説明

船舶情報収集システム及び船舶設計検証システム

【課題】船舶の航行に伴って船舶設計に必要な情報を確実に収集でき、収集した情報を早期に船舶設計にフィードバックすることができる船舶情報収集システム及び船舶設計検証システムを提供する。
【解決手段】波高などの船舶情報を周期的に検出して蓄積する船舶情報収集装置を船舶1a、1bに搭載し、船舶情報収集装置が蓄積した船舶情報を無線通信にて陸上のサービス提供会社4に設置されたサーバ装置40へ送信し、サーバ装置40が造船会社5a、5bに設置された船舶シミュレータ50へネットワーク9を介して船舶情報を送信する。船舶シミュレータ50は、船舶情報の収集及び送信を要求する情報収集送信要求を、船舶情報収集装置へサーバ装置40を介して送信することができ、情報収集送信要求を受信した船舶情報収集装置が船舶情報を検出し、検出した船舶情報を船舶シミュレータ50へサーバ装置40を介して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の航行により得られる船舶情報を収集する船舶情報収集システム、及び収集した船舶情報を用いて船舶設計におけるシミュレーションなどの検証を行う船舶設計検証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶の推進性能において船舶形状が及ぼす影響は大きく、船舶の性能向上のためにはエンジンなどの動力機関のみでなく、船舶の形状についての検証を十分に行うことが必要である。非特許文献1には、船舶が実航海で遭遇する外乱に対する影響を考慮した船舶形状、特に船首形状の開発及び検証結果が記載されている。この非特許文献1においては、実海域での推進性能を向上させるために、平水中の推進性能の向上に加えて、波及び風等の外乱によって生じる抵抗増加を減少させることができる船首形状として、船首を斧のような形状としたAx−Bowという船首形状が提案されており、水槽試験及び実船計測による検証がなされている。
【0003】
従来、船舶形状の設計検証は、コンピュータによるシミュレーション及び模型船舶を用いた水槽試験等にて行われる。コンピュータのシミュレーションは、比較的に低コスト且つ高速に検証を行うことができるため、船舶形状に微小な変化を加えた多数のバリエーション形状を容易に検証することができるが、検証の精度が低いという問題がある。これに対して水槽試験は、シミュレーションと比較して精度の高い検証を行うことができるが、模型船舶を作成する必要があるため高コストであり、検証に時間がかかるという問題がある。このため、模型船舶による水槽試験の検証結果をシミュレーションにフィードバックさせ、シミュレーションの精度を高めるなどの工夫により、船舶形状の設計検証を高速化すると共に精度を向上することが行われている。
【0004】
しかし、実際の航海において船舶に対して生じる波及び風等の外乱を、シミュレーション及び水槽試験等にて完全に再現することは難しい。よって、実際に製造した船舶の航行中に推進性能に関する情報収集を行って、収集した情報を次期の船舶の設計にフィードバックすることが望ましい。これを実現するために、船舶には種々のセンサが搭載されており、航行中に情報収集を行っている。
【0005】
非特許文献2においては、船舶の航行に係る各種の情報(例えば、機関情報、運動情報、気象情報及び操作量情報等)を自動的に収集して蓄積する装置を船舶に搭載し、蓄積された情報を陸上で解析することにより船舶の評価を行う運航モニタリングシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】廣田和義、山崎啓市、松本光一郎、「波浪中を考慮した船首形状と実海域での効果」、日本船舶海洋工学会講演会論文集 2007年、第4号、P75〜P78(論文番号2007S−0S3−2)
【非特許文献2】溝上宗二、小段洋一郎、北村徹、大西克司、大和邦昭、上田直樹、「運行モニタリングによる内航フェリーの推進性能評価法」、三菱重工技報 2007年、VOL.44 NO.3:2007 P39〜P44
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献2に記載の運航モニタリングシステムは、船舶に搭載した記憶装置に収集した情報を蓄積し、船舶が寄港した際などに記憶媒体の交換を行って情報を回収する構成である。よって、例えば数か月以上に亘る長期の航海を行うような船舶の場合、情報を回収する機会がなく、収集した情報を船舶の設計にフィードバックするまでには時間を要するという問題がある。このため、収集した情報が次期の船舶の設計に間に合わない、又は、次期の船舶の設計が遅れる虞がある。また、次期の船舶の設計に必要な情報が一度の航海で収集できるとは限らないという問題もある。
【0008】
また、航行中の船舶の情報を自動的に収集する装置においては、情報を取得する周期(サンプリング周期)を短く設定した場合、一度の航海で収集される情報は膨大な量となり、情報を蓄積するために膨大な記憶容量を有する記憶装置を船舶に搭載しなければならない。これに対して情報のサンプリング周期を長く設定した場合、必要な情報が十分に収集できない虞がある。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、船舶の航行に伴って船舶設計に必要な情報を確実に収集でき、収集した情報を早期に船舶設計にフィードバックすることができる船舶情報収集システム及び船舶設計検証システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る船舶情報収集システムは、船舶に搭載され、該船舶の航行に係る情報を定期的に検出する船舶情報検出手段、該船舶情報検出手段により検出された船舶情報を蓄積する船舶情報蓄積手段、無線通信により陸上に設置された装置との間で情報の送受信を行う船舶側無線通信手段、及び、前記船舶情報蓄積手段に蓄積された船舶情報を前記船舶側無線通信手段により定期的に送信する定期送信手段を有する船舶情報収集装置と、陸上に設置され、前記船舶情報収集装置の船舶側無線通信手段との間で無線通信により情報の送受信を行う陸側無線通信手段、該陸側無線通信手段により前記船舶情報収集装置から送信された船舶情報を受信して蓄積する船舶情報蓄積手段、及び、陸上の他の装置との間で情報の送受信を行う陸上通信手段を有し、前記船舶情報収集装置及び前記他の装置の間で送受信する情報を中継する情報中継装置と、陸上に設置され、前記情報中継装置との間で情報の送受信を行う陸上通信手段を有する陸上用通信装置とを備え、該陸上通信装置は、前記情報中継装置を介して、前記船舶情報収集装置へ船舶情報の取得要求を送信する船舶情報要求手段を更に有し、前記船舶情報収集装置は、前記情報中継装置を介して与えられた前記取得要求を受信した場合に、前記船舶情報蓄積手段が蓄積した船舶情報を前記船舶側無線通信手段により送信する応答送信手段を更に有し、前記情報中継装置は、前記船舶情報収集装置及び前記陸上用通信装置の間で、前記取得要求及び該取得要求に対する応答として送信された船舶情報の中継を行うようにしてあることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る船舶情報収集システムは、船舶に搭載され、該船舶の航行に係る情報を定期的に検出する船舶情報検出手段、該船舶情報検出手段により検出された船舶情報を蓄積する船舶情報蓄積手段、無線通信により陸上に設置された装置との間で情報の送受信を行う船舶側無線通信手段、及び、前記船舶情報蓄積手段に蓄積された船舶情報を前記船舶側無線通信手段により定期的に送信する定期送信手段を有する船舶情報収集装置と、陸上に設置され、前記船舶情報収集装置の船舶側無線通信手段との間で無線通信により情報の送受信を行う陸側無線通信手段、及び、該陸側無線通信手段により前記船舶情報収集装置から送信された船舶情報を受信して蓄積する船舶情報蓄積手段を有する陸上用通信装置とを備え、該陸上通信装置は、前記船舶情報収集装置へ船舶情報の取得要求を送信する船舶情報要求手段を更に有し、前記船舶情報収集装置は、前記取得要求を受信した場合に、前記船舶情報蓄積手段が蓄積した船舶情報を前記船舶側無線通信手段により送信する応答送信手段を更に有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る船舶情報収集システムは、前記船舶情報検出手段が検出する船舶情報には、前記船舶の航行に係る波高情報を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る船舶情報収集システムは、前記船舶情報収集装置が、前記取得要求を受信した場合に、前記船舶情報検出手段にて船舶情報の検出を行って前記情報蓄積手段に蓄積し、蓄積した船舶情報を前記応答送信手段により送信するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る船舶情報収集システムは、前記陸上用通信装置が、前記船舶情報収集装置の船舶情報検出手段が行う船舶情報の検出の周期設定を送信する設定送信手段を更に有し、前記船舶情報収集装置は、前記周期設定を受信した場合に、受信した周期設定に応じて船舶情報の検出を行う周期を変更するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る船舶情報収集システムは、前記陸上用通信装置が、前記船舶情報収集装置が搭載された船舶の乗員に対する航行に係る指示を送信する指示送信手段を更に有し、前記船舶情報収集装置は、前記指示を受信した場合に、該指示を船舶の乗員へ通知する通知手段を更に有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る船舶設計検証システムは、船舶に搭載され、該船舶の航行に係る情報を定期的に検出する船舶情報検出手段、該船舶情報検出手段により検出された船舶情報を蓄積する船舶情報蓄積手段、無線通信により陸上に設置された装置との間で情報の送受信を行う船舶側無線通信手段、及び、前記船舶情報蓄積手段に蓄積された船舶情報を前記船舶側無線通信手段により定期的に送信する定期送信手段を有する船舶情報収集装置と、陸上に設置され、前記船舶情報収集装置の船舶側無線通信手段との間で無線通信により情報の送受信を行う陸側無線通信手段、該陸側無線通信手段により前記船舶情報収集装置から送信された船舶情報を受信して蓄積する船舶情報蓄積手段、及び、陸上の他の装置との間で情報の送受信を行う陸上通信手段を有し、前記船舶情報収集装置及び前記他の装置の間で送受信する情報を中継する情報中継装置と、陸上に