説明

舗装用アスファルトおよびその製造方法

【課題】耐流動性、耐ひび割れ性に優れた舗装用アスファルトを提供する。
【解決手段】(A)25℃における針入度(1/10mm)が60〜200のストレートアスファルト3〜7重量部、(B)骨材100重量部、および(C)常圧蒸留残油および減圧蒸留残油から選ばれる少なくとも1つを含む残油を、原油を常圧蒸留して分留されるナフサ留分を接触改質して得られるライトリフォーメイトを溶剤として抽出処理して得られる、軟化点が80〜200℃、アスファルテン含有量が30〜70質量%の性状を有する溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)をストレートアスファルト配合量の3〜30質量%配合してなる舗装用アスファルト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐流動性、耐ひび割れ性に優れた舗装用アスファルトおよびその製造方法に関するものである。具体的には、アススファルト混合物を製造する際、アスファルテン含有量の高いSDAピッチを混合することにより、耐流動性、耐ひび割れ性に優れた、25℃における針入度40〜80の舗装用アスファルトを製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
舗装用アスファルトには、原油を蒸留して製造した25℃における針入度(1/10mm)が40〜100のストレートアスファルトが一般的に使われているが、アスファルト舗装を取り巻く状況の変化として、アスファルト舗装のストック増大とコスト縮減の要求から舗装供用寿命を出来るだけ長く延ばすため、耐流動性や耐ひび割れ性に優れた舗装用アスファルトが要求されている。
特許文献1(特開2001−262157号公報)には、アスファルト舗装の破損原因であるわだち掘れ、疲労ひびわれ、低温ひび割れを起こさない良好な供用可能温度を有することを目的として、特殊な原油混合物を減圧蒸留して得た残油を含む、25℃における針入度(1/10mm)が45以上71以下、かつ180℃における動粘度が90mm/s以下となるように調整したストレートアスファルトの製造方法が開示されている。
また、わだち掘れを改善するため、原油を蒸留して得られた減圧残油を、更に200〜300℃の加熱下で空気を数時間吹き込んで製造する、いわゆるセミブローンアスファルトが提案されている(非特許文献1参照)。しかしながら、これらの製造方法は特殊な原油を使用する、あるいは蒸留操作に加えて煩雑なブローイング操作(減圧残油を200〜300℃の加熱下で、空気を数時間吹き込む操作)が必要という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−262157号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】多田、伊藤,「アスファルト」,(社)日本アスファルト協会,1979年,Vol.23,No.157,p.41
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明では、セミブローイング等の煩雑な操作を行うことなく、耐流動性および耐ひび割れ性に優れた舗装用アスファルトを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、前記課題を解決するため、舗装用アスファルトおよびその製造方法について鋭意研究した結果、一般に使用されている60/80、80/100ストレートアスファルトおよびアスファルト乳剤等に使用される150/200ストレートアスファルトと骨材をミキサーで混合し、アスファルト混合物を製造する際に、アスファルテン含有量の高い溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)を添加し混合することにより、耐流動性および耐ひび割れ性に優れた25℃における針入度が40〜80の舗装用アスファルトを製造する方法を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、(A)25℃における針入度(1/10mm)が60〜200のストレートアスファルト3〜7重量部、(B)骨材100重量部、および(C)常圧蒸留残油および減圧蒸留残油から選ばれる少なくとも1つを含む残油を、原油を常圧蒸留して分留されるナフサ留分を接触改質して得られるライトリフォーメイトを溶剤として抽出処理して得られる、軟化点が80〜200℃、アスファルテン含有量が30〜70質量%の性状を有する溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)をストレートアスファルト配合量の3〜30質量%配合してなる舗装用アスファルトに関する。
