説明

航空機搭載無線セルラーネットワークを地上無線セルラーネットワーク及び公衆交換電話網と統合するためのシステム

【課題】航空機内に位置付けられた無線加入者デバイスが地上と一貫した無線通信サービスを受信できるシステム、方法を提供する。
【解決手段】非陸上機能トランスペアレンシーシステムは、無線加入者デバイスが飛行中の航空機上に位置付けられる場合でもそのオペレーションに関連した特別な考慮事項がないものと空対地ネットワーク及び地上セルラー通信ネットワークに思い込ませる。このアーキテクチャは、航空機に搭載された非陸上機能トランスペアレンシーシステムが所与の無線加入者デバイスの全機能を複製し、航空機内に位置付けられた別の無線加入者デバイスで地上無線サービスプロバイダからの一定の所定機能セットを有することを必要とする。空対地ネットワークは、加入者データ(音声及び/又は他のデータを含む)並びに機能セットデータの両方を航空機に伝送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、1993年3月8日出願の名称「Method and Apparatus for Reducing Interference Among Cellular Telephone Signals(セルラー電話信号間の干渉を低減するための方法及び装置)」の米国特許第5,444,762号及び1992年3月6日出願の名称「Mobile Communications(移動体通信)」の米国特許第5,557,656号の一部継続出願である、1996年7月2日出願の名称「Multi−Dimensional Mobile Cellular Communication
Network(多次元移動体セルラー通信ネットワーク)」の米国特許第5,878,346号の一部継続出願である、1997年10月22日出願の名称「Non−Terrestrial Subscriber Station(非陸上加入者局)」米国特許第6,108,539号の一部継続出願である、1999年8月24日出願の名称「Ubiquitous Subscriber Station(ユビキタス加入者局)」の米国特許第6,408,180号の一部継続出願である、2000年10月11日出願の名称「Aircraft−Based Network for Wireless Subscriber Stations(無線加入者局のための航空機ベースネットワーク)」の米国特許出願連番第09/686,923号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、セルラー通信に関し、詳細には、無線加入者局が、陸上(地上)領域及び非陸上領域の両方、並びに既存のセルラー通信ネットワークでは対応されていない他のエリアでの一貫した無線通信サービスを受けることを可能にするシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
(課題)
セルラー通信ネットワークのセルサイト間でローミングする際の無線加入者に提供されるサービスの維持の管理は、無線通信の分野における課題である。無線モビリティを提供するこの機能は、無線加入者のロケーションに関係なく無線加入者が公衆交換電話網(PSTN)、公衆交換データ網(PSDN)、及びインターネットに連続してアクセスする必要がある。更に、無線加入者は、そのロケーションに関係なく統一された方式で呼出し及び/又はデータメッセージを発信及び受信する機能を有する必要があり、これらの呼出し並びにあらゆる付帯サービスは、無線加入者の現在サービスを受けている無線システムが何であれ該システムによって均一に処理されなくてはならない。この課題は、航空機内又は沖合の船上などの地上無線システムの対象サービスエリアに含まれない環境に無線加入者が位置する場合に特に関係する。
【0004】
無線通信の分野では、無線加入者がそのホーム無線サービスプロバイダのネットワークによってサービスされるエリア全体を移動し、その要求加入者機能セットを維持することは一般的なことである。ホームネットワーク全体にわたる機能セットの利用可能性は、ホーム無線サービスプロバイダのデータベース(ホームロケーションレジスタ(HLR)と呼ばれることが多い)によって管理され、1つ又はそれ以上のスイッチ(パケット又は回線)並びにボイスメール及びにショートメッセージサーバーなどの種々の付属機器に対するデータ接続を提供し、このシームレスな機能セットの管理を可能にしている。例えば、所与の加入者が三者通話を含む好ましい機能セットを設定した場合、この三者通話機能は、加入者がホーム無線サービスプロバイダのセルラーネットワーク内で1つのセルから隣接するセルにハンドオフによって移行する場合に利用可能となる(ネットワーク内ハンド
オフ)。
【0005】
無線加入者が、無線加入者のホーム無線ネットワークのカバレッジエリアから同じ又は別の無線サービスプロバイダ(本明細書では「ローミング無線サービスプロバイダ」と呼ぶ)のネットワークにネットワーク間を移動する場合、無線加入者は、そのロケーションに関係なく統一された方式で呼出しを発信及び受信する機能を有する必要がある。更に、所与の無線加入者の機能セットは無線加入者と共にトランスペアレントに移動可能でなくてはならない。しかしながら、この機能セットの移動性を可能にするためには、ホーム無線サービスHLRが加入者の許可された機能セットプロファイルをビジターロケーションレジスタ(すなわちVLR)と呼ばれることの多いローミング無線サービスプロバイダのデータベースに転送するデータベースファイル共有が必要である。次いでVLRは、所与のローミング無線加入者がある機能セットについて許可されていることを認識し、ローミング無線サービスプロバイダネットワークがこれらの機能を無線加入者にトランスペアレントに提供することを可能にする。このように、ローミング無線加入者は、加入者のホーム無線サービスプロバイダネットワーク上で有していたのと同じ許可された機能セット、又は「加入者クラス」を保持する。この情報を転送するHLRとVLRとの間の通信により、HLRは、VLRが現在加入者にサービスを提供していることを「認識」することが可能となり、これによってホームシステムは、加入者へのインバウンド呼出し及び/又はメッセージを加入者へ配信するようにローミング無線サービスプロバイダに指示することができるようになる。
【0006】
無線ネットワークが拡張機能を備えてユビキタスになるにつれて、汎用通信モビリティに向けて止めることのできない傾向が次第に起こりつつある。その最終的な構想では、無線モビリティの傾向は、無線加入者のロケーションに関係なく情報へ連続的にアクセスし、及び他の無線ネットワーク、公衆交換電話網(PSTN)、公衆交換データ網(PSDN)、及びインターネットへアクセスすることを意味する。データ又は電話機能へ「どこでも、いつでも」アクセスできるこのモビリティ傾向を考えると、この先見的なモビリティ動向を実際に実現するためには、かなりのホール又はギャップが空間無線カバレッジ領域に存在する。必要とされるのは、地上環境及び非陸上環境の両方でロケーションに関係なく無線加入者デバイスによる移動体通信アクセスを実際に統合することである。更に重要なことには、加入者が非陸上空間に入ったときに所与の地上無線通信ネットワークの機能及び利点を保持することが強く望まれる。この汎用ユビキタス無線サービス機能は、「One Phone Goes Anywhere」又は「OPGA」と呼ばれる。
【0007】
無線加入者が非陸上空間に入ったとき、すなわち無線加入者がタイプに関係なく航空機で飛行しているときには、加入者は現在、トランスペアレントな又はシームレスの機能セットポータビリティを持つことは実現可能ではない。地上無線加入者は現在、通信の真空状態にあり、すなわち、そのパーソナル無線加入者デバイスを介した電話及びインターネット/データアクセスの接続はもはや可能ではない。更に重要なことには、現在は、機内で地上ホスト無線サービスプロバイダに割り当てられたパーソナル無線加入者デバイスを使用することは今のところ不可能であり、許可された加入者機能セット又は「加入者クラス」へトランスペアレントにアクセスすることもできない。
【0008】
更に、地上セルラー加入者クラスは、TSA(運輸保安局)、連邦航空保安官、客室乗務員、操縦室乗務員、ファーストクラス利用者、エコノミークラス利用者、機内緊急医療サービス、及び航空業務サービスなどの加入者及びサービスの非陸上クラスのサポートを企図していない。最も重要なことには、地上セルラー加入者クラスは、フォワードパス911又はE911、或いはリバースパス911緊急呼出し機能(フォワードパスは基地から移動体、リバースパスは移動体から基地)などの有向非陸上緊急信号方式を可能にするための必要なネットワーク機能を企図していない。
【0009】
同様に、地上無線ネットワークの現在の技術は、仮想私設非陸上ネットワーク(VPNN)の作成を企図していない。このような機能は、安全及びセキュリティに関する情報(TSA/連邦航空保安官)又は航空業務情報/データの会社機密伝達のために極めて重要な要素である。
【0010】
最後に、既存の無線ネットワークは、加入者が「非陸上」になったときのトランスペアレントな課金ソリューションの機能を持たない。この極めて単純な利用者中心の機能は、非陸上サービスのタイムリーな市場導入を保証するのに必要である。
【発明の開示】
【0011】
(解決策)
航空機搭載無線セルラーネットワークを地上セルラーネットワーク及び公衆交換電話網と統合する本システム(本明細書では「非陸上機能トランスペアレンシーシステム」と呼ぶ)により上記で説明された課題が解決され、当該分野における技術的進歩が達成され、これにより地上無線ネットワーク及び公衆交換電話網機能を備えた「One Phone
Goes Anywhere」の無線加入者デバイスが、トランスペアレントで且つシームレスな方式で非陸上無線ネットワークにローミングできるようになる。
【0012】
要求されるのは、非陸上無線ネットワークへのトランスペアレントでシームレスな「ローミング」を可能にするために非陸上OPGAを地上無線ネットワーク及びPSTN機能と統合することである。しかしながら、このアーキテクチャ機能の実現は、些細なものではなく、現在の技術を上回るかなりの技術革新を必要とする。アーキテクチャソリューションは、地上無線加入者が以下の「One Phone Goes Anywhere」機能を備えた非陸上になったときに、地上ネットワークと非陸上ネットワークの統合に必要とされる。
・インバウンド信号方式及び呼出し終端
・アウトバウンド信号方式及び呼出し発信
・トランスペアレント機能セットポータビリティ
・ボイスメールへのトランスペアレントアクセス
・SMS(ショートメッセージサービス)へのトランスペアレントアクセス
・トランスペアレント加入者クラスポータビリティ
・非陸上加入者クラス及びサービス
・トランスペアレント加入者課金サポート
・非陸上HLRへの地上HLRの接続性
・非陸上HLRへの地上VLRの接続性
・非陸上VLRへの地上HLRの接続性
・地上VLRへの非陸上HLRの接続性
・地上HLRへの非陸上HLRの接続性
・地上回線範囲は、非陸上ネットワークを含む
・非陸上対非陸上信号方式
・仮想私設非陸上ネットワーク(VPNN)
・地上無線通信ネットワークから非陸上無線ネットワークへのハンドオフ
・非陸上無線ネットワークから地上無線通信ネットワークへのハンドオフ
・トランスペアレントインターネットアクセス
・トランスペアレントEメールアクセス
・トランスペアレントマルチメディアアクセス
【0013】
これは、航空機客室内ネットワーク要素及び「外部ネットワーク」の地上ネットワーク要素をスプーフィングし、無線加入者デバイスが飛行中の航空機上に位置する場合でも無
線加入者デバイスにはそのオペレーションに関連する特別な考慮事項がないと思わせる、本発明の非陸上機能トランスペアレンシーシステムによって達成される。このアーキテクチャでは、航空機に搭載されて位置付けられる非陸上機能トランスペアレンシーシステムが、地上無線サービスプロバイダからのある所定の機能セットを有する所与の無線加入者のホームネットワークの全機能を非陸上モードにある場合の当該無線加入者デバイスで提供することが必要とされる。無線加入者デバイス属性のこのミラーリングは、客室内通信用の局所セルを可能にし、更に、空対地リンク用の同じ無線加入者デバイス属性を保持する。
【0014】
機能セットトランスペアレンシーのこの提供は、部分的には、航空機客室内ネットワーク及び非陸上セルラー通信ネットワークの地上部分を含む「外部ネットワーク」の2つのセグメントを接続する「内部ネットワーク」の使用によって達成される。内部ネットワークは、加入者トラフィック(音声及び/又は他のデータを含む)並びに機能セットデータの両方を航空機客室内ネットワークと地上セルラー通信ネットワークとの間で送信し、これによって航空機内に位置する無線加入者デバイスは陸上(地上)領域及び非陸上領域の両方で一貫した無線通信サービスを受けることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
セルラー無線通信システムは、各々が無線加入者デバイスを有する無線通信利用者を電気通信事業者の公衆電話網によってサービスされる地上利用者並びに他の無線通信利用者に接続するサービスを提供する。このようなシステムでは、トラフィックが回線交換型である場合、全ての着信及び発信は、一般に移動体交換局(MSC)又は移動体電話交換室(MTSO)と呼ばれ、その各々が1つ又はそれ以上の基地局制御装置(BSC)及び複数の基地局送受信装置(BTS)からなる基地局サブシステムに接続される無線ネットワークスイッチを経由する。各基地局送受信装置は、そのサービスエリア内に位置付けられた無線加入者デバイスと通信し、該基地局送受信装置は、広範なサービス領域にわたって連続したサービスを集合的に提供するように地理的に配置されている。サービス領域内の各基地局送受信装置は、通信リンクによって基地局制御装置に接続され、該基地局制御装置は、別の通信リンクによって移動体交換局に接続される。各基地局送受信装置は、1つ又はそれ以上の無線送受信装置を含み、該送受信装置の数は、基地局送受信装置のカバレッジエリア内に発生する加入者トラフィックに依存する。
【0016】
