説明

船用給電パッケージ

【課題】海上輸送用コンテナの設置位置に船体から張り出さずに設置でき、その上に別のコンテナを搭載可能であり、かつ人力で移動及び変形が困難な太い給電ケーブルを、船舶と岸壁の間で短時間に容易に掛け渡して配線することができる船用給電パッケージを提供する。
【解決手段】矩形断面を有する海上輸送用のコンテナ12に収容された船用給電パッケージ10。先端部に陸側接続プラグ14aを有する陸側給電ケーブル14と、陸側給電ケーブルの末端部に陸電パネル15を介して電気的に接続され末端部に船側接続プラグ17を有する船側給電ケーブル16と、陸側給電ケーブルをコンテナ内で巻き取り/巻き戻しするケーブルリール装置18と、コンテナの側面から外側に張り出した張出位置Aとコンテナ内の収容位置Bとの間を移動可能であり、陸側給電ケーブル14を張出位置Aで下方に向けて案内するケーブルガイド20と、船側給電ケーブル16を昇降させるケーブルリフト22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶が停泊中に、陸上の外部電源から電力の供給を受けるための船用給電パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
停泊中の船舶が、陸上の外部電源から電力の供給を受けるための船用給電パッケージとして、従来から例えば特許文献1〜3が知られている。
【0003】
特許文献1は、内部にケーブルリールを有し、設置や移設が容易でかつ場合によってはその上に貨物又は別のコンテナを配置することが可能なコンテナ載置型受電設備を目的とする。
そのため、この装置は、図7に示すように、上部4隅に吊り下げ用金具が設けられた海上輸送用のコンテナ51内に、船舶が港湾に係留している場合に、供給される電力を測定する電圧計54、周波数計55及び検相計59、並びに回路の入切を行う遮断器58を備え、陸上からの電力を受電する受電装置52と、受電装置52に陸上からの電力を供給するケーブル53を巻回するケーブルリール56とを配置したものである。
【0004】
特許文献2は、既設及び新設の船舶に適用することができ、給電用のケーブルを船舶と岸壁の間で短時間に容易に掛け渡して配線することができ、船内発電装置と外部電源との切り換えを無停電で行うことができ、外部電源や船内発電装置に異常が発生しても、その影響が船内機器や外部電源におよぶのを未然に防止することができる船用給電装置とその制御方法を目的とする。
そのため、この装置は、図8に示すように、巻取ケーブル61を巻き取り・巻き戻し可能で船外の外部電源に接続可能なケーブルリール装置62と、ケーブルリール装置を介して供給された電力を遮断又は接続可能な第1遮断器63と、第1遮断器を介して供給された電力を遮断又は接続可能な第2遮断器64と、船内発電装置、ケーブルリール装置及び第2遮断器を制御する給電制御装置66とを備えるものである。
【0005】
特許文献3は、各船舶にそれぞれ設置する必要がなく、既設、新設のいずれの船舶にも適用でき、船舶内の電圧系統が高電圧系統でも低電圧系統でも容易に適用でき、給電用のケーブルを船舶と岸壁の間で短時間に容易に掛け渡して配線することができる船用給電パッケージとこれを用いた船舶電力供給方法を目的とする。
そのため、この装置は、図9に示すように、船舶に積込み/積下ろしが可能な船用給電パッケージ70であり、外部電源を備えた岸壁と船舶との間で、積込み/積下ろしが可能なコンテナ71と、コンテナに取り付けられたケーブルリール装置72と、外部電源の電圧をそのまま取り出す外部電圧コネクタ73と、外部電源の電圧を変圧して取り出す内部電圧コネクタ74とを備え、外部電圧コネクタ73又は内部電圧コネクタ74を介して船内に電力を供給するものである。
【0006】
【特許文献1】登録実用新案公報第3126684号、「コンテナ搭載型受電装置」
【特許文献2】特開2006−290018号公報、「船用給電装置とその制御方法」
【特許文献3】特開2006−290262号公報、「船用給電パッケージとこれを用いた船舶電力供給方法」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の船用給電パッケージには、以下の問題点があった。
