説明

航空機の着陸装置のシミーダンパー

【課題】既存の航空機の着陸装置に取り付けることができ、実質的に操向を阻害したり大きな整備を必要としたりしない非油圧のシミーダンパーを得る。
【解決手段】本発明のシミーダンパーを整備する必要がある場合、作業ラインで交換可能なユニット(LRU)として容易に交換することができるので、それにより航空機のダウンタイムが減少する。シミーダンパーは航空機の脚柱に取り付け可能で、脚柱の回転可能な操向部材を係合する回転可能な連結部材を具備する。減衰構体は、減衰力を提供するために回転可能な連結部材に連結される。所望量の減衰力をかける及び/又は維持するように、減衰構体は調整が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に航空機の着陸装置に関する。より詳細には、本発明は航空機の着陸装置のシミーダンパー(異常振動制振器)に関する。本出願は、2008年3月5日申請の仮特許出願通し番号61/033,837の優先権を主張し、ここに参照することによって開示に含まれる。
【背景技術】
【0002】
車輪のシミー(異常振動)は、1つ又は複数の着陸装置の車輪が、航空機の進行方向に平行な直線に沿って横揺れする状態である。車輪のシミーは、低いねじり剛性、着陸装置の過度な遊動(freeplay)、車輪の不均衡、又は摩耗部品などのいくつかの状態により生じる可能性がある。しかしながら、新しい航空機でさえ、着陸装置と航空機の機体の間の共振により車輪のシミーが生じることが多い。新しい航空機が初めて飛行して、着陸装置と機体の設計が十分に確立されるまで、この共振は発見されない可能性がある。航空機を建造後にシミーの問題を解決するのは難題である。その問題を解決するために着陸装置の設計を変更し交換することは、通常経済的ではないからである。したがって、既存の着陸装置の車輪のシミーを減少させる、又は除去するためのいくつかの異なる概念が形成されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、油圧シミーダンパーが車輪のシミーを抑えるのに使用されている。一般に、このようなシミーダンパーは、シミー運動を抑えるために着陸装置の装備品の間に取り付けられる油圧緩衝装置からなる。油圧緩衝装置は、一般に油を充填した中空管からなる。油を通るロッドとピストンの動きにより速度依存の粘性減衰力が発生する。このような設計は頻繁な整備を必要とし、温度の上昇は減衰効率を減少させ得る。また、このようなシミーダンパーは、一般に1つ又は複数の車輪が360度の回転することを可能にせず、一般に異なるレベルの減衰を提供するように調節することは困難である。
【0004】
過去に使用された別のタイプのシミーダンパーは、ステアリングカラーの歯車を機械的に脚柱に係合させる摩擦シミーダンパーである。例えば1つの設計は、ステアリングカラーの回転を減衰させるために、それに圧接した皿ばね座金が含まれる。このようなシミーダンパーは機能的に適切であるが、既存の着陸装置構体は容易に改修可能ではなく、このようなタイプのダンパーの多くは、ばね座金を脚柱に被せて入れ子式にはめ込む必要があるので、皿ばね座金の装着及び/又は取り外しは、一般に着陸装置を実質的に分解する必要がある。
【0005】
(絞り弁の追加による)油圧減衰は、シミー振動を減衰させる方法として、多くの油圧の操向作動系の特徴として使用される。これは、追加の質量を最小限に抑える一般的な方法であり、一般に有効である。振動源からの距離又は作動装置から振動までの構造物の荷重通路の可撓性のせいで、油圧絞り弁が有効でないときに、他の方法が必要となるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、既存の航空機の着陸装置に取り付けることができ、実質的に操向を阻害したり大きな整備を必要としたりしない、非油圧の回転シミーダンパーを提供する。本発明のシミーダンパーを整備する必要がある場合、作業ラインで交換可能なユニット(LRU)として容易に交換することができるので、それにより航空機のダウンタイム(休止時間)が減少する。本発明のシミーダンパーは、与えられた適用について所望量の減衰を提供するように調整が可能であり、摩耗部品、車輪の不均衡等の原因による航空機の着陸装置の変化を根拠とするシミーダンパーの再調整ができるように調整が可能である。
