説明

自閉症の改善薬、治療茶

【課題】副作用が少なく、飲みやすい自閉症に適した改善薬、治療茶を提供する。
【解決手段】セロリシード、レモンバーム、フェヌグリークシード、レモングラス、ミント及びステビアの乾燥物又はその熱水抽出エキスを含有し、自閉症に対する症状を改善する作用を有することを特徴とする自閉症の改善剤およびこの改善剤を含む飲食品とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自閉症の改善薬とその製法に関し、特に植物性の自閉症の改善薬とその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
自閉症は、発達の異常および/または障害の存在、並びに、相互的な社会的関係、コミュニケーション、限局した反復的な行動の3つの領域全てにみられる特徴的な型の機能の異常によって定義される広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders: 相互的な社会関係とコミュニケーションのパターンにおける質的障害、および限局した常同的で反復的な関心と活動の幅によって特徴付けられる一群の障害)である。
【0003】
ところで、非特許文献1によれば、「カリフォルニア州における自閉症児の数が1990年以降7〜8倍に増加しているが、このことは軽症例の算入や診断の低年齢化、人口動態だけでは説明できず、環境因子を含めた他の要因を探るべきである」と記載されている。すなわち、従来の遺伝的要因のみに基づく先天的な脳の機能障害説を覆す現象が発生している。環境因子によって、母体内及び後天的に自閉症が発生する可能性を考慮する必要が生じてきた。従って、逆に有害な環境因子を排除し、その環境因子によって生じた自閉症を健康な状態に戻す可能性も十分考えられることとなっている。
【0004】
前記環境因子説以前からも、自閉症を脳機能障害と捉え、薬物の経口投与による脳機能の改善を試みる提案がなされてきている。例えば、特許文献1は、2−(4−メチルアミノブトキシ)ジフェニルメタン、その水和物、または薬理学的に許容されるそれらの塩を有効成分とする自閉症治療剤が提案されている。
【0005】
一方、特許文献2では、中国パセリによる自閉症改善薬が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】株式会社メディカルトリビューン Medical Tribune“カリフォルニア州の自閉症発症率が急上昇”2009年4月2日第32頁
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】平成8年特許願第119868号公報
【特許文献2】特開2006−199662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、2−(4−メチルアミノブトキシ)ジフェニルメタンを用いた治療剤では、副作用を完全になくすことは難しく、また、中国パセリによる改善薬では完全にそのにおいを消すことが難しいことや、治療効果が明確でなく、大きな課題となっていた。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、副作用が少なく、飲みやすい自閉症に適した改善薬、治療茶とその製法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、セロリシード、レモンバーム、フェヌグリークシード、レモングラス、ミント及びステビアの乾燥物又はその熱水抽出エキスを含有し、自閉症に対する症状を改善する作用を有することである。
【0011】
セロリシード、レモンバーム、フェヌグリークシード、レモングラス、ミント及びステビアの乾燥物の重量比率が、6〜1.5:4〜1:4〜1:4〜1:2〜0.5:2〜0.5であってもよい。
【0012】
さらに、セロリシード、レモンバーム、フェヌグリークシード、レモングラス、ミント及びステビアの乾燥物の重量比率が、3:2:2:2:1:1あってもよい。
【0013】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、自閉症の改善剤として、請求項1記載のセロリシード、レモンバーム、フェヌグリークシード、レモングラス、ミント及びステビアの乾燥物又はその熱水抽出エキスを含有することである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、副作用が少なく、飲みやすい自閉症に適した改善薬、治療茶を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1a】自閉症の程度である自閉度をみるための問診票の例示である。
