船舶推進機
【課題】エンジン回転速度の瞬間的な上昇に瞬時に対応することができる船舶推進機を提供する。
【解決手段】船舶推進機は、エンジンと、ドライブシャフトと、プロペラシャフトと、回転速度検出部と、制御部と、を備える。ドライブシャフトは、エンジンからの動力を伝達する。プロペラシャフトは、ドライブシャフトから伝達される動力によって回転駆動される。回転速度検出部は、エンジン回転速度を検出する。制御部は、エンジン回転速度の変化率RNが所定値r以上であるときに、エンジン回転速度を抑制する抑制制御を実行するS101。
【解決手段】船舶推進機は、エンジンと、ドライブシャフトと、プロペラシャフトと、回転速度検出部と、制御部と、を備える。ドライブシャフトは、エンジンからの動力を伝達する。プロペラシャフトは、ドライブシャフトから伝達される動力によって回転駆動される。回転速度検出部は、エンジン回転速度を検出する。制御部は、エンジン回転速度の変化率RNが所定値r以上であるときに、エンジン回転速度を抑制する抑制制御を実行するS101。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶推進機に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン回転速度が所定の回転速度を越えたときに、点火を停止させて(以下、「失火」という)エンジン回転速度を抑制する制御が知られている。例えば、特許文献1に開示されているエンジンの点火制御装置では、スロットルが急速に開かれたときに、失火モードに設定される。失火モードが設定されている間に、エンジン回転速度が所定回転速度以上となると、エンジンの失火が行われる。また、特許文献2に開示されている機関制御装置では、温度センサによってエンジンの温度が検出される。また、回転数センサによってエンジン回転速度が検出される。そして、エンジンのオーバーヒートが検出されると、エンジンの回転数が所定の回転数となるように、所定の順序でエンジンの失火が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−480412号公報
【特許文献2】特開平03−210068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているエンジンの点火制御装置では、運転者によるスロットルの急操作に起因したエンジンの過回転を防止することができる。しかし、船外機などの船舶推進機では、プロペラが海面上に現れたときなどには、一時的にエンジンが無負荷状態となることがある。この様な場合には、オペレータがスロットルの急操作を行っていなくても、エンジン回転速度が急激に上昇することがある。従って、特許文献1の制御では、このような船舶推進機におけるエンジン回転速度の増大を抑えることは困難である。
【0005】
また、特許文献2に開示されている機関制御装置では、エンジン回転速度が所定回転速度となるように、所定の順序でエンジンの失火が行われる。このため、オペレータによるスロットルの急操作の有無に関わらず、エンジン回転速度の増大を抑えることができる。しかし、上記のようにエンジンが無負荷状態となったときには、エンジン回転速度が瞬間的に上昇する。この場合、特許文献2に開示されている機関制御装置のように、単にエンジン回転速度に応じて失火を行っているだけでは、エンジン回転速度の瞬間的な上昇に瞬時に対応することは困難である。
【0006】
本発明の課題は、エンジン回転速度の瞬間的な上昇に瞬時に対応することができる船舶推進機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る船舶推進機は、エンジンと、ドライブシャフトと、プロペラシャフトと、回転速度検出部と、制御部と、を備える。ドライブシャフトは、エンジンからの動力を伝達する。プロペラシャフトは、ドライブシャフトから伝達される動力によって回転駆動される。回転速度検出部は、エンジン回転速度を検出する。制御部は、エンジン回転速度の変化率が所定値以上であるときに、エンジン回転速度を抑制する抑制制御を実行する。
【0008】
本発明の他の態様に係る船舶推進機は、エンジンと、ドライブシャフトと、プロペラシャフトと、制御部と、を備える。ドライブシャフトは、エンジンからの動力を伝達する。プロペラシャフトは、ドライブシャフトから伝達される動力によって回転駆動される。制御部は、第1演算回転速度が所定の第1閾値以上であるときに、エンジン回転速度を抑制する抑制制御を実行する。第1演算回転速度は、エンジンの所定の第1回転角度当たりの回転時間から演算されたエンジン回転速度である。制御部は、第2演算回転速度が所定の第2閾値以上であるときに、抑制制御を実行する。第2演算回転速度は、第1回転角度より小さい第2回転角度当たりの回転時間から演算されたエンジン回転速度である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る船舶推進機では、エンジン回転速度の変化率が所定値以上であるときに、エンジン回転速度を抑制する抑制制御が実行される。すなわち、エンジン回転速度の変化率によって、抑制制御の実行が判定される。このため、エンジン回転速度の瞬間的な上昇に瞬時に対応することができる。
【0010】
本発明の他の態様に係る船舶推進機では、抑制制御の実行を判定するためのエンジン回転速度として、第1演算回転速度と第2演算回転速度とが用いられる。第2演算回転速度は、第1演算回転速度を演算するための回転角度よりも小さい回転角度当たりの回転時間から演算される。このため、第2演算回転速度を用いて抑制制御の実行を判定することにより、エンジン回転速度の瞬間的な上昇に瞬時に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る船舶推進機を示す側面図。
【図2】船舶推進機が備えるエンジンの制御系及び操作装置を示すブロック図。
【図3】クランク角センサによって生成された検出信号を示すタイムチャート。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る抑制制御の処理を示すフローチャート。
【図5】第1の実施形態に係る抑制制御におけるエンジン回転速度Nとエンジン回転速度の変化率RNに応じた失火気筒数を示す表。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る抑制制御の処理を示すフローチャート。
【図7】クランク角センサによって生成された検出信号を示すタイムチャート。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る抑制制御における第1演算回転速度Nregularと第2演算回転速度Ninstantとに応じた失火気筒数を示す表。
【図9】過回転継続状態判定を含む抑制制御の処理を示すフローチャート。
【図10】過回転継続状態判定を含む抑制制御が実行されたときのエンジン回転速度と過回転継続状態判定のフラグとスロットル開度の変化を示すタイミングチャート。
【図11】他の実施形態に係る船舶推進機の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る船舶推進機について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る船舶推進機1を示す側面図である。船舶推進機1は、船外機である。船舶推進機1は、エンジンカバー2、上部ケーシング3、下部ケーシング4、エンジン5、ブラケット6を有する。エンジンカバー2は、エンジン5を収容する。エンジンカバー2は、上部エンジンカバー2aと下部エンジンカバー2bとを含む。上部エンジンカバー2aは、下部エンジンカバー2bの上方に配置されている。上部ケーシング3は、下部エンジンカバー2bの下方に配置されている。下部ケーシング4は、上部ケーシング3の下方に配置されている。船舶推進機1は、ブラケット6を介して図示しない船体に取り付けられる。
【0013】
エンジン5は、エンジンカバー2内に配置される。エンジン5は、多気筒エンジンであり、各気筒は上下方向に並んで配置される。本実施形態において、エンジン5は、4つの気筒を有する。エンジン5は、クランク軸12を有する。クランク軸12は、鉛直方向に沿って延びている。上部ケーシング3及び下部ケーシング4内には、ドライブシャフト11が配置される。ドライブシャフト11は、上部ケーシング3及び下部ケーシング4内において上下方向に沿って配置される。ドライブシャフト11は、エンジン5のクランク軸12に連結されており、エンジンからの動力を伝達する。下部ケーシング4の下部には、プロペラ13が配置される。プロペラ13は、エンジン5の下方に配置されている。プロペラ13にはプロペラシャフト14が連結されている。プロペラシャフト14は、前後方向に沿って配置されている。プロペラシャフト14は、シフト機構15を介してドライブシャフト11の下部に連結されている。プロペラシャフト14は、ドライブシャフト11から伝達される動力によって回転駆動される。
【0014】
シフト機構15は、ドライブシャフト11からプロペラシャフト14へ伝達される動力の回転方向を切り換える。シフト機構15は、ピニオンギア16と前進用ギア17と後進用ギア18とドッグクラッチ19とを有する。ピニオンギア16は、ドライブシャフト11に連結されている。ピニオンギア16は、前進用ギア17及び後進用ギア18と噛み合っている。前進用ギア17と後進用ギア18とは、プロペラシャフト14に対して相対回転可能に設けられている。ドッグクラッチ19は、プロペラシャフト14に対して相対回転不能に取り付けられている。また、ドッグクラッチ19は、プロペラシャフト14の軸線方向に沿って、前進位置と後進位置と中立位置とに移動可能に設けられている。ドッグクラッチ19は、後述する操作装置31(図2参照)の操作に応じて、前進位置と後進位置と中立位置とに移動する。ドッグクラッチ19は、前進位置において、前進用ギア17とプロペラシャフト14とを相対回転不能に固定する。この場合、ドライブシャフト11の回転は、前進用ギア17を介してプロペラシャフト14に伝達される。これにより、船体を前進させる方向にプロペラ13が回転する。また、ドッグクラッチ19は、後進位置において、後進用ギア18とプロペラシャフト14とを相対回転不能に固定する。この場合、ドライブシャフト11の回転が後進用ギア18を介してプロペラシャフト14に伝達される。これにより、船体を後進させる方向にプロペラ13が回転する。ドッグクラッチ19が前進位置と後進位置との間の中立位置に位置する場合には、前進用ギア17と後進用ギア18とは、それぞれプロペラシャフト14に対して相対回転可能となる。すなわち、ドライブシャフト11からの回転は、プロペラシャフト14には伝達されず、プロペラシャフト14は空転可能となる。
