説明

舌下、頬発泡薬

【課題】頬、舌下及び歯肉の粘膜を介しての薬剤の吸収を高める発泡剤を含有する、薬剤経口投与用の薬剤組成物を提供すること。
【解決手段】口内粘膜を介してフェンタニルの増進した頬、舌下または歯肉投与に適したタブレットであって、(a)頬、舌下および歯肉投与を含む、口内粘膜を介する経口投与において有効量のフェンタニルまたはその医薬的に許容される塩;(b)当該フェンタニルの治療的に有効な濃度が非イオン化形態で存在することを可能にする量の少なくとも1種のpH調整物質;および(c)タブレット崩壊に必要な量以上であって、口内粘膜を介して当該フェンタニルの吸収を増進するに十分な量で存在する、少なくとも1種の唾液活性化発泡剤(effervescent couple)(ただし、当該少なくとも1種の発泡剤の量はタブレットの5〜80重量%である)を含む、タブレットにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤組成物、より詳細には、頬、舌下及び歯肉の粘膜を介しての薬剤の吸収を高める発泡剤を含有する、薬剤経口投与用の薬剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡剤は、経口投与に有用でありかつ有利であることが知られている。マーセル・デッカー・インコーポレイテッド(Marcel Dekker, Inc.)により1989年に発行された、エイ・リーバーマン(A. Lieberman)の編集に係る、薬剤投与形態物:タブレット(Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets)第I巻、第2版を参照されたい。この文献に記載されているように、かつ、広く採用されているように、発泡性タブレットを水に溶解して、炭酸飲料即ち発泡性飲料を提供することが行われている。シャエファー(Schaeffer)の米国特許第5,102,665号、同第5,468,504号を参照されたい。本明細書においては、これらの米国特許を引用してその説明に代える。かかる飲料においては、発泡剤は、薬剤の味を隠蔽する作用を行う。
【0003】
発泡剤組成物はまた、投与前には水に溶解されない投与形態物において味隠蔽剤として使用されている。例えば、米国特許第4,639,368号には、口腔の頬粘膜を介して吸収することができる薬剤と、味を隠蔽する量の発泡剤とを含むチューインガムが記載されている。
【0004】
より最近では、発泡剤は、口腔において薬剤を迅速に溶解させ及び/または分散させるのに使用されている。米国特許第5,178,878号及び同第5,223,264号を参照されたい。この発泡剤は、唾液の分泌を刺激することにより、更なる水分を提供して更なる発泡作用を促すようになっている。これらの投与形態物は、特に、タブレットまたはカプセルを飲むのが困難な患者に対して、ふさわしい量の薬剤を提供する。PCT出願WO97/06786号には、分配性の早い投与形態物を使用して、胃に届く前にある種の薬剤を吸収させる技術が記載されている。
【0005】
種々の薬剤の経口粘膜投与に関して、種々の提案がなされている。薬剤が口の粘膜から吸収される場合には、薬剤は胃腸及び肝臓代謝系を迂回する。これにより、薬剤の作用の一層早い開始及び/または薬剤の改良された生体利用性をもたらすことができる。しかしながら、多くの配合物は、口内の粘膜を素早く透過することができない。例えば、エル・エフ・プレスコット(L.F. Prescott)及びダブリュ・エス・ニンモ(W.S. Nimmo)の編集に係る「新規薬剤の配給及びその治療への応用」(NOVEL DRUG DELIVERY AND ITS THERAPEUTIC APPLICATION)に掲載されているクリスチーナ・グラフナ(Christina Graffner)の「新規な頬及び舌下投与による臨床体験」(Clinical Experience with Novel Buccal and Sublingual Administration)と題する論文、ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンシズ(JOURNAL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES)第81巻(1992年1月)に掲載のデイビッド・ハリス(David Harris) 及びジョセフ・アール・ロビンソン(Joseph R. Robinson)の「口腔粘膜を介しての薬剤配給」(Drug Delivery via the Mucous Membranes of the Oral Cavvity)と題する論文、並びに、エム・ジェイ・ラスボン(M.J. Rathbone)の編集に係る「経口粘膜配給」(Oral Mucosal Delivery)を参照されたい。本明細書においては、これらの文献を引用してその説明に代える。口を通って(胃腸管を介して)十分に吸収することができる化合物は、口の粘膜を介して十分に吸収することができない。これは、口の粘膜が、腸の粘膜よりも透過性が低く、しかも小腸ほど大きな表面積をもたないからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
