説明

航空写真撮像方法及び航空写真撮像装置

【課題】簡単な構成で、正確な地形の3次元計測を可能とする。
【解決手段】飛行体1が測定対象範囲の上空を葛折状に飛行して往路復路でそれぞれ静止画像を取得する第1工程と、進行方向に隣接する3画像について、1組の隣接する画像について相互標定してステレオ画像を作成し、もう1組の隣接する画像について相互標定して他のステレオ画像を作成し2組のステレオ画像を作成する第2工程と、2組のステレオ画像の共通した画像で、且つ3画像が重複する部分から抽出した特徴点を用いて2組のステレオ画像を接続する第3工程と、第2工程と第3工程を繰返して第1工程で取得した画像により往路、復路方向で全てのステレオ画像を接続する工程と、隣接するコースで隣接する画像から共通のタイポイントを選択し、コースで隣接するステレオ画像を接続する工程とを実行し、全測定対象範囲をカバーし、共通の3次元座標系で表される統一ステレオ画像を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型無人飛行体による航空写真撮像方法及び航空写真撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上空からの写真撮影、或は上空からの測量では、地上からの写真撮影、地上での測量では得られない情報が得られ、或は人の立入れない場所の写真撮影、測量が困難な場所の情報が得られる。又、近年、遠隔操作される小型飛行機、小型ヘリコプタ等の小型飛行体の性能向上、遠隔操作技術の向上、更に撮像装置の性能の向上、小型化の促進等により小型飛行体に撮像装置を搭載し、遠隔操作により上空からの写真撮影が無人で行える様になっている。
【0003】
更に、予め設定した飛行スケジュールに従い、自律飛行も可能となっており、予め空中撮影する3次元位置を設定しておくことで、所定の位置からの静止画像を取得することが可能となっている。又、静止画像から写真測量を行うこともできる。
【0004】
一方小型飛行体により写真撮影を行う場合、機体が水平であることが望まれるが、実際には、機体が軽量である為、風により流されたり、機体が傾いている場合が多い。この為、固定的に搭載された撮像装置では、機体の状態により光軸が傾斜し、又傾斜方向も一定しない状態となる。
【0005】
広範囲の画像を作成する場合、或は立体画像を作成する場合、隣接する2画像をオーバラップさせ、オーバラップした部分で2画像に共通な接続点(タイポイント)を抽出し、タイポイントを基準として画像合成が行われる。
【0006】
ところが、上記した様に、光軸が傾斜し、又傾斜角、傾斜方向が一定しない状態で撮像した画像を順次合成した場合、得られる広範囲の画像は、捻れたり、或は湾曲する等正確な合成画像が得られないという問題がある。又、画像の捻れ、湾曲は写真測量の精度にも影響する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−89895号公報
【特許文献2】特開2006−10376号公報
【特許文献3】特開平8−159762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は斯かる実情に鑑み、簡単な構成で、正確な地形の3次元計測が可能な航空写真撮像方法及び航空写真撮像装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、飛行体が測定対象範囲の上空を葛折状に飛行して往路復路でそれぞれ静止画像を取得する第1工程と、進行方向に隣接する3画像について、1組の隣接する画像について相互標定してステレオ画像を作成し、もう1組の隣接する画像について相互標定して他のステレオ画像を作成し2組のステレオ画像を作成する第2工程と、2組のステレオ画像の共通した画像で、且つ3画像が重複する部分から抽出した特徴点を用いて2組のステレオ画像を接続する第3工程と、第2工程と第3工程を繰返して第1工程で取得した画像により往路、復路方向で全てのステレオ画像を接続する工程と、隣接するコースで隣接する画像から共通のタイポイントを選択し、コースで隣接するステレオ画像を接続する工程とを実行し、全測定対象範囲をカバーし、共通の3次元座標系で表される統一ステレオ画像を作成する航空写真撮像方法に係るものである。
【0010】
又本発明は、進行方向で重複するオーバラップ率が70%〜90%であり、隣接するコース間で重複するサイドラップ率が40%〜60%である航空写真撮像方法に係るものである。
【0011】
又本発明は、動画像トラッキングにより1つの静止画像で抽出した特徴点を隣接する静止画像中に特定する航空写真撮像方法に係るものである。
【0012】
又本発明は、コースで隣接する3画像についてマルチイメージマッチングを行い隣接するコースのステレオ画像を接続する航空写真撮像方法に係るものである。
【0013】
又本発明は、静止画像撮影位置をGPS装置により測定し、測定して得られた座標値と前記統一ステレオ画像とにより、測定対象の所定点のモデル座標を求め、該モデル座標と前記統一ステレオ画像に基づきバンドル調整で測定して得られた座標値の補正を行う航空写真撮像方法に係るものである。
【0014】
又本発明は、前記飛行体がホバリング機能を有し、静止画像はホバリング状態で取得し、前記GPS装置により多数の測定値が取得され、前記座標値は測定値の平均値である航空写真撮像方法に係るものである。
【0015】
