説明

航空機用化粧室

【課題】化粧室に多目的なハンモック台を設け、またハンモック台の表面は乳幼児に不快感を与えることなく使用出来るようにした航空機用化粧室を提供する。
【解決手段】化粧室内の便器2の背面側の壁面4には、ヒンジ5を支点として化粧室内中央部側に旋回可能なハンモック台6が設けてある。このハンモック台5は、アルミニユウム等の軽金属材料または樹脂材料で形成した中空方形状,中空多角形状または円形状の少なくとも一つから成る中空支持フレーム7と、この中空支持フレーム7の内側に、中空支持フレーム7の形状に沿って裁断され、かつ中空支持フレーム内の全面を張りめぐらした布,網,紐あるいは所定幅の可撓性板材の少なくとも一つから成るハンモック部材8とで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユニット形式の航空機用化粧室に係わり、更に詳しくは化粧室内に、乳幼児のおむつ交換や荷物置き等に使用される多目的なハンモック台を設けた航空機用化粧室に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、航空機用の化粧室には、便器、ミラーや手洗い等の洗面台が設置され、また近年の化粧室内には、幼児と共に旅行する家族旅行者が多くなっていることから、乳幼児のおむつ交換や荷物置き等に使用される多目的台等が設置されている(例えば、特許文献1参照)。また、航空機用の化粧室は、限られたスペースに設置するため、広い容積を確保することが難しく、近年ではユニットタイプの化粧室が提案されている。
【0003】
従って、化粧室内に装備される多目的台も小型で、ハニカムパネルや樹脂成形品等から成る板状のものが主流であった。しかし、このような構造の多目的台の場合、特に乳幼児のおむつ交換用として使用する場合には、表面が硬いため載せられた乳幼児に不快感を与えると言った問題があり、更に固定状態の多目的台では、化粧室内のスペースを更に狭い状態にしてしまうと言う問題があった。
【0004】
また、多目的台の表面を改善するために、表面をクッション張りにする等して使用感を改善する場合も考えられるが、この場合コスト及び質量が増加すると言う問題があった。
【特許文献1】特開平6−40399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明はかかる従来の問題点に着目し、化粧室に多目的なハンモック台を設け、またハンモック台の表面は乳幼児に不快感を与えることなく使用出来るようにした航空機用化粧室を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記目的を達成するため、化粧室内に、少なくとも便器及び洗面台を備えたユニット形式の航空機用化粧室であって、前記化粧室内にハンモック台を設け、このハンモック台は、軽金属材料または樹脂材料で形成した中空方形状,中空多角形状または円形状の少なくとも一つから成る中空支持フレームと、この中空支持フレームの内側に張りめぐらした可撓性板材から成るハンモック部材とで構成したことを要旨とするものである。
【0007】
ここで、前記ハンモック部材が、布,網,紐,樹脂または金属製の可撓性シート材料の少なくとも一つから成り、また前記ハンモック台のハンモック部材に、幼児を拘束する固定ベルトまたは位置決め用の貫通穴を設けることも可能である。
【0008】
このように構成することで、化粧室内に多目的なハンモック台を設け、またハンモック台の表面は乳幼児に不快感を与えることなく使用することが出来るものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、上記のように化粧室内に、少なくとも便器及び洗面台を備えたユニット形式の航空機用化粧室であって、前記化粧室内にハンモック台を設け、このハンモック台は、軽金属材料または樹脂材料で形成した中空方形状,中空多角形状または円形状の少なくとも一つから成る中空支持フレームと、この中空支持フレームの内側に張りめぐらした可撓性板材から成るハンモック部材とで構成したので、以下のような優れた効果を奏するものである。
【0010】
(a).航空機の化粧室内に多目的なハンモック台を設けることで、乳幼児のおむつ交換用として、また荷物置き場として有効に利用することが出来る。
(b).ハンモック台の表面は、ハッモック形式にしてあるので乳幼児に不快感を与える使用することが出来る。
(c).従来のクッション付き多目的台と比較した場合、より軽量で安価に製作出来る。
(d).保守, 点検が容易で、安全に使用することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態であるユニットタイプの航空機用化粧室内の概略構成図を示し、この化粧室の外郭1(ドアは省略してある)は、繊維強化プラスチック(FRP)等の樹脂材料により分解組立可能に構成され、化粧室の内部には、便器2、ミラー3や手洗い等の洗面台(省略)が設置されている。
【0012】