【0008】
また本発明は、(A)25℃における針入度(1/10mm)が60〜200のストレートアスファルト3〜7重量部、(B)骨材100重量部、および(C)常圧蒸留残油および減圧蒸留残油から選ばれる少なくとも1つを含む残油を、原油を常圧蒸留して分留されるナフサ留分を接触改質して得られるライトリフォーメイトを溶剤として抽出処理して得られる、軟化点が80〜200℃、アスファルテン含有量が30〜70質量%の性状を有する溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)をストレートアスファルト配合量の3〜30質量%混合することを特徴とする舗装用アスファルトの製造方法に関する。
【0009】
また本発明は、(C)溶剤脱れきピッチの粒度が5mm以下であることを特徴とする前記記載の舗装用アスファルトの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の舗装用アスファルトは、ホイールトラッキング試験における動的安定度が800回/mm以上であり、耐流動性に優れ、かつ耐ひび割れ性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の舗装用アスファルトの(A)成分として用いられるストレートアスファルトは、25℃における針入度(1/10mm)が60〜200、好ましくは70〜150のものである。また、軟化点が30〜55℃、好ましくは35〜50℃、120℃における動粘度が100〜1100mm/s、好ましくは200〜900mm/sの性状を有するものである。
ストレートアスファルトの25℃における針入度が上記範囲を逸脱する場合は、舗装用アスファルトの耐流動性が低下するため好ましくない。軟化点が上記範囲を逸脱する場合は、舗装用アスファルトの耐ひび割れ性が劣るため好ましくない。120℃における動粘度が上記範囲を逸脱する場合は、舗装用アスファルトの耐流動性が低下するため好ましくない。
なお、ここでいう25℃における針入度(1/10mm)、軟化点、120℃における動粘度は、JIS K2207「石油アスファルト」に準拠して求められる値である。
【0012】
本発明に用いられるストレートアスファルトは、原油を常圧蒸留して得られる常圧蒸留残油、原油を常圧蒸留および減圧蒸留して得られる減圧蒸留残油等から製造することができる。
当該ストレートアスファルトを得るための原油としては、前記の性状を有するストレートアスファルトが得られればどんな種類の原油でもよい。具体的には、パラフィン基原油とナフテン基原油の中間に位置する中間基原油およびナフテン基原油が好ましく、例えばアラビアンライト原油、イスムス原油、イラニアンヘビー原油、イラニアンライト原油、バチャケロ原油、ディアファナ原油、フート原油、クウェート原油、ラタウェー原油、アルライアン原油、エオシン原油、ソリューシュ原油が挙げられ、これらの原油は、単独でも、また混合して用いることもできる。
また、前記所定のストレートアスファルト性状を満足しさえすれば、残油以外の他のアスファルト基材を配合して本発明に係るストレートアスファルトとしてもよい。
ストレートアスファルトは、これらの原油を通常400℃未満で常圧蒸留した後、得られる常圧蒸留残油をカット温度500〜650℃の範囲で減圧蒸留することにより得ることができる。
【0013】
本発明の舗装用アスファルトを得るためには、骨材100重量部に対して、ストレートアスファルトが3〜7重量部、好ましくは3〜6重量部、より好ましくは4〜6重量部、最も好ましくは5.5重量部配合する。ストレートアスファルトが3重量部未満の場合は、骨材を皮膜するアスファルト量が少なく、骨材のはく離が早期に発生し、舗装が破損する等の点で好ましくない。一方、7重量部を超える場合は、アスファルト量が多いことから、舗装直後にわだち掘れが発生することから耐流動性に劣る等の点で好ましくない。
【0014】
本発明の舗装用アスファルトの(C)成分として用いられる溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)は、軟化点が80〜200℃、好ましくは100〜180℃、アスファルテン含有量が30〜70質量%、好ましくは35〜65質量%の性状を有するものである。
SDAピッチの軟化点が上記範囲を逸脱する場合は、舗装用アスファルトの耐流動性および耐ひび割れ性が低下するため好ましくない。SDAピッチ中のアスファルテン含有量が上記範囲を逸脱する場合は、耐流動性が低下するため好ましくない。
