説明

船舶からの転落事故のための受動型セキュリティシステムおよび装置

船舶からの転落事故のための受動型セキュリティシステムおよび個人用装置。個人用装置は、船舶の乗組員が装着するように準備されており、ベルト(4)へ統合された第一モジュール(2)と、第一モジュール(2)の中で折りたたまれ、第一モジュール(2)に少なくとも一本のストラップ(6)で取り付けられた救命胴衣(5)と、第一モジュール(2)の内部に配置され、救命胴衣(5)に連結され、転落事故を検知したとき、救命胴衣(5)を膨らませるように構成された第二モジュール(8)とを備え、第一モジュール(2)は、救命胴衣(5)の膨らむ動きによって開かれ、救命胴衣(5)がモジュールの外側へ出て行くように構成されているフラップ(3)を後部に備えている。船舶からの転落事故のための受動型セキュリティ要素として使用され、即時の検知と迅速な救出を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的にいえば、“人が船舶から転落する(Man Over Board;MOB)”事故のための受動型セキュリティシステムに関し、転落事故の即時の検知と、自力、付近の船舶、あるいは公的な救助サービスによる迅速な救出を可能にするものである。
【背景技術】
【0002】
船舶からの転落事故のための従来のセキュリティシステムは、高価で複雑であるし、また、海へ落ちることが起こり難く、自力の救助手段を備えていて、沈む時間が数分間続く大型船舶向けに企画され、設計されている。
【0003】
様々なタイプの救命胴衣や個人向けビーコンが存在しているが、どれも一つのセキュリティシステムとして統合されていない。救命胴衣は船員を浮いた状態に保つことに限定されており、個人向けビーコンは一般的な信号を送信することに限定されている。
【0004】
出願人自身が権利所持者である、実用新案第1068634号には、転落事故が起こると、ベルトに取り付けられた救命ブイが自動的に膨らむ緊急用装置が記載されている。この先行発明は、本発明により、浮揚性、人間工学、救助性能の面で改良されており、また公的な救助サービスと直接的に統合されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、船舶からの転落事故のための受動型セキュリティシステムであり、
船舶の乗組員によって携行されるように準備され、ベルトに統合された第一モジュールを含む、少なくとも一個の個人用装置と、
船舶に搭載された、船上装置と、
を含む。
【0006】
個人用装置の第一モジュールおよび船上装置は、無線通信モジュールを備えている。そして、それらがRF無線リンク(radio-frequency link)を確立することによって、船上装置が、前記リンクを通じて、個人用装置が船上にあることをモニタし、転落事故によって、個人用装置が船上にないことを検知した場合、船内にいる少なくとも一人の船員に向けてアラーム信号を送信するように構成されている。
【0007】
さらに、個人用装置は、
前記第一モジュールの中で折りたたまれ、当該第一モジュールに少なくとも一本のストラップによって取り付けられた救命胴衣と、
前記第一モジュールの内部に配置され、前記救命胴衣に連結され、転落事故を検知したとき、前記救命胴衣を膨らませるように構成された第二モジュールとを含み、
前記第一モジュールは、前記救命胴衣の膨らむ動きによって開かれるように構成された1つのフラップを後部に備えて、前記救命胴衣が前記第一モジュールの外側へ出てゆくことを可能にしている。
【0008】
前記個人用装置の前記第二モジュールは、ある特定の周波数でアラーム信号を送信するラジオビーコンを備え、転落事故が発生したときに、前記ラジオビーコンを起動するように構成されることが好ましい。
【0009】
前記船上装置は、表示スクリーンと、各個人用装置のラジオビーコンから発せられるアラーム信号を受け取るように構成された無線信号受信機とを備え、アラーム信号を受け取った場合に、前記表示スクリーンを用いて、アラーム信号を送信する個人用装置の位置へ、船舶を誘導するように構成されてもよい。
【0010】
さらに、前記システムは、陸上に、GSM通信システムを有する通信サーバを備えてもよい。ここで、前記個人用装置の前記第二モジュールは、携帯通信モジュールおよび衛星位置特定モジュールを備え、転落事故が起こった時に、衛星位置特定モジュールから得られた位置情報を含めたアラームメッセージを、通信サーバに携帯通信モジュールを用いて送信するように構成されてもよい。
【0011】
個人用装置の第二モジュールは、
船上装置との、無線通信モジュールを用いたRF無線リンクが存在していることを確認し、
衛星位置特定モジュールを用いて、位置情報を受信していることを確認し、
携帯通信モジュールの通信範囲が存在していることを確認する
ことによって、転落事故を自動的に検知するように構成されていることが好ましい。
【0012】