又本発明は、前記座標値の補正は、前記モデル座標を用いて撮影位置を演算し、前記撮影位置のGPS装置の測定値と比較することで、所定の閾値内の測定値を選別し、選別した測定値を使用して演算を行うことである航空写真撮像方法に係るものである。
【0016】
又本発明は、飛行体と、該飛行体に設けられたGPS装置と、飛行体下方の画像を撮像する撮像装置と、前記飛行体の飛行、及び前記撮像装置の撮像を制御する制御装置とを具備し、該制御装置は、前記飛行体を葛折状に飛行させ、前記撮像装置を往路復路でそれぞれ静止画像を取得する様制御すると共に進行方向で画像が所定のオーバラップ率となる様、又隣接するコース間で画像が所定のサイドラップ率となる様に制御し、前記GPS装置により静止画像撮影位置を測定させ、測定結果を静止画像に関連付けて取得する航空写真撮像装置に係るものである。
【0017】
又本発明は、前記制御装置は、静止画像を取得する際は前記飛行体をホバリング状態とし、前記GPS装置による撮影位置の測定結果を多数取得する様にした航空写真撮像装置に係るものである。
【0018】
又本発明は、データ処理装置を更に具備し、該データ処理装置は、進行方向に隣接する2画像に基づき順次相互標定してステレオ画像を作成し、隣接するステレオ画像について共通した画像で、両ステレオ画像を構成する3画像が重複する部分から抽出した特徴点を用いて2組のステレオ画像を接続し、隣接するコースで隣接する画像の重複部分からタイポイントを選択し、コースで隣接するステレオ画像を接続し、全測定対象範囲をカバーし、共通の3次元座標系で表される統一ステレオ画像を作成する様構成した航空写真撮像装置に係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、飛行体が測定対象範囲の上空を葛折状に飛行して往路復路でそれぞれ静止画像を取得する第1工程と、進行方向に隣接する3画像について、1組の隣接する画像について相互標定してステレオ画像を作成し、もう1組の隣接する画像について相互標定して他のステレオ画像を作成し2組のステレオ画像を作成する第2工程と、2組のステレオ画像の共通した画像で、且つ3画像が重複する部分から抽出した特徴点を用いて2組のステレオ画像を接続する第3工程と、第2工程と第3工程を繰返して第1工程で取得した画像により往路、復路方向で全てのステレオ画像を接続する工程と、隣接するコースで隣接する画像から共通のタイポイントを選択し、コースで隣接するステレオ画像を接続する工程とを実行し、全測定対象範囲をカバーし、共通の3次元座標系で表される統一ステレオ画像を作成するので、測定対象全範囲の任意の点についてステレオ計測が可能となる。
【0020】
又本発明によれば、進行方向で重複するオーバラップ率が70%〜90%であり、隣接するコース間で重複するサイドラップ率が40%〜60%であるので、進行方向、コース間のステレオ画像の接続精度が向上し、精度の高い統一ステレオ画像を作成できる。
【0021】
又本発明によれば、動画像トラッキングにより1つの静止画像で抽出した特徴点を隣接する静止画像中に特定するので、特徴点の特定が容易になり、多数の特徴点の抽出が可能となる。
【0022】
又本発明によれば、コースで隣接する3画像についてマルチイメージマッチングを行い隣接するコースのステレオ画像を接続するので、ミスマッチングが防止される。
【0023】
又本発明によれば、静止画像撮影位置をGPS装置により測定し、測定して得られた座標値と前記統一ステレオ画像とにより、測定対象の所定点のモデル座標を求め、該モデル座標と前記統一ステレオ画像に基づきバンドル調整で測定して得られた座標値の補正を行うので、GPS装置の精度の不足又不安定性を補うことができる。
【0024】
又本発明によれば、前記飛行体がホバリング機能を有し、静止画像はホバリング状態で取得し、前記GPS装置により多数の測定値が取得され、前記座標値は測定値の平均値であるので、GPS装置の精度の不足又不安定性を補うことができる。
【0025】
又本発明によれば、前記座標値の補正は、前記モデル座標を用いて撮影位置を演算し、前記撮影位置のGPS装置の測定値と比較することで、所定の閾値内の測定値を選別し、選別した測定値を使用して演算を行うことであるので、測定誤差の大きい測定値が除外され、測定精度が向上する。
【0026】
又本発明によれば、飛行体と、該飛行体に設けられたGPS装置と、飛行体下方の画像を撮像する撮像装置と、前記飛行体の飛行、及び前記撮像装置の撮像を制御する制御装置とを具備し、該制御装置は、前記飛行体を葛折状に飛行させ、前記撮像装置を往路復路でそれぞれ静止画像を取得する様制御すると共に進行方向で画像が所定のオーバラップ率となる様、又隣接するコース間で画像が所定のサイドラップ率となる様に制御し、前記GPS装置により静止画像撮影位置を測定させ、測定結果を静止画像に関連付けて取得するので、全測定対象範囲をカバーし、共通の3次元座標系で表される統一ステレオ画像を作成することができる。
【0027】
又本発明によれば、前記制御装置は、静止画像を取得する際は前記飛行体をホバリング状態とし、前記GPS装置による撮影位置の測定結果を多数取得する様にしたので、GPS装置の精度の不足又不安定性を補うことができる。
【0028】