「セルサイト」及び「セル」という用語は、厳密でなく文字通りに使用されている場合もあるが、用語「セルサイト」は一般に、基地局送受信装置のロケーションを表すのに対し、用語「セル」は一般に、送受信装置及び関連するアンテナシステムの特定のセットによってセルサイトでサービスされる空間の領域を表す。「セクター」とは一般に、セルサイトを囲む名目上円形のカバレッジエリアを対応する幾つかのセルに細分割することによって、より大きなキャパシティ及び/又はカバレッジを提供するために、複数の指向性アンテナシステムがセルサイトで使用される場合に生成されるセクター型カバレッジエリアを指す。無線加入者デバイスと送信器−受信器ペアとの間の通信を実現するのに使用される特定の技術、並びにこれらの間で転送されるデータの性質は、音声、ビデオ、テレメトリ、コンピュータデータ及び同様のものであれば、既存のシステム概念の特定の技術に限定された実施ではなく新規のシステム概念が開示されるので、本明細書で説明されるシステムに限定されるものではない。従って、本明細書で使用される用語「セルラー」は、空間を複数の容量的セクション又はセルに分割し、これらのセル内に位置付けられた無線加入者デバイスと、これらのセルの各々に対するセルサイトに位置付けられた関連する送信器−受信器ペアとの間の通信を管理することに基づいて動作する通信システムを表す。
【0017】
既存のセルラー技術
無線業界で広く普及している幾つかのセルラー規格又は共通エアーインターフェースが
ある。以下は、このようなシステムの標準的特性の実施例であり、全てRFチャネルの再利用という共通特性を「セルラー」再利用パターンと共用する。
【0018】
先進移動体電話サービス(AMPS)は、各セルラー呼出しのための無線周波数キャリアのペアでアナログ周波数変調を利用し、従って、セルラーサービスの周波数分割多元接続(FDMA)クラスのメンバーである。AMPSネットワークは、1つのセル/セクターにつき1つの制御チャネル割り当てを有する。無線加入者デバイスは、イナクティブ時に共用制御チャネルに「キャンプオン」し、インバウンド又はアウトバウンド呼出しを終了するために要求時に専用トラフィックチャネルを割り当てるのに必要な信号方式情報を交換する。次いで、AMPS呼出しは、以下に説明されるように要求される宛先にセットアップされる。AMPSでの隣接するセル/セクター間の無線加入者デバイスのハンドオフは、サービスが1つのセル/セクターから次のセル/セクターに変わるときに加入者デバイスが周波数変更を行うことが必要とされる。
【0019】
対照的に、IS−136規格(NA−TDMAとも呼ばれる)は、そのアクセス方式にFDMA及び時分割多元接続(TDMA)を組み合わせたものを使用し、キャリアの各ペアが別々のタイムスロットに対し最大3つの呼出しをサポートする。無線加入者デバイスは、特定のRFチャネルにおける特定のタイムスロットとして定義される制御チャネルにキャンプオンする。加入者デバイスが呼出しを発信又は終了するためにトラフィックチャネルを必要とする際には、そのトラフィックをセットアップし伝達するためにRFチャネルと当該チャネルに対する3つの利用可能なタイムスロットの内の1つが提供される。TDMA無線周波数チャネル帯域幅は、AMPSの場合と同じであり、TDMAでの無線加入者デバイスのハンドオフは、1つのセル/セクターから次のセル/セクターにハンドオフする際に加入者デバイスの周波数変更の実行を必要とするAMPSに類似している。
【0020】
GSM、すなわち移動体通信用グローバルシステムも同様に、FDMA及びTDMAアクセスを利用するが、RFチャネルの管理の点では著しく異なる。所与の「RFチャネル」では、利用可能な複数のタイムスロットが存在する。セルで利用される第1RFチャネルは、共通制御チャネルとして割り当てられる少なくとも1つのタイムスロットを有することになり、システム管理に必要とされる種々の信号並びに特定の加入者デバイスに向けられる信号を連続的に同報通信する。制御チャネルの目的で使用されないタイムスロットは、トラフィックチャネルとして使用可能である。加入者デバイスが隣接するセルに移動するときには、GSMでのハンドオフは、RFチャネルシーケンス及びタイムスロットの変更を必要とする。
【0021】
符号分割多元接続(CDMA)システムは、多元接続の更に別の基本形式を使用する。CDMAのオペレーションの中核をなすのは、個々のデジタルトラフィック信号をデジタルに変調するのに使用される特別なコードシーケンス(ワォルシュコードなど)のシステムの開発である。コードシーケンスは、互いに「直交」した固有のプロパティを有し、すなわち、各々は信号の数学的操作によって他のいずれとも完全に区別でき、そのプロパティはデジタルトラフィック信号による変調後も保持される。これにより、複数の変調コードシーケンスを用いて単一のRFキャリア及び受信器を変調し、複合信号を復調して元のデジタル処理でコード化された「チャネル」の各々を識別できるようにすることが可能となる。これによって元のデジタルトラフィック信号の各々が復元される。共通情報及び特定の加入者デバイス向けの情報を同報通信するのに使用する信号チャネルは、同じ符号化技術を使用し、専用コードチャネルを使用して処理される。ネットワーク容量は、各ネットワークサイトで追加のRFチャネルを使用すること、及び/又はセルをより小さなセルに細分化することによって、他のセルラーシステムと類似した方式で拡張される。無線加入者デバイスは、FDM/TDMアーキテクチャに幾分類似した収集/登録シーケンスに従う。移動体は、各隣接するセルからパイロットチャネル(所与のコードワード又はシー
ケンス)を「リッスン」し、信号品質によって受信された信号を「アクティブ」、「候補」、「隣接」、及び「残存」のグループに分類する。移動体は、最も適切なセルからの信号にキャンプオンし、同報通信情報チャネルを復号するための同期を確立する。ここで移動体は、汎用的な信号手段により登録プロセスを実行でき、その後、呼出しを受信又は行える状態になる。例えば、インバウンド呼出し(基地対移動体)は、ページングチャネル(同様にコードが分離されている)を介して移動体に識別される。移動体は呼出しを受信する準備ができていることを応答すると、CDMAシステムは、移動体が遷移するトラフィックコードチャネルを割り当て、次いで、インバウンド発信者との通信を開始する。CDMAは、「ソフト」ハンドオフと呼ばれるものにおいて呼出しを保持する機能を有し、ここでは移動体が実際に時間並行同時方式で同じコンテンツを1つより多いセル/セクターに伝達している。ソフトハンドオフは、それぞれのセル/セクターの空間ダイバーシティに起因して受信される全体性能を改善し、加入者デバイスがネットワーク全体を移動するときに第1のセルから第2のセルに漸次的にサービスを移行させる「メイク−ビフォア−ブレイク」ハンドオーバーを使用してハンドオーバーを実行することが可能とする。CDMAはまた、ハードハンドオフを実行でき、この場合1つのセルへの接続は、RFチャネルの変更の有無に関係なく呼出しが第2のセルに接続される前に切断される。これは、ネットワーク内の領域間、又は2つのそれぞれのネットワークの境界にあるネットワークプロバイダ間でハンドオフされる呼出しにおいて最も一般的なことである。
【0022】
前述のアーキテクチャの全て、すなわちAMSP、TDMA、GSM、及びCDMAは、送信及び受信のための異なるRFチャネルを備えた全二重モードで動作する。RFチャネルの各ペアは、固定の周波数分離を有し、基地局送受信装置は一般により高い周波数を有するRFチャネル上で動作する。
【0023】
呼出し接続
セルラー通信接続の第1段階は、無線周波数の所定のペア上で動作するセルサイトにおける送信器−受信器ペアがターンオンされ、更に無線加入者デバイスが無線周波数の同じペアに同調されたときにセットアップされる。通信接続の第2段階は、この送信器−受信器ペアと、共通キャリア公衆電話網又は別の無線通信システムに接続するネットワークインターフェースとの間である。通信接続の第2段階は、着信及び発信トランクとデータ接続によって他のネットワークに接続されるSSS(スイッチングサブシステム)においてセットアップされる。移動体交換局は、移動体利用者音声信号を通信リンクから着信トランク又は発信トランクに切り換えるためのスイッチングネットワークを含み。データスイッチングノード(CDMAシステムにおけるPDSN−パケットデータサービングノード、又はGSMシステムにおけるGGSN−ゲートウェイGPRSサポートノード)は同様に、公共の公衆交換データ網(PSDN)又は他のデータ網に相互接続するデータトラフィックを送信する。移動体交換局は、2者間のデータリンクにわたり交換される制御メッセージを生成し翻訳することによって関連する基地局制御装置の動作を制御する。各セルサイトにある基地局制御装置は、移動体交換局からの制御メッセージに応答してセルサイトにある送信器−受信器ペア(又はCDMAの場合のコードワード割り当て)を制御する。各セルサイトでの制御プロセスはまた、選択されたRFチャネル、タイムスロット、及び/又はコードワードへの無線加入者デバイスの同調を制御する。
【0024】
地上(陸上)セルラー通信ネットワークにおける各セルは、セルサイト送信アンテナの回りに放射状に配置された空間のボリュームを含み、通常は円筒形ボリューム又は制限された高さを有する円筒形ボリュームの一部に近い空間領域を有する。全ての無線加入者デバイスは、従来のセルラー通信システムにおける地上ユニット(自動車又はハンドヘルドユニットにインストールされた)であるので、セルサイトのアンテナ放射パターンは、地上に最も近いように調整される。USセルラー帯域を含む幾つかの認可された周波数帯域では、セルサイトアンテナによって生成された信号の偏波は本質的に垂直である。FDM
A及びFDMA/TDMAシステムでは、1つのセルサイトでの無線信号が隣接するセルサイトの無線信号に干渉するのを防ぐために、隣接するセルサイトの各RFチャネルは異なるように選択され、隣接するセルサイトの間で送信のオーバーラップを防ぐために隣接する送信器の周波数の間を十分に周波数分離させる。相異なる周波数を有する有限の少数のRFチャネルを再利用するために、セルラー通信産業では、2つの隣接又は近くのセルサイトが同じRFチャネル上で確実に動作しない(周波数ドメインの代わりに符号ドメイン、すなわちPNコードに再利用パターンが用いられているCDMAアーキテクチャを組み入れていない場合)RFチャネル割り当てパターンを開発してきた。地上無線加入者デバイスが呼出し接続を開始すると、ローカルセルサイト送信器からの制御信号は、地上無線加入者デバイスの周波数アジャイル送受信装置を当該特定のセルのために指定されたRFチャネル上で動作させる。地上無線加入者デバイスが1つのセルサイトから別のセルサイトに移動すると、呼出し接続は、連続したセルサイトにハンドオフされ、地上無線加入者デバイスの周波数アジャイル送受信装置は、RFチャネル及びタイムスロット若しくはコードチャネルを変更することによって利用されるトラフィックチャネルを調節し、地上無線加入者デバイスが現在動作可能であるサービングセルのチャネルに一致させる。
【0025】
この既存の地上セルラー通信システムは、現在広く普及しており、過度に干渉する可能性を生じることなく、隣接するセルサイト間での周波数オーバーラップの問題を排除し、広大なエリアにサービスするのに必要な周波数の数を最小にするように設計されてきた。しかしながら、これらの既存の地上セルラー通信システムは、ユーザの無線加入者デバイスが非陸上である場合には事実上動作不能である。特に、航空機搭載の移動体加入者デバイスが同じトラフィックチャネルを再利用している複数のサイトの有効サービスエリア内にあり、従って使用中の通信チャネル上で有意なレベルの干渉を受信及び生成する両方の可能性があるので、セルラー通信サービスの航空機への提供は、既存の地上セルラー通信ネットワークのアーキテクチャに矛盾する。既存の地上セルラー通信システムのアンテナパターンは、地上無線トラフィック要件を提供するのに必要なパターンで信号を同報通信し、個々のセルのためのRFチャネル再利用のパターンはどれも、ネットワークの上を移動する航空機にサービスを提供するため拡張できるようには設計されていない。
【0026】
本明細書で提案される多次元セルラー通信システムは、地上ネットワークと非陸上無線加入者デバイス間の信号干渉の可能性を回避する方式で航空機内に位置付けられた無線加入者デバイスにサービスを拡張する。多次元セルラー通信システムは、所定の幾何形状及び空間位置の非陸上セルのオーバーレイを既存の地上セルラー通信ネットワークに付加する。
【0027】
全体システムアーキテクチャ
図1は、航空機客室内ネットワーク3を地上ネットワーク1に相互接続する複合空対地ネットワーク2の全体的なアーキテクチャをブロック図形式で示しており、図2は、航空機客室内ネットワーク3を地上ネットワーク1に相互接続する機能セットトランスペアレント空対地ネットワーク2を提供する非陸上機能トランスペアレンシーシステムのための主要なネットワーク構築ブロックをブロック図で示している。これらの図は、多次元セルラー通信ネットワークの基本概念を示しており、説明を簡単にするために一般的なネットワークに見られる要素の全ては含んでいない。図1及び2に開示される基本的な要素は、無線加入者デバイスに機能セットトランスペアレンシーを提供するため多次元セルラー通信ネットワークを実現するのに使用される種々の要素の相互関係を教示する。
【0028】
図1及び図2に示される全体的な概念は、航空機客室内ネットワーク3及び地上ネットワーク1を含む「外部ネットワーク」の2つのセグメントを接続する「内部ネットワーク」を提供することによって機能セットトランスペアレンシーが可能となることである。これは、加入者トラフィック(音声及び/又は他のデータを含む)並びに制御情報及び機能
セットデータの両方を航空機客室内ネットワーク3と地上ネットワーク1間で送信する内部ネットワークによって達成され、これによって航空機103、104内に位置付けられた無線加入者デバイスは陸上(地上)ネットワークでの無線通信サービスと一貫性のある非陸上領域でのサービスを受けることが可能となる。空対地ネットワーク2は、非陸上セルラーサービスプロバイダによって動作され、セルラーネットワーク101及びそこから地上(地上)通信ネットワーク1のワイヤラインネットワーク102に接続される基地局送受信装置131、133及び関連する基地局制御装置132、134のセットを含む。
【0029】