設置され、前記情報中継装置との間で情報の送受信を行う陸上通信手段、及び、該陸上通信手段により前記情報中継装置から受信した船舶情報を用いて船舶設計に係るシミュレーションを行う検証手段を有する船舶設計検証装置とを備え、該船舶設計検証装置は、前記情報中継装置を介して、前記船舶情報収集装置へ船舶情報の取得要求を送信する船舶情報要求手段を更に有し、前記船舶情報収集装置は、前記情報中継装置を介して与えられた前記取得要求を受信した場合に、前記船舶情報蓄積手段が蓄積した船舶情報を前記船舶側無線通信手段により送信する応答送信手段を更に有し、前記情報中継装置は、前記船舶情報収集装置及び前記船舶設計検証装置の間で、前記取得要求及び該取得要求に対する応答として送信された船舶情報の中継を行うようにしてあることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る船舶設計検証システムは、船舶に搭載され、該船舶の航行に係る情報を定期的に検出する船舶情報検出手段、該船舶情報検出手段により検出された船舶情報を蓄積する船舶情報蓄積手段、無線通信により陸上に設置された装置との間で情報の送受信を行う船舶側無線通信手段、及び、前記船舶情報蓄積手段に蓄積された船舶情報を前記船舶側無線通信手段により定期的に送信する定期送信手段を有する船舶情報収集装置と、陸上に設置され、前記船舶情報収集装置の船舶側無線通信手段との間で無線通信により情報の送受信を行う陸側無線通信手段、該陸側無線通信手段により前記船舶情報収集装置から送信された船舶情報を受信して蓄積する船舶情報蓄積手段、及び、該蓄積手段に蓄積した船舶情報を用いて船舶設計に係るシミュレーションを行う検証手段を有する船舶設計検証装置とを備え、該船舶設計検証装置は、前記船舶情報収集装置へ船舶情報の取得要求を送信する船舶情報要求手段を更に有し、前記船舶情報収集装置は、前記取得要求を受信した場合に、前記船舶情報蓄積手段が蓄積した船舶情報を前記船舶側無線通信手段により送信する応答送信手段を更に有することを特徴とする。
【0018】
本発明においては、船舶の航行に係る船舶情報(例えば波高、風向、風速、対地船速、対水船速、針路、舵角、エンジン馬力、エンジン回転数、ピッチ角、ロール角、緯度又は経度等の情報)を検出して蓄積する船舶情報収集装置を船舶に搭載する。船舶情報収集装置は、蓄積した船舶情報を携帯電話網又は衛星通信等の無線通信を利用して陸上へ定期的に送信する。
陸上に設置された情報中継装置は、船舶に搭載された船舶情報収集装置と、陸上の造船会社などに設置された陸上用通信装置との間で行う船舶情報の送受信を中継する。即ち、情報中継装置は、船舶情報収集装置との間で定期的に無線通信を行って船舶情報を取得して蓄積し、蓄積した船舶情報を陸上用通信装置へ送信する。
陸上用通信装置が設置された造船会社などでは、船舶が長期間に亘って寄港しない場合であっても、情報中継装置を介して受信した船舶情報収集装置からの船舶情報を利用して、船舶設計及び設計検証等を行うことができる。
また陸上用通信装置は、船舶情報収集装置へ船舶情報の取得要求を与えることができる。船舶に搭載された船舶情報収集装置は、定期的に船舶情報の送信を行うが、定期的な情報送信のタイミングでなくとも、陸上用通信装置からの取得要求が与えられた場合には船舶情報の送信を行う。船舶情報収集装置からの船舶情報は、情報中継装置を介して陸上用通信装置へ送信される。これにより、船舶設計などのために船舶情報を必要とする際に、陸上用通信装置により最新の情報を船舶情報収集装置から取得することができる。
【0019】
また、船舶に搭載された船舶情報収集装置と陸上に設置された陸上用通信装置との間に情報中継装置を介在させるのではなく、船舶情報収集装置と陸上用通信装置とが直接的に通信を行って船舶情報の授受を行う構成としてもよい。この構成であっても上述の場合と同様に、陸上用通信装置にて最新の船舶情報を取得し、船舶の設計又は検証等に用いることができる。
【0020】
また、本発明においては、船舶に波高計などを搭載して、船舶情報収集装置が波高情報を収集する。波高情報とは、例えば実波高、有義波高又は相対波高等の情報であり、更には船体上下量及び出会周期等の情報を収集してもよい。船舶の船首形状の設計に対して重要な情報であるため、実際の船舶の航行にて収集した波高情報を用いて検証を行うことで、船首形状の検証精度及び設計精度等を向上することができる。
【0021】
また、本発明においては、船舶に搭載された船舶情報収集装置は定期的に情報の検出及び蓄積を行うが、定期的な情報検出のタイミングでなくとも、陸上用通信装置からの取得要求が与えられた場合には、船舶情報の検出及び蓄積を行い、蓄積した船舶情報を送信する。これにより陸上用通信装置は、航行中の船舶に搭載された船舶情報収集装置に船舶情報の検出を無線通信により行わせることができる。即ち、陸上用通信装置が任意のタイミングで船舶情報の検出を船舶情報収集装置に行わせることができ、検出した最新の船舶情報を取得して船舶設計又は設計検証等を行うことができる。
【0022】
また、本発明においては、陸上用通信装置から船舶情報収集装置へ船舶情報を検出する周期に係る設定を送信する。船舶に搭載された船舶情報収集装置は定期的に船舶情報の検出及び蓄積を行うが、陸上用通信装置から周期設定を受信した場合には、この設定に応じて船舶情報の検出及び蓄積を行う周期を変更する。これにより陸上用通信装置は、詳細な船舶情報を必要とする場合には検出周期を短く設定して収集する船舶情報の情報量を増すなど、船舶情報収集装置が船舶情報の検出を行う周期を任意に変更することができる。即ち、船舶の船舶情報収集装置が収集する情報の精度を、陸上の船舶設計検証装置により適宜に調整できるため、より精度のよい船舶情報に基づいて船舶設計又は設計検証等を行うことができる。
【0023】
また、本発明においては、陸上用通信装置が船舶の乗員に対する航行指示などを送信することができる構成とし、無線通信により航行指示を受信した船舶情報収集装置は、表示パネルなどへのメッセージ表示又はスピーカなどによる音声出力等の手段によって、受信した指示を船舶の乗員に通知する。これにより陸上用通信装置(を使用する設計者)から、例えば波又は風に対する船舶の角度を変更する指示を送信することができ、この指示に応じて船舶の乗員が船舶の角度を変更することができ、これにより設計者は波又は風に対して所定の角度で船舶が航行した場合の船舶情報を取得して船舶設計又は設計検証等を行うことができる。
よって、船舶の航行に伴って自動的に収集される船舶情報を用いて受動的に船舶設計又は設計検証等を行うのみでなく、陸上から設計者が指示を与えて所望の条件での船舶情報を収集して能動的に船舶設計又は設計検証等を行うことができる。
【0024】
また、本発明においては、船舶に搭載された船舶情報収集装置と陸上に設置された陸上用通信装置との間で船舶情報の送受信を行うのではなく、船舶に搭載された船舶情報収集装置と陸上に設置された船舶設計検証装置との間で船舶情報の送受信を行う構成としてもよい。これにより設計者は、シミュレーションなどの設計検証を行う船舶設計検証装置を用いて直接的に船舶情報の取得を行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明による場合は、船舶情報収集装置が船舶の航行に係る情報を定期的に検出して蓄積し、無線通信により陸上の船舶設計検証装置へ定期的に送信すると共に、船舶設計検証装置から情報の取得要求が与えられた場合に船舶情報収集装置が情報送信を行う構成とすることにより、船舶の航行に伴って船舶設計に必要な情報を収集し、収集した情報を早期に船舶設計にフィードバックすることができる。よって、船舶の寄港を待つことなく、実際の船舶の航行に係る最新の情報を取得して船舶設計の検証に用いることができるため、次期船舶の設計を短期間に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る船舶設計検証システムの構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係る船舶設計検証システムを構成する船舶情報収集装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る船舶設計検証システムを構成するサーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る船舶設計検証システムを構成する船舶シミュレータの構成を示すブロック図である。
【図5】船舶情報収集装置が行う船舶情報の収集処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】船舶情報収集装置が行う船舶情報の送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】船舶情報収集装置が行う情報収集周期の設定変更の手順を示すフローチャートである。
【図8】船舶情報収集装置が行うメッセージ通知処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】サーバ装置が行う定期的な船舶情報の取得処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】サーバ装置が行う情報収集送信要求の中継処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】サーバ装置が行う船舶情報の送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】サーバ装置が行う船舶情報の蓄積を説明するための模式図である。
【図13】サーバ装置が行う設定変更処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】サーバ装置が行うメッセージの中継処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】船舶シミュレータが行う船舶情報の受信処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】船舶シミュレータが行う設定変更要求又はメッセージの送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】船舶シミュレータが行うシミュレーションモデル情報の補正処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明に係る船舶設計検証システムの構成を示す模式図である。図において1a及び1bは船舶であり、海洋を航行して貨物の運搬などを行う。船舶1a、1bは、船速、風向及び波高等の船舶航行に係る情報(以下、船舶情報という)を検出する各種の装置と、検出された船舶情報を収集する船舶情報収集装置10(図2にて図示する)とが搭載されており、船舶情報収集装置10が有する無線通信機能により通信衛星7又は無線通信中継装置8等を介して陸上との通信を行うことができる。