薬剤の口粘膜透過性を高めるために、上記した努力及びその他の努力がされてきたが、口の粘膜を介して薬剤を投与する改良された方法が依然として待望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の薬剤組成物は、経口投与することができる薬剤即ち経口投与薬剤を、薬剤の頬、舌下及び歯肉粘膜透過性に影響を及ぼす透過促進剤(penetration enhancer)として使用される発泡剤と組み合わせてなるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一の観点は、薬剤の経口吸収に影響を及ぼす透過促進剤として、発泡剤を使用するものである。発泡剤は、単独で、あるいは他の透過促進剤と組み合わせて使用することができ、これにより活性薬剤の吸収の速度及び程度を高めることができる。このような吸収の増加は、以下の機構の1つまたは全てにより達成することができる。
1.粘膜層の厚さ及び/または粘度の減少
2.緊密接合の変化
3.細胞膜構造の変化の誘因
4.細胞膜内の疎水環境の増大
【0009】
本発明に係る投与形態物は、薬剤が口の粘膜を透過するのを促すのに有効な量の発泡剤を含むべきである。好ましくは、発泡剤は、完成したタブレットの重量を基準に、約5乃至約95重量%の量が提供され、より好ましくは、約30乃至約80重量%が提供される。タブレットを水性環境に曝したときに、約5cmよりも多くて、約30cmよりも少ない量の気体を発生するのに十分な発泡材料を提供するのが特に好ましい。しかしながら、発泡剤の量は、各薬剤ごとに最適にすべきである。
【0010】
「発泡剤」(“effervescent agent”)とは、気体を発生する化合物を含む。好ましい発泡剤は、発泡剤(発泡剤のカップル(effervescent couple))を水及び/または口内の唾液に曝したときに行われる化学反応により気体を発生する。この反応は、多くは、可溶酸源と、アルカリ炭酸塩または重炭酸塩のような二酸化炭素源との反応によるものである。これら2つの一般的な化合物の反応により、水または唾液と接触すると二酸化炭素ガスが発生する。このような水活性化物質は、無水状態にかつ実質上水分を吸収していない状態に、あるいは安定な水和形態に保持しなければならない。これは、水に曝すと、タブレットが早期に崩壊するからである。酸源は、人間の消費に安全なものであればよく、一般には、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸及び琥珀酸のような食物用酸、酸及び水素化物制酸剤が含まれる。炭酸塩源には、好ましくは炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、乾燥炭酸カリウム、炭酸マグネシウムなどのような固形炭酸塩及び重炭酸塩が含まれる。人間の消費に安全であり、かつ酸素またはその他の気体を発生する反応体もまた、含まれる。
【0011】
本発明の発泡剤は、必ずしも、二酸化炭素を形成する反応に基づくものではない。人間の消費に安全な酸素その他の気体を発生する反応体もまた、本発明の範囲に含まれる。発泡剤が、酸源と炭酸塩源のような、2つの相互に反応性のある成分を含む場合には、双方の成分は完全に反応するのが好ましい。従って、同等量となる等量比の成分が好ましい。例えば、使用される酸が二塩基酸である場合には、2倍量のモノ反応性炭酸塩基または等量のジ反応性塩基が、完全な中和を実現するのに使用される。しかしながら、本発明の別の実施の形態においては、酸または炭酸塩源の量は、他方の成分の量を越えることができる。これは、いずれかの成分を過剰に含むタブレットの味及び/または性能を高めるのに有用なものとすることができる。この場合には、いずれかの成分の余分な量は未反応のままとすることができる。
【0012】
本発明の投与形態物はまた、発泡剤に必要とされるものに付加する量のpH調整物質を含むことができる。弱酸または弱塩基の薬剤の場合には、水性環境のpHは、ヘンダーソン−ハッセルバッハ(Henderson-Hasselbach)の式に従って溶液に存在する薬剤のイオン化された形態と非イオン化形態の相対濃度に影響を及ぼす可能性がある。発泡剤カップルが溶解するpH溶液は、二酸化炭素の発生によりわずかに酸性になる。局部的な環境、例えば、タブレット及びタブレットから溶解した薬剤と直接接触する唾液のpHは、薬剤のイオン化された形態と非イオン化形態の相対部分を制御することができるpH調整物質をタブレットに組み込むことにより調整することができる。かくして、本発明の投与形態物は、特定の薬剤ごとに最適のものとすることができる。非イオン化薬剤が細胞膜を介して吸収されることが知られ、あるいは吸収されるものと考えられる(経細胞吸収)場合には、(被験者に許容することができる限度内において)局部環境のpHを非イオン化形態の薬剤に有利なレベルに変えるのが好ましいものと考えられる。あるいは、イオン化形態がより一層容易に溶解する場合には、局部環境はイオン化に有利である。
