説明

舗装用コンクリートブロックおよび同ブロックによる舗装方法

【課題】熟練者でなくても天然石で仕上げたような趣のある舗装面を短時間で容易に築造できるブロックとこれによる舗装方法の提供。
【解決手段】基層1と表層2から成る偏平構造のブロックであり、基層1は正6角形を基本形として、その各辺の一端側が平面状の凹端面1Aとされると共に、他端側に凹端面1Aと平行な凸端面1Bをもつ突出部11が形成され、それら凹端面1Aと凸端面1Bとが周方向に交互に現れる構成で、表層2は基層1上に一体的に重ね合わされる。又、表層2は、その表面に形成される溝部21により、敷石を模した複数の異形敷石パターン22に区分される。そして、係るブロックを予め平らに均した整地面上に敷き並べると共に、隣り合うブロックの凹端面1Aと凸端面1Bとを突き合わせ、隣り合うブロックの表層2,2間に形成される隙間と各表層2の溝部21とに透水性を有する目地材5を充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩道や広場の舗装に用いて好適なコンクリートブロックに係わり、特に人工物でありながら天然石を敷き詰めたような風合いが醸し出される舗装用コンクリートと同ブロックを用いた舗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車歩道などの舗装にはアスファルトやコンクリートが多用されるが、それら舗装材による舗装面は趣がなく、意匠性に欠けるという問題があった。
【0003】
一方、天然石を偏平状に加工して敷石とし、これを歩道や庭に敷き詰めて舗装することも行われているが、これによれば石工が敷石を所定形状に切断しながら敷き詰めていくので、趣のある舗装面を得ることはできても施工が極めて大変で、狭小なスペースを舗装するにも多くの時間を要するという問題があった。
【0004】
そこで、隣り合う2辺を1組として、それが3組組み合わされて外周辺が形成され、各1組の隣り合う2辺は互いに補完形状をなすように一方の辺が他方の辺に対して表裏反転した形状および大きさとなされると共に、各1組の隣り合う2辺の形状が他の隣り合う2辺の形状および大きさと異なるような構成とされる舗装用ブロックが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−285504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のブロックによれば、偏平と成した敷石を現場で切断しながら敷き詰めていくものに比べると作業性の向上が図れるものの、係るブロックの形状は複雑であり、このため敷設方向が限られてしまい、意匠性の選択ができなくなってしまうという欠点がある。
【0007】
又、ブロックの形状が複雑であることから、これを用いて舗装工事を行う場合、現場施工者は、ブロック同士のいずれの辺が合致するかを思考しながら、ジグソーパズルをするような感覚でブロックを並べて行かねばならない。このため、作業性を飛躍的に向上させることは到底望めず、熟練工でも相当の時間を費やさなければ作業を完結できないという難点がある。
【0008】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は熟練者でなくても天然石で仕上げたような趣のある舗装面を短時間で容易に築造できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の目的を達成するため、
正6角形を基本形として、その各辺の一端側が平面状の凹端面とされると共に、前記各辺の他端側に前記凹端面と平行な凸端面をもつ突出部が形成され、前記凹端面と凸端面が周方向に交互に現れる構成の基層と、
前記基層上に一体的に重ね合わされた表層と、から成る偏平構造物であり、
前記表層は、その表面に形成される溝部により、敷石を模した複数の異形敷石パターンに区分されていることを特徴とする舗装用コンクリートブロックを提供するものである。
【0010】
又、以上のような舗装用コンクリートブロックにおいて、表層の表面には、不均一な彩色が施され、しかも凸端面の長さが凹端面の長さよりも短く設定されていることを特徴とする。
【0011】