【図1b】自閉症の程度である自閉度をみるための問診票の例示である。
【図2】本発明に係る改善薬、治療茶を適用した患者について適用前と適用後の自閉度の評価結果である。
【図3】本発明に係る改善薬、治療茶を適用した患者について適用前と適用後の自閉度の評価結果である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、実施の形態において同一機能を有する構成要素には同一符号を付け、重複する説明は省略する。
【0017】
(第1の実施の形態)
本発明による自閉症に適した改善薬、治療茶のセロリシード、レモンバーム、フェヌグリークシード、レモングラス、ミント及びステビアの乾燥物の重量比率は、6〜1.5:4〜1:4〜1:4〜1:2〜0.5:2〜0.5であることが好ましく、更に好ましくは、3:2:2:2:1:1である。
【0018】
本発明による自閉症に適した改善薬、治療茶のセロリシード、レモンバーム、フェヌグリークシード、レモングラス、ミント及びステビアの乾燥物は、粉砕し、乾燥粉末としたものを用いても良い。
【0019】
熱水抽出を行なう際、上記乾燥物をそのまま若しくは粉砕したものから抽出を行なうのが良い。また、抽出溶媒として用いる熱水と上記乾燥物との比率は特に限定されないが、上記乾燥物に対して、熱水10〜100重量倍、特に抽出操作や効率の点で15〜30重量倍が好ましい。また、抽出温度は90〜100℃の範囲とするのが良く、ティーパックに前記乾燥物を挿入して抽出する場合は3〜5分、煎じる場合の抽出時間は30〜50分の範囲とするのが好ましい。
【0020】
また、本発明による改善薬、治療茶は、熱水抽出液をスプレードライやフリーズドライし、エキス顆粒として服用しても良い。
【0021】
本発明による改善薬、治療茶の投与量は、病状、患者の年齢等によって変化し得るが、通常、1日当たり乾燥物の重量として8〜20gが適当である。
【0022】
また、改善薬、治療茶を含む飲食品中の有効成分濃度については、飲食品の種類によって適宜変更することが可能であるが、通常、約1〜20wt%程度にするとよい。なお、上記投与量については、一例であり、種々の状況に応じて適宜変更可能である。
【0023】
本発明の飲食品は、スープ類、飲料(ジュース、酒、ミネラルウオーター、コーヒー、茶等)、菓子類(ガム、キャンディー、チョコレート、スナック、ゼリー等)、麺類(そば、うどん、ラーメン等)をはじめとする一般食品および、健康食品、栄養補助食品(栄養ドリンク等)に配合することができる。これによって、抵抗なく自閉症改善物質を摂取することが可能になり、自閉症進行の予防に役立つ。また、本発明による飲食品の長期使用によって自閉症の改善にも優れた効果を得ることができる。
【実施例】
【0024】
(実施例1)
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0025】
【表1】

【0026】
自閉症児8例(平均7.5±4歳)に改善剤を適用して有効性を検討した。自閉症児には改善剤を表1の一覧表に記載の成分を含む乾燥物を破砕したものを100℃で5分間、熱水抽出した治療茶を1日当たり5.0グラム程度服用した。服用期間は14か月(±6.8ヵ月)で、治療開始前あるいは治療開始当初と治療開始後平均14ヵ月の時点での症状を比較した。評価は、診断基準を参考にして自閉症で認められる症状を選んだ15個の図1a,1bに示す問診項目を4段階に点数化(症状なしが0点、少しある1点、ある2点、著名にある3点)した問診票によって行い、項目毎の点数、4つにグループ分けした項目のグループ毎の点数(Aグループは対人的相互関係における質的な障害、Bグループは意志伝達の質的障害、Cグループは行動、興味及び活動の限定され反復的で常同的な様式、Dグループはその他に分けたものである)、及び全項目の合計点数で評価を行った。
【0027】
図2、図3は、本発明に係る改善剤を適用した自閉症児に対する問診票の評価結果であって、治療開始前と治療開始後を比較した結果を示す。図2は本発明を適用した患者に対する治療前と治療後の設問毎の平均点数の変化で示される評価結果であり、図3は本発明を適用した患者に対する治療前と治療後の項目グループ毎の点数の変化で示される評価結果を示す。
【0028】