又本発明によれば、データ処理装置を更に具備し、該データ処理装置は、進行方向に隣接する2画像に基づき順次相互標定してステレオ画像を作成し、隣接するステレオ画像について共通した画像で、両ステレオ画像を構成する3画像が重複する部分から抽出した特徴点を用いて2組のステレオ画像を接続し、隣接するコースで隣接する画像の重複部分からタイポイントを選択し、コースで隣接するステレオ画像を接続し、全測定対象範囲をカバーし、共通の3次元座標系で表される統一ステレオ画像を作成する様構成したので、測定対象全範囲の任意の点についてステレオ計測が可能となる等の優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例に係る小型飛行体を示す概略図である。
【図2】前記飛行体に設けられた制御装置のブロック図である。
【図3】飛行体の飛行コースと撮像画像との関係を示す説明図である。
【図4】(A)は従来の画像のオーバラップ率及びサイドラップ率を示す説明図、(B)は本実施例の画像のオーバラップ率及びサイドラップ率を示す説明図である。
【図5】マルチイメージマッチングの説明図である。
【図6】相互標定についての説明図である。
【図7】(A)は隣接する画像について各2画像毎に相互標定し、2組のステレオ画像を作成する概念図、(B)は2組のステレオ画像を接続する場合の概念図である。
【図8】飛行体が飛行しながら、静止画像を取得する様子を示す説明図である。
【図9】撮影地点をGPS装置で測定した結果とその結果の平均値、バンドル調整して得られた撮影地点との関係を示す説明図である。
【図10】データ処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0031】
先ず、図1に於いて、本発明が実施される飛行体の飛行制御システムについて説明する。
【0032】
図1中、1は自律飛行可能な飛行体、2は地上に設置される基地制御装置であり、該基地制御装置2は、前記飛行体1とデータ通信可能であり、前記飛行体1の飛行の制御、飛行計画の設定、変更を実行し、又前記飛行体1が収集した情報を保存、管理し、更に保存した情報に基づき測定対象範囲の3次元測定を実行する。
【0033】
前記飛行体1は、例えば自律飛行する小型飛行体としてのヘリコプタである。該ヘリコプタ1は前記基地制御装置2から遠隔操作で操縦され、或は前記基地制御装置2から前記ヘリコプタ1の制御装置(後述)に飛行計画が設定され、飛行計画に従って、自律飛行する。
【0034】
前記ヘリコプタ1は、機体3、該機体3に設けられた所要数のプロペラ、例えば前後左右、計4組のプロペラ4,5,6,7を有し、該プロペラ4,5,6,7はそれぞれ個別に第1モータ8、第2モータ9、第3モータ10、第4モータ11(後述)に連結され、又後述する様に各第1モータ8、第2モータ9、第3モータ10、第4モータ11は独立して駆動が制御される様になっている。尚、前記プロペラ4,5,6,7及び前記第1モータ8、第2モータ9、第3モータ10、第4モータ11等は飛行体の航行手段を構成する。
【0035】
前記ヘリコプタ1の機体3には、GPS装置12、制御装置及び少なくとも1つの撮像装置13が設けられている。尚、本実施例で用いられているGPS装置12には、1例としてリアルタイムキネマティクGPS(RTK−GPS)が用いられる。
【0036】
前記GPS装置12は、前記ヘリコプタ1の基準位置、例えば機械中心を測定する様に構成され、又、前記GPS装置12は前記基準位置の絶対3次元座標を測定し、測定値は地心座標(絶対座標)系から求められる地上座標系及び高度を表す。
【0037】
前記撮像装置13はデジタル画像を取得し、画像信号としてデジタル信号を出力する。該撮像装置13は、静止画像を所定時間間隔で撮像するカメラであってもよいし、或は画像を連続的に撮像するビデオカメラであってもよい。前記撮像装置13の少なくも1つは前記機体3の下面に設けられている。又、撮像装置13は前方を撮像するものが更に追加されてもよい。
【0038】
又、前記撮像装置13は、撮像素子として、画素(ピクセル)の集合体であるCCD、CMOSセンサを有しており、撮像素子の中心(受光面の座標中心)と前記撮像装置13の光軸15とは合致している。前記撮像素子の各画素は撮像素子上の位置(座標)が特定でき、更に座標から各画素の画角(結像レンズを透して画素に入射する光線と前記光軸15との成す角度)が分る様になっている。
【0039】
前記光軸15は、前記機体3の基準位置(例えば機械中心)を通過し、前記光軸15は、前記ヘリコプタ1が水平姿勢で、鉛直線と合致する様に設定されている。前記撮像装置13は、角度θの視野角を持っており、航空写真用の画像を取得可能となっている。従って、前記撮像装置13は、前記ヘリコプタ1直下の所要の視野角θの範囲の画像を取得可能であり、更に画像の中心は前記基準位置と合致する様に設定されている。又、前記撮像装置13で撮像した画像は、後述する様に、位置測定用の画像データとしても使用される。
【0040】
前記撮像装置13で撮像された画像は、撮像した時間、前記GPS装置12で測定した地心座標(3次元座標)に関連付けられて、後述する記憶部18に格納される。
【0041】
図2は、前記機体3に設けられる制御装置16を示している。該制御装置16は、主に、演算制御部17、記憶部18、通信部19、撮像コントローラ21、モータコントローラ22、ジャイロユニット23、電源部24から構成される。
【0042】
前記記憶部18には、前記撮像装置13で取得した画像及び画像を取得した時刻が、前記画像に関連付けられて格納される様になっており、更に、画像を取得した時刻に同期させて前記GPS装置12によって前記ヘリコプタ1の3次元座標が測定され、測定された3次元座標も画像を取得した時刻に関連付けられて前記記憶部18に格納される様になっている。
【0043】
