説明

航空機位置測定システム、受信局、データ量削減方法およびプログラム

【課題】通信コストの低減と中央局の負荷の低減とを実現する。
【解決手段】複数の種類の信号のそれぞれを航空機へ向けて送信する送信局と、複数の種類の信号のそれぞれに対する複数の種類の応答信号のそれぞれを航空機から受信し、解読処理して測定用データを生成し、生成した測定用データに受信時刻情報を付与して送信する複数の受信局と、複数の測定用データを受信し、それらに付与された複数の受信時刻情報と、複数の受信局のそれぞれの位置情報とに基づいて航空機の位置を測定する中央局とを有する航空機位置測定システムにおいて、送信局は、中央局にて決定された時刻に基づいた時刻に複数の種類の信号のそれぞれを送信し、複数の受信局のそれぞれは、所定の種類の信号を送信する時刻として中央局にて決定された時刻に基づいて時間帯を設定し、所定の種類の信号に対する応答信号を上記の時間帯以外の時刻に受信した場合、当該受信した応答信号を破棄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の位置を測定する航空機位置測定システム、受信局、データ量削減方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空管制を目的とした航空機位置測定システムにマルチラテレーションシステムがある。なお、マルチラテレーションシステムに関する技術が例えば、特許文献1に開示されている。以下に、マルチラテレーションシステムの構成について説明する。
【0003】
図4は、マルチラテレーションシステムの一構成例を示すブロック図である。
【0004】
図4に示すマルチラテレーションシステムは、中央局100と、通信回線1−1〜1−5のそれぞれを介して中央局100に接続された受信局200−1〜200−5とを備えている。
【0005】
受信局200−1〜200−5のそれぞれは、地上の相互に異なる位置に設置されている。受信局200−1〜200−5のそれぞれは、GPS(Global Positioning System)受信機21−1〜21−5のそれぞれを備えており、GPS時刻を用いた時刻同期を行う。受信局200−1〜200−5のそれぞれは、二次監視レーダ(SSR:Secondary Surveillance Radar)装置から送信されたモードA/C/S質問信号に対する航空機50からの応答信号であるモードA/C/S応答信号や、スキッタ信号を受信する。そして、受信局200−1〜200−5のそれぞれは、受信した信号を解読処理することにより、中央局100が航空機50の位置を測定するための測定用データを生成し、受信した時刻を示す受信時刻情報を、生成した測定用データに付与して通信回線1−1〜1−5のそれぞれを介して中央局100へ送信する。
【0006】
なお、モードA応答信号は、モードA質問信号に対する応答信号であり、航空機のフライトプラン毎に付与される情報を示している。また、モードC応答信号は、モードC質問信号に対応する応答信号であり、航空機の高度情報を示している。また、モードS応答信号は、モードS質問信号に対応する応答信号であり、航空機に恒久的に付与された情報を示している。
【0007】
中央局100は、受信局200−1〜200−5のそれぞれが設置されている位置を示す位置情報を記憶している。中央局100は、受信局200−1〜200−5のそれぞれから送信され、受信時刻情報が付与された複数の測定用データのそれぞれを通信回線1−1〜1−5のそれぞれを介して受信する。そして、中央局100は、受信した複数の測定用データのそれぞれに付与された複数の受信時刻情報のそれぞれが示す複数の時刻の差と位置情報とに基づいて航空機50の位置を測定する。なお、測定する位置には高度も含まれる。
【0008】
ここで、マルチラテレーションシステムは図4に示すように、送信局300を備えている場合もある。
【0009】
送信局300は、二次監視レーダ装置が送信するモードA/C一括質問信号やモードS個別質問信号と同じ質問信号を航空機50へ向けて送信する。従って、マルチラテレーションシステム自身が質問信号を送信した時刻を認識することができる。この場合、マルチラテレーションシステムだけで、質問信号を送信してから応答信号を受信するまでの往復の時間を検出することができ、航空機50の位置を測定する際の精度の向上が図れる。
【0010】
