説明

臭素化スチレン系ポリマーおよびこれらの使用

【課題】 熱可塑性ポリマー用の難燃剤として有用な臭素化スチレン系ポリマーを提供する。
【解決手段】 上記の課題は、1.50までの範囲の初期ハンター溶液ΔE値を有する臭素化アニオン型スチレン系ポリマーによって解決される。この臭素化アニオン型スチレン系ポリマーは、最高の既知の臭素化アニオン型スチレン系ポリマーよりも良好なメルトフローおよび/または低い初期ΔE値を有する。このポリマーの他の特徴は、320℃における高い熱安定性および/または極めて低い初期の色値を有することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善されたメルトフローおよび/または低い色値などの改善されたメルトフロー性を持つ臭素化スチレン系ポリマー、これらの製造およびこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
同一所有者の(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)、(特許文献4)、(特許文献5)、(特許文献6)、(特許文献7)、(特許文献8)、(特許文献9)、(特許文献10)、(特許文献11)、(特許文献12)、(特許文献13)および(特許文献14)は、任意の既知の臭素化スチレン系ポリマーの最良の既知の性質を有する臭素化ポリスチレンなどの臭素化スチレン系ポリマーを製造するための最良の既知の先行プロセス技術と考えられるものを述べている。この関連において、本明細書中およびこの特許請求の範囲で使用される用語「臭素化スチレン系ポリマー」および「臭素化ポリスチレン」は、1つ以上の臭素化スチレン系モノマーのオリゴマー化または重合により製造されるオリゴマーまたはポリマー(このオリゴマーまたはポリマーの性質は、通常、多くの点で臭素化ポリスチレンとかなり異なる)と区別されるポリスチレンまたはスチレンと少なくとも1つの他のビニル芳香族モノマーのコポリマーなどの既存のスチレン系ポリマーの臭素化により製造される臭素化ポリマーを指す。
【特許文献1】米国特許第5,677,390号
【特許文献2】米国特許第5,686,538号
【特許文献3】米国特許第5,767,203号
【特許文献4】米国特許第5,852,131号
【特許文献5】米国特許第5,852,132号
【特許文献6】米国特許第5,916,978号
【特許文献7】米国特許第6,113,381号
【特許文献8】米国特許第6,207,765号
【特許文献9】米国特許第6,232,393号
【特許文献10】米国特許第6,232,408号
【特許文献11】米国特許第6,235,831号
【特許文献12】米国特許第6,235,844号
【特許文献13】米国特許第6,326,439号
【特許文献14】米国特許第6,521,714号
【発明の開示】
【0003】
何年にもわたって、改善されたメルトフローおよび/または低い色値などの臭素化スチレン系ポリマーの性質についての改善の相当な努力が種々のグループによりなされた。最善の努力にかかわらず、どのグループも本発明により製造され得るそして提供される臭素化スチレン系ポリマーの高いメルトフロー値および/または低い色値、ましてや優れた性質の組み合わせを有する臭素化スチレン系ポリマーを製造あるいは提供することができなかったと思われる。どの先行のグループもこのような改善された臭素化スチレン系ポリマーの製造を可能とせしめるプロセス関係性を見出さなかった。
【0004】
なかんずく、スチレン系ポリマーのハロゲン化アルミニウム触媒の臭素化において、反応時間が形成される生成物のタイプに重大な影響を及ぼすということが見出された。特に、臭素化反応混合物が形成され、好適な低温度で極めて短時間存在し、次に反応が迅速に停止されると、同一所有者の米国特許第6,113,381号、第6,232,393号、第6,232,408号、第6,235,831号、第6,235,844号および第6,521,714号において参照されている最短の滞留時間である、30分のフィード
期間および5分の反応期間など、長時間存在する反応混合物中で製造される生成物と比較して、改善されたメルトフローおよび/または色の性質を有する臭素化スチレン系ポリマーが形成される。これは、分子量の対応する変化がないために予期外の結果であり、そしてそれぞれの生成物は、メルトフロー(220−270℃で測定される)に影響を及ぼす可能性のある、優れた熱安定性(例えば、320℃における高温HBr発生により示されるような)において殆ど差異を示さない。本発明の臭素化方法の態様は、フリーラジカル重合、アニオン重合またはカチオン重合により製造されるスチレン系ポリマーの臭素化に適用可能であり、フリーラジカル重合により製造されるスチレン系ポリマーの使用が好ましく、アニオン重合により製造されるスチレン系ポリマーの使用が更に好ましい。
【0005】
入手し得る実験的な証拠は、スチレン系ポリマーのハロゲン化アルミニウム触媒の臭素化において、短い反応時間が動力学的な臭素化生成物の形成をもたらし、長時間存在する反応混合物中で形成される生成物が熱力学的な生成物であるということを示している。変換の機構がどのようなものであれ、入手し得る証拠は、それぞれの生成物の間の差が化学構造の差であるということを示している。NMRスペクトルを比較すると、本発明により製造される臭素化スチレン系ポリマーは、長いフィード時間および反応期間の使用を伴うことを除いて同等の反応条件下で行われる方法で同一の成分から形成される生成物よりもオルト環位置に多くの水素原子を有する。この差異に対する説得力のある説明は、短い反応時間の使用によって、臭素の多くがオルト位置以外の位置を占める傾向があるということである。例えば、、短い反応時間により製造される生成物に対しては、2,4,6−および2,3,6−トリブロモ異性体は6種の可能なトリブロモ異性体の最も不利なものと予期され、そしてオルトBrを持たないトリブロモの3,4,5−トリブロモのみが最も有利である。高オルト臭素化は、ポリマー骨格にかなりの立体的な歪を導入する傾向があり、例えば3,4,5−トリブロモ異性体と比較して延びた鎖の立体配置を生じる可能性がある。このような鎖延長は溶融粘度を増大させ、オルト臭素化の大きな異性体に対してメルトフローの実測される減少を引き起こす。異なる臭素化生成物が本発明にしたがって形成されることを支持する更なる証拠は、長い反応滞留時間により製造される同等の生成物と比較して本発明の生成物に対して観察される2−10℃のガラス転移温度の減少である。
【0006】
したがって、本発明の一つの態様は、好ましくはフリーラジカル重合により形成されるスチレン系ポリマーを使用して、更に好ましくはアニオン重合により製造されるスチレン系ポリマーを使用することにより臭素化スチレン系ポリマーを製造する方法であって、(i)臭素化剤、(ii)溶媒中のスチレン系ポリマー溶液および(iii)ハロゲン原子が臭素もしくは塩素であり、少なくとも1つのこのようなハロゲン原子が臭素原子である、ハロゲン化アルミニウム触媒から形成される反応混合物を、ポリマーの臭素化が起こるように−20乃至+20℃の範囲の1つ以上の温度において維持し、そしてこのような反応混合物中のポリマーの臭素化を20分以下の臭素化時間で停止することを含んでなる方法である。
【0007】
本発明のもう一つの態様は、(i)例えば約66−72重量%の範囲で少なくとも約66もしくは67重量%の臭素含量と、(ii)ASTM試験方法D1238−00を用いて測定して、既知の同等の臭素化アニオン型スチレン系ポリマーと比較して高いメルトフローインデックスを有する新しい臭素化アニオン型スチレン系ポリマーである。用語「既知の同等の臭素化アニオン型スチレン系ポリマー」は本明細書中で後で定義される。72重量%の臭素を有する臭素化スチレン系ポリマーを製造することは可能であり、ならびに本発明の範囲内であるが、そのようにすることは困難であり、それゆえこの態様の新しい臭素化アニオン型スチレン系ポリマーは、通常少なくとも約66重量%であるが72重量%未満の、例えば約66−71重量%の範囲の臭素含量を有する。更に好ましくは、本発明のこれらおよび他の新しい臭素化アニオン型スチレン系ポリマーは、約67−70重量
%の範囲の臭素含量を有する。
【0008】
本発明のなおもう一つの態様は、例えば約66−72重量%の範囲で少なくとも約66もしくは67重量%の臭素含量を有し、そしてオルト臭素原子を有する芳香族環のパーセントがプロトンNMRにより測定して既知の同等の臭素化アニオン型スチレン系ポリマー中でオルト臭素原子を有する芳香族環のパーセントよりも少ないポリマーである、臭素化アニオン型スチレン系ポリマーである。上述したのと同一の理由で、この態様のこれらの新しい臭素化アニオン型スチレン系ポリマーは、通常、少なくとも約66重量%であるが約72重量%未満の、例えば約66−71重量%の範囲の臭素含量を有する。更に好ましくは、この態様のこれらの新しい臭素化アニオン型スチレン系ポリマーは、約67−70重量%の範囲の臭素含量を有する。
【0009】
卓越したメルトフロー特性に加えて、本発明の新規な臭素化アニオン型スチレン系ポリマーは他の望ましい性質を有する。例えば、本発明の臭素化アニオン型ポリスチレンは、異常に低い初期色(ΔE=0.18)と320℃熱安定性試験により測定して優れた熱安定性(HBr59ppm)を有することが判った。また、本発明のプロセス技術を用いて、高臭素レベル(例えば、70重量%の臭素)を8分という短い反応時間で得ることができる。
【0010】
卓越したメルトフロー性と別に、本発明は、極めて低い初期のハンター溶液ΔE値と、好ましくは1つ以上の更なる極めて望ましい性質を有するアニオン型スチレン系ポリマーも提供することができる。特許請求の範囲を含めて本明細書中で使用される時、用語「アニオン型スチレン系ポリマー」または「アニオン型ポリスチレン」は、参照されるポリマーがリチウムアルキルなどのアニオン重合開始剤を使用することにより製造されたものであるということを意味する。
【0011】
したがって、本発明のもう一つの態様は、ゼロ以上−1.50の範囲の、好ましくは0.15−1.40の範囲の、そして更に好ましくは0.18−1.32の範囲の初期ハンター溶液ΔE値を有する、臭素化アニオン型スチレン系ポリマーである。好ましくは、これらの臭素化アニオン型スチレン系ポリマーは、また、(1)8,000−50,000の範囲の(好ましくは10,000−30,000の範囲の)、更に好ましくは10,000−20,000の範囲のGPC重量平均分子量(M);または(2)HBr150ppmまたはそれ以下(好ましくはHBr120ppmまたはそれ以下の)の320℃熱安定性試験における熱安定性;または(3)少なくとも約66または67重量%の、例えば約66−72重量%の範囲の、および上記に説明したように、通常約72重量%未満、例えば約66−71重量%の範囲の、更に好ましくは約67−70重量%の範囲の臭素含量;または(4)(1)、(2)、(3)のいずれか2つ、または3つ全部の組み合わせも有する。
【0012】
本発明の他の特徴および態様は、これに続く説明と添付の特許請求の範囲からなお更に明白であろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
プロセス技術
本発明の一つの態様は、バッチもしくはセミバッチ法として、もしくは連続法として実施可能な、臭素化スチレン系ポリマーを製造する方法である。この方法は、(i)臭素化剤、(ii)溶媒中のスチレン系ポリマー溶液および(iii)各ハロゲン原子が臭素もしくは塩素であり、分子当りの少なくとも1つのこのようなハロゲン原子の平均が臭素原子である、ハロゲン化アルミニウム触媒から形成される反応混合物を、ポリマーの臭素化が起こるように−20乃至+20℃の範囲の1つ以上の温度において維持し、そしてこの