大型船舶に使用される給電ケーブルは直径50〜200ミリ以上に達する太いケーブル(例えばキャプタイヤケーブル)であり、人力では持ち上げたり、曲げたりすることが困難である問題点があった。
【0008】
また、従来の船用給電パッケージでは、海上輸送用のコンテナの下面又は長さ方向端面から給電ケーブルが巻き戻されるため、巻き戻した重い給電ケーブルを接岸した右舷(又は左舷)まで運び、そこから甲板から20メートル程度下の岸壁まで船体に当たらないように降ろし、岸壁に設置された外部電源端子に接続する必要があり、過酷な作業となっていた。
したがって、給電ケーブルを船舶と岸壁の間に掛け渡して配線するのに時間がかかり、かつ作業環境が悪いという問題点があった。
【0009】
また、この問題点を軽減するために、船体から張り出して船用給電パッケージを設置すると、船腹幅が広がるため船舶の運航に支障がでる可能性があり、かつその上に一般コンテナを搭載できないので、船舶の積載能力が低下する問題点があった。
【0010】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、一般の海上輸送用コンテナの設置位置に船体から張り出さずに設置でき、その上に別のコンテナを搭載可能であり、かつ人力で移動及び変形が困難な太い給電ケーブルを、船舶と岸壁の間で短時間に容易に掛け渡して配線することができる船用給電パッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、矩形断面を有し所定の長さを有する海上輸送用のコンテナに収容された船用給電パッケージであって、
先端部に陸側接続プラグを有し陸側から電力を受電する陸側給電ケーブルと、
該陸側給電ケーブルの末端部に陸電パネルを介して電気的に接続され、末端部に船側接続プラグを有し船側に電力を送電する船側給電ケーブルと、
前記陸側給電ケーブルをコンテナ内で巻き取り/巻き戻しするケーブルリール装置と、
前記コンテナの側面から外側に張り出した張出位置とコンテナの内側に収容された収容位置との間を移動可能であり、前記陸側給電ケーブルを前記張出位置で下方に向けて案内するケーブルガイドと、
前記船側接続プラグがコンテナの内側に収容される収容位置とコンテナの外側下方に位置する接続位置との間を、前記船側給電ケーブルを昇降させるケーブルリフトと、を備えたことを特徴とする船用給電パッケージが提供される。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ケーブルリール装置は、コンテナの長さ方向に延びる回転軸を中心に回転するケーブルリールを有し、
前記ケーブルガイドは、前記収容位置で前記ケーブルリール装置の下方に収容される。
【0013】
また、前記コンテナは、その側面に設けられ前記ケーブルガイドが通過可能なガイド用開口と、該ガイド用開口をケーブルガイドの移動に連動して開閉するガイド用開閉扉とを有する。
【0014】
また、前記コンテナの長さ方向両端部にそれぞれ、前記船側給電ケーブルおよびケーブルリフトが別個に設けられ、
前記コンテナは、長さ方向両端部にそれぞれ、各船側給電ケーブルの船側接続プラグを接続する電気的に接続されていないダミーソケットを有する。
【0015】
また、船体に固定され前記コンテナの長さ方向両端部を支持する1対の両端支持部材と、
該両端支持部材の少なくとも一方の側面に取付けられ、コンテナの外側下方に位置する前記接続位置の船側接続プラグと電気的に接続可能な船側給電ソケットとを有する。
【0016】
また、船舶内の受電遮断器と複数の船側給電ソケットとを電気的に接続する切替盤を備え、該切替盤は、複数の船側給電ソケットのうち1つのみに排他的に接続する。
【発明の効果】
【0017】
上記本発明の構成によれば、ケーブルガイドが、海上輸送用のコンテナの側面から外側に張り出した張出位置で、前記陸側給電ケーブルを下方に向けて案内するので、ケーブルリール装置で陸側給電ケーブルを繰り出し、ケーブルガイドでそのまま甲板から20メートル程度下の岸壁まで船体に当たらないように降ろし、岸壁に設置された外部電源端子に接続することができる。
従って、人力で移動及び変形が困難な太い陸側給電ケーブルを、船舶から岸壁に短時間に容易に掛け渡して岸壁に設置された外部電源端子に接続することができる。
【0018】
