説明

航海支援装置

【課題】
操船者が着目する各想定時刻における自船、物標の位置関係を最新時点の自船情報等に基づいて算出、表示できるようにする。
【解決手段】
所定の情報取得時刻毎に該時刻における自船等の位置、船速及び船針を含む自船情報を取得し、各想定時刻(位置等の算出時刻)における自船位置等を算出する。その際、表示させたい各想定時刻における自船等の位置の算出は、各算出時刻において、情報取得時刻のうち該算出時刻を基準として最新の情報取得時刻において取得された自船情報に基づいて算出するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の航海において、針路上の物標との位置関係を算定・表示して、安全な航海を支援する航海支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、船舶は自船に搭載のレーダ装置、測位装置、方位検出装置などから得た情報や、他船に搭載の船舶自動識別装置(AIS:Automatic Identification Sysytem)などから得た情報に基づいて、自船及び他船の位置、速度、進行方向をレーダ装置または自動衝突予防装置(ARPA:Automatic Radar Plotting Aids)の表示部に表示している。ARPAでは、自船に対する他船の位置及び進行方向を表示部に表示すると共に、他船との衝突の危険が生じた場合は自動的に警報を発するようになっている。
【0003】
また、自船の航行に対して、海岸線、非航路海域も障害の対象に含める場合は海図情報、非航路海域情報など航海に益する情報も必要となる。操船者は、他船、海岸線、非航路海域など自船の航行に障害となり得る障害対象(以下、障害対象候補と呼ぶ)に対して、避航すべきか否かを確認するための避航要否の確認や、避航のための針路や速度などの選定(以下、避航計画)に対する妥当性を評価し、確認することが必要になる。このため、現時点より将来の時刻における自船に対し障害となりうる他船のその他の物標の位置関係を予測するためのシミュレーション演算(以下、試行演算と呼ぶ)を行い、その結果を表示部に表示している。
【0004】
従来の航海時の一般的な表示方法(以下「通常表示モード」と呼ぶ)を図24に示す。ここでは自船Sを中心にしたヘディング・アップ方式による表示例を示している。通常、操船者はこのような表示画面または情報に基づいて、安全航行のための監視を行う。そして、必要に応じて、上述の避航要否の確認や、避航計画の評価または確認のための試行演算を行っている。
【0005】
ところが、自船に対して遠距離にある障害対象候補、すなわち表示画面中心から離れた映像では、障害対象候補か否かについて画面を見て判定することは困難であり、近距離に至るまでは的確な判定が困難である。また、逼迫した航路では多くの障害対象候補が表示されるから、このような状況下で早期かつ的確に真の障害対象を見つけるには大きな負荷となっている。
【0006】
この負荷を軽減するためにARPAは自動的に衝突警報を発するようになっているが、自船の速度及び進行方向、レーダ装置で検知した障害対象候補の位置、および他船搭載の船舶自動識別装置から得た他船の位置、速度情報には誤差があるから、ARPA警報に加え、さらに別の航海支援システムがあるとよい。
【0007】
操船者は、表示装置に表示された複数の映像(障害対象候補)から自船の航行に障害対象を早期かつ的確に判断し、該障害対象に対して、どの時点で、どのような変針また速度変更を行うかなどの決定をしなければならない。このような操船者の判断、決定を支援できる有効な手段が望まれる。
【0008】
上述に関連する技術として、特許文献1に記載の技術が知られている。この技術は、図31に示される構成と図32に示されるフローによるもので、他船の針路及び速力と自船の針路及び速力とに基づき、自船が他船と衝突する可能性が有る領域を妨害ゾーンとして計算し、自船に対する該妨害ゾーンの距離及び方位や、妨害ゾーンに到達する時間がわかるように表示するものである。妨害ゾーンを発見した場合、回避のための試航シミュレーションとして、自船の変針、速度を入力し、その結果を表示するようにし、図33に示されるように妨害ゾーンを回避した航路を表示させることができる。
【0009】
また、特許文献2に開示の技術は、回避のための避航計画に基づいて自船が航行した場合に、所定の経過時間ごとの自船及び他船の位置を予測するための試行演算を行い、表示することによって、避航計画の妥当性を評価、確認するというものである。
【0010】
特許文献2に記載の表示方法は図28に示されるように、経過時間t(i)=t(0)+Δt(i=1,2・・・)時間ごとに自船および他船の位置が計算され、表示される。ここで、t(0)は避航試行開始の時間、Δtは試行演算位置の演算間隔である。そして、各経過時間t(i)における自船および障害対象の位置の表示を更新する表示更新期間Tdは、通常1から数秒に設定する。以下、図34のように、Δtの経過時間ごとに試行演算位置を表示する方式を連続エポック表示方法と呼ぶことにする。
【0011】
他方、図35に示すような将来時間における自船および障害対象の予測位置を計算し表示する方法が知られている。この方法における表示は、避航を開始してから所定の単一の経過時間のみにおける自船及び障害対象の予測位置を表示するものである。以下、このような表示方法を単一エポック表示方法と呼ぶことにする。
【0012】
なお、所定の経過時間は、通常、船体に関する先験情報として予め記憶された回頭率(変針率:度/秒)や変速率(ノット/秒)などの特性値によって決まる時間に固定される。具体的には、現在針路と避航のために設定した針路の差を回頭率で割ることで回頭完了時間を推定し,また現在船速と避航のために設定した船速の差を変速率で割ることで変速完了時間を推定し、回頭完了時間と変速完了時間の長い方の時間を所定の経過時間として決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−289284
【特許文献2】特開平9−287976
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
まず特許文献1に開示の発明は、避航すべき障害対象の有無の検知や避航計画を策定が容易になるものの、妨害ゾーンの距離及び方位や、妨害ゾーンに到達する時間がわかるだけで途中の自船と他船との位置関係が把握できない。従って、策定された避航計画(針路、速度の設定)がどの程度の安全度で回避できるか否かの妥当性を確認するのに十分でない。
【0015】
また、特許文献2に開示の発明は、自船及び障害対象の位置の動的関係を時々刻々に表示する連続エポック表示方式であるために、自船及び障害対象の相対位置が画面上で視覚的に把握できる点、および経過時間Δtや表示更新期間Tdを任意に設定できる点で優れている。
【0016】
しかしながら、操船者にとって最も慎重に安全を確認すべき時間の前後、すなわち、自船Sと障害対象T1が最接近することが予想される将来の時刻とそのときの距離等情報を得るために、当該時刻の前後における試行演算(シミュレーション)が困難という問題がある。
【0017】
また、任意の将来の時刻を設定して当該前後における自船、物標等の位置を算出して表示させようとすると、試行演算の間にも自船や物標は刻々位置等を変化させるので、将来の時刻における自船等の位置の結果と本来の位置とが乖離してしまうおそれもある。