さらに、前記システムは、陸上に、GSM通信システムを有する通信サーバを備え、船上装置は携帯通信モジュールおよび衛星位置特定モジュールを備え、前記船上装置は、転落事故が起こった時に、衛星位置特定モジュールによって得られる位置情報を含めたアラームメッセージを、通信サーバに携帯通信モジュールを用いて送るように構成されていてもよい。
【0013】
前記通信サーバは、アラームメッセージを受信したとき、
前記アラームメッセージに含まれた位置情報を取得し、
前記位置情報の示す位置を中心として、あらかじめ定められた半径内に存在する、少なくとも一隻の船舶を特定し、
前記少なくとも一隻の船舶へ、前記取得した位置情報と共にアラームメッセージを送信する、
ように構成されてもよい。
【0014】
前記通信サーバは、アラームメッセージを受信したとき、
前記アラームメッセージに含まれる位置情報を取得し、
前記救助サービスに、前記取得した位置情報と共にアラームメッセージを送る、
ように構成されてもよい。
【0015】
前記船上装置は、DSCメッセージ送信機および衛星位置特定モジュールを備え、転落事故が起こったときには、衛星位置特定モジュールによって得られた、船舶の位置情報を含むDSCヘルプメッセージを送るように構成されている。
【0016】
前記船上装置は、DSCメッセージ受信機および表示スクリーンを備え、位置情報を含むDSC警報メッセージを受信した時、前記位置情報を取得し、表示スクリーンを用いて、前記位置情報が示す位置へ船舶を誘導するように構成されることが好ましい。
【0017】
各個人用装置の第二モジュールの無線通信モジュールおよび船上装置の無線通信モジュールは、Bluetooth(登録商標)モジュールまたはZigbeeモジュールであってもよい。
【0018】
また、船舶からの転落事故のための、船舶の乗組員によって携行されるように準備された受動型セキュリティ個人用装置も本発明の目的である。前記受動型セキュリティ個人用装置は、
ベルトに統合された第一モジュールと、
前記第一モジュールの中に折りたたまれ、当該第一モジュールに少なくとも一本のストラップによって取り付けられた救命胴衣と、
前記第一モジュールの内部に配置され、前記救命胴衣に連結され、転落事故を検知したとき、前記救命胴衣を膨らませるように構成された第二モジュールとを含み、
前記第一モジュールは、前記救命胴衣の膨らむ動きによって開かれるように構成された1つのフラップを後部に備えて、前記救命胴衣が前記第一モジュールの外側へ出てゆくことを可能にしている。
【0019】
前記第二モジュールは、衛星位置特定モジュールと、携帯通信モジュールと、船舶の船上装置とのRF無線リンクを確立する無線通信モジュールと、を備えることが好ましい。前記第二モジュールは、
前記無線通信モジュールを用いた、船上装置とのRF無線リンクが存在していることを確認し、
衛星位置特定モジュールを用いて、位置情報を受信していることを確認し、
携帯通信モジュールの通信範囲が存在していることを確認する
ことによって、転落事故を自動的に検知するように構成されていることが好ましい。
【0020】
前記第二モジュールは、ある特定の周波数でアラーム信号を送信するラジオビーコンを備え、転落事故が起こったときに、前記ラジオビーコンを起動するように構成されてもよい。
【0021】
前記第一モジュールは、携帯通信モジュールおよび衛星位置特定モジュールを備え、転落事故が起こった時に、衛星位置特定モジュールによって取得された位置情報を含めたアラームメッセージを、通信サーバへ携帯通信モジュールを用いて送信するように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明は以下の効果を奏する。
【0023】
即時の検知:前記システムは、3つの異なるシステムから送信される3つの異なる信号を組み合わせる独自のアルゴリズムによって、転落事故を素早くかつ非常に高精度に検知する。
【0024】
迅速な救助:最善の救助は一番近い船舶による救助であるという原則に基づくため、難破者の船と付近の船と公的な救助サービスとに、位置情報を含めて報知し、手助けをする。
【0025】
正確な位置特定:より近くの可能性のある“救助者”に報知することに加えて、難破者のGPS位置に関する情報を提供するとともに、船上装置の指示に従って前記GPS位置へ誘導する機能を提供する。
【0026】
救助サービスとの統合:システム自身が位置特定機能を有し、転落事故をモニタすることに加えて、システムは、125.5MHzのラジオビーコンのみならず、IMO(International Maritime Organization)がVHFチャンネル70に設定した周波数でもまた、アラームを送信するので、世界中の救助システムと統合されることを保証する。その上、船上装置は、前記システムは備えていないが、船上の通信システムを使用してメッセージを送信する機能を有する他の船舶からVHFチャンネル70にて送信された転落事故の警報をモニタする。