また、前記化粧室内の便器2の背面側の壁面4には、図1〜図3に示すように、ヒンジ5を支点として化粧室内中央部側に旋回可能なハンモック台6が設けてある。このハンモック台5は、アルミニユウム等の軽金属材料または樹脂材料で形成した中空方形状,中空多角形状または円形状の少なくとも一つから成る中空支持フレーム7と、この中空支持フレーム7の内側に、中空支持フレーム7の形状に沿って裁断され、かつ中空支持フレーム内の全面を張りめぐらした布,網,紐あるいは所定幅の可撓性板材の少なくとも一つから成るハンモック部材8とで構成されている。
【0013】
前記布,網,紐の少なくとも一つから成るハンモック部材8の周縁部は、結束紐,リベット,ボルト等の複数の締結部材9を介して前記中空支持フレーム7に固定され、ハンモック部材8上に乳幼児等を寝かせた場合にも乳幼児等に違和感や不快感を与えることなく、緩衝力を持たせるように構成されている。また、ハンモック部材8の一部には、乳幼児W等を寝かせた場合に位置決めや固定が容易となるように、足を挿入させる貫通穴10や固定ベルト11等を設けることも可能である。
【0014】
前記ハンモック台6の旋回中心となるヒンジ5は、回転軸5aと筒状体5bとで構成され、便器2の背面側の壁面4に固定された筒状体5bと回転軸5aとの間には、ハンモック台6を常時壁面4側に旋回させるように附勢するコイルスプリングや板バネ等の弾性部材12が内装されている。また、左右側壁面の一部には、ハンモック台6を水平状態に旋回させた際に、ハンモック台6の底面を支持する支持部材13が設けてあり、この支持部材13は、必要時に出し入れしたり、折り畳むようにすることも可能である。
【0015】
また、図3に示すように便器2の背面側の壁面4に、ハンモック台6の非使用時、即ち、壁面4側に旋回させた際に、ハンモック台6が収容出来るような収容凹部14を形成し、壁面4からハンモック台6が突出せずに外観を良好にすることも可能である。また、収容凹部14には、ハンモック台6の旋回上面を固定させるストッパー部材15を取付けておくことが好ましい。なお、壁面4側にハンモック台6の収容凹部14を形成せずに、旋回させた際に壁面4に密着させるよに構成することも可能である。
【0016】
またハンモック台6の形状としては、上記の実施形態のように方形状に限定されず、図4に示すような先端を円形状にした中空支持フレーム7aとしたり、また図5に示すような六角形等の多角形状の中空支持フレーム7bに形成することも可能であり、装飾等の美感の面で任意の形状にすることが出来る。
【0017】
なお、その他の構成及び作用は上記第1実施形態と同様なので同一符号を付して説明は省略する。
【0018】
以上のように、この発明の実施形態では、化粧室に装備させる多目的なハンモック台6を必要に応じて旋回させることで使用状態にし、使用しない場合には、邪魔にならない位置に収容でき、またハンモック台6の表面は乳幼児W等に不快感を与える使用することが出来るものである。なお、ハンモック台6は乳幼児W等を寝かせる場合の他、着替えやその他の用途にも有効に利用出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施形態を示すユニットタイプの航空機用化粧室内の概略構成図である。
【図2】ハンモック台の平面図である。
【図3】ハンモック台の操作状態を示す説明図である。
【図4】ハンモック台の他の実施形態を示す平面図である。
【図5】ハンモック台の他の実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 化粧室の外郭
2 便器
3 ミラー
4 壁面
5 ヒンジ
5a 回転軸
5b 筒状体
6 ハンモック台
7,7a,7b 中空支持フレーム
8 ハンモック部材
9 締結部材
10 貫通穴
11 固定ベルト
12 弾性部材
13 支持部材
14 収容凹部
15 ストッパー部材
W 乳幼児

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧室内に、少なくとも便器及び洗面台を備えたユニット形式の航空機用化粧室であって、
前記化粧室内にハンモック台を設け、このハンモック台は、軽金属材料または樹脂材料で形成した中空方形状,中空多角形状または円形状の少なくとも一つから成る中空支持フレームと、この中空支持フレームの内側に張りめぐらした可撓性板材から成るハンモック部材とで構成したことを特徴とする航空機用化粧室。
【請求項2】
前記ハンモック部材が、布,網,紐,樹脂または金属製の可撓性シート材料の少なくとも一つから成る請求項1に記載の航空機用化粧室。
【請求項3】
前記ハンモック台のハンモック部材に、幼児を拘束する固定ベルトまたは位置決め用の貫通穴を設けた請求項1または2に記載の航空機用化粧室。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−239042(P2008−239042A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84667(P2007−84667)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】