説明

船外機のケーブル挿通構造

【課題】ケーブルを引っ張るような外力が加わってもゴム製グロメットが外れるのを抑制防止することができる船外機のケーブル挿通構造を提供する。
【解決手段】ゴム製グロメット18の連通穴22内に、カウル内側から樹脂製キャップ19の爪部33及び支持部31を差し込み、爪部33が窪み29に嵌入すると、この爪部33と押さえ部30とでゴム製グロメット18の連通部21が挟み込まれ、これにより樹脂製キャップ19がゴム製グロメット18に固定される。この状態で、樹脂製キャップ19の挿通穴32内からゴム製グロメット18のケーブル収納部27にケーブルを差し込み、当該ケーブル収納部27の溝部28にクリップバンドを締め付けて、ケーブル収納部27をケーブルに固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船外機の外部筐体内外に、ゴム製グロメットを介して、ケーブルを挿通する船外機のケーブル挿通構造に関するものであり、例えばエンジンを覆うカウルに電装ケーブルを挿通する場合などに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
船外機は、一般に上部にエンジンを搭載しており、カウルと称する覆いで覆われている。例えばカウル内部にエンジンコントローラを配設し、このエンジンコントローラとカウル外部とを電装ケーブルで接続する場合には、カウル内外にケーブルを挿通する挿通構造が必要となる。このような場合、カウルには貫通穴を形成し、その貫通穴にケーブルを挿通するが、単に貫通穴にケーブルを挿通しただけでは、貫通穴とケーブルとの隙間から水が浸入してしまう。そこで、例えば下記特許文献1に記載されるようなゴム製グロメットを貫通穴に嵌め込んで取付け、一般にブーツと呼ばれるケーブル収納部でケーブルの外周を緊密に覆い、貫通穴からの水の侵入を防止するようにしている。
【特許文献1】特開平8−97574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、単にゴム製グロメットを貫通穴に嵌め込んで取付けただけでは、ケーブルを引っ張るような外力が加わったときにゴム製グロメットが貫通穴から外れ、結果的に貫通穴から水が浸入してしまうという問題が発生する。
本発明は前記諸問題を解決すべく開発されたものであり、ケーブルを引っ張るような外力が加わってもゴム製グロメットが貫通穴から外れるのを抑制防止し、もって貫通穴からの水の侵入を回避することができる船外機のケーブル挿通構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記諸問題を解決するため、船外機の外部筐体内外に、ゴム製グロメットを介して、ケーブルを挿通する船外機のケーブル挿通構造であって、前記ゴム製グロメットを外部筐体に固定する樹脂製キャップを有し、前記ゴム製グロメットは、外部筐体に形成された貫通穴に緊密に嵌入し且つ外部筐体の内側面及び外側面に連通する連通穴が形成された連通部と、前記連通部の両側で外部筐体の貫通穴の周囲の内側面に緊密に当接する内側鍔部及び外側面に緊密に当接する外側鍔部とからなり、前記樹脂製キャップは、前記ゴム製グロメットの内側鍔部に当接する押さえ部と、前記押さえ部から延設され且つ前記連通部の連通穴内に緊密に嵌入し且つケーブルを挿通する挿通穴が形成された支持部と、前記支持部の延設方向先端部に形成され且つ前記押さえ部とでゴム製グロメットの連通部を挟み付ける爪部とからなることを特徴とするものである。
【0005】