【0027】
浮揚性:自己膨張型救命胴衣と組み合わせることによって、前記システムは、難破者が浮揚することを保証し、したがって難破者が生きていなかったときでも、遺体の位置特定を保証する。
【0028】
人間工学的デザイン:従来の救命胴衣と違って、ベルトに統合されているので、邪魔にならず、全くの常態で、船上でのいかなる仕事でも行うことを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明をよりよく理解するための助けとなる、発明を制限しない例としての本発明の実施形態に関連する図面の簡単な説明を、以下に示す。
【図1】本発明のシステムの一部である、乗船中の人によって携行される個人用装置を示す。
【図2】救命胴衣が膨らんだ状態の個人用装置を示す。
【図3】ベルトに統合された、個人用装置の第一モジュールを示す。
【図4A】救命胴衣に統合された、個人用装置の第二モジュールの内部を示す図である。
【図4B】救命胴衣に統合された、個人用装置の第二モジュールの正面図である。
【図5】受動型セキュリティシステムの一部である船上装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、船舶からの転落事故のための受動型セキュリティシステムからなり、転落事故を素早く検知し、難破者の船、システムのあるなしにかかわらず付近の船、または公的な救助サービスにより素早く救助することを可能にする。
【0031】
前記システムは、以下の要素で構成される:
−人に物理的に取り付けられる個人用装置、
−船舶に搭載される船上装置、
−陸上に配置され、前記システムの異なる構成要素間でのGSM通信の制御を担う通信サーバ。
【0032】
個人用装置1は、図1(救命胴衣が第一モジュール2の中に折りたたまれている)および図2(救命胴衣が膨らんでいる)に示すように、以下のものを含む。
【0033】
・第一モジュール2。クリップで留めるタイプのベルト4へ統合され、使用者の背の位置へ来るように調整される。
【0034】
・救命胴衣5。第一モジュール2の中へ折りたたまれ、上部が第一モジュール2に取り付けられ(第一ストラップ6を用いて取り付けられるのが好ましい)、救命胴衣が膨らんでいる状態の時には、下部はベルト4と連結できる(例えば、第二ストラップ6’を用いてベルト4の留め金7に取り付けられる)。
【0035】
・第二モジュール8。第一モジュール2の中に配置され、救命胴衣5に連結され、転落事故が起こった時に、救命胴衣5を膨らませる役割を担う。この第二モジュール8によって救命胴衣5が膨らんだ時、第一モジュール2より垂れ下がった、または(例えばマジックテープ(登録商標)によって)弱く取り付けられたフラップ3が持ち上がると、救命胴衣5および第二モジュール8は、力を受けて、第一モジュール2の後部の開口から外側へ出る。救命胴衣と第二モジュールのセットは、救命胴衣5と互いに結合されたストラップ6によって、第一モジュール2に取り付けられている。
【0036】
図3は、ベルト4に統合された、個人用装置1の第一モジュール2を示す図である。第一モジュール2は、制御用電子回路と、GSM通信モジュールと、BluetoothまたはZigbee通信モジュールと、GPS受信機と、121.5MHzラジオビーコンとを、すべて防水ケースに入れた状態で含む、第二モジュール8を内蔵している。
【0037】
図4Aおよび4Bは、それぞれ、個人用装置1の第二モジュール8の内部を示す図および正面図である。ここで、個人用装置1は、救命胴衣5に連結された2つのCOボトル9と、それに穴をあけるための電子システムとを備えている。図4Bに示すように、救命胴衣5は折りたたまれて、第二モジュール8の後部に連結される。図4Aに示す好ましい実施形態では、穴あけシステムは、1つのサーボモータ14と、2つの保持具15と、4つのばねと、2つの銃剣(bayonets)17とで構成される。動作は以下の通りである。
【0038】
いったん搭載されると、システムは、ばね16が保持具15によって撓められて、固定された状態となる。
【0039】
システムが救命胴衣を膨らませるべきと判断した時、システムはサーボモータ14に作用する。
【0040】
サーボモータ14は保持具15を外し、その結果、ばね16は開放されて延びる。
【0041】
ばねが延びることで及ぼされる力によって、銃剣17がCOボトル9に穴をあける。これにより、(転落事故が発生して)システムが起動した時に、COボトル9が自動的に救命胴衣5を膨らませる。COボトルおよび電子システムは防水ケースの中にある。
【0042】
個人用装置1の両モジュール(第一モジュール2、第二モジュール8)は、アラームの発火または解除をすると共に、個人用装置のオンとオフとを切り換えるために、起動ボタンを備えている。とりわけ、以下の3つのボタンを備えている。1つはオン/オフ動作のためのボタン、他の2つは、同時に押された時に、転落事故を検知した時の状態または手動で発火させた同様の状態を解除するためのボタンである。
