説明

臭素またはヨウ素原子硬化部位を有するフルオロエラストマーの製造方法

臭素、ヨウ素またはヨウ素および臭素の両方の硬化部位を有するフルオロエラストマーは、任意のヨウ素または臭素含有コモノマーと任意のヨウ素または臭素含有連鎖移動剤とが、任意選択的に界面活性剤を含有する水性エマルジョンとして反応器に導入される乳化重合法によって製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臭素、ヨウ素または臭素およびヨウ素原子の両方の硬化部位を有するフルオロエラストマーの製造方法であって、前記臭素またはヨウ素原子を含有するコモノマーまたは連鎖移動剤が水性エマルジョンの形態で重合反応器に加えられる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
優れた耐熱性、耐油性、および耐化学薬品性を有するフルオロエラストマーは、シーリング材料、容器、およびホース用に広く用いられてきた。フルオロエラストマーの例には、フッ化ビニリデン(VF2)の単位とヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、フッ化ビニル(VF)およびパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)などのフルオロエーテルのような少なくとも1つの他のフッ素含有モノマーの単位とを含むコポリマーが挙げられる。PAVEの具体的な例には、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、およびパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)が挙げられる。フルオロエラストマーの他の例には、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(メチルビニルエーテル)などのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)とのコポリマーが挙げられる。エチレン(E)およびプロピレン(P)は、フルオロエラストマーを製造するためにもしばしば使用される非フッ素化モノマーである。
【0003】
ほとんどの最終使用用途に必要な物理的特性を発現させるために、フルオロエラストマーは架橋されなければならない。多くの最終用途向けの好ましい硬化系は、有機過酸化物と多官能性不飽和架橋助剤との組み合わせである。架橋助剤は、フルオロエラストマーポリマー鎖の主鎖上の硬化部位と反応することによって架橋を形成する。好ましい硬化部位は、フルオロエラストマー鎖上の炭素原子に結合した臭素またはヨウ素原子である。
【0004】
フルオロエラストマーは典型的には、フリーラジカル乳化重合によって製造される。ヨウ素または臭素硬化部位をフルオロエラストマー中へ導入する一方法は、ヨウ素または臭素を含有する連鎖移動剤の存在下で重合を行うことによる。この方法で、ヨウ素または臭素原子は、生じたフルオロエラストマーに1つまたは複数の末端点で結合する。かかる連鎖移動剤は一般に構造RXn(ここで、RはC1〜C3炭化水素、C1〜C6フルオロ炭化水素、C1〜C6クロロフルオロ炭化水素またはC2〜C8パーフルオロカーボンであってもよく、Xはヨウ素または臭素であり、そしてn=1または2である)を有する(米国特許公報(特許文献1)および米国特許公報(特許文献2))。
【0005】
フルオロエラストマーポリマー鎖上へヨウ素または臭素硬化部位を導入する別の一般的な方法は、少量のヨウ素もしくは臭素含有フルオロオレフィンまたはフルオロビニルエーテル硬化部位モノマーを他のモノマー(例えばVF2、HFP、TFE、PAVE、P、Eなど)と共重合させることによる。このように、硬化部位は、生じたポリマー鎖に沿ってランダムに分配されてもよい。
【0006】
ヨウ素−臭素−含有硬化部位またはコモノマーの使用における一般的な問題は、これらの化合物の概して高い比重に関係する。例えば、25℃で、ヨウ化メチレン(CH22)の比重は3.33であり、臭化メチレン(CF2Br2)の比重は2.51であり、1,4−ジヨードオクタフルオロブタンの比重は2.48であり、そして1,6−ジヨードドデカフルオロヘキサンの比重は2.35である。かかる高比重の物質が重合反応器に加えられるとき、それらは反応器の底部に沈む傾向がある。これらの物質が反応器底部に沈むので、それらは、鎖の一部が異常に高い量の硬化部位を有するが、他の部分が異常に低い量の硬化部位を有するようにポリマー鎖中へ不均一に組み込まれるかもしれない。これは、フルオロエラストマーから製造された製品の最終用途性能に望ましくないばらつきをもたらすであろう。高比重の別の結果は、ヨウ素−または臭素−含有化合物の一部がポリマー中へ組み込まれることにさえならず、ヨウ素−または臭素−含有化合物の低下した効率、およびいかなる残留ヨウ素−または臭素−含有硬化部位または連鎖移動剤をも捕捉するための追加の廃棄物処理設備の必要性をもたらすかもしれない。高比重のさらに別の結果は、ヨウ素−または臭素−含有連鎖移動剤がポリマー鎖中へ均一に組み込まれるようにならないので、生じたフルオロエラストマーポリマーの不十分な粘度調節である。
【0007】
多くのヨウ素−または臭素−含有硬化部位モノマーまたは連鎖移動剤の使用における別の問題は、水へのそれらの溶解性の欠如である。この低い溶解性は、乳化重合法におけるこれらの化合物の変動する組み込みを引き起こし得る(非特許文献1)。可溶性の不十分な連鎖移動剤のポリマー中への完全な組み込みを達成するために、全体重合速度を低くする必要があるかもしれず、それは重合反応器の非効率的な使用につながる。
【0008】
高比重および低い水溶解度の問題を解決するために、ヨウ素−または臭素−含有硬化部位または連鎖移動剤を有機溶媒に溶解させ、そしてこの溶液を重合反応器中へ注入することが提案されてきた(米国特許公報(特許文献2)および米国特許公報(特許文献3))。しかしながら、この手法は、それがポリマーまたは廃水から溶媒を除去するための追加の廃棄物処理設備を必要とするので不十分である。加えて、重合反応を妨害せず、そしてそれを減速しない、満足できる溶媒を見いだすことが困難である。
【0009】
別の提案された解決策は、ヨウ素−含有連鎖移動剤を自然に生じたフッ素化マイクロエマルジョン中へ組み込むことである(米国特許公報(特許文献4))。しかしながら、この方法は、マイクロエマルジョンを構成するフッ素化オイルがポリマー中に保持されるという欠点を有する。これらは検出することができ(例えばヘッドスペースGC−MSによって)、食品接触状態だけでなく、金属への接着性およびミル挙動に悪影響を及ぼすかもしれない。
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,243,770号明細書
【特許文献2】米国特許第4,973,633号明細書
【特許文献3】米国特許第5,284,920号明細書
【特許文献4】米国特許第5,585,449号明細書
【特許文献5】米国特許第5,674,959号明細書
【特許文献6】米国特許第5,717,036号明細書
【特許文献7】米国特許第4,694,045号明細書
【特許文献8】米国特許第3,707,529号明細書
【非特許文献1】J.Appl.Polym.Sci.51(1994)、21ページ