【0028】
また、図において4は、本発明に係る船舶設計検証システムを利用したサービスを提供するサービス提供会社である。サービス提供会社4にはサーバ装置40が設置されており、サーバ装置40は、通信衛星7又は無線通信中継装置8等を介して、海洋を航行する船舶1a、1bとの間で無線通信を行うことができる。またサーバ装置40は、船舶1a、1bの所有者又は製造者である造船会社5a、5bに設置された船舶シミュレータ50との間でネットワーク9を介した通信を行うことができる。
【0029】
本発明の船舶設計検証システムは、船舶1a、1bに搭載された船舶情報収集装置10が定期的に船舶情報の収集を行って無線通信による船舶情報の送信を行い、サービス提供会社4のサーバ装置40が各船舶1a、1bからの船舶情報を定期的に受信して蓄積すると共に、蓄積した船舶情報を各造船会社5a、5bへネットワーク9を介して提供することができる。なおサーバ装置40及び造船会社5a、5bの船舶シミュレータ50の間でデータ送受信を行う場合、特定の造船会社5a、5bのみが特定の船舶1a、1bの船舶情報のみを取得するように、サーバ装置40はユーザ認証処理を行っている。例えば、造船会社5aが船舶1aに係る船舶情報の取得を許可され、造船会社5bが船舶1bに係る船舶情報の取得を許可されている場合、サーバ装置40は造船会社5aへ船舶1bに係る船舶情報を送信することはなく、造船会社5bへ船舶1aに係る船舶情報を送信することはない。
【0030】
また本発明の船舶設計検証システムは、造船会社5a、5bの船舶シミュレータ50が船舶情報の送信要求をサーバ装置40へ与えることができ、サーバ装置40は船舶シミュレータ50からの送信要求を、対応する船舶1a、1bへ無線送信する。船舶シミュレータ50からの送信要求を受信した船舶1a、1bの船舶情報収集装置10は、船舶情報の収集を行ってサーバ装置40へ無線送信し、この船舶情報を受信したサーバ装置40は送信要求に係る船舶シミュレータ50へ船舶情報の送信を行う。
【0031】
なお、ネットワーク9は所謂インターネットを構成するものであるが、電話回線、無線回線又は光回線等を含むものであってもよい。無線通信中継装置8は所謂携帯電話網を構成するための装置であり、ネットワーク9の一部又は全部が携帯電話網を利用する構成であってもよく、また、ネットワーク9の一部又は全部が通信衛星7を利用する構成であってもよい。ネットワーク9と、サーバ装置40及び船舶1a、1bの間の通信とは、複数の通信手段又は通信経路の中から適した手段又は経路を選択することができる。また、図1においては船舶1a、1b及び造船会社5a、5bをそれぞれ2つずつ図示してあるが、これに限定されるものではなく、それぞれ任意の数であってよい。
【0032】
図2は、本発明に係る船舶設計検証システムを構成する船舶情報収集装置10の構成を示すブロック図である。各船舶には、VDR(Voyage Data Recorder、航海情報記録装置)20、エンジン30の特性を計測するセンサ類及び波高計35等の船舶情報を検出するための種々の検出装置が搭載されている。船舶の船室にはPC(Personal Computer)37が配されており、船舶の乗員がPC37を使用して航海に関する情報の管理などを行うことができる。また、本発明の船舶設計検証システムを利用する船舶には、船舶情報収集装置10が搭載されている。船舶にはLAN(Local Area Network)などの船内ネットワークが設けられており、船舶に搭載された各装置は船内ネットワークを介してデータの送受信を行うことができる。
【0033】
VDR20は、海難事故の原因究明を目的として船舶に搭載される装置であり、船舶の航行に係る情報の検出及び記録を行う。VDR20が記録する情報は、船速、風向、風速、舵角、船舶の位置及び水深等の情報であり、これらの情報を検出するためにVDR20は船速検出部21、風向検出部22、風速検出部23、舵角検出部24、位置検出部25及び水深検出部26等を有している。またVDR20が記録する情報には、日時、船首方位、ブリッジ内音声、通信音声、レーダー映像、警報、操舵情報、エンジン情報、扉の開閉状態及び扉の異常等の他の情報が含まれていてもよく、これらの情報を検出する検出部をVDR20は有している。
【0034】
VDR20の各検出部は船舶の適所にそれぞれ配設されており、図示は省略するがVDR20は各検出部が検出した情報を収集するデータ収集ユニットと、収集したデータを記録するデータ記録ユニットを有している。データ収集ユニット及びデータ記録ユニットは別体として設けられ、海難事故が発生した場合にはデータ記録ユニットを回収し、記録された情報を解析することにより海難事故の原因究明を行うことができる。VDR20のデータ収集ユニットは、船内ネットワークに接続されており、船内ネットワークを介して各検出部が検出した情報を収集すると共に、収集した情報を船舶情報収集装置10へ船内ネットワークを介して送信する。
【0035】
また、船舶のエンジン30には、回転数検出部31及び馬力検出部32等が設けられている。回転数検出部31及び馬力検出部32は船内ネットワークにそれぞれ接続されており、回転数検出部31が検出したエンジン30の回転数及び馬力検出部32が検出したエンジン30の馬力は、船内ネットワークを介して船舶情報収集装置10へ送信される。
【0036】
また、船舶にはピッチ角検出部33及びロール角検出部34が適所に配設されている。ピッチ角検出部33及びロール角検出部34は、船舶のピッチ角及びロール角を検出するセンサであり、検出したピッチ角及びロール角に応じた電圧又は電流を出力する。ピッチ角検出部33及びロール角検出部34は、例えばジャイロセンサなどを用いて実現される。ピッチ角検出部33及びロール角検出部34が出力する電圧又は電流はデータ変換器36に入力され、データ変換器36は入力された電圧又は電流をデジタルデータに変換し、船内ネットワークを介して船舶情報収集装置10へ送信する。
【0037】
また、波高計35は、船舶の船首付近に配設され、船首付近の波の高さを検出するセンサであり、検出した波高に応じた電圧又は電流を出力する。波高計35は、例えば超音波、マイクロ波又はレーザ光等を出射して、海面(波)にて反射した反射波を検出することにより波高の検出を行う構成とすることができる。波高計35の出力から、実波高、相対波高、船体上下量、有義波高及び平均出会周期等の情報を得ることができる。波高計35が出力する電圧又は電流はデータ変換器36に入力され、データ変換器36は入力された電圧又は電流をデジタルデータに変換し、船内ネットワークを介して船舶情報収集装置10へ送信する。
【0038】
また、船舶の船室に設置されたPC37には、積付計算プログラム(図中においては単に”積付計算”と記載してある)37aが搭載されており、船舶の乗員はPC37を使用して船舶の積み付け計算を行うことができる。PC37は船内ネットワークに接続されており、乗員が積付計算プログラム37aにて積み付け計算を行った場合、その演算結果が船内ネットワークを介して船舶情報収集装置10へ送信される。
【0039】
またPC37は、電子メールの送受信などを行う端末装置として利用することもでき、船舶に設置された他のPCとの間で通信を行うことができると共に、船舶情報収集装置10が備える無線通信機能により陸上の通信装置との間で通信を行うことができる。更にPC37は、陸上の通信装置から緊急を要する指示などを受信した場合に、受信した指示を船舶の乗員に通知する手段として利用される。例えばPC37は、液晶ディスプレイなどに通知メッセージを表示し、スピーカから音声メッセージを出力することで通知を行うことができる。
【0040】
船舶情報収集装置10は、船舶の適所に設置され、船内通信部11、情報収集部12、情報蓄積部13、無線通信部14及び制御部15等を備えて構成されている。船内通信部11は、船内ネットワークを介して接続された他の装置との間でデータの送受信を行うものである。船内通信部11は、VDR20、回転数検出部30、馬力検出部32、データ変換器36及びPC37等から船舶の航行に係る船舶情報を受信した場合、これらの情報を情報収集部12へ与えると共に、その他の情報を受信した場合、受信した情報を制御部15へ与える。また船内通信部11は、制御部15から与えられた情報をPC37又はその他の装置へ船内ネットワークを介して送信することができる。
【0041】
情報収集部12は、船内通信部11が受信した船舶情報を収集する処理を行うものであり、具体的には予め設定された周期で船舶情報の取得を行い、取得した船舶情報を情報蓄積部13に蓄積する処理を行う。例えば情報収集部12は、船内通信部11が受信した船舶情報を20分間取得する処理を1時間に1回の周期で行い、20分間の船舶情報を1つファイルとして情報蓄積部13に蓄積する。これにより情報収集部12は1日に24回の船舶情報取得を行って24個のファイルを情報蓄積部13に蓄積する。情報蓄積部13に蓄積する船舶情報のファイルは適宜の方法で圧縮してもよい。
【0042】
なお本実施の形態においては、船舶情報収集装置10が収集する船舶情報には、VDR20の船速検出部21が検出した船舶の航行速度、風向検出部22が検出した風向、風速検出部23が検出した風速、舵角検出部24が検出した船舶の舵角、位置検出部25が検出した船舶の航行位置、及び水深検出部26が検出した水深と、回転数検出部31が検出したエンジン30の回転数及び馬力検出部32が検出したエンジン30の馬力と、ピッチ角検出部33が検知した船舶のピッチ角及びロール角検出部34が検出した船舶のロール角と、波高計35が検出した実波高、相対波高、船体上下量、有義波高及び平均出会周期等の波高情報と、PC37の積付計算プログラム37aによる積付計算の結果とを含む。ただし、これらの船舶情報は一例であってこれに限るものではない。また積付計算プログラム37aの積付計算の結果は、設定された周期にて情報収集部12が取得するのではなく、計算結果が更新される都度、情報蓄積部13に船舶情報として蓄積されるものとする。
【0043】