【0007】
したがって、本発明は、回転可能な連結部材と、その回転可能な連結部材の回転に抵抗するためにそれに操作連結される減衰構体からなる、着陸装置によって運ばれる車輪の操向のために操向可能な部材を有する航空機の脚柱に取り付け可能な航空機のシミーダンパーを提供する。回転可能な連結部材は、その回転が操向部材を回転させるように、操向可能な部材に回転されて連結されるように構成される。
【0008】
より詳細には、シミーダンパーは、減衰歯車を偏向して脚柱の操向歯車と係合させる偏向機構を具備する。減衰構体は、回転部材と、回転部材の回転に抵抗するために回転部材に対して偏向する少なくとも1つの摩擦パッドなどの摩擦部材を具備する。偏向機構は、回転部材に加える偏向を制御できるように調整が可能である。
【0009】
本発明の他の態様として、着陸装置によって運ばれる車輪の操向のために回転可能な操向部材を有する航空機の着陸装置に取り付け可能なシミーダンパーは、回転によって操向部材を回転させるように操向部材と係合するように構成された回転部材と、回転部材の回転に抵抗するために摩擦によって回転部材と係合する摩擦部材から構成される。
【0010】
より詳細には、回転部材が操向部材に対して偏向するための調整可能な偏向機構が設けられる。さらに、摩擦部材が回転部材に対して偏向するために調整可能な偏向部材が設けられる。また例示的な実施形態において、摩擦部材に対して予圧されたばね座金を具備する。
【0011】
本発明の他の態様として、回転可能な連結部材が航空機の着陸装置の回転可能な操向部材に対して偏向することと、回転可能な連結部材の動きを減衰構体で抵抗することからなる、航空機の着陸装置のシミーを減衰する方法が提供される。
【0012】
本発明のさらなる特徴は、図面と合わせて考慮すれば次の詳細の説明から明白になるであろう
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施形態によるシミーダンパーを含む航空機の着陸装置の正面図である。
【図2】図2は、図1の2−2線を通って得た部分的な横断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態によるシミーダンパーの透視図である。
【図4】図4は、図3の4−4の線を通って得た横断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態による他のシミーダンパーの部分的な横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで図面、最初に図1及び2を詳細に参照すると、本発明による例示的なシミーダンパー2が例示的な着陸装置3に装着されているのが示されている。簡潔化した航空機の着陸装置3は上方管6を有する脚柱4を具備し、その上部端で航空機の構造(図示せず)に取り付けられている。下方管8は上方管6から延在しており、それに取り付けられたハブ10を具備しており、ハブ10は車輪構体(図示せず)を装着することができる。カラー歯車を具備することができる回転可能なステアリングカラー12は、上方管6の下端部に取り付けられ、操向入力を伝達するためにトルクアーム14によってハブ10に回転可能に連結される。ステアリングモーター16は、一般にピニオンギアを具備しており、適切な方法(図示せず、本発明にとって重要でない)を使用して上方管6に取り付けられる。歯車カバー18は、ステアリングカラー及びピニオンギアを封入し、周囲から密閉された潤滑チャンバを提供する。航空機の着陸装置3は簡潔に又は略図で示されており、ロック機構、引込機構、及び操向機構などの他の構造物は、シミーダンパー2を不明瞭にしないよう示されていない。これらの構造物の様々な配置は技術的に公知であり、本発明の説明又は理解にとって重要ではない。またシミーダンパー2は、図示した以外の多種多様な状態及び位置にて航空機の着陸装置に取り付けることができる。
【0015】
図2において、シミーダンパー2は、ピボット連結されて枢動可能に取り付けられており、図示した実施形態においては、それは取付ボルト20であり、ピボットブッシング22は、歯車カバー18内でカウンタボア24(図3を参照)に入れ込まれる。したがって、シミーダンパー2は、歯車カバー18の上面を横切って自由に摺動できる。下記にさらに詳細に説明するように、シミーダンパー2がステアリングカラー12と付勢係合するように、偏向機構26は歯車カバー18に固着される。