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様では、本発明は、ヨウ素−または臭素−含有連鎖移動剤および/またはヨウ素−または臭素−含有硬化部位モノマーの機械的に発生させられたエマルジョンであって、生じたエマルジョンの平均液滴径が50ミクロン未満であり、そして実質的にいかなる有機溶媒またはオイルも含まず、そして任意選択的に界面活性剤を含有してもよいエマルジョンの使用を含むフルオロエラストマーの製造方法を提供する。
【0012】
別の態様では、本発明は、臭素、ヨウ素または臭素およびヨウ素の両方の硬化部位を有するフルオロエラストマーの製造方法を提供する。本方法は、
(A)反応器に、ある量の水溶液を装入する工程と、
(B)前記反応器に、ある量の初期モノマー混合物をフィードして反応媒体を形成する工程であって、前記初期モノマー混合物が、i)フッ化ビニリデンおよびテトラフルオロエチレンからなる群から選択される第1モノマー、ならびにii)フッ素含有オレフィン、フッ素含有エーテル、プロピレン、エチレンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、前記第1モノマーとは異なる、1つまたは複数の追加の共重合可能なモノマーを含む工程と、
(C)前記反応器にi)ヨウ素含有硬化部位モノマー、ii)臭素含有硬化部位モノマー、iii)ヨウ素含有連鎖移動剤、およびiv)臭素含有連鎖移動剤からなる群から選択される硬化部位源を含む少なくとも1つの水性エマルジョンをフィードする工程であって、前記エマルジョンが50ミクロン以下の液滴径を有する工程と、
(D)前記モノマーをフリーラジカル開始剤の存在下で重合させて硬化部位を有するフルオロエラストマーを形成する工程と
を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、臭素、ヨウ素または臭素およびヨウ素原子の両方の硬化部位を含有するフルオロエラストマーを製造するための乳化重合法に関する。
【0014】
本発明の方法によって製造されたフルオロエラストマーは、フッ化ビニリデン(VF2)またはテトラフルオロエチレン(TFE)であってもよい第1モノマーと、フッ素含有オレフィン、フッ素含有エーテル、プロピレン、エチレンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、前記第1モノマーとは異なる1つまたは複数の追加のモノマーとの共重合単位を含む。本発明の方法によって製造されたフルオロエラストマー中に存在する第1モノマーの共重合単位のレベルは、フルオロエラストマーに組み込まれたすべての共重合モノマーのモルの総数を基準として、85モルパーセント以下である。
【0015】
第1モノマーと共重合可能なフッ素含有オレフィンの例には、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(1−HPFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)およびフッ化ビニルが挙げられる。
【0016】
本発明に用いられてもよいフッ素含有エーテルの例には、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、パーフルオロ(アルキルアルケニルエーテル)およびパーフルオロ(アルコキシアルケニルエーテル)が挙げられる。
【0017】
モノマーとしての使用に好適なパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)には、式
CF2=CFO(Rf'O)n(Rf''O)mf (I)
(式中、Rf'およびRf''は、2〜6個の炭素原子の異なる線状または分岐のパーフルオロアルキレン基であり、mおよびnは独立して0〜10であり、そしてRfは1〜6個の炭素原子のパーフルオロアルキル基である)
で表されるものが含まれる。
【0018】
好ましいクラスのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)には、式
CF2=CFO(CF2CFXO)nf (II)
(式中、XはFまたはCF3であり、nは0〜5であり、そしてRfは1〜6個の炭素原子のパーフルオロアルキル基である)
の組成物を含む。
【0019】
最も好ましいクラスのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)には、nが0または1であり、そしてRfが1〜3個の炭素原子を含有するそれらのエーテルが含まれる。かかる過フッ素化エーテルの例には、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)およびパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)が挙げられる。他の有用なモノマーには、式
CF2=CFO[(CF2mCF2CFZO]nf (III)
(式中、Rfは、1〜6個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基であり、m=0または1、n=0〜5、そしてZ=FまたはCF3である)
の化合物が含まれる。
【0020】
このクラスの好ましいメンバーは、式中RfがC37であり、m=0、そしてn=1であるものである。
【0021】
追加のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)モノマーには、式
CF2=CFO[(CF2CF{CF3}O)n(CF2CF2CF2O)m(CF2p]Cx2x+1 (IV)
(式中、mおよびnは独立して=0〜10、p=0〜3、そしてx=1〜5である)
の化合物が含まれる。
【0022】
このクラスの好ましいメンバーには、式中n=0〜1、m=0〜1、そしてx=1である化合物が含まれる。
【0023】
有用なパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の他の例には、
CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2O)mn2n+1 (V)
(式中、n=1〜5、m=1〜3、そして式中、好ましくは、n=1である)
が挙げられる。
【0024】
モノマーとしての使用に好適なパーフルオロ(アルキルアルケニルエーテル)には、式VI
fO(CF2nCF=CF2 (VI)
(式中、Rfは1〜20、好ましくは1〜10、最も好ましくは1〜4個の炭素原子を含有する過フッ素化された線状または分岐の脂肪族基であり、そしてnは1〜4の整数である)
で表されるものが含まれる。具体的な例には、パーフルオロ(プロポキシアリルエーテル)およびパーフルオロ(プロポキシブテニルエーテル)が挙げられる。
【0025】
パーフルオロ(アルコキシアルケニルエーテル)は、式VI中のRfが少なくとも1個の酸素原子を脂肪族鎖中に含有するという点においてパーフルオロ(アルキルアルケニルエーテル)とは異なる。具体的な例には、パーフルオロ(メトキシエトキシアリルエーテル)が挙げられるが、それに限定されない。
【0026】
フッ素含有エーテルの共重合単位が本発明のフルオロエラストマー中に存在する場合、このエーテル単位含量は一般に、フルオロエラストマーの総重量を基準として、25〜75重量パーセントの範囲である。パーフルオロ(メチルビニル)エーテルが使用される場合、フルオロエラストマーは好ましくは30〜55重量%の共重合PMVE単位を含有する。
