の一例が提供される。
【0035】
(7) 前記駆動装置は、
前記ホルダに常時、前記静止部材に対して上昇する向きの力を付与するスプリングと、
そのスプリングによって前記ホルダが前記静止部材に対して上昇する際に前記ホルダに抵抗を、その大きさが前記ホルダの位置に応じて変化するように、付与する抵抗付与装置と
を含む(1)ないし(6)項のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【0036】
この自転車駐車装置によれば、ホルダが、その上昇のために、スプリングの弾性力によって駆動されるとともに、ホルダの上昇中に、そのホルダに抵抗が、その大きさがホルダの位置に応じて変化するように、付与される。その結果、ホルダの自動上昇中の速度が、そのホルダの位置に応じて最適化される。
【0037】
この自転車駐車装置によれば、例えば、ホルダの上昇工程の前半においては、大きな抵抗がホルダに付与され、それにより、ホルダが緩やかに上昇するのに対し、その後半においては、小さな抵抗がホルダに付与され、それにより、ホルダが速やかに上昇するというように、ホルダの上昇速度がそのホルダの位置に応じて変化する上昇速度パターンを最適化することが容易となる。
【0038】
(8) 前記駆動装置は、前記ホルダに常時、前記静止部材に対して上昇する向きの力を付与するスプリングを含み、
そのスプリングは、前記シャフトと同軸のスパイラルスプリングまたはコイルスプリングであり、
そのスプリングは、それの一端が前記シャフトに取り付けられる一方、それの他端が前記ハウジングに取り付けられる(3)ないし(6)項のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【0039】
この自転車駐車装置によれば、ホルダの上昇のためにそのホルダに力を付与するスプリングが、密巻きに適しているスパイラル式またはコイル式であるため、そのスプリングの全体構造をコンパクトにしてその収容スペースを節約することが容易となる。
【0040】
(9) 前記駆動装置は、前記ホルダが前記静止部材に対して上昇する際に前記ホルダに抵抗を、その大きさが前記ホルダの位置に応じて変化するように、付与する抵抗付与装置を含み、
その抵抗付与装置は、
前記シャフトに固定されたカムであって、前記ホルダの位置と前記抵抗との間の関係を規定するカムプロファイルを有するものと、
前記ハウジングに変位可能に取り付けられた可動部材であって前記カムに係合するものと、
その可動部材に弾性力を付与することにより、その可動部材が圧力下に前記カムに係合することを可能にするスプリングと
を含む(3)ないし(6)項のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【0041】
この自転車駐車装置によれば、ホルダの上昇速度がそのホルダの位置に応じて変化する上昇速度パターンを、カムを主な要素とする構造により、比較的簡単な構造でありながら高い自由度で実現することが容易となる。
【0042】
(10) 前記ホルダは、前記対象車輪の前記車軸を着脱可能に保持する(1)ないし(9)項のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【0043】
この自転車駐車装置によれば、ホルダが対象車輪を保持するために、そのホルダは、対象車輪のリムのうちの上部ではなく、車軸を保持する。一方、車軸は、対象車輪の重心位置である。よって、対象車輪の車軸を保持する方が、対象車輪のリムのうちの上部を保持するより、対象車輪を力学的に安定した姿勢で保持することが容易となる。
【0044】
その結果、例えば、対象車輪が保持されている状態において、外力により、対象車輪が左右に予定外にぐらつくことを防止することが容易となる。
【0045】
また、車軸は、対象車輪の中心位置でもあるから、対象車輪の車軸を保持する方が、対象車輪のリムのうちの上部を保持するより、ホルダの最大高さを低くすることが容易となる。
【0046】
その結果、当該自転車駐車装置の高さ寸法を低く抑えることも容易となり、ひいては、小型化も容易となる。
【0047】
なお付言するに、本項に記載の構成要素は、前記(1)ないし(9)項に係る自転車駐車装置の特徴的構成要素から切り離して単独で実施することが可能である。
【0048】
(11) 前記対象車輪は、それの中心部にハブを有し、
前記車軸は、それの2か所において、前記フレームのうちの二股状のフォークに、そのフォークに対して相対回転不能に固定されており、
前記車軸は、前記ハブに、軸受を介して回転可能に取り付けられており、
2個または2組の中空のスペーサが、前記軸受と前記フォークとの間に形成された2つの軸方向すきまにそれぞれ、前記車軸に挿入された状態で配置されており、
前記ホルダは、前記2個または2組のスペーサのうちの少なくとも一方である対象スペーサの外周面に着脱可能に係合する係合部を含む(10)項に記載の自転車駐車装置。
【0049】
ほとんどの自転車は、その種類の如何を問わず、車軸に、上述のようなスペーサが装着されている。また、通常、そのようなスペーサが車軸に装着されている状態において、そのようなスペーサを全体的に通過するように延びる垂直面が存在するとともに、その垂直面内には、同じ自転車の他の部品は存在しない。したがって、駐車すべき自転車の前方から上述のスペーサに、物理的な障害物に当たることなく、アクセスすることが可能である。
【0050】
また、ほとんどの自転車においては、車輪の直径の大小を問わず、前述の2個のスペーサは、ほぼ同じ軸方向距離を隔てて配置されている。したがって、それら2個のスペーサを同時に保持する一対のアームを有するように前記ホルダを設計する場合、それら一対のアームを両者間の距離が不変であるように設計しても、ほとんどの自転車に適合可能となる。
【0051】
以上説明したいくつかの知見に基づき、本項における自転車駐車装置においては、ホルダが、2個のスペーサのうちの少なくとも一方である対象スペーサの外周面に着脱可能に係合する係合部を含むように設計されている。
【0052】
本項における「係合部」は、例えば、対象スペーサの外周面に嵌合することが可能な溝または穴として実施してもよい。
【0053】
(12) 前記検知装置は、前記ホルダに、それと一体的に移動可能に設けられ、前記ホルダの位置の如何を問わず、そのホルダにおける前記対象車輪を検知する(1)ないし(11)項のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【0054】
この自転車駐車装置によれば、ホルダの位置の如何を問わず、そのホルダにおける対象車輪を検知することが可能となる。
【0055】
なお付言するに、本項に記載の構成要素は、前記(1)ないし(11)項に係る自転車駐車装置の特徴的構成要素から切り離して単独で実施することが可能である。
【0056】
(13) 前記ロック装置は、ロック位置と解除位置とに変位可能な第3部材を含み、
前記検知装置は、前記対象車輪の検知の有無に応じて変位する第4部材を含み、
前記連携装置は、前記ロック装置と前記検知装置とを互いに連携させるフレキシブルなケーブルを含み、
そのケーブルは、アウタチューブ内にインナワイヤが前記アウタチューブに対して相対移動可能に収容されて構成されており、
前記インナワイヤの一端は、前記ロック装置の前記第3部材に装着される一方、前記インナワイヤの他端は、前記検知装置の前記第4部材に装着される(12)項に記載の自転車駐車装置。
【0057】
(14) 前記検知装置は、前記対象車輪の前記車軸を検知する(10)または(11)項に記載の自転車駐車装置。
【0058】
前記(10)または(11)項に係る自転車駐車装置においては、ホルダが対象車輪の車軸を保持するように設計される。そのホルダは、通常、駐車すべき自転車の種類の如何を問わず、駐車すべき自転車の車軸を、同じ位置において保持するように設計される。
【0059】
一方、自転車の種類によって対象車輪の直径が異なる傾向があるため、例えば、対象車輪のリムを検知することによって対象車輪を検知するように前記検知装置を設計する場合には、その検知装置の、対象車輪の直径のバリエーションに対する汎用性が向上するように工夫しなければならない。
【0060】
これに対し、車軸を検知するように前記検知装置を設計すれば、対象車輪の直径の大小を問わず、同じ位置において保持される車軸を検知すればよくなるから、前記検知装置の設計が容易となる。
【0061】
上述の知見に基づき、本項に係る自転車駐車装置においては、前記検知装置が、対象車輪の車軸を検知するように設計されている。
【0062】
なお付言するに、本項に記載の構成要素は、前記(10)および(11)項に係る自転車駐車装置の特徴的構成要素から切り離して単独で実施することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のうちのいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0064】