ような反応混合物中のポリマーの臭素化を20分以下の、好ましくは10分以下の、そして更に好ましくは5分以下の臭素化時間で停止することを含んでなる。通常、最小臭素化時間はほぼ1分である。この関連で、臭素化時間は、臭素化が起こることができる時間である。例えば、(ii)の連続フィードを開始し、続いて1分後(iii)の連続フィードを開始し、続いて1分後(i)の連続フィードを開始する場合、先行の2分間では臭素化が起こらないために、臭素化時間は(i)のフィードの開始と共に開始する。この方法の更に特別な態様においては、臭素化剤は臭素である。上記(ii)のスチレン系ポリマーの溶液の形成において使用されるスチレン系ポリマーの少なくとも50重量%、更に好ましくはスチレン系ポリマーの少なくとも80重量%は、ポリスチレンであるということが好ましい。更に好ましくは、ポリスチレンそれ自身が上記の(ii)の溶液の形成において使用される。
【0014】
成分(i)および(ii)を配分して、通常、少なくとも約50重量%から最大約72重量%までの範囲にある、任意の好適な量の臭素を含有する臭素化スチレン系ポリマーを製造することができる。このように、本発明の方法により製造可能な臭素化スチレン系ポリマーは、通常、少なくとも約50重量%の、好ましくは少なくとも約60重量%の、更に好ましくは少なくとも約67重量%の、そしてなお更に好ましくは68−72重量%の範囲の臭素を含有する。スチレン系ポリマーと臭素化剤を配分して、種々の所望の臭素含量を得る方法は、当業者には既知であり、この明細書の頭初で参照されている同一所有者の特許に述べられている。したがって、当分野の技術に不慣れで、更に詳細を望む者はだれでも、この明細書の頭初で参照されている同一所有者の特許を見るべきである。本発明の極めて有利な特徴の一つは、約70重量%またはそれ以上と高い臭素含量を有するものの場合でも、本発明のプロセス技術が臭素化アニオン型ポリスチレンにおいて著しく改善された性質を提供するということである。
【0015】
本発明の方法を実施することができる種々の方法が存在する。バッチまたはセミ−バッチ運転方式と称され得る、一つのこのような方法は、任意の量の成分が臭素化反応を受ける最大時間が約20分を超えないように成分(i)、(ii)および(iii)を攪拌されたポット反応器などの反応器の中に急速に導入することを伴う。約20分以下で、攪拌されたポット反応器中の混合物は、クエンチ組成物を反応器の中に導入することによるか、またはクエンチ組成物を入れたクエンチ容器の中に反応器の内容物を投入することにより、急速にクエンチされる。この方法では、反応混合物のどの部分も約20分間以上臭素化を受けない。反応器にフィードされる最後の量の成分が好適な臭素化を受ける充分な時間を有するように、フィードを停止し、そして少なくとも成分(i)、(ii)および(iii)のフィードの開始から約20分以下の全体の時間以内で臭素化を停止する前に、少なくとも1−2分の時間が少なくとも1−2分の残存時間としての役割をして、成分の最後の量が臭素化を受けるようにすることができることが望ましい。バッチもしくはセミバッチ運転方式は、反応が上記に規定されている温度範囲内および約20分以下の好適な臭素化反応時間内に維持されるように、反応器の中への成分の急速な導入と、反応器内容物の充分に急速な攪拌および効率的な冷却も含まなければならない。
【0016】
本発明にしたがった好ましい運転方式は、連続法を使用することを伴う。本発明の一つのこのような好ましい態様においては、
A)(i)臭素化剤、(ii)溶媒中のスチレン系ポリマー溶液および(iii)ハロゲン原子が臭素もしくは塩素であり、少なくとも1つのこのようなハロゲン原子が臭素原子である、ハロゲン化アルミニウム触媒から連続的に形成される反応混合物を−20乃至+20℃の範囲の、好ましくは1−10℃の範囲の1つ以上の温度において維持されている反応域の中を連続的に移動し、排出せしめて、ポリマーの臭素化がこのような移動の少なくとも一部の間に起こるようにし;
B)反応混合物が反応域から出る時、もしくは出た後で反応混合物中のポリマーの臭素化
を停止し;そして
C)1−20分の範囲で、好ましくは1−10分の範囲で、そして更に好ましくは1−5分の範囲でA)における反応混合物の形成とB)における停止の間の時間を連続的に有する
ことを含んでなる、臭素化スチレン系ポリマーを製造する方法が提供される。この連続法の実施においては、好ましくは、A)において連続的に形成される反応混合物は、大部分もしくは全部液体混合物からなり、好ましくは、臭素化剤は臭素であり、そして好ましくは、臭素は連続的に形成される液体反応混合物の閉じ込め体内に連続的にフィードされる。勿論、用語「閉じ込め体」は液体反応混合物体内で液体反応混合物の外部の部分でフィードすることと区別されるとの意味である。臭素が注入器またはフィードプローブを離れる時に、液体の中に圧入されるように反応域中で形成される液体反応混合物体の中に延びる注入器またはフィードプローブを使用することにより、閉じ込め体の中へのフィードを行うことができる。攪拌されるポットタイプの反応容器中でのバッチ/セミバッチ運転においては、臭素が反応域中で形成される液体反応混合物体内に急速に分散されるように、注入器またはプローブの出口部分が攪拌翼の周辺の最近傍となるようにこれを配置することが望ましい。
【0017】
連続運転方式においては、A)において成分(i)、(ii)および(iii)から形成される反応混合物は、種々の方法で形成可能である。例えば、臭素化反応混合物は、反応域の中に(i)、(ii)および(iii)を連続的であるが、それぞれ別々にフィードすることにより形成可能である。臭素化反応混合物を形成するもう一つの方法は、反応域の中に(ii)および(i)と(iii)の混合物を連続的にフィードし、(ii)のフィードが(i)と(iii)の混合物のフィードとは別であることを含む。臭素化反応混合物を形成する更にもう一つの方法は、反応域の中に(ii)と(iii)の混合物および(i)の別のフィードを連続的にフィードすることである。1つ以上の(i)、(ii)および(iii)に対して反応域への複数のフィード入口が存在することができるということは認識されるであろう。如何に多数のフィード入口が使用され、そして如何にフィードが行われる(例えば、一方が(i)と(iii)の組み合わせまたは(ii)と(iii)の組み合わせであり、他方がそれぞれ(ii)または(i)である、3つの別のフィードまたは2つのフィードとして)かとは無関係に、フィードは実質的に並流でなければならない(フィードが異なる時間で開始可能なスタートアップを除いて)。運転の実質的なアンバランスを引き起こす若干のフィード中断は、許容可能であるが、可能ならば定常状態運転が達成され得るように回避されるか、もしくは少なくとも最少化されるべきである。このようなフィードはすべて連続フィードであるということが好ましいが、個別のパルスの間に均一に短い時間間隔を有する1つ以上のパルス化されたフィードにより運転することは可能であると考えられる。A)においてフィードを行う前出の方法の各々において、所望ならば、溶媒の別の並流で連続もしくは不連続フィードをA)におけるもう一つのフィード流として使用することができる。バッチ/セミバッチ運転方式の場合におけるように、形成されるこのような液体反応混合物内に臭素が急速に分散されるように、個別の臭素フィードまたはフィード混合物/反応域中で形成される液体反応混合物の閉じ込め体の中に直接にフィードされる臭素を含有する溶液を有することが望ましい。このように、反応域は乱流域を有し、この中に個別の臭素フィードまたはフィード混合物/臭素を含有する溶液が反応域中で形成される乱流の反応混合物体の中に注入され得る。
【0018】
上記の連続法を実施する特に好ましい方法は、上流の入口域および下流の出口域付きの臭素化反応域を設け;そして上流の入口域の中に(i)、(ii)および(iii)を別々に、上述の組み合わせのいずれかで連続的にフィードすることにより、反応混合物を連続的に形成することによってA)を行うことを含む。このように、この反応混合物が反応域中で連続的に製造される。好ましくは、このような反応混合物は、スチレン系ポリマーの臭素化が起こることができ、A)における反応混合物の連続移動が上流の入口域から下
流の出口域までであり、そしてこのような連続移動時の反応混合物の液体相の少なくとも平均温度が−20乃至+20℃の範囲の、好ましくは1−10℃の範囲の、そして更に好ましくは1−5℃の範囲の1つ以上の温度に維持される、液体相を含んでなる。加えて、A)における反応域からの反応混合物の排出は、好ましくは下流の出口域からであり、そして反応域から出る反応混合物は、クエンチ域の中に通され、そこで反応混合物は液体状態の水からなるクエンチ組成物によりクエンチされる。
【0019】
本発明の連続法の実施においては、成分(i)、(ii)および(iii)をフィードする速度に対して反応混合物がA)において反応域から出る速度を提供、維持および/または制御して、反応域の移動する内容物の容積が実質的に一定となるようにすることが一般に望ましい。このように、反応域への連続フィードおよび反応域からの連続流れを有することは、反応域中で実質的に一定の容積を維持することを容易にする傾向があるので、通常、好ましい。しかしながら、同時に反応域において反応混合物の容積を実質的に一定に保ちながら、反応域へのパルス化されたフィードまたは反応域から出る1つ以上のパルス化された流れを使用することが可能である。
【0020】
連続法のB)における臭素化の停止は、通常、このような反応混合物が反応域から出る時もしくは後でクエンチ組成物と共に反応域から出るクエンチ反応混合物により行われる。クエンチ組成物は、通常、液体状態の水を含んでなる。クエンチ段階は不連続的もしくは連続的に実施可能である。不連続クエンチは、反応域から出る反応混合物を短時間捕集し、次にこの量をクエンチ組成物中でもしくはこれと共に急いでクエンチすることを含む。連続クエンチは、反応域から連続的に出る反応混合物がクエンチ組成物中でもしくはこれと共にクエンチされるようにせしめることを含む。
【0021】
水性クエンチ組成物の構成はかなり変わることができる。しかしながら、通常、クエンチ組成物は少なくとも液体状態の水を含んでなる。1つ以上の好適な塩の水溶液もクエンチ組成物として使用可能である。クエンチ組成物の形成において使用され得る塩の非限定的な例は、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウムおよびホウ水素化ナトリウムを含む。クエンチ組成物の温度も変わることができるが、通常、0−30℃の範囲にある。水中の1つ以上の好適な塩からなるクエンチ組成物の濃度も変更を受け易い。実際的な実施においては、水中の亜硫酸ナトリウムの1%−10%溶液は、クエンチ組成物としての使用に好都合であることが判明した。しかしながら、他の濃度が使用可能である。クエンチ組成物として水のみの使用も可能である。
【0022】
反応域へのフィードとして使用される成分
バッチ/セミバッチ運転方式および連続運転方式の両方において、種々の材料が成分(i)、(ii)および(iii)として使用可能である。例えば、すべてのこのような運転方式においては、単体臭素を臭素化剤として使用することが好ましい。この臭素は高純度のものでなければならない。必要であるか、もしくは望ましい場合に臭素を精製する方法は、この明細書の頭初で参照されている同一所有者の特許に述べられている。しかしながら、他の臭素化剤は本発明の実施において使用可能である。使用され得る機知の臭素化剤のなかには、塩化臭素、N−ブロモスクシンイミド、1,3−ジブロモヒダントインおよびピリジニウムトリブロミドがある。
【0023】
臭素化されて、本発明の方法を用いて臭素化スチレン系ポリマーを形成するスチレン系ポリマーは、スチレンのホモポリマーまたはスチレンと他のビニル芳香族モノマーとのコポリマーである。式
C=CR−Ar
を有するモノマーは、スチレン系ポリマーが形成可能な好適なビニル芳香族モノマーの一つである。式中、Rは、水素原子または1−4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