また、このケーブルガイドは、不使用時にコンテナの内側の格納位置に収容されるので、一般の海上輸送用コンテナの設置位置に船体から張り出さずに設置でき、船舶の運航に支障を与えない。
また一般の海上輸送用コンテナの設置位置に設置し、その上に一般コンテナを搭載できるので、船舶の積載能力はほとんど低下しない。
【0019】
また、ケーブルリフトにより、船側接続プラグがコンテナの内側に位置する収容位置からコンテナの外側下方に位置する接続位置まで、船側給電ケーブルを下降させることができるので、人力で移動及び変形が困難な太い船側給電ケーブルを、ケーブルリフトの操作のみで船用給電パッケージから船体に固定された船側給電ソケットに接続することができる。
【0020】
また、前記ケーブルリール装置が、コンテナの長さ方向に延びる回転軸を中心に回転するケーブルリールを有する構成により、コンテナの側面から外側に陸側給電ケーブルを円滑に巻き取り/巻き戻しすることができる。
さらに、前記ケーブルガイドが、前記収容位置で前記ケーブルリール装置の下方に収容される構成により、一般の海上輸送用コンテナの矩形断面内に無理なく収容することができる。
【0021】
また、前記コンテナが、その側面に設けられ前記ケーブルガイドが通過可能なガイド用開口と、該ガイド用開口をケーブルガイドの移動に連動して開閉するガイド用開閉扉とを有する構成により、コンテナの側面から外側に張り出した位置でのガイド用開閉扉の開閉作業を無くし、作業性を高めることができる。
さらに、閉鎖位置でガイド用開閉扉を水密にすることが容易にできる。
【0022】
また、前記コンテナの長さ方向両端部にそれぞれ、前記船側給電ケーブルおよびケーブルリフトが別個に設けられる構成により、船用給電パッケージをケーブルガイドが張り出す側を外側にして船体の右舷、左舷のどちらに設置した場合でも、コンテナの長さ方向両端部の船首側(または船尾側)の船側給電ケーブルおよびケーブルリフトを使用することができる。従って船舶側の設備計画に自由度があり、係留装置への影響を最小限とできる。
さらに、前記コンテナが、長さ方向両端部にそれぞれ、各船側給電ケーブルの船側接続プラグを接続する電気的に接続されていないダミーソケットを有する構成により、使用していない船側接続プラグを安全に保管することができる。
従って、接続装置は使用しない場合は格納されており、給電パッケージを搭載したまま航海する場合でも、接続装置が風雨に曝されるおそれがなく、設備の信頼性が確保される。
【0023】
また、船体に固定され前記コンテナの長さ方向両端部を支持する1対の両端支持部材と、該両端支持部材の少なくとも一方の側面に取付けられ、コンテナの外側下方に位置する前記接続位置の船側接続プラグと電気的に接続可能な船側給電ソケットとを有する構成により、ケーブルリフトにより、船側接続プラグを船側給電ソケットの近くまで下降させることができるので、船用給電パッケージから船体に固定された船側給電ソケットへの接続作業が容易かつ迅速にできる。
【0024】
また、船舶内の受電遮断器と複数の船側給電ソケットとを電気的に接続する切替盤を備え、該切替盤は、複数の船側給電ソケットのうち1つのみに排他的に接続する構成により、船体の右舷、左舷の両方に船用給電パッケージを設置した場合でも、或いは航路により1台の船用給電パッケージを左舷と右舷で積み替えることがあっても、船舶の高圧配電盤に増設する受電盤の遮断器は1台のみにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0026】
図1は、本発明の船用給電パッケージの全体構成図である。この図において、(A)はコンテナ12の側面図、(B)はそのB−B矢視図である。本発明の船用給電パッケージ10は、後述する一部の構成部品を除き全体が海上輸送用のコンテナ12に収容されている。
【0027】
このコンテナ12は、矩形断面を有し所定の長さを有する。好ましくは、コンテナ12は、コンテナ船に一般的に用いられる40フィートコンテナ(例えばこの例では、幅約2.3m×高さ約2.9m×長さ約12m)であり、岸壁に備えられているコンテナクレーンで岸壁と船舶との間で積込み及び積下ろしが容易にできるようになっている。
【0028】
コンテナ12は、各面が水密に構成されたドライコンテナであるのが好ましい。しかし本発明は、これに限定されず、その他のコンテナでもよく、40フィートコンテナ以外のコンテナでも、開口部、開閉部、吊り部等を任意に設定したコンテナであってもよい。