また、モードA応答信号とモードC応答信号とはフォーマットが同じである。そのため、モードA応答信号とモードC応答信号とのどちらを受信したかを区別するアルゴリズムが必要である。送信局300を備え、マルチラテレーションシステム自身がモードA/C一括質問信号を送信することにより、受信した応答信号がモードA応答信号なのかモードC応答信号なのかを判別しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−300146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、マルチラテレーションシステムでは、受信局200−1〜200−5のそれぞれにおいて受信された信号が解読処理され、測定用データが通信回線1−1〜1−5のそれぞれを介して中央局100へ送信される。
【0013】
そのため、マルチラテレーションシステムが設置される環境を考慮し、受信局200−1〜200−5のそれぞれにおいて受信される信号の数を想定して通信回線1−1〜1−5のそれぞれの容量を決定する必要がある。
【0014】
ここで、航空機から送信されるモードA/C/S応答信号のうちモードA/C応答信号の数は、二次監視レーダ装置の配置密度によっても異なるが、モードS応答信号の数に比べて数倍〜数十倍多くなる。これは、モードS機能を有しない二次監視レーダ装置が送信するモードA/C一括質問信号は、モードS機能を有する二次監視レーダ装置が送信するモードS一括質問信号に比べて1装置あたりの質問信号の送信数が多いためである。また、航空機は、全てのモードA/C一括質問信号に応答する一方で、二次監視レーダ装置からのロックアウト指示を受け付けている場合には、モードS一括質問信号に応答しないためである。
【0015】
また、マルチラテレーションシステムでは、二次監視レーダ装置のような狭指向性の空中線が用いられておらず、無指向性または広指向性の空中線が用いられている。そのため、受信局200−1〜200−5のそれぞれは、航空機50から送信されたモードA/C/S応答信号の全てを受信することになる。
【0016】
これらにより、受信局200−1〜200−5のそれぞれから大量の測定用データが中央局100へ送信されることになり、通信回線1−1〜1−5として大容量の通信回線が必要となる。
【0017】
そのため、マルチラテレーションシステムを新たに構築する際、通信回線1−1〜1−5として既存の専用線や既設の光ファイバ回線を用いることができない場合、大容量の通信回線を新たに準備する必要があり、通信コストが高くなってしまうという問題点がある。
【0018】
また、中央局100では複数の航空機のそれぞれの位置を測定するために、受信した複数の測定用データのそれぞれを複数の航空機毎に分類する必要がある。この場合、大量の測定用データを分類するための処理が必要となり、中央局100の負荷が高くなってしまうという問題点がある。
【0019】
なお、マルチラテレーションシステムにおいて、航空管制に必要となる航空機の位置を示すデータを作成するためには、複数の受信局のそれぞれにて受信された信号から生成された測定用データの全てを中央局へ送信する必要はない。航空機の位置を示すデータを1秒間に1回程度作成できるような量の測定用データが中央局へ送信されれば十分である。
【0020】
本発明は、通信コストの低減と中央局の負荷の低減とを実現することができる航空機位置測定システム、受信局、データ量削減方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために本発明の航空機位置測定システムは、複数の種類の信号のそれぞれを航空機へ向けて送信する送信局と、前記複数の種類の信号のそれぞれに対する複数の種類の応答信号のそれぞれを前記航空機から受信し、該受信した応答信号を解読処理することによって測定用データを生成し、当該応答信号の受信時刻を示す受信時刻情報を前記生成した測定用データに付与して送信する複数の受信局と、前記複数の受信局のそれぞれから送信された複数の測定用データを受信し、該受信した複数の測定用データのそれぞれに付与された複数の受信時刻情報のそれぞれが示す複数の時刻の差と、前記複数の受信局のそれぞれが設置された位置を示す位置情報とに基づいて前記航空機の位置を測定する中央局とを有する航空機位置測定システムにおいて、
前記送信局は、前記中央局にて決定された時刻に基づいた時刻に前記複数の種類の信号のそれぞれを送信し、
前記複数の受信局のそれぞれは、前記複数の種類の信号のうち所定の種類の信号を送信する時刻として前記中央局にて決定された時刻に基づいて時間帯を設定し、前記複数の種類の応答信号のうち前記所定の種類の信号に対する応答信号を前記時間帯以外の時刻に受信した場合、当該受信した応答信号を破棄する。
【0022】
また、上記目的を達成するために本発明の受信局は、送信局から航空機へ向けて送信された複数の種類の信号のそれぞれに対する複数の種類の応答信号のそれぞれを前記航空機から受信し、該受信した応答信号を解読処理することによって測定用データを生成し、当該応答信号の受信時刻を示す受信時刻情報を前記生成した測定用データに付与し、前記受信時刻情報が付与された測定用データを、前記航空機の位置を測定する中央局へ送信する受信局において、
