説明

航空機のワイヤレス燃料補給のためのシステム

【課題】航空機燃料システムと燃料補給装置との間に、ワイヤレス通信のための手段を提供する。
【解決手段】システム10は、燃料タンク20、制御弁26、少なくとも1つの燃料タンクにおける燃料の量を示す燃料信号を出力する燃料センサ22、および、燃料信号に応答して制御弁を制御するコントローラ28を有する航空機12と、燃料供給部50、ポンプ54、および、少なくとも1つの燃料タンクに供給されるべき燃料の量を示す燃料データを含む燃料プロファイルが記憶されたコントローラ56を有する燃料補給装置14と、航空機および燃料補給装置内のコントローラ28および56に動作可能に結合して、燃料プロファイルに従って、また燃料信号に応答して、少なくとも1つの燃料タンクを満たすように制御弁およびポンプの動作を制御する、ワイヤレス通信システム16、30、60、72とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機のワイヤレス燃料補給のためのシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の航空機の燃料補給は、燃料補給ホースを、航空機の翼燃料補給ステーションの燃料補給接続部に取り付けることによって行われる。燃料補給ステーションは、各タンクにおける燃料の示度を提供する燃料補給制御パネルと、各タンクの所望の燃料量を設定するための手段とを有する。燃料を航空機にポンプで汲み入れる際、燃料補給制御パネルは、各タンクにおける燃料をモニタし、タンクが所望の収容レベルに達すると、1つまたは複数の弁を介して、タンクへの燃料の流れを止める。燃料を取り扱うこと、および燃料補給制御パネルが比較的苛酷な環境である航空機の外側に近いことから、燃料補給制御パネルは、環境条件および使用による物理的損傷に耐え、燃料から電気的に遮蔽された状態を保つように、物理的にかつ電気的に堅牢でなければならない。要求される堅牢性のために、燃料補給制御パネルは、比較的重く、比較的コストがかかることが余儀なくされ、そのどちらも、航空機環境においては望ましくない。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態において、航空機用の燃料補給システムが、航空機を含み、航空機は、少なくとも1つの燃料タンク、燃料補給ライン、制御弁、少なくとも1つの燃料タンクにおける燃料の量を示す燃料信号を出力する燃料センサ、燃料信号を受信し、燃料信号に応答して制御弁を制御する第1のコントローラ、および、第1のコントローラに動作可能に結合した第1のワイヤレス通信システムを有する。燃料補給システムはまた、燃料補給装置を含み、燃料補給装置は、燃料供給部、燃料補給ラインの入口と対合するように構成された分配ホース、ポンプ、少なくとも1つの燃料タンクに供給されるべき燃料の量を示す燃料データを含む燃料プロファイルが記憶されたメモリを有し、ポンプを制御する第2のコントローラ、および、第2のコントローラに動作可能に結合した第2のワイヤレス通信システムを有する。第1のワイヤレス通信システムと第2のワイヤレス通信システムとが通信し、それにより第1のコントローラおよび第2のコントローラが、燃料プロファイルに従って、また燃料信号に応答して、少なくとも1つの燃料タンクを満たすように制御弁およびポンプの動作を制御する。
【0004】
別の実施形態において、少なくとも1つの燃料タンク、燃料補給ライン、燃料補給ラインを通して燃料の流量を制御する制御弁、少なくとも1つの燃料タンクにおける燃料の量を示す燃料信号を出力する燃料センサ、燃料信号を受信し、燃料信号に応答して制御弁を制御する第1のコントローラを有する航空機と、燃料供給部、燃料補給ラインの入口と対合するように構成された分配ホース、ポンプ、少なくとも1つの燃料タンクに供給されるべき燃料の量を示す燃料データを含む燃料プロファイルが記憶されたメモリを有し、ポンプを制御する第2のコントローラを有する燃料補給装置とを含む、航空機用の燃料補給システムのための、ワイヤレス通信システムが提供される。ワイヤレス通信システムは、航空機に設けられ、第1のコントローラに動作可能に結合した第1のワイヤレス通信システムと、燃料補給装置に設けられ、第2のコントローラに動作可能に結合した第2のワイヤレス通信システムとを含み、第1のワイヤレス通信システムと第2のワイヤレス通信システムとが通信し、それにより第1のコントローラおよび第2のコントローラが、燃料プロファイルに従って、また燃料信号に応答して、少なくとも1つの燃料タンクを満たすように制御弁およびポンプの動作を制御する。
【0005】
図中、