【0027】
本発明の方法によって製造されたフルオロエラストマーはまた、有機過酸化物誘導の架橋に好適な硬化部位を含有する。硬化部位源は、i)臭素もしくはヨウ素を含有する共重合可能な硬化部位モノマー、ii)臭素もしくはヨウ素−含有連鎖移動剤、またはiii)i)およびii)の両方であってもよい。フルオロエラストマー中へ組み込まれた臭素またはヨウ素原子のレベルは、フルオロエラストマー中の共重合モノマーのモルの総数を基準として、0.03〜1.5モルパーセントである。フルオロエラストマーがヨウ素−または臭素−含有硬化部位モノマーおよびヨウ素−または臭素含有末端基(連鎖移動剤から生じた)の両方を含有する場合、ヨウ素または臭素原子のレベルは、計0.06〜3モルパーセントのヨウ素または臭素硬化部位のために、硬化部位源のそれぞれから(すなわち硬化部位モノマーからおよび連鎖移動剤から)0.03〜1.5モルパーセントの範囲にあってもよい。
【0028】
臭素原子含有硬化部位モノマーは、他のハロゲン、好ましくはフッ素を含有してもよい。臭素化オレフィン硬化部位モノマーの例は、ブロモトリフルオロエチレン、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1(BTFB)、ならびに臭化ビニル,1−ブロモ−2,2−ジフルオロエチレン、臭化パーフルオロアリル、4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロブテン−1、4−ブロモ−1,1,3,3,4,4−ヘキサフルオロブテン、4−ブロモ−3−クロロ−1,1,3,4,4−ペンタフルオロブテン、6−ブロモ−5,5,6,6−テトラフルオロヘキセン、4−ブロモパーフルオロブテン−1および臭化3,3−ジフルオロアリルなどの他のものである。本発明で有用な臭素化ビニルエーテル硬化部位モノマーには、2−ブロモ−パーフルオロエチルパーフルオロビニルエーテルおよびCF2=CFOCF2CF2CF2OCF2CF2Br、CF2BrCF2O−CF=CF2などのクラスCF2Br−Rf−O−CF=CF2(Rfはパーフルオロアルキレン基である)のフッ素化化合物、ならびにCH3OCF=CFBrまたはCF3CH2OCF=CFBrなどのグラスROCF=CFBrまたはROCBr=CF2(式中、Rは低級アルキル基またはフルオロアルキル基である)のフルオロビニルエーテルが含まれる。
【0029】
好適なヨウ素原子含有硬化部位モノマーには、式:CHR=CH−Z−CH2CHR−I(式中、Rは−Hまたは−CH3であり、Zは線状もしくは分岐の、任意選択的に1つまたは複数のエーテル酸素原子を含有するC1〜C18(パー)フルオロアルキレン基、または米国特許公報(特許文献5)に開示されているような(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である)のヨウ化オレフィンが含まれる。有用なヨウ化硬化部位モノマーの他の例は、米国特許公報(特許文献6)に開示されているように、式:I(CH2CF2CF2nOCF=CF2およびICH2CF2O[CF(CF3)CF2O]nCF=CF2など(式中、n=1〜3である)の不飽和エーテルである。加えて、ヨードエチレン、4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1(ITFB)、3−クロロ−4−ヨード−3,4,4−トリフルオロブテン、2−ヨード−1,1,2,2−テトラフルオロ−1−(ビニルオキシ)エタン、2−ヨード−1−(パーフルオロビニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエチレン、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヨード−1−(パーフルオロビニルオキシ)プロパン、2−ヨードエチルビニルエーテル、3,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−4−ヨードペンテン、およびヨードトリフルオロエチレンをはじめとする好適なヨウ化硬化部位モノマーが米国特許公報(特許文献7)に開示されている。ヨウ化アリルおよび2−ヨード−パーフルオロエチルパーフルオロビニルエーテルもまた有用な硬化部位モノマーである。
【0030】
臭素またはヨウ素硬化部位モノマーが本発明の方法に用いられる場合、それは水性エマルジョン(本明細書で以下に記載される)の形態で反応器に導入される。
【0031】
硬化部位モノマーに加えて、またはその代わりに、ヨウ素または臭素原子含有末端基が任意選択的に、フルオロエラストマーの調製中の臭素またはヨウ素原子含有連鎖移動剤または分子量調整剤の使用の結果としてフルオロエラストマーポリマー鎖端の1つまたは両方に存在してもよい。連鎖移動剤は典型的には式RXn(式中、RはC1〜C3炭化水素、C1〜C6フルオロ炭化水素、C1〜C6クロロフルオロ炭化水素またはC2〜C8パーフルオロカーボンであってもよく、Xはヨウ素または臭素であり、そしてn=1または2である)のものである(米国特許公報(特許文献8)および米国特許公報(特許文献1))。かかる試剤には、式CH22(式中、XはIまたはBrである)、X(CF2nY(式中、XはIまたはBrであり、YはIまたはBrである(好ましくはXおよびYの両方ともIである)、そしてnは3〜10の整数である)のものが含まれる。
【0032】
具体的な例には、ヨウ化メチレン、1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8−ジヨードパーフルオロオクタン、1,10−ジヨードパーフルオロデカン、および1−ヨードノナフルオロブタンが挙げられる。式RBrnm(Rは上に定義された通りであり、nおよびmはそれぞれ1または2である)のものなどの他の連鎖移動剤がまた使用されてもよい。二ヨウ化パーフルオロアルカン連鎖移動剤およびそれらの混合物が特に好ましい。
【0033】
臭素またはヨウ素含有連鎖移動剤が本発明の方法に用いられる場合、それは水性エマルジョンの形態で反応器に導入される。硬化部位モノマーおよび連鎖移動剤の両方がフルオロエラストマー上へ硬化部位を導入するために用いられる場合、硬化部位モノマーおよび連鎖移動剤は典型的には、異なる時間にそして異なる速度で反応器に加えることができる別個の水性エマルジョン中にある。
【0034】
硬化部位モノマーまたは連鎖移動剤の水性エマルジョンは典型的には、高剪断機械的混合によって調製される。任意選択的に界面活性剤を含有する水相は、高剪断場を発生させる装置の存在下で、硬化部位モノマーか連鎖移動剤か両方の混合物かのいずれかを含有する有機相と接触させられる。剪断場は、ホモジナイザーまたは回転子/固定子組み合わせなどの移動または回転部品付き装置によって発生させられてもよい。あるいはまた、高剪断場は、静的ミキサーまたはマイクロミキサーなどの本質的に移動部品を含まない装置によって発生させられてもよい。エマルジョンは、反応器から離れて別個に調製され、必要とされるまで一時的に貯蔵され、次に重合反応器中へ移されてもよい。あるいはまた、エマルジョンはインラインで調製されてもよく、それによって水相および有機相は、エマルジョンを生成しそしてそれを本質的に全く一時的貯蔵をせずに直ちに反応器中へ移す装置中へ同時にフィードされる。生じた水性エマルジョンは50ミクロン以下、好ましくは20ミクロン以下の平均液滴径を有する。