前記送信局が前記複数の種類の信号のうち所定の種類の信号を送信する時刻として前記中央局にて決定された時刻に基づいて時間帯を設定し、前記複数の種類の応答信号のうち前記所定の種類の信号に対する応答信号を前記時間帯以外の時刻に受信した場合、当該受信した応答信号を破棄する。
【0023】
また、上記目的を達成するために本発明のデータ量削減方法は、複数の種類の信号のそれぞれを航空機へ向けて送信する送信局と、前記複数の種類の信号のそれぞれに対する複数の種類の応答信号のそれぞれを前記航空機から受信し、該受信した応答信号を解読処理することによって測定用データを生成し、当該応答信号の受信時刻を示す受信時刻情報を前記生成した測定用データに付与して送信する複数の受信局と、前記複数の受信局のそれぞれから送信された複数の測定用データを受信し、該受信した複数の測定用データのそれぞれに付与された複数の受信時刻情報のそれぞれが示す複数の時刻の差と、前記複数の受信局のそれぞれが設置された位置を示す位置情報とに基づいて前記航空機の位置を測定する中央局とを有する航空機位置測定システムにおけるデータ量削減方法であって、
前記送信局が、前記中央局にて決定された時刻に基づいた時刻に前記複数の種類の信号のそれぞれを送信する処理と、
前記複数の受信局のそれぞれが、前記複数の種類の信号のうち所定の種類の信号を送信する時刻として前記中央局にて決定された時刻に基づいて時間帯を設定する処理と、
前記複数の受信局のそれぞれが、前記複数の種類の応答信号のうち前記所定の種類の信号に対する応答信号を前記時間帯以外の時刻に受信した場合、当該受信した応答信号を破棄する処理と、を有する。
【0024】
また、上記目的を達成するために本発明のデータ量削減方法は、送信局から航空機へ向けて送信された複数の種類の信号のそれぞれに対する複数の種類の応答信号のそれぞれを前記航空機から受信し、該受信した応答信号を解読処理することによって測定用データを生成し、当該応答信号の受信時刻を示す受信時刻情報を前記生成した測定用データに付与し、前記受信時刻情報が付与された測定用データを、前記航空機の位置を測定する中央局へ送信する受信局におけるデータ量削減方法であって、
前記送信局が前記複数の種類の信号のうち所定の種類の信号を送信する時刻として前記中央局にて決定された時刻に基づいて時間帯を設定する処理と、
前記複数の種類の応答信号のうち前記所定の種類の信号に対する応答信号を前記時間帯以外の時刻に受信した場合、当該受信した応答信号を破棄する処理と、を有する。
【0025】
また、上記目的を達成するために本発明のプログラムは、送信局から航空機へ向けて送信された複数の種類の信号のそれぞれに対する複数の種類の応答信号のそれぞれを前記航空機から受信し、該受信した応答信号を解読処理することによって測定用データを生成し、当該応答信号の受信時刻を示す受信時刻情報を前記生成した測定用データに付与し、前記受信時刻情報が付与された測定用データを、前記航空機の位置を測定する中央局へ送信する受信局に、
前記送信局が前記複数の種類の信号のうち所定の種類の信号を送信する時刻として前記中央局にて決定された時刻に基づいて時間帯を設定する機能と、
前記複数の種類の応答信号のうち前記所定の種類の信号に対する応答信号を前記時間帯以外の時刻に受信した場合、当該受信した応答信号を破棄する機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は以上説明したように構成されているので、航空機の位置を測定するために必要最小限の測定用データだけが複数の受信局のそれぞれから中央局へ送信されることになり、通信コストの低減と中央局の負荷の低減とを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の航空機位置測定システムの実施の一形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した航空機位置測定システムの動作を説明するためのタイムチャートである。
【図3】図1に示した受信局の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】マルチラテレーションシステムの一構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、本発明の航空機位置測定システムの実施の一形態の構成を示すブロック図である。
【0030】
本実施形態の航空機位置測定システムは図1に示すように、中央局10と、通信回線1−1〜1−5のそれぞれを介して中央局10に接続された受信局20−1〜20−5と、通信回線2を介して中央局10に接続された送信局30とを備えている。