又、該記憶部18には、撮像制御プログラム、画像処理プログラム、トラッキング処理プログラム、3次元位置測定プログラム、マッチング処理プログラム、演算プログラム、飛行誘導プログラム、飛行制御プログラム、飛行姿勢制御プログラム、通信制御プログラム、バンドル調整プログラム等の種々のプログラムが格納されている。更に、前記記憶部18には、前記撮像装置13で撮像された画像及び、撮像時の時間、画像を取得した時の3次元座標が前記画像に関連付けられて格納され、又飛行計画データが格納されている。尚、飛行計画データに格納されているデータとしては、例えば飛行コース、飛行高度、撮影する場所、範囲等である。尚、バンドル調整プログラムは前記基地制御装置2側の記憶部に格納し、バンドル調整は、ヘリコプタ1が所定の飛行をし、所定のデータを取得した後、前記基地制御装置2で行う様にしてもよい。
【0044】
前記撮像制御プログラムは、前記GPS装置12で測定された前記ヘリコプタ1の位置、前記ヘリコプタ1の飛行速度、前記撮像装置13の視野角θ等に基づき時間的に隣接する画像が所定の割合でオーバラップする様に、又隣接する頂点(後述)で撮像した画像が所定の割合でオーバラップする様に前記撮像装置13で撮影した画像データの取得時期を制御する。尚、画像トラッキングを行う場合は、画像データを取得し、次の画像データを取得する間も所定時間間隔で撮像する様に前記撮像装置13を制御している。尚、画像データと次の画像データ間で取得するトラッキング用の画像としては動画像を取得してもよい。
【0045】
前記画像処理プログラムは、前記撮像装置13で取得した画像から特徴点(タイポイント)を抽出する、或はタイポイントを基準として複数の画像を合成する等の画像処理を行う。
【0046】
又、前記トラッキング処理プログラムは時間的に隣接する画像間で特徴点の画像トラッキングを行い、前記画像の特徴点を順次、次画像中に特定する。尚、画像トラッキングについては特許文献2又は特許文献3に示されている。
【0047】
前記3次元位置測定プログラムは、前記GPS装置12の測定で得られる地上座標と、前記撮像装置13の画像から抽出したタイポイントに基づき、写真測量等の測定方法により前記ヘリコプタ1(基準位置)の高さ距離を演算する。従って、前記ヘリコプタ1の高さは、前記GPS装置12の測定で得られる第1高さ距離と、画像に基づき写真測量により求めた第2高さ距離が得られる。
【0048】
又、前記飛行制御プログラムは、飛行速度、上昇速度、降下速度、飛行方向、飛行高度等の飛行状態を制御し、前記ヘリコプタ1を所定の飛行コースに、設定された高度、速度で飛行させる為のプログラムであり、前記飛行姿勢制御プログラムは、飛行中のヘリコプタ1の姿勢を水平に保持させる様制御し、或は静止状態飛行(ホバリング)させる様制御するプログラムである。
【0049】
前記マッチング処理プログラムは、時間的に隣接する静止画像を順次マッチング、或はステレオマッチングし、所定の測定範囲の画像を合成する。前記演算プログラムは、マッチング処理に必要な座標変換、相互標定計算等を実行する為のプログラムである。
【0050】
前記バンドル調整プログラムは、画像から抽出した特徴点の3次元座標と、既知或は測定して得られた3次元座標に基づき各画像の撮影位置と傾き(外部標定要素)を最小2乗法により同時に求める演算を行うプログラムである。
【0051】
前記演算制御部17は、前記撮像制御プログラムにより前記撮像コントローラ21を介し、前記撮像装置13の撮像を制御し、前記トラッキング処理プログラムにより画像トラッキングを行い、前記画像処理プログラムにより、タイポイントの抽出、複数の画像を合成し、更に前記3次元位置測定プログラムにより第2高さ距離を演算する。
【0052】
又、前記演算制御部17は、前記飛行制御プログラム及び前記飛行計画データに基づき、前記モータコントローラ22を介し、前記第1モータ8、第2モータ9、第3モータ10、第4モータ11及びこれらモータを個別に駆動制御し、前記ヘリコプタ1を所定の飛行コースに、設定された高度、速度で飛行させる。又前記演算制御部17は、前記飛行姿勢制御プログラム、前記ジャイロユニット23からの信号に基づき、前記モータコントローラ22を介して前記第1モータ8、第2モータ9、第3モータ10、第4モータ11をそれぞれ制御することで、前記ヘリコプタ1を飛行中水平に制御し、或は所定の位置で静止状態飛行(ホバリング)させる。
【0053】
前記通信部19は、地上基地からの遠隔飛行制御指令を受信し、又ヘリコプタ1の飛行状態を地上基地に通信する。又、前記通信部19は、無線LAN或はブルートゥース(Bluetooth:登録商標)等の通信手段を用いて地上基地とヘリコプタ1間の情報の授受を行うものであり、例えば前記ヘリコプタ1が基地に着陸した状態で、前記飛行計画データが基地から前記ヘリコプタ1に送信され、或は飛行中撮像した画像、位置、時刻情報がヘリコプタ1から基地に送信される。
【0054】
前記電源部24は、例えば交換可能な可充電電池であり、基地に着陸した際に充電済の電池と交換され、消耗した電池が次に交換される迄に充電される。前記電源部24は、飛行中は、前記モータコントローラ22を介して前記第1モータ8、第2モータ9、第3モータ10、第4モータ11へ電力を供給し、又前記撮像装置13、前記撮像コントローラ21、前記演算制御部17、前記通信部19に必要な電力を供給する。
【0055】
