説明

舗装高さ内に設置するための伸縮装置

【課題】床版のひび割れ現象を防止すべくし耐久性の高い量産性ある舗装高さ内に設置するための伸縮装置を提供する。
【解決手段】一方、他方の伸縮装置18、19の構成は、断面略T字状でその上面部に凹凸面を形成した所定長の一方の櫛形状荷重支持部材18Aと、該一方、他方の櫛形状荷重支持部材18A、19Aの外方側面に直交し・固定しかつ一方、他方の櫛形状荷重支持部材18A、19Aの長さ方向に所定間隔を有して複数個固定された一方、他方の略釣針状リブプレート18B、19Bとでなる。詳しくは一方、他方の伸縮装置18、19は例えば鋼製であって所定長L例えば1.8(m)程度の一方、他方の櫛形状荷重支持部材18A、19Aと、該一方、他方の櫛形状荷重支持部材18A、19Aの外方側面18a、19aつまり脚部18cの外方側面に直交・固定した一方、他方の略釣針状リブプレート18B、19Bとでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川、峡谷、高架道路や各種の道路等に於ける例えば道路橋梁構造物を構成するものであって、舗装高さ内に設置するための伸縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の技術に於ける伸縮装置の第1の例としては、図9に示す特開2011−12500号公開特許公報に開示された技術がある。
これについて説明すれば、橋梁用伸縮ジョイント1は、継ぎ手部材3A、3Aと、誘導板4と、アンカーバー5と、ゴム製の漏水防止部材6等とを備えて構成されている。継ぎ手部材3A、3Aは、フェイスプレート2、2及び縦板プレート3、3からなり、フェイスプレート2、2によって遊間部7の上面を覆うとともに、フェイスプレート2から縦板プレート3が連続して形成されている。縦板プレート3、3には所定間隔毎に複数のアンカーバー5、5・・が取り付けられ、床版8、8上に敷設されている。アンカーバー5、5・・の上部、下部には補強用の鉄筋が架設され、アンカーバー5、5・・に補強が施されている。これらの一対の継ぎ手部材3A、3Aは、各床版8、8に、フェイスプレート2、2同士を突き合わせるように配置され、遊間部7を中心に対称に配置することによって遊間部7の上方を覆い、床版8、8の伸縮を遊間部7の隙間によって吸収しつつ、車両の通行を可能とするものである。床版8、8の上部には舗装材が打設され、橋梁に車道が形成されている。継ぎ手部材3A、3Aには側面視略台形状の誘導板4、4・・が複数個、アンカーバー5、5・・と交互に取り付けられ、積雪時における除雪作業の際、誘導板4、4・・が除雪車のスノウプラウをガイドすることによって、フェースプレート2へのスノウプラウの接触を防止し、その損傷を回避するようになっている。図9に示すように、縦板プレート3、3間には、加硫ゴムを素材とするゴム製の漏水防止部材6が、道路の幅方向に亘ってフェイスプレート2、2の下側に取り付けられている。加硫とは、生ゴムを加熱しながら一定圧力下、硫黄などを添加し、架橋反応を利用してゴムの弾性並びに強度を向上させるものである。縦板プレート3、3の側面にはビス穴9a、9a・・、漏水防止部材6の側面部6a、6aには取付孔6b、6bが穿設されており、これらのビス穴9a、取付孔6bを利用して平ビス9を貫通させるとともに、漏水防止部材6の側面部6aを、固定用の方形プレート10,10との間に介在させながら平ビス9をナット9bに螺合させることによって、左右から漏水防止部材6の側面部6a、6aを挟み込んで固定している。
【0003】
従来この種の技術に於ける伸縮装置の第2の例としては、図10に示す特許第3593644号特許公報に開示された技術がある。
これについて説明すれば、櫛形の一方側フィンガー部11A、他方側フィンガー部11Bが橋桁12、12などの遊間13をはさんで対向して配設され、走行車両の輪荷重を支持し、温度変化等による橋軸(走路)方向Xの伸縮を吸収する。免震装置(図示せず)を介して橋脚(図示せず)により支持された橋桁12相互間の遊間13に配設している。