【0013】
薬剤の水溶性は、投与形態物により、十分な濃度の薬剤が非イオン化形態で存在することができるように、発泡剤及びpH調整物質により損なわれないようにすべきであるのが好ましい。従って、pH調整物質及び/または発泡剤の割合は、薬剤により調整されるべきである。
【0014】
本発明において使用するのに適したpH調整物質には、発泡剤に必要とされるものに付加する量の弱酸または弱塩基あるいは、好ましくは、口の粘膜に害を及ぼさない緩衝系が含まれる。本発明において使用するのに適したpH調整物質には、発泡剤化合物として上記した酸または塩基のいずれか、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム及び同等のカリウム塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
本発明の投与形態物において使用するのに適した活性成分には、全身分配性の(systematically distributable)成分、ビタミン、ミネラル、栄養補給物、更には非全身分配性薬剤を含むことができる。活性成分は、口の粘膜を介して身体が吸収することができる全身活性薬剤成分であるのが好ましい。投与形態物は、広範囲に亘る薬剤とともに使用することができるが、以下に説明するように、吸収過程においてまたは腸管における吸収の後に肝臓を通過したときに、胃腸管のルーメンにおいてまたは胃腸管の組織において活性が有意に失われる薬剤その他の薬剤成分に特に適している。口の粘膜を介しての吸収により、薬剤は、最初に肝臓を通過することなく全身循環系に入るので、肝臓を通過したときの活性の損失を少なくすることができる。
【0016】
薬剤成分には、鎮痛薬、抗炎症薬、解熱薬、抗生物質、殺菌薬、緩下薬、食欲減退薬、抗ヒスタミン薬、抗喘息薬、抗利尿薬、抗鼓腸薬、制吐薬、抗偏頭痛薬、鎮痙薬、鎮静薬、抗亢進薬(antihyperactives)、抗高血圧薬、トランキライザ、充血除去薬(decongestants)、β遮断薬、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、生物起源のその他の物質及びこれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されるものではない。「活性成分」("active ingredient")、「薬剤成分」("pharmaceutrical ingrdient")及び「活性剤」("active agent")とは、マンテル(Mantelle)の米国特許第5,234,957号の第18乃至21欄に記載されている薬剤(drug)及び薬剤活性成分である。本明細書においては、この米国特許を引用してその説明に代える。あるいはまたは更には、活性成分には、米国特許第5,178,878号に記載されている薬剤その他の薬剤成分、ビタミン、ミネラル及び栄養補給物を含むことができる。本明細書においては、この米国特許を引用してその説明に代える。
【0017】
投与形態物は、好ましくは、口の粘膜を介しての薬剤成分の吸収を高めるとともに、投与形態物の分解プロファイル及び官能特性を改善するために、他の成分と組み合わされる発泡剤カップルを含む。例えば、投与形態物と口の粘膜との接触面積及び口腔における投与形態物の滞留時間は、この薬剤配給系にバイオ接着剤(bioadhesive)ポリマを含ませることにより改善することができる。例えば、ジョナサン・アイヒマン著(Jonathan Eichman)(1997年)の「発泡剤誘起の透過性向上に関する機構研究」(Mechanistic Studies on Effervescent-Induced Permeability Enhancement)を参照されたい。本明細書においては、この文献を引用してその説明に代える。発泡剤は、粘膜除去特性を有しているので、バイオ接着剤の滞留時間を長くすることにより、薬剤吸収のための滞留時間を長くすることができる。本発明において使用されるバイオ接着剤には、例えば、カーボポール(Carbopol)934P、NaCMC、メトセル(Methocel)、ポリカーボフィル(ノベオン(Noveon)AA−1)、HPMC、Naアルギン酸塩、Naハイアルロネート(Hyaluronate)及びその他の天然または合成のバイオ接着剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