評価の結果は、図3によれば全項目の合計点数の平均については治療開始前31.7点で開始後の23.7点と低下傾向を示していて、図2の項目毎の平均では、全ての項目において低下傾向を認めた。図3に示す通り、4つのグループ毎の点数の平均は、グループAは対人的相互関係における質的な障害を有するグループであって、治療開始前10.4点で開始後7.6点、グループBは、意志伝達の質的障害を有するグループであって、治療開始前6.5点で開始後4.8点、グループCは、行動、興味および活動の限定された反復的で常同的な様式を示すグループであって、治療開始前8.8点で開始後6.0点、グループDは、その他のグループであって、治療開始前6.0点で開始後5.3点、といずれも点数の低下傾向を認めた。各項目の中で、特に改善傾向の目立つ項目は、「興味のあるものを見せたり指差したりしない」、「顔や表情や身振りが乏しい」、「音や声に無関心(呼んでも振り返らないなど)あるいは逆に音や声に非常に敏感」、などで、改善傾向の乏しい項目は、「人の真似ができない(手の甲を相手に向けてバイバイするなど)」、「自傷行為・他傷行為や破壊行為が目立つ」、などだった。
【0029】
症例によっては、著しい多動や、怒る時などに気持ちを爆発させていた状態から、かなり言葉を理解でき、挨拶ができるようになり、じっと立てるようになり、弟妹にお菓子を分けられるようになった例や、視線が合わせられなかったのが、合わせられるようになり、こだわりが強かった状態が減ってきた、言葉が急速に増えてきた、言葉の理解度が明らかに改善するなど、目立った改善を示している症例もあり、治療の有効性が認められているものと考えられた。今回用いた療法は低価格で副作用の少ない治療法といえる。今後の治療を継続することにより、より症状の改善が期待できると考えており、治療期間の延長、症例数を増やすことにより再度評価していきたい。
【0030】
(実施例2)
4歳の男児であって、言葉の遅れがあり、話し手と眼を合わさず、声にも反応せず、呼びかけに応じない、表情に乏しく、友達がいない状態であり、簡単な要求はするが会話に発展せず、返事はオウム返しとなり、ごっこ遊びや、大人の物まねをしないなどの症状を有し、自閉症と診断された児童に対して実施例1と同一の治療茶の服用を開始する。3ヶ月後に語彙や表現力が増え、歌を歌うようになった。治療茶に加え、化学方剤と、ホメオパシーを開始する。さらに、2ヶ月後に自発的に話しかけることができるようになる。さらに4ヶ月後に、男児は、話し手と視線を合わせるようになり、顔に表情があらわれるようになり、語彙数が増え、オウム返しの返事が減り、話し手の声に反応するようになり、言葉を理解できるようになった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セロリシード、レモンバーム、フェヌグリークシード、レモングラス、ミント及びステビアの乾燥物又はその熱水抽出エキスを含有し、自閉症に対する症状を改善する作用を有することを特徴とする自閉症の改善剤。
【請求項2】
セロリシード、レモンバーム、フェヌグリークシード、レモングラス、ミント及びステビアの乾燥物の重量比率が、6〜1.5:4〜1:4〜1:4〜1:2〜0.5:2〜0.5である請求項1記載の自閉症の改善剤。
【請求項3】
セロリシード、レモンバーム、フェヌグリークシード、レモングラス、ミント及びステビアの乾燥物の重量比率が、3:2:2:2:1:1である請求項1記載の自閉症の改善剤。
【請求項4】
自閉症の改善剤として、請求項1記載のセロリシード、レモンバーム、フェヌグリークシード、レモングラス、ミント及びステビアの乾燥物又はその熱水抽出エキスを含有することを特徴とする飲食品。
【請求項5】
セロリシード、レモンバーム、フェヌグリークシード、レモングラス、ミント及びステビアの乾燥物の重量比率が、6〜1.5:4〜1:4〜1:4〜1:2〜0.5:2〜0.5である請求項4記載の飲食品。
【請求項6】
セロリシード、レモンバーム、フェヌグリークシード、レモングラス、ミント及びステビアの乾燥物の重量比率が、3:2:2:2:1:1である請求項4記載の飲食品。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−46659(P2011−46659A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197487(P2009−197487)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(592110989)
【Fターム(参考)】