【0029】
図1(A)(B)において、コンテナ12は、側面中央部に、後述するケーブルガイド20が通過可能なガイド用開口12aと、このガイド用開口12aをケーブルガイド20の移動に連動して開閉するガイド用開閉扉13とを有する。
また、コンテナ12は、長さ方向両端部の下面にそれぞれ、船側接続プラグ用のプラグ用開口12b(図示せず:図2参照)を有し、船側給電ケーブル16の船側接続プラグ17がコンテナの内側から外側下方まで通過できるようになっている。
さらに、コンテナ12は、長さ方向両端部の下面に、低圧ケーブルと信号線を通す低圧ライン用開口12c(図示せず:図2参照)を有し、この開口を通して低圧ケーブルと信号線を外部に引き出すことができるようになっている。
【0030】
上述したガイド用開口12a、プラグ用開口12b、および低圧ライン用開口12cは、船舶が航海する不使用時には、開閉扉で水密に閉鎖し、接続装置が風雨に曝されるおそれがなく、設備の信頼性を確保するようになっている。
なお、低圧ケーブルと信号線は、航海中も使用できるように、防水コネクタを用いて接続するのが好ましい。
【0031】
図2(A)(B)は図1(B)のC−C断面図(A)とD−D断面図(B)である。
この図に示すように、本発明の船用給電パッケージ10は、さらに陸側給電ケーブル14、船側給電ケーブル16、ケーブルリール装置18、ケーブルガイド20(図示せず:図3参照)、およびケーブルリフト22を備える。
【0032】
陸側給電ケーブル14は、先端部に陸側接続プラグ14aを有し、岸壁に設置された外部電源端子に接続して、陸側から電力を受電する。陸側給電ケーブル14は、大型船舶に使用される給電ケーブルであり、この例では、6600V用の2本の高圧ケーブルであり、それぞれ直径が50〜200ミリ以上に達するキャプタイヤケーブルからなる。なお、陸側給電ケーブル14の使用本数は、給電する電力に応じて、1本でも3本以上でもよい。
【0033】
船側給電ケーブル16は、陸側給電ケーブル14の末端部(例えばケーブルリール装置18のスリップリング)に陸電パネル15を介して電気的に接続されている。また、船側給電ケーブル16は、末端部に船側接続プラグ17を有し、船体に固定された船側給電ソケットに接続して、船側に電力を送電する。
この船側給電ケーブル16は、陸側給電ケーブル14と同一であり、この例では、6600V用の2本の高圧ケーブルであり、それぞれ直径が50〜200ミリ以上に達するキャプタイヤケーブルからなる。なお、船側給電ケーブル16の使用本数は、給電する電力に応じて、1本でも3本以上でもよい。
【0034】
陸電パネル15は、図5に示すように、内部に陸側給電ケーブル14と船側給電ケーブル16を電気的にON/OFFする遮断器15a、これを制御および監視する制御装置15b、および容量切替スイッチ15cを備える。
遮断器15aは、高電圧系統の場合、VCB(Vacuum Circuit Breaker)であり、低電圧系統の場合、ACB(Air Circuit Breaker)であるのが好ましい。
なお、変圧器を船用給電パッケージ10内に備えるか、または船内に備え、外部電源の電圧(例えば6600V)を低電圧(例えば440V)に変圧し、或いは逆に低電圧の外部電圧を高電圧に変圧してもよい。
【0035】
ケーブルリフト22は、船側給電ケーブル16の一部を支持するケーブル吊り具22aと、これを上下動させるウインチ22bとからなり、船側接続プラグ17がコンテナの内側に収容される収容位置Hとコンテナの外側下方に位置する接続位置Lとの間を、船側給電ケーブル16を昇降させるようになっている。
【0036】
船側給電ケーブル16およびケーブルリフト22はそれぞれ、コンテナ12の長さ方向両端部に別個に設けられ、そのどちらを船体に固定された船側給電ソケットに接続しても給電できるようになっている。
【0037】
また、コンテナ12は、長さ方向両端部にそれぞれ、各船側給電ケーブル16の船側接続プラグ17を接続する電気的に接続されていないダミーソケット24を有し、使用していない船側接続プラグ17を安全に保管するようになっている。
【0038】
図3は図2(A)のA−A断面図であり、(A)はケーブルガイドの収容位置、(B)はケーブルガイドの張出位置を示す。