【0035】
任意選択的に界面活性剤がエマルジョンの安定化を助けるために用いられてもよい。好適な界面活性剤の具体的な例には、オクチルスルホン酸ナトリウムおよびドデシルスルホン酸ナトリウムなどのアルキルスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウムおよびデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、カプリル酸ナトリウムおよびステアリン酸ナトリウムなどのアルキルカルボン酸塩、ノニルフェノールポリ(エチレンオキシド)およびアルキルポリ(エチレンオキシド)などの非イオン性界面活性剤、パーフルオロヘキシルエチルスルホン酸、パーフルオロオクタン酸などの過フッ素化カルボン酸およびそれらの塩、トリデカフルオロヘキシルエチルスルホン酸などの部分フッ素化スルホン酸およびその塩、ならびに3,3,4,4−テトラヒドロウンデカフルオロオクタン酸などの部分フッ素化カルボン酸およびその塩が挙げられる。
【0036】
存在する場合、界面活性剤は典型的には、水相中0.05〜5重量%のレベルで存在する。エマルジョンに使用される界面活性剤の量は、本方法および製品の具体的要件に依存するであろう。一般に、より高いレベルの界面活性剤はエマルジョンの安定性を高めるが、最終用途性能に有害であるかもしれないより多い潜在的な不純物を最終フルオロエラストマー中へ導入する。不十分な界面活性剤が使用される場合、生じたエマルジョンは、肉眼に見える液滴凝集と別個の有機相の形成とによって明らかなように不十分な安定性を示すであろう。エマルジョンが、例えば貯蔵タンク中に入れることによって、一時的に貯蔵されるとき、エマルジョンが重合反応器中へ直接フィードされる場合より長いエマルジョン安定性が必要とされる。別個の有機相が生成されると、本発明に与えられる利益は失われる。
【0037】
本発明の乳化重合法は、セミバッチ法か連続法かのいずれかで行われてもよい。セミバッチ法では、所望の組成のガス状モノマー混合物(初期のモノマー装入物)が、水溶液を含有する反応器中へ導入される。水溶液は任意選択的に、フルオロ界面活性剤(例えばパーフルオロオクタン酸アンモニウム、ゾニール(Zonyl)(登録商標)FS−62(本願特許出願人から入手可能)またはフォラファック(Forafac)(登録商標)1033D(本願特許出願人から入手可能))、または炭化水素界面活性剤(例えばドデシルスルホン酸ナトリウム)などの界面活性剤乳化剤を含んでもよい。任意選択的に、水溶液はまた、pH緩衝剤などの無機塩(例えば、重合反応のpHを調整するためのリン酸塩または酢酸塩)を含有してもよい。緩衝剤の代わりに、NaOHなどの塩基がpHを調整するために使用されてもよい。一般に、pHは、製造中のフルオロエラストマーのタイプに依存して、1〜10(好ましくは3〜7)に調整される。あるいは、またはさらに、pH緩衝剤または塩基は、単独で、あるいは、重合開始剤、液体硬化部位モノマーの水性エマルジョンまたは連鎖移動剤の水性エマルジョンなどの他の原料と組み合わせて、重合反応の間中様々な時間に反応器に加えられてもよい。同様に任意選択的に、初期の水溶液は、過硫酸アンモニウム(もしくは他の過硫酸塩)、または過硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウムとの組み合わせなどの無機過酸化物と還元剤との組み合わせなどの水溶性の無機過酸化物重合開始剤を含有してもよい。
【0038】
初期のモノマー装入物は、ある量のTFEまたはVF2の第1モノマーと、第1モノマーとは異なる1つまたは複数の追加のモノマーとを含有する。初期の装入物中に含有されるモノマー混合物の量は、0.5〜10MPa(好ましくは0.5〜3.5MPa)の反応器圧力をもたらすように設定される。初期のガス状モノマー装入物で、各モノマーの相対的な量は反応速度によって決定され、所望の比の共重合モノマー単位を有するフルオロエラストマーをもたらすように設定される(すなわち非常に遅く反応するモノマーは、製造されるべきフルオロエラストマーの組成物に望まれるよりも他のモノマーに対して高い量で存在しなければならない)。
【0039】
モノマー混合物は水性媒体中に分散させられ、そして任意選択的に、連鎖移動剤の水性エマルジョンはまた、反応混合物が典型的には機械的撹拌によってかき混ぜられるこの時点で導入されてもよい。あるいはまた、本発明の方法に用いられる場合、連鎖移動剤の水性エマルジョンは、増分モノマー混合物のすべてが反応器にフィードされてしまう時点までの任意の時間に導入されてもよい。連鎖移動剤の全量が一度に添加されてもよく、または添加は、増分モノマー混合物の100%が反応器に添加されてしまう時点までの時間にわたって広げられてもよい。最も好ましくは、連鎖移動剤水性エマルジョンは、重合が始まる前か、またはその直後に反応器に導入され、そして連鎖移動剤の全量は、増分モノマー混合物の総量の5重量%が反応器にフィードされてしまう時点までに反応器にフィードされる。
【0040】
セミバッチ式反応混合物の温度は、25℃〜130℃、好ましくは30℃〜90℃の範囲に維持される。重合は、開始剤が熱分解するかまたは還元剤と反応し、生じたラジカルが分散したモノマーと反応するときに始まる。
【0041】
追加量のガス状モノマー(本明細書では増分モノマー混合物フィードと呼ばれる)は、調整された温度で一定の反応器圧力を維持するために重合の間中調整された速度で添加される。増分モノマー混合物フィード中に含有されるガス状モノマーの相対的な比率は、生じたフルオロエラストマー中の共重合モノマー単位の所望の比とおよそ同じものであるように設定される。本発明の方法に用いられる場合、追加の連鎖移動剤水性エマルジョンはまた、任意選択的に、重合のこの段階中の任意の時点で反応器に添加され続けてもよい。追加の界面活性剤および重合開始剤はまた、この段階中に反応器にフィードされてもよい。形成されたポリマーの量は、増分モノマー混合物フィードの累積量におよそ等しい。当業者は、初期の装入物の組成が正確に所望の最終フルオロエラストマー組成物に必要とされるものではないかもしれないので、または増分モノマー混合物フィード中のモノマーの一部が反応することなく既に形成されたポリマー粒子中へ溶解するかもしれないので、増分ガス状モノマー混合物フィード中のモノマーのモル比が生じたフルオロエラストマー中の所望の共重合モノマー単位組成のモル比と必ずしも正確に同じものではないことを理解するであろう。
【0042】
共重合可能な硬化部位モノマーが本発明の方法に用いられる場合、硬化部位モノマー水性エマルジョンの流れは、増分モノマー混合物の99重量%がフィードされてしまう時点までに反応器にフィード中の硬化部位モノマーエマルジョンの全量をもたらすような速度で反応器にフィードされる。2〜30時間の範囲の全重合時間が典型的にはこのセミバッチ式重合法で用いられる。
【0043】
本発明の連続乳化重合法は、以下のようにセミバッチ法とは異なる。反応器は、蒸気空間が全くないように水溶液で完全に満たされる。ガス状モノマーおよび水溶性モノマーなどの他の原料の溶液、連鎖移動剤の水性エマルジョン、緩衝剤、塩基、重合開始剤、界面活性剤などが一定速度で別個の流れで反応器にフィードされる。フィード速度は、反応器中の平均ポリマー滞留時間が概して0.2〜4時間であるように調整される。短い滞留時間は反応性モノマーに対して用いられるが、パーフルオロ(アルキルビニル)エーテルなどのそれほど反応性ではないモノマーはより多くの時間を必要とする。連続法反応混合物の温度は25℃〜130℃、好ましくは80℃〜120℃の範囲に維持される。
