説明

航空機電気ブレーキシステムのための電力遮断管理

【課題】航空機のための電気ブレーキシステムは、電力遮断状況を経験すると、ブレーキ機構をなめらかに電気的に作動させる。
【解決手段】自動ブレーキモードでの動作中に電力遮断状況に応答して、電気ブレーキシステムは、自動ブレーキ機能によって生成された最後のブレーキ作動指令を保持する。通常の動作電力が復旧した後、最後のブレーキ作動指令が、電気ブレーキシステムによって抽出および処理される。ペダルブレーキモードでの動作中に電力遮断状況に応答して、電気ブレーキシステムは、ブレーキペダル相互作用によって生成された最後のブレーキ作動指令を放棄する。通常の動作電力が復旧した後、ブレーキペダルデータはリフレッシュされて、新たなブレーキ作動指令を生成する。これらの手順により、電気ブレーキシステム内の電力遮断後の突然の揺れや予期せぬブレーキ作動レベルが低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は一般に、航空機のための電気ブレーキシステムに関する。特に、本発明の実施例は、電気ブレーキシステム内の電力遮断に巧みに対処するブレーキ制御体系に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の動作状況下では、航空機のための電気ブレーキシステムは、電気ブレーキシステムの処理構成要素、電気ブレーキアクチュエータ、および他の要素に動作電力を与える連続的な電源装置に依拠している。電源装置(航空機エンジンもしくはエンジンによって駆動されるアクティブ電源装置、および/またはバッテリなどのバックアップ電源装置を含み得る)は電気ブレーキシステム専用である必要はなく、したがって、電気ブレーキシステムへの供給電圧は、航空機の現在の電力需要に応じてシステムの許容範囲内で変動し得る。ある動作状況下では、電気ブレーキシステムは、電気ブレーキシステムへの供給電圧が規定電圧を下回る、非常に短い電力遮断を経験することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
航空機は典型的に非常に短時間で電力遮断から回復するが、電気ブレーキシステムの公称動作電力が再開すると、電気ブレーキアクチュエータの制御が不連続になり得る。そのような不連続性のため、航空機が突然揺れたり、航空機が、乗客および乗員が気付く普通でない態様でブレーキを印加したりし得る。たとえば、自動ブレーキ中に経験する電力遮断は、電気ブレーキシステムに錯覚を起こさせ得、制御アーキテクチャは電力遮断を減速の欠如と解釈し得、制御アーキテクチャは電気ブレーキアクチュエータの締付け力を補償する態様で増加させようとし得る。しかし、公称動作電力が再開すると、電気ブレーキアクチュエータの現在の状態は「オーバーブレーキ(overbraking)」状況になり得、乗員および乗客が予期する以上の減速がもたらされる。他方、ペダルブレーキ中に経験する電力遮断は、電気ブレーキシステムに電気ブレーキアクチュエータ制御信号の遮断前の値を保存させ得る。しかし、公称動作電力が再開すると、保存された遮断前の値は、パイロットによって入力される現在のブレーキペダルの撓みを正確に反映していないことがある。航空機に対する影響は、電気ブレーキアクチュエータ制御信号の保存された遮断前の値と現在の遮断後の値との(符号および大きさの両方における)差に依存して異なることになる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書中で説明される技術およびテクノロジーは、航空機の電気ブレーキシステムの動作を制御して、そうしなければ電気ブレーキシステムが経験する電力遮断によって生じ得る顕著な副作用を低減させる。自動ブレーキ動作に関して、1つの実施例では、電気ブレーキアクチュエータ制御信号の遮断前の値を保存し、公称動作電力が再開すると、この保存された値を処理する。ペダルブレーキ動作に関して、1つの実施例では、電気ブレーキアクチュエータ制御信号の遮断前の値を放棄し、公称動作電力が再開すると、この値をリフレッシュする。これらの技術により、電気ブレーキシステムが、電力遮断状況に応答して航空機ブレーキのなめらかな印加を提供することが可能となる。
【0005】
上記のおよび他の技術およびテクノロジーは、1つの実施例では、航空機のための電気ブレーキシステムを動作させる方法によって実行され得る。この方法は、電気ブレーキシ
ステムの電力状態信号を監視するステップと、電力状態信号に基づいて電力遮断状況の開始を検出するステップと、電力遮断状況が終了するとブレーキのなめらかな印加を提供するように電気ブレーキシステムを制御するステップとを含む。
【0006】
上記のおよび他の技術およびテクノロジーは、1つの実施例では、航空機のための電気ブレーキシステムを動作させる方法によって実行され得る。この方法は、電気ブレーキシステムを自動ブレーキモードで動作させるステップと、電気ブレーキシステム内の電力遮断状況の開始に応答して、最後の自動ブレーキ指令を、保存された自動ブレーキ指令として格納するステップとを含み、自動ブレーキ指令は、電気ブレーキシステム内のブレーキ機構の電気的な作動を制御し、さらに、電力遮断状況が終了すると、保存された自動ブレーキ指令を処理するステップを含む。
【0007】
上記のおよび他の技術およびテクノロジーは、1つの実施例では、航空機のための電気ブレーキシステムによって実行され得る。この電気ブレーキシステムは、ブレーキ機構と、ブレーキ機構に結合された電気ブレーキアクチュエータと、電気ブレーキアクチュエータに結合されたブレーキ制御アーキテクチャとを含む。ブレーキ制御アーキテクチャは、電気ブレーキアクチュエータの作動を制御し、かつ電気ブレーキシステムの電力状態信号を監視し、かつ電力状態信号に基づいて電力遮断状況の開始を検出し、かつ電力遮断状況が終了するとブレーキ機構のなめらかな作動を提供するように電気ブレーキアクチュエータを制御するように構成される処理論理を含む。