ケーブルリール装置18は、陸側給電ケーブル14をコンテナ12内で巻き取り/巻き戻しする装置であり、コンテナの長さ方向に延びる回転軸を中心に回転するケーブルリール19を有する。ケーブルリール装置18は、電動であり、上述した陸電パネル15によりその巻き取り/巻き戻しが制御される。この図において、ケーブルリール19が左回転することにより陸側給電ケーブル14が巻き戻しされ、右回転することによりケーブルリール19に巻き取られる。
【0039】
ケーブルガイド20は、陸側給電ケーブル14を下方に向けて案内するガイド部20aと、ガイド部20aをコンテナの側面から外側に向けて水平移動可能に案内する水平ガイド20bとからなる。ガイド部20aは図示しない電動アクチュエータにより、水平ガイド20bから水平に移動し、コンテナの側面から外側に張り出した張出位置Aとコンテナの内側に収容された収容位置Bとの間を移動可能になっている。
また、ガイド部20aは、張出位置Aで、陸側給電ケーブル14を下方に向けて案内し、収容位置Bで水平ガイド20bは、ケーブルリール装置18の下方に収容されるようになっている。この収容位置Bにおいて、ガイド部20aと陸側接続プラグ14aは、ケーブルリール装置18と水平ガイド20bの隙間に収容される。
【0040】
上述したガイド用開閉扉13は、矩形扉であり、その上縁が蝶番によりコンテナ12のガイド用開口12aの上部に取付けられている。この構成により、ケーブルガイド20が収容位置Bから張出位置Aへ移動する際に、ガイド部20aによりガイド用開閉扉13を内側から押して外方に連動して開くことができる。
なお、ガイド用開閉扉13の開閉機構はこの構成に限定されず、下縁に蝶番を設けてもよく、或いは上下動してもよい。
【0041】
図4は、本発明の船用給電パッケージ10の使用形態を示す平面図である。
この例では2基の船用給電パッケージ10をケーブルガイド20が張り出す側を外側にして船体の右舷と左舷の両方に設置している。2基の船用給電パッケージ10の構成は全く同一である。なお、2基の船用給電パッケージ10の設置位置は、一般の海上輸送用コンテナの設置位置にうち、最も外側に設置するのがよい。
この使用形態により、ケーブルガイド20が、海上輸送用のコンテナの側面から外側に張り出した張出位置Aで、陸側給電ケーブル14を下方に向けて案内するので、ケーブルリール装置18で陸側給電ケーブル14を繰り出し、ケーブルガイド20でそのまま甲板から20メートル程度下の岸壁まで船体に当たらないように降ろし、岸壁に設置された外部電源端子に接続することができる。従って、人力で移動及び変形が困難な太い陸側給電ケーブル14を、船舶から岸壁に短時間に容易に掛け渡して岸壁に設置された外部電源端子に接続することができる。
【0042】
図5は、図4のA−A矢視図(A)とB−B矢視図(B)である。
この図に示すように、本発明の船用給電パッケージ10は、それぞれコンテナ12の外部に1対の両端支持部材32と船側給電ソケット34を有する。
1対の両端支持部材32は、船体に固定されコンテナ12の長さ方向両端部を支持する。
船側給電ソケット34は、両端支持部材32の少なくとも一方の側面に取付けられ、コンテナの外側下方に位置する接続位置Lの船側接続プラグ17と電気的に接続するようになっている。
なお、この図で36は、低圧ライン用ソケットであり、この例では両端支持部材32の側面に取付けられているが、防水コネクタを用いて低圧ライン用開口12cの扉、あるいはその近傍に設けてもよい。
【0043】
図6は、船尾側から見た本発明の船用給電パッケージ10の配線図である。
この図において、1と2は船舶内の既設の遮断器、3は新設の受電用遮断器、4は受電用遮断器を制御及び監視する制御装置である。また、この図において太線は6600Vの高圧ライン、細線は440Vの低圧ライン、破線は信号ラインである。
この図に示すように、本発明の船用給電パッケージ10は、コンテナ12の外部にさらに切替盤38を備える。この切替盤38は、船舶内の受電遮断器3と複数(この例では2つ)の船側給電ソケット34とを電気的に接続し、かつ複数の船側給電ソケットのうち1つのみに排他的に接続するようになっている。
なお、低圧ラインは、図示しない船内の低圧ラインに接続される。また図中の39は、高圧端子盤である。
【0044】