【0044】
本発明の方法では、重合温度は25℃〜130℃の範囲に維持される。温度が25℃より低い場合、重合の速度は商業的規模で効率的な反応にとって遅すぎ、一方温度が130℃より高い場合、重合を維持するために必要とされる反応器圧力は高すぎて実用的ではない。
【0045】
重合圧力は0.5〜10MPa、好ましくは1〜6.2MPaの範囲にコントロールされる。セミバッチ法では、所望の重合圧力は最初、初期の装入物中のガス状モノマーの量を調節することによって達成され、反応が開始された後、圧力は増分ガス状モノマーフィードを調整することによって調節される。連続法では、圧力は分散系放流ラインにおける背圧調整器を用いて調節される。重合圧力は、それが1MPaより低い場合には、重合反応系におけるモノマー濃度が低すぎて満足できる反応速度を得ることができないので上記範囲に設定される。加えて、分子量は十分に増えない。圧力が10PMaより高い場合、必要とされる高圧設備のコストは非常に高い。
【0046】
形成されたフルオロエラストマーコポリマーの量は、装入される増分フィードの量におよそ等しく、100重量部の水性媒体当たり10〜30重量部のコポリマーの範囲に、好ましくは20〜25重量部のコポリマーの範囲にある。コポリマー形成の程度は、それが10重量部未満である場合、生産性が望ましくないほどに低いが、それが30重量部より高い場合、固形分含量が満足できる撹拌にとって余りにも高くなるので、上記範囲に設定される。
【0047】
本発明で重合を開始するために使用されてもよい水溶性過酸化物には、例えば、過硫酸のアンモニウム、ナトリウムまたはカリウム塩が含まれる。レドックス型開始では、亜硫酸ナトリウムなどの還元剤が過酸化物に加えて存在する。これらの水溶性過酸化物は単独でかまたは2つ以上のタイプの混合物として使用されてもよい。使用されるべき量は、100重量部のポリマー当たり0.01〜0.4重量部、好ましくは0.05〜0.3重量部の範囲で一般に選択される。重合中にフルオロエラストマーポリマー鎖端の一部は、これらの過酸化物の分解によって発生した断片でキャップされる。
【0048】
セミバッチ法か連続法かのいずれかで製造された、生じたフルオロエラストマーエマルジョンは、フルオロエラストマー製造工業で用いられる従来技法によって単離され、濾過され、洗浄され、乾燥させられてもよい。
【0049】
硬化部位に加えて、本発明の好ましいフルオロエラストマーは、i)フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンと、ii)フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンと、iii)フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)と、iv)テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)との共重合単位を含む。
【0050】
本発明の方法によって製造されたフルオロエラストマーは、有機過酸化物によって架橋させる(すなわち加硫するまたは硬化させる)ことができる。硬化性フルオロエラストマー組成物は、a)本発明の方法によって製造されたフルオロエラストマー(上に定義されたような)、b)有機過酸化物、およびc)架橋助剤を含む。好ましくは、本組成物はまた、二価金属水酸化物、二価金属酸化物、プロトンスポンジ(ProtonSponge)(登録商標)(アルドリッチ(Aldrich)から入手可能)などの強塩基性(すなわちpKa>10)有機アミン、または後者のいずれかの組み合わせなどの酸受容体を含有する。二価金属酸化物および水酸化物の例には、CaO、Ca(OH)2およびMgOが挙げられる。
【0051】
使用に好適な有機過酸化物には、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)吉草酸n−ブチル、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキセン−3、ベンゾイルペルオキシド,t−ブチルペルオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)−ヘキサン、t−ブチルペルオキシマレイン酸、およびt−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートが含まれる。有機過酸化物の好ましい例には、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジクミルペルオキシド、およびα,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼンが挙げられる。配合される量は、100重量部のフルオロエラストマー当たり一般に0.05〜5重量部の範囲に、好ましくは0.1〜3重量部の範囲にある。この特定の範囲は、過酸化物が0.05重量部未満の量で存在する場合、加硫速度が不十分であり、そして不十分な離型をもたらすので選択される。一方、過酸化物が5重量部より多い量で存在する場合、硬化ポリマーの圧縮永久歪みは受け入れられないほどに高くなる。加えて、有機過酸化物は単独でまたは2つ以上のタイプの組み合わせで使用されてもよい。
【0052】
硬化性組成物に用いられる架橋助剤は、トリアリルシアヌレート、トリメタクリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、トリアクリルホルマール、トリメリット酸トリアリル、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、フタル酸ジアリル、テトラアリルテレフタルアミド、トリ(ジアリルアミン)−s−トリアジン、トリアリルホスファイト、ビス−オレフィンおよびN,N−ジアリルアクリルアミドなどの多官能性の不飽和化合物である。配合される量は、100重量部のフルオロエラストマー当たり一般に0.1〜10重量部の範囲にある。この特定の濃度範囲は、架橋助剤が0.1重量部未満の量で存在する場合、硬化ポリマーの架橋密度が受け入れられないので選択される。一方、架橋助剤が10重量部を超える量で存在する場合、それは成形中に表面にブルームし、不十分な離型性をもたらす。架橋助剤の好ましい範囲は、100重量部のフルオロエラストマー当たり0.2〜6重量部である。不飽和化合物は単独で、または2つ以上のタイプの組み合わせで使用されてもよい。
【0053】