図1には、本発明の第1実施形態に従う自転車駐車装置10が、駐車する自転車12と共に、それぞれ側面図で示されている。この自転車駐車装置10は、設置面14(例えば、屋外であるか屋内であるかを問わず、路面)上に設置されている。この自転車駐車装置10は、駐車すべき自転車12のうちの1個の対象車輪を自動的に持ち上げることにより、駐車すべき自転車12を、同図において実線で示す水平姿勢から、同図において二点鎖線で示す起立姿勢(垂直姿勢に近い姿勢)に変化させ、その起立姿勢で自転車12を駐車する。
【0065】
図2に示すように、自転車12は、よく知られているように、各々車軸20,22を有する前輪24と後輪26とがそれぞれ回転可能にフレーム28に取り付けられて構成されている。図3に示すように、フレーム28は、それのフロント部において、二股状のフォーク30を備えている。前輪24は、それの中心部にハブ32を有する。本実施形態においては、前輪24が、自転車駐車装置10によって持ち上げられるべき対象車輪に選定されている。
【0066】
前輪24の車軸20は、それの2か所において、フォーク30に、そのフォーク30に対して相対回転不能に固定されている。車軸20は、ハブ32に、軸受34を介して回転可能に取り付けられている。2個の中空のスペーサ36が、軸受34とフォーク30との間に形成された2つの軸方向すきまにそれぞれ、車軸20に挿入された状態で配置されている。
【0067】
車軸20は、フォーク30から両側にそれぞれ突出する2個の突出部38,38を有しており、それら突出部38,38にそれぞれ、ナット40,40が締結されている。対応するナット40とスペーサ36とが互いに共同することにより、車軸20がフォーク30に固定されている。
【0068】
図1には、さらに、ガイドレール50も示されている。このガイドレール50は、自転車駐車装置10に位置的に関連付けて設置されている。
【0069】
このガイドレール50は、図4(a)には平面図で示すとともに、図4(b)には断面図で示すように、各々真っ直ぐに延びる一対の縦壁52,52と、それら縦壁52,52を、それら縦壁52,52の底部同士において互いに連結する底壁54とを有している。一対の縦壁52,52間に直線溝56が形成されている。その直線溝56は、駐車すべき自転車12の前輪24と後輪26とが嵌り入る幅寸法を有している。
【0070】
この直線溝56は、前輪24の持上げ前にあっては、自転車12を、自転車駐車装置10内の所定位置(前輪24を保持するための位置)に誘導する機能を有する一方、前輪24の持上げ後にあっては、起立姿勢にある自転車12の後輪26が左右方向にみだりに移動しないように後輪26を保持する機能を有する。この直線溝56は、それの一端部において、駐車すべき自転車12の前輪24および後輪26がそれぞれ円滑に直線溝56に侵入可能となるように、先広の入口部58を備えている。
【0071】
図5には、この自転車駐車装置10が断面図で示されている。この自転車駐車装置10は、静止部材としての中空円筒状の支柱60を備えている。その支柱60は、それの下端部において設置面14に固定されている。自転車駐車装置10は、さらに、前輪24を着脱可能に保持するホルダ62を備えている。ホルダ62は、後に別の図面を参照して詳述するように、Y字状アーム64と、一対のホルダプレート66,66と、一対のガイドアーム68,68とを含むように構成されている。
【0072】
図6に示すように、Y字状アーム64は、二股状を成しており、具体的には、1本の基端アーム70と、その基端アーム70の末端から分岐するように平行に延びるU字状アーム72とを有している。
【0073】
図5に示すように、自転車駐車装置10は、さらに、連結装置80を備えている。その連結装置80は、支柱60にホルダ62を、垂直面内において揺動可能に連結するために設けられている。
【0074】
その連結装置80が、図6には斜視図で、図7には分解斜視図で、図8には断面図でそれぞれ示されている。
【0075】
図6に示すように、連結装置80は、中空円筒状のハウジング82を備えている。そのハウジング82は、水平に延びる中心線を有している。このハウジング82は、支柱60の上端部に固定されている。図7および図8に示すように、このハウジング82の両端には一対の端部キャップ84,84がそれぞれ固定され、それにより、このハウジング82が閉塞される。
【0076】
図6および図7に示すように、このハウジング82には、それの軸方向中央位置において周方向に延びる貫通穴86が形成されている。
【0077】
図7および図8に示すように、ハウジング82内には、それと同軸に、1本のシャフト90が収容されている。このシャフト90は、ハウジング82に対して相対回転可能である。このシャフト90の両端部は、一対の端部キャップ84,84により、回転可能、かつ、軸方向移動不能に支持されている。
【0078】
図7に示すように、シャフト90の外周面には、局部的に、面取り加工が施されている。それにより、シャフト90の中心線に平行に延びる平面部92が、その中心線からオフセットした位置に形成されている。この平面部92は、シャフト90が挿入される部品との相対回転を阻止するために用いられる。シャフト90においては、平面部92が形成されている非円筒部分94(断面がD字状を成す部分)と、平面部92が形成されていない円筒部分96とが同軸に並んでいる。
【0079】
図7に示すように、ハウジング82には、それと同軸に、中空円柱状のロータ100が摺動によって回転可能に嵌合されている。このロータ100は、シャフト90の非円筒部分94に同軸に固定されている。その結果、それらロータ100とシャフト90は、互いに一体的に、かつ、ハウジング82に対して相対的に回転させられる。
【0080】
ロータ100の軸方向中央位置に、ロータ100の外周面から半径方向内向きに延びる有底穴102が形成されている。図6に示すように、基端アーム70がハウジング82の外側から、貫通穴86を通過してロータ100に到達し、その基端アーム70の先端がロータ100の有底穴102に挿入されて固定される。その結果、基端アーム70がロータ100と一体的に回転させられる。
【0081】
貫通穴86の長さは、基端アーム70の回転角度範囲より短くないように設定されている。基端アーム70の回転角度範囲、すなわち、ホルダ62の最大上昇量(最大リフト)は、駐車すべき自転車の大きさに依存して前輪24と後輪26との間の距離が変化するにもかかわらず、ホルダ62の上昇端位置においても、後輪26が設置面14から浮上しないように設定されている。したがって、駐車すべき自転車の大きさの如何を問わず、後輪26がガイドレール50の直線溝56内に保持されることになる。
【0082】
図6ないし図9に示すように、連結装置80は、さらに、スパイラルスプリング110を備えている。図7に示すように、シャフト90の円筒部分96には、それの先端面から同軸に延びる縦溝112が形成されている。その円筒部分96が、図8に示すように、スパイラルスプリング110の中央部に挿入される。
【0083】
図9に示すように、スパイラルスプリング110の内端114は、縦溝112内に挿入され、それにより、その内端114がシャフト90に相対回転不能に取り付けられる。一方、スパイラルスプリング110の外端116は、ハウジング82に形成された貫通穴118に挿入されて固定される。
【0084】
シャフト90とハウジング82とが互いに拘束される状態(後述のロッド152がロータ100に係合してそのロータ100の回転が阻止される状態)では、スパイラルスプリング110が巻き締められ、それにより、スパイラルスプリング110に弾性復元力が発生する。これに対し、シャフト90とハウジング82とが互いに解放される状態(後述のロッド152がロータ100から離脱してそのロータ100の回転が許可される状態)では、スパイラルスプリング110は、自身の弾性復元力により、巻き緩む方向に回転することになる。
【0085】
スパイラルスプリング110の弾性変形量ひいては弾性力は、ハウジング82に対するシャフト90の相対回転角度に応じて増加する。スパイラルスプリング110の弾性力は、シャフト90の回転トルクに変化し、さらに、ロータ100の回転トルクに変化し、ひいては、ホルダ62の上昇力に変化する。
【0086】
図6ないし図8に示すように、連結装置80は、さらに、抵抗付与装置130を備えている。その抵抗付与装置130は、スパイラルスプリング110によってロータ100が回転する際にそのロータ100に抵抗を、その大きさがロータ100の角度位置に応じて変化するように、付与する。この抵抗付与装置130は、最終的に、ホルダ62が上昇する際にそのホルダ62に抵抗を、その大きさがホルダ62の位置に応じて変化するように、付与することになる。
【0087】