【0015】
図2は、船舶推進機1が備えるエンジン5の制御系及び操作装置31を示すブロック図である。エンジン5は、ECU21(Engine Control Unit)によって制御される。ECU21は、本発明の制御部に相当する。ECU21は、エンジン5の制御プログラムを記憶している。ECU21は、各種のセンサ(図示せず)が検出したエンジン5に関する情報に基づいて、燃料噴射装置22と、スロットル弁23と、点火装置24と、シフトアクチュエータ25との動作を制御する。燃料噴射装置22は、エンジン5の燃焼室に供給する燃料を噴射する。スロットル弁23の開度が変更されることにより、燃焼室へ送られる混合気の量が調整される。点火装置24は、燃焼室内の燃料に点火する。なお、図2では図示されていないが、燃料噴射装置22とスロットル弁23と点火装置24とは、エンジン5の各気筒ごとに備えられている。
【0016】
操作装置31は、船体に取り付けられる。操作装置31は、例えば、操作レバーである。操作装置31は、操作装置31の操作に応じて、エンジン5の出力を制御するための操作信号をECU21に入力する。ECU21は、操作装置31からの操作信号に基づいて、エンジン5を制御する。オペレータが操作装置31を操作することによって、操作部材31の位置に応じた検出値の操作信号が出力される。これにより、スロットル開度が制御され、船舶の速度を制御することができる。また、オペレータは、操作装置31を操作することによって、船舶の前進と後進とを切り換えることができる。具体的には、操作装置31は、前進位置(F)と後進位置(R)と中立位置(N)とに切換可能である。ECU21は、操作装置31からの操作信号に基づいて、シフトアクチュエータ25を制御する。シフトアクチュエータ25は、例えば、モータなどの駆動手段を有している。シフトアクチュエータ25は、ECU21によって制御されることにより、上述したドッグクラッチ19を、前進位置、後進位置、中立位置のいずれかに移動させる。
【0017】
図2に示すように、船舶推進機1は、クランク角センサ26を備えている。ECU21は、クランク角センサ26からの検出信号に基づいてエンジン回転速度を演算する。クランク角センサ26は、エンジン回転速度を検出する本発明の回転速度検出部に相当する。クランク角センサ26は、磁気センサであり、図2に示すようにクランク軸12の複数の突起部120の通過を検出する。なお、図2では、複数の突起部120のうちの一部にのみ符号120を付している。クランク軸12の表面には、複数の突起部120が規則的に配列されている。ただし、クランク軸12の表面は、欠落部121を含む。欠落部121は、突起部120が形成されておらず、隣り合う突起部120の間隔が他の突起部120の間隔と異なる部分である。
【0018】
図3は、クランク角センサ26によって生成された検出信号を示すタイムチャートである。図3に示すように、クランク角センサ26に対向する位置を突起部120が通過したときは磁界が強くなるので、検出信号には周期的な起伏が形成される。一方、クランク角センサ26に対向する位置を欠落部121が通過したときには、検出信号に起伏は形成されず、同じ信号強度が持続する。このため、クランク角センサ26の検出信号には、第1領域A1と第2領域A2とが交互に表れる。第1領域A1は、突起部120の通過により周期的に起伏した信号が連続する領域である。第2領域A2は、欠落部121の通過により平坦な信号が持続する領域である。第1領域A1と第2領域A2とが検出されることにより、クランク軸12の回転角度が検知される。ECU21は、クランク軸12の所定の第1回転角度当たりの回転時間t1から、後述するエンジン5の過回転を判定するためのエンジン回転速度を演算する。例えば、図3では、所定の第1回転角度当たりの回転時間t1は、クランク軸12の1周期Tの半分、すなわち、180度の回転角度当たりの回転時間である。なお、ECU21は、第1回転角度に基づいて、燃料の噴射と点火とのタイミングを制御する。
【0019】
ECU21は、エンジン回転速度に基づいてエンジン回転速度を抑制する抑制制御を実行する。図4は、本発明の第1の実施形態に係る抑制制御の処理を示すフローチャートである。この抑制制御の処理は、エンジン回転速度を用いたエンジン5の通常の過回転発生の判定処理(ステップS103−S110)と、エンジン回転速度の変化率を用いた瞬時の過回転発生の判定処理(ステップS101−S102)とを含む。なお、以下の抑制制御の処理は、エンジン5の駆動中に繰り返し実行される。
【0020】
ステップS101において、エンジン回転速度の変化率RNが所定値r以上であるか否かが判定される。エンジン回転速度の変化率RNは、所定の単位時間当たりのエンジン回転速度の変化量であり、以下の数1式で表される。
【0021】
[数1]
RN=N(n)−N(n−1)
N(n)は、第1回転角度当たりの回転時間t1の最新の検出値から演算されたエンジン回転速度である。N(n−1)は、第1回転角度当たりの回転時間t1の1つ前の検出値から演算されたエンジン回転速度である。
【0022】
エンジン回転速度の変化率RNが所定値r以上であるときには、ステップS102に進む。ステップS102では、エンジン回転速度Nが所定の回転速度Nb以上であるか否かが判定される。ステップS101において、エンジン回転速度の変化率RNが所定値r以上ではないとき、又は、ステップS102において、エンジン回転速度Nが回転速度Nb以上ではないときには、ステップS103に進む。
【0023】
ステップS103では、エンジン回転速度Nが所定の回転速度Na1以上であるか否かが判定される。エンジン回転速度Nが回転速度Na1以上であるときには、ステップS104に進む。
【0024】
ステップS104では、エンジン回転速度Nが所定の回転速度Na2以上であるか否かが判定される。Na2は、Na1より大きな値である。エンジン回転速度Nが回転速度Na2以上ではないときにはステップS105に進む。ステップS105では、エンジン5の1つの気筒に対して失火が行われる。これにより、エンジン回転速度が抑制される。失火は、例えば、噴射カットによって行われる。噴射カットでは、燃料噴射装置22を制御することにより、燃料の噴射が停止される。
【0025】
ステップS104において、エンジン回転速度Nが回転速度Na2以上であるときには、ステップS106に進む。ステップS106では、エンジン回転速度Nが所定の回転速度Na3以上であるか否かが判定される。Na3は、Na2より大きな値である。エンジン回転速度Nが回転速度Na3以上ではないときにはステップS107に進む。ステップS107では、エンジン5の2つの気筒に対して失火が行われる。
【0026】
ステップS106において、エンジン回転速度Nが回転速度Na3以上であるときには、ステップS108に進む。ステップS108では、エンジン回転速度Nが所定の回転速度Na4以上であるか否かが判定される。Na4は、Na3より大きな値である。エンジン回転速度Nが回転速度Na4以上ではないときにはステップS109に進む。ステップS109では、エンジン5の3つの気筒に対して失火が行われる。
【0027】
ステップS108において、エンジン回転速度Nが回転速度Na4以上であるときには、ステップS110に進む。ステップS109では、エンジン5の4つ気筒に対して失火が行われる。すなわち、ステップS109では、エンジン5の全ての気筒に対して失火が行われる。
【0028】
上述したステップS101において、エンジン回転速度の変化率RNが所定値r以上であり、且つ、ステップS102において、エンジン回転速度Nが回転速度Nb以上であるときにも、ステップS110に進み、エンジン5の全ての気筒に対して失火が行われる。なお、回転速度Nbは、Na4より小さな値である。本実施形態においては、回転速度NbはNa3と等しい。
【0029】
図5は、上述した抑制制御におけるエンジン回転速度Nとエンジン回転速度の変化率RNに応じた失火気筒数を示す表である。図5に示すように、エンジン回転速度がNa1以上であるときには、ECU21は、エンジン回転速度の増減に応じて、失火を行う気筒の数を増減させる。従って、Na1は、本発明の第1回転速度に相当する。具体的には、エンジン回転速度NがNa1以上Na2未満の値であるときには、エンジン回転速度の変化率RNによらず、1つの気筒に対して失火が行われる。また、エンジン回転速度NがNa2以上Na3(Nb)未満の値であるときには、エンジン回転速度の変化率RNによらず、2つの気筒に対して失火が行われる。ただし、エンジン回転速度NがNa3(Nb)以上であるときには、エンジン回転速度の変化率RNが所定値r以上であるか否かに応じて、失火を行う気筒数が異なる。ECU21は、エンジン回転速度NがNa3(Nb)以上Na4未満の値であり、且つ、エンジン回転速度の変化率RNが所定値rより小さいときには、3つのシリンダに対して抑制制御を行う。これに対して、ECU21は、エンジン回転速度NがNa3(Nb)以上であり、且つ、エンジン回転速度の変化率RNが所定値r以上であるときには、4つのシリンダに対して抑制制御を行う。従って、Na3は、本発明の第2回転速度に相当する。なお、ECU21は、エンジン回転速度NがNa4以上の値であり、且つ、エンジン回転速度の変化率RNが所定値rより小さいときには、4つのシリンダに対して抑制制御を行う。
【0030】