前記撮像装置13が取得した画像、前記GPS装置12が測定した位置情報、タイポイントの情報は、前記通信部19を介して前記基地制御装置2に通信される。該基地制御装置2では、前記画像から、広範囲の合成画像を作成し、又ステレオ画像を作成し、或はステレオ画像に基づき写真測量を行う。又、画像から抽出した特徴点の座標に基づきバンドル調整を行う。
【0056】
以下、本発明に係る実施例の作用について説明する。
【0057】
先ず、図3に於いて本実施例の飛行方法について説明する。
【0058】
測定対象範囲の上空を葛折状に飛行して往路復路でそれぞれ静止画像を取得するものである。
【0059】
測定対象範囲の上空を前記ヘリコプタ1が往飛行し、往飛行の終端でUターンし、往飛行のコースと平行に復飛行する。前記ヘリコプタ1は復飛行の終端でUターンし、再び往飛行する。往飛行と復飛行を繰返し、且つ、往路、復路で所定間隔ずらせる。往飛行、復飛行の飛行距離は、少なくとも直線部分で測定対象範囲を横切る距離とする。又、飛行中に所定間隔で静止画像を撮像し、撮像した全ての静止画像を合成した場合に合成画像に測定対象範囲の全範囲が含まれる様にする。
【0060】
ここで、全ての静止画像を合成し、測定対象範囲全域を含む1つの合成画像とするが、本実施例では以下の如くマルチイメージマッチングを行う。
【0061】
先ず、従来も複数の画像を合成することは行われており、図4(A)に示される様に、進行方向で経時的に隣接する画像を所要量重ね合せ(重複させ)(以下、オーバラップと称す)、更に隣接するコースの画像についても所要量重複させ(以下、サイドラップと称す)、全ての画像を重複部分を利用してマッチングさせ、合成している。
【0062】
図4(B)は、本実施例での画像の重なり状態を示しており、本実施例では、オーバラップ率を70%〜90%、サイドラップ率を40%〜60%とし、従来に比してオーバラップ率及びサイドラップ率を多くしている。以下、一例として、オーバラップ率で80%、サイドラップ率で50%とした場合を説明する。尚、従来のオーバラップ率は60%程度、サイドラップ率は30%程度である。
【0063】
図3を参照して、静止画像の取得について説明する。図3では理解を容易にする為、隣接する画像を離して示しているが、実際は飛行方向で経時的に隣接する画像間で80%のオーバラップ率、隣接するコースの画像間で50%のサイドラップ率となっている。前記撮像コントローラ21は、前記GPS装置12の測定位置、或は前記ヘリコプタ1の飛行速度に基づきオーバラップ率、サイドラップ率がそれぞれ80%、50%となる様に前記撮像装置13の撮像タイミングを制御する。
【0064】
図3中、Snは静止画像を示し、nは静止画像の通し番号、Jは飛行コースの通し番号、Iは1コース毎に繰返される番号を示している。従って、静止画像Sに添えられる(J,I)は、合成される静止画像の位置(番地)を示している。
【0065】
所定の静止画像を基準画像(図示ではスタート地点での静止画像S1)とし、該基準画像から画像マッチングを行う為の特徴点を抽出し、隣接する画像中に特定する必要があるが、本実施例では動画像マッチングによって特徴点が順次特定されていく。静止画像を取得し、次に静止画像を取得する迄の間は動画像Mが取得され、動画像Mの1フレームm毎に特徴点のトラッキングが行われる。
【0066】
図4(B)に示される様に、本実施例では、経時的に隣接する、即ち進行方向で隣接する画像同士で、80%オーバラップしているので、隣接する3枚の画像では共通に重複する部分は、60%となる3枚の画像について、60%の重複部分から3枚の画像に共通した特徴点を所要数、例えば50(5×10)点抽出し、3枚の画像についてマッチング(マルチイメージマッチング)を行う。更に、隣接する3枚の画像について順次マルチイメージマッチングを行い測定対象範囲全域を含む画像を合成する。
【0067】
尚、後述する様に、マッチングに用いる特徴点は数が多い程、写真測量の精度が向上するので、多数の特徴点を抽出する様にプログラミングし、自動的に多くの特徴点が得られる様にする。
【0068】
又、隣合うコースで隣接する画像同士では、50%サイドラップさせているので、同様に3枚の画像について、重複部分から共通した特徴点を抽出し、3枚の画像についてマルチイメージマッチングを行う。
【0069】
図5はマルチイメージマッチングの模式図であり、図5を参照してマルチイメージマッチングについて説明する。又、図5では撮影位置A,B,Cで取得した画像SA,SB,SCの3つの静止画像についてマルチイメージマッチングを行った場合を示している。尚、撮影位置A,B,Cは前記GPS装置12によって測定され、撮影位置A−B間、B−C間の距離は、既知であるとする。
【0070】
2つの静止画像を用いることでステレオ計測(写真測量)が可能となり、例えば、画像SA,SB又は画像SB,SCを用いて、それぞれステレオ計測をする。
【0071】
例えば、測定対象30の特徴点P1点を計測する場合、2つの画像SA,SB中に特定される各P1点の座標pa1,pb1から3次元計測されるが、画像SB,SCでステレオ測定する場合、画像SCからはP1点は見えず、間違ってP2点を計測してしまう。又、P2点については画像SBからも見えており、ステレオ画像SB−SC(即ち、座標pb2,pc2)からP2点の座標が計測される。
【0072】
その場合、ステレオ画像SA−SBで計測されたP1点の座標と、ステレオ画像SB−SCで計測されたP2点の座標とは高さの座標が明らかに異なり、P1点は画像SA,SB,SCの共通な特徴点ではないと容易に判断できる。
【0073】
