説明

航空貨物の搬送装置

本発明による航空機用コンテナーなどの航空貨物の駆動装置などの搬送装置は、枠(1)内に駆動ローラ(5)及び昇降機(6)を備え、昇降機(6)には、駆動ローラ(5)を持上げるために少なくとも1つの駆動機構(9)が備えられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用コンテナーなどの航空貨物を扱う、枠内に駆動ローラ及び昇降機を備えた駆動機構などの航空貨物の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貨物用コンテナーなどの航空貨物を搬送する従来の装置には、例えば、貨物用コンテナーの底部を揺動するか、押圧して、搬送すべき航空貨物を駆動する複雑な構成の昇降機が備えられた駆動装置が装着されていた。
【0003】
このような、駆動装置の昇降機には、高度な要求がなされていた。昇降機は、大きな負荷の下で確実に作動させ必要があった。
【0004】
従来は、例えば、偏心カムを用いて、昇降機及び駆動ローラを駆動装置の枠から離間させるのに、高価なシステム及び駆動装置を要することが問題であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、簡単且つ安価な方法で上記の問題点を解決し、駆動ローラを枠から離間させる装置を創出することである。駆動ローラの両側を同期させて枠から離間するように駆動させて、大きな持上げ力を生成する昇降機を実現させることも本発明の目的である。その上、駆動ローラの離間及び戻りが可能な極めて小型の昇降機を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
昇降機に少なくとも1つの駆動機構を備えることにより、上記課題が解決される。
【0007】
本発明では、枠の2つの枠辺の狭い空間に昇降機が挿入され、昇降機の中空軸を回転させて大きな駆動トルクが伝達できることが特徴である。
【0008】
補助枠を中空軸の両側の突出部と噛み合せて補助枠の間に設置された駆動ローラを離間させたり、戻したりできるように、前記それぞれの突出部はカム、偏心板などとして形成されていることが本発明の特徴である。また、昇降機の中空軸の内部に、少なくとも1つのモータ及び遊星歯車機構を組み込むことも本発明の特徴である。出力遊星歯車機構の担体が一方の枠辺の端部に固定され、他方の枠辺の端部にモータ保持軸が固定されていることも本発明の特徴の一つである。
【0009】
このようにして、モータにより、特に3段に形成された遊星歯車機構が駆動され、遊星歯車機構のそれぞれの遊星歯車が昇降機の中空軸の内部で噛合うことにより、小さな空間で且つ軽量でありながら、大きな回転トルクが昇降機の中空軸に伝達される。
【0010】
昇降機のカムなどの突出部に対応するローラ部材を噛合せて2つの補助枠の上昇を同期させて、駆動ローラ又は2つの補助枠は枠から離間して戻ることができる
本発明では、軽量且つ小型の極めてコンパクトな駆動機構としての搬送装置により、中空軸しての昇降機の両側を同期させた回転により、駆動ローラを離間させるか戻すことができることも特徴の一つである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】航空貨物の搬送装置の動作時の斜視図
【図2】図1に示す搬送装置の枠辺を除いた状態における静止時の側面図
【図3】図1に示す搬送装置の平面断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の利点、特徴及び詳細について、図面を用いて説明する。
【実施例】
【0013】
図1に示すように、航空機のコンテナーのような航空貨物の搬送装置Rは、2つの枠辺2.1、2.2により形成される枠1を備えている。
【0014】
2つの枠辺2.1、2.2のそれぞれの一端は、図2、3で明らかなように、連結部材4.1、4.2を介して補助枠3.1、3.2に回転可能に連結されている。2つの補助枠3.1、3.2の一方の端部の間に、駆動ローラ5が補助枠3.2には固定され、補助枠3.1に対しては回転可能に装着されている。駆動ローラ5を搬送すべきコンテナーなどの航空貨物と接触させるための昇降機6が、枠の枠辺2.1、2.2の他の端部の間に装着されている。
【0015】
図1では明確では無いが図2、3で明らかなように、昇降機6はその両端に突出部7が備えられ、図2に示すようにカムとして形成されることが好ましい。
【0016】
図2から明らかなように、補助枠3の末端のローラ部材8は、カム、偏心板などの突出部7上に当接され、昇降機6をY方向に回転させることにより、補助枠3.1、3.2は、枠1の連結部材4.1、4.2の周りを回転して、昇降機6から離れるように移動することが可能となる。
【0017】
本発明では、昇降機6、すなわちその中空軸10をY方向又は逆に駆動する少なくとも1つの駆動機構9が昇降機6に組み込まれていることが特徴である。
【0018】
中空軸10の末端のカムなど突出部7の前面がローラ部材8と接して補助枠3.1、3.2と当接されていることも特徴の一つである。
【0019】
このようにして、中空軸10を完全に同期させて駆動させることにより、補助枠3.1、3.2、従って駆動ローラ5が、枠辺2.1、2.2からコンテナーなどの航空貨物に向かって動かされる。
【0020】
駆動機構9は、中空軸10内部に装着され、基本的にはモータ11とそれに連結された遊星歯車機構12から構成されている。
【0021】
遊星歯車機構12、特にその遊星歯車13は、駆動ローラ5を持ち上げるか又は昇降させるように、昇降機6の中空軸10を回転させることも本発明の特徴である。