【0008】
この要約は、詳細な説明において以下にさらに説明される選択された概念を簡素化された形態で導入するために与えられる。この要約は、請求項の主題の主要な特徴または重要な特徴を同定することを意図しておらず、また請求項の主題の範囲を判断する際の助けとして用いられることも意図していない。
【0009】
本発明のより完全な理解が、全体にわたって同様の番号は同様の要素を指す以下の図面と関連して考慮されると、詳細な説明および請求項を参照することによって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】航空機での使用に好適な電気ブレーキシステムの一部の簡素化された概略図である。
【図2】航空機のための電気ブレーキシステムでの使用に好適なブレーキ制御アーキテクチャの概略図である。
【図3】航空機のための電気ブレーキシステムに関する使用に好適な自動ブレーキプロセスを図示するフローチャートである。
【図4】航空機のための電気ブレーキシステムに関する使用に好適なペダルブレーキプロセスを図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
以下の詳細な説明は例示的な性質のものに過ぎず、本発明の実施例またはそのような実施例の適用および使用を制限することを意図していない。また、上述の技術分野、背景、簡単な要約または以下の詳細な説明に提示される明示的または暗示的な理論によって拘束されることを意図していない。
【0012】
本発明の実施例は本明細書中で、機能的および/または論理的ブロック構成要素ならびにさまざまな処理ステップで説明され得る。そのようなブロック構成要素は、規定された機能を実行するように構成された任意の数のハードウェア、ソフトウェア、および/また
はファームウェア構成要素によって実現され得ることを認識すべきである。たとえば、本発明の実施例はさまざまな集積回路構成要素、たとえば、1つ以上のマイクロプロセッサまたは他の制御装置の制御下でさまざまな機能を果たし得る、メモリ要素、デジタル信号処理要素、論理要素、ルックアップテーブルなどを使用し得る。また、当業者は、本発明の実施例がさまざまな異なる航空機ブレーキシステムおよび航空機構成と関連して実践可能であり、本明細書中で説明されるシステムは本発明の1つの例示的な実施例に過ぎないことを認識するであろう。
【0013】
簡潔にするため、信号処理、航空機ブレーキシステム、ブレーキシステム制御、およびシステムの他の機能的な局面(およびシステムの独立した動作構成要素)に関する従来の技術および構成要素は、本明細書中では詳細に説明され得ない。さらに、本明細書中に含まれるさまざまな図面に示される接続線は、さまざまな要素どうしの間の例示的な機能的関係および/または物理的結合を表わすことを意図している。多くの代替的なまたは付加的な機能的関係または物理的接続が本発明の実施例において存在し得ることに留意すべきである。
【0014】
以下の説明では、ともに「接続された」または「結合された」要素またはノードまたは特徴に言及する。本明細書中で用いられるように、明示的に別段の記載がない限り、「接続された」は、1つの要素/ノード/特徴が、必ずしも機械的にではなく別の要素/ノード/特徴に直接的に接合される(または直接的に通信する)ことを意味する。同様に、明示的に別段の記載がない限り、「結合された」は、1つの要素/ノード/特徴が、必ずしも機械的にではなく別の要素/ノード/特徴に直接的にもしくは間接的に接合される(または直接的にもしくは間接的に通信する)ことを意味する。したがって、図1および図2に示される概略図は要素の例示的な配置を示しているが、付加的な介在要素、装置、特徴、または構成要素が本発明の実施例において存在し得る。
【0015】
図1は、航空機(図示せず)での使用に好適な電気ブレーキシステム100の一部の概略図である。電気ブレーキシステム100は、ブレーキペダル102、ブレーキペダル102に結合されたブレーキシステム制御ユニット(BSCU)104、BSCU104に結合された電気ブレーキアクチュエータ制御部(EBAC)106、およびEBAC106に結合されたブレーキ機構108を含む。ブレーキ機構108は、航空機の少なくとも1つの車輪110に対応する。電気ブレーキシステム100はまた、車輪110に結合された車軸搭載遠隔データ集線装置(RDC)112も含み得る。簡潔に言うと、BSCU104はブレーキペダル102の操作に反応して制御信号を生成し、これらはEBAC106によって受信される。次に、EBAC106はブレーキ機構制御信号を生成し、これらはブレーキ機構108によって受信される。次に、ブレーキ機構108は作動して、車輪110の回転速度を落とす。これらの特徴および構成要素は以下により詳細に説明される。
【0016】
電気ブレーキシステム100は、航空機のための任意の数の電気ブレーキ構成に適用可能であり、電気ブレーキシステム100は、説明を簡単にするために簡素化された態様で図示されている。電気ブレーキシステム100の実施例は左のサブシステムアーキテクチャおよび右のサブシステムアーキテクチャを含み得、「左」および「右」という語は、それぞれ航空機の左舷および右舷を指す。実際には、この2つのサブシステムアーキテクチャは、以下に説明される態様で独立して制御され得る。この点について、展開されるような電気ブレーキシステム100の実施例は、左のブレーキペダル、右のブレーキペダル、左のBSCU、右のBSCU、左のBSCUに結合され制御される任意の数の左のEBAC、右のBSCUに結合され制御される任意の数の右のEBAC、車輪ごとの(または車輪群ごとの)ブレーキ機構、および車輪ごとの(または車輪群ごとの)RDCを含み得る。動作時、電気ブレーキシステムは、航空機の車輪ごとに、またはいずれかの車輪群に同