無線通信部14は、通信衛星7又は無線通信中継装置8を介して陸上に設置された通信装置との間でデータの送受信を行うことができ、特に陸上のサービス提供会社4に設置されたサーバ装置40との間で船舶情報及びその他の情報の送受信を行うことができる。無線通信部14は、制御部15の制御に従って、情報蓄積部13に蓄積された船舶情報を読み出してサーバ装置40へ送信すると共に、サーバ装置40からの情報を受信した場合には、受信した情報を制御部15へ与える。
【0044】
無線通信部14による船舶情報の送信は、予め設定された周期で行われる。例えば無線通信部14は、情報蓄積部13に蓄積された船舶情報を、1週間に1回の周期でサーバ装置40へ送信するよう制御部15に制御される。なお、船舶情報の定期的な送信は、船舶情報収集装置10が自ら送信周期を判断して無線通信部14から陸上の装置へ船舶情報を送信する構成であってもよく、陸上の装置から所定周期で与えられる送信要求に応じて船舶情報を送信する構成であってもよい。
【0045】
制御部15は、具体的にはCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の記憶素子とを有して構成されており、ROMなどに予め記憶された制御プログラムをCPUなどで実行することにより、船舶情報収集装置10内の各部の動作を制御する。これにより船舶情報収集装置10は、上述のように船内通信部11にて受信した船舶情報を所定の周期で取得して蓄積し、蓄積した船舶情報を所定の周期でサーバ装置40へ送信する処理を行う。
【0046】
図3は、本発明に係る船舶設計検証システムを構成するサーバ装置40の構成を示すブロック図である。陸上のサービス提供会社4に設置されるサーバ装置40は、CPU41、無線通信部42、陸上通信部43、操作部44、表示部45、記憶部46及び情報蓄積部47等を備えて構成されており、換言すれば汎用的なコンピュータに船舶情報を蓄積する十分な容量の情報蓄積部47を設けた構成である。CPU41は、サーバ装置40内の各部の動作を制御する処理及び各種の演算処理等を行うものである。
【0047】
無線通信部42は、通信衛星7又は無線通信中継装置8等を介して船舶1a、1bに搭載された船舶情報収集装置10との間でデータの送受信を行うことができる。無線通信部42は、船舶情報収集装置10からの船舶情報を受信して情報蓄積部47に蓄積すると共に、CPU41から与えられた情報を船舶情報収集装置10へ送信する。陸上通信部43は、インターネットなどのネットワーク9に接続された他の装置との間で、有線又は無線によるデータの送受信を行う。特に本実施の形態においては、サーバ装置40の陸上通信部43は、陸上の造船会社5a、5bとの間でネットワーク9を介したデータの送受信を行う。
【0048】
操作部44は、例えばキーボード及びマウス等であり、サービス提供会社4内のシステム管理者などのユーザによる操作の受け付けを行う。操作部44が受け付けた操作はCPU41に通知され、これに応じてCPU41が各種の処理を行う。表示部45は、液晶ディスプレイ又はCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等の表示装置を用いて構成されるものであり、文字及び画像等の表示によりユーザに対する情報提供を行う。
【0049】
記憶部46は、ハードディスクなどの記憶装置を用いて構成されるものであり、サーバ装置40の処理に係る種々のプログラム及びデータ等が記憶されている。CPU41は、記憶部46からプログラムを読み出して実行することによって、制御処理及び演算処理等を行う。
【0050】
情報蓄積部47は、ハードディスクなどの大容量の記憶装置を用いて構成されるものであり、無線通信部42が受信した船舶情報収集装置10からの船舶情報47aを蓄積すると共に、陸上通信部43によりネットワーク9を介して船舶情報47aを提供する船舶シミュレータ50との間で認証処理を行うための認証情報47bを記憶している。サーバ装置40は、複数の船舶1a、1bに係る船舶情報を無線通信により受信することができ、情報蓄積部47には船舶1a、1b毎に区別されてそれぞれの船舶情報が蓄積される。なお、記憶部46及び情報蓄積部47は個別に設けるのではなく、同一の記憶装置で構成してもよい。
【0051】
図4は、本発明に係る船舶設計検証システムを構成する船舶シミュレータ50の構成を示すブロック図である。陸上の造船会社5a、5bに設置される船舶シミュレータ50は、CPU51、陸上通信部52、操作部53、表示部54及び記憶部55等を備えて構成されており、換言すれば汎用的なコンピュータに船舶の設計検証を行うシミュレーションプログラム55aを搭載した構成である。CPU51は、船舶シミュレータ50内の各部の動作を制御する処理及び各種の演算処理等を行うものである。
【0052】
陸上通信部52は、ネットワーク9に接続された他の装置との間で、有線又は無線によるデータの送受信を行う。特に本実施の形態においては、船舶シミュレータ50の陸上通信部52は、サービス提供会社4のサーバ装置40との間でネットワーク9を介したデータの送受信を行う。操作部53は、例えばキーボード及びマウス等であり、造船会社5内の設計者などのユーザによる操作の受け付けを行う。操作部53が受け付けた操作はCPU51に通知され、これに応じてCPU51が各種の処理を行う。表示部54は、液晶ディスプレイ又はCRTディスプレイ等の表示装置を用いて構成されるものであり、文字及び画像等の表示によりユーザに対する情報提供を行う。
【0053】
記憶部55は、ハードディスクなどの大容量の記憶装置を用いて構成されるものであり、シミュレーションプログラム55a、シミュレーション結果55b、シミュレーションモデル情報55c、設計情報55d及び船舶情報55e等の種々のプログラム及びデータが記憶されている。CPU51は、記憶部55からシミュレーションプログラム55aを読み出して実行することにより、シミュレーションモデル情報55cに基づいて船舶の設計情報55dに対する設計検証の処理を行うことができ、処理結果としてシミュレーション結果55bを出力する。
【0054】
例えば、シミュレーションモデル情報55cは船舶の航行に係る波又は風等の環境情報をモデル化したものであり、設計情報55dは船舶の形状を示すデータであり、シミュレーションプログラム55aは、シミュレーションモデル情報55cを用いて、設計情報55dに係る船舶の航行時に生じる波又は風の抵抗を算出することができ、算出結果をシミュレーション結果55bとして記憶部55に記憶すると共に、表示部54に表示する。
【0055】
また記憶部55に記憶される船舶情報55eは、実際の船舶1a、1bの航行に伴って収集された情報であり、船舶シミュレータ50がサーバ装置40からネットワーク9を介した通信により取得したものである。船舶シミュレータ50のシミュレーションプログラム55aは、実際の船舶1a、1bから収集された船舶情報55eと、シミュレーション結果55bとを比較してその差を埋めるべく、シミュレーションモデル情報55cを生成又は補正する処理を行うことができる。また図示は省略するが、シミュレーションプログラム55aは、模型の船舶を用いた水槽試験の結果とシミュレーション結果55bとを比較してシミュレーションモデル情報55cを生成又は補正する処理を行うことができる。
【0056】
次に、本発明に係る船舶設計検証システムの船舶情報収集装置10、サーバ装置40及び船舶シミュレータ50による船舶情報の送受信処理について説明する。上述のように船舶1a、1bに搭載された船舶情報収集装置10は、1時間などの所定周期で定期的に船舶情報を収集して情報蓄積部13に蓄積している。船舶情報の収集を行う周期は予め設定ファイルなどとして船舶情報収集装置10のメモリなどに記憶されており、制御部15はこの設定ファイルを読み出して収集の周期を取得し、図示しないタイマにて設定された周期を計時し、船舶情報の収集時刻になった場合に情報収集部12による情報収集を開始する。所定周期毎の船舶情報の収集は、20分間などの所定時間に亘って行われる。所定周期で定期的に収集された船舶情報は、サーバ装置40が1日に一度などの周期で送信する船舶情報の送信要求(以下、”定時要求”という)を受信した場合に、無線通信によりサーバ装置40へ送信される。
【0057】
また船舶情報収集装置10は、サーバ装置40からの無線通信により、船舶情報を収集して送信する要求(本発明の取得要求に相当する。以下、”情報収集送信要求”という。)を受信した場合には、設定された収集周期とは関係なく、船舶情報の収集及び蓄積を行って無線通信によりサーバ装置40へ送信する。
【0058】
また船舶情報収集装置10は、サーバ装置40からの無線通信により、定期的に船舶情報を収集する周期に係る設定を変更する要求(以下、”設定変更要求”という)を受信した場合には、予めメモリなどに記憶された設定ファイルを更新して設定変更を行う。これにより、サーバ装置40から設定変更要求が送信されてこれを船舶情報収集装置10が受信した場合には、以後の船舶情報収集装置10が行う船舶情報の収集周期が変更される。なお、サーバ装置40からの設定変更要求には、収集の周期のみでなく、収集を行う時間についての設定が含まれていてもよく、船舶情報収集装置10は受信した設定変更要求に応じて収集を行う時間についても変更することができる。
【0059】
更に船舶情報収集装置10は、サーバ装置40からの無線通信により、船舶1a、1bの乗員に対するメッセージ(例えば船舶1a、1bの操舵指示など)を受信した場合には、船舶1a、1bに搭載されたPC37により乗員に対するメッセージの通知処理を行う。メッセージの通知は、例えばPC37のディスプレイに文字又は画像等を表示して行ってもよく、PC37のスピーカから音声出力して行ってもよい。
【0060】
図5は、船舶情報収集装置10が行う船舶情報の収集処理の手順を示すフローチャートであり、船舶情報収集装置10の制御部15が行う処理である。船舶情報収集装置10の制御部15は、まず、予め設定された船舶情報の収集周期(例えば1時間など)から、タイマの計時により船舶情報の収集時刻(例えば0時、1時…23時など)となったか否かを判定し(ステップS1)、船舶情報の収集時刻でない場合には(S1:NO)、陸上のサーバ装置40から無線通信により送信される情報収集送信要求を無線通信部14にて受信したか否かを更に判定する(ステップS2)。情報収集送信要求を受信していない場合(S2:NO)、制御部15は、ステップS1へ処理を戻し、船舶情報の収集時刻になるか、又は、サーバ装置40からの情報収集送信要求を受信するまで待機する。
【0061】