本発明に係る投与形態物は、発泡剤のほかに、適宜の非発泡性崩壊剤を含むことができる。非発泡崩壊剤には、例えば、微結晶セルロース、クロスカーメロース(croscarmelose)ナトリウム、クロスポビドン(crospovidone)、澱粉、とうもろこし澱粉、じゃがいも澱粉及びこれらの改質澱粉、甘味剤、ベントナイトのようなクレー、アルギン酸塩、寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ(karaya)、ペクチン及びトラガカントのようなガムが含まれるが、これらに限定されるものではない。崩壊剤は、組成物の全重量の約20重量パーセント以下、好ましくは、約2乃至約10%を構成することができる。
【0019】
本発明に係る投与形態物は、これらの粒子のほかに、グライダント(glidant)、滑剤、バインダ、甘味剤、風味成分及び着色成分を含むことができる。従来の甘味剤または風味成分を使用することができる。甘味剤の組み合わせ、風味成分の組み合わせあるいは甘味剤と風味成分との組み合わせもまた、同様に使用することができる。
【0020】
使用することができるバインダには、例えば、アカシア、トラガカント、ゼラチン、澱粉、メチルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースのようなセルロース材料、アルギン酸及びその塩、珪酸マグネシウムアルミニウム、ポリエチレングリコール、グアーガム、多糖酸、ベントナイト、糖、添加糖などが含まれる。バインダは、組成物全体の60重量パーセント以下、好ましくは約10乃至約40重量パーセントの量を使用することができる。
【0021】
着色剤には、二酸化チタン、米連邦食品医薬品化粧品法(F.D.&C.)の染料として知られている染料のような食品に適した染料及びぶどうの皮の抽出物、ビートレッドパウダ(beet red powder)、ベータカロチン、アナート(annato)、カーマイン(carmine)、ウコン、パプリカなどのような天然着色剤を含むことができる。使用される着色剤の量は、組成物全体の約0.1乃至約3.5重量パーセントの範囲とすることができる。
【0022】
組成物に組み込まれる風味剤は、合成風味油、合成風味香料及び/または植物、葉、花、果実などからの抽出物並びにこれらの組み合わせから選ぶことができる。風味剤には、シナモン油、冬緑油、ペパーミント油、丁子油、月桂樹油、アニス油、ユーカリ樹油、タイム油、シーダー(cedar)の葉の油、ナツメッグ油、セージ油、アーモンド油及びカシア油を含むことができる。風味剤として有用なものには、更に、バニラ、レモン、オレンジ、グレープ、ライム及びグレープフルーツをはじめとする柑橘油、並びに、りんご、なし、桃、いちご、きいちご、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコットなどの果実エッセンスがある。特に有用であることがわかった風味剤には、商業的に入手することができるオレンジ、グレープ、チェリー及びバブルガム風味剤並びにこれらの混合物が含まれる。風味剤の量は、所望の官能効果をはじめとする数多くのファクタによる。風味剤は、組成物の重量を基準に約0.05乃至約3重量パーセントの範囲の量が存在することができる。特に好ましい風味剤は、グレープ及びチェリー風味剤並びにオレンジのような柑橘類風味剤である。
【0023】
本発明の一の観点によれば、舌下、頬及び歯肉投与に適した固形の、経口タブレット投与形態物が提供されている。タブレット化を容易にするために、賦形充填剤を使用することができる。充填剤は、口内での投与形態物の迅速な溶解を促進する。適宜の充填剤には、マンニトール、デキストロース、ラクトース、スクロース及び炭酸カルシウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
製造の方法
タブレットは、直接圧縮、湿式造粒その他のタブレット製造技術により製造することができる。例えば、米国特許第5,178,878号及び同第5,223、264号を参照されたい。タブレットは、バイオ接着層と発泡剤層との間に活性成分の層が挟まれてなる層状タブレットとすることができる。異なる組成物の層に上記した成分を含む他の層状形態物とすることもできる。
発泡剤のレベル: 5%−95%
タブレットのサイズ:約4.8mm−15.9mm(3/16”−5/8”)
タブレットの硬度: 5N乃至80N
投与のルート: 舌下、頬、歯肉
【0025】
投与形態物は、投与形態物を人間その他の哺乳類被験体の口に入れ、これを口内で(頬投与の場合には)頬の近くに、(舌下投与の場合には)舌の下に、(歯肉投与の場合には)上唇と歯肉との間に保持することにより、被験体に投与することができる。投与形態物は、口内の水分により直ちに崩壊を開始する。崩壊及び特に発泡剤は、更なる唾液の発生を刺激し、崩壊を更に高める。
【実施例1】
【0026】