【0016】
図3及び4を参照して、シミーダンパー2を詳細に説明する。シミーダンパー2は、底面30と一般に円筒状の側壁32を有するハウジング28を具備し、その底面と側壁は一体で内部空洞を形成する。内部空洞を封入するためのカバー34はボルト36で固着され、暴風雨にハウジング28の内部がさらされないように、カバー34を密閉するために、Oリング38及び40などの適切なシール部材が設けられる。
【0017】
ハウジング28は、取付口44を具備する径方向に延長する平坦な突出部42を具備しており、その取付口を通して取付ボルト20及びピボットブッシング22が延長して、シミーダンパー2を航空機の着陸装置4の歯車カバー18に枢着させる。Oリング46などのシール部材が歯車カバー18にハウジング28を密閉するために設けられる。
【0018】
ハウジング28はまた、径方向に延長する突出部48も具備しており、それに偏向機構26が取り付けられる。偏向機構26は、ばね52とばね保持器及び調整機構55を具備する。ばね保持及び調整機構55は、歯車カバー18に固着され、それに対して力を加えるためにばね52が突出部48に圧接するように構成される。したがって、シミーダンパー2が脚柱4に取り付けられると、シミーダンパー2が脚柱4の回転可能なステアリングカラー12上の歯車と付勢係合するように、偏向機構26を使用することができる。
【0019】
シミーダンパー2が回転可能なステアリングカラーに対して偏向すると、一般にその間の遊動が減少し、シミーダンパー2の滑らかな動作が助長されるように歯車の適当量の隙間を維持する働きをすることができる。シミーダンパー2と回転可能な操向部材12の間の遊動は一般に、遊動の範囲全体にわたって、回転可能なステアリングカラー12が、シミーダンパー2からの影響をほとんど、又はまったく受けないで回転することができる効果があることが理解されるであろう。それゆえに、過度の遊動が存在する場合、シミーダンパー2があるにもかかわらず、着陸装置4でシミーが発生しうる。したがって、歯車間の遊動を最小限に抑えることが一般に望ましい。図示した実施形態において、シミーダンパー2と回転可能なステアリングカラー12の間の遊動を制御するために偏向機構26が設けられているが、さらに、装備品間の遊動は、他の方法によって減少又は除去することができ、本発明は、例示された偏向機構26の使用に制限されないことが理解されるであろう。
【0020】
シャフト60は、ハウジング28の中心に位置する開口部を通って、そこから延長する。シャフト60は、ハウジング28の空洞で回転できるように、上方内筒65と下方内筒70などの適切な手段によって支持される。ハウジング28の開口部にシャフト60を密閉するために、シャフトシール72が設けられる。シャフト60と一緒に回転するために、係合歯車75などの回転可能なカップリング部材がそこに固着される。係合歯車75は、以下に説明するように、航空機の脚柱の操向歯車の相手歯と係合するように複数の歯80を有する。回転可能な部材である円盤部材85は、ハウジング28内でシャフト60から径方向に延長する。
【0021】
円盤部材85は、シャフト60上で回転できるように支持される。円盤部材85は、キーなどの適切な手段によってシャフト60に固着される個別の部材でありうることが理解されるであろう。あるいは、円盤部材85は、示すようにシャフト60と一体型の構造でありうる。円盤部材85の径方向外周部分は、一般に平坦な係合領域90が画成され、それに対して1組の摩擦パッド95及び100がその両側の表面を押すように構成される。摩擦パッド95及び100は、1つ又はそれ以上の装着ピン105をハウジング28の穴107に圧入するなどの適切な手段によって、ハウジング28内で回転に反して固着される。摩擦パッド95及び100を、円盤部材85に反して予圧するための調整可能なキャップ構体110は、スレッド112を介してハウジング28にねじ込まれる。
【0022】