なお、ここでいう軟化点とは、JIS K2207「石油アスファルト−軟化点試験方法(環球法)」により測定した値である。また、アスファルテンは、石油学会規格JPI−5S−22−83「アスファルテンのカラムクロマトグラフィーによる組成分析法」により測定した値である。
【0015】
また、SDAピッチの粒径は5mm以下であることが好ましい。SDAピッチの粒径が5mmより大きい場合は、ミキサーの混合時に十分溶解せず、舗装用アスファルトの耐流動性が低下するため好ましくない。
【0016】
(C)成分の溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)は、常圧蒸留残油および減圧蒸留残油から選ばれる少なくとも1つを含む残油を、原油を常圧蒸留して分留されるナフサ留分を接触改質して得られるライトリフォーメイトを溶剤として抽出することによって得られる。
なお、常圧蒸留残油は、原油の精製工程において用いられる常圧蒸留装置により原油を常圧蒸留した際に得られる残油であり、減圧蒸留残油は、当該常圧蒸留残油をさらに減圧蒸留装置によって減圧蒸留することにより分離された残油である。また、本発明に用いられる残油は、常圧蒸留残油であってもよいし、減圧蒸留残油であってもよいし、また常圧蒸留残油と減圧蒸留残油との混合物であってもよい。
【0017】
前述のライトリフォーメートは、以下の方法で製造されることが好ましい。まず、原油を常圧蒸留装置によって分留して、ナフサ留分(主に30〜230℃の留分)を得る。ナフサ留分は、常圧蒸留装置によって軽質ナフサ留分(例えば沸点30〜90℃相当)と重質ナフサ留分(例えば沸点80〜180℃相当)とに予め分留して、その後水素化精製(水素化脱硫処理)しても良いし、水素化精製(水素化脱硫処理)装置でナフサ留分を処理した後、軽質ナフサと重質ナフサに分留しても良い。
続いて、接触改質装置によって重質ナフサ(主として沸点80〜180℃)を改質して芳香族系炭化水素を主体とするリフォーメートとする。
その後、精留装置によってリフォーメートを、炭素数5の炭化水素を主成分とするライトリフォーメートと、C6+留分とに分離する。C6+留分は、炭素数6以上の芳香族系炭化水素を主成分とするものであり、他に炭素数6以上の飽和炭化水素、オレフィン系炭化水素、及びナフテン系炭化水素などの成分を含むものである。ライトリフォーメート及びC6+留分に含まれる各成分は、例えば、GC(ガスクロマトグラフ)分析(JIS K2536「石油製品−成分試験方法」)などにより求めることができる。
ライトリフォーメートとC6+留分との分離条件は、ライトリフォーメート中にベンゼンが含まれないように分離できれば特に限定されるものではないが、例えばライトリフォーメート中のC6+留分が30容量%以下となるように適宜調整される。このようにして得られたライトリフォーメートは、ブタンを5〜15容量%、ペンタンを60〜80容量%、ヘキサンを5〜30容量%含むものである。なお、ここでいうブタン、ペンタン、ヘキサンとは、各々炭素数4、5、6のノルマルパラフィンとイソパラフィンの混合物であってもよい。
【0018】
本発明で用いる(C)溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)は、前述の残油を前述のライトリフォーメートを溶剤として抽出処理することにより得られる。抽出処理する際には、溶剤抽出装置のミキサーなどの混合装置によって、残油と溶剤とを混合してから、溶剤の臨界圧力以上で臨界温度以下の一定の条件に保たれている溶剤抽出装置のアスファルテン分離槽に供給される。アスファルテン分離槽内では、残油に含まれるアスファルトが沈殿し、沈殿物はアスファルテン分離槽の底部から連続的に抜出され、ストリッパーによってわずかに含まれる溶剤が除去されて、溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)とされる。なお、アスファルテン分離槽の上部から抜き出された油は脱れき油(DAO:Deasphalted Oil)として利用される。
【0019】
ライトリフォーメートを溶剤として残油を抽出処理する際には、抽出温度を150℃〜200℃とし、溶剤と残油との流量比(溶剤/残油)を5/1〜8/1として行うことが好ましい。