投与形態物は、pHが中性に(あるいはこれよりのわずかに高く)調整されるようにフェンタニル(Fentanyl)と、発泡剤と、pH調整物質とを含むべきであるが、これはフェンタニルのpKaが7.3であるからである。このpHでは、この低い水溶性の薬剤の水溶解度が不当に損なわれることはなく、十分な濃度の薬剤を非イオン化形態で存在させることができる。
【0027】
36%の発泡剤をそれぞれ含む2つのフェンタニル配合物をつくった。これらのタブレットを約12.7mm(半インチ)の浅い凹状パンチを使用する圧縮に供した。
【0028】
配合 成分 量(mg)
短い フェンタニル、クエン酸塩、USP 1.57
崩壊 ラクトース一水和物 119.47
時間 微結晶セルロース、珪化物 119.47
炭酸ナトリウム、無水物 46.99
炭酸水素ナトリウム 105
クエン酸塩、無水物 75
ポリビニルピロリドン、架橋 25
ステアリン酸マグネシウム 5
コロイド状二酸化珪素 2.5
タブレットの全質量 500

長い クエン酸フェンタニル、USP 1.57
崩壊 ラクトース一水和物 270.93
時間 炭酸ナトリウム、無水物 40.00
炭酸水素ナトリウム 105
クエン酸、無水物 75
ステアリン酸マグネシウム 5
コロイド状二酸化珪素 2.5
タブレットの全質量 500
【実施例2】
【0029】
わずかに高いpHにして透過の促進を容易にするように、投与形態物は、プロクロルペラジン(prochlorperazine)(pKa=8.1)と、発泡剤と、pH調整物質とを含んでいた。制吐剤であるプロクロルペラジンに対しては、頬投与と舌下投与の2つの配合物をつくった。頬投与タブレットは、約6.4mm(1/4インチ)の両凸タブレットとして圧縮し、舌下投与タブレットは約9.5mm(3/8インチ)の両凸タブレットとして圧縮した。これらの寸法は、口腔のそれぞれの意図される部分に心地よく収まるように選ばれた。これらのタブレットの配合は次の通りであった。
【0030】
配合 成分名 量(mg)
頬 プロクロルペラジン 5.00
炭酸水素ナトリウム 15.52
クエン酸、無水物 11.08
炭酸水素ナトリウム 45.78
HPMC K4M プレム(prem) 5.00
燐酸二カルシウム二水和物 5.00
マンニトール 11.67
ステアリン酸マグネシウム 0.95
合計 100.00

舌下 プロクロルペラジン 5.00
炭酸水素ナトリウム 61.25
クエン酸、無水物 43.75
炭酸水素ナトリウム 95
炭酸ナトリウム 91.25
HPMC メトセル(methocel) K4M プレム 40
マンニトール 60
ステアリン酸マグネシウム 3.75
合計 400
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、薬剤及び医療産業並びに投与形態物の製造に関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口内粘膜を介してフェンタニルの増進した頬、舌下または歯肉投与に適したタブレットであって、
(a)頬、舌下および歯肉投与を含む、口内粘膜を介する経口投与において有効量のフェンタニルまたはその医薬的に許容される塩;
(b)当該フェンタニルの治療的に有効な濃度が非イオン化形態で存在することを可能にする量の少なくとも1種のpH調整物質;および
(c)タブレット崩壊に必要な量以上であって、口内粘膜を介して当該フェンタニルの吸収を増進するに十分な量で存在する、少なくとも1種の唾液活性化発泡剤(effervescent couple)(ただし、当該少なくとも1種の発泡剤の量はタブレットの5〜80重量%である)
を含む、タブレット。
【請求項2】
当該発泡剤が20〜80重量%の量で存在する、請求項1記載のタブレット。
【請求項3】
当該発泡剤が30〜80重量%の量で存在する、請求項2記載のタブレット。
【請求項4】
非発泡性透過促進剤をさらに含む、請求項1〜3のいずれか記載のタブレット。
【請求項5】
バイオ接着剤をさらに含む、請求項1〜4のいずれか記載のタブレット。
【請求項6】
非発泡性崩壊剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか記載のタブレット。
【請求項7】
グライダント、滑剤、バインダ、甘味剤、風味成分および着色成分の少なくとも1種をさらに含む、請求項1〜6のいずれか記載のタブレット。
【請求項8】
口内粘膜を介してフェンタニルの増進した頬、舌下または歯肉投与に適したタブレットであって、
(a)口内粘膜を介する経口投与のための、口内においてイオン化形態および非イオン化形態で存在することが出来る、医薬的に有効量のフェンタニルまたはその医薬的に許容される塩;
(b)タブレット崩壊に必要な量以上であって、口内粘膜を介して当該フェンタニルの吸収を増進するに十分な量で存在する、少なくとも1種の唾液活性化発泡剤;および
(c)口内の吸収部位において当該タブレットの局所的環境のpHが当該フェンタニルの非イオン化形態に好ましいように変化させるに十分な量で存在する、少なくとも1種のpH調整物質