セルラーネットワーク101は、従来の要素からなるが、説明の目的のため2つのセグメント、すなわちコアネットワーク及びデータコアネットワークからなるものとして関連部分に示されている。コアネットワークは、その関連するビジターロケーションレジスタを備えた移動体交換局121を含み、これは、ホームロケーションレジスタ125及びゲートウェイ移動体交換局122に接続されている。コアネットワークは、ワイヤラインネットワーク102の音声送信セグメントへの音声トラフィックの相互接続を可能にし、ワイヤラインネットワーク102は、限定ではないが公衆陸上移動体ネットワーク、公衆交換電話網、総合サービスデジタルネットワーク、及び他のこのような機能を含む種々の構成要素を含む。データコアネットワークは、ルーター124に接続され、限定ではないがインターネット、公衆交換データ網、及び他のこのような機能を含む、種々の構成要素を含むワイヤラインネットワーク102のデータ送信セグメントへのデータトラフィックの相互接続を可能にするパケットデータ交換網123から構成される。
【0030】
従って、航空機103、104に位置付けられる無線加入者デバイスと、地上通信ネットワーク1のセルラーネットワーク101及びワイヤラインネットワーク102のセグメントとの間の非陸上セルラー通信は、航空機客室内ネットワーク3及び空対地ネットワーク2を介して非陸上セルラー通信ネットワークの地上基地局送受信装置131−133及び関連する基地局制御装置132、134に転送される。以下に説明され、航空機客室内ネットワーク3、空対地ネットワーク2、地上基地局送受信装置131−133、及び関連する基地局制御装置132、134によって提供される拡張機能は、航空機103、104に位置付けられる無線加入者デバイスへのサービスの提供をトランスペアレントにする。以下の説明では、非陸上セルラー通信に関連する基本パラメータの階層表示を提供し、種々のアーキテクチャは、通信サービスのレベルを益々高めることができ、結果として全機能セットがトランスペアレンシーとなる点に留意されたい。
【0031】
空対地ネットワーク
図1及び2に示される空対地ネットワーク2は明らかに、地上セルラー通信ネットワーク101と航空機103、104内に位置付けられる無線加入者デバイスとの間の無線通信(無線周波数又は光)に基づくものであり、その好ましい方法は、無線周波数接続108、109のものである。この無線周波数接続108は、通常1つより多いセルが複合空対地ネットワーク2の地理上の電波到達範囲又はサービスエリアを記述するセルラートポロジーの形態をとる。空対地接続は、加入者トラフィック並びにネイティブネットワーク信号トラフィックの両方を伝達する。
【0032】
或いは、空対地ネットワーク2は、無線衛星接続105−107を介して達成でき、この場合、無線周波数リンク106、107が航空機103、104と衛星105との間、及び衛星105と地上セルラー通信ネットワーク101との間それぞれに確立される。これらの衛星105は、静止している(地球基準ポイントから静止しているように見える)か、又は中高度軌道(MEO)及び低高度軌道(LEO)の場合のように移動することができる。衛星の実施例には、限定ではないが、静止Ku帯域衛星、DBS衛星(直接放送衛星)、イリジウムシステム、グローバルスターシステム、及びインマルサットシステムが含まれる。直接放送衛星に使用されるような専用衛星の場合、リンクは通常一方向性で
あり、すなわち衛星から受信しているプラットフォーム(この場合は航空機)に向かう。このようなシステムでは、航空機から一方向に送信するリンクは、通信を双方向にする必要がある。このリンクは、上記で説明されたように本質的に衛星又は地上無線とすることができる。
【0033】
最後に、航空機と通信するための他の手段は、HF(高周波)無線のようなブロードリンク又はワイドエリアリンク、及び対流圏散乱アーキテクチャなどのより固有のシステムを含む。
【0034】
このようにして真の機能セットトランスペアレンシーが達成される。空対地ネットワーク2は、加入者トラフィック並びに制御及びネットワーク機能セットデータが地上ネットワーク1と航空機客室内ネットワーク3との間で移送されるコンジットとみなすことができる。空対地ネットワーク2は、単一無線周波数リンク又は複数無線周波数リンクとして実現することができ、信号の一部は、空対地リンク108及び衛星リンク105−107などの異なるタイプのリンクを介して送られる。従って、種々の組合せにおいて本明細書で開示される種々の構成要素及びアーキテクチャ概念を使用してこのシステムを実施することにはかなりのフレキシビリティがある。
【0035】
ボイスオーバーインターネットプロトコル(VoIP)ネットワーク
ボイスオーバーインターネットプロトコルは、パケット化データストリームを使用してパケット中心インターネットプロトコルネットワークにわたって音声を伝達するネットワークのクラスである。本質的に音声はデータになる。実行可能な通信モードであるVoIPでは、待ち時間及びパケット配信信頼度は、歪み(ミッシングパケット)及び遅延(遅く到着するパケット)の両方が、呼出し了解度、呼出し信頼度、及び呼出し利用可能度の点で利用者のユーザ活動を損なわないよう十分に高水準のものでなくてはならない。
【0036】
一般に、回線交換システムは、極めて高い信頼度及び利用可能度の性能レベルを達成する。しかしながら、回線交換パラダイムは、専用回線が呼出しセットアップ、接続、及び終端(終端とは、受信ノードが着信を受け付けて接続することを意味する)に使用されることを要求する。よって、回線交換呼出しの資本及び運転の両方の固定/変動コストは、IP VoIP接続のためのコストより高い。
【0037】
しかしながら、純粋なIP音声電話(VoIP)はコスト上の利点を有するが、インターネットは、最初から音声のような短待ち時間アプリケーション用に設計されていない。従って、初期のVoIPサービスでは、回線交換電話には一般的には見られない通話品質障害を生じた。しかしながら、インターネット(TCP/IP)ネットワークの強化によって全体的な待ち時間遅延が短縮されたので、この待ち時間問題は争点ではなくなりつつある。同様に、ロスト又はミッシングパケットの問題も、希にしか生じないが、現在解決されつつある。従って、実施可能な代替案は、回線及びパケット交換音声電話技術の両方を利用し、インターネット及び従来の回線交換構成要素の両方を有するハイブリッドアーキテクチャである。音声電話のほとんどの部分は純粋にインターネットベースであることが推測できる。
【0038】
以下の表は、音声通話がとり得る通信経路のタイプの考え方を提供する。
1.音声通話は、加入者回線セグメント用の回線交換ネットワークから始まり、パケット呼出しとしてイントラシステム区間のインターネットに移行し、次いで最終ノード(又は電話業界用語での終端)への最終配信のための回線交換ドメインに再び入る。
2.音声通話は、回線交換ドメインには入らず、終端間からのパケット交換IP呼出しを維持する。
3.音声通話は、回線交換呼出しとして始まり、次いで中央局(CO)で受信ノードに
配信される場合にIP呼出しに移行する。
4.音声通話は、IPパケット交換呼出しとして始まり、回線交換呼出しとしてイントラスイッチセグメントを有し、次にVoIP呼出しとして配信される。
【0039】
従って、前述のケースは全てが包括的なものではないが、音声電話呼出しがとり得る多くの通信経路可能性を視覚化することは容易である。また、同様のことが、「機能セット」トランスペアレント非陸上セルラー通信ネットワークにわたるVoIP呼出しについても当てはまる。
【0040】
例えば、VoIP呼出しは、WiFiベアラープラットフォームにわたってVoIPを使用して航空機客室内ネットワーク3内で開始することができる。VoIPデータストリームのより大きなセグメントは、加入者音声トラフィックのために使用され、より小さなセグメントは、VoIPネットワーク信号方式トラフィック(例えばダイヤルされた番号など)を伝達するために使用される。このVoIP呼出しは、航空機客室内ネットワーク3に入り、空対地ネットワーク2又は「内部ネットワーク」を介して地上通信ネットワーク1に伝達され、次いで、データコアネットワーク経路に沿って図2の「PDSN」を介してインターネットに再度入る。次に、このVoIP呼出しは、終端ノードへのIP呼出しとして留まることができる。
【0041】
或いは、WiFi全体に渡る航空機客室内ネットワークVoIP呼出しは、図2に示される地上通信ネットワーク1のコアネットワーク側に入ることができ、そのポイントから終端ノードまで回線交換呼出しになる。
【0042】
或いは、回線交換呼出しは、地上PSTNで発信することができるが、飛行中の航空機内に位置付けられる加入者に向けることができ、ここでこの対象とする加入者だけがVoIP呼出しフォーマットが可能である。信号ルーティング経路は、地上通信ネットワーク1に入り、コアネットワーク側からデータコアネットワークに移行し、次いで空対地ネットワーク2(「コアネットワーク」サブシステムの左の点線を参照)を介して航空機客室内ネットワーク3に伝達することができる。
【0043】
本明細書で説明されるシステムは、音声電話呼出しのための種々の通信経路可能性を限定せず、音声電話呼出しが回線又はパケット交換される場所及び時間も限定しない。従って、システムは、伝達されるものが何であるか、音声かデータか又はその両方か、場所及び時間、並びにどのモード(回線又はパケット)であるかについては分からない。本明細書で示される技術的な可能性は、開示される基礎となるシステムを実現するために組み合わせることのできる種々の代替手段を示している。
【0044】
航空機客室内ネットワーク
「航空機客室内ネットワーク」は、航空機103、104内で実現される通信環境であり、これらの通信は、限定ではないが有線、無線、光、音波(超音波)又は同様のものを含む種々の技術に基づくことができる。このようなネットワークの実施例は、2000年10月11日出願の「Aircraft−Based Network for Wireless Subscriber Stations(無線加入者局のための航空機ベースネットワーク)」という名称の米国特許出願シリアル番号09/686,923で開示されている。
【0045】
航空機客室内ネットワーク3のための好ましい実施形態は、無線技術の使用であり、無線技術は、乗客及び乗務員が航空機上で携行する無線加入者デバイスに固有のものである。従って、ラップトップコンピュータは、WiFi無線モードを介して(又はLANなどの有線接続を介して)通信することができ、或いはPDAが、VoIP(ボイスオーバー
IP)を介して電話音声トラフィックを伝達することができる。同様に、GSMプロトコルを使用するハンドヘルド携帯電話は、航空機の内部から航空機客室内ネットワークに向かう場合にGSMを介して通信する。CDMA携帯電話は、CDMAを使用し、アナログAMPS電話は、航空機の内部から航空機客室内ネットワーク3へ向かう場合にアナログAMPSを使用することになる。接続状態は、パケット交換型又は回線交換型或いはその両方とすることができる。全体として、航空機客室内ネットワーク3での目的は、乗客及び乗務員が携行する全ての無線加入者デバイスに航空機客室内ネットワーク3へのシームレスでユビキタスなアクセスを可能にすることである。
【0046】
地上ネットワークへ航空機客室内ネットワーク3を接続することによって、航空機乗客及び乗務員が使用する無線加入者デバイスに特有の技術(WiFi、TDMA、GSM、CDMA、VoIPなど)は、地上ネットワーク上で通常は利用することができるネットワーク及び加入者機能のセットにアクセスすることが可能となる。これは、機内でネイティブ地上ネットワークと無線加入者デバイスに固有の対応する同様の技術との間で航空機客室内ネットワーク3を介してネットワーク信号情報を伝達することによって行われる。このようにして、航空機内に位置付けられた無線加入者デバイスの実装は、無線加入者デバイスが直接そのネイティブネットワーク(実際には地上に位置付けられている)に接続されると思い込まされる。
【0047】
図3は、多乗客民間航空機300で具現化されている無線加入者デバイスのための一般的な航空機ベースのネットワークのアーキテクチャをブロック図形式で示している。このシステムは、通信バックボーンを実現するのに使用される複数の要素を含み、前記通信バックボーンは多様な種類の複数の無線通信デバイス用の無線通信を可能にするのに使用される。無線加入者デバイス用の航空機ベースネットワークは、スペクトラム拡散パラダイムを使用した短距離動作を有する無線周波数通信システム301を含むローカルエリアネットワーク306を備える。このネットワーク306は、無線加入者デバイス321−323からの回線交換接続及びパケット交換接続の両方をサポートし、これらの無線加入者デバイス321−323の通信を1つ又は複数のゲートウェイ送受信装置310を介して公衆交換電話網(PSTN)126及びインターネット127又は公衆交換データ網(PDSN)のような他の宛先に相互接続する。これによって無線加入者は、公衆交換電話網126に直接接続されたようにこれらの単一の番号アイデンティティを保持する。無線加入者デバイス321−323は、ラップトップコンピュータ321、セルラー電話322、MP3ミュージックプレイヤー(図示せず)、個人用携帯型情報端末(PDA)(図示せず)、WiFiベースデバイス323、及び同様のものなどの多様な通信デバイスを含み、説明を簡単にするために、これらの実施の特定の詳細に関係なく本明細書では全て総称して無線加入者デバイスと呼ぶ。
【0048】
無線加入者デバイスのための航空機ベースネットワークの基本要素は、少なくとも1つのアンテナ305、又は航空機300内に位置付けられた複数の無線加入者デバイス321−323と通信する役割を果たす、航空機300内に位置付けられた航空機客室内ネットワーク3との電磁エネルギー結合手段を含む。少なくとも1つのアンテナ305は、複数の無線加入者デバイス321−323との無線通信を調整する役割を果たす複数の要素を含む無線制御装置301に接続されている。無線制御装置301は、PCS(例えばCDMA又はGSMとすることができる)のような無線通信パラダイムを使用して回線交換型通信スペースを提供するための少なくとも1つの低電力無線周波数送受信装置302を含む。更に、無線制御装置301は、WiFi(同様にパケット交換ボイスオーバーインターネットプロトコル(VoIP)を伝達できる)のような無線通信パラダイムを使用してデータベースパケット交換通信スペースを提供する低電力無線周波数送受信装置303を含む。最後に、無線制御装置301は、複数の無線加入者デバイスの電力出力を調節する役割を果たす電力コントロールセグメント304を含む。これはまた、RFノイズ又は