【0031】
中央局10は、受信局20−1〜20−5のそれぞれが設置されている位置を示す位置情報を記憶している。中央局10は、複数の種類の信号であるモードA/C一括質問信号やモードS個別質問信号のそれぞれを送信する時刻やその内容を決定する。そして、中央局10は、決定した時刻および内容を示す送信予約情報を受信局20−1〜20−5のそれぞれへ送信する。また、中央局10は、送信予約情報を送信局30へ送信する。
【0032】
送信局30は、中央局10から送信された送信予約情報を受信する。そして、送信局30は、受信した情報が示す時刻にモードA/C一括質問信号やモードS個別質問信号を無指向性空中線(不図示)もしくは広指向性空中線(不図示)を用いて航空機50に向けて送信する。なお、無指向性空中線と広指向性空中線とのどちらを使用するかは、送信局30や受信局20−1〜20−5が設置される位置や、航空機位置測定システムの覆域、すなわち航空機の位置の測定を行う範囲等を考慮して決定される。
【0033】
受信局20−1〜20−5のそれぞれは、地上の相互に異なる位置に設置されている。受信局20−1〜20−5のそれぞれは、GPS受信機21−1〜21−5のそれぞれを備えており、GPS時刻を用いた時刻同期を行う。受信局20−1〜20−5のそれぞれは、航空機50から送信されたモードA/C/S応答信号や、スキッタ信号を無指向性空中線(不図示)または広指向性空中線(不図示)を用いて受信する。また、受信局20−1〜20−5のそれぞれは、中央局10から送信された送信予約情報を受信する。そして、受信局20−1〜20−5のそれぞれは、受信した送信予約情報が示すモードA/C一括質問信号を送信する時刻に基づいて特定信号受信時間帯を設定する。特定信号受信時間帯の長さは、航空機位置測定システムの覆域から計算される。すなわち、航空機位置測定システムの覆域が40NM(ノーティカルマイル)であれば、その範囲に存在するどの航空機からも応答信号を受信できるように特定信号受信時間帯の長さを確保する。例えば40NMに存在する航空機からの応答信号を受信する場合、40NMの往復距離を時間に換算すると、約494.4μsecとなるため、これに航空機位置測定システム固有の遅延時間を加えた時間を特定信号受信時間帯の長さとする。受信局20−1〜20−5のそれぞれは、信号を受信すると、信号を受信した時刻が特定信号受信時間帯の時刻であるかどうかを確認する。確認の結果、信号を受信した時刻が特定信号受信時間帯以外の時刻である場合、受信局20−1〜20−5のそれぞれは、受信した信号がモードA/C応答信号であるかどうかを確認する。確認の結果、受信した信号がモードA/C応答信号でない場合、つまり、受信した信号がモードS応答信号やスキッタ信号である場合、受信局20−1〜20−5のそれぞれは、受信した信号を解読処理することにより、中央局10が航空機50の位置を測定するための測定用データを生成する。そして、受信局20−1〜20−5のそれぞれは、その信号を受信した時刻を示す受信時刻情報を、生成した測定用データに付与して通信回線1−1〜1−5のそれぞれを介して中央局10へ送信する。一方、受信した信号がモードA/C応答信号であるかどうかを確認した結果、受信した信号がモードA/C応答信号である場合、受信局20−1〜20−5のそれぞれは、測定用データを生成せずに、受信した信号(モードA/C応答信号)を破棄する。つまり、この場合、測定用データが中央局10へ送信されない。なお、信号を受信した時刻が特定信号受信時間帯の時刻である場合には、受信局20−1〜20−5のそれぞれは、受信した信号を解読処理することによって測定用データを生成する。そして、受信局20−1〜20−5のそれぞれは、その信号を受信した時刻を示す受信時刻情報を、生成した測定用データに付与して通信回線1−1〜1−5のそれぞれを介して中央局10へ送信する。
【0034】
なお、中央局10は、受信局20−1〜20−5のそれぞれから送信され、受信時刻情報が付与された複数の測定用データのそれぞれを通信回線1−1〜1−5のそれぞれを介して受信する。そして、中央局10は、受信した複数の測定用データのそれぞれに付与された複数の受信時刻情報のそれぞれが示す複数の時刻の差と、位置情報とに基づいて航空機50の位置を測定する。なお、測定する位置には高度も含まれる。
【0035】
以下に、上記のように構成された航空機位置測定システムの動作について説明する。
【0036】
図2は、図1に示した航空機位置測定システムの動作を説明するためのタイムチャートである。
【0037】