そしてArは6−10個の炭素原子の芳香族基(アルキル環で置換された芳香族基を含めて)である。ポリスチレンそれ自身は好ましいスチレン系ポリマーであり、そしてアニオン型ポリスチレンは、臭素化されるべきスチレン系ポリマーとして更に好ましい。しかしながら、少なくとも50重量パーセントの、更に望ましくは少なくとも80重量パーセントのスチレンおよび/またはアルファ−メチルスチレンであり、残りが環置換スチレン系モノマーであるものから製造されるものなどの他のスチレン系ポリマーを使用することができる。このように、本発明の実施において使用される「スチレン系ポリマー」は、このポリマー中の少なくとも50%の、好ましくは少なくとも80%の、そして更に好ましくは本質的に100%の芳香族基が少なくとも1つのオルト位置に水素原子を有し、そしてこのような芳香族基の環系がフェニル基とアルキル置換フェニル基の組み合わせからなる場合、少なくとも50%の、好ましくは少なくとも80%の、そして更に好ましくは本質的に100%のすべてのこのようなフェニル基が各オルト位置に水素原子を有する、1つ以上のスチレン系モノマーのポリマーである。
【0024】
このようなスチレン系ポリマーの製造に好適なモノマーの例は、スチレン、アルファ−メチルスチレン、オルト−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、パラ−エチルスチレン、イソプロペニルトルエン、ビニルナフタレン、イソプロペニルナフタレン、ビニルビフェニル、ビニルアントラセン、ジメチルスチレンおよびtert−ブチルスチレンである。
【0025】
本発明の臭素化法において使用されるスチレン系ポリマーは、通常、カチオン、フリーラジカルもしくはアニオン重合法により製造されるポリマーである。アニオン型ポリスチレンを製造する優れた方法は、同一所有者の米国特許第6,657,028号で述べられている。フリーラジカル開始剤により製造されるスチレン系ポリマーは市場で入手可能である。The Dow Chemical Companyにより販売されているStyron 612は、本発明にしたがって臭素化スチレン系ポリマーの形成において使用されるのに好適なこのようなスチレン系ポリマーの一つである。しかしながら、The Dow Chemical CompanyのStyron 668、Styron 677、Styron 680ならびにChevron Chemical CompanyのEA3300、MB3200、MC3100またはEA3000などの添加物含有ポリスチレンまたは他のメーカーからの同等の材料が使用可能である。カチオン型スチレン系ポリマーを製造する方法が既知であり、文献で報告されている。カチオン重合により製造されるスチレン系ポリマーとフリーラジカル重合により製造されるスチレン系ポリマーの間では、後者のスチレン系ポリマーが好ましい。フリーラジカル重合により製造されるスチレン系ポリマーとアニオン重合により製造されるスチレン系ポリマーの間では、アニオン型スチレン系ポリマーが好ましい。
【0026】
2つ以上のスチレン系ポリマーのブレンドまたは混合物も本発明の臭素化法を用いて臭素化可能である。このようなブレンドまたは混合物は、カチオン重合、フリーラジカル重合もしくはアニオン重合により製造される2つ以上の異なるスチレン系ポリマーから構成可能である。フリーラジカル重合により製造される少なくとも1つのスチレン系ポリマーとアニオン重合により製造される少なくとも1つのスチレン系ポリマーのブレンドまたは混合物も本発明の方法により臭素化されるポリマー基材として使用可能である。
【0027】
本発明の臭素化スチレン系ポリマーの製造において原料として使用されるアニオン型スチレン系ポリマーは、通常、2000−20,000ダルトンの範囲の、好ましくは3000−10,000ダルトンの範囲の、そして更に好ましくは3000−7000ダルトンの範囲のGPC重量平均分子量を有する。本発明の臭素化法において原料として使用される、フリーラジカル重合により形成されるスチレン系ポリマーは、望ましくは、30,000−500,000ダルトンの範囲の、好ましくは50,000−300,000ダ
ルトンの範囲の、そして更に好ましくは150,000−300,000の範囲のGPC重量平均分子量を有する。本発明の臭素化法において原料として使用される、カチオン重合により形成されるスチレン系ポリマーは、望ましくは、2000−20,000ダルトンの範囲の、好ましくは3,000−10,000ダルトンの範囲の、そして更に好ましくは3,000−7,000ダルトンの範囲のGPC重量平均分子量を有する。
【0028】
多様な好適な有機溶媒のいずれもスチレン系ポリマーの溶媒として使用可能である。このように、例えば、ジクロロメタン、ジブロモメタン、ブロモクロロメタン、ブロモトリクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジブロモエタン、1,1−ジブロモエタン、1−ブロモ−2−クロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリブロモエタン、1,1,2,2−テトラブロモエタン、1,2−ジブロモプロパン、1−ブロモ−3−クロロプロパン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、2−ブロモ−2−メチルプロパン、1−ブロモペンタン、1,5−ジブロモペンタン、1−ブロモ−2−メチルブタン、1−ブロモヘキサン、1−ブロモヘプタン、ブロモシクロヘキサンおよび液体異性体、これらの同族体または類縁体などの物質が使用可能である。2つ以上のこのような化合物の液体混合物が使用可能である。ブロモクロロメタンが特に好ましい溶媒である。
【0029】
反応混合物の形成で使用する前に、スチレン系ポリマーは溶媒に予備溶解される。バッチもしくはセミバッチ運転での反応域は、触媒を懸濁もしくは溶解するために反応混合物の成分のフィードを開始する前に、好適な量の有機溶媒を含有しなければならない。連続運転方式においては、更なる溶媒の別々な流れは、所望ならば、反応域の中にフィード可能である。
【0030】
3000−10,000の範囲のGPC重量平均分子量を有するアニオン型スチレン系ポリマーについては、好ましくは、使用されるスチレン系ポリマー溶液は、溶媒キログラム当り250−700グラムの範囲のスチレン系ポリマーを含有する。高分子量のアニオン型スチレン系ポリマーについては、このようなポリマー溶液の増大した粘度を補償するために、この溶液は希薄でなければならない。
【0031】
上記のように、反応混合物の形成において使用される触媒は、ハロゲン原子が臭素もしくは塩素原子であり、そして少なくとも1つのこのような原子が臭素原子である、少なくとも1つのハロゲン化アルミニウム触媒である。反応混合物の形成において極めて有用である一つのこのような触媒は、臭素と、ジブロモメタンおよびブロモクロロメタンなどのハロ炭化水素溶媒中の溶解性が良好であるために、三臭化アルミニウムである。反応混合物の形成において使用され得る、臭素原子と塩素原子の両方を含有するハロゲン化アルミニウムは、臭化二塩化アルミニウム(AlBrCl、Reg.No.60284−44−8)、二臭化塩化アルミニウム(AlBrCl、Reg.No.60284−43−7)、臭化塩化アルミニウム(AlBrCl、Reg.No.380907−74−4)およびジ−μ−ブロモテトラクロロジアルミニウム(AlBrCl、Reg.No.162719−12−2)などの物質を含む。本発明の態様のすべてにおいて、反応混合物にフィードされる好ましい触媒は三臭化アルミニウムである。
【0032】
バッチあるいは連続臭素化のいずれかに好適な触媒溶液は、固体AlCl(臭素に可溶性でない物質)とガス状HBrを温かい(40−50℃)液体臭素中で合体させることにより容易に製造可能である。急速なハロゲン交換は、可溶性ブロモハロゲン化アルミニウム触媒とHClを生成する。このタイプの触媒の使用(HClの共存の有無における)が特に好ましい。
【0033】
本発明の臭素化アニオン型スチレン系ポリマー
本発明のプロセス技術を使用することにより、新規な臭素化アニオン型スチレン系ポリマーが製造可能である。本発明の新しい臭素化アニオン型スチレン系ポリマーは、(i)既知の同等の臭素化アニオン型スチレン系ポリマーと比較して高いメルトフローインデックスおよび(ii)高い臭素含量を有する。これらは、また、低い塩素含量(例えば、500ppm以下、好ましくは100ppm以下)も有し、したがってブレンダーおよび押し出し機などの加工する装置に対して低腐食性である。
【0034】
本発明の好ましい新しい臭素化アニオン型スチレン系ポリマーは、高い臭素含量を有し、また既知の同等の臭素化アニオン型スチレン系ポリマーと比較して低いパーセントのオルト置換臭素原子付きの芳香族環も有する。通常、本発明の新しい臭素化アニオン型スチレン系ポリマー、特に67−71重量%の範囲の臭素含量を有するポリマーは、既知の同等の臭素化アニオン型スチレン系ポリマーと比較して少なくとも5%少ないオルト置換臭素原子付きの芳香族環を有する。実際、実験は、67−69重量%の範囲の臭素含量を有する本発明の臭素化アニオン型ポリスチレンが既知の同等の臭素化アニオン型スチレン系ポリマーと比較して少なくとも10%少ないオルト置換臭素原子付きの芳香族環を有するということを示した。
【0035】
本発明の更に好ましい新しい臭素化アニオン型スチレン系ポリマーは、(A)320℃熱安定性試験におけるHBr300ppm以下(更に好ましくはHBr200ppm以下、なお更に好ましくはHBr125ppm以下)の熱安定性または(B)5以下(更に好ましくは3以下)の初期ΔE色値のいずれかも有する。本発明のなお更に好ましい新しい臭素化アニオン型スチレン系ポリマーは、これら(A)および(B)の性質の両方も有する。本発明の新規な臭素化アニオン型スチレン系ポリマーは、好ましくは臭素化アニオン型ポリスチレンポリマーである。
【0036】
特許請求の範囲を含めて本明細書中で使用される時、用語「既知の同等の臭素化アニオン型スチレン系ポリマー」は、(1)同一のアニオン型スチレン系ポリマーロットから製造されるか、もしくは同一の種類のアニオン重合開始剤と同一の種類のスチレン系モノマー組成物を使用して製造されるアニオン型スチレン系ポリマーから製造され(すなわち、比較される両方の臭素化スチレン系ポリマーは、同一の種類および量のアニオン重合系を用いて製造され、そしてこのようなスチレン系ポリマーは両方とも臭素化する前にスチレンなどの同一のモノマーのみを重合することにより製造された、もしくはスチレン系コポリマーならば、同一の比率の同一のスチレン系モノマーから製造されたアニオン型スチレン系ポリマーの臭素化により形成される);(2)本発明の新しい臭素化アニオン型スチレン系ポリマーの臭素含量(66重量%以上の臭素含量も有する)と1.5重量%以下だけ異なる66重量%以上の臭素含量を有し;そして(3)比較される2つの臭素化アニオン型スチレン系ポリマーの平均GPC重量平均分子量と7.5%以下だけ異なるGPC重量平均分子量を有する、臭素化スチレン系ポリマーを表す。
【0037】
望ましくは、本発明の臭素化アニオン型スチレン系ポリマーのGPC重量平均分子量は、8000−50,000ダルトンの範囲に、好ましくは10,000−30,000ダルトンの範囲に、そして更に好ましくは10,000−20,000ダルトンの範囲にある。
【0038】
これらの新規な臭素化アニオン型スチレン系ポリマーは、新しい性質および有用な性質、特に改善されたメルトフロー性と、多くの場合、卓越した初期の色(通常、ΔEとして測定される)および優れた熱安定性(通常、本明細書で後述される標準の熱安定性手順により測定される)を有する。NMRスペクトルを比較すると、本発明にしたがって製造される臭素化アニオン型ポリスチレンは、同等の反応条件下で行われるが、長いフィード時間と反応期間の使用を含む方法で同一の成分から形成される生成物よりもオルト環位置で
多くの水素原子を有する。また、本発明の臭素化アニオン型ポリスチレンに対して実測される、長い反応滞留時間により製造される同等の生成物と比較して2−10℃のガラス転移温度の減少は、本発明の臭素化アニオン型スチレン系ポリマーが既知のアニオン型スチレン系ポリマーと事実上異なるという更なる証拠としての役割をする。このように、改善された性質および分析結果は、両方とも本発明の臭素化スチレン系ポリマー中の新規な化学構造を暗示する。すなわち、本発明の臭素化スチレン系ポリマー中の臭素原子はオルト位置以外の位置を占める傾向がある。
