説明

航空機エンジンによって発生されたガスの汚染に対する分析のための等速性プローブ

【課題】分解および組み立て直しのし易い等速性プローブであって、充分な精度で空気取入れ速度を知ることができる等速性プローブを提案すること。
【解決手段】航空機エンジンによって発生されたガスの汚染に対する分析のための等速性プローブ。等速性プローブは、ガスストリームが流れる管路(14)の中に挿入された上流端部(24)と、取出し管のオリフィスに設けられたガスストリーム流入速度調整手段とを有する空気取出し管を備える。管は、基部(10)上に固定された形で取り付けられた下流端部を有する。基部は、通路ブッシュ(12)の内径d内に取り付けられた外径を有する。通路ブッシュの内径dは、管の上流端部が通路ブッシュの内径を通って嵌合するのに適切であるように充分に大きい。プローブはまた、基部に連結された端部を有した測定チャンバ(6)も備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスストリームが流れる管路の中に挿入された上流端部を有した空気取出し管(air tapping tube)を備え、取出し管のオリフィスにガスストリーム流入速度調整手段が設けられた、等速性(iso−kinetic)プローブ、特に航空機エンジンによって発生されたガスの汚染に対する分析のための等速性プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
旅客機では、客室の加圧用空気は、圧縮空気に対してエンジンによって実施される取り出しによって供給される。この理由から、この空気に、客室の乗客による呼吸に対して空気を不適切なものにする汚染物質が存在していないことを検証する必要がある。
【0003】
航空機エンジンによって発生されたガスの汚染に対する分析のための測定プローブが知られている。これらのプローブは等速性である。これは、空気が、プローブの取出し端部内と、取り出しが実施される空気流内とで同じ速度で流れているということを意味している。異なる3つの直径を有する取付け具が設けられており、取出し穴の直径が取入れアイソフローにおいて縮小すると、取付け具内の空気の流入速度が上昇するということが理解される。代替え案または追加として、プローブ下流のポンピングシステムによって取出し管の流入調整が得られる。
【特許文献1】仏国特許第2141220号明細書
【特許文献2】米国特許第4034611号明細書
【特許文献3】米国特許第3252323号明細書
【特許文献4】米国特許第3395516号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなプローブでは、取入れ速度は、精確さの著しい欠如をともなってしか分からない。さらに、取付け具を変更すると、試料採取管を分解することが必要になる。しかし、この分解は不都合であり、時間が掛かる。さらに、組み立て直し後、プローブの検査管上での連結の気密性を検査する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、分解および組み立て直しのし易い等速性プローブであって、充分な精度で空気取入れ速度を知ることができる等速性プローブを提案することによって、これらの欠点を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの目的は、本発明によって、管が、基部に固定した形で取り付けられた下流端部を有し(この取付けは気密性を保証している)、上記基部が、通路ブッシュの内径に取り付けられた外径を有し、通路ブッシュの内径が、管の上流端部が通路ブッシュの内径を通って嵌合するのに適切であるように充分大きく、またプローブが、基部に連結された端部を有した測定チャンバも備えるということによって、達成される。
【0007】
これらの特徴によって、取出し管と取出し管が通路管の外側で取り付けられた基部とを単に取り外すことによって、上記管路の内側にアクセスする必要なく管路の外側から取出し管を引き抜くことが可能になる。
【0008】
好ましくは取出し管の端部は湾曲されている。
【0009】
一実施形態によると、基部は、通路ブッシュの対応するフレア部(flared part)内に挿入されたフレア部を有する。
【0010】
有利には、基部のフレア部は、ナットによって、通路ブッシュのフレア部に載って適所にしっかりと保持されている。
【0011】
好ましくは測定チャンバはノズルでテーパ付けされた端部を有し、上記ノズルは、ナットによって、基部のフレア部に載って適所にしっかりと保持されている。
【0012】
これらの特徴によって、分解するのに単純かつ簡単な取出し管の組み立てがガスストリームで実施される。取出し管を分解するには、測定チャンバのノズルを基部のフレア部で適所に保持しているナットを単に外すだけでよく、これによって上記基部が解放され、通路ブッシュの内径から基部を取り外すことが可能になる。
【0013】
好ましい一実施形態では、本発明による等速性プローブは、静圧測定手段、全圧測定手段、および温度測定手段を測定チャンバ内に設けて備える。
【0014】
全圧測定手段は例えばピトー管である。
【0015】
温度測定手段は例えば熱電対からなる。
【0016】
3つの変数、即ち全圧、静圧、および温度を判定することによって、流量を算出することが可能となる。得られた流量値によって、所与の形状についての測定チャンバ内のガス速度を得ることが可能になる。測定チャンバ内のガス速度を判定することによって、上流のガス速度、即ち取出し管のオリフィスにおけるガス速度を流量保存方程式によって算出することが可能になる。