を含む、タブレット。
【請求項9】
グライダント、滑剤、バインダ、甘味剤、風味成分、非発泡性崩壊剤および着色成分の少なくとも1種をさらに含む、請求項8記載のタブレット。
【請求項10】
タブレットと口内粘膜の接触時間を増進させる、バイオ接着剤をさらに含む、請求項8記載のタブレット。
【請求項11】
微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、澱粉、とうもろこし澱粉、じゃがいも澱粉、改質とうもろこし澱粉、改質じゃがいも澱粉、ベントナイト、アルギン酸塩、寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチンおよびトラガントから選択される非発泡性崩壊剤をさらに含む、請求項8記載のタブレット。
【請求項12】
当該少なくとも1種の唾液活性化発泡剤が20〜80重量%の量で存在する、請求項8記載のタブレット。
【請求項13】
当該少なくとも1種の唾液活性化発泡剤が5〜80重量%の量で存在する、請求項8記載のタブレット。
【請求項14】
当該pH調整物質が炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二カリウムおよび燐酸二水素カリウムからなる群から選択される塩基である、請求項1または8記載のタブレット。
【請求項15】
当該pH調整物質が口内の吸収部位で当該フェンタニルの局所環境のpHを変化させるに十分な量で存在する、請求項1記載のタブレット。
【請求項16】
頬投与に適した、請求項1記載のタブレット。
【請求項17】
歯肉投与に適した、請求項1記載のタブレット。
【請求項18】
舌下投与に適した、請求項1記載のタブレット。
【請求項19】
口内粘膜を介する医薬の頬、舌下または歯肉投与に適した固形製剤投与形の製造方法であって、
(a)(i)頬、舌下および歯肉投与を含む口内粘膜を介する経口投与に有効な量の医薬、(ii)口内粘膜を介する当該医薬の吸収を増進させるに十分な量の少なくとも1種の唾液活性化発泡剤、および(iii)少なくとも1種のpH調整剤を組み合わせること、および
(b)この組み合わせ物を使用して固形製剤投与形を調製すること
を特徴とする方法。
【請求項20】
当該固形製剤投与形が少なくとも1種のバイオ接着剤をさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
当該固形製剤投与形が非発泡性崩壊剤をさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項22】
当該固形製剤投与形が少なくとも1種のグライダント、滑剤、バインダ、甘味剤、風味成分および着色成分をさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項23】
当該医薬が鎮痛薬、抗炎症薬、解熱薬、抗生物質、殺菌薬、緩下薬、食欲減退薬、抗ヒスタミン薬、抗喘息薬、抗利尿薬、抗鼓腸薬、制吐薬、抗偏頭痛薬、鎮痙薬、鎮静薬、抗亢進薬、抗高血圧薬、トランキライザ、充血除去薬及びβ遮断薬からなる群から選択される、請求項19記載の方法。
【請求項24】
当該少なくとも1種の唾液活性化発泡剤が5〜95重量%の量で存在する、請求項19記載の方法。
【請求項25】
当該少なくとも1種の唾液活性化発泡剤が5〜80重量%の量で存在する、請求項24記載の方法。
【請求項26】
当該少なくとも1種の唾液活性化発泡剤が20〜80重量%の量で存在する、請求項19記載の方法。
【請求項27】
当該少なくとも1種の唾液活性化発泡剤が30〜80重量%の量で存在する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
当該少なくとも1種の発泡剤が5〜30cmの量のガスを発生させるのに十分な量で存在する、請求項19記載の方法。
【請求項29】
当該少なくとも1種のpH調整物質の量が服用者に許容可能であり、そして当該pH調整物質とその量が当該医薬の局所環境のpHを変化させ、当該医薬のイオン化形態と非イオン化形態の相対的濃度を制御するように選択される、請求項19記載の方法。
【請求項30】
当該pH調整物質とその量が当該医薬のイオン化形態を支持するように選択される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
当該pH調整物質とその量が当該医薬の非イオン化形態を支持するように選択される、請求項30記載の方法。
【請求項32】
当該pH調整物質が塩基である、請求項29記載の方法。
【請求項33】
当該塩基が炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二カリウム、燐酸二水素カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素カリウムからなる群から選択される、請求項19記載の方法。