図6ないし図8および図10に示すように、抵抗付与装置130は、カム132と、プランジャ134と、ケーシング136と、スプリング138とを備えている。
【0088】
カム132は、シャフト90の非円筒部分94に固定され、それにより、それらカム132とシャフト90は一体的に回転させられる。カム132は、図10に側面図で示すように、カム132の外周面にカム面140が形成されている。そのカム面140は、ロータ100の角度位置と、付与すべきカム抵抗力との間の関係を規定するカム132プロファイルを有している。
【0089】
図6および図10に示すように、プランジャ134は、ハウジング82に、それを半径方向に貫通するように、装着されている。プランジャ134は、ハウジング82に、半径方向に相対移動可能に装着されている。このプランジャ134は、それの先端において、カム132のカム面140に摺接するようになっている。図10に示すように、ケーシング136は、プランジャ134を摺動可能に嵌合するとともに、離脱不能に収容している。
【0090】
図10に示すように、スプリング138は、ケーシング136とプランジャ134との間に配置されている。このスプリング138は、プランジャ134を常時、カム132に係合する向きに付勢する。その結果、プランジャ134が圧力下にカム132に係合し、それにより、それらプランジャ134とカム132との間に摩擦力が発生する。この摩擦力が、ロータ100の回転に対する抵抗として作用する。
【0091】
図11には、ロータ100の回転角度と、カム132によって発生させられるカム抵抗力との間の関係、すなわち、ロータ回転角度−カム抵抗力特性の一例がグラフで表されている。同図において、「A,B,C,・・・」は、図10に示すカム面140上の複数の代表点にそれぞれ付された符号A,B,C,・・・にそれぞれ対応する。
【0092】
図11にグラフで表されているロータ回転角度−カム抵抗力特性の例においては、ロータ100が初期位置(ホルダ62の下降端位置に対応する)から回転を開始した段階では、最大のカム抵抗力が発生する。その後、ロータ100の回転角度が増加するにつれて、カム抵抗力が減少し、ロータ100が最終位置(ホルダ62の上昇端位置に対応する)に接近した段階では、最小のカム抵抗力が発生する。
【0093】
一方、この自転車駐車装置10においては、カム抵抗力が大きいほど、ロータ100の回転抵抗が大きい。また、スパイラルスプリング110は、ロータ100の回転角度(初期回転位置からの隔たり角度)が0であるときに最大の弾性力を発生し、その回転角度が0から増加するにつれて、弾性力が実質的にリニアに減少する。一方、ロータ100の回転トルクの合成値は、スパイラルスプリング110の弾性力に基づく回転トルクから、カム抵抗力に基づくカウンタ回転トルクを控除した大きさに等しい。また、ロータ100の回転トルクの合成値が大きいほど、ロータ100の回転速度が大きく、ひいては、ホルダ62の上昇速度が大きい。
【0094】
よって、図11にグラフで表されるロータ回転角度−カム抵抗力特性の例によれば、ホルダ62の上昇中に、そのホルダ62に抵抗が、その大きさがホルダ62の位置に応じて変化するように、付与される。具体的には、ホルダ62の上昇工程の前半においては、大きな抵抗がホルダ62に付与され、それにより、ホルダ62が、抵抗付与装置130が存在しない場合より低速で上昇するという上昇速度パターンが実現される。
【0095】
ところで、ホルダ62の所要上昇時間(すなわち、ホルダ62が下降端位置から上昇端位置まで上昇するまでの所要時間)の短縮を優先させるべく、ホルダ62の上昇開始直後に、そのホルダ62が高速で上昇するようにホルダ62を上昇させることが可能である。しかし、この場合には、ユーザが、ホルダ62の動きの急変についていくことができず、不安を感じる可能性がある。
【0096】
これに対し、上述の上昇速度パターンに従ってホルダ62を上昇させれば、ホルダ62の上昇開始直後に、そのホルダ62が低速で上昇し、そのようなホルダ62の動きにユーザが慣れたころに、ホルダ6高速で上昇するようにホルダ62を上昇させることが可能である。その結果、ホルダ62の所要上昇時間を短縮したいという要請を、ユーザに与える不安を抑えつつ実現することが可能となる。
【0097】
なお付言するに、上述のロータ回転角度−カム抵抗力特性は、任意に設定することが可能であり、例えば、ロータ100の回転角度の如何を問わず、ロータ100の回転トルクの合成値が概して一定に維持されるように、ロータ回転角度−カム抵抗力特性を設定することが可能である。
【0098】
図5に示すように、この自転車駐車装置10は、さらに、ロック装置150を備えている。そのロック装置150は、支柱60内に同軸に昇降可能に収容されたロッド152を備えている。
【0099】
ところで、図5に示すように、ロータ100の外周面には、同一断面上において周方向に隔たって2か所にそれぞれ第1係合穴154および第2係合穴156が形成されている。ロッド152の上端部は、それら2個の係合穴154,156のいずれかに選択的に係合する係合突起158として機能する。
【0100】
ホルダ62が、図5に実線で示す位置すなわち下降端位置にあるときには、ロータ100の第1係合穴154に、上昇端位置にあるロッド152の係合突起158が係合し、その結果、ロータ100が図示の初期位置から回転することが阻止される。
【0101】
これに対し、ホルダ62が、図5に二点鎖線で示す位置すなわち上昇端位置にあるときには、ロータ100の第2係合穴156に、上昇端位置にあるロッド152の係合突起158が係合し、その結果、ロータ100が最大回転位置から回転することが阻止される。
【0102】
図5に示すように、ロック装置150は、さらに、ロッド152を常時、ロータ100に接近する向きに付勢するスプリング160を備えている。そのスプリング160は、それの一端を、ロッド152と一体的に移動するリテーナ162によって支持される一方、それの他端を、支柱60に固定された部材164によって支持されている。
【0103】
図5に示すように、ロック装置150は、さらに、ロックプレート170を備えている。そのロックプレート170は、ロッド152に対して交差する方向(直角な方向か、斜めの方向)に移動可能に、支柱60に支持されている。ロックプレート170は、それの移動方向における中央部に貫通穴172を有している。その貫通穴172をロッド152が通過している。このロックプレート170には、係合突起174が形成されている。
【0104】
ロック装置150は、さらに、ロックプレート170を常時、それの係合突起174がロッド152に接近する向きに付勢するスプリング176を備えている。そのスプリング176は、それの一端を、ロックプレート170の一端部によって支持される一方、それの他端を、支柱60に固定された部材178によって支持されている。
【0105】
図5に示すように、ロッド152の外周面には、ロックプレート170の係合突起174に対向する位置に、係合溝180が形成されている。ロッド152が図示の上昇端位置にあるときには、ロックプレート170の係合突起174がロッド152の係合溝180に係合し、それにより、ロッド152が上昇端位置から下降すること、すなわち、ロッド152の係合突起158がロータ100の第1係合穴154から離脱することが阻止される。
【0106】
具体的には、ロッド152がスプリング160の弾性力によって下降しようとすると、ロッド152の係合溝180における一対の側壁面のうち下向きの側壁面が、ロックプレート170の係合突起174の両表面のうち上向きの表面に当接し、それにより、ロッド152が下降することが阻止される。
【0107】
これに対し、ロックプレート170の係合突起174がロッド152の係合溝180から離脱している状態においては、ロッド152が、上昇および下降することが許可される。
【0108】
図5に示すように、この自転車駐車装置10は、さらに、操作ペダル190を備えている。その操作ペダル190は、ホルダ62の上昇開始または下降開始を許可する指令を自転車駐車装置10に対して発令するためにユーザによって操作される操作部材の一例である。この操作ペダル190は、ロッド152と一体的に昇降するようにそのロッド152に固定されている。この操作ペダル190は、支柱60の下端部近傍に配置されている。
【0109】
ロックプレート170が、それの係合突起174がロッド152の係合溝180に係合している状態(ロックプレート170がロック位置にある状態)においては、ユーザが操作ペダル190を踏み込もうとしても、ロックプレート170がロッド152の下降を阻止するため、ユーザは操作ペダル190を踏み込むことができない。
【0110】
具体的には、ロッド152が下降しようとすると、そのロッド152の係合溝180における一対の側壁面のうち下向きの側壁面が、ロックプレート170の係合突起174の両表面のうち上向きの表面に当接し、それにより、ロッド152が下降することが阻止される。
【0111】