この船外機のケーブル挿通構造では、樹脂製キャップに、ゴム製グロメットの内側鍔部に当接する押さえ部と、この押さえ部から延設され且つゴム製グロメットの連通部の連通穴内に緊密に嵌入し且つケーブルを挿通する挿通穴が形成された支持部と、この支持部の延設方向先端部に形成され且つ押さえ部とでゴム製グロメットの連通部を挟み付ける爪部とを形成し、この樹脂製キャップをゴム製グロメットの連通部の連通穴内に差し込んで当該ゴム製グロメットを外部筐体に固定し、その樹脂製キャップの挿通穴内にケーブルを挿通する構成としたため、樹脂製キャップの支持部でゴム製グロメットの連通部を外部筐体の貫通穴の内側に押し付けながら当該樹脂製キャップの押さえ部でゴム製グロメットの内側鍔部が押さえ付けられ、ケーブルを引っ張るような外力が加わってもゴム製グロメットが貫通穴から外れるのを抑制防止し、もって水が貫通穴から浸入するのを回避することができる。
【0006】
また、本発明の船外機のケーブル挿通構造は、前記ゴム製グロメットの連通穴内形の断面形状が長方形又はほぼ長方形であり、前記樹脂製キャップの支持部外形の断面形状を、少なくとも連通穴内形の短辺方向に緊密に嵌入する長円形状としたことを特徴とするものである。
この船外機のケーブル挿通構造では、ゴム製グロメットの連通穴内形の断面形状が長方形又はほぼ長方形である場合に、樹脂製キャップの支持部外形の断面形状を、少なくとも連通穴内形の短辺方向に緊密に嵌入する長円形状としたことにより、一般に断面円形のケーブルを滑らかにガイドすることができると共に、ゴム製グロメットの連通部を貫通穴の内側に効率よく押し付けて、その変形を抑制防止することができ、もってケーブルを引っ張るような外力が加わったときのゴム製グロメットの貫通穴からの外れを確実に防止することができる。
【0007】
また、本発明の船外機のケーブル挿通構造は、前記爪部は、前記長円形状の支持部の延設方向先端部のうち、長辺側に形成したことを特徴とするものである。
この船外機のケーブル挿通構造では、爪部を長円形状の支持部延設方向先端部の長辺側に形成したことにより、支持部の、特に長円形状の長辺部分の強度を向上することができる。
【発明の効果】
【0008】
而して、本発明の船外機のケーブル挿通構造によれば、船外機の外部筐体内外に、ゴム製グロメットを介して、ケーブルを挿通するにあたり、ゴム製グロメットには、外部筐体に形成された貫通穴に緊密に嵌入し且つ外部筐体の内側面及び外側面に連通する連通穴が形成された連通部と、連通部の両側で外部筐体の貫通穴の周囲の内側面に緊密に当接する内側鍔部及び外側面に緊密に当接する外側鍔部とを形成し、樹脂製キャップには、ゴム製グロメットの内側鍔部に当接する押さえ部と、この押さえ部から延設され且つゴム製グロメットの連通部の連通穴内に緊密に嵌入し且つケーブルを挿通する挿通穴が形成された支持部と、この支持部の延設方向先端部に形成され且つ押さえ部とでゴム製グロメットの連通部を挟み付ける爪部とを形成し、この樹脂製キャップをゴム製グロメットの連通部の連通穴内に差し込んで当該ゴム製グロメットを外部筐体に固定し、その樹脂製キャップの挿通穴内にケーブルを挿通する構成としたため、樹脂製キャップの支持部でゴム製グロメットの連通部を外部筐体の貫通穴の内側に押し付けながら当該樹脂製キャップの押さえ部でゴム製グロメットの内側鍔部が押さえ付けられ、ケーブルを引っ張るような外力が加わってもゴム製グロメットが貫通穴から外れるのを抑制防止し、もって水が貫通穴から浸入するのを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の船外機のケーブル挿通構造の一実施形態について、図面を引用しながら説明する。
図1は、本実施形態の船外機のカウル構造を装着した船舶の概略構成図である。この船舶は、オープンデッキタイプの船体52の船尾に船外機1を搭載し、前部にステアリングホイール54、シート55、リモコンレバー56、メインスイッチ及びスタートスイッチを有するスイッチパネル57、メータパネル58等を配設した操縦席を備えている。船外機1内には、後述するカウル内に配設されたエンジンを制御するエンジン制御装置が内装されている。また、スイッチパネル57内には、船外機1を遠隔操作するためのリモートコントロール(以下、リモコンとも記す)制御装置が内装されており、エンジン制御装置とケーブルで接続されている。また、操縦席の下方の船体52の側壁に相当する垂直面又はほぼ垂直面には、所謂トランスポンダ(発信器或いは中継器)からの認証コードを受信するイモビライザ受信装置10が取付けられており、ケーブルでスイッチパネル57のリモコン制御装置に接続されている。