まず、受信局20−1〜20−5のそれぞれと送信局30とは、GPS受信機21−1〜21−5のそれぞれとGPS受信機31とを用いてGPS衛星60から信号を受信することによって時刻同期を取る。なお、GPS受信機を用いた時刻同期は、例えば特開2010−230448号公報に記載された方法を用いることによって精度良く行うことが可能である。
【0038】
そして、受信局20−1〜20−5または送信局30は、GPS衛星60から受信した信号に基づいてGPS受信データを生成して通信回線1−1〜1−5,2を介して中央局10に送信する。
【0039】
中央局10は、受信局20−1〜20−5または送信局30から送信されたGPS受信データを受信し、受信したGPSデータを用いて時刻同期を取る。
【0040】
次に、中央局10は、モードA/C一括質問信号やモードS個別質問信号を送信する時刻や内容を決定する。
【0041】
そして、時刻t1において中央局10は、決定した時刻や内容を示す送信予約情報を通信回線1−1〜1−5,2を介して受信局20−1〜20−5のそれぞれと送信局30とへ送信する。
【0042】
時刻t2において送信局30は、中央局10から送信された送信予約情報71を受信する。
【0043】
そして、送信局30は、送信予約情報が示す時刻t3に、無指向性空中線または広指向性空中線を用いて質問信号72を送信する。
【0044】
時刻t5において航空機50は、送信局30から送信された質問信号72を受信する。
【0045】
そして、時刻t6において航空機50は、受信した質問信号72の種類に応じた応答信号73を送信する。
【0046】
以降、受信局20−1〜20−5のうち受信局20−1の動作について説明するが、受信局20−2〜20−5も受信局20−1と同様の動作を行う。
【0047】
図3は、図1に示した受信局20−1の動作を説明するためのフローチャートである。
【0048】
時刻t2において受信局20−1は、中央局10から送信された送信予約情報71を時受信する(ステップS1)。なお、ここでは、送信予約情報71がモードA/C一括質問信号を送信する時刻として時刻t3を示しているものとする。
【0049】
そして、受信局20−1は、受信した送信予約情報71が示す時刻t3に基づいて特定信号受信時間帯を設定する(ステップS2)。ここでは、時刻t4から時刻t8までの間が受信局20−1における特定信号受信時間帯として設定されるものとする。
【0050】
時刻t7において受信局20−1は、航空機50から送信された応答信号73を受信する(ステップS3)。
【0051】
そして、受信局20−1は、応答信号73を受信した時刻が特定信号受信時間帯の時刻であるかどうかを確認する(ステップS4)。
【0052】
ステップS4における確認の結果、応答信号73を受信した時刻が特定信号受信時間帯以外の時刻である場合、次に、受信局20−1は、受信した応答信号73がモードA/C応答信号であるかどうかを確認する(ステップS5)。
【0053】
ステップS5における確認の結果、受信した応答信号73がモードA/C応答信号でない場合、受信局20−1は、受信した応答信号73を解読処理することによって測定用データを生成し、生成した測定用データに受信時刻情報を付与して通信回線1−1を介して中央局10へ送信する(ステップS6)。
【0054】
なお、ステップS4における確認の結果、応答信号73を受信した時刻が特定信号受信時間帯の時刻である場合には、ステップS6の動作へ遷移する。
【0055】
ここで、例えば図2に示すように、時刻t10において航空機50が、二次監視レーダ装置から送信された質問信号74を受信した場合を考えてみる。
【0056】
この場合、質問信号74がモードA/C一括質問信号であるとすると、時刻t11において航空機は、モードA/C応答信号である応答信号75を送信する。
【0057】
受信局20−1は、航空機50から送信された応答信号75を時刻t12において受信すると、上述したステップS4の動作に従い、応答信号75を受信した時刻が特定信号受信時間帯の時刻であるかどうかを確認する。
【0058】
ここでは、応答信号75を受信した時刻はt12であり、特定信号受信時間帯として設定されたt4からt8までの間の時刻ではない。従って、次に、受信局20−1は、上述したステップS5の動作に従い、受信した応答信号75がモードA/C応答信号であるかどうかを確認する
ここでは、受信した応答信号75はモードA/C応答信号である。従って、受信局20−1は、測定用データを生成せずに、受信した応答信号75を破棄する(ステップS7)。
【0059】
このように本実施形態において送信局30は、中央局10にて決定された時刻に基づいた時刻に複数の種類の信号のそれぞれを送信する。
【0060】
また、受信局20−1〜20−5のそれぞれは、モードA/C一括質問信号を送信する時刻として中央局10にて決定された時刻に基づいて特定信号受信時間帯を設定する。