残油の抽出温度は、残油の性状に応じて適宜決定されるものであって、溶剤脱れきピッチの軟化点が一定となるように調整される。抽出温度が150℃未満であると、溶剤脱れきピッチの軟化点が200℃以上となり、溶剤抽出装置内からSDAピッチを取り出すことが困難となり、溶剤脱れきピッチの生産性が低下する。抽出温度が200℃を超えると、溶剤脱れきピッチの軟化点が100℃以下となり、SDAピッチ中のアスファルテン分が低下し、好ましくない。 また、溶剤と残油との流量比(溶剤/残油)が5/1未満であると、溶剤が少ないため、アスファルテン分離槽での抽出効率が低下し、SDAピッチ中のアスファルテン分が低下し、好ましくない。溶剤と残油との比(溶剤/残油)が8/1を超えると、必要以上の溶剤を循環させることで、溶剤抽出装置のエネルギー消費量が増大し、非経済的な運転となり、好ましくない。このようにして、軟化点が80〜200℃、アスファルテン含有量が30〜70質量%である溶剤脱れきピッチを得ることができる。
なお、ここでいう軟化点とは、JIS K2207「石油アスファルト−軟化点試験方法(環球法)」により測定した値である。また、アスファルテンは、石油学会規格JPI−5S−22−83「アスファルテンのカラムクロマトグラフィーによる組成分析法」により測定した値である。
【0020】
(C)成分の配合割合は、(A)成分のストレートアスファルトの配合量の3〜30質量%(ストレートアスファルト100重量部に対して3〜30重量部)であり、好ましくは5〜25質量%である。(C)成分の配合割合がストレートアスファルト配合量の3質量%より少ないと、骨材のはく離が生じ、舗装が破損し、また30質量%を超えると耐流動性に劣り、わだち掘れにより舗装が破損するため好ましくない。
【0021】
本発明の舗装用アスファルトの(B)成分として用いられる骨材は特に限定されるものではないが、具体的には以下に記載するものが使用される。例えば、粗骨材(6,7号砕石)、細骨材(粗砂、細砂、スクリーニング)およびフィーラ(石粉)を配合してなる合成粒度の骨材等が挙げられる。
【0022】
本発明の舗装用アスファルトは、(A)成分のストレートアスファルト、(B)成分の骨材、および(C)成分の溶剤脱れきピッチを所定量配合し、ミキサーで混合することにより製造することができる。また、(A)成分と(B)成分を混合後、(C)成分を配合して混合してもよく、また(A)成分と(C)成分を混合後、(B)成分を配合して混合してもよい。
混合条件は特に限定されるものではなく、通常の条件を採用することができる。例えば、温度150〜180℃で、3〜6分、ミキサーで混合する方法が挙げられる。
【0023】
本発明の方法で得られる舗装用アスファルトは、ホイールトラッキング試験における動的安定度が800回/mm以上であり、耐流動性に優れ、かつ耐ひび割れ性に優れている。
【実施例】
【0024】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0025】
(舗装用アスファルトの性能評価)
本発明における舗装用アスファルトの性能について、ホイールトラッキング試験、曲げ試験により評価した。評価方法の詳細を以下に記載する。
【0026】
(ホイールトラッキング試験方法および曲げ試験方法)
耐流動性はホイールトラッキング試験による動的安定度により評価した。また耐ひび割れ性は曲げ試験により評価した。
なお、ホイールトラッキング試験および曲げ試験は、各々、社団法人 日本道路協会「舗装試験法便覧」の3−7−3「ホイールトラッキング試験方法」、3−7−5「曲げ試験方法」記載の方法で行った。以下に試験法の概略を記す。
【0027】
(1)ホイールトラッキング試験:社団法人 日本道路協会「舗装試験法便覧」の3−7−3「ホイールトラッキング試験方法」
アスファルトと骨材を加熱混合したアスファルト混合物を所定の型枠(300×300×50mm)に入れ整形した供試体を60℃の恒温室で規定荷重(686±10N)の小型車輪を往復させ、45分および60分における変形量(わだち掘れ量)を測定し、動的安定度(回/mm)を求め、混合物のわだち掘れに対する抵抗性を評価する。
動的安定度(DS:Dynamic Stability)の値は大きいほど、高温時における加熱アスファルト混合物の耐流動性の良いことを示す。一般的には、わだち掘れが起こらないためには動的安定度が500以上である必要がある。
【0028】
(2)曲げ試験:社団法人 日本道路協会「舗装試験法便覧」の3−7−5「曲げ試験方法」
アスファルトと骨材を加熱混合したアスファルト混合物を所定の型枠(300×300×50mm)に入れ、整形した後、300×100×50mmの形状の供試体を切り出して供試体を作製し、−10℃で養生後、供試体を載荷試験機にセットし、載荷速度50mm/minで中央部に集中載荷する。最大荷重を示して供試体が破断するまで載荷を行い、荷重と変形量を求め、破断時(最大荷重時)の曲げ強度および破断時のひずみを求める。