任意選択的に、他の成分、例えば、カーボンブラック、オースチン(Austin)ブラック、グラファイト、熱可塑性フルオロポリマー微粉、シリカ、粘土、珪藻土、タルク、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、フッ化カルシウム、および硫酸バリウムなどの充填剤;高級脂肪酸エステル、脂肪酸カルシウム塩、脂肪酸アミド(例えばエルカ酸アミド)、低分子量ポリエチレン、シリコーン油、シリコーングリース、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、およびステアリン酸亜鉛などの加工助剤;チタンホワイトおよびベンガラなどの着色剤が、本発明の方法によって製造されたフルオロエラストマーを含有する組成物中の配合添加剤として用いられてもよい。かかる充填剤の量は、100重量部のフルオロエラストマー当たり、一般に0.1〜100重量部、好ましくは1〜60重量部の範囲にある。この範囲は、充填剤が0.1重量部未満の量で存在する場合、ほとんどまたは全く効果がないが、一方、100重量部より多くが使用される場合、弾性が犠牲にされるので選択される。配合される加工助剤の量は、100重量部のフルオロエラストマー当たり、一般に10重量部未満、好ましくは5重量部未満である。使用される量がこの限界より上である場合、耐熱性が悪影響を受ける。配合される着色剤の量は、100重量部のフルオロエラストマー当たり、一般に50重量部未満、好ましくは30重量部未満である。50重量部より多くが使用される場合、圧縮永久歪みが損なわれる。
【0054】
フルオロエラストマー、有機過酸化物、架橋助剤、および任意の他の原料は一般に、内部ミキサーまたはゴムロール機を用いて硬化性組成物中へ組み込まれる。生じた組成物は次に造形され(例えば成形されまたは押し出され)、硬化させられてもよい。硬化は典型的には約150℃〜200℃で1〜60分間行われる。好適な加熱および硬化手段を備えた従来のゴム硬化プレス、金型、押出機などを用いることができる。同様に、最適の物理的特性および寸法安定性のためには、成形されたまたは押し出された物品が、一般に空気雰囲気で、典型的には約180℃〜275℃で、約1〜48時間の追加期間オーブンなど中で加熱されるポスト硬化操作を実施することが好ましい。
【0055】
本発明の方法によって製造されたフルオロエラストマーは、シール、ワイヤコーティング、チュービングおよびラミネートをはじめとする多くの工業的用途で有用である。
【実施例】
【0056】
(試験方法)
ムーニー(Mooney)粘度、ML(1+10)は、1分の予熱時間および10分のローター操作時間を用いて、121℃で(特に記載のない限り)大きい(L)タイプのローターでASTM(米国材料試験協会)D1646に従って測定した。
【0057】
固有粘度は30℃で測定した。メチルエチルケトンを、フッ化ビニリデンの共重合単位を含有するフルオロエラストマー用の溶媒として用いた(100mL溶媒中0.1gポリマー)。ヘプタフルオロ−2,2,3−トリクロロブタン、パーフルオロ(α−ブチルテトラヒドロフラン)およびエチレングリコールジメチルエーテルの60/40/3容量比の混合溶媒を、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(メチルビニルエーテル)との共重合単位を含有するフルオロエラストマーのために使用した(100mL溶媒中0.2gポリマー)。
【0058】
ポリマーのヨウ素含量は、単離し、乾燥させたポリマーのX線蛍光分析によって測定した。
【0059】
エマルジョン液滴径は、クールターLS粒度分析計(Coulter LS Particle Size Analyzer)および61秒分析時間で室温で測定した。
【0060】
(エマルジョン調製)
二ヨウ化パーフルオロアルキル水性エマルジョンの2つの異なる調製方法を以下の実施例で用いた。これらの調製方法は限定的なものであると考えるべきではない。エマルジョンの他の調製方法は当業者に公知である。方法Aでは、1ミリリットル毎秒の流量の、1,4−ジヨードオクタフルオロブタンと1,6−ジヨードドデカフルオロヘキサンとの混合物、および10ミリリットル毎秒の流量の、水中1重量%パーフルオロヘキシルエチルスルホン酸溶液を同時にSIMM−LASマイクロミキサー(IMM、独国マインツ(Mainz,Germany)によって製造された)に通して5.7ミクロンの平均液滴径の、そして全液滴の95%が15ミクロン未満のエマルジョンを形成した。
【0061】
方法Bでは、1,4−ジヨードオクタフルオロブタンと1,6−ジヨードドデカフルオロヘキサンとの22.5ミリリットルの混合物を、427.5ミリリットルの水中1重量%パーフルオロヘキシルエチルスルホン酸溶液と一緒にマイクロフルイディックス(Microfluidics)M−110Yマイクロフルイダイザー中へ加えた。この混合物を4回マイクロフルイダイザーに通して0.18ミクロンの平均液滴径を有する、全液滴の95%が0.27ミクロン未満のジヨード化合物の5容量パーセント・エマルジョンを発生させた。
【0062】
(実施例1)
41リットル反応器に17.5グラムのパーフルオロヘキシルエチルスルホン酸と、12.9グラムのリン酸二ナトリウム七水和物と、24,969.6グラムの脱イオン水とを含有する水溶液を装入した。反応器を80℃にし、窒素でフラッシュして酸素を除去し、次に43重量%フッ化ビニリデンと、3重量%テトラフルオロエチレンと、54重量%パーフルオロ(メチルビニルエーテル)との混合物で1.38MPagに加圧した。1重量%過硫酸アンモニウムと5重量%リン酸二ナトリウム七水和物との30.0グラムの溶液を加えて重合を開始させた。反応器圧力は下がるので、55重量%フッ化ビニリデンと、10重量%テトラフルオロエチレンと、35重量%パーフルオロ(メチルビニルエーテル)とのモノマーフィードを加えて圧力を維持した。90グラムのこのモノマー混合物を加えた後、方法A(上記)に従って調製した、水中1%(重量基準)パーフルオロヘキシルエチルスルホン酸溶液中の1,4−ジヨードオクタフルオロブタンと1,6−ジヨードドデカフルオロヘキサンとの混合物のエマルジョンを反応器中へフィードした。計30.0グラムの二ヨウ化物混合物を反応器にフィードした後、二ヨウ化物混合物フィードを止め、1重量%パーフルオロヘキシルエチルスルホン酸水溶液を、同様に止める前にもう1分間フィードした。追加の開始剤溶液を必要に応じて加えて重合を維持した。55重量%フッ化ビニリデンと、10重量%テトラフルオロエチレンと、35重量%パーフルオロ(メチルビニルエーテル)との計8,333グラムの混合物を反応器にフィードした後、反応を停止し、反応器を脱圧した。33,525グラムの23.76重量%固形分ラテックスを得た。ポリマーを、硫酸アルミニウムをラテックスに加えることによって単離し、次に70℃で乾燥させた。
【0063】
(実施例2)
41リットル反応器に17.5グラムのパーフルオロヘキシルエチルスルホン酸と、12.9グラムのリン酸二ナトリウム七水和物と、24,969.6グラムの脱イオン水とを含有する水溶液を装入した。反応器を80℃にし、窒素でフラッシュして酸素を除去し、次に43重量%フッ化ビニリデンと、3重量%テトラフルオロエチレンと、54重量%パーフルオロ(メチルビニルエーテル)との混合物で1.38MPagに加圧した。1重量%過硫酸アンモニウムと5重量%リン酸二ナトリウム七水和物との30.0グラムの溶液を加えて重合を開始させた。反応器圧力は下がるので、55重量%フッ化ビニリデンと、10重量%テトラフルオロエチレンと、35重量%パーフルオロ(メチルビニルエーテル)とのモノマーフィードを加えて圧力を維持した。90グラムのこのモノマー混合物を加えた後、方法A(上記)に従って調製した、水中1%(重量基準)パーフルオロヘキシルエチルスルホン酸溶液中の1,4−ジヨードオクタフルオロブタンと1,6−ジヨードドデカフルオロヘキサンとの混合物のエマルジョンを次に反応器中へフィードした。計10.0グラムの二ヨウ化物混合物を反応器にフィードした後、二ヨウ化物混合物フィードを止め、1重量%パーフルオロヘキシルエチルスルホン酸水溶液を、同様に止める前にもう1分間フィードした。833グラムのモノマー混合物を加えた後、再び方法Aに従って調製した、水中1%(重量基準)パーフルオロヘキシルエチルスルホン酸溶液中の1,4−ジヨードオクタフルオロブタンと1,6−ジヨードドデカフルオロヘキサンとの混合物のエマルジョンを反応器にフィードした。追加の20.0グラムの二ヨウ化物混合物を反応器にフィードした後、二ヨウ化物混合物フィードを止め、1重量%パーフルオロヘキシルエチルスルホン酸水溶液を、同様に止める前にもう1分間フィードした。追加の開始剤溶液を必要に応じて加えて重合を維持した。55重量%フッ化ビニリデンと、10重量%テトラフルオロエチレンと、35重量%パーフルオロ(メチルビニルエーテル)との計8,333グラムの混合物を反応器にフィードした後、反応を停止し、反応器を脱圧した。33,800グラムの25.39重量%固形分ラテックスを得た。ポリマーを、硫酸アルミニウムをラテックスに加えることによって単離し、次に70℃で乾燥させた。