【0039】
機構はどうであれ、本発明は、液体ポリマーの測定可能な流れが起こる温度および圧力で加熱される場合、臭素化アニオン型スチレン系ポリマーが(a)(i)、(ii)および(iii)の同一の量および比率を同一の反応温度で維持される反応器に30分間フィードし、次に(b)反応混合物を5分の反応期間同一の温度で保持するバッチ法で製造される臭素化アニオン型スチレン系ポリマーよりも高いメルトフローを有する、本発明の方法により製造される臭素化アニオン型スチレン系ポリマーをもう一つの態様として提供する。
【0040】
本発明の新しい臭素化アニオン型スチレン系ポリマーは臭素化アニオン型スチレン系ポリマーであり、臭素化アニオン型ポリスチレンが特に好ましい。フリーラジカル重合またはカチオン重合を用いて製造される臭素化スチレン系ポリマーのなかでは、フリーラジカル重合を用いて製造される臭素化ポリスチレンが好ましい。
【0041】
本発明の臭素化法により製造される臭素化スチレン系ポリマー、特に臭素化アニオン型ポリスチレンなどの本発明の臭素化アニオン型スチレン系ポリマーのもう一つの望ましい性質は、本明細書中で後述されるように320℃熱安定性試験における高い熱安定性である。好ましい臭素化スチレン系ポリマー、特に臭素化アニオン型ポリスチレンなどの臭素化アニオン型スチレン系ポリマーは、この試験においてHBr約300ppm以下の熱安定性を有し、そして更に好ましいこのようなポリマーはこの試験においてHBr約200ppm以下の熱安定性を有する。本発明のなお更に好ましい臭素化スチレン系ポリマー、特に臭素化アニオン型ポリスチレンなどの臭素化アニオン型スチレン系ポリマーは、320℃熱安定性試験においてHBr約125ppm以下の熱安定性を有するものである。
【0042】
本発明の方法により製造される臭素化スチレン系ポリマー、特に臭素化アニオン型ポリスチレンなどの臭素化アニオン型スチレン系ポリマーのなおもう一つの特徴は、本明細書で後述されるハンター溶液色値試験により例示される低い色値である。本発明の好ましい臭素化スチレン系ポリマー、特に臭素化アニオン型ポリスチレンなどの臭素化アニオン型スチレン系ポリマーは、ハンター試験による5以下、更に好ましくは3以下の初期ΔE色値を有するものである。本発明の方法により製造される特に好ましい臭素化スチレン系ポリマー、特に臭素化アニオン型ポリスチレンなどの臭素化アニオン型スチレン系ポリマーは、上述の改善されたメルトフロー特性を有するのみならず、320℃熱安定性試験における熱安定性または直前の2つの段落で述べた初期ΔE色値のいずれかを有する。本発明の更に特に好ましい臭素化スチレン系ポリマーは、上述の改善されたメルトフロー特性を有するのみならず、320℃熱安定性試験における熱安定性と直前の2つの段落で述べた初期ΔE色値の両方を有する。
【0043】
本発明の方法により製造可能な臭素化スチレン系ポリマーは、いかなる好適な量の臭素も含有することができる。通常、これらは、少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約60重量%、そして更に好ましくは少なくとも約67重量%を含有する。66−71重量%の範囲の、そして67−70重量%の範囲の臭素含量も望ましい。もう一つの望ましい範囲は68−72重量%の臭素である。
【0044】
臭素化スチレン系ポリマーの使用
本発明にしたがって製造される臭素化スチレン系ポリマーは、熱可塑性および熱硬化性ポリマー材料および樹脂などの種々のポリマー材料用の難燃剤として使用可能である。本発明の臭素化アニオン型スチレン系ポリマーの改善されたメルトフロー特性は、このような用途に対する有用性を増進する。例えば、これらの改善されたメルトフローによって、これらを熱可塑性ポリマーと更に容易に溶融ブレンドし、そして被覆物として、もしくは難燃剤バインダーとして熱硬化性ポリマーまたは樹脂に更に容易に塗布することが可能となる。本発明にしたがって難燃化可能な基材ポリマーの重量平均分子量は、低分子量ポリマーから極高分子量ポリマーまで広く変わることができる。本発明の臭素化スチレン系ポリマーにより難燃化可能な種々の熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーを製造する方法は、当業者に既知である。このような事項に不慣れなその他の者は、このような主題について存在する網羅的な文献を参照すべきである。
【0045】
好ましくは、本発明の臭素化スチレン系ポリマーは、種々の熱可塑性ポリマーの添加物難燃剤として使用される。このように、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーと難燃剤量の本発明の少なくとも1つの臭素化アニオン型スチレン系ポリマーを含んでなる難燃剤組成物は、本発明の態様の一つである。
【0046】
本発明の臭素化アニオン型スチレン系ポリマーが本発明の更なる態様にしたがってブレンド可能な格段の熱可塑性樹脂は、特にガラス繊維などの補強充填剤により充填もしくは補強される場合にポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ブレンドまたはこれらの2つ以上の混合物および類似のコポリマー型熱可塑性ポリエステルを含む。好ましい熱可塑性ポリエステルはポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートである。ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド12などのポリアミド熱可塑性樹脂も、特にガラス充填される場合には、類似の方法で有効に難燃化可能である。本発明の臭素化スチレン系ポリマーを添加することにより有効に難燃化可能な他の熱可塑性ポリマーは、限定ではないが、スチレン系ポリマー、高衝撃ポリスチレン、結晶ポリスチレン、ポリオレフィン、ABS、MABS、SAN、芳香族ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルおよび芳香族ポリカーボネート−ABSブレンド、ポリフェニレンエーテル−ポリスチレンブレンドおよび類似の物質などのポリマーブレンドを含む。本発明の少なくとも1つの臭素化スチレン系ポリマーを使用することにより有効に難燃化可能な熱可塑性ポリマーの一つの群は、(1)熱可塑性スチレン系ポリマー、(2)熱可塑性アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンポリマー、(3)熱可塑性ポリエステル、または(4)熱可塑性ポリアミドである。難燃剤相乗剤、酸化防止剤、UV安定剤、顔料、衝撃変成剤、充填剤、酸捕捉剤、発泡剤などの慣用の添加物は、必要に応じて配合物に包含可能である。本発明の好ましいポリマーブレンドは、難燃剤相乗剤またはガラス繊維充填剤もしくは補強剤と、最も好ましくは相乗剤、および補強繊維および/または充填剤の両方を含有する。
【0047】
本発明の方法により形成される臭素化スチレン系ポリマー、特に本発明の臭素化アニオン型ポリスチレンなどの臭素化アニオン型スチレン系ポリマーは、通常、熱可塑性ポリマー配合物もしくはブレンドの全重量基準で5−25重量%の範囲内にある難燃剤量で使用される。使用される場合には、ガラス繊維などの補強充填剤の量は、通常、完成組成物の全重量基準で約50重量%までの範囲にある。使用される場合には、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム、酸化鉄、ホウ酸亜鉛または類似の相乗剤などの難燃剤相乗剤の量は、一般に、完成組成物の全重量基準で約12重量%までの範囲にある。比率の前出の範囲からの逸脱は、必要であるか、もしくは目前の特別な環境下で望ましいと考えられる場合にはいつでも許容可能であり、そしてこのような逸脱は本発明の範囲および意図内にある。
【0048】
基材の熱可塑性ポリマーを除く成分が好適な相対的な量にあるが、少量の基材ポリマー中にブレンドされている、マスターバッチ組成物も本発明の範囲内にある。このように、本発明は、本発明の臭素化アニオン型スチレン系ポリマー(好ましくは、臭素化アニオン型ポリスチレン)が例えば1:99−70:30の範囲の重量比(基材ポリマー:臭素化アニオン型スチレン系ポリマーもしくはポリスチレン)でブレンドされているポリアルキレンテレフタレートまたはナイロンポリマーまたは高衝撃ポリスチレンなどの少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含んでなる組成物を含む。このようなマスターバッチブレンドは、必須ではないが、充填剤または補強繊維および/または酸化鉄、ホウ酸亜鉛、好ましくは三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムまたはアンチモン酸カリウムなどの酸化アンチモン相乗剤などの少なくとも1つの難燃剤相乗剤も含有し得る。使用可能な補強剤または充填剤の典型的な例は、低アルカリE−ガラス、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、ガラス球マイクロバルーン、ホイスカー、タルク、ウオラストナイト、カオリン、白亜、焼成カオリンおよび類似の物質を含む。所望ならば、サイジング剤がこのような補強剤または充填剤と共に使用可能である。多数の好適なガラス充填のポリアルキレンテレフタレートもしくはナイロン成形組成物が一般市場で入手可能であり、そしてこれらは本発明の組成物の製造において使用可能である。
【0049】
本発明の臭素化アニオン型スチレン系ポリマーと、相乗剤からなる添加物ブレンド、例えば75重量部の臭素化アニオン型ポリスチレンと三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムまたはアンチモン酸カリウムなどの25重量部の相乗剤ブレンドなども本発明により提供される。通常、このようなブレンドは、2つの成分の合計が100重量部である、70−98重量部の範囲の臭素化アニオン型ポリスチレンと、30−2重量部の範囲の相乗剤を含有する。好適な量の他の好適な添加物成分もこのような添加物ブレンド中に包含可能である。
【0050】
種々の既知の手順を使用して、本発明のこのような更なる組成物を構成するブレンドまたは配合物を製造することができる。例えば、ポリアルキレンテレフタレートポリマーまたはナイロンポリマーと臭素化ポリスチレンなどの臭素化スチレン系ポリマーおよび完成ブレンドの中に組み込まれる任意の他の成分を粉末の形で一緒にブレンドし、その後押し出し、圧縮もしくは射出成形により成形することができる。同様に、成分をバンバリーミキサー、ブラベンダーミキサー、ロールミルl、ニーダーまたは他の類似の混合器具中で一緒に混合し、次に押し出しなどにより、もしくは他の既知の方法により所望の形状または形態に成形し、続いて顆粒またはペレットに粉砕することができる。
【0051】
本発明の好ましい熱可塑性組成物は、少なくともUL 94 V2試験に合格する、1.6および3.2ミリメートルの厚さ(1/16および1/8インチの厚さ)の成形試料を成形する能力を有する。
【0052】
分析方法
既知の分析方法を本発明のポリマーの特性の試験で使用するか、もしくは使用に合せるようにすることができる。しかしながら、一貫性の目的で次の方法を使用する。
【0053】
全臭素含量:臭素化スチレン系ポリマーは、テトラヒドロフラン(THF)などの溶媒中の良好な、もしくは少なくとも満足な溶解性を有するので、臭素化スチレン系ポリマーに対する全臭素含量の定量は慣用の蛍光X線法を用いることにより容易に行われる。分析される試料は、希薄試料、例えば60mLTHF中の0.1±0.05g臭素化ポリスチレンである。XRF分光計はPhillips PW1480分光計であることができる。THF中のブロモベンゼンの標準化された溶液は較正標準として使用される。この明細書中で説明され、実施例中示されている全臭素値は、すべてXRF分析法を基準とする。
【0054】