その結果、ロッド152の係合突起158がロータ100の第1係合穴154から離脱せず、ロータ100が初期位置から回転できない。
【0112】
これに対し、ロックプレート170が、それの係合突起174がロッド152の係合溝180から離脱している状態(ロックプレート170が解除位置にある状態)においては、ユーザが操作ペダル190を踏み込もうとすれば、ロックプレート170がロッド152の下降を阻止しないため、ユーザは操作ペダル190を踏み込むことができる。その結果、ロッド152の係合突起158がロータ100の第1係合穴154から離脱し、ロータ100が、スパイラルスプリング110の弾性力によって助勢されて、初期位置から回転する。それにより、ホルダ62が上昇する。
【0113】
図12には、ホルダ62の要部が平面図で示されている。Y字状アーム64は、基端アーム70と、中空のU字状アーム72とを互いに接合することによって構成されている。U字状アーム72は、一対の直線部200,200と、それら直線部200,200をそれらの一端部同士において互いに連結する連結部202とを有している。一対の直線部200,200は、ホルダ62によって保持された前輪24を、隙間を隔てて、両側から挟む。図12には、その前輪24におけるタイヤ204とリム206とがそれぞれ二点鎖線で示されている。
【0114】
一対のホルダプレート66,66は、一対の直線部200,200の2組の両端部のうち連結部202によって連結されていない組の両端部にそれぞれ接合されている。それら一対のホルダプレート66,66は、一対の直線部200,200に接合されていない側において、一対のガイドアーム68,68にそれぞれ接合されている。
【0115】
その結果、ホルダ62においては、一対の直線部200,200のうちの一方と、一対のホルダプレート66,66のうちの一方と、一対のガイドアーム68,68のうちの一方とが一列に並んで組み立てられた第1の部分組立体210と、一対の直線部200,200のうちの他方と、一対のホルダプレート66,66のうちの他方と、一対のガイドアーム68,68のうちの他方とが一列に並んで組み立てられた第2の部分組立体212とが存在する。
【0116】
図12には、一対のホルダプレート66,66に保持されている車軸20が二点鎖線で示されている。具体的には、車軸20が2個のスペーサ36,36を介して一対のホルダプレート66,66によってそれぞれ保持されるとともに、ハブ32が、一対のホルダプレート66,66によって挟まれている。それらホルダプレート66,66は、ハブ32の軸方向寸法より大きい隙間を隔てて互いに対向させられている。
【0117】
図13には、第1の部分組立体210が側面図で示されている。ホルダプレート66の複数の端部のうち、同図において右側に示すものは、前輪24をホルダ62に保持させる際に車軸20が進入する側に位置する進入側端部220である。進入側端部220には、外部からホルダプレート66内への車軸20の進入を案内するためのテーパ状の開口部222が形成されている。
【0118】
ホルダプレート66には、その開口部222から延びる誘導溝224と、その誘導溝224から延びる係合溝226とが形成されている。
【0119】
誘導溝224は、ホルダプレート66の開口部222から、ホルダプレート66の中心部に向かって概して水平に延びている。この誘導溝224は、車軸20に装着されたスペーサ36の直径より大きい幅寸法を有している。
【0120】
これに対し、係合溝226は、誘導溝224の内端から概して垂直に延びている。この係合溝226は、誘導溝224の幅寸法よりは小さいが、車軸20に装着されたスペーサ36の直径よりは大きい幅寸法を有している。係合溝226の両端部のうち、誘導溝224と連結された端部とは反対側の端部にスペーサ36が当接したときに、スペーサ36がホルダプレート66によって保持された状態が実現される。
【0121】
スペーサ36は、係合溝226内に一旦進入すると、ユーザが意図的に前輪24をホルダプレート66から離脱させるための作業をしない限り、係合溝226内に保持されることが望ましい。そのため、本実施形態においては、誘導溝224内に、スペーサ36の予定外の逆行を防止する部材の一例として、ストッパとしての弾性片が配置されている。
【0122】
具体的には、弾性片としてのリーフスプリング230であって局部的に凸状に湾曲させられたものが、そのリーフスプリング230の一端部のみにおいて、誘導溝224における一対の側壁面のうち上側に位置するものに装着されている。そのリーフスプリング230の凸部232は、誘導溝224内のスペーサ36の通路の幅寸法を、そのスペーサ36の直径より小さい寸法に減少させる。
【0123】
さらに、係合溝226内にも、ストッパとしての弾性片の一例であるリーフスプリング234が装着されている。このリーフスプリング234は、スペーサ36が係合溝226のうちの最下端部236(すなわち、係合溝226の両端部のうち、誘導溝224と連結された端部とは反対側の端部)に到達すると、スペーサ36が、ユーザが意図的に力を加えてスペーサ36をその最下端部236から退出させようとしない限り、ホルダ62の上昇端位置において車軸20に作用する自重によってスペーサ36が最下端部236から予定外に退出しないようにするために設けられている。
【0124】
その結果、スペーサ36は、ホルダ62の下降端位置から上昇端位置までの全行程において、係合溝226内の最下端部236に保持されることになり、よって、ロックプレート170も、解除位置に保持されることになる。
【0125】
ガイドアーム68は、ホルダプレート66の開口部222から外向きに、かつ、下降する向きに延びるように、ホルダプレート66に取り付けられている。これにより、ガイドアーム68は、斜めのガイド面240を形成している。そのガイド面240は、ユーザが前輪24の車軸20をホルダプレート66内に進入させる際にその車軸20の移動方向をガイドする機能を有する。このガイドアーム68の先端部は、概して垂直に下降している。
【0126】
具体的には、まず、ユーザが自転車12を前進方向に押して前輪24の車軸20をガイドアーム68に接近させると、その車軸20は、ガイド面240上のいずれかの位置に当接する。その後にもユーザが自転車12を前進方向に押すと、ユーザの力が部分的に、ガイド面240により、車軸20を上昇させる向きの力に変換される。その結果、車軸20が、ガイド面240に沿って上昇し、やがて、誘導溝224内に進入する。その後にもユーザが自転車12を前進方向に押すと、車軸20が係合溝226に沿って自重で落下し、最終的な係合位置に到達する。
【0127】
駐車すべき自転車12の種類により、前輪24の直径が異なり、ひいては、その前輪24の車軸20の、設置面14からの高さHも異なる。図13に示すように、前輪24の直径が大きいために車軸20が高さH1を有する場合には、ガイドレール50上の複数の位置のうち対応するものに車軸20が最初に接触する。これに対し、前輪24の直径が小さいために車軸20が高さH2を有する場合には、ガイドレール50上の複数の位置のうち対応するものに車軸20が最初に接触する。
【0128】
図13に示すように、ホルダプレート66には、前輪24の車軸20が係合溝226に係合されたこと、すなわち、前輪24がホルダ62によって保持されたことを検知する検知装置250が装着されている。この検知装置250は、ホルダプレート66と一体的に移動する。
【0129】
この検知装置250は、車軸20、正確には、スペーサ36と連動するリンク252を有する。そのリンク252の基端部254は、ホルダプレート66に、車軸20に平行な一水平軸線まわりに回動可能に取り付けられている。そのリンク252は、常には、図13に二点鎖線で示す初期位置に位置している。係合溝226内に車軸20が進入すると、車軸20がリンク252に接触し、その後は、車軸20とリンク252とが一体的に移動する。その結果、リンク252が回動し、そのリンク252の自由端部256が所定距離だけ移動する。
【0130】
このようなリンク252の自由端部256の移動は、後述のケーブルを介して、前述のロックプレート170に伝達される。
【0131】
図14には、第2の部分組立体212が側面図で示されている。この第2の部分組立体212におけるホルダプレート66およびガイドアーム68は、第1の部分組立体210と同様な構成を有する。ただし、この第2の部分組立体212には、第1の部分組立体210とは異なり、検知装置250と同じものは装着されていない。
【0132】
図5に示すように、この自転車駐車装置10は、さらに、連携装置260を備えている。その連携装置260は、検知装置250および操作ペダル190をロック装置150に、前輪24の車軸20がホルダ62によって保持され、かつ、ユーザが操作ペダル190を踏み込んだときに、ロック装置150が、ロッド152の係合突起158がロータ100の各係合穴154,156に係合するロック状態から、ロッド152の係合突起158がロータ100の各係合穴154,156から離脱する解除状態に移行するように、連携させる。