次に、特徴点P3点については、撮影位置A,B,Cから共通に見えており、撮影位置A,B,Cで取得した画像SA,SB,SCの内、ステレオ画像SA−SB及びステレオ画像SB−SCよりそれぞれ特徴点P3点をステレオ計測すれば、同じ座標として測定できる。
【0074】
即ち、2組のステレオ画像で計測した特徴点の座標が同一であれば、3の画像SA,SB,SCの共通な特徴点として認識できる。
【0075】
次に、図6は2つの画像S1,S2からステレオ画像を作成する場合を示している。
【0076】
2つの画像からステレオ画像を作成する場合、図示の様に、モデル座標系の原点を左画像の投影中心にとり、右画像の投影中心を結ぶ線をX軸とする。この時、左画像と右画像の座標系の相違は、左画像の回転角κ1 、φ1 、右側の回転角κ2 、φ2 、ω2 の5つの回転角となる。従って、左右の画像を座標変換してマッチング(ステレオマッチング)させる為には5の標定点(パスポイント)が必要となる。
【0077】
両画像から測定対象点Pに対応する共通の特徴点p1,p2を抽出する。更に、共通の特徴点p1,p2を少なくとも5つ抽出することで、特徴点を標定点とし、特徴点に基づき左画像と右画像とをステレオマッチング(相互標定)することができる。
【0078】
又、ステレオマッチングで得られたステレオ画像により、各画像S1,S2の撮像位置O1 ,O2 を測定することができる。
【0079】
更に、図7(A)、図7(B)は、撮影地点A,B,Cで取得した3つの画像S1,S2,S3から2組のステレオ画像を作成し、更に2組のステレオ画像を接続する場合を示している。
【0080】
画像S1,S2,S3の内、左の2画像S1,S2により、標定点(1)〜(6)に基づきステレオマッチング(相互標定)して左ステレオ画像(左モデル)を作成する。左ステレオ画像は、左3次元座標系の立体画像として捉えれる。又、同様に右側の2画像S2,S3により、標定点(4)〜(9)に基づきステレオマッチングして右ステレオ画像(右モデル)及び右3次元座標を作成する。
【0081】
ここで、左ステレオ画像の作成に用いる特徴点は、2つの画像S1,S2が重複する部分から抽出する。又、右ステレオ画像の作成に用いる特徴点は、2つの画像S2,S3が重複する部分から抽出する。
【0082】
更に、左ステレオ画像と右ステレオ画像とを接続する場合、左ステレオ画像と右ステレオ画像で共通な画像S2を用い、左ステレオ画像(即ち左3次元座標)を基準として右ステレオ画像(即ち右3次元座標)を座標変換して両ステレオ画像を接続する。
【0083】
接続する為には少なくとも3の接続点(タイポイント)を必要とするが、この接続点は3つの画像が重複する部分から抽出した特徴点(4)〜(6)が用いられる。尚、接続点は、ステレオ画像を作成した時の標定点として用いられた特徴点を用いてもよい。
【0084】
尚、標定点、接続点は、それぞれ3つの画像が重複する部分から抽出した特徴点であるが、上記した様にマルチイメージマッチングをすることで、抽出した特徴点が標定点、接続点としての適合性を有するかどうかを確認することができ、ミスマッチングが防止できる。
【0085】
又、ステレオ画像を作成する場合の標定点の数は最小で5点、左ステレオ画像と右ステレオ画像とを接続する場合の接続点数は、最小で3点あればよいが、標定点、接続点の数は多い程精度は向上する。
【0086】
上述した様に、従来では進行方向で隣接する画像の重複率は60%であり、隣接する3枚の画像では共通に重複する率は20%となる。
【0087】
一方本実施例では、例えば重複率が80%である場合は、隣接する3枚の画像では共通に重複する率は60%となる。従来と本実施例で同一の分布率(分布密度)で特徴点を抽出した場合は、特徴点の数は本実施例が従来に対して3倍となる。又、特徴点の数の平方根に比例して標定精度が向上することが分っており、本実施例では(√3)倍精度が向上する。
【0088】
更に、2つの画像を連結する場合に使用されるタイポイントは、タイポイント間の距離(スパン)が長い程、2つの画像間の傾きを長さに比例して抑制できる。単純に計算すると、重複する率が3倍になると、タイポイントの最大スパンは(√3)倍になり、傾斜誤差は、1/(√3)となる。
【0089】
従って、本実施例では、特徴点の数を画像の重複率に比例して増加させたとして、精度が(√3)×(√3)=3倍向上する。
【0090】
更に、特徴点の数を従来に比べて10倍程度迄増加させると、(√10)×(√3)≒5.5倍向上する。
【0091】
図3を参照すると、上記した様に、経時的に隣接する2画像でステレオ画像を作成し、更に隣接するステレオ画像同士で接続を順次実行して進行方向に接続されたステレオ画像列が作成され、更に又、隣合うコースに属する3以上の画像からマルチイメージマッチングを用いて、隣合うコースのステレオ画像を接続し、最終的に全てのステレオ画像を接続する。全てのステレオ画像が接続されることで(即ち、基準の座標系に座標変換されることで)、全測定対象範囲をカバーし、共通の3次元座標系(統一3次元座標)で表される統一ステレオ画像(統一モデル)が作成される。
【0092】
又前記タイポイントを自動的に10点以上選択する様にすることで、共通の3次元座標系で表される統一ステレオ画像を作成することが可能となる。
【0093】
図8は、前記ヘリコプタ1が飛行しながら、静止画像S1〜S8を取得する様子を示すものであり、上記した様に各静止画像について特徴点が抽出され、各静止画像間は動画像が取得され、動画像より特徴点が画像トラッキングされている。又、静止画像を取得した地点の位置は、前記GPS装置12によって測定されている。