更に、以上のような舗装用コンクリートブロックにおいて、基層が透水性を有するポーラスコンクリートから成ることを特徴とする。尚、基層をポーラスコンクリートにすれば降雨時における舗装面の冠水を防止できるという効果を得られるが、基層を普通のコンクリートで成型してもよい。
【0012】
一方、本発明は上記のような舗装用コンクリートブロックを予め平らに均した整地面上に敷き並べると共に、隣り合うブロックの凹端面と凸端面とを突き合わせ、隣り合うブロックの表層間に形成される隙間と各表層の溝部とに透水性を有する目地材を充填することを特徴とする舗装方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る舗装用コンクリートブロックは、正6角形を基本形とする基層と該基層上に一体的に重ね合わされた表装とから成る偏平構造物であるから、敷設に際して隣り合うブロックのいずれの端面同士でも突き合わせが可能であり、このため熟練者でなくとも敷設を容易かつ適切に行うことができる。
【0014】
又、基層には、平面状の凹端面とこれに平行な凸端面をもつ突出部とが6つずつ形成され、その凹端面と凸端面が周方向に交互に現れることから、隣り合うブロックの継目が直線状とならず、しかも表層がその表面に形成される溝部により複数の異形敷石パターンに区分されていることから、それら異形敷石パターンを個々に独立して敷設した天然敷石に見立てることができ、ひいては趣のある意匠性に富んだ舗装面を形成することができる。
【0015】
加えて、表層の表面に不均一な彩色が施されていることから、人工物にして自然な風合いを醸し出すことができる。
【0016】
又、凸端面の長さが凹端面の長さよりも短く設定されていることにより、隣り合うブロック同士の凹端面と凸端面とを突き合わせたとき、両者の突出部間に空隙(孔部)が形成されるようになるので、ここを通じて雨水を地中に浸透させることができる。
【0017】
更に、基層が透水性を有するポーラスコンクリートから成る場合、表層の溝部に浸入した雨水を、基層を通じて地中にすぐさま浸透させることができる。
【0018】
特に、本発明に係る舗装方法では、隣り合うブロックの表層間に形成される隙間と各表層の溝部とに透水性を有する目地材を充填することから、地中に対する雨水の浸透が遮られず、このため降雨時において舗装面が冠水することを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の適用例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る舗装用コンクリートブロックを示した斜視図、図2は同ブロックの平面図であり、図3には図2におけるX−X断面を示す。
【0020】
これらの図で明らかなように、係る舗装用コンクリートブロックは、下部構造をなす基層1と上部構造をなす表層2とにより構成される2層の偏平構造物であり、本例ではその厚さが約40mmとされている。
【0021】
基層1は、透水性を有する多孔質のポーラスコンクリートから成り、その層厚は表層2よりも厚く、本例において約30mmに設定されている。ここに、ポーラスコンクリートは、セメント、骨材、及び水を図示せぬミキサー内に投入して練り混ぜるほか、必要に応じてAE剤や減水剤といった混和剤を対セメント比で2〜3重量%程度加えて混合し、練り混ぜた生コンクリートを所定形状に成型後、これを一定時間養生して固化させることにより得られる。その配合割合は、例えばセメントが350〜650kg/m、骨材が1400〜1700kg/m、水が80〜120kg/mである。このうち、骨材としてはワ号砕石、2005砕石、あるいはそれらの組み合わせなどを用いる。
【0022】
尚、係る基層1は普通コンクリートでもよいが、この場合には降雨時に舗装面が冠水せぬよう後述のような対策を講じることが好ましい。
【0023】
一方、表層2は、基層1上に一体的に重ね合わされて該基層1と一体成型される普通コンクリートから成り、その層厚は基層1よりも薄く、本例において約10mmに設定されている。特に、図1、図2から明らかなように、表層2の表面には不規則に曲がった溝部21が分岐して形成されており、その溝部21により表層2が天然の敷石を模した複数(図1、図2において3つ)の異形敷石パターン22に区分されている。尚、溝部21は基層1まで達する深さを有し、雨水を基層1まで導くような水路としても機能する。
【0024】