【0022】
ここでは、枠辺2.1の端部に、出力遊星歯車の担体14が挿入され、突出部7域にある該担体の一端において、軸受15を介して中空軸10が回転可能に装着されている。他方の枠辺2.2にはモータ保持軸16が備えられ、同様に中空軸10がその突出部域において、軸受15に回転可能に保持されている。
【0023】
モータ保持軸16に接して、モータ11の固定子17が同軸に固定されている。
【0024】
回転軸19を有する回転子18がモータ保持軸16と連結されて1段又は3段の遊星歯車機構12を駆動する構成となっている。
【0025】
出力遊星歯車の担体14を固定することにより、対応する遊星歯車13が昇降機6の外側の中空軸10を駆動して、カム板、偏心板などに形成された突出部7を回転させることにより、補助枠3.1、3.2が駆動ローラ5を枠の枠辺2.1、2.2から離間させるか又は再度戻るように作用する。
【0026】
本発明では、昇降機6に対するこのような些細な構成により、僅かな摩擦力により極めて大きな押圧力が生成される。更に、補助枠3.1と3.2の間の制御部20、枠1の枠辺2.1、2.2の間の駆動ローラ5並びに昇降機6が極めてコンパクトに配置できるので、装置R全体が僅かな構成部材により小型に構成できる。
【符号の説明】
【0027】
1 枠
2 枠辺
3 補助枠
4 連結部
5 駆動ローラ
6 昇降機
7 突出部
8 ローラ部材
9 駆動機構
10 中空軸
11 モータ
12 遊星歯車機構
13 遊星歯車
14 遊星歯車機構の担体
15 軸受
16 モータ保持軸
17 固定子
18 回転子
19 回転軸
20 制御部
R (航空貨物の)搬送装置
Y 昇降機の回転方向を示す矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠(1)内に駆動ローラ(5)及び昇降機(6)を備えた航空機用コンテナーなどの航空貨物を扱う駆動装置などの搬送装置(1)であって、
昇降機(6)には、駆動ローラ(5)を持上げるために少なくとも1つの駆動機構(9)が備えられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
駆動機構(9)は、1つのモータ(11)及び1段又は多段の遊星歯車機構(12)により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
昇降機(6)は中空軸(10)を備え、該中空軸は枠(1)の2つの枠辺(2.1、2.2)に回転可能に装着され、中空軸内(10)の一端に備えられた遊星歯車機構の担体(14)は枠(1)の枠辺(2.1)に固定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
中空軸(10)の他端には、1つ又はモータ(11)の複数の固定子(17)の担体としてのモータ保持軸(16)が備えられて枠辺(2.2)に連結され、中空軸(10)はモータ保持軸(16)に対して回転可能であることを特徴とする請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
昇降機(6)の一端又は両端には、カム又は偏心板として形成された突出部(7)が備えられていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
遊星歯車機構(12)とモータ保持軸(16)の間に、モータ(11)の回転子(18)が回転可能に装着され、一段又は多段の遊星歯車機構(12)と噛合っていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
遊星歯車機構の担体(14)は枠辺(2.1)に固定され、遊星歯車(13)を介して、中空軸(10)を正回転又は逆回転させることを特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項8】
駆動ローラ(5)は、2つの補助枠(3.1、3.2)の間に装着され、連結部材(4)により枠(1)の2つの枠辺(2.1、2.2)と回転可能に連結されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項9】
補助枠(3.1、3.2)の端部は、昇降機(6)のカム状又は偏心板状の突出部(7)と噛合って、駆動ローラ(5)を昇降させることを特徴とする請求項8に記載の搬送装置。
【請求項10】
2つの枠辺(2.1、2.2.2)の間で連結部材(4)の近傍に制御部(20)が備えられ、2つの補助枠(3.1、3.2)の間に駆動ローラ(5)が備えられ、枠(1)のそれぞれの枠辺(2.1、2.2)に連結する中空軸(10)を有し且つ補助枠(3.1、3.2)のローラ部材(8)と噛合う突出部(7)を両端に有する昇降機(6)を備えていることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−527870(P2010−527870A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508719(P2010−508719)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003753
【国際公開番号】WO2008/141738
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(500542240)ヴィッテンシュタイン アーゲー (19)
【Fターム(参考)】