【0018】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、操船者が避航の必要性を判断するために現状の航行条件に対して、また避航のために設定した避航計画(針路、船速、変更時間などの避航条件)に対して、操船者の関心のある時刻を設定して当該時刻における自船および障害対象の位置を試行演算するものである。この際、自船の位置情報、および自船以外の物標との位置関係を可能な限り、新しい情報に基づいて算出し、表示できる航海支援装置、方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の航海支援装置は、試行情報を算出する複数の算出時刻を設定する算出時刻設定部と、所定の自船情報取得時刻毎に当該時刻における自船の位置を含む自船情報を取得する自船情報取得部と、各算出時刻に対して自船情報取得時刻のうち該当算出時刻を基準として最新の情報取得時刻に取得された自船情報に基づいて各算出時刻における自船の位置を含む自船試行情報を算出する自船試行情報算出部とを備えている。
【0020】
さらに、設定された算出時刻のうち少なくとも一の算出時刻における自船の位置を、画面上の位置に対応させて表示する表示部を備えている。また、各算出時刻に対応させて自船の位置を表示させる表示時刻を設定する表示時刻設定部と、各表示時刻に該表示時刻に対応する各算出時刻における自船の位置を表示部に表示させる表示制御部とを備えている。そして、本発明の航海支援装置は、自船情報取得部が表示時刻毎に該表示時刻の前に自船情報を取得することを特徴としている。
【0021】
上記は自船のみの位置等の算出と表示を行うものであるが、さらに本発明の航海支援装置は、所定の物標情報取得時刻毎に該時刻における自船以外の物標の位置を含む物標情報を取得する物標情報取得部と、各算出時刻に対して物標情報取得時刻のうち該算出時刻を基準として最新の情報取得時刻に取得された物標情報に基づいて各算出時刻における物標の位置を含む物標試行情報を算出する物標試行情報算出部とを備えている。表示制御部は、各表示時刻に該表示時刻に対応する各算出時刻における物標の位置を表示部に表示させる。物標情報取得部は、表示時刻毎に該表示時刻の前に物標情報を取得することを特徴としている。
【0022】
本発明では、自船情報取得部と物標情報取得部が表示時刻毎に該表示時刻の前に自船情報と物標情報をそれぞれ取得するか否かを決定する情報取得制御部を設けるようにしてもよい。自船情報、物標情報にはそれぞれ、自船の船速および船針、物標の移動速度および移動方向を含むようし、これらの情報も試行演算に加えてもよい。
【0023】
これらの情報は、それぞれが最新の情報取得時刻に取得されればよく、必ずしも同時刻に取得する必要はない。また、これらの情報は、自船情報取得部または物標情報取得部により算出に必要な際にオンデマンドで取得ができない場合、すなわち実際に情報が得られる時刻と取得の時刻に差が生じざるを得ない場合には、随時取得された情報をいったん自船情報記憶部(バッファメモリに記憶させ)、ここから最新の情報を必要な際に読み出すようにしてもよい。
【0024】
また、物標情報取得部は、時間により位置が変化しない固定物標についての固定物標位置を記憶する固定物標記憶部を備えてもよい。また、各算出時刻における自船の位置と物標の位置を含む情報によって定まる自船物標関係と、あらかじめ定められた自船と物標との位置関係を含む警戒条件とを対比して、自船物標関係が警戒条件に該当する場合には、信号を出力する警戒判定部を備えるようにしてもよい。自船物標関係は、自船の位置と物標の位置に加え、自船の針路と物標の移動方向を含むし、表示部は上記信号に基づいて自船物標関係が警戒条件に該当する算出時刻における、警戒条件に該当する物標の位置を該算出時刻以外の算出時刻におけると物標に対する表示と識別可能な形態で表示するようにしてもよい。
【0025】
本発明の航海支援装置における算出時刻設定部では、例えば、算出を開始する算出時刻開始時刻、および基準時刻と経過時間によって定まる算出開始時刻からの算出時間間隔によって算出時刻を定めるようにしてもよいし、算出開始時刻を基準時刻と該基準時刻からの経過時間によって算出時刻を定めるようにしてもよい。算出時刻設定部は、外力によって円筒または球状物体の外周部に移動を生じさせる物体移動部と、移動の量に対応させて経過時間と算出時間間隔を設定し、算出時刻を設定する時刻設定部とにより構成されるようにしてもよく、具体的にトラックボールなどを用いることができる。
【0026】
また、本発明は、前記課題を解決するために以下の構成によることもできる。すなわち、本発明は、自船及び他船の外部装置からの情報に基づいて、自船と自船の航行に対して障害が予想される障害対象の少なくとも位置、航行速度、進行方向を生成する情報生成部と、前記自船と前記障害対象の所定の経過時間後の位置関係を試行演算するために必要なデータを入力する入力部と、前記情報生成部および前記入力部の出力に基づいて、前記試行演算を行う試行演算部と、前記情報生成部または前記試行演算部の出力に基づいて表示データを生成する表示制御部と、前記表示制御部からの表示データを表示する表示部とを備え、前記試行演算部においては、現状または避航時の航行条件に対して、試行開始から前記経過時間を入力するたびに、該経過時間における前記位置関係を計算し、前記位置関係を表示部に表示する。
【0027】
このような構成により、自船及び障害対象となりうる物標(海岸や陸地などの固定物標を含む)の将来の位置計算を行う時間を所定の期間ごとに自動的に更新し、その更新ごとの結果を表示するのではなく、操船者が設定した時間に対して前記位置計算行い、その結果を表示するようにする。操船者は関心のある時刻を設定してその前後における自船及び障害対象の位置関係が操船者の要望する期間、判定できるようになる。
【0028】
また本発明は、自船及び障害対象の位置の試行演算と共に、自船と障害対象との少なくとも最接近時間または最接近距離のいずれかを計算し、該計算値を位置関係の表示と共に表示する。これにより、操船者は視覚的に加えて数量的に自船と前記障害対象との位置関係が把握することができる。
【0029】
また本発明は、前記経過時間を入力するたびに、直近に入力した経過時間における前記位置関係の表示と、過去の経過時間における前記位置関係の表示が色相、彩度または明度のいずれかで識別できるように表示することを特徴とする。これにより、操船者は自船と障害対象の時間経過に対する位置関係も合わせて把握できるので、避航要否を確認や避航計画の確認がより的確に行うことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、操船者が最も関心の高い時刻、及びその前後における自船及び障害対象の位置関係について、操船者の要望する期間を設定して判定できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の航海支援装置の第1の実施の形態の構成を示す図である。
【図2】本発明の航海支援装置の第1の実施の形態における位置情報算出のフローを示す図である。
【図3】本発明の航海支援装置の第2の実施の形態の構成を示す図である。
【図4】本発明の航海支援装置の第2の実施の形態における位置情報算出のフローを示す図である。
【図5】本発明の航海支援装置の第2の実施の形態における航海の設定、位置算出の時刻、および表示の関係を示すタイムチャートである。
【図6】本発明の航海支援装置の第2の実施の形態における航海の設定、位置算出の時刻、および表示の関係で取得条件を変えた場合のタイムチャートである。
【図7】本発明の航海支援装置の第3の実施の形態の構成を示す図である。
【図8】本発明の航海支援装置の第3の実施の形態における位置情報算出のフローを示す図である。
【図9】本発明の航海支援装置の第3の実施の形態における航海の設定、位置算出の時刻、および表示の関係を示すタイムチャートである。
【図10】本発明の航海支援装置の第3の実施の形態における航海の設定、位置算出の時刻、および表示の関係で取得条件を変えた場合のタイムチャートである。
【図11】本発明の航海支援装置の第4の実施の形態の構成を示す図である。