【0017】
有利には、等速性プローブは、異なる直径の湾曲端部を有したいくつかの取出し管を備え、上記取出し管はそれぞれ、共通の外径の基部上に設けられており、上記直径は、最大直径を備えた管の湾曲端部が通路ブッシュの内径を通って嵌合するのに適切であるように充分大きい。
【0018】
このようにして、取出し管内のガス進入速度を、管を変更することによって簡単に調整することが可能である。この動作は、以上に説明したように、取出し管を外側から簡単かつ迅速に分解することができるので、迅速に実施することができる。
【0019】
また、取出し管のオリフィスにおけるガス取入れ速度を、測定チャンバに連結された取入れポンプによって調整することも可能である。このポンプによって、試料採取管の入口における空気速度を加速させ、したがって上記速度を管路内の空気の速度と等しくすることが可能になる。
【0020】
他の実施形態では、等速性プローブは、空気取出し管の端部の入口における通路断面を変化させることを可能にする隔膜を備える。管路の外側から起動することができるこの隔膜の存在に起因して、ガスが通過できる通路の断面を変化させること、結果的に取出し管のオリフィスにおけるガスの速度を、連続的に変化させることが可能である。
【0021】
例証としてここに掲げた一実施形態の一実施例についての、添付図面を参照した以下の説明を読めば、本発明の他の特徴および利点が明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
全体を指す符号2を用いてここに示した本発明による等速性プローブは、取出し管4と測定チャンバ6とからなる。取出し管4は基部10が取り付けられた下流端部8を備える。基部10は、取出し管の端部8に例えばはんだ付けまたは溶接されている。基部10は、通路ブッシュ12の内径内で調整された外径を有する。通路ブッシュ12は、大直径の管路14の外側に、例えば溶接またははんだ付けされて固定されている。
【0023】
基部10は、実施形態では16で表した円錐形のフレア端部を備える。この円錐部は、通路ブッシュ12の相補的な円錐部18上に載っている。測定チャンバの下方端部は、円錐部16の内側部に対して載置されたノズル20を備える。ノズル20は、ナット22によって適所で締め付けられた状態になっている。このように、円錐部16は、通路ブッシュ12の円錐部18とノズル20の円錐端部との間で保持されている。
【0024】
取出し管4は、オリフィス26および湾曲部28を備えた上流端部24を有する。図2および図3で分かるように、管路14は円形断面を表し、オリフィス26は管路14の円形断面の中心に位置付けられている。
【0025】
取出し管は以下のように引き抜かれる。最初に、通路ブッシュ12に係合されたネジ付き部を備えたナット22が緩められ、取り外される。ナットが緩められた後は、測定チャンバ6が取り外され、これによって基部10が解放される。次いで、取出し管4を通路ブッシュ12に通して挿入することによって、取出し管4の全体を取り外すことが可能になる。この目的のために、通路ブッシュ内に設けられた穴の内径dが、管の湾曲部28とそのフレア形状を有したオリフィス26との通過を可能にするほど充分に大きいことに留意することが重要である。
【0026】
管の組み立て直し、または新たな管の組み立てはこの逆に実施される。したがって、管路14の内側にアクセスすることなく取出し管4を迅速に変更することが可能となることが観察される。
【0027】
図4は図1の平面IV−IVに沿った断面図を、図5は測定手段の外部斜視図を表している。これらの測定手段は、ピトー管30からなる全圧測定手段と、静圧センサ32によってなる静圧測定手段と、温度測定手段とを備える。
【0028】
全圧、静圧、および温度を判定することによって、ベルヌーイ方程式によって流量を算出することが可能となる。流量を判定することによって、所与の形状についての速度を算出することが可能になる。測定チャンバにおける流体の速度を判定することによって、流量保存方程式によって、上流の速度、即ち取出し管4のオリフィス26における速度を判定することが可能である。
【0029】
円形管路14の縦軸に対して完全に位置合わせされた穴のオリフィス26の角度配向を保証するために、角度配向手段が設けられた。ここに表した一実施形態の実施例では、これらの手段は、通路ブッシュ12から形成された溝40と、基部10の円錐部16内に形成されたピン42とからなる。ピン42が溝40内に挿入されると、オリフィス26が管路14に対して正しい角度配向を有することが保証される。さらに、ピン42は、取出し管が通路ブッシュ12に対して回転することを防止する。したがって、ピン42は、回転防止機能も同時に提供する。
【0030】