ハンター溶液色値試験:本発明の臭素化ポリマーの色属性を求めるために、クロロベンゼンなどの易入手性の溶媒に臭素化スチレン系ポリマーを溶解する能力が再度使用される。使用される分析方法はかなり直裁的なものである。5g±0.1gの臭素化ポリスチレンを50mLの遠心分離管に秤取する。この管に45g±0.1gのクロロベンゼンも添加する。管を閉じ、リストアクションシェーカー上で1時間振る。1時間の振盪時間の後、溶液を未固体について検査する。ヘーズが存在する場合には、溶液を4000rpmで10分間遠心分離する。溶液がなお透明でない場合には、更に10分間遠心分離する。ヘーズが残っている場合には、正確な測定が不能として溶液を廃棄しなければならない。しかしながら、大体の場合そうであるが、透明な溶液が得られたならば、HunterLab Color Quest積分球分光色度計での試験にかける。20mm透過長を有する透過セルが使用される。色度計を「DeltaE−lab」に設定して、色をΔEとして示し、色値を「L」、「a」および「b」で与える。生成物の色は、クロロベンゼンに対するクロロベンゼン中の生成物の10重量%濃度に対してハンターL、aおよびbスケールを用い、式:
ΔE=[(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2
にしたがって全色差(ΔE)として求められる。
【0055】
DSC値:DSC値をTA Instruments DSC Model 2920により得た。試料を窒素下25℃から400℃まで10℃/分で加熱した。
【0056】
熱重量分析:本発明の臭素化スチレン系ポリマーの熱挙動を試験するために熱重量分析(TGA)も使用する。熱重量分析装置を使用することにより、TGA値を得る。各試料を50−60ml/分の窒素流れと共にPtパン上で25℃から約600℃まで10℃/分で加熱する。
【0057】
320℃熱安定性試験:試料の熱安定性を求め、腐食潜在性を評価するために、320℃熱安定性試験を使用する。この試験手順は、使用される温度が300℃の代わりに320℃であるということを除いて本質的に米国特許第5,637,650号で述べられている。このように高い温度を使用する理由は、本発明のポリマーが300℃で測定可能な量のHBrを生じないということである。このように、この試験の実施において、各試料は二重で測定される。2.00±0.01gの試料を新しい清浄な20x150mm試験管に入れる。ネオプレン栓とバイトン(登録商標)フルオロエラストマー配管によって、試験管を窒素パージラインと接続し、試験管からの排出ガスを200mLの0.1NのNaOHと5滴のフェノールフタレンを入れた3つの250mLの側腕フィルターフラスコ中の液面下ガス分散用泡ガラスから連続的に通す。0.5SCFHでの一定の窒素パージと共に、試験管を溶融塩浴(51.3%KNO/48.7%NaNO)中320℃で15分間、続いて周囲温度で5分間加熱する。次に、試料を入れた試験管を清浄な乾燥試験管により置き換え、そして空の試験管を320℃塩浴中に入れたまま装置を窒素により更に10分間パージする。試験管、配管およびガス分散管を全部脱イオン水によりリンスし、リンスを3つの捕集フラスコ中でこの溶液と共に定量的に合体する。合体された溶液を1:1HNOにより酸性化し、自動電位差滴定装置(Metrohm670、716、736もしくは同等品)を用いて、0.01N AgNOにより滴定する。結果を次のようにppmHBr、ppmHClおよびppmHBr等量として計算する。
ppmHBr=(EPl)(N)(80912)/(試料重量)
ppmHCl=(EP2−EP1)(N)(3646l)/(試料重量)
ppmHBr等量=(EP2)(N)(80912)/(試料重量)
式中、EP(x)=終点xに達するのに使用されるAgNOのmL数;およびN=AgNOの規定数である。次の分析の前に配管を窒素により充分に乾燥する。各々の日最初の試料の前に、3つの空の清浄な試験管をブランクとして測定して、系中に残存ハロゲン
化水素が存在しないということを確認する。
【0058】
NMR分析
Bruker DPX 400MHz装置を120℃のプローブ温度で使用して、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d中の約20重量%の臭素化ポリスチレンの溶液に対してプロトンNMRを得る。正常な処理およびベースライン補正の後、幅の広いピークの面積を3.8−2.2ppmと2.2−0.9ppmの間で積分する。末端基と残存溶媒に対する補正の後、これら2つの面積の和は、ポリマー繰り返し単位当りの3個の鎖プロトンを表す。3.8−2.2ppmの面積は、関連する芳香族環が少なくとも1個のオルト臭素原子を有する、鎖メチンプロトンを表す。オルト環臭素化を有するポリマー単位のパーセントをこれらの積分から求める。
【0059】
GPC重量平均分子量
Watersモデル510HPLCポンプと、Waters屈折率検出器、Model410およびPrecision Detector光散乱検出器、モデルPD2000を検出器として用いるGPCによりM値を得た。カラムは、Waters、μStyragel、500Å、10,000Åおよび100,000Åであった。オートサンプラーはShimadzu、モデルSil9Aであった。ポリスチレン標準(M=185,000)をルーチンに使用して、光散乱データの精度を確認した。使用される溶媒はHPLCグレードのテトラヒドロフランであった。使用される試験手順は、0.015−0.020gの試料を10mLのTHF中に溶解することを伴う。この溶液のアリコートを濾過し、50μLをカラム上に注入する。PD 2000光散乱検出器に対してPrecision Detectorsにより提供されるソフトウエアを用いて、分離を分析した。
【0060】
メルトフローインデックス試験:本発明の臭素化スチレン系ポリマーのメルトフローインデックスを求めるために、ASTM試験方法D1238−00の手順および試験装置を使用する。2.16kgの印加圧力および220℃、235℃または270℃から選択される温度において押し出しプラストメーターを操作して、分析される溶融ポリマー試料の測定可能な流れを得る。この試験で使用される試料は、本発明の臭素化スチレン系ポリマーまたは本発明のポリマーを比較する1つ以上の既知の同等の臭素化スチレン系ポリマーの試料である。それぞれのポリマーの各々のニートで純粋な試料を用いてすべてのこのような試験を行う。
【0061】
この出願の中で使用される時、「APS」は、アニオン型ポリスチレンと互換的に使用され、そしてこれを表示するように意図されている。用語「BrAPS」は臭素化アニオン型ポリスチレンを表示する。用語「M」は重量平均分子量を意味し、そして用語「M」は数平均分子量を意味し、上述のGPC(光散乱検出器)により求められる。用語「CSTR」は連続攪拌されたタンク反応器を意味する。
【実施例】
【0062】
次の番号を付けた実施例は、本発明の実施を例示し、本発明の包括的な範囲を限定するようには意図されていない。最良の既知のプロセス技術を用いて形成される臭素化スチレン系ポリマーの製造および性質を例示するための番号を付けた例も参照の目的に提示されている。参照例は比較的長い反応時間または滞留時間を使用するが、本発明にしたがえば、本発明の実施例は比較的短い反応時間または滞留時間の使用を伴うことが特記される。したがって、これらのそれぞれの例の結果の比較は、本発明によりもたらされる利点の一部を例示する。
【0063】
参照例A
2900の数平均分子量および3400の重量平均分子量を有するアニオン型ポリスチレンを用いて、このバッチ臭素化を行った。2.46g(18.5ミリモル)量の塩化アルミニウム(Aldrich)を循環グリコール浴により−6℃まで冷却された1Lの5口ジャケット付ガラス反応フラスコ中の645.9gの乾燥(>15ppm水)BCM中に懸濁した。埋め込み型のテフロン(登録商標)ポリマー底部バルブを有する反応フラスコに頭上空気攪拌機およびテフロンポリマーバナナ型の翼パドル、フリードリッヒのコンデンサー(グリコール冷却の)およびサーモウエルを備えた。コンデンサーからのベントライン上で乾燥窒素の一定の流れを維持して、フラスコから苛性スクラバーに排出ガスを移動させるのを助けた。乾燥BCM中のアニオン型ポリスチレンの40.0重量%溶液(134.2gAPS、1.29/ミリモル)の335.37g量をドライボックス中で500mLメスシリンダーに装填した。次に、このメスシリンダーをセットして、メスシリンダーからのAPS溶液を反応フラスコ上に載せられているジャケット付きのグリコール冷却したガラス混合用T継手までポンプで送った。臭素(555.7g、3.48モル、2.70等量)を250mLメスシリンダーに装填し、セットして、臭素をAPS溶液と同一の混合用T継手までポンプで送った。両方の流れをミキサーにより別々に冷却し、その後で装置の底部で合体し、臭素化フラスコの中に滴下した。フード灯を消し、フラスコおよび混合用T継手をAl箔により包むことにより、反応混合物を光開始される脂肪族臭素化から保護した。両方のフィードを同一の時間に開始し、両方を80分で完結させた。102gの乾燥BCMのリンスをAPS溶液フィード系に使用して、ポリマーの反応フラスコへの完全な移動を確実にし、臭素フィード系から窒素をフラッシュして、臭素の定量的な移動を得た。添加および以降の15分の反応期間の間、反応温度を−2℃乃至−4℃
で維持した(反応器の頭上からの窒素パージと共に)。50gの水を添加することにより、触媒を不活性化した。次に、10重量%の亜硫酸ナトリウム水溶液の200g量を添加して、いかなる残存臭素も確実に除去した。有機相を分離し、次に中性まで水により洗浄した(4x1L)。激しく攪拌した熱水(98℃)に添加することにより、生成物を有機相から回収した。溶媒を熱水から蒸留し、水中に臭素化ポリスチレン生成物のスラリーを残した。吸引濾過の後、白色固体を水によりリンス(3x2L)し、オーブン(123℃)中一定の窒素パージ下で399.2g(97%収率)の一定重量まで乾燥した。生成物分析を表1に示す。
【0064】
実施例1
反応器への3本のフィード流れと共に3200の数平均分子量と3300の重量平均分子量を有するアニオン型ポリスチレンを用いてこの連続臭素化を行った。80mL容量ガラスCSTRをこの試験に使用した。反応器は、外断熱真空ジャケットと、グリコール冷媒を循環するための内ジャケットを有するものであった。容器は、反応物溶液を送達するために、複式テフロンポリマータービン振盪機の底部タービンブレード(400rpmで運転)の直下で底部に3つの入口ポートを有するものであった。頂部タービンブレードの直上に位置するオーバーフローポートによって、主生成物クエンチポット(パドル攪拌機付き5L完全ジャケット付き丸底フラスコ)または二次廃棄物用クエンチポット(磁気攪拌機付き2Lエルレンマイヤーフラスコ)に流れを向けることができるスプリッターに反応混合物を重力により流すことが可能となった。コンデンサーの頂部における一定の窒素パージからの助けを得て、CSTRからの排出ガスをフリードリッヒのコンデンサーから苛性水溶液スクラバーの中に頭上から通した。この臭素化時には、室内灯およびフード灯を消して、光臭素化を最少とした。
【0065】
2つのポンプヘッドを有する単一のポンプモーター(Ismatec Peristatic Pump,Cole−Parmer SY−78017−00)を使用して、テフロンポリマー(1/8”)とバイトンフルオロエラストマー(0.10”,Cole−Parmer,SY−07605−46)のフィードラインを用いて等容量の臭素とPS溶液をCSTRまで送達した。別々の蠕動ポンプ(Masterfiex7550−90
)を使用して、テフロンポリマー(1/8”)とバイトンフルオロエラストマー(#14)のフィードラインを用いてAlBr/CHBr溶液をフィードした。
【0066】