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の実施形態に従った、航空機用の燃料補給システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本発明の一実施形態に従った、航空機12用の燃料補給システム10を図示しており、そのような燃料補給システム10は、最近の航空機に見られる、航空機搭載燃料補給制御パネルに取って代わることができる。燃料補給システムは、とりわけ、航空機12と、燃料補給装置14と、ワイヤレス通信システム16とを含む。民間航空機が図示されているが、燃料補給システム10は、任意のタイプの航空機、たとえば、限定はせずに、固定翼機、回転翼機、ロケット、民間航空機、自家用航空機、および軍用航空機と組み合わせて使用することができる。
【0008】
航空機12は、1つまたは複数の燃料貯蔵タンク20と、燃料センサ22と、燃料補給ライン24と、制御弁26と、コントローラ28と、第1のワイヤレス通信システム30とを含むことができる。燃料貯蔵タンク20は、航空機構造に組み込まれた一体型タンク、タンクを収容するように設計されたコンパートメントに設置することができる硬い取り外し可能なタンク、および袋燃料タンクを含む、任意の好適なタイプの燃料タンクであってよい。航空機12は、左翼燃料貯蔵タンク32と、右翼燃料貯蔵タンク34の両方を有するように図示されている。図示されていないものの、航空機12はまた、中央タンク(図示せず)を含む他の燃料貯蔵タンクを含むことができ、そこから、左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34の両方に、1つまたは複数のエンジンに燃料が供給される前に、燃料が送り込まれてもよい。左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34のそれぞれは、単一のタンク構造として図示されているが、左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34のそれぞれは、複数の燃料タンクを含むことができることが企図されている。
【0009】
1つまたは複数の燃料センサ22が、左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34のそれぞれに含まれてもよい。複数の燃料センサ22が図示されており、燃料センサ22は、燃料タンクの形状、ならびに航空機のピッチ姿勢およびロール姿勢を補正するために使用されてよい。それぞれの燃料センサ22は、対応する燃料貯蔵タンク20における燃料の量を示す燃料信号を出力することができる。任意の好適なタイプの燃料センサが使用されてよい。非限定的な例として、図示した複数の燃料センサ22は、キャパシタプローブであってよく、ここで、プローブにより検出されるキャパシタンスは、タンク内での燃料の高さに比例する。
【0010】
燃料補給ライン24は、左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34に流体結合してよく、かつ航空機12の外側38からアクセス可能な入口36を有してよい。入口36は、航空機12の翼の端部近くにあるように示されているが、入口36は、航空機12の他の場所にあってもよい。制御弁26は、燃料補給ライン24に沿って位置することができ、燃料補給ライン24を通して、燃料貯蔵タンク20への燃料の流量を制御するように構成されてもよい。1つのみの燃料貯蔵タンク20が存在する単純なケースでは、燃料補給ライン24は、単一のラインであってよく、制御弁26は、燃料補給ライン24を通して、燃料貯蔵タンク20への燃料の流量を制御することができる。左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34などの複数の燃料貯蔵タンク20があるケースでは、燃料補給ライン24の配置により、入口36を複数の燃料貯蔵タンク20に流体結合させることができ、制御弁26は、入口36を、燃料補給ライン24のそれぞれに、ならびに左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34に、選択的に流体結合させることができる。制御弁およびポンプの配置(図示せず)は、燃料貯蔵タンク20間に燃料を配給するように、複数のタンクに関連付けられてもよい。図示した例において、制御弁26は、燃料を、燃料補給ライン24の第1のセクション40を通して左翼燃料貯蔵タンク32へ、または燃料補給ライン24の第2のセクション42を通して右翼燃料貯蔵タンク34へと導くことが可能である。