ジャム手段によって客室内無線加入者デバイスが非陸上モード時に直接及び誤って地上ネットワークにアクセスできないようにする役割を果たす。航空機搭載超低送信電力レベル機能は、無線加入者デバイス用の航空機ベースネットワークでの無線制御装置301の電力コントロール要素304による制御を表し、無線加入者デバイス321−323によって生じる出力信号電力を調節し、地上セルサイト又は地上加入者デバイスによるセルラー信号の受信の可能性を最小限にする。無線加入者デバイス321−323によって送信される信号の電力レベルは、一般に、FDMA/TDMA中心無線加入者デバイス(AMPS、TDMA、GSM)でわずか数ミリワットより小さく、客室内ネットワーク内で動作する場合にはCDMA中心無線加入者デバイスで−50dBm程低くすることができる。この大きさの出力信号強度は、標準の地上セルラー信号強度からのかなりの逸脱を示し、従って、非陸上セルラー信号は通常、地上セルサイト及び地上加入者デバイスによって拒否される。
【0049】
無線制御装置301のこれらの上述されたセグメントを種々の方法で組み合わせ又は解析して、本明細書で開示されるものとは異なる実装をもたらすことができる点は明らかである。説明される特定の実装は、本発明の概念を説明する目的で選択され、この概念の応用範囲を他の実装に限定するものではない。
【0050】
無線制御装置301は、バックボーンネットワーク306を介して、無線加入者デバイス321−323にサービスを提供する役割を果たす複数の他の要素に接続されている。これらの他の要素は、無線加入者デバイスの通信送信のための管理/スイッチング/ルーティング/集約機能を提供する航空機インターフェース309を含むことができる。データ収集要素307は、以下に説明されるような複数のソースからのデータを収集するために複数の飛行システムセンサー311−314及び全地球測位システム要素316とインターフェースする役割を果たす。更に、ディスプレイ317及びヘッドセット318のようなパイロット通信デバイスは、有線接続又は無線接続のいずれかを介してこのバックボーンネットワーク306に接続されている。
【0051】
最後に、ゲートウェイ送受信装置310は、航空機インターフェース309をアンテナ315に相互接続するのに使用され、無線加入者デバイスのための航空機ベースネットワークから地上に位置付けられた送受信装置に信号を送信することができるようにする。これらの構成要素に含まれるのは、通信信号を適切な宛先に転送するための通信ルーター機能である。従って、航空機上の加入者に宛てられた信号は、これらの個人にルーティングされ、例えば地上に位置付けられた加入者にルーティングされた信号は、地上ネットワークにルーティングされる。一般的に天底(地球に向かって)実効放射電力(ERP)を最小にする航空機アンテナパターンは、航空機上のアンテナ(又は複数のアンテナ)315の実装において使用して、無線加入者デバイスのための航空機ベースネットワークを提供することができる。2つの共通して使用されるアンテナタイプは、胴体取り付けブレード及び垂直スタビライザー取り付けブレードアンテナである。胴体取り付けブレードアンテナは、Eフィールドが水平に偏波される(しかしながら、このような偏波を防止するシステム制限がないので垂直に偏波することもできる)垂直スロットを使用する。このスロットアンテナは、垂直平面に配列されるが直交偏波を有する双極子を補完するパターンを有する。パターンは、これによって最小傾斜範囲、よって最小の伝播損失のための方向である地球(天底)に対してゼロを示す。エネルギーのレベルは、このパターン形状のために大幅に低減されるが、依然として地上アンテナパターンに対して直交偏波される。第2のアンテナタイプは、垂直スタビライザーのどちらかの側に配置された水平取付ブレードアンテナである。このアンテナは、水平偏波された放射要素の双極タイプを使用する。航空機の水平スタビライザーは、この水平取付ブレードアンテナと地球との間に取り付けられ、これによって地球(天底)に対して向けられた電力を大幅に低減する。垂直偏波が空対地ネットワーク2の接続性のために航空機上で使用される場合、一般的なアンテナタイプ
は、空気力学的ブレードハウジングに物理的に組み込まれた垂直1/4波長モノポールである。
【0052】
航空機客室内ネットワーク3内では、無線加入者デバイスは、厳密に制御された動的電力制御設定によって動作する。エアーインターフェース309は、客室内無線加入者デバイスのその制御機能によって、上述のように電力が極めて低く設定される非常に厳しい動的電力制御範囲(通常は1電力ステップ)を有するようにプログラムされる。
【0053】
非陸上通信と地上通信との間の干渉
航空機客室内環境において非陸上通信に固有の問題集合が存在し、非陸上機能トランスペアレンシーシステムによって解決される。1つの問題は、航空機が飛行中であるときに航空機内に位置付けられた無線加入者デバイスによる地上セルラー通信ネットワーク1への直接アクセスである。別の問題は、航空機内に位置付けられる無線加入者デバイスのオペレーションによる地上セルラー通信ネットワークの干渉を引き起こす信号の生成である。第3の問題は、客室内ネットワーク3から航空機システム/アビオニクスに対して発生する可能性がある望ましくない干渉に関する。全ての問題は、航空機内での無線加入者デバイスのオペレーションを可能にするために解決しなければならない。
【0054】
これらの問題に対する1つの解決策は、対象となる信号周波数を広帯域で妨害する妨害デバイスを使用し、これによって上述の問題の発生を防ぐことである。妨害信号は、航空機内に位置付けられた無線加入者デバイスの機能を不能にする大きさとし、客室内の必要な信号の通常のオペレーションに干渉せずに地上セルラー通信ネットワーク1からの信号を効率的に受信する。この方法は技術的に達成可能であるが、その実装は些細なことではなく多くの通信管理問題を生じるので好ましい方法ではない。例えば、妨害スペクトラムは、空対地リンクの無線周波数の関数でなくてはならないので、一定となることはない。更に、航空機客室内ネットワーク3が空対地リンクに対しハードハンドオフモード(周波数が1つのセルから次のセルに移っていく)で動作している場合、妨害デバイスは、この動的スペクトル割り当て変更をも考慮する必要がある。これは、無線加入者デバイスによって使用されるどの通信技術に対しても使用可能でなくてはならない。妨害デバイスをオン及びオフにする時間を決めることも問題となり、この決定は、航空機姿勢などの複雑な決定データを必要とする。また、妨害デバイスが利用可能にされている場合、無線加入者デバイスを使用するための緊急アクセスを航空機乗務員にどのようにして許可するのか。別の問題は、広帯域妨害デバイスが航空機上に位置付けられたアビオニクスにEMI/RFIを引き起こすかどうかである。公知の測定に基づく地上制御信号(所与の技術に対する)は、場合によっては妨害レベルを越える程有意に高いかどうか。また、所与の無線加入者デバイスは地上の制御信号を捕らえ自動追跡するかどうか。最後に、妨害方法は、航空機客室内無線加入者デバイスに対する真の制御状態を決して得られない。従って、妨害方法には限界及び問題点がある。しかしながら、妨害方法は、航空機客室内環境を管理するための統合されたシステムレベルの方法の一部としては実行可能である。
【0055】
純粋な妨害システムではないが、別の方法では、受信された地上セルラー信号を再送信し、十分な時間遅延を付加して、航空機内に位置付けられた無線加入者デバイスによるあらゆる地上セルラー信号へのコヒーレントなアクセスを防止する。この「遅延」方法は、標準的に割り当てられたセルラー無線周波数で受信された地上セルラー通信スペクトラム全体をデジタル化し、デジタル遅延回路によってこのデジタルストリームを実行させ、次いで結果として得られる信号をアナログ形式に変換して戻すことによって実現できる。本質的にこれは、アナログ−デジタル変換、信号遅延、及び最終的にデジタル−アナログ変換である。A/D技術の進歩により、UHF無線周波数でもこのような直接変換が可能である。
【0056】
航空機内に位置付けられた無線加入者デバイスによるあらゆる地上セルラー信号のコヒーレントなアクセスも防止する別の方法は、航空機が飛行中である場合にそれぞれの技術タイプ(CDMA、GSM、TDMAなど)において航空機内で地上無線サービスプロバイダの全てのSID(システムアイデンティフィケーション)を送信することである。このようにして、このプロセスは無線加入者デバイスを直接制御することができ、航空機が目標とする認可されたOPGAオペレーティング姿勢であるかどうかに応じて、アイドル状態又は超低電力状態のいずれかを無線加入者デバイスに命令するので、広帯域妨害デバイスは必要ではない。客室内無線加入者デバイスは、地上のセルラー通信ネットワークにアクセスできず、地上セルラー通信ネットワーク又はこのネットワークによりサービスされる無線加入者デバイスへの潜在的な干渉を引き起こすことはできないので、今や厳密且つ好ましい制御下にある。
【0057】
別の方法は、乗客の窓の視界に影響を与えることなく航空機の窓全部にマイクロワイヤ又は反射フィルムのアップリケなどのRFを通さない表面材を取り付けることによって航空機客室内ネットワーク3を分離する段階を含み、当該技術分野よく理解されているファラデー遮蔽手段によって乗客客室と地上のセルラーネットワークとの間の分離を実質的に向上させる。
【0058】
トランスペアレント機能セット空対地システム
以上、動作上の考慮事項の幾つかについて説明してきたが、ここで図1及び2に示されるような地上セルラー通信を使用する機能セットトランスペアレント空対地ネットワークのための主要なネットワーク構築ブロックを説明する。各航空機は、好ましい実施形態では無線であり、自己完結であり、更に自己の航空機、隣接する航空機、及び/又は地上セルラーオペレーションに干渉しないその固有の航空機客室内ネットワーク3を有する。所与の地上無線ノード又はセルは、一般に、複数の基地局送受信装置(BTS)131、133、及び基地局送受信装置131、133の動作を管理するこれらに関連した基地局制御装置(BSC)132、134、並びに所与のセルの近傍にあるものとすることができる(隣接する基地局送受信装置は通常ハンドオフ距離内にある)他の基地局送受信装置を備える。1つより多い基地局送受信装置を管理するために所与の基地局制御装置を有することも可能である。地上セルラー通信ネットワーク101は、利用者トラフィック(音声又はデータ)並びに、機能セットトランスペアレンシーを可能にする信号情報の両方に最終的な接続インターフェースを提供する。信号情報は、所与の無線アーキテクチャ(TDMA、GSM、IDEN、CDMA、WCDMA、CDMA2000など)に固有のものである。
【0059】
空対地ネットワーク2の実装は、限定ではないが、コスト(最少コストルーティング)、利用可能度、信頼度、帯域幅、冗長度などを含む幾つかのオペレーションパラメータに基づいて選択される。空対地リンクは無線セルラー108、109を介することができ、或いは衛星105−107を介することができる。上述のように衛星ベース空対地接続では、衛星105は、イリジウムのような特定のプラットフォームとすることができ、或いは複数の衛星プラットフォーム(例えば、DBS及び静止Kuバンド)とすることができる。典型的なトポロジーを図2に示している。
【0060】
各航空機の客室内ネットワークは、地上セルラー通信ネットワーク101への配信のために衛星106に単独でアクセスできる。地上セルラー通信ネットワーク1は、衛星106からの信号を送信及び受信する地球局を有し、次いでこの信号が地上セルラー通信ネットワーク1に伝達される。航空機客室内ネットワーク3からこれらの衛星が伝達する信号は、加入者トラフィック(音声及びデータ)、並びに所与の加入者デバイスに固有の信号データ(CDMAのための信号データはGSMのものとは異なる)の両方を含む。
【0061】
航空機客室内ネットワーク3は、航空機客室内で動作している無線加入者デバイスへのサービスの提供を管理するためのメカニズムを提供する。この管理は、加入者トラフィック接続性を提供することだけでなく、各加入者がそのホームネットワークで受信することが許可される機能セットの利用可能度も提供する。従って、機能セット管理は、無線加入者デバイスのロケーションをトランスペアレントにする方法で地上セルラーネットワーク101とインターフェースする段階を必要とし、航空機客室内ネットワーク3は地上セルラーネットワーク101に対して単純に別のセルサイトとして見える。
【0062】
定義
専門用語を一貫して使用するために、本発明の非陸上機能トランスペアレンシーシステム及びその動作の種々の態様を説明する以下の定義を提供する。
【0063】
インバウンドOPGA信号方式:客室内ネットワークに向かって、データ又は音声或いはその両方のいずれかをワン・フォン・ゴーズ・エニウェア無線加入者デバイスへの着信は、非陸上セルラー通信ネットワークドメインで終端され、通常は無線ベースであるが、呼出しは有線セグメントを有することができる。
【0064】
アウトバウンドOPGA信号方式:ワン・フォン・ゴーズ・エニウェア無線加入者デバイスから、データ又は音声又はその両方のいずれかを客室内ネットワークから向けられる発信は、地上セルラー通信ネットワークドメイン内で終端され、通常は無線ベースであるが、呼出しは有線セグメントを有することができる。
【0065】
トランスペアレント機能セットポータビリティ:この用語は、無線加入者デバイスのための許可され/確立された地上セルラー通信ネットワーク機能の非陸上セルラー通信ネットワークへのシームレスな移行を表している。
【0066】
トランスペアレント加入者クラスポータビリティ:この用語は、許可され/確立された地上セルラー通信ネットワーククラスの非陸上セルラー通信ネットワークへのシームレスな移行を表している。
【0067】
非陸上加入者クラス:この用語は、新しい加入者クラスがまた地上セルラー通信ドメインに移行することができる非陸上セルラー通信スペースに位置する新しい固有の加入者クラスの作成を意味する。
【0068】
トランスペアレント加入者請求:この用語は、地上請求システムの非陸上請求システムへの相互接続及び統合を意味し、これによって加入者は、非陸上セルラー通信ネットワーク又はそのホスト地上セルラー通信ネットワークのいずれかから1つの請求書だけを受け取るようになる。
【0069】
地上HLR対非陸上HLR接続性:この用語は、地上セルラー機能/クラスデータセットを非陸上ネットワークドメインへシームレスでトランスペアレントに伝達することを目的として、OPGA無線加入者デバイスの機能及びクラス設定/許可を含む地上HLRデータベースの非陸上HLRデータベースへの相互接続及び統合を意味する。
【0070】