【0010】
船外機1は、図2に示すように、上方から、カウル3、アッパケース4、ロアケース5の順に組立てられ、図示しないクランプによって、船体52に対し、上下方向及び横方向に揺動可能に取付けられている。カウル3は、トップカウル3Uとロアカウル3Lの組合せからなり、内部にエンジン2を内装している。
また、ロアケース5内には、プロペラ6の回転軸であるプロペラシャフト6aが水平方向に挿通されており、カウル3内からロアケース5内まで延設されたドライブシャフト80の下端は、ベベルギヤで構成される駆動ギヤ85、前進ギヤ86F、後進ギヤ86Rとドグクラッチ87によるシフト変換機構83を介してプロペラシャフト6aに連結されている。そして、ドライブシャフト80と平行に上下方向に配設されたシフトロッド84を、図示しない電子制御装置によって制御される電動モータを含む電動回転機構ESMで回転させることにより、シフト変換機構83が作動して、ニュートラルか、前進か、後進かの何れかに随時変換した状態で、ドライブシャフト80からプロペラシャフト6aに回転力が伝達される。
【0011】
即ち、シフト変換機構83は、ドライブシャフト80の下端に固定した駆動ギヤ85に、プロペラシャフト6a上に回転自在に配置した前進ギヤ86Fと後進ギヤ86Rとを夫々噛合させ、プロペラシャフト6aに対して摺動可能で回転不能に配設したドグクラッチ87を、前進ギヤ86Fと後進ギヤ86Rとの間に配置して、シフトロッド84の回転(シフトロッド下端のカム面の回転)に連動させてドグクラッチ87をプロペラシャフト6a上で摺動させるようにしたものである。
【0012】
このようなシフト変換機構83により、電動回転機構ESMでシフトロッド84をその軸回りに回転させることでドグクラッチ87を移動させて、前進ギヤ86Fと後進ギヤ86Rの何れかに噛合させるか、或いは、その中間部で何れとも噛合させないようにすることで、ドライブシャフト80の回転を前進ギヤ86Fか後進ギヤ86Rの何れかを介してプロペラシャフト6aに伝達させるか、或いは、ドライブシャフト80の回転をプロペラシャフト6aに伝達させないニュートラル状態となるようにしている。
【0013】
船外機1には、図示しないバッテリスイッチ及びバッテリケーブルを介して、船体52側のバッテリが接続され、バッテリからの電力が船外機1の電装部品及びエンジン制御装置に供給される。また、船外機1と船体52側とは、リモコンケーブル及びスロットル・シフトケーブルによって接続されている。本実施形態では、船外機1のエンジン制御装置は、船外機1側に搭載されており、このエンジン制御装置とスイッチパネル57内のリモコン制御装置とをリモコンケーブルで接続する。前述したように、スイッチパネル57内のリモコン制御装置とイモビライザ受信装置10とは接続されているので、エンジン制御装置にイモビライザ受信装置10の認証コード認証結果を送信することで、コード認証後の仕様をエンジン制御装置によって種々に設定することができる。本実施形態では、イモビライザ受信装置10によって認証コードが認証された場合に船外機1のエンジン2の始動を許可するものとし、認証コード認証後にスイッチパネル57によってエンジン始動指令が出力された場合に限ってエンジン2を始動する。コード認証後の仕様は、これに限定されるものではなく、例えば前記バッテリスイッチの投入を可能としたり、前記シフト変換機構のシフトロックを解除したりするようにしてもよい。
【0014】