前記一方側フィンガー部11Aは、根元側の変形可能部分11aと先端側の剛性部分11bとを有していて、変形可能部分11aは弾性部材たるゴム11cにより橋軸直角(横断)方向Yの相対変位に際して追随可能としている。一方側フィンガー部11Aの根元側の変形可能部分11aの外周の円筒状の枠部14と中心のピン15との間にゴム11cが充填埋設されており、相対変位に際しては一方側フィンガー部11Aが回動して前記ゴム11cが捩じれるように円周方向に回動して変形する。また前記ゴム11cの弾性作用により、地震等が収まり変位が収束すると元の状態に復元して戻る。遊間13をはさんで対向する前記一方側フィンガー部11Aは、橋軸直角(横断)方向Yの相対変位に際して円周方向に回動可能とした。他方側フィンガー部11Bは基部16と共に一体的に形成しており変形はしないが、この固定の他方側フィンガー部11Bが相対変位して対向する前記一方側フィンガー部11Aを回動させる。回動可能な一方側フィンガー部11Aの下側には、荷重支持部材17を配設している。回動可能な一方側フィンガー部11Aは輪荷重に対し荷重支持部材17により支持されるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−12500号公開特許公報
【特許文献2】特許第3593644号特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術は叙上した構成であるので次の課題があった。即ち、第1の例によれば、橋梁用伸縮ジョイント1は、継ぎ手部材3A、3Aと、誘導板4と、アンカーバー5と、ゴム製の漏水防止部材6等とを備えて構成されてなり長期の使用により経年変化を招来し、該漏水防止部材6が破断または亀裂して遊間部7内に漏水現象が惹起されるばかりか、輪荷重がアンカーバー5、5に掛かりフェイスプレート2、2及び縦板プレート3、3からアンカーバー5、5が切断されるという問題点があった。加えて、長期の使用により平ビス9が緩み漏水防止部材6の側面部6a、6aがフェイスプレート2、2から離脱するという隘路も生じた。さらに、第1の例では構成部品点数が多く複雑かつ大型化であって舗装高さ内に入らないと共に製品単価が高価であり現場製作工数が増大し、交通規制が長期化するという問題点が存在した。
【0006】
次に、第2の例によれば櫛形の一方側フィンガー部11A、他方側フィンガー部11Bが橋桁12、12などの遊間13をはさんで対向して配設され、前記一方側フィンガー部11Aは、根元側の変形可能部分11aと先端側の剛性部分11bとを有していて、変形可能部分11aは弾性部材たるゴム11cにより橋軸直角(横断)方向Yの相対変位に際して追随可能としている。長期の使用により、根元側の変形可能部分11a、とりわけゴム11c及びピン15が疲労劣化し、該一方側フィンガー部11Aが基部16から破断・脱落するという問題点があった。加えて走行車両の輪荷重がフィンガー部11A、11Bから直接に遊間13上方の荷重支持部材17に加わり、該荷重支持部材17を亀裂するという隘路もあった。よって、第2の例は一方側フィンガー部11Aの脆弱性に加え構成部品点数も多く、複雑かつ大型化となり、実用性に欠けるという問題点が存在した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は一方及び他方の伸縮装置の構成は断面略T字状でその上面部に凹凸面を形成した所定長の櫛形状荷重支持部材と、該櫛形状荷重支持部材の外方側面に直交し・固定しかつ櫛形状荷重支持部材の長さ方向に所定間隔を有して複数個固定された略釣針状リブプレートでなる伸縮装置を舗装高さ内に好適に設置し、伸縮装置の取替えに際しても床版の埋込み鉄筋、即ちSTアンカーボルトやプレキャストコンクリート製桁の定着部を損傷させることなく、該床版のひび割れ現象を防止すべくし小型、軽量であって部品点数を極めて削減し、耐久性の高い量産性ある舗装高さ内に設置するための伸縮装置を提供するにあり、次の構成・手段から成立する。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、一方・他方の組合せでなる舗装高さ内に設置するための伸縮装置に於いて、一方及び他方の伸縮装置の構成は断面略T字状でその上面部に凹凸面を形成した所定長の櫛形状荷重支持部材と、該櫛形状荷重支持部材の外方側面に直交し・固定しかつ櫛形状荷重支持部材の長さ方向に所定間隔を有して複数個固定された略釣針状リブプレートとでなることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、一方・他方の組合せでなる舗装高さ内に設置するための伸縮装置に於いて、一方及び他方の伸縮装置の構成は断面略T字状でその上面部に凹凸面を形成した所定長の櫛形状荷重支持部材と、該櫛形状荷重支持部材の外方側面に前記上面部に面一に直交し・固定しかつ櫛形状荷重支持部材の長さ方向に所定間隔を有して複数個固定された略釣針状リブプレートとでなることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明において、前記略釣針状リブプレートの棒状部の先端に向かい下方に緩やかに傾斜させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る舗装高さ内に設置するための伸縮装置は叙上した構成、作用を有するので、次の効果がある。