時に、ブレーキアクチュエータ制御信号を独立して生成および印加することができる。
【0017】
ブレーキペダル102は、ペダルブレーキ動作時にパイロット入力を電気ブレーキシステム100に与えるように構成される。パイロットがブレーキペダル102を物理的に操作すると、ブレーキペダル102の撓みまたは移動(すなわち何らかの形態の物理的な入力)が生じる。この物理的な撓みは、ハードウェアサーボまたは同等の構成要素によってその自然位置から測定され、変換器または同等の構成要素によってBSCUパイロット指令制御信号に変換され、BSCU104に送られる。BSCUパイロット指令制御信号は、ブレーキペダル102の撓み位置、ブレーキペダル102の撓み率、ブレーキ機構108の所望のブレーキ状況などを含み得るか示し得る、ブレーキペダルセンサデータを伝達し得る。
【0018】
電気ブレーキシステム100の実施例は、任意の数のBSCU104を用い得る。説明を簡単にするため、この例では1つのBSCU104しか含まれない。BSCU104は、ブレーキ指令を表わすEBAC制御信号をデジタル的に計算する埋込み型ソフトウェアを有する電子制御ユニットである。この電気/ソフトウェア実装により、必要であれば、所与の航空機展開についてブレーキ性能および感触の一層の最適化およびカスタマイズ化が可能となる。
【0019】
BSCU104は、本明細書中で説明される機能を実行するように設計される汎用プロセッサ、連想記憶装置、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、いずれかの好適なプログラム可能論理装置、個別のゲートもしくはトランジスタ論理、個別のハードウェア構成要素、またはそれらのいずれかの組合せで実施または実行され得る。プロセッサは、マイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械として実現され得る。プロセッサは計算装置の組合せとして、たとえば、デジタル信号プロセッサとマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサコアと併用した1つ以上のマイクロプロセッサ、またはいずれかの他のそのような構成としても実施され得る。1つの実施例では、BSCU104は、ソフトウェアをホストし(host)、かつソフトウェアに外部インターフェイスを提供するコンピュータプロセッサ(PowerPC 555など)を用いて実施される。
【0020】
BSCU104は、さまざまな航空機入力を監視して、これらに限定されないが、ペダルブレーキ、パーキングブレーキ、自動ブレーキ、およびギア引き込みブレーキなどの制御機能を与える。また、BSCU104は、アンチスキッド指令(BSCU104の内部または外部で生成され得る)を混合してブレーキの制御を高める。BSCU104は、RDC112からの車輪データ(たとえば車輪速度、回転方向、タイヤ空気圧など)とともに、ブレーキペダル102からのパイロット指令制御信号を取得する。BSCU104はその入力信号を処理して1つ以上のEBAC制御信号を生成し、これらはEBAC106によって受信される。実際には、BSCU104は、デジタルデータバスを介してEBAC106にEBAC制御信号を送信する。汎用アーキテクチャ(図示せず)では、各BSCUは、自身の制御下の任意の数のEBACで使用するための独立した出力信号を生成することができる。
【0021】
BSCU104は、1つ以上の関連付けられたEBAC106に結合され得る。EBAC106は、BSCU104について上で説明された態様で実施、実行、または実現され得る。1つの実施例では、EBAC106は、ソフトウェアをホストし、かつソフトウェアに外部インターフェイスを提供し、かつ本明細書中で説明されるさまざまなEBAC動作を行うように構成された好適な処理論理を含むコンピュータプロセッサ(PowerPC 555など)を用いて実現される。EBAC106は、BSCU104からのEBA
C制御信号を取得し、EBAC制御信号を処理し、ブレーキ機構108へのブレーキ機構制御信号(ブレーキアクチュエータ信号)を生成する。
【0022】
とりわけ、BSCU104およびEBAC106の機能は、単一のプロセッサベースの特徴または構成要素に組合されてもよい。この点について、BSCU104、EBAC106、またはそれらの組合せは、電気ブレーキシステム100のためのブレーキ制御アーキテクチャであると考えることができる。そのようなブレーキ制御アーキテクチャは、本明細書中で説明されるブレーキ制御動作をサポートする好適に構成された処理論理、機能性、および特徴を含む。
【0023】
車輪110は関連付けられたブレーキ機構108を含み得、これは、ブレーキ機構108のブレーキ回転子に締付け力を伝えるように構成された少なくとも1つの電気ブレーキアクチュエータを含むか、または当該アーキテクチャに結合される。EBAC106はブレーキ機構108を制御して、それぞれの電気ブレーキアクチュエータの作動を適用、解除、変調、およびそうでなければ制御する。この点について、EBAC106は、BSCU104によって生成されたそれぞれのEBAC制御信号に応答して、ブレーキ機構制御信号を生成する。ブレーキ機構制御信号は、航空機が利用する特定のブレーキ機構108との互換性のために好適にフォーマットされ、整えられる。実際には、ブレーキ機構制御信号は、アンチスキッドおよび他のブレーキ操縦を行うように規制され得る。当業者は、航空機ブレーキ機構およびそれらが制御される一般の態様に精通しており、そのような公知の局面はここでは詳細に説明されない。