図3には、トップカウル3U及びロアカウル3Lを斜め前方から見た状態を示す。図中の符号11が、ロアカウル3Lのトップカウル接合面であり、ロアカウル3Lの上縁部全周にわたって切り欠きがない。トップカウル3Uとロアカウル3Lの間には、トップカウル3Uの下縁部全周に被せたシール部材16が介装されており、この全周に及ぶシール部材16と切り欠きのないトップカウル接合面によって、両者間のシール性、つまり液密性が確保される。なお、トップカウル接合面11の内側には、トップカウル3Uの下縁部を内側から支持する支持縁12が突設されている。
【0015】
トップカウル3Uは、カウル前部で、フック構造により、ロアカウル3Lに固定されている。このフック構造は、トップカウル3Uの前方部外側に取付けられたフック13を、ロアカウル3Lに形成されたフック受け部14にフックして、トップカウル3Uをロアカウル3Lに固定するようにしている。なお、図中の符号17は、操縦席からのケーブル類を接続するための貫通穴である。
【0016】
図3の符号18は、ロアカウル3L内の電装ケーブルを外部に挿通するためのゴム製グロメットであり、ロアカウル3Lに形成されている貫通穴に嵌め込んで取付られている。即ち、本実施形態の船外機の外部筐体はロアカウル3Lに相当する。図4には、ゴム製グロメット18と、その内側に嵌め込まれる樹脂製キャップ19を示す。また、図5には、このゴム製グロメット18と樹脂製キャップ19をロアカウル3Lの貫通穴20に取付けた状態を示す。図5aは、ゴム製グロメット18の取付状態の正面図、図5bは縦断面図、図5cは横断面図、図5dは爪部詳細図である。
【0017】
ロアカウル3Lに形成されている本実施形態の貫通穴20の断面形状は、四隅がR面取りされた長方形である。従って、この貫通穴20に緊密に嵌入するゴム製グロメット18の連通部21の外形断面形状は四隅が面取りされた長方形であり、この連通部21の内部に形成された連通穴22の断面形状も四隅の面取りされた長方形である。この連通部21の軸線方向両側には、ロアカウル3Lの貫通穴20の周囲の内側面及び外側面に緊密に当接する内側鍔部23及び外側鍔部24が連設されている。また、外側鍔部24のカウル外側にはケーブルを収納するブーツ25が延設されている。ブーツ25は、ロアカウル3L側の蛇腹部26及びそれに連設され且つケーブルを緊密に収納する円筒形のケーブル収納部27からなり、ケーブル収納部27の外周には、クリップバンドを収納する溝部28が形成されている。ちなみに、連通部21の連通穴22のブーツ25側のうち、前記断面長方形の長辺部分には、図5dに明示するように、後述する樹脂製キャップ19の爪部33が嵌入する窪み29が形成されている。
【0018】
一方、樹脂製キャップ19は、前記ゴム製グロメット18の内側鍔部23に当接する押さえ部30と、この押さえ部30から延設され且つ前記連通部21の連通穴22内に緊密に嵌入し且つケーブルを挿通する挿通穴32が形成された支持部31と、この支持部31の延設方向先端部に形成され且つ前記押さえ部30とでゴム製グロメット18の連通部21を挟み付ける爪部33とを備えて構成される。このうち、支持部31の外形断面形状は、前記ゴム製グロメット18の連通部21の連通穴22内に緊密に嵌入する長円形状であり、当該支持部31の内部に形成される挿通穴32の断面形状も、同心の長円形状である。また、爪部33は、この断面長円形状の挿通部21の延設方向先端部のうち、直線部分にのみ形成されている。また、樹脂製キャップ19は、ごく僅かな可撓性を有する。
【0019】
従って、このケーブル挿通構造を組立てる場合には、まずゴム製グロメット18のブーツ25をロアカウル3Lの内側又は外側から貫通穴20内に差し込み、ゴムの可撓性を利用して外側鍔部24又は内側鍔部23を撓ませて、それに連通する連通部21をロアカウル3Lの貫通穴20に嵌め込む。この状態で外側鍔部24がゴムの復元性によって復元すると、内側鍔部23がロアカウル3Lの貫通穴20の周囲の内側面に、外側鍔部24が同じく貫通穴20の周囲の外側面に緊密に当接し、且つ連通部21の外形が貫通穴20に緊密に嵌入して、これらによりゴム製グロメット18が貫通穴20に自立固定される。