【図12】本発明の航海支援装置の第4の実施の形態における自船/物標情報取得部の構成を示す図である。
【図13】本発明の航海支援装置の第4の実施の形態における航海の設定、位置算出の時刻、および表示の関係を示すタイムチャートである。
【図14】本発明の航海支援装置の第5の実施の形態の構成を示す図である。
【図15】本発明の航海支援装置の第5の実施の形態における位置情報算出のフローを示す図である。
【図16】本発明の航海支援装置の第6の実施の形態の構成を示す図である。
【図17】本発明の航海支援装置の第6の実施の形態における位置情報算出のフローを示す図である。
【図18】本発明の航海支援装置の第6の実施の形態における航海の設定、位置算出の時刻、および表示の関係を示すタイムチャートである。
【図19】本発明の航海支援装置の第6の実施の形態における航海の設定、位置算出の時刻、および表示の関係で取得条件を変えた場合のタイムチャートである。
【図20】本発明の航海支援装置による自船と物標(他船)との位置関係を示す第1の表示例である。
【図21】本発明の航海支援装置による自船と物標(他船)との位置関係を示す第2の表示例である。
【図22】本発明の航海支援装置による自船と物標(他船)との位置関係を示す第3の表示例である。
【図23】本発明の航海支援装置による自船と物標(他船)との位置関係を示す第4の表示例である。
【図24】本発明の航海支援装置による自船と物標(他船)との位置関係を示す第5の表示例である。
【図25】本発明の航海支援装置による自船と物標(他船)との位置関係を示す第6の表示例である。
【図26】本発明の航海支援装置の第7の実施例の構成を示す図である。
【図27】本発明の航海支援装置の第7の実施例による表示例を示す図である。
【図28】本発明の航海支援装置の第7の実施例による別の表示例を示す図である。
【図29】従来の航海時の一般的な表示方法(通常表示モード)による表示例を示す図である。
【図30】従来の航海支援装置の構成を示す図である。
【図31】従来の航海支援装置の自船位置を算出するフローを示す図である。
【図32】従来の航海支援装置による自船位置の演算試行結果を示す図である。
【図33】従来の航海支援装置による連続エポック表示による表示例を示す図である。
【図34】従来の航海支援装置による単一エポック表示による表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1の実施の形態)
本発明の航海支援装置、方法、プログラムの実施の形態について、図面を参照して以下に説明する。
【0033】
図1は、本発明の航海支援装置の第1の実施の形態の構成を示す図である。本発明の航海支援装置は、最も基本的な構成として、将来の自船の位置等の情報を算出する時刻を設定する算出時刻設定部12と、設定した各算出時刻における自船の位置等の情報の算出に必要な所定の時刻における自船の情報を取得する自船情報取得部13と、ここで取得された自船情報に基づいて上記各算出時刻における自船の位置等の情報を算出する試行情報算出部15により構成される。図1は、試行条件入力部11を備えた構成であるが、これらについては後述する。
【0034】
図2は、本発明の航海支援装置の第1の実施の形態における位置情報算出のフローを示す図である。まず算出時刻設定部12では、算出時刻を設定する。算出時刻は、航海する上で必要な将来の知りたい時刻における自船の位置等を算出するためのものである。通常は1時点でなく自船の移動や針路の変化の様子を知る必要がある複数時点(図中、tc=tc0,tc1,tc2,・・・)が設定される。
【0035】
ここでいう時刻は、ある月日における絶対的な時刻、すなわち13時45分56秒でもよいし、現時点、あるいはある基準時刻から見て所定の時間を経過した後の相対的な時刻でもよく、算出するタイミングを意味する。
【0036】
試行条件入力部11では、例えばある基準となる時刻T(現在時刻)において、何秒後の自船の位置を表示させたいかが決められ、この時間が入力される。もちろん、現在時刻を基準とした時間で算出時刻を決めてもよいし、絶対的な時刻で入力するようにしてもよい。これが算出開始時刻となる。
【0037】
さらに、算出開始時刻後、何秒間隔でその後の自船の位置を表示させるかの算出時間間隔が入力されると、算出時刻設定部12で算出開始後の算出時刻(tc=tc0,tc1,tc2,・・・)も併せて設定される。なお、算出時間間隔tiを一定にして、例えば60秒の一定間隔というように入力してもよいが、トラックボールなどの外部入力装置を用いて、外周の移動距離と時間間隔を対応させて、適宜に算出時刻開始後の任意の時刻における各算出時刻を決めるようにしてもよい。
【0038】
他方、自船情報取得部13では、所定の自船情報取得時刻毎に自船情報を取得する。自船情報は、設定された各算出時刻における自船の位置等の算出、表示に必要な情報で、具体的には、自船の位置、船速および船針等の情報である。これらに限らず、船速等が変化する場合でそれらの情報がわかっている場合にはこれらの情報も取得することもある。
【0039】
これらの自船情報は、GPS情報や自船による方位情報や船速、船針情報などがあげられる。これらの情報は、あらかじめ定められた時刻、例えば所定の周期や絶対的な時刻において取得され、試行情報算出部15に出力される。あるいは、試行情報算出部15からの要求に応じて取得、出力されるようにしてもよい。
【0040】
試行情報算出部14では、自船情報に基づいて算出時刻設定部12で設定された各算出時刻における自船の位置、あるいは船速、船針などの航海に必要な情報を試行情報として算出する。ここで、あらかじめ設定された各算出時刻における試行情報を一度に算出して表示させるのであれば、試行情報算出部15は、ある時刻において取得されたのと同じ自船情報に基づいて算出すればよい。
【0041】
しかしながら、航海では自船はもちろん、自船以外の物標の動きも算出、表示させながら自船との相対的な位置、方位などの関係を観察する。そして、自船の条件を変えながら試行演算を繰り返すことが多い。また、各算出時刻に対応した自船等の位置を一度に算出するのではなく、所定の時間をおきながら算出する場合もある。例えば、各算出時刻における自船の位置を所定の時間間隔(以下「表示時間間隔」という。)をおきながら表示させたい場合もある。
【0042】
このような場合でも刻々変化する自船や物標の位置等を加味し、将来の時刻における自船等の位置の結果と本来の位置との乖離を少なくする必要がある。本発明によれば、各算出時刻における自船の位置等の情報を算出するに当たってそのとき必要な時刻を基準として、最も新しく取得された自船情報に基づいて上記自船の位置等の情報を試行演算することができるので、上記乖離を低減させることができる。
(第2の実施の形態)
【0043】
次に、本発明の航海支援装置の第2の実施の形態について説明する。
【0044】
図3は、本発明の航海支援装置の第2の実施の形態の構成を示す図であり、図4は試行条件入力から表示までの流れを示すフローチャートである。
【0045】
基本構成は図1に示す第1の実施の形態と同じであるが、自船の位置等の必要情報を表示する表示部26と、表示部26に表示させる表示時刻を設定する表示時刻設定部25とを備えている。表示時刻(tm=tm0,tm1,tm2,tm3,・・・)は、自船が航海(航行)を続けた場合の将来の位置等を試行演算により算出し、その算出結果を表示する時刻を意味する。
【0046】
図5を参照して、算出時刻tcと表示時刻tmと自船情報を取得すべき時刻(以下「自船情報取得時刻」という。)tdとの関係について説明する。第1の実施の形態と同様に、試行条件入力部21で所定の情報が入力され、算出時刻設定部22に知りたい将来の自船の位置等の算出時刻tc=tc1・・・が設定される。自船の位置を表示する表示時刻tmi(i=0,1,2・・・)は、各算出時刻tciにそれぞれ対応している。