【0024】
電気ブレーキシステム100は、車輪110のための1つ以上のセンサを含み得るか、または当該センサと通信し得る。これらのセンサは、車輪110のための車輪データ(車輪速度、車輪回転方向、タイヤ空気圧、車輪/ブレーキ温度など)を測定するように好適に構成され、この車輪データは電気ブレーキシステム100によって利用され得る。RDC112は一般に、処理するため、および/または電気ブレーキシステム100の別の構成要素に送信するためのデータを受信、測定、検出、またはそうでなければ取得するように構成される。ここで、RDC112は車輪110に結合され(またはそうでなければ関連付けられ)、RDC112は、その車輪データを収集してBSCU104に送信するように構成される。航空機のデジタルデータ通信バスは、いずれかの好適なデータ通信プロトコルおよびいずれかの好適なデータ送信体系を用いて車輪データをRDC112からBSCU104に通信するように構成され得る。代わりの実施例では、RDC112は、車輪データをEBAC106に通信するように構成され得る。さらに別の実施例では、RDC112は、車輪データ(またはその一部)をBSCU104およびEBAC106の両方に通信するように構成され得る。
【0025】
電気ブレーキシステム100は、好適に構成された電力制御ユニットまたはサブシステム114を含み得るか、またはそれらと協働し得る。電力制御ユニット114は、BSCU104、EBAC106、ブレーキ機構108、および/または電気ブレーキシステム100の他の構成要素に結合され得る。電力制御ユニット114は、必要に応じて電気ブレーキシステム100の1つ以上の構成要素への電力を規制、除去、またはそうでなければ制御して、所望の動作電力モードを達成するように構成され得る。電力制御ユニット114はまた、航空機電力システム、および電気ブレーキシステム100に給送する電力バスを監視するようにも構成され得る。たとえば、電力制御ユニット114は、航空機のためのアクティブ電源装置および/またはバックアップ電源装置(たとえばバッテリ)に結合され得る。アクティブ電源装置は、エンジンに結合された発電機、および変圧整流器(TRU)などの好適に構成されたAC−DC変換器を含み得る。本実施例では、アクティブ電源装置は航空機エンジンが生成する電力を与えるのに対して、バックアップ電源装置は、エンジンが運転していないときに航空機に電力を与える。電力制御ユニット114は
、必要に応じてアクティブ電源装置および/またはバックアップ電源装置から電気ブレーキシステム100に動作電力を与えて、電気ブレーキシステム100の機能性をサポートするように好適に構成され得る。
【0026】
図2は、航空機のための電気ブレーキシステムでの使用に好適なブレーキ制御アーキテクチャ200の概略図である。電気ブレーキシステム100は、ブレーキ制御アーキテクチャ200の実施例を使用し得る。たとえば、ブレーキ制御アーキテクチャ200は、BSCU104および/またはEBAC106内で実施または実現され得る。ブレーキ制御アーキテクチャ200は、これらに限定されないが、好適に構成された処理論理を有するプロセッサ202、適量のメモリ204、ブレーキ機構制御信号生成器206、自動ブレーキ制御論理208、ペダルブレーキ制御論理210、および電力遮断検出論理212を含み得る。これらの要素は、データ通信バス214またはいずれかの好適に構成された相互接続アーキテクチャもしくは配置を用いて、ともに結合され得る。本実施例では、ブレーキ制御アーキテクチャ200は、以下により詳細に説明されるように、電力遮断状況になめらかに対処する態様で電気ブレーキシステムを制御するように構成される。
【0027】
プロセッサ202は、BSCU104について上で説明された態様で実施、実行、または実現され得る。プロセッサ202に対応する処理論理は、本明細書中で説明される電気ブレーキ制御体系に関連付けられたさまざまな動作および機能を果たすように設計される。さらに、本明細書中で開示される実施例に関連して説明される方法またはアルゴリズム(またはそれらの一部)は、ハードウェア、ファームウェア、プロセッサ202によって実行されるソフトウェアモジュール、またはそれらのいずれかの実際的な組合せにおいて直接的に具体化され得る。ソフトウェアモジュールはメモリ204内に存在し得、これは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、着脱式ディスク、CD−ROM、または当該技術において公知のいずれかの他の形態の記憶媒体を有する1つ以上の物理的な構成要素として実現され得る。この点について、メモリ204は、プロセッサ202がメモリ204から情報を読出すことができ、かつメモリ204に情報を書込むことができるようにプロセッサ202に結合され得る。代替肢では、メモリ204はプロセッサ202と一体化し得る。一例として、プロセッサ202およびメモリ204はASIC内に存在し得る。
【0028】
図2ではプロセッサ202とは別に図示されているが、ブレーキ機構制御信号生成器206、自動ブレーキ制御論理208、ペダルブレーキ制御論理210、および/または電力遮断検出論理212(またはそれらの一部)は、プロセッサ202内で実施され得る。これらの機能的要素は、説明を明確かつ簡単にするために別個のブロックとして示されている。
【0029】