船舶情報の収集時刻となった場合(S1:YES)、又は、情報収集送信要求を受信した場合(S2:YES)、制御部15は、VDR20、回転数検出部31、馬力検出部32及びデータ変換器36等から船内通信部11へ与えられた各種の船舶情報を情報収集部12にて取得し(ステップS3)、取得した船舶情報を情報蓄積部13に記憶する(ステップS4)。次いで制御部15は、船舶情報の収集時間(例えば20分間など)が経過したか否かを判定し(ステップS5)、収集時間が経過していない場合には(S5:NO)、ステップS3へ処理を戻し、船舶情報の収集を繰り返し行う。
【0062】
船舶情報の収集時間が経過した場合(S5:YES)、制御部15は、情報蓄積部13に記憶した20分間の船舶情報を1つのファイルとして圧縮する処理を行って(ステップS6)、情報蓄積部13への船舶情報の蓄積を完了する。その後、制御部15は、例えば図示しない船舶情報収集装置の操作部により処理停止の操作が行われて、情報収集の処理を停止する指示が与えられたか否かを判定し(ステップS7)、停止指示が与えられていない場合には(S7:NO)、ステップS1へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。停止指示が与えられた場合(S7:YES)、制御部15は、船舶情報の収集処理を終了する。
【0063】
図6は、船舶情報収集装置10が行う船舶情報の送信処理の手順を示すフローチャートであり、船舶情報収集装置10の制御部15が行う処理である。船舶情報収集装置10の制御部15は、まず、陸上のサーバ装置40から無線通信により送信される情報収集送信要求を無線通信部14にて受信したか否かを判定する(ステップS11)。情報収集送信要求を受信していない場合(S11:NO)、制御部15は、サーバ装置40から無線通信により送信される定時要求を無線通信部14にて受信したか否かを更に判定する(ステップS12)。定時要求を受信していない場合(S12:NO)、制御部15は、ステップS1へ処理を戻し、サーバ装置40から情報収集送信要求又は定時要求を受信するまで待機する。
【0064】
サーバ装置40からの情報収集送信要求を受信した場合(S11:YES)、制御部15は、図5に示した船舶情報の収集処理を行う(ステップS13)。次いで制御部15は、船舶情報の収集処理が終了したか否かを判定し(ステップS14)、収集処理が終了していない場合には(S14:NO)、ステップS13へ処理を戻し、船舶情報の収集処理を継続して行う。
【0065】
船舶情報の収集処理を終了した場合(S14:YES)、又は、ステップS12にて定時要求を受信した場合(S12:YES)、制御部15は、情報蓄積部13に蓄積された船舶情報を無線通信部14にてサーバ装置40へ無線送信する(ステップS15)。その後、制御部15は、例えば図示しない船舶情報収集装置の操作部により処理停止の操作が行われて、情報送信の処理を停止する指示が与えられたか否かを判定し(ステップS16)、停止指示が与えられていない場合には(S16:NO)、ステップS11へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。停止指示が与えられた場合(S16:YES)、制御部15は、船舶情報の送信処理を終了する。
【0066】
図7は、船舶情報収集装置10が行う情報収集周期の設定変更の手順を示すフローチャートであり、船舶情報収集装置10の制御部15が行う処理である。船舶情報収集装置10の制御部15は、まず、陸上のサーバ装置40から無線通信により送信される設定変更要求を無線通信部14にて受信したか否かを判定する(ステップS21)。設定変更要求を受信していない場合(S21:NO)、制御部15はサーバ装置40から設定変更要求を受信するまで待機する。
【0067】
サーバ装置40からの設定変更要求を受信した場合(S21:YES)、制御部15は、受信した設定変更要求に応じて設定ファイルなどの更新を行うことにより、船舶情報の収集周期の変更を行う(ステップS22)。なお、このときに、船舶情報の収集周期のみでなく、例えば船舶情報の収集時間などのその他の設定についても変更を行ってよい。その後、制御部15は、設定変更の処理を停止する指示が与えられたか否かを判定し(ステップS23)、停止指示が与えられていない場合には(S23:NO)、ステップS21へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。停止指示が与えられた場合(S23:YES)、制御部15は設定変更処理を終了する。
【0068】
図8は、船舶情報収集装置10が行うメッセージ通知処理の手順を示すフローチャートであり、船舶情報収集装置10の制御部15が行う処理である。船舶情報収集装置10の制御部15は、まず、陸上のサーバ装置40から操舵指示などのメッセージを受信したか否かを判定し(ステップS31)、メッセージを受信していない場合には(S31:NO)、メッセージを受信するまで待機する。
【0069】
サーバ装置40からのメッセージを受信した場合(S31:YES)、制御部15は、PC37のディスプレイに文字又は画像を表示することでメッセージの表示を行うと共に(ステップS32)、PC37のスピーカからメッセージの受信を通知する音声出力を行う(ステップS33)。その後、制御部15は、メッセージ通知処理を停止する指示が与えられたか否かを判定し(ステップS34)、停止指示が与えられていない場合には(S34:NO)、ステップS31へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。停止指示が与えられた場合(S34:YES)、制御部15はメッセージ通知処理を終了する。
【0070】
陸上のサービス提供会社4に設置されたサーバ装置40は、1日に1度などの周期で定期的に各船舶1a、1bの船舶情報収集装置10へ船舶情報の送信を要求する定時要求を送信し、定時要求に対する応答として船舶情報収集装置10から送信される船舶情報を受信して情報蓄積部47に蓄積する。定時要求の送信周期は予め定められ、設定ファイルなどとして記憶部46などに記憶されており、サーバ装置40のCPU41は設定ファイルの設定に従って定時要求を送信する。定時要求の送信周期は船舶1a、1b毎に異なっていてもよい。
【0071】
サーバ装置40は、陸上の造船会社5a、5bに設置された船舶シミュレータ50からネットワーク9を介して船舶情報の送信要求が与えられた場合、情報蓄積部47に蓄積した船舶情報47aを読み出して、送信要求に係る船舶シミュレータ50へ送信する。このときにサーバ装置40は、情報蓄積部47に記憶された認証情報47bに基づく認証処理を行って、船舶シミュレータ50からの送信要求に対してアクセス権限のある船舶情報47aのみを送信する。
【0072】
またサーバ装置40は、ネットワーク9を介して船舶シミュレータ50からの情報収集送信要求を陸上通信部43にて受信した場合、この情報収集送信要求を対象の船舶1a、1bの船舶情報収集装置10へ送信すると共に、情報収集送信要求に対する応答として船舶情報収集装置10から送信される船舶情報を受信し、受信した船舶情報を情報収集送信要求に係る船舶シミュレータ50へネットワークを介して送信する。
【0073】
またサーバ装置40は、船舶シミュレータ50からの設定変更要求を陸上通信部43にて受信した場合、受信した設定変更要求がサーバ装置40に係る設定の変更であるか、又は、船舶1a、1bに搭載された船舶情報収集装置10に係る設定変更であるかを判定する。サーバ装置40に係る設定の変更の場合、サーバ装置40は自らの記憶部46などに記憶した設定ファイルを受信した設定変更要求に応じて更新し、以後の処理を新たな設定に応じて行う。また船舶情報収集装置10に係る設定変更の場合、サーバ装置40は設定変更要求を対象の船舶情報収集装置10へ無線通信部42の無線通信により送信する。
【0074】
更にサーバ装置40は、船舶シミュレータ50から船舶1a、1bに対する操舵指示などのメッセージを受信した場合、受信したメッセージを対象の船舶1a、1bの船舶情報収集装置10へ送信する。即ち、サーバ装置40は、船舶シミュレータ50から受信した情報収集送信要求、設定変更要求(船舶情報収集装置10に係るものに限る)及びメッセージ等を中継して船舶情報収集装置10へ送信する中継装置としての機能を有している。なお、この中継処理を行う場合についても、サーバ装置40は認証情報47bに基づく認証処理を行う。
【0075】
図9は、サーバ装置40が行う定期的な船舶情報の取得処理の手順を示すフローチャートであり、サーバ装置40のCPU41が行う処理である。サーバ装置40のCPU41は、図示しないタイマなどを用いて、予め設定ファイルなどに設定された船舶情報の取得周期に応じて定まる通信時刻となったか否かを、船舶情報の取得対象となる全ての船舶1a、1bについて判定する(ステップS41)。全ての船舶1a、1bについて通信時刻でない場合(S41:NO)、CPU41は、いずれかの船舶1a、1bについての通信時刻となるまで待機する。
【0076】
いずれかの船舶1a、1bについて通信時刻となった場合(S41:YES)、CPU41は、対象の船舶1a、1bに搭載された船舶情報収集装置10へ無線通信により定時要求を送信する(ステップS42)。次いでCPU41は、定時要求を送信した船舶情報収集装置10から送信される船舶情報を無線通信部42にて受信し(ステップS43)、受信した船舶情報を情報蓄積部47に蓄積して(ステップS44)、定時要求に対する全ての船舶情報の受信を完了したか否かを判定する(ステップS45)。全ての船舶情報の受信を完了していない場合(S45:NO)、CPU41は、ステップS43へ処理を戻し、船舶情報の受信及び蓄積を継続して行う。
【0077】
定時要求に対する全ての船舶情報の受信を完了した場合(S45:YES)、CPU41は、例えば操作部44により処理停止の操作が行われて、船舶情報の取得処理を停止する指示が与えられたか否かを判定し(ステップS46)、停止指示が与えられていない場合には(S46:NO)、ステップS41へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。停止指示が与えられた場合(S46:YES)、CPU41は、船舶情報の取得処理を終了する。
【0078】
図10は、サーバ装置40が行う情報収集送信要求の中継処理の手順を示すフローチャートであり、サーバ装置40のCPU41が行う処理である。サーバ装置40のCPU41は、まず、ネットワーク9を介して船舶シミュレータ50から送信される情報収集送信要求を陸上通信部43にて受信したか否かを判定し(ステップS51)、情報収集送信要求を受信していない場合には(S51:NO)、情報収集送信要求を受信するまで待機する。