【0011】
コントローラ28は、さまざまなユニットを含むことができ、航空機12の異なるセンサ、アクチュエータ、およびディスプレイの間で、データおよび制御信号を送信するように構成されてもよい。より具体的には、コントローラ28は、複数の燃料センサ22から燃料信号を受信し、燃料信号に基づいて制御弁26を制御するように構成されてもよい。非限定的な例として、コントローラ28は、燃料センサ22から燃料信号を受信することができるリモートデータインターフェースユニット(RDIU)44を含むことができる。統合モジュラーアビオニクス(IMA)コンピュータ46もまた、コントローラ28に含まれてもよく、IMAコンピュータ46は、燃料量アプリケーションソフトウェアパッケージを含むことができ、燃料量アプリケーションソフトウェアパッケージは、リアルタイムで実行し、RDIU44からのセンサ読み取り値に基づいて、左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34における燃料の量を計算することができる。燃料補給制御アプリケーションもまた、IMAコンピュータ46で実行することができ、燃料補給制御アプリケーションは、航空機12の燃料供給の間に、制御弁26を制御することができる。ヘルスおよびトレンドモニタリングユニット(AHTMU)48もまた、コントローラ28に含まれてもよく、AHTMU48は、整備がいつ必要になるかを予測し、したがって、ゲートにおける整備の遅延を回避するように、航空機12の健全性をモニタすることができる。
【0012】
第1のワイヤレス通信システム30は、航空機12に含まれる通信リンクを含むことができ、かつコントローラ28に動作可能に結合してよい。そのようなワイヤレス通信システム30は、他のシステムおよびデバイスにワイヤレスでリンクすることが可能な、任意のさまざまな通信メカニズムであってよく、限定はしないが、パケット無線、衛星アップリンク、ワイヤレスフィデリティ(WiFi)、WiMax、Bluetooth(登録商標)、ZigBee、3Gワイヤレス信号、符号分割多重アクセス(CDMA)ワイヤレス信号、移動通信用グローバルシステム(GSM(登録商標))、4Gワイヤレス信号、ロングタームエボリューション(LTE)信号、イーサネット(登録商標)、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。ワイヤレス通信の特定のタイプまたはモードはこの発明にとって重要ではなく、後に開発されるワイヤレスネットワークが、この発明の範囲内として確実に企図されていることもまた理解されるであろう。さらに、この発明の範囲を変えることなく、ワイヤレス通信システム30は、有線リンクを通してコントローラ28に通信可能に結合してもよい。
【0013】
燃料補給装置14は、燃料貯蔵槽50などの燃料供給部と、分配ホース52と、ポンプ54と、メモリ(図示せず)を有するコントローラ56と、第2のコントローラ56に動作可能に結合した第2のワイヤレス通信システム60とを含む、燃料補給タンカーとして図示されている。1つの貯蔵槽50が図示されているが、タンカー燃料補給装置14は、任意の数の燃料貯蔵槽50を含むことができることが企図されている。タンカー燃料補給装置14は、その燃料供給部が、地下燃料配給パイプラインに結合する流体を含み得るケースでは、貯蔵槽を有さなくてもよいことがまた企図されている。
【0014】
燃料補給装置14は、図示されたタンカー以外であってもよいことがまた企図されている。たとえば、燃料補給装置14は、地下または地上の燃料配給システムであってもよい。そのような燃料配給システムは、燃料を配給するための配管システムを有する、より大きな空港において一般的であり得る。そのようなケースでは、燃料補給装置14のための燃料供給部は、貯蔵槽50の代わりに、配給パイプラインに結合する流体を含むことができる。この説明の残りの部分の目的のために、燃料補給装置14は、燃料貯蔵槽50を含む燃料補給タンカーとして説明することにする。
【0015】
分配ホース52は、ポンプ54を通して、燃料貯蔵槽50に流体結合してよい。内部燃料流量ライン62が、ポンプ54を燃料貯蔵槽50に流体結合させることができ、そのような内部燃料流量ライン62は、分配ホース52の延長と考えてもよい。分配ホース52は、航空機12の燃料補給ライン24の入口36と対合するように構成されており、したがって、タンカー燃料補給装置14から延びることができる。流量計64が、内部燃料流量ライン62または分配ホース52のいずれかに結合してよい。分配ホース52を通してタンカー燃料補給装置14を出る燃料の流量を制御する、または止めるために、弁66が、タンカー燃料補給装置14内に含まれてもよい。
