航空宇宙及び自動車の鋳物品用の熱処理可能なAl−Zn−Mg−Cu合金
形状鋳物品用の熱処理可能なアルミニウム合金であって、Zn:約3.5〜5.5%、Mg:約1〜3%、Cu:約0.05〜0.5%及びSi:約1%未満を含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
この出願は、2004年4月22日に出願された米国仮出願第60/564,813号の利益を主張し、該出願は参照を以てその全体が本願に組み込まれる。また、この出願は、同時に出願された特許出願"Heat Treatable Al-Zn-Mg Alloy for Aerospace and Automotive Castings"(航空宇宙用及び自動車の鋳物品用の熱処理可能なAl−Zn−Mg合金)とも密接な関連性を有しており、前記特許出願についても参照によってその全体が本願に組み込まれる。
【0002】
<発明の分野>
本発明は、航空宇宙用及び自動車用の形状鋳物品(shaped castings)に用いられるアルミニウム合金と、該合金の鋳造部品を製造する方法である。
【背景技術】
【0003】
<発明の背景>
鋳造されたアルミニウム部品は、重量低減のために自動車サスペンションにおける構造的用途に用いられる。最も一般的に使用されている合金のグループはAl−Si7−Mgであり、強度限界が確証されている。より軽量の部品を得るために、より高強度の材料が要請されており、設計に関する材料特性の確証が必要である。現在、A356.0(最も一般的に使用されているAl−Si7−Mg合金)から作られた鋳造材料は、最大抗張力(ultimate tensile strength)が290MPa(42,060psi)、引張降伏強度(tensile yield strength)が220MPa(31,908psi)。伸びが8%以上保証される。
【0004】
Al−Si7−Mg合金よりも高強度を有する種々の代替合金が存在し、登録されている。しかしながら、これら合金は、鋳造性、腐食電位又は流動性に問題があり、これらの問題は簡単には解消されない。それゆえ、これらの代替合金は、あまり好適に使用されていなう。
【0005】
高強度が要求される場合、鍛造品が用いられることがある。これらは、一般的には、鋳造品よりもコストが高くつく。もし、強度、伸び、耐食性、疲労強度等の点で鍛造品に比べて遜色のない鋳造品を用いることができれば、相当なコスト削減となり得る。これは、航空宇宙用及び自動車用の両方に当てはまる。
【0006】
Al−Si7−Mg材料よりも引張強度及び耐疲労性にすぐれる鋳造合金が望ましい。そのような改良を行なうことができれば、新部品の重量低減が可能であるし、既存部品でも改良された材料特性を大いに利用できるように再設計することにより重量低減が可能である。
【発明の開示】
【0007】
<発明の概要>
本発明の合金は、Al−Zn−Mg基合金であって、低圧の永久鋳型又は半永久鋳型スクィーズ(squeeze)、高圧ダイ、圧力又は重力鋳造、消失模型(lost foam)、インベストメント鋳造、V鋳型(V-mold)又は砂型鋳造に用いられ、以下の組成範囲(全て重量パーセント)を有している:
Zn:約3.5〜5.5%、
Mg:約1〜3%、
Cu:約0.05〜0.5%、
Si:約1%未満、
Fe及びその他付随的不純物:約0.30%未満、
Mn:約0.30%未満。
【0008】
鋳造性を改善するために、約1.0%までのシリコンが用いられてもよい。強度を高めるために、より少ない量のシリコンが用いられてもよい。用途によっては、鋳造性を向上させるために、約0.3%までのマンガンが用いられてもよい。その他の合金では、マンガンは回避されることになっている。
【0009】
前記合金はまた、二ホウ化チタン(TiB2)又は炭化チタン(TiC)等の結晶微細化剤及び/又はジルコニウム又はスカンジウム等の再結晶防止剤を含むことができる。二ホウ化チタンが結晶微細化剤として用いられる場合、合金中のボロン濃度は、約0.0025〜約0.05%の範囲内であってよい。同様に、炭化チタンが結晶微細化剤として用いられる場合、合金中の炭素濃度は、約0.0025〜約0.05%の範囲内であってよい。代表的な結晶微細化剤は、TiC又はTiB2を含有するアルミニウム合金である。
【0010】
ジルコニウムが、溶体化熱処理中の結晶粒成長を防止するために用いられる場合、一般的には、0.2%以下の範囲内で用いられる。スカンジウムもまた、0.3%以下の範囲で用いられることができる。
【0011】
T6質別(T6 temper)では、前記合金は、A356.0−T6と同様な伸びを維持しつつ、A356.0−T6で得られるものよりも引張降伏強度が50%高い結果を示した。これは、Al−Si−Mg合金として今日容易に入手可能な合金(例えばA356.0−T6又はA357.0−T6)よりも高強度が必要とされる部品設計が可能であることを意味する。T6質別の疲労性能は、A356.0−T6材料と比べて、30%大きい。
【0012】
<発明の要旨>
一態様において、本発明は、Zn:約3.5〜5.5%、Mg:約1〜3%及びCu:約0.05〜0.5%を含むアルミニウム合金であり、該アルミニウム合金は、Si:約1%未満を含有している。
【0013】
他の態様において、本発明は、熱処理可能な形状鋳物品であって、該形状鋳物品は、Zn:約3.5〜5.5%、Mg:約1〜3%、Cu:約0.05〜0.5%及びSi:約1%未満を含むアルミニウム合金からなる。
【0014】
他の態様において、本発明は、熱処理可能なアルミニウム合金の形状鋳物品を作製する方法である。該方法は、Zn:約3.5〜5.5%、Mg:約1〜3%、Cu:約0.05〜0.5%及びSi:約1%未満を含むアルミニウム合金の溶融物(molten mass)を作製することを含んでいる。前記方法は、形状鋳物品を製造できる形状に作られた鋳型の中で溶融物の少なくとも一部分を鋳造すること、溶融物を凝固させること、及び形状鋳物品を鋳型から取り除くことをさらに含んでいる。
【0015】
<望ましい実施例の詳細な説明及び従来合金との比較>
この明細書に記載する値のあらゆる数値範囲については、規定した最小値と最大値との間における各々の数字及び/又は分数並びにあらゆる数字及び/又は分数(fraction)を含むものと理解される。例えば、Zn:約3.5〜5.5重量%について説明すると、この範囲は、約3.6、3.7、3.8及び3.9%から、5.3、5.35、5.4、5.475及び5.499%までのあらゆる中間値を明示的に含むものである。これは、この明細書に記載した各々の他の各数値的特性及び/又は元素範囲に対して当てはまる。
【0016】
表1は、供試合金の組成データを示している。第1ラインと第3ラインは、一方向性凝固(directionally solidified)による鋳造品に用いられた組成を示している。第2ラインは、形状鋳物品(shaped casting)に使用された組成を示している。形状鋳物品は、図6に示されるフロントナックル(front knuckle)である。
【0017】
【表1】
【0018】
表2は、表1の第1データライン及び第3データラインに示される組成を有し、一方向性凝固された合金の室温での機械的性質を示している。表2の第1データラインは、表1の第1データラインの組成を有する合金を一方向性凝固したものを5週間自然時効した後のデータである。表2の第2データラインは、同じ合金のT5熱処理後のデータであり、表2の第3データラインは、同じ合金のT6熱処理後のデータである。表2の第4データライン及び第5データラインは、表1の第3ラインの組成を有する合金(高Cu合金)に対するもので、T6熱処理後のデータである。
【0019】
【表2】
【0020】
本発明の一方向性凝固による試料について、熱処理中のの機械的性質の変化を、図5に示している。これらの試料の組成は、表1の第1データ列に示されている。溶体化熱処理は、1030°F(554℃)の温度で8時間行ない、次に低温水でクエンチングした後、人工時効を行なった。様々な条件で人工時効した後、試料をオーブンから取り出し、機械的試験を行なった。測定した特性は、TYS、UTS及び伸び率である。人工時効の処理時間は15時間である。最初の6時間は、250°F(121℃)の温度である。次の9時間は、320°F(160℃)の温度である。図5の左側に、TYSとUTSの値のスケール、右側に伸び率のスケールを示している。
【0021】
表3は、図6に示されるフロントナックル鋳物品のデータを示している。これは、本発明に係る合金であって、表1の第2データ列に示される組成を有している。引張試験用試料の採取位置1、2及び3は、図6に示されている。試験は、1つの鋳物品についてT5熱処理を行ない、1つの鋳物品についてT6熱処理を行なった。T5熱処理は、160℃で6時間の熱処理であり、T6熱処理は、554℃で8時間の溶体化熱処理の後、低温水でクエンチングし、次に、121℃で6時間、160℃で6時間の人工時効処理である
【0022】
【表3】
【0023】
表3を参照すると、合金は、T5質別とT6質別の両方において、極めて高い引張強度値と優れた伸びが得られたことに注目すべきである。なお、組成は、表1の第2データラインに示されている。表3に示されたデータをプロットしたものを図7に示している。
【0024】
図8のグラフは、本発明合金のS−N疲労応答と、従来合金のA356.0−T6の疲労応答を比較して示している。この試験方法は、ASTM E466, R=-1である。100,000サイクル後、本発明の合金は、従来合金より著しく優れていることが分かる。
【0025】
T6状態の本発明合金について階段疲労試験(staircase fatigue testing)を行ない、従来合金A356.0−T6の応答との比較を、図9のグラフに示している。A356.0−T6は、平均の計算値である。本発明の合金の組成は、表1の第2データ列に示されている。
【0026】
試料は、526℃又は554℃で溶体化熱処理した後、クエンチングし、次に160℃で6時間人工時効した。前記と同じように、これらの試料の疲労応答は、A356.0−T6材料と比べて顕著に改善されている。
【0027】
本発明の合金の平均疲労強度は、109.33MPaであり、標準偏差は9.02MPaであった。平均疲労強度の標準偏差は3.01MPaであった。A356.0 T6の107サイクルにおける平均疲労強度の計算値は、70MPaである。
【0028】
本発明合金の耐食性について、ASTM G110腐食試験により調べた。この試験は、"Standard Practice for Evaluating Intergranular Corrosion Resistance of Heat Treatable Aluminum Alloys by Immersion in Sodium Chloride + Hydrogen Peroxide Solution"(熱処理可能なアルミニウム合金の粒界耐食性を、塩化ナトリウム+過酸化水素溶液中での浸漬によって評価するための標準実施要領)である。
【0029】
この試験では、試料を、NaCl57g/L及びH2O2(30%)10mL/Lを含む溶液中に6−24時間浸漬する。次に、試料を切断し、横断面を、光学顕微鏡にて観察し、腐食攻撃の種類(粒界腐食又は孔食)及び深さを調べた。
【0030】
図10は、本発明合金と合金A356.0について、ASTM G110腐食試験を6時間及び12時間行なった後の腐食攻撃の深さを示すグラフである。
【0031】
図11及び図12は、本発明合金について、ASTM G110腐食試験を24時間行なった後の顕微鏡写真である。これらの顕微鏡写真では、粒界腐食はほんの極く僅かに観察されるのみである。
【0032】
図13は、A356.0合金について、ASTM G110腐食試験を24時間行なった後の顕微鏡写真である。この顕微鏡写真では、かなりの粒界腐食が観察される。
【0033】
さらなる腐食試験として、ASTM G44試験を実施した。この試験は、"Standard Practice for Exposure of Metals and Alloys by Alternate Immersion in Neutral 3.5% Sodium Chloride Solution"(金属及び合金を、3.5%塩化ナトリウム中性溶液中に交互浸漬による曝露を行なう標準実施要領)である。 この試験では、試料を、3.5%NaCl溶液に10分間浸漬し、実験室雰囲気にて50分間放置する1時間サイクルである。この1時間サイクルを連続して繰り返した。試験中、試料の割れ(crackes)及び欠陥(failures)について、所定時間毎に検査した。
【0034】
表4は、ASTM G44試験に用いた様々な本発明合金の組成を示している。
【表4】
【0035】
表5は、表4に示された合金組成の試験結果を示している。
【表5】
【0036】
図14は、3つの試験の結果を表すグラフである。本発明合金は、マグネシウム含有量が多いとき、銅の含有量が増えると、応力腐食割れに対する抵抗性が向上することを示している。
【0037】
図15は、銅及びマグネシウムの含有量が、本発明合金の応力腐食割れに及ぼす影響を示すグラフである。この図を参照すると、マグネシウムを1.5〜2%の範囲で含有する本発明合金は、銅を0.25〜0.3%の範囲で含有することが望ましいことを示している。
【0038】
表6及び表7は、工場での試験の結果を示している。この試験では、繰返しショットは単一液体金属リザーバから作られた。試験の実施日は、4月4日、6月4日、9月4日である。どの日についても、鋳物品の組成は、ほとんど変わらなかった。
【0039】
表6は、試験の各実施日に採取した試料の組成の範囲を表している。この組成は、マグネシウムと銅の含有量が多く、極めて高い強度レベルがもたらされることが予想された。
【0040】
【表6】
【0041】
表7は、各供試鋳物品について、異なる4つの位置における応力データ(最大抗張力、引張降伏強度及び伸び)を表している。試料番号の欄は、個々の鋳物品を表している。位置の欄は、鋳物品からカットされた個々の機械試験用試料の位置を表している。
【0042】
【表7】
【0043】
このように、マグネシウムと銅の含有量が多いとき、強度レベルにすぐれ、良好な伸びが得られる。
【0044】
本発明の望ましい実施例について説明したが、特許請求の範囲に規定された範囲内で、本発明を他の実施形態にすることも可能であることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】収縮鋳型(shrinkage mold)の中で鋳造した従来合金A356.0の切断試料の切断面の写真であって、従来合金A356.0の収縮割れ傾向を示している。
【図2】図1と同様、収縮鋳型の中で鋳造した従来合金A356.0の第2試料の切断面の写真であって、従来合金A356.0の収縮割れ傾向を示している。
【図3】収縮鋳型の中で鋳造した本発明合金の試料の切断面の写真であって、収縮割れが無いことを示している。
【図4】図3と同様、収縮鋳型の中で鋳造した本発明合金の第2試料の切断面の写真であって、収縮割れが無いことを示している。
【図5】本発明合金のT6状態における一方向性凝固試料の強度と伸びに関するデータを示している。
【図6】本発明合金のフロントナックル鋳物品の写真であって、引張試験用試料の採取位置を示している。
【図7】T5処理及びT6処理した鋳物品について、図6に示すカット位置から得た引張試験用試料の強度及び伸びに関するデータを示すグラフである。
【図8】本発明合金のT6状態におけるS−N疲労応答(ASTM E466試験, R=-1)と、従来合金A356.0−T6の疲労応答との比較を示すグラフである。
【図9】本発明合金のT6状態における階段疲労試験を、従来合金A356.0−T6の平均疲労強度を有するA356.0−T6の応答と比較して示すグラフである。
【図10】本発明合金と従来合金A356.0−T6について、粒界腐食試験後の攻撃深さの比較を示すグラフである。
【図11】本発明合金の粒界腐食試験後の顕微鏡写真で、試料のアズキャスト(as cast)面の顕微鏡写真である。
【図12】本発明合金の粒界腐食試験後の顕微鏡写真で、試料の機械加工面の顕微鏡写真である。
【図13】従来合金A356の粒界腐食試験後の顕微鏡写真である。
【図14】銅の含有量が異なる本発明合金の応力腐食試験結果を表すグラフである。
【図15】銅とマグネシウムの含有量が、本発明合金の応力腐食割れに及ぼす影響を示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
この出願は、2004年4月22日に出願された米国仮出願第60/564,813号の利益を主張し、該出願は参照を以てその全体が本願に組み込まれる。また、この出願は、同時に出願された特許出願"Heat Treatable Al-Zn-Mg Alloy for Aerospace and Automotive Castings"(航空宇宙用及び自動車の鋳物品用の熱処理可能なAl−Zn−Mg合金)とも密接な関連性を有しており、前記特許出願についても参照によってその全体が本願に組み込まれる。
【0002】
<発明の分野>
本発明は、航空宇宙用及び自動車用の形状鋳物品(shaped castings)に用いられるアルミニウム合金と、該合金の鋳造部品を製造する方法である。
【背景技術】
【0003】
<発明の背景>
鋳造されたアルミニウム部品は、重量低減のために自動車サスペンションにおける構造的用途に用いられる。最も一般的に使用されている合金のグループはAl−Si7−Mgであり、強度限界が確証されている。より軽量の部品を得るために、より高強度の材料が要請されており、設計に関する材料特性の確証が必要である。現在、A356.0(最も一般的に使用されているAl−Si7−Mg合金)から作られた鋳造材料は、最大抗張力(ultimate tensile strength)が290MPa(42,060psi)、引張降伏強度(tensile yield strength)が220MPa(31,908psi)。伸びが8%以上保証される。
【0004】
Al−Si7−Mg合金よりも高強度を有する種々の代替合金が存在し、登録されている。しかしながら、これら合金は、鋳造性、腐食電位又は流動性に問題があり、これらの問題は簡単には解消されない。それゆえ、これらの代替合金は、あまり好適に使用されていなう。
【0005】
高強度が要求される場合、鍛造品が用いられることがある。これらは、一般的には、鋳造品よりもコストが高くつく。もし、強度、伸び、耐食性、疲労強度等の点で鍛造品に比べて遜色のない鋳造品を用いることができれば、相当なコスト削減となり得る。これは、航空宇宙用及び自動車用の両方に当てはまる。
【0006】
Al−Si7−Mg材料よりも引張強度及び耐疲労性にすぐれる鋳造合金が望ましい。そのような改良を行なうことができれば、新部品の重量低減が可能であるし、既存部品でも改良された材料特性を大いに利用できるように再設計することにより重量低減が可能である。
【発明の開示】
【0007】
<発明の概要>
本発明の合金は、Al−Zn−Mg基合金であって、低圧の永久鋳型又は半永久鋳型スクィーズ(squeeze)、高圧ダイ、圧力又は重力鋳造、消失模型(lost foam)、インベストメント鋳造、V鋳型(V-mold)又は砂型鋳造に用いられ、以下の組成範囲(全て重量パーセント)を有している:
Zn:約3.5〜5.5%、
Mg:約1〜3%、
Cu:約0.05〜0.5%、
Si:約1%未満、
Fe及びその他付随的不純物:約0.30%未満、
Mn:約0.30%未満。
【0008】
鋳造性を改善するために、約1.0%までのシリコンが用いられてもよい。強度を高めるために、より少ない量のシリコンが用いられてもよい。用途によっては、鋳造性を向上させるために、約0.3%までのマンガンが用いられてもよい。その他の合金では、マンガンは回避されることになっている。
【0009】
前記合金はまた、二ホウ化チタン(TiB2)又は炭化チタン(TiC)等の結晶微細化剤及び/又はジルコニウム又はスカンジウム等の再結晶防止剤を含むことができる。二ホウ化チタンが結晶微細化剤として用いられる場合、合金中のボロン濃度は、約0.0025〜約0.05%の範囲内であってよい。同様に、炭化チタンが結晶微細化剤として用いられる場合、合金中の炭素濃度は、約0.0025〜約0.05%の範囲内であってよい。代表的な結晶微細化剤は、TiC又はTiB2を含有するアルミニウム合金である。
【0010】
ジルコニウムが、溶体化熱処理中の結晶粒成長を防止するために用いられる場合、一般的には、0.2%以下の範囲内で用いられる。スカンジウムもまた、0.3%以下の範囲で用いられることができる。
【0011】
T6質別(T6 temper)では、前記合金は、A356.0−T6と同様な伸びを維持しつつ、A356.0−T6で得られるものよりも引張降伏強度が50%高い結果を示した。これは、Al−Si−Mg合金として今日容易に入手可能な合金(例えばA356.0−T6又はA357.0−T6)よりも高強度が必要とされる部品設計が可能であることを意味する。T6質別の疲労性能は、A356.0−T6材料と比べて、30%大きい。
【0012】
<発明の要旨>
一態様において、本発明は、Zn:約3.5〜5.5%、Mg:約1〜3%及びCu:約0.05〜0.5%を含むアルミニウム合金であり、該アルミニウム合金は、Si:約1%未満を含有している。
【0013】
他の態様において、本発明は、熱処理可能な形状鋳物品であって、該形状鋳物品は、Zn:約3.5〜5.5%、Mg:約1〜3%、Cu:約0.05〜0.5%及びSi:約1%未満を含むアルミニウム合金からなる。
【0014】
他の態様において、本発明は、熱処理可能なアルミニウム合金の形状鋳物品を作製する方法である。該方法は、Zn:約3.5〜5.5%、Mg:約1〜3%、Cu:約0.05〜0.5%及びSi:約1%未満を含むアルミニウム合金の溶融物(molten mass)を作製することを含んでいる。前記方法は、形状鋳物品を製造できる形状に作られた鋳型の中で溶融物の少なくとも一部分を鋳造すること、溶融物を凝固させること、及び形状鋳物品を鋳型から取り除くことをさらに含んでいる。
【0015】
<望ましい実施例の詳細な説明及び従来合金との比較>
この明細書に記載する値のあらゆる数値範囲については、規定した最小値と最大値との間における各々の数字及び/又は分数並びにあらゆる数字及び/又は分数(fraction)を含むものと理解される。例えば、Zn:約3.5〜5.5重量%について説明すると、この範囲は、約3.6、3.7、3.8及び3.9%から、5.3、5.35、5.4、5.475及び5.499%までのあらゆる中間値を明示的に含むものである。これは、この明細書に記載した各々の他の各数値的特性及び/又は元素範囲に対して当てはまる。
【0016】
表1は、供試合金の組成データを示している。第1ラインと第3ラインは、一方向性凝固(directionally solidified)による鋳造品に用いられた組成を示している。第2ラインは、形状鋳物品(shaped casting)に使用された組成を示している。形状鋳物品は、図6に示されるフロントナックル(front knuckle)である。
【0017】
【表1】
【0018】
表2は、表1の第1データライン及び第3データラインに示される組成を有し、一方向性凝固された合金の室温での機械的性質を示している。表2の第1データラインは、表1の第1データラインの組成を有する合金を一方向性凝固したものを5週間自然時効した後のデータである。表2の第2データラインは、同じ合金のT5熱処理後のデータであり、表2の第3データラインは、同じ合金のT6熱処理後のデータである。表2の第4データライン及び第5データラインは、表1の第3ラインの組成を有する合金(高Cu合金)に対するもので、T6熱処理後のデータである。
【0019】
【表2】
【0020】
本発明の一方向性凝固による試料について、熱処理中のの機械的性質の変化を、図5に示している。これらの試料の組成は、表1の第1データ列に示されている。溶体化熱処理は、1030°F(554℃)の温度で8時間行ない、次に低温水でクエンチングした後、人工時効を行なった。様々な条件で人工時効した後、試料をオーブンから取り出し、機械的試験を行なった。測定した特性は、TYS、UTS及び伸び率である。人工時効の処理時間は15時間である。最初の6時間は、250°F(121℃)の温度である。次の9時間は、320°F(160℃)の温度である。図5の左側に、TYSとUTSの値のスケール、右側に伸び率のスケールを示している。
【0021】
表3は、図6に示されるフロントナックル鋳物品のデータを示している。これは、本発明に係る合金であって、表1の第2データ列に示される組成を有している。引張試験用試料の採取位置1、2及び3は、図6に示されている。試験は、1つの鋳物品についてT5熱処理を行ない、1つの鋳物品についてT6熱処理を行なった。T5熱処理は、160℃で6時間の熱処理であり、T6熱処理は、554℃で8時間の溶体化熱処理の後、低温水でクエンチングし、次に、121℃で6時間、160℃で6時間の人工時効処理である
【0022】
【表3】
【0023】
表3を参照すると、合金は、T5質別とT6質別の両方において、極めて高い引張強度値と優れた伸びが得られたことに注目すべきである。なお、組成は、表1の第2データラインに示されている。表3に示されたデータをプロットしたものを図7に示している。
【0024】
図8のグラフは、本発明合金のS−N疲労応答と、従来合金のA356.0−T6の疲労応答を比較して示している。この試験方法は、ASTM E466, R=-1である。100,000サイクル後、本発明の合金は、従来合金より著しく優れていることが分かる。
【0025】
T6状態の本発明合金について階段疲労試験(staircase fatigue testing)を行ない、従来合金A356.0−T6の応答との比較を、図9のグラフに示している。A356.0−T6は、平均の計算値である。本発明の合金の組成は、表1の第2データ列に示されている。
【0026】
試料は、526℃又は554℃で溶体化熱処理した後、クエンチングし、次に160℃で6時間人工時効した。前記と同じように、これらの試料の疲労応答は、A356.0−T6材料と比べて顕著に改善されている。
【0027】
本発明の合金の平均疲労強度は、109.33MPaであり、標準偏差は9.02MPaであった。平均疲労強度の標準偏差は3.01MPaであった。A356.0 T6の107サイクルにおける平均疲労強度の計算値は、70MPaである。
【0028】
本発明合金の耐食性について、ASTM G110腐食試験により調べた。この試験は、"Standard Practice for Evaluating Intergranular Corrosion Resistance of Heat Treatable Aluminum Alloys by Immersion in Sodium Chloride + Hydrogen Peroxide Solution"(熱処理可能なアルミニウム合金の粒界耐食性を、塩化ナトリウム+過酸化水素溶液中での浸漬によって評価するための標準実施要領)である。
【0029】
この試験では、試料を、NaCl57g/L及びH2O2(30%)10mL/Lを含む溶液中に6−24時間浸漬する。次に、試料を切断し、横断面を、光学顕微鏡にて観察し、腐食攻撃の種類(粒界腐食又は孔食)及び深さを調べた。
【0030】
図10は、本発明合金と合金A356.0について、ASTM G110腐食試験を6時間及び12時間行なった後の腐食攻撃の深さを示すグラフである。
【0031】
図11及び図12は、本発明合金について、ASTM G110腐食試験を24時間行なった後の顕微鏡写真である。これらの顕微鏡写真では、粒界腐食はほんの極く僅かに観察されるのみである。
【0032】
図13は、A356.0合金について、ASTM G110腐食試験を24時間行なった後の顕微鏡写真である。この顕微鏡写真では、かなりの粒界腐食が観察される。
【0033】
さらなる腐食試験として、ASTM G44試験を実施した。この試験は、"Standard Practice for Exposure of Metals and Alloys by Alternate Immersion in Neutral 3.5% Sodium Chloride Solution"(金属及び合金を、3.5%塩化ナトリウム中性溶液中に交互浸漬による曝露を行なう標準実施要領)である。 この試験では、試料を、3.5%NaCl溶液に10分間浸漬し、実験室雰囲気にて50分間放置する1時間サイクルである。この1時間サイクルを連続して繰り返した。試験中、試料の割れ(crackes)及び欠陥(failures)について、所定時間毎に検査した。
【0034】
表4は、ASTM G44試験に用いた様々な本発明合金の組成を示している。
【表4】
【0035】
表5は、表4に示された合金組成の試験結果を示している。
【表5】
【0036】
図14は、3つの試験の結果を表すグラフである。本発明合金は、マグネシウム含有量が多いとき、銅の含有量が増えると、応力腐食割れに対する抵抗性が向上することを示している。
【0037】
図15は、銅及びマグネシウムの含有量が、本発明合金の応力腐食割れに及ぼす影響を示すグラフである。この図を参照すると、マグネシウムを1.5〜2%の範囲で含有する本発明合金は、銅を0.25〜0.3%の範囲で含有することが望ましいことを示している。
【0038】
表6及び表7は、工場での試験の結果を示している。この試験では、繰返しショットは単一液体金属リザーバから作られた。試験の実施日は、4月4日、6月4日、9月4日である。どの日についても、鋳物品の組成は、ほとんど変わらなかった。
【0039】
表6は、試験の各実施日に採取した試料の組成の範囲を表している。この組成は、マグネシウムと銅の含有量が多く、極めて高い強度レベルがもたらされることが予想された。
【0040】
【表6】
【0041】
表7は、各供試鋳物品について、異なる4つの位置における応力データ(最大抗張力、引張降伏強度及び伸び)を表している。試料番号の欄は、個々の鋳物品を表している。位置の欄は、鋳物品からカットされた個々の機械試験用試料の位置を表している。
【0042】
【表7】
【0043】
このように、マグネシウムと銅の含有量が多いとき、強度レベルにすぐれ、良好な伸びが得られる。
【0044】
本発明の望ましい実施例について説明したが、特許請求の範囲に規定された範囲内で、本発明を他の実施形態にすることも可能であることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】収縮鋳型(shrinkage mold)の中で鋳造した従来合金A356.0の切断試料の切断面の写真であって、従来合金A356.0の収縮割れ傾向を示している。
【図2】図1と同様、収縮鋳型の中で鋳造した従来合金A356.0の第2試料の切断面の写真であって、従来合金A356.0の収縮割れ傾向を示している。
【図3】収縮鋳型の中で鋳造した本発明合金の試料の切断面の写真であって、収縮割れが無いことを示している。
【図4】図3と同様、収縮鋳型の中で鋳造した本発明合金の第2試料の切断面の写真であって、収縮割れが無いことを示している。
【図5】本発明合金のT6状態における一方向性凝固試料の強度と伸びに関するデータを示している。
【図6】本発明合金のフロントナックル鋳物品の写真であって、引張試験用試料の採取位置を示している。
【図7】T5処理及びT6処理した鋳物品について、図6に示すカット位置から得た引張試験用試料の強度及び伸びに関するデータを示すグラフである。
【図8】本発明合金のT6状態におけるS−N疲労応答(ASTM E466試験, R=-1)と、従来合金A356.0−T6の疲労応答との比較を示すグラフである。
【図9】本発明合金のT6状態における階段疲労試験を、従来合金A356.0−T6の平均疲労強度を有するA356.0−T6の応答と比較して示すグラフである。
【図10】本発明合金と従来合金A356.0−T6について、粒界腐食試験後の攻撃深さの比較を示すグラフである。
【図11】本発明合金の粒界腐食試験後の顕微鏡写真で、試料のアズキャスト(as cast)面の顕微鏡写真である。
【図12】本発明合金の粒界腐食試験後の顕微鏡写真で、試料の機械加工面の顕微鏡写真である。
【図13】従来合金A356の粒界腐食試験後の顕微鏡写真である。
【図14】銅の含有量が異なる本発明合金の応力腐食試験結果を表すグラフである。
【図15】銅とマグネシウムの含有量が、本発明合金の応力腐食割れに及ぼす影響を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状鋳物品用の熱処理可能なアルミニウム合金であって、重量パーセントにて、
Zn:約3.5〜5.5%、
Mg:約1〜3%、
Cu:約0.05〜0.5%、
Si:約1%未満、
を含んでいるアルミニウム合金。
【請求項2】
ボロン、炭素及びその両方から成る群から選択される少なくとも1種の結晶微細化剤をさらに含んでいる請求項1に記載のアルミニウム合金。
【請求項3】
少なくとも1種の結晶微細化剤は、ボロンを、約0.0025〜約0.05%の範囲で含んでいる請求項2に記載のアルミニウム合金。
【請求項4】
少なくとも1種の結晶微細化剤は、炭素を、約0.0025〜約0.05%の範囲で含んでいる請求項2に記載のアルミニウム合金。
【請求項5】
ジルコニウム、スカンジウム及びその両方から成る群から選択される少なくとも1種の再結晶防止剤をさらに含んでいる請求項1に記載のアルミニウム合金。
【請求項6】
少なくとも1種の再結晶防止剤は、ジルコニウムを0.2%以下の範囲で含んでいる請求項5に記載のアルミニウム合金。
【請求項7】
少なくとも1種の再結晶防止剤は、スカンジウムを0.3%以下の範囲で含んでいる請求項5に記載のアルミニウム合金。
【請求項8】
亜鉛の濃度は約4.2〜4.8%である請求項1に記載のアルミニウム合金。
【請求項9】
マグネシウムの濃度は約1.7〜2.3%である請求項1に記載のアルミニウム合金。
【請求項10】
銅の濃度は約0.25〜0.3%である請求項8に記載のアルミニウム合金。
【請求項11】
銅の濃度は約0.27〜0.28%である請求項10に記載のアルミニウム合金。
【請求項12】
合金中の鉄の濃度は約0.3%未満である請求項1に記載のアルミニウム合金。
【請求項13】
合金中のマンガンの濃度は約0.3%未満である請求項1に記載のアルミニウム合金。
【請求項14】
アルミニウム合金から成る形状鋳物品であって、前記アルミニウム合金は、
Zn:約3.5〜5.5%、
Mg:約1〜3%、
Cu:約0.05〜0.5%、
Si:約1%未満、
の合金成分を含んでいる、形状鋳物品。
【請求項15】
T5熱処理が施されている請求項14に記載の形状鋳物品。
【請求項16】
T6熱処理が施されている請求項14に記載の形状鋳物品。
【請求項17】
亜鉛の濃度は約4.2〜4.8%である請求項14に記載の形状鋳物品。
【請求項18】
マグネシウムの濃度は約1.8〜2.2%である請求項14に記載の形状鋳物品。
【請求項19】
銅の濃度は約0.25〜0.3%である請求項14に記載の形状鋳物品。
【請求項20】
銅の濃度は約0.27〜0.28%である請求項14に記載の形状鋳物品。
【請求項21】
アルミニウム合金の形状鋳物品を製造する方法であって、
Zn:約3.5〜5.5%、Mg:約1〜3%、Cu:約0.05〜0.5%、Si:約1%未満を含むアルミニウム合金の溶融物を調製し、
前記形状鋳物品を製造する形状に作られた鋳型の中で、溶融物の少なくとも一部分を鋳造し、
鋳型の中で溶融物を凝固させ、
得られた形状鋳物品を鋳型から取り除く、
ことを含んでいる方法。
【請求項22】
形状鋳物品にT5熱処理を施すことをさらに含んでいる請求項21に記載の方法。
【請求項23】
形状鋳物品にT6熱処理を施すことをさらに含んでいる請求項21に記載の方法。
【請求項24】
亜鉛の濃度は約4.2〜4.8%である請求項21に記載の方法。
【請求項25】
マグネシウムの濃度は約1.8〜2.2%である請求項21に記載の方法。
【請求項26】
銅の濃度は約0.25〜0.3%である請求項21に記載の方法。
【請求項27】
銅の濃度は約0.27〜0.28%である請求項26に記載の方法。
【請求項1】
形状鋳物品用の熱処理可能なアルミニウム合金であって、重量パーセントにて、
Zn:約3.5〜5.5%、
Mg:約1〜3%、
Cu:約0.05〜0.5%、
Si:約1%未満、
を含んでいるアルミニウム合金。
【請求項2】
ボロン、炭素及びその両方から成る群から選択される少なくとも1種の結晶微細化剤をさらに含んでいる請求項1に記載のアルミニウム合金。
【請求項3】
少なくとも1種の結晶微細化剤は、ボロンを、約0.0025〜約0.05%の範囲で含んでいる請求項2に記載のアルミニウム合金。
【請求項4】
少なくとも1種の結晶微細化剤は、炭素を、約0.0025〜約0.05%の範囲で含んでいる請求項2に記載のアルミニウム合金。
【請求項5】
ジルコニウム、スカンジウム及びその両方から成る群から選択される少なくとも1種の再結晶防止剤をさらに含んでいる請求項1に記載のアルミニウム合金。
【請求項6】
少なくとも1種の再結晶防止剤は、ジルコニウムを0.2%以下の範囲で含んでいる請求項5に記載のアルミニウム合金。
【請求項7】
少なくとも1種の再結晶防止剤は、スカンジウムを0.3%以下の範囲で含んでいる請求項5に記載のアルミニウム合金。
【請求項8】
亜鉛の濃度は約4.2〜4.8%である請求項1に記載のアルミニウム合金。
【請求項9】
マグネシウムの濃度は約1.7〜2.3%である請求項1に記載のアルミニウム合金。
【請求項10】
銅の濃度は約0.25〜0.3%である請求項8に記載のアルミニウム合金。
【請求項11】
銅の濃度は約0.27〜0.28%である請求項10に記載のアルミニウム合金。
【請求項12】
合金中の鉄の濃度は約0.3%未満である請求項1に記載のアルミニウム合金。
【請求項13】
合金中のマンガンの濃度は約0.3%未満である請求項1に記載のアルミニウム合金。
【請求項14】
アルミニウム合金から成る形状鋳物品であって、前記アルミニウム合金は、
Zn:約3.5〜5.5%、
Mg:約1〜3%、
Cu:約0.05〜0.5%、
Si:約1%未満、
の合金成分を含んでいる、形状鋳物品。
【請求項15】
T5熱処理が施されている請求項14に記載の形状鋳物品。
【請求項16】
T6熱処理が施されている請求項14に記載の形状鋳物品。
【請求項17】
亜鉛の濃度は約4.2〜4.8%である請求項14に記載の形状鋳物品。
【請求項18】
マグネシウムの濃度は約1.8〜2.2%である請求項14に記載の形状鋳物品。
【請求項19】
銅の濃度は約0.25〜0.3%である請求項14に記載の形状鋳物品。
【請求項20】
銅の濃度は約0.27〜0.28%である請求項14に記載の形状鋳物品。
【請求項21】
アルミニウム合金の形状鋳物品を製造する方法であって、
Zn:約3.5〜5.5%、Mg:約1〜3%、Cu:約0.05〜0.5%、Si:約1%未満を含むアルミニウム合金の溶融物を調製し、
前記形状鋳物品を製造する形状に作られた鋳型の中で、溶融物の少なくとも一部分を鋳造し、
鋳型の中で溶融物を凝固させ、
得られた形状鋳物品を鋳型から取り除く、
ことを含んでいる方法。
【請求項22】
形状鋳物品にT5熱処理を施すことをさらに含んでいる請求項21に記載の方法。
【請求項23】
形状鋳物品にT6熱処理を施すことをさらに含んでいる請求項21に記載の方法。
【請求項24】
亜鉛の濃度は約4.2〜4.8%である請求項21に記載の方法。
【請求項25】
マグネシウムの濃度は約1.8〜2.2%である請求項21に記載の方法。
【請求項26】
銅の濃度は約0.25〜0.3%である請求項21に記載の方法。
【請求項27】
銅の濃度は約0.27〜0.28%である請求項26に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2007−534840(P2007−534840A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509667(P2007−509667)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/013769
【国際公開番号】WO2005/106058
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(500277629)アルコア インコーポレイテッド (49)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/013769
【国際公開番号】WO2005/106058
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(500277629)アルコア インコーポレイテッド (49)
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