上述した本発明の構成によれば、ケーブルガイド20が、海上輸送用のコンテナ12の側面から外側に張り出した張出位置Aで、陸側給電ケーブル14を下方に向けて案内するので、ケーブルリール装置18で陸側給電ケーブル14を繰り出し、ケーブルガイド20でそのまま甲板から20メートル程度下の岸壁まで船体に当たらないように降ろし、岸壁に設置された外部電源端子に接続することができる。従って、人力で移動及び変形が困難な太い陸側給電ケーブル14を、船舶から岸壁に短時間に容易に掛け渡して岸壁に設置された外部電源端子に接続することができる。
【0045】
また、このケーブルガイド20は、不使用時にコンテナ12の内側の格納位置Bに収容されるので、一般の海上輸送用コンテナの設置位置に船体から張り出さずに設置でき、船舶の運航に支障を与えない。
また一般の海上輸送用コンテナの設置位置に設置し、その上に一般コンテナを搭載できるので、船舶の積載能力はほとんど低下しない。
【0046】
また、ケーブルリフト22により、船側接続プラグ17がコンテナの内側に位置する収容位置Hからコンテナの外側下方に位置する接続位置Lまで、船側給電ケーブル16を下降させることができるので、人力で移動及び変形が困難な太い船側給電ケーブル16を、ケーブルリフト22の操作のみで船用給電パッケージから船体に固定された船側給電ソケットに接続することができる。
【0047】
また、ケーブルリール装置18が、コンテナ12の長さ方向に延びる回転軸を中心に回転するケーブルリール19を有する構成により、コンテナの側面から外側に陸側給電ケーブル14を円滑に巻き取り/巻き戻しすることができる。
さらに、ケーブルガイド20が、収容位置Bでケーブルリール装置18の下方に収容される構成により、一般の海上輸送用コンテナの矩形断面内に無理なく収容することができる。
【0048】
また、コンテナ12が、その側面に設けられケーブルガイド20が通過可能なガイド用開口12aと、ガイド用開口12aをケーブルガイド20の移動に連動して開閉するガイド用開閉扉13とを有する構成により、コンテナの側面から外側に張り出した位置でのガイド用開閉扉13の開閉作業を無くし、作業性を高めることができる。
さらに、閉鎖位置でガイド用開閉扉13を水密にすることが容易にできる。
【0049】
また、コンテナ12の長さ方向両端部にそれぞれ、船側給電ケーブル16およびケーブルリフト22が別個に設けられる構成により、船用給電パッケージ10をケーブルガイド20が張り出す側を外側にして船体の右舷、左舷のどちらに設置した場合でも、コンテナの長さ方向両端部の船首側(または船尾側)の船側給電ケーブル16およびケーブルリフト22を使用することができる。従って船舶側の設備計画に自由度があり、係留装置への影響を最小限とできる。
さらに、コンテナ12が、長さ方向両端部にそれぞれ、各船側給電ケーブル16の船側接続プラグ17を接続する電気的に接続されていないダミーソケット24を有する構成により、使用していない船側接続プラグ17を安全に保管することができる。従って、接続装置は使用しない場合は格納されており、給電パッケージを搭載したまま航海する場合でも、接続装置が風雨に曝されるおそれがなく、設備の信頼性が確保される。
【0050】
また、船体に固定されコンテナ12の長さ方向両端部を支持する1対の両端支持部材32と、両端支持部材32の少なくとも一方の側面に取付けられ、コンテナ12の外側下方に位置する接続位置Lの船側接続プラグ17と電気的に接続可能な船側給電ソケット34とを有する構成により、ケーブルリフト22により、船側接続プラグ17を船側給電ソケット34の近くまで下降させることができるので、船用給電パッケージから船体に固定された船側給電ソケット34への接続作業が容易かつ迅速にできる。
【0051】
また、船舶内の受電遮断器3と複数の船側給電ソケット34とを電気的に接続する切替盤38を備え、切替盤38は、複数の船側給電ソケット34のうち1つのみに排他的に接続する構成により、船体の右舷、左舷の両方に船用給電パッケージ10を設置した場合でも、或いは航路により1台の船用給電パッケージ10を左舷と右舷で積み替えることがあっても、船舶の高圧配電盤に増設する受電盤の遮断器3は1台のみにできる。
【0052】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の船用給電パッケージの全体構成図である。