調整可能なキャップ構体110は、キャップ115、圧縮リング117、皿ばね座金であってもよい重ねた環状の皿ばね122と皿ばね案内125を具備する。キャップ112から延長する皿ばね軸130は、各皿ばね122の中心を通って延長し、シャフト60を支持するために上方内筒65を保持する。各皿ばね122は、示すように、内縁又は外縁でその下の皿ばねと接触する。4個の皿ばね122が示されているが、応用と必要な予圧力の大きさによって、任意適当な数の皿ばねを使用することができる。低部の皿ばね122は、皿ばね案内125と接触する。皿ばね案内125は、上方摩擦パッド95と接触して、それに予圧力を加える。上方摩擦パッド95、下方摩擦パッド100と円盤部材85の間の摩擦は、調整可能なキャップ構体110が円盤部材85の回転に抵抗することでかけられた圧力によって生じる。
【0023】
円盤部材85に対する予圧力を調節するには、キャップ115を時計回りに、又は反時計回りに回転して(例えば、ハウジング28にねじ込む、又は、ねじ出す)皿ばね122の圧縮を調節する。キャップ115の回転は、圧縮リング117を下方に押しけるキャップ115の直線平行移動となり、それによって重ねた皿ばね122が圧縮されることが理解されるであろう。皿ばね122は圧縮されるにつれて、次に皿ばね案内125に作用して、それによって上方摩擦パッド95が円盤部材85の係合領域90の上面と係合される。軸方向に移動できるようにハウジング28で支持されるシャフト60は、下方摩擦パッド100が円盤部材85の係合領域90の下面に反動力をかけている間に、上方摩擦パッド95によってかけられた圧力に応じて下方に移動することができる。
【0024】
摩擦部材95及び100と円盤部材85の間の減衰構体によって生じた摩擦力は、周囲に放散するために、回転エネルギーを主に熱エネルギーに変換することがここで理解されるであろう。したがって、シャフト60と係合歯車75、及び係合歯車75に操作して連結される他の部材の回転を、シミーダンパー2の予圧力を調節することで所望量に減衰させることができる。
【0025】
シミーダンパー2は、回転可能な操向部材12の回転に抵抗し、そしてその結果として、ハブ10に取り付けられた車輪の回転に抵抗する、一般に一定した力をかけることが、ここでまた理解されるであろう。前述のように、摩擦部材95及び100が円盤部材85にかける予圧力の量を制御するために、対抗力の大きさを調整可能なキャップ構体110で調節することができる。さらに、航空機の着陸装置4の装備品又は摩擦パッド及び/又はシミーダンパー2の円盤部材85が、動作により摩耗及び/又は疲労するにつれて、航空機の着陸装置のシミーの発生を防止するよう適切な減衰を提供するために、シミーダンパー2を再度調節することができる。
【0026】
ここで図5を参照して、本発明による他の実施形態を説明する。この実施形態において、シミーダンパー300は一般に円筒状のハウジング310を具備し、キャップ構体315がスレッド320を介してその中にねじ込まれる。図5に示されていないが、シミーダンパー300を取付表面に固着するために、ハウジング310は1つ又はそれ以上の取付口を具備することができ、前述のようにシミーダンパー300が回転可能な操向部材に対して偏向するために、さらに偏向機構を具備してもよい。ハウジング310は、ハウジング310の底面を取付表面に密閉するためにシール部材322を具備する。
【0027】
この実施形態においてキャップ構体315は、ハウジング310上でスレッド320と合致するねじ部330を有するキャップ325と、圧縮リング部335と、キャップ構体315がハウジング310にねじ込まれるように構成された上方部340を具備する。上方部340はまた、ハウジング310の内部を封入するためのカバーとしても機能する。図示した実施形態において、上方部340は、キャップ構体315を回転させるために、スパナなどの適切なツールと係合できるように六角頭を具備する。キャップ構体315を回すための他の手段を設けることができる。例えば、ねじまわしの平らな先端部分を受け取るために上方部340にスロットを設けてもよい。あるいは、開いた端部を有する中空の円筒を上方部340に取り付けて、キャップ構体315を回すためにシャフトをその中に差し込んでもよい。
【0028】
キャップ構体315はさらに、皿ばね座金であってもよい1組の皿ばね345及び350と皿ばね案内355を具備する。皿ばね案内355は縁358を有しており、その上に下方皿ばね350が載っている。皿ばね案内355は、1つ又はそれ以上のピン360によってハウジング310に対して固定され、シャフト375上で円盤部材370を係合できるように上方摩擦パッド365を具備する。
【0029】