図7、図8、および図9は、異なる直径の取出し管4a、4b、4cが設けられた、本発明による同じ等速性プローブの3つの図を表している。最大直径を備えた管は4aである。この直径は、管4bの直径よりも大きく、管4bは管4cの直径よりも大きい。他方で、様々な基部10a、10b、10cの外径dは同じである。このように、異なる直径の等速性プローブ2の管を嵌合することが可能であり、これによってオリフィス26a、26b、または26c内の速度を調整することが可能となる。速度は、管の直径が縮小するにつれて上昇する。その結果、所与のポンピング能力について、管内の低い気流速度に対しては、最大直径を備えたプローブが選択されることになる(逆に、管内の高い気流速度に対しては、最小直径が選択されることになる)。管を別の管に交換するためには、ナット22が緩められ、測定チャンバ6が取り除かれる。次いで取出し管4a、4b、または4cが直接にアクセス可能となる。基部10a、10b、または10cの外径は、通路ブッシュ12の内径内を自由に滑動することができる。通路ブッシュ12の内径dは、最大直径を備えた管、この場合は管4aが、通路ブッシュ内に設けられた穴に嵌合することができるほど充分に大きくなるように設けられていることが観察される。交換されるべき取出し管が取り外されてしまうと、別の通路管、例えば管4bまたは4cが位置決めされ、測定チャンバ6が適所に戻され、ナット22が締め直される。したがって変更が完了される。管路14の内側にアクセスせずに、この変更が迅速に実施されてアセンブリの気密性を保障することに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による等速性プローブの全体断面図である。
【図2】図1で表した等速性プローブの外観図である。
【図3】図1および図2で表した等速性プローブの斜視図である。
【図4】図1の平面IV−IVに沿った断面図である。
【図5】本発明によるプローブの上方端部の外側斜視図である。
【図6】角度配向および回転防止システムの詳細図である。
【図7】取出し管の直径が徐々に縮小している、本発明による等速性プローブの断面図である。
【図8】取出し管の直径が徐々に縮小している、本発明による等速性プローブの断面図である。
【図9】取出し管の直径が徐々に縮小している、本発明による等速性プローブの断面図である。
【符号の説明】
【0032】
2 等速性プローブ
4、4a、4b、4c 取出し管
6 測定チャンバ
8 下流端部
10、10a、10b、10c 基部
12 通路ブッシュ
14 管路
16、18 円錐部
20 ノズル
22 ナット
24 上流端部
26、26a、26b、26c オリフィス
28 湾曲部
30 ピトー管
32 静圧センサ
34 温度測定手段
40 溝
42 ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスストリームが流れる管路(14)の中に挿入された上流端部(24)を有した空気取出し管を備え、取出し管のオリフィスにガスストリーム流入速度調整手段が設けられた、等速性プローブ、特に航空機エンジンによって発生されたガスの汚染に対する分析のための等速性プローブであって、管(4)が、基部(10)に固定された形で取り付けられた下流端部を有し、前記基部(10)が、通路ブッシュ(12)の内径dに取り付けられた外径を有し、通路ブッシュの内径が、管(4)の上流端部(24)が通路ブッシュ(12)の内径を通って嵌合するのに適切であるように充分大きく、このプローブが、基部に連結された端部を有した測定チャンバ(6)も備えることを特徴とする、等速性プローブ。
【請求項2】
試料採取管の上流端部(24)が湾曲されていることを特徴とする、請求項1に記載の等速性プローブ。
【請求項3】
管(10)が、通路ブッシュ(12)の対応するフレア部(18)内に挿入されたフレア部(16)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の等速性プローブ。
【請求項4】
基部のフレア部が、ナット(22)によって、通路ブッシュのフレア部(18)に載って適所にしっかりと保持されていることを特徴とする、請求項3に記載の等速性プローブ。
【請求項5】
測定チャンバがノズル(20)でテーパ付けされた端部を有し、前記ノズルが、ナット(22)によって、基部のフレア部に載って適所にしっかりと保持されていることを特徴とする、請求項4に記載の等速性プローブ。
【請求項6】
静圧測定手段、全圧測定手段、および温度測定手段(30、32、34)を測定チャンバ内(6)に設けて備えることを特徴とする、請求項1に記載の等速性プローブ。
【請求項7】
全圧測定手段がピトー管(30)であることを特徴とする、請求項6に記載の等速性プローブ。
【請求項8】
温度測定手段が熱電対からなることを特徴とする、請求項6または7に記載の等速性プローブ。
【請求項9】
異なる直径の上流端部を有したいくつかの取出し管(4a、4b、4c)を備え、前記取出し管がそれぞれ、共通の外径dの基部上に取り付けられ、前記直径が、最大直径(4a)を備えた管の湾曲端部が通路ブッシュ(12)の内径を通って嵌合するのに適切であるように充分大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載の等速性プローブ。
【請求項10】
測定チャンバに連結された少なくとも1つの取入れポンプを備え、前記ポンプが、取出し管(26)のオリフィスにおけるガス取入れ速度を調整することを可能にすることを特徴とする、請求項1または2に記載の等速性プローブ。
【請求項11】
空気取出し管の端部の入口における通路断面を変化させることを可能にする隔膜を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の等速性プローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−133839(P2009−133839A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−273882(P2008−273882)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(505277691)スネクマ (567)
【Fターム(参考)】