【請求項34】
当該固形製剤投与形がさらに非発泡性透過促進剤を含む、請求項19記載の方法。
【請求項35】
当該固形製剤投与形が重層タブレットである、請求項19記載の方法。
【請求項36】
口内粘膜を介するフェンタニルまたはその医薬的に許容される塩の頬、舌下または歯肉投与に適した固形製剤投与形であって、
(a)口内粘膜を介する経口投与で有効量のフェンタニルまたはその医薬的に許容される塩、(b)口内粘膜を介する当該フェンタニルの医薬的有効量の吸収を増進させるに十分な量であって、その量が約5〜80重量%の範囲にある少なくとも1種の唾液活性化発泡剤、および(c)少なくとも1種のpH調整剤
を含む投与形。
【請求項37】
当該pH調整剤が塩基である、請求項36記載の投与形。
【請求項38】
当該塩基が炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二カリウムおよび燐酸二水素カリウムからなる群から選択される、請求項37記載の投与形。
【請求項39】
非発泡性崩壊剤をさらに含む、請求項36記載の投与形。
【請求項40】
非発泡性崩壊剤が微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、澱粉、とうもろこし澱粉、じゃがいも澱粉、改質とうもろこし澱粉、改質じゃがいも澱粉、ベントナイト、アルギン酸塩、寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチンおよびトラガントから成る群から選択される、請求項39記載投与形。
【請求項41】
バイオ接着剤をさらに含む、請求項36記載の投与形。
【請求項42】
グライダント、滑剤、バインダ、甘味剤、風味成分および着色成分からなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む、請求項36記載の投与形。
【請求項43】
フェンタニルの医薬的に許容される塩がフェンタニルクエン酸塩である、請求項36記載の投与形。
【請求項44】
哺乳動物の口内粘膜を介するフェンタニルの伝達を増進させるための固体経口投与形の使用であって、当該使用がフェンタニルまたはその医薬的に許容される塩と、口内粘膜を介する当該フェンタニルまたはその医薬的に許容される塩の吸収を増進させるに十分な量の少なくとも1種の唾液活性化発泡剤と、少なくとも1種のpH調整剤を含む固体経口投与形であって、当該少なくとも1種の唾液活性化発泡剤の量が約5〜80重量%であるものを用意し、そして当該固体経口投与形を当該哺乳動物に対して頬的、舌下的または歯肉的に投与することからなる、使用。
【請求項45】
当該フェンタニルまたはその医薬的に許容される塩が頬的経路で投与される、請求項44記載の使用。
【請求項46】
当該フェンタニルまたはその医薬的に許容される塩が舌下的経路で投与される、請求項44記載の使用。
【請求項47】
当該フェンタニルまたはその医薬的に許容される塩が歯肉的経路で投与される、請求項44記載の使用。
【請求項48】
当該哺乳動物がヒトである、請求項44記載の使用。
【請求項49】
当該投与形がタブレットである、請求項44記載の使用。
【請求項50】
当該pH調節物質が塩基である、請求項44記載の使用。
【請求項51】
当該pH調節物質の量が口内粘膜を介する吸収部位において本質的に中性のpHを提供するように選択される、請求項44記載の使用。
【請求項52】
当該本質的に中性のpHが7より大である、請求項44記載の使用。
【請求項53】
当該医薬がフェンタニルである、請求項31〜35のいずれか記載の方法。
【請求項54】
当該pH調節物質が酸である、請求項29記載の方法。
【請求項55】
当該酸がヒトの消費に安全な酸源、食物酸、酸および水素化物制酸剤、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマール酸、アジピン酸、琥珀酸、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二カリウムおよびリン酸二水素カリウムから成る群から選択される、請求項54記載の方法。

【公開番号】特開2009−29829(P2009−29829A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246357(P2008−246357)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【分割の表示】特願2000−607609(P2000−607609)の分割
【原出願日】平成12年3月22日(2000.3.22)
【出願人】(500117347)シーマ・ラブス、インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】