【0064】
(比較例1)
41リットル反応器に17.5グラムのパーフルオロヘキシルエチルスルホン酸と、12.9グラムのリン酸二ナトリウム七水和物と、24,969.6グラムの脱イオン水とを含有する水溶液を装入した。反応器を80℃にし、窒素でフラッシュして酸素を除去し、次に43重量%フッ化ビニリデンと、3重量%テトラフルオロエチレンと、54重量%パーフルオロ(メチルビニルエーテル)との混合物で1.38MPagに加圧した。1重量%過硫酸アンモニウムと5重量%リン酸二ナトリウム七水和物との30.0グラムの溶液を加えて重合を開始させた。反応器圧力は下がるので、55重量%フッ化ビニリデンと、10重量%テトラフルオロエチレンと、35重量%パーフルオロ(メチルビニルエーテル)とのモノマーフィードを加えて圧力を維持した。90グラムのこのモノマー混合物を加えた後、1,4−ジヨードオクタフルオロブタンと1,6−ジヨードドデカフルオロヘキサンとの計30.0グラムの混合物をニートで10分間にわたって反応器にフィードした。追加の開始剤溶液を必要に応じて加えて重合を維持した。55重量%フッ化ビニリデンと、10重量%テトラフルオロエチレンと、35重量%パーフルオロ(メチルビニルエーテル)との計8,333グラムの混合物を反応器にフィードした後、反応を停止し、反応器を脱圧した。33,695グラムの25.31重量%固形分ラテックスを得た。ポリマーを、硫酸アルミニウムをラテックスに加えることによって単離し、次に70℃で乾燥させた。
【0065】
これらの実施例からの分析結果を表Iに示す。これらの実施例のそれぞれは、1,4−ジヨードオクタフルオロブタンと1,6−ジヨードドデカフルオロヘキサンとの30.0gの混合物を使用した。この混合物のヨウ素含量は.48.6重量%であった。それ故、各実施例ポリマーは14.58グラムのヨウ素を受け入れた。
【0066】
【表1】

【0067】
表I中のデータは、二ヨウ化パーフルオロアルキル・エマルジョンの使用がポリマー中へのヨウ素組み込みを本質的に100%に増大させたこと、および生じたポリマーがニートの二ヨウ化パーフルオロアルキルで製造した比較例が有するより低い固有およびムーニー粘度を有したことを示す。
【0068】
(実施例3)
41リットル反応器に17.5グラムのパーフルオロヘキシルエチルスルホン酸と、12.9グラムのリン酸二ナトリウム七水和物と、24,969.6グラムの脱イオン水とを含有する水溶液を装入した。反応器を80℃にし、窒素でフラッシュして酸素を除去し、次に43重量%フッ化ビニリデンと、3重量%テトラフルオロエチレンと、54重量%パーフルオロ(メチルビニルエーテル)との混合物で1.38MPagに加圧した。1重量%過硫酸アンモニウムと5重量%リン酸二ナトリウム七水和物との30.0グラムの溶液を加えて重合を開始させた。反応器圧力は下がるので、55重量%フッ化ビニリデンと、10重量%テトラフルオロエチレンと、35重量%パーフルオロ(メチルビニルエーテル)とのモノマーフィードを加えて圧力を維持した。90グラムのこのモノマー混合物を加えた後、方法B(上記)に記載したように調製した、1重量%パーフルオロヘキシルエチルスルホン酸溶液中の1,4−ジヨードオクタフルオロブタンと1,6−ジヨードドデカフルオロヘキサンとの混合物の5容量%エマルジョンを25mL/分の速度でフィードした。10分後にこのフィードを停止した。追加の開始剤溶液を必要に応じて加えて重合を維持した。55重量%フッ化ビニリデンと、10重量%テトラフルオロエチレンと、35重量%パーフルオロ(メチルビニルエーテル)との計8,333グラムの混合物を反応物にフィードした後、反応を停止し、反応器を脱圧した。24.95重量%固形分ラテックスを得た。ポリマーを、硫酸アルミニウムをラテックスに加えることによって単離し、次に70℃で乾燥させた。本ポリマーは42のムーニー粘度および0.72の固有粘度を有した。
【0069】
(実施例4)
41リットル反応器に34.5グラムのパーフルオロヘキシルエチルスルホン酸と、40.0グラムのリン酸二ナトリウム七水和物と、24,925.5グラムの脱イオン水とを含有する水溶液を装入した。反応器を80℃にし、窒素でフラッシュして酸素を除去し、次に25重量%テトラフルオロエチレンと、75重量%パーフルオロ(メチルビニルエーテル)との混合物で2.00MPagに加圧した。1重量%過硫酸アンモニウムと5重量%リン酸二ナトリウム七水和物との40.0グラムの溶液を加えて重合を開始させた。反応器圧力は下がるので、52重量%テトラフルオロエチレンと、48重量%パーフルオロ(メチルビニルエーテル)とのモノマーフィードを加えて圧力を維持した。45グラムのこのモノマー混合物を加えた後、方法A(上記)に記載したように調製した、1重量%パーフルオロヘキシルエチルスルホン酸溶液中の1,4−ジヨードオクタフルオロブタンと1,6−ジヨードドデカフルオロヘキサンとの混合物の9容量%エマルジョンを16.5mL/分の速度でフィードした。7分後にこのフィードを停止した。追加の開始剤溶液を必要に応じて加えて重合を維持した。52重量%テトラフルオロエチレンと、48重量%パーフルオロ(メチルビニルエーテル)との計8,333グラムの混合物を反応物にフィードした後、反応を停止し、反応器を脱圧した。24.03重量%固形分ラテックスを得た。ポリマーを、硫酸アルミニウムをラテックスに加えることによって単離し、次に70℃で乾燥させた。本ポリマーは69.5のムーニー粘度を有した。
【0070】
(実施例5)
41リットル反応器に24.7グラムのパーフルオロヘキシルエチルスルホン酸と、20.0グラムのリン酸二ナトリウム七水和物と、24,955.3グラムの脱イオン水とを含有する水溶液を装入した。反応器を80℃にし、窒素でフラッシュして酸素を除去し、次に25重量%フッ化ビニリデンと、2重量%テトラフルオロエチレンと、73重量%ヘキサフルオロプロピレンとの混合物で1.72MPagに加圧した。1重量%過硫酸アンモニウムと5重量%リン酸二ナトリウム七水和物との50.0グラムの溶液を加えて重合を開始させた。反応器圧力は下がるので、50重量%フッ化ビニリデンと、20重量%テトラフルオロエチレンと、30重量%ヘキサフルオロプロピレンとのモノマーフィードを加えて圧力を維持した。45グラムのこのモノマー混合物を加えた後、方法A(上記)に記載したように調製した、1重量%パーフルオロヘキシルエチルスルホン酸溶液中の1,4−ジヨードオクタフルオロブタンと1,6−ジヨードドデカフルオロヘキサンとの混合物の9容量%エマルジョンを16.5mL/分の速度でフィードした。12.5分後にこのフィードを停止した。追加の開始剤溶液を必要に応じて加えて重合を維持した。50重量%フッ化ビニリデンと、20重量%テトラフルオロエチレンと、30重量%ヘキサフルオロプロピレンとの計8,333グラムの混合物を反応物にフィードした後、反応を停止し、反応器を脱圧した。25.46重量%固形分ラテックスを得た。ポリマーを、硫酸アルミニウムをラテックスに加えることによって単離し、次に70℃で乾燥させた。本ポリマーは21のムーニー粘度および0.55の固有粘度を有した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)反応器に、ある量の水溶液を装入する工程と、