【0061】
そして、受信局20−1〜20−5のそれぞれは、モードA/C応答信号を特定信号受信時間帯以外の時刻に受信した場合、その受信したモードA/C応答信号を破棄する。
【0062】
これにより、航空機50の位置を測定するために必要最小限の測定用データだけが受信局20−1〜20−5のそれぞれから通信回線1−1〜1−5のそれぞれを介して中央局10へ送信されることになる。従って、通信コストの低減と中央局10の負荷の低減とを実現することができる
また、モードA/C応答信号が受信されたかどうかを常に監視する必要がなくなり、航空機50の位置を測定するために必ずしも必要でない応答信号を効率的に削減することができる。
【0063】
なお、本実施形態においては、受信局の数を5個としたが、受信局の数が6個以上の場合でも、上述したのと同様の方法でモードA/C応答信号の処理を行うことができる。
【0064】
また、本実施形態では、中央局10が、モードA/C一括質問信号やモードS質問信号等を送信する時刻を決定した。この場合、送信局30における処理の都合上、送信局30は、中央局10が決定した時刻よりも多少前後して質問信号を送信する可能性がある。
【0065】
この場合、送信局30が、実際に質問信号を送信した時刻を示す送信時刻情報を中央局10へ送信するようにすればよい。そして、中央局10が、受信した複数の測定用データと、受信した複数の測定用データのそれぞれに付与された複数の受信時刻情報のそれぞれが示す複数の時刻の差と、送信時刻情報が示す時刻とから航空機50の位置を測定する。これにより、中央局10における航空機の位置の測定の精度を向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態においては、受信局20−1〜20−5と送信局30とは別装置としていたが、送信局30は受信局20−1〜20−5のいずれかと一体化されていても良い。この場合、送信局が一体化されている受信局は、質問信号を送信した時刻と応答信号を受信した時刻とを、GPS受信機を用いて時刻同期を行った場合よりも正確に認識することができる。
【0067】
そのため、送信局が一体化されている受信局は、航空機50との間の距離をより正確に測定することができる。その値を、中央局10にフィードバックさせることにより、中央局10における航空機の位置の測定の精度を向上させることができる。
【0068】
なお、本発明においては、受信局内の処理は上述の専用のハードウェアにより実現されるもの以外に、その機能を実現するためのプログラムを受信局にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを受信局に読み込ませ、実行するものであっても良い。受信局にて読取可能な記録媒体とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、DVD、CDなどの移設可能な記録媒体の他、受信局に内蔵されたHDDなどを指す。
【符号の説明】
【0069】
1−1〜1−5,2 通信回線
10 中央局
20−1〜20−5 受信局
21−1〜21−5,31 GPS受信機
30 送信局
50 航空機
60 GPS衛星

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の種類の信号のそれぞれを航空機へ向けて送信する送信局と、前記複数の種類の信号のそれぞれに対する複数の種類の応答信号のそれぞれを前記航空機から受信し、該受信した応答信号を解読処理することによって測定用データを生成し、当該応答信号の受信時刻を示す受信時刻情報を前記生成した測定用データに付与して送信する複数の受信局と、前記複数の受信局のそれぞれから送信された複数の測定用データを受信し、該受信した複数の測定用データのそれぞれに付与された複数の受信時刻情報のそれぞれが示す複数の時刻の差と、前記複数の受信局のそれぞれが設置された位置を示す位置情報とに基づいて前記航空機の位置を測定する中央局とを有する航空機位置測定システムにおいて、
前記送信局は、前記中央局にて決定された時刻に基づいた時刻に前記複数の種類の信号のそれぞれを送信し、
前記複数の受信局のそれぞれは、前記複数の種類の信号のうち所定の種類の信号を送信する時刻として前記中央局にて決定された時刻に基づいて時間帯を設定し、前記複数の種類の応答信号のうち前記所定の種類の信号に対する応答信号を前記時間帯以外の時刻に受信した場合、当該受信した応答信号を破棄する航空機位置測定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の航空機位置測定システムにおいて、