以上説明した本発明の第1の実施形態では、エンジン回転速度の変化率によって、抑制制御の実行が判定される。このため、従来の船舶推進機のように、エンジン回転速度のみで抑制制御の実行が判定される場合と比べて、エンジン5への負荷が急激に軽減されたときに、エンジン回転速度の瞬間的な上昇に瞬時に対応することができる。例えば、図5に示すように、エンジン回転速度の変化率RNが所定値r以上であるときには、エンジン回転速度NがNa3(Nb)に達したときに、全ての気筒に対して失火が行われる。これにより、エンジン回転速度を迅速に低下させることができる。また、エンジン回転速度の変化率RNが所定値rより小さいときには、エンジン回転速度の増大に応じて順次、失火が行われる気筒数が増大する。このため、エンジン回転速度が瞬間的に上昇する状態以外の状態においても、エンジン5の過回転を適切に抑えることができる。
【0031】
次に、本発明の第2の実施形態に係る抑制制御の処理について説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係る抑制制御の処理を示すフローチャートである。この抑制制御の処理は、第1演算回転速度Nregularを用いたエンジン5の通常の過回転発生の判定処理(ステップS202−S209)と、第2演算回転速度instantを用いた瞬時の過回転発生の判定処理(ステップS201)とを含む。第1演算回転速度Nregularは、上述したクランク軸12の第1回転角度当たりの回転時間t1から演算したエンジン回転速度である。すなわち、第1演算回転速度Nregularは、燃料の噴射と点火とを制御するために用いられるエンジン回転速度に相当する。図7に示すように、第2演算回転速度Ninstantは、第1回転角度より小さい第2回転角度当たりの回転時間t2から演算されたエンジン回転速度である。例えば、図7では、第1回転角度当たりの回転時間t1は、クランク軸12の1周期Tの半分、すなわち、180度の回転角度当たりの回転時間である。第2回転角度当たりの回転時間t2は、第1回転角度当たりの回転時間t1の1/6、すなわち、30度の回転角度当たりの回転時間である。
【0032】
図6に示す抑制制御の処理を示すフローチャートでは、まずステップS201において、第2演算回転速度Ninstantが所定の回転速度Nc以上であるか否かが判定される。第2演算回転速度Ninstantが所定の回転速度Nc以上ではないときには、ステップS202に進む。ステップS202からステップS209までの処理は、上述した第1の実施形態のステップS103からステップS110とそれぞれ同じ処理であるため、詳細な説明を省略する。ステップS201において、第2演算回転速度Ninstantが所定の回転速度Nc以上であるときには、ステップS209に進み、エンジン5の全ての気筒に対して失火が行われる。なお、Ncは、Na4より小さな値である。本実施形態においては、Ncは、Na3と等しい。Na4は、本発明の第1閾値に相当する。Ncは本発明の第2閾値に相当する。
【0033】
図8は、上述した抑制制御における第1演算回転速度Nregularと第2演算回転速度Ninstantとに応じた失火気筒数を示す表である。図8に示すように、第1演算回転速度NregularがNa1以上であるときには、ECU21は、エンジン回転速度の増減に応じて、失火を行う気筒の数を増減させる。具体的には、第1演算回転速度NregularがNa1以上Na2未満の値であるときには、1つの気筒に対して失火が行われる。第1演算回転速度NregularがNa2以上Na3(Nc)未満の値であるときには、2つの気筒に対して失火が行われる。第1演算回転速度NregularがNa3(Nc)以上、Na4未満の値であるときには、3つのシリンダに対して抑制制御が行われる。これに対して、第2演算回転速度NinstantがNa3(Nc)以上、Na4未満の値であるときには、4つのシリンダに対して抑制制御が行われる。なお、第1演算回転速度NregularがNa4以上の値であるときには、4つ全てのシリンダに対して抑制制御が行われる。
【0034】
以上説明した本発明の第2の実施形態では、抑制制御の実行を判定するためのエンジン回転速度として、第1演算回転速度と第2演算回転速度とが用いられる。第2演算回転速度は、第1演算回転速度を演算するための回転角度よりも小さい回転角度当たりの回転時間から演算される。すなわち、第1演算回転速度だけではなく、第1演算回転速度よりも短い周期で演算される第2演算回転速度を用いて抑制制御の実行が判定される。このため、上述した第1の実施形態と同様に、エンジンへの負荷が急激に軽減されたときに、エンジン回転速度の瞬間的な上昇に瞬時に対応することができる。
【0035】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0036】
上記の実施形態では、船舶推進機の一例として船外機が挙げられているが、他の種類の船舶推進機に対して本発明が適用されてもよい。例えば、船内外機に対して本発明が適用されてもよい。エンジンの気筒の数は4つに限られず、4より多い、又は4より少なくてもよい。上記の実施形態では、回転速度検出部として、クランク角センサ26が用いられているが、エンジン回転速度を検出するための他のセンサが用いられてもよい。例えば、フライホイールマグネットの回転速度を検出するセンサが用いられてもよい。或いは、ホール素子による回転速度を検出するセンサが用いられてもよい。或いは、磁気抵抗素子による回転速度を検出するセンサが用いられてもよい。
【0037】
上記の実施形態では、抑制制御として噴射カットが行われているが、他の方法が行われてもよい。例えば、抑制制御としては、点火カット、スロットル開度を絞る、点火時期の変更、混合気の希薄化、などの方法が行われてもよい。抑制制御として、これらの方法のいずれか1つが実行されてもよい。或いは、抑制制御として、上記の複数の方法が組み合わせて実行されてもよい。点火カットでは、点火装置24を制御することにより、混合気への点火が停止される。スロットル開度を絞る場合には、スロットル弁23を制御することにより、スロットル開度が低減される。点火時期の変更では、燃料への点火が、適正な時期よりも早く又は遅く実行される。混合気の希薄化では、スロットル弁23及び/又は燃料噴射装置22を制御することにより、混合気中の燃料の割合が低減される。なお、点火カット及び/又は噴射カットの対象となる気筒は、指定の気筒、又は、抑制制御の実行のタイミングと同期した気筒であってもよい。さらに、点火カット及び/又は噴射カットは、1度だけ、又は、連続的に、又は、断続的に実行されてもよい。
【0038】
第1の実施形態では、エンジン回転速度の変化率は、所定の単位時間当たりのエンジン回転速度の変化量であるが、所定の単位時間当たりのエンジン回転速度の比であってもよい。例えば、エンジン回転速度の変化率RNは、以下の数2式で表されてもよい。
【0039】
[数2]
RN=N(n)/N(n−1)
【0040】
上記の第1の実施形態では、エンジンの回転数の変化率RNが所定値より小さく、且つ、エンジン回転速度Nが回転速度Nbよりも大きいときには、少なくとも3つの気筒に対して抑制制御が実行される。しかし、エンジン回転速度Nが回転速度Nbよりも大きくても、エンジンの回転数の変化率RNが所定値より小さいときには、抑制制御を実行しないようにされてもよい。例えば、回転速度NbがNa1より小さい値である場合には、エンジン回転速度Nが回転速度Nbよりも大きくても、エンジンの回転数の変化率RNが所定値より小さいときには、抑制制御が実行されないことがあり得る。
【0041】
第1の実施形態では、回転速度NbはNa3と等しいが、Na3と異なる値であってもよい。第2の実施形態では、回転速度NcはNa3と等しいが、Na3と異なる値であってもよい。
【0042】
第1の実施形態では、エンジン回転速度は、180度の回転角度当たりの回転時間から演算されている。しかし、エンジン回転速度を演算するための回転角度の周期は180度に限らない。第2の実施形態では、第1演算回転速度Nregularは、180度の回転角度当たりの回転時間から演算されている。しかし、第1演算回転速度Nregularを演算するための回転角度の周期は180度に限らない。第2の実施形態では、第2演算回転速度Ninstantは、30度の回転角度当たりの回転時間から演算されている。しかし、第2演算回転速度Ninstantを演算するための回転角度の周期は30度に限らない。
【0043】
上記の第1の実施形態又は第2の実施形態の抑制制御と共に、以下に説明する過回転継続状態判定を含む抑制制御が実行されてもよい。図9は、過回転継続状態判定を含む抑制制御の処理を示すフローチャートである。
【0044】
ステップS301において、繰り返し回数カウンタが所定の値にセットされる。次に、ステップS302において、エンジン回転速度が所定の反転閾値を越えたか否かが判定される。反転閾値は、ユーザが通常時に使用する最高回転速度よりも大きい回転速度に設定される。例えば、反転閾値の一例として、上述したNa1の値に設定されるが、Na1と異なる値であってもよい。好ましくは、反転閾値は、ユーザが通常時に使用する最高回転速度よりも大きく、上述したNa1よりも小さい値である。ユーザが通常時に使用する最高回転速度とは、船舶に対して適切な大きさの船外機、プロペラ等が装備された状態における最高回転速度である。また、「エンジン回転速度が反転閾値を越えた」とは、エンジン回転速度が反転閾値より小さい値から反転閾値より大きい値まで上昇した場合と、エンジン回転速度が反転閾値より大きい値から反転閾値より小さい値まで下降した場合とを意味する。ただし、「エンジン回転速度が所定の反転閾値を越えた」が、エンジン回転速度が反転閾値より小さい値から反転閾値より大きい値まで上昇した場合と、エンジン回転速度が反転閾値より大きい値から反転閾値より小さい値まで下降した場合とのいずれか一方のみを意味してもよい。
【0045】
ステップS302において、エンジン回転速度が所定の反転閾値を越えたときには、ステップS303に進む。ステップS303では、カウンタの値から1が引かれる。そして、ステップS304において、カウンタの値がゼロであるか否かが判定される。カウンタの値がゼロではないときには、ステップS302に戻る。カウンタの値がゼロに達したときには、ステップS305において、過回転が継続している状態が検出される。この場合、ステップS306において、スロットル開度の制限が行われる。具体的には、スロットル開度が徐々に低減される。
【0046】