地上VLR対非陸上HLRの接続性:この用語は、地上セルラー機能/クラスデータセットを非陸上セルラーネットワークドメインへシームレスでトランスペアレントに伝達することを目的として、OPGA無線加入者デバイスの機能及びクラス設定/許可を含む地上VLRデータベースの非陸上HLRデータベースへの相互接続及び統合を意味する。
【0071】
地上HLR対非陸上VLRの接続性:地上セルラー機能/クラスデータセットを非陸上
ネットワークドメインへシームレスでトランスペアレントに伝達することを目的として、OPGA無線加入者デバイスの機能及びクラス設定/許可を含む地上HLRデータベースの非陸上VLRデータベースへの相互接続及び統合。
【0072】
非陸上HLR対地上VLRの接続性:この用語は、非陸上セルラー機能/クラスデータセットを地上ネットワークドメインへシームレスでトランスペアレントに伝達することを目的として、OPGA無線加入者デバイスの機能及びクラス設定/許可を含む非陸上HLRデータベースの地上VLRデータベースへの相互接続及び統合を意味する。
【0073】
非陸上HLR対地上HLRの接続性:この用語は、非陸上セルラー機能/クラスデータセットを地上ネットワークドメインへシームレスでトランスペアレントに伝達することを目的として、OPGA無線加入者デバイスの機能及びクラス設定/許可を含む非陸上HLRデータベースの地上HLRデータベースへの相互接続及び統合を意味する。
【0074】
地上回線範囲は非陸上ネットワークを含む:既存の地上セルラー通信ネットワークは、このデバイスが非陸上モードであるときにOPGA無線加入者デバイスへのパケット又は回線交換呼出しをルーティングすべき場所に関する事前情報を有する必要がある。従って、非陸上回線範囲は、地上セルラー通信ネットワーク内にスイッチ/ルーターデータベースを追加する必要がある。
【0075】
非陸上対非陸上信号方式:非陸上ネットワークは、その更新されたHLR及びVLRデータベースによってパケット又は回線交換呼出し、IPデータパケット、及びその他を1つの非陸上無線加入者デバイスから第2の非陸上無線加入者デバイスにルーティングする。非陸上無線加入者デバイスは、同じ航空機上又は別の航空機上にあることができる。
【0076】
仮想私設非陸上ネットワーク(VPNN):この用語は、非陸上ネットワークを使用した選択的なアクセス及びアドレス指定手段による仮想私設非陸上ネットワークの作成を意味する。VPNNは、その全体的なVPNN構造の一部として地上仮想私設ネットワークを取り入れることができる。
【0077】
地上無線通信ネットワークから非陸上無線ネットワークへのハンドオフ:このハンドオフ事象の実施例は、航空機が空港から離陸する場合である。地上無線通信ネットワークで終端されるあらゆる既存の呼出し(又はパケット又はインターネットアーキテクチャデータ接続)は、非陸上セルラー通信ネットワークにハンドオーバー又はハンドオフされる。HLR/VLR機能/統合セットで上述したように、所与の無線加入者デバイスの全ての関連する機能、クラス、仮想私設ネットワーク、仮想私設非陸上ネットワークはまた、地上セルラー通信ネットワークから非陸上セルラー通信ネットワークに転送されることになる。
【0078】
非陸上無線ネットワークから地上無線通信ネットワークへのハンドオフ:これは、上記説明の逆である。実施例は、航空機が空港に着陸する場合である。非陸上セルラー通信ネットワークで終端したあらゆる呼出し(又はパケット又はインターネットアーキテクチャデータ接続)は、地上セルラー通信ネットワークにハンドオーバー又はハンドオフすることになる。HLR/VLR機能/統合セットにおいて上述したように、所与の無線加入者デバイスの全ての関連する機能、クラス、仮想私設ネットワーク、仮想私設非陸上ネットワークはまた、非陸上セルラー通信ネットワークから地上セルラー通信ネットワークに転送されることになる。
【0079】
トランスペアレントインターネットアクセス:OPGA無線加入者デバイスは、非陸上モードの場合にユーザトランスペアレントな方式、すなわちユーザアクセス、パスワード
、ユーザ名、データレート、コスト、コストプレミアム、IPアドレス(静的又は動的)などでインターネットにアクセスする能力をシームレスに保持する。インターネットアクセスと共に、IPv6無線インターネットプロトコル又は類似のものは、待ち時間、損失パケット、及び無線アクセスに関連した他の特定の集中的且つ長期間のエラー現象の点でより堅牢である。
【0080】
トランスペアレントEメールアクセス:OPGA無線加入者デバイスは、非陸上モードの場合に企業ファイアウォールの背後にあるか、或いはインターネットを介して直接アクセス可能であるかに関わらず、宛先のメールサーバーにアクセスする能力をシームレスに保持する。
【0081】
トランスペアレントマルチメディアアクセス:地上インターネットの全ての標準機能は、音声ストリーミング、ビデオストリーミング、マルチプレーヤーゲームなどを含むために非陸上モードにある場合に無線加入者デバイスが直ぐに利用可能である。
【0082】
空対地リンクフォーマット
航空機との空対地ネットワーク2では、トポロジーが地上108、109又は衛星105−107のいずれであってもリンク上で伝送される情報は、幾つかのアーキテクチャフォーマットに分割できる。一般に、フォーマットは、各客室内固有の技術(例えばCDMA対GSM)を単独又は集約された様態で伝達することができる。これらのフォーマットは、以下を含むが必ずしもこれらに限定されない。
1.FDM技術タイプ(実施例−周波数ブロック1は、利用者発信トラフィック並びにシステムレベル信号方式の両方を含む伝達情報を備えたCDMAである全ての航空機客室内無線加入者デバイスを伝達するためのものである。)
2.CDM技術タイプ(実施例−ワォルシュコード1は、利用者トラフィック及びシステム信号方式を含むために全航空機客室内GSM発生通信を伝達するのに使用される。)
3.TDM技術タイプ(実施例−タイムスロット1(1フレームにつき5スロットのうち)は、全iDEN航空機客室内ユーザ装置(UE)情報を伝達するために使用される。)
4.ボイス−オーバーインターネットプロトコル(VoIP)
5.上記のいずれかの組合せ。例えば、航空機からのリンクがWCDMA−FDD(広帯域CDMA周波数分割二重通信)である場合、このアーキテクチャはCDM、TDM、及びFDMの要素を含む。
6.集約リンク:全航空機客室内OPGA無線加入者デバイスからのトラフィックは、全利用者発生トラフィック(信号方式、データ及び/又は音声)を単一の接続、パケット又は回線として航空機と伝達する複合データストリームに組み合わされる。
【0083】
空対地リンクのタイプの選択は、以下のような無線接続性に固有のシステム性能パラメータを考慮しなければならない。
1.集中障害(リンクが瞬間的に損なわれる短期過渡事象;伝播異常によって引き起こされることが多い)
2.伝播特性(レイリー、リシアン、及びログ−ノーマル伝播フェード)
3.システム障害(選択されたリンクモードに一般的な固有の障害)
4.システム利用可能度(ネットワークがアップされ使用できる時間)
5.設備信頼度(設備は冗長であるか?)
6.リンク信頼度(リンクはパケット/コンテンツ配信を保証するか?)
7.冗長度(航空機と単一対二重経路)
【0084】
空対地ネットワーク2の選択された実装は、実行可能なアーキテクチャとして許容可能な性能の最小目標レベルを提供しなければならない。極めて重要なことは、空対地リンク
が航空機内の真のOPGA機能を達成するために機能セットトランスペアレンシーを保証しなければならないことである。
【0085】
非陸上機能トランスペアレンシーシステム
予期できるように、加入者機能トランスペアレンシーの程度は、システムの全体の複雑さに直接影響を与え、機能が増えるほど、機能トランスペアレンシーを可能にするシステムがより複雑になる。常に、好ましい技術的方法とバランスを取る必要のある経済的なトレードオフが存在する。これを考慮して、非陸上機能トランスペアレンシーシステムのための3つの一般的な好ましい実施形態を本明細書で説明する。
(1)「全機能、単一の利用者」
(2)「プリペイド及び/又はオウン利用者」
(3)「全機能、全利用者」
【0086】
後の2つのアーキテクチャは、航空機客室内ネットワーク3がCDMAからGSM、更にWiFiまでに及ぶ複数の技術タイプをサポートすることができるマルチモード航空機客室内環境を記載している。これは好ましい実施形態であるが、機能トランスペアレントネットワークはまた、1つの単一の好ましい客室内技術を含むことができ、例えば、客室内のGSM単独動作専用とすることができ、空対地ネットワーク2は地上CDMA又は衛星ベースとすることができ、或いはネイティブの客室内技術をCDMAとすることができ、航空機のリンクオフも同様にCDMAとすることができる。
【0087】
非陸上機能トランスペアレンシーシステム−全機能、単一利用者技術
地上配備された空対地ネットワーク2の第1の実施形態である、「全機能単一利用者技術」は、全OPGAトランスペアレント機能を客室内技術の1つのタイプ(GSMなど)用だけに提供する。現在及び将来のセルラー技術が限定された数の規格に向けて移行していくと仮定すると、この「単一利用者技術」方法は、マーケッティングの見地からの利点を有する。これはかなり単純であり、航空機客室内ネットワーク3と空対地ネットワーク2との間の複数ネットワーク間インターフェースオプションを提供する。これは、選択された空対地技術が無線エアーインターフェース(又はプロトコル)の分割制御及びトラフィック機能の点でFDMである場合に特に当てはまる。
【0088】
「全機能、単一利用者技術」アーキテクチャでは、考えられる3つの一般的なトポロジーがある。
1.「ネイティブモード」
2.「リレーター」
3.「常駐セルラーインフラストラクチャ」
【0089】
ネイティブモード
3つのうちの最初の全機能単一利用者技術アーキテクチャは、地上セルラー通信ネットワーク1への直接無線加入者デバイス客室内アクセスを行うネイティブモードである。航空機客室内には特別な通信機器はないが、地上にはより高利得のアンテナが必要とされる可能性がある。これらのより高利得のアンテナは、高品質リンクを維持するために航空機を追跡しなければならない可能性がある。
【0090】
ネイティブモードの主要な利点は、航空機搭載装置のコストがかからないこと、システムのアップグレードが常に地上で行われること、ユーザ無線加入者デバイスに特別な修正が必要でないこと、地上の適切なアンテナによって既存のネットワークを使用できることである。この方法の主要な欠点は、他の純地上セルラー通信ネットワークとの干渉を防ぐのが困難であること、十分なリンクマージンを確立することが難しいこと、及び航空機客室内送信電力レベルを航空機アビオニクスとの干渉を防ぐのに十分低く維持し難いことを
含む。この方法はまた、航空機客室内技術の各タイプに対して別個の地上通信ネットワーク1を必要とし、これはあまりコスト効率の良い方法ではない。
【0091】
リレーター
リレータートポロジーは、3つの中の第2の全機能単一利用者技術アーキテクチャであって、航空機上の機器が「トランスレーター」と「リピーター」の組み合わされた機能を有する方法であり、その実施例は、米国特許第6,650,898号に記載されている。この機器は通常、RFドメインでのみ動作し、ベースバンド信号では機能しない。「リレーター」の背後にある一般概念は、制御機能をトラフィック機能から分離することである。この分離は、アナログAMPS、TDMA、及びGSMのようなアーキテクチャに対して周波数ドメインで更に容易に達成される。この方法は、符号ドメインをデバイス(リレーター)のFDMタイプ毎にフィルタ処理することができないので、CDMAに対してはより困難である。機能上、リレーターは、客室内アンテナによって信号を受信し、外部航空機アンテナを介して航空機からの転送用信号を増幅するRF手段で客室内トラフィックを直接リレーすることによってコンテンツトラフィックを転送する。航空機からの信号は、客室内で発信したものとは異なる周波数にすることができる。これは、地上から発する信号の可逆プロセスである。純地上セルラーシステムに使用される制御チャネル信号及び情報を除去し修正(調整又は変更)することが要求されるので、所与のFDM技術のための制御チャネルは、リレーターから取り除かれ、客室内バージョンがこれによって置き換えられる。この方法の全体的な利点は、低コスト、客室内デバイスの制御、及び空対地通信用に設計された地上セルラー通信ネットワークの再利用である。この方法の欠点は、1つより多い客室内技術タイプをサポートするのが極めて難しいことである。
【0092】
常駐セルラーインフラストラクチャ
図4及び図5は、1つだけの客室内技術(CDMAなど)に集中される空対地ネットワークの全機能単一利用者技術の常駐セルラーインフラストラクチャのアーキテクチャをブロック図形式で示している。常駐セルラーインフラストラクチャアーキテクチャは、機能トランスペアレント非陸上ネットワークを可能にする「論理」システム概念である。このアーキテクチャは、既存の大きな利用者基盤を有し、従って、航空機客室内サービスの「瞬間的な」利用者になることができるセルラーサービスプロバイダに対して非常に効果的である。地上通信ネットワーク1のほとんどが再利用され、プロバイダの利用者によって使用される特定のデバイスの機能セットトランスペアレンシーが維持される。他のキャリアの利用者が同一の技術を有する場合でも、請求及び「ローミング」加入者への機能トランスペアレンシーの欠如などの問題に起因して、他のキャリアの利用者にサービスを提供することは極めて難しい。しかしながら、この方法のコスト上の利点は、航空機及び地上(無線ネットワーク)の両方でかなり大きい。
【0093】
空対地ネットワークアーキテクチャの全機能単一利用者技術のための常駐セルラーインフラストラクチャのトップレベルの技術的説明を以下に示す。
【0094】
無線加入者デバイス401は、セルラー/PCS地上通信ネットワーク1で使用されるものと同一であるが、これらの無線加入者デバイス401は、航空機にサービスするキャリアによって事前に登録されているか、又はユーザが認証のためのPIN番号を使用する。更に、アンテナ402は、無線加入者デバイス401を客室内エアーインターフェース403に相互接続する。航空機インターフェース403は、航空機内及び航空機との同一の無線「エアーインタフェース」を使用することによって以下に説明されるように航空機客室内で無線加入者デバイス擬態機能を実行する。「エアーインターフェース」は、例えばGSM又はCDMAなどの使用される技術タイプであり、プロトコル障壁を管理する段階を含む他の機能を有する航空機インターフェース403と混同すべきではない。