【0133】
具体的には、その連携装置260は、検知装置250が前輪24の車軸20を検知した状態において、ユーザが操作ペダル190を踏み込もうとすると、ユーザによる操作ペダル190の踏込みを許可し、それにより、ロック装置150がロック状態から解除状態に移行すること(すなわち、スパイラルスプリング110の弾性力によってロータ100が回転してホルダ62が上昇すること)が許可され、一方、検知装置250が前輪24の車軸20を検知していない状態において、ユーザが操作ペダル190を踏み込もうとすると、ユーザによる操作ペダル190の踏込みを阻止し、それにより、ロック装置150がロック状態から解除状態に移行することが阻止される。
【0134】
上述の機能を実現するため、連携装置260は、ロック装置150と検知装置250とを互いに連携させるフレキシブルなケーブル270を備えている。そのケーブル270は、アウタチューブ272内にインナワイヤ274が、アウタチューブ272に対して相対移動可能に収容されて構成されている。
【0135】
インナワイヤ274の一端は、ロック装置150のロックプレート170に装着されている。具体的には、インナワイヤ274の一端は、ロックプレート170のうち、それの係合突起174がロッド152の係合溝180から離脱するためにロックプレート170が移動する側に位置する部分に装着されている。
【0136】
一方、インナワイヤ274の他端は、検知装置250のリンク252の自由端部256に装着されている。ホルダプレート66の係合溝226内に車軸20が進入した結果、その車軸20がリンク252を押してそのリンク252を回動させると、インナワイヤ274が、スプリング176の弾性力に抗して、ホルダプレート66に接近する向きに引き込まれる。その結果、ロックプレート170が、図5に示す初期位置(ロック位置)から、同図において右方に移動し、それにより、ロックプレート170の係合突起174がロッド152の係合溝180から離脱する。
【0137】
図5に示すように、ケーブル270は、ロックプレート170から延び出た後に、第1の部分組立体210に属するU字状アーム72における1本の直線部200内の空間を通過して、検知装置250に到達するように、取り回されている。
【0138】
図5に示すように、連携装置260は、さらに、連結部材280を備えている。その連結部材280は、操作ペダル190とロッド152とを互いに一体的に移動可能に連結する。
【0139】
次に、この自転車駐車装置10の作動を図15および図16のフローチャートを参照して説明する。
【0140】
まず、ユーザが自転車12を起立姿勢で駐車するための操作手順に関連付けて、この自転車駐車装置10の作動を図15を参照して説明する。
【0141】
まず、ステップS1において、ユーザが、図1に示すように、自転車12をガイドレール50に沿って、前輪24が自転車駐車装置10のホルダ62に接近するように、前進させる。次に、ステップS2において、ユーザが、図13に示すように、前輪24の車軸20をガイドアーム68に沿って上昇させる。
【0142】
続いて、ステップS3において、ユーザが、前輪24の車軸20をホルダプレート66の係合溝226内に挿入する。これにより、前輪24がホルダ62によって保持されることになる。その後、ステップS4において、検知装置250が前輪24の車軸20を検知し、その結果、ケーブル270内のインナワイヤ274が引き込まれる。
【0143】
続いて、ステップS5において、ロックプレート170がロック位置から解除位置に移動させられ、その結果、ロッド152の下降が許可される。その後、ステップS6において、ユーザが操作ペダル190を踏み込む。
【0144】
その結果、ステップS7において、ロッド152が下降する。やがて、ステップS8において、ロッド152がロータ100の第1係合穴154から離脱する。これにより、ロータ100の回転が許可される。
【0145】
その後、ステップS9において、スパイラルスプリング110の弾性力によってロータ100が回転を開始し、その結果、ホルダ62が上昇を開始する。それにより、前輪24の持上げが開始される。
【0146】
続いて、ステップS10において、ユーザが操作ペダル190から足を外す。このとき、ロッド152は、スプリング160の弾性力によって上昇しようとするが、ロッド152の係合突起が、ロータ100の外周面のうち、第1係合穴154も第2係合穴156も形成されていない部分に接触させられるため、ロッド152はロータ100の回転を阻止しない。
【0147】
その後、ステップS11において、ロータ100が最大角度回転させられ、その結果、ホルダ62が上昇端位置に到達する。これにより、前輪24の持上げが完了する。
【0148】
そうすると、ステップS12において、ロッド152の係合突起158がロータ100の第2係合穴156に係合する。それにより、ロータ100の回転が阻止され、ひいては、ホルダ62および前輪24が上昇端位置に保持される。以上で、ユーザが自転車12を起立姿勢で駐車するための一連の操作が終了する。
【0149】
次に、ユーザが自転車12をこの自転車駐車装置10から取り出すための操作手順に関連付けて、この自転車駐車装置10の作動を図16を参照して説明する。
【0150】
まず、ステップS101において、ユーザが操作ペダル190を踏み込む。その踏込みに先立ち、ロックプレート170は解除位置に保持されている。その結果、ステップS102において、ロッド152が下降する。
【0151】
続いて、ステップS103において、ロッド152がロータ100の第2係合穴156から離脱する。その結果、ステップS104において、ロータ100の回転、ひいては、ホルダ62の下降が許可される。
【0152】
その後、ステップS105において、ユーザが前輪24を引き下げることによってホルダ62を下降させる。続いて、ステップS106において、ユーザが操作ペダル190から足を外す。
【0153】
その後、ステップS107において、ユーザがホルダ62を下降端位置まで下降させる。その結果、ステップS108において、ロッド152がロータ100の第1係合穴154に係合する。それにより、ステップS109において、ロータ100の回転、ひいては、ホルダ62の上昇が阻止される。
【0154】
その後、ステップS110において、ユーザが車軸20をホルダプレート66の係合溝226から離脱させる。その結果、ステップS111において、インナワイヤ274がスプリングの弾性力によってもとの位置に戻る。それにより、ロックプレート170が解除位置からロック位置に移動する。その結果、ステップS112において、ロッド152の下降が阻止される。
【0155】
続いて、ステップS113において、ユーザが前輪24の車軸20をガイドアーム68に沿って下降させる。その後、ステップS114において、ユーザが自転車12をガイドレール50に沿って、この自転車駐車装置10から離れる向きに後退させる。以上で、ユーザが自転車12をこの自転車駐車装置10から取り出すための一連の操作が終了する。
【0156】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、説明の便宜上、スパイラルスプリング110が前記(1)項における「駆動装置」の一例を構成し、ケーブル270と連結部材280とが互いに共同して、同項における「連携装置」の一例を構成していると考えることが可能である。
【0157】
さらに、本実施形態においては、説明の便宜上、ロータ100の第1係合穴154が前記(4)項における「第1係合部」の一例を構成し、ロッド152が同項における「第1部材」の一例を構成し、係合突起158が同項における「第2係合部」の一例を構成し、係合溝180が同項における「第3係合部」の一例を構成し、ロックプレート170が同項における「第2部材」の一例を構成し、係合突起174が同項における「第4係合部」の一例を構成していると考えることが可能である。
【0158】
さらに、本実施形態においては、説明の便宜上、プランジャ134が前記(9)項における「可動部材」の一例を構成し、リンク252が前記(5)項における「部分」の一例を構成し、ロックプレート170が前記(13)項における「第3部材」の一例を構成し、リンク252が同項における「第4部材」の一例を構成していると考えることが可能である。
【0159】
なお付言するに、本実施形態においては、1個の下降端位置に対して1個の上昇端位置が割り当てられているが、複数個の上昇端位置であってユーザによって択一されるものを割り当ててもよい。
【0160】