なお、ステップS306の処理が行われたときに、ステップS301の処理が行われてもよい。すなわち、スロットル開度の制限が実行されたことを条件として、カウンタがリセットされてもよい。また、エンジン5の始動時に、カウンタがリセットされてもよい。
【0047】
以上のような過回転継続状態判定を含む抑制制御は、上述した第1の実施形態又は第2の実施形態の抑制制御が実行されても、過回転が繰り返し発生するような状況において有効である。例えば、船舶推進機1を船体に対して傾斜させることにより、プロペラ13が水面より上方に持ち上げられる場合がある。或いは、船体の大きさに適合していないプロペラ13が船舶推進機1に取り付けられる場合がある。このような場合、第1の実施形態又は第2の実施形態の抑制制御が行われるだけでは、エンジン回転速度は一時的に低下するが、抑制制御が解除されると、再びエンジン回転速度が上昇して過回転となる。そして、抑制制御が再び行われると、エンジン回転速度が一時的に低下した後、再びエンジン回転速度が上昇する。この場合、エンジン5において過回転が継続している状態が発生する。
【0048】
図10は、上述した過回転継続状態判定を含む抑制制御が実行されたときのエンジン回転速度と(図10(a))、過回転継続状態判定のフラグと(図10(b))、スロットル開度(図10(c))の変化を示すタイミングチャートである。図10(a)に示すように、時点T1においてエンジン回転速度が所定の回転速度Nthを越えた後、エンジン回転速度の上昇と降下とが繰り返されている。具体的には、時点T1,T2,T3,T4,T5,T6においてエンジン回転速度が所定の回転速度Nthを越えたことが検出されている。上述したステップS301のカウンタが6であるとすると、図10(b)に示すように、時点T6において、エンジン回転速度が所定の回転速度Nthを越えて変化した繰り返し回数が所定回数以上に達したと判定され、過回転継続状態判定のフラグがオンに設定される。すなわち、上述したステップS305において、過回転が継続している状態が検出される。これにより、図10(c)に示すように、時点T6以降、スロットル開度が制限される。なお、本実施形態では、抑制制御が実行されるときの繰り返し回数として「6」が例示されているが、繰り返し回数は6より大きい値又は6より小さい値であってもよい。
【0049】
以上のように、過回転継続状態判定を含む抑制制御が行われることにより、継続的に過回転が発生することを抑えることができる。なお、上述したステップS305において、過回転が継続している状態が検出されたときには、ステップS306において、スロットル開度の制限が行われる代わりに、オペレータに警告を促す処理が実行されてもよい。この場合、図11に示すように、船舶推進機1は、報知部27をさらに備える。報知部27は、ブザーやスピーカーなど聴覚的な警告を出力する装置であってもよい。或いは、報知部27は、モニタやランプなどの視覚的な警告を出力する装置であってもよい。なお、報知部27による警告がスロットル開度の制限と共に行われてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、エンジン回転速度の瞬間的な上昇に瞬時に対応することができる船舶推進機を提供することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 船舶推進機
5 エンジン
11 ドライブシャフト
14 プロペラシャフト
21 ECU
22 燃料噴射装置
24 点火装置
26 クランク角センサ
27 報知部
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶推進機に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン回転速度が所定の回転速度を越えたときに、点火を停止させて(以下、「失火」という)エンジン回転速度を抑制する制御が知られている。例えば、特許文献1に開示されているエンジンの点火制御装置では、スロットルが急速に開かれたときに、失火モードに設定される。失火モードが設定されている間に、エンジン回転速度が所定回転速度以上となると、エンジンの失火が行われる。また、特許文献2に開示されている機関制御装置では、温度センサによってエンジンの温度が検出される。また、回転数センサによってエンジン回転速度が検出される。そして、エンジンのオーバーヒートが検出されると、エンジンの回転数が所定の回転数となるように、所定の順序でエンジンの失火が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−480412号公報
【特許文献2】特開平03−210068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているエンジンの点火制御装置では、運転者によるスロットルの急操作に起因したエンジンの過回転を防止することができる。しかし、船外機などの船舶推進機では、プロペラが海面上に現れたときなどには、一時的にエンジンが無負荷状態となることがある。この様な場合には、オペレータがスロットルの急操作を行っていなくても、エンジン回転速度が急激に上昇することがある。従って、特許文献1の制御では、このような船舶推進機におけるエンジン回転速度の増大を抑えることは困難である。
【0005】
また、特許文献2に開示されている機関制御装置では、エンジン回転速度が所定回転速度となるように、所定の順序でエンジンの失火が行われる。このため、オペレータによるスロットルの急操作の有無に関わらず、エンジン回転速度の増大を抑えることができる。しかし、上記のようにエンジンが無負荷状態となったときには、エンジン回転速度が瞬間的に上昇する。この場合、特許文献2に開示されている機関制御装置のように、単にエンジン回転速度に応じて失火を行っているだけでは、エンジン回転速度の瞬間的な上昇に瞬時に対応することは困難である。
【0006】
本発明の課題は、エンジン回転速度の瞬間的な上昇に瞬時に対応することができる船舶推進機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る船舶推進機は、エンジンと、ドライブシャフトと、プロペラシャフトと、回転速度検出部と、制御部と、を備える。ドライブシャフトは、エンジンからの動力を伝達する。プロペラシャフトは、ドライブシャフトから伝達される動力によって回転駆動される。回転速度検出部は、エンジン回転速度を検出する。制御部は、エンジン回転速度の変化率が所定値以上であるときに、エンジン回転速度を抑制する抑制制御を実行する。
【0008】
本発明の他の態様に係る船舶推進機は、エンジンと、ドライブシャフトと、プロペラシャフトと、制御部と、を備える。ドライブシャフトは、エンジンからの動力を伝達する。プロペラシャフトは、ドライブシャフトから伝達される動力によって回転駆動される。制御部は、第1演算回転速度が所定の第1閾値以上であるときに、エンジン回転速度を抑制する抑制制御を実行する。第1演算回転速度は、エンジンの所定の第1回転角度当たりの回転時間から演算されたエンジン回転速度である。制御部は、第2演算回転速度が所定の第2閾値以上であるときに、抑制制御を実行する。第2演算回転速度は、第1回転角度より小さい第2回転角度当たりの回転時間から演算されたエンジン回転速度である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る船舶推進機では、エンジン回転速度の変化率が所定値以上であるときに、エンジン回転速度を抑制する抑制制御が実行される。すなわち、エンジン回転速度の変化率によって、抑制制御の実行が判定される。このため、エンジン回転速度の瞬間的な上昇に瞬時に対応することができる。
【0010】
本発明の他の態様に係る船舶推進機では、抑制制御の実行を判定するためのエンジン回転速度として、第1演算回転速度と第2演算回転速度とが用いられる。第2演算回転速度は、第1演算回転速度を演算するための回転角度よりも小さい回転角度当たりの回転時間から演算される。このため、第2演算回転速度を用いて抑制制御の実行を判定することにより、エンジン回転速度の瞬間的な上昇に瞬時に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る船舶推進機を示す側面図。
【図2】船舶推進機が備えるエンジンの制御系及び操作装置を示すブロック図。
【図3】クランク角センサによって生成された検出信号を示すタイムチャート。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る抑制制御の処理を示すフローチャート。
【図5】第1の実施形態に係る抑制制御におけるエンジン回転速度Nとエンジン回転速度の変化率RNに応じた失火気筒数を示す表。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る抑制制御の処理を示すフローチャート。
【図7】クランク角センサによって生成された検出信号を示すタイムチャート。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る抑制制御における第1演算回転速度Nregularと第2演算回転速度Ninstantとに応じた失火気筒数を示す表。
【図9】過回転継続状態判定を含む抑制制御の処理を示すフローチャート。
【図10】過回転継続状態判定を含む抑制制御が実行されたときのエンジン回転速度と過回転継続状態判定のフラグとスロットル開度の変化を示すタイミングチャート。
【図11】他の実施形態に係る船舶推進機の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る船舶推進機について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る船舶推進機1を示す側面図である。船舶推進機1は、船外機である。船舶推進機1は、エンジンカバー2、上部ケーシング3、下部ケーシング4、エンジン5、ブラケット6を有する。エンジンカバー2は、エンジン5を収容する。エンジンカバー2は、上部エンジンカバー2aと下部エンジンカバー2bとを含む。上部エンジンカバー2aは、下部エンジンカバー2bの上方に配置されている。上部ケーシング3は、下部エンジンカバー2bの下方に配置されている。下部ケーシング4は、上部ケーシング3の下方に配置されている。船舶推進機1は、ブラケット6を介して図示しない船体に取り付けられる。