【0016】
タンカー燃料補給装置14は、燃料貯蔵槽50を形成するタンクを有する車両のような可動性であることが企図され、これにより、燃料を、燃料補給のための航空機へ運ぶ柔軟性を提供する。タンカー燃料補給装置14はまた地上局であってもよく、地上局は、ほとんどのケースにおいて可動性ではない。
【0017】
タンカー燃料補給装置14に含まれるコントローラ56は、燃料プロファイルを記憶するためのメモリ(図示せず)を有することができる。燃料プロファイルは、航空機12の燃料貯蔵タンク20に供給されるべき燃料の量を示す燃料データを含むことができる。コントローラ56は、ポンプ54、流量計64、および制御弁66に動作可能に結合して、航空機12に燃料を供給するために、これらの要素を制御することができる。コントローラ56は、ラップトップコンピュータとして図示されているが、任意の好適なコントローラ56が使用されてよい。コントローラ56は、タンカー燃料補給装置14上のさまざまなデバイスの状態を示すユーザインターフェーススクリーン68を含むことができることが企図されている。ユーザインターフェーススクリーン68はまた、燃料貯蔵タンク20における燃料の量などの、航空機12に関連した状態インジケータを含むことができる。ユーザインターフェーススクリーン68は、燃料供給制御弁の状態インジケータ(図示せず)、ならびに他のさまざまなインジケータを含むことができる。第2のワイヤレス通信システム60は、第2のコントローラ56に動作可能に結合してよい。航空機に含まれる第1のワイヤレス通信システム30のように、第2のワイヤレス通信システム60は、タンカー燃料補給装置14において任意の好適なワイヤレス通信リンクを含むことができること、および第2のワイヤレス通信システム60は、有線またはワイヤレスのリンクを通して、コントローラ56と通信可能に結合してよいことが企図されている。
【0018】
非限定的な例として、第1のワイヤレス通信システム30および第2のワイヤレス通信システム60は、互いに通信するように構成されてもよく、ワイヤレス通信システム16の一部を形成することができる。さらに、第1のワイヤレス通信システム30または第2のワイヤレス通信システム60のそれぞれは、好適なワイヤレス通信システム72を通して通信することができる地上モニタ70を含む、ワイヤレス通信システム16の他の部分へのリンクとして使用されてよい。非限定的な例として、地上モニタ70は、航空路中央整備または航空路制御74、および燃料補給デポ76を含むことができる。そのような地上モニタは、好適なワイヤレス通信システム72に直接結合しても、または、好適な通信リンク78を通して好適なワイヤレス通信システム72に間接的に結合してもよく、好適な通信リンク78は、地上モニタ70同士を互いに結合させる、および地上モニタ70をワイヤレス通信システム72に結合させるための、インターネット接続を含むことができる。
【0019】
最初に、航空路制御74は、燃料プロファイルを生成することができる。そのような燃料プロファイルは、航空機12が、その次のフライトのために含むべき燃料の総量を示すデータを含むことができる。航空路制御74が、航空機12における現在の燃料装荷を知らされているケースでは、燃料プロファイルはまた、航空機12が含むべき燃料の総量に達するための、航空機12に供給されるべき燃料の量を示す燃料データを含むことができる。航空機12が複数の燃料タンクを含むケースでは、燃料プロファイルは、複数の燃料タンクのそれぞれについての燃料データを含むことができる。燃料プロフィルが生成されると、航空路制御74は、燃料プロファイルを燃料補給デポ76に伝達することができる。燃料補給デポ76は、第3のワイヤレス通信システム72を通して少なくとも第2のワイヤレス通信システム60と通信することができ、燃料補給デポ76からタンカー燃料補給装置14へと、燃料プロファイルを送信することができる。あるいは、航空路制御74は、第3のワイヤレス通信システム72を通して、タンカー燃料補給装置14の第2のワイヤレス通信システム60と直接通信することができる。
【0020】
燃料補給アプリケーションが、タンカー燃料補給装置14のコントローラ56で実行されてよい。燃料補給アプリケーションにより、ユーザは、左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34のそれぞれについて、所望の燃料量を入力することが可能となり、そのような情報は、タンカー燃料補給装置14に以前に送信された燃料プロファイルから得ることができる。あるいは、そのような計算は、コントローラ56で実行されている燃料補給アプリケーションによって自動的に行うことができる。