【0095】
地上通信ネットワーク1では、オペレーションの選択されたエアーインターフェース/周波数帯域用の基地局送受信装置404、基地局制御装置405、移動体交換局406モジュールは、非陸上サービスプロバイダのホームロケーションレジスタ407とインターフェースし、呼出し接続のための仮想加入者として航空機インターフェース403電話のMINにアクセスする。更に、移動体交換局406は、呼出し完了のために公衆交換電話網409、SS7ネットワーク410、及び公衆交換データ網411に接続されている。
【0096】
このアーキテクチャでの客室内航空機インターフェース403は、複数の役割を有し、すなわち、(1)サービスへの無線加入者デバイスアクセスを制御するために客室内RF環境を管理する、(2)無線加入者デバイスに最も低い必要なRF電力を命令することによってEMI/RFI環境を管理する、及び(3)地上通信ネットワーク1でのオペレーションに対して干渉を起こさない信号方式及びトラフィックのためのRF方式を確立する。航空機インターフェース403は、チャネルの2つのセット403A、403Bからなり、その各々は、無線加入者デバイス401及び地上送受信局404それぞれに無線周波数インターフェースを提供する。チャネルの第1セット403Aは、疑似基地局にトランスペアレントハンドセット信号方式を提供し、基地局送受信装置404のオペレーションを無線加入者デバイス401に擬態する。チャネルの第2セット403Bは、無線加入者デバイス401のオペレーションを基地局送受信装置404に擬態するためにミラーされたハンドセット信号方式を提供する。チャネルのこれらの2つのセットは、一般的なプロトコルスタック403C、403Dを使用して、2つのエアーインターフェース間で無線加入者デバイス401の機能を移送する。従って、エアーインターフェース403は、航空機客室内ネットワークトラフィック信号を空対地ネットワーク2にブリッジする。
【0097】
常駐セルラーインフラストラクチャトポロジー
「常駐セルラーインフラストラクチャ」法のために2つの一般的なトポロジーがある。すなわち、
1.移動セル
2.移動加入者
【0098】
常駐セルラーインフラストラクチャ−移動セル
図11は、空対地ネットワークの全機能単一利用者技術における常駐セルラーインフラストラクチャの移動セル実装のアーキテクチャをブロック図形式で示している。飛行中の航空機が複数の無線加入者デバイスにサービスする「セル」として現れ、これが移動している場合に、移動セルアーキテクチャは存在する。すなわち、選択された客室内技術における客室内呼出しの全ては、図11で図示したnチャネルによって示される各アクティブ呼出しに対しての航空機への通信経路であるように見えるので、従来の電話の観点から航空機103上で「終端」される。
【0099】
従って、この構成では、通常は地上にありセルラー基地局を構成するのに必然的に十分な機器、ハードウェア、及びソフトウェアの全ては、航空機上に設置しなければならない(ローカル/リモートMSC接続性を備えたBTS及びBSC)。アーキテクチャ的には、従来のセルラーは現在、他のセルと相対的に「セル」移動を有するようには設計されていない。別のセルにハンドオフしているアクティブ無線加入者デバイスの全セルのような問題は、現在のセルラーネットワーキング規格では企図されていない。更に、セルラーネットワーク管理のための現在の内部信号パラダイムは、移動セルトポロジーで企図される場合に機能不全になる(信号ルーティングマップ及びセル間接続はもはや静的ではない)。更に機能セットトランスペアレンシーは益々難しくなる。
【0100】
常駐セルラーインフラストラクチャ−移動加入者
「ネットワーク内のネットワーク」トポロジーが本明細書で説明されるように「全機能
全利用者」に対して取られる場合、移動セル法は単純化される。この最先端の高度に統合されたアーキテクチャでは、空対地ネットワーク2は単に、隔てられた環境すなわち航空機103(外部ネットワークの一方の端)に存在する本質的に移動セルであるものに対する無線転送パイプ(内部ネットワーク)である。このような結果として、多くの複雑な技術的な問題は一般的な「移動セル」概念により解決される。「全機能全利用者」プラットフォームに関する詳細な検討は、本明細書の以下のセクションに含まれる。
【0101】
図12は、空対地ネットワークの全機能単一利用者技術のための常駐セルラーインフラストラクチャの移動加入者実装のアーキテクチャをブロック図形式で示している。移動セル方法に伴う複雑な問題はまた、移動セルが移動加入者トポロジーになるように修正された場合に解決される。概念的には、航空機客室内ネットワークは、それ自体で存在することができ、或いは図12の単一空対地リンクによって示される「加入者端末」のように機能及び動作するよう空対地ネットワーク2に対して見える場合、これは、航空機内に位置付けられた複数の無線加入者デバイスのためのトラフィックを伝達する1つ又はそれ以上の集約されたチャネルを表す。従って、空対地ネットワーク2及び地上通信ネットワーク1は、地上無線加入者デバイスに対して行われるのと同じ方式で航空機客室内ネットワーク加入者端末(又はユーザ機器)を管理する。本質的に、空対地ネットワーク2及び地上通信ネットワーク1は、無線加入者デバイスが飛行中の航空機上に位置付けられる場合でも、そのオペレーションに関連する特別な考慮事項がないように思い込ませる。
【0102】
常駐セルラーインフラストラクチャの概要
常駐セルラーインフラストラクチャトポロジーは、好ましい「移動加入者」実施形態を有する機能トランスペアレント非陸上ネットワークのための「論理」システム概念である。本質的に、常駐セルラーインフラストラクチャアーキテクチャは、航空機に搭載されたシステムが航空機内の無線加入者デバイスを擬態する機器の一部である所与の無線加入者デバイスの全機能を複製することを要求する。無線加入者デバイス属性のこのミラーリングは、客室内通信のためのローカライズされたセルを可能にし、更に、空対地ネットワーク2のための同じ無線加入者デバイス属性を保持する。従って、2つのネットワークがチャネル化方式でペアのワン・フォー・ワン(1対1)であるので、空対地ネットワーク2は、無線加入者デバイスが非陸上又は多次元であり、航空機客室内ネットワーク3が空対地ネットワーク2にオペレーション上トランスペアレントであることに気付かない。
【0103】
常駐セルラーインフラストラクチャアーキテクチャでは、幾つかのシステム信号方式パラメータは、プロトコルスタックインターフェースのいずれかの側(空対地ネットワーク2側対航空機客室内ネットワーク3側)で一意的に且つ独立して管理しなければならないことを認識するのは重要なことである。例えば、動的電力制御は、空対地ネットワーク2対航空機客室内ネットワーク3上で別々に制御されることになる(極低送信電力が要求され、動的電力制御の目的が異なる機能で生じる場合)。更に、ソフトハンドオフを含めるようにするハンドオフ信号方式は、空対地ネットワーク2ではアクティブになるが、客室環境内ではイナクティブになる可能性がある。従って、これらの実施例及び当該リンクのそれぞれの半分だけに固有で且つ個々に重要な他のシステム信号の全てに対して、航空機客室内ネットワーク3が妨害し、両方の半分のオペレーションが一致する方式で共同ネットワークの他の半分に沿って転送又はスプーフィングしないことになる。よって、プロトコルスタックの信号のほとんどは、プロトコル障壁全体にわたってシームレスに伝達されるが、キー信号は個別的に個々に管理される。幾つかの点において、常駐セルラーインフラストラクチャ概念は、信号ドメイン対純無線周波数ドメインで機能するインテリジェント「リレーター」である。
【0104】
常駐セルラーインフラストラクチャ概念の主な欠点は、これが単一の技術方法であり航空機客室内ネットワーク3と空対地ネットワーク2に対して同じ技術を必要とすることで
ある。これはまた、単一のサービスプロバイダトポロジーである。上述のように、既にかなりの単一技術加入者人口を有するセルラーサービスプロバイダでは、この単一技術アーキテクチャの弱点はあまり重要ではない場合がある。
【0105】
非陸上機能トランスペアレンシーシステム−プリペイド及び/又はオウン利用者トポロジー
図6及び図7は、空対地ネットワーク2のプリペイド及び/又はオウン加入者トポロジーのアーキテクチャをブロック図形式で示している。第2の実施形態「プリペイド及び/又はオウン利用者」は客室内のより多くの技術タイプにサービスを提供することができるが、加入者にトランスペアレンシーな豊富な機能セットを提供しない。一般に、好ましい実施形態は、「移動セル」タイプのトポロジーである(図11)。しかしながら、これはあまり複雑ではなく、「全機能全利用者」よりも動作がはるかに簡単である。また、あまり複雑ではないことにより、信頼度及び利用可能度の点でより堅牢とすることができる。このアーキテクチャは、以下の利点及び欠点を有する。
利点
1.他のキャリアとの間のローミング協定が不要。航空機搭載の場合、システムのユーザは、サービスを提供するキャリアの加入者である。
2.現在のATGネットワーク(AMPS)を用いて、サービスを提供することができる(すなわち、空対地ネットワーク2である)。
3.既製のモジュールのカスタマイゼーションが最小(市場投入までの期間が短く技術リスクが少ない)。
4.請求/徴収が簡単。
5.加入者のホームサービスプロバイダは、アクセスを阻止することができない。
欠点
1.基本呼出し機能は存続するが、呼出し待ち、発信者ID、三者通話、SMS、ボイスメール通知などの機能セットの全てが利用可能とは限らない。
2.インバウンド呼出しは管理/配信が難しく一般的にサポートされないので、アウトバウンド呼出しのみ。
3.複数のコーデック(少なくとも2つ)は音声品質に影響を与える可能性がある。
4.パケット交換データ網/機能は、ネットワークへの修正を必要とする可能性がある。
【0106】
「プリペイド及び/又はオウン加入者」アーキテクチャのトップレベルの技術説明は以下の通りである。
無線加入者デバイス601−603は、セルラー/PCS地上通信ネットワーク1で使用されるものと同一であるが、これらの無線加入者デバイス601−603は、航空機にサービスするキャリアで事前に登録され、及び/又はユーザは、認証用のPIN番号を有する。更に、アンテナ604は、無線加入者デバイス601−603を客室内基地局送受信装置(BTS)611−613と相互接続し、この客室内基地局送受信装置(BTS)は通常、統合されたBSC/MSC機能を備えたピコセルである。BTS/BSC/MSCモジュールは、サポートされる各エアーインターフェース技術に対して付加される。
【0107】
AAA(認証、許可、及び課金)プラットフォーム621は、航空機客室内でHLR機能のサブセットを実行する(認証はMIN又はPINに基づいて行うことができる;請求システムへのインターフェースが必要とされることがあり、場合によっては別個の信号方式経路として衛星リンクを通じて実行できる)。呼出しブリッジ622は、航空機客室内ネットワーク3と地上通信ネットワーク1との間のブリッジング機能(限られた範囲内でのメディア/コンテンツ及び信号方式ためのもの)として機能する。AAAプラットフォーム621からの命令に応じて、呼出しブリッジ622は、電話バンクモジュール623を使用して地上通信ネットワーク1に電話して、航空機客室内ネットワーク3に対する呼
出しをブリッジする。
【0108】
空対地(ATG)ネットワーク2は、設計者選択の周波数帯域及びエアーインターフェース技術(例えばセルラー又はNATS帯域で動作するAMPS又はCDMA)を使用し、航空機客室内ネットワーク3と地上通信ネットワーク1をリンクする。地上通信ネットワーク1では、オペレーションの選択されたエアーインターフェース/周波数帯域用の基地局送受信装置624、基地局制御装置625、移動体交換局626モジュールが、非陸上サービスプロバイダのホームロケーションレジスタ627とインターフェースし、呼出し接続の仮想加入者として電話バンクモジュール623電話のMINにアクセスする。更に、移動体交換局626は、呼出し完了のために公衆交換電話網631、SS7ネットワーク632、及び公衆交換データ網633に接続される。
【0109】
このアーキテクチャにおける客室内基地局送受信装置(BTS)611−613は、複数の役割を有し、すなわち、(1)サービスへの無線加入者デバイスのアクセスを制御するために客室内RF環境を管理すること、(2)無線加入者デバイスに必要な最低RF電力を指令することによってEMI/RFI環境を管理すること、更に(3)地上通信ネットワーク1におけるオペレーションへの干渉を引き起こさない信号方式及びトラフィックのRF方式を確立することである。種々の客室内基地局送受信装置(BTS)611−613のBTS、BSC、及びMSC構成要素は、航空機客室内ネットワークトラフィック信号をベースバンド情報に変換し、次いで、該ベースバンド情報は、空対地ネットワーク2への接続のために無線電話バンク623にブリッジされる。信号方式情報は、航空機客室内ネットワーク3と空対地ネットワーク2との間の境界を越えない。従って、このアーキテクチャは、加入者機能トランスペアレントではなく、逆に、主として回線タイプの音声又はデータ呼出し用、及び主として加入者発信トラフィック用に航空機客室内マルチハンドセット技術サポートを可能にする機能トポロジーである。加入者登録に関して信号情報がないので、地上通信ネットワーク1は、加入者ハンドセットが航空機搭載であるという更新された知識を持たない。同様に、事前情報が利用可能ではない。従って、インバウンド呼出し、地対空は、このアーキテクチャではサポートされない。
【0110】
アウトバウンド(空対地)呼出しは、呼出し要求を開始する客室内無線加入者デバイスから始まる。公知の標準セルラー呼出しセットアッププロセスによってBTS/BTS/MSCの組み合わせが呼出しを確立する。このプロセスは、CDMAとは異なるプロトコル/方法を有するGSMを用いたエアーインターフェースに依存する。加入者トラフィックをベースバンド(デジタル音声又は純粋なデータのいずれか)に変換して、呼び出される番号並びに呼出し番号などの必須の信号情報を抽出した後で、AAAプラットフォーム621は、認証、許可、及び課金機能を実行する。AAAプロセスを終了後、アウトバウンド呼出しは、呼出しブリッジ622を介して電話バンク623にわたされ、パス地上通信ネットワーク1へ伝送される。電話バンク623は、呼出し番号及び呼出しブリッジ622から呼び出された番号を受け取る。電話バンク623は、空対地ネットワーク2の航空機搭載末端部にあり、空対地ネットワーク2は、どのような技術タイプであってもよく、航空機客室内ネットワーク3エアーインターフェースの1つに類似したものである必要はない。好ましい実施形態は、チャネル化された方法を使用するが、集約されたパイプを使用してもよい(「全機能全利用者」を参照のこと)。地上では、空対地ネットワーク2は、標準セルラートポロジーにほぼ同一である(しかしながら、空に向けたアンテナを有し、関連する特別なハンドオフなどを備えた航空機との通信を管理するよう設計されている)。