その場合には、例えば、小型の自転車12については、複数個の上昇端位置すなわち車輪保持位置のうち下降端位置に近いものを選択し、それにより、ホルダ62の上昇量を、後輪26が設置面14から浮上することなく、自転車12が概して垂直姿勢となるように、調節し、また、大型の自転車12については、複数個の上昇端位置すなわち車輪保持位置のうち下降端位置から離れたものを選択し、それにより、ホルダ62の上昇量を、後輪26が設置面14から浮上することなく、自転車12が概して垂直姿勢となるように、調節することが可能となる。
【0161】
さらに付言すれば、本実施形態においては、駐車すべき自転車12の重量の如何を問わず、その自転車12が、ユーザの力を必要とせずに、完全に自動的に上昇させられるようになっているが、例えば、最も軽量である自転車12については、ユーザの力を必要とはせずに、自転車12が完全に自動的に上昇させられるが、それより重い自転車12については、途中までは、ユーザの力を必要とはせずに、自転車12が完全に自動的に上昇させられるが、それより高く上昇させるためには、ユーザの力を必要とするように、スパイラルスプリング110の弾性力特性を含む駆動特性を設定してもよい。このようにすれば、最も軽量である自転車12を上昇させる場合に、必要以上に高速に自転車12が上昇させられてしまう事態が回避される。
【0162】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素が多いため、共通する要素については、同一の符号または名称を使用して引用することにより、重複した説明を省略し、異なる要素についてのみ、詳細に説明する。
【0163】
図17には、本実施形態に従う自転車駐車装置300が斜視図で示されている。
【0164】
前述の第1実施形態に従う自転車駐車装置10においては、図6に示すように、それを正面から見た場合に、ホルダ62の中心線(基端アーム70の中心線と一致し、以下、「ホルダ中心線」という。)と、自転車駐車装置10の中心線であって垂直に延びるもの(支柱60の中心線と一致し、以下、「装置中心線」という。)とが、共に、同一の垂直面であって自転車駐車装置10の前後方向に延びるものの上に存在する。すなわち、ホルダ62の回転運動中にホルダ中心線が描く軌跡である垂直面内に装置中心線が存在するのである。
【0165】
なお付言するに、ホルダ62の回転運動中にホルダ中心線が描く軌跡である垂直面は、自転車12を駐車するためのその自転車12の動作中にその自転車12の垂直中心線が描く軌跡である垂直面と一致する。
【0166】
これに対し、図17に示すように、自転車駐車装置300においては、ホルダ中心線が、装置中心線に対して、自転車駐車装置300の右側または左側にオフセットした位置に設定されている。その結果、操作ペダル190の動作中にその操作ペダル190が描く軌跡である垂直面と、ホルダ62の回転運動中にホルダ中心線が描く軌跡である垂直面とが、互いに異ならせられる。
【0167】
上述のレイアウトを実現するために、図17に示すように、シャフト90の両端部のうちの一方が部分的に、ハウジング82の端部キャップ84から露出させられる。シャフト90のうち、その露出させられた部分に、ホルダ62が取り付けられる。
【0168】
したがって、本実施形態によれば、ユーザは、操作ペダル190を踏み込む動作と、自転車12を掴んで動かす動作とを、それぞれ、互いに異なる垂直面上において行うことが可能となる。その結果、ユーザは、操作ペダル190を踏み込む動作と、自転車12を掴んで動かす動作とを、同一の垂直面上において行わなければならない場合より、自然な姿勢で必要な動作を行うことが容易となり、操作性が向上する。
【0169】
さらに、本実施形態によれば、第1実施形態とは異なり、ホルダ62をロータ100に取り付けるために、ホルダ62をハウジング82の円筒壁部を半径方向に貫通させずに済む。よって、本実施形態によれば、例えば、連結装置80の構造を単純化したり、必要な防水対策を軽減したりして、自転車駐車装置300をコストダウンすることが容易となる。
【0170】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素が多いため、共通する要素については、同一の符号または名称を使用して引用することにより、重複した説明を省略し、異なる要素についてのみ、詳細に説明する。
【0171】
図18には、本実施形態に従う自転車駐車装置320が斜視図で示されている。この自転車駐車装置320は、図17に示す自転車駐車装置300と同様に、ホルダ中心線が、装置中心線に対して、自転車駐車装置300の右側または左側(本実施形態においては、自転車駐車装置300に向かって右側)にオフセットした位置に設定されている。
【0172】
さらに、この自転車駐車装置320においては、操作ペダル190の動作中にその操作ペダル190が描く軌跡である垂直面(以下、「ペダル軌跡面」というが、図18においては、「ペダル中心線」で表す。)が、装置中心線に対して、ホルダ中心線とは反対側に、すなわち、本実施形態においては、自転車駐車装置300に向かって左側にオフセットした位置に設定されている。
【0173】
ユーザは、その左足322を設置面14上に置いたまま、その右足324で操作ペダル190を踏み込むのが一般的であり、この場合には、操作ペダル190を踏み込むためにユーザが位置する位置におけるそのユーザの中心線(図18においては、「人体中心線」で表す。)が、装置中心線に対して、操作ペダル190と同じ側にオフセットさせられることになる。
【0174】
したがって、本実施形態によれば、ユーザの操作性を向上させるために人体中心線とホルダ中心線との距離を、図17に示す自転車駐車装置300より長くすることが必要である場合に、必要なレイアウトを実現することが容易となる。
【0175】
なお付言するに、図6に示す自転車駐車装置10の部品レイアウトを、ホルダ中心線は装置中心線と一致するが、操作ペダル190(図5参照)のペダル中心線は、装置中心線に対し、自転車駐車装置10の右側または左側にオフセットするように変更した態様で本発明を実施することも可能である。
【0176】
次に、本発明の第4実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素が多いため、共通する要素については、同一の符号または名称を使用して引用することにより、重複した説明を省略し、異なる要素についてのみ、詳細に説明する。
【0177】
第1実施形態においては、ホルダ62によって前輪24を保持するために、図19に二点鎖線で示すように、前輪24の車軸20における一対のスペーサ36,36が、車軸20の軸方向において互いに対向する一対のホルダプレート66,66によってそれぞれ保持される。一対のスペーサ36,36は、車軸20に関連する複数の部品のうち一対のフォーク30,30の内側に位置するものの一例である。
【0178】
これに対し、本実施形態に従う自転車駐車装置360においては、ホルダ62によって前輪24を保持するために、図19に実線で示すように、前輪24の車軸20における一対の突出部38,38に螺合された一対のナット40,40が、一対のホルダプレート66,66によってそれぞれ保持される。一対のナット40,40は、車軸20に関連する複数の部品のうち一対のフォーク30,30の外側に位置するものの一例である。
【0179】
以上、本発明のいくつかの実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の開示]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】本発明の第1実施形態に従う自転車駐車装置10の外観を示す側面図である。
【図2】図1に示す自転車駐車装置10によって駐車される自転車12の一例を示す側面図である。
【図3】図2に示す自転車12の前輪24の車軸20まわりの構造を説明するための部分正面断面図である。
【図4】図4(a)は図1に示すガイドレール50を示す平面図、図4(b)はそのガイドレール50を示す正面図である。
【図5】図1に示す自転車駐車装置10を示す部分側面断面図である。
【図6】図5に示す自転車駐車装置10のうちの連結装置80を示す斜視図である。
【図7】図6に示す連結装置80を示す分解斜視図である。
【図8】図5に示す連結装置80を示す縦断面図である。
【図9】図5に示す連結装置80を示す横断面図である。
【図10】図5に示す連結装置80を示す別の横断面図である。
【図11】図10に示すカム132の特性を説明するためのグラフである。
【図12】図5に示すホルダ62を示す正面図である。
【図13】図12に示すホルダ62を構成する第1および第2の部分組立体210,212のうちの第1の部分組立体210を示す側面図である。
【図14】図12に示すホルダ62を構成する第1および第2の部分組立体210,212のうちの第2の部分組立体212を示す側面図である。
【図15】図1に示す自転車駐車装置10に自転車12を駐車するためのユーザの操作手順を時系列的に表すフローチャートである。