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、一方・他方の組合せでなる舗装高さ内に設置するための伸縮装置に於いて、一方及び他方の伸縮装置の構成は断面略T字状でその上面部に凹凸面を形成した所定長の櫛形状荷重支持部材と、該櫛形状荷重支持部材の外方側面に直交し・固定しかつ櫛形状荷重支持部材の長さ方向に所定間隔を有して複数個固定された略釣針状リブプレートとでなることを特徴とする舗装間に設置するための伸縮装置を提供する。
このような構成としたので、舗装高さ内に伸縮装置を設置することにより一方、他方の床版や該床版の補強鉄筋等を傷つけるリスクを低減できるのでPC床版への適用が好適となり、加えて一方、他方の床版のはつり時間を短縮し交通規制時間を短く保持できると共にはつり作業による騒音を軽減化するという効果がある。そしてはつり作業により生じる産業廃棄物を大幅に削減できるという効果がある。また、該櫛形状荷重支持部材に略釣針状リブプレートを備えたので伸縮装置の高さを押え、舗装の高さ内で設置可能な伸縮装置に適用できるという効果がある。さらに、輪荷重が伸縮装置に作用した場合、該伸縮装置が路面側つまり前記略釣針状リブプレートの棒状部の上方への反転力に対して第1、第2補強鉄筋がこの反転力に抵抗し当該伸縮装置が転倒することなく安定して舗装高さ内に定着するという効果がある。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、一方・他方の組合せでなる舗装高さ内に設置するための伸縮装置に於いて、一方及び他方の伸縮装置の構成は断面略T字状でその上面部に凹凸面を形成した所定長の櫛形状荷重支持部材と、該櫛形状荷重支持部材の外方側面に前記上面部に面一に直交し・固定しかつ櫛形状荷重支持部材の長さ方向に所定間隔を有して複数個固定された略釣針状リブプレートとでなることを特徴とする舗装間に設置するための伸縮装置を提供する。
このような構成としたので、一方、他方の櫛形状荷重支持部材の上面部を一方、他方の略釣針状リブプレートの上端と面一に溶接・固定したので一方、他方の略釣針状リブプレートの下面位置より固定したものよりも接合領域や溶接・固定部での輪荷重すなわち応力の集中度合が約6割程度に軽減されるという効果がある。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、前記略釣針状リブプレートの棒状部の先端に向かい下方に緩やかに傾斜させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の舗装高さ内に設置するための伸縮装置を提供する。
このような構成としたので、請求項1又は2に記載の効果に加えて一方、他方の略釣針状リブプレートの先端を舗装側に向かって斜め下側すなわち傾き角θ程度緩やかに配置することにより一方、他方の略釣針状リブプレートの上下空間を確保し裏込め部材、すなわちコンクリートの廻り込みを良好とし伸縮装置や一方、他方の略釣針状リブプレートの転倒を防止するという効果があり、一方、他方の略釣針状リブプレートの上側に第1、第2補強鉄筋を配置することで、裏込め部材のひび割れの発生を防止するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る舗装高さ内に設置するための伸縮装置の実施の形態を示すものであって、伸縮装置を舗装高さ内に設置した状態を示す垂直断面図である。
【図2】本発明に係る舗装高さ内に設置するための伸縮装置の実施の形態を示すものであって、伸縮装置を示す平面図である。
【図3】本発明に係る舗装高さ内に設置するための伸縮装置の実施の形態を示すものであって、伸縮装置の一部を切断した斜視図である。
【図4】図2の矢視A−A線方向から見た断面図である。