【0047】
ここで、本発明の航海支援装置では、基準時刻T=0で自船情報、すなわち算出時刻tcにおける自船の位置を算出するのに必要な自船の位置や船速、船針情報を取得する。しかしながら、自船情報をいずれの表示時刻tmにおける自船の位置の算出に用いるのではない。例えば、表示時刻tm10がすでに基準時刻td=0から所定の時間を経過し、その時点での自船の位置等がすでに大きくずれてしまっていることも考えられる。そこで、本発明では表示時刻tm10に対応する算出時刻tc10における自船の位置を算出するのに必要な情報を改めてこの表示時刻tm10の直前に取得し直すのである。この時点、すなわち自船情報取得時刻td=tm10(実際には算出に所定の時間を要するのでtdはtm10より少し前になる。)で取得された自船情報に基づいて算出時刻tc10の自船の位置が算出され、表示されることになる。
【0048】
次に、自船情報取得時刻tdの設定を変えた実施の形態について図6を参照して説明する。図6の場合も航海支援装置の基本構成は、図3に示される本発明の第2の実施の形態と同じである。図5では、ある時間を経過したtm10の時刻で改めて自船情報を取得しているのに対して、図6に示す実施の形態では各表示時刻tm1,tm2・・・に対応させて刻々自船情報を取得している点で異なる。図6に示すような自船情報取得時刻tdを設定する方が各表示時刻における自船の位置の精度をより向上させることができる。
【0049】
なお、ここでは算出、表示する対象として位置のみを取り上げて説明したが、自船の船速や船針を算出し、位置情報と併せてベクトル表示するようにしてもよい。特に、後述する第6の実施の形態のように、自船の目標速度や目標方位を変更して試行演算し、その結果を表示させる場合には有益である。
(第3の実施の形態)
【0050】
次に、本発明の航海支援装置の第3の実施の形態について、図7〜図10を参照して説明する。図7は、本発明の航海支援装置の第3の実施の形態の構成を示す図、図8は、本発明の航海支援装置の第3の実施の形態における位置情報算出のフローを示す図である。
【0051】
図7からわかるように、第3の実施の形態においても、試行条件入力部31、算出時刻設定部32、自船情報取得部33、試行情報算出部34、表示時刻設定部35、表示部36は第2の実施の形態と同様である。第2実施の形態では、自船情報取得部33に加え、自船以外の物標の情報を取得する物標情報取得部37を備えている点で第2の実施の形態と異なる。物標情報取得部37は、自船以外の物標、例えば他船や港湾などの陸地の情報を取得する。図8に示されるように、フローも物標情報を取得する工程が追加されるだけで、第2の実施の形態とほぼ同様である。
【0052】
物標に関し取得する情報は、位置のほか、他船など移動物標の場合にはその移動速度や移動方向なども取得する。取得の具体的な部は、例えば、自船のレーダによる探知、AIS情報などがある。また、固定物標であればあらかじめ海図チャートなどをメモリに記憶するだけでよい。
【0053】
図9および図10はそれぞれ、本発明の航海支援装置の第3の実施の形態における航海の設定、位置算出の時刻、および表示の関係を示すタイムチャートである。図9、図10は、第2の実施の形態におけるタイムチャートを示す図5、図6にそれぞれ対応している。本実施の形態では、自船情報に加えて、物標情報取得部37により物標情報が取得される点である。
【0054】
図9では基準時刻td=0で自船情報が取得された後、td=tm10で再び取得され自船情報が更新されている。同様に、td=0で物標情報が取得されているが、td=tm12で再び取得され更新されている。
【0055】
この実施の形態では、td=0からtm9の各表示時刻における対応する算出時刻tc0からtc9までのそれぞれに対しては、自船、物標ともにtd=0で取得された自船および物標情報を用いて自船および物標それぞれの位置が算出される。表示時刻tc10およびtc11に対しては、自船はtm10で更新された自船情報が、物標についてはtm0のそれが用いられる。tm12以降については、自船、物標ともにtm12で更新された自船情報、物標情報が用いられる。なお、ここでは、自船情報取得時刻と物標情報取得時刻が互いに相違する場合を例に挙げたが、同じ時刻であったもかまわない。
【0056】
図10に示すタイムチャートは、図6で示した第2の実施の形態と同様、各表示時刻tmiに対応してその都度自船情報、物標情報を取得するものである。随時更新された物標情報が得られるのであれば、この方が各算出時刻における位置等の精度を向上させることができる。
(第4の実施の形態)
【0057】
図11は、本発明の航海支援装置の第4の実施の形態の構成を示す図、図12は自船情報取得部43、物標情報取得部47の構成をより具体的に示した図である。自船情報取得部43、物標情報取得部47の構成を除いては、第4の実施の形態の構成は第3の実施の形態の構成と同様である。
【0058】
第4の実施の形態では、自船情報取得部43、物標情報取得部47はそれぞれ自船情報入力部431と自船情報記憶部432、物標情報入力部471と物標情報記憶部472を備えている。自船情報入力部471は自船の情報を、物標情報取得部471は物標情報を適宜のタイミングでそれぞれ取得する。
【0059】
自船情報を取得する具体的な部としては、GPS(Global Positioning system)、自船による設定船速、船針情報などがある。また、物標情報については、他船については、自船のレーダによる探知情報、他船からのAIS等による情報がある。陸地などの固定物標の場合には、海図チャートなどがある。これらの情報は、それぞれが必ずしも同じタイミングで取得される必要はなく、それぞれに都合のよりタイミングで取得される。取得された自船情報、物標情報はそれぞれいったん自船情報記憶部432、物標情報記憶部472に記憶される。
【0060】
自船情報記憶部432、物標情報記憶部472にそれぞれ記憶された自船情報、物標情報は、図12、図13に示されるように、試行情報算出部44からの要求に従ってオンデマンドで最新の情報が出力される。このようなバッファメモリを用いた構成を採用することにより、複数の情報源がある場合でも、それぞれに都合のよいタイミングで必要な情報を取得し、それぞれの最新の情報に基づいて試行情報を算出することができるようになる。
(第5の実施の形態)
【0061】
次に、本発明の航海支援装置の第5の実施の形態について、その攻勢を示す図14およびフローを示す図15を参照して説明する。
【0062】
第5の実施の形態は、図7に示す第3の実施の形態と対比して、基準情報更新部58を備えている点で相違する。第3の実施の形態は、設定された表示時刻に拘わらず予め定められた条件に従って自船情報等を取得する。これに対して、第5の実施の形態では、設定される表示時刻tmの条件により、新たに自船情報等を取得すべきかを判断の上、必要な場合には取得する。例えば、トラックボールなどを用いて適宜算出時刻を設定しながら表示させる場合に、近接した表示時刻の場合には新たに取得しても自船の位置や船速にあまり変化がない場合がある。このような場合には、無用な情報を取得しないようにすることができる。
(第6の実施の形態)
【0063】
続いて、図16および図17を参照して、本発明の航海支援装置の第6の実施の形態について説明する。図16は、本発明の航海支援装置の第6の実施の形態の構成を示す図、図17は第6の実施の形態における位置情報算出のフローを示す図である。
【0064】
図14に示す第5の実施の形態と対比して、第6の実施の形態は、さらに自船航行設定部69を備えている点で相違する。図16において、自船航行設定部69では、任意の時刻に自船に関する目標速度、目標方位などの航海に必要な情報を入力することができる。また、この目標速度、目標方位に向けて自船の速度、船針を現時点からどれだけ遅延させて開始するかなどの情報も入力することができる。