【0079】
船舶シミュレータ50からの情報収集送信要求を受信した場合(S51:YES)、CPU41は、情報蓄積部47に予め記憶された認証情報47bに基づいて、船舶シミュレータ50との間で認証処理を行う(ステップS52)。認証処理は、例えば船舶シミュレータ50にて入力されたID(IDentifier)及びパスワードが認証情報47bに登録されたものと一致するか否かを判定することで行うことができる。CPU41は、認証処理が成功したか否かを判定し(ステップS53)、認証処理が成功しなかった場合には(S53:NO)、ステップS51へ処理を戻す。
【0080】
認証処理に成功した場合(S53:YES)、CPU41は、認証に成功した船舶シミュレータ50(又はID)に対応付けて認証情報47bに登録された船舶1a、1bの船舶情報収集装置10へ、船舶シミュレータ50から受信した情報収集送信要求を無線通信部42により送信する(ステップS54)。次いでCPU41は、情報収集送信要求に対する応答として船舶情報収集装置10から送信される船舶情報を無線通信部42にて受信し(ステップS55)、受信した船舶情報を情報蓄積部47に蓄積して(ステップS56)、情報収集送信要求に対する全ての船舶情報の受信を完了したか否かを判定する(ステップS57)。船舶情報の受信を完了していない場合(S57:NO)、CPU41は、ステップS55へ処理を戻し、船舶情報の受信及び蓄積を継続して行う。
【0081】
情報収集送信要求に対する全ての船舶情報の受信を完了した場合(S57:YES)、CPU41は、情報蓄積部47に蓄積した船舶情報47aから情報収集送信要求に係る船舶1a、1bの船舶情報47aを、陸上通信部43にてネットワーク9を介して船舶シミュレータ50へ送信する(ステップS58)。その後、CPU41は、例えば操作部44により処理停止の操作が行われて、中継処理を停止する指示が与えられたか否かを判定し(ステップS59)、停止指示が与えられていない場合には(S59:NO)、ステップS51へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。停止指示が与えられた場合(S59:YES)、CPU41は、情報収集送信要求の中継処理を終了する。
【0082】
図11は、サーバ装置40が行う船舶情報の送信処理の手順を示すフローチャートであり、サーバ装置40のCPU41が行う処理である。サーバ装置40のCPU41は、まず、ネットワーク9を介して船舶シミュレータ50から送信される船舶情報の送信要求を陸上通信部43にて受信したか否かを判定し(ステップS61)、送信要求を受信していない場合には(S61:NO)、送信要求を受信するまで待機する。
【0083】
船舶シミュレータ50から船舶情報の送信要求を受信した場合(S61:YES)、CPU41は、情報蓄積部47に予め記憶された認証情報47bに基づいて、船舶シミュレータ50との間で認証処理を行う(ステップS62)。CPU41は、認証処理が成功したか否かを判定し(ステップS63)、認証処理が成功しなかった場合には(S63:NO)、ステップS61へ処理を戻す。
【0084】
認証処理に成功した場合(S63:YES)、CPU41は、認証に成功した船舶シミュレータ50(又はID)に対応する船舶1a、1bの船舶情報47aを情報蓄積部47から読み出し(ステップS64)、読み出した船舶情報47aを船舶シミュレータ50へ送信する(ステップS65)。その後、CPU41は、例えば操作部44により処理停止の操作が行われて、送信処理を停止する指示が与えられたか否かを判定し(ステップS66)、停止指示が与えられていない場合には(S66:NO)、ステップS61へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。停止指示が与えられた場合(S66:YES)、CPU41は、船舶情報の送信処理を終了する。
【0085】
図12は、サーバ装置40が行う船舶情報の蓄積を説明するための模式図である。例えば、ある時刻にサーバ装置40が3つの船舶A、B及びCに係る船舶情報の取得処理(定時要求の送信及び船舶情報の受信)を行うように設定されており、サーバ装置40は船舶Aに係る船舶情報の取得処理を終了して情報蓄積部47に蓄積し、船舶Bに係る船舶情報の取得処理を行っている途中であり、この取得処理の終了後に船舶Cに係る船舶情報の取得処理を行う予定である。
【0086】
船舶シミュレータ50は、サーバ装置40の処理に関係なく、情報収集送信要求を行うことができ、例えばサーバ装置40が船舶Bに係る船舶情報の取得処理を行っているときに、船舶シミュレータ50からサーバ装置40へ船舶Xに係る情報収集送信要求が与えられた場合(図12(a)参照)、サーバ装置40は船舶Bに係る船舶情報の取得処理を終了した後に、船舶Xに係る船舶情報の取得処理(情報収集送信要求の送信及び船舶情報の受信)を行い、船舶Cに係る船舶情報の取得処理を行う(図12(b)参照)。
【0087】
即ち、サーバ装置40は、船舶シミュレータ50から情報収集送信要求を与えられた場合、船舶情報の取得及び蓄積の処理を行っている途中であれば、この処理を終了した後に情報収集送信要求に係る船舶情報の取得処理を行う。なお、船舶シミュレータ50から設定変更要求又はメッセージが与えられた場合は、サーバ装置40は、情報収集送信要求と同様に途中の船舶情報取得処理を終了した後に設定変更要求又はメッセージの送信を行ってもよく、途中の船舶情報取得処理を中断して設定変更要求又はメッセージの送信を行ってもよい。
【0088】
図13は、サーバ装置40が行う設定変更処理の手順を示すフローチャートであり、サーバ装置40のCPU41が行う処理である。サーバ装置40のCPU41は、まず、ネットワーク9を介して船舶シミュレータ50から送信される設定変更要求を陸上通信部43にて受信したか否かを判定し(ステップS71)、設定変更要求を受信していない場合には(S71:NO)、設定変更要求を受信するまで待機する。
【0089】
船舶シミュレータ50から設定変更要求を受信した場合(S71:YES)、CPU41は、情報蓄積部47に予め記憶された認証情報47bに基づいて、船舶シミュレータ50との間で認証処理を行う(ステップS72)。CPU41は、認証処理が成功したか否かを判定し(ステップS73)、認証処理が成功しなかった場合には(S73:NO)、ステップS71へ処理を戻す。
【0090】
認証処理に成功した場合(S73:YES)、CPU41は、受信した設定変更要求がサーバ装置40の処理に係る設定の変更を要求するものであるか否かを判定する(ステップS74)。設定変更要求がサーバ装置40の設定の場合(S74:YES)、CPU41は、自らの記憶部46に記憶した設定ファイルを更新して(ステップS75)、ステップS77へ処理を進める。これにより、サーバ装置40は以後の処理を更新された設定にて行うことができる。
【0091】
設定変更要求がサーバ装置40の設定でない場合(S74:NO)、即ち設定変更要求が船舶1a、1bに搭載された船舶情報収集装置10に対する設定変更を要求するものである場合、CPU41は、船舶シミュレータ50からの設定変更要求を対応する船舶情報収集装置10へ無線通信部42から送信し(ステップS76)、ステップS77へ処理を進める。これにより、設定変更要求を受信した船舶情報収集装置10にて設定変更が行われる。
【0092】
その後、CPU41は、例えば操作部44により処理停止の操作が行われて、設定変更処理を停止する指示が与えられたか否かを判定し(ステップS77)、停止指示が与えられていない場合には(S77:NO)、ステップS71へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。停止指示が与えられた場合(S77:YES)、CPU41は、設定変更処理を終了する。
【0093】
図14は、サーバ装置40が行うメッセージの中継処理の手順を示すフローチャートであり、サーバ装置40のCPU41が行う処理である。サーバ装置40のCPU41は、まず、ネットワーク9を介して船舶シミュレータ50から送信される船舶1a、1bへのメッセージを陸上通信部43にて受信したか否かを判定し(ステップS81)、メッセージを受信していない場合には(S81:NO)、メッセージを受信するまで待機する。
【0094】
船舶シミュレータ50からメッセージを受信した場合(S81:YES)、CPU41は、情報蓄積部47に予め記憶された認証情報47bに基づいて、船舶シミュレータ50との間で認証処理を行う(ステップS82)。CPU41は、認証処理が成功したか否かを判定し(ステップS83)、認証処理が成功しなかった場合には(S83:NO)、ステップS81へ処理を戻す。
【0095】
認証処理に成功した場合(S83:YES)、CPU41は、船舶シミュレータ50からの対応する船舶情報収集装置10へ無線通信部42から送信する(ステップS84)。その後、CPU41は、例えば操作部44により処理停止の操作が行われて、メッセージの中継処理を停止する指示が与えられたか否かを判定し(ステップS85)、停止指示が与えられていない場合には(S85:NO)、ステップS81へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。停止指示が与えられた場合(S85:YES)、CPU41は、メッセージの中継処理を終了する。
【0096】
陸上の造船会社5a、5bに設置された船舶シミュレータ50は、設計者が船舶の設計検証を行うための装置であり、検証対象となる船舶の設計情報55dが記憶部55に記憶されている。設計者は、船舶シミュレータ50にてシミュレーションプログラム55aを実行することで設計情報55dに係る船舶の検証を行うことができる。船舶の設計検証は船舶シミュレータ50単独の処理で行うことができ、サーバ装置40又は船舶情報収集装置10との通信処理を行う必要はない。
【0097】
また、設計検証の精度を高めるために、船舶シミュレータ50は実際の船舶1a、1bの航行時に収集された船舶情報55eを用いてシミュレーションモデル情報55cを補正する機能を有している。船舶シミュレータ50は、例えば船舶1aの設計時に行ったシミュレーションのシミュレーション結果55bと、完成した船舶1aの航行時に収集した船舶情報55eとを比較し、シミュレーション結果55bに生じている誤差を算出して、この誤差を取り除くべくシミュレーションモデル情報55cを補正する。これにより、船舶1aと同型の船舶の改良設計又は船舶1aを発展させた次期の船舶の設計等のシミュレーションを行う際に補正されたシミュレーションモデル情報55cを用いることで、設計検証の精度を高めることができる。