【図16】図1に示す自転車駐車装置10から自転車12を取り出すためのユーザの操作手順を時系列的に表すフローチャートである。
【図17】本発明の第2実施形態に従う自転車駐車装置300の外観を示す斜視図である。
【図18】本発明の第3実施形態に従う自転車駐車装置320の外観を示す正面図である。
【図19】本発明の第4実施形態に従う自転車駐車装置360において自転車12の前輪24の車軸20が保持される機構を説明するための正面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々車軸を有する前輪と後輪とがそれぞれ回転可能にフレームに取り付けられて成る自転車をユーザが駐車することを可能にする自転車駐車装置であって、
静止部材と、
前記前輪と前記後輪とのうちのいずれかである対象車輪を着脱可能に保持するためのホルダと、
そのホルダを前記静止部材に、その静止部材に対して相対的に、下降端位置と上昇端位置との間において、昇降可能であるように連結する連結装置と、
前記ホルダを前記静止部材に対して上昇する向きに駆動する駆動装置と、
前記ホルダが前記静止部材に対して前記下降端位置から上昇することを阻止するために前記ホルダが前記静止部材に対してロックされたロック状態と、そのロック状態が解除された解除状態とに切り換わるロック装置と、
前記ホルダにおいて前記対象車輪を検知する検知装置と、
前記ユーザによって操作される操作部材と、
前記検知装置および前記操作部材を前記ロック装置に、前記対象車輪が前記ホルダによって保持され、かつ、前記ユーザが前記操作部材を操作したときに、前記ロック装置が前記ロック状態から前記解除状態に移行するように、連携させる連携装置と
を含む自転車駐車装置。
【請求項2】
前記連携装置は、前記検知装置が前記対象車輪を検知した状態において、前記ユーザが前記操作部材を操作しようとすると、前記ユーザによる前記操作部材の操作を許可し、それにより、前記ロック装置が前記ロック状態から前記解除状態に移行することが許可され、一方、前記検知装置が前記対象車輪を検知していない状態において、前記ユーザが前記操作部材を操作しようとすると、前記ユーザによる前記操作部材の操作を阻止し、それにより、前記ロック装置が前記ロック状態から前記解除状態に移行することが阻止される請求項1に記載の自転車駐車装置。
【請求項3】
前記連結装置は、
水平に延びる中心線を有する中空のハウジングであって、前記静止部材に固定されるものと、
そのハウジング内に、それと同軸的に、かつ、前記ハウジングに対して相対回転可能に配置されたシャフトと、
前記ハウジング内に収容された中空のロータであって、前記シャフトと同軸的に、かつ、そのシャフトに対して相対回転不能に配置されるとともに、前記ホルダと共に回転するものと
を含む請求項1または2に記載の自転車駐車装置。
【請求項4】
前記ロータは、第1係合部を有し、
前記ロック装置は、
前記第1係合部に選択的に係合可能な第2係合部を有する第1部材であって、前記ロータに対して相対変位可能であるとともに、第3係合部を有するものと、
その第3係合部に選択的に係合可能な第4係合部を有する第2部材であって、前記第1部材に対して相対変位可能であるものと
を含み、
前記ホルダが前記下降端位置にあるときに、前記第1部材の前記第2係合部が前記ロータの前記第1係合部に係合し、それにより、前記ロータの回転が阻止され、
前記ロック装置の前記ロック状態においては、前記第2部材の前記第4係合部が前記第1部材の前記第3係合部に係合し、それにより、前記第1部材の前記第2係合部が前記ロータの前記第1係合部から離脱するように前記第1部材が変位することが阻止され、それにより、前記ロータおよび前記ホルダが回転することが阻止される請求項3に記載の自転車駐車装置。
【請求項5】
前記ロック装置は、前記第2部材の前記第4係合部が前記第1部材の前記第3係合部に係合している状態においては、前記第1部材が、前記ロータに対して相対変位することを阻止し、
前記連携装置は、前記操作部材を前記第1部材に、両者が互いに連動するように連携させるとともに、前記検知装置のうち前記対象車輪の検知の有無に応じて変位する部分を前記第2部材に、前記検知装置が前記対象車輪を検知しない状態では、前記第2部材の前記第4係合部が前記第1部材の前記第3係合部に係合する一方、前記検知装置が前記対象車輪を検知すると、前記第2部材の前記第4係合部が前記第1部材の前記第3係合部から離脱するように変位するように、前記部分と前記第2部材とが互いに連動するように連携させる請求項4に記載の自転車駐車装置。
【請求項6】
前記連携装置は、前記操作部材を前記第2部材に、前記操作部材が操作されない状態では、前記第2部材の前記第4係合部が前記第1部材の前記第3係合部に係合する一方、前記操作部材が操作されると、前記第2部材の前記第4係合部が前記第1部材の前記第3係合部から離脱するように変位するように、前記操作部材と前記第2部材とが両者が互いに連動するように連携させるとともに、前記検知装置のうち前記対象車輪の検知の有無に応じて変位する部分を前記第1部材に、両者が互いに連動するように連携させる請求項4に記載の自転車駐車装置。
【請求項7】
前記駆動装置は、
前記ホルダに常時、前記静止部材に対して上昇する向きの力を付与するスプリングと、
そのスプリングによって前記ホルダが前記静止部材に対して上昇する際に前記ホルダに抵抗を、その大きさが前記ホルダの位置に応じて変化するように、付与する抵抗付与装置と
を含む請求項1ないし6のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【請求項8】
前記駆動装置は、前記ホルダに常時、前記静止部材に対して上昇する向きの力を付与するスプリングを含み、
そのスプリングは、前記シャフトと同軸のスパイラルスプリングまたはコイルスプリングであり、
そのスプリングは、それの一端が前記シャフトに取り付けられる一方、それの他端が前記ハウジングに取り付けられる請求項3ないし6のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【請求項9】
前記駆動装置は、前記ホルダが前記静止部材に対して上昇する際に前記ホルダに抵抗を、その大きさが前記ホルダの位置に応じて変化するように、付与する抵抗付与装置を含み、
その抵抗付与装置は、
前記シャフトに固定されたカムであって、前記ホルダの位置と前記抵抗との間の関係を規定するカムプロファイルを有するものと、
前記ハウジングに変位可能に取り付けられた可動部材であって前記カムに係合するものと、
その可動部材に弾性力を付与することにより、その可動部材が圧力下に前記カムに係合することを可能にするスプリングと
を含む請求項3ないし6のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【請求項10】
前記ホルダは、前記対象車輪の前記車軸を着脱可能に保持する請求項1ないし9のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【請求項11】
前記対象車輪は、それの中心部にハブを有し、
前記車軸は、それの2か所において、前記フレームのうちの二股状のフォークに、そのフォークに対して相対回転不能に固定されており、
前記車軸は、前記ハブに、軸受を介して回転可能に取り付けられており、
2個または2組の中空のスペーサが、前記軸受と前記フォークとの間に形成された2つの軸方向すきまにそれぞれ、前記車軸に挿入された状態で配置されており、
前記ホルダは、前記2個または2組のスペーサのうちの少なくとも一方である対象スペーサの外周面に着脱可能に係合する係合部を含む請求項10に記載の自転車駐車装置。
【請求項12】
前記検知装置は、前記ホルダに、それと一体的に移動可能に設けられ、前記ホルダの位置の如何を問わず、そのホルダにおける前記対象車輪を検知する請求項1ないし11のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【請求項13】
前記ロック装置は、ロック位置と解除位置とに変位可能な第3部材を含み、
前記検知装置は、前記対象車輪の検知の有無に応じて変位する第4部材を含み、
前記連携装置は、前記ロック装置と前記検知装置とを互いに連携させるフレキシブルなケーブルを含み、
そのケーブルは、アウタチューブ内にインナワイヤが前記アウタチューブに対して相対移動可能に収容されて構成されており、
前記インナワイヤの一端は、前記ロック装置の前記第3部材に装着される一方、前記インナワイヤの他端は、前記検知装置の前記第4部材に装着される請求項12に記載の自転車駐車装置。
【請求項14】
前記検知装置は、前記対象車輪の前記車軸を検知する請求項10または11に記載の自転車駐車装置。
【請求項1】
各々車軸を有する前輪と後輪とがそれぞれ回転可能にフレームに取り付けられて成る自転車をユーザが駐車することを可能にする自転車駐車装置であって、
静止部材と、
前記前輪と前記後輪とのうちのいずれかである対象車輪を着脱可能に保持するためのホルダと、