【0065】
一方、目標速度、目標方位を設定した場合に、それだけの加減速度、および針路の変更率で変化させるかについても設定する必要がある。これは通常は船舶ごとに固有の値を保持しており、通常あらかじめ登録されている。
【0066】
図17に示すフローは、目標速度、目標方位などの航海情報が変更された場合には、試行情報算出部64がこれらも加味して所定の算出時刻tcにおける自船の位置等を算出することを示している。
【0067】
図18および図19はいずれも、本発明の航海支援装置の第6の実施の形態における航海の設定、位置算出の時刻、および表示の関係を示すタイムチャートである。図18、図19は、本発明の航海支援装置の第3の実施の形態におけるタイムチャートを示す図9、図10とそれぞれ共通している。
【0068】
第3の実施の形態では、算出時刻およびその結果の表示時刻については適宜に試行条件入力部31で変更させながら試行演算する。しかしながら、自船の目標速度、目標方位などの航海情報については、試行演算中に結果的に変化する場合は除いて、自らの設定を変更させて試行演算することは予定していない。これに対して、第6の実施の形態では、算出時刻および表示時刻に加え、自船航行設定部69により自船の航海情報の設定を変更しながら試行演算することができる。この場合でも、自船および物標の位置等の情報を常に更新しながら位置等の必要情報を算出するので、試行演算に時間を要する場合でもその精度を向上させることができる。
【0069】
なお、第6の実施の形態では、説明をわかりやすくするために、第3の実施の形態と対比させて説明したが、自船航行設定部69は他の実施の形態、例えば第4や第5の実施の形態に付加してもよい。
【0070】
次に、本発明の航海支援装置による自船と物標(他船)の試行演算の結果について、図20〜図26に示す本発明の航海支援装置による表示例を参照して説明する。ここでは、図11に示した本発明の航海支援装置の第4の実施の形態による結果について説明する。なお、図20〜図26の各図の中央に表示されているのは島であり、あらかじめ海図チャートにより航海支援装置に位置が記憶されている。
【0071】
図20は、本発明の航海支援装置による自船と物標(他船)との位置関係を示す第1の表示例である。図20において、基準時刻(現在時刻)T=0において、自船は図中の左下に、他船は図中の右上にある。そして、自船は右上に向かって、他船は左下に向かって航行しているものとする。
【0072】
図11において、試行条件入力部41により基準時刻から10分後、60秒間隔で8分間に亘って自船と他船の双方の位置を試行演算し、その結果を現在時刻から5秒間隔で表示させるように条件設定したものとする。
【0073】
最初に、算出時刻tc1=600sec(基準時刻T=tc0=0とし、この時点からの経過時間で表示することにする。)のにおける自船、他船双方の位置を算出し、すぐさま結果を表示させるために、基準時刻、すなわち現時点での自船の位置、船速、船針の自船情報を自船情報取得部43によって取得する(図中、◆で示される表示に対応した時刻)。ここでは、自船の位置はGPSによって、船速、船針はそれぞれ自船で設定されている情報によって取得する。また、他船の位置、移動速度、移動方向はレーダとAISにより取得する。
【0074】
最初の表示後、5秒間隔で次の60秒毎に自船、他船の位置が試行演算され表示される。ここでは、次の10秒後の表示、すなわち、最初の情報取得から10秒後に改めて必要な自船、他船の情報がそれぞれ取得される(図中の左下から2番目に示される◆)。新たに取得された情報に基づいて10秒後、およびその次の15秒後の表示に自船、他船の位置が算出される。以下同様に、自船情報、他船情報の取得の時刻とそれに基づいた試行演算が繰り返される。
【0075】
当該時刻における試行演算に必要な自船情報等が取得されないで算出された位置は、図では●で示されている。本表示例は、自船情報の取得時刻(10秒周期)と他船情報の取得時刻(25秒周期)が異なっている場合を示している。
【0076】
図20に示されるように、自船および他船の現在時刻を起点として600秒後から60秒間隔で1080秒後までの位置関係の結果が5秒間隔で順次表示部16に表示される。この試行演算の結果から、現在時刻から概ね840秒後に右上から航行して来る他船と再接近距離(CPA)の位置関係になることがわかる。
【0077】
図21は、本発明の航海支援装置による自船と物標(他船)との位置関係を示す第2の表示例である。
【0078】
図21は、図20で得られた結果をもとに、さらに再接近時間(TCPA)近傍に着目して試行演算した場合の結果の表示例を示している。ここでは、現在時刻から690秒後を試行演算の開始時刻とし、30秒間隔で試行演算を繰り返している。810秒後にTCPAを迎えることがわかる。
【0079】
図22は、本発明の航海支援装置による自船と物標(他船)との位置関係を示す第3の表示例である。
【0080】
図22は、図21に示される試行演算の結果に基づいて、自船の目標方位を変更して試行演算した結果を示している。ここでも、試行演算を再度行うに当たって、改めて自船情報等の取得を行っている。図中◇で示されるのは、図21で示す試行演算の際に用いた自船情報に基づいて、条件だけを変えて試行演算した場合の結果を示している。
【0081】
実際には、改めて試行演算する際にすでに実際の自船の方位も変化しているとすると、図に示すように、改めて試行演算した結果との間に齟齬を生じることになる。本発明の航海支援装置によれば、試行演算中も最新の位置情報を得ながら自船および物標の位置等を算出しているので、より精度の高い試行演算が可能になる。
【0082】
図23〜図25は、本発明の航海支援装置による自船と物標(他船)との位置関係を示す第4〜第6の表示例である。図23〜図25に示す表示例は、図11に示す本発明の3の実施の形態による構成を基本とし、図16に示す自船航行設定部69を備えた構成による試行演算の結果を示している。
【0083】
図20〜図22に示した表示例では、算出時刻の設定は、あらかじめ案出の開始時刻と時間間隔を定めこれを入力することにより行っている。これに対して、第4〜第6の表示例では、トラックボールを用いてこれを外力によって回転させ外周の移動距離に対応させて算出時刻や時間間隔を設定し試行演算している。このように、トラックボールを用いて任意の算出時刻を設定しながら、さらに自船航行設定部で自船の目標船速や目標方位を設定しながら試行演算を行った結果を図20〜図22は示している。
【0084】
図23、図24はそれぞれ、図20、図21に示した試行演算と同じ算出時刻等の条件で行った結果を示している。図24に示す試行演算は、図23に示す試行演算の結果をもとに、CPA近傍を詳細に調べるために、算出時刻の時間間隔を半分にして試行演算した結果を示している。
【0085】
図24では、5秒間隔毎の表示において2回分の表示毎に自船情報を、3回の表示毎に他船情報をそれぞれ取得して試行演算を行っている。これに対して、図25に示す表示例では、表示に必要な試行演算毎に自船、物標双方の情報を取得している。トラックボールにより随時次の表示を決めて自船等の位置を算出する場合にでも、最新の自船、他船情報に基づくので、より精度の高い試行演算ができるようになる。
(第7の実施の形態)
【0086】
さらに、以下に本発明の航海支援装置の第7の実施の形態について、図26を参照して説明する。
【0087】
図26において、70は航海支援装置であり、情報生成部61、入力部72、試行演算部73、表示制御部74、表示部75で構成される。
【0088】