【0013】
エンジン5は、エンジンカバー2内に配置される。エンジン5は、多気筒エンジンであり、各気筒は上下方向に並んで配置される。本実施形態において、エンジン5は、4つの気筒を有する。エンジン5は、クランク軸12を有する。クランク軸12は、鉛直方向に沿って延びている。上部ケーシング3及び下部ケーシング4内には、ドライブシャフト11が配置される。ドライブシャフト11は、上部ケーシング3及び下部ケーシング4内において上下方向に沿って配置される。ドライブシャフト11は、エンジン5のクランク軸12に連結されており、エンジンからの動力を伝達する。下部ケーシング4の下部には、プロペラ13が配置される。プロペラ13は、エンジン5の下方に配置されている。プロペラ13にはプロペラシャフト14が連結されている。プロペラシャフト14は、前後方向に沿って配置されている。プロペラシャフト14は、シフト機構15を介してドライブシャフト11の下部に連結されている。プロペラシャフト14は、ドライブシャフト11から伝達される動力によって回転駆動される。
【0014】
シフト機構15は、ドライブシャフト11からプロペラシャフト14へ伝達される動力の回転方向を切り換える。シフト機構15は、ピニオンギア16と前進用ギア17と後進用ギア18とドッグクラッチ19とを有する。ピニオンギア16は、ドライブシャフト11に連結されている。ピニオンギア16は、前進用ギア17及び後進用ギア18と噛み合っている。前進用ギア17と後進用ギア18とは、プロペラシャフト14に対して相対回転可能に設けられている。ドッグクラッチ19は、プロペラシャフト14に対して相対回転不能に取り付けられている。また、ドッグクラッチ19は、プロペラシャフト14の軸線方向に沿って、前進位置と後進位置と中立位置とに移動可能に設けられている。ドッグクラッチ19は、後述する操作装置31(図2参照)の操作に応じて、前進位置と後進位置と中立位置とに移動する。ドッグクラッチ19は、前進位置において、前進用ギア17とプロペラシャフト14とを相対回転不能に固定する。この場合、ドライブシャフト11の回転は、前進用ギア17を介してプロペラシャフト14に伝達される。これにより、船体を前進させる方向にプロペラ13が回転する。また、ドッグクラッチ19は、後進位置において、後進用ギア18とプロペラシャフト14とを相対回転不能に固定する。この場合、ドライブシャフト11の回転が後進用ギア18を介してプロペラシャフト14に伝達される。これにより、船体を後進させる方向にプロペラ13が回転する。ドッグクラッチ19が前進位置と後進位置との間の中立位置に位置する場合には、前進用ギア17と後進用ギア18とは、それぞれプロペラシャフト14に対して相対回転可能となる。すなわち、ドライブシャフト11からの回転は、プロペラシャフト14には伝達されず、プロペラシャフト14は空転可能となる。
【0015】
図2は、船舶推進機1が備えるエンジン5の制御系及び操作装置31を示すブロック図である。エンジン5は、ECU21(Engine Control Unit)によって制御される。ECU21は、本発明の制御部に相当する。ECU21は、エンジン5の制御プログラムを記憶している。ECU21は、各種のセンサ(図示せず)が検出したエンジン5に関する情報に基づいて、燃料噴射装置22と、スロットル弁23と、点火装置24と、シフトアクチュエータ25との動作を制御する。燃料噴射装置22は、エンジン5の燃焼室に供給する燃料を噴射する。スロットル弁23の開度が変更されることにより、燃焼室へ送られる混合気の量が調整される。点火装置24は、燃焼室内の燃料に点火する。なお、図2では図示されていないが、燃料噴射装置22とスロットル弁23と点火装置24とは、エンジン5の各気筒ごとに備えられている。
【0016】
操作装置31は、船体に取り付けられる。操作装置31は、例えば、操作レバーである。操作装置31は、操作装置31の操作に応じて、エンジン5の出力を制御するための操作信号をECU21に入力する。ECU21は、操作装置31からの操作信号に基づいて、エンジン5を制御する。オペレータが操作装置31を操作することによって、操作部材31の位置に応じた検出値の操作信号が出力される。これにより、スロットル開度が制御され、船舶の速度を制御することができる。また、オペレータは、操作装置31を操作することによって、船舶の前進と後進とを切り換えることができる。具体的には、操作装置31は、前進位置(F)と後進位置(R)と中立位置(N)とに切換可能である。ECU21は、操作装置31からの操作信号に基づいて、シフトアクチュエータ25を制御する。シフトアクチュエータ25は、例えば、モータなどの駆動手段を有している。シフトアクチュエータ25は、ECU21によって制御されることにより、上述したドッグクラッチ19を、前進位置、後進位置、中立位置のいずれかに移動させる。
【0017】
図2に示すように、船舶推進機1は、クランク角センサ26を備えている。ECU21は、クランク角センサ26からの検出信号に基づいてエンジン回転速度を演算する。クランク角センサ26は、エンジン回転速度を検出する本発明の回転速度検出部に相当する。クランク角センサ26は、磁気センサであり、図2に示すようにクランク軸12の複数の突起部120の通過を検出する。なお、図2では、複数の突起部120のうちの一部にのみ符号120を付している。クランク軸12の表面には、複数の突起部120が規則的に配列されている。ただし、クランク軸12の表面は、欠落部121を含む。欠落部121は、突起部120が形成されておらず、隣り合う突起部120の間隔が他の突起部120の間隔と異なる部分である。
【0018】
図3は、クランク角センサ26によって生成された検出信号を示すタイムチャートである。図3に示すように、クランク角センサ26に対向する位置を突起部120が通過したときは磁界が強くなるので、検出信号には周期的な起伏が形成される。一方、クランク角センサ26に対向する位置を欠落部121が通過したときには、検出信号に起伏は形成されず、同じ信号強度が持続する。このため、クランク角センサ26の検出信号には、第1領域A1と第2領域A2とが交互に表れる。第1領域A1は、突起部120の通過により周期的に起伏した信号が連続する領域である。第2領域A2は、欠落部121の通過により平坦な信号が持続する領域である。第1領域A1と第2領域A2とが検出されることにより、クランク軸12の回転角度が検知される。ECU21は、クランク軸12の所定の第1回転角度当たりの回転時間t1から、後述するエンジン5の過回転を判定するためのエンジン回転速度を演算する。例えば、図3では、所定の第1回転角度当たりの回転時間t1は、クランク軸12の1周期Tの半分、すなわち、180度の回転角度当たりの回転時間である。なお、ECU21は、第1回転角度に基づいて、燃料の噴射と点火とのタイミングを制御する。
【0019】
ECU21は、エンジン回転速度に基づいてエンジン回転速度を抑制する抑制制御を実行する。図4は、本発明の第1の実施形態に係る抑制制御の処理を示すフローチャートである。この抑制制御の処理は、エンジン回転速度を用いたエンジン5の通常の過回転発生の判定処理(ステップS103−S110)と、エンジン回転速度の変化率を用いた瞬時の過回転発生の判定処理(ステップS101−S102)とを含む。なお、以下の抑制制御の処理は、エンジン5の駆動中に繰り返し実行される。
【0020】
ステップS101において、エンジン回転速度の変化率RNが所定値r以上であるか否かが判定される。エンジン回転速度の変化率RNは、所定の単位時間当たりのエンジン回転速度の変化量であり、以下の数1式で表される。
【0021】
[数1]
RN=N(n)−N(n−1)
N(n)は、第1回転角度当たりの回転時間t1の最新の検出値から演算されたエンジン回転速度である。N(n−1)は、第1回転角度当たりの回転時間t1の1つ前の検出値から演算されたエンジン回転速度である。
【0022】
エンジン回転速度の変化率RNが所定値r以上であるときには、ステップS102に進む。ステップS102では、エンジン回転速度Nが所定の回転速度Nb以上であるか否かが判定される。ステップS101において、エンジン回転速度の変化率RNが所定値r以上ではないとき、又は、ステップS102において、エンジン回転速度Nが回転速度Nb以上ではないときには、ステップS103に進む。
【0023】
ステップS103では、エンジン回転速度Nが所定の回転速度Na1以上であるか否かが判定される。エンジン回転速度Nが回転速度Na1以上であるときには、ステップS104に進む。
【0024】
ステップS104では、エンジン回転速度Nが所定の回転速度Na2以上であるか否かが判定される。Na2は、Na1より大きな値である。エンジン回転速度Nが回転速度Na2以上ではないときにはステップS105に進む。ステップS105では、エンジン5の1つの気筒に対して失火が行われる。これにより、エンジン回転速度が抑制される。失火は、例えば、噴射カットによって行われる。噴射カットでは、燃料噴射装置22を制御することにより、燃料の噴射が停止される。
【0025】
ステップS104において、エンジン回転速度Nが回転速度Na2以上であるときには、ステップS106に進む。ステップS106では、エンジン回転速度Nが所定の回転速度Na3以上であるか否かが判定される。Na3は、Na2より大きな値である。エンジン回転速度Nが回転速度Na3以上ではないときにはステップS107に進む。ステップS107では、エンジン5の2つの気筒に対して失火が行われる。
【0026】
ステップS106において、エンジン回転速度Nが回転速度Na3以上であるときには、ステップS108に進む。ステップS108では、エンジン回転速度Nが所定の回転速度Na4以上であるか否かが判定される。Na4は、Na3より大きな値である。エンジン回転速度Nが回転速度Na4以上ではないときにはステップS109に進む。ステップS109では、エンジン5の3つの気筒に対して失火が行われる。
【0027】