【図5】本発明に係る舗装高さ内に設置するための伸縮装置の実施の形態を示すものであって、伸縮装置による輪荷重Pが櫛形状荷重支持部材の上面部に作用したときの接合領域Mに掛かる応力状態を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る舗装高さ内に設置するための伸縮装置の実施例に於ける櫛形状荷重支持部材とこれに直交・固定する略釣針状リブプレートを示す垂直断面図である。
【図7】本発明に係る舗装高さ内に設置するための伸縮装置の実施例を示すものであって、伸縮装置の一部を切断した斜視図である。
【図8】本発明に係る舗装高さ内に設置するための伸縮装置の実施例を示すものであって、伸縮装置による輪荷重Pが櫛形状荷重支持部材の上面部に作用したときの接合領域Mに掛かる応力状態を示す斜視図である。
【図9】従来の技術における第1の例を示すものであって、垂直断面図である。
【図10】従来の技術における第2の例を示すものであって、一部を垂直段面した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る舗装高さ内に設置するための伸縮装置に於ける実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1ないし図5は本発明に係る舗装高さ内に設置するための伸縮装置に於ける実施の形態を示す一例であって、図1は伸縮装置を舗装高さ内に設置した状態を示す垂直断面図、図2は本発明に係る伸縮装置を示す平面図、図3は本発明に係る伸縮装置の斜視図であって、一部を切断してある。図4は図2の矢視A−A線方向から見た断面図である。
【0018】
Aは本発明に係る伸縮装置の一例である。該伸縮装置Aは図1ないし図3から明らかなように一方の伸縮装置18と他方の伸縮装置19とを組合せて構成される。一方の伸縮装置18と他方の伸縮装置19は同一構成であって、図1に示すように舗装高さ内に設置され、具体的には一方の床版20上に積層された一方の舗装22と、他方の床版21上に積層された他方の舗装23との間に設置されている。
【0019】
前記一方の伸縮装置18の構成は、断面略T字状でその上面部に凹凸面を形成した所定長の一方の櫛形状荷重支持部材18Aと、該一方の櫛形状荷重支持部材18Aの外方側面に直交し・固定しかつ一方の櫛形状荷重支持部材18Aの長さ方向に所定間隔を有して複数個固定された一方の略釣針状リブプレート18Bとでなる。
前記他方の伸縮装置19の構成は、断面略T字状でその上面部に凹凸面を形成した所定長の他方の櫛形状荷重支持部材19Aと、該他方の櫛形状荷重支持部材19Aの外方側面に直交し・固定しかつ他方の櫛形状荷重支持部材19Aの長さ方向に所定間隔を有して複数個固定された他方の略釣針状リブプレート19Bとでなる。前記一方、他方の伸縮装置18、19は例えば鋼製であって図2に示すように所定長L例えば1.8(m)程度の一方、他方の櫛形状荷重支持部材18A、19Aと、該一方、他方の櫛形状荷重支持部材18A、19Aの外方側面18a、19aつまり脚部18cの外方側面に直交・固定した一方、他方の略釣針状リブプレート18B、19Bとでなる。前記一方、他方の櫛形状荷重支持部材18A、19Aは適宜厚さ例えば10(mm)程度の上面部18b、19bと、この上面部18b、19bの底面又は下面から垂下形成した50(mm)程度の長さを有する脚部18cとでなる。
【0020】
該上面部18b、19bはその一方の外縁に凹面18d、19d及び該凹面18d、19dに連なる凸面18e、19eを長さ方向に一連に交互に形成している。そして、前記一方の凹面18dは他方の凸面19eにフィンガー遊間Dを有して一方、他方の櫛形状荷重支持部材18A 、19Aを配置・固定する。上述したように一方、他方の伸縮装置18、19は工場等で所定長Lに製作されるが現場では道路の幅員幅長に応じてこれを連結するために前端及び後端に図2に示す略矩形状接続プレート30・・・を固定する。そしてこの略矩形状接続プレート30・・・同志をボルト・ナットで固定する。
【0021】
前記一方、他方の略釣針状リブプレート18B、19Bは図3に示すように一方、他方の櫛形状荷重支持部材18A 、19Aの長さ方向に所定間隔L例えば150(mm)程度を有して該一方、他方の櫛形状荷重支持部材18A 、19Aの脚部18c、19cの外方側面18a、19aに直交・固定する。前記一方、他方の略釣針状リブプレート18B、19Bは一方、他方の前記櫛形状荷重支持部材18A 、19Aの長さ方向に直交する方向に延在しかつ基端部18g、19gから一体形成された断面略矩形状又は断面略真円状等に形成した棒状部18f、19fを有する。