情報生成部71は自船と障害対象候補となる物標等の位置、速度、進行方向を生成する。ここで、自船と障害対象候補の位置は、それぞれ絶対位置で生成し管理するか、障害対象候補の位置を自船に対する相対的な位置として生成し、管理することもできる。絶対位置で管理する場合、自船位置及び速度は例えばGPS測位装置からのGPS情報83を用いて、また他船の位置は、他船から受信したAIS情報82に基づいて生成することができる。
【0089】
また、自船に対する相対位置で管理する場合、レーダ情報51に基づいて障害対象候補の位置を生成できる。この場合、自船の速度ベクトルは例えばGPS情報83とコンパス装置からの方位情報84を用いて生成する。そして、障害対象候補のなかで他船の速度ベクトルはAIS情報82から得ることがきる。また、他船の速度ベクトルは自船の速度ベクトルとレーダ情報81から得られた障害対象候補の時間変化に基づいて生成してもよい。
【0090】
海岸線や非航路海域などの動かない障害対象候補の位置は海図情報に基づいて生成できる。ここで、レーダ情報81はARPAからの得た情報とするか、レーダ情報81と併用してもよい。ARPAからの情報を使用する場合は、衝突警報などの情報が含まれるときは、これらの情報を情報生成部81経由で表示制御部64に送出するようにしてもよい。
【0091】
入力部72は、情報生成部71からの情報に基づいて任意の将来時間における自船と他船の位置関係を予測するための試行演算を行うことを要求する試行演算要求信号、試行演算時からの経過時間、避航計画のための避航条件などの情報を入力設定するところである。ここで、試行演算時からの経過時間の入力は例えば、トラックボールなどの入力装置を用いることによって、自船の障害対象との回避状態(最接近距離及びその時間)を容易かつ早期に観察できるようになる。
【0092】
また、入力部72において、情報生成部71からの障害対象候補の中から、試行演算を行う障害対象を限定するための障害対象を選択的に抽出するための障害対象選定情報を入力するようにしてもよい。また、この障害対象選定情報は表示部75の表示画面で入力するようにしてもよい。
【0093】
試行演算部73は、入力部72からの試行演算要求信号を受信すると、情報生成部71からの情報に基づいて、現在時刻からの任意の経過時間における自船と障害対象との位置関係の試行演算を行う。また、試行演算部73は自船と障害対象候補との位置関係の他に、最接近距離や最接近時間も合わせて計算し、表示するようにしてもよい。なお、試行演算部73における試行演算は、操船者による試行演算要求信号を受けて開始してもよいが、例えばARPAなどの外部情報に基づいて発せられた信号を受けて開始するようにしてもよい。
【0094】
表示制御部74は、試行演算結果を表示する試行演算表示モード場合、試行演算部73において演算された自船と障害対象との位置関係を表示するための表示データ及びその制御信号を生成する。そして、通常表示モードの場合は情報生成部71で生成された情報を表示するための表示データ及びその制御信号を生成する。
【0095】
表示部75は試行演算表示モードまたは通常表示モードに応じて制御部74で生成された表示データを表示する。試行演算表示モードにおいて、経過時間を入力するたびに、直近に入力した経過時間における自船と障害対象との位置の表示と、過去の経過時間における位置の表示が色相、彩度または明度のいずれかで識別できるように表示するようにしてもよい。但し、この場合には、試行演算部73または表示制御部74において、入力ごとの経過時間に対する試行演算結果を記憶するようにし、表示制御部74は各経過時間の試行演算結果が識別できるように制御機能を付加する必要がある。
【0096】
すなわち、自船Sと障害対象T1を詳細に観察できるようにするためには、Δtを小さく設定する必要がある。一方で、Δtを小さくすると操船者にとって最も関心の高い時間が試行開始よりかなり先のt(i)である場合、試行演算が開始してからその時間経過まで待たないと、避航計画の妥当性が評価できない。この待ち時間は(t(i)/Δt×表示更新期間Td)で決まる。輻輳海域においてその時間の到来まで、表示画面を凝視することは困難である。この待ち時間を小さくするためには表示更新期間Tdを小さくしなければならない。こうすると、操船者にとって最も興味ある時間は減少できるものの、その経過時間t(i)における試行位置は僅かな表示時間しか表示されないためにゆっくり観察できない。
【0097】
なお、この欠点を回避するために避航の試行演算の途中で経過時間Δtや表示更新期間Tdを変更することが考えられる。しかし、この変更は変更前後での表示が不連続となり反って評価しづらくなることから好ましくない。
【0098】
ところで、単一エポック表示方法では、船体に関する先験情報として予め記憶された回頭率(度/秒)や変速率(ノット/秒)などのデータによって決まる時間後の試行位置しか計算されず、その前後における自船と障害対象の相対位置関係が表示できないために、操船者にとって最も興味ある時間(または場所)において、どの程度安全に回避できるかについて正確に評価、確認することができない。
【0099】
また、従来のARPAは自船の航行に対して障害を自動的に検出し、検出時に警報を発令又は表示するから、操船者はこの警報の発令を受けてから回避処置を行うことになる。このため、障害となるか否かの操船者の判断ができないのみならず、回避を要する障害対象の検知はARPAの障害の検出性能に大きく依存することになる。
【0100】
次に、試行演算結果の表示例を図28及び図29を参照して説明する。図27は、t0エポックで、自船Sが進行φs、速度Vsで航行し、他船T1が進行φ1、速度V1で航行しているときの避航要否を確認するための試行演算結果の表示例である。避航要否の確認のための試行演算の際、通常、操船者は最も興味ある経過時間入力値を知っていない。今、操船者は経過時間t1を入力したとする。経過時間t1における自船Sと他船T1の位置(関係)からは衝突するか、またはどの程度の距離で回避できるかは判定できない。
【0101】
このような場合、本発明では経過時間の入力値t1に引き続き、t2、t3と入力することによって、試行演算部73はt2、t3に対応した自船Sと他船T1の位置の試行演算を行い、その演算結果を表示する。この結果、自船Sが他船T1と衝突するか、またはどの程度の距離で回避できるかを視覚的に容易に判定することができるようになる。
【0102】
図28の場合では、t0エポックより、t2時間経過後に最接近することが視認できる。また、図28には示していないが、自船Sと他船T1の最接近距離およびその時間も試行演算部13で求めるようにして、それらを表示部65に表示するようにしてもよい。なお、経過時間の入力値は連続的に、または所定の時間幅で離散的に設定するようにしてもよい。
【0103】
避航要否の確認のための試行演算の結果、回避のために避航計画のための試行演算を行う必要がある場合は、自船針路、自船速度および試行開始時間などの少なくともいずれかを入力し、その変更設定した変数に対して、各経過時間における他船T1および自船Sを演算し、その結果を表示部75に表示する。
【0104】
図27は、t0エポックからの経過時間t1を試行開始時間とし、該試行開始時間に自船針路をφs1からφsに変更させた場合における避航計画のための試行演算結果の表示例である。この場合、経過時間はt0エポックからの経過時間、または試行開始時間からの経過時間のいずれかとして設定することができる。
【0105】
避航計画のための試行演算の場合も、避航要否の確認ための試行演算の場合と同じように、任意値に設定可能な経過時間に対して他船T1および自船Sの位置を演算し、それらの位置を表示できるようにする。この結果、避航計画の設定およびその妥当性の確認が容易となる。
【0106】