【0021】
タンカー燃料補給装置14のワイヤレス通信システム60は、タンカー燃料補給装置14が航空機12の場所に到着したときに、航空機12のワイヤレス通信システム30に接続することができる。コントローラ28および56の両方の燃料補給機能へのアクセスを許可するために、いくつかのネットワークセキュリティプロトコルを使用できることが企図されている。非限定的な例として、ユーザは、そのような燃料補給機能にアクセスするために、従業員IDおよびパスワードと共に、航空機のテール番号を入力する必要がある場合が企図されている。
【0022】
分配ホース52および燃料補給ライン24が適切に接続されると、コントローラ28および56は、航空機12に燃料を補給するよう動作することができる。この時間の間に、第1のワイヤレス通信システム30と第2のワイヤレス通信システム60とが通信し、それにより第1のコントローラ28および第2のコントローラ56が、燃料プロファイルに従って、また燃料センサ22からの燃料信号に応答して、左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34のそれぞれを満たすように制御弁26および66、ならびにポンプ54の動作を制御することができる。第1のワイヤレス通信システム30と第2のワイヤレス通信システム60とは、コントローラ28からコントローラ56への燃料信号、およびコントローラ56からコントローラ28への燃料プロファイルのうちの、少なくとも1つを通信することができる。さらに、第1のワイヤレス通信システム30と第2のワイヤレス通信システム60とは、コントローラ28と56との間で、燃料装荷データおよび/または現在の燃料装荷データを通信することができる。したがって、現在の燃料装荷データが、左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34に貯蔵されるべき燃料の総量を示す燃料プロファイルにおける燃料装荷データに合致するまで、貯蔵槽50から左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34に燃料を供給するために、第1のコントローラ28および第2のコントローラ56は、制御弁26および66、ならびにポンプ54の動作を制御することができる。コントローラ28は、燃料プロファイルに従って、左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34のそれぞれを選択的に満たすように、制御弁26を動作することができる。左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34は、同時に、または順番に補充されてよいことが企図されている。タイミングにかかわらず、燃料プロファイルに従って、左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34のそれぞれを満たすために、コントローラ28は、制御弁26を制御することができ、コントローラ56は、ポンプ54を制御することができる。
【0023】
より具体的には、タンカー燃料補給装置14によって燃料が航空機12に供給されているとき、燃料センサ22が、左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34のそれぞれにおける燃料の量を感知する。この情報は、コントローラ28によって処理されてよく、弁26を制御するために使用されてよい。より具体的には、燃料信号が、燃料データに合致する燃料タンク20における燃料装荷を示すとき、第1のコントローラ28は、タンカー燃料補給装置14と、左翼燃料貯蔵タンク32および/または右翼燃料貯蔵タンク34との間の流体連通を選択的に閉じるように、制御弁26を動作することができる。第1のワイヤレス通信システム30は、第2のワイヤレス通信システム60に、左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34のそれぞれにおける燃料の量を表す更新された燃料信号を繰り返し伝達することができる。このようにして、コントローラ28およびワイヤレス通信システム30は、左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34のそれぞれにおける現在の燃料の量を示す現在の燃料装荷データを示す燃料信号を、タンカー燃料補給装置14のコントローラ56に送信することができる。更新された燃料信号が、燃料貯蔵タンク20が燃料プロファイルに従った燃料の量を受け入れたことを示すとき、コントローラ56は、ポンプ54を止めることができる。したがって、燃料信号が、燃料供給が完了し、左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34が適切に満たされたことを示すとき、燃料の送り出しを止めることができる。燃料供給が完了して、タンカー燃料補給装置14を出るさらなる燃料がないことを保証することが判定されるとき、コントローラ56はまた、制御弁66を閉じることができる。