そのホルダを前記静止部材に、その静止部材に対して相対的に、下降端位置と上昇端位置との間において、昇降可能であるように連結する連結装置と、
前記ホルダを前記静止部材に対して上昇する向きに駆動する駆動装置と、
前記ホルダが前記静止部材に対して前記下降端位置から上昇することを阻止するために前記ホルダが前記静止部材に対してロックされたロック状態と、そのロック状態が解除された解除状態とに切り換わるロック装置と、
前記ホルダにおいて前記対象車輪を検知する検知装置と、
前記ユーザによって操作される操作部材と、
前記検知装置および前記操作部材を前記ロック装置に、前記対象車輪が前記ホルダによって保持され、かつ、前記ユーザが前記操作部材を操作したときに、前記ロック装置が前記ロック状態から前記解除状態に移行するように、連携させる連携装置と
を含む自転車駐車装置。
【請求項2】
前記連携装置は、前記検知装置が前記対象車輪を検知した状態において、前記ユーザが前記操作部材を操作しようとすると、前記ユーザによる前記操作部材の操作を許可し、それにより、前記ロック装置が前記ロック状態から前記解除状態に移行することが許可され、一方、前記検知装置が前記対象車輪を検知していない状態において、前記ユーザが前記操作部材を操作しようとすると、前記ユーザによる前記操作部材の操作を阻止し、それにより、前記ロック装置が前記ロック状態から前記解除状態に移行することが阻止される請求項1に記載の自転車駐車装置。
【請求項3】
前記連結装置は、
水平に延びる中心線を有する中空のハウジングであって、前記静止部材に固定されるものと、
そのハウジング内に、それと同軸的に、かつ、前記ハウジングに対して相対回転可能に配置されたシャフトと、
前記ハウジング内に収容された中空のロータであって、前記シャフトと同軸的に、かつ、そのシャフトに対して相対回転不能に配置されるとともに、前記ホルダと共に回転するものと
を含む請求項1または2に記載の自転車駐車装置。
【請求項4】
前記ロータは、第1係合部を有し、
前記ロック装置は、
前記第1係合部に選択的に係合可能な第2係合部を有する第1部材であって、前記ロータに対して相対変位可能であるとともに、第3係合部を有するものと、
その第3係合部に選択的に係合可能な第4係合部を有する第2部材であって、前記第1部材に対して相対変位可能であるものと
を含み、
前記ホルダが前記下降端位置にあるときに、前記第1部材の前記第2係合部が前記ロータの前記第1係合部に係合し、それにより、前記ロータの回転が阻止され、
前記ロック装置の前記ロック状態においては、前記第2部材の前記第4係合部が前記第1部材の前記第3係合部に係合し、それにより、前記第1部材の前記第2係合部が前記ロータの前記第1係合部から離脱するように前記第1部材が変位することが阻止され、それにより、前記ロータおよび前記ホルダが回転することが阻止される請求項3に記載の自転車駐車装置。
【請求項5】
前記ロック装置は、前記第2部材の前記第4係合部が前記第1部材の前記第3係合部に係合している状態においては、前記第1部材が、前記ロータに対して相対変位することを阻止し、
前記連携装置は、前記操作部材を前記第1部材に、両者が互いに連動するように連携させるとともに、前記検知装置のうち前記対象車輪の検知の有無に応じて変位する部分を前記第2部材に、前記検知装置が前記対象車輪を検知しない状態では、前記第2部材の前記第4係合部が前記第1部材の前記第3係合部に係合する一方、前記検知装置が前記対象車輪を検知すると、前記第2部材の前記第4係合部が前記第1部材の前記第3係合部から離脱するように変位するように、前記部分と前記第2部材とが互いに連動するように連携させる請求項4に記載の自転車駐車装置。
【請求項6】
前記連携装置は、前記操作部材を前記第2部材に、前記操作部材が操作されない状態では、前記第2部材の前記第4係合部が前記第1部材の前記第3係合部に係合する一方、前記操作部材が操作されると、前記第2部材の前記第4係合部が前記第1部材の前記第3係合部から離脱するように変位するように、前記操作部材と前記第2部材とが両者が互いに連動するように連携させるとともに、前記検知装置のうち前記対象車輪の検知の有無に応じて変位する部分を前記第1部材に、両者が互いに連動するように連携させる請求項4に記載の自転車駐車装置。
【請求項7】
前記駆動装置は、
前記ホルダに常時、前記静止部材に対して上昇する向きの力を付与するスプリングと、
そのスプリングによって前記ホルダが前記静止部材に対して上昇する際に前記ホルダに抵抗を、その大きさが前記ホルダの位置に応じて変化するように、付与する抵抗付与装置と
を含む請求項1ないし6のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【請求項8】
前記駆動装置は、前記ホルダに常時、前記静止部材に対して上昇する向きの力を付与するスプリングを含み、
そのスプリングは、前記シャフトと同軸のスパイラルスプリングまたはコイルスプリングであり、
そのスプリングは、それの一端が前記シャフトに取り付けられる一方、それの他端が前記ハウジングに取り付けられる請求項3ないし6のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【請求項9】
前記駆動装置は、前記ホルダが前記静止部材に対して上昇する際に前記ホルダに抵抗を、その大きさが前記ホルダの位置に応じて変化するように、付与する抵抗付与装置を含み、
その抵抗付与装置は、
前記シャフトに固定されたカムであって、前記ホルダの位置と前記抵抗との間の関係を規定するカムプロファイルを有するものと、
前記ハウジングに変位可能に取り付けられた可動部材であって前記カムに係合するものと、
その可動部材に弾性力を付与することにより、その可動部材が圧力下に前記カムに係合することを可能にするスプリングと
を含む請求項3ないし6のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【請求項10】
前記ホルダは、前記対象車輪の前記車軸を着脱可能に保持する請求項1ないし9のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【請求項11】
前記対象車輪は、それの中心部にハブを有し、
前記車軸は、それの2か所において、前記フレームのうちの二股状のフォークに、そのフォークに対して相対回転不能に固定されており、
前記車軸は、前記ハブに、軸受を介して回転可能に取り付けられており、
2個または2組の中空のスペーサが、前記軸受と前記フォークとの間に形成された2つの軸方向すきまにそれぞれ、前記車軸に挿入された状態で配置されており、
前記ホルダは、前記2個または2組のスペーサのうちの少なくとも一方である対象スペーサの外周面に着脱可能に係合する係合部を含む請求項10に記載の自転車駐車装置。
【請求項12】
前記検知装置は、前記ホルダに、それと一体的に移動可能に設けられ、前記ホルダの位置の如何を問わず、そのホルダにおける前記対象車輪を検知する請求項1ないし11のいずれかに記載の自転車駐車装置。
【請求項13】
前記ロック装置は、ロック位置と解除位置とに変位可能な第3部材を含み、
前記検知装置は、前記対象車輪の検知の有無に応じて変位する第4部材を含み、
前記連携装置は、前記ロック装置と前記検知装置とを互いに連携させるフレキシブルなケーブルを含み、
そのケーブルは、アウタチューブ内にインナワイヤが前記アウタチューブに対して相対移動可能に収容されて構成されており、
前記インナワイヤの一端は、前記ロック装置の前記第3部材に装着される一方、前記インナワイヤの他端は、前記検知装置の前記第4部材に装着される請求項12に記載の自転車駐車装置。
【請求項14】
前記検知装置は、前記対象車輪の前記車軸を検知する請求項10または11に記載の自転車駐車装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−126294(P2011−126294A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220848(P2008−220848)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【特許番号】特許第4278702号(P4278702)
【特許公報発行日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(508262179)リード株式会社 (2)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【特許番号】特許第4278702号(P4278702)
【特許公報発行日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(508262179)リード株式会社 (2)
[ Back to top ]