メモリ204は、電気ブレーキシステムのための少なくとも1つの保存された自動ブレーキ指令216を格納するように構成され得る。自動ブレーキ指令は、電気ブレーキシステム内のブレーキ機構の電気的な作動を制御する。本実施例では、保存された自動ブレーキ指令216は、電力遮断状況後に抽出および処理されて、自動ブレーキ時に航空機ブレーキのなめらかな印加を提供することができる。この点について、ブレーキ機構制御信号生成器206の動作は、保存された自動ブレーキ指令216に影響され得る。
【0030】
プロセッサ202の処理論理内で実現され得るブレーキ機構制御信号生成器206は、航空機ブレーキ機構への制御信号を生成するように好適に構成される。図1を参照して、ブレーキ機構制御信号生成器206は、BSCU104内で実施され、したがってEBAC制御信号を生成するか当該信号に影響を及ぼすように構成されてもよいし、および/またはEBAC106内で実施され、したがってブレーキ機構制御信号を生成するか当該信号に影響を及ぼすように構成されてもよい。
【0031】
プロセッサ202の処理論理内で実現され得る自動ブレーキ制御論理208は、航空機が電気ブレーキシステムを自動ブレーキモードで動作させることを可能にする処理知能を表わす。航空機の自動ブレーキは、電気ブレーキシステムの効率および性能を高めるために着陸動作時に利用され得る。典型的な自動ブレーキ動作に関して、パイロットは、航空機の所望の減速度に対応した自動ブレーキのレベルを選択する。航空機の着陸後、自動ブレーキ機能は、航空機の実際の減速度および速度を監視し、ブレーキ機構の作動を自動的な態様で調整して、所望の減速特性を達成する。
【0032】
プロセッサ202の処理論理内で実現され得るペダルブレーキ制御論理210は、航空機が電気ブレーキシステムをペダルブレーキモードで動作させることを可能にする処理知能を表わす。そのようなペダルブレーキは、(図1との関連で上で説明したように)パイロット入力およびブレーキペダルの撓みに依拠する。
【0033】
プロセッサ202の処理論理内で実現され得る電力遮断検出論理212は、電気ブレーキシステムが電力遮断状況の開始(および終了)を検出することを可能にする処理知能を表わす。典型的な航空機の適用例では、そのような電力遮断は非常に短く、50〜100ミリ秒しか続かないことがある。この実施例では、電力遮断検出論理212は、電気ブレーキシステムの電力状態信号を分析して、電力遮断が発生したか、または発生しようとしているかを判断する。電力状態信号は、BSCUの入力電力もしくは電圧信号、EBACの入力電力もしくは電圧信号、および/または電気ブレーキシステムもしくは航空機内に存在するいずれかの電圧、電流、もしくは電力レベルを表わし得る。電力遮断検出論理212は、電力状態信号を閾値レベル、電位、または電圧と比較するように、および電力状態信号が閾値レベルを下回ると電力遮断状況の開始を示すように構成され得る。たとえば、電気ブレーキシステムの公称動作電圧が約28ボルトであり、通常の動作電圧範囲が18から32ボルトである場合、電力遮断検出論理212は、電圧が18ボルトを下回ると電力遮断状況を示し得る。
【0034】
図3は、航空機のための電気ブレーキシステムに関する使用に好適な自動ブレーキプロセス300を図示するフローチャートである。プロセス300に関して実行されるさまざまなタスクは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらのいずれかの組合せによって実行され得る。説明のため、プロセス300の以下の説明では、図1および図2に関して上で述べた要素に言及し得る。本発明の実施例では、プロセス300の一部は、説明されたシステム、たとえば電気ブレーキシステムのBSCU、EBAC、ブレーキ機構、または処理要素とは異なる要素によって実行され得る。プロセス300は任意の数の付加的なまたは代替的なタスクを含み得、図3に示されるタスクは例示される順序で実行されなくてもよく、プロセス300は、本明細書中で詳細に説明されていない付加的な機能を有するより包括的な手順またはプロセスに組込まれ得ることを認識すべきである。
【0035】
典型的な自動ブレーキの手順は、自動ブレーキ制御論理208との関連で上で説明された。自動ブレーキプロセス300は好ましくは、通常の状況下ではこの態様で機能する。この点について、プロセス300は、航空機が電気ブレーキシステムを自動ブレーキモードで動作させている間、継続的に自動ブレーキ指令を生成、更新、および処理し得る(タスク302)。上述のように、自動ブレーキ指令は、電気ブレーキシステム内の少なくとも1つのブレーキ機構の電気的な作動を制御し、そのような自動ブレーキ指令は、いずれのリアルタイムのパイロット入力にも依存する必要がない。自動ブレーキモードでの動作中、プロセス300は、電気ブレーキシステムの1つ以上の電力状態信号を監視し得る(タスク304)。タスク304の間、電力状態信号は、好適な周波数で連続的に監視またはサンプリングされ得る。監視される電力状態信号は、これらに限定されないが、BSC
Uの入力電力/電圧、EBACの入力電力/電圧、ブレーキ機構の入力電力/電圧などであり得る。プロセス300は、この電力状態信号のリアルタイムの値を分析して、電力遮断状況の開始を検出する(クエリタスク306)。
【0036】
クエリタスク306に関して、自動ブレーキプロセス300は、電力状態信号の現在の値を閾値電圧などの閾値と比較し得る。電力状態信号の現在の値が閾値よりも低い場合、プロセス300は、電力遮断状況が発生したか、または発生しそうであるかを示し得る。実際には、電力遮断状況の開始の表示は、単に内部で生成されるフラグまたは識別子であり得、これは、プロセス300に、以下に説明されるようにタスク310から進行するように指示する。しかし、プロセス300が電力遮断状況を検出しない場合は(クエリタスク306)、プロセス300は、自動ブレーキが完了しているかどうかを確認し得る(クエリタスク308)。自動ブレーキが完了している場合、プロセス300は終了する。自動ブレーキが完了していない場合は、プロセス300はタスク302に再び入れられて、必要に応じて自動ブレーキ指令を生成および更新し続け得る。