【0024】
第1のコントローラ28および第2のコントローラ56のうちの少なくとも1つが、燃料装荷データおよび現在の燃料装荷データに基づいた燃料装荷に対し、左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34を満たすために必要な燃料の供給装荷を決定できることがまた企図されている。コントローラ28は、必要に応じて、左翼燃料貯蔵タンク32および右翼燃料貯蔵タンク34のそれぞれへの制御弁26を止めることができる。コントローラ28はまた、燃料量情報がユーザインターフェーススクリーン68に表示され得るように、それをタンカー燃料補給装置14に送信することができる。コントローラ28および56は、さまざまなセンサおよびコンポーネントから状態信号を受信することができる。非限定的な例として、コントローラ56は、数字を照合し、燃料補給システムにおいて漏れが存在するかどうかを判定するために、流量計64から信号を受信して、ポンプで汲み上げられている燃料の量についてのさらなる読み取り値を取得することができる。
【0025】
上述したシステムは、燃料補給動作が燃料補給装置のコントローラから開始され得るように、航空機燃料システムと燃料補給装置との間に、ワイヤレス通信のための手段を提供する。上述したシステムは、航空機の翼において高価な燃料補給制御パネルがもはや必要ないことを含む、さまざまな便益を提供する。これは、いくつかの費用節約便益を提供する。たとえば、航空機燃料補給制御パネルは、約10ポンドの重量を航空機に加え、一方で、関連する配線は、およそさらに10ポンドの重量を航空機に加える。上述したシステムは、パネルおよび配線の初期費用、ならびにパネルおよび関連する配線を設置するための費用を節約するだけでなく、航空機におけるおよそ20ポンドの重量もまた節約する。これは、航空機の寿命にわたって燃料節約費用に加算される。さらに、航空機の寿命にわたって燃料補給パネルを維持する費用がかからないという点において、経費を節約することができる。
【0026】
上のシステムは、最近の燃料補給パネルよりも、使用するのが簡単で、便利である。最近の燃料補給パネルは、冬および夏の極端な気温において、ユーザが燃料量設定を調整することを要する。タールマックを反射するまぶしい陽光が、燃料補給パネルのディスプレイの読み取りを困難にすることがある。さらに、最近の燃料補給制御パネルは、燃料補給ホース接続部の隣に位置するため、接続している間にホースが滑って、制御パネルを損傷することは珍しくない。上述したシステムは、これらの問題を回避するという点において、さらなる便益を提供する。
【0027】
さらに、上述したシステムにはいくつかの動作上の利点がある。第1に、整備追跡および課金目的のための航空機制御へのワイヤレス通信が可能になる。第2に、燃料補給装置からの燃料量データを使用して、航空機燃料量測定システムの健全性をモニタすることができる。すなわち、燃料補給装置は、装荷された燃料の量を航空機AHTMUに送信することができ、AHTMUは、燃料補給装置が測定した量を航空機システムが測定した量と比較し、したがって、航空機の精度または健全性の測定を提供することができる。
【0028】
本書は、例を使用して、最良の形態を含めて本発明を開示し、あらゆる当業者が、任意のデバイスまたはシステムを作成し、使用し、任意の組み込まれた方法を実施することを含めて、本発明を実施することができるようにする。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思いつく他の例を含むことができる。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言語と異ならない構造的要素を有する場合、または、それらが特許請求の範囲の文字通りの言語とわずかに異なるにすぎない均等な構造的要素を含む場合に、特許請求の範囲内であるものとする。
【符号の説明】
【0029】
10 燃料補給システム
12 航空機
14 燃料補給装置
16 ワイヤレス通信システム
20 燃料貯蔵タンク
22 燃料センサ
24 燃料補給ライン
26 制御弁