【0111】
非陸上機能トランスペアレンシーシステム−全機能全利用者
第3の「全機能全利用者」と呼ばれる機能豊富アーキテクチャを図8及び図9に示している。このアーキテクチャは、更に複雑であるが、真のワン・フォン・ゴーズ・エニウェ
ア(OPGA)機能を達成する。このアーキテクチャの利点及び欠点は以下の項目を含む。
利点
1.機内搭載時の全「ネイティブ」ネットワーク機能セット利用可能度
2.ネットワークが自律的に無線加入者デバイスを登録する
3.全インバウンド及びアウトバウンド呼出し機能
4.全インバウンド及びアウトバウンドネットワーク信号伝達機能
5.新しい技術(エアーインターフェース)は、いつでも外部ネットワーク(航空機上及び地上ネットワーク内)に追加することができ、航空機客室内ネットワーク3及び空対地ネットワーク2の両方を「古くならない」ようにする。
6.真のOPGA機能−無線加入者デバイスは、サービスされるあらゆる共通のエアーインターフェースについてもそのホームネットワークに接続されているように機能し且つ見える。
7.ローミング協定を提供するそのホームネットワークからの加入者への請求書が1つだけ存在する(アクティブな使用を促進する)。
8.クレジットカード又はプリペイドサービスによるオプションの請求
9.全データ機能(パケット又は回線)
10.トランスペアレント信号方式
11.単一の空対地パイプが、全ての情報、トラフィック、及び信号を伝達する。これは、空対地ネットワークドメインでのハンドオフを大幅に簡単にする。
欠点
1.「ホーム」ネットワークホストサービスプロバイダとのローミング協定を必要とする。
2.ホームネットワークは、その優先ローミングリスト(PRL)におけるネガティブなリスティングによりその加入者プールへのアクセスを理論的に阻止する可能性があるが、このネットワークは、これらの加入者プールへのクレジットカード呼出しを依然としてサポートする。
4.複雑である程、複数の客室内エアーインターフェース及び地上ネットワークの実装によりコストがかかる。
5.データ集信装置821は、トランスペアレント機能セット特性に影響を与えないように待ち時間全体を最小にする段階を含むため、その集約/不集約機能を絶対的に信頼する必要がある。
【0112】
全機能全利用者アーキテクチャのトップレベルの技術的な説明を以下に示す。
無線加入者デバイス801−804は、セルラー/PCS地上通信ネットワーク1で使用されるものと同一である。システムは、どのような共通エアーインターフェースもサポートすることが企図されており、通常は、最も広く使用されるGSM、CDMA、及びiDEN、並びにWiFi(802.11)である。航空機103は、客室内に位置付けられた無線加入者デバイス801−804用のカバレッジを提供する客室内アンテナシステム805を備えている。複数のアンテナを利用して、一部又は全ての航空機の客室全体で無線加入者デバイス801−804にカバレッジを提供することができる。アンテナシステム805は、通常は複数の基地局及び/又はアクセスポイントからなる基地局機器811−814に接続されており、各々が単一の共通エアーインターフェース及び周波数帯域専用である。或いは、基地局機器811−814は、所与の共通エアーインターフェースのため複数の周波数帯域をサービスすることができる。基地局811−814は、航空機でのサービス向けに企図される各共通エアーインターフェースのための適切な工業規格に準拠する無線周波数を送受信する。基地局811−814は、送信及び受信信号をそれぞれ変調及び復調し、入力信号を受信し、工業用及び/又は商用規格に準じたトラフィック(音声及び/又はデータ)及び信号チャネル用の出力信号を生成する。全ての信号方式及びトラフィックチャネル(SCは信号チャネルを示し、TCはトラフィックチャネルを示
す)は、送信フォーマットに関係なくデータ集信装置821に接続する。
【0113】
このシステムのデータ集信装置821及び空対地無線機器822は、客室内ネットワーク3と、航空機との集約された無線リンクを有する空対地ネットワーク2との間で上記で説明された1対1ペアチャネル化インターフェースを置き換える働きをする。この機器は、基地局からの個々のトラフィック及び信号チャネルを集約データストリームに/集約データストリームから変換し、航空機が移動しているときに継続的なサービスを維持する空対地ネットワーク2全体で集約データストリームを送信/受信する。空−地無線機器822は、空対地ネットワーク2の地上部分で地上送受信装置と通信するための無線送信機器及びアンテナシステムを含む。空対地ネットワーク2に割り当てられた個々のトラフィックチャネルは、航空機からサポートされるトラフィック要求に基づいて起動される。空対地ネットワーク2は、NATS帯域を含む空対地通信に利用可能ないずれの適切なスペクトラムも利用することができる。代替的に、スペクトラムは、使用される帯域を占めるどのような地上通信ネットワークとの適切な干渉協調によってPCS又はセルラー帯域で利用される。CDMA2000 1×EVDOに基づく共通エアーインターフェースは、様々なトラフィック要求で航空機に適用することができる種々のデータレートを含む多くの適切な特性を提供する。別の代替策として、GSM/GPRS/EDGEのような異なる共通エアーインターフェース、又は特殊化されたエアーインターフェースを利用できる。
【0114】
地−空無線装置823、824は、地上局のサービスエリア内の複数の航空機からの通信をサポートする。地−空無線システム823、824は、単一の全方向性信号を使用することができ、或いは方位角及び/又は仰角の点で定義できる複数空間セクターを使用することができる。航空機通信は、空対地ネットワーク2でサービスの連続性を維持するために、種々のロケーションにある地−空無線システム823、824間にわたりハンドオーバーする。ハンドオーバーは、ハード又はソフトとすることができ、或いは空−地及び地−空リンクにおいてハード及びソフトを組み合わせたものとすることができる。
【0115】
地上局制御装置825は、全ての航空機搭載システムのモビリティ管理を提供し、航空機搭載システムが隣接する地上局のサービスエリア間を移動するときに地上局間でのハンドオーバー管理を提供する。地上局制御装置825は、地−空無線装置823、824との全トラフィックを地−空無線機器823、824、及び826の残りにインターフェースする。データルーター及びポートマネージャー(DRPM)826は、種々の基地局制御装置及び関連する装置831、832、833、834、835との全トラフィックを集約し、それぞれのサービスエリア内の航空機搭載システム間で地−空無線機器823、824の各々の容量の割当てを制御する。データルーター及びポートマネージャー(DRPM)826はまた、空対地システム上で伝達されたIPデータトラフィックを各技術のためのそれぞれの基地局制御装置サブシステム831−834へのインターフェース用の従来の回線に変換する。これらは、GSM831、CDMA832、及びiDEN833、834のための基地局制御装置及びパケットデータサーバーと、WiFiデータトラフィックのための認証、許可、及び課金(AAA)サーバー835を含む。
【0116】
基地局制御装置831−835は、サービスされるエアーインターフェース技術の各々について従来の音声及びデータスイッチング/ルーティングシステム851−855に接続されている。音声及びデータスイッチング/ルーティングシステムは、従来の方式で公衆電話及びデータ網に接続されている。接続は、飛行中の加入者をローミングするホーム無線システム、又は飛行中の自動ローミングをサポートするローミング協定を備えたホームキャリアを持たない飛行中の加入者のためのクレジットカード及び/又は事前加入サービスへのアクセスを提供する信号方式システムネットワークに供給される。
【0117】
「全機能全利用者」アーキテクチャは、加入者トラフィック並びに内部ネットワーク信
号方式の両方のための真の双方向通信機能を実現する。「全機能全利用者」トポロジーは、空対地ネットワーク2が実質的に航空機との単なる転送ポートである場合、実際には「ネットワーク内のネットワーク」である。この「内部転送ネットワーク」は、より大きなネットワーク又はネットワークのセットの「リンクレイヤ」と考えることができる。
【0118】
好ましい実施形態では、空対地ネットワーク2は、航空機との全トラフィックを単一の集約された通信チャネルで転送する。この「単一パイプ」は、航空機が1つの地上セルと次のセル間で移行するときにハード及びソフトハンドオフを管理する点で別個の利点を有する。この方法は、より新規の高速の無線セルラー技術を利用する。
【0119】
説明される好ましい実施形態は、カスタムハードウェア/ソフトウェアの使用を最小限にし、新しい新規性のある方式で利用可能な構築ブロックの構成の巧みなアーキテクトを利用する。トラフィックボリュームに応じて、所与の航空機は、複数の集約されたチャネルを有することができ、チャネル化構造は、フォワードパス及びリバースパスで異なるものとすることができる。一般にこのアーキテクチャは、航空機客室内ネットワーク環境内でどのような無線技術も事実上サポートすることができる。
【0120】
GSM、CDMA、iDEN及びその他を含むようサポートされる各航空機客室内ネットワークエアーインターフェース用のセルラー基地局は、各航空機に搭載されて常駐している。これらの基地局は、一般に、分離された環境ではなく、地上セルラー通信ネットワークのリモート拡張部分(無線加入者デバイスはフレキシブルな「臍帯」で取り付けられている)として動作する。この臍帯機能を終了するために、「SC」と呼ばれる基地局からの配線による信号方式経路が、通常どのような標準セルラーネットワークにも常駐するはずの必要な信号方式情報の全てを伝達する。これ以降、SCシステム間通信は、当該技術分野で公知の標準的な手段を介して伝達される。各エアーインターフェースのSC方法は、固有の属性、特徴、及び利点を有しており、これは、最小の修正で簡単に再利用される(固有の処理を必要とするDPCのような特定の項目を参照)。
【0121】
図8に見られるように、地上通信ネットワーク1は、各航空機客室内ネットワークサポートエアーインターフェース(GSM対CDMA)用のネットワーク要素を有する必要がある点に留意されたい。本質的には、内部ネットワーク(又は空対地システム)は単に、全信号方式及びトラフィックデータの送信用の共通チャネルを提供し、該データは通常、異なる共通エアーインターフェースをサポートする幾つかの一般的なセルラーネットワークの基地局送受信装置と基地局制御装置との間でパスされることになる。
【0122】
全利用者トラフィック及び全基地局対BSC信号方式は、航空機客室内ネットワーク3と空対地ネットワーク2の間のチャネル対チャネルペアを使用せずに「全機能全利用者」方法に固有に、好ましい実施形態において1つの複合データストリームとして集約され、空対地ネットワーク2を介した1つの無線リンクにわって伝達される。類似の方式において、所与のセルサイトがある地上では、RF信号は、デジタルデータストリームに復調され(これは「内部ネットワーク」である)、「データルーター、ポートマネージャー」によってこれに応じて解析されて、航空機上のデータ集信装置によって提供されるIPアドレス指定情報に基づいて適切なBSCに配信される。
【0123】
GSM無線加入者デバイスのイリジウムとの統合化
図10は、イリジウムアーキテクチャに対するGSMハンドセットをブロック図形式で示している。別の衛星空対地ネットワーク実施形態は、航空機客室内ネットワーク3内で動作するGSM無線加入者デバイス1001とイリジウム(好ましい実施形態)衛星リンク又は空対地ネットワーク2との統合である。このアーキテクチャは、GSM無線加入者デバイス1001を使用し、飛行中はGSM基地局1002を有する航空機客室内ネット
ワーク3に接続される。次いで、航空機客室内ネットワーク3は、空対地ネットワーク2を終了し加入者トラフィック及びGSM信号方式の両方を地上セルラー通信ネットワークに配信するイリジウムリンク1003、1004に接続される。このアーキテクチャは、GSM番号をイリジウム番号とペアにするデータベースが存在しないので、アウトバウンド呼出しをサポートするだけである。イリジウム及びGSMが類似の信号方式プラットフォームを有するとすれば、呼出しは、ホームセルラーサービスプロバイダの請求プロセスによって直接請求できる。
【0124】
概念的には、GSMハンドセットは、電話のSIM情報を取り除いて収集するローカルGSMセルサイト(客室内ネットワーク)に「話しかける」。このSIM情報は次に、そのネイティブ「イリジウム」SIMカードの代わりにSIM情報を使用するイリジウム送受信装置に送信される。ベースとなるイリジウムシステムのHLRアーキテクチャがGSMシステムと同じであるので、イリジウムシステムは、GSMハンドセットを間接的にローマーとして認識し、GSMで使用される通常のローマー検証プロセスを介してユーザを確認することができる。同様に、地上セルラー通信ネットワークは、GSMのホームプロバイダのハンドセットがイリジウムとのローミング協定を有すると仮定した場合に請求のためにSIM情報を使用できる。
【0125】
要約
本発明の非陸上機能トランスペアレンシーシステムは、無線加入者デバイスが飛行中の航空機上に位置付けられる場合でもそのオペレーションに関連する特別な考慮事項がないものと空対地ネットワーク及び地上セルラー通信ネットワークに思い込ませる。空対地ネットワークは、加入者データ(音声及び/又は他のデータを含む)並びに信号方式及び機能セットデータの両方を航空機客室内ネットワークと地上セルラー通信ネットワークとの間で伝送し、これによって航空機内に位置付けられた無線加入者デバイスが陸上(地上)及び非陸上領域の両方で一貫した無線通信サービスを受信できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】航空機客室内ネットワークを地上通信ネットワークに相互接続する複合空対地ネットワークの全体的なアーキテクチャを示すブロック図である。