【0037】
電力遮断状況の検出に応答して、自動ブレーキプロセス300は、最後の自動ブレーキ指令を、保存された自動ブレーキ指令として好適なメモリ場所に格納する(タスク310)。最後の自動ブレーキ指令は、電力遮断前に電気ブレーキシステムによって生成された最新の自動ブレーキ指令である。電気ブレーキシステムの特定的な実装および含まれるタイミングに依存して、最後の自動ブレーキ指令は、ブレーキ機構によって実行されたかもしれないし、されなかったかもしれない。また、ブレーキ機構が適用不可能であるときに、プロセス300は、電力遮断時に自動ブレーキ指令演算を休止して、自動ブレーキアルゴリズムがそのブレーキ印加指令を増加することを防止し得る(これは電力遮断時に発生し得る)。保存された自動ブレーキ指令は、電力遮断状況が終了したとプロセス300が判断する(クエリタスク312)まで保持される。換言すれば、プロセス300は、電気ブレーキシステムにおいて通常の動作電力が復旧するまでアイドル状態にある。
【0038】
通常の動作電力が再開すると、自動ブレーキプロセス300は、保存された自動ブレーキ指令をメモリから抽出し得(タスク314)、保存された自動ブレーキ指令を適切な態様で処理し得る(タスク316)。この実施例では、電気ブレーキシステムは、保存された自動ブレーキ指令を、電力遮断状況が終了するとブレーキのなめらかな印加を提供する態様で処理する。特に、電気ブレーキシステムは、保存された自動ブレーキ指令を用いて電気ブレーキアクチュエータを制御する(タスク318)。実際には、保存された自動ブレーキ指令を使用することにより、確実に最新のブレーキ作動状態が保持される。そうしなければ、電気ブレーキシステムは、ブレーキ締付け力の量を誤って過剰に増大または減少させる恐れがあり、通常の動作電力が再開すると航空機が突然揺れたりガタンと動いたりしてしまう。
【0039】
通常の動作電力が一旦復旧すると、電気ブレーキシステムは、必要であれば、更新された自動ブレーキ指令を生成し得る(タスク320)。保存された自動ブレーキ指令を処理した後、自動ブレーキプロセス300は、保存された自動ブレーキ指令を更新された自動ブレーキ指令と交換し得(タスク322)、更新された自動ブレーキ指令を適切な態様で処理し得る。換言すれば、保存された自動ブレーキ指令が一旦電気ブレーキシステムによって抽出および利用されると、タスク322からタスク302への矢印で示されるように、通常の自動ブレーキ動作モードが再開され得る。
【0040】
図4は、航空機のための電気ブレーキシステムに関する使用に好適なペダルブレーキプロセス400を図示するフローチャートである。プロセス400に関して実行されるさまざまなタスクは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらのいずれかの組合せによって実行され得る。説明のため、プロセス400の以下の説明では、図1
および図2に関して上で述べた要素に言及し得る。本発明の実施例では、プロセス400の一部は、説明されたシステム、たとえば電気ブレーキシステムのBSCU、EBAC、ブレーキ機構、または処理要素とは異なる要素によって実行され得る。プロセス400は任意の数の付加的なまたは代替的なタスクを含み得、図4に示されるタスクは例示される順序で実行されなくてもよく、プロセス400は、本明細書中で詳細に説明されていない付加的な機能を有するより包括的な手順またはプロセスに組込まれ得ることを認識すべきである。
【0041】
典型的なペダルブレーキの手順は上で説明された。ペダルブレーキプロセス400は好ましくは、通常の状況下ではこの態様で機能する。この点について、プロセス400は、航空機が電気ブレーキシステムをペダルブレーキモードで動作させている間、継続的にペダルブレーキ指令を生成、更新、および処理し得る(タスク402)。上述のように、ペダルブレーキ指令は、電気ブレーキシステム内の少なくとも1つのブレーキ機構の電気的な作動を制御し、そのようなペダルブレーキ指令は、パイロットが航空機のブレーキペダルを踏込むと生成される。ペダルブレーキモードでの動作中、プロセス400は、自動ブレーキプロセス300について上で説明された態様で、電気ブレーキシステムの1つ以上の電力状態信号を監視し得(タスク404)、電力遮断状況の開始を検出し得る(クエリタスク406)。
【0042】
電力遮断状況が開始すると、ペダルブレーキプロセス400は、以下に説明されるようにタスク410から進行し得る。しかし、プロセス400が電力遮断状況を検出しない場合は(クエリタスク406)、プロセス400は、ブレーキ動作が完了しているかどうかを確認し得る(クエリタスク408)。ブレーキが完了している場合、プロセス400は終了する。ブレーキが完了していない場合は、プロセス400はタスク402に再び入れられて、必要に応じてペダルブレーキ指令を生成および更新し続け得る。
【0043】
電力遮断状況の検出に応答して、ペダルブレーキプロセス400は、最後の(または現在の)ペダルブレーキ指令を消去または削除する(タスク410)。最後のペダルブレーキ指令は、電力遮断前に電気ブレーキシステムによって生成された最新の指令である。電気ブレーキシステムの特定的な実装および含まれるタイミングに依存して、最後のペダルブレーキ指令は、ブレーキ機構によって実行されたかもしれないし、されなかったかもしれない。最後のペダルブレーキ指令を消去することによって、電気ブレーキシステムが通常の動作電力を取り戻した際に誤ってその指令で自身をリフレッシュすることを確実に防ぐ。プロセス400は、電力遮断状況が終了したと判断する(クエリタスク412)までアイドル状態にあり得る。換言すれば、プロセス400は、電気ブレーキシステムにおいて通常の動作電力が復旧するまでアイドル状態にある。