【0022】
図3に示すものは断面略矩形状のものである。該基端部18g、19gは一方側つまり前記櫛形状荷重支持部材18A 、19Aに固定する側の端面に図4に示すように段差部18h(19h)を及び他方側、つまり前記櫛形状荷重支持部材18A 、19Aに固定する側と反対側の端面に円弧状面18i(19i)を形成している。そしてこの円弧状面18i(19i)は上方に伸びて棒状部18f、19fの下面と一体となり及び下方向に伸びて鉤足18j(19j)の上面と一体となっている。ここで前記棒状部18f、19fは先端に向かうに従い下方に緩やかに傾斜させた傾斜角θ例えば10ないし30度程度を有する構造とする。また前記櫛形状荷重支持部材18A、19Aの高さHは舗装高さと略同一であって、概ね70(mm)程度で前記基端部18g、19gの高さと略同一である。
【0023】
ここで本発明に係る舗装高さ内に設置するための伸縮装置に於いて前記一方、他方の略釣針状リブプレート18B、(19B)を前記一方、他方の櫛形状荷重支持部材18A 、19Aの外方側面18a、19aに直交・固定する場合は前記一方、他方の櫛形状荷重支持部材18A 、19Aの上面部18b(19b)の上面と面一状態に前記一方、他方の略釣針状リブプレート18B、(19B)の基端部18g(19g)の上端を溶接等の手段で接合する。この様に構成すると有限要素解析によれば図5に示すように円形線で示す接合領域M部分の輪荷重Pによる応力は約72.1(N/mm)の値を示し、この一方、他方の伸縮装置18、19に掛かる輪荷重Pが拡散分布し比較的低値であった。この値は実施例の場合に比較し、約6割程度に荷重が分布されるという利点がある。つまり、本発明に係る舗装高さ内に設置するための伸縮装置によれば耐久性が高いということが判明した。
【0024】
尚、前記一方、他方の櫛形状荷重支持部材18A、19A及び一方、他方の略釣針状リブプレート18B、19Bは例えば無機ジンクリッチペイント等により防錆塗装処理をし、長年の使用に耐えうるようにする。そして一方、他方の櫛形状荷重支持部材18A、19Aの上面部18b(19b)はグラインダー等の工具により平滑に仕上げる。また、後述する弾性シーリング材28接着用としてのフィンガーシールプライマーは前述した無機ジンクリッチペイントの指定された養生時間が経過した後に塗布する。
【0025】
次に本発明に係る舗装高さ内に設置するための伸縮装置を舗装高さ内に設置する施工手順について説明する。
先ず、施工現場以外の例えば工場等で一方、他方の伸縮装置18、19を製造する。そして現場に於ける施工に際して一方、他方の伸縮装置18、19を搬送する。そこでカッター等の掘削工具によりパラペットを含む一方、他方の床版20、21をはつり作業し既存の伸縮継手等を撤去する。次いで型枠を該床版20、21の遊間Sに挿入かつ設置する。
【0026】
現場では図1に示すように埋込み鉄筋つまりU字状アンカー鉄筋24、24等を配備した一方、他方の床版20、21は構築されておりこの一方、他方の床版20、21間であってその上部に一方、他方の伸縮装置18、19をフィンガー遊間Dを有して設置する。ここでフィンガー遊間Dは10ないし40(mm)程度に設定する。そして一方、他方の舗装22、23の面とのレベル調整を行い第1、第2補強鉄筋25、26を配筋しU字状アンカー鉄筋24、24に溶接する。また、一方、他方の伸縮装置18、19の設置方法としては略釣針状リブプレート18B、19Bの棒状部18f、19f及び基端部18g、19gの鉤足18j(19j)上面にそれぞれ第1補強鉄筋25、第2補強鉄筋26が配置されるように設置する。つまり該第1及び第2補強鉄筋25、26の配置は前記円弧状面18i(19i)側及び前記棒状部18f、19fの上側や路面側に設置する。
【0027】
さらに前記一方・他方の櫛形状荷重支持部材18A、19Aの脚部18c、19c間にバックアップ部材27及び該バックアップ部材27の上面に積層した弾性シーリング材28を介装する。最後に一方・他方の舗装22、23間に後打ちコンクリート、つまり裏込め部材29を打設する。
【0028】
ここで前記弾性シーリング材28はフィンガーシールを使用する。そして、このフィンガーシールを前記遊間S内に又は一方の櫛形状荷重支持部材18Aの脚部18cと他方の櫛形状荷重支持部材19Aの脚部18cとの間に流し込み、その厚さは該脚部18cの下端から10(mm)程度に設定するとシール性能が向上する。そして、前記弾性シーリング材28の下段に配備される前記バックアップ部材27は例えば難燃性のウレタンフォームで形成する。