28 コントローラ
30 第1のワイヤレス通信システム
32 左翼燃料貯蔵タンク
34 右翼燃料貯蔵タンク
36 入口
38 外側
40 第1のセクション
42 第2のセクション
44 RDIU
46 IMAコンピュータ
48 AHTMU
50 燃料貯蔵槽
52 分配ホース
54 ポンプ
56 コントローラ
60 第2のワイヤレス通信システム
62 内部燃料流量ライン
64 流量計
66 制御弁
68 ユーザインターフェーススクリーン
70 地上モニタ
72 第3のワイヤレス通信システム
74 航空路制御
76 燃料補給デポ
78 通信リンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの燃料タンク、
航空機の外側からアクセス可能な入口を有し、前記燃料タンクに流体結合した燃料補給ライン、
前記燃料補給ラインを通して燃料の流量を制御する制御弁、
前記少なくとも1つの燃料タンクにおける燃料の量を示す燃料信号を出力する燃料センサ、
前記燃料信号を受信し、前記燃料信号に応答して前記制御弁を制御する第1のコントローラ、および
前記第1のコントローラに動作可能に結合した第1のワイヤレス通信システム
を含む前記航空機と、
燃料供給部、
前記燃料補給ラインの前記入口と対合するように構成された分配ホース、
前記分配ホースを前記燃料供給部に流体結合させるポンプ、
前記少なくとも1つの燃料タンクに供給されるべき燃料の量を示す燃料データを含む燃料プロファイルが記憶されたメモリを有し、前記ポンプを制御する第2のコントローラ、および
前記第2のコントローラに動作可能に結合した第2のワイヤレス通信システム
を含む燃料補給装置と
を含む、航空機用の燃料補給システムであって、
前記第1のワイヤレス通信システムと前記第2のワイヤレス通信システムとが通信し、それにより前記第1のコントローラおよび前記第2のコントローラが、前記燃料プロファイルに従って、また前記燃料信号に応答して、前記少なくとも1つの燃料タンクを満たすように前記制御弁および前記ポンプの動作を制御する、
燃料補給システム。
【請求項2】
前記燃料プロファイルが、前記少なくとも1つの燃料タンクに貯蔵されるべき燃料の総量を示す燃料装荷データを含む、請求項1記載の燃料補給システム。
【請求項3】
前記燃料信号が、前記少なくとも1つの燃料タンクにおける燃料の現在の量を示す現在の燃料装荷データを含む、請求項2記載の燃料補給システム。
【請求項4】
前記現在の燃料装荷データが前記燃料装荷データに合致するまで、前記燃料供給部から前記少なくとも1つの燃料タンクに燃料を供給するように、前記第1のコントローラおよび前記第2のコントローラが、前記制御弁および前記ポンプの動作を制御する、請求項3記載の燃料補給システム。
【請求項5】
前記第1のコントローラおよび前記第2のコントローラのうちの少なくとも1つが、前記燃料装荷データおよび前記現在の燃料装荷データに基づいた燃料装荷に対し、前記少なくとも1つの燃料タンクを満たすために必要な燃料の供給装荷を決定する、請求項3記載の燃料補給システム。
【請求項6】
燃料の前記供給装荷が、前記燃料供給部から前記少なくとも1つの燃料タンクに供給されたときに、前記第1のコントローラが前記制御弁を止め、前記第2のコントローラが前記ポンプを止める、請求項5記載の燃料補給システム。
【請求項7】
前記第1のワイヤレス通信システムと前記第2のワイヤレス通信システムとが、前記第1のコントローラと前記第2のコントローラとの間で、前記燃料装荷データおよび前記現在の燃料装荷データのうちの少なくとも1つを通信する、請求項3記載の燃料補給システム。
【請求項8】
前記第1のワイヤレス通信システムと前記第2のワイヤレス通信システムとが、前記第1のコントローラから前記第2のコントローラへの前記燃料信号、および前記第2のコントローラから前記第1のコントローラへの前記燃料プロファイルのうちの少なくとも1つを通信する、請求項1記載の燃料補給システム。
【請求項9】
少なくとも前記第2のワイヤレス通信システムと通信する第3のワイヤレス通信システムを有し、燃料補給デポから前記燃料補給装置へと前記燃料プロファイルを送信する、前記燃料補給デポをさらに含む請求項1記載の燃料補給システム。
【請求項10】
前記燃料補給デポと通信し、前記燃料プロファイルを生成し、次いで前記燃料プロファイルを前記燃料補給デポに伝達する、航空路制御をさらに含む請求項9記載の燃料補給システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの燃料タンクが、複数の燃料タンクを含み、前記燃料プロファイルが、前記複数の燃料タンクのそれぞれについての燃料データを含む、請求項1記載の燃料補給システム。