等容量がAPS中の各芳香族環に対して2.7等量の臭素を与えるように、APS(30.0重量%、d=1.545g/mL)と臭素(72.1重量%、d=2.660g/mL)のBCM溶液の濃度を選択した。単一のポンプを使用して、等容量のこれらの2つの溶液を反応器まで移動することにより、2つのフィード流れの脈動を一致させた。CSTRの運転時化学量論の本質的な瞬間的な変動が起こることは予期されない。バッチ法で使用される標準の不溶性AlCl臭素化触媒を可溶性AlBrにより置き換えた。ジブロモメタン(DBM)中の市販(Aldrich)のAlBrの1.0モルの10.58重量%AlBr溶液を使用した。室温で僅か数分でこの可溶性臭化物を不溶性塩化物に変換するハロゲン交換により、AlBrを溶解するためにDBMの代わりにBCMを使用することはできない。
【0067】
CSTRに乾燥BCM(150.5g)と8mLのAlBr溶液を装填することにより、運転を開始した。CSTRの内容物を−9℃まで冷却した後、臭素およびAPSのフィードを開始(各流れに対して4.8ml/分の速度)し、AlBrフィード速度を0.35ml/分のポンプ設定に調整した。CSTR温度は+1℃まで急速に上昇し、次にゆっくりと増加して、運転の終わりまでに+3℃に達した。最初の26分間、CSTRからのオーバーフロー流れを廃棄物用クエンチポット(850gの2重量%NaSO水溶液を入れた)に向けた。この時点で、定常状態条件(3回以上の滞留時間)に達したと想定され、そこでオーバーフロー流れを主クエンチポット(1590gの2重量%NaSO水溶液を入れた)に変えて、PS溶液が完全に使用されるまで(48分)定常状態生成物を捕集した。少量(41.0g)の臭素溶液が未使用で残った。74分の運転に対して使用されたフィード溶液の重量は、
1)BCM中の30.0重量%APS、619.26g(1.78モル)
2)BCM中の72.1重量%Br、1026.0g、(4.63モル)、2.60等量
3)DBM中の10.6重量%AlBr、84.9g(0.0337モル)、1.89モル%
であった。
主クエンチポット中の白色有機相(934.7g)を水性相から分離し、2Lの分液漏斗中でクエンチ容器のBCMリンス(143.7g)と合体した。3回の水性洗浄(各900g)を使用して、残存酸および塩を除去した。中和された白色有機相を5Lの激しく攪拌した熱水(98℃)の中にポンプで送って、水中の白色の微粉砕固体のスラリーを得た。このスラリーを吸引濾過し、フィルター上で水により固体をリンスした(3x2L)。湿潤ケーキ(588g)を窒素パージされたオーブン中122℃で389.8gの一定重量まで乾燥した。分析結果を表1に要約する。
【0068】
参照例B
2900の数平均分子量および5700の重量平均分子量を有するアニオン型ポリスチレンを用いて、このバッチ臭素化を行った。2.75g(20.6ミリモル)量の塩化アルミニウム(Aldrich)を循環グリコール浴により−8℃まで冷却された1Lの5口ジャケット付ガラス反応フラスコ中の550.3g(>15ppm水)BCM中に懸濁した。埋め込み型のテフロン(登録商標)ポリマー底部バルブを有する反応フラスコに頭上空気攪拌機およびテフロンポリマーバナナ型の翼パドル、フリードリッヒのコンデンサー(グリコール冷却の)およびサーモウエルを備えた。コンデンサーからのベントライン上で乾燥窒素の一定の流れを維持して、フラスコから苛性HBrスクラバーに排出ガスを移動させるのを助けた。乾燥BCM中のアニオン型ポリスチレンの40.0重量%溶液(149.97gAPS、1.44/ミリモル)の374.92g量をドライボックス中で
500mLメスシリンダーに装填した。次に、このメスシリンダーをセットして、メスシリンダーからのAPS溶液を反応フラスコ上に載せられているジャケット付きのグリコール冷却したガラス混合用T継手までポンプで送った。臭素(621.6g、3.890モル、2.70等量)を250mLメスシリンダーに装填し、セットして、臭素をAPS溶液と同一の混合用T継手までポンプで送った。両方の流れをミキサーにより別々に冷却し、その後で装置の底部で合体し、臭素化フラスコの中に滴下した。フード灯を消し、フラスコおよび混合用T継手をAl箔により包むことにより、反応混合物を光開始される脂肪族臭素化から保護した。両方のフィードを同一の時間に開始し、両方を72分で完結させた。112gの乾燥BCMのリンスをAPS溶液フィード系に使用して、ポリマーの反応フラスコへの完全な移動を確実にし、臭素フィード系から窒素をフラッシュして、臭素の定量的な移動を得た。添加および以降の15分の反応期間の間、反応温度を−3℃乃至−5℃で維持した(反応器の頭上からの窒素パージと共に)。50gの水を添加することにより、触媒を不活性化した。次に、10重量%の亜硫酸ナトリウム水溶液の86.4g量を添加して、いかなる残存臭素も確実に除去した。有機相を分離し、次に中性まで水により洗浄した(4x1L)。激しく攪拌した熱水(98℃)に添加することにより、生成物を有機相から回収した。溶媒を熱水から蒸留し、水中に臭素化ポリスチレン生成物のスラリーを残した。吸引濾過の後、白色固体を水によりリンス(3x2L)し、オーブン(118℃)中一定の窒素パージ下で443.8g(96%収率)の一定重量まで乾燥した。生成物分析を表1に示す。
【0069】
実施例2
2900の数平均分子量と5700の重量平均分子量を有するアニオン型ポリスチレンを用いてこの連続臭素化を行った。CSTRに乾燥BCM(149.8g)と9mLのAlBr溶液を装填することにより、運転を開始した。CSTRの内容物を−12℃まで冷却した後、臭素およびAPSのフィードを開始(各流れに対して4.8ml/分の速度)し、AlBrフィード速度を0.21ml/分のポンプ設定に調整した。CSTR温度は反応時には+1℃と+3℃に間にあった。最初の25分間、CSTRからのオーバーフロー流れを廃棄物用クエンチポット(1034gの2重量%NaSO水溶液を入れた)に向けた。この時点で、定常状態条件(3回以上の滞留時間)に達したと想定され、そこでオーバーフロー流れを主クエンチポット(1757gの2重量%NaSO水溶液を入れた)に変えて、APS溶液が尽きるまで(70分)定常状態生成物を捕集した。少量(66.6g)の臭素溶液が未使用で残った。95分の運転に対して使用されたフィード溶液の重量は、
1)BCM中の30.0重量%APS、801.1g(2.30モル)
2)BCM中の72.3重量%Br、1319.8g(5.97モル)、2.60等量3)DBM中の10.6重量%AlBr、82.6g(0.0327モル)、1.42モル%
であった。
主クエンチポット中の白色有機相(1224.0g)を水性相から分離し、2Lの分液漏斗中でクエンチ容器のBCMリンス(205g)と合体した。4回の水性洗浄を使用して、残存酸および塩を除去した。中和された白色有機相を5Lの激しく攪拌した熱水(98℃)の中にポンプで送って、水中の白色の微粉砕固体のスラリーを得た。このスラリーを吸引濾過し、フィルター上で水により固体をリンスした(3x2L)。湿潤ケーキ(850g)を窒素パージされたオーブン中130℃で521.3gの一定重量まで乾燥した。分析結果を表1に要約する。
【0070】
参照例C
3600の数平均分子量および7500の重量平均分子量を有するアニオン型ポリスチレンを用いて、参照例Bで述べたようにこのバッチ臭素化を行った。この生成物に対する分析結果を表1に要約する。
【0071】
実施例3
3600の数平均分子量および7500の重量平均分子量を有するアニオン型ポリスチレンを用いて、実施例1で述べたようにこの連続臭素化を行った。生成物分析結果を表1に要約する。
【0072】
【表1】

【0073】
実施例1および2の臭素化アニオン型ポリスチレンは、極めて低い初期溶液ΔE値を有
する本発明の新規な生成物である。これらの臭素化アニオン型ポリスチレンは、また、高い臭素含量、320℃熱安定性試験における高い熱安定性およびGPC重量平均およびGPC数平均分子量などの他の極めて望ましい性質も広範で多様な熱可塑性ポリマーとの容易なブレンドが可能となる範囲で有する。現在知られている限り、臭素化アニオン型ポリスチレンに対して報告されている最低値初期の溶液ΔE値は1.74であり、このポリマーは上記の実施例1および2におけるように320℃でなく300℃で行われても熱安定性試験において極めて劣った熱安定性と、著しく高いGPC重量平均分子量を有するものであった。この関連では、米国特許第6,521,714号、例えば、欄33、行55−67、欄34、行32−67および表VI、実施例CE−6を参照のこと。
【0074】
参照例D
3400の数平均分子量および3800の重量平均分子量を有するアニオン型ポリスチレンを用いて、参照例Aで述べたようにこのバッチ臭素化を行った。1.22g(9.15ミリモル)量の塩化アルミニウムを循環グリコール浴により−5℃まで冷却された1Lの5口ジャケット付ガラス反応フラスコ中の499.1gの乾燥(>15ppm水)BCM中に懸濁した。埋め込み型のテフロン(登録商標)ポリマー底部バルブを有する反応フラスコに頭上空気攪拌機およびテフロンポリマーバナナ型の翼パドル、フリードリッヒのコンデンサー(グリコール冷却の)およびサーモウエルを備えた。コンデンサーからのベントライン上で乾燥窒素の一定の流れを維持して、HBr副生成物を中和するためにフラスコから苛性スクラバーに排出ガスを移動させるのを助けた。乾燥BCM中のアニオン型ポリスチレンの40.5重量%溶液(127.6gAPS、1.23/ミリモル)の315.0g量をドライボックス中で250mLメスシリンダーに装填した。次に、このメスシリンダーをセットして、メスシリンダーからのAPS溶液を反応フラスコ上に載せられているジャケット付きのグリコール冷却したガラス混合用T継手までポンプで送った。臭素(529.3g、3.31モル、2.70等量)を250mLメスシリンダーに装填し、セットして、臭素をAPS溶液と同一の混合用T継手までポンプで送った。両方の流れをミキサーにより別々に冷却し、その後で装置の底部で合体し、臭素化フラスコの中に滴下した。フード灯を消し、フラスコおよび混合用T継手をAl箔により包むことにより、反応混合物を光開始される脂肪族臭素化から保護した。両方のフィードを同一の時間に開始し、両方を60分で完結させた。添加および以降の15分の反応期間の間、反応温度を−2℃乃至0℃で維持した(反応器の頭上からの窒素パージと共に)。40gの水を添加することにより、触媒を不活性化した。次に、10重量%の亜硫酸ナトリウム水溶液の19.2g量を添加して、いかなる残存臭素も確実に除去した。有機相を分離し、次に水、希薄水酸化ナトリウムおよび最終的に水により洗浄して、酸を中和し、NaBrを除去した。激しく攪拌した熱水(98℃)に添加することにより、生成物を有機相から回収した。溶媒を熱水から蒸留し、水中に臭素化ポリスチレン生成物のスラリーを残した。スラリーの吸引濾過の後、白色固体を水によりリンス(3x2L)し、オーブン(130℃)中一定の窒素パージ下で378.9g(97%収率)の一定重量まで乾燥した。生成物分析を表2に示す。
【0075】
参照例E
アニオン型ポリスチレンを用いて、高AlClレベルよることを除いて参照例Dで述べたようにこのバッチ臭素化を行った。臭素とAPSの両方のフィードを同一の時間で開始し、61分で完結させた。添加および以降の15分の反応期間の間、反応温度を−2℃乃至+1℃で維持した(反応器の頭上からの窒素パージと共に)。40gの水を添加することにより、触媒を不活性化した。次に、10重量%の亜硫酸ナトリウム水溶液の26.5g量を添加して、いかなる残存臭素も確実に除去した。有機相を分離し、次に水、希薄水酸化ナトリウムおよび最終的に水により洗浄して、酸を中和し、NaBrを除去した。激しく攪拌した熱水(98℃)に添加することにより、生成物を有機相から回収した。溶媒を熱水から蒸留し、水中に臭素化ポリスチレン生成物のスラリーを残した。吸引濾過の
後、白色固体を水によりリンス(3x2L)し、オーブン(130℃)中一定の窒素パージ下で382.5g(98%収率)の一定重量まで乾燥した。生成物分析を表2に示す。
【0076】
参照例F