【0043】
図5は、船上装置10を示す図である。船上装置10は、船舶に搭載される装置である。船上装置10は、以下のものを含む:
・制御電子回路
・表示スクリーン12
・オン/オフ動作のためのボタン13。メニューを使用したり、アラームが鳴る状況で音声信号を切ったりする。ユーザインターフェースとしてタッチスクリーンを利用することもできる。
【0044】
・GSM通信モジュール
・BluetoothまたはZigbee通信モジュール
・GPS受信機
・VHFのチャンネル70によるDSC(Deep Sound Channel)メッセージ送信機および受信機
・121.5MHzの無線信号受信機
・100dBサイレン。
【0045】
最後に、通信サーバは、途切れることのない動作を保証するために、一つかそれ以上の中間サーバ型のコンピュータをかためて配置することによって構成されている。
【0046】
船員が海へ落下した場合には、システムは以下のように動作する。
【0047】
−船員が船舶に乗船し、個人用装置1を装着する。
【0048】
−船が船着場を離れ、船上装置が“監視”モードに自動的にセットされる。これにより、船上装置は、常に、BluetoothまたはZigbee通信モジュールを用いて、全船員が船上にいることを確認し、時々、船のGPS位置情報と共にメッセージを通信サーバへ送信する。
【0049】
−ある時、船員が水中に落下する。
【0050】
−10秒以内に、個人用装置1は事故を検知し、第二モジュール8が救命胴衣5を膨らませる。事故を検知するために、個人用装置1は、船上装置とのBluetooth接続があるかを確認する。前記接続がない場合、GPS位置情報を受信しているかを確認する。前記GPS位置情報を受信していない場合、GSM通信範囲があるかを確認する。個人用装置1は、前記確認をある定められた回数(例えば3回)繰り返す。そして、3回の信号で接続がない状態が続いた場合には、個人用装置1は自身が水中にあると判断する。なお、電子回路を内蔵した第二モジュール8が、これらすべての動作を制御する。
【0051】
−船上装置10は事故を検知し、船上の乗組員が救出活動を行うようにサイレンを鳴らす。船上装置は個人用装置とのBluetoothあるいはZigbee接続があるかを常に確認している。前記接続が切れた場合、船上装置は再度、前記確認をある定められた回数(例えば3回)繰り返す。そして、接続を確認できなかった場合、船上装置は個人用装置が船上にないと判断する。
【0052】
−予め定められた時間内に、船員によって救出が為されなかった場合(アラームを解除していない)、以下のことが実行される。
【0053】
・第二モジュール8は、121.5MHzのラジオビーコンを起動する。(ラジオビーコンは、使用者が第二モジュール2の2つのボタンを同時に押すことで、解除されているかもしれない。)そして、第二モジュール8は、GSM通信モジュールを用いて、GPS位置情報を添えたメッセージを通信サーバに送信する。第二モジュール8は、第一モジュール2に設けられた開口部を通じて操作できる2つのボタンを備えている。
【0054】
・船上装置10は、GSMを用いて、メッセージを通信サーバに、アラームおよびGPS位置情報と共に送信する。さらに、船上装置10は、国際MOBアラームメッセージをGPS位置情報と共にVHF無線チャンネル70で、付近の船あるいは陸上の救助ステーションによって受信されるように送信する。
【0055】
−船上装置がVHF無線チャンネル70のアラームの受信確認を受信しなかった場合、船上装置は、通信サーバに転落事故を通知するメッセージを送信する。通信サーバは、(周期的にシステムを搭載している船のGPS位置情報を受信しているので、)システムを搭載している、難破者付近の船を特定し、難破者のGPS位置情報を添えてアラームを送信する。
【0056】
−難破者の船およびシステムを搭載した付近の船の船上装置10は、難破者のGPS位置情報と共にアラームを(船が付近にいる場合にはチャンネル70で、船が付近にいない場合にはGSMによって)受信する。そして、表示スクリーン12によって、船が難破者の場所へ誘導される。
【0057】
−(システムを所持しているか、あるいはVHFのチャンネル70でMOBアラームを受信した)船が付近に存在しない場合、チャンネル70でメッセージを受信した救助サービスが始動させられ、船員が水中に落下した時点での船のGPS位置へ向かう。救助サービスは、121.5MHzのラジオビーコンに助けられて、難破者を発見する。
【0058】
船が沈没する場合、システムは以下のように動作する。
【0059】
−船員が船舶に乗船し、個人用装置1を装着する。
【0060】
−船が船着場を離れると、船上装置10が“監視”モードに自動的にセットされる。これにより、船上装置10は、常に、全船員が船上にいることを確認し、時々、船のGPS位置情報と共にメッセージを通信サーバへ送信する。