又、各異形敷石パターン22,・・の表面は概ね平面状であるが、それらには石材を割ったときのような割り肌を模した高低差の小さい不規則な凹凸が形成される。
【0025】
ここに、表層2は、セメント、骨材、及び水を図示せぬミキサー内に投入して練り混ぜるほか、これに着色剤や防カビ剤などを添加して得られる生コンクリートを所定形状に成型後、これを一定時間養生して固化させることにより得られる。尚、着色剤としては、酸化クロム、酸化鉄、ベンガラ、又は酸化チタンなどの顔料が用いられる。
【0026】
特に、本発明では各異形敷石パターン22,・・が天然石の風合いを醸し出すよう、その表面全体を均一な色調とするのでなく、表層2を構成する各異形敷石パターン22,・・の表面に色の濃淡が部分的に異なる不均一な彩色が施される。これは、着色剤としての顔料と、バインダとしてのセメントおよびケイ砂との混合粉末を図示せぬ成形型内に不均一に撒き散らすか、あるいは顔料を含む粉末に水および液状の防カビ剤を加えた塗料を成形型内に不均一に塗り、その上に表層2を形成するための生コンクリートを流し込むことにより達成される。
【0027】
尚、基層1と表層2とを同一のコンクリートで形成する場合には、成形型内に生コンクリートを一度に充填するが、基層1を上記のように透水性を有するポーラスコンクリートとする場合には、表層2となす高スランプの普通生コンクリートを成形型内に流し込んだ後、その上に基層1となす低スランプ乃至はゼロスランプの生コンクリートを充填する。
【0028】
又、成形型には金型、プラスチック型、又は木型などを用いることができるが、本例ではこれにゴム型が用いられる。ここに、ゴム型ではブロックの模型を用いて容易に製作できるほか、天然石風のテクスチャーを再現しやすいという有利な効果が得られる。
【0029】
次に、図4は基層1の平面図を示す。この図で明らかなように、基層1は、内角θが120度とされる正6角形を基本形として、その各辺の一端側が平面状の凹端面1Aとされると共に、各辺の他端側に凹端面1Aと平行な凸端面1Bをもつ突出部11が形成される形態で、その凹端面1Aと凸端面1Bが周方向の交互に現れる構成とされている。
【0030】
本例において、突出部11はその長さ方向両側端面1Cと凸端面1Bとが成す2つの突角12をもつ台形状であり、その幅方向(長さ方向)片側端面1Cが隣り合う他辺の凹端面1Aと同一平面状に連続するようになっている。又、同一辺上で段違いに形成される平行な凹端面1Aと凸端面1Bは、突出部11の側端面1Cを含む凹端面1Aの長さLに比べ、凸端面1Bの長さLが若干短く設定されている。尚、本例において、凹端面1Aの長さLは97mm、凸端面1Bの長さLは92mmとされている。
【0031】
このように、凸端面1Bが凹端面1Aより短くされるものによれば、図5のように2つのブロックにおける突出部11の突角12同士を合わせて一方の凹端面1Aと他方の凸端面1Bとを突き合わせたとき、両者の突出部11,11の間に孔部3が形成されるため、基層1が透水性のない普通コンクリートで形成される場合でも、その孔部3を通じて雨水を地中に浸透させることができる。
【0032】
尚、表層2も基層1と同形の輪郭とされるが、2つのブロックの基層1,1の端面(凹端面1Aおよび凸端面1B)同士を突き合わせたとき、表層2,2の間に目地材を充填すべき隙間(目地)が形成されるよう、表層2は図1〜図3、又は図6のように基層1より一回り小さく(特に基層1の凹端面1Aより数ミリ程度後退)されてその両者間に段差部4が形成されるか、あるいは表層2の外周端面は面取りされた傾斜面とされる。
【0033】
ここで、以上のように構成される舗装用コンクリートブロックを用いて歩道や広場を舗装するには、図6に示すように地面Gを図示せぬ均平機などを用いて平らに均し、更にその上にケイ砂などの緩衝砂Sを撒き、これを均して整地面とする。
【0034】
次に、その整地面上に複数のブロックをそれぞれ表層2が上向きになるようにして順次敷き並べると共に、隣り合うブロックは基層1の凹端面1Aと凸端面1Bとを互いに突き合わせる。ここに、ブロックの基層1は正6角形を基本形とするものであるから、いずれの端面同士でも突き合わせが可能であり、且つ6面全てが敷設方向に突き合わせられるため、意匠性の選択も自由である。このため、敷設を容易かつ適切に行うことができる。
【0035】