【請求項12】
前記燃料プロファイルに従って、前記複数の燃料タンクのそれぞれを選択的に満たすように、前記第1のコントローラが前記制御弁を制御し、前記第2のコントローラが前記ポンプを制御する、請求項11記載の燃料補給システム。
【請求項13】
少なくとも1つの燃料タンク、航空機の外側からアクセス可能な入口を有し、前記燃料タンクに流体結合した燃料補給ライン、前記燃料補給ラインを通して燃料の流量を制御する制御弁、前記少なくとも1つの燃料タンクにおける燃料の量を示す燃料信号を出力する燃料センサ、および、前記燃料信号を受信し、前記燃料信号に応答して前記制御弁を制御する第1のコントローラを有する前記航空機と、燃料供給部、前記燃料補給ラインの前記入口と対合するように構成された分配ホース、前記分配ホースを前記燃料供給部に流体結合させるポンプ、および、前記少なくとも1つの燃料タンクに供給されるべき燃料の量を示す燃料データを含む燃料プロファイルが記憶されたメモリを有し、前記ポンプを制御する第2のコントローラを有する燃料補給装置とを含む、航空機用の燃料補給システムのための、ワイヤレス通信システムであって、
前記航空機に設けられ、前記第1のコントローラに動作可能に結合した第1のワイヤレス通信システムと、
前記燃料補給装置に設けられ、前記第2のコントローラに動作可能に結合した第2のワイヤレス通信システムと
を含み、
前記第1のワイヤレス通信システムと前記第2のワイヤレス通信システムとが通信し、それにより前記第1のコントローラおよび前記第2のコントローラが、前記燃料プロファイルに従って、また前記燃料信号に応答して、前記少なくとも1つの燃料タンクを満たすように前記制御弁および前記ポンプの動作を制御する、
ワイヤレス通信システム。
【請求項14】
前記第1のワイヤレス通信システムと前記第2のワイヤレス通信システムとが、前記第1のコントローラから前記第2のコントローラへの前記燃料信号、および前記第2のコントローラから前記第1のコントローラへの前記燃料プロファイルのうちの少なくとも1つを通信する、請求項13記載のワイヤレス通信システム。
【請求項15】
前記第1のワイヤレス通信システムが、前記第2のワイヤレス通信システムに、更新された燃料信号を繰り返し伝達する、請求項14記載のワイヤレス通信システム。
【請求項16】
前記第2のワイヤレス通信システムが、前記更新された燃料信号を前記第2のコントローラに提供し、前記更新された燃料信号が、前記少なくとも1つの燃料タンクが前記燃料プロファイルに従った燃料の量を受け入れたことを示すときに、前記第2のコントローラが、前記ポンプを止める、請求項15記載のワイヤレス通信システム。
【請求項17】
前記第1のワイヤレス通信システムが、前記燃料データを前記第1のコントローラに提供し、前記燃料信号が、前記燃料データに合致する前記少なくとも1つの燃料タンクにおける燃料装荷を示すときに、前記第1のコントローラが、前記制御弁を止める、請求項14記載のワイヤレス通信システム。
【請求項18】
少なくとも前記第2のワイヤレス通信システムと通信する第3のワイヤレス通信システムを有し、燃料補給デポから前記燃料補給装置へと前記燃料プロファイルを送信する、前記燃料補給デポをさらに含む請求項13記載のワイヤレス通信システム。
【請求項19】
前記燃料補給デポと通信し、前記燃料プロファイルを生成し、次いで前記燃料プロファイルを前記燃料補給デポに伝達する、航空路制御をさらに含む請求項18記載のワイヤレス通信システム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの燃料タンクが、複数の燃料タンクを含み、前記燃料プロファイルが、前記複数の燃料タンクのそれぞれについての燃料データを含み、
前記燃料プロファイルに従って、前記複数の燃料タンクのそれぞれを選択的に満たすように、前記第1のコントローラが前記制御弁を制御し、前記第2のコントローラが前記ポンプを制御する、請求項13記載のワイヤレス通信システム。

【図1】
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【公開番号】特開2013−82441(P2013−82441A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−223777(P2012−223777)
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.LTE
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)