【0020】
次いで、ゴム製グロメット18の連通穴22内に、カウル内側から樹脂製キャップ19の爪部33及び支持部31を差し込み、爪部33が窪み29に嵌入すると、この爪部33と押さえ部30とでゴム製グロメット18の連通部21が挟み込まれ、これにより樹脂製キャップ19がゴム製グロメット18に固定される。なお、爪部33は支持部31の可撓性で連通穴22の内側に撓み、この連通穴22から抜け出したとき、自己の復元性で窪み29内に嵌入する。
この状態で、樹脂製キャップ19の挿通穴32内からゴム製グロメット18のケーブル収納部27にケーブルを差し込み、当該ケーブル収納部27の溝部28にクリップバンドを締め付けて、ケーブル収納部27をケーブルに固定する。
【0021】
図6aは、ロアカウル3Lにゴム製グロメット18のみを取付けた状態を示す。例えば、このゴム製グロメット18に直接的にケーブルを挿通し、ケーブル収納部27の溝部28にクリップバンドを締め付けて、ケーブル収納部27をケーブルに固定し、その状態で、ケーブルを引っ張るような外力が加わると、例えば図6bに示すように、連通部21及び内側鍔部23が変形し、著しい場合にはゴム製グロメット18そのものがロアカウル3Lの貫通穴20から外れてしまい、そこから水が浸入する。これに対し、樹脂製キャップ19を取付けた本実施形態では、図6cに示すように、樹脂製キャップ19の支持部31がゴム製グロメット18の連通部21を支持すると共に、押さえ部30が内側鍔部23を押さえ付けるので、それらの変形を抑制防止することでゴム製グロメット18の抜けを防止し、もって貫通穴20からの水の侵入を回避することができる。
【0022】
このように本実施形態の船外機のケーブル挿通構造によれば、船外機のロアカウル3L内外に、ゴム製グロメット18を介して、ケーブルを挿通するにあたり、ゴム製グロメット18には、ロアカウル3Lに形成された貫通穴20に緊密に嵌入し且つロアカウル3Lの内側面及び外側面に連通する連通穴22が形成された連通部21と、連通部21の両側でロアカウル3Lの貫通穴20の周囲の内側面に緊密に当接する内側鍔部23及び外側面に緊密に当接する外側鍔部24とを形成し、樹脂製キャップ19には、ゴム製グロメット18の内側鍔部23に当接する押さえ部30と、押さえ部30から延設され且つゴム製グロメット18の連通部21の連通穴22内に緊密に嵌入し且つケーブルを挿通する挿通穴32が形成された支持部31と、支持部31の延設方向先端部に形成され且つ押さえ部30とでゴム製グロメット18の連通部21を挟み付ける爪部33とを形成し、この樹脂製キャップ19をゴム製グロメット18の連通部21の連通穴22内に差し込んで当該ゴム製グロメット18をロアカウル3Lに固定し、その樹脂製キャップ19の挿通穴32内にケーブルを挿通することとしたため、樹脂製キャップ19の支持部31でゴム製グロメット18の連通部21をロアカウル3Lの貫通穴20の内側に押し付けながら当該樹脂製キャップ19の押さえ部30でゴム製グロメット18の内側鍔部23が押さえ付けられ、ケーブルを引っ張るような外力が加わってもゴム製グロメット18が貫通穴20から外れるのを抑制防止し、もって水が貫通穴20から浸入するのを回避することができる。
【0023】
また、ゴム製グロメット18の連通穴22の内形断面形状が長方形又はほぼ長方形であり、樹脂製キャップ19の支持部31の外形断面形状を、少なくとも連通穴22内形の短辺方向に緊密に嵌入する長円形状としたことにより、一般に断面円形のケーブルを滑らかにガイドすることができると共に、ゴム製グロメット18の連通部21をロアカウル3Lの貫通穴20の内側に効率よく押し付けて、その変形を抑制防止することができ、もってケーブルを引っ張るような外力が加わったときのゴム製グロメット18の貫通穴20からの外れを確実に防止することができる。