【0098】
船舶の形状設計を行う場合には、船舶の航行により生じる水及び空気の抵抗、例えば空気抵抗、摩擦抵抗(船体と水との摩擦により生じる抵抗)及び造波抵抗(船舶の航行により生じる波の抵抗)等を考慮する必要があり、特に高速な航行を行う船舶では造波抵抗を低減することが重要である。例えば造波抵抗を低減するために、船首下部の形状を球状とすることで、通常形状の船首上部が起こす波と、球状の船首下部が起こす波とが互いに打ち消し合い、波の発生を減少させることができる。船舶の形状設計では、船首の形状と波の発生量とをシミュレーション及び水槽試験等により検証することで、造波抵抗をより低減できる船首形状が検討されるが、シミュレーション及び水槽試験での検証には限度があるため、実際の船舶1a、1bの船首に波高計35を設けて収集した波高情報は有用である。
【0099】
更に、本発明に係る船舶設計検証システムにおいては、船舶1a、1bに搭載された船舶情報収集装置10が定期的に船舶情報を収集して陸上のサーバ装置40へ無線により送信し、サーバ装置40に蓄積された船舶情報を船舶シミュレータ50がネットワーク9を介して取得することができるため、船舶の設計者は船舶1a、1bの寄港を待つことなく、船舶1a、1bの船舶情報を用いた設計検証を行うことができる。
【0100】
また船舶の設計者は、船舶情報収集装置10が定期的に収集する船舶情報のみでなく、船舶シミュレータ50からサーバ装置40を介して情報取得送信要求を船舶情報収集装置10へ送信することができる。これにより船舶情報収集装置10は設定された情報収集の周期外であっても、船舶情報を収集して船舶シミュレータ50へ送信するため、陸上の設計者は最新の船舶情報を取得して設計検証を行うことができる。
【0101】
また船舶の設計者は、船舶情報収集装置10による船舶1a、1bの船舶情報を収集する周期などの設定を、陸上の船舶シミュレータ50から変更することができる。これにより、例えば船舶1a、1bからの船舶情報を設計者が船舶シミュレータ50にて確認し、船舶1a、1bが特定の条件(天候又は風向等)の下で航行している際に船舶情報の検出周期を短く設定し、船舶情報のサンプリング数を増加させることができるなど、設計者の船舶設計に有用な条件での船舶情報をより詳細に収集することができる。即ち、陸上の設計者が船舶1a、1bの航行状態などを判断して船舶情報の収集周期の設定を変更できるため、船舶設計に必要な船舶情報をより確実に収集することができる。
【0102】
また船舶の設計者は、船舶シミュレータ50を用いて船舶1a、1bにメッセージ送信を行うことができる。これにより、例えば海上の波の進む方向に対して所定角度で船舶1a、1bを航行するように船舶1a、1bの乗員に操作指示を与えることができるなど、陸上の設計者が船舶設計に必要な船舶情報を収集すべく船舶1a、1bに対して指示を与えることができるため、船舶設計に必要な船舶情報をより確実に収集することができる。
【0103】
図15は、船舶シミュレータ50が行う船舶情報の受信処理の手順を示すフローチャートであり、船舶シミュレータ50のCPU51が行う処理である。船舶シミュレータ50のCPU51は、まず、設計者の操作部53に対する操作により船舶情報の送信要求又は情報収集送信要求の送信指示が与えられたか否かを判定し(ステップS91)、送信指示が与えられていない場合には(S91:NO)、送信指示が与えられるまで待機する。
【0104】
送信要求又は情報収集送信要求の送信指示が与えられた場合(S91:YES)、CPU51は、陸上通信部52からネットワーク9を介して送信要求又は情報収集送信要求をサーバ装置40へ送信すると共に(ステップS92)、サーバ装置40との間で認証処理を行う(ステップS93)。次いで、CPU51は、認証処理の成功によりサーバ装置40から送信される船舶情報の受信を行い(ステップS94)、受信した船舶情報を記憶部55に記憶する(ステップS95)。CPU51は、送信要求又は情報収集送信要求に係る全ての船舶情報の受信を完了したか否かを判定し(ステップS96)、受信を完了していない場合には(S96:NO)、ステップS94へ処理を戻し、船舶情報の受信及び記憶を継続して行う。
【0105】
船舶情報の受信を完了した場合(S96:YES)、CPU51は、例えば操作部53により処理停止の操作が行われて、船舶情報の受信処理を停止する指示が与えられたか否かを判定する(ステップS97)。CPU51は、停止指示が与えられていない場合には(S97:NO)、ステップS91へ処理を戻して上述の処理を繰り返し行い、停止指示が与えられた場合には(S97:YES)、船舶情報の受信処理を終了する。
【0106】
図16は、船舶シミュレータ50が行う設定変更要求又はメッセージの送信処理の手順を示すフローチャートであり、船舶シミュレータ50のCPU51が行う処理である。船舶シミュレータ50のCPU51は、まず、設計者の操作部53に対する操作により船舶情報収集装置10への設定変更要求又は船舶1a、1bの乗員へのメッセージの送信指示が与えられたか否かを判定し(ステップS101)、送信指示が与えられていない場合には(S101:NO)、送信指示が与えられるまで待機する。
【0107】
設定変更要求又はメッセージの送信指示が与えられた場合(S101:YES)、CPU51は、陸上通信部52からネットワーク9を介して設定変更要求又はメッセージをサーバ装置40へ送信すると共に(ステップS102)、サーバ装置40との間で認証処理を行う(ステップS103)。これにより、認証処理に成功した場合には、船舶シミュレータ50からの設定変更要求又はメッセージはサーバ装置40から船舶情報収集装置10へ送信される。
【0108】
その後、CPU51は、例えば操作部53により処理停止の操作が行われて、設定変更要求又はメッセージの送信処理を停止する指示が与えられたか否かを判定し(ステップS104)、停止指示が与えられていない場合には(S104:NO)、ステップS101へ処理を戻して上述の処理を繰り返し行う。送信処理の停止指示が与えられた場合には(S104:YES)、CPU51は、設定変更要求又はメッセージの送信処理を終了する。
【0109】
図17は、船舶シミュレータ50が行うシミュレーションモデル情報の補正処理の手順を示すフローチャートであり、船舶シミュレータ50のCPU51が行う処理である。船舶シミュレータ50のCPU51は、まず、船舶1a、1bの航行時に収集された船舶情報55eを記憶部55から読み込むと共に(ステップS111)、この船舶1a、1bの設計時のシミュレーション結果55bを記憶部55から読み込む(ステップS112)。次いで、CPU51は、読み込んだ船舶情報55e及びシミュレーション結果55bを比較することによって、シミュレーション結果55bに含まれる誤差を算出する(ステップS113)。その後、CPU51は、算出した誤差に基づいて、この誤差を取り除くべくシミュレーションモデル情報55cを補正し(ステップS114)、処理を終了する。
【0110】
以上の構成の船舶設計検証システムは、船舶情報を定期的に検出して蓄積する船舶情報収集装置10を船舶1a、1bに搭載して、船舶情報収集装置10が蓄積した船舶情報を無線通信にて陸上のサーバ装置40へ送信し、サーバ装置40が造船会社5a、5bに設置された船舶シミュレータ50へネットワーク9を介して船舶情報を送信する構成とすることにより、船舶1a、1bが長期間に亘って寄港しない場合であっても、船舶1a、1bの航行により収集した船舶情報を陸上の船舶シミュレータ50が取得して船舶設計の検証を行うことができる。
【0111】
また、船舶シミュレータ50は、船舶情報の収集及び送信を要求する情報収集送信要求を、船舶情報収集装置10へサーバ装置40を介して送信することができ、情報収集送信要求を受信した船舶情報収集装置10が船舶情報を検出し、検出した船舶情報を船舶シミュレータ50へサーバ装置40を介して送信する構成とすることにより、船舶の設計者が望むタイミングで最新の船舶情報を取得することができ、最新の船舶情報を用いて船舶シミュレータ50による船舶設計の検証を行うことができる。
【0112】
また、船舶1a、1bに波高計35を搭載し、船舶情報収集装置10が収集する船舶情報に波高計35が検出した波高情報を含む構成とすることにより、船舶形状の設計に有用な情報を船舶シミュレータ50が取得することができるため、船舶形状の検証精度及び設計精度等を向上することができる。
【0113】
また、船舶シミュレータ50からサーバ装置40を介して船舶情報収集装置10へ設定変更要求を送信することで、船舶情報収集装置10による船舶情報の検出周期及び検出時間等の設定を変更できる構成とすることにより、詳細な船舶情報を必要とする場合には検出周期を短く設定するなど、船舶の設計者が船舶1a、1bの航行状況などに応じて船舶情報の検出周期を任意に変更することができ、収集する船舶情報の精度を適宜に調整することができる。
【0114】
また、船舶1a、1bの乗員に対する操舵指示などの航行に係る指示を、船舶シミュレータ50を用いて船舶の設計者が陸上から与えることができる構成とすることにより、設計者が必要とする条件での船舶情報を収集すべく船舶1a、1bに航行を行わせることができる。即ち、船舶の設計者は、船舶1a、1bの航行に伴って船舶情報収集装置10が自動的に収集する船舶情報を用いて受動的に船舶設計の検証を行うのみでなく、陸上から設計者が船舶1a、1bに指示を与えて所望の条件で船舶情報の収集を行わせることができ、能動的に船舶設計の検証を行うことができるため、有用な船舶情報をより早期に且つより確実に取得して設計検証を行うことができる。
【0115】
なお、本実施の形態においては、VDR20の船速検出部21が検出する船舶1a、1bの航行速度、風向検出部22が検出する風向、風速検出部23が検出する風速、舵角検出部24が検出する舵角、位置検出部25が検出する船舶1a、1bの航行位置、水深検出部26が検出する水深、回転数検出部31が検出するエンジン30の回転数、馬力検出部32が検出するエンジン30の馬力、ピッチ角検出部33が検出する船舶1a、1bのピッチ角、ロール角検出部34が検出する船舶1a、1bのロール角及び波高計35が検出する波高等の情報を、船舶情報収集装置10が船舶情報として収集する構成としたが、これらの情報は一例であって、船舶情報収集装置10が他の情報を収集する構成としてもよい。また、船舶情報収集装置10が収集した船舶情報を、船舶シミュレータ50にてシミュレーションモデル情報55cの補正に用いる構成としたが、一例であってこれに限るものではなく、船舶情報を船舶設計に係る他の目的に用いてもよい。