図28では、ある試行開始時間の設定値t1に対して、t2、t3の経過時間の試行演算結果を示している。少なくとも自船針路、自船速度、試行開始時間のいずれかを連続的にまたは離散的に設定した値に対して他船T1および自船Sの位置を演算し、それらの位置を表示することができる。
【0107】
図27、図28では、試行演算開始後の自船および障害対象の位置は経過時間ごとに偏移するように表示している。これに対して、図30に示すように、常に表示中心を自船位置とし、自船に対する経過時間ごとの障害対象の位置を表示するようにしてもよい。
【0108】
本発明によれば、例えば、ARPAのような外部装置からの避航警告(他船妨害ゾーンを含む)情報に頼らずに、操船者自身の判断によって、避航要否を確認または避航計画の確認ための試行演算が実施できる。
【0109】
また、本発明によれば、例えば、トラックボールなどの入力装置を用いて操船者の興味ある時間を入力することによって、任意の経過時間及びその前後の時間における自船および障害対象の位置関係が簡単かつ早く、その結果を表示できる。
【0110】
また、本発明によれば、操船者は表示画像から、障害対象を選択的に抽出し、該抽出障害対象に対して避航要否の確認ための試行演算を行い、表示することによって、避航要否の判定がしやすくなる。
【0111】
また、本発明によれば、自船の針路、船速、変更時間などの種々の組み合わせによる避航計画に対しても、操船者が最も興味ある経過時間、及びその前後における自船及び障害対象の位置を計算し、その結果を表示できるから、早く且つ最適な避航計画を決定することができる。
【符号の説明】
【0112】
11,21,31,41,51,61 試行条件入力部
12,22,32,42,52,62 算出時刻設定部
13,23,33,43,53,63 自船情報取得部
14,24,34,44,54,64 物標情報取得部
15,25,35,45,55,65 試行情報算出部
26,36,46,56,66 表示部
37,47,57,67 物標情報取得部
471 物標情報入力部
472 物標情報記憶部
58,68 情報取得制御部
69 自船航行設定部
71 レーダ情報
72 AIS情報
73 GPS情報
74 方位情報
75 海図情報
80 航海安全支援表示装置
81 情報生成部
82 入力部
83 試行演算部
84 表示制御部
85 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試行情報を算出する複数の算出時刻を設定する算出時刻設定手段と、
所定の自船情報取得時刻毎に該時刻における自船の位置を含む自船情報を取得する自船情報取得手段と、
前記各算出時刻に対して前記自船情報取得時刻のうち該算出時刻を基準として最新の情報取得時刻に取得された前記自船情報に基づいて前記各算出時刻における前記自船の位置を含む前記自船試行情報を算出する前記自船試行情報算出手段と
を備えていることを特徴とする航海支援装置。
【請求項2】
請求項1記載の航海支援装置であって、さらに、
前記算出時刻のうち少なくとも一の算出時刻における前記自船の位置を、画面上の位置に対応させて表示する表示部
を備えていることを特徴とする航海支援装置。
【請求項3】
請求項2記載の航海支援装置であって、さらに、
前記各算出時刻に対応させて前記自船の位置を表示させる表示時刻を設定する表示時刻設定手段と、
前記各表示時刻に該表示時刻に対応する前記各算出時刻における前記自船の位置を前記表示部に表示させる表示制御手段と
を備えていることを特徴とする航海支援装置。
【請求項4】
請求項3記載の航海支援装置であって、
前記自船情報取得手段は、前記表示時刻毎に該表示時刻の前に前記自船情報を取得する
ことを特徴とする航海支援装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかの請求項に記載の航海支援装置であって、さらに、
所定の物標情報取得時刻毎に該時刻における自船以外の物標の位置を含む物標情報を取得する物標情報取得手段と、
前記各算出時刻に対して前記物標情報取得時刻のうち該算出時刻を基準として最新の情報取得時刻に取得された前記物標情報に基づいて前記各算出時刻における前記物標の位置を含む前記物標試行情報を算出する物標試行情報算出手段と
を備え
前記表示制御手段は、前記各表示時刻に該表示時刻に対応する前記各算出時刻における前記物標の位置を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする航海支援装置。
【請求項6】
請求項5記載の航海支援装置であって、
前記物標情報取得手段は、前記表示時刻毎に該表示時刻の前に前記物標情報を取得する
ことを特徴とする航海支援装置。
【請求項7】
請求項6記載の航海支援装置であって、さらに、
前記自船情報取得手段と前記物標情報取得手段が前記表示時刻毎に該表示時刻の前に前記自船情報と前記物標情報をそれぞれ取得するか否かを決定する情報取得制御手段
を備えていることを特徴とする航海支援装置。
【請求項8】
前記自船情報は、前記自船の船速若しくは前記自船の船針、または前記自船の船速と前記自船の船針の双方を含む
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかの請求項に記載の航海支援装置。
【請求項9】
前記物標情報は、前記物標の移動速度若しくは前記物標の移動方向、または前記物標の移動速度若しくは前記物標の移動方向の双方を含むことを特徴とする請求項8記載の航海支援装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかの請求項に記載の航海支援装置であって、
前記物標情報取得手段は、
時間により位置が変化しない固定物標についての固定物標位置を記憶する固定物標記憶手段
を備えていることを特徴とする航海支援装置。
【請求項11】
前記自船情報取得手段は、
前記自船情報が入力される自船情報入力部と、
前記自船情報を記憶し、前記自船試行情報算出手段からの要求に従って前記自船情報を出力する自船情報記憶部と
を備えていることを特徴とする請求項8から請求項10までのいずれかの請求項に記載の航海支援装置。
【請求項12】
前記物標情報取得手段は、
前記物標情報が入力される物標情報入力部と、
前記物標情報を記憶し、前記物標試行情報算出手段からの要求に従って前記物標情報を出力する物標情報記憶部と
を備えていることを特徴とする請求項11記載の航海支援装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかの請求項に記載の航海支援装置であって、さらに、
前記各算出時刻における前記自船の位置と前記物標の位置を含む情報によって定まる自船物標関係と、あらかじめ定められた前記自船と前記物標との位置関係を含む警戒条件とを対比して、前記自船物標関係が前記警戒条件に該当する場合には、信号を出力する警戒判定手段
を備えていることを特徴とする航海支援装置。
【請求項14】
前記自船物標関係は、前記自船の位置と前記物標の位置に加え、前記自船の針路と前記物標の移動方向を含む
ことを特徴とする請求項11記載の航海支援装置。
【請求項15】
前記表示部は、前記信号に基づいて前記自船物標関係が前記警戒条件に該当する前記算出時刻における、前記警戒条件に該当する前記物標の位置を該算出時刻以外の前記算出時刻におけると前記物標に対する表示と識別可能な形態で表示する
ことを特徴とする請求項14記載の航海支援装置。
【請求項16】
前記算出時刻設定手段は、
算出を開始する算出時刻開始時刻、および
前記基準時刻と経過時間によって定まる算出開始時刻からの算出時間間隔
によって前記算出時刻を定める
ことを特徴とする請求項1から請求項15のいずれかの請求項に記載の航海支援装置。
【請求項17】
前記算出時刻設定手段は、前記算出開始時刻を基準時刻と該基準時刻からの経過時間によって前記算出時刻を定めることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれかの請求項に記載の航海支援装置。