【図2】航空機客室内ネットワークを地上通信ネットワークに相互接続する機能セットトランスペアレント空対地ネットワークを提供する非陸上機能トランスペアレンシーシステムのための主要なネットワーク構築ブロックを示すブロック図である。
【図3】複数の乗客が乗る民間航空機に組み込まれる無線加入者局のための一般的な航空機ベースネットワークの一般的な実施形態のアーキテクチャを示すブロック図である。
【図4】空対地ネットワークにおける全機能単一利用者技術のための常駐セルラーインフラストラクチャのアーキテクチャを示すブロック図である。
【図5】空対地ネットワークにおける全機能単一利用者技術のための常駐セルラーインフラストラクチャのアーキテクチャを示すブロック図である。
【図6】空対地ネットワークにおけるプリペイド及び/又はオウン加入者トポロジーのアーキテクチャを示すブロック図である。
【図7】空対地ネットワークのためのプリペイド及び/又はオウン加入者トポロジーのアーキテクチャを示すブロック図である。
【図8】空対地ネットワークにおける全機能複数利用者トポロジーのアーキテクチャを示すブロック図である。
【図9】空対地ネットワークにおける全機能複数利用者トポロジーのアーキテクチャを示すブロック図である。
【図10】イリジウムアーキテクチャに対するGSMハンドセットを示すブロック図である。
【図11】空対地ネットワークにおける全機能単一利用者技術のための常駐セルラーインフラストラクチャの移動セルのアーキテクチャを示すブロック図である。
【図12】空対地ネットワークのための全機能単一利用者技術のための常駐セルラーインフラストラクチャの移動加入者実行のアーキテクチャを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0127】
1 地上ネットワーク
2 空対地ネットワーク
3 非陸上ネットワーク(航空機客室内ネットワーク)
101 コアネットワーク
102 外部ネットワーク
103 航空機客室内ネットワーク
121 移動体交換局
122 ゲートウェイ移動体交換局
131、133 基地局送受信装置
132、134 基地局制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機内に位置付けられた複数の無線加入者デバイスに無線通信サービスを提供するためのシステムであって、
航空機内に位置付けられた前記複数の無線加入者デバイスの少なくとも1つと通信するために無線周波数通信信号を生成するために航空機内に位置付けられた航空機無線ネットワーク手段と、
前記航空機と、地上に位置付けられた少なくとも1つの送受信装置を有する地上通信ネットワークとの間の無線周波数通信のための空対地ネットワーク手段であって、前記地上通信ネットワークから受信した信号方式チャネル及び加入者トラフィックを集約データストリームに変換するデータ集中手段を有することを特徴とする空対地ネットワーク手段と、
前記航空機無線ネットワーク手段と該空対地ネットワーク手段とを相互接続して、加入者トラフィックと少なくとも1つのネットワーク信号の両者と、前記航空機無線ネットワーク手段と前記地上通信ネットワークとの間で別々に同時に利用可能なロジカルチャネル上で管理データとを送信及び受信することにより、前記複数の無線加入者デバイスと前記地上通信ネットワークとの間で通信を確立する航空機インターフェース手段と、
を有し、
前記航空機インターフェース手段が、前記空対地ネットワーク手段から受信した集約データストリームを、前記複数の無線加入者デバイスに関する信号方式及び加入者トラフィックに変換するためのデータルーター手段を包含することを特徴とする無線通信サービスを提供するためのシステム。
【請求項2】
前記航空機インターフェース手段が更に、
前記加入者トラフィック及び信号方式チャネルを生成する前記無線加入者デバイスに関連する呼出データを維持するための呼出管理手段を備え、
前記空対地ネットワーク手段が更に、
前記集約データストリームを介して前記複数の無線加入者デバイスの少なくとも1つと通信するための複数の地上基地局手段と、
第1の地上基地局手段から第2の地上基地局手段に呼出しハンドオフの開始に応答して、
前記第1の地上基地局手段から前記第2の地上基地局手段に前記集約データストリームの転送を宛先変更するためのハンドオフ管理手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の無線通信サービスを提供するためのシステム。
【請求項3】
前記航空機インターフェース手段が更に、
前記加入者トラフィック及び信号方式チャネルを生成する前記無線加入者デバイスに関連し、前記呼出しデータを前記第2の地上基地局手段に転送するための呼出し管理データハンドオフ手段を有することを特徴とする請求項1に記載の無線通信サービスを提供するためのシステム。
【請求項4】
前記空対地ネットワーク手段は、
少なくとも1つの衛星を介して、地上に位置付けられた送受信装置に送信するダウンリンク無線周波数信号を生成するために前記航空機内に位置決めされた送信器手段と、
前記少なくとも1つの衛星から受信されるアップリンク無線周波数信号を受信するために前記航空機内に位置決めされた受信器手段と、
前記送信器手段及び前記受信器手段と前記少なくとも1つの衛星との間で前記ダウンリンク及びアップリンク無線周波数信号を送信及び受信するための前記航空機の外部表面に位置付けられたアンテナ手段と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の無線通信サービスを提供するためのシステム。
【請求項5】
前記航空機インターフェース手段が、無線周波数属性のセットから無線通信サービスを提供する前記システムの少なくとも1つの無線周波数属性を管理し、
無線加入者デバイスのサービスに対するアクセスを制御する客室内無線周波数環境と;
前記無線加入者デバイスを最低限必要な無線周波数電力になるように命令するEMI/RFI環境と;
地上通信ネットワークにおけるオペレーションへの干渉を引き起こさない信号方式及びトラフィックに関する無線周波数方式と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の無線通信サービスを提供するためのシステム。
【請求項6】
航空機内に位置付けられた複数の無線加入者デバイスに無線通信サービスを提供するための方法であって、
前記航空機内に位置付けられた航空機ネットワークにおいて、航空機内に位置付けられた前記複数の無線加入者デバイスの少なくとも1つと通信するために無線周波数通信信号を生成するステップと、
空対地ネットワークにおいて、前記航空機と地上に位置付けられた少なくとも1つの送受信装置を有する地上通信ネットワークシステムとの間で無線周波数通信を生成するステップであって、前記地上通信ネットワークから受信された信号方式チャネル及び加入者トラフィックを集約データストリームに変換するステップを有することを特徴とする、前記生成するステップと、
加入者トラフィックと少なくとも1つのネットワーク信号の両者と、前記航空機無線ネットワーク手段と前記地上通信ネットワークとの間で別々に同時に利用可能なロジカルチャネル上で管理データとを送信及び受信することにより、前記複数の無線加入者デバイスと前記地上通信ネットワークとの間で通信を確立するように、前記航空機ネットワークと該空対地ネットワークを相互接続するステップであって、前記相互接続するステップが、前記空対地ネットワーク手段から受信された集約データストリームを、前記複数の無線加入者デバイスに関する信号方式チャネル及び加入者トラフィックに変換するステップを有することを特徴とする相互接続するステップと、
を含むことを特徴とする無線通信サービスを提供するための方法。
【請求項7】
前記生成するステップが更に、
前記加入者トラフィック及び信号チャネルを生成する前記無線加入者デバイスに関連する呼出しデータを維持するステップを有し、
相互接続の前記ステップが更に、
複数の基地局を介して、前記複数の無線加入者デバイスの少なくとも1つと前記集約データストリームを介して通信するステップと、
第1の地上基地局から第2の地上基地局への呼出しハンドオフの開始に応答して、前記第1の地上基地局から前記第2の地上基地局への前記集約データストリームの転送を宛先変更するステップとを有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信サービスを提供するための方法。
【請求項8】
前記相互接続するステップが更に、
前記加入者トラフィック及び信号方式チャネルを生成する前記無線加入者デバイスに関連して、前記第2の地上基地局に前記呼出しデータを転送するステップを有することを特徴とする請求項7に記載の無線通信サービスを提供するための方法。
【請求項9】
前記航空機ネットワークと該空対地ネットワークを相互接続するステップが、
少なくとも1つの衛星を介して、地上に位置付けられた前記少なくとも1つの送受信装置に送信するダウンリンク無線周波数信号を生成するステップと、
前記少なくとも1つの衛星からのアップリンク無線周波数信号を受信するステップと、
前記航空機の外部表面に位置づけられたアンテナを介して、前記送信機及び前記受信機と前記少なくとも1つの衛星との間で、前記ダウンリンク及びアップリンク無線周波数信号を変換するステップと、
を有することを特徴とする請求項6に記載の無線通信サービスを提供するための方法。
【請求項10】
前記相互接続のステップが、
無線加入者デバイスのサービスへのアクセスを制御する客室内無線周波数環境と;無線加入者デバイスを最低限必要な無線周波数電力に命令するEMI/RFI環境と;地上通信ネットワークにおけるオペレーションと干渉させないようにさせるトラフィック及び信号方式に関する無線周波数方式と:を含む無線周波数属性のセットから無線通信サービスを提供するための前記システムの少なくとも1つの無線周波数属性を管理することを特徴とする請求項6に記載の無線通信サービスを提供するための方法。
【請求項11】
航空機に位置付けられた複数の無線加入者デバイスに無線通信サービスを提供するためのシステムであって、
航空機に位置付けられた前記複数の無線加入者デバイスの少なくとも1つと通信するために無線周波数通信信号を生成するために航空機に位置付けられた航空機ベースネットワーク手段と、
前記複数の無線加入者デバイスの少なくとも1つからの前記通信を従来の音声及びデータスイッチングシステムに相互接続する地上ネットワーク手段と、
前記航空機ベースネットワーク手段と前記地上ネットワーク手段とを相互接続して、加入者トラフィックと少なくとも1つのネットワーク信号の両者と、前記航空機無線ネットワーク手段と前記地上通信ネットワークとの間で別々に同時に利用可能なロジカルチャネル上で管理データとを送信及び受信することにより、前記複数の無線加入者デバイスと前記従来の音声及びデータスイッチングシステムとの間で通信を確立する内部ネットワーク手段であって、
前記地上通信ネットワークから受信した信号方式チャネル及び加入者トラフィックを集約データストリームに変換するデータ集中手段と、
前記空対地ネットワーク手段から受信した集約データストリームを、前記複数の無線加入者デバイスに関する信号方式及び加入者トラフィックに変換するためのデータルーター手段と、
を有することを特徴とする無線通信サービスを提供するためのシステム。
【請求項12】
前記地上ネットワーク手段が更に、
前記個々のトラフィック及び信号方式チャネルを生成する前記無線加入者デバイスに関連する呼出データを維持するための呼出管理手段を備え、
前記内部ネットワーク手段が更に、
前記集約データストリームを介して前記複数の無線加入者デバイスの少なくとも1つと通信するための複数の地上基地局手段と、
第1の地上基地局手段から第2の地上基地局手段に呼出しハンドオフの開始に応答して、
前記第1の地上基地局手段から前記第2の地上基地局手段に前記集約データストリームの転送を宛先変更するためのハンドオフ管理手段と
を備えることを特徴とする請求項11に記載の無線通信サービスを提供するためのシステム。
【請求項13】
前記内部ネットワーク手段が更に、
前記加入者トラフィック及び信号方式チャネルを生成する前記無線加入者デバイスに関連し、前記呼出しデータを前記第2の地上基地局手段に転送するための呼出し管理データハンドオフ手段を有することを特徴とする請求項11または12に記載の無線通信サービスを提供するためのシステム。
【請求項14】
前記内部ネットワーク手段が、
少なくとも1つの衛星を介して、地上に位置づけられた送受信装置に対する伝送に関するダウンリンク無線周波数信号を生成するために前記航空機内に位置決めされた送信器手段と、
前記少なくとも1つの衛星から受信したアップリンク無線周波数信号を受信するために前記航空機内に位置決めされた受信器手段と、
前記送信器手段及び前記受信器手段と前記少なくとも1つの衛星との間で、前記ダウンリンク及びアップリンク無線周波数信号を送信及び受信するための前記航空機の外部表面に位置づけられたアンテナ手段と
を有することを特徴とする請求項11に記載の無線通信サービスを提供するためのシステム。
【請求項15】
前記内部ネットワーク手段が、
無線加入者デバイスのサービスへのアクセスを制御する客室内無線周波数環境と;無線加入者デバイスを最低限必要な無線周波数電力に命令するEMI/RFI環境と;地上通信ネットワークにおけるオペレーションと干渉させないようにさせるトラフィック及び信号方式に関する無線周波数方式と:を含む無線周波数属性のセットから無線通信サービスを提供するための前記システムの少なくとも1つの無線周波数属性を管理することを特徴とする請求項11に記載の無線通信サービスを提供するためのシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−213266(P2010−213266A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−30468(P2010−30468)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【分割の表示】特願2006−543853(P2006−543853)の分割
【原出願日】平成16年11月23日(2004.11.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.IDEN
【出願人】(506194210)エアーセル・エルエルシー (5)
【Fターム(参考)】