前記送信局は、前記複数の信号のそれぞれを送信した時刻を示す送信時刻情報を送信し、
前記中央局は、前記送信局から送信された送信時刻情報を受信し、該受信した送信時刻情報が示す時刻と、前記複数の時刻の差と、前記位置情報とに基づいて前記航空機の位置を測定する航空機位置測定システム。
【請求項3】
送信局から航空機へ向けて送信された複数の種類の信号のそれぞれに対する複数の種類の応答信号のそれぞれを前記航空機から受信し、該受信した応答信号を解読処理することによって測定用データを生成し、当該応答信号の受信時刻を示す受信時刻情報を前記生成した測定用データに付与し、前記受信時刻情報が付与された測定用データを、前記航空機の位置を測定する中央局へ送信する受信局において、
前記送信局が前記複数の種類の信号のうち所定の種類の信号を送信する時刻として前記中央局にて決定された時刻に基づいて時間帯を設定し、前記複数の種類の応答信号のうち前記所定の種類の信号に対する応答信号を前記時間帯以外の時刻に受信した場合、当該受信した応答信号を破棄する受信局。
【請求項4】
複数の種類の信号のそれぞれを航空機へ向けて送信する送信局と、前記複数の種類の信号のそれぞれに対する複数の種類の応答信号のそれぞれを前記航空機から受信し、該受信した応答信号を解読処理することによって測定用データを生成し、当該応答信号の受信時刻を示す受信時刻情報を前記生成した測定用データに付与して送信する複数の受信局と、前記複数の受信局のそれぞれから送信された複数の測定用データを受信し、該受信した複数の測定用データのそれぞれに付与された複数の受信時刻情報のそれぞれが示す複数の時刻の差と、前記複数の受信局のそれぞれが設置された位置を示す位置情報とに基づいて前記航空機の位置を測定する中央局とを有する航空機位置測定システムにおけるデータ量削減方法であって、
前記送信局が、前記中央局にて決定された時刻に基づいた時刻に前記複数の種類の信号のそれぞれを送信する処理と、
前記複数の受信局のそれぞれが、前記複数の種類の信号のうち所定の種類の信号を送信する時刻として前記中央局にて決定された時刻に基づいて時間帯を設定する処理と、
前記複数の受信局のそれぞれが、前記複数の種類の応答信号のうち前記所定の種類の信号に対する応答信号を前記時間帯以外の時刻に受信した場合、当該受信した応答信号を破棄する処理と、を有するデータ量削減方法。
【請求項5】
請求項4に記載のデータ量削減方法において、
前記送信局が、前記複数の信号のそれぞれを送信した時刻を示す送信時刻情報を送信する処理と、
前記中央局が、前記送信局から送信された送信時刻情報を受信し、該受信した送信時刻情報が示す時刻と、前記複数の時刻の差と、前記位置情報とに基づいて前記航空機の位置を測定する処理と、をさらに有するデータ量削減方法。
【請求項6】
送信局から航空機へ向けて送信された複数の種類の信号のそれぞれに対する複数の種類の応答信号のそれぞれを前記航空機から受信し、該受信した応答信号を解読処理することによって測定用データを生成し、当該応答信号の受信時刻を示す受信時刻情報を前記生成した測定用データに付与し、前記受信時刻情報が付与された測定用データを、前記航空機の位置を測定する中央局へ送信する受信局におけるデータ量削減方法であって、
前記送信局が前記複数の種類の信号のうち所定の種類の信号を送信する時刻として前記中央局にて決定された時刻に基づいて時間帯を設定する処理と、
前記複数の種類の応答信号のうち前記所定の種類の信号に対する応答信号を前記時間帯以外の時刻に受信した場合、当該受信した応答信号を破棄する処理と、を有するデータ量削減方法。
【請求項7】
送信局から航空機へ向けて送信された複数の種類の信号のそれぞれに対する複数の種類の応答信号のそれぞれを前記航空機から受信し、該受信した応答信号を解読処理することによって測定用データを生成し、当該応答信号の受信時刻を示す受信時刻情報を前記生成した測定用データに付与し、前記受信時刻情報が付与された測定用データを、前記航空機の位置を測定する中央局へ送信する受信局に、
前記送信局が前記複数の種類の信号のうち所定の種類の信号を送信する時刻として前記中央局にて決定された時刻に基づいて時間帯を設定する機能と、
前記複数の種類の応答信号のうち前記所定の種類の信号に対する応答信号を前記時間帯以外の時刻に受信した場合、当該受信した応答信号を破棄する機能と、を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−137418(P2012−137418A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290846(P2010−290846)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】