シャフト375は、ハウジング310の中心に位置する穴を通ってハウジング310から延びる。シャフト375は、ハウジング310中で回転できるように、キャップ構体315で保持される上方内筒380と下方内筒385などの適切な手段によって支持される。ハウジング310の開口部にシャフト375を密閉するために、シャフトシール390が設けられる。シャフト375と一緒に回転するために、係合歯車390などの回転可能なカップリング部材がそこに固着される。係合歯車390は、航空機の脚柱の操向歯車400の相手歯と係合するように複数の歯395を有する。
【0030】
円盤部材370は、シャフト375で回転できるように支持される。前述のように、円盤部材370は、キーなどの適切な手段によって、シャフト375に固着される個別の部材でありうる。又は示すようにシャフト375の一部分として形成されてもよい。円盤部材370の径方向外周部分は、一般に平坦な係合領域410が画成され、それに対して摩擦パッド365が係合するように構成される。
【0031】
図5に示されたシミーダンパー300の調節は、図1〜2のシミーダンパー2を調節する方法に似ている。したがって、シミーダンパー300によって生じた減衰の量は、キャップ構体315を時計回りに、又は反時計回りに回転させることでそれの圧縮リング部335の直線平行移動を達成させて、調節することができる。以下に説明するように、キャップ構体315がハウジング310にねじ込まれるにつれて、圧縮リング部335が皿ばね345及び350を圧縮し、それによって摩擦パッド365を介して円盤部材370により多くの圧力をかける。したがって、シミーダンパー300によって、より大きな減衰力が生じる。
【0032】
説明した実施形態のシャフト及び/又は円盤部材は、鋼などの任意の適切な材料で作成することができる。特定の応用によっては、円盤部材に1つ又はそれ以上のコーティングを塗布することができる。例えば好ましいコーティングは、高速フレーム溶射(HVOF)技術によって円盤部材の上面と下面に塗布された、炭化タングステンである。炭化タングステンをコーティングした円盤部材と共に使用する好ましい摩擦パッド材料は、グリーンツイード社製造の材料ARLON1286である。しかし、金属の摩擦材、半金属の摩擦材、又はセラミックの摩擦材などの他の材料を摩擦パッドに使用することができる。
【0033】
本発明に従って、他の係合部材及び/又は追加の伝達要素が使用できることが理解されるであろう。例えば、係合歯車とステアリングカラーの歯車の連結に、チェーン又はベルトを設けることができる。同様に、ステアリングカラーの歯車と係合歯車の連結にラックを設けてもよい。
【0034】
本発明は、既存の航空機の着陸装置に取り付けることができる調整可能な回転シミーダンパーを提供することが、ここで理解されるであろう。本発明のシミーダンパーは、実質的に操向を阻害したり大きな整備を必要としたりしない。本発明のシミーダンパーは、与えられた適用について所望量の減衰を提供するように調整が可能であり、航空機の設計寿命全体を通して、摩耗部品、車輪の不均衡、及び他の車輪のシミーの原因による航空機の着陸装置の変化を根拠とするシミーダンパーの再調整ができるように調整が可能である。
【0035】
本発明の原理は、油圧操向部材を利用する着陸装置を含む他の種類の着陸装置及び脚柱に応用することができる。
【0036】
本発明は、1つ又は複数のある好ましい実施形態に関して示し説明したが、本明細書及び添付図面を読み理解することで、均等の変更及び改造が起こることは当業者には明白である。上述した要素(装備品、構体、装置、構成など)によって動作する様々な機能に特に注目して、これらの要素を説明するために使用した用語(「手段」への言及を含む)は、ここに示された本発明の1つ又は複数の例示的な実施形態において、説明する要素の指定の機能を行う開示した構造と構造上均等でなくても、別段の指定がない限り、その機能を行う任意の要素(すなわち、機能的に均等である)に、相当することを意図するものである。さらに、本発明の1つの特定の特徴を、いくつかの図示した実施形態のうちの1つのみ、又はそれ以上に関して上記で説明したが、この特徴は、任意の与えられた適用又は特定の適用について、望ましく有利なように他の実施形態のうちの1つ、又はそれ以上の他の特徴と組み合わせてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着陸装置によって運ばれる車輪の操向のために回転可能な操向部材を有する航空機の脚柱に取り付け可能であり、