このバッチ臭素化は、同一のアニオン型ポリスチレンを用いて、参照例Eに類似するものであったが、AlClをAlBr触媒により置き換え、反応時間を全時間で75分から35分に短縮した。2.53g(9.49ミリモル)量の臭化アルミニウム(Alfa)を循環グリコール浴により−3℃まで冷却された1Lの5口ジャケット付ガラス反応フラスコ中の772.4gの乾燥(>15ppm水)BCM中に懸濁した。埋め込み型のテフロンポリマー底部バルブを有する反応フラスコに頭上空気攪拌機およびテフロンポリマーバナナ型の翼パドル、フリードリッヒのコンデンサー(グリコール冷却の)およびサーモウエルを備えた。コンデンサーからのベントライン上で乾燥窒素の一定の流れを維持して、フラスコから苛性スクラバーに排出ガスを移動させる助けをした。乾燥BCM中のアニオン型ポリスチレンの40.5重量%溶液(70.6gAPS、0.678/nモル)の174.3g量をドライボックス中で250mLメスシリンダーに装填した。次に、このメスシリンダーをセットして、メスシリンダーからのAPS溶液を反応フラスコ上に載せられているジャケット付きのグリコール冷却したガラス混合用T継手までポンプで送った。臭素(289.9g、1.814モル、2.68等量)を200mLメスシリンダーに装填し、セットして、臭素をAPS溶液と同一の混合用T継手までポンプで送った。両方の流れをミキサーにより別々に冷却し、その後で装置の底部で合体し、臭素化フラスコの中に滴下した。フード灯を消し、フラスコおよび混合用T継手をAl箔により包むことにより、反応混合物を光開始される脂肪族臭素化から保護した。両方のフィードを同一の時間に開始し、両方を30分で完結させた。100gの乾燥BCMのリンスをAPS溶液フィード系に使用して、ポリマーの反応フラスコへの完全な移動を確実にし、臭素フィード系から窒素をフラッシュして、臭素の定量的な移動を得た。添加および以降の5分の反応期間の間、反応温度を+1℃乃至+3℃で維持した(反応器の頭上からの窒素パージと共に)。40gの水を添加することにより、触媒を不活性化した。次に、10重量%の亜硫酸ナトリウム水溶液の12.8g量を添加して、いかなる残存臭素も確実に除去した。有機相を分離し、次に水、希薄水酸化ナトリウムおよび最終的に水により洗浄して、酸を中和し、NaBrを除去した。激しく攪拌した熱水(98℃)に添加することにより、生成物を有機相から回収した。溶媒を熱水から蒸留し、水中に臭素化ポリスチレン生成物のスラリーを残した。スラリーを吸引濾過した後、白色固体を水によりリンス(3x2L)し、オーブン(130℃)中一定の窒素パージ下で205.4g(96%収率)の一定重量まで乾燥した。生成物分析を表2に示す。
【0077】
実施例4
この連続臭素化は、反応器へのフィード流れを2つのみとして参照例D、EおよびFで使用された同一のアニオン型ポリスチレン(3400の数平均分子量および3800の重量平均分子量)を使用した。2つの別々のポンプを用いて、溶解されたAlBr触媒を含有する臭素流れと、BCM中のAPS溶液を反応器まで計量添加した。80mLの容量ガラスCSTRを反応に使用した。反応器は、外断熱真空ジャケットと、グリコール冷媒を循環するための内ジャケットを有するものであった。容器は、反応物溶液を送達するために、dualテフロンポリマータービン振盪機の底部タービンブレード(400rpmで運転)の直下で底部に2つの入口ポートを有するものであった。頂部タービンブレードの直上に位置するオーバーフローポートによって、主生成物クエンチポット(パドル攪拌機付き5L完全ジャケット付き丸底フラスコ)または二次廃棄物用クエンチポット(磁気攪拌機付き2Lエルレンマイヤーフラスコ)に流れを向けることができるスプリッターに反応混合物を重力により流すことが可能となった。コンデンサーの頂部における一定の窒素パージからの助けを得て、CSTRからの排出ガスをフリードリッヒのコンデンサーから苛性水溶液スクラバーの中に頭上から通した。この臭素化時には、室内灯およびフード
灯を消して、光臭素化を最少とした。
【0078】
2つの同一のポンプモーター(Ismatec Peristatic Pump,Cole−Parmer SY−78017−00)を使用して、テフロンポリマー(1/8”)とバイトンフルオロエラストマー(0.10”,Cole−Parmer、SY−07605−46)のフィードラインを用いて臭素/AlBrとAPS/BCM溶液をCSTRまで送達した。CSTRに乾燥BCM(163.0g)を装填し、そして反応器の内容物を−7℃まで冷却することにより、運転を開始した。反応器への臭素溶液(525.0gBr中2.29gAlBr)およびAPS溶液(187.3gBCM中127.5gAPS、40.5重量%APS)のフィードを同一の時間で開始し、そして両方を運転全体の間一定に保持した。臭素フィード速度は2.87ml/分であり、APSフィード速度は3.62ml/分であった。CSTR温度は運転時に0℃から+10℃まで変わった。最初の25分間、CSTRからのオーバーフロー流れを廃棄物用クエンチポット(635gの4重量%NaSO水溶液を入れた)に向けた。この時点の後、オーバーフロー流れを主クエンチポット(520gの4重量%NaSO水溶液を入れた)に変えて、定常状態生成物を捕集した。60分の運転の後にAPS溶液が尽きた時に、少量(10g)の臭素溶液が未使用で残った。使用されたフィード溶液の重量は、
1)BCM中の40.5重量%APS、314.8g(224/nモルAPS)
2)Br、515g(22モル)、2.63等量
3)Br中の43重量%AlBr、2.25g(0.0084モル)、0.69モル%であった。
CSTR中の反応物に対する平均滞留時間は13分であった。主クエンチポット中の有機相をBCM(288g)により希釈し、下方の有機相を2Lの分液漏斗に移した。2回の水性洗浄(各900g)を使用して、残存酸および塩を除去した。
【0079】
中和された白色有機相を4Lの激しく攪拌した熱水(98℃)の中にポンプで送って、水中の白色の微粉砕固体のスラリーを得た。このスラリーを吸引濾過し、フィルター上で水により固体をリンスした(3x2L)。湿潤ケーキ(89g)を窒素パージされたオーブン中13O℃で45.7gの一定重量まで乾燥した。分析結果を表2に要約する。
【0080】
【表2】

【0081】
参照例G
3200の数平均分子量および3300の重量平均分子量を有するアニオン型ポリスチレンを用いて、このバッチ臭素化を行った。この臭素装填量を芳香族環当り臭素2.70から3.00等量まで増加した。5.44g(20.4ミリモル)量の臭化アルミニウム(Aldrich)を循環グリコール浴により−4℃まで冷却された1Lの5口ジャケット付ガラス反応フラスコ中の199.8gの乾燥(>15ppm水)BCM中に懸濁した。埋め込み型のテフロン(登録商標)ポリマー底部バルブを有する反応フラスコに頭上空気攪拌機およびテフロンポリマーバナナ型の翼パドル、フリードリッヒのコンデンサー(グリコール冷却の)およびサーモウエルを備えた。コンデンサーからのベントライン上で乾燥窒素の一定の流れを維持して、フラスコから苛性スクラバーに排出ガスを移動させるのを助けた。乾燥BCM中のアニオン型ポリスチレンの30.0重量%溶液(150.0gAPS、1.44/nモル)の500.0g量をドライボックス中で500mLメスシリンダーに装填した。次に、このメスシリンダーをセットして、メスシリンダーからのA
PS溶液を反応フラスコ上に載せられているジャケット付きのグリコール冷却したガラス混合用T継手までポンプで送った。BCM(198.9g)と臭素(690.4g、4.320モル、3.00等量)の溶液を第2の500mLメスシリンダーに装填し、同一の混合用T継手に臭素をAPS溶液としてポンプで送るように設定した。2つのポンプヘッドを有する単一ポンプモーター(Ismatec Peristatic Pump,Cole−Parmer SY−78017−00)を使用して、等容積のAPSおよび臭素溶液を混合用T継手に送達した。両方の流れをミキサーにより別々に冷却し、その後で装置の底部で合体し、臭素化フラスコの中に滴下した。フード灯を消し、フラスコおよび混合用T継手をAl箔により包むことにより、反応混合物を光開始される脂肪族臭素化から保護した。両方のフィードを同一の時間に開始し、両方を85分で完結させた。100gの乾燥BCMのリンスをAPS溶液フィード系に使用して、ポリマーの反応フラスコへの完全な移動を確実にし、臭素フィード系から窒素をフラッシュして、臭素の定量的な移動を得た。添加および以降の15分の反応期間の間、反応温度を−3℃−0℃で維持した(反応器の頭上からの窒素パージと共に)。8.7gの水を添加することにより、触媒を不活性化した。有機相を分離し、次に水、希薄水酸化ナトリウムおよび最終的に水により洗浄した。激しく攪拌した熱水(98℃)に添加することにより、生成物を有機相から回収した。溶媒を熱水から蒸留し、水中に臭素化ポリスチレン生成物のスラリーを残した。吸引濾過の後、白色固体を水によりリンス(3x2L)し、オーブン(120℃)中一定の窒素パージ下で471.9g(95%収率)の一定重量まで乾燥した。生成物分析を表3に示す。
【0082】
実施例5
3.00等量の臭素を用いて、実施例1で述べたようにこの連続臭素化を行った。使用されるAPSは、参照例Gで使用したものと同一であった。生成物分析を表3に示す。
【0083】
参照例H
3.00等量まで臭素装填量を増加させることを除いて参照例Aで述べたバッチ手順にしたがって、6200の数平均分子量および6800の重量平均分子量を有するアニオン型ポリスチレンを用いて、このバッチ臭素化を行った。8.36g(62.7ミリモル)量の塩化アルミニウム(Aldrich)を循環グリコール浴により−3℃まで冷却された1Lの5口ジャケット付ガラス反応フラスコ中の799.1gの乾燥(>15ppm水)BCM中に懸濁した。埋め込み型のテフロン(登録商標)ポリマー底部バルブを有する反応フラスコに頭上空気攪拌機およびテフロンポリマーバナナ型のブレードパドル、フリードリッヒのコンデンサー(グリコール冷却の)およびサーモウエルを備えた。コンデンサーからのベントライン上で乾燥窒素の一定の流れを維持して、フラスコから苛性スクラバーに排出ガスを移動させるのを助けた。乾燥BCM中のアニオン型ポリスチレンの20.0重量%溶液(418.7gAPS、4.02/nモル)の2093.7g量をドライボックス中で2Lフラスコに装填した。次に、このメスシリンダーをセットして、メスシリンダーからのAPS溶液を反応フラスコ上に載せられているジャケット付きのグリコール冷却したガラス混合用T継手までポンプで送った。臭素(1927.1g、12.06モル、3.00等量)を第2の2Lフラスコに装填し、セットして、臭素をAPS溶液と同一の混合用T継手までポンプで送った。両方の流れをミキサーにより別々に冷却し、その後で装置の底部で合体し、臭素化フラスコの中に滴下した。フード灯を消し、フラスコおよび混合用T継手をAl箔により包むことにより、反応混合物を光開始される脂肪族臭素化から保護した。両方のフィードを同一の時間に開始し、両方を196分で完結させた。103gの乾燥BCMのリンスをAPS溶液フィード系に使用して、ポリマーの反応フラスコへの完全な移動を確実にし、臭素フィード系から窒素をフラッシュして、臭素の定量的な移動を得た。添加および以降の15分の反応期間の間、反応温度を−3℃乃至−1℃で維持した(反応器の頭上からの窒素パージと共に)。72gの水を添加することにより、触媒を不活性化した。次に、10重量%の亜硫酸ナトリウム水溶液の73.8g量を
添加して、いかなる残存臭素も確実に除去した。有機相を分離し、次に水、希薄苛性および水により洗浄した。12Lポット中の激しく攪拌した熱水(98℃)に添加することにより、生成物を有機相から回収した。溶媒を熱水から蒸留し、水中に臭素化ポリスチレン生成物のスラリーを残した。吸引濾過の後、白色固体を水によりリンス(3x2L)し、オーブン(150℃)中一定の窒素パージ下で1337.1g(97%収率)の一定重量まで乾燥した。生成物分析を表3に示す。
【0084】
実施例6