ステップS108において、エンジン回転速度Nが回転速度Na4以上であるときには、ステップS110に進む。ステップS109では、エンジン5の4つ気筒に対して失火が行われる。すなわち、ステップS109では、エンジン5の全ての気筒に対して失火が行われる。
【0028】
上述したステップS101において、エンジン回転速度の変化率RNが所定値r以上であり、且つ、ステップS102において、エンジン回転速度Nが回転速度Nb以上であるときにも、ステップS110に進み、エンジン5の全ての気筒に対して失火が行われる。なお、回転速度Nbは、Na4より小さな値である。本実施形態においては、回転速度NbはNa3と等しい。
【0029】
図5は、上述した抑制制御におけるエンジン回転速度Nとエンジン回転速度の変化率RNに応じた失火気筒数を示す表である。図5に示すように、エンジン回転速度がNa1以上であるときには、ECU21は、エンジン回転速度の増減に応じて、失火を行う気筒の数を増減させる。従って、Na1は、本発明の第1回転速度に相当する。具体的には、エンジン回転速度NがNa1以上Na2未満の値であるときには、エンジン回転速度の変化率RNによらず、1つの気筒に対して失火が行われる。また、エンジン回転速度NがNa2以上Na3(Nb)未満の値であるときには、エンジン回転速度の変化率RNによらず、2つの気筒に対して失火が行われる。ただし、エンジン回転速度NがNa3(Nb)以上であるときには、エンジン回転速度の変化率RNが所定値r以上であるか否かに応じて、失火を行う気筒数が異なる。ECU21は、エンジン回転速度NがNa3(Nb)以上Na4未満の値であり、且つ、エンジン回転速度の変化率RNが所定値rより小さいときには、3つのシリンダに対して抑制制御を行う。これに対して、ECU21は、エンジン回転速度NがNa3(Nb)以上であり、且つ、エンジン回転速度の変化率RNが所定値r以上であるときには、4つのシリンダに対して抑制制御を行う。従って、Na3は、本発明の第2回転速度に相当する。なお、ECU21は、エンジン回転速度NがNa4以上の値であり、且つ、エンジン回転速度の変化率RNが所定値rより小さいときには、4つのシリンダに対して抑制制御を行う。
【0030】
以上説明した本発明の第1の実施形態では、エンジン回転速度の変化率によって、抑制制御の実行が判定される。このため、従来の船舶推進機のように、エンジン回転速度のみで抑制制御の実行が判定される場合と比べて、エンジン5への負荷が急激に軽減されたときに、エンジン回転速度の瞬間的な上昇に瞬時に対応することができる。例えば、図5に示すように、エンジン回転速度の変化率RNが所定値r以上であるときには、エンジン回転速度NがNa3(Nb)に達したときに、全ての気筒に対して失火が行われる。これにより、エンジン回転速度を迅速に低下させることができる。また、エンジン回転速度の変化率RNが所定値rより小さいときには、エンジン回転速度の増大に応じて順次、失火が行われる気筒数が増大する。このため、エンジン回転速度が瞬間的に上昇する状態以外の状態においても、エンジン5の過回転を適切に抑えることができる。
【0031】
次に、本発明の第2の実施形態に係る抑制制御の処理について説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係る抑制制御の処理を示すフローチャートである。この抑制制御の処理は、第1演算回転速度Nregularを用いたエンジン5の通常の過回転発生の判定処理(ステップS202−S209)と、第2演算回転速度instantを用いた瞬時の過回転発生の判定処理(ステップS201)とを含む。第1演算回転速度Nregularは、上述したクランク軸12の第1回転角度当たりの回転時間t1から演算したエンジン回転速度である。すなわち、第1演算回転速度Nregularは、燃料の噴射と点火とを制御するために用いられるエンジン回転速度に相当する。図7に示すように、第2演算回転速度Ninstantは、第1回転角度より小さい第2回転角度当たりの回転時間t2から演算されたエンジン回転速度である。例えば、図7では、第1回転角度当たりの回転時間t1は、クランク軸12の1周期Tの半分、すなわち、180度の回転角度当たりの回転時間である。第2回転角度当たりの回転時間t2は、第1回転角度当たりの回転時間t1の1/6、すなわち、30度の回転角度当たりの回転時間である。
【0032】
図6に示す抑制制御の処理を示すフローチャートでは、まずステップS201において、第2演算回転速度Ninstantが所定の回転速度Nc以上であるか否かが判定される。第2演算回転速度Ninstantが所定の回転速度Nc以上ではないときには、ステップS202に進む。ステップS202からステップS209までの処理は、上述した第1の実施形態のステップS103からステップS110とそれぞれ同じ処理であるため、詳細な説明を省略する。ステップS201において、第2演算回転速度Ninstantが所定の回転速度Nc以上であるときには、ステップS209に進み、エンジン5の全ての気筒に対して失火が行われる。なお、Ncは、Na4より小さな値である。本実施形態においては、Ncは、Na3と等しい。Na4は、本発明の第1閾値に相当する。Ncは本発明の第2閾値に相当する。
【0033】
図8は、上述した抑制制御における第1演算回転速度Nregularと第2演算回転速度Ninstantとに応じた失火気筒数を示す表である。図8に示すように、第1演算回転速度NregularがNa1以上であるときには、ECU21は、エンジン回転速度の増減に応じて、失火を行う気筒の数を増減させる。具体的には、第1演算回転速度NregularがNa1以上Na2未満の値であるときには、1つの気筒に対して失火が行われる。第1演算回転速度NregularがNa2以上Na3(Nc)未満の値であるときには、2つの気筒に対して失火が行われる。第1演算回転速度NregularがNa3(Nc)以上、Na4未満の値であるときには、3つのシリンダに対して抑制制御が行われる。これに対して、第2演算回転速度NinstantがNa3(Nc)以上、Na4未満の値であるときには、4つのシリンダに対して抑制制御が行われる。なお、第1演算回転速度NregularがNa4以上の値であるときには、4つ全てのシリンダに対して抑制制御が行われる。
【0034】
以上説明した本発明の第2の実施形態では、抑制制御の実行を判定するためのエンジン回転速度として、第1演算回転速度と第2演算回転速度とが用いられる。第2演算回転速度は、第1演算回転速度を演算するための回転角度よりも小さい回転角度当たりの回転時間から演算される。すなわち、第1演算回転速度だけではなく、第1演算回転速度よりも短い周期で演算される第2演算回転速度を用いて抑制制御の実行が判定される。このため、上述した第1の実施形態と同様に、エンジンへの負荷が急激に軽減されたときに、エンジン回転速度の瞬間的な上昇に瞬時に対応することができる。
【0035】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0036】
上記の実施形態では、船舶推進機の一例として船外機が挙げられているが、他の種類の船舶推進機に対して本発明が適用されてもよい。例えば、船内外機に対して本発明が適用されてもよい。エンジンの気筒の数は4つに限られず、4より多い、又は4より少なくてもよい。上記の実施形態では、回転速度検出部として、クランク角センサ26が用いられているが、エンジン回転速度を検出するための他のセンサが用いられてもよい。例えば、フライホイールマグネットの回転速度を検出するセンサが用いられてもよい。或いは、ホール素子による回転速度を検出するセンサが用いられてもよい。或いは、磁気抵抗素子による回転速度を検出するセンサが用いられてもよい。
【0037】
上記の実施形態では、抑制制御として噴射カットが行われているが、他の方法が行われてもよい。例えば、抑制制御としては、点火カット、スロットル開度を絞る、点火時期の変更、混合気の希薄化、などの方法が行われてもよい。抑制制御として、これらの方法のいずれか1つが実行されてもよい。或いは、抑制制御として、上記の複数の方法が組み合わせて実行されてもよい。点火カットでは、点火装置24を制御することにより、混合気への点火が停止される。スロットル開度を絞る場合には、スロットル弁23を制御することにより、スロットル開度が低減される。点火時期の変更では、燃料への点火が、適正な時期よりも早く又は遅く実行される。混合気の希薄化では、スロットル弁23及び/又は燃料噴射装置22を制御することにより、混合気中の燃料の割合が低減される。なお、点火カット及び/又は噴射カットの対象となる気筒は、指定の気筒、又は、抑制制御の実行のタイミングと同期した気筒であってもよい。さらに、点火カット及び/又は噴射カットは、1度だけ、又は、連続的に、又は、断続的に実行されてもよい。
【0038】
第1の実施形態では、エンジン回転速度の変化率は、所定の単位時間当たりのエンジン回転速度の変化量であるが、所定の単位時間当たりのエンジン回転速度の比であってもよい。例えば、エンジン回転速度の変化率RNは、以下の数2式で表されてもよい。
【0039】
[数2]
RN=N(n)/N(n−1)
【0040】
上記の第1の実施形態では、エンジンの回転数の変化率RNが所定値より小さく、且つ、エンジン回転速度Nが回転速度Nbよりも大きいときには、少なくとも3つの気筒に対して抑制制御が実行される。しかし、エンジン回転速度Nが回転速度Nbよりも大きくても、エンジンの回転数の変化率RNが所定値より小さいときには、抑制制御を実行しないようにされてもよい。例えば、回転速度NbがNa1より小さい値である場合には、エンジン回転速度Nが回転速度Nbよりも大きくても、エンジンの回転数の変化率RNが所定値より小さいときには、抑制制御が実行されないことがあり得る。
【0041】
第1の実施形態では、回転速度NbはNa3と等しいが、Na3と異なる値であってもよい。第2の実施形態では、回転速度NcはNa3と等しいが、Na3と異なる値であってもよい。
【0042】