【図2】図1(B)のC−C断面図(A)とD−D断面図(B)である。
【図3】図2(A)のA−A断面図である。
【図4】本発明の船用給電パッケージの使用形態を示す平面図である。
【図5】図4のA−A矢視図(A)とB−B矢視図(B)である。
【図6】船尾側から見た本発明の船用給電パッケージの配線図である。
【図7】特許文献1のコンテナ載置型受電設備の模式図である。
【図8】特許文献2の船用給電装置の模式図である。
【図9】特許文献3の船用給電パッケージの模式図である。
【符号の説明】
【0054】
1,2 船舶内の既設遮断器、3 受電用遮断器、4 制御装置、
10 船用給電パッケージ、12 コンテナ、
12a ガイド用開口、12b プラグ用開口、
12c 低圧ライン用開口、13 ガイド用開閉扉、
14 陸側給電ケーブル、14a 陸側接続プラグ、
15 陸電パネル、15a 遮断器、15b 制御装置、
15c 容量切替スイッチ、16 船側給電ケーブル、
17 船側接続プラグ、18 ケーブルリール装置、
19 ケーブルリール、20 ケーブルガイド、
20a ガイド部、20b 水平ガイド、
22 ケーブルリフト、22a ケーブル吊り具、
22b ウインチ、24 ダミーソケット、
32 両端支持部材、34 船側給電ソケット、
36 低圧ライン用ソケット、38 切替盤、39 高圧端子盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形断面を有し所定の長さを有する海上輸送用のコンテナに収容された船用給電パッケージであって、
先端部に陸側接続プラグを有し陸側から電力を受電する陸側給電ケーブルと、
該陸側給電ケーブルの末端部に陸電パネルを介して電気的に接続され、末端部に船側接続プラグを有し船側に電力を送電する船側給電ケーブルと、
前記陸側給電ケーブルをコンテナ内で巻き取り/巻き戻しするケーブルリール装置と、
前記コンテナの側面から外側に張り出した張出位置とコンテナの内側に収容された収容位置との間を移動可能であり、前記陸側給電ケーブルを前記張出位置で下方に向けて案内するケーブルガイドと、
前記船側接続プラグがコンテナの内側に収容される収容位置とコンテナの外側下方に位置する接続位置との間を、前記船側給電ケーブルを昇降させるケーブルリフトと、を備えたことを特徴とする船用給電パッケージ。
【請求項2】
前記ケーブルリール装置は、コンテナの長さ方向に延びる回転軸を中心に回転するケーブルリールを有し、
前記ケーブルガイドは、前記収容位置で前記ケーブルリール装置の下方に収容される、ことを特徴とする請求項1に記載の船用給電パッケージ。
【請求項3】
前記コンテナは、その側面に設けられ前記ケーブルガイドが通過可能なガイド用開口と、該ガイド用開口をケーブルガイドの移動に連動して開閉するガイド用開閉扉とを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の船用給電パッケージ。
【請求項4】
前記コンテナの長さ方向両端部にそれぞれ、前記船側給電ケーブルおよびケーブルリフトが別個に設けられ、
前記コンテナは、長さ方向両端部にそれぞれ、各船側給電ケーブルの船側接続プラグを接続する電気的に接続されていないダミーソケットを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の船用給電パッケージ。
【請求項5】
船体に固定され前記コンテナの長さ方向両端部を支持する1対の両端支持部材と、
該両端支持部材の少なくとも一方の側面に取付けられ、コンテナの外側下方に位置する前記接続位置の船側接続プラグと電気的に接続可能な船側給電ソケットとを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の船用給電パッケージ。
【請求項6】
船舶内の受電遮断器と複数の船側給電ソケットとを電気的に接続する切替盤を備え、該切替盤は、複数の船側給電ソケットのうち1つのみに排他的に接続する、ことを特徴とする請求項1に記載の船用給電パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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