【0024】
また、爪部33を長円形状の支持部31の延設方向先端部の長辺側に形成したことにより、支持部の31、特に長円形状の長辺部分の強度を向上することができる。
なお、本発明の船外機のケーブル挿通構造が適用される船外機は、前記実施形態に記載されるものに限定されない。また、同様に、本発明の船外機のケーブル挿通構造が適用される船舶は、前記実施形態に記載されるものに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の船外機制御装置を搭載した船舶の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の船舶に用いられた船外機の外形図である。
【図3】図2の船外機のカウルの斜視図である。
【図4】図3のカウルのロアカウルケーブル挿通構造に用いられるゴム製グロメット及び樹脂製キャップの斜視図である。
【図5】図4のゴム製グロメット及び樹脂製キャップによるケーブル挿通構造の説明図である。
【図6】ゴム製グロメット変形の説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1は船外機、2はエンジン、3Uはアッパカウル、3Lはロアカウル、3はカウル、4はアッパケース、5はロアケース、6はプロペラ、10はイモビライザ受信装置、11はトップカウル接合面、12はトップカウル支持縁、13はフック、14はフック受け部、15はカバー、16はシール部材、17は貫通穴、18はゴム製グロメット、19は樹脂製キャップ、20は貫通穴、21は連通部、22は連通穴、23は内側鍔部、24は外側鍔部、25はブーツ、26は蛇腹部、27はケーブル収納部、28は溝部、29は窪み、30は押さえ部、31は支持部、32は挿通穴、33は爪部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船外機の外部筐体内外に、ゴム製グロメットを介して、ケーブルを挿通する船外機のケーブル挿通構造であって、前記ゴム製グロメットを外部筐体に固定する樹脂製キャップを有し、前記ゴム製グロメットは、外部筐体に形成された貫通穴に緊密に嵌入し且つ外部筐体の内側面及び外側面に連通する連通穴が形成された連通部と、前記連通部の両側で外部筐体の貫通穴の周囲の内側面に緊密に当接する内側鍔部及び外側面に緊密に当接する外側鍔部とからなり、前記樹脂製キャップは、前記ゴム製グロメットの内側鍔部に当接する押さえ部と、前記押さえ部から延設され且つ前記連通部の連通穴内に緊密に嵌入し且つケーブルを挿通する挿通穴が形成された支持部と、前記支持部の延設方向先端部に形成され且つ前記押さえ部とでゴム製グロメットの連通部を挟み付ける爪部とからなることを特徴とする船外機のケーブル挿通構造。
【請求項2】
前記ゴム製グロメットの連通穴内形の断面形状が長方形又はほぼ長方形であり、前記樹脂製キャップの支持部外形の断面形状を、少なくとも連通穴内形の短辺方向に緊密に嵌入する長円形状としたことを特徴とする請求項1に記載の船外機のケーブル挿通構造。
【請求項3】
前記爪部は、前記長円形状の支持部の延設方向先端部のうち、長辺側に形成したことを特徴とする請求項2に記載の船外機のケーブル挿通構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−6138(P2010−6138A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164990(P2008−164990)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】