第1の実施形態では、エンジン回転速度は、180度の回転角度当たりの回転時間から演算されている。しかし、エンジン回転速度を演算するための回転角度の周期は180度に限らない。第2の実施形態では、第1演算回転速度Nregularは、180度の回転角度当たりの回転時間から演算されている。しかし、第1演算回転速度Nregularを演算するための回転角度の周期は180度に限らない。第2の実施形態では、第2演算回転速度Ninstantは、30度の回転角度当たりの回転時間から演算されている。しかし、第2演算回転速度Ninstantを演算するための回転角度の周期は30度に限らない。
【0043】
上記の第1の実施形態又は第2の実施形態の抑制制御と共に、以下に説明する過回転継続状態判定を含む抑制制御が実行されてもよい。図9は、過回転継続状態判定を含む抑制制御の処理を示すフローチャートである。
【0044】
ステップS301において、繰り返し回数カウンタが所定の値にセットされる。次に、ステップS302において、エンジン回転速度が所定の反転閾値を越えたか否かが判定される。反転閾値は、ユーザが通常時に使用する最高回転速度よりも大きい回転速度に設定される。例えば、反転閾値の一例として、上述したNa1の値に設定されるが、Na1と異なる値であってもよい。好ましくは、反転閾値は、ユーザが通常時に使用する最高回転速度よりも大きく、上述したNa1よりも小さい値である。ユーザが通常時に使用する最高回転速度とは、船舶に対して適切な大きさの船外機、プロペラ等が装備された状態における最高回転速度である。また、「エンジン回転速度が反転閾値を越えた」とは、エンジン回転速度が反転閾値より小さい値から反転閾値より大きい値まで上昇した場合と、エンジン回転速度が反転閾値より大きい値から反転閾値より小さい値まで下降した場合とを意味する。ただし、「エンジン回転速度が所定の反転閾値を越えた」が、エンジン回転速度が反転閾値より小さい値から反転閾値より大きい値まで上昇した場合と、エンジン回転速度が反転閾値より大きい値から反転閾値より小さい値まで下降した場合とのいずれか一方のみを意味してもよい。
【0045】
ステップS302において、エンジン回転速度が所定の反転閾値を越えたときには、ステップS303に進む。ステップS303では、カウンタの値から1が引かれる。そして、ステップS304において、カウンタの値がゼロであるか否かが判定される。カウンタの値がゼロではないときには、ステップS302に戻る。カウンタの値がゼロに達したときには、ステップS305において、過回転が継続している状態が検出される。この場合、ステップS306において、スロットル開度の制限が行われる。具体的には、スロットル開度が徐々に低減される。
【0046】
なお、ステップS306の処理が行われたときに、ステップS301の処理が行われてもよい。すなわち、スロットル開度の制限が実行されたことを条件として、カウンタがリセットされてもよい。また、エンジン5の始動時に、カウンタがリセットされてもよい。
【0047】
以上のような過回転継続状態判定を含む抑制制御は、上述した第1の実施形態又は第2の実施形態の抑制制御が実行されても、過回転が繰り返し発生するような状況において有効である。例えば、船舶推進機1を船体に対して傾斜させることにより、プロペラ13が水面より上方に持ち上げられる場合がある。或いは、船体の大きさに適合していないプロペラ13が船舶推進機1に取り付けられる場合がある。このような場合、第1の実施形態又は第2の実施形態の抑制制御が行われるだけでは、エンジン回転速度は一時的に低下するが、抑制制御が解除されると、再びエンジン回転速度が上昇して過回転となる。そして、抑制制御が再び行われると、エンジン回転速度が一時的に低下した後、再びエンジン回転速度が上昇する。この場合、エンジン5において過回転が継続している状態が発生する。
【0048】
図10は、上述した過回転継続状態判定を含む抑制制御が実行されたときのエンジン回転速度と(図10(a))、過回転継続状態判定のフラグと(図10(b))、スロットル開度(図10(c))の変化を示すタイミングチャートである。図10(a)に示すように、時点T1においてエンジン回転速度が所定の回転速度Nthを越えた後、エンジン回転速度の上昇と降下とが繰り返されている。具体的には、時点T1,T2,T3,T4,T5,T6においてエンジン回転速度が所定の回転速度Nthを越えたことが検出されている。上述したステップS301のカウンタが6であるとすると、図10(b)に示すように、時点T6において、エンジン回転速度が所定の回転速度Nthを越えて変化した繰り返し回数が所定回数以上に達したと判定され、過回転継続状態判定のフラグがオンに設定される。すなわち、上述したステップS305において、過回転が継続している状態が検出される。これにより、図10(c)に示すように、時点T6以降、スロットル開度が制限される。なお、本実施形態では、抑制制御が実行されるときの繰り返し回数として「6」が例示されているが、繰り返し回数は6より大きい値又は6より小さい値であってもよい。
【0049】
以上のように、過回転継続状態判定を含む抑制制御が行われることにより、継続的に過回転が発生することを抑えることができる。なお、上述したステップS305において、過回転が継続している状態が検出されたときには、ステップS306において、スロットル開度の制限が行われる代わりに、オペレータに警告を促す処理が実行されてもよい。この場合、図11に示すように、船舶推進機1は、報知部27をさらに備える。報知部27は、ブザーやスピーカーなど聴覚的な警告を出力する装置であってもよい。或いは、報知部27は、モニタやランプなどの視覚的な警告を出力する装置であってもよい。なお、報知部27による警告がスロットル開度の制限と共に行われてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、エンジン回転速度の瞬間的な上昇に瞬時に対応することができる船舶推進機を提供することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 船舶推進機
5 エンジン
11 ドライブシャフト
14 プロペラシャフト
21 ECU
22 燃料噴射装置
24 点火装置
26 クランク角センサ
27 報知部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンからの動力を伝達するドライブシャフトと、
前記ドライブシャフトから伝達される動力によって回転駆動されるプロペラシャフトと、
エンジン回転速度を検出する回転速度検出部と、
前記エンジン回転速度の変化率が所定値以上であるときに、前記エンジン回転速度を抑制する抑制制御を実行する制御部と、
を備える船舶推進機。
【請求項2】
前記制御部は、前記エンジン回転速度が所定の回転速度以上であり、且つ、前記エンジン回転速度の変化率が前記所定値以上であるときに、前記抑制制御を実行する、
請求項1に記載の船舶推進機。
【請求項3】
前記制御部は、前記エンジン回転速度が前記所定の回転速度以上であっても、前記エンジンの回転数の変化率が前記所定値より小さいときには、前記抑制制御を実行しない、
請求項2に記載の船舶推進機。
【請求項4】
前記エンジン回転速度の変化率は、所定の単位時間当たりの前記エンジン回転速度の変化量である、
請求項1から3のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項5】
前記エンジン回転速度の変化率は、所定の単位時間当たりの前記エンジン回転速度の比である、
請求項1から3のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項6】
前記エンジンは、点火装置を含み、
前記制御部は、前記点火装置を制御することによって前記抑制制御を行う、
請求項1から5のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項7】
前記エンジンは、燃料噴射装置を含み、
前記制御部は、前記燃料噴射装置を制御することによって前記抑制制御を行う、
請求項1から5のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項8】
前記エンジンは、複数のシリンダを含み、
前記制御部は、前記エンジン回転速度が所定の第1回転速度以上であるときには、前記エンジン回転速度の増減に応じて、前記抑制制御を行う前記シリンダの数を増減し、
前記制御部は、前記エンジン回転速度が所定の第2回転速度以上であり、且つ、前記エンジン回転速度の変化率が前記所定値以上であるときには、全ての前記シリンダに対して前記抑制制御を行う、
請求項1から7のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項9】
前記エンジンは、複数のシリンダを含み、
前記制御部は、前記エンジン回転速度が所定の第1回転速度以上であるときには、前記エンジン回転速度の増減に応じて、前記抑制制御を行うシリンダの数を増減し、前記エンジン回転速度が前記第1回転速度より大きい所定の第2回転速度であるときには、n個の前記シリンダに対して前記抑制制御を行い、
前記制御部は、前記エンジン回転速度が前記第2回転速度以上であり、且つ、前記エンジン回転速度の変化率が前記所定値以上であるときには、m個(m>n)の前記シリンダに対して前記抑制制御を行う、
請求項1から7のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項10】
前記エンジンは、燃料噴射装置を含み、
前記制御部は、前記エンジン回転速度が所定の回転速度以上であるときに、前記抑制制御を実行し、
前記制御部は、前記エンジン回転速度が前記所定の回転速度を越えて変化した繰り返し回数が所定回数以上になったときに、前記燃料噴射装置のスロットル開度を減少させる、
請求項1から9のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項11】
前記エンジンは、燃料噴射装置を含み、
前記制御部は、前記エンジン回転速度が所定の回転速度以上であるときに、前記抑制制御を実行し、
前記エンジン回転速度が前記所定の回転速度を越えて変化した繰り返し回数が所定回数以上になったときに、オペレータに警告を促す報知部をさらに備える、
請求項1から9のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項12】