【0116】
また、サーバ装置40が定期的に船舶情報収集装置10へ定期要求を送信し、これを受信した船舶情報収集装置10が蓄積した船舶情報をサーバ装置40へ送信する構成としたが、これに限るものではなく、船舶情報収集装置10が船舶情報の送信タイミングを自ら判断し、船舶情報収集装置10から定期的に送信される船舶情報をサーバ装置40が受信するのみの構成であってもよい。また、図10、図11、図13〜図16に示した各処理においてそれぞれ認証処理を行う構成としたが、これに限るものではなく、船舶シミュレータ50とサーバ装置40との間で認証処理が一度成功した後は所定時間が経過するまで認証処理を行わない構成であってもよい。
【0117】
また、サーバ装置40がサービス提供会社4に設置される構成としたが、これに限るものではなく、サーバ装置40を造船会社5a、5bに設置してもよく、更にこの場合にはサーバ装置40及び船舶シミュレータ50を一体的に1つの装置として実現してもよい(即ち、船舶情報収集装置10と船舶シミュレータ50とが直接的に通信を行ってもよい)。また、造船会社5a、5bの船舶シミュレータ50がサーバ装置40との通信を行う構成としたが、これに限るものではなく、造船会社5a、5bにサーバ装置40との通信を行う通信装置を設置し、この通信装置がサーバ装置40から受信した船舶情報を社内LAN(Local Area Network)又は可搬型の記録媒体等を介して船舶シミュレータ50へ与える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0118】
1a、1b 船舶
4 サービス提供会社
5a、5b 造船会社
7 通信衛星
8 無線通信中継装置
9 ネットワーク
10 船舶情報収集装置
11 船内通信部
12 情報収集部
13 情報蓄積部(船舶情報蓄積手段)
14 無線通信部(船舶側無線通信手段)
15 制御部(定期送信手段、応答送信手段)
20 VDR(船舶情報検出手段)
21 船速検出部(船舶情報検出手段)
22 風向検出部(船舶情報検出手段)
23 風速検出部(船舶情報検出手段)
24 舵角検出部(船舶情報検出手段)
25 位置検出部(船舶情報検出手段)
26 水深検出部(船舶情報検出手段)
30 エンジン
31 回転数検出部(船舶情報検出手段)
32 馬力検出部(船舶情報検出手段)
33 ピッチ角検出部(船舶情報検出手段)
34 ロール角検出部(船舶情報検出手段)
35 波高計(船舶情報検出手段)
36 データ変換器
37 PC
37a 積付計算プログラム
40 サーバ装置(情報中継装置)
41 CPU
42 無線通信部(陸側無線通信手段)
43 陸上通信部(陸上通信手段)
47 情報蓄積部(船舶情報蓄積手段)
47a 船舶情報
47b 認証情報
50 船舶シミュレータ(陸上用通信装置、船舶設計検証装置)
51 CPU(船舶情報要求手段、設定送信手段、指示送信手段)
52 陸上通信部(陸上通信手段)
55 記憶部
55a シミュレーションプログラム
55b シミュレーション結果
55c シミュレーションモデル情報
55d 設計情報
55e 船舶情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に搭載され、該船舶の航行に係る情報を定期的に検出する船舶情報検出手段、該船舶情報検出手段により検出された船舶情報を蓄積する船舶情報蓄積手段、無線通信により陸上に設置された装置との間で情報の送受信を行う船舶側無線通信手段、及び、前記船舶情報蓄積手段に蓄積された船舶情報を前記船舶側無線通信手段により定期的に送信する定期送信手段を有する船舶情報収集装置と、
陸上に設置され、前記船舶情報収集装置の船舶側無線通信手段との間で無線通信により情報の送受信を行う陸側無線通信手段、該陸側無線通信手段により前記船舶情報収集装置から送信された船舶情報を受信して蓄積する船舶情報蓄積手段、及び、陸上の他の装置との間で情報の送受信を行う陸上通信手段を有し、前記船舶情報収集装置及び前記他の装置の間で送受信する情報を中継する情報中継装置と、
陸上に設置され、前記情報中継装置との間で情報の送受信を行う陸上通信手段を有する陸上用通信装置と
を備え、
該陸上通信装置は、前記情報中継装置を介して、前記船舶情報収集装置へ船舶情報の取得要求を送信する船舶情報要求手段を更に有し、
前記船舶情報収集装置は、前記情報中継装置を介して与えられた前記取得要求を受信した場合に、前記船舶情報蓄積手段が蓄積した船舶情報を前記船舶側無線通信手段により送信する応答送信手段を更に有し、
前記情報中継装置は、前記船舶情報収集装置及び前記陸上用通信装置の間で、前記取得要求及び該取得要求に対する応答として送信された船舶情報の中継を行うようにしてあること
を特徴とする船舶情報収集システム。
【請求項2】
船舶に搭載され、該船舶の航行に係る情報を定期的に検出する船舶情報検出手段、該船舶情報検出手段により検出された船舶情報を蓄積する船舶情報蓄積手段、無線通信により陸上に設置された装置との間で情報の送受信を行う船舶側無線通信手段、及び、前記船舶情報蓄積手段に蓄積された船舶情報を前記船舶側無線通信手段により定期的に送信する定期送信手段を有する船舶情報収集装置と、
陸上に設置され、前記船舶情報収集装置の船舶側無線通信手段との間で無線通信により情報の送受信を行う陸側無線通信手段、及び、該陸側無線通信手段により前記船舶情報収集装置から送信された船舶情報を受信して蓄積する船舶情報蓄積手段を有する陸上用通信装置と
を備え、
該陸上通信装置は、前記船舶情報収集装置へ船舶情報の取得要求を送信する船舶情報要求手段を更に有し、
前記船舶情報収集装置は、前記取得要求を受信した場合に、前記船舶情報蓄積手段が蓄積した船舶情報を前記船舶側無線通信手段により送信する応答送信手段を更に有すること
を特徴とする船舶情報収集システム。
【請求項3】
前記船舶情報検出手段が検出する船舶情報には、前記船舶の航行に係る波高情報を含むこと
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の船舶情報収集システム。
【請求項4】
前記船舶情報収集装置は、前記取得要求を受信した場合に、前記船舶情報検出手段にて船舶情報の検出を行って前記情報蓄積手段に蓄積し、蓄積した船舶情報を前記応答送信手段により送信するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の船舶情報収集システム。
【請求項5】
前記陸上用通信装置は、前記船舶情報収集装置の船舶情報検出手段が行う船舶情報の検出の周期設定を送信する設定送信手段を更に有し、
前記船舶情報収集装置は、前記周期設定を受信した場合に、受信した周期設定に応じて船舶情報の検出を行う周期を変更するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の船舶情報収集システム。
【請求項6】
前記陸上用通信装置は、前記船舶情報収集装置が搭載された船舶の乗員に対する航行に係る指示を送信する指示送信手段を更に有し、
前記船舶情報収集装置は、前記指示を受信した場合に、該指示を船舶の乗員へ通知する通知手段を更に有すること
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の船舶情報収集システム。
【請求項7】
船舶に搭載され、該船舶の航行に係る情報を定期的に検出する船舶情報検出手段、該船舶情報検出手段により検出された船舶情報を蓄積する船舶情報蓄積手段、無線通信により陸上に設置された装置との間で情報の送受信を行う船舶側無線通信手段、及び、前記船舶情報蓄積手段に蓄積された船舶情報を前記船舶側無線通信手段により定期的に送信する定期送信手段を有する船舶情報収集装置と、
陸上に設置され、前記船舶情報収集装置の船舶側無線通信手段との間で無線通信により情報の送受信を行う陸側無線通信手段、該陸側無線通信手段により前記船舶情報収集装置から送信された船舶情報を受信して蓄積する船舶情報蓄積手段、及び、陸上の他の装置との間で情報の送受信を行う陸上通信手段を有し、前記船舶情報収集装置及び前記他の装置の間で送受信する情報を中継する情報中継装置と、
陸上に設置され、前記情報中継装置との間で情報の送受信を行う陸上通信手段、及び、該陸上通信手段により前記情報中継装置から受信した船舶情報を用いて船舶設計に係るシミュレーションを行う検証手段を有する船舶設計検証装置と
を備え、
該船舶設計検証装置は、前記情報中継装置を介して、前記船舶情報収集装置へ船舶情報の取得要求を送信する船舶情報要求手段を更に有し、
前記船舶情報収集装置は、前記情報中継装置を介して与えられた前記取得要求を受信した場合に、前記船舶情報蓄積手段が蓄積した船舶情報を前記船舶側無線通信手段により送信する応答送信手段を更に有し、
前記情報中継装置は、前記船舶情報収集装置及び前記船舶設計検証装置の間で、前記取得要求及び該取得要求に対する応答として送信された船舶情報の中継を行うようにしてあること
を特徴とする船舶設計検証システム。
【請求項8】
船舶に搭載され、該船舶の航行に係る情報を定期的に検出する船舶情報検出手段、該船舶情報検出手段により検出された船舶情報を蓄積する船舶情報蓄積手段、無線通信により陸上に設置された装置との間で情報の送受信を行う船舶側無線通信手段、及び、前記船舶情報蓄積手段に蓄積された船舶情報を前記船舶側無線通信手段により定期的に送信する定期送信手段を有する船舶情報収集装置と、
陸上に設置され、前記船舶情報収集装置の船舶側無線通信手段との間で無線通信により情報の送受信を行う陸側無線通信手段、該陸側無線通信手段により前記船舶情報収集装置から送信された船舶情報を受信して蓄積する船舶情報蓄積手段、及び、該蓄積手段に蓄積した船舶情報を用いて船舶設計に係るシミュレーションを行う検証手段を有する船舶設計検証装置と
を備え、
該船舶設計検証装置は、前記船舶情報収集装置へ船舶情報の取得要求を送信する船舶情報要求手段を更に有し、
前記船舶情報収集装置は、前記取得要求を受信した場合に、前記船舶情報蓄積手段が蓄積した船舶情報を前記船舶側無線通信手段により送信する応答送信手段を更に有すること
を特徴とする船舶設計検証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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