この連続臭素化は、反応器へのフィード流れを2つのみとして参照例Hで使用した同一のアニオン型ポリスチレン(6200の数平均分子量および6800の重量平均分子量)を使用した。2つの別々のポンプを用いて、溶解されたAlBr触媒を含有する臭素流れと、BCM中のAPS溶液を反応器まで計量添加した。80mLの容量ガラスCSTRを反応に使用した。反応器は、外断熱真空ジャケットと、グリコール冷媒を循環するための内ジャケットを有するものであった。容器は、反応物溶液を送達するために、複式テフロンポリマータービン振盪機の底部タービンブレード(400rpmで運転)の直下で底部に2つの入口ポートを有するものであった。頂部タービンブレードの直上に位置するオーバーフローポートによって、主生成物クエンチポット(パドル攪拌機付き5L完全ジャケット付き丸底フラスコ)または二次廃棄物用クエンチポット(磁気攪拌機付き2Lエルレンマイヤーフラスコ)に流れを向けることができるスプリッターに反応混合物を重力により流すことが可能となった。コンデンサーの頂部における一定の窒素パージからの助けを得て、CSTRからの排出ガスをフリードリッヒのコンデンサーから苛性水溶液スクラバーの中に頭上から通した。この臭素化時には、室内灯およびフード灯を消して、光臭素化を最少とした。
【0085】
2つの同一のポンプモーター(Ismatec Peristatic Pump,Cole−Parmer SY−78017−00)を使用して、テフロンポリマー(1/8”)とバイトンフルオロエラストマー(0.10”,Cole−Parmer、SY−07605−46)のフィードラインを用いて臭素/AlBrとAPS/BCM溶液をCSTRまで送達した。CSTRに乾燥BCM(170.2g)を装填し、そして反応器の内容物を−5℃まで冷却することにより、運転を開始した。反応器への臭素溶液(2070.9gBr中の18.01gAlBr)およびAPS溶液(1802.3gBCM中の450.58gAPS、20.0重量%APS)のフィードを同一の時間で開始し、そして両方を運転全体の間一定に保持した。臭素フィード速度は2.93ml/分であり、APSフィード速度は6.29ml/分であった。CSTR温度は運転時に+3℃から+7℃まで変わった。最初の25分間、CSTRからのオーバーフロー流れを廃棄物用クエンチポット(468gの5重量%NaSO水溶液を入れた)に向けた。この時点の後、オーバーフロー流れを主クエンチポット(607gの7重量%NaSO水溶液を入れた)に変えて、定常状態生成物を捕集した。221分の運転の後にAPS溶液が尽きた時に、少量(62.9g)の臭素溶液が未使用で残った。使用されたフィード溶液の重量は、
1)BCM中の20.0重量%APS、2252.9g(4.326/nモルAPS)
2)Br、2008.0g(12.57モル)、2.90等量
3)Br中の0.86重量%AlBr、17.46g(0.0655モル)、1.51モル%
であった。
CSTR中の反応物に対する平均滞留時間は9分であった。主クエンチポット中の有機相を2Lの分液漏斗に移し、次にクエンチポットのBCMリンス(538g)により希釈した。次に、希釈有機相を水、希薄苛性および最終的に水により洗浄して、残存酸および塩を除去した。中和された有機相を6Lの激しく攪拌した熱水(98℃)の中にポンプで送って、水中の白色の微粉砕固体のスラリーを得た。このスラリーを吸引濾過し、フィルター上で水により固体をリンスした(3x2L)。湿潤ケーキ(1702g)を窒素パージされたオーブン中130℃で1219.3gの一定重量まで乾燥した。生成物の分析結果を表3に要約する。
【0086】
【表3】

【0087】
表4は、種々の臭素化難燃剤を含有するガラス充填ナイロン6、6ポリマーブレンドの評価結果を要約する。使用される難燃剤は、Saytex(登録商標)HP−3010ポリマー(臭素化ポリスチレン;Albemarle Corporation)、Great Lakes PDBS−80(登録商標)と、実施例5および6からの本発明の臭素化ポリスチレンの試料および臭素化ポリスチレン参照例のGおよびHの試料であった。
【0088】
【表4】

【0089】
前出から、本発明は、例えば下記などの種々の更なる態様を含むことが判る。
【0090】
I)A)(i)臭素化剤、(ii)溶媒中のスチレン系ポリマー溶液および(iii)ハロゲン原子が臭素もしくは塩素であり、少なくとも1つのこのようなハロゲン原子が臭素原子であるハロゲン化アルミニウム触媒から反応混合物を連続的に形成し;
B)前記反応混合物を−20乃至+20℃の範囲の(好ましくは1−10℃の範囲の、更に好ましくは1−5℃の範囲の)1つ以上の温度において維持されている反応域の中を連続的に移動させ、排出せしめて、ポリマーの臭素化がこのような移動の少なくとも一部の間に起こるようにし;
C)反応域から出る時、もしくは出た後で反応混合物中のポリマーの臭素化を停止し;そして
D)20分以下の(好ましくは10分以下の、更に好ましくは5分以下の)範囲でA)における反応混合物の形成とB)における停止の間の時間を連続的に有する
ことを含んでなる、ASTM試験方法D1238−00を使用することにより測定可能な増大したメルトフロー性を有する臭素化スチレン系ポリマーを製造する方法。
【0091】
II)A)−20乃至+20℃の範囲(好ましくは1−10℃の範囲、更に好ましくは
1−5℃の範囲)の1つ以上の温度において維持されている反応域から(i)臭素化剤、(ii)溶媒中のスチレン系ポリマー溶液および(iii)ハロゲン原子が臭素もしくは塩素であり、少なくとも1つのこのようなハロゲン原子が臭素原子である、ハロゲン化アルミニウム触媒から形成される臭素化反応混合物を連続的に形成し、そして連続的に取り出し;
B)反応域中の反応混合物にポリマーの臭素化が起こる滞留時間(このような滞留時間は反応混合物の形成と取り出しの間で約20分以下(好ましくは10分以下、更に好ましくは5分以下)の範囲にある))を提供し;そして
C)取り出された反応混合物中のポリマーの臭素化を取り出し後10分以内(好ましくは5分以内)に停止させ、B)とC)の合計時間が約20分以下である
ことを含んでなる、メルトフローインデックス試験における235℃および2.16kgまたは270℃および2.16kgでの増大したメルトフロー性を有する臭素化スチレン系ポリマー生成物を製造する方法。
【0092】
III)水を液体状態で含んでなるクエンチ組成物により取り出された反応混合物をクエンチすることにより、ポリマーの臭素化がC)において停止される、I)またはII)に記載の方法。
【0093】
特許請求の範囲を含めて本明細書中でどこででも使用されるように、用語「連続的」および「連続的に」は、この期間がこの運転の定常状態条件を乱さないならば中断は許容し得るという前提で、参照される運転が時間の中断無しで通常進行するということを表す。中断が定常状態運転、を乱す期間ならば、生成物の捕集を再開する前に運転の定常状態条件が達成されなければならない。
【0094】
本明細書またはこの特許請求の範囲中のどこであれ化学名または式により呼ばれる成分は、単数あるいは複数で呼ばれようとも、化学名または化学型により呼ばれるもう一つの物質(例えば、もう一つの成分または溶媒)との接触前にこれらが存在した形で識別されるということを理解するべきである。このような変化は、この特定された反応試剤および/または成分を本開示にしたがって要求される条件下に合体することの自然の結果であるので、生成する混合物または溶液においてどのような予備的な化学的な変化、変形および/または反応が起こるかは問題でない。このように、成分は、所望の運転を行うことに関連して、もしくは所望の組成物の形成において合体されるべき成分として識別される。また、この特許請求の範囲は、物質、構成成分および/または成分を現在形(「含んでなる」、「である」、など)で呼ぶこともあるが、物質、構成成分または成分は、1つ以上の他の物質、構成成分または成分とこの開示にしたがって最初に接触、ブレンドあるいは混合された直前にそれが存在した形で呼ばれる。このように、物質、構成成分または成分が化学反応、接触、ブレンドまたは混合操作の過程の間の変換により元の同一性を失ったかもしれないという事実は、この開示にしたがって、ならびに化学者の常識および通常の熟練により行われれば、この開示および特許請求の範囲の正確な理解および評価のためには全く重要でない。
【0095】
本明細書のいかなる量によっても参照される特許または刊行物は各々および全部、本明細書中に完全に説明されているように参照によりこの開示に組み込まれる。
【0096】
本発明はこの実施によりかなりの変更を受け易い。それゆえ、前出の説明は、発明を上記に提示した特定の例示に限定することを意図したものでなく、そして限定的であると考えられるべきでない。むしろ、網羅を意図したものは、添付の特許請求の範囲および法律問題として許容されるこれらの均等物において説明される通りである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.50までの範囲の初期ハンター溶液△E値を有する、臭素化アニオン型スチレン系ポリマー。
【請求項2】
前記ポリマーが(1)8,000−50,000の範囲のGPC重量平均分子量、または(2)320℃熱安定性試験におけるHBr300ppm以下の熱安定性、または(3)少なくとも66重量%の臭素含量または(4)(1)、(2)、(3)のいずれか2つもしくは3つ全部を更に有する、請求項1に記載の臭素化アニオン型スチレン系ポリマー。
【請求項3】
(i)少なくとも66重量%の臭素含量、(ii)8,000−50,000の範囲のGPC重量平均分子量および(iii)ASTM試験方法D1238−00を用いて測定して、既知の同等の臭素化アニオン型スチレン系ポリマーと比較して高いメルトフローインデックスを有する臭素化アニオン型スチレン系ポリマー。
【請求項4】
前記ポリマーが、(1)10,000−30,000の範囲の前記GPC重量平均分子量を有すること、(2)320℃熱安定性試験においてHBr300ppm以下の熱安定性を有すること、(3)67−70重量%の範囲の臭素含量を有し且つ5以下の初期ハンター溶液△E色値を有すること、の少なくとも1つによって更に特徴づけられる、請求項3の臭素化アニオン型スチレン系ポリマー。
【請求項5】
少なくとも66重量%の臭素含量及び8,000−50,000の範囲のGPC重量平均分子量を有し、ならびにプロトンNMRにより測定してオルト臭素原子を有する芳香族環のパーセントが既知の同等の臭素化アニオン型スチレン系ポリマー中のオルト臭素原子を有する芳香族環のパーセントよりも少ないものである、臭素化アニオン型スチレン系ポリマー。
【請求項6】
前記ポリマーが、(i)オルト臭素原子を有する芳香族環のパーセントが前記既知の同等の臭素化アニオン型スチレン系ポリマー中のオルト臭素原子を有する芳香族環のパーセントよりも少なくとも5%少ないこと、(ii)8,000−50,000の範囲の前記GPC重量平均分子量を有すること、(iii)67−70重量%の範囲の臭素含量を有すること、(iv)320℃熱安定性試験においてHBr300ppm以下の熱安定性を有すること、および(v)5以下の初期ハンター溶液△E色値を有すること、の少なくとも1つによって更に特徴づけられる、請求項5の臭素化アニオン型スチレン系ポリマー。
【請求項7】
少なくとも1つの熱可塑性ポリマーと、難燃剤量の、請求項1、3または5の臭素化アニオン型スチレン系ポリマーの少なくとも1つとのブレンドから成る難燃剤組成物。
【請求項8】
前記熱可塑性ポリマーが、熱可塑性スチレン系ポリマー、熱可塑性アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンポリマー、熱可塑性ポリエステルまたは熱可塑性ポリアミドである、請求項7の組成物。
【請求項9】
請求項1、3または5の臭素化スチレン系ポリマーの少なくとも1つのブレンドまたは被覆により、熱可塑性ポリマーまたは熱硬化性樹脂を難燃化する方法。

【公開番号】特開2012−224866(P2012−224866A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−180140(P2012−180140)
【出願日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【分割の表示】特願2008−519351(P2008−519351)の分割
【原出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】