【0094】
上記した様に、本実施例ではリアルタイムキネマティクGPS(RTK−GPS)が用いられる。一般的にRTK−GPSでの精度は、平面:10mm、高さ:20mmであるが、GPSの衛星数、衛星の配置、電離層、マルチパス等の影響により、GPS装置の精度は不安定な場合があり、又撮影時間や撮影位置によりフレーム毎(画像毎)にGPS装置の精度が異なる。
【0095】
本実施例では、GPS装置の測定精度の向上、及びGPSデータの精度劣化(不安定化)の解消を図り、GPS装置による正確な撮影位置の測定結果に基づき前記ステレオ画像群の地心座標への座標変換(絶対標定)を行う。
【0096】
以下、図9を参照してGPS装置の測定精度の向上、及びGPSデータの精度安定化について説明する。
【0097】
本実施例では、前記ヘリコプタ1にホバリング機能があり、ホバリングして静止画像を取得することで、静止画像を取得する位置でGPS装置12による多数の測定値が得られる。尚、完全にホバリングしないで、低速度で移動しながら多数の測定値を得る様にしてもよい。
【0098】
図9に於いて、31は各静止画像取得位置に於ける前記GPS装置12の測定結果を含む範囲を楕円で示し、測定結果でバラツキが大きい場合は大きな楕円(以下、誤差楕円と称す)となる。誤差楕円31内に示される小円(即ち点)は、前記GPS装置12の測定結果のGPS平均値32を示す。
【0099】
前記統一ステレオ画像と撮影位置のGPSデータを使って、バンドル調整する。バンドル調整では、測定対象30のモデル座標33が必要である。前記統一ステレオ画像、前記統一3次元座標から測定対象30のモデル座標33を計算し、更に該モデル座標33に基づきバンドル調整計算を行って撮影位置を演算する。バンドル調整計算で得たGPS平均値32と演算により求めた計算位置34とを比較し、該計算位置34と一致又は所定の閾値内のGPS平均値32を、撮影位置として採用する。又、精度の悪いGPS平均値32は、バンドル調整計算で求めた計算位置34に置換え、更にバンドル調整計算を行い、画像座標の残差が最も小さくなる迄、繰返し計算する。残差が最も小さくなったものを撮影位置として採用する。
【0100】
更に、前記モデル座標33(前記統一ステレオ画像と前記統一3次元座標から計算されるモデル座標)と前記統一ステレオ画像を用いて、撮影位置の再演算を行い、この再演算で得た撮影位置座標と、撮影位置のGPSデータを比較し、所定の閾値を超えるGPSデータを除外する。除外して得られたGPSデータをGPS装置12が測定した撮影位置として、写真測量を行う場合の撮影位置、マルチイメージマッチングを行う場合の撮影位置(図5参照)、ステレオ画像の連結に反映させ、統一ステレオ画像、統一3次元座標を求め直し、作成されるモデルの精度を上げ、更に求め直した統一ステレオ画像、統一3次元座標から、測定対象30のモデル座標33を再計算し、更にバンドル調整計算を行って撮影位置を再計算する等し、測定精度を更に向上させることができる。
【0101】
ここで、バンドル調整とは、対象空間(地上座標)とレンズ中心、画像センサに投影された画像座標とを共線条件式に関係付けて、その光束を全て一括して求める手法である。
【0102】
而して、GPSの測定精度が悪い、或は不安定であっても、前記GPS装置12の測定精度を高精度に補正することができ、リアルタイムキネマティクGPS(RTK−GPS)の測定結果を用いて高精度の測定を実施できる。
【0103】
図10に於いて、前記ヘリコプタ1を飛行スケジュールに従って飛行させ、測定対象範囲を撮影して得た画像データ、前記GPS装置12により測定して得た撮影位置のデータを用いて、事後処理を行い、共通の3次元座標系(統一3次元座標)、統一ステレオ画像(統一モデル)の作成、GPSデータのチェック、補正を行う場合の作業の流れを説明する。尚、事後処理に使用されるデータ処理装置としては、特に限定されるものではなく、汎用PCが使用されてもよい。
【0104】
STEP:01,STEP:02 取得したデータの内、最初の画像を設定する。例えば、図3を参照すると、コースJ=1の静止画像S1が設定され、静止画像S1が左画像として読込まれる。
【0105】
STEP:03,STEP:04 次に右画像S2が読込まれ、前記静止画像S1で前記右画像S2と重複する部分から特徴点が抽出され、動画像トラッキングにより特徴点が前記右画像S2に特定される。
【0106】
STEP:05,STEP:06 前記静止画像S1の特徴点及び前記右画像S2に特定された特徴点を標定点として左右画像の相互標定が行われる。
【0107】
STEP:07,STEP:08 コースの全ての画像、全てのコースについて経時的に隣接する2画像について順次相互標定が実行される。又、相互標定で得られた各ステレオ画像は、隣接するステレオ画像間でタイポイントに基づき座標変換され、接続される。
【0108】
STEP:09,STEP:10 コース間の画像について重複部分からタイポイントが選定され、タイポイントに基づき接続が行われ、測定対象全域を含む統一ステレオ画像が作成される。
【0109】
STEP:11,STEP:12 GPS装置12で測定された撮影位置が呼込まれ、チェックされ、又各測定位置の測定結果の平均値が計算される。
【0110】
STEP:13,STEP:14 各測定結果の平均値について、各平均値に基づき測定対象30の所要点の座標(モデル座標)が求められ、更にモデル座標に基づきバンドル調整が行われ、撮影位置(バンドル初期値)が計算される。