【0044】
通常の動作電力が再開すると、ペダルブレーキプロセス400は、ブレーキが再び印加される前に、電気ブレーキシステムにブレーキ機構内の電気ブレーキアクチュエータを解除させ得る(タスク414)。このアクチュエータの解除は、アクチュエータをその後の起動および作動に備えるために望ましいことがある。さらに、このアクチュエータの解除により、電気ブレーキシステムが次のペダルブレーキ指令を受けるのを待つことが可能となる(これは、電力遮断中にパイロットがブレーキペダルを完全に解除する事態に対応するために望ましい)。アクチュエータの解除後、プロセス400は、電力遮断状況の終了時に存在するブレーキペダルの撓み量を示す更新されたペダルブレーキ指令を生成することによって、ペダルブレーキ指令をリフレッシュする(タスク416)。プロセス400は次に、更新されたペダルブレーキ指令を適切な態様で処理し得る(タスク418)。この実施例では、電気ブレーキシステムは、更新されたペダルブレーキ指令を、電力遮断状況が終了するとブレーキのなめらかな印加を提供する態様で処理する。特に、電気ブレーキシステムは、更新されたペダルブレーキ指令を用いて電気ブレーキアクチュエータを制
御する(タスク420)。実際には、更新されたペダルブレーキ指令を使用することにより、電気ブレーキシステムは、電力遮断期間中に発生したかもしれないブレーキペダルとのどのようなパイロットの相互作用にも、確実に対処することができる。これにより、パイロットによって印加されるブレーキ力は期待量となる。通常の動作電力が一旦復旧すると、タスク420からタスク402への矢印で示されるように、電気ブレーキシステムは通常のペダルブレーキモードを再開し得る。
【0045】
上記の詳細な説明では少なくとも1つの例示的な実施例が提示されたが、多数の変形例が存在することを認識すべきである。本明細書中で説明される例示的な実施例は、本発明の範囲、適用、または構成を如何なる方法でも限定することを意図していないことも認識すべきである。むしろ、上記の詳細な説明は、説明された実施例を実施するための好都合な道筋を当業者に与えるであろう。本発明の範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置においてさまざまな変更が可能であり、本発明の範囲は特許請求の範囲によって定義され、これは、この特許出願の出願時の公知の均等かつ予測可能な均等物を含むことを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機のための電気ブレーキシステム(100)を動作させる方法(300,400)であって、
前記電気ブレーキシステム(100)の電力状態信号を監視するステップ(304,404)と、
前記電力状態信号に基づいて電力遮断状況の開始を検出するステップ(306,406)と、
前記電力遮断状況が終了するとブレーキのなめらかな印加を提供するように前記電気ブレーキシステム(100)を制御するステップ(318,420)とを備える、方法。
【請求項2】
前記電気ブレーキシステム(100)はブレーキシステム制御ユニット(104)を備えており、
前記電力状態信号を監視するステップ(304,404)は、前記ブレーキシステム制御ユニット(104)の入力電力信号を監視するステップを含む、請求項1に記載の方法(300,400)。
【請求項3】
前記電気ブレーキシステム(100)は電気ブレーキアクチュエータ制御部(106)を備えており、
前記電力状態信号を監視するステップ(304,404)は、前記電気ブレーキアクチュエータ制御部(106)の入力電力信号を監視するステップを含む、請求項1に記載の方法(300,400)。
【請求項4】
前記電気ブレーキシステム(100)を自動ブレーキモードで動作させるステップと、
前記電力遮断状況の開始の検出(306)に応答して、最後の自動ブレーキ指令を、保存された自動ブレーキ指令として格納するステップ(310)とをさらに備え、
前記電気ブレーキシステム(100)を制御するステップ(318)は、前記保存された自動ブレーキ指令を処理するステップ(316)を含み、
自動ブレーキ指令は、前記電気ブレーキシステム(100)内のブレーキ機構(108)の電気的な作動を制御する、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項5】
更新された自動ブレーキ指令を生成するステップ(320)と、
前記保存された自動ブレーキ指令を処理するステップ(316)の後に、前記保存された自動ブレーキ指令を、前記更新された自動ブレーキ指令と交換するステップ(322)とをさらに備える、請求項4に記載の方法(300)。
【請求項6】
前記電気ブレーキシステムをペダルブレーキモードで動作させるステップと、
前記電力遮断状況の開始の検出(406)に応答して、現在のペダルブレーキ指令を消去するステップ(410)とを備え、前記現在のペダルブレーキ指令は、前記電気ブレーキシステム(100)内のブレーキ機構(108)の電気的な作動を制御しており、前記方法はさらに、
前記電力遮断状況が終了すると、ブレーキペダルの撓みを示す更新されたペダルブレーキ指令を生成するステップ(416)を備え、
前記電気ブレーキシステムを制御するステップ(420)は、前記更新されたペダルブレーキ指令を処理するステップ(418)を含む、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項7】