又、施工領域全体にブロックを敷き詰め終えたら、隣り合うブロックの表層2,2間に形成される隙間(図6において段差部4の位置)と各表層2の溝部21に目地材5を充填する。尚、目地材5には透水性を有するものが用いられるが、これには本出願人の製造販売する商品名「ラクメジ」、「ペーバーサンドP」などを利用することができる。そして、その種の目地材5によれば、雨水を透過せしめて、これを基層1の突き合わせ部分から地中に浸透させることができるので、降雨時にも舗装面が冠水するのを抑制することができる。特に、隣り合うブロックの基層1,1の間には図5に示したような孔部3が形成されるので水捌けがよく、しかも基層1がポーラスコンクリートとされる場合には溝部21に充填した目地材3から基層1を通じて雨水を地中にすぐさま浸透させることができる。
【0036】
又、図7は施工後の舗装面の一部を示すが、この図で明らかなように、係るブロックによれば、突出部11の存在により継目部分が直線状でなくクランク状となるので、舗装面がブロックの集合体であることが気付かれ難く、異形敷石パターン22,・・のそれぞれが恰も天然石として個別に敷設されているように見せることができる。尚、図7で明らかなように、本発明に係るブロックは、溝部21の形成パターンが異なる複数種類(図7では3種類)が取り揃えられるが、一種類のブロックでも、敷設の仕方によりそれぞれの異形敷石パターン22の向きを変えて全体の模様が様々なバリエーションに富んだ舗装面とすることができる。
【0037】
以上、本発明について説明したが、係る舗装用ブロックは上記例に限らず、突出部を長方形状にして、その片側端面1Cが他辺の凹端面1Aと同一平面状に連続しないようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る舗装用コンクリートブロックを示す斜視図
【図2】同ブロックの平面図
【図3】図2のX−X断面図
【図4】基層を含むブロックの平面形状を示す説明図
【図5】基層同士の突き合わせ部分を示す拡大図
【図6】本願ブロックの敷設例を示す説明図
【図7】本願ブロックによる舗装面の一部を示す平面図
【符号の説明】
【0039】
1 基層
11 突出部
12 突角
1A 凹端面
1B 凸端面
1C 突出部の側端面
11
2 表層
21 溝部
22 異形敷石パターン
3 孔部
4 段差部
5 目地材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正6角形を基本形として、その各辺の一端側が平面状の凹端面とされると共に、前記各辺の他端側に前記凹端面と平行な凸端面をもつ突出部が形成され、前記凹端面と凸端面が周方向に交互に現れる構成の基層と、
前記基層上に一体的に重ね合わされた表層と、から成る偏平構造物であり、
前記表層は、その表面に形成される溝部により、敷石を模した複数の異形敷石パターンに区分されていることを特徴とする舗装用コンクリートブロック。
【請求項2】
表層の表面には、不均一な彩色が施されていることを特徴とする請求項1記載の舗装用コンクリートブロック。
【請求項3】
凸端面の長さが凹端面の長さよりも短く設定されていることを特徴とする請求項1、又は2記載の舗装用コンクリートブロック。
【請求項4】
基層が透水性を有するポーラスコンクリートから成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の舗装用コンクリートブロック。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の舗装用コンクリートブロックを予め平らに均した整地面上に敷き並べると共に、隣り合うブロックの凹端面と凸端面とを突き合わせ、隣り合うブロックの表層間に形成される隙間と各表層の溝部とに透水性を有する目地材を充填することを特徴とする舗装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−169636(P2008−169636A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4290(P2007−4290)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(592088622)マチダコーポレーション株式会社 (8)
【Fターム(参考)】