【0111】
STEP:15,STEP:16 バンドル調整結果と前記平均値とが比較され、精度の悪い平均値は削除される。
【0112】
STEP:17,STEP:18 バンドル調整結果と前記平均値間の誤差が最小となる迄、再バンドル調整が行われる。誤差が最小となったところで、バンドル調整結果で得た撮影位置の座標に基づき前記統一ステレオ画像が地心座標系に絶対標定される。
【0113】
尚、上記実施例では、相互標定で得た統一ステレオ画像の地心座標への座標変換を行う場合の、地心座標として前記GPS装置12が測定した撮影地点の3次元座標に基づいて行ったが、測定対象30に地心座標系で既知となっている基準点を設け、該基準点に基づき統一ステレオ画像の地心座標への座標変換を行ってもよい。
【0114】
測定対象30に地心座標系で既知となっている基準点を設けた場合は、図10のSTEP:01〜STEP:10迄のデータ処理を行った後、前記基準点を用いてバンドル調整を行って撮像位置を決定する。
【符号の説明】
【0115】
1 ヘリコプタ
2 基地制御装置
3 機体
4,5,6,7 プロペラ
12 GPS装置
13 撮像装置
15 光軸
16 制御装置
17 演算制御部
18 記憶部
19 通信部
21 撮像コントローラ
22 モータコントローラ
23 ジャイロユニット
24 電源部
30 測定対象
31 誤差楕円
32 GPS平均値
33 モデル座標
34 計算位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体が測定対象範囲の上空を葛折状に飛行して往路復路でそれぞれ静止画像を取得する第1工程と、進行方向に隣接する3画像について、1組の隣接する画像について相互標定してステレオ画像を作成し、もう1組の隣接する画像について相互標定して他のステレオ画像を作成し2組のステレオ画像を作成する第2工程と、2組のステレオ画像の共通した画像で、且つ3画像が重複する部分から抽出した特徴点を用いて2組のステレオ画像を接続する第3工程と、第2工程と第3工程を繰返して第1工程で取得した画像により往路、復路方向で全てのステレオ画像を接続する工程と、隣接するコースで隣接する画像から共通のタイポイントを選択し、コースで隣接するステレオ画像を接続する工程とを実行し、全測定対象範囲をカバーし、共通の3次元座標系で表される統一ステレオ画像を作成することを特徴とする航空写真撮像方法。
【請求項2】
進行方向で重複するオーバラップ率が70%〜90%であり、隣接するコース間で重複するサイドラップ率が40%〜60%である請求項1の航空写真撮像方法。
【請求項3】
動画像トラッキングにより1つの静止画像で抽出した特徴点を隣接する静止画像中に特定する請求項1の航空写真撮像方法。
【請求項4】
コースで隣接する3画像についてマルチイメージマッチングを行い隣接するコースのステレオ画像を接続する請求項1の航空写真撮像方法。
【請求項5】
静止画像撮影位置をGPS装置により測定し、測定して得られた座標値と前記統一ステレオ画像とにより、測定対象の所定点のモデル座標を求め、該モデル座標と前記統一ステレオ画像に基づきバンドル調整で測定して得られた座標値の補正を行う請求項1の航空写真撮像方法。
【請求項6】
前記飛行体がホバリング機能を有し、静止画像はホバリング状態で取得し、前記GPS装置により多数の測定値が取得され、前記座標値は測定値の平均値である請求項5の航空写真撮像方法。
【請求項7】
前記座標値の補正は、前記モデル座標を用いて撮影位置を演算し、前記撮影位置のGPS装置の測定値と比較することで、所定の閾値内の測定値を選別し、選別した測定値を使用して演算を行うことである請求項5の航空写真撮像方法。
【請求項8】
飛行体と、該飛行体に設けられたGPS装置と、飛行体下方の画像を撮像する撮像装置と、前記飛行体の飛行、及び前記撮像装置の撮像を制御する制御装置とを具備し、該制御装置は、前記飛行体を葛折状に飛行させ、前記撮像装置を往路復路でそれぞれ静止画像を取得する様制御すると共に進行方向で画像が所定のオーバラップ率となる様、又隣接するコース間で画像が所定のサイドラップ率となる様に制御し、前記GPS装置により静止画像撮影位置を測定させ、測定結果を静止画像に関連付けて取得することを特徴とする航空写真撮像装置。
【請求項9】
前記制御装置は、静止画像を取得する際は前記飛行体をホバリング状態とし、前記GPS装置による撮影位置の測定結果を多数取得する様にした請求項8の航空写真撮像装置。
【請求項10】
データ処理装置を更に具備し、該データ処理装置は、進行方向に隣接する2画像に基づき順次相互標定してステレオ画像を作成し、隣接するステレオ画像について共通した画像で、両ステレオ画像を構成する3画像が重複する部分から抽出した特徴点を用いて2組のステレオ画像を接続し、隣接するコースで隣接する画像の重複部分からタイポイントを選択し、コースで隣接するステレオ画像を接続し、全測定対象範囲をカバーし、共通の3次元座標系で表される統一ステレオ画像を作成する様構成した請求項8又は請求項9の航空写真撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−108927(P2013−108927A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255996(P2011−255996)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)