一般的に、破断時の曲げ強度およびひずみの値は大きいほど、ひび割れに対する耐久性が良いことを示す。
【0029】
(3)評価方法
ホイールトラッキング試験結果より、動的安定度が800回/mm以上である場合は、「わだち掘れが起こらない:○」、500回/mm以上800回/mm未満である場合は、「場合によってはわだち掘れが起こる:△」、500回/mm未満である場合は、「わだち掘れが起こる:×」と評価した。
さらに、曲げ試験結果より、「ひび割れが無し:○」、「場合によってはひび割れする:△」、「ひび割れ有り:×」と評価した。
【0030】
(実施例1〜3)
本発明の製造方法により、(1)アスファルトおよび骨材をミキサーにそれぞれの所定量を投入後、(2)溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)の所定量を添加し、約150℃のミキサーで攪拌混合しアスファルト混合物を製造し、これらのアスファルト混合物について、前述のホイールトラッキング試験および曲げ試験を行い、耐流動性および耐ひび割れ性を評価した。各成分の性状、混合割合および評価結果を表1に示す。なお、骨材配合はアスファルト舗装要網に記載された密粒度アスコン(13)の中央値とした。
実施例1〜3のいずれも、耐流動性および耐ひび割れ性において優れた特性を示した。
【0031】
(比較例1)
比較例1はSDAピッチとして軟化点が低く、かつアスファルテン含有量が小さいものを用いて製造したものであり、実施例1〜3と同様に、前述のホイールトラッキング試験および曲げ試験を行い、耐流動性および耐ひび割れ性を評価した。
その結果、耐流動性および耐ひび割れ性のいずれにおいても、不十分な性能であった。
【0032】
(比較例2)
比較例2はSDAピッチとして軟化点が高い、かつアスファルテン含有量が大きいものを用いて製造したものであり、実施例1〜3と同様に、前述のホイールトラッキング試験および曲げ試験を行い、耐流動性および耐ひび割れ性を評価した。
その結果、耐流動性および耐ひび割れ性のいずれにおいても、不十分な性能であった。
【0033】
(比較例3)
比較例3は、SDAピッチの粒径が大きいものを用いて製造したものであり、実施例1〜3と同様に、前述のホイールトラッキング試験および曲げ試験を行い、耐流動性および耐ひび割れ性を評価した。
その結果、十分溶解し難いことから耐ひび割れ性においては不十分な性能であった。
【0034】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の舗装用アスファルトは、耐流動性、耐ひび割れ性に優れており産業上の価値は大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)25℃における針入度(1/10mm)が60〜200のストレートアスファルト3〜7重量部、(B)骨材100重量部、および(C)常圧蒸留残油および減圧蒸留残油から選ばれる少なくとも1つを含む残油を、原油を常圧蒸留して分留されるナフサ留分を接触改質して得られるライトリフォーメイトを溶剤として抽出処理して得られる、軟化点が80〜200℃、アスファルテン含有量が30〜70質量%の性状を有する溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)をストレートアスファルト配合量の3〜30質量%配合してなる舗装用アスファルト。
【請求項2】
(A)25℃における針入度(1/10mm)が60〜200のストレートアスファルト3〜7重量部、(B)骨材100重量部、および(C)常圧蒸留残油および減圧蒸留残油から選ばれる少なくとも1つを含む残油を、原油を常圧蒸留して分留されるナフサ留分を接触改質して得られるライトリフォーメイトを溶剤として抽出処理して得られる、軟化点が80〜200℃、アスファルテン含有量が30〜70質量%の性状を有する溶剤脱れきピッチ(SDAピッチ)をストレートアスファルト配合量の3〜30質量%混合することを特徴とする舗装用アスファルトの製造方法。
【請求項3】
(C)溶剤脱れきピッチの粒度が5mm以下であることを特徴とする請求項2記載の舗装用アスファルトの製造方法。

【公開番号】特開2012−224800(P2012−224800A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95676(P2011−95676)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】