【0061】
−ある時、船が沈み、船員が海へ落下する。
【0062】
−10秒以内に、個人用装置1は事故を検知し、第二モジュール8が救命胴衣5を膨らませる。
【0063】
−数秒後、アラームが解除されていなければ、第二モジュール8は、121.5MHzラジオビーコンを起動し、GSM通信モジュールを用いて、GPS位置情報と共にメッセージを通信サーバへ送信する。
【0064】
−通信サーバは難破者(たち)の付近にいる船を特定し、GPS位置情報と共にアラームを送信する。
【0065】
−システムを備えた、付近の船の船上装置10は、(GSMによって到達する、)難破者(たち)のGPS位置情報を添えたアラームを受信し、表示スクリーン12を用いて、船が難破者へと誘導される。
【0066】
−付近に船が存在しない場合、救助サービスが始動させられ、沈没する時点での船のGPS位置へ向かう。救助サービスは、121.5MHzのラジオビーコンに助けられ、難破者の位置を特定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の乗組員が装着するように準備され、ベルト(4)に統合された第一モジュール(2)を含む、少なくとも一つの個人用装置(1)と、前記船舶に搭載された船上装置(10)とを含む、船舶からの転落事故のための受動型セキュリティシステムであって、
各個人用装置(1)の第一モジュール(2)と、船上装置(10)とは、RF無線リンクを確立するための無線通信モジュールを備え、船上装置(10)は、前記リンクを通じて各個人用装置(1)が船舶上に存在していることをモニタし、転落事故によって個人用装置(1)が船舶上に存在しないことを検知した場合、船舶の少なくとも一人の乗組員に向けて、アラーム信号を送信するように構成されており、
個人用装置(1)はさらに、
前記第一モジュール(2)の中に折りたたまれ、当該第一モジュール(2)に少なくとも一本のストラップ(6)で取り付けられた救命胴衣(5)と、
前記第一モジュール(2)の内部に配置され、前記救命胴衣(5)と連結され、転落事故を検知したとき、救命胴衣(5)を膨らませるように構成された第二モジュール(8)とを備え、
前記第一モジュール(2)は、救命胴衣(5)が膨らむ動作によって開かれ、救命胴衣(5)が前記第一モジュール(2)の外へ出て行くように構成された1つのフラップ(3)を、後部に備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記個人用装置(1)の前記第二モジュール(8)は、ある特定の周波数でアラーム信号を送信するためのラジオビーコンを含み、転落事故が起こった時に、前記ラジオビーコンを起動させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記船上装置(10)は、表示スクリーン(12)と、各個人用装置(1)のラジオビーコンから送信されたアラーム信号を受信するように構成された無線信号受信機とを備えており、前記アラーム信号を受信した場合には、表示スクリーン(12)を用いて、前記アラーム信号を送信している前記個人用装置(1)の位置へ船舶を誘導するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
陸上に設置された通信サーバを含み、GSM通信システムを備えており、
前記個人用装置(1)の第二モジュール(8)は、携帯通信モジュールと衛星位置特定モジュールとを含んでおり、転落事故が起こった時には、衛星位置特定モジュールによって得られた位置情報を含むアラームメッセージを、携帯通信モジュールを用いて通信サーバへ送信する、請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
各個人用装置(1)の第二モジュール(8)は、
前記船上装置(10)との、前記無線通信モジュールを用いたRF無線リンクが存在していることを確認し、
前記衛星位置特定モジュールを用いて、位置情報を受信していることを確認し、
前記携帯通信モジュールの通信範囲が存在していることを確認することによって、
転落事故を自動的に検知するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
陸上に、GSM通信システムを有する通信サーバをさらに備え、
前記船上装置(10)は、携帯通信モジュールと衛星位置特定モジュールとを備えており、転落事故が起こった時に、前記衛星位置特定モジュールによって取得された位置情報を含むアラームメッセージを、前記携帯通信モジュールを用いて、前記通信サーバへ送信する、請求項1から5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記通信サーバは、アラームメッセージを受信したとき、
前記アラームメッセージに含まれた前記位置情報を取得し、