(B)前記反応器に、ある量の初期モノマー混合物をフィードして反応媒体を形成する工程であって、前記初期モノマー混合物が、i)フッ化ビニリデンおよびテトラフルオロエチレンからなる群から選択される第1モノマー、ならびにii)フッ素含有オレフィン、フッ素含有エーテル、プロピレン、エチレンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、前記第1モノマーとは異なる、1つまたは複数の追加の共重合可能なモノマーを含む工程と、
(C)前記反応器にi)ヨウ素含有硬化部位モノマー、ii)臭素含有硬化部位モノマー、iii)ヨウ素含有連鎖移動剤、およびiv)臭素含有連鎖移動剤からなる群から選択される硬化部位源を含む少なくとも1つの水性エマルジョンをフィードする工程であって、前記エマルジョンが50ミクロン以下の平均液滴径を有する工程と、
(D)前記モノマーをフリーラジカル開始剤の存在下で重合させて硬化部位を有するフルオロエラストマーを形成する工程と
を含むことを特徴とする臭素、ヨウ素または臭素およびヨウ素の両方の硬化部位を有するフルオロエラストマーの製造方法。
【請求項2】
工程C)における前記水性エマルジョンが20ミクロン以下の平均液滴径を有する硬化部位源を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程C)における前記水性エマルジョンが界面活性剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記界面活性剤が、オクチルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、デシル硫酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ノニルフェノールポリ(エチレンオキシド)、パーフルオロヘキシルエチルスルホン酸およびその塩、パーフルオロオクタン酸およびその塩、トリデカフルオロヘキシルエチルスルホン酸およびその塩、ならびに3,3,4,4−テトラヒドロウンデカフルオロオクタン酸およびその塩からなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程C)における前記水性エマルジョンが、水、硬化部位源および界面活性剤の高剪断機械的混合によって調製されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記フルオロエラストマーが、i)フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレン、ii)フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレン、iii)フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)、ならびにiv)テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)からなる群から選択される共重合単位と、臭素原子、ヨウ素原子ならびにヨウ素原子および臭素原子の両方からなる群から選択される硬化部位とを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記硬化部位源が、ブロモトリフルオロエチレン、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1、臭化ビニル、1−ブロモ−2,2−ジフルオロエチレン、臭化パーフルオロアリル、4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロブテン−1、4−ブロモ−1,1,3,3,4,4−ヘキサフルオロブテン、4−ブロモ−3−クロロ−1,1,3,4,4−ペンタフルオロブテン、6−ブロモ−5,5,6,6−テトラフルオロヘキセン、4−ブロモパーフルオロブテン−1、臭化3,3−ジフルオロアリル、2−ブロモ−パーフルオロエチルパーフルオロビニルエーテル、CF2=CFOCF2CF2CF2OCF2CF2Br、CH3OCF=CFBrおよびCF3CH2OCF=CFBrからなる群から選択される臭素含有硬化部位モノマーであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記硬化部位源が、ヨードエチレン、4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1、3−クロロ−4−ヨード−3,4,4−トリフルオロブテン、2−ヨード−1,1,2,2−テトラフルオロ−1−(ビニルオキシ)エタン、2−ヨード−1−(パーフルオロビニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエチレン、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヨード−1−(パーフルオロビニルオキシ)プロパン、2−ヨードエチルビニルエーテル、3,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−4−ヨードペンテン、ヨードトリフルオロエチレン、ヨウ化アリル、および2−ヨード−パーフルオロエチルパーフルオロビニルエーテルからなる群から選択されるヨウ素含有硬化部位モノマーであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記硬化部位源が、i)CH22(式中XがIまたはBrである)、ii)X(CF2nY(式中XがIまたはBrであり、YがIまたはBrであり、そしてnが3〜10の整数である)ならびにiii)X(CF2nY(式中XおよびYの両方がIであり、そしてnが3〜10の整数である)からなる群から選択されるヨウ素含有連鎖移動剤であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2009−513795(P2009−513795A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538019(P2008−538019)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/042074
【国際公開番号】WO2007/050933
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(597035953)デュポン パフォーマンス エラストマーズ エルエルシー (44)
【Fターム(参考)】