回転可能な連結部材の回転が前記操向部材を回転させるように、前記回転可能な連結部材が前記操向可能な部材に回転されて連結されるように構成された前記回転可能な連結部材と、
前記回転可能な連結部材の回転に抵抗するために前記回転可能な連結部材に操作連結される減衰構体を具備する
ことを特徴とする航空機のシミーダンパー。
【請求項2】
さらに前記回転可能な連結部材の任意の遊動が許容できないと前記回転可能な連結部材を偏向して前記脚柱の前記操向部材と係合させる偏向機構を具備する
ことを特徴とする請求項1に記載のシミーダンパー。
【請求項3】
前記減衰構体は、回転部材と前記回転部材の回転に抵抗するために前記回転部材に対して摩擦によって偏向する少なくとも1つの摩擦部材を具備する
ことを特徴とする請求項1に記載のシミーダンパー。
【請求項4】
前記摩擦部材は少なくとも1つの摩擦パッドである
ことを特徴とする請求項3に記載のシミーダンパー。
【請求項5】
さらに前記回転部材に加えた偏向を制御できるように調整可能な偏向機構を具備する
ことを特徴とする請求項3に記載のシミーダンパー。
【請求項6】
前記調整可能な偏向機構は前記摩擦部材に対して予圧されたばね座金である
ことを特徴とする請求項5に記載のシミーダンパー。
【請求項7】
前記回転可能な連結部材は、前記減衰構体と回転接触しているときに摩耗又はかじりを受けにくいように表面硬化又は硬質コーティングが施されている基材である
ことを特徴とする請求項3に記載のシミーダンパー。
【請求項8】
前記摩擦部材は前記回転可能な連結部材と回転接触しているときに摩耗又はかじりを受けにくい材料で作成される
ことを特徴とする請求項3に記載のシミーダンパー。
【請求項9】
着陸装置によって運ばれる車輪の操向のために操向部材を有して航空機の脚柱に取り付け可能であり、
回転によって前記操向部材を回転させるように前記操向部材と係合するように構成された回転部材と、
前記回転部材の回転に抵抗するために摩擦によって前記回転部材と係合する摩擦部材を具備する
ことを特徴とするシミーダンパー。
【請求項10】
さらに前記回転部材の任意の遊動が許容できないと前記回転部材が前記操向部材に対して偏向するために調整可能な偏向機構を具備する
ことを特徴とする請求項9に記載のシミーダンパー。
【請求項11】
前記回転部材はシャフトに取り付けられた円盤である
ことを特徴とする請求項9に記載のシミーダンパー。
【請求項12】
前記摩擦部材は少なくとも1つの摩擦パッドである
ことを特徴とする請求項9に記載のシミーダンパー。
【請求項13】
さらに前記摩擦部材が前記回転部材に対して偏向するために調整可能な偏向部材を具備する
ことを特徴とする請求項9に記載のシミーダンパー。
【請求項14】
前記偏向部材は前記摩擦部材に対して予圧されたばね座金を具備する
ことを特徴とする請求項13に記載のシミーダンパー。
【請求項15】
前記回転部材は航空機の脚柱の操向歯車と係合するように構成された歯車である
ことを特徴とする請求項9に記載のシミーダンパー。
【請求項16】
前記回転部材は、前記摩擦部材と回転接触しているときに摩耗又はかじりを受けにくいように表面硬化又は硬質コーティングが施されている基材である
ことを特徴とする請求項9に記載のシミーダンパー。
【請求項17】
前記摩擦部材は前記回転部材と回転接触しているときに摩耗又はかじりを受けにくい材料で作成される
ことを特徴とする請求項9に記載のシミーダンパー。
【請求項18】
回転可能な連結部材が航空機の着陸装置の回転可能な操向部材に対して偏向することと、
前記回転可能な連結部材の動きを減衰構体で抵抗することからなる
ことを特徴とする航空機の着陸装置のシミーを減衰する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−208770(P2009−208770A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−52412(P2009−52412)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(501348092)グッドリッチ コーポレイション (17)