【実施例】
【0029】
次に、本発明に係る舗装高さ内に設置するための伸縮装置の実施例を図6ないし図8に基づいて説明する。
【0030】
本発明に係る舗装高さ内に設置するための伸縮装置の実施例に於いて前記一方(他方)の略釣針状リブプレート18C、(19C)を図7に示す前記一方、他方の櫛形状荷重支持部材18A 、19Aの外方側面18a、19aに直交・固定する場合は前記一方、他方の櫛形状荷重支持部材18A 、19Aの上面部18b(19b)の上面から肉厚長tを有してその下面18m(19m)から垂下形成した櫛形状荷重支持部材18A 、19Aの脚部18cの外方側面18a(19a)に前記一方、(他方)の略釣針状リブプレート18C、(19C)の基端部18g(19g)の上端18n(19n)を溶接等の手段で図6に示すように接合する。
【0031】
このように構成すると有限要素解析によれば図8に示すように円形線で示す接合領域M部分の輪荷重Pによる応力は約115(N/mm)の値を示し、この一方、他方の伸縮装置18、19に掛かる輪荷重Pが拡散分布するが実施の形態に示すものと比較しやや高い値であった。つまり、本発明に係る舗装高さ内に設置するための伸縮装置の実施例によれば実施の形態に示すものと同様に耐久性が高いということが判明した。
本発明に係る舗装高さ内に設置するための伸縮装置の実施例に於いては、ほかの構成及び機能並びに施工手順等は実施の形態のものと略同一であり、同一符号等を付し、その説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る舗装高さ内に設置するための伸縮装置は、例えば道路橋梁構造物の改修工事に適用し、河川、峡谷、高架道路や各種の道路等多種の土木・建築構造物に利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
18 一方の伸縮装置
18A 一方の櫛形状荷重支持部材
18a 櫛形状荷重支持部材の外方側面
18B 一方の略釣針状リブプレート
18C 一方の略釣針状リブプレート
18b 上面部
18c 脚部
18d 凹面
18e 凸面
18f 棒状部
18g 基端部
18h 段差部
18k 上端
18i 円弧状面
18j 鉤足
18m 下面
18n 上端
19 他方の伸縮装置
19A 他方の櫛形状荷重支持部材
19a 櫛形状荷重支持部材の外方側面
19B 他方の略釣針状リブプレート
19b 上面部
19C 他方の略釣針状リブプレート
19c 脚部
19d 凹面
19e 凸面
19f 棒状部
19g 基端部
19h 段差部
19i 円弧状面
19j 鉤足
19k 上端
19m 下面
19n 上端
20 一方の床版
21 他方の床版
22 一方の舗装
23 他方の舗装
24 U字状アンカー鉄筋
25 第1補強鉄筋
26 第2補強鉄筋
27 バックアップ部材
28 弾性シーリング材
29 裏込め部材(後打ちコンクリート)
30 略矩形状接続プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方・他方の組合せでなる舗装高さ内に設置するための伸縮装置に於いて、一方及び他方の伸縮装置の構成は断面略T字状でその上面部に凹凸面を形成した所定長の櫛形状荷重支持部材と、該櫛形状荷重支持部材の外方側面に直交し・固定しかつ櫛形状荷重支持部材の長さ方向に所定間隔を有して複数個固定された略釣針状リブプレートとでなることを特徴とする舗装高さ内に設置するための伸縮装置。
【請求項2】
一方・他方の組合せでなる舗装高さ内に設置するための伸縮装置に於いて、一方及び他方の伸縮装置の構成は断面略T字状でその上面部に凹凸面を形成した所定長の櫛形状荷重支持部材と、該櫛形状荷重支持部材の外方側面に前記上面部に面一に直交し・固定しかつ櫛形状荷重支持部材の長さ方向に所定間隔を有して複数個固定された略釣針状リブプレートとでなることを特徴とする舗装高さ内に設置するための伸縮装置。
【請求項3】
前記略釣針状リブプレートの棒状部の先端に向かい下方に緩やかに傾斜させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の舗装高さ内に設置するための伸縮装置。










【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate