航空機のガスタービンエンジンを洗浄するためのシステム
【課題】航空機エンジンの洗浄を簡便化する。
【解決手段】ガスタービンエンジン(1)を洗浄するシステムは、洗浄操作中にエンジンの吸気口(310)へ液体を注入するノズル(54)を含むスプレー装置(33;90)と、液体をスプレー装置へ分配する洗浄ユニット(31,35)と、スプレー装置を三次元で動かせてエンジンとの接触なしに吸気口に対して三次元で洗浄操作位置へスプレー装置の位置決めをする位置決め装置(34)とを含む。スプレイ装置は、中心軸(501)、中心本体(50;91)、および洗浄動作中にエンジン内へ液体を注入するノズル(54)を有するパイプ(61)を含み、スプレイ装置は、少なくとも1つのパイプと吸気口カウリングとの接触なしにエンジンの吸気口に対する洗浄動作位置に配置され、スプレイ装置が洗浄動作位置にあるときに中心軸がエンジンシャフトに整列させられる。
【解決手段】ガスタービンエンジン(1)を洗浄するシステムは、洗浄操作中にエンジンの吸気口(310)へ液体を注入するノズル(54)を含むスプレー装置(33;90)と、液体をスプレー装置へ分配する洗浄ユニット(31,35)と、スプレー装置を三次元で動かせてエンジンとの接触なしに吸気口に対して三次元で洗浄操作位置へスプレー装置の位置決めをする位置決め装置(34)とを含む。スプレイ装置は、中心軸(501)、中心本体(50;91)、および洗浄動作中にエンジン内へ液体を注入するノズル(54)を有するパイプ(61)を含み、スプレイ装置は、少なくとも1つのパイプと吸気口カウリングとの接触なしにエンジンの吸気口に対する洗浄動作位置に配置され、スプレイ装置が洗浄動作位置にあるときに中心軸がエンジンシャフトに整列させられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般にガスタービンエンジンを洗浄する分野に関し、特に航空機に設置されたガスタービンエンジンを洗浄するためのシステムおよび乗物に関する。
【背景技術】
【0002】
技術分野
ガスタービン航空機エンジンは、周囲空気を圧縮するためのコンプレッサと、圧縮された空気とともに燃料を燃焼させるための燃焼器と、コンプレッサに動力を供給するためのタービンとを含む。膨張する燃焼ガスがタービンを駆動し、さらに推進のための推力となる。
【0003】
高高度を飛行している航空機はこれら高度で行き渡る清浄な空気を吸込む。しかしながら、飛行場では、空気は空気流とともにエンジンに入るエアロゾルの形の異物を含む。飛行場の空気に見られる典型的な粒子は、花粉、虫、産業活動から生じる炭化水素および近くの海から生じる塩である。航空機が空港で接地している間は、移動する航空機からのエンジンの排気内の燃焼の残り、航空機の除氷から生じる化学物質および埃などの地上の物質など考慮すべき他の粒子がある。異物の大部分はガスの経路を辿ってエンジンを通り、排気ガスとともに出ていく。しかしながら、エンジンのガスの経路内、特にエンジンのコンプレッサのセクション内の構成要素にくっつく特性を備えた粒子がある。これは付着物として知られる。
【0004】
コンプレッサの付着物は、コンプレッサの構成要素の境界層の空気流の特性の変化に繋がる。異物の存在は構成要素の表面粗さの増加に繋がる。空気が表面上を流れるとき、表面粗さの増加は境界層の空気流が厚くなることに繋がる。境界層の空気流が厚くなることは、質量流量の低減の形でコンプレッサの空気力学に悪影響を有する。ブレードの後縁では、空気流は伴流を形成する。伴流は、空気の流れへの悪影響を伴う渦のタイプの乱気流を形成する。境界層が厚くなるほど、伴流の乱気流が強くなるほど、それは質量流量を低減する。さらに、厚い境界層およびより強い後縁の乱気流は圧縮ゲインの低減に繋がり、これは汚れたコンプレッサが低減された圧力比で空気を圧縮することに繋がる。ヒートエンジンの操作サイクルの当業者は、低減された圧力比がエンジンの熱効率の低下に繋がることを理解するであろう。コンプレッサの付着物は質量流量および圧力ゲインを低減するだけでなく、コンプレッサの等エントロピー効率も低減する。コンプレッサの効率の低減は、コンプレッサが同じ量の空気を圧縮するためにより多くの動力を必要とすることを意味する。コンプレッサを駆動するための動力は軸を介してタービンから取られる。タービンがコンプレッサを駆動するためにより多くの動力を必要としていると、推進のための推力を作るための動力が少なくなる。航空機のパイロットにとって、このことはパイロットが低減された推力を補償するようにより多くの燃料のためにスロットルを開かなければならないことを意味する。より多くの燃料のためにスロットルを開くことは、燃料の消費の増加を意味し、それにより運転経費が増加する。コンプレッサの付着物によって引起こされる性能の損失はエンジンの耐久性も低減する。必要な推力レベルに達するためにより多くの燃料を点火しなければならないため、エンジン点火温度の上昇が生じる。滑走路上でパイロットが離陸のためにスロットルを開くとき、エンジンの熱いセクションの構成要素は危機的な高温の負荷に晒されている。燃焼ガスの温度を制御することはエンジン性能の監視において重要な問題である。排気ガス温度(EGT)として知られる温度の制御は燃焼器の排気口の下流のガス経路内でセンサで測定される。EGTは温度および暴露時間をともに記録することにより、注意深く監視される。エンジンの寿命の間、EGTの記録はしばしば見直される。或る点で、熱いセクションの構成要素が検査され必要であれば取換えられるオーバーホールのためにエンジンが使用できなくなることが必要とされる。
【0005】
コンプレッサの付着物は環境にも悪影響を有する。工場から運ばれた新品のエンジンと、汚れたコンプレッサを備えたエンジンとの燃料消費の差は典型的には1%であり得る。燃料の消費が増加すると、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出が増加する。典型的には航空機燃料の1kgの燃焼は3.1kgの二酸化炭素の形成に繋がる。さらに、高い燃焼器の温度は環境に悪影響を有する。点火温度が上昇するとNOxの形成の増加が生じる。NOxの形成はバーナーの設計に大きく依存し、一般的な数字は提供できない。しかしながら、所与のバーナーの設計に対する増分の温度上昇はNOxの形成の増加に繋がる。したがって、コンプレッサの付着物は、燃料消費を増加させる、エンジンの寿命を低下させる、および排出を増加させるなど、航空機エンジンの性能に悪影響を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,868,860号明細書
【特許文献2】米国特許第6,394,108号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
付着物の悪影響を低減または排除するために、いくつかのエンジン洗浄技術がここ数年で開発されている。最も単純な洗浄方法は、園芸用のホースを用い、エンジンの吸気口に水を噴霧することである。しかしながら、プロセスの単純な性質のため、この方法の成功は限られている。代替の方法は、ブラシおよび液体を用いてブレードを手でこすることである。この方法はコンプレッサの内部のブレードのクリーニンが可能でないため、成功は限られている。さらに、それは時間がかかる。Asplundに対する米国特許第5,868,860号は、航空機エンジンの洗浄のためのマニホールドの使用を開示している。さらにこの特許は、高い液体速度を提供する手段として高い液体圧の使用を開示しており、これはエンジンの軸の回転とともにクリーニング効果を向上する。Butlerに対する米国特許第6,394,108号は、その一端がコンプレッサのブレードの間でコンプレッサの吸気口からコンプレッサの排気口に向かって挿入される薄い柔軟なホースを開示している。ホースの、挿入された端部にはノズルがある。液体がホースへとポンプで汲み上げられノズルを通じて噴霧されている間、ホースはコンプレッサからゆっくりと後退させられる。しかしながら、洗浄効果は、洗浄中に回転できないコンプレッサのロータによって限られている。既存の洗浄技術および特許にかかわらず、より労働集約的でなく、低コストで単純かつ安全なやり方で実用的な洗浄を行なうことを可能にする新しい技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
商業的な航空交通は1つの場所から別の場所へと乗客および品物を運ぶための効率的な道具になっている。今日、航空機の集団は多くの航空機メーカーによって供給された多数の航空機のタイプを含む。これら航空機を推進するために使用されるエンジンは、異なるサイズで異なる性能特性を備えたエンジンを供給するいくつかのエンジンメーカーによって製造される。エンジンメーカーは他のメーカーからのエンジンと互換性のあるエンジンも供給しており、これは同一ではないが、同じ航空機に利用可能な代替のエンジンがあることを意味する。このことは、航空機のタイプでの航空機のエンジンの多くのあり得る組合せに繋がる。このことは、洗浄設備が個々の設計に合うように大きさを決められ作られる必要があるため、洗浄を行なうときに不利である。この発明の目的はエンジンの洗浄を単純にすることである。
【0009】
図1に関して説明されるエンジンの洗浄の実行は、この分野ではさらに常識として見なされる。二軸のターボファンエンジンの断面図が図1に示される。矢印はエンジンを通るガスの流れを示す。エンジン1はロータの軸14の周りに組立てられ、これはその前端でファン15に接続され、後端でタービン16に接続される。タービン16はファン15を駆動する。第2の軸19は第1の軸14と同軸の形である。軸19はその前端でコンプレッサ17に接続され、後端でタービン18に接続される。タービン18はコンプレッサ17を駆動する。エンジン1は吸気口110を有し、ここで吸気口の空気はエンジンに入る。カウリング11は吸気口の空気流のためのガイドの役目をする。吸気口の空気の流れはファン15によって駆動される。吸気口の空気の一部分は排気口11から出る。吸気口の空気の残りの部分は吸気口13からコアエンジンに入る。コアエンジンへの空気は次にコンプレッサ17によって圧縮される。圧縮された空気は燃料(図示せず)とともに燃焼器101で燃焼され、加圧された熱い燃焼ガスになる。加圧された熱い燃焼ガスはコアエンジンの排気口12に向かって膨張する。熱い燃焼ガスの膨張は二段階で行なわれる。第1段階では、燃焼ガスはタービン18を駆動しつつ、中間の圧力へと膨張する。第2段階では、熱い燃焼ガスはタービン16を駆動しつつ、周囲圧力に向かって膨張する。燃焼ガスは高速度で排気口12でエンジンを出て、推力を提供する。排気口12からのガスは、排気口11からの空気とともにエンジンの推力を作る。
【0010】
先行技術による洗浄装置はチューブの形のマニホールド102からなり、これは一端でノズル103に接続され、他端でカップリング104に接続される。ホース105は一端でカップリング104に接続され、他端は液体ポンプ(図示せず)に接続される。マニホールド102は吸気口カウリング11上にあり、それをストラップまたは類似の手段で固定することにより、洗浄中に安定した位置に保持される。洗浄手順はエンジンのスタータモータの支援でエンジンの軸をクランクで回転させることにより開始する。ポンプは洗浄液をノズル103へと汲み上げ、ここでそれは霧状になりスプレー104を形成する。軸の回転はエンジンを通る空気の流れに繋がる。この空気の流れはエンジンを通じて液体を駆動し、付着物を解放する。付着物は洗浄液の機械的および化学的な作用によって解放される。ブレードが濡れると液体の膜を作り、これは洗浄中にドラフトおよび遠心力などの力に晒されるため、軸の回転によりクリーニング効果が向上される。
【0011】
先行技術は洗浄液をエンジンの吸気口に注入するためのノズルを備えたマニホールドの使用を説明している。マニホールドは吸気口カウリングに配置され、カウリングをその支持物として使用することが一般的である。マニホールドは洗浄プロセスのために一時的に設置され、洗浄の完了後に除去される。図2は、ターボファンエンジンの吸気口に設置されたときの先行技術のマニホールドの例を示す。類似の部品は図1と同じ参照番号で示される。マニホールド102はエンジン1への吸気口の吸気口カウリング11上にある。マニホールド102は洗浄中に安定した位置にあるように吸気口カウリングの形状に適合するように製造される。マニホールドが安定した位置に保持されるように、ストラップ21が吸気口の外側でマニホールドに取付けられ、エンジンの排気口に引掛けられたフック(図示せず)に対して締付けられる。洗浄液はカップリング104を介しホース105を通じてポンプ(図示せず)によってマニホールド102へ、さらにノズル103へと汲み上げられる。マニホールド102は洗浄液の導管の役目をするチューブの形である。マニホールド102は洗浄中にノズルを安定した位置に保持するためにノズルに対する硬い支持物としての役割も果たす。良好な洗浄結果のため、マニホールドの適切な位置決めは必須である。このため、マニホールドは吸気口カウリングの形状およびエンジンの特徴的な形状寸法に関して設計され、作られなければならない。さらに、マニホールドは洗浄中にスプレーの反作用力に対してノズルを適切に支持するように設計され、作られなければならない。
【0012】
上述のように、多くの異なる航空機のタイプおよび多くの異なる航空機のエンジンがあり、これは多くの異なる吸気口空気カウリングの設計に繋がる。マニホールドは吸気口カウリング上で支持を得るため、このことは多数の航空機に保守整備を行なうために多くの異なるマニホールドを製造しなければならないことを意味する。このことは、航空会社のオペレータが多数のマニホールドを蓄えなければならないため不利である。
【0013】
好ましい実施例で説明されるようなこの発明は、吸気口カウリングと接触を有さないマニホールドを開示する。この発明によるマニホールドは吸気口カウリングの設計に適合させる要件を排除し、それにより多数のマニホールドの必要性を排除する。この発明の目的は、航空会社のオペレータが在庫しておかなければならないマニホールドの数を低減することである。
【0014】
先行技術によるマニホールドは、大きな航空機のエンジンの大きな吸気口の形状寸法の結果として大きな寸法である。マニホールドはそのため倉庫で大きな保管空間を必要とする。
【0015】
好ましい実施例で説明されるようなこの発明は、先行技術のマニホールドと比較してサイズがはるかに小さい万能のマニホールドを開示する。この発明の目的は、小型のマニホールドを提供することにより保管空間を低減することである。
【0016】
先行技術の設計によるマニホールドは、設計、製造および適合のためのテストをするために大量の労働時間に繋がる。さらに、マニホールドは、エンジンと吸気口カウリングとの特定の組合せを備えた航空機があまり多くないかもしれないため、小さなシリーズでのみ製造される。好ましい実施例で説明されるようなこの発明は、広範囲の航空機および航空機のエンジンに適用可能な万能のマニホールドを開示する。この発明によるマニホールドは原則として一度設計され、より大きなシリーズで製造され得る。これは万能マニホールドのための経費を低減する。この発明の目的は、航空機のオペレータにとっての経費を低減することである。
【0017】
航空機エンジンの洗浄は、航空会社のオペレータまたは空港エンジン洗浄サービスセンターなどの専門家組織によって行なわれ得る。洗浄がサービスセンターによって行なわれる場合、サービスセンターは多数の異なる航空機および航空機のエンジンに保守整備を行なうため、多くのマニホールドを在庫に有することによる不利は、より大きな関心事である。この発明の目的は、空港エンジン洗浄サービスセンターのオペレータにとっての経費を低減することである。
【0018】
この発明の好ましい実施例で開示されるように、この発明による万能かつ非接触のマニホールドはロボットアームなどのアームの使用により定位置に設置および保持される。ロボットアームはエンジンに隣接するオペレータによって制御パネルから操作される。ロボットアームは、航空機と万能のマニホールドとの間の物理的な接触なしに万能のマニホールドをエンジンの吸気口に位置付けることを可能にする。マニホールドを位置付けるためのロボットアームの使用はセットアップ操作を単純化し、かつセットアップをより安全にする。洗浄操作は、エンジンの吸気口と直接視線を合わせることによって、またはロボットアーム上の即時記録カメラなどの閲覧装置の支援でオペレータによって見ることができる。カメラの使用は、オペレータがマニホールドを位置付けることを可能にし、さらにさもなければオペレータが見えないかもしれない洗浄操作の詳細を見ることを可能にする。
【0019】
先行技術のマニホールドの使用に関連するいくつかの関心事について述べてきた。ロボットアームの使用は偶然の損傷の危険性を低減する安全装置である。先行技術のマニホールドは、設置または除去中にマニホールドの偶然の取扱いによって航空機への損傷、たとえばカウリング上の窪みなどを引起こし得る。好ましい実施例で説明されるようなこの発明は、マニホールドの単純化されかつより安全な位置付けのためのロボットアームの使用を開示し、それにより偶然の損傷の危険性を低減する。この発明の目的は、偶然の損傷の危険性を低減することである。
【0020】
エンジンの洗浄などの航空機上で行なわれる作業は、操作が航空機メンテナンスマニュアルによって与えられた指示に従うことを必要とする。このマニュアルは、洗浄マニホールドのような物体のエンジンの吸気口カウリング上での設置などのエンジンの洗浄の要件および制限についての指示を与える。この発明の好ましい実施例による非接触のマニホールドの使用により、マニホールドを設置するために航空機メンテナンスマニュアルを参照する必要はなくなる。この発明の目的は、航空機との接触を伴わないマニホールドによって航空機メンテナンスマニュアルなどの航空機の操作上の指示との矛盾を避けることである。
【0021】
エンジンの洗浄を行なうことは、航空機が或る時間運転を中止することを必要とする。航空機が運転を中止する時間を低減することは航空会社のオペレータの関心事である。この発明による万能かつ非接触のマニホールドの使用は、マニホールドのためのセットアップ時間が短縮されるため、洗浄操作のための時間を低減する。さらに、万能かつ非接触のマニホールドは航空機に存在する1人のオペレータのみによって、またはこれに代えて遠隔制御によって操作可能である。この発明の目的は、洗浄操作のための時間を短縮し、かつ労働要件を低減することである。
【0022】
この発明の別の目的および利点は例示的な実施例により以下に論じる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】先行技術による洗浄のためのマニホールドおよびノズルを備えた二軸のターボファンエンジンの断面図である。
【図2】先行技術による航空機エンジンの吸気口に設置されたマニホールドの図である。
【図3】この発明による非接触のスプレーヘッドを備えた洗浄ユニットの図である。
【図4a】「翼下」に取付けられたエンジンを洗浄するときのこの発明の適用の図である。
【図4b】「テール」に取付けられたエンジンを洗浄するときのこの発明の適用の図である。
【図5】この発明によるスプレーヘッドの詳細の図である。
【図6】スプレーヘッドの代替の実施例の図である。
【図7a】この発明によるターボファンエンジンのファンの洗浄の図である。
【図7b】この発明によるターボファンエンジンのコアエンジンの洗浄の図である。
【図8】スプレーヘッド上に設置されたカメラおよび距離測定装置によってどのように洗浄手順が制御されるかを示す図である。
【図9】この発明による万能かつ非接触のスプレーヘッドの図である。
【図10】洗浄液の再使用のための廃水処理を備えた廃水収集装置および万能かつ非接触のスプレーヘッドの図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の好ましい実施例を添付の図面を参照してさらに詳しく説明する。
好ましい実施例の説明
ここに開示される発明は吸気口空気カウリングと接触を有さないマニホールドを含むシステムを説明する。吸気口空気カウリングと接触を有さないことは、多数の航空機のエンジンの吸気口カウリングに適合されたマニホールドを製造する問題を排除する。さらに、ここに開示されるマニホールドは、マニホールドが複数のサイズの機能を有するために小型のエンジンおよび大型のエンジンに保守整備を行ない得るという点で万能である。複数のサイズの機能を有するマニホールドは、さまざまなサイズの航空機のエンジンのために多くのマニホールドを製造する問題を排除する。
【0025】
図3は、この発明による万能かつ非接触のマニホールドの適用を示す。航空機(図示せず)上に設置された航空機エンジン1が洗浄される。洗浄ユニット31は洗浄液をスプレーヘッド33に運ぶためのユニットである。スプレーヘッド33はマニホールド36上のノズル(明確さのために図示せず)に液体を分散させるためのマニホールド36を含む。ノズルは洗浄液をエンジンの吸気口へと注入する。ノズルは液体を霧状にしてもよいし、または液体を中空でない流れとして注入してもよい。洗浄ユニット31は、洗浄液を貯蔵するためのタンク、液体を加熱するためのヒータ、液体の圧力を上げるためのポンプ、洗浄操作を可能化および監視するために必要な制御などの洗浄を可能にするための装備および構成要素を含む。液体は水のみであってもよいし、または化学物質を備えた水であってもよいし、もしくは溶媒などの化学物質のみであってもよい。熱い液体は洗浄結果を向上するため、典型的には、液体は熱い液体を用いた洗浄のために加熱される。洗浄液はノズルへの分散のためにポンプによって加圧される。制御は典型的には液体圧メーター、液体流量メーター、液体温度メーターおよびポンプのオンオフスイッチを含む。洗浄ユニット31は、空港で航空機エンジンを洗浄するための使用に対してそれを実用的にするために可動であってもよい。洗浄ユニット31は乗物32の一部であってもよい。乗物32は、手動で牽引されるカートまたはモータ駆動のカート、もしくは小型のトラックなどの人を運搬する乗物であってもよい。またはこれに代えて、洗浄ユニット31は可動でなくてもよい。
【0026】
スプレーヘッド33はロボットアーム34によってエンジン1の吸気口の固定された位置に保持される。ロボットアーム34は一端で洗浄ユニット上に設置され、他端にスプレーヘッド33を有する。ロボットアーム34はエンジン1の吸気口301内でのスプレーヘッド33の適切な位置決めを可能にする少なくとも1つの関節継手および手首を有する。ロボットアームは少なくとも3自由度で可動である。ロボットアーム34は油圧式、または空気圧式もしくは電気的または機械的に手動で駆動される操作装置(図示せず)によって操作するか、または手の力で動かされてもよい。この発明の実施例では、ロボットアームは1つまたはいくつかの伸縮式の部分を含む。たとえば、2つの継手間の部分は伸縮式であってもよい。
【0027】
スプレーヘッド33は吸気口301の開口部より小さくなるように寸法を決められる。スプレーヘッド33は、オペレータによって制御パネル(図示せず)からロボットアーム34を操作することにより吸気口301で位置付けられることが好ましい。スプレーヘッド33は本質的には吸気口301の開口部の中心に位置付けられる。スプレーヘッド33がその適切な位置にあるとき、航空機とスプレーヘッドまたは洗浄装置の他の部分との間に接触はない。洗浄ユニット31は加圧された洗浄液を導管35を介してスプレーヘッド33に運び、導管35は屈曲ホースまたはその業務のための類似の装置を含む。スプレーヘッド33では、液体はマニホールド36を介して複数のノズルに分散され、ノズルは洗浄液をエンジンへと注入する目的を有する。
【0028】
図4aは、「翼下エンジン(under wing engine)」タイプの航空機のエンジンを洗浄するときに使用するための位置にあるこの発明を例示する。類似の部品は図1および図3と同じ参照番号で示される。航空機40は、そこにエンジン1が設置される翼41を有する。洗浄ユニットを備えた乗物32はエンジンに隣接して駐車される。乗物32は、洗浄中に直接的な空気流の中に立たないようにエンジンの1つの側に駐車されることが好ましい。これは、乗物上のルーズな物が空気流によってエンジンへと偶然に持っていかれることを避けるためである。ロボットアーム34は、そのマニホールド36がエンジンの吸気口で定位置にあるようにスプレーヘッドを保持する。航空機とマニホールドまたは洗浄ユニットの他の部分との間に接触はない。図4bは、「テールエンジン(tail engine)」タイプの航空機のエンジンを洗浄するときに使用するための位置にあるこの発明を例示する。類似の部品は図1および図3と同じ参照番号で示される。洗浄ユニットを備えた乗物32はエンジンに隣接して駐車される。ロボットアーム34はスプレーヘッドおよびそのマニホールド36をエンジンの吸気口で定位置に保持する。航空機とマニホールドまたは洗浄ユニットの他の部分との間に接触はない。この発明は、この発明が等しく適用可能である異なる設計の多くの他の航空機があるため、図4aおよび図4bの図に制限されない。さらに、カウリングまたは航空機の他の部品によって洗浄設備が支持を得るように配置することが有利である航空機もあり得る。
【0029】
図5はスプレーヘッド33の詳細を示す。スプレーヘッド33は斜視図で示され、矢印はエンジンの空気の流れの方向を示す。類似の部品は図3と同じ参照番号で示される。スプレーヘッド33は本質的に回転対称のユニットを含み、軸501は対称の中心である。スプレーヘッド33が洗浄のための定位置にあるとき、軸501はエンジンの軸の対称の中心と整列している。スプレーヘッド33は中心本体50を有する。本体50はエンジンの方に面した前端58を有する。本体50は前端58と反対の後端59を有する。後端59はロボットアーム34に接続される。本体50は、スプレーヘッド33を位置付けるためおよび洗浄操作を監視するための補助として使用される光学検出装置55を含む。光学検出装置55は本質的にエンジンの吸気口の方に向けられる。光学検出装置55はカメラを含んでもよく、カメラの視野は制御パネルのオペレータによって即時に見ることができる。またはこれに代えて、光学検出装置はカメラと同じ目的を備えた光ファイバ装置を含んでもよい。またはこれに代えて、スプレーヘッドからの視野を記録するための他の手段がある。光学検出装置55はエンジンの吸気口の視野をオペレータに運ぶ目的を果たす。カメラの視野は、オペレータの制御パネルからロボットアームを操作することにより、オペレータがスプレーヘッドをエンジンの軸の中心と整列させるのを手助けするために使用される。さらに、カメラの視野は、オペレータがエンジンの上流の適切な距離にスプレーヘッドを位置付けるのを可能にする。さらに、カメラの視野は、洗浄中にエンジンの中心線からの視野を運ぶことによってオペレータが洗浄プロセスを監視するのを可能にする。さらに、カメラの視野は、カメラが提供する視野から洗浄パラメータを調節する際にオペレータが決定を行なう手助けをする。さらに、オペレータがカメラで気付いたものに関して洗浄プロセスを停止することができるため、カメラの視野は安全向上装置である。
【0030】
図5の本体50は、エンジンへの距離を測定するための距離測定装置を含む。典型的には、距離測定装置は送信機56および受信機57を含む。距離測定装置は超音波検出装置などの音波検出装置を含んでもよく、送信機は音波ビームを放出し、これはエンジンのノーズブリット(nose bullet)で反射され、反射されたビームは受信機によって受取られる。次に、送信機から受信機への距離が送信機から受信機への信号に対する時差で概算される。またはこれに代えて、距離測定装置はレーザなどの光学測定装置であってもよく、送信機はレーザビームを放出し、これはエンジンのノーズブリットで反射し、受信機によって受取られる。またはこれに代えて、使用可能な他の距離測定装置がある。記録された距離は操作パネルへ運ばれ、オペレータはエンジンの上流でスプレーヘッドの適切な位置を調節するときにその情報を使用する。洗浄中、測定された距離は、距離の変化を報告することによりオペレータが洗浄プロセスを制御するのを手助けする。距離の測定は、オペレータが距離が適切でないと考えた場合に洗浄パラメータを調整する際にオペレータが決定を行なう手助けをする。距離測定装置は、オペレータが距離が安全でないと考えた場合に洗浄プロセスを停止することができるため、安全向上装置である。距離測定装置は、距離が範囲外である場合に聴覚的な音または閃光の形のアラーム信号を放出するアラームを含んでもよい。たとえば、測定された距離が予め定められた値を下回って減少する場合である。一実施例では、この限界値は制御パネルによりオペレータによって調節可能である。
【0031】
本体50はエンジンの吸気口を照らすためのランプ52を含む。照明は、カメラからの視野およびエンジンの吸気口との直接的な視線からの視野を改善する。本体50は、安全を向上するためまたは洗浄操作を改善するための他の装置を含んでもよい。
【0032】
当業者が容易に理解するように、以下の特徴、すなわち光学検出装置55、距離測定装置56、57、またはランプ52の各々は他のものから独立して使用することができる。つまり、スプレーヘッド33は、たとえば光学検出手段55または距離測定装置56、57のみを含んでもよい。
【0033】
図5のスプレーヘッド33は、リング型のチューブ、すなわちトーラスとしてマニホールドを示す。液体はホース(図示せず)を介して洗浄ユニット(図示せず)からマニホールド36へと汲み上げられる。マニホールド36は本質的に円形であり、円の中心は軸501と整列している。マニホールド36の面は本質的に軸501に対して垂直である。マニホールド36は本体50に接続される。マニホールド36は異なる洗浄業務のためにマニホールドの周りに配置された複数のノズルを有する。たとえば、ノズル53はエンジンのファンを洗浄する目的を果たす。ノズル54はコアエンジンを洗浄する目的を果たす。ノズル510はノーズブリットを洗浄する目的を果たす。ノズル511はカウリングを洗浄する目的を果たす。ノズル53、54、510および511に加え、マニホールドは他のエンジンの詳細を洗浄するための他のノズル(図示せず)を含んでもよい。マニホールド36は少なくとも1つのノズル54を有する。ノズルは液体を霧状にして小滴のスプレーにしてもよい。またはこれに代えて、ノズルは非噴霧の噴流として液体を運んでもよい。リング型のマニホールドを使用する目的は、マニホールドはリングへと曲げられる1つのチューブから製造することができ、1つの接合(1回の溶接)のみを必要とするからである。これはより多くの接合を必要とする代替の設計に対する利点である。接合の低減は安全機能として見なされる。なぜなら、接合は壊れることがあり、緩んだ部品がエンジンに入った場合に損傷を引起こすことがあるためである。さらに、リング型のマニホールドは、マニホールドと何らかの航空機の部品との間の偶然の接触が鋭い縁との接触を暗示しないため、安全だと見なされる。またはこれに代えて、マニホールドは、エンジンとの偶然の接触の場合に力をとるようにゴム発泡体材料などの緩衝物を備えてもよい。
【0034】
図6はスプレーヘッドの代替の実施例を示す。類似の部品は図3および図5と同じ参照番号で示される。リング型のマニホールドは、ここではノズルを定位置に保持するパイプ61によって置き換えられている。またはこれに代えて、マニホールドは異なるように作られてもよい。
【0035】
図7a、図7bおよび図8はターボファンエンジンを洗浄するときのこの発明の適用を示す。類似の部品は上述の図面と同じ参照番号で示される。図7aは、ファンの洗浄のためのノズルの使用によるターボファンエンジン1のファンの洗浄を示す。洗浄中、ファンはエンジンのスタータモータの使用により回転させられる。ノズル53は洗浄液を霧状にしてスプレー71にする。ノズルは、1つの側で流線75によって、他方の側で流線76によって制限される液体の分散に繋がるスプレーのパターンを有する。ファンのブレード72の前縁でのスプレーの分散は、先端点702およびハブ点701によって制限されるブレードの全長に本質的に等しい。したがって、スプレーはブレードの全体の長さ全体にわたる。マニホールド51はエンジンの吸気口の一部分のみにわたる1つのノズル53のみを含んでもよい。ファン全体を濡らすことはファンの回転により実現される。図7bはターボファンエンジン1のコアエンジンの洗浄を示す。洗浄中、エンジンの軸はスタータモータの使用により回転される。ノズル54は洗浄液を霧状にしてスプレー73にする。ノズルは、1つの側で流線77によって、他方の側で流線78によって制限される液体の分散に繋がるスプレーのパターンを有する。スプレーの目的は、液体をコアエンジンの吸気口74へと運ぶことである。コアエンジンの吸気口は、空気スプリッタ705および空気スプリッタ705の反対側のハブ上の点704によって制限される。コアエンジンの吸気口でのスプレーの分散は、空気スプリッタ705および点704によって制限されるコアエンジンの吸気口の開口部と等しい。これにより、ノズル54から出てくる液体はコアエンジンの吸気口74に入る。さらに、ノズル54はファンの回転中に液体がブレードの間に浸透できるように方向付けられる。図7aおよび図7bは、エンジンのスタータモータの使用によるターボファンエンジンの洗浄を説明する。またはこれに代えて、別のAPUスタータなどの他の始動装置を使用してもよい。またはこれに代えて、洗浄はエンジンの軸を回転させることなく行なってもよい。
【0036】
図8はカメラおよび距離測定装置の使用を示す。類似の部品は上述の図面と同じ参照番号で示される。カメラ55は線81によって制限される視野角を有する。カメラは、エンジンのノーズブリットの視野を提供して、オペレータが洗浄のためにスプレーヘッドを適切な位置へと動かすのを可能にする。エンジンがそのスタータモータによってクランクで回転させられると、カメラの視野は軸の回転を監視するために使用される。カメラは回転スピードを概算するためのソフトウェアを備えた計算装置(図示せず)に取付けられてもよい。回転スピードは、液体の汲み上げを開始するときにオペレータへの入力パラメータの役割を果たす。回転スピードの制御を有することは良好な洗浄結果にとって重要である。さらに、カメラの視野は、ファンへの液体の分散およびコアエンジンへの液体の浸透を見ることを可能にする。
【0037】
この視野はオペレータへの重要な入力としての役割を果たす。なぜなら、オペレータはスプレーヘッドの位置付けを調節するかまたは洗浄パラメータを調節してさらによく目的を果たすことができるからである。カメラのレンズが空気中に浮遊する液体で汚染されるのを防ぐために、レンズは圧縮された空気源(図示せず)から供給される空気流によってきれいにされる。距離測定装置は、ノーズブリット83に向かってビーム82を放出する送信機56を含み、それは反射し、反射されたビームを受信器57に返す。距離を計算するため計算ユニット(図示せず)に信号が供給される。計算ユニットは、何らかの物への距離が危機的に短くなった場合、たとえば聴覚的なアラームを供給するようなアラームレベルで設定されてもよい。距離測定装置は、測定された距離についての情報を供給するように、エンジンの吸気口でノーズブリットではなく他の物の方へと向けられてもよい。測定装置の検出器が空気中に浮遊する液体で汚染されるのを防ぐため、それらは圧縮された空気源(図示せず)から供給される空気流によってきれいにされる。
【0038】
図9は幅広い異なるサイズのエンジンに保守整備を行なう万能のスプレーヘッドを示す。スプレーヘッド90は斜視図で示され、矢印は空気の流れの方向を示す。スプレーヘッド90は、図5のスプレーヘッド33で既に述べたような類似のカメラ、距離測定装置およびランプを備えた中心本体91を有する。スプレーヘッド90は、各々が異なる直径を備えた複数のリング型のマニホールド92を含む。リング92は中心軸501の周りに対称に配置される。リング92は本質的に同じ面にあり、面は軸501に対して本質的に垂直である。リングは、空気がスプレーヘッドを通って流れることができるようにリング間に隙間を備えて配置される。各リングは1つまたは複数のノズル93を含み、ノズルのタイプ、ノズルの数およびノズルの間隔は、リングが行なうであろう洗浄業務による。ノズルは、ファン、コアエンジン、カウリング、バレットノーズを洗浄するため、または同様の業務のために使用してもよい。原則として、内側のリングはより小型のエンジンの洗浄のために使用され、外側のリングはより大型のエンジンの洗浄のために使用される。さらに、1つのリングは、特定のエンジンのタイプまたは特定のエンジンの一群の洗浄の専用にされてもよい。最も大きな直径を備えたリング、すなわち外側のリングは、スプレーヘッドが保守整備を行なうであろう最も小型のエンジンの吸気口カウリングの直径未満の直径を有する。たとえば、乗客を運ぶ一般的な民間航空会社は1.5から3メートルの間で変化する吸気口カウリングの直径を有する。それらのエンジンの保守整備を行なうためのスプレーヘッドは1.5メートル未満の外径を有する。
【0039】
エンジンの洗浄のため、典型的には1つのみのリングが使用される。これは導管を介して各リング92がスプレーヘッド上の分配器(明確さのため図示せず)に接続されていることにより実現される。分配器は各導管を閉じるための個々のバルブを含む。洗浄のためのセットアップの前に、オペレータは対応するバルブを開くことにより使用されるべきリングを作動させる。他のすべてのバルブは閉じられる。
【0040】
スプレーヘッド90は、それが幅広い航空機のタイプおよびエンジンのタイプに保守整備を行ない得るという意味で万能であるが、交換可能な複数のスプレーヘッドを有することが実用的である。これは航空機の使用説明書または他の指示によって設定された異なる要件によって論じられ得る。他の理由は軍事用の航空機の要件を満たすための別のスプレーヘッドであり得る。さらに他の理由もあり得る。スプレーヘッドの変更を実現するため、スプレーヘッドは、容易な交換を可能にするカップリングでロボットアームに取付けられる。
【0041】
ここに開示されるようなこの発明は、洗浄のための時間を低減するためおよび労働の要件を低減するための手段を提供する。図10は、先行技術と比較して時間がかからずかつより労働集約的でないエンジンの洗浄のための配置を示す。類似の部品は上述の図面と同じ参照番号で示される。ここで説明されるプロセスは、典型的には洗浄を行なうために1人のオペレータのみを必要とする。洗浄ユニット31は、導管35を介してロボットアーム34によって保持されるスプレーヘッドへと洗浄液を供給する。洗浄中、オペレータは制御パネル113からプロセスを制御する。制御することはモニタ112からスプレーヘッドのカメラ画像を見ることを含む。エンジンから出てくる廃棄洗浄液はエンジンの後部の収集装置114によって収集される。収集された廃液は導管115を介してユニット116のタンク(図示せず)に入る。ユニット116は可動性のためにホイールを備えてもよい。好適な収集装置は、国際出願PCT/SE2004/000922に説明され、ここに前記出願の内容を引用により援用する。廃液は導管118を介して洗浄ユニット31のタンクへと汲み上げられ、解放された付着物質は、適切な廃水処理プロセスによって液体から分離される。処理された水は、次のエンジンの洗浄のために使用されるか、またはこれに代えて下水道に捨てられる。廃水が処理されている間、オペレータは、次の洗浄のためのセットアップのため、乗物32および他の装置を次のエンジンに動かしてもよい。
【0042】
説明および例示のために具体的な実施例をここに図示および説明してきたが、当業者には、図示および説明された具体的な実施例は、この発明の範囲を離れることなくさまざまな代替のおよび/または均等な実現例で置き換えられ得ることが理解される。この出願はここに論じられる好ましい実施例のあらゆる適合または変形を含むことを意図される。結果として、この発明は特許請求の範囲およびその均等物の表現によって規定される。
【符号の説明】
【0043】
33、90 スプレイ装置、34 位置決め装置、36、92 マニホールド、40 航空機、50、91 中心体、54 ノズル、61 パイプ、83 ノーズブレット、301 吸気口、501 中心軸。
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般にガスタービンエンジンを洗浄する分野に関し、特に航空機に設置されたガスタービンエンジンを洗浄するためのシステムおよび乗物に関する。
【背景技術】
【0002】
技術分野
ガスタービン航空機エンジンは、周囲空気を圧縮するためのコンプレッサと、圧縮された空気とともに燃料を燃焼させるための燃焼器と、コンプレッサに動力を供給するためのタービンとを含む。膨張する燃焼ガスがタービンを駆動し、さらに推進のための推力となる。
【0003】
高高度を飛行している航空機はこれら高度で行き渡る清浄な空気を吸込む。しかしながら、飛行場では、空気は空気流とともにエンジンに入るエアロゾルの形の異物を含む。飛行場の空気に見られる典型的な粒子は、花粉、虫、産業活動から生じる炭化水素および近くの海から生じる塩である。航空機が空港で接地している間は、移動する航空機からのエンジンの排気内の燃焼の残り、航空機の除氷から生じる化学物質および埃などの地上の物質など考慮すべき他の粒子がある。異物の大部分はガスの経路を辿ってエンジンを通り、排気ガスとともに出ていく。しかしながら、エンジンのガスの経路内、特にエンジンのコンプレッサのセクション内の構成要素にくっつく特性を備えた粒子がある。これは付着物として知られる。
【0004】
コンプレッサの付着物は、コンプレッサの構成要素の境界層の空気流の特性の変化に繋がる。異物の存在は構成要素の表面粗さの増加に繋がる。空気が表面上を流れるとき、表面粗さの増加は境界層の空気流が厚くなることに繋がる。境界層の空気流が厚くなることは、質量流量の低減の形でコンプレッサの空気力学に悪影響を有する。ブレードの後縁では、空気流は伴流を形成する。伴流は、空気の流れへの悪影響を伴う渦のタイプの乱気流を形成する。境界層が厚くなるほど、伴流の乱気流が強くなるほど、それは質量流量を低減する。さらに、厚い境界層およびより強い後縁の乱気流は圧縮ゲインの低減に繋がり、これは汚れたコンプレッサが低減された圧力比で空気を圧縮することに繋がる。ヒートエンジンの操作サイクルの当業者は、低減された圧力比がエンジンの熱効率の低下に繋がることを理解するであろう。コンプレッサの付着物は質量流量および圧力ゲインを低減するだけでなく、コンプレッサの等エントロピー効率も低減する。コンプレッサの効率の低減は、コンプレッサが同じ量の空気を圧縮するためにより多くの動力を必要とすることを意味する。コンプレッサを駆動するための動力は軸を介してタービンから取られる。タービンがコンプレッサを駆動するためにより多くの動力を必要としていると、推進のための推力を作るための動力が少なくなる。航空機のパイロットにとって、このことはパイロットが低減された推力を補償するようにより多くの燃料のためにスロットルを開かなければならないことを意味する。より多くの燃料のためにスロットルを開くことは、燃料の消費の増加を意味し、それにより運転経費が増加する。コンプレッサの付着物によって引起こされる性能の損失はエンジンの耐久性も低減する。必要な推力レベルに達するためにより多くの燃料を点火しなければならないため、エンジン点火温度の上昇が生じる。滑走路上でパイロットが離陸のためにスロットルを開くとき、エンジンの熱いセクションの構成要素は危機的な高温の負荷に晒されている。燃焼ガスの温度を制御することはエンジン性能の監視において重要な問題である。排気ガス温度(EGT)として知られる温度の制御は燃焼器の排気口の下流のガス経路内でセンサで測定される。EGTは温度および暴露時間をともに記録することにより、注意深く監視される。エンジンの寿命の間、EGTの記録はしばしば見直される。或る点で、熱いセクションの構成要素が検査され必要であれば取換えられるオーバーホールのためにエンジンが使用できなくなることが必要とされる。
【0005】
コンプレッサの付着物は環境にも悪影響を有する。工場から運ばれた新品のエンジンと、汚れたコンプレッサを備えたエンジンとの燃料消費の差は典型的には1%であり得る。燃料の消費が増加すると、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出が増加する。典型的には航空機燃料の1kgの燃焼は3.1kgの二酸化炭素の形成に繋がる。さらに、高い燃焼器の温度は環境に悪影響を有する。点火温度が上昇するとNOxの形成の増加が生じる。NOxの形成はバーナーの設計に大きく依存し、一般的な数字は提供できない。しかしながら、所与のバーナーの設計に対する増分の温度上昇はNOxの形成の増加に繋がる。したがって、コンプレッサの付着物は、燃料消費を増加させる、エンジンの寿命を低下させる、および排出を増加させるなど、航空機エンジンの性能に悪影響を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,868,860号明細書
【特許文献2】米国特許第6,394,108号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
付着物の悪影響を低減または排除するために、いくつかのエンジン洗浄技術がここ数年で開発されている。最も単純な洗浄方法は、園芸用のホースを用い、エンジンの吸気口に水を噴霧することである。しかしながら、プロセスの単純な性質のため、この方法の成功は限られている。代替の方法は、ブラシおよび液体を用いてブレードを手でこすることである。この方法はコンプレッサの内部のブレードのクリーニンが可能でないため、成功は限られている。さらに、それは時間がかかる。Asplundに対する米国特許第5,868,860号は、航空機エンジンの洗浄のためのマニホールドの使用を開示している。さらにこの特許は、高い液体速度を提供する手段として高い液体圧の使用を開示しており、これはエンジンの軸の回転とともにクリーニング効果を向上する。Butlerに対する米国特許第6,394,108号は、その一端がコンプレッサのブレードの間でコンプレッサの吸気口からコンプレッサの排気口に向かって挿入される薄い柔軟なホースを開示している。ホースの、挿入された端部にはノズルがある。液体がホースへとポンプで汲み上げられノズルを通じて噴霧されている間、ホースはコンプレッサからゆっくりと後退させられる。しかしながら、洗浄効果は、洗浄中に回転できないコンプレッサのロータによって限られている。既存の洗浄技術および特許にかかわらず、より労働集約的でなく、低コストで単純かつ安全なやり方で実用的な洗浄を行なうことを可能にする新しい技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
商業的な航空交通は1つの場所から別の場所へと乗客および品物を運ぶための効率的な道具になっている。今日、航空機の集団は多くの航空機メーカーによって供給された多数の航空機のタイプを含む。これら航空機を推進するために使用されるエンジンは、異なるサイズで異なる性能特性を備えたエンジンを供給するいくつかのエンジンメーカーによって製造される。エンジンメーカーは他のメーカーからのエンジンと互換性のあるエンジンも供給しており、これは同一ではないが、同じ航空機に利用可能な代替のエンジンがあることを意味する。このことは、航空機のタイプでの航空機のエンジンの多くのあり得る組合せに繋がる。このことは、洗浄設備が個々の設計に合うように大きさを決められ作られる必要があるため、洗浄を行なうときに不利である。この発明の目的はエンジンの洗浄を単純にすることである。
【0009】
図1に関して説明されるエンジンの洗浄の実行は、この分野ではさらに常識として見なされる。二軸のターボファンエンジンの断面図が図1に示される。矢印はエンジンを通るガスの流れを示す。エンジン1はロータの軸14の周りに組立てられ、これはその前端でファン15に接続され、後端でタービン16に接続される。タービン16はファン15を駆動する。第2の軸19は第1の軸14と同軸の形である。軸19はその前端でコンプレッサ17に接続され、後端でタービン18に接続される。タービン18はコンプレッサ17を駆動する。エンジン1は吸気口110を有し、ここで吸気口の空気はエンジンに入る。カウリング11は吸気口の空気流のためのガイドの役目をする。吸気口の空気の流れはファン15によって駆動される。吸気口の空気の一部分は排気口11から出る。吸気口の空気の残りの部分は吸気口13からコアエンジンに入る。コアエンジンへの空気は次にコンプレッサ17によって圧縮される。圧縮された空気は燃料(図示せず)とともに燃焼器101で燃焼され、加圧された熱い燃焼ガスになる。加圧された熱い燃焼ガスはコアエンジンの排気口12に向かって膨張する。熱い燃焼ガスの膨張は二段階で行なわれる。第1段階では、燃焼ガスはタービン18を駆動しつつ、中間の圧力へと膨張する。第2段階では、熱い燃焼ガスはタービン16を駆動しつつ、周囲圧力に向かって膨張する。燃焼ガスは高速度で排気口12でエンジンを出て、推力を提供する。排気口12からのガスは、排気口11からの空気とともにエンジンの推力を作る。
【0010】
先行技術による洗浄装置はチューブの形のマニホールド102からなり、これは一端でノズル103に接続され、他端でカップリング104に接続される。ホース105は一端でカップリング104に接続され、他端は液体ポンプ(図示せず)に接続される。マニホールド102は吸気口カウリング11上にあり、それをストラップまたは類似の手段で固定することにより、洗浄中に安定した位置に保持される。洗浄手順はエンジンのスタータモータの支援でエンジンの軸をクランクで回転させることにより開始する。ポンプは洗浄液をノズル103へと汲み上げ、ここでそれは霧状になりスプレー104を形成する。軸の回転はエンジンを通る空気の流れに繋がる。この空気の流れはエンジンを通じて液体を駆動し、付着物を解放する。付着物は洗浄液の機械的および化学的な作用によって解放される。ブレードが濡れると液体の膜を作り、これは洗浄中にドラフトおよび遠心力などの力に晒されるため、軸の回転によりクリーニング効果が向上される。
【0011】
先行技術は洗浄液をエンジンの吸気口に注入するためのノズルを備えたマニホールドの使用を説明している。マニホールドは吸気口カウリングに配置され、カウリングをその支持物として使用することが一般的である。マニホールドは洗浄プロセスのために一時的に設置され、洗浄の完了後に除去される。図2は、ターボファンエンジンの吸気口に設置されたときの先行技術のマニホールドの例を示す。類似の部品は図1と同じ参照番号で示される。マニホールド102はエンジン1への吸気口の吸気口カウリング11上にある。マニホールド102は洗浄中に安定した位置にあるように吸気口カウリングの形状に適合するように製造される。マニホールドが安定した位置に保持されるように、ストラップ21が吸気口の外側でマニホールドに取付けられ、エンジンの排気口に引掛けられたフック(図示せず)に対して締付けられる。洗浄液はカップリング104を介しホース105を通じてポンプ(図示せず)によってマニホールド102へ、さらにノズル103へと汲み上げられる。マニホールド102は洗浄液の導管の役目をするチューブの形である。マニホールド102は洗浄中にノズルを安定した位置に保持するためにノズルに対する硬い支持物としての役割も果たす。良好な洗浄結果のため、マニホールドの適切な位置決めは必須である。このため、マニホールドは吸気口カウリングの形状およびエンジンの特徴的な形状寸法に関して設計され、作られなければならない。さらに、マニホールドは洗浄中にスプレーの反作用力に対してノズルを適切に支持するように設計され、作られなければならない。
【0012】
上述のように、多くの異なる航空機のタイプおよび多くの異なる航空機のエンジンがあり、これは多くの異なる吸気口空気カウリングの設計に繋がる。マニホールドは吸気口カウリング上で支持を得るため、このことは多数の航空機に保守整備を行なうために多くの異なるマニホールドを製造しなければならないことを意味する。このことは、航空会社のオペレータが多数のマニホールドを蓄えなければならないため不利である。
【0013】
好ましい実施例で説明されるようなこの発明は、吸気口カウリングと接触を有さないマニホールドを開示する。この発明によるマニホールドは吸気口カウリングの設計に適合させる要件を排除し、それにより多数のマニホールドの必要性を排除する。この発明の目的は、航空会社のオペレータが在庫しておかなければならないマニホールドの数を低減することである。
【0014】
先行技術によるマニホールドは、大きな航空機のエンジンの大きな吸気口の形状寸法の結果として大きな寸法である。マニホールドはそのため倉庫で大きな保管空間を必要とする。
【0015】
好ましい実施例で説明されるようなこの発明は、先行技術のマニホールドと比較してサイズがはるかに小さい万能のマニホールドを開示する。この発明の目的は、小型のマニホールドを提供することにより保管空間を低減することである。
【0016】
先行技術の設計によるマニホールドは、設計、製造および適合のためのテストをするために大量の労働時間に繋がる。さらに、マニホールドは、エンジンと吸気口カウリングとの特定の組合せを備えた航空機があまり多くないかもしれないため、小さなシリーズでのみ製造される。好ましい実施例で説明されるようなこの発明は、広範囲の航空機および航空機のエンジンに適用可能な万能のマニホールドを開示する。この発明によるマニホールドは原則として一度設計され、より大きなシリーズで製造され得る。これは万能マニホールドのための経費を低減する。この発明の目的は、航空機のオペレータにとっての経費を低減することである。
【0017】
航空機エンジンの洗浄は、航空会社のオペレータまたは空港エンジン洗浄サービスセンターなどの専門家組織によって行なわれ得る。洗浄がサービスセンターによって行なわれる場合、サービスセンターは多数の異なる航空機および航空機のエンジンに保守整備を行なうため、多くのマニホールドを在庫に有することによる不利は、より大きな関心事である。この発明の目的は、空港エンジン洗浄サービスセンターのオペレータにとっての経費を低減することである。
【0018】
この発明の好ましい実施例で開示されるように、この発明による万能かつ非接触のマニホールドはロボットアームなどのアームの使用により定位置に設置および保持される。ロボットアームはエンジンに隣接するオペレータによって制御パネルから操作される。ロボットアームは、航空機と万能のマニホールドとの間の物理的な接触なしに万能のマニホールドをエンジンの吸気口に位置付けることを可能にする。マニホールドを位置付けるためのロボットアームの使用はセットアップ操作を単純化し、かつセットアップをより安全にする。洗浄操作は、エンジンの吸気口と直接視線を合わせることによって、またはロボットアーム上の即時記録カメラなどの閲覧装置の支援でオペレータによって見ることができる。カメラの使用は、オペレータがマニホールドを位置付けることを可能にし、さらにさもなければオペレータが見えないかもしれない洗浄操作の詳細を見ることを可能にする。
【0019】
先行技術のマニホールドの使用に関連するいくつかの関心事について述べてきた。ロボットアームの使用は偶然の損傷の危険性を低減する安全装置である。先行技術のマニホールドは、設置または除去中にマニホールドの偶然の取扱いによって航空機への損傷、たとえばカウリング上の窪みなどを引起こし得る。好ましい実施例で説明されるようなこの発明は、マニホールドの単純化されかつより安全な位置付けのためのロボットアームの使用を開示し、それにより偶然の損傷の危険性を低減する。この発明の目的は、偶然の損傷の危険性を低減することである。
【0020】
エンジンの洗浄などの航空機上で行なわれる作業は、操作が航空機メンテナンスマニュアルによって与えられた指示に従うことを必要とする。このマニュアルは、洗浄マニホールドのような物体のエンジンの吸気口カウリング上での設置などのエンジンの洗浄の要件および制限についての指示を与える。この発明の好ましい実施例による非接触のマニホールドの使用により、マニホールドを設置するために航空機メンテナンスマニュアルを参照する必要はなくなる。この発明の目的は、航空機との接触を伴わないマニホールドによって航空機メンテナンスマニュアルなどの航空機の操作上の指示との矛盾を避けることである。
【0021】
エンジンの洗浄を行なうことは、航空機が或る時間運転を中止することを必要とする。航空機が運転を中止する時間を低減することは航空会社のオペレータの関心事である。この発明による万能かつ非接触のマニホールドの使用は、マニホールドのためのセットアップ時間が短縮されるため、洗浄操作のための時間を低減する。さらに、万能かつ非接触のマニホールドは航空機に存在する1人のオペレータのみによって、またはこれに代えて遠隔制御によって操作可能である。この発明の目的は、洗浄操作のための時間を短縮し、かつ労働要件を低減することである。
【0022】
この発明の別の目的および利点は例示的な実施例により以下に論じる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】先行技術による洗浄のためのマニホールドおよびノズルを備えた二軸のターボファンエンジンの断面図である。
【図2】先行技術による航空機エンジンの吸気口に設置されたマニホールドの図である。
【図3】この発明による非接触のスプレーヘッドを備えた洗浄ユニットの図である。
【図4a】「翼下」に取付けられたエンジンを洗浄するときのこの発明の適用の図である。
【図4b】「テール」に取付けられたエンジンを洗浄するときのこの発明の適用の図である。
【図5】この発明によるスプレーヘッドの詳細の図である。
【図6】スプレーヘッドの代替の実施例の図である。
【図7a】この発明によるターボファンエンジンのファンの洗浄の図である。
【図7b】この発明によるターボファンエンジンのコアエンジンの洗浄の図である。
【図8】スプレーヘッド上に設置されたカメラおよび距離測定装置によってどのように洗浄手順が制御されるかを示す図である。
【図9】この発明による万能かつ非接触のスプレーヘッドの図である。
【図10】洗浄液の再使用のための廃水処理を備えた廃水収集装置および万能かつ非接触のスプレーヘッドの図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の好ましい実施例を添付の図面を参照してさらに詳しく説明する。
好ましい実施例の説明
ここに開示される発明は吸気口空気カウリングと接触を有さないマニホールドを含むシステムを説明する。吸気口空気カウリングと接触を有さないことは、多数の航空機のエンジンの吸気口カウリングに適合されたマニホールドを製造する問題を排除する。さらに、ここに開示されるマニホールドは、マニホールドが複数のサイズの機能を有するために小型のエンジンおよび大型のエンジンに保守整備を行ない得るという点で万能である。複数のサイズの機能を有するマニホールドは、さまざまなサイズの航空機のエンジンのために多くのマニホールドを製造する問題を排除する。
【0025】
図3は、この発明による万能かつ非接触のマニホールドの適用を示す。航空機(図示せず)上に設置された航空機エンジン1が洗浄される。洗浄ユニット31は洗浄液をスプレーヘッド33に運ぶためのユニットである。スプレーヘッド33はマニホールド36上のノズル(明確さのために図示せず)に液体を分散させるためのマニホールド36を含む。ノズルは洗浄液をエンジンの吸気口へと注入する。ノズルは液体を霧状にしてもよいし、または液体を中空でない流れとして注入してもよい。洗浄ユニット31は、洗浄液を貯蔵するためのタンク、液体を加熱するためのヒータ、液体の圧力を上げるためのポンプ、洗浄操作を可能化および監視するために必要な制御などの洗浄を可能にするための装備および構成要素を含む。液体は水のみであってもよいし、または化学物質を備えた水であってもよいし、もしくは溶媒などの化学物質のみであってもよい。熱い液体は洗浄結果を向上するため、典型的には、液体は熱い液体を用いた洗浄のために加熱される。洗浄液はノズルへの分散のためにポンプによって加圧される。制御は典型的には液体圧メーター、液体流量メーター、液体温度メーターおよびポンプのオンオフスイッチを含む。洗浄ユニット31は、空港で航空機エンジンを洗浄するための使用に対してそれを実用的にするために可動であってもよい。洗浄ユニット31は乗物32の一部であってもよい。乗物32は、手動で牽引されるカートまたはモータ駆動のカート、もしくは小型のトラックなどの人を運搬する乗物であってもよい。またはこれに代えて、洗浄ユニット31は可動でなくてもよい。
【0026】
スプレーヘッド33はロボットアーム34によってエンジン1の吸気口の固定された位置に保持される。ロボットアーム34は一端で洗浄ユニット上に設置され、他端にスプレーヘッド33を有する。ロボットアーム34はエンジン1の吸気口301内でのスプレーヘッド33の適切な位置決めを可能にする少なくとも1つの関節継手および手首を有する。ロボットアームは少なくとも3自由度で可動である。ロボットアーム34は油圧式、または空気圧式もしくは電気的または機械的に手動で駆動される操作装置(図示せず)によって操作するか、または手の力で動かされてもよい。この発明の実施例では、ロボットアームは1つまたはいくつかの伸縮式の部分を含む。たとえば、2つの継手間の部分は伸縮式であってもよい。
【0027】
スプレーヘッド33は吸気口301の開口部より小さくなるように寸法を決められる。スプレーヘッド33は、オペレータによって制御パネル(図示せず)からロボットアーム34を操作することにより吸気口301で位置付けられることが好ましい。スプレーヘッド33は本質的には吸気口301の開口部の中心に位置付けられる。スプレーヘッド33がその適切な位置にあるとき、航空機とスプレーヘッドまたは洗浄装置の他の部分との間に接触はない。洗浄ユニット31は加圧された洗浄液を導管35を介してスプレーヘッド33に運び、導管35は屈曲ホースまたはその業務のための類似の装置を含む。スプレーヘッド33では、液体はマニホールド36を介して複数のノズルに分散され、ノズルは洗浄液をエンジンへと注入する目的を有する。
【0028】
図4aは、「翼下エンジン(under wing engine)」タイプの航空機のエンジンを洗浄するときに使用するための位置にあるこの発明を例示する。類似の部品は図1および図3と同じ参照番号で示される。航空機40は、そこにエンジン1が設置される翼41を有する。洗浄ユニットを備えた乗物32はエンジンに隣接して駐車される。乗物32は、洗浄中に直接的な空気流の中に立たないようにエンジンの1つの側に駐車されることが好ましい。これは、乗物上のルーズな物が空気流によってエンジンへと偶然に持っていかれることを避けるためである。ロボットアーム34は、そのマニホールド36がエンジンの吸気口で定位置にあるようにスプレーヘッドを保持する。航空機とマニホールドまたは洗浄ユニットの他の部分との間に接触はない。図4bは、「テールエンジン(tail engine)」タイプの航空機のエンジンを洗浄するときに使用するための位置にあるこの発明を例示する。類似の部品は図1および図3と同じ参照番号で示される。洗浄ユニットを備えた乗物32はエンジンに隣接して駐車される。ロボットアーム34はスプレーヘッドおよびそのマニホールド36をエンジンの吸気口で定位置に保持する。航空機とマニホールドまたは洗浄ユニットの他の部分との間に接触はない。この発明は、この発明が等しく適用可能である異なる設計の多くの他の航空機があるため、図4aおよび図4bの図に制限されない。さらに、カウリングまたは航空機の他の部品によって洗浄設備が支持を得るように配置することが有利である航空機もあり得る。
【0029】
図5はスプレーヘッド33の詳細を示す。スプレーヘッド33は斜視図で示され、矢印はエンジンの空気の流れの方向を示す。類似の部品は図3と同じ参照番号で示される。スプレーヘッド33は本質的に回転対称のユニットを含み、軸501は対称の中心である。スプレーヘッド33が洗浄のための定位置にあるとき、軸501はエンジンの軸の対称の中心と整列している。スプレーヘッド33は中心本体50を有する。本体50はエンジンの方に面した前端58を有する。本体50は前端58と反対の後端59を有する。後端59はロボットアーム34に接続される。本体50は、スプレーヘッド33を位置付けるためおよび洗浄操作を監視するための補助として使用される光学検出装置55を含む。光学検出装置55は本質的にエンジンの吸気口の方に向けられる。光学検出装置55はカメラを含んでもよく、カメラの視野は制御パネルのオペレータによって即時に見ることができる。またはこれに代えて、光学検出装置はカメラと同じ目的を備えた光ファイバ装置を含んでもよい。またはこれに代えて、スプレーヘッドからの視野を記録するための他の手段がある。光学検出装置55はエンジンの吸気口の視野をオペレータに運ぶ目的を果たす。カメラの視野は、オペレータの制御パネルからロボットアームを操作することにより、オペレータがスプレーヘッドをエンジンの軸の中心と整列させるのを手助けするために使用される。さらに、カメラの視野は、オペレータがエンジンの上流の適切な距離にスプレーヘッドを位置付けるのを可能にする。さらに、カメラの視野は、洗浄中にエンジンの中心線からの視野を運ぶことによってオペレータが洗浄プロセスを監視するのを可能にする。さらに、カメラの視野は、カメラが提供する視野から洗浄パラメータを調節する際にオペレータが決定を行なう手助けをする。さらに、オペレータがカメラで気付いたものに関して洗浄プロセスを停止することができるため、カメラの視野は安全向上装置である。
【0030】
図5の本体50は、エンジンへの距離を測定するための距離測定装置を含む。典型的には、距離測定装置は送信機56および受信機57を含む。距離測定装置は超音波検出装置などの音波検出装置を含んでもよく、送信機は音波ビームを放出し、これはエンジンのノーズブリット(nose bullet)で反射され、反射されたビームは受信機によって受取られる。次に、送信機から受信機への距離が送信機から受信機への信号に対する時差で概算される。またはこれに代えて、距離測定装置はレーザなどの光学測定装置であってもよく、送信機はレーザビームを放出し、これはエンジンのノーズブリットで反射し、受信機によって受取られる。またはこれに代えて、使用可能な他の距離測定装置がある。記録された距離は操作パネルへ運ばれ、オペレータはエンジンの上流でスプレーヘッドの適切な位置を調節するときにその情報を使用する。洗浄中、測定された距離は、距離の変化を報告することによりオペレータが洗浄プロセスを制御するのを手助けする。距離の測定は、オペレータが距離が適切でないと考えた場合に洗浄パラメータを調整する際にオペレータが決定を行なう手助けをする。距離測定装置は、オペレータが距離が安全でないと考えた場合に洗浄プロセスを停止することができるため、安全向上装置である。距離測定装置は、距離が範囲外である場合に聴覚的な音または閃光の形のアラーム信号を放出するアラームを含んでもよい。たとえば、測定された距離が予め定められた値を下回って減少する場合である。一実施例では、この限界値は制御パネルによりオペレータによって調節可能である。
【0031】
本体50はエンジンの吸気口を照らすためのランプ52を含む。照明は、カメラからの視野およびエンジンの吸気口との直接的な視線からの視野を改善する。本体50は、安全を向上するためまたは洗浄操作を改善するための他の装置を含んでもよい。
【0032】
当業者が容易に理解するように、以下の特徴、すなわち光学検出装置55、距離測定装置56、57、またはランプ52の各々は他のものから独立して使用することができる。つまり、スプレーヘッド33は、たとえば光学検出手段55または距離測定装置56、57のみを含んでもよい。
【0033】
図5のスプレーヘッド33は、リング型のチューブ、すなわちトーラスとしてマニホールドを示す。液体はホース(図示せず)を介して洗浄ユニット(図示せず)からマニホールド36へと汲み上げられる。マニホールド36は本質的に円形であり、円の中心は軸501と整列している。マニホールド36の面は本質的に軸501に対して垂直である。マニホールド36は本体50に接続される。マニホールド36は異なる洗浄業務のためにマニホールドの周りに配置された複数のノズルを有する。たとえば、ノズル53はエンジンのファンを洗浄する目的を果たす。ノズル54はコアエンジンを洗浄する目的を果たす。ノズル510はノーズブリットを洗浄する目的を果たす。ノズル511はカウリングを洗浄する目的を果たす。ノズル53、54、510および511に加え、マニホールドは他のエンジンの詳細を洗浄するための他のノズル(図示せず)を含んでもよい。マニホールド36は少なくとも1つのノズル54を有する。ノズルは液体を霧状にして小滴のスプレーにしてもよい。またはこれに代えて、ノズルは非噴霧の噴流として液体を運んでもよい。リング型のマニホールドを使用する目的は、マニホールドはリングへと曲げられる1つのチューブから製造することができ、1つの接合(1回の溶接)のみを必要とするからである。これはより多くの接合を必要とする代替の設計に対する利点である。接合の低減は安全機能として見なされる。なぜなら、接合は壊れることがあり、緩んだ部品がエンジンに入った場合に損傷を引起こすことがあるためである。さらに、リング型のマニホールドは、マニホールドと何らかの航空機の部品との間の偶然の接触が鋭い縁との接触を暗示しないため、安全だと見なされる。またはこれに代えて、マニホールドは、エンジンとの偶然の接触の場合に力をとるようにゴム発泡体材料などの緩衝物を備えてもよい。
【0034】
図6はスプレーヘッドの代替の実施例を示す。類似の部品は図3および図5と同じ参照番号で示される。リング型のマニホールドは、ここではノズルを定位置に保持するパイプ61によって置き換えられている。またはこれに代えて、マニホールドは異なるように作られてもよい。
【0035】
図7a、図7bおよび図8はターボファンエンジンを洗浄するときのこの発明の適用を示す。類似の部品は上述の図面と同じ参照番号で示される。図7aは、ファンの洗浄のためのノズルの使用によるターボファンエンジン1のファンの洗浄を示す。洗浄中、ファンはエンジンのスタータモータの使用により回転させられる。ノズル53は洗浄液を霧状にしてスプレー71にする。ノズルは、1つの側で流線75によって、他方の側で流線76によって制限される液体の分散に繋がるスプレーのパターンを有する。ファンのブレード72の前縁でのスプレーの分散は、先端点702およびハブ点701によって制限されるブレードの全長に本質的に等しい。したがって、スプレーはブレードの全体の長さ全体にわたる。マニホールド51はエンジンの吸気口の一部分のみにわたる1つのノズル53のみを含んでもよい。ファン全体を濡らすことはファンの回転により実現される。図7bはターボファンエンジン1のコアエンジンの洗浄を示す。洗浄中、エンジンの軸はスタータモータの使用により回転される。ノズル54は洗浄液を霧状にしてスプレー73にする。ノズルは、1つの側で流線77によって、他方の側で流線78によって制限される液体の分散に繋がるスプレーのパターンを有する。スプレーの目的は、液体をコアエンジンの吸気口74へと運ぶことである。コアエンジンの吸気口は、空気スプリッタ705および空気スプリッタ705の反対側のハブ上の点704によって制限される。コアエンジンの吸気口でのスプレーの分散は、空気スプリッタ705および点704によって制限されるコアエンジンの吸気口の開口部と等しい。これにより、ノズル54から出てくる液体はコアエンジンの吸気口74に入る。さらに、ノズル54はファンの回転中に液体がブレードの間に浸透できるように方向付けられる。図7aおよび図7bは、エンジンのスタータモータの使用によるターボファンエンジンの洗浄を説明する。またはこれに代えて、別のAPUスタータなどの他の始動装置を使用してもよい。またはこれに代えて、洗浄はエンジンの軸を回転させることなく行なってもよい。
【0036】
図8はカメラおよび距離測定装置の使用を示す。類似の部品は上述の図面と同じ参照番号で示される。カメラ55は線81によって制限される視野角を有する。カメラは、エンジンのノーズブリットの視野を提供して、オペレータが洗浄のためにスプレーヘッドを適切な位置へと動かすのを可能にする。エンジンがそのスタータモータによってクランクで回転させられると、カメラの視野は軸の回転を監視するために使用される。カメラは回転スピードを概算するためのソフトウェアを備えた計算装置(図示せず)に取付けられてもよい。回転スピードは、液体の汲み上げを開始するときにオペレータへの入力パラメータの役割を果たす。回転スピードの制御を有することは良好な洗浄結果にとって重要である。さらに、カメラの視野は、ファンへの液体の分散およびコアエンジンへの液体の浸透を見ることを可能にする。
【0037】
この視野はオペレータへの重要な入力としての役割を果たす。なぜなら、オペレータはスプレーヘッドの位置付けを調節するかまたは洗浄パラメータを調節してさらによく目的を果たすことができるからである。カメラのレンズが空気中に浮遊する液体で汚染されるのを防ぐために、レンズは圧縮された空気源(図示せず)から供給される空気流によってきれいにされる。距離測定装置は、ノーズブリット83に向かってビーム82を放出する送信機56を含み、それは反射し、反射されたビームを受信器57に返す。距離を計算するため計算ユニット(図示せず)に信号が供給される。計算ユニットは、何らかの物への距離が危機的に短くなった場合、たとえば聴覚的なアラームを供給するようなアラームレベルで設定されてもよい。距離測定装置は、測定された距離についての情報を供給するように、エンジンの吸気口でノーズブリットではなく他の物の方へと向けられてもよい。測定装置の検出器が空気中に浮遊する液体で汚染されるのを防ぐため、それらは圧縮された空気源(図示せず)から供給される空気流によってきれいにされる。
【0038】
図9は幅広い異なるサイズのエンジンに保守整備を行なう万能のスプレーヘッドを示す。スプレーヘッド90は斜視図で示され、矢印は空気の流れの方向を示す。スプレーヘッド90は、図5のスプレーヘッド33で既に述べたような類似のカメラ、距離測定装置およびランプを備えた中心本体91を有する。スプレーヘッド90は、各々が異なる直径を備えた複数のリング型のマニホールド92を含む。リング92は中心軸501の周りに対称に配置される。リング92は本質的に同じ面にあり、面は軸501に対して本質的に垂直である。リングは、空気がスプレーヘッドを通って流れることができるようにリング間に隙間を備えて配置される。各リングは1つまたは複数のノズル93を含み、ノズルのタイプ、ノズルの数およびノズルの間隔は、リングが行なうであろう洗浄業務による。ノズルは、ファン、コアエンジン、カウリング、バレットノーズを洗浄するため、または同様の業務のために使用してもよい。原則として、内側のリングはより小型のエンジンの洗浄のために使用され、外側のリングはより大型のエンジンの洗浄のために使用される。さらに、1つのリングは、特定のエンジンのタイプまたは特定のエンジンの一群の洗浄の専用にされてもよい。最も大きな直径を備えたリング、すなわち外側のリングは、スプレーヘッドが保守整備を行なうであろう最も小型のエンジンの吸気口カウリングの直径未満の直径を有する。たとえば、乗客を運ぶ一般的な民間航空会社は1.5から3メートルの間で変化する吸気口カウリングの直径を有する。それらのエンジンの保守整備を行なうためのスプレーヘッドは1.5メートル未満の外径を有する。
【0039】
エンジンの洗浄のため、典型的には1つのみのリングが使用される。これは導管を介して各リング92がスプレーヘッド上の分配器(明確さのため図示せず)に接続されていることにより実現される。分配器は各導管を閉じるための個々のバルブを含む。洗浄のためのセットアップの前に、オペレータは対応するバルブを開くことにより使用されるべきリングを作動させる。他のすべてのバルブは閉じられる。
【0040】
スプレーヘッド90は、それが幅広い航空機のタイプおよびエンジンのタイプに保守整備を行ない得るという意味で万能であるが、交換可能な複数のスプレーヘッドを有することが実用的である。これは航空機の使用説明書または他の指示によって設定された異なる要件によって論じられ得る。他の理由は軍事用の航空機の要件を満たすための別のスプレーヘッドであり得る。さらに他の理由もあり得る。スプレーヘッドの変更を実現するため、スプレーヘッドは、容易な交換を可能にするカップリングでロボットアームに取付けられる。
【0041】
ここに開示されるようなこの発明は、洗浄のための時間を低減するためおよび労働の要件を低減するための手段を提供する。図10は、先行技術と比較して時間がかからずかつより労働集約的でないエンジンの洗浄のための配置を示す。類似の部品は上述の図面と同じ参照番号で示される。ここで説明されるプロセスは、典型的には洗浄を行なうために1人のオペレータのみを必要とする。洗浄ユニット31は、導管35を介してロボットアーム34によって保持されるスプレーヘッドへと洗浄液を供給する。洗浄中、オペレータは制御パネル113からプロセスを制御する。制御することはモニタ112からスプレーヘッドのカメラ画像を見ることを含む。エンジンから出てくる廃棄洗浄液はエンジンの後部の収集装置114によって収集される。収集された廃液は導管115を介してユニット116のタンク(図示せず)に入る。ユニット116は可動性のためにホイールを備えてもよい。好適な収集装置は、国際出願PCT/SE2004/000922に説明され、ここに前記出願の内容を引用により援用する。廃液は導管118を介して洗浄ユニット31のタンクへと汲み上げられ、解放された付着物質は、適切な廃水処理プロセスによって液体から分離される。処理された水は、次のエンジンの洗浄のために使用されるか、またはこれに代えて下水道に捨てられる。廃水が処理されている間、オペレータは、次の洗浄のためのセットアップのため、乗物32および他の装置を次のエンジンに動かしてもよい。
【0042】
説明および例示のために具体的な実施例をここに図示および説明してきたが、当業者には、図示および説明された具体的な実施例は、この発明の範囲を離れることなくさまざまな代替のおよび/または均等な実現例で置き換えられ得ることが理解される。この出願はここに論じられる好ましい実施例のあらゆる適合または変形を含むことを意図される。結果として、この発明は特許請求の範囲およびその均等物の表現によって規定される。
【符号の説明】
【0043】
33、90 スプレイ装置、34 位置決め装置、36、92 マニホールド、40 航空機、50、91 中心体、54 ノズル、61 パイプ、83 ノーズブレット、301 吸気口、501 中心軸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンシャフトと吸気口カウリングを有する航空機(40)のガスタービンエンジン(1)を洗浄するためのスプレイ装置(33;90)であって、
(a)中心軸(501)、
(b)中心本体(50;91)、および
(c)洗浄動作中に前記ガスタービンエンジン内へ液体を注入するように適合される少なくとも1つのノズル(54)を有する少なくとも1つのパイプ(61)を含み、
(d)前記スプレイ装置は、前記少なくとも1つのパイプ(61)と前記吸気口カウリングとの接触なしに前記ガスタービンエンジンの吸気口(301)に対する洗浄動作位置に配置されるように適合され、
(e)前記スプレイ装置が洗浄動作位置にあるときに、前記中心軸(501)が実質的に前記エンジンシャフトに整列させられる、スプレイ装置。
【請求項2】
前記スプレイ装置は前記ガスタービンエンジンの吸気口(301)の開口より小さく寸法決めされている、請求項1に記載のスプレイ装置。
【請求項3】
前記スプレイ装置が洗浄動作位置にあるときに、前記中心本体(50;91)が、
(a)前記エンジンシャフトの前、および/または
(b)前記エンジンのノーズブレット(83)の前に配置される、請求項1または2に記載のスプレイ装置。
【請求項4】
前記スプレイ装置が洗浄動作位置にあるときに、前記中心本体(50;91)の前端部が、
(a)前記エンジンシャフト、および/または
(b)前記エンジンのノーズブレット(83)の方に面している、請求項1から3のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項5】
前記スプレイ装置が洗浄動作位置にあるときに、前記中心軸(501)が実質的に前記エンジンシャフトに整列される、請求項1から4のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項6】
前記中心体(50;91)に設けられおよび/または前記中心体(50;91)に関して設けられた
(a)少なくとも1つのマニホールド(36;92)、または
(b)少なくとも1つのパイプ(61)
を含む、請求項1から5のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項7】
前記中心体(50;91)に対称的に設けられおよび/または前記中心体(50;91)に関して対称的に設けられた
(a)複数ノズル(54)、および/または
(b)複数マニホールド(36;92)、または
(c)複数パイプ(61)を含む、請求項1から6のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項8】
前記スプレイ装置は実質的に回転対称のユニットを含み、対称軸(501)が対称中心である、請求項1から7のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのマニホールドは、対称の軸(501)の周りに同心円状に隔てられた複数のリング形状のマニホールドを含む、請求項1から8のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのノズルは、前記複数の同心円状リングの少なくとも1つから伸びている、請求項9に記載のスプレイ装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのノズルは、最も外側の同心円状リングから伸びている、請求項10に記載のスプレイ装置。
【請求項12】
複数の同心円状マニホールドの各リングは、前記対称軸からの異なる半径を有している、請求項9に記載のスプレイ装置。
【請求項13】
前記ノズルまたはパイプの少なくとも1つは、前記対称軸に非平行に角度付けされている、請求項8に記載のスプレイ装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つのノズルは、洗浄動作中に前記ガスタービンエンジンのコア内に洗浄液を注入するように適合されるノズルを含む、請求項1から8のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項15】
前記スプレイ装置は、前記航空機の吸気口カウリング以外の部分によって支持を得るように適合される、請求項1から14のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項16】
前記スプレイ装置は、位置決め装置(34)によって位置決めされるように適合される、請求項1から15のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項17】
前記スプレイ装置が洗浄動作位置にあるときに、前記少なくとも1つのノズルは、そのノズルからスプレイされた洗浄液の大部分が前記ガスタービンエンジンのコア内に注入されるように前記エンジンの吸気口(301)に近接して配置される、請求項1から16のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項18】
エンジンシャフトと吸気口カウリングを有する航空機(40)のガスタービンエンジン(1)を洗浄するための洗浄システムであって、請求項1から17のいずれかのスプレイ装置を含む、洗浄システム。
【請求項19】
洗浄液を加熱するためのヒータを含む、請求項18に記載の洗浄システム。
【請求項20】
乗り物を含む、請求項18または19に記載の洗浄システム。
【請求項21】
前記エンジンの洗浄動作中に前記エンジンから排出される使用済み洗浄液を収集するための収集装置を含む、請求項18から20のいずれかに記載の洗浄システム。
【請求項1】
エンジンシャフトと吸気口カウリングを有する航空機(40)のガスタービンエンジン(1)を洗浄するためのスプレイ装置(33;90)であって、
(a)中心軸(501)、
(b)中心本体(50;91)、および
(c)洗浄動作中に前記ガスタービンエンジン内へ液体を注入するように適合される少なくとも1つのノズル(54)を有する少なくとも1つのパイプ(61)を含み、
(d)前記スプレイ装置は、前記少なくとも1つのパイプ(61)と前記吸気口カウリングとの接触なしに前記ガスタービンエンジンの吸気口(301)に対する洗浄動作位置に配置されるように適合され、
(e)前記スプレイ装置が洗浄動作位置にあるときに、前記中心軸(501)が実質的に前記エンジンシャフトに整列させられる、スプレイ装置。
【請求項2】
前記スプレイ装置は前記ガスタービンエンジンの吸気口(301)の開口より小さく寸法決めされている、請求項1に記載のスプレイ装置。
【請求項3】
前記スプレイ装置が洗浄動作位置にあるときに、前記中心本体(50;91)が、
(a)前記エンジンシャフトの前、および/または
(b)前記エンジンのノーズブレット(83)の前に配置される、請求項1または2に記載のスプレイ装置。
【請求項4】
前記スプレイ装置が洗浄動作位置にあるときに、前記中心本体(50;91)の前端部が、
(a)前記エンジンシャフト、および/または
(b)前記エンジンのノーズブレット(83)の方に面している、請求項1から3のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項5】
前記スプレイ装置が洗浄動作位置にあるときに、前記中心軸(501)が実質的に前記エンジンシャフトに整列される、請求項1から4のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項6】
前記中心体(50;91)に設けられおよび/または前記中心体(50;91)に関して設けられた
(a)少なくとも1つのマニホールド(36;92)、または
(b)少なくとも1つのパイプ(61)
を含む、請求項1から5のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項7】
前記中心体(50;91)に対称的に設けられおよび/または前記中心体(50;91)に関して対称的に設けられた
(a)複数ノズル(54)、および/または
(b)複数マニホールド(36;92)、または
(c)複数パイプ(61)を含む、請求項1から6のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項8】
前記スプレイ装置は実質的に回転対称のユニットを含み、対称軸(501)が対称中心である、請求項1から7のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのマニホールドは、対称の軸(501)の周りに同心円状に隔てられた複数のリング形状のマニホールドを含む、請求項1から8のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのノズルは、前記複数の同心円状リングの少なくとも1つから伸びている、請求項9に記載のスプレイ装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのノズルは、最も外側の同心円状リングから伸びている、請求項10に記載のスプレイ装置。
【請求項12】
複数の同心円状マニホールドの各リングは、前記対称軸からの異なる半径を有している、請求項9に記載のスプレイ装置。
【請求項13】
前記ノズルまたはパイプの少なくとも1つは、前記対称軸に非平行に角度付けされている、請求項8に記載のスプレイ装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つのノズルは、洗浄動作中に前記ガスタービンエンジンのコア内に洗浄液を注入するように適合されるノズルを含む、請求項1から8のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項15】
前記スプレイ装置は、前記航空機の吸気口カウリング以外の部分によって支持を得るように適合される、請求項1から14のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項16】
前記スプレイ装置は、位置決め装置(34)によって位置決めされるように適合される、請求項1から15のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項17】
前記スプレイ装置が洗浄動作位置にあるときに、前記少なくとも1つのノズルは、そのノズルからスプレイされた洗浄液の大部分が前記ガスタービンエンジンのコア内に注入されるように前記エンジンの吸気口(301)に近接して配置される、請求項1から16のいずれかに記載のスプレイ装置。
【請求項18】
エンジンシャフトと吸気口カウリングを有する航空機(40)のガスタービンエンジン(1)を洗浄するための洗浄システムであって、請求項1から17のいずれかのスプレイ装置を含む、洗浄システム。
【請求項19】
洗浄液を加熱するためのヒータを含む、請求項18に記載の洗浄システム。
【請求項20】
乗り物を含む、請求項18または19に記載の洗浄システム。
【請求項21】
前記エンジンの洗浄動作中に前記エンジンから排出される使用済み洗浄液を収集するための収集装置を含む、請求項18から20のいずれかに記載の洗浄システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−7196(P2011−7196A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205931(P2010−205931)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【分割の表示】特願2007−515936(P2007−515936)の分割
【原出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(505180520)ガス・タービン・エフィシェンシー・アクチボラゲット (6)
【氏名又は名称原語表記】GAS TURBINE EFFICIENCY AB
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【分割の表示】特願2007−515936(P2007−515936)の分割
【原出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(505180520)ガス・タービン・エフィシェンシー・アクチボラゲット (6)
【氏名又は名称原語表記】GAS TURBINE EFFICIENCY AB
【Fターム(参考)】
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