【請求項18】
前記算出時刻設定手段は、外力によって円筒または球状物体の外周部に移動を生じさせる物体移動手段と、
前記移動の量に対応させて前記経過時間と前記算出時間間隔を設定し、前記算出時刻を設定する時刻設定手段と
を含むことを特徴とする請求項1から請求項17のいずれかの請求項に記載の航海支援装置。
【請求項19】
試行情報を算出する複数の算出時刻を設定する算出時刻設定工程と、
所定の自船情報取得時刻毎に該時刻における自船の位置を含む自船情報を取得する自船情報取得工程と、
前記各算出時刻に対して前記自船情報取得時刻のうち該算出時刻を基準として最新の情報取得時刻に取得された前記自船情報に基づいて前記各算出時刻における前記自船の位置を含む前記自船試行情報を算出する前記自船試行情報算出工程と
を含んでいることを特徴とする航海支援方法。
【請求項20】
請求項19記載の航海支援方法であって、さらに、
前記算出時刻のうち少なくとも一の算出時刻における前記自船の位置を、画面上の位置に対応させて表示部に表示させる表示工程と
を含んでいることを特徴とする航海支援方法。
【請求項21】
請求項20記載の航海支援方法であって、さらに、
前記各算出時刻に対応させて前記自船の位置を表示させる表示時刻を設定する表示時刻設定工程と、
前記各表示時刻に該表示時刻に対応する前記各算出時刻における前記自船の位置を前記表示部に表示させる表示制御工程と
を含んでいることを特徴とする航海支援方法。
【請求項22】
請求項19記載の航海支援方法であって、
前記自船情報取得工程は、前記表示時刻毎に該表示時刻の前に前記自船情報を取得する
ことを特徴とする航海支援方法。
【請求項23】
請求項19から請求項22のいずれかの請求項に記載の航海支援方法であって、さらに、
所定の物標情報取得時刻毎に該時刻における自船以外の物標の位置を含む物標情報を取得する物標情報取得工程と、
前記各算出時刻に対して前記物標情報取得時刻のうち該算出時刻を基準として最新の情報取得時刻に取得された前記物標情報に基づいて前記各算出時刻における前記物標の位置を含む前記物標試行情報を算出する前記物標試行情報算出工程と
を含み
前記表示制御工程は、前記各表示時刻に該表示時刻に対応する前記各算出時刻における前記物標の位置を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする航海支援方法。
【請求項24】
請求項23記載の航海支援方法であって、
前記物標情報取得工程は、前記表示時刻毎に該表示時刻の前に前記物標情報を取得する
ことを特徴とする航海支援方法。
【請求項25】
請求項19から請求項24のいずれかの請求項に記載の航海支援方法であって、
前記物標情報取得工程は、
時間により位置が変化しない固定物標についての固定物標位置を記憶する固定物標記憶工程
を含んでいることを特徴とする航海支援方法。
【請求項26】
請求項19から請求項25のいずれかの請求項に記載の航海支援方法であって、さらに、
前記各算出時刻における前記自船の位置と前記物標の位置を含む情報によって定まる自船物標関係と、あらかじめ定められた前記自船と前記物標との位置関係を含む警戒条件とを対比して、前記自船物標関係が前記警戒条件に該当する場合には、信号を出力する警戒判定工程
を含んでいることを特徴とする航海支援方法。
【請求項27】
前記自船物標関係は、前記自船の位置と前記物標の位置に加え、前記自船の針路と前記物標の移動方向を含む
ことを特徴とする請求項26記載の航海支援方法。
【請求項28】
前記表示部は、前記信号に基づいて前記自船物標関係が前記警戒条件に該当する前記算出時刻における、前記警戒条件に該当する前記物標の位置を該算出時刻以外の前記算出時刻におけると前記物標に対する表示と識別可能な形態で表示する
ことを特徴とする請求項29記載の航海支援方法。
【請求項29】
前記自船情報は、前記自船の船速若しくは前記自船の船針、または前記自船の船速と前記自船の船針の双方を含む
ことを特徴とする請求項19から請求項28のいずれかの請求項に記載の航海支援方法。
【請求項30】
前記物標情報は、前記物標の移動速度若しくは前記物標の移動方向、または前記物標の移動速度若しくは前記物標の移動方向の双方を含むことを特徴とする請求項27記載の航海支援装置。
【請求項31】
試行情報を算出する複数の算出時刻が入力され、
所定の自船情報取得時刻毎に該時刻における自船の位置、船速および船針を含む自船情報が入力され、
前記自船情報取得時刻のうち該算出時刻を基準として最新の情報取得時刻に取得された前記自船情報に基づいて、前記各算出時刻における前記自船の位置を含む前記自船試行情報を算出する
ことを特徴とする航海支援プログラム。
【請求項32】
請求項31記載の航海支援プログラムであって、さらに、
所定の物標情報取得時刻毎に該時刻における自船以外の物標の位置、移動速度および移動方向を含む物標情報が入力され、
前記各算出時刻に対して前記物標情報取得時刻のうち該算出時刻を基準として最新の情報取得時刻に取得された前記物標情報に基づいて前記各算出時刻における前記物標の位置を含む前記物標試行情報を算出し、
前記各表示時刻に該表示時刻に対応する前記各算出時刻における前記物標の位置を表示部に表示させる表示データを出力する
ことを特徴とする航海支援プログラム。
【請求項33】
自船及び他船の外部装置からの情報に基づいて、自船と自船の航行に対して障害が予想される障害対象の少なくとも位置、航行速度、進行方向を生成する情報生成部と、
前記自船と前記障害対象の所定の経過時間後の位置関係を試行演算するために必要なデータを入力する入力部と、
前記情報生成部および前記入力部の出力に基づいて、前記試行演算を行う試行演算部と、
前記情報生成部または前記試行演算部の出力に基づいて表示データを生成する表示制御部と、
前記表示制御部からの表示データを表示する表示部と
を備え、
前記試行演算部においては、現状または避航時の航行条件に対して、試行開始から前記経過時間を入力するたびに、前記経過時間における前記位置関係を計算し、前記位置関係を表示部に表示することを特徴とする航海支援装置。
【請求項34】
請求項33に記載の航海支援装置において、
前記情報生成部は、少なくとも海図情報、非航路海域情報を記憶する記憶部を更に備え、
該記憶部から得られた少なくとも海岸線の位置を前記障害対象に含めることを特徴とする航海支援装置。
【請求項35】
請求項33または請求項34に記載の航海支援装置において、
前記試行演算の対象とする前記障害対象を選定するための手段を前記入力部または前記表示部のいずれかにおいてさらに備えることを特徴とする航海支援装置。
【請求項36】
請求項33から請求項35のいずれかに記載の航海支援装置において、
前記試行演算部は自船と前記障害対象との少なくとも最接近時間または最接近距離のいずれかを計算し、
前記表示部において前記位置関係の表示と共に、前記最接近時間、前記最接近距離のいずれかを数値表示することを特徴とする航海支援装置。
【請求項37】
請求項33から請求項36に記載の航海支援装置において、
前記経過時間を入力するたびに、直近に入力した経過時間における前記位置関係の表示と、過去の経過時間における前記位置関係の表示が色相、彩度または明度のいずれかで識別できるように表示することを特徴とする航海支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2010−152875(P2010−152875A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263071(P2009−263071)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】