エンジンと、
前記エンジンからの動力を伝達するドライブシャフトと、
前記ドライブシャフトから伝達される動力によって回転駆動されるプロペラシャフトと、
前記エンジンの所定の第1回転角度当たりの回転時間から演算されたエンジン回転速度である第1演算回転速度が所定の第1閾値以上であるときに、前記エンジン回転速度を抑制する抑制制御を実行し、前記第1回転角度より小さい第2回転角度当たりの回転時間から演算されたエンジン回転速度である第2演算回転速度が所定の第2閾値以上であるときに、前記抑制制御を実行する制御部と、
を備える船舶推進機。
【請求項13】
前記エンジンは、点火装置を含み、
前記制御部は、前記点火装置を制御することによって前記抑制制御を行う、
請求項12に記載の船舶推進機。
【請求項14】
前記エンジンは、燃料噴射装置を含み、
前記制御部は、前記燃料噴射装置を制御することによって前記抑制制御を行う、
請求項12に記載の船舶推進機。
【請求項15】
前記エンジンは、複数のシリンダを含み、
前記制御部は、前記第1演算回転速度が前記第1閾値以上であるときには、前記第1演算回転速度の増減に応じて、前記抑制制御を行うシリンダの数を増減し、
前記制御部は、前記第2演算回転速度が前記第2閾値以上であるときには、全てのシリンダに対して前記抑制制御を行う、
請求項12から14のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項16】
前記エンジンは、複数のシリンダを含み、
前記第2閾値は前記第1閾値より大きく、
前記制御部は、前記第1演算回転速度が前記第1閾値以上であるときには、前記第1演算回転速度の増減に応じて、前記抑制制御を行うシリンダの数を増減し、前記第1演算回転速度が前記第2閾値であるときには、n個のシリンダに対して前記抑制制御を行い、
前記制御部は、前記第2演算回転速度が前記第2閾値以上であるときには、m個(m>n)のシリンダに対して前記抑制制御を行う、
請求項12から14のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項17】
前記エンジンは、燃料噴射装置を含み、
前記制御部は、前記第1演算回転速度が前記第1閾値を越えて変化した繰り返し回数が所定回数以上になったときに、前記燃料噴射装置のスロットル開度を減少させる、
請求項12から16のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項18】
前記エンジンは、燃料噴射装置を含み、
前記エンジン回転速度が前記所定の回転速度を越えて変化した繰り返し回数が所定回数以上になったときに、オペレータに警告を促す報知部をさらに備える、
請求項12から16のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンからの動力を伝達するドライブシャフトと、
前記ドライブシャフトから伝達される動力によって回転駆動されるプロペラシャフトと、
エンジン回転速度を検出する回転速度検出部と、
前記エンジン回転速度の変化率が所定値以上であるときに、前記エンジン回転速度を抑制する抑制制御を実行する制御部と、
を備える船舶推進機。
【請求項2】
前記制御部は、前記エンジン回転速度が所定の回転速度以上であり、且つ、前記エンジン回転速度の変化率が前記所定値以上であるときに、前記抑制制御を実行する、
請求項1に記載の船舶推進機。
【請求項3】
前記制御部は、前記エンジン回転速度が前記所定の回転速度以上であっても、前記エンジンの回転数の変化率が前記所定値より小さいときには、前記抑制制御を実行しない、
請求項2に記載の船舶推進機。
【請求項4】
前記エンジン回転速度の変化率は、所定の単位時間当たりの前記エンジン回転速度の変化量である、
請求項1から3のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項5】
前記エンジン回転速度の変化率は、所定の単位時間当たりの前記エンジン回転速度の比である、
請求項1から3のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項6】
前記エンジンは、点火装置を含み、
前記制御部は、前記点火装置を制御することによって前記抑制制御を行う、
請求項1から5のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項7】
前記エンジンは、燃料噴射装置を含み、
前記制御部は、前記燃料噴射装置を制御することによって前記抑制制御を行う、
請求項1から5のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項8】
前記エンジンは、複数のシリンダを含み、
前記制御部は、前記エンジン回転速度が所定の第1回転速度以上であるときには、前記エンジン回転速度の増減に応じて、前記抑制制御を行う前記シリンダの数を増減し、
前記制御部は、前記エンジン回転速度が所定の第2回転速度以上であり、且つ、前記エンジン回転速度の変化率が前記所定値以上であるときには、全ての前記シリンダに対して前記抑制制御を行う、
請求項1から7のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項9】
前記エンジンは、複数のシリンダを含み、
前記制御部は、前記エンジン回転速度が所定の第1回転速度以上であるときには、前記エンジン回転速度の増減に応じて、前記抑制制御を行うシリンダの数を増減し、前記エンジン回転速度が前記第1回転速度より大きい所定の第2回転速度であるときには、n個の前記シリンダに対して前記抑制制御を行い、
前記制御部は、前記エンジン回転速度が前記第2回転速度以上であり、且つ、前記エンジン回転速度の変化率が前記所定値以上であるときには、m個(m>n)の前記シリンダに対して前記抑制制御を行う、
請求項1から7のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項10】
前記エンジンは、燃料噴射装置を含み、
前記制御部は、前記エンジン回転速度が所定の回転速度以上であるときに、前記抑制制御を実行し、
前記制御部は、前記エンジン回転速度が前記所定の回転速度を越えて変化した繰り返し回数が所定回数以上になったときに、前記燃料噴射装置のスロットル開度を減少させる、
請求項1から9のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項11】
前記エンジンは、燃料噴射装置を含み、
前記制御部は、前記エンジン回転速度が所定の回転速度以上であるときに、前記抑制制御を実行し、
前記エンジン回転速度が前記所定の回転速度を越えて変化した繰り返し回数が所定回数以上になったときに、オペレータに警告を促す報知部をさらに備える、
請求項1から9のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項12】
エンジンと、
前記エンジンからの動力を伝達するドライブシャフトと、
前記ドライブシャフトから伝達される動力によって回転駆動されるプロペラシャフトと、
前記エンジンの所定の第1回転角度当たりの回転時間から演算されたエンジン回転速度である第1演算回転速度が所定の第1閾値以上であるときに、前記エンジン回転速度を抑制する抑制制御を実行し、前記第1回転角度より小さい第2回転角度当たりの回転時間から演算されたエンジン回転速度である第2演算回転速度が所定の第2閾値以上であるときに、前記抑制制御を実行する制御部と、
を備える船舶推進機。
【請求項13】
前記エンジンは、点火装置を含み、
前記制御部は、前記点火装置を制御することによって前記抑制制御を行う、
請求項12に記載の船舶推進機。
【請求項14】
前記エンジンは、燃料噴射装置を含み、
前記制御部は、前記燃料噴射装置を制御することによって前記抑制制御を行う、
請求項12に記載の船舶推進機。
【請求項15】
前記エンジンは、複数のシリンダを含み、
前記制御部は、前記第1演算回転速度が前記第1閾値以上であるときには、前記第1演算回転速度の増減に応じて、前記抑制制御を行うシリンダの数を増減し、
前記制御部は、前記第2演算回転速度が前記第2閾値以上であるときには、全てのシリンダに対して前記抑制制御を行う、
請求項12から14のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項16】
前記エンジンは、複数のシリンダを含み、
前記第2閾値は前記第1閾値より大きく、
前記制御部は、前記第1演算回転速度が前記第1閾値以上であるときには、前記第1演算回転速度の増減に応じて、前記抑制制御を行うシリンダの数を増減し、前記第1演算回転速度が前記第2閾値であるときには、n個のシリンダに対して前記抑制制御を行い、
前記制御部は、前記第2演算回転速度が前記第2閾値以上であるときには、m個(m>n)のシリンダに対して前記抑制制御を行う、
請求項12から14のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項17】
前記エンジンは、燃料噴射装置を含み、
前記制御部は、前記第1演算回転速度が前記第1閾値を越えて変化した繰り返し回数が所定回数以上になったときに、前記燃料噴射装置のスロットル開度を減少させる、
請求項12から16のいずれかに記載の船舶推進機。
【請求項18】
前記エンジンは、燃料噴射装置を含み、
前記エンジン回転速度が前記所定の回転速度を越えて変化した繰り返し回数が所定回数以上になったときに、オペレータに警告を促す報知部をさらに備える、
請求項12から16のいずれかに記載の船舶推進機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−86559(P2013−86559A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226168(P2011−226168)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
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