前記位置情報の示す位置を中心として、あらかじめ定められた半径内に存在する、少なくとも一隻の船舶を特定し、
前記少なくとも一隻の船舶へ、前記取得した位置情報と共にアラームメッセージを送信するように構成されている、請求項4から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記通信サーバは、アラームメッセージを受信したとき、
前記アラームメッセージに含まれた前記位置情報を取得し、
救助サービスへ、前記取得した位置情報と共にアラームメッセージを送信するように構成されている、請求項4から7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
船上装置(10)は、DSCメッセージ送信機と衛星位置特定モジュールとを備え、転落事故が起こった時には、前記衛星位置特定モジュールによって取得された、船舶の位置情報を含むDSCヘルプメッセージを送信するように構成されている、請求項1から8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
船上装置(10)は、DSCメッセージ受信機と表示スクリーン(12)とを備え、位置情報を含むDSC警報メッセージを受信したとき、前記位置情報を取得し、表示スクリーン(12)を用いて、前記位置情報の位置へ船舶を誘導するように構成されている、請求項1から9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
各個人用装置(1)の第二モジュール(8)の無線通信モジュールおよび船上装置(10)の無線通信モジュールは、BluetoothまたはZigbeeモジュールである、請求項1から10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
船舶の乗組員が携行するように準備され、ベルト(4)へ統合された第一モジュール(2)を含む、船舶からの転落事故のための受動型セキュリティ装置であって、
前記個人用装置(1)が、さらに、
第一モジュール(2)の中へ折りたたまれ、当該第一モジュール(2)に少なくとも一本のストラップ(6)で取り付けられた救命胴衣(5)と、
第一モジュール(2)の中に配置され、救命胴衣(5)に連結されて、転落事故を検知したときに救命胴衣(5)を膨らませるように構成された第二モジュール(8)とを備え、
前記第一モジュール(2)が、救命胴衣(5)の膨らむ動きによって開かれ、開かれた部分から救命胴衣(5)が第一モジュール(2)の外側へと出て行くように構成された、一つのフラップ(3)を、後部に備えることを特徴とする装置。
【請求項13】
前記第二モジュール(8)は、衛星位置特定モジュールと、携帯通信モジュールと、船舶の船上装置(10)とのRF無線リンクを確立する無線通信モジュールとを備えており、
前記第二モジュール(8)は、
前記無線通信モジュールを用いた、前記船上装置(10)とのRF無線リンクが存在していることを確認し、
前記衛星位置特定モジュールを用いて、位置情報を受信していることを確認し、
前記携帯通信モジュールの通信範囲が存在していることを確認することによって、転落事故を自動的に検知するように構成されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第二モジュール(8)は、ある特定の周波数でアラーム信号を送信するためのラジオビーコンを含んでおり、転落事故が起こった時に前記ラジオビーコンを起動するように構成されている、請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記第一モジュール(2)は、携帯通信モジュールと衛星位置特定モジュールとを含み、転落事故が起こった時に、衛星位置特定モジュールによって取得された位置情報を含むアラームメッセージを、通信サーバへ携帯通信モジュールを用いて送信する、請求項12から14のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−531361(P2012−531361A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524254(P2012−524254)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際出願番号】PCT/ES2011/070229
【国際公開番号】WO2012/007618
【国際公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.ZIGBEE
【出願人】(511213557)シオ ソフト,ソシエダッド リミターダ (1)
【氏名又は名称原語表記】SCIO SOFT,S.L.
【住所又は居所原語表記】C/Arco,13−15 1 ,15003 A Coruna,Spain
【Fターム(参考)】