前記電力遮断状況が終了すると、前記ブレーキ機構(108)内の電気ブレーキアクチュエータを解除するステップ(414)をさらに備え、
前記電気ブレーキシステム(100)を制御するステップ(420)は、前記電気ブレーキアクチュエータを解除するステップ(414)の後に発生する、請求項6に記載の方
法(400)。
【請求項8】
前記電力遮断状況の開始を検出するステップ(306,406)は、
前記電力状態信号を閾値電圧と比較するステップと、
前記電力状態信号が前記閾値電圧よりも低い場合、前記電力遮断状況の開始を示すステップとを含む、請求項1に記載の方法(300,400)。
【請求項9】
航空機のための電気ブレーキシステムを動作させる方法であって、
前記電気ブレーキシステムを自動ブレーキモードで動作させるステップ(300)と、
前記電気ブレーキシステム内の電力遮断状況の開始(306)に応答して、最後の自動ブレーキ指令を、保存された自動ブレーキ指令として格納するステップ(310)とを備え、自動ブレーキ指令は、前記電気ブレーキシステム内のブレーキ機構の電気的な作動を制御し、前記方法はさらに、
前記電力遮断状況が終了すると、前記保存された自動ブレーキ指令を処理するステップ(312,314)を含む、方法。
【請求項10】
前記電気ブレーキシステムの電力状態信号を監視するステップ(304)と、
前記電力状態信号に基づいて前記電力遮断状況の開始を検出するステップ(306)とをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電力遮断状況の開始を検出するステップ(306,406)は、
前記電力状態信号を閾値電圧と比較するステップと、
前記電力状態信号が前記閾値電圧よりも低い場合、前記電力遮断状況の開始を示すステップとを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
更新された自動ブレーキ指令を生成するステップと、
前記保存された自動ブレーキ指令を処理した後に、前記保存された自動ブレーキ指令を、前記更新された自動ブレーキ指令と交換するステップ(320,322)とをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
航空機のための電気ブレーキシステムであって、
ブレーキ機構と、
前記ブレーキ機構(108)に結合された電気ブレーキアクチュエータと、
前記電気ブレーキアクチュエータに結合されたブレーキ制御アーキテクチャとを備え、
前記ブレーキ制御アーキテクチャは、前記電気ブレーキアクチュエータの作動を制御し、かつ前記電気ブレーキシステムの電力状態信号を監視し、かつ前記電力状態信号に基づいて電力遮断状況の開始を検出し、かつ前記電力遮断状況が終了すると前記ブレーキ機構のなめらかな作動を提供するように前記電気ブレーキアクチュエータを制御するように構成される処理論理(202)を備える、電気ブレーキシステム。
【請求項14】
前記ブレーキ制御アーキテクチャはブレーキシステム制御ユニット(104)を備え、
前記電力状態信号は、前記ブレーキシステム制御ユニットの入力電力信号を表わす、請求項13に記載の電気ブレーキシステム。
【請求項15】
前記ブレーキ制御アーキテクチャは電気ブレーキアクチュエータ制御部(106)を含み、
前記電力状態信号は、前記電気ブレーキアクチュエータ制御部の入力電力信号を表わす、請求項13に記載の電気ブレーキシステム。
【請求項16】
前記ブレーキ制御アーキテクチャの前記処理論理は、前記電気ブレーキシステムを自動
ブレーキモードで動作させるように構成されており、
前記電気ブレーキシステムは、前記電力遮断状況の開始に応答して、最後の自動ブレーキ指令を、保存された自動ブレーキ指令として格納する(310)ように構成されるメモリ要素をさらに備え、
前記ブレーキ制御アーキテクチャの前記処理論理は、前記電力遮断状況の終了に応答して、前記保存された自動ブレーキ指令を抽出する(314)ように構成されており、
自動ブレーキ指令は、前記電気ブレーキアクチュエータの動作を制御する、請求項13に記載の電気ブレーキシステム。
【請求項17】
前記ブレーキ制御アーキテクチャの前記処理論理は、前記電気ブレーキシステムをペダルブレーキモードで動作させ(400)、かつ前記電力遮断状況の開始に応答して、現在のペダルブレーキ指令を消去し(410)、かつ前記電力遮断状況が終了すると、現在のブレーキペダルの撓みを示す更新されたペダルブレーキ指令を生成する(402)ように構成されており、
ペダルブレーキ指令は、前記電気ブレーキアクチュエータの動作を制御する、請求項13に記載の電気ブレーキシステム。
【請求項18】
前記ブレーキ制御アーキテクチャの前記処理論理は、前記電力遮断状況が終了すると前記電気ブレーキアクチュエータを解除する(414)ように構成されており、
前記更新されたペダルブレーキ指令は、前記電気ブレーキアクチュエータの解除後に生成および処理される、請求項17に記載の電気ブレーキシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−100097(P2013−100097A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−535(P2013−535)
【出願日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【分割の表示】特